JP2011008150A - プロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】投射光学系への無駄な角度の光線入射を防ぎ、投射光学系内の発熱を抑え、ピント移動を抑えることができるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】制御装置90の調光機構駆動部93が投射光学系70のF値に応じて調光機構80の開閉状態を変化させることにより、投射光学系70のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系70に入射させることができ、投射光学系70の鏡筒や絞り等で照明光が遮られることを防ぐことができる。そのため、投射光学系70が必要以上に発熱せず、投射光学系70のレンズのピント移動を防ぐことができ、照明装置10自体の明るさを変えずにピンボケを解消することがきる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶パネル等の光変調装置によって形成した画像をスクリーン上に投射するプロジェクターに関する。
プロジェクターとして、例えば、投射光学系をズームレンズとし、このズームレンズの焦点距離に連動して、光源ランプの明るさを調整するものがある(特許文献1参照)。これにより、投射画面の大きさが変化しても画面の明るさの変化を抑えることができる。
特開2003−131323号公報
しかしながら、特許文献1のようなプロジェクターでは、光源ランプの出力により明るさを調整する機構が採用されているため、ズームレンズのズームポジションが望遠になったときに、鏡筒や絞り等で光が遮られるといった投射光学系内での意図しない遮光が生じやすい。この遮光に起因して投射光学系が発熱し、投射光学系のピント移動が発生しやすいという問題がある。また、光源ランプの明るさを調整する場合、光量変化の幅が狭く光量が安定しにくい。
そこで、本発明は、投射光学系への無駄な角度での光線入射を防ぎ、投射光学系内の発熱を抑え、ピント移動を抑えることができるプロジェクターを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクターは、照明用の光束を射出する照明装置と、照明装置からの照明光の少なくとも一部を遮光する調光機構と、照明装置からの照明光によって照明される光変調装置と、光変調装置によって形成された変調光を投射するとともに投射に際してF値の切り替えが可能にされた投射光学系と、投射光学系のF値に応じて、調光機構の開閉状態を制御することにより、投射光学系のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系に入射させる制御装置と、を備える。なお、F値に対応する角度分布を有するとは、あるF値において許容される角度分布と等しくする場合に限らず、この角度分布よりも狭く制限する場合やこの角度分布より大きくてもこの角度分布に近づける制御をする場合を含むものとする。
上記プロジェクターによれば、制御装置が投射光学系のF値に応じて調光機構の開閉状態を変化させることにより、投射光学系のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系に入射させることができ、投射光学系の鏡筒や絞り等で照明光が遮られることを防ぐことができる。そのため、投射光学系が必要以上に発熱せず、投射光学系のレンズのピント移動を防ぐことができ、照明装置自体の明るさを変えずにピンボケを解消することがきる。
本発明の具体的な態様又は側面によれば、投射光学系は、焦点距離の切り替えによりF値が変化するズームレンズである。この場合、スクリーンに投射される画角を変えて投射倍率を変化させることができる。また、投射倍率にかかわらず投射光学系の発熱を抑えることができる。
また、本発明の別の態様では、調光機構は、照明装置からの照明光の少なくとも一部を光軸から離れた領域側から遮光する。この場合、意図しない遮光の原因となる投射光学系の鏡筒や絞りに照明光が入射することを抑制することができる。
また、本発明のさらに別の態様では、調光機構は、照明装置の内部又は光射出側に配置されて開閉動作をする遮光部を有し、遮光部は、制御装置の制御下で投射光学系のF値に応じて2段階以上に開閉動作する。この場合、F値の変化に段階的に対応することができ、遮光部によって予め効率よく遮光することができる。
また、本発明のさらに別の態様では、制御装置は、投射光学系のF値が大きいときにF値が小さいときよりも遮光部を閉じて照明光をより遮光する。意図しない遮光は、投射光学系のF値が大きいときに生じやすいが、この場合、このような意図しない遮光の原因となる不要な照明光が投射光学系に入射するのを抑えることができる。
また、本発明のさらに別の態様では、制御装置は、投射画像に応じて調光機構を動作させることにより、遮光量を許容範囲内で増減させる。この場合、投射画像の明るさに応じて、照明装置を経時的に変化させることができ、コントラストを向上させることができる。
第1実施形態に係るプロジェクターを概念的に示す図である。 調光機構の構造を示す斜視図である。 投射光学系が望遠の際の光線の状態を説明する図である。 投射光学系が広角の際の光線の状態を説明する図である。 (A)、(B)は、プロジェクター内における調光機構の開閉動作を説明する図である。 プロジェクターの動作を説明するフローチャートである。 図3に対する比較例を説明する図である。 第2実施形態に係るプロジェクターを説明する図である。
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る調光機構を組込んだプロジェクターについて説明する。
〔1.プロジェクターの構造の概要〕
図1に示すように、本実施形態に係るプロジェクター100は、照明装置10、調光機構80、色分離導光光学系40、光変調部50、クロスダイクロイックプリズム60、投射光学系70、及び制御装置90を備え、このうち、照明装置10は、光源ランプユニット20及び均一化光学系30を備える。
プロジェクター100を構成する光学要素、即ち照明装置10、調光機構80、色分離導光光学系40、光変調部50、クロスダイクロイックプリズム60、及び投射光学系70は、遮光性を有するライトガイドであるケース部材11中に略全体が収納されている。また、これらの光学要素は、ケース部材11の内面等に設けられた保持部(不図示)に組付けられている。
照明装置10のうち、光源ランプユニット20は、光源部として、ランプ部21aと、凹レンズ21bとを備える。ランプ部21aは、例えば高圧水銀ランプ等であるランプ本体22aと、光源光を反射して前方に射出させる凹面鏡22bとを備える。凹レンズ21bは、ランプ部21aからの光源光をシステム光軸SAすなわち照明光軸に略平行な光束にする役割を有するが、例えば凹面鏡22bが放物面鏡である場合には、省略することもできる。
均一化光学系30は、第1及び第2レンズアレイ31,32と、偏光変換部材34と、重畳レンズ35とを備える。第1及び第2レンズアレイ31,32は、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなるフライアイレンズである。このうち、第1レンズアレイ31を構成する要素レンズによって、光源ランプユニット20から射出された光束が複数の部分光束に分割される。また、第2レンズアレイ32を構成する要素レンズによって、第1レンズアレイ31からの各部分光束は適当な発散角で射出される。偏光変換部材34は、PBSのプリズムアレイ等で構成され、第2レンズアレイ32から射出した光源光を特定方向の直線偏光のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ35は、第2レンズアレイ32から射出し偏光変換部材34を経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調部50に設けた各色の液晶ライトバルブ50a,50b,50cに対する重畳照明を可能にする。
調光機構80は、偏光変換部材34と重畳レンズ35との間、すなわち照明装置10の内部に配設され、一対の遮光部82a,82bが観音開き状に開閉することで照明装置10から射出される照明光の少なくとも一部を光軸から離れた領域側、すなわち外側から遮光し照明光量を調整するものである。なお、調光機構80は、投射画像に応じて調光機構80を動作させて遮光量を許容範囲内で増減させることにより動画のコントラストを向上させることもできる。
図2は、調光機構80の構造を説明する斜視図であり、調光機構80を光路上流側から見た状態を示す。調光機構80は、固定部材81と、遮光部82a,82bと、回動軸部85a,85bと、駆動機構83とを備える。固定部材81は、ケース部材11の一部に固定され、回動軸部85a,85bや駆動機構83を支持する。一対の遮光部82a,82bは、一対の回動軸部85a,85bにそれぞれ支持されてシステム光軸SAに垂直で水平な±X方向に延びた板状部材である。一対の遮光部82a,82bは、システム光軸SAを挟んで互いに対向するとともにシステム光軸SAに関して対称に配置される。また、一対の遮光部82a,82bは、一対の回動軸部85a,85bに枢支されており、回動軸AX1,AX2のまわりにそれぞれ回動可能になっている。駆動機構83は、遮光部82a,82bを開閉動作させる機構である。駆動機構83は、モーター83aと、伝達部83bと、一対の駆動ギア84a,84bとを備える。モーター83aの回転は、伝達部83bを介して、一対の回動軸部85a,85bにそれぞれ回動可能に支持された一対の駆動ギア84a,84bに伝達される。この際、上側の駆動ギア84aと下側の駆動ギア84bが同期して反対方向に回転するので、一対の駆動ギア84a,84bに固定された遮光部82a,82bも同期して回転する。ただし、各遮光部82a,82bは、各回動軸AX1,AX2から離れた位置に取り付けられており、モーター83aの正転又は逆転に伴って、先端部が互いにシステム光軸SA方向に近接して進入状態すなわち遮光状態(不図示)になったり、先端部が互いにシステム光軸SAから離れて退避状態すなわち非遮光状態(図示)になったりする。
図1に戻って、色分離導光光学系40は、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bと、反射ミラー42a,42b,42cと、3つのフィールドレンズ43a,43b,43cとを備え、光源ランプユニット20から射出された照明光を赤(R)色、緑(G)色、及び青(B)色の3色に分離するとともに、各色光を後段の液晶ライトバルブ50a,50b,50cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー41aは、RGBの3色のうちR色の照明光LRを反射しG色及びB色の照明光LG,LBを透過させる。また、第2ダイクロイックミラー41bは、GBの2色のうちG色の照明光LGを反射しB色の照明光LBを透過させる。つまり、第1ダイクロイックミラー41aで反射された赤色光LRは、フィールドレンズ43aのある第1光路OP1に導かれ、第1ダイクロイックミラー41aを透過して第2ダイクロイックミラー41bで反射された緑色光LGは、フィールドレンズ43bのある第2光路OP2に導かれ、第2ダイクロイックミラー41bを通過した青色光LBは、フィールドレンズ43cのある第3光路OP3に導かれる。各色用のフィールドレンズ43a,43b,43cは、第2レンズアレイ32から射出され光変調部50に入射する各部分光束が、各液晶ライトバルブ50a,50b,50cの被照射領域上において、システム光軸SAに対して適当な収束度又は発散度となるように入射角を調節している。一対のリレーレンズ44a,44bは、第1光路OP1や第2光路OP2よりも相対的に長い第3光路OP3上に配置され、入射側の第1のリレーレンズ44aの直前に形成された像を、ほぼそのまま射出側のフィールドレンズ43cに伝達することにより、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止している。
光変調部50は、3色の照明光LR,LG,LBがそれぞれ入射する3つの液晶ライトバルブ50a,50b,50cを備える。各液晶ライトバルブ50a,50b,50cは、光変調装置として機能し、中央に配置される液晶パネル51a,51b,51cと、これを挟むように一方側に配置される入射側偏光フィルター52a,52b,52cと、その他方側に配置される射出側偏光フィルター53a,53b,53cとをそれぞれ備えている。各液晶ライトバルブ50a,50b,50cにそれぞれ入射した各色光LR,LG,LBは、各液晶ライトバルブ50a,50b,50cに電気的信号として入力された駆動信号或いは制御信号に応じて、画素単位で強度変調される。
クロスダイクロイックプリズム60は、カラー画像を合成するための光合成光学系であり、その内部には、R光反射用の第1ダイクロイック膜61と、B光反射用の第2ダイクロイック膜62とが、平面視X字状に配置されている。このクロスダイクロイックプリズム60は、液晶ライトバルブ50aからの赤色光LRを第1ダイクロイック膜61で反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ50bからの緑色光LGを両ダイクロイック膜61,62を介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ50cからの青色光LBを第2ダイクロイック膜62で反射して進行方向左側に射出させる。
投射光学系70は、拡大投射用の投射レンズ71を鏡筒内に含んでおり、光変調部50によって形成されクロスダイクロイックプリズム60で合成された変調光の像光をスクリーン(不図示)上にカラー画像として投射する。この投射光学系70は、焦点距離の切り替えによりF値が変化するズームレンズであり、変調光の投射の際に投射倍率、すなわちズーム倍率が広角から望遠へと連続的に変化するようになっている。投射光学系70は、図3及び図4に示すように、投射レンズ71を構成する複数のレンズ71a,71b,71c,71d,71e,71f,71g,71h,71i,71j,71kと、投射レンズ71に付随する不図示の絞りとで構成される。複数のレンズ71a,71b,71c,71d,71e,71f,71g,71h,71i,71j,71kが図3のような配置の場合、投射光学系70のズームポジションは望遠となる。一方、複数のレンズ71a,71b,71c,71d,71e,71f,71g,71h,71i,71j,71kが図4のような配置の場合、投射光学系70のズームポジションは広角となる。なお、図3、図4は、図示の都合上、光軸OA方向に圧縮するように変形して表示されている。
制御装置90は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部91と、画像処理部91の出力に基づいて各液晶ライトバルブ50a,50b,50cを駆動するパネル駆動部92と、画像処理部91の出力に基づいて調光機構80を駆動する調光機構駆動部93と、投射レンズ71(図3及び図4参照)のレンズ配置を調整するレンズ駆動部94と、これらの回路部分91,94等の動作を制御する主制御部99とを備える。
制御装置90において、画像処理部91は、入力された外部画像信号に対して適宜補正を行うことや、外部画像信号に代えて或いは重畳して文字情報等を表示することができる。
パネル駆動部92は、画像処理部91から出力された画像処理後の画像信号に基づいて各液晶ライトバルブ50a,50b,50cの状態を調節する駆動信号を発生する。これにより、画像処理部91から入力された画像信号に対応して、液晶ライトバルブ50a,50b,50cにおいて、透過率分布としての画像を形成することができる。
調光機構駆動部93は、調光機構80の開閉状態を制御する。調光機構駆動部93は、遮光部82a,82bが光路を部分的に遮断している進入状態と、遮光部82a,82bが光路を開放している退避状態との間で、調光機構80に連続的又は段階的な動作を行わせる。
レンズ駆動部94は、投射レンズ71のレンズ配置を変更することによって投射倍率を切り替える。具体的に説明すると、レンズ駆動部94は、ユーザのキー操作等によって投射倍率の変更信号を受け取った場合、投射光学系70に組み込まれた不図示のアクチュエータやカム機構等からなる駆動機構を動作させ、投射レンズ71を構成するレンズ71a,71b,71c,71d,71e,71f,71g,71h,71i,71j,71kの配置を適宜変更する。これにより、投射光学系70を望遠状態と広角状態との間で自在に変化させることができる。なお、投射光学系70には、ズームポジションセンサーが設けられており、レンズ駆動部94は、投射光学系70のズームポジションを随時確認できるようになっている。
主制御部99は、マイクロコンピューターからなり、画像処理部91等を制御するために適宜用意されたプログラムに基づいて動作する。また、主制御部99は、投射光学系70のF値すなわち投射倍率に応じて、調光機構80の開閉動作を制御する。
〔2.調光機構による遮光領域の調整〕
図5(A)、5(B)は、調光機構80の動作による照明光束の変化について説明をするために、図2の一部を拡大して示した概念図である。なお、図5(A)、5(B)では、調光機構80として、一対の遮光部82a,82b(主要部分のみ)を模式的に示している。
調光機構80の遮光部82a,82bは、制御装置90の制御下で投射光学系70のF値に応じて2段階以上に開閉動作する。本実施形態の場合、遮光部82a,82bは、F値に応じて進入状態と退避状態との間で連続的に開閉可能になっている。遮光部82a,82bの開閉により、照明光の遮断量の調整がなされる。これは、投射光学系70内での意図しない遮光発生防止等を目的としている。例えば図3に示すように投射レンズ71のズームポジションが望遠の場合、図5(A)に示すように遮光部82a,82bは、全閉の状態である最大閉位置(図中実線)から全閉時に比べて回動角度α(例えば60度)だけ開いた状態である最大開位置(図中破線)まで変化する。一方、例えば図4に示すように投射レンズ71のズームポジションが広角の場合、図5(B)に示すように遮光部82a,82bは、全閉の状態である最大閉位置(図中実線)から全閉時に比べて回動角度β(例えば90度)だけ開いた状態である最大開位置(図中破線)まで変化する。各ズームポジションにおいて、最大閉位置から最大開位置までが遮光部82a,82bの開閉動作の許容範囲となっている。つまり、望遠時の開閉動作の許諾範囲は、広角等の開閉動作の許容範囲よりも狭くなっている。遮光部82a,82bは、このようにズームポジションに応じた許容範囲内で開閉し照明光の遮光量を調整する。上述のような開閉動作により、一対の遮光部82a,82bは、第2レンズアレイ32から射出される光の遮断量を、例えばズームポジションが広角の場合、ゼロの状態から数10分の1以下に調整可能にしている。
具体的に説明すると、図3に示す調光機構80は、ズームポジションが望遠の時の最大開位置の状態(点線の開状態)である。図4に示す調光機構80は、ズームポジションが広角の時の最大開位置の状態(点線の開状態)である。各ズームポジションにおいて、調光機構80を通過した照明光束は、投射光学系70のF値に対応したものとなっている。
〔3.プロジェクターの調光動作〕
以下、図6のフローチャートを用いてプロジェクター100の調光動作について説明する。
まず、プロジェクター100に画像信号入力端子を介してビデオ信号が入力されると、画像処理部91は、ビデオ信号から画像における輝度ピーク値を検出して主制御部99に出力するとともに、ビデオ信号の解像度を適当に変換して液晶ライトバルブ50a,50b,50cの画素数に適合させる(ステップS11)。
次に、主制御部99は、レンズ駆動部94の状態等から投射光学系70のF値を判定する(ステップS12)。制御装置90は、投射光学系70のF値が所定値以上の場合、すなわちズームポジションが望遠側で所定以下の投射倍率の場合(ステップS12のY)、調光機構80の開閉可能範囲(許容範囲)を制限するように設定する(ステップS13)。具体的には、許容範囲は、図5(A)に示すような最大開位置から最大閉位置までとなる。この許容範囲の設定は、主制御部99のメモリーに一旦保管される。一方、制御装置90は、投射光学系70のF値が所定値より小さい場合、すなわちズームポジションが広角側で所定より大きい投射倍率の場合(ステップS12のN)、調光機構80の開閉可能範囲(許容範囲)を広げるように設定する(ステップS14)。具体的には、許容範囲は、図5(B)に示すような最大開位置から最大閉位置までとなる。この許容範囲の設定は、主制御部99のメモリーに一旦保管される。
その後、主制御部99は、画像処理部91で得たビデオ信号から、画像がコントラスト優先モードか通常モードかを判定する(ステップS15)。コントラスト優先モードの場合(ステップS15のA)、主制御部99は、調光機構80の遮光部82a,82bを図5(A)の最大開位置以下でビデオ信号に応じて開閉動作させる(ステップS16)。ズームポジションが望遠の場合、制御装置90は、調光機構80の開閉状態を図5(A)に示す最大開位置以下で光量を制御することにより、投射光学系70のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系70に入射させる(図3参照)。一方、ズームポジションが広角の場合、制御装置90は、調光機構80の開閉状態を図5(B)に示す最大開位置以下で光量を制御することにより、投射光学系70のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系70に入射させる(図4参照)。これにより、制御装置90は、投射光学系70のF値が大きいときにF値が小さいときよりも遮光部82a,82bをより閉じて照明光束を光軸OAから離れた領域側、すなわち外側からさらに遮光する。一方、通常モードの場合(ステップS15のB)、主制御部99は、調光機構80の遮光部82a,82bをズームポジションに応じて図5(A)又は図5(B)の最大開位置で固定させる(ステップS17)。例えばコントラスト優先モードでの動作に際して、画像処理部91は、主制御部99からの指示に基づいてビデオ信号中の輝度信号を調整するゲイン調整を行う。主制御部99は、画像処理部91から得た画像の輝度ピーク値に基づいてゲイン調整量を決定し、その結果を画像処理部91に戻す。なお、画像処理部91は、調光機構80の開閉動作に応じて、画像のひずみを補正することができる。
以上において、調光機構80の開閉状態の制御は、あるF値において許容される角度分布と等しくする場合に限らず、この角度分布よりも狭く制限することもできる。さらに、あるF値において許容される角度分布より大きくても、調光機構80による遮光のない状態よりもこの許容される角度分布に近づける制御をすることもできる。つまり、調光機構80の最大開位置の制御において、F値に対応する角度分布を有するとは、調光機構80により、F値に応じた許容範囲内のうち最大開位置近傍以下で意図しない遮光を防止することを意味する。
主制御部99は、電源のオフ等によって動作の終了が指示させるまでは(ステップS18のY)、ステップS16又はステップS17の動作の後、ステップS11に戻る(ステップS18のN)。
上記説明したプロジェクター100によれば、制御装置90の調光機構駆動部93が投射光学系70のF値に応じて調光機構80の開閉状態を変化させることにより、投射光学系70のF値に対応する角度分布を有する照明光を投射光学系70に入射させることができ、投射光学系70の鏡筒や絞り等で照明光が遮られることを予め防ぐことができる。そのため、投射光学系70が必要以上に発熱せず、投射光学系70のレンズのピント移動を防ぐことができ、照明装置10自体の明るさを変えずにピンボケを解消することがきる。
具体的には、投射光学系70のズームポジションが望遠の場合、調光機構80の遮光部82a,82bの開閉範囲を開放側で制限することにより、調光機構80が最大開位置の場合でも、照明光を外側から遮光することができる。これにより、図7に示すように調光機構80による遮光がされない場合よりも意図しない遮光の原因となる不要な照明光が投射光学系70に入射するのを抑えることができる。
〔第2実施形態〕
以下、図8を参照して、第2実施形態のプロジェクターについて説明する。なお、本実施形態のプロジェクター200は、第1実施形態のプロジェクター100を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
プロジェクター200は、照明装置210と、調光機構280と、光変調部250と、投射光学系270とを備える。ここで、照明装置210は、光源ランプユニット220と照明光学系230とを備える。光源ランプユニット220は、放電発光型のランプ本体222aと、放物面型の凹面鏡222bと、集光レンズ221bとを備える。また、照明光学系230は、カラーホイール236と、ロッドインテグレーター238と、重畳レンズ235とを備える。調光機構280は、遮光部282a,282bを備える。光変調部250は、フィールドレンズ251とデジタル・マイクロミラー・デバイス252とを備える。デジタル・マイクロミラー・デバイス252は、反射方向制御型の光変調装置である。
プロジェクター200のうち調光機構280は、重畳レンズ235とミラー239との間、すなわち照明装置210の射出側に配設されている。調光機構280の遮光部282a,282bは、例えばシステム光軸SAに垂直に配置された板状の部材であり、システム光軸SAに垂直な方向(図8のXY方向)にスライドして開閉可能となっている。この遮光部282a,282bの開閉範囲(許容範囲)は、第1実施形態の場合と同様に、投射光学系270のF値すなわちズームポジションに応じたものとなっている。
投射光学系270は、投射レンズ271として、光変調部250によって形成された変調光の像光をスクリーン(不図示)上にカラー画像として投射する。この投射光学系270は、第1実施形態の投射光学系70と同様に、焦点距離の切り替えによりF値が変化するズームレンズであり、変調光の投射の際に投射倍率が広角から望遠へと連続的に変化するようになっている。
以下、本実施形態のプロジェクター200の動作について説明する。
光源ランプユニット220から射出された照明光は、カラーホイール236に入射する。カラーホイール236は、不図示のモーターによって回転可能になっており、光源ランプユニット220に対向配置されるフィルター面236aには、例えばRGBの3色若しくは透明部(白色)を含めた4色のフィルターが扇状に形成されている。フィルター面236aは、入射した照明光をRGBの3色に時系列的に色分割等して射出する。カラーホイール236を経た照明光は、集光された状態でロッドインテグレーター238の入射面IPに入射し、ロッドインテグレーター238内で伝搬される際に光束の分割が行われるとともに、分割された光束が一旦重ね合わされた状態で入射面IPから射出される。ロッドインテグレーター238から射出された照明光は、重畳レンズ235を経た後、ミラー239により折り曲げられて、光変調部250を均一に照明する。この際、調光機構280は、投射光学系270のF値に応じて開閉状態が制御され、投射光学系270のF値又はズームポジションに対応する角度分布を有する照明光を投射光学系270に入射させる。デジタル・マイクロミラー・デバイス252は、これに入射する照明光を、画像信号に応じて各画素に対応するマイクロミラーで必要な期間だけ反射することにより、反射光としての画像光を投射光学系270のある法線方向に射出する。デジタル・マイクロミラー・デバイス252から射出される像光は、フィールドレンズ251を介し、投射光学系270によって不図示のスクリーンに投射される。
なお、この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記第1実施形態では、遮光部82a,82bを観音開きに開閉するタイプの調光機構80としたが、例えばストライプ状の複数の開口を有する一対のマスクをスライド移動させて複数の開口サイズを調整するタイプの調光機構80とすることもできる。
また、上記実施形態では、光源ランプユニット20,220に用いるランプ本体22a,222aとして、メタルハライドランプ等種々のものが考えられる。また、照明装置10は、副鏡を有しないタイプの光源とすることができる。
また、上記第1実施形態では、光源ランプユニット20からの光を複数の部分光束に分割するため、一対のレンズアレイ31,32を用いていたが、この発明は、このようなレンズアレイを用いないプロジェクターにも適用可能である。さらに、レンズアレイ31,32をロッドインテグレーターに置き換えることもできる。
また、上記第1実施形態では、光源ランプユニット20等からの光を特定方向の偏光とする偏光変換部材34を用いていたが、この発明は、このような偏光変換部材34を用いないプロジェクターにも適用可能である。
また、上記実施形態では、透過型のライトバルブ50a,50b,50cを備えるプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のライトバルブを備えるプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含むライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
また、プロジェクターとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面投射型のプロジェクターと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面投射型のプロジェクターとがあるが、図1等に示すプロジェクター100,200の構成は、いずれにも適用可能である。
また、上記第1実施形態では、3つのライトバルブ50a,50b,50cを用いたプロジェクター100の例のみを挙げたが、本発明は、1つ又は2つのライトバルブを用いたプロジェクター、4つ以上のライトバルブを用いたプロジェクターにも適用可能である。
10,210…照明装置、 100,200…プロジェクター、 30…均一化光学系、 40…色分離導光光学系、 50,250…光変調部、 60…クロスダイクロイックプリズム、 70,270…投射光学系、 80,280…調光機構、 82a,82b,282a,282b…遮光部、 90…制御装置、 230…照明光学系、 OP1,OP2,OP3…光路、 SA…システム光軸

Claims (6)

  1. 照明用の光束を射出する照明装置と、
    前記照明装置からの照明光の少なくとも一部を遮光する調光機構と、
    前記照明装置からの照明光によって照明される光変調装置と、
    前記光変調装置によって形成された変調光を投射するとともに投射に際してF値の切り替えが可能にされた投射光学系と、
    前記投射光学系のF値に応じて、前記調光機構の開閉状態を制御することにより、前記投射光学系のF値に対応する角度分布を有する照明光を前記投射光学系に入射させる制御装置と、
    を備えるプロジェクター。
  2. 前記投射光学系は、焦点距離の切り替えによりF値が変化するズームレンズである、請求項1に記載のプロジェクター。
  3. 前記調光機構は、前記照明装置からの照明光の少なくとも一部を光軸から離れた領域側から遮光する、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  4. 前記調光機構は、前記照明装置の内部又は光射出側に配置されて開閉動作をする遮光部を有し、前記遮光部は、前記制御装置の制御下で前記投射光学系のF値に応じて2段階以上に開閉動作する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
  5. 前記制御装置は、前記投射光学系のF値が大きいときにF値が小さいときよりも前記遮光部を閉じて照明光をより遮光する、請求項4に記載のプロジェクター。
  6. 前記制御装置は、投射画像に応じて前記調光機構を動作させることにより、遮光量を許容範囲内で増減させる、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
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