JP2011006841A - コンクリート片剥落防止ネットおよびその施工方法 - Google Patents

コンクリート片剥落防止ネットおよびその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート面の形状を選ばず施工が可能であり、コーナー部や複雑形状の壁面でも適用でき、施工作業が容易で作業時間が短くてすむコンクリート片剥落防止ネットおよびその施工方法を提供する。
【解決手段】補強筋3を網状に形成したメッシュシートであって、本体部1の網目は、目開きが5〜20mmであり、本体部1の両端における端縁2の網目は、目開きが0.5〜2mmであり、補強筋3は、芯線がビニロン繊維である。合成樹脂被膜が、PVC被膜である。コンクリート片剥落防止ネットAの上方の端縁の裏面を接着剤層4で施工コンクリート面に仮止めし、コンクリート片剥落防止ネットAの本体部1を施工コンクリート面に沿わせ、コンクリート片剥落防止ネットAの下方の端縁2の裏面を接着剤層4で仮止めし、ついで両方の端縁2の適所および本体部1の適所をアンカーボルト5で施工コンクリート面に固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート片剥落防止ネットおよびその施工方法に関する。さらに詳しくは、橋、トンネル、建物、煙突、給水槽等のコンクリート構造物からコンクリート片の剥落を防止するための技術に関する。
従来のコンクリート片剥落防止方法として、特許文献1の技術がある。
この従来技術は、FRP格子筋を用いるもので、これを図7に基づき説明する。
FRP格子筋100は、直交して格子状に配置された縦補強筋101と横補強筋102とからなる。各補強筋101、102は、主にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維を芯材として、ビニルエステル系樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させたものを複数積層し、硬化して形成されたものである。このFRP格子筋100は、通常、補強筋幅(w)が3〜10mm、厚さ(t)が1〜5mm、であり、格子間距離(W1)が30〜150mmとされている。
上記の従来例では、補強筋101、102を格子状に配置して形成されたFRP格子筋100を、アンカーボルト101を用いてコンクリート面に固定してコンクリート片の剥落を防止するようにされる。すなわち、FRP格子筋100をコンクリート面に重ねた後、FRP格子筋100の少なくとも1升分に相当する外形状をなし中央部に凹部を備えたワッシャー102を、凹部がコンクリート面側に窪んだ状態になるように、FRP格子筋100の外表面に適合し、次いで、ワッシャー102の凹部に形成した貫通孔を貫通してアンカーボルト101をコンクリート面に打ちこみ、ワッシャー102を介してFRP格子筋100をコンクリート面に固定する。
特許文献1では、上記のFRP格子筋100に、目の細かい網を重ねて用いる方法も開示されている。この場合、網目が細かいポリエステル製網状物103を、升目の大きいFRP格子筋100の下に重ねて、即ち、FRP格子筋100とコンクリート構造物との間に配置して、拡張式アンカーボルト101及びワッシャー102を用いてコンクリート構造物に取り付けている。網状物103の網目の大きさは一目の大きさがFRP格子筋100の升目より小さく、升目である正方形の1辺が30〜150mmのFRP格子筋100に対して、網状物3の升目は1辺1〜25mmのものが用いられている。
ところが、上記従来技術では、以下のような問題がある。
(1)FRP格子筋100が高い硬度をもつ部材であるので、平坦な大きな平面か、あるいはトンネル内壁のような大きな曲率で湾曲した曲面にしか適用することができなかった。
(2)FRP格子筋100が硬く曲がりにくい部材であるので、直角に近いコーナーや曲率の小さいパイプ、柱部分には設置することができない。また、形状が複雑な部分には、予め形を合わせて切断しておいた部材を取付けることになるが、この場合、現場合せで施工するため、施工上の手間が大変であった。
(3)FRP格子筋100は硬く曲がりにくい部材であるので、扱いにくく、施工が困難であり、施工に長時間を要していた。
(4)FRP格子筋100は格子間隔が比較的大きいので、小さいコンクリート片の落下は防止できなかった。仮にポリエステル製網状物103を用いても、これは強度が弱いので、すぐ破れ、用をなさないことが多かった。
特開2006−9266号公報
本発明は上記事情に鑑み、コンクリート面の形状を選ばず施工が可能であり、コーナー部や複雑形状の壁面でも適用でき、施工作業が容易で作業時間が短くてすみ、しかも大きなコンクリート片から小さなコンクリート片まで落下を防止できるコンクリート片剥落防止ネットおよびその施工方法を提供することを目的とする。
第1発明のコンクリート片剥落防止ネットは、補強筋を網状に形成したメッシュシートであって、本体部の網目は、目開きが5〜20mmであり、該本体部の両端における端縁の網目は、目開きが0.5〜2mmであり、前記補強筋は、芯線がビニロン繊維であることを特徴とする。
第2発明のコンクリート片剥落防止ネットは、第1発明において、前記補強筋は、芯線の外周に耐候性のある合成樹脂被膜を形成していることを特徴とする。
第3発明のコンクリート片剥落防止ネットは、第2発明において、前記合成樹脂被膜がPVC被膜であることを特徴とする。
第4発明のコンクリート片剥落防止ネットは、第1、2または第3発明において、前記メッシュシートにおける端縁の裏面には、接着剤層が形成されていることを特徴とする。
第5発明のコンクリート片剥落防止ネットの施工方法は、補強筋を網状に形成したメッシュシートであって、本体部の網目は、目開きが5〜20mmであり、該本体部の両端における端縁の網目は、目開きが0.5〜2mmであり、前記補強筋は、芯線がビニロン繊維であり、前記メッシュシートにおける端縁の裏面には、接着剤層が形成されているコンクリート片剥落防止ネットを用い、該コンクリート片剥落防止ネットの上方の端縁の裏面を接着剤層で施工コンクリート面に仮止めし、該コンクリート片剥落防止ネットの本体部を施工コンクリート面に沿わせ、該コンクリート片剥落防止ネットの下方の端縁の裏面を接着剤層で仮止めし、ついで両方の端縁の適所および本体部の適所をアンカーボルトで施工コンクリート面に固定することを特徴とする。
第1発明によれば、芯線がビニロン繊維であるシートは柔軟性に富むので、平面や大きい曲率の湾曲面はもとより、小さい曲率の屈曲面や複雑な形状のコンクリート面にも、これを沿わせて、隙間なく取付けることができる。また、シート自体の柔軟性により取扱いが容易なので施工が容易である。また、端縁は、網目が細かいので、アンカーボルトを通しても破れることなく、コンクリート片剥落防止ネットをしっかり固定できる。そして、本体部分は網目が大きいので重量が軽くなるが、小さなコンクリート片でも通過は許容しない升目であり、強度も高いので、コンクリート片の大小に拘らず、その剥落を有効に防止できる。
第2発明によれば、補強筋の外周面は耐候性のある合成樹脂で被膜されているので、長期の使用によっても劣化することがない。よって、長期にわたってコンクリート片の落下を防止できる。
第3発明によれば、補強筋の外周面にPVC被膜が形成されるので、耐候性だけでなく、形状保持性が良いので施工性が良くなり、難燃性もあるので、火災等の熱によっても劣化しにくい。
第4発明によれば、コンクリート片剥落防止ネットの端縁の裏には接着剤層があるので、この接着剤層でシートを仮止めすることができる。仮止めであるから、多少の位置調整や貼り直しも可能であり、現場での施工性が高くなる。
第5発明によれば、コンクリート片剥落防止ネットは柔軟であるので、コンクリート面への取付けが容易に行える。また、端縁の接着剤層を使って仮止めするので、位置合わせが容易であり、施工を早く行える。アンカーボルト位置は、コンクリート内の鉄筋にアンカーボルトが当たった場合の対応のため、あるいはコンクリート面に密着させるために、端縁の位置では自由に横方向に、本体部では自由に網目間に移動させることができるので、施工が容易であり、固定も確実となる。
本発明の一実施形態に係るコンクリート片剥落防止ネットを施工した状態の正面図である。 同実施形態に係るコンクリート片剥落防止ネットを施工した状態の側面図である。 コンクリート片剥落防止ネットの一例の部分平面図である。 コンクリート片剥落防止ネットの一例の部分裏面図である。 (A)図はアンカーボルトの説明図、(B)図はアンカーボルトの打込み状態断面図である。 本発明に係るコンクリート片剥落防止ネットの施工方法の説明図である。 従来のコンクリート剥落防止技術の説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2はコンクリート片剥落防止ネットAを高速道路の高架橋Bgに施工した場合を示している。Wは塀、Rは道路、Cは橋柱である。塀Wの外面は垂直壁Wvと傾斜壁Wiを有している。また、塀Wには、その上面に設けるフェンス(図示せず)を支える支柱Pが取付けられている。
コンクリート片剥落防止ネットAは、塀Wの外面である垂直壁Wvと傾斜壁Wiに施工されている。このように、垂直壁Wvから傾斜壁Wiにかけて、ほぼ密着するように取付けておくと、コンクリートの剥落が生じてもコンクリート片が下に落下することがない。
上記したコンクリート片剥落防止ネットAを、図3および図4に基づき説明する。
図3はコンクリート片剥落防止ネットAの一部分を示す平面図であり、1は本体部、2は端縁である。図は一部分のみ示しているが、実際のコンクリート片剥落防止ネットAは四角形のシート状物であって、縦の寸法が1.5〜2.1m位、横の寸法が2〜50m位である。
なお、この寸法は施行作業や運搬等の容易さか決められるものであり、発明としては、その寸法に制限はない。
本体部1の両端(たとえば、上下の両端)は、端縁2となっている。本体部1も端縁2も補強筋3を網状に形成したメッシュシートであるが、升目の大きさが異なっている。本体部1の目開きS1は縦横とも5〜20mmであり、とくに10mm位が好ましい。これに対し、端縁2の目開きS2は、縦横とも0.5〜2mm位であり、とくに1mm位が好ましい。
本体部1の目開きは、余り詰んでいないが、これは重量を軽くすると共に、小さなコンクリート片でも抜け落ちないようにするため選択された数値である。また、この本体部の目開きは、ネット設置後、コンクリートの劣化が進行し、コンクリート片の剥落が赤外線写真を通して確認できるように選択した数値である。
端縁2の目開きは、アンカーボルトを貫通させても破れることなく、コンクリート面にコンクリート片剥落防止ネットAを固定する強度を与えるため選択された数値である。
補強筋3は芯線がビニロン繊維からなる。ビニロン繊維製の芯線は、柔軟性に富み、しかも引張り強度が高いという特徴がある。
柔軟性が高いということは、屈曲性に富むということであり、曲率の小さいコーナー部や円柱などにも適用できることを意味する。また、引張り強度が高いということは、大きなコンクリート片の重量にも耐えて落下を防止でき、コンクリート片のエッジで破れることも防止できる。
補強筋3はビニロン繊維を芯線31として、その外周面にPVC被膜32を形成している。
PVC被膜は、耐候性に優れるので長期にわたって劣化することがない。また、形状保持性が良いので、施工に際して作業がし易くなる。さらに、難燃性があるので、火災にあったり太陽熱が高熱を蓄えたとしても劣化しにくくなる。
なお、芯線31の被膜としては、PVCに限らず、同様の性能を有するもの、あるいは耐候性を有するもの、たとえばシリコン樹脂、フッ素樹脂などで被覆してもよい。
本実施形態では、補強筋3は、被膜付きの芯線31を2本合わせて1本の補強筋としている。2本にすると、強度が高くなるが、これに限ることなく、1本であってもよく、3本をまとめてもよい。
また、2本の被膜付き芯線31は、互いに縒り合わせてもよく、平行に配置しただけのものでもよい。
図4の裏面図に示すように、端縁2の裏面には接着剤層4が形成されている。この接着剤層4はコンクリート片剥落防止ネットAをコンクリート面に仮止めするために設けられている。接着剤層4を形成するためには、適当な接着剤を塗布してもよく、両面テープを貼付してもよい。
この接着剤層4はコンクリート片剥落防止ネットAの重量を支えた後でアンカーボルトを打ち込むまでの間ズレ落ちないように保持するだけの接着力があればよい。
図には示していないが、接着剤層4は、本体部1の両端(たとえば上下の端)の双方に形成するとよい。しかし、一方の端部にのみ接着剤層4を形成したものも、本発明に含まれる。
図5(A)はアンカーボルト5を示している。
このアンカーボルト5は、中空の筒体51を有し、その先端には割れ目52が形成されている。筒体51の内部には栓体53が挿入されている。55はプレート、56はワッシャーである。プレート55は、一辺が60mm程度の四角形の大形座金である。
図5(B)はこのアンカーボルト5の使用状態を示している。
コンクリート壁Cwにドリルで孔をあけ、コンクリートCwに本発明のコンクリート片剥落防止ネットAを置き、プレート55とワッシャー56を介在させて、孔の内部にアンカーボルト5を挿入する。そして、栓体53を専用工具でたたき込むと、割れ目52が開いてボルト先端部に広がる。続いて、筒体51の基端から液状の固化剤57を注入すると筒体51の内外に固化剤57が充満する。
その後、固化剤57が硬化すると、先端が開いているアンカーボルト5は抜けることがない。また、外部から雨水等がコンクリート内に入らないので、内部の鉄筋の腐食も防止できる。なお、アンカーボルト5は、上記に限ることなく、同様の機能を果すものであれば、とくに制限なく利用することができる。
つぎに、図6に基づき、コンクリート片剥落防止ネットAの施工方法を説明する。
同図(A)は、塀Wの外側の垂直壁Wvにコンクリート片剥落防止ネットAの上端を仮止めした状態である。この仮止めは、上端縁の接着剤層4で止めればよい。仮止め状態では、貼り直しも可能なので、所望の位置に正確に接着することができる。この状態では、まだコンクリート片剥落防止ネットAの下端は垂れ下がっている。
つぎに(B)図に示すように、コンクリート片剥落防止ネットAの上端縁にアンカーボルト5を打ち込み、本固定する。このときのアンカーボルト5の打ち込み場所は、コンクリート健全部を選ぶが、上端縁は横方向に長く延びているので、健全部の選択は容易である。そして、コンクリート片剥落防止ネットAの下方部分を傾斜壁Wiの下面に沿わせ、下端縁を接着剤層4で仮固定する。
そして、最後に下端縁もアンカーボルト5で本固定する。
なお、アンカーボルト5による固定は、上下の端縁だけでなく、左右の端縁、そして本体部1の内部の適所もコンクリート片剥落防止ネットAの大きさや施工コンクリート面の形状に応じて、適宜行えばよい。
また、上記方法では、コンクリート片剥落防止ネットAの上端縁を本固定した後で下端縁を仮固定し、ついで本固定をしたが、上下の両端縁を共に仮固定した後で、本固定に進んでもよい。この場合は、位置決めを正確に行いやすい。
本実施形態のコンクリート片剥落防止ネットでは、補強筋3の芯線がビニロン繊維であるのでシートは柔軟性に富み、平面や大きい曲率の湾曲面はもとより、小さい曲率の屈曲面や複雑な形状のコンクリート面にも、これを沿わせて、隙間なく取付けることができる。また、シート自体の柔軟性により取扱いが容易なので施工が容易である。また、端縁2は、網目が細かいので、アンカーボルト5を通すことによって、コンクリート片剥落防止ネットをしっかり固定できる。そして、本体部1は網目が大きいので重量が軽くなるが、小さなコンクリート片でも通過は許容しない大きさであり、強度も高いので、コンクリート片の剥落を有効に防止できる。
上記実施形態では、高架橋への適用を説明したが、これに限ることなく、トンネルや給水槽、建物などのどのようなコンクリート構造物にでも本発明を適用することができる。
1 本体部
2 端縁
3 補強筋
4 接着剤層
5 アンカーボルト

Claims (5)

  1. 補強筋を網状に形成したメッシュシートであって、
    本体部の網目は、目開きが5〜20mmであり、
    該本体部の両端における端縁の網目は、目開きが0.5〜2mmであり、
    前記補強筋は、芯線がビニロン繊維である
    ことを特徴とするコンクリート片剥落防止ネット。
  2. 前記補強筋は、芯線の外周に耐候性のある合成樹脂被膜を形成している
    ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート片剥落防止ネット。
  3. 前記合成樹脂被膜がPVC被膜である
    ことを特徴とする請求項2記載のコンクリート片剥落防止ネット。
  4. 前記メッシュシートにおける端縁の裏面には、接着剤層が形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のコンクリート片剥落防止ネット。
  5. 補強筋を網状に形成したメッシュシートであって、本体部の網目は、目開きが5〜20mmであり、該本体部の両端における端縁の網目は、目開きが0.5〜2mmであり、前記補強筋は、芯線がビニロン繊維であり、前記メッシュシートにおける端縁の裏面には、接着剤層が形成されているコンクリート片剥落防止ネットを用い、
    該コンクリート片剥落防止ネットの上方の端縁の裏面を接着剤層で施工コンクリート面に仮止めし、
    該コンクリート片剥落防止ネットの本体部を施工コンクリート面に沿わせ、
    該コンクリート片剥落防止ネットの下方の端縁の裏面を接着剤層で仮止めし、
    ついで両方の端縁の適所および本体部の適所をアンカーボルトで施工コンクリート面に固定する
    ことを特徴とするコンクリート片剥落防止ネットの施工方法。
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