JP2011011168A - 液体フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布を用いたフィルターは、孔径が不均一なため、捕集精度の点で問題があり、特にサブミクロン粒径を有する物の捕集では、捕集すべき大きさのものがすり抜ける恐れがある。かかる問題を解決することができる、サブミクロン粒径を有する物の捕集性と捕集精度を高めた不織布積層液体フィルターを提供する。
【解決手段】流体中の固形物を濾過する不織布巻き込み型フィルターであって、その主濾過層が、平均繊維径0.2〜1.0μm、目付け50〜300g/m、空孔率55〜85%、平均流量孔径0.3〜2.0μm、かつ、開孔径のばらつき200%以内である不織布を複数回巻き込んだものである、前記フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体中の特定大きさ以上の固形物を除去するための液体フィルターに関する。本発明は、より詳しくは、主濾過層が極細繊維径からなる不織布巻き込み型フィルターに関する。
液体フィルターの一種である不織布巻き込み型フィルターとは、カートリッジの内筒部に単一回又は複数回不織布を巻きつけ、固形物を積層方向に補足するフィルターであり、極細繊維からなる不織布や繊維径の異なる不織布を用いたものが知られている。従来、粒径が小さい捕集物用のフィルターとしては、メンブレン膜が用いられていたが、表面濾過のため捕集したものが障害となり、通過させるべき粒子も捕集してしまい、フィルター寿命の観点又は分離精度の点から、実用に適したものではなかった。
そのため、極細不織布を使用した巻き込み型フィルターが多く使われている。その多くは、メルトブロー法による平均繊維径0.1〜5.0μmの極細不織布を巻き込み、積層した主濾過層からなるカートリッジフィルターであり、これらのフィルターは、不織布の積層方向全体で固形物を捕集することから、表面濾過になりにくいため、フィルターの閉塞が起こりにくく、高寿命のフィルターとして、又は高濃度粒子の濾過用途に使われている(例えば、以下の特許文献1、2参照)。例えば、半導体研磨に用いられるCMP(ケミカルメカニカルポリシング)スラリーの製造工程、磁性塗料の製造工程などで、不純物や凝集物などの粒径の大きいものを除去する際に使用されている。
しかしながら、不織布を用いたフィルターは、孔径が不均一になり、メンブレンと比較すると捕集すべき大きさのものがすり抜ける確率が高くなるという問題点がある。そのため、主濾過層に使用する不織布の繊維径を細くすること、巻き回数を上げること、不織布の目付けを上げるなどして不織布使用量を増やすこと、不織布の密度を大きくすること、空隙を減らし固形物を通りにくくすること等が試みられている(例えば、以下の特許文献3、4参照)。ところがこれらの方法を用いても、捕集される粒子のサイズは小さくなるものの、大きい孔径の粒子と捕集される粒子との比率の改善にはつながらず、捕集精度の向上が不十分な結果となっている。
サブミクロンの粒子を捕捉(捕集)するためには、不織布の繊維径を小さくする必要があり、メルトブロー法による不織布が用いられることが多い。しかしながら、メルトブロー法では高速気流で紡糸された糸を延伸吹き付けして製造するため、繊維径の斑や繊維分布(目付け)斑が発生しやすく、孔径の分布も大きくなる。
そのため、サブミクロン粒子捕集用の液体フィルターにおいて、高精度化が難しいという問題点があり、特に高濃度粒子液体からの不純物除去については、捕集精度が依然として問題となっているのが現状である。
以上のように、サブミクロン粒径の粒子捕集性と高捕集精度を両立させた液体フィルターは未だ得られていないのが現状である。
特許2791775号公報 特開平3−278810号公報 特許3431086号公報 特許3677367号公報
前記した従来技術の問題点に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、液体中のサブミクロン粒子の捕集用フィルターであって、捕集精度の高い(捕集粒径以上の捕集性が99%以上である)液体フィルター、特に、液体中の高濃度粒子から粒径の大きなものを除去又は分離する液体フィルターを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し実験を重ねた結果、極細の合成繊維不織布を積層複合することで、不織布の孔径及び孔径分布を制御し、該不織布を主濾過層とした不織布巻き込み型フィルターとすることで、サブミクロン粒子の捕集性と捕集精度に優れ、かつ、流体を流した際の圧力損失の低い特長を有するフィルターにより、上記課題が解決しうることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]流体中の固形物を濾過する不織布巻き込み型フィルターであって、その主濾過層が、平均繊維径0.2〜1.0μm、目付け50〜300g/m、空孔率55〜85%、平均流量孔径0.3〜2.0μm、かつ、開孔径のばらつき200%以内である不織布を複数回巻き込んだものである、前記フィルター。
[2]前記主濾過層に使用される不織布の合計目付け(目付け×巻き回数)が、200〜1000g/mであり、かつ、前記不織布の巻き回数が、2〜8回である、前記[1]に記載のフィルター。
[3]前記主濾過層よりも平均流量孔径の大きい補助濾過層をさらに含む、前記[1]又は[2]に記載のフィルター。
本発明は、細繊径の不織布と積層技術を用い、目付け、空孔率、平均流量孔径、開孔径のばらつきを、それぞれ、特定の値に設定することで、サブミクロン粒子に対し高捕集であり且つ捕集精度の高い(捕集粒径以上の捕集性が99%以上である)フィルターを提供することができる。
本発明に係るフィルターは、特に、液体中の高濃度粒子から粒径の大きなものを除去又は分離するための、フィルター性能に優れたフィルターである。
以下、本発明について詳述する。
本発明の液体フィルターは、主濾過層が特定性能の不織布からなる不織布巻き込み型フィルターである。
不織布を用いたフィルターは、孔径が不均一なため、捕集精度の点で問題があり、特にサブミクロン粒径を有する粒子の捕集では、捕集すべき大きさのものがすり抜ける確率が高くなるい。かかる問題を解決すべき鋭意検討した結果、本発明者らは、今般、不織布を構成する繊維径を細くすることと、捕集精度を低下させる部分的に存在する大きな孔径を減らすために不織布を積層することとを、組み合わせ、さらに、目付け、空孔率、平均流量孔径、開孔径のばらつきを、それぞれ、特定の値に設定することにより、主濾過層としての不織布の捕集精度を向上させることができることを、予想外に見出した。
即ち、本発明の液体フィルターにおいては、主濾過層に使用される不織布を構成する繊維の平均繊維径は、0.2〜1.0μmであり、好ましくは0.2〜0.7μmである。該平均繊維径が、1.0μmより大きくなると、サブミクロン粒径を有する粒子の捕集性が低下してしまうだけでなく、カレンダー加工などで密度を上げても孔径の均一性が向上しない、一方、0.2μmより小さいと、不織布の強度低下や繊維径が不均一になる問題や生産性が著しく低下してしまい、経済性からも好ましくない。
不織布の目付けは、50〜300g/mである。目付けは、巻き数や有効面積(1周分の面積)、濾過する液体、捕集性能、流量圧損により適宜変えることができるが、目付けを50g/m以下にすると、巻き数を増やしても捕集精度が上がらず、一方、目付けが300g/m以上になると、流量圧損が大きくなるだけでなく、巻きつけ時にしわが発生しやすくなる。該目付けは、好ましくは70〜250g/mである。
また、フィルターに巻きつける主濾過層の巻き回数は2〜8回が好ましい。巻き回数が、2回より少なくなると重なり部から粒子の浸入のため捕集性が下がり、一方、8回を超えると本発明の不織布を使用すると流量圧損が高くなる。該巻き回数は、さらに好ましくは、3〜6回である。合計目付け(目付け×巻き回数)は、200〜1000g/mであることが好ましい。
不織布の空孔率は、55〜85%である。空孔率が55%より小さいと流量圧損が高くなり、結果として捕集精度も低下する要因になり、一方、85%より大きいと繊維径が小さくてもサブミクロン領域の捕集性が低くなるだけでなく、強度や表面強度の点で取り扱いが問題となる。空孔率を調整する方法としては、カレンダー加工やエンボス加工を行う方法が挙げられ、常温から素材の融点以下の温度で行うカレンダー加工が好ましい。
不織布の平均流量孔径は、0.3〜2.0μmである。2.0μmより大きいと積層しても1μ以下の粒子捕集性は十分にならず、一方、0.3μm未満にするとフィルターに液が上手く流れず、流量圧損が高くなるだけでなく、捕集物による閉塞が起こりやすいため、フィルター寿命が短くなる。該平均流量孔径は、好ましくは0.5〜1.5μmである。ここで、不織布の平均流量孔径は、ASTM F316−86に準じて、PMI社パームポロメーター(CFP−1200AEXS 多孔質材料自動細孔径分布測定システム)で測定を行う。
捕集精度の向上の観点から、開孔径のばらつきは、200%以下である。開孔径のばらつきが200%より大きいと捕集される粒子径の分布も大きくなり、狙いの捕集性を得るためには、全体の孔径をより小さくする必要があり、流量圧損やフィルター寿命の点で問題となる。また高濃度粒子からの不純物の濾過では、不純物と通すべき粒子のサイズが近い場合には、使用できないという問題も生じる。開孔径のばらつきの好ましい範囲は50〜150%である。開孔径ばらつきについては、上述のASTM F316−86に準じた測定において、累積流量を100%として時のフィルター流量パーセントが2.3%のときを最大孔径、97.7%の時を最小孔径とし、以下の式で計算し求める。
開孔径ばらつき(%)=(2.3%最大孔径−97.7%最小孔径)/平均流量孔径(μm)×100
本発明に使用される不織布は、上記物性を満足していれば特に限定はされないが、合成繊維不織布が好ましく、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ポリフッ化ビニリデン系等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いてもよい。不織布の製法としては、メルトブロー法、エレクトロスピング法、フラッシュスパン法、抄造法などが挙げられ、更に、それぞれの方法を組み合わせた不織布、例えばスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)などや、上記不織布を熱処理やバインダーによる接着によって複合してもよい。
平均流量孔径及び開孔径ばらつきをコントロールするためには、上記の製法によって作られた不織布を複数枚積層し、事実上一体化させることが好ましい。事実上一体化させる方法としては、圧力により一体化させる方法や各種接着剤や熱溶融樹脂をバインダーとし接着する方法等が挙げられる。例えばメルトブロー法不織布数枚を熱カレンダー機やエンボス機により圧縮一体化させる方法や複数枚のフラッシュスパン法による不織布とメルトブロー不織布を熱融着ネットをバインダーとし熱プレスすることで複合する方法などが挙げられる。
本発明の液体フィルターは、通常、交換可能なカートリッジ状に成形される。カートリッジフィルターの製造方法としては、フィルターの内筒に上記不織布からなる主濾過層、及び必要に応じ補助濾過層として各種シートを巻きつけ、最外層を接着剤や熱接着により固定したり、プラスチック製の筒(外筒)や伸縮するシート材により固定したりすることなどが挙げられる。
不織布や各種シートを巻きつける際、熱溶融樹脂からなるネット、穴あきフィルム、繊維構造体などで連れ巻きすることで不織布又は各種シートと熱溶融体との積層構造にしながら巻き込んでもよい。フィルターに処理液を外側から内側に流す際には、主濾過層を内側(内筒側)にし、補助濾過層が外側となるように巻く。処理液を内側から外側に流す際には、逆の構成となる。
また、主濾過層を内筒に巻きつける際には、主濾過層に変形や破けが生じないように、又は処理液がスムーズに流れるようにクッション層や液拡散層を補助濾過層とは別に設けてもよい。主濾過層と補助濾過層との間にクッション層又は液拡散層などを更に設けてもよい。
本発明に使用される補助濾過層としては、主濾過層の平均流量孔径より大きな平均流量孔径を有するものを使用してカートリッジ寿命を延ばすよう工夫することが好ましい。補助濾過層の構成としては、不織布やフェルト状物を含む繊維構造体や合成紙を含む紙、多孔質フィルム、ネット等公知ものが使用可能であり、2種類以上のシートを用いても構わない。補助濾過層においても、液の流れる方向から平均流量孔径が順次小さくなる構成が更に好ましい。
上記不織布又は補助濾過層に使用される濾材は親水性及びび吸液性を制御するために、各種薬剤や粉体を、フィルター性能や濾過する液体に影響しない範囲で含有させてもよい。例えば、界面活性剤、透水剤、繊維を固定するための樹脂、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤などを含有させることができる。また、繊維の表面処理としてグラフト加工、コロナ放電処理、硫酸ガスやフッ素ガスによるガス処理を行ってもよい。また本発明のフィルターとしては各種公知の滅菌処理や洗浄を行ってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
(1)厚み(mm)
ピーコック厚み計を用いて、接圧20g/cmの条件で測定を実施した。
(2)目付け(g/m
0.5m以上の面積の不織布を、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布の単位面積当たりの重量(g/m)を求めた。
(3)空孔率
上記(1)及び(2)で測定した厚み、目付け、及び使用した各素材の比重より次式より算出した。
空孔率(%)={1−目付け(g/m)/比重(g/cm)/厚み(mm)/1000)}×100
(4)平均繊維径
不織布の巾方向、長手方向に重ならないように、10箇所サンプリングし、5000倍に拡大した電顕写真から繊維径を10点測定した。合計100点の平均値を平均繊維径とする。
(5)平均流量孔径
ASTM F316−86に準じて、PMI社パームポロメーター(CFP−1200AEXS 多孔質材料自動細孔径分布測定システム)で測定を行った。
(6)開孔径ばらつき
ASTM F316−86に準じて、PMI社パームポロメーター(CFP−1200AEXS 多孔質材料自動細孔径分布測定システム)で測定を行い、累積流量を100%として時のフィルター流量パーセントが2.3%のときを最大孔径とし、97.7%の時を最小孔径とし、以下の式で計算し求めた。
開孔径ばらつき(%)=(2.3%最大孔径―97.7%最小孔径)/平均流量孔径(μm)×100
次に、本発明の実施例の評価について説明する。
(a)捕集性(%)
JIS11種粉塵を水に分散した濃度10ppmの試験液を均一に攪拌しながら実施例及び比較例でのカートリッジフィルターに流量10L/minでフィルター外側から内側に流れるようにして通水し、開始後30分、45分、60分後の濾過前液及び濾過後液を採取し、超純水で100倍希釈し、粒度分布測定器(PARTICLE MEASURING SYSTEMS INC.社製 LS−200(シリングサンプラ)およびLiqulaz−S02−HF(パーティクルセンサー))を使用し、0.5μm(測定範囲0.47〜0.53μm)粒子の各時間での捕集性を下記の式で求め、平均した値とする。
捕集性(%)={(A−B)/A}×100
{式中、A:濾過前の粒子数、B:濾過後の粒子数}
(b)捕集精度(%)
捕集性と同様に測定を行い、0.47μmから2.03μmの範囲の粒径が捕集される割合を計算する。
(c)流量圧損(KPa)
実施例及び比較例でのカートリッジフィルターに流量10L/minでフィルター外側から内側に流れるようにして通水した時の初期圧力損失を測定する。
(d)フィルター寿命(分)
JIS11種粉塵を水に分散した濃度300ppmの試験液を均一に攪拌しながら実施例及び比較例でのカートリッジフィルターに流量10L/minでフィルター外側から内側に流れるようにして通水し、初期圧力損失より圧力損失が0.2MPa上昇するまでに要した時間とする。
(e)分離精度
粒子径0.29μmのラテックス球(JSR社製 STADEX SC−031−S)及び粒子径0.48μmのラテックス球(JSR社製 STADEX SC−048−S)が、それぞれ、0.14ppm濃度になるように超純水に滴下し試験液を作り、均一に攪拌しながら実施例及び比較例でのカートリッジフィルターに流量10L/minでフィルター外側から内側に流れるようにして通水し、開始後30分後の濾過前液及び濾過後液を採取し、粒度分布測定器(PARTICLE MEASURING SYSTEMS INC.社製 LS−200(シリングサンプラ)及びLiqulaz−S02−HF(パーティクルセンサー))を使用し、0.29μm(測定範囲0.26〜0.32μm)粒子及び0.48μm(測定範囲0.45〜0.51μm)粒子の捕集性を求め、分離精度とした。
分離精度としては0.48μmを捕集し、0.29μmを多く通過させたものを優れているとし、以下の数式による通過比率を求め、20以上を「○)」、20未満10以上を「△」、そして10以下を「×」として評価した。
(通過比率)=(100−0.29μm捕集(%))/(100−0.48μm捕集(%))
[実施例1]
メルトブロー方式を用いて、不織布(PP 目付け10g/m 繊維径0.5μm)を作製し、8枚を重ね合せながら、カレンダー機(金属ロール/金属ロール)で一体化させて以下の表1に示す物性の不織布を作成した。
次に内筒(PP製内径33mm 厚み3mm)に液拡散層として「エルタス」P03050(旭化成せんい社製)を2回巻いた後、上記不織布を以下の表1に示す回数を巻きつけ、更に補助濾過層としてPO30UA(タピルス社製PPメルトブロー不織布 30g/m 平均流量孔径6.1μm)を6回巻きつけ、最後に「エルタス」P03050で外形70mmになるように巻きつけ、シート端面を熱シールし固定した。次にエンド処理として、PP性樹脂プレートを熱融着させ端面をシールし、実施例1のフィルターカートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[実施例2]
メルトブロー方式を用いて、不織布(PP 目付け10g/m 繊維径0.5μm)を作製し、8枚を重ね合せながら、カレンダー機(金属ロール/金属ロール)で一体化させて以下の表1に示す物性の不織布を作製した。
次に内筒(PP製内径33mm 厚み3mm)に液拡散層として「エルタス」P03050(旭化成せんい社製)を2回巻いた後、上記不織布を以下の表1に示す回数を巻きつけ、「エルタス」P03050で外形70mmになるように巻きつけ、シート端面を熱シールし固定した。実施例1と同様にエンド処理を行い、実施例2のフィルターカートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[実施例3及び4]
メルトブロー方式を用いて、不織布(PP 目付け25g/m 繊維径0.8μm)を作成し、4枚を重ね合せながら、カレンダー機(金属ロール/金属ロール)で一体化させながら以下の表1に示す物性の不織布を作製した。
次に内筒(PP製内径33mm 厚み3mm)に液拡散層として「エルタス」P03050(旭化成せんい社製)を2回巻いた後、上記不織布を以下の表1に示す回数を巻きつけ、「エルタス」P03050で外形70mmになるように巻きつけ、シート端面を熱シールし固定した。
実施例1と同様にエンド処理を行い、実施例3及び4のフィルターカートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[実施例5及び6]
メルトブロー方式を用いて、不織布(ナイロン 目付け50g/m 繊維径0.7μm)を作成し、3枚を重ね合せながら、カレンダー機(金属ロール/金属ロール)で一体化させながら以下の表1に示す物性の不織布を作製した。
次に内筒(PP製内径33mm 厚み3mm)に液拡散層として「エルタス」N03050(旭化成せんい社製)を2回巻いた後、上記不織布を以下の表1に示す回数を巻きつけ、補助濾過層としてN070A(旭化成せんい製ナイロンメルトブロー不織布 70g/m 平均流量孔径3.8μm)を3回巻き、最後に「エルタス」P03050で外形70mmになるように巻きつけ、シート端面を熱シールし固定した。実施例1と同様にエンド処理を行い、実施例5及び6のフィルターカートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[比較例1]
A040C(旭化成せんい社製PETメルトブロー不織布 目付け40g/m 繊維径1.2μm)を比較例1の不織布とした。その物性を以下の表1に示す。
次に実施例2と同様に、カートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[比較例2]
N070A(旭化成せんい製ナイロンメルトブロー不織布 70g/m 平均繊維径1.7μm)を比較例2の不織布とした。その物性を以下の表1に示す。
次に実施例2と同様に、カートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
[比較例3]
メルトブロー方式を用いて、不織布(PP 目付け25g/m 繊維径0.8μm)を作成し、2枚を重ね合せながら、カレンダー機(金属ロール/金属ロール)で一体化させながら以下の表1に示す物性の不織布を作製した。
次に実施例2と同様に、カートリッジを作成した。その評価結果を以下の表2に示す。
[比較例4]
メルトブロー方式を用いて、不織布(PP 目付け10g/m 繊維径0.5μm)であって以下の表1に示す物性の不織布を作製した。
次に実施例2と同様に、カートリッジを作製した。その評価結果を以下の表2に示す。
本発明に係るフィルター(実施例1〜6)は、サブミクロン粒径の捕集性が良好であり、捕集精度も高い値を示しており、目的の捕集粒径以上を高精度で捕集していることが分かる。
また、本発明に係るフィルター(実施例1〜6)は、分離精度も良好である。更に実施例1、5、及び6では、については、主濾過層より大きい平均流量孔径の補助濾過層を設けることで寿命向上に優位であることを示している。
比較例1は、捕集性は高いが、孔径ばらつきが大きく、捕集精度及び分離精度が、実施例1〜6のものに比較して劣っていた。
比較例2は、平均繊維径が大きく、サブミクロン捕集性が低く、捕集精度、分離精度ともに満足されない結果となった。
比較例3は、空孔率を下げることで、サブミクロン捕集性を高めているが、捕集精度も低く、分離精度も劣る結果となった。
比較例4は、孔径ばらつきが大きいため、サブミクロン捕集性の値に対し、捕集精度が向上しておらず、また、分離精度も十分なレベルに達していない結果となった。
Figure 2011011168
Figure 2011011168
本発明の液体フィルターは、サブミクロン粒子に対し高捕集であり且つ捕集精度の高い高性能フィルターであるため、エレクトロニクス、医療関連、ケミカル等の用途で好適に利用可能である。本発明の液体フィルターは、液体中の高濃度粒子から粒径の大きなものを除去又は分離するフィルター性能に優れるため、CMPや磁性塗料製造用途で特に有用である。

Claims (3)

  1. 流体中の固形物を濾過する不織布巻き込み型フィルターであって、その主濾過層が、平均繊維径0.2〜1.0μm、目付け50〜300g/m、空孔率55〜85%、平均流量孔径0.3〜2.0μm、かつ、開孔径のばらつき200%以内である不織布を複数回巻き込んだものである、前記フィルター。
  2. 前記主濾過層に使用される不織布の合計目付け(目付け×巻き回数)が、200〜1000g/mであり、かつ、前記不織布の巻き回数が、2〜8回である、請求項1に記載のフィルター。
  3. 前記主濾過層よりも平均流量孔径の大きい補助濾過層をさらに含む、請求項1又は2に記載のフィルター。
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