JP2011009621A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりもクエンチ性能のバラツキを抑制することができる超電導コイルおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】胴部4と、胴部4の両端部に形成されたフランジ部5と、胴部4に巻回された超電導線材3とを備え、胴部4に巻回された超電導線材3の各層の巻数が同数である超電導コイル1である。巻枠2の胴部4は、周方向に沿って胴部4の外面に形成された複数の凸部6を有し、凸部6に沿わせて超電導線材3が巻回されている。また、複数の凸部6は、胴部4の軸方向Zに相互に独立して、かつ、胴部4の周方向に沿って連続して形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導コイルおよびその製造方法に関する。
超電導コイルのクエンチ対策技術に関しては様々なものが提案されている。ここで、既に提案されたクエンチ対策技術のうち、超電導線材の巻枠への巻線方法に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載された巻線方法は、巻枠に軸方向の引張荷重を加えた状態で超電導線材を当該巻枠に巻回し、その後、引張荷重を取り除く、というものである。この方法によると、巻枠の弾性回復力で超電導線材には軸方向の圧縮荷重が加わる。これにより、特許文献1では、コイルを形成している超電導線材が軸方向に締まるのでクエンチしにくくなる、と称されている。
特開平5−182819号公報
しかしながら、特許文献1に記載された巻線方法で製造された超電導コイルでも、コイル毎に各層の巻線数にバラツキが出る可能性があるため、コイルによってはクエンチが発生しやすかったりしにくかったりとバラツキを示す傾向が懸念される。
また当然ながら、巻線状態のバラツキがないように巻線作業者は丁寧に超電導線材を巻枠に巻回すのであるが、製造された超電導コイルによってはクエンチが発生しやすい場合がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超電導コイルのクエンチ性能のバラツキを抑制できる超電導コイルおよびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、巻枠の胴部の外面にその周方向に沿って複数の凸部を設け、且つこの凸部に沿わせて巻枠の胴部に巻回す超電導線材の巻数を各層同数とすることで、コイルの弾性係数のバラツキを抑制することができ、これにより前記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、周方向に沿って外面に形成された複数の凸部を有する胴部と、前記胴部の両端部に形成されたフランジ部と、前記凸部に沿わせて前記胴部に巻回された超電導線材と、を備え、前記胴部に巻回された超電導線材の各層の巻数を同数にした超電導コイルである。
この構成によると、凸部が巻線ガイドの役割を果たすので、巻線作業者の熟練程度に影響を受けることなく超電導線材は胴部に巻回される。これにより、超電導コイルの製造上のバラツキを小さくすることができる。また、各層の巻数が同数の場合、各層の巻数が異なる場合に比してコイルの弾性係数が大きいため、超電導線材に生じる微少変位を小さく抑えることができる。これらの結果、コイルの弾性係数のバラツキを防止できるため、クエンチ性能のバラツキを抑制することができる。
また本発明において、前記複数の凸部は、前記胴部の軸方向に相互に独立して、かつ、当該胴部の周方向に沿って連続して形成されていることが好ましい。
この構成によると、胴部の周方向に沿って凸部が連続形成されているので、凸部の巻線ガイド機能はより高く、すなわち、超電導コイルの製造上のバラツキをより小さくすることができる。また、胴部の軸方向に相互に独立して凸部が形成されているので、超電導線材を胴部に巻回す際、超電導線材を胴部に少なくとも1巻したのち凸部を斜め方向に乗り越えさせていくことになる。これにより、超電導線材は凸部で締められる。その結果、超電導線材に生じる微少変位はより小さく抑えられる。
さらに本発明において、前記複数の凸部は、前記胴部の軸方向において隣り合う超電導線材が相互に接する寸法とされていることが好ましい。
この構成によると、胴部の軸方向において隣り合う超電導線材同士は微少変位しにくい。また、胴部の軸方向に対して直交する方向においては、例えば、外側の層から内側の層への超電導線材の落ち込みを防止することができ、この観点からも超電導線材の微少変位を防止することができる。
さらに本発明において、前記胴部の熱収縮率は、超電導線材の熱収縮率よりも大きいことが好ましい。
この構成によると、極低温下において胴部両端の一対のフランジ部は互いに近接する方向に変位する。この変位量は、胴部に巻回された超電導線材の収縮量(変位量)よりも大きい。これにより、胴部両端の一対のフランジ部で超電導線材はその両側から締め付けられる。そのため、超電導線材は微少変位しにくい。
また本発明は、周方向に沿って外面に形成された複数の凸部を有する胴部の外周に、各層の巻数が同数となるように当該凸部に沿わせて超電導線材を巻回す巻線工程を備える、超電導コイルの製造方法である。
この構成によると、凸部が巻線ガイドの役割を果たすので、巻線作業者の熟練程度に影響を受けることなく超電導線材は胴部に巻回される。これにより、超電導コイルの製造上のバラツキを小さくすることができる。また、各層の巻数を同数とすることで、各層の巻数が異なる場合に比してコイルの弾性係数が大きくなるため、超電導線材に生じる微少変位を小さく抑えることができる。これらの結果、コイルの弾性係数のバラツキを防止できるため、クエンチ性能のバラツキを抑制することができる。
さらに本発明において、前記巻線工程において、超電導線材を、前記胴部に少なくとも1巻したのち前記凸部を斜め方向に乗り越えさせることが好ましい。
この構成によると、超電導線材を胴部に巻回す際、超電導線材を胴部に少なくとも1巻したのち凸部を斜め方向に乗り越えさせることにより、超電導線材は凸部で締められる。その結果、超電導線材に生じる微少変位はより小さく抑えられる。
凸部を有する胴部に当該凸部に沿わせて超電導線材を巻回すことで、巻線作業者の熟練度によらず超電導線材は胴部に巻回される。これにより、超電導コイルの製造上のバラツキを小さくすることができる。また、各層の巻数を同数とすることで、各層の巻数が異なる場合に比してコイルの弾性係数が大きくなるため、超電導線材に生じる微少変位を小さく抑えることができる。これらの結果、コイルの弾性係数のバラツキを防止できるため、従来よりもクエンチ性能のバラツキを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る超電導コイルを示す模式断面図である。 図1のA−A断面図(巻枠のみ)および図1のB部拡大図である。 巻枠への超電導線材の巻回し方法を説明するための図である。 比較実験の条件を説明するための超電導コイルの図である。 各層の巻数が同数のコイルおよび各層の巻数が異なるコイルのヤング率の比較実験結果を示すグラフである。 凸部の変形例を示す模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超電導コイル1を示す模式断面図である。また、図2(a)は、図1のA−A断面図(巻枠のみ示す)であり、図2(b)は、図1のB部拡大図である。
(超電導コイルの構成)
(巻枠)
図1に示したように、超電導コイル1は、巻枠2と、超電導線材3とを具備してなる。巻枠2は、筒状の胴部4と、胴部4の両端部に形成された一対のフランジ部5とを有している。フランジ部5の形状は、胴部4と同径の孔を有する円板状である。胴部4とフランジ部5とは溶接やろう付けによって接合されている。胴部4およびフランジ部5の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウムおよびアルミニウム合金の熱収縮率は、後述する超電導線材3の熱収縮率よりも大きい。
なお、鋳造により巻枠2を製造したり、フランジ部5を削り出しにより形成したりして、胴部4とフランジ部5とを一体形成してもよい。また、胴部4およびフランジ部5の材質はFRPなどであってもよい。
図2(a)に図1のA−A断面図(巻枠2のみ示す)を示し、図2(b)に図1のB部拡大図を示したように、胴部4の外面には、その周方向に沿って複数の凸部6が形成されている。図2(a)に示すように、複数の凸部6は、相互に独立して形成されたリング状となっている。すなわち、複数の凸部6は、胴部4の軸方向Zにおいては相互に独立して形成され、軸方向Zに直交する方向においては胴部4の周方向に沿って連続形成されている。なお、軸方向Zに隣り合って並ぶ凸部6は、相互に平行とされているが、必ずしも平行である必要はない。
図2(b)に拡大図を示すように、凸部6の断面形状は、半円とされている。ここで、超電導線材3の断面の半径をrとすると、凸部6の断面の半径は、(√2−1)r以下であることが好ましい。換言すれば、軸方向Zにおいて接した状態で隣り合う超電導線材3と胴部4の外面とで形成される空間に凸部6が位置することが好ましい。さらに換言すれば、複数の凸部6の寸法は、超電導線材3が胴部4回りに巻回された状態において、胴部4の軸方向Zにおいて隣り合う超電導線材3が相互に接する寸法とされていることが好ましい。これにより、超電導線材3と胴部4とが接する一層目の超電導線材3だけでなく、各層において、軸方向Zにおいて隣り合う超電導線材3同士は接する。その結果、超電導線材3の励磁の際や励磁状態において、軸方向Zにおいて隣り合う超電導線材3の微少変位を防止することができる。また、軸方向Zに対して直交する方向においては、例えば、外側の層から内側の層への超電導線材3の落ち込みを防止することができ、この観点からも超電導線材3の微少変位を防止することができる。これにより、超電導コイル1に発生するクエンチを抑制することができる。
なお、凸部6の断面形状は、四角形、三角形など、多角形であってもよく、半円に限られるものではない。ただし、凸部6の断面形状が半円でない場合も、各凸部6の寸法は、本実施形態のように、超電導線材3が胴部4回りに巻回された状態において、胴部4の軸方向Zにおいて隣り合う超電導線材3が相互に接する寸法とされていることが好ましい。
(超電導線材)
超電導線材3は、巻枠2の胴部4回りにソレノイド状に巻かれている。ここで、胴部4回りにソレノイド状に巻かれた超電導線材3の一層目、二層目、・・・、すなわち各層の巻数は同数とされている。超電導線材3の直径は1mm程度である。
超電導線材3は、NbTi、またはNbSn化合物などからなる線材である。ここで、前記した胴部4の熱収縮率は、超電導線材3の熱収縮率よりも大きいことが好ましい。NbTi、またはNbSn化合物からなる超電導線材3とし、かつ、胴部4の材質をアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることで、胴部4の熱収縮率は、超電導線材3の熱収縮率よりも大きくなる。
ここで、超電導線材3(超電導コイル1)の励磁の際や励磁状態において、超電導線材3(超電導コイル1)は極低温下におかれる。このとき、胴部4両端部の一対のフランジ部5(5a、5b)は、胴部4の熱収縮により互いに近接する方向に変位する。胴部4の熱収縮率を超電導線材3の熱収縮率よりも大きくすることで、フランジ部5(5a、5b)の変位量は、ソレノイド状の超電導線材3における軸方向Zの収縮量(変位量)よりも大きくなる。そのため、胴部4両端部の一対のフランジ部5で超電導線材3はその両側から軸方向Zに圧縮される(締め付けられる)。これにより、超電導線材3の微少変位をより防止することができ、超電導コイル1に発生するクエンチをより抑制することができる。
超電導線材3の断面形状は円形である。なお、断面形状が四角形などの超電導線材であってもよい。しかしながら、本発明は、断面形状が略円形である超電導線材に好適である。
断面形状が略円形の超電導線材3を隣接させると、超電導線材3同士の対向面は全面接触せず(一部接触し)、超電導線材3同士の間に隙間(換言すれば、略三角形の凹部)が生じる(例えば図2(b)参照)。そのため、超電導線材3を巻枠2の胴部4まわりに巻線する際、軸方向Zに隣接する下層側の超電導線材3同士の間の上記隙間(略三角形の凹部)が巻線ガイドとなり、巻線しやすくなる。
胴部4回りに巻回された超電導線材3の線間、および超電導線材3と巻枠2との隙間は、エポキシ樹脂などの超電導線材固定用含浸材(図示省略)で含浸処理されていてもよい。
(超電導コイルの製造方法)
次に、超電導コイル1の製造方法について説明する。
(凸部形成工程)
巻枠2を製造するにあたり、胴部4の周方向に沿って当該胴部4の外面に複数の凸部6を設ける。前記したように、胴部4の軸方向Zに相互に独立して、かつ、当該胴部4の周方向に沿って連続して、すなわち相互に独立したリング状に、複数の凸部6を胴部4の外面に形成する。これら複数の凸部6の形成は、例えば旋盤を用いて胴部4からの削り出しにより行う。なお、溶接やろう付けによって、別に製造したリング状の凸部6と胴部4とを接合してもよいし、外面に凸部6を有する胴部4(または、フランジ部5も有する巻枠2)を鋳造により製造してもよい。
(巻線工程)
次に、超電導線材3を、各層の巻数が同数となるように胴部4の外周に巻回す。このとき、リング状の凸部6に沿わせてフランジ部5aの内面から対向するフランジ部5bの内面まで超電導線材3を直接または間接的に、隣り合う超電導線材3同士を互いに接触させながら胴部4の外周に巻回す。超電導線材3を胴部4の外周に間接的に巻回すとは、下層側に巻回された超電導線材3を介して、超電導線材3を胴部4の外周に順次積層して巻回すことをいう。換言すれば、超電導線材3の二層目以降を巻回すことをいう。
一層目については、胴部4の一端側から他端側に向けて凸部6に沿わせて胴部4の外周に直接、超電導線材3を巻回す。二層目については、一層目が巻き終わった後、軸方向Zに隣接する一層目の超電導線材同士の間の隙間(略三角形の凹部)に合わせて、胴部4の他端側から一端側に向けて超電導線材3を折り返しで巻回す。このようにして、一層目、二層目、・・・と超電導線材3を胴部4まわりに巻回していく。
なお、超電導コイル1は、巻枠2に超電導線材3を複数層巻き回し、積層しているが、各層は、次のように位置合わせがされている。すなわち、奇数層は、巻枠2の一端側においてフランジ部5aの内面と接触しているが、巻枠2の他端側においてフランジ部5bの内面とは接触していない。一方、偶数層は、巻枠2の他端側においてフランジ部5bの内面と接触しているが、巻枠2の一端側においてフランジ部5aの内面とは接触していない。また、奇数層の超電導線材3と偶数層の超電導線材3とは、おおよそ超電導線材3の半径分だけ軸方向Zにずれている。
本実施形態によると、凸部6および軸方向Zに隣接する下層側の超電導線材同士の間の隙間(略三角形の凹部)が巻線ガイドの役割を果たすので、巻線作業者の熟練程度に影響を受けることなく、超電導線材3を胴部4の一端から他端まで所定層分、巻回すことができ、その結果、超電導コイル1の製造上(巻線上)のバラツキを従来よりも小さくすることができる。また、凸部6および軸方向Zに隣接する下層側の超電導線材同士の間の隙間(略三角形の凹部)が巻線ガイドの役割を果たすため、機械による自動巻線の場合も同様に、製造上のバラツキを小さくすることができる。なお、巻線作業者の熟練程度に影響を受けることなく2層目以降の層を形成する超電導線材3を巻回すことができるのは、凸部6が巻線ガイドの役割を果たすことにより一層目が整然と巻回されることの影響が大きい。
また、奇数層の超電導線材3と偶数層の超電導線材3とが超電導線材3の半径分だけ軸方向Zにずらされ、かつ、奇数層同士および偶数層同士の超電導線材3がいずれも軸方向Zにおいて線材同士の位置が合わされることで、超電導線材3の密着性を全体として高めることができる。その結果、超電導線材3の微少変位は防止される。
また、図3に示したように、当該巻線工程において、超電導線材3を胴部4回りに1巻したのち凸部6を斜め方向に乗り越えさせて、順次、超電導線材3を胴部4回りに巻いていく。このように、超電導線材3を胴部4に巻回す際、超電導線材3を胴部4回りに1巻したのち凸部6を斜め方向に乗り越えさせることにより、超電導線材3は凸部6で締められる。これにより、超電導線材3の励磁の際や励磁状態において、超電導線材3に生じる微少変位をより小さく抑えることができる。
なお、本実施形態においては、隣り合う凸部6の間の巻数(ターン数)は1であるが、隣り合う凸部6の間隔を広げて、当該凸部6の間の巻数を2以上にしてもよい。この場合、超電導線材3を胴部4回りに2回以上巻いたのち凸部6を斜め方向に乗り越えさせて、順次、超電導線材3を胴部4回りに巻いていくことになる。
(含浸工程)
次に、エポキシ樹脂などの超電導線材固定用含浸材を用いて巻枠2および超電導線材3を含浸処理してもよい。含浸処理することにより、胴部4回りに巻回された超電導線材3の隙間、および超電導線材3と巻枠2との隙間は、超電導線材固定用含浸材で埋められ、超電導線材3同士および超電導線材3と巻枠2とが超電導線材固定用含浸材を介して強固に固定される。これにより、超電導線材3に生じる微少変位をより小さく抑えることができ、超電導コイル1に発生するクエンチをより抑制することができる。
(実施例)
図4は、比較実験の条件を説明するための超電導コイルの図である。図4(a)に示した本発明に係る超電導コイル11は、巻枠12の胴部14に巻回された超電導線材13の各層の巻数が同数である超電導コイルである。図4(b)に示した比較例に係る超電導コイル101は、巻枠12の胴部14に巻回された超電導線材13の各層の巻数が、偶数層(例えば二層目)と奇数層(例えば一層目)とで1巻異なる超電導コイルである。
なお、超電導線材13は、いずれもNbTi線とした。巻枠12(胴部14およびフランジ部15)の材質は、いずれもアルミニウムとした。
ここで、超電導線材13の直径が異なる2種類の超電導コイル11および超電導コイル101をそれぞれ試作した。表1にこれら2種類・計4つの超電導コイルの仕様を示す。なお、コイルNo.(1)、(3)のコイルの層数は同じである(コイルNo.(2)、(4)においても同様)。また、コイルNo.(1)の各層の巻数をnとすると、コイルNo.(3)の各層の巻数は、n、n+1(又はn−1)(偶数層と奇数層とで1巻異なる)である(コイルNo.(2)、(4)においても同様)。
Figure 2011009621
これら2種類・計4つの超電導コイル(11、101)について、軸方向圧縮試験を行い、当該超電導コイルのヤング率E(縦弾性係数)をもとめた。図4に示したように、胴部14の内面に90°位相で歪ゲージGを4個貼り付けてコイルの歪を計測し、その平均値を用いてヤング率Eを計算した。軸方向の圧縮荷重Pは2tonとした。ヤング率Eの計算式を(数1)に、実験結果を図5に示す。
(数1)
σ=P/A
E=σ/ε
P:軸方向の圧縮荷重、
A:超電導コイルを円筒とみなしたときのその断面積(軸方向からみたときのフランジ部15の面積)
σ:コイルに働く軸方向応力
ε:歪(歪ゲージGより)
E:超電導コイルのヤング率
図5から明らかなように、本発明に係る超電導コイル11と、比較例に係る超電導コイル101とではヤング率Eが大きく異なり、超電導コイル11のほうが超電導コイル101よりもヤング率Eが大きい。さらには、超電導線材13の直径が対応する超電導コイル(11、101)同士で比較すると(コイルNo.(1)と(3)との比較、およびコイルNo.(2)と(4)との比較)、超電導コイル11のヤング率Eは、超電導コイル101のヤング率Eの約2倍である。
ここで、歪ゲージGによる計測値からもとめたヤング率Eが大きいことは、直接的には巻枠12の胴部14がたわみにくいことを示す。間接的には、超電導線材13が動きにくいこと、すなわち超電導線材13に微少変位が生じにくいことを示す。
以上より、超電導線材13の各層の巻数を同数とすることにより、超電導線材13に生じる微少変位を小さく抑えることができ、これにより、各層の巻数が異なるときよりもクエンチ発生を抑制することができる。
また、前記した凸部6を有する巻枠2によると、超電導線材3の巻線工程において、凸部6が巻線ガイドの役割を果たす。これにより、巻線作業者の熟練程度に影響を受けることなく、超電導線材3を巻枠2の胴部4に所定回数・整然と巻回すことができる。その結果、超電導コイル1の製造上のバラツキを小さくすることができる。また、超電導コイル1の製造上のバラツキを小さくできることにより、従来よりも安全率を低減したコイル設計が可能となり、超電導コイルの軽量化・小型化・コスト低減という効果も得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
例えば、図6に示したような凸部26であってもよい。図6は、巻枠の胴部に形成する凸部の変形例を示す模式断面図である。図6に示したように、巻枠の胴部24の外面に複数の凹部24aを形成し、その結果として、胴部24の外面に凸部26が形成されてもよい。これら複数の凹部24aの形成は、例えば旋盤を用いて胴部24からの削り出しにより行う。なお、複数の凹部24aおよび凸部26を有する胴部24(または、当該胴部24およびフランジ部を有する巻枠)を鋳造により製造してもよい。
1:超電導コイル
2:巻枠
3:超電導線材
4:胴部
5:フランジ部
6:凸部

Claims (6)

  1. 周方向に沿って外面に形成された複数の凸部を有する胴部と、
    前記胴部の両端部に形成されたフランジ部と、
    前記凸部に沿わせて前記胴部に巻回された超電導線材と、
    を備え、
    前記胴部に巻回された超電導線材の各層の巻数が同数である、超電導コイル。
  2. 請求項1に記載の超電導コイルにおいて、
    前記複数の凸部は、前記胴部の軸方向に相互に独立して、かつ、当該胴部の周方向に沿って連続して形成されていることを特徴とする、超電導コイル。
  3. 請求項1または2に記載の超電導コイルにおいて、
    前記複数の凸部は、前記胴部の軸方向において隣り合う超電導線材が相互に接する寸法とされていることを特徴とする、超電導コイル。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の超電導コイルにおいて、
    前記胴部の熱収縮率は、超電導線材の熱収縮率よりも大きいことを特徴とする、超電導コイル。
  5. 周方向に沿って外面に形成された複数の凸部を有する胴部の外周に、各層の巻数が同数となるように当該凸部に沿わせて超電導線材を巻回す巻線工程を備える、超電導コイルの製造方法。
  6. 請求項5に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記巻線工程において、超電導線材を、前記胴部に少なくとも1巻したのち前記凸部を斜め方向に乗り越えさせることを特徴とする、超電導コイルの製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018011078A (ja) * 2017-09-19 2018-01-18 公益財団法人鉄道総合技術研究所 高温超電導コイル及びその高温超電導コイルの製作方法

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JP2015103587A (ja) * 2013-11-22 2015-06-04 公益財団法人鉄道総合技術研究所 高温超電導コイル及びその高温超電導コイルの製作方法
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