JP5463878B2 - 巻線付き磁芯および電機子 - Google Patents
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Description
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機での使用に適した巻線付き磁芯および電機子に関する。
磁芯に巻線を巻回するとき、占積率を上げるために、俵積み状に(即ち2層目以上の各巻線がその下層の巻線間の溝内に配置する様に)整列巻きする事が望ましい。しかし巻線が下層の巻線と交差する交差点(クロスポイント)では、俵積み状に整列巻きできないので、占積率が悪化する。
例えばアキシャルギャップ型回転電機では、この様なクロスポイントが磁芯における周方向側の側面(即ち隣接する磁芯と対向する側面)に存在すると、当該側面で巻線が俵積みされる場合と比較して巻線の巻回数(周回数とも言う)が低減し、回転電機の性能が低下するという問題が生じる。またこの様なクロスポイントが磁芯における外周側(即ち回転電機の中心軸に対する径方向外側)の側面に存在すると、当該側面で巻線が俵積みされる場合と比較して巻回数が低減するか、または磁芯の配置がより一層内周側に配置されて、回転電機の回転出力が低下するという問題が生じる。そのため、クロスポイントは、磁芯における内周側の側面に収まる様に配置される事が望ましい。
しかし、クロスポイントは、巻線の巻き進む方向(巻線方向)と反対側にずれる傾向があるので、1つの側面に納めるのは難しい。特にアキシャルギャップ型回転電機においては巻線の占積率を高めるべく、磁芯が当該回転電機の中心軸方向から見て略台形柱状に形成され、その略台形の短辺に対応する側面が内周側(即ち回転電機の中心軸に対する径方向内側)に向けられる様にして、複数の磁芯が環状に配置される場合が多い。そしてこの場合には、磁芯における内周側の側面は、略台形の短辺に対応する側面となり幅が狭くなるので、尚更、クロスポイントを磁芯における内周側の側面に納めるのは難しい。
尚、クロスポイントを内周側の側面に納めることに関する先行技術文献として特許文献1がある。
そのため、従来では、巻線に過度の張力(巻線が過度に延びる程の張力)を掛けることで、無理矢理に、クロスポイントが磁芯の内周側の側面に収まる様にしていた。そのため、巻線に過度の負担が掛かり、巻線にダメージを与えたり、断面積が小さくなり巻線抵抗が大きくなるという問題があった。
この発明の課題は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、巻線に過度な張力を掛けなくても、磁芯の所定側の側面にクロスポイントが収まる様に巻線が整列巻きにより積層巻きされた巻線付き磁芯および電機子を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明の第1の態様は、その外周面(10b)の所定側の側面に略矩形状の略平坦面(10a)を有する柱状の磁芯(10)と、断面が円状であって前記外周面に巻回される巻線(12)と、を備え、前記巻線は、その巻線方向(P1)が前記略平坦面上のみで前記磁芯の柱軸(P2)方向に対して直交しない非直交部分(12h)を有し、且つ前記磁芯における前記柱軸方向の一方端側(P−)から他方端側(P+)に向けて整列巻きされて一の巻線層(12P1)を形成し、前記一の巻線層上に、前記略平坦面に前記一の巻線層の巻線との交差点(K)が収まり且つ前記略平坦面以外では前記一の巻線層の各巻線間の溝12a内に配置される様にして、前記他方端から前記一方端に向けて整列巻きされて次の巻線層(12P2)を形成し、前記一の巻線層の周回数をnとし、前記略平坦面の前記柱軸方向に直交する方向の幅をWとし、前記巻線の直径をDとし、前記柱軸に垂直な面(S1)に対する前記非直交部分の巻線方向の角度をθとし、前記幅Wは、式1を満たす様に設定されるものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の巻線付き磁芯であって、前記磁芯(10)は、略台形柱状に形成され、前記略平坦面(10a)は、前記略台形柱状の略台形の短辺に対応する側面であるものである。
本発明の第3の態様は、第1または2の態様に記載の巻線付き磁芯であって、前記外周面(10b)において前記略平坦面(10a)とそれに隣接する他の側面(10k1,10k2)との境界である角部(10d)にエッジ緩和構造が施された場合において、前記略平坦面の前記幅(W)は、前記エッジ緩和構造が施されなかった場合の幅であるものである。
本発明の第4の態様は、第2の態様に記載の巻線付き磁芯を用いた電機子であって、電機子用ヨーク(20)と、前記電機子用ヨークの片面(20b)に、前記柱軸(P2)方向が前記片面に垂直となり且つ前記略平坦面(10a)が内周側に向けられて、環状に複数配設された前記巻線付き磁芯(1)と、を備えるものである。
本発明の第1の態様によれば、巻線(12)に過度の張力を掛けなくても、巻線(12)の交差点(K)が所定側の側面である略平坦面(10a)に収まる様にして、巻線(12)を磁芯(10)の外周に整列巻きにより積層巻きできる。
本発明の第2の態様によれば、略台形の短辺に対応する側面(10a)に巻線(12)の交差点(K)が収まる様に、巻線(12)を磁芯(10)の外周に整列巻きする事ができる。
本発明の第3の態様によれば、磁芯(10)の角部(10d)にエッジ緩和構造が施されている場合でも、略平坦面(10a)の幅(W)を正確に決定できる。
本発明の第4の態様によれば、巻線(12)の交差点(K)が磁芯(10)における内周側の側面(10a)に収まるので、磁芯(10)における外周側の側面(10e)での巻線層全体の厚さを薄くでき、その分、磁芯(10)をより一層外周側に配置できて回転電機の出力を向上できる。また巻線の交差点(K)が磁芯(10)における内周側の側面(10a)に収まるので、磁芯(10)における周方向側の側面(10k)での巻線層全体の厚さを薄くでき、その分、巻線(12)を多く巻回できて回転電機の出力を向上できる。
<第1実施形態>
この実施の形態に係る巻線付き磁芯1は、アキシャルギャップ型回転電機用電機子に使用されるものであり、図1の様に、磁芯10と、磁芯10の外周(即ち磁芯10の後述の柱軸P2周りの外周)に巻回される巻線12とを備えている。
この実施の形態に係る巻線付き磁芯1は、アキシャルギャップ型回転電機用電機子に使用されるものであり、図1の様に、磁芯10と、磁芯10の外周(即ち磁芯10の後述の柱軸P2周りの外周)に巻回される巻線12とを備えている。
磁芯10は、図1の様に、その外周面10bの所定側の側面に略矩形状の略平坦面10aを有する柱状(ここでは略台形柱状)に形成されている。尚、図1中の符号P2は磁芯10の柱軸であり、符号P3は、柱軸P2に直交し且つ略平坦面10aに平行な横軸であり、符号P4は、柱軸P2に直交し且つ略平坦面10aに直交する縦軸である。
磁芯10は、磁芯本体10Aと、第1の張出部10Bと、第2の張出部10Cとを備えている。
磁芯本体10Aは、図1の様に、略角柱状(ここでは略台形柱状)に形成されており、その略台形の短辺に対応する側面が略平坦面10aとなっている。磁芯本体10Aの外周面(即ち柱軸P2周りの外周面)10b1の各角部10d,10fは、図2の様に、エッジ緩和構造(例えば面取り)が施されて例えば丸みを有する様に形成されている。
第1の張出部10Bは、図1の様に、磁芯本体10Aにおける柱軸P2方向の一方側P+に設けられており、磁芯本体10Aの外周側(即ち柱軸P2周りの外周側)に張り出す様に形成されている。より詳細には、第1の張出部10Bは、例えば略台形状の板状に形成され、その短辺側が磁芯本体10Aの略台形の短辺側と同じ側に向けられ、その長辺側が磁芯本体10Aの略台形の長辺側と同じ側に向けられて設けられている。そして第1の張出部10Bは、例えば、その縦軸P4方向の幅(即ちその短辺と長辺との間の幅)が磁芯本体10Aの縦軸P4方向の幅と同じ大きさに形成され、その横軸P3方向の両側の縁部10gが磁芯本体10Aから張り出す様に形成されている。
第2の張出部10Cは、磁芯本体10Aにおける柱軸P2方向の他方側P−に設けられており、磁芯本体10Aの外周側に張り出す様に形成されている。より詳細には、第2の張出部10Cは、例えば略矩形状の板状に形成され、その略矩形における縦軸P4方向に平行な一対の辺の長さ(即ち縦軸P4方向の長さ)は磁芯本体10Aの縦軸P4方向の長さと略同じ長さに形成され、その略矩形における横軸P3方向に平行な一対の辺の長さ(即ち横軸P3方向の長さ)は磁芯本体10Aの略台形の長辺の長さと略同じ長さに形成されている。
尚ここでは、第2の張出部10Cにおける柱軸P2方向の他方側P−の面(即ち磁芯本体10A側と反対側の面)10jには、凸状部10iが設けられている。凸状部10iは、直方体状に形成されており、面10jにおける横軸P3方向の中央において、その長手方向が縦軸P4方向に沿う様に設けられている。凸状部10iは、その横軸P3方向の長さW2が第2の張出部10Cの横軸P3方向の長さW1よりも短く、その縦軸P4方向の長さが第2の張出部10Cの横軸P3方向の長さと略同じ長さの直方体状に形成されている。
尚、磁芯10は略台形柱状に形成されている。この点に関し、磁芯10は、略台形柱状の磁芯本体10Aを有し、その筒軸P2方向の両側P+,P−において磁芯本体10Aの外周側に張り出した第1および第2の張出部10B,10Cを有しているが、ここでは、主要部で大部分を占める磁芯本体10Aが略台形柱状なので、第1および第2の張出部10B,10Cを含めた全体も略台形柱状とみなしている。
尚、磁芯10は、磁性体により形成されている。ここでは磁芯10は、図1の様に、複数の磁性体板10rが縦軸P4方向に積層されて形成されている。したがって、磁芯10の柱軸P2に直交する面での断面形状は、外側が、磁性体板の板厚毎の階段状になっている。
巻線12は、例えば断面が円形の丸線である。尚、巻線12は、自己融着線である事が望ましいが、必須ではない。巻線12は、過度の張力(即ち巻線12が過度に引き延ばされる程の張力)が掛からない様にして、図3の様に、磁芯本体10Aの外周面10b1において、絶縁層を介して整列巻きされ(即ち互いに平行に隙間無く配置されて巻回され)、且つクロスポイント(即ち2層目以降の巻線12がその下層(磁芯本体10A側)の巻線12と交差する交差点)Kが略平坦面10a側に収まる様に積層巻きされる。尚、図3では、1層目の各巻線12は実線で図示され、2層目の巻線12は点線で図示され、3層目以降の巻線12は図示省略されている。
尚ここでは、図2を参照して、巻線12は、外周面10b1の側面10k1における柱筒軸P2方向の他方側P−の辺の略平坦面10a側の端部付近の位置10tから、側面10k1→側面10k3→側面10k2→略平坦面10aの順で(即ち図2上で時計回りに)巻回され、筒軸P2方向の一方側P+に向かって(紙面手前に向かって)1層目が整列巻きされる。
より詳細には、図3の様に、1層目では、巻線12は、略平坦面10a以外の側面10k1〜10k3(図2参照)上では、その巻線方向P1が筒軸P2方向に直交し、略平坦面10a上では、次の周回へとずれるために筒軸P2方向に直交しない非直交部分12hを有する様に、磁芯本体10Aの外周面10b1において筒軸P2方向の他方側P−から一方側P+まで整列巻きされて、1層目の巻線層12P1を形成している。尚、1層目の巻線層12P1の周回数はnに設定されており、磁芯本体10Aの外周面10b1の筒軸P2方向の長さはnDに設定されている。
尚、巻線層12P1の1周目の巻線12(以降、k周目の巻線12を巻線12−kと呼ぶ)が巻回されると、図4の様に、巻線12−1における略平坦面10a上の全ての部分が非直交部分12hとなる。更に2周目の巻線12−2が整列巻きにより巻回されると、2周目の巻線12−2は1周目の巻線12−1と密着する様に1周目の巻線12−1側に押し付け気味に巻回されるので、図5の様に、1周目の巻線12−1は、2周目の巻線12−2からの圧力Fにより筒軸P2方向の他方側P−に押される。そのため、巻線12−1における略平坦面10a上の巻線方向P1の上流側の部分12iは、筒軸P2に対して直交する。一般に、k+1周目の巻線12−(k+1)はk周目の巻線12−kと密着する様にk周目の巻線12−k側に押し付け気味に巻回される。そのためk周目の巻線12−kは、k+1周目の巻線12−(k+1)からの圧力Fにより筒軸P2方向の他方側P−に押されるので、巻線12−kの部分12iは、筒軸P2に対して直交する。
そして巻線層12P1が形成された状態では、巻線層12P1のk周目の巻線12−kは、k+1周目以降の各周回の巻線12からの圧力の合力Fをk+1周目の巻線12−(k+1)から受ける。そのため巻線12−kは、1周目側に在るほど巻線12−(k+1)から大きな圧力Fを受ける。そして巻線12−kが巻線12−(k+1)から受ける圧力Fが大きいほど、巻線12−kの部分12iは長くなる。従って、1周目側の周回の巻線12ほどその部分12iは長くなり、最終周目(n周目)側の周回の巻線12ほどその部分12iは短くなり、(n−1)周目の巻線12−(n−1)では、その部分12iは無くなる。
尚、1層目の巻線層12P1の最終周目の巻線12−nの非直交部分12hは、その巻線方向P1が2層目の巻線層12P2の1周目の巻線12−1の巻き始め位置方向にずれるので、1層目の巻線層12P1の他の巻線12−1,…,12−(n−2)の非直交部分12hに対して整列巻されない。同様に2層目以降の各巻線層12P2,…の最終周目の巻線12の非直交部分12hも、それと同じ巻線層の他の巻線12の非直交部分12hに対して整列巻されない。
また図5の様に、巻線層12P1のk周目の巻線12−kは、k−1周目の巻線12−(k−1)側に押し付けられるのでその反作用によりk−1周目の巻線12−(k−1)からの圧力Faを受け、その圧力Faにより筒軸P2方向の一方側P+に押される。そのため巻線12−kにおける略平坦面10a上の下流側の部分12j(図3参照)は、筒軸P2に対して直交する。そのため、上述と同様に、巻線層12P1が形成された状態では、1周目側の周回の巻線12ほどその部分12jは短くなり、1周目の巻線12ではその部分12jは無くなり、最終周目側の周回の巻線12ほどその部分12iは長くなる。尚、(n−1)周目の巻線12−(n−1)がn−2周目の巻線12−(n−2)から受ける圧力Faは、筒軸P2方向の対称性を考慮すると、1周目の巻線12−1が2周目の巻線12−2から受ける圧力Fと同じになるので、(n−1)周目の巻線12−(n−1)の部分12jは、1周目の巻線12−1の部分12iの長さと同じ長さになる。
そしてこの様に巻線層12P1が形成された状態では、巻線層12P1における最終周目以外の各巻線12の非直交部分12hを合わせた部分H1は、筒軸P2方向に直交する面(例えば第2の張出部10Cの筒軸P2方向の一方側P+の面)S1に対して所定角θだけ傾斜した略矩形を形成する。尚、所定角θは、巻線層12P1の各巻線12の非直交部分12hの巻線方向P1と面S1との成す角度であり、0°<θ<90°の範囲の角度である。
そしてこの実施形態では、略矩形H1の面S1への射影成分H1a(=D/tanθ°+(n−1)Dsinθ)が略平坦面10aの筒軸P2方向に直交する方向の幅Wと巻線12の半径D/2の2倍との和(W+D)以下になる様に(即ち式1の関係が成立する様に)設定されている(この関係を第1の関係と呼ぶ)。
即ちこの実施形態では、過度の張力が掛からない様に1層目の巻線層12P1が形成されたときに、式1の関係が成立する様に、略平坦面10aの幅Wおよび巻線12の直径Dが設定されている。式1の関係が成立する状態では、巻線12に過度の張力が掛からないで1層目の巻線層12P1の各巻線12の非直交部分12hが略平坦面10aに収まる。
尚ここでは、図2の様に、磁芯本体10Aの外周面10b1において略平坦面10aとそれに隣接する他の側面10k1,10k2との境界である角部10dにエッジ緩和構造が施されている場合は、略平坦面10aの幅Wは、エッジ緩和構造が施されなかった場合の略平坦面10aの幅が採用される。
そして2層目では、巻線12は、略平坦面10a以外の側面10k1〜10k3上では、1層目の各巻線12間の窪みにより形成された溝12a内に配置されることで、1層目の場合と同様に、その巻線方向P1が筒軸P2方向に対して直交し、且つ略平坦面10a上では、その巻線方向P1が次の周回へとずれるために筒軸P2方向に直交しない非直交部分12hを有する様に、磁芯本体10Aの外周面10b1における筒軸P2方向の一方側P+から他方側P−まで整列巻きされて、2層目の巻線層12P2を形成している。
この状態では、2層目の巻線層12P2における最終周目以外の各巻線12の非直交部分12hを合わせた部分は、1層目の略矩形H1と同様に、筒軸P2に対して所定角度(2層目の巻線層12P2における最終周目以外の各巻線12の非直交部分12hと面S1との間の角度)だけ傾斜した略矩形(不図示)となる。そしてその略矩形の面S1への射影成分H2aは、図3の様に、和(W+D+2d1)内に収まる様に制限される(これを第2の関係と呼ぶ)。尚、図3中の符号d1は、各側面10k1,10k3上での各巻線層12P1,12P2間の間隔である。
尚、第2の関係では、射影成分H2aが第1の関係の場合の和(W+D)よりも広い和(W+D+2d1)内に制限されるので、第2の関係は、第1の関係が成立する下では自動的に満たされる。尚、d1は√3・D/2である。
そして略平坦面10a以外の側面10k1〜10k3では、各巻線層12P1,12P2の巻線12は互いに平行になり互いに交差しないので、第1および第2の関係が成立することで、1層目の各巻線12と2層目の各巻線12との各交差点Kは、略平坦面10aに収まる。即ち当該交差点Kは、略平坦面10a以外の側面10k1〜10k3上にはみ出さない様に制限される。
同様に、3層目以降の奇数層は、1層目の場合と同様に、且つその下層の巻線12間の溝12a内、およびその下層の両端の巻線12と第1および第2の張出部10B,10Cとの間の溝12b,12c内に配置される様に整列巻きされ、4層目以降の偶数層は、2層目の場合と同様にその下層の巻線12間の溝12a内に配置する様に整列巻きされて、所定の積層数だけ積層巻きされる。この様に、第1の関係(即ち式1)が成立すると、巻線12に過度の張力が掛からず、各側面10k1〜10k3では、各巻線層12P1,12P2,…の巻線12は互いに平行になり、略平坦面10aには、各巻線層12P1,12P2,…の巻線12の非直交部分12hが収まるので、巻線12に過度の張力が掛からずに各巻線層12P1,12P2,…間の全ての交差点Kが略平坦面10aに収まる。
尚ここでは、磁芯本体10Aの柱軸P2方向の長さが巻線12の直径Dのn倍(即ちnD)となる場合で説明した。この場合は、1層目,2層目,3層目,…の各巻線層12P1,12P2,12P3,…の周回数はそれぞれn,n−1,n,…の様になり、2層目以降の各巻線層の周回数は1層目の巻線層の周回数以下になるので、1層目の巻線層が式1の関係を満たせば、即ち1層目の巻線層の各周回の巻線12の非直交部分12hが略平坦面10aに収まれば、2層目以降の各巻線層の各周回の巻線12の非直交部分12hも略平坦面10aに収まる。従って各巻線層間における巻線12の交差点Kは略平坦面10aに収まる。磁芯本体10Aの柱軸P2方向の長さが巻線12の直径Dの(n−1/2)倍(即ち(n+1/2)D)となる場合は、1層目,2層目,3層目,…の各巻線層12P1,12P2,12P3,…の周回数はそれぞれn,n,n,…の様に同じとなるが、この場合も、上記のnD倍の場合と同様に、2層目以降の各巻線層の周回数は1層目の巻線層の周回数以下になるので、1層目の巻線層が式1の関係を満たせば、2層目以降の各巻線層の各周回の巻線12の非直交部分12hも略平坦面10aに収まり、従って各巻線層間における巻線12の交差点Kは略平坦面10aに収まる。
以上の様に構成された巻線付き磁芯1によれば、略平坦面10aの幅Wが式1を満たす様に設定されるので、巻線12に過度の張力を掛けなくても、各巻線層12P1,12P2,…間における巻線12の交差点Kが略平坦面10aに収まる様にして、巻線12を磁芯10の外周面10bに整列巻きにより積層巻きできる。
また磁芯10が略台形柱状に形成される場合において、磁芯10におけるその略台形の短辺に対応する側面10aに各巻線層間における巻線12の交差点Kが収まる様に、巻線12を磁芯10の外周面10bに整列巻きにより積層巻きできる。
また磁芯10の角部10dにエッジ緩和構造が施されている場合の略平坦面10aの幅Wは、エッジ緩和構造が施されていない場合の略平坦面の幅が採用されるので、磁芯10の角部10dにエッジ緩和構造が施されている場合でも、略平坦面10aの幅Wを正確に決定できる。
<第2実施形態>
この実施形態に係る電機子30は、第1実施形態の巻線付き磁芯1を用いたアキシャルギャップ型回転電機用電機子である。この電機子30は、図6および図7の様に、巻線付き磁芯1と、ヨーク20とを備えている。尚、図6中の符号Qは、電機子30の回転軸であり、符号Qrは、回転軸Qに対する径方向であり、符号Qφは、回転軸Qに対する周方向である。
この実施形態に係る電機子30は、第1実施形態の巻線付き磁芯1を用いたアキシャルギャップ型回転電機用電機子である。この電機子30は、図6および図7の様に、巻線付き磁芯1と、ヨーク20とを備えている。尚、図6中の符号Qは、電機子30の回転軸であり、符号Qrは、回転軸Qに対する径方向であり、符号Qφは、回転軸Qに対する周方向である。
巻線付き磁芯1は、第1実施形態の巻線付き磁芯1と同様に構成されている。即ち巻線付き磁芯1は、各巻線層間における巻線12の交差点Kが磁芯10の略矩形面(即ち略台形の短辺に対応する側面)10aに収まる様に、磁芯10の外周面に巻線12が整列巻きにより積層巻きされて構成されている。
ヨーク20は、ヨーク本体20hと、ヨーク本体20hの下面に配設される磁芯固定板20gとを備えている。
ヨーク本体20hは、磁性体により円環板状に形成されている。ここではヨーク本体20hは、例えば、複数の磁性体板24を回転軸Q方向に積層して円環板状に形成されている。ヨーク本体20hには、磁芯10の第2の張出部10Cが嵌合する嵌合部22dが複数形成されている。各嵌合部22dは、ヨーク本体20hの上下面を貫通すると共にヨーク本体20hの内周側面で開放口22cを有する様にして、径方向Qrに沿って放射状に形成されている。
磁芯固定板20gは、例えばステンレス等の非磁性金属によりヨーク本体20hと略同じ直径の円環板状に形成されている。磁芯固定板20gには、その上下面を貫通する様に、巻線付き磁芯1の凸状部17が嵌合する嵌合孔20mが形成されている。
この電機子30では、以下の様にして、ヨーク20に磁芯10が配設される。即ち、ヨーク20の各嵌合部22dに、その上方側から、各磁芯10の柱軸P2方向がヨーク20の片面20bに垂直となり、且つ各磁芯10の略平坦面10aが径方向Qrの内側に向けられ、且つ第2の張出部10Cの径方向Qrの外側の外側面10C1が嵌合部22dの径方向Qrの外側の内側面22daに当接する様にして、磁芯10の第2の張出部10Cが嵌合部22dに嵌合される。この嵌合状態では、磁芯10の凸状部10iは、ヨーク20の嵌合孔20mに嵌合している。そして磁芯固定板20gの下面側から、凸状部10iと嵌合孔20mとの接触箇所を溶接により互いに固定する。この様にして、図7の様に、ヨーク20の主面20bに複数の磁芯10が環状に配設される。なお、ヨーク本体20hは、嵌合部22dの径方向内側が開口することにより、磁芯10を通る磁束の変化により磁芯10のまわりに発生する渦電流の経路を遮断するとともに、巻線12の巻き始めを磁芯10まわりに導くための空間となっている。
以上の様に構成された電機子30によれば、各巻線付き磁芯1の各巻線層間における巻線12の交差点Kは磁芯10の内周側の側面10aに収まるので、磁芯10の外周側の側面10k3での巻線層全体の厚さを薄くでき、その分、磁芯10をより一層外周側に配置できて、この電機子30を用いた回転電機の出力を向上できる。
また巻線12の交差点Kが磁芯10の内周側の側面10aに収まるので、磁芯10の周方向Qφ側の側面10k1,10k2での巻線層全体の厚さを薄くでき、その分、巻線12を多く巻回できて、この電機子30を用いた回転電機の出力を向上できる。
なお、本実施形態では、第1の張出部10Bをロータに対向させ、第2の張出部10Cをヨーク20に嵌合させているが、両側ともロータに対向させてもよい。また、第1及び第2の張出部10B,10C、及び、凸状部10iも任意である。張出部がない場合は、絶縁体で張出部を形成しても良い。
1 巻線付き磁芯
10 磁芯
10a 略平坦面
10b 巻線の外周面
10b1 巻線本体の外周面
10d 角部
12 巻線
12a 溝
12P1,12P2 巻線層
20 ヨーク
W 略平坦面の幅
θ 巻線方向と筒軸に直交する面との間の角度
D 巻線の直径
P1 巻線方向
P2 磁芯の筒軸
K 交差点(クロスポイント)
10 磁芯
10a 略平坦面
10b 巻線の外周面
10b1 巻線本体の外周面
10d 角部
12 巻線
12a 溝
12P1,12P2 巻線層
20 ヨーク
W 略平坦面の幅
θ 巻線方向と筒軸に直交する面との間の角度
D 巻線の直径
P1 巻線方向
P2 磁芯の筒軸
K 交差点(クロスポイント)
Claims (4)
- その外周面(10b)の所定側の側面に略矩形状の略平坦面(10a)を有する柱状の磁芯(10)と、
断面が円状であって前記外周面に巻回される巻線(12)と、
を備え、
前記巻線は、その巻線方向(P1)が前記略平坦面上のみで前記磁芯の柱軸(P2)方向に対して直交しない非直交部分(12h)を有し、且つ前記磁芯における前記柱軸方向の一方端側(P−)から他方端側(P+)に向けて整列巻きされて一の巻線層(12P1)を形成し、前記一の巻線層上に、前記略平坦面に前記一の巻線層の巻線との交差点(K)が収まり且つ前記略平坦面以外では前記一の巻線層の各巻線間の溝12a内に配置される様にして、前記他方端から前記一方端に向けて整列巻きされて次の巻線層(12P2)を形成し、
前記一の巻線層の周回数をnとし、前記略平坦面の前記柱軸方向に直交する方向の幅をWとし、前記巻線の直径をDとし、前記柱軸に垂直な面(S1)に対する前記一の巻線層における最終周目以外の前記各巻線の前記非直交部分の巻線方向の角度をθとし、
前記幅Wは、式1を満たす様に設定されることを特徴とする巻線付き磁芯。
- 請求項1に記載の巻線付き磁芯であって、
前記磁芯(10)は、略台形柱状に形成され、
前記略平坦面(10a)は、前記略台形柱状の略台形の短辺に対応する側面であることを特徴とする巻線付き磁芯。 - 請求項1または2に記載の巻線付き磁芯であって、
前記外周面(10b)において前記略平坦面(10a)とそれに隣接する他の側面(10k1,10k2)との境界である角部(10d)にエッジ緩和構造が施された場合において、
前記略平坦面の前記幅(W)は、前記エッジ緩和構造が施されなかった場合の幅であることを特徴とする巻線付き磁芯。 - 請求項2に記載の巻線付き磁芯を用いた電機子であって、
電機子用ヨーク(20)と、
前記電機子用ヨークの片面(20b)に、前記柱軸(P2)方向が前記片面に垂直となり且つ前記略平坦面(10a)が内周側に向けられて、環状に複数配設された前記巻線付き磁芯(1)と、
を備えることを特徴とする電機子。
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JP2009271565A JP5463878B2 (ja) | 2009-11-30 | 2009-11-30 | 巻線付き磁芯および電機子 |
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KR102214080B1 (ko) * | 2019-07-05 | 2021-02-09 | 엘지전자 주식회사 | 스테이터 |
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JP2000245092A (ja) * | 1998-12-24 | 2000-09-08 | Toyota Motor Corp | 集中巻コイルおよび巻線製造装置 |
JP5029049B2 (ja) * | 2007-02-13 | 2012-09-19 | ダイキン工業株式会社 | 電機子、回転電機、圧縮機、送風機、空気調和機 |
-
2009
- 2009-11-30 JP JP2009271565A patent/JP5463878B2/ja not_active Expired - Fee Related
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