JP2011007140A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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信一 三谷
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哲 佐藤
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Abstract

【課題】 排気再循環が行われるエンジンの排気系を冷媒により冷却する場合に、冷媒のオーバーヒート或いは沸騰を抑制するにあたって、エンジンの排気温度を適切に低下させることを可能にするエンジンの冷却装置を提供する。
【解決手段】 冷却装置100AはECU1Aと、ウォータポンプ10と、エンジン50と、各冷却アダプタ21、22と、ラジエータ30とを備える。ECU1では、各冷却アダプタ21、22で排気から受熱する冷却損失Qwを推定する推定手段と、EGR量に応じて冷却損失Qwを変更する第1の変更手段が機能的に実現される。第1の変更手段は、推定手段が推定した冷却損失Qwに対してEGR量に応じて変化する冷却損失Qwの変化量を反映させた新たな冷却損失Qwを算出することで、冷却損失Qwを変更するように実現される。
【選択図】 図1

Description

本発明はエンジンの冷却装置に関し、特に排気系を冷媒により冷却する排気系冷却手段を備えたエンジンの冷却装置に関する。
従来、エンジンの排気系(具体的には例えば排気マニホルド)を水などの冷媒により冷却する技術が知られている。かかる技術に関し、本発明と関連性があると考えられる技術が例えば特許文献1で開示されている。特許文献1では排気マニホルドの周囲に形成したウォータジャケットと、該ウォータジャケットに水を噴霧状に噴射する水噴射手段とを備え、該水噴射手段からの水噴射量をエンジン回転数とエンジン負荷とに応じて制御する制御装置を接続した排気マニホルド装置が開示されている。このほか触媒温度や排気ガス温度に応じて冷媒の供給量を決定する点で、本発明と関連性があると考えられる技術が例えば特許文献2で開示されている。
特開昭63−208607号公報 特開2007−132313号公報
ところで、エンジンにおいては環境問題に対する取組みとして排気エミッションを低減することが求められている。排気エミッションを低減するには、早期に触媒を暖機させることが重要になるため、近年三元触媒をエンジンに近接した配置とすることが望まれる。
一方、上記手法を用いた場合、高負荷運転時ではエンジンに近接して触媒を配置したことに起因して触媒が過熱し、その結果、劣化の過大な進行による排気エミッションの悪化が懸念される。また高負荷領域で触媒保護のために燃料リッチ化することによる燃費の悪化や排気エミッションの悪化も懸念される。従って、三元触媒をエンジンから遠ざけて配置する要求もある。しかし、これでは早期に触媒を暖機させることが不十分になる虞があるため、触媒の浄化を促進させる貴金属の量を多くする必要がある。しかしながら、これら貴金属は希少なものであるため、この場合はコストの増大が懸念される。
これに対してかかる事情のもと、早期に触媒を暖機させることと高負荷時の触媒過熱の抑制を好適に両立させることを目的として、排気系を冷媒で冷却し、排気温度を低下させることが考えられている。このようにすれば、既存のエンジンに対する変更を必要最小限に抑制しつつ、触媒の過熱を抑制することも可能になる。このためこのようにすれば、触媒をエンジンに近接して配置することができ、以って早期に触媒を暖機させることと高負荷時の触媒過熱の抑制を好適に両立させることも可能になる。
この点、具体的には図10に示すように、排気系冷却仕様の場合にはノーマル仕様の場合と比較して、エンジンの吸入空気量に応じて示されているように、軽中負荷運転域から高負荷運転時にかけて全体的に触媒(スタートコンバータ)の床温を低下させることができる。またこれにより、圧力損失の低減やエンジン出力の向上を図ることが可能になることから、排気を冷却した場合にはエンジン性能を高めることも可能になる。
具体的には排気を冷却した場合には、高速域において空気過剰率λ=1(ストイキ)でエンジンを運転する領域を拡大することができる。この点、この例では排気系冷却仕様の場合にはノーマル仕様の場合と比較して、ストイキのA/Fに対応する吸入空気量の上限が拡大していることがわかる。そしてこのようにλ=1の運転領域を拡大することで、燃費の確保や、排気エミッションの改善を図ることができる。
ところで、排気系を冷媒で冷却するにあたっては、エンジン本体を流通する冷媒(例えばエンジンの冷却水であるロングライフクーラント)と共通の冷媒を用いることがコスト面などから合理的であると考えられる。
また、エンジン本体を流通する冷媒は、一般にエンジンの出力で駆動する機械式のウォータポンプによって圧送されている。このためエンジン本体を流通する冷媒と共通の冷媒を用いる場合には、冷媒圧送装置として機械式のウォータポンプを用いることがコスト面などから合理的であると考えられる。
一方、通常は排気系を冷媒で冷却する排気系冷却手段のほうがエンジン本体よりもサイズが小さいことから、排気系冷却手段のほうがエンジン本体よりも熱容量が小さくなる。このため、共通の冷媒を用いる場合、エンジン本体において特段の問題が生じない場合であっても、排気系冷却手段において冷媒のオーバーヒート或いは沸騰が発生する虞がある。具体的には例えばエンジンの高回転高負荷運転が連続した場合に、エンジン本体および排気系冷却手段における冷媒の受熱量が冷却器(例えばラジエータ)における冷媒の放熱量を上回る結果、エンジン本体よりも先にまず排気系冷却手段において冷媒のオーバーヒート或いは沸騰が発生する虞がある。
この点、冷媒のオーバーヒート或いは沸騰については、エンジンの排気温度を低下させることができれば、その発生を防止或いは抑制できる。そしてエンジンの排気温度を低下させるにあたっては、例えば燃料噴射量を増量する制御やスロットルを絞る制御を行うことが効果的である。但しこの場合にはその分、燃費、エミッションの悪化や出力性能の制限を招くことになる。このためこれらの制御は、排気系冷却手段で排気から受熱する受熱量を推定するとともに、当該受熱量や当該受熱量の積算値に基づくことによって、必要な分だけ適切に行われるようにすることが好ましい。この点、当該受熱量は具体的には例えばエンジンの発熱量(さらに具体的にはエンジンの発熱量と相関関係がある吸入空気量やエンジン回転数等のパラメータ)に基づき、推定することができる。
その一方で、エンジンには排気再循環が行われるタイプのものがある。ところが、当該受熱量の推定では、排気再循環が行われるエンジンについての考慮が未だなされていない。このため、排気再循環が行われるエンジンで当該受熱量を推定すると、排気再循環が行われた場合に、排気再循環によって排気温度が低下する一方で、当該受熱量は実際の受熱量よりも大きな値となってしまう。そしてこの場合には、実際には未だ余裕がある状態であるにも関わらず、エンジンの排気温度を低下させるための制御が行われてしまい、この結果、例えば燃費、エミッションの悪化や出力性能の制限を必要以上に招くことになる点で問題があった。
そこで本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、排気再循環が行われるエンジンの排気系を冷媒により冷却する場合に、冷媒のオーバーヒート或いは沸騰を抑制するにあたって、エンジンの排気温度を適切に低下させることを可能にするエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、複数の冷媒循環経路に共通の冷媒を圧送する冷媒圧送装置と、前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路にエンジン本体が組み込まれるとともに、排気再循環が行われるエンジンと、前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路に組み込まれ、且つ流通する冷媒で前記エンジンの排気系を冷却する排気系冷却手段と、前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路に組み込まれ、流通する冷媒を冷却する冷却器と、前記排気系冷却手段で排気から受熱する受熱量、または当該受熱量の積算値である積算受熱量のうち、少なくともいずれか一方を推定する推定手段と、再循環される排気の量に応じて、前記受熱量、前記積算受熱量、または前記受熱量或いは前記積算受熱量に係る判定値のうち、少なくともいずれかを変更する変更手段と、を備えたエンジンの冷却装置である。
また本発明は前記エンジンの吸気弁のバルブ特性を可変にする吸気側可変動弁機構と、前記受熱量または前記積算受熱量が所定値よりも大きい場合に、前記吸気弁の開弁時期を進角させるように前記吸気側可変動弁機構を制御する制御手段である第2の制御手段と、前記第2の制御手段が制御を行った場合に、前記エンジンの実圧縮比を低下させるための制御を行う制御手段である第4の制御手段と、をさらに備えた構成であることが好ましい。
本発明によれば、排気再循環が行われるエンジンの排気系を冷媒により冷却する場合に、冷媒のオーバーヒート或いは沸騰を抑制するにあたって、エンジンの排気温度を適切に低下させることを可能にすることができる。
エンジンの冷却装置(以下、単に冷却装置と称す)100Aを模式的に示す図である。図1では、冷却水の流通経路が分かるようにして冷却装置100Aを示している。 冷却装置100Aを模式的に示す図である。図2では、エンジン50の吸排気系統が分かるようにして冷却装置100Aを示している。 ECU(Electronic control unit:電子制御装置)1Aとともにエンジン50をRh気筒群側の一気筒につき、断面で模式的に示す図である。 吸気側VVT55の具体的な構成を示す図である。 ECU1Aの動作をフローチャートで示す図である。具体的には図5では、新たな冷却損失Qwを算出するための動作を示している。 ECU1Aの動作をフローチャートで示す図である。具体的には図6では、排気温度を低下させるための制御を行うための動作を示している。 ECU1Bの動作をフローチャートで示す図である。 補正係数のマップデータを模式的に示す図である。 ECU1Cの動作をフローチャートで示す図である。 エンジンの吸入空気量に応じたスタートコンバータの床温の一例をノーマル仕様の場合と排気系冷却仕様(第1および第2の排気冷却仕様)の場合とについて示す図である。また図10では、同時に対応する床温低減効果とA/Fについてもそれぞれ示している。図中、スタートコンバータ床温および床温低減効果、A/Fは縦軸で、吸入空気量は横軸でそれぞれ示されており、さらにこれらについて軸に沿って示されている矢印は、各パラメータの値の大小関係を示している。 なお、第1の排気系冷却仕様は排気を冷却するように変更した点以外、ノーマル仕様と実質的に同一のものとなっている。また第2の排気系冷却仕様は、さらに床温の上限を制限した上で、ノーマル仕様の場合よりも空燃比のリーン化を図るように変更した点以外、ノーマル仕様と実質的に同一のものとなっている。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
冷却装置100Aについて図1から図4までを用いて説明する。冷却装置100AはECU1Aと、ウォータポンプ10と、リアジョイント11と、Vバンクパイプ12と、インレット13と、Rh冷却アダプタ21と、Lh冷却アダプタ22と、ラジエータ30と、Rh流量調節弁41と、Lh流量調節弁42と、エンジン50を備えている。冷却装置100Aは図示しない車両に搭載されている。
エンジン50はV型6気筒エンジンであり、シリンダブロック51と、Rhシリンダヘッド52およびLhシリンダヘッド53とを備えている。シリンダブロック51と、Rhシリンダヘッド52およびLhシリンダヘッド53とは、エンジン本体を構成している。エンジン50にはクランク角センサ54が設けられている。
シリンダブロック51にはエンジン50の出力によって駆動する機械式のウォータポンプ10が設けられている。ウォータポンプ10が圧送する冷却水は次に説明する第1および第2の流通経路を循環する。第1および第2の流通経路では、ウォータポンプ10が圧送した冷却水がシリンダブロック51に供給された後、各シリンダヘッド52、53に分岐して供給される。そして、冷却水はその後リアジョイント11で合流するとともに2つの経路に分岐して排出される。
この点、第1の流通経路では、リアジョイント11で分岐して排出された冷却水が冷却器であるラジエータ30を流通した後、インレット13を介してウォータポンプ10に戻るようになっている。第1の流通経路におけるリアジョイント11の直後には、水温センサ71が設けられている。
一方、第2の流通経路では、リアジョイント11で分岐して排出された冷却水が、さらに分岐して各流量調節弁41、42を流通した後、Rh冷却アダプタ21およびLh冷却アダプタ22に供給されるようになっている。そして、冷却水はその後Vバンクパイプ12で合流した後、インレット13を介してウォータポンプ10に戻るようになっている。
本実施例では第1および第2の流通経路が、複数の冷媒循環経路となっている。また本実施例では、ウォータポンプ10が冷媒圧送装置となっており、ウォータポンプ10が圧送する冷却水が、複数の冷媒循環経路に共通の冷媒となっている。
図2に示すように、エンジン50にはRhシリンダヘッド52に対応するRh吸気系統RhInと、Lhシリンダヘッド53に対応するLh吸気系統LhInとの2つの吸気系統が設けられている。また、エンジン50にはRhシリンダヘッド52に対応するRh排気系統RhExと、Lhシリンダヘッド53に対応するLh排気系統LhExとの2つの排気系統が設けられている。そして、エンジン50ではこのように吸気系統から排気系統にかけてRh系統とLh系統の2つの系統が構成されている。
冷却装置100AはRh触媒23と、Lh触媒24と、Rhエアフロメータ61と、Lhエアフロメータ62と、Rh電子制御スロットル63と、Lh電子制御スロットル64とを備えている。
Rh吸気系統RhInにはRhエアフロメータ61およびRh電子制御スロットル63が、Lh吸気系統LhInにはLhエアフロメータ62およびLh電子制御スロットル64がそれぞれ設けられている。
Rh排気系統RhExにはRh冷却アダプタ21が、Lh排気系統LhExにはLh冷却アダプタ22がそれぞれ設けられている。Rh冷却アダプタ21は具体的にはRhシリンダヘッド52に、Lh冷却アダプタ22は具体的にはLhシリンダヘッド53にそれぞれ取り付けられている。
さらにRh排気系統RhExにはRh冷却アダプタ21の直後にRh触媒23が、Lh排気系統LhExにはLh冷却アダプタ22の直後にLh触媒24がそれぞれ設けられている。各触媒23、24は、触媒暖機に有利なエンジン50に近接した配置となっている。
Rh冷却アダプタ21内には、Rhシリンダヘッド52に対応する3つの気筒からなるRh気筒群からの排気を合流させる分岐通路21aが設けられている。同様にLh冷却アダプタ22内には、Lhシリンダヘッド53に対応する3つの気筒からなるLh気筒群からの排気を合流させる分岐通路22aが設けられている。各冷却アダプタ21、22において、図示しない冷却水の流路は分岐通路21a壁および分岐通路22a壁である排気管回りにそれぞれ形成されており、冷却水の流路には供給された冷却水が流通する。各冷却アダプタ21、22は排気管を冷却水により冷却することで排気を冷却する。各冷却アダプタ21、22それぞれは、エンジン本体よりも熱容量が小さくなっている。本実施例では各冷却アダプタ21、22が排気系冷却手段となっている。
さらに冷却装置100Aは、排気還流管81と還流流量調節弁82とを備えている。排気還流管81はエンジン50の排気系からエンジン50の吸気系への排気の還流を可能にする。排気還流管81は具体的には各排気系統RhEx、LhExと各吸気系統RhIn、LhInとを気筒群毎に連通するように設けられている。各排気還流管81には還流流量調節弁82がそれぞれ設けられている。還流流量調節弁82は具体的には図示しないステップモータを備えており、ステップ制御による開度調節およびこれに基づく流量調節が可能となっている。なお、排気還流管81の具体的な接続態様はこれに限られない。
図3に示すように、エンジン50はシリンダブロック51と、Rhシリンダヘッド52と、ピストン54と、吸気側VVT55と、排気側VVT56と、燃料噴射弁57と、吸気弁58および排気弁59とを備えている。エンジン50は一気筒あたり吸排気弁58、59が2弁ずつ設けられた構造となっている。なお、燃料噴射弁57は例えば筒内に直接燃料を噴射できるように配置されてもよい。吸気側VVT55は、可変動弁機構として吸気弁58のバルブ特性を可変にする吸気側可変動弁機構であり、排気側VVT56は可変動弁機構として排気弁59のバルブ特性を可変にする排気側可変動弁機構である。
図4は吸気側VVT55の具体的な構成を示す図である。なお、排気側VVT56は吸気側VVT55と同様の構造となっているため、ここでは吸気側VVT55について説明し、排気側VVT56についての説明は省略する。吸気側VVT55は、コントロールシャフト551と、接続アーム552と、摺接アーム553と、揺動カム554とを備えている。吸気側VVT55では、ECU1Aの制御のもと、コントロールシャフト551を適宜駆動することにより、吸気弁58のバルブリフト量及び作用角(開弁期間)を連続的に可変にすることができる。
ECU1AはCPU、ROM、RAM等からなる図示しないマイクロコンピュータを備えている。ECU1Aは主にエンジン50を制御するように構成されている。ECU1Aは具体的には例えば燃料噴射弁57を制御するように構成されている。この点、ECU1Aは燃料噴射弁57の開弁期間を変更することで、エンジン50の燃料噴射量を調節することができる。ECU1Aは、燃料噴射量を気筒群毎に個別に調節することができる。
またECU1Aは例えば各VVT55、56を制御するように構成されている。
この点、ECU1Aは各VVT55、56を制御することで、吸排気弁58、59のバルブタイミングやバルブリフト量や作用角を変更できる。
また、ECU1Aは各VVT55、56のうち、少なくとも一方を制御対象として、吸排気弁58、59のバルブオーバーラップ量を拡大することで、排気再循環を行うこともできる。バルブオーバーラップ量は、具体的には例えば吸気側VVT55を制御対象として、吸気弁58の開弁時期を進角させることや、排気側VVT56を制御対象として、排気弁59の閉弁時期を遅角させることや、これらを組み合わせて行うことで拡大することができる。
このほかECU1Aは例えば各流量調節弁41、42や、各電子制御スロットル63、64や、各還流流量調節弁82を制御するように構成されている。
ECU1Aは冷媒流量調節手段である各流量調節弁41、42の開度を変更することで、各冷却アダプタ21、22を流通する冷却水の流量を調節できる。
また、ECU1Aは各電子制御スロットル63、64のスロットル開度を変更することで、エンジン50の吸入空気量GAを調節することができる。ECU1Aは、気筒群毎の吸入空気量を個別に調節することができる。
また、ECU1Aは排気還流流量調節手段である各還流流量調節弁82を制御することで、排気還流管81への排気の流通を許可、禁止するとともに、排気の流通を許可する場合に排気還流管81を流通する排気の流量を調節することができる。この点、ECU1Aは、各還流流量調節弁82を開弁制御することで、各排気還流管81を介した排気再循環を行うことができる。
吸気側VVT55や、排気側VVT56や、燃料噴射弁57や、各流量調節弁41、42や、各電子制御スロットル63、64や、各還流流量調節弁82は制御対象としてECU1Aに電気的に接続されている。
ECU1Aにはクランク角センサ54や、各エアフロメータ61、62や、水温センサ71や、各検知センサ72、73や、開度センサ74などの各種のセンサ・SW類が電気的に接続されている。
エンジン50の回転数NEはクランク角センサ54の出力に基づき、エンジン50の吸入空気量GAは各エアフロメータ61、62の出力に基づき、ECU1Aでそれぞれ検出される。
第1の流通経路においてリアジョイント11の直後を流通する冷却水の水温THWは水温センサ71の出力に基づきECU1Aで検出される。水温THWは、エンジン50の冷却水温として検出される。
吸排気弁58、59のバルブオーバーラップ量は、各VVT55、56に内蔵された各検知センサ72、73の出力に基づき、各還流流量調節弁82の作動量は、各還流流量調節弁82に内蔵された開度センサ74の出力に基づき、それぞれECU1Aで検出される。
ROMはCPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムやマップデータなどを格納するための構成である。CPUがROMに格納されたプログラムに基づき、必要に応じてRAMの一時記憶領域を利用しつつ処理を実行することで、ECU1Aでは各種の制御手段や判定手段や検出手段や算出手段などが機能的に実現される。
この点、ECU1Aでは例えば吸入空気量GAを含む複数の推定因子を検出する検出手段と、検出手段により検出された複数の推定因子に基づき、各冷却アダプタ21、22で冷媒が排気から受ける受熱量である冷却損失Qwを推定する推定手段とが機能的に実現される。
上述の複数の推定因子が吸入空気量GAを含むこととしているのは、吸入空気量GAが冷却損失Qwと高い線形的な相関関係を有しているためである。
そして上述の複数の推定因子は、冷媒温度である冷却水温THW、吸気温度THA、または回転数NEのうち、少なくともいずれか1つをさらに含むことが好ましい。これは、これら4因子が冷却損失Qwに対して大きな影響力を持つ因子であることによる。
具体的には例えば初期状態などエンジン50の運転環境条件が異なれば、冷却損失Qwも異なってくる。これに対して、冷却水温THWと吸気温度THAとはエンジン50の運転環境条件を表すことができる。また、エンジン50のフリクションが増大すれば、エンジン50から発生する熱量が増大することから、冷却損失Qwも増大する傾向にある。これに対して、回転数NEはエンジン50のフリクションの大きさを表すことができる。このため、冷却損失Qwをより高い精度で推定するにあたっては、冷却水温THW、吸気温度THA、または回転数NEのうち、少なくともいずれか1つをさらに含むことが好ましい。
さらに冷却損失Qwはこれら4因子をすべて含んだ次の式(1)に基づき推定することが最も好ましい。
Qw=(THW+THA)×NE×GA・・・式(1)
すなわち冷却損失Qwは、冷却水温THWと吸気温度THAとの和と、回転数NEと、吸入空気量GAとの積により算出した値に基づき推定することが最も好ましい。これは、実験により式(1)に基づき冷却損失Qwを推定した場合に、実際の冷却損失Qwとの間に最も高い線形的な相関関係が認められたことによる。このためECU1Aでは、具体的には式(1)に基づき冷却損失Qwを推定するようにしている。
またECU1Aでは、推定手段が推定した冷却損失Qwが所定値αよりも大きいか否かを判定する判定手段(以下、第1の判定手段と称す)が機能的に実現される。
またECU1Aでは、推定手段が推定した冷却損失Qwに基づき、エンジン50の排気温度を低下させるための制御を行う制御手段(以下、第1の制御手段と称す)が機能的に実現される。具体的には第1の制御手段は、温間時に推定手段が推定した冷却損失Qwが所定値αよりも大きい場合に、エンジン50の排気温度を低下させるための制御を行うように実現される。またかかる制御を行うにあたって、第1の制御手段は具体的には空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量する制御を行うとともに、各電子制御スロットル63、64を制御対象として、スロットル開度をより閉じ側に変更する制御を行うように実現される。
さらにECU1Aでは、再循環される排気の量(以下、EGR量と称す)に応じて、推定手段が推定した冷却損失Qwを変更する変更手段(以下、第1の変更手段と称す)が機能的に実現される。なお、EGR量は例えば単位時間あたりの量として表すことができる。
第1の変更手段は具体的には、推定手段が推定した冷却損失Qwに対してEGR量に応じて変化する冷却損失Qwの変化量を反映させた新たな冷却損失Qwを算出することで、冷却損失Qwを変更するように実現される。
この点、第1の判定手段と第1の制御手段にとっての冷却損失Qwは、本実施例ではさらに具体的には第1の変更手段が変更した冷却損失Qwとなっている。
次にECU1Aの動作を図5および図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図5および図6までに示すフローチャートはエンジン50始動後、ごく短い間隔で並列的に繰り返し実行される。図5に示すように、ECU1Aはエンジン50の水温THWが所定値T1(例えば75℃)よりも高いか否かを判定する(ステップS1)。所定値T1は温間時であるか否かを判断するための判定値として予め設定されている。ステップS1で否定判定であれば本フローチャートを一旦終了する。一方、ステップS1で肯定判定であれば、ECU1AはEGR率が所定値β(%)よりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、EGR率はEGR量の大小の度合いを示すパラメータであり、EGR量が増大するにしたがって次第に大きくなるように算出される。この点、EGR率は排気再循環が行われていない場合には「0%」となり、EGR量が最大である場合には「100%」となる。排気再循環が吸排気弁58、59のバルブオーバーラップによって行われる場合、EGR率はバルブオーバーラップ量と、回転数NEおよび吸入空気量GA(または吸気管負圧)とから求めることができる。また排気再循環が還流排気管81を介して行われる場合、各還流流量調節弁82のステップ数(作動量)と、回転数NEおよび吸入空気量GA(または吸気管負圧)とから求めることができる。
一方、所定値βは排気温度が低下するとともに、その影響が実際に冷却損失Qwに及び始めるEGR率を示す値である。この点、所定値βは例えばゼロに設定されてもよい。ステップS2で否定判定であれば、排気再循環による排気温度の低下がないか、あるいはその影響が無視できる程度に小さいと判断される。この場合には、ステップS3に進み、ECU1Aは推定手段が推定した冷却損失Qwをそのまま新たな冷却損失Qwとする(Qw=Qw)。なお、この場合には推定手段が推定した冷却損失Qwに実質的な変更はないが、制御の構成上、新たな冷却損失Qwに変更するかたちで取り扱うこととしている。
一方、ステップS3で肯定判定であれば、ECU1Aは次の式2に基づき新たな冷却損失Qwを算出する(ステップS4)。
Qw=Qw×{1−(EGR率−β)/100×k}・・・式(2)
ここで、kは定数である。但し、kはEGR率の変化に応じた冷却損失Qwの変化量の変化特性に応じて、例えばEGR率を含む変数としてもよい。
式(2)よれば、EGR量が多い場合ほど、推定した冷却損失Qwがより小さな値に変更されることになる。そしてこれにより、EGR量に応じて変化する冷却損失Qwの変化量を反映させた新たな冷却損失Qwが算出される。
一方、図6に示すように、ECU1Aは新たな冷却損失Qwが所定値αよりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。冷却損失Qwは、例えば高負荷運転時に空気過剰率λ=1でエンジン50を運転している場合に所定値αよりも大きくなることがある。そして、所定値αは冷却水がオーバーヒート或いは沸騰する状態になるか否かを判定するための冷却損失Qwに係る判定値として予め設定されている。ステップS11で否定判定であれば本フローチャートを一旦終了する。
一方、ステップS11で肯定判定であれば、ECU1Aは空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量するとともに、各電子制御スロットル63、64のスロットル開度をより閉じ側に変更する(ステップS12)。この点、所定値αはさらには排気温度を低下させるための制御を行うか否かを判定するための冷却損失Qwに係る判定値として予め設定されている。
ステップS12で、燃料噴射量の増量は空燃比をよりリッチにするために行われる。またスロットル開度の変更は、空燃比を特段変更することなく吸入空気量GAを減少させるために行われる。そしてこれらによりエンジン50の発熱量を速やかに低下させることができることから、排気温度を速やかに低下させることができる。また、燃料噴射量を増量するとともにスロットル開度を変更することによって、悪化する燃費、エミッションの度合いと制限される出力性能の度合いとをともに軽減することができる。
本フローチャートからわかるように、冷却損失Qwは、冷却水のオーバーヒート或いは沸騰を防止或いは抑制するにあたって、排気温度を低下させるための制御を行うか否かを判定するためのパラメータとして用いられている。一方、これに対してECU1Aは、前述のステップS4で排気再循環による排気温度の低下を考慮した新たな冷却損失Qwを算出する。
このため冷却装置100Aは、これにより冷却水のオーバーヒート或いは沸騰を防止或いは抑制するにあたって、エンジン50の排気温度を適切に低下させることを可能にすることができる。
またECU1Aが実際に燃料噴射量を増量するとともにスロットル開度を閉じ側に変更することで、冷却装置100Aは、必要以上に燃費、エミッションの悪化や出力性能の制限を招くことなく、エンジン50の排気温度を適切に低下させることができる。
本実施例に係る冷却装置100Bは、ECU1Aの代わりにECU1Bを備えている点以外、冷却装置100Aと実質的に同一のものとなっている。またECU1Bは、第1の変更手段の代わりに以下に示す変更手段(以下、第2の変更手段と称す)が機能的に実現される点以外、ECU1Aと実質的に同一のものとなっている。このため本実施例では冷却装置100BおよびECU1Bについては図示省略する。
第2の変更手段は、EGR量に応じて所定値αを変更するように機能的に実現される。具体的には第2の変更手段は、温間時にEGR量に応じて変化する冷却損失Qwの変化量を反映させた新たな所定値αを算出することで、所定値αを変更するように実現される。
この点、第1の変更手段の代わりに第2の変更手段を備えたECU1Bでは、第1の判定手段と第1の制御手段にとっての冷却損失Qwは、推定手段が推定した冷却損失Qwそのものとなる。
次にECU1Bの動作を図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ECU1Bでは、前述した図5に示すフローチャートの代わりに本フローチャートに基づく動作が行われることになる。ECU1Bはエンジン50の水温THWが所定値T1よりも高いか否かを判定する(ステップS21)。否定判定であれば本フローチャートを一旦終了する。一方、ステップS21で肯定判定であれば、ECU1BはEGR率が所定値βよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了する。
一方、ステップS22で肯定判定であれば、ECU1BはEGR率に応じた補正係数を算出する(ステップS23)。このときECU1Bは具体的にはEGR率に応じて補正係数を予め設定したマップデータ(図8参照)を参照するとともに、対応する補正係数を読み込むことで、補正係数を算出する。このマップデータで補正係数は、所定値αの変化特性がEGR率の変化に応じた冷却損失Qwの変化量の変化特性と同じなるように、EGR率に応じて設定されている。この点、補正係数は、EGR率が所定値βである場合に「1」となり、EGR率が大きくなるほど大きくなるように設定されている。続いてECU1Bは、次に示す式(3)に基づき新たな所定値αを算出する(ステップS24)。
α=α×補正係数・・・式(3)
これにより、排気再循環で排気温度が下がった場合には、これに応じて所定値αの値が大きくなる。そしてこれにより、EGR量に応じて変化する冷却損失Qwの変化量を反映させた新たな所定値αが算出される。このためこれにより、排気再循環が行われた場合に冷却損失Qwが実際の冷却損失Qwよりも大きな値に推定された場合であっても、所定値αの妥当性を確保できる。このため冷却装置100Bは、これにより冷却水のオーバーヒート或いは沸騰を抑制するにあたって、エンジン50の排気温度を適切に低下させることを可能にすることができる。また実施例1で前述したステップS12で、ECU1Bが実際に燃料噴射量を増量するとともにスロットル開度を閉じ側に変更することで、冷却装置100Bは、必要以上に燃費、エミッションの悪化や出力性能の制限を招くことなく、エンジン50の排気温度を適切に低下させることができる。
本実施例に係る冷却装置100CはECU1Aの代わりにECU1Cを備えている点以外、冷却装置100Aと実質的に同一のものとなっている。ECU1Cは以下に示す判定手段(以下、第2の判定手段と称す)がさらに機能的に実現される点と、第1の制御手段の代わりに、以下に示す3つの制御手段(以下、第2、第3および第4の制御手段と称す)が機能的に実現される点以外、ECU1Aと同一のものとなっている。このため本実施例では冷却装置100CおよびECU1Cについては図示省略する。
第2の判定手段は、推定手段が推定した冷却損失Qwが所定値α´よりも大きいか否かを判定するように実現される。
第2の制御手段は、推定手段が推定した冷却損失Qwが所定値αよりも大きい場合に、排気温度を低下させるための制御を行うように実現される。
この点、排気温度を低下させるための制御として、第2の制御手段は具体的には温間時にEGR量を増大させるための制御を行うように実現される。
また、EGR量を増大させるための制御を行うにあたり、第2の制御手段は具体的には吸気側VVT55を制御対象として制御を行うように実現される。
さらにEGR量を増大させるための制御として、第2の制御手段は具体的には吸気弁58の開弁時期を進角させることでバルブオーバーラップ量を拡大し、これによりEGR量が増大するように吸気側VVT55を制御するよう実現される。
第3の制御手段は、推定手段が推定した冷却損失Qwが所定値α´よりも大きい場合に、排気温度を低下させるための制御を行うように実現される。
この点、第3の制御手段は、排気温度を低下させるための制御として、具体的には温間時に空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量する制御を行うとともに、各電子制御スロットル63、64を制御対象として、スロットル開度をより閉じ側に変更する制御を行うように実現される。
第4の制御手段は、第2の制御手段が吸気弁58の開弁時期を進角させるように吸気側VVT55を制御した場合に、エンジン50の実圧縮比を低下させるための制御を行うように実現される。
この点、第4の制御手段は具体的には、吸気弁58の開弁時期の進角量が所定値Aよりも大きい場合に、エンジン50の実圧縮比を低下させるための制御を行うように実現される。
またエンジン50の実圧縮比を低下させるにあたり、第4の制御手段は、本実施例では具体的には吸気弁58の作用角が拡大するように吸気側VVT55を制御するよう実現される。
なお、同様の変更は実施例2で前述した冷却装置100BのECU1Bに対して行うことも可能である。この場合には、第1、第2の判定手段および第2、第3の制御手段にとっての冷却損失Qwは、推定手段が推定した冷却損失Qwそのものとなる。この点、ECU1Cでは、第1、第2の判定手段および第2、第3の制御手段にとっての冷却損失Qwは、さらに具体的には第1の変更手段が変更した冷却損失Qwとなる。
次にECU1Cの動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ECU1Cでは、前述した図6に示すフローチャートの代わりに本フローチャートに基づく動作が行われることになる。ECU1Cは新たな冷却損失Qwが所定値αよりも大きいか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31で否定判定であれば本フローチャートを一旦終了する。一方、ステップS31で肯定判定であれば、ECU1CはEGR量を増大させる(ステップS32)。このとき、ECU1Cは、具体的には吸気弁58の開弁時期を進角させるように吸気側VVT55を制御し、バルブオーバーラップ量を拡大することで、EGR量を増大させる。これにより、排気温度を低下させることができる。
続いてECU1Cは、吸気弁58の開弁時期の進角量が所定値Aよりも大きいか否かを判定する(ステップS33)。所定値Aは、吸気弁58の開弁時期の進角によりエンジン50の実圧縮比が向上する結果、エンジン50にノッキングが発生し得る状態になるか否かを判定するための判定値として予め設定されている。ステップS33で肯定判定であれば、ECU1Cは吸気弁58の作用角が拡大するように、吸気側VVT55を制御する。これにより、吸気弁58の閉弁時期を例えば吸気圧縮行程間の下死点よりも遅らせるようにして通常よりも遅らせることができ、エンジン50の実圧縮比を下げることができる。したがってこれにより、エンジン50にノッキングが発生することを防止或いは抑制できる。
ステップS33の否定判定、またはステップS34に続いて、ECU1Cは、新たな冷却損失Qwが所定値α´よりも大きいか否かを判定する(ステップS35)。この所定値α´は、所定値αよりも相対的に大きな値に設定されており、冷却水がオーバーヒート或いは沸騰する状態になる虞がより高い状態であるか否かを判定するための判定値として予め設定されている。
ステップS35で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了する。この場合には、EGR量の増量のみで冷却水のオーバーヒート或いは沸騰を防止或いは抑制できる点で、燃費、エミッションの悪化や出力性能が制限されることを好適に抑制することができる。一方、ステップS35で肯定判定であれば、ECU1Cは空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量するとともに、各電子制御スロットル63、64のスロットル開度をより閉じ側に変更する(ステップS36)。この場合でも、その後ステップS35で否定判定されることで、これらの制御の実行期間が短縮されるため、EGR量を増大させなかった場合と比較して燃費、エミッションの悪化や出力性能が制限されることを好適に抑制することができる。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
例えば上述した実施例ではエンジンがV型のエンジン50である場合について詳述した。しかしながら本発明おいては必ずしもこれに限られず、エンジンは例えば直列気筒エンジンなど他の適宜のエンジンであってもよい。
また例えば上述した実施例では、各冷却アダプタ21、22が排気系冷却手段である場合について詳述した。しかしながら本発明においては必ずしもこれに限られず、排気系冷却手段は例えばエンジンの排気ポート周りに冷却水などの冷媒を流通させる流路を形成する流路形成部や、冷媒によって排気マニホルド、または例えばエンジンと排気マニホルドとの間に設けたアダプタの全部または一部を冷却することが可能なその他の適宜の構成であってもよい。
また例えば上述した実施例では、一般に既設となっているセンサの出力で対応できる点で、コスト面で有利な構成にすることができることや、実際の冷却損失Qwとの相関の度合いが高いことなどから、推定手段が、式(1)に基づき冷却損失Qwを推定する場合について説明した。
しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、排気冷却手段で排気から受熱する受熱量は適宜の方法で推定されてよい。
この点、当該受熱量は例えば排気冷却手段を流通する冷媒の流量や、排気冷却手段の前後を流通する排気の温度や、排気冷却手段の前後を流通する冷媒の温度の全部または一部をセンサによって検知するとともに、これらのセンサ出力、或いはこれらのセンサ出力と推定値との組み合わせに基づき推定されてもよい。
また上述した実施例では、推定手段が冷却損失Qwを推定する場合について説明した。しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、推定手段は、例えば排気系冷却手段で排気から受熱する受熱量の積算値である積算受熱量をさらに推定してもよい。そして、この積算受熱量は例えば受熱量の代わりに排気温度を低下させるための制御を行うか否かを判定するためのパラメータとして用いることができる。
この場合、推定手段はさらに具体的には例えばエンジンの運転状態が高負荷運転状態になった場合に、所定期間の間、受熱量を積算することで積算受熱量を推定するようにすることができる。この場合には、受熱量が受熱量に係る判定値を短時間の間に上下する場合に、例えば制御の実行、停止が繰り返し行われることを防止できる。
またこれに関連し、上述した実施例では第2の変更手段が冷却損失Qwに係る判定値である所定値αを変更する場合について説明したが、本発明において変更手段は積算受熱量に係る判定値を変更してもよい。
また例えば上述した実施例では、排気温度を低下させるにあたって実効性が高い点や、悪化する燃費、エミッションの度合いと制限される出力性能の度合いとをともに軽減することができる点などで好適であることなどから、第1および第3の制御手段が排気温度を低下させるための制御として、空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量する制御を行うとともに、各電子制御スロットル63、64のスロットル開度をより閉じ側に変更する制御を行う場合について説明した。
しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、第1および第3の制御手段は排気温度を低下させるためのその他の適宜の制御を行ってもよい。
この点、第1および第3の制御手段は例えば空燃比がよりリッチになるように燃料噴射量を増量する制御、またはスロットル弁の開度をより閉じ側に変更する制御のうち、いずれか一方の制御のみを行ってもよい。この場合にも排気温度を低下させるにあたって高い実効性を確保することができる。
また上述した実施例では、第2の制御手段が吸気側VVT55を制御対象として、EGR量を増大させるための制御を行う場合について説明した。
しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、第2の制御手段は例えば吸気側可変動弁機構と排気側可変動弁機構のうち、少なくともいずれかの可変動弁機構を制御対象として、バルブオーバーラップを拡大することで、EGR量を増大させるための制御を行ってもよい。
また第2の制御手段は、例えば還流流量調節手段を制御対象として、EGR量を増大させるための制御を行ってもよい。
また上述した実施例では、吸気弁58の開弁時期を進角させることでEGR量を増大させる場合に、第4の制御手段が、吸気弁58の作用角が拡大するように吸気側VVT55を制御する場合について説明した。
しかしながら、本発明においては必ずしもこれに限られず、第4の制御手段は例えば吸気弁の作用角が縮小するように吸気側可変動弁機構を制御してもよい。この場合には、吸気弁の閉弁時期を例えば吸気圧縮行程間の下死点よりも早くするようにして通常よりも早くすることができ、これによって吸入空気量を減少させることでエンジンの実圧縮比を下げることができる。
また、第4の制御手段は例えばエンジンが実圧縮比を機械的に変更可能な可変圧縮比機構を備えたエンジンである場合に、実圧縮比が低下するように当該可変圧縮比機構を制御してもよい。
また、推定手段や変更手段や制御手段などの各種の手段は主にエンジン50を制御するECU1で実現することが合理的であるが、例えばその他の電子制御装置や専用の電子回路などのハードウェアやこれらの組み合わせによって実現されてもよい。同様に各種の手段が複数の処理ないし動作を行う場合の各処理や各動作についても、例えば複数の電子制御装置や、電子回路等のハードウェアや、電子制御装置と電子回路等のハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
1 ECU
10 ウォータポンプ
21 Rh冷却アダプタ
22 Lh冷却アダプタ
23 Rh触媒
50 エンジン
55 吸気側VVT
56 排気側VVT
81 排気還流管
82 還流流量調節弁
100 冷却装置

Claims (2)

  1. 複数の冷媒循環経路に共通の冷媒を圧送する冷媒圧送装置と、
    前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路にエンジン本体が組み込まれるとともに、排気再循環が行われるエンジンと、
    前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路に組み込まれ、且つ流通する冷媒で前記エンジンの排気系を冷却する排気系冷却手段と、
    前記複数の冷媒循環経路のうち、少なくとも1つの冷媒循環経路に組み込まれ、流通する冷媒を冷却する冷却器と、
    前記排気系冷却手段で排気から受熱する受熱量、または当該受熱量の積算値である積算受熱量のうち、少なくともいずれか一方を推定する推定手段と、
    再循環される排気の量に応じて、前記受熱量、前記積算受熱量、または前記受熱量或いは前記積算受熱量に係る判定値のうち、少なくともいずれかを変更する変更手段と、を備えたエンジンの冷却装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの冷却装置であって、
    前記エンジンの吸気弁のバルブ特性を可変にする吸気側可変動弁機構と、
    前記受熱量または前記積算受熱量が所定値よりも大きい場合に、前記吸気弁の開弁時期を進角させるように前記吸気側可変動弁機構を制御する制御手段である第2の制御手段と、
    前記第2の制御手段が制御を行った場合に、前記エンジンの実圧縮比を低下させるための制御を行う制御手段である第4の制御手段と、をさらに備えたエンジンの冷却装置。
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