JP2011009175A - 蓄電装置用容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂(ポリプロピレン樹脂等)製の筒状部材と、筒状部材の端部に嵌装された樹脂(ポリプロピレン樹脂等)製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器の製造方法であって、筒状部材の端部及びこの端部に嵌装された蓋体に周方向から赤外線レーザを照射し(周方向の全周から同時に照射されることが好ましい。)、筒状部材の端部の被接合部及び蓋体の被接合部のうちのいずれか一方を発熱させ、筒状部材の端部と蓋体とを融着させる。
【選択図】図1
Description
1.樹脂製の筒状部材と、該筒状部材の端部に嵌装された樹脂製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器の製造方法であって、前記筒状部材の前記端部及び該端部に嵌装された前記蓋体に周方向から赤外線レーザを照射し、該筒状部材の該端部の被接合部及び該蓋体の被接合部のうちのいずれか一方を発熱させ、該筒状部材の該端部と該蓋体とを融着させることを特徴とする蓄電装置用容器の製造方法。
2.樹脂製の筒状部材と、該筒状部材の端部に嵌装された樹脂製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器の製造方法であって、前記筒状部材の前記端部の被接合部又は前記蓋体の被接合部に、周方向から赤外線レーザを照射し、該筒状部材の該端部の該被接合部又は該蓋体の該被接合部を発熱させ、その後、該筒状部材の該端部に、該蓋体を嵌装し、該筒状部材の該端部と該蓋体とを融着させることを特徴とする蓄電装置用容器の製造方法。
3.前記赤外線レーザが前記周方向の全周から同時に照射される前記1.又は2.に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
4.前記筒状部材及び前記蓋体の横断面が円形であり、該筒状部材の前記被接合部における内径が、該蓋体の前記被接合部における外径より0.7〜2.0%小さい前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
5.前記筒状部材の前記端部の前記被接合部及び前記蓋体の前記被接合部のうちの、発熱して溶融する側に、赤外線レーザ吸収剤が含有されている前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
6.前記筒状部材の前記端部の前記被接合部位及び前記蓋体の前記被接合部のうちの、発熱して溶融する側の表面に、赤外線レーザ吸収剤が塗布されている前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
7.前記筒状部材及び前記蓋体を構成する樹脂が、プロピレン単独重合体、又はプロピレン単独重合体とエチレン−プロピレンブロック共重合体との混合物である前記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
8.前記プロピレン単独重合体と前記エチレン−プロピレンブロック共重合体との合計を100質量%とした場合に、該プロピレン単独重合体は90質量%以上である前記7.に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
また、赤外線レーザが周方向の全周から同時に照射される場合は、より短時間でより効率よく接合することができ、且つ周方向において強度等のばらつきの少ない均質な接合部を形成することができる。
更に、筒状部材及び蓋体の横断面が円形であり、筒状部材の被接合部における内径が、蓋体の被接合部における外径より0.7〜2.0%小さい場合は、筒状部材の内周面が蓋体の外周面によって外方へ適度な強さで押圧されるため、筒状部材の端部と蓋体とをより強固に、且つ安定して接合させることができる。
また、筒状部材の端部の被接合部及び蓋体の被接合部のうちの、発熱して溶融する側に、赤外線レーザ吸収剤が含有されている場合、及び筒状部材の端部の被接合部及び蓋体の被接合部のうちの、発熱して溶融する側の表面に、赤外線レーザ吸収剤が塗布されている場合は、筒状部材及び蓋体が透明であって赤外線を透過させる材質であっても、赤外線レーザの照射により発熱させることができ、筒状部材と蓋体とを接合させることができる。
更に、筒状部材及び蓋体を構成する樹脂が、プロピレン単独重合体、又はプロピレン単独重合体とプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体との混合物である場合は、射出成形、押出成形等による加工が容易であり、優れた防湿性、耐薬品性及び耐熱性を有するとともに、十分な強度等を併せて有する蓄電装置用容器とすることができる。
また、プロピレン単独重合体とプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体との合計を100質量%とした場合に、プロピレン単独重合体が90質量%以上である場合は、より良好な加工性を有し、より優れた防湿性等と、より十分な強度等とを併せて有する蓄電装置用容器とすることができる。
本発明の蓄電装置用容器の製造方法は、筒状部材の端部及びこの端部に嵌装された蓋体に周方向から赤外線レーザを照射し、筒状部材の端部の被接合部及び蓋体の被接合部のうちのいずれか一方を発熱させ、筒状部材の端部と蓋体とを融着させることを特徴とする。
また、他の本発明の蓄電装置用容器の製造方法は、筒状部材の端部の被接合部又は蓋体の被接合部に、周方向から赤外線レーザを照射し、筒状部材の端部の被接合部又は蓋体の被接合部を発熱させ、その後、筒状部材の端部に、蓋体を嵌装し、筒状部材の端部と蓋体とを融着させることを特徴とする。
これらの製造方法により、樹脂製の筒状部材と、その端部に嵌装された樹脂製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器を製造することができる。
(1)筒状部材
前記「樹脂製の筒状部材」の形状及び寸法は特に限定されない。形状は筒状であればよく、横断面の形状は円形、楕円形、四角形等の多角形のいずれであってもよいが、円形であることが多い。また、寸法、特に内寸法は、収容される発電要素の寸法により設定すればよく、内部に無用な空間が生じない寸法とすることが好ましい。更に、筒状部材の壁厚も特に限定されず、0.5〜1.5mm、特に0.8〜1.2mm、更に0.9〜1.1mmとすることができる。また、筒状部材の前記「端部」のうちの少なくとも一方は開口しており、この開口端部に蓋体が嵌装され、融着されて、接合される。
前記「蓋体」は、筒状部材の端部に嵌装され、周方向において筒状部材の端部に融着され、これにより蓄電装置用容器が密封される。蓋体は、通常、樹脂により構成され、この樹脂の種類は特に限定されないが、赤外線レーザの照射により筒状部材に容易に、且つ強固に接合させることができる樹脂が好ましい。このような樹脂としては、筒状部材を構成する樹脂と同種の樹脂が好ましく、筒状部材がポリプロピレン系樹脂製であるときは、蓋体もポリプロピレン系樹脂製であることが好ましい。ポリプロピレン系重合体については、筒状部材のときの記載を、そのまま適用することができる。
筒状部材の端部と、この端部に嵌装された蓋体には、周方向から前記「赤外線レーザ」が照射される。この赤外線レーザとしては、波長700nmから1mm程度の赤外領域のレーザを用いることができる。例えば、CO2レーザ(波長;10600nm)等の気体レーザ、YAGレーザ(波長;1064nm)等の固体レーザ、及び半導体レーザ(655〜980nm)のうちの高波長側の赤外領域のレーザなどを使用することができる。
尚、全光線透過率は、ISO13468−1により、厚さ2mmの試験片を用いて測定した値である。
尚、赤外線レーザ吸収剤が配合された樹脂は、蓋体のみに用いられ、筒状部材には使用されない。それは、赤外線レーザが照射される側、即ち、外側となる筒状部材に赤外線レーザ吸収剤が配合されていると、筒状部材内部で赤外線レーザが吸収されて発熱し、被接合部まで十分なエネルギーが到達しないためである。
筒状部材の端部と蓋体とは、いずれの方法により接合させてもよいが、嵌装後、赤外線レーザを照射し、接合させる方法が、より操作し易く、より優れた外観等を有する接合部を形成することができるため好ましい。
レーザ照射量(J/mm)=レーザ出力(W)/走査速度(mm/分)
(1)筒状部材
筒状部材の外表面は、アルミ箔層を有する積層フィルムを用いてなる被覆層によって被覆されていることが好ましい。この積層フィルムとしては、アルミ箔層と樹脂層との積層体が好ましく、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、アルミ箔層と熱可塑性樹脂層との2層の積層体、及びアルミ箔層の両面に熱可塑性樹脂層が積層された3層の積層体等が挙げられる。
尚、耐力及び伸びは、引張試験機(オリエンテック社製、商品名「テンシロン」、型式「AMF/RTA−100」)を用いて、幅15mmの積層フィルムを、チャック間距離10mm、温度25℃、相対湿度65%の条件下に、引張速度1mm/分で測定した値である。
蓋体は、その外表面が蓋体被覆層によって被覆されていることが好ましい。これにより、蓄電装置用容器の耐湿性をより向上させることができる。この蓋体被覆層は、アルミ箔層を有する積層フィルムによって形成することができ、この積層フィルムとしては、前記の筒状部材の被覆層と同様の積層フィルムを用いることができる。この場合、筒状部材の被覆層を構成する積層フィルムと、蓋体被覆層を構成する積層フィルムとは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
筒状部材に蓋体を配設したときに生じる筒状部材と蓋体との継ぎ目部に、シール層を設けることができる。このシール層を設けた場合、継ぎ目部に起因する水分の透過を抑えることができ、蓄電装置用容器の防湿性をより向上させることができる。シール層は、通常、筒状部材と蓋体との継ぎ目部が覆われるように、シール層となる積層フィルムを巻回し、加熱融着することによって形成することができる。このようなシール層を有する場合、蓋体4に接合補強部421(図5及び7参照)が形成されていない場合でも、十分な防湿性を確保することができる。また、接合補強部421が形成されている場合でも、シール層(図2のシール層5参照)を設けることで、防湿性をより向上させることができる。特に、蓋体端部の周縁部が丸みを有している場合は、接合補強部421により筒状部材を被覆し、且つ積層フィルムを巻回して継ぎ目部にシール層を形成することが好ましい。
尚、筒状部材に形成された被覆層を構成する積層フィルムと、シール層を構成する積層フィルムは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
被覆層を形成することにより、蓄電装置用容器の透湿度を、0.95mg/m2・24hr以下と低くすることができる。この透湿度が、0.95mg/m2・24hr以下であれば、蓄電装置用容器として大容量でありながら、長期間使用しても透過する水分の積算量を極めて低く抑えることができ、車両に搭載される環境下でも蓄電装置用容器として用いることができる。
尚、透湿度(mg/m2・24hr)は、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下に、20日間静置したときの重量増加(mg)を、(A)容器内に吸湿剤(塩化カルシウム)を充填し、蓋体(又は筒状部材の底部)に設けられた貫通孔を塞いだ場合、及び(B)吸湿剤を充填せず、貫通孔を塞いだ場合、について測定し、(B)のときの重量増加から(A)のときの重量増加を差し引いた値に基づいて算出したものである。
実施例1及び比較例1、2
(1)筒状部材
95質量%のポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックPP・EA9BT」)と、5質量%のポリプロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製、商品名「ノバテック・EC7」)とを混合し[単独重合体及び共重合体ともに無着色(ナチュラル色)]、この樹脂混合物を用いて、押出成形により筒状体を成形し、長さ200mm、外径23.2mmで、内径が表1に記載のように21.1mm、21.2mm、21.3mmの3種類の筒状部材を作製した。
尚、内径が21.1mmである場合、この内径は、後記の蓋体の筒状部の外径より1.9%小さい。また、内径が21.2mmである場合、この内径は、後記の蓋体の筒状部の外径より1.4%小さい。更に、内径が21.3mmである場合、この内径は、後記の蓋体の筒状部の外径より0.9%小さい。
100質量部のポリプロピレンブロック共重合体(出光化学社製、商品名「J3057HP」)と、5質量部の黒色カーボンブラックマスターバッチ(東京インキ社製、商品名「PEX999018プラック」)とを混合し、この樹脂混合物を用いて、射出成形により、図4に記載されている形状の蓋体4(但し、蓋体被覆層42は形成されていない。)を成形した。この蓋体4の寸法は、蓋体端部412(図5参照)の直径が23.6mm、筒状部411(図5参照)の外径が21.5mm、内径が17.0mmである。
前記(1)で作製した筒状部材の両端部に、前記(2)で作製した蓋体を嵌装させ、その後、表1に記載のように、赤外線レーザの照射による融着、超音波融着又は熱融着により接合した。各々の融着の条件は下記のとおりである。融着により接合されていることは、融着箇所を無色透明の筒状部材側から透視し、目視により確認した。
(a)赤外線レーザの照射による融着
赤外線レーザ融着機;ブランソン社製、RADIANCE Laser Welder 品番「IRAM300」
融着条件;レーザ照射時間2.5秒
(b)超音波融着
超音波融着機;ブランソン社製、2000Xシリーズ、品番「2000d」
融着条件;超音波発振時間0.5秒
(c)熱融着
熱融着機;イノアックコーポレーション社製、品番「RSP−SET」
融着条件;ヒータ設定温度220℃、加熱時間20秒
前記(a)〜(c)の各々の方法により融着させたときの、加工時間、外観及び融着の安定性を評価した。結果は表1のとおりである。
尚、外観は、融着部におけるバリの発生状況を目視で観察し、判定した。また、融着の安定性は、正常な融着の可否、及び筒状部材の内径による耐圧性の変化の有無により判定した。この耐圧による融着の安定性は、筒状部材に蓋体が融着されてなる容器内を、60℃の温水中において、水圧テストポンプを用いて容器が破壊するまで加圧し続け、破壊した際の圧力を測定し、評価した。
結果を表1に併記する。
Claims (8)
- 樹脂製の筒状部材と、該筒状部材の端部に嵌装された樹脂製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器の製造方法であって、
前記筒状部材の前記端部及び該端部に嵌装された前記蓋体に周方向から赤外線レーザを照射し、該筒状部材の該端部の被接合部及び該蓋体の被接合部のうちのいずれか一方を発熱させ、該筒状部材の該端部と該蓋体とを融着させることを特徴とする蓄電装置用容器の製造方法。 - 樹脂製の筒状部材と、該筒状部材の端部に嵌装された樹脂製の蓋体とを備え、発電要素を収容するための蓄電装置用容器の製造方法であって、
前記筒状部材の前記端部の被接合部又は前記蓋体の被接合部に、周方向から赤外線レーザを照射し、該筒状部材の該端部の該被接合部又は該蓋体の該被接合部を発熱させ、その後、該筒状部材の該端部に、該蓋体を嵌装し、該筒状部材の該端部と該蓋体とを融着させることを特徴とする蓄電装置用容器の製造方法。 - 前記赤外線レーザが前記周方向の全周から同時に照射される請求項1又は2に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
- 前記筒状部材及び前記蓋体の横断面が円形であり、該筒状部材の前記被接合部における内径が、該蓋体の前記被接合部における外径より0.7〜2.0%小さい請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
- 前記筒状部材の前記端部の前記被接合部及び前記蓋体の前記被接合部のうちの、発熱して溶融する側に、赤外線レーザ吸収剤が含有されている請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
- 前記筒状部材の前記端部の前記被接合部位及び前記蓋体の前記被接合部のうちの、発熱して溶融する側の表面に、赤外線レーザ吸収剤が塗布されている請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
- 前記筒状部材及び前記蓋体を構成する樹脂が、プロピレン単独重合体、又はプロピレン単独重合体とプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体との混合物である請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
- 前記プロピレン単独重合体と前記プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体との合計を100質量%とした場合に、該プロピレン単独重合体は90質量%以上である請求項7に記載の蓄電装置用容器の製造方法。
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JP2006286972A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Nippon Chemicon Corp | コンデンサ及びその製造方法 |
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