JP2011009150A - 電池セパレータ、電池および分割型複合繊維 - Google Patents

電池セパレータ、電池および分割型複合繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】繊度の小さい繊維を含む、突刺強度の高い不織布からなる、電池セパレータを提供する。
【解決手段】繊維断面において、単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす形状を有する、分割型複合繊維の分割により形成された、成分Bからなる繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を5mass%以上の割合で含む不織布で電池セパレータを構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄くかつ突刺強度の高い電池セパレータ、特にリチウムイオン二次電池で用いるのに適したセパレータ、このセパレータを用いた電池、およびこの電池セパレータを構成するのに適した分割型複合繊維に関する。
電池セパレータとして種々の構成の不織布が提案されてきた。電池セパレータに対しては、(1)正極と負極との間で短絡が生じないように緻密な構造を有すること、(2)極板に巻き付けるときに加えられる張力によって破断されないように高い引張強度を有すること、(3)極板が本来的に有する凹凸または電池使用中に生成される極板表面の堆積物に由来する、いわゆる「バリ」が貫通することに起因する短絡を避けるために、高い突刺強度を有することが主に要求されている。これまでに提案されてきた不織布の多くは、これらの要求特性の少なくとも1つを向上させることを目的としている。
電池セパレータにおいて、緻密な構造を達成するために、例えば、分割型複合繊維が各々の成分に分割して形成された極細繊維を含有する不織布を用いることが提案されている(特許文献1参照)。高い引張強力と高い突刺強力を得るために、特定のエチレン−プロピレン共重合体を熱接着成分とする複合繊維を使用して、繊維同士を熱接着させた不織布をセパレータとして使用することも提案されている(特許文献2参照)。これらの不織布はいずれも、主にニッケル水素二次電池のセパレータとして使用されている。
有用な二次電池の一つとして、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度および電圧が高いため、電気自動車、ノートパソコンおよび携帯電話等の種々の機器において使用されている。リチウムイオン二次電池のセパレータは、通常、多孔質フィルムである。
特許第3471255号公報 特開2006−054123号公報 特開平4−163315号公報
リチウムイオン二次電池で使用するセパレータは、電池の小型化のためにできるだけ薄いものであることを要するとともに、ニッケル水素二次電池において使用するセパレータよりも高い引張強度および突刺強度を有することを要する。そのため、不織布を用いて、リチウムイオン二次電池のセパレータを構成しようとする場合、不織布の構成繊維同士を熱接着性繊維で強固に接着させる必要がある。しかし、現在、市販されている熱接着性繊維のうち最も繊度の小さい繊維は、0.6dtex(直径10μm)の繊度を有する。この繊度の繊維が不織布の厚さ方向で2本重なるだけで、不織布の厚さは20μmとなる。したがって、熱接着性繊維以外の繊維として、小さい繊度の繊維(例えば、直径1μm以下の極細繊維)を使用して、不織布を構成しても、フィルムに匹敵するような薄いセパレータを得ることは困難である。
そこで、本発明者は、特許文献3に記載されているような、分割後の極細繊維が芯鞘型の熱接着性複合繊維となる分割型複合繊維を使用して、湿式不織布を作製し、これをリチウムイオン二次電池のセパレータとして使用することを検討した。しかし、この分割型複合繊維を使用しても、所望の機械的強度(特に突刺強度)を有する、不織布を得ることはできなかった。
本発明は、分割型複合繊維の分割により形成される芯鞘型極細複合繊維を利用して、薄く、かつ突刺強度の高い、電池セパレータを提供することを目的とする。
本発明者らは、分割型複合繊維の分割により形成される芯鞘型極細複合繊維を用いる場合に、当該芯鞘型極細複合繊維の断面形状が、不織布(特に湿式不織布)の突刺強度に影響を与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、繊維断面において、単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有する、分割型複合繊維の分割により形成された、成分Bからなる繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を5mass%以上の割合で含む不織布からなる、電池セパレータを提供する。
本発明の電池セパレータ(単に「セパレータ」と呼ぶことがある)は、単一成分Aと複合構造の成分Bとからなる分割型複合繊維であって、成分Bの断面形状が上記特定の条件を満たす、分割型複合繊維が分割してなる極細繊維を含むことを特徴とする。この成分Bを熱接着性複合繊維として使用することにより、突刺強度の高いセパレータを得ることが可能となる。
本発明のセパレータにおいて、繊維同士は、成分Bからなる芯鞘型極細複合繊維の鞘成分によって熱接着されていることが好ましい。そのようなセパレータは、高い突刺強度を有する。
本発明のセパレータにおいて、分割型複合繊維は、繊維中心部に中空を有するものであることが好ましい。中空を有する分割型複合繊維は、上記特定の断面形状を有する成分Bを与えやすい。
本発明のセパレータにおいて、分割型複合繊維の成分Aと、成分Bの芯成分は同一の樹脂から成ることが好ましい。それにより、繊維製造をより容易に実施できる。
本発明はまた、突刺強度の大きい不織布を与え得る分割型複合繊維として、繊維断面において、単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有しており、分割により、成分Bからなる、繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を与え得る、分割型複合繊維を提供する。
本発明の電池セパレータは、分割型複合繊維の分割により形成された、特定の断面形状を有する芯鞘型極細複合繊維を含み、当該複合繊維の鞘成分により繊維同士が熱接着されていることによって、薄く、かつ突刺強度の高いものとなる。よって、本発明の電池セパレータは、セパレータの厚さが例えば30μm以下であることを要求するリチウムイオン二次電池セパレータとして使用され得る。
本発明の電池セパレータを構成する極細繊維を形成する、分割型複合繊維の一例を模式的に示す断面図である。 従来の分割型複合繊維の一例を模式的に示す断面図である。 従来の分割型複合繊維の別の例を模式的に示す断面図である。
(分割型複合繊維)
本発明の電池セパレータは、特定の分割型複合繊維の分割により形成された、繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を5mass%以上の割合で含む不織布からなる。本発明のセパレータに含まれる芯鞘型極細複合繊維を形成する分割型複合繊維を説明する。
本発明のセパレータを構成するのに適した分割型複合繊維は、繊維断面において、単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周(繊維断面の輪郭)の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有する。成分Bは、好ましくはL/Dが1.3以下である断面形状を有し、より好ましくはL/Dが1.2以下である断面形状を有する。
このような分割型複合繊維は、図1に示すように、成分Aと成分Bとが放射状に交互に配列され、かつ中心部に中空(6)を有する繊維断面構造を好ましくは有する。そのような断面構造の繊維は、中空率および分割数(即ち、セグメントの総数)を調整することにより、上記特定の形状を有する成分Bを簡易に与える。
図1に示す分割型複合繊維(10)において、分割数(セグメント総数)は、分割型複合繊維の繊度、得ようとする極細繊維の繊度、および得ようとする成分Bの断面形状(中空率によっても変化する)に応じて決定される。分割数は、例えば、4〜30とすることが好ましく、6〜24とすることがより好ましく、8〜16とすることが最も好ましい。分割型複合繊維は、分割数が小さくなると分割性が向上する傾向にあるが、分割数が少なすぎると、所定の繊度の極細繊維を得るために、分割型複合繊維の繊度を小さくする必要があり、繊維の生産性が悪くなる、または紡糸が困難となることがある。分割数が多すぎると、分割性が悪くなる場合がある。
図1に示す分割型複合繊維(10)において、中空率は、分割数および得ようとする成分Bの断面形状に応じて決定される。中空率は、繊維断面に占める中空の面積の割合である。中空率は、分割数が4〜30である場合には、1%〜50%程度であることが好ましく、5%〜40%程度であることが好ましい。より具体的には、分割数が6〜10である場合には、中空率は5%〜20%であることが好ましく、分割数が12〜20である場合には、中空率は15%〜40%であることが好ましい。中空率が小さいと、上記特定の断面形状を有する成分Bを得ることが難しくなる。中空率が大きすぎる場合もまた、上記特定の断面形状を有する成分Bを得ることが難しくなる。
成分Bにおいて、鞘成分(4)を構成する樹脂成分は、芯成分(2)を構成する樹脂成分の融点よりも低い融点を有することが好ましい。その場合、鞘成分の融点は、好ましくは芯成分の融点よりも10℃以上低く、より好ましくは20℃以上低い。あるいは、鞘成分(4)を構成する樹脂成分の融点は、芯成分(2)を構成する樹脂成分の融点より高くてよい。例えば、後述するように、エチレンビニルアルコール共重合体(融点171℃)で鞘成分(4)を構成し、ポリプロピレン(融点160℃程度)で芯成分(2)を構成してよい。
成分A、ならびに成分Bの芯成分および鞘成分は、異なる樹脂からなってよい。即ち、分割型複合繊維は、3つの異なる樹脂成分からなっていてよい。その場合、3つの成分を適切に選択することにより、分割性が高く(即ち、成分Aと成分Bの鞘成分との相溶性が低く)、かつ分割により形成された成分Bからなる芯鞘型極細複合繊維において、芯成分と鞘成分との剥離が生じにくい繊維を得ることができる。あるいは、成分Aと成分Bの芯成分を同じ樹脂成分で構成し、成分Bの鞘成分をその樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分で構成してよい。その場合、分割型複合繊維は、2つの樹脂成分で構成されることになり、ノズル設計および複合紡糸がより容易となる。
成分Aを構成する樹脂は、繊維形成可能な、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体などのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体などのポリアミド樹脂;ならびにポリプロピレン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂から選択される。成分Aは、2種以上の樹脂の混合物で構成されてよい。
成分Aを構成する樹脂は、好ましくはポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂は、電解質に対する安定性に優れているからである。ポリオレフィン系樹脂として、ポリ(4−メチルペンテン−1)、および4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体等のメチルペンテン系重合体、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、プロピレン系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等を挙げることができる。
成分Bは、芯成分(2)および鞘成分(4)が融点差を有するように、樹脂を選択して構成される。その限りにおいて、芯成分および鞘成分を構成する樹脂は、繊維形成可能な、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体などのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体などのポリアミド樹脂;ならびにポリプロピレン、およびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂から選択される。
成分Bの芯成分および鞘成分を構成する樹脂はいずれも、好ましくはポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂は、電解質に対する安定性に優れているからである。ポリオレフィン系樹脂は、先に成分Aに関して例示したとおりである。
成分A、ならびに成分Bの芯成分および鞘成分はいずれも、好ましくはポリオレフィン系樹脂で構成される。具体的には、[成分A]/[成分Bの鞘成分]/[成分Bの芯成分]の組み合わせが、メチルペンテン系重合体/ポリエチレン/ポリプロピレンまたはエチレンビニルアルコール共重合体/ポリエチレン/ポリプロピレンであることが好ましい。あるいは、[成分Aおよび成分Bの芯成分]/[成分Bの鞘成分]の組み合わせが、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンプロピレン共重合体/ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体/エチレンビニルアルコール共重合体、またはメチルペンテン系重合体/ポリエチレンであることが好ましい。
成分Bの鞘成分がエチレンビニルアルコール共重合体であると、エチレンビニルアルコール共重合体が、熱接着性成分として機能することとなる。エチレンビニルアルコール共重合体は、親水性を有し、高い保液性をセパレータに与えるので、好ましく用いられる。例えば、ポリプロピレン/エチレンビニルアルコール共重合体の組み合わせからなる分割型複合繊維は、分割性が高いという点からも好ましく用いられる。
エチレンビニルアルコール共重合体は、湿度の高い状態で加熱するとゲル化して、融点より低い温度にて熱接着性を示す。したがって、エチレンビニルアルコール共重合体を熱接着成分として使用する場合には、湿熱処理により、繊維同士を熱接着させてよい。前記において例示した、[成分A]/[成分Bの鞘成分]/[成分Bの芯成分]の組み合わせが、エチレンビニルアルコール共重合体/ポリエチレン/ポリプロピレンである場合には、適切な温度を選択して湿熱処理を行うことにより、成分Bの鞘成分だけでなく、成分Aからなる単一極細繊維を熱接着性成分として機能させることが可能である。
成分Bの鞘成分がポリエチレンであると、成分Bに由来する芯鞘型極細複合繊維が良好な熱接着性を示し、かつ、熱接着後の不織布強力を高くするので、引張強度および突刺強度に優れたセパレータが得られる。また、この組み合わせを用いると、スルホン化等の親水化処理に適したセパレータが得られる。
分割型複合繊維を構成する成分の容積比は、特に限定されず、1つの成分を少なくとも2つのセグメントに分割できるだけの量があればよい。例えば、成分Aの容積と成分B(芯成分と鞘成分とを合わせた容積)の比は、2/8〜8/2(成分A/成分B)であることが好ましく、4/6〜6/4であることがより好ましい。容積比が2/8〜8/2の範囲外であると、紡糸性が低下し、また、良好な分割性を得られないことがある。
成分Aと成分Bの芯成分が同じ樹脂成分で構成されている場合には、[成分A+成分Bの芯成分]/[成分Bの鞘成分]の容積比が、好ましくは2/8〜8/2、より好ましくは4/6〜6/4となるように、繊維断面を設計することが好ましい。2つの樹脂成分の容積比が2/8〜8/2の範囲外であると、紡糸性が低下し、また、良好な分割性を得られないことがある。例えば、[成分A+成分Bの芯成分]/[成分Bの鞘成分]の容積比が5/5である場合には、成分Aの容積は、成分B全体の容積よりも小さくなることに留意すべきである。
成分Bは、繊維断面において成分Bの外周(繊維断面の輪郭)の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有する。この断面形状を有する成分Bに由来する芯鞘型極細複合繊維は、例えば、図2に示すような分割型複合繊維(20)の分割により形成される、扁平な断面形状の芯鞘型極細複合繊維と比較して、不織布の突刺強度をより高くすることができる。図2に示す繊維(20)は、成分Aと成分Bとが交互に菊花状に配置され、成分Bが芯成分(12)と鞘成分(14)とからなり、分割により、くさび形の単一極細繊維(成分A)および芯鞘型極細複合繊維(成分B)を与える。
成分Bにおいて、芯成分の断面形状は特に限定されない。芯成分は、例えば、図示したように楕円形状を有してよく、あるいは真円形状を有してよい。また、芯成分は、成分Bの中心に位置せず、偏心していてよい。
分割型複合繊維の分割前の繊度は、0.6dtex以上8dtex以下の範囲内にあることが好ましく、1dtex以上4dtex以下の範囲内にあることがより好ましい。分割前の繊度を0.6dtex未満にしようとすると、紡糸が不安定となり、繊維、ひいては不織布の生産性が低下する。同様に、分割前の繊度が8dtexを越えても、紡糸が不安定になる。
分割型複合繊維は、分割して、成分Bが、0.6dtex未満の極細繊維を形成することが好ましく、0.4dtex未満の極細繊維を形成することがより好ましい。不織布において、同じ割合で芯鞘型複合繊維が含まれている場合に、複合繊維の繊度が小さいほど、複合繊維の表面積が大きくなるため、熱接着後の不織布の機械的強度がより高くなる。よって、成分Bは、上記特定の断面形状を有する限りにおいて、より小さい繊度を有することが好ましい。成分Aもまた、成分Bと同様に、0.6dtex未満の極細繊維を形成することが好ましく、0.4dtex未満の極細繊維を形成することがより好ましい。尤も、成分Bからなる極細繊維と、成分Aからなる極細繊維の繊度は、互いに異なっていてよい。いずれの成分から成る極細繊維についても、繊度の下限は、好ましくは0.05dtexである。極細繊維の繊度が0.6dtex以上であると、薄いセパレータを得ることが困難となる。
分割型複合繊維は、所望の繊維断面構造が得られるように、適切な複合紡糸ノズルを用いて、常套の溶融紡糸機を用いて、複合紡糸する。紡糸温度(ノズル温度)は、使用する樹脂成分に応じて選択され、例えば220℃以上320℃以下としてよい。
紡糸フィラメントの繊度は、1dtex以上30dtex以下の範囲内にあることが好ましい。紡糸フィラメントの繊度が1dtex未満であると、紡糸時の糸切れが多発することがある。紡糸フィラメントの繊度が30dtexを越えると、分割後の繊度が大きくなって、極細繊維を得にくい。
次いで、紡糸フィラメントを公知の延伸処理機を用いて延伸処理して、延伸フィラメントを得る。延伸処理は、延伸温度を40℃以上150℃以下の範囲内にある温度に設定して実施することが好ましい。延伸倍率は、1.1倍以上とすることが好ましく、1.5倍以上とすることがより好ましく、2〜5倍とすることがさらに好ましい。延伸倍率を1.1倍以上とすると、繊維を構成する分子が繊維の長さ方向に配向することに起因して、分割性が向上する。延伸方法は、使用する樹脂成分に応じて、温水または熱水中で実施する湿式延伸法、または乾式延伸法のいずれかが選択される。湿式延伸法の場合には延伸温度を40℃以上95℃以下の範囲内としてよく、乾式延伸法の場合には延伸温度を80℃以上150℃以下の範囲内としてよい。
得られた延伸フィラメントには、必要に応じて所定量の繊維処理剤が付着させられ、さらに必要に応じてクリンパー(捲縮付与装置)で機械捲縮が与えられる。繊維処理剤は、後述するように、不織布を湿式抄紙法で製造する場合には、繊維を水等に分散させることを容易にする。また、繊維処理剤が付着した繊維に、繊維表面から外力を加えて(外力は、例えば、クリンパーによる捲縮付与の際に加わる力である)、繊維処理剤を繊維に染み込ませると、さらに水等への分散性が向上する。捲縮数は、5山/25mm以上30山/25mm以下の範囲内にあることが好ましく、10山/25mm以上20山/25mm以下の範囲内にあることがより好ましい。捲縮数が5山/25mm以上であると、クリンパーによる外力が加わることに起因して分割性が向上し、捲縮数が30山/25mm以下であると、繊維が凝集してダマになることが少ない又は無い。
繊維処理剤付与後の(又は繊維処理剤が付与されていないがウェットな状態にある)フィラメントに80℃以上110℃以下の範囲内にある温度で、数秒〜約30分間、乾燥処理を施し、繊維を乾燥させる。乾燥処理は場合により省略してよい。その後、フィラメントは、繊維長が1mm〜100mmとなるように切断される。後述するように、不織布を湿式抄紙法で製造する場合には、繊維長を3mm〜20mmとすることが好ましい。湿式抄紙法で不織布を製造する場合に、繊維長が短いほど、分割型複合繊維の分割率が高くなる。
(不織布)
次に、本発明のセパレータを構成する不織布を説明する。不織布は、前記分割型複合繊維の分割により形成された、芯鞘型極細複合繊維を5mass%以上有し、好ましくは10mass%以上有し、より好ましくは25mass%以上有し、最も好ましくは35mass%以上有する。好ましい上限は90mass%である。本発明のセパレータを構成する不織布は、小さい繊度(0.6dtex未満)の芯鞘型複合繊維を含むため、大きい繊度の芯鞘型複合繊維を同量含む不織布と比較して、より高い機械的強度を有する。よって、芯鞘型極細複合繊維の含有量の下限を5mass%と小さくしても、実用的なセパレータを得ることができる。
芯鞘型極細複合繊維が5mass%以上含まれる限りにおいて、不織布は、前記分割型複合繊維から形成される極細繊維以外の他の繊維を95mass%以下の量で含んでよい。他の繊維は、天然繊維もしくは再生繊維であってよく、または合成樹脂から成る単一繊維および複合繊維であってよい。あるいはまた、他の繊維は、別の分割型複合繊維から形成される極細繊維を含んでよい。あるいは、他の繊維は、分割型複合繊維から形成された極細繊維ではなく、単一紡糸法により製造された、繊度0.6dtex未満の極細繊維であってよい。あるいはまた、不織布は、前記分割型複合繊維に由来する繊維のみ(成分Aから成る極細繊維、成分Bからなる極細繊維、ならびに分割が完全に進行しなかったために発生する繊度の大きい繊維および一本の繊維において枝分かれが生じている繊維等を含む)で構成されてよく、あるいは前記分割型複合繊維から形成される極細繊維のみで構成されてよい。
前記不織布が前記特定の芯鞘型極細複合繊維に加えて、繊度0.6dtex未満の極細繊維を含む場合、不織布に占める極細繊維の総量は、10mass%以上であることが好ましく、20mass%以上であることがより好ましく、50mass%以上であることがさらにより好ましく、70mass%以上であることが最も好ましい。なお、好ましい上限は100mass%である。芯鞘型極細複合繊維以外の繊度0.6dtex未満の極細繊維は、成分Aからなる繊維および/または他の極細繊維であってよい。
分割型複合繊維から極細繊維を形成することは、不織布製造の過程において、繊維に外部から力を加えて、分割型複合繊維を分割することにより行う。繊維の分割は、例えば、高圧水流を噴射することにより実施することができ、あるいは、湿式抄紙法により不織布を製造する場合には、抄紙の際の離解処理時に受ける衝撃を利用して実施することができる。
不織布は、公知の方法に従って、繊維ウェブを作製した後、熱処理に付して、芯鞘型極細複合繊維の鞘成分で繊維同士を熱接着させて作製する。必要に応じて、繊維ウェブを繊維交絡処理に付してよい。繊維ウェブは、例えば、繊維長が10mm以上80mm以下の範囲内にある分割型複合繊維を用いてカード法またはエアレイ法等の乾式法により、または繊維長が2mm以上20mm以下の範囲内にある分割型複合繊維を用いて湿式抄紙法により作製する。本発明のセパレータは、湿式抄紙ウェブから製造された不織布であることが好ましい。湿式抄紙ウェブを使用して作製する不織布は、一般的に緻密であって、良好な地合いを有するからである。さらに、湿式抄紙法によれば、抄紙の際の解離処理の条件を調節することによって、解離処理のみで分割型複合繊維を所望の分割率で分割することが可能である。
次いで、繊維ウェブを熱接着処理に付して、芯鞘型極細繊維の鞘成分により繊維同士を接着する。熱接着処理の条件は、繊維ウェブの目付、芯鞘型極細複合繊維の断面形態、および不織布に含まれる繊維を構成する樹脂の種類等に応じて適宜選択される。例えば、熱処理機としては、シリンダードライヤー(ヤンキードライヤー)、熱風吹き付け加工機、熱ロール加工機、または熱エンボス加工機等を用いることができる。特にシリンダードライヤー(ヤンキードライヤー)は、不織布の厚みを調整しながら、繊維同士を熱接着させることができる点で好ましい。シリンダードライヤーの熱処理温度は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体が鞘成分である場合には、80〜160℃であることが好ましく、ポリエチレンが鞘成分である場合には、100〜160℃であることが好ましい。
熱接着処理は、後述のように、繊維ウェブを水流交絡処理に付す場合には、水流交絡処理の前に実施することが好ましい。繊維ウェブの繊維同士を予め接合してから水流交絡処理を実施すると、繊維に高圧水流があたるときに繊維の「逃げ」が生じにくくなり、繊維同士を緊密に交絡させることができ、分割型複合繊維の分割がより促進される。尤も、熱接着処理は、繊維同士を交絡させた後に実施してもよい。即ち、熱接着処理と水流交絡処理の順序は、所望の不織布が得られる限りにおいて特に限定されない。
本発明のセパレータを構成する不織布においては、繊維同士を交絡させてよい。繊維同士を交絡させる手法としては、高圧水流の作用により繊維同士を交絡させる水流交絡処理が好ましく用いられる。水流交絡処理によれば、不織布全体の緻密さを損なうことなく、繊維同士を強固に交絡させることができる。また、水流交絡処理によって、繊維同士の交絡と同時に当該分割型複合繊維の分割および分割により生じた極細繊維同士の交絡をも進行させることができる。
水流交絡処理の条件は、使用する繊維ウェブの種類および目付、ならびに繊維ウェブに含まれる繊維の種類および割合等に応じて、適宜選択される。例えば、目付10〜100g/mの湿式抄紙ウェブを水流交絡処理に付す場合には、繊維ウェブを70〜100メッシュ程度の平織り構造等の支持体に載置して、孔径0.05〜0.3mmのオリフィスが0.5〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧1〜15MPa、より好ましくは2〜10MPaの柱状水流を繊維ウェブの片面または両面にそれぞれ1〜10回ずつ噴射するとよい。水流交絡処理後の繊維ウェブは、必要に応じて乾燥処理に付される。
不織布は、必要に応じて親水化処理に付してよい。親水化処理は、電池セパレータの製造において常套的に用いられている任意の方法を用いて実施してよい。親水化処理は、具体的には、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、スルホン化処理、放電処理、界面活性剤処理または親水性樹脂付与処理等である。
本発明の電池セパレータを構成する不織布は、好ましくは2g/m以上100g/m以下の範囲内にある目付を有し、より好ましくは5g/m以上50g/m以下の範囲内にある目付を有し、特に好ましくは10g/m以上30g/m以下の範囲内にある目付を有する。目付が2g/m未満であると、不織布に粗密が生じて、電池セパレータとして使用したときに短絡が生じることがある。目付が100g/mを越えると、電池セパレータの厚さが大きくなって、その分、電池内の正極および負極の量が少なくなる。
本発明の電池セパレータをリチウムイオン二次電池において使用する場合、不織布の目付は2g/m以上30g/m以下であることが好ましい。そのような目付の不織布は、厚さが30μm以下、好ましくは20μm以下となり、一般的に使用されているフィルムに代えて使用することが可能となる。
このようにして得られる本発明の電池セパレータは、高い突刺強度を実現することが可能であり、例えば、不織布が2〜50g/m程度の目付を有する場合には、単位目付あたり0.02N以上の突刺強度を有することが好ましい。不織布が50〜100g/m程度の目付を有する場合には、単位目付あたり0.04N以上の突刺強度を有することが好ましい。単位目付けあたりの突刺強度の上限は特に限定されるものではないが、1N以下であることが好ましい。このように高い突刺強度は、繊維同士を接合する芯鞘型極細複合繊維が細繊度であって、かつ特定の形状を有するために達成されると推察される。
本発明の電池セパレータは各種の電池に組み込まれて、電池を構成する。例えば、円筒型リチウムイオン二次電池においては、正極板と負極板とを本発明の電池セパレータを介して渦巻き状に巻回することができる。本発明の電池セパレータは、それ以外の電池、例えば、ニッケル水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−鉄二次電池、またはニッケル−亜鉛二次電池に使用してよい。
(分割型複合繊維1)
図1に示す繊維断面形状を有し、成分Aおよび成分Bの芯成分(2)が、ポリプロピレンで構成され、成分Bの鞘成分(4)が、エチレンビニルアルコール共重合体で構成され、分割数が16である、分割型複合繊維(10)を製造した。成分Aおよび成分Bの芯成分(2)として、ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名 SA03)を用意し、成分Bの鞘成分(4)として、エチレンビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製、商品名 ソアノールK3835BN)を用意した。
これらの2つの成分を、ノズル孔が205個設けられた分割型複合ノズルを用い、ポリプロピレン/エチレンビニルアルコール共重合体の複合比(容積比)を5/5とし、紡糸温度230℃、吐出量0.35g/孔、引取速度880m/minとして溶融押出し、繊度4dtexの紡糸フィラメントを得た。得られたフィラメントに繊維処理剤を付与した後、3mmの繊維長に切断し、分割型複合繊維を短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは1.2であった。
(分割型複合繊維2)
分割型複合繊維1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、紡糸フィラメントを得た後、これを140℃で2.15倍に乾式延伸し、繊度2dtexの延伸フィラメントとした。得られたフィラメントに繊維処理剤を付与した後、3mmの繊維長に切断し、分割型複合繊維を短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは1.2であった。
(分割型複合繊維3)
図2に示す繊維断面形状を有するように、分割型複合ノズルを変更して紡糸フィラメントを作製したこと以外は、分割型複合繊維2を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは2.0であった。
(分割型複合繊維4)
成分Aおよび成分Bの芯成分(2)を、ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名 SA03)で構成し、成分Bの鞘成分(4)を、ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名 HE481)で構成したこと以外は、分割型複合繊維1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは1.2であった。
(分割型複合繊維5)
分割型複合繊維4を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、紡糸フィラメントを得た後、これを115℃で2.15倍に乾式延伸し、繊度2dtexの延伸フィラメントとした。得られたフィラメントを3mmの繊維長に切断し、分割型複合繊維を短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは1.2であった。
(分割型複合繊維6)
図2に示す繊維断面形状を有するように、分割型複合ノズルを変更して紡糸フィラメントを作製したこと以外は、分割型複合繊維5を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは2.0であった。
(分割型複合繊維7)
成分Aおよび成分Bの芯成分2を、エチレン−プロピレン共重合体(エチレン含有量4.3mass%、(株)プライムポリマー製、商品名 Y−2045GP)で構成し、成分Bの鞘成分4を、エチレンビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製、商品名 ソアノールK3835BN)で構成したこと以外は、分割型複合繊維2を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは1.2であった。
(分割型複合繊維8)
図2に示す繊維断面形状を有するように、分割型複合ノズルを変更して紡糸フィラメントを作製したこと以外は、分割型複合繊維7を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。成分Bの繊維断面のL/Dは2.0であった。
(分割型複合繊維9)
成分Aをポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名 SA03)で構成し、成分Bをエチレンビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製、商品名 ソアノールK3835BN)で構成し、図3に示す繊維断面形状を有するように、分割型複合ノズルを変更して紡糸フィラメントを作製したこと以外は、分割型複合繊維2を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。
(分割型複合繊維10)
成分Aをポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名 SA03)で構成し、成分Bをポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名 HE481)で構成し、図3に示す繊維断面形状を有するように、分割型複合ノズルを変更して紡糸フィラメントを作製したこと以外は、分割型複合繊維2を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、分割型複合繊維を繊維長3mmの短繊維の形態で得た。
分割型複合繊維1〜10の構成および繊度等を表1にまとめる。
Figure 2011009150
(試料1〜8、試料15および16)
分割型複合繊維1〜8を用いて、湿式抄紙法で繊維ウェブを作製した。具体的には、繊維の濃度が0.01mass%となるようにスラリーを調製し、パルパーにて回転数2000rpmで5分間攪拌して、繊維を解離させるとともに、繊維を成分AおよびBに分割させた。その後、円網式湿式抄紙機を用いて、目付80g/mのウェブが得られるように、湿式抄紙した。それから、抄紙したウェブを、搬送用支持体で搬送し、140℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて、45秒間、ウェブに加熱処理を施して、湿式抄紙ウェブを乾燥させると同時に、成分Bからなる極細繊維の鞘成分で繊維同士を接着させて、不織布を得た。
得られた不織布の分割率、厚さ、引張強度、および突刺強度を評価した。その評価結果を表2に示す。分割率、厚さ、引張強度および突刺強度の評価方法は次のとおりである。
(分割率)
加熱処理を施す前の段階で、湿式抄紙ウェブの厚さ方向の切断面が露出するように、ウェブを、筒に、できるだけ密に詰めた。筒に詰めた不織布を、電子顕微鏡で300倍に拡大して、0.4mm×0.3mmの領域を撮影した。撮影した写真において現れている繊維断面を1つずつ確認し、成分Aからなる繊維の数、および成分Bからなる繊維の数をカウントした。また、未分割の繊維について、それぞれの構成成分の数を観察して求め(例えば、全く分割していない繊維の構成成分の数は16であり、半分に分割している繊維の構成成分の数は8である)、構成成分の数を各未分割の繊維の数としてカウントした。よって、例えば未分割の繊維が1本存在し、その構成成分の数が16であると、その繊維は16本とカウントされる。カウント結果より、下記の式に基づいて分割率を算出した。
分割率(%)=[成分Aからなる繊維の数+成分Bからなる繊維の数]÷[成分Aからなる繊維の数+成分Bからなる繊維の数+未分割の繊維の数の合計]×100
(不織布の厚さ)
熱処理後の不織布の厚さを、厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cmあたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
(引張強度)
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値を測定し、引張強度とした。引張試験は、不織布のタテ方向(機械方向)について実施した。
(突刺強度)
縦30mm、幅100mmの大きさに裁断した不織布を試料として準備した。この試料を、ハンディー圧縮試験機(カトーテック(株)製のKES−G5)の円筒状貫通孔(直径11mm)を有する支持体の上に置き、さらにその上に縦46mm、横86mm、厚さ7mmのアルミ板の中央部に直径11mmの孔を有する押さえ板を、当該孔が支持体の円筒状貫通孔と一致するように載置した。次いで、高さ18.7mm、底面直径2.2mm、先端部形状が1mmの球形である円錐形状の針を、2mm/秒の速度で押さえ板の中央に垂直に突き刺した時の荷重を測定し、測定した荷重のうち最大荷重(N)を突刺強度とした。突刺強度は、1枚の電池セパレータから4枚の試料を採取し、それぞれの試料について異なる15箇所で測定し、計60箇所で測定した値の平均値とした。
Figure 2011009150
試料2と試料3を比較すると、分割型複合繊維の分割率および分割後の極細繊維の繊度に差がないにもかかわらず、試料2の方が高い突刺強度を示した。これは、試料2を構成する芯鞘型極細繊維の断面形状が、より円形に近いことに起因すると考えられる。同様のことは、試料5と試料6との比較、および試料7と試料8との比較からもいえる。芯鞘構造を有していない極細繊維からなる試料9および10は、不織布における分割率は試料1〜8のそれとは大差ないものの、引張強度および突刺強度は試料1〜8のいずれよりも低かった。このことは、芯鞘型極細複合繊維の使用が機械的強度の向上に寄与することを示している。
(試料9〜14)
表2に示すように分割型複合繊維を選択し、パルパーの回転数を1000rpmとしたこと以外は、試料1〜8を作製するときに採用した手順と同様の手順に従って、不織布を得た。得られた試料の分割率、引張強度、および突刺強度を評価した。その評価結果を表2に示す。
試料9、11、13は、それぞれ試料10、12、14と比較して、分割率、引張強度および突刺強度が高い。これは、試料9、11、13の作製に用いた分割型複合繊維の分割率が高いことに起因して、熱接着成分を与える成分Bからなる極細繊維が多く生成したことによると考えられる。また、試料9、11、13においては、極細繊維が多く存在するため、不織布の厚さも小さくなった。また、試料9、13の作製に用いた分割型複合繊維が繊維断面に中空を有すること、および成分A(ポリプロピレン)と成分B(エチレンビニルアルコール共重合体)との相溶性が小さいことに起因して、これらの試料においては、パルパー回転数を低くしても高い分割率が得られた。パルパー回転数を低くすると、抄紙中の繊維のもつれを低減させることができ、また、不織布製造におけるコストの節減が可能となる。また、パルパー回転数を低くすると、不織布製造工程での泡立ちを少なくでき、地合ムラの少ない不織布を得ることができる。
本発明のセパレータは、特定の断面形状を有し、熱接着性繊維として機能する、芯鞘型極細複合繊維を含むので、薄く且つ突刺強度の高いものとして得られ、ニッケル水素二次電池だけでなく、リチウムイオン二次電池のセパレータとしても使用される。
A 成分A
B 成分B
2 芯成分
4 鞘成分
6 中空
10 分割型複合繊維
12 芯成分
14 鞘成分
20 分割型複合繊維

Claims (7)

  1. 繊維断面において、単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有する、分割型複合繊維の分割により形成された、成分Bからなる繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を5mass%以上の割合で含む不織布からなる、電池セパレータ。
  2. 繊維同士は、成分Bからなる極細複合繊維の鞘成分によって熱接着されている、請求項1に記載の電池セパレータ。
  3. 分割型複合繊維は、繊維中心部に中空を有する、請求項1または2に記載の電池セパレータ。
  4. 分割型複合繊維の成分Aと、成分Bの芯成分が、同一の樹脂から成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池セパレータ。
  5. 不織布の厚さが30μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池セパレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池セパレータが組み込まれている、電池。
  7. 単一成分Aと、芯成分と鞘成分とからなる複合構造の成分Bとが、交互に配列されており、成分Bが、繊維断面において成分Bの外周の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分をL、成分Bの断面積と等しい面積の円の直径をDとしたとき、1≦L/D≦1.4を満たす断面形状を有する、分割型複合繊維であって、分割により、成分Bからなる、繊度0.6dtex未満の芯鞘型極細複合繊維を与え得る分割型複合繊維。
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