以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である遊技機1の外観構成を示す斜視図であり、遊技機1の正面側を斜め下方から観た図である。本実施形態の遊技機1は、ホール(店舗)の島設備などに固定される本体枠2と、その本体枠2の正面側に設けられた前枠部材3とを備えている。前枠部材3は、本体枠2の左端部に設けられた支持部2a,2bによって所定の鉛直軸周りに開閉可能に軸支される。また前枠部材3は、その中央に、本体枠2の内側に設けられる遊技盤20(図11参照)の遊技領域21を視認可能にするための透明板ユニット4が嵌め込まれた窓部5を有している。
また前枠部材3は、窓部5の下方において、遊技機1の正面側に張り出した状態に形成された球受け部6を有している。この球受け部6の上面には、遊技機1から払い出される賞球を受けるための凹状に形成された球受け皿が設けられている。また球受け部6の上面には、図示を省略する演出ボタンなども設けられている。この球受け部6の右下部には、遊技者が操作するハンドルレバー7が設けられている。遊技者が、このハンドルレバー7を時計方向に回転操作すると、遊技球発射機構が作動し、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤20の遊技領域21に所定の時間間隔で打ち出される。その遊技球が遊技盤20に設けられた各種入賞口に入球すると、それに応じた賞球が球受け皿に払い出される。
また前枠部材3は、窓部5の左右両側に複数のLEDなどが縦方向に配列された枠ランプ11を備えている。また前枠部材3は、その上部が正面側に張り出した膨出部3aとなっており、この膨出部3aの左右両側に一対のスピーカ10が設けられており、その中央に枠ランプの一種である上部ランプ12が設けられている。この上部ランプ12は、遊技の進行状態に応じた演出を行うため、光の照射方向を縦方向又は横方向に揺動させることができるようになっており、その駆動機構は膨出部3aの内部に設けられている。また前枠部材3は、球受け部6の下方も正面側に張り出した膨出部3bとなっており、この膨出部3bの中央に枠ランプの一種である下部ランプ13が設けられている。この下部ランプ13もまた、遊技の進行状態に応じた演出を行うため、光の照射方向を縦方向又は横方向に揺動させることができるようになっており、その駆動機構が膨出部3bの内部に設けられている。
そして図1に示すように、前枠部材3の上部に設けられた膨出部3aの下面側に、2つの距離センサ9a,9bが距離測定手段9として設けられている。距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体を検知し、その物体までの距離を測定する。これら2つの距離センサ9a,9bは、膨出部3aにおいて左右対称の位置に設けられ、その本体は膨出部3aの内側に保持されている。また距離センサ9a,9bは、膨出部3aの下面から透明板ユニット4の表面側空間を臨む状態に取り付けられ、それぞれのセンサが独立して透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を非接触で測定する。距離センサ9a,9bによって測定対象となる物体は、例えば遊技者の手などである。このような距離センサ9a,9bとしては、例えば超音波センサや光センサなどの非接触式センサを用いることができるが、本実施形態ではその一例として超音波センサを採用する場合を示している。つまり、距離センサ9a,9bはそれぞれ、透明板ユニット4の表面に沿って超音波を送信することにより、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定するように構成される。
また前枠部材3の窓部5の周縁部には、図1に破線で示すように、磁石による不正行為を検知するためのコイル8が設けられている。コイル8は、透明板ユニット4に対して磁石が接近する方向又は離反する方向に移動すると、それに伴って比較的大きな誘導起電力を発生するように窓部5の周縁部に沿って所定回数巻き回された状態に配置される。このコイル8は前枠部材3の内部に配線しても良いが、本実施形態では窓部5に嵌め込まれる透明板ユニット4の周縁部に沿って配線されており、その詳細については後述する。
次に図2は、距離測定手段9である距離センサ9a,9bの詳細な一構成例を示す図である。各距離センサ9a,9bは、平板状のベース部材14と、そのベース部材14のほぼ中央に設けられる超音波送信器15と、超音波送信器15を挟んで対称な位置に設けられる2つの超音波受信器16,17とを備えている。例えば、超音波送信器15および超音波受信器16,17のそれぞれは同一の圧電素子を備えて構成される。
超音波送信器15は、積層構造の圧電体に対して所定周波数(例えば40kHz)のパルス電圧が加えられることにより、素子の表面15aからそのパルス電圧の周波数に対応した超音波を送出する。このとき、超音波送信器15は、圧電素子の中心軸を基準に所定角度θの範囲内に超音波を送出する。この角度θは、使用する圧電素子を変更することにより適宜設定することが可能であるが、本実施形態においては前枠部材3の膨出部3aの下面側から透明板ユニット4が設けられている領域のほぼ全体が超音波送出範囲内となるように設定することが好ましい。
超音波受信器16,17は、超音波送信器15から送出された超音波が透明板ユニット4の表面近傍において物体に当たって反射した反射波を受信するためのものである。超音波受信器16,17の表面16a,17aに超音波が入射すると、それに伴って積層構造の圧電体が振動するので、各超音波受信器16,17は受信した超音波の周波数に対応したパルス信号(電圧)を発生させる。そして後述するように、超音波送信器15が超音波を送信したタイミングと、超音波受信器16,17が超音波を受信したタイミングとの時間差により、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を測定するように構成される。
ここで各超音波受信器16,17と超音波送信器15とは互いに同一の圧電素子によって構成されているため、各超音波受信器16,17が感度を有する超音波の入射角度範囲は、超音波送信器15の送出角度θとほぼ同等となる。そのため、図2に示すように、2つの超音波受信器16,17を、超音波送信器15を中心とする対称的な位置に設けることにより、これらの配列方向において反射波の受信可能領域を拡げることができ、超音波送信器15が送出する超音波の到達範囲内から反射してくる反射波を漏れなく検知することができるようになる。
上記構成の距離センサ9a,9bは、図1に示すように超音波受信器16、超音波送信器15および超音波受信器17の配列方向が透明板ユニット4の表面とほぼ平行になるように設けられている。そのため、2つの超音波受信器16,17による超音波の受信可能領域は透明板ユニット4の表面とほぼ平行な方向に拡がっており、透明板ユニット4の表面近傍において、超音波送信器15による超音波の送出範囲から反射してくる反射波を漏れなく受信することが可能である。
尚、上記においては、超音波送信器15と超音波受信器16,17とを同一の圧電素子で構成する場合を例示した。これらを同一の圧電素子で構成することにより、部品の種類を減らすことができるので、距離センサ9a,9bのコストを抑制することができるという利点があるが、必ずしもそれらを同一の圧電素子で構成することに限定するものではない。例えば、超音波送信器によって超音波が送出される角度範囲θよりも広い入射角度範囲に感度を有する超音波受信器を用いれば、各距離センサに設ける超音波受信器の数を1つにすることができる。
図3は、距離センサ9aの取り付け状態を示す遊技機上部の概略縦断面図である。尚、距離センサ9bの取り付け状態についてもこれと同様である。図3に示すように距離センサ9aは、前枠部材3の上部に張り出し形成された膨出部3aの内部所定箇所に固定されている。膨出部3aの下面3cには、距離センサ9aが設けられた位置に対応して3つの孔18が設けられている。距離センサ9aの超音波送信器15および超音波受信器16,17はそれら3つの孔18に配設されており、それぞれの表面15a,16a,17aが膨出部3aの下面3cとほぼ面一となる状態に取り付けられている。そのため、遊技機1を正面から観た場合でも、距離センサ9aは目立たない取り付け態様となっている。
また図3に示すように距離センサ9aの超音波送信器15および超音波受信器16,17の軸方向(圧電素子の積層方向)は、側面視において透明板ユニット4とほぼ平行である。そのため、距離センサ9aは、透明板ユニット4の表面に沿って超音波を送出する。
また図1に示すように各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の中央部に向けて超音波を送出すべく、超音波送信器15および超音波受信器16,17の軸方向が正面視において若干左右方向に傾斜した状態となっている。そのため、各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の表面のほぼ全体に向けて超音波を送信可能となっており、透明板ユニット4の表面近傍の任意の位置にある物体を検知することができる。
また図3に示すように、透明板ユニット4は、本体枠2に保持される遊技盤20を視認可能にする透明板40と、その透明板40の周縁部に沿って設けられた保持部43とを備えている。透明板40は、遊技盤20の正面側において、前後方向に所定間隔を隔てて配置された2枚の透明ガラス板41,42を備えて構成される。このうち、第1の透明ガラス板41は、遊技中、遊技者側に位置する透明ガラス板である。また第2の透明ガラス板42は、遊技中、遊技盤20側に位置する透明ガラス板である。保持部43は、それら2枚の透明ガラス板41,42が所定間隔を隔てた平行な状態となるようにそれらの周縁部を保持するものである。また保持部43には、コイル8が敷設されている。そして図3に示すように、透明板ユニット4は、前枠部材3の窓部5に対し、前枠部材3の背面側から嵌め込まれた状態で固定される。
図4は、透明板ユニット4の詳細構成を説明するためにその一部を切断した状態の斜視図である。図4に示すように、透明板ユニット4の保持部43は、透明板40の周縁部に沿って設けられている。そして保持部43の上部には、左右2箇所の所定位置に、透明板ユニット4を前枠部材3に固定するためのフランジ部44が設けられている。また保持部43の下部には、右側の所定位置に、コネクタ45が設けられている。このコネクタ45には、保持部43に設けたコイル8が電気的に接続されている。
また図4において破線で示すように、コイル8は、2枚の透明ガラス板41,42の間に設けられ、透明板40を保持する保持部43に沿って所定回数巻き回された状態で配置されている。このコイル8は、遊技盤20の正面近傍における磁気を検知するためのものであるが、従来のリードスイッチ式磁気センサのような可動部(開閉式スイッチ)を有さないため、透明板ユニット4に対して衝撃などが作用した場合でも破損し難く、安定した磁気検知を行うことが可能である。
図5は、透明板ユニット4におけるコイル8の配置例を示す部分拡大断面図である。2枚の透明ガラス板41,42の周縁部を保持する保持部43は、透明ガラス板41と42との間隔を所定間隔に保持するため、2枚の透明ガラス板41,42の間に進入した状態に位置するスペーサ部43aを有している。
図5(a)の配置例では、保持部43のスペーサ部43aにおいて第2の透明ガラス板42と対向する表面に凹溝46が形成され、コイル8はその凹溝46に配置されている。凹溝46は、透明ガラス板41,42の周囲に沿って形成された環状溝であるため、コイル8をこの凹溝46に沿って巻き回すことにより、透明ガラス板41,42の略全体の領域をコイル8の内側に収めることができる。そして図5(a)に示すように、凹溝46をスペーサ部43aの第2の透明ガラス板42と対向する面に設けることにより、透明板ユニット4を前枠部材3に装着した遊技状態(図1に示す状態)では、遊技者がコイル8を視認することができないように配置することができる。また図5(a)に示す配置例において、コイル8は、第1の透明ガラス板41と第2の透明ガラス板42との間に設けられるので、これら透明ガラス板41,42によって保護された状態となっている。そのため、例えば悪意ある遊技者などによってコイル8が切断されることを防止することができる。尚、図5(a)では、スペーサ部43aの第2の透明ガラス板42と対向する表面に凹溝46を形成した場合を例示しているが、これとは反対側の表面、すなわち第1の透明ガラス板41と対向する表面に凹溝46を形成してそこにコイル8を配置しても構わない。
また図5(b)の配置例では、コイル8は、保持部43のスペーサ部43aの先端部に沿って配置されている。保持部43は2枚の透明ガラス板41,42の周縁部を保持する環状部材であるため、コイル8をスペーサ部43aの先端部に沿って巻き回すことにより、透明ガラス板41,42の略全体の領域をコイル8の内側に収めることができる。そしてコイル8をスペーサ部43aの先端部に接着剤などで固定することにより、遊技盤20の視認性を低下させることなく、コイル8を配置できる。尚、スペーサ部43aの先端部に上記と同様の凹溝を設け、そこにコイル8を配置しても良い。また図5(b)に示す配置例においても、コイル8は、2枚の透明ガラス板41,42の間に設けられるので、これら透明ガラス板41,42によって保護された状態となる。そのため、例えば悪意ある遊技者などによってコイル8が切断されることを防止することができる。
図6は、コイル8の一構成例を示す図である。コイル8は、例えば、複数の芯線8a〜8hを有するケーブルCBによって構成される。ケーブルCBは、例えば透明板ユニット4の保持部43に設けた凹溝46に収容可能な直径であり、その内側に収容されている複数の芯線8a〜8hにはそれぞれ絶縁被覆が施されており、各芯線8a〜8hが独立した導線となっている。このようなケーブルCBは、環状溝を構成する凹溝46の長さに応じて切断され、その両端に現れる各芯線8a〜8hが図6に示すように互い違いに接続されることにより、芯線の本数に応じた巻き数のコイル8が構成される。そしてケーブルCBの一方端部に現れる芯線8aと、他方端部に現れる芯線8hとは、互いにどの芯線とも接続されず、コイル8の両端部となる。つまり、コイル8に磁束変化が生じると、それに伴う誘導起電力は、ケーブルCBの一方端部の芯線8aと、他方端部の芯線8hとの間に現れる。そしてコイル8の両端部となる芯線8a,8hはそれぞれ、コネクタ45に接続される。尚、図例の場合、芯線の数が8本であるため、コイル8の巻き数は8となるが、必ずしもこれに限られるものではない。また上述したコイル8の構成は一例であって必ずしもそれに限定されるものでなく、上記構成とは異なるコイル8を採用しても良い。
図7は、透明板ユニット4におけるコネクタ45の部分を拡大して示す図である。コネクタ45は、遊技機1の正面側に対応する側からみた場合、図7(a)に示すように、コイル8に接続される2つの端子から成る電極45a,45bを備えている。図7(b)は、図7(a)におけるA−A線で切断した場合の断面図である。本実施形態では例えば、図7(b)に示すように保持部43とコネクタ45とが一体的に形成される。そして保持部43のスペーサ部43aに設けられたコイル8は、保持部43の内部に配線された導線19aによってコネクタ45の電極45a,45bに接続されている。つまり、導線19aは、保持部43の内部を通ってコイル8の両端部となる芯線8a,8hのそれぞれに接続されている。そのため、コイル8とコネクタ45の電極45a,45bとを接続する導線19aが、意図的に切断されることを防止することができる構造となっている。
次に図8は、透明板ユニット4を前枠部材3の窓部5に取り付ける態様を示す図である。前枠部材3は、その背面側において、窓部5の周縁部複数箇所に透明板ユニット4を固定するための係止部材47を備えている。これら複数の係止部材47のうち、窓部5の上部2箇所に設けられたものは、透明板ユニット4のフランジ部44に対応する位置に設けられている。また窓部5の右下部にも係止部材47が設けられている。透明板ユニット4を窓部5に嵌め込んで取り付ける場合、例えば図8に示すように複数の係止部材47のそれぞれをR方向に回動させた状態とし、その状態で透明板ユニット4を前枠部材3の背面側から窓部5に嵌め込む。そして透明板ユニット4を窓部5に嵌め込んだ後、複数の係止部材47をR方向とは逆方向に回動させることにより、各係止部材47を透明板ユニット4の周縁部に係合させて透明板ユニット4を固定することができる。尚、各係止部材47には、透明板ユニット4を前枠部材3に対して押圧付勢するようにバネなどの付勢手段を設けても良い。
また前枠部材3の背面側右下部には、コネクタ45の対となるコネクタ48が設けられている。例えば、コネクタ45が雄コネクタであれば、コネクタ48はそれと対になる雌コネクタである。このコネクタ48は、コイル8と電気的に接続するための2つの端子から成る電極49を備えている。そして透明板ユニット4が前枠部材3に装着されると、透明板ユニット4のコネクタ45は、前枠部材3の背面側右下部に設けられたコネクタ48に接続された状態となる。
つまり、前枠部材3に設けられたコネクタ48は、透明板ユニット4に設けられたコネクタ45と対応する位置にあり、図9に示すように、透明板ユニット4を前枠部材3の背面側から窓部5に嵌め込むことにより、透明板ユニット4のコネクタ45と前枠部材3のコネクタ48とが互いに接続されるようになり、その結果、コネクタ45に設けられた電極45a,45bと、コネクタ48に設けられた電極49とが互いに電気的に導通した接触状態となり、コイル8と前枠部材3に設けられた図示しない信号線とが導通する。
このように本実施形態では、透明板ユニット4を前枠部材3に装着すると、それに伴って、コネクタ45,48が互い接続され、コイル8が遊技機1と電気的に接続されるようになるので、コネクタ45,48を接続するための作業を別途行う必要がない。そのため、透明板ユニット4に設けられたコイル8を確実に遊技機1に接続することができると共に、透明板ユニット4の取り付け作業や交換作業などを効率よく行うことができるという利点がある。そして上記のようにして透明板ユニット4が前枠部材3に取り付けられると、遊技中の遊技者がコイル8に直接触れることができなくなる。
図10は、遊技機1の前枠部材3を開放した状態を示す図である。遊技者が遊技を行うときには、図1に示したように前枠部材3は本体枠2に閉じられ、施錠された状態となる。これに対し、例えば遊技中に遊技盤20の遊技領域21において球詰まりなどが生じると、店員が前枠部材3を解錠して図10に示すように前枠部材3を開放することにより、球詰まりなどを解消することができる。
図10に示すように、透明板ユニット4は、複数の係止部材47により、前枠部材3に対して押圧した状態で固定される。そのため、透明板ユニット4が窓部5に嵌め込まれた状態で固定されると、透明板ユニット4の周縁部と前枠部材3とが互いに密着し、仮に遊技者が透明板ユニット4を叩いたとしてもガタツキなどは生じない。また前枠部材3の開閉動作が繰り返し行われても、透明板ユニット4が前枠部材3から脱落することはない。
そして透明板ユニット4の右下部に設けられたコネクタ45は、前枠部材3に設けられたコネクタ48に接続された状態となり、コイル8は、前枠部材3から本体枠2に配線されたケーブル19bによって後述する制御機構と接続される。このケーブル19bは、図10に示すように、窓部5の下方において前枠部材3の回動軸近傍に配線され、前枠部材3から本体枠2の内側へと導かれる。
また前枠部材3の正面側に設けられた距離センサ9a,9bについても、これと同様である。すなわち、距離センサ9a,9bは、前枠部材3から本体枠2に配線されたケーブル19cによって後述する制御機構と接続される。そしてこのケーブル19cもまた、図10に示すように、窓部5の上方において前枠部材3の回動軸近傍に配線され、前枠部材3から本体枠2の内側へと導かれる。
このようにコイル8および距離センサ9a,9bに接続するケーブル19b,19cを前枠部材3の蝶着側(すなわち、支持部2a,2bによって規定される前枠部材3の回動軸近傍側)に引き回して本体枠2に配線することにより、これらの配線を目立たないように設置することができる。また上述したように、前枠部材3は遊技中においても店員による開閉操作が行われることがあるため、ケーブル19b,19cを前枠部材3の回動軸近傍に引き回して配線しておくことにより、これらケーブル19b,19cが前枠部材3の開閉操作を妨げることはない。また逆に、前枠部材3の開閉操作が行われた場合であっても、これらのケーブル19b,19cに負荷がかかることはなく、断線などの不具合が生じることを防止できる。
次に遊技機1の本体枠2の内側に設けられる遊技盤20の一例について説明する。図11は、遊技盤20の一例を示す正面図である。遊技盤20は、図11に示すように外側レール22と内側レール23とで囲まれた略円形の遊技領域21を有している。遊技者がハンドルレバー7を操作することによって発射される遊技球は、遊技領域21の左側に設けられた外側レール22と内側レール23の間の空隙から遊技領域21の内側に打ち出される。その遊技領域21の内側には、遊技盤20の略中央に位置するように画像表示ユニット24が設けられている。この画像表示ユニット24は、遊技盤20の略中央に形成された貫通孔に嵌め込まれ、ビスなどの固定手段によって遊技盤20に固定されている。
画像表示ユニット24は、その中央に、液晶ディスプレイなどで構成される画像表示器25を備えている。画像表示器25は、遊技の進行に伴って各種演出を行うための演出用画像や、遊技の進行とは関係なく遊技者に対して各種報知を行うための報知用画像などを表示する。また画像表示ユニット24は、画像表示器25の周囲に配置された演出用の各種盤ランプや可動役物などを備えている。
また遊技領域21には、画像表示ユニット24の周囲に配置された、多数の釘、スルーゲート、風車、各種入賞口、およびアウト口などの公知の部材が設けられている。そのため、遊技領域21に打ち出された遊技球は、多数の釘や風車などによって進路を変えながら遊技領域21を下方に向かって転動していき、スルーゲートを通過したり、各種入賞口に入球したり、或いはアウト口から排出される。
図例の場合、画像表示ユニット24の左側にスルーゲート29が設けられており、このスルーゲート29を遊技球が通過することにより、遊技機1において普通図柄の抽選が行われる。また画像表示ユニット24の下方には、始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28が設けられている。始動口26および電動チューリップ27は、遊技球が入球することによって所定球数の賞球を払い出す入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選が行われる入賞口である。つまり、始動口26および電動チューリップ27は、遊技機1において大当たり抽選を行うための条件となる入賞口である。電動チューリップ27はその左右に開閉する羽根部材を備えており、通常その羽根部材は閉じた状態となっている。そして遊技球がスルーゲート29を通過したことに伴って行われる普通図柄の抽選に当選すると、その左右の羽根部材が遊技状態に応じて所定時間および所定回数開放し、電動チューリップ27に遊技球が入球し易くなる。大入賞口28は、大当たり抽選において当選した場合、その当選した当たりの種類に応じて所定回数開閉する入賞口である。大入賞口28の開放中に遊技球が大入賞口28に入球すると、その入球数に応じて賞球の払い出しが行われる。また遊技領域21の最下部には、いずれの入賞口にも入球しなかった遊技球を遊技盤20の背面側に排出するためのアウト口21aが設けられている。
遊技領域21の外側で遊技盤20の右下部には、例えば複数のLED発光素子によって構成される表示器30が設けられている。この表示器30は、例えば、普通図柄の抽選結果を表示する普通図柄表示器31と、普通図柄抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器32と、大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する特別図柄表示器33と、大当たり抽選の保留数を表示する特別図柄保留表示器34とを有している。すなわち、表示器30は、遊技の進行に伴う普通図柄抽選の結果および大当たり抽選の結果を表示するためのものである。このような表示器30は、画像表示器25と比較すると表示サイズが小さく、しかも、遊技者にとって各種抽選結果を把握しにくい態様で表示が行われる。そのため、遊技者は、通常、画像表示器25に表示される演出用の画像を視認しながら遊技を行うことになる。
例えば、遊技領域21に打ち出された遊技球が、始動口26又は電動チューリップ27に入球すると、遊技機1は上述したように大当たり抽選を行う。そして遊技機1は、特別図柄表示器33を作動させて特別図柄の変動表示を所定時間行い、所定時間経過後に変動表示を停止させて大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。大当たり抽選において当選する当たりの種類として、例えば「大当たり」と「小当たり」とがあり、大当たりに当選している場合、特別図柄表示器33は特別図柄の変動表示を開始してから所定時間が経過した後、その大当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止する。また小当たりに当選している場合、特別図柄表示器33は特別図柄の変動表示を開始してから所定時間が経過した後、その小当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止する。ただし、大当たりと小当たりのそれぞれに対応する特別図柄は、一見してそれらを区別して把握することが困難な図柄(表示態様)となっている。
一方、画像表示器25では、特別図柄表示器33における特別図柄の変動表示中に、例えば数字などが付された3列の装飾図柄の変動表示が行われる。この装飾図柄の変動表示中は、遊技機1において予告演出やリーチ演出などの各種演出が行われることがある。例えば3列の装飾図柄のうち、2列の装飾図柄が揃った状態で停止すると、リーチ演出に移行し、画像表示器25においてリーチ演出用の動画像などが表示される。また装飾図柄の変動表示中或いはリーチ演出中の所定の演出タイミングで、遊技者が遊技盤20の正面側の透明板ユニット4の表面近傍に手をかざしたり、或いは手を移動させると、その手の位置や移動方向などが距離センサ9a,9bによって検知され、画像表示器25は、その遊技者の手の位置や手の移動方向などに応じた演出を行うことがある。そして3列の装飾図柄の変動表示は、特別図柄表示器33における特別図柄の変動表示の停止と同時に或いはその直前に停止し、大当たり抽選の結果を遊技者に報知する。例えば、大当たりに当選していれば、3列の装飾図柄は「7,7,7」などのように全て揃った状態で停止するので、遊技者は大当たりに当選したことを把握することができる。
大当たり抽選において大当たりに当選すると、遊技機1は大当たり遊技(特別遊技状態)に移行し、大入賞口28が開閉する。この大当たり遊技では、例えば、大入賞口28を開放する1回当たりの開放時間が所定時間(例えば30秒など)に設定され、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口28を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。したがって、大当たり遊技において大入賞口28に多くの遊技球を入球させることにより、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
また大当たり抽選において小当たりに当選した場合、遊技機1は小当たり遊技に移行し、この場合も大入賞口28が開閉する。ただし、小当たり遊技では、大入賞口28を開放する1回当たりの開放時間が大当たり遊技と比較して短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そのため、小当たり遊技では、大当たり遊技の場合と同様に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口28を閉鎖するようになっているものの、通常は小当たり遊技中に開放される大入賞口28に、そのような多くの遊技球を入球させることは難しく、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となっている。
上記のような遊技盤20は、遊技中、前枠部材3の窓部5に嵌め込まれた透明板ユニット4を介して遊技者が視認可能なようになっており、特に遊技盤20における遊技領域21の略全体を視認することができる。
図12は、本実施形態における遊技機1を正面から観た図である。遊技者は、図12に示す状態で、前枠部材3の窓部5を介して遊技領域21に打ち出される遊技球の挙動や、画像表示器25における装飾図柄の表示などに注目しつつ遊技を行う。
図12に示すように、前枠部材3の上部において透明板ユニット4の表面側を臨むようにして左右対称な位置に取り付けられた一対の距離センサ9a,9bはそれぞれ、前枠部材3の上部から所定角度θの範囲内に超音波を送出し、遊技盤20の盤面のほぼ全体(特に遊技領域21のほぼ全体)に超音波を送出する。透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などが存在しない場合、各距離センサ9a,9bから送出される超音波は、前枠部材3の下部に設けられた球受け部6やその他の窓部5の周縁部で反射し、それらの反射波が各距離センサ9a,9bに入射する。つまり、透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などの物体が存在しない状態では、各距離センサ9a,9bが受信する反射波は、常に一定の状態(定常状態)となっている。
これに対し、透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などの物体が存在する場合、各距離センサ9a,9bが受信する反射波には、その物体で反射した反射波が含まれるため、定常状態とは異なった状態となる。そこで遊技機1は、各距離センサ9a,9bが受信する反射波のうちから定常状態とは異なる反射波を、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体からの反射波として抽出し、各距離センサ9a,9bが超音波を送出したタイミングと、物体からの反射波を受信したタイミングとの時間差により透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を測定する。ここで各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を個別に測定するため、距離センサ9aからは第1の距離情報L1が得られ、距離センサ9bからは第2の距離情報L2が得られる。そして各距離センサ9a,9bが設置されている位置情報と、測定によって得られる第1および第2の距離情報L1,L2とに基づいて演算を行うことにより、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体の2次元的な位置(遊技盤面上における座標位置)を検出するように構成される。
そして遊技機1は、上記のようして検出される遊技盤面上での物体(遊技者の手)の位置情報を、遊技盤面上での遊技者の手の位置や移動方向などに対応した演出を実行するための情報として用いると共に、磁石による不正行為が行われているか否かを判定するためのひとつの情報として用いる。
例えば、位置情報を演出制御に用いる場合、遊技機1は、上記のようにして検出される物体の位置情報(つまり、遊技者の手の位置情報)に基づいて画像表示器25における演出画像を変化させたり、或いは可動役物を作動させたり、ランプを点灯させるなど、演出内容を異なった内容に変化させるように制御する。また各距離センサ9a,9bが比較的短い周期で測定動作を繰り返し行うことにより、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体が遊技盤面上を移動する場合でも、その移動をほぼリアルタイムで検知することも可能である。そのため、遊技機1は、遊技盤面上における遊技者の手の移動方向に合わせて演出内容を異なった内容に変化させることもできる。
ところで、本実施形態の遊技機1は、遊技領域21に打ち出された遊技球が、始動口26や電動チューリップ27に入球すると、上述したように賞球の払い出しを行うと共に、それを条件として大当たり抽選を1回行う。そのため、例えば磁石を用いて遊技球を不正に誘導するような不正行為を行う遊技者は、獲得する賞球数を増やそうとして、或いは、大当たり抽選の機会を増やそうとして、始動口26や電動チューリップ27に磁石を接近させる動作を行う。
また大当たり抽選に当選した場合の大当たり遊技中又は小当たり遊技中は、大入賞口28が開放される。大当たり遊技又は小当たり遊技では、上述したように開放中の大入賞口28に所定球数の遊技球が入球すると、大入賞口28が閉鎖する。ところが、所定球数をカウントするまでに所定球数を超えて大入賞口28に入球した場合には、所定球数を超える分に対しても賞球が払い出される。そのため、磁石を用いて不正行為を行う遊技者は、大当たり遊技中或いは小当たり遊技中、獲得する賞球数を増やそうとして大入賞口28に磁石を接近させる動作を行う。
そこで本実施形態では、図12に破線で示すように、遊技盤面上において始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28を含む領域R1を不正検知領域としており、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に物体が検知された場合、その物体が不正検知領域R1に位置していることを条件として、遊技者による不正行為が行われている可能性があることを検知する。尚、図12では、少なくとも始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28を含む比較的小さな領域を不正検知領域R1として設定しているが、不正検知領域R1として設定する領域は図例のものに限られるものではなく、例えば遊技領域21のほぼ全域を不正検知領域R1としても良い。
一方、前枠部材3の窓部5の周縁部に沿って巻き回されたコイル8は、図12に破線で示すように配置されている。このコイル8は、遊技球が転動する遊技領域21のほぼ全体をその内側に収めているため、遊技盤面上のどの領域であっても、遊技者が透明板ユニット4に磁石を接近させようとすると、それによってコイル8を貫く磁束が変化する。その結果、コイル8にはその磁束変化を打ち消す方向に誘導起電力が発生する。そして遊技機1は、コイル8に発生する誘導起電力を検知することを条件として、遊技者による磁石を使用した不正行為が行われている可能性があることを検知する。
そして本実施形態の遊技機1は、コイル8に発生する誘導起電力に基づいて透明板ユニット4の表面近傍での磁気の変化を検出しており、且つ、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体(遊技者の手など)が遊技盤面上の不正検知領域R1に位置していることを検出している状態のとき、遊技者によって行われている動作が不正行為である可能性が高い不正動作検知状態として判断する。ただし、遊技機1が不正動作検知状態であると判断した場合でも、遊技者によって行われている動作は実際には不正行為でない可能性もある。そこで、本実施形態の遊技機1は、不正動作検知状態である場合、遊技状態に応じた更なる条件を判別することにより、磁石による不正行為が行われていることを検出する。
例えば、遊技機1が大当たり遊技中又は小当たり遊技中である場合、大入賞口28が開閉動作するので、磁石を用いて不正行為を行う遊技者は、磁石を大入賞口28に接近させ、多くの遊技球を不正に大入賞口28に誘導させる動作を行う。そのため、大当たり遊技中又は小当たり遊技中の場合は、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の近傍において不正検知領域R1の内側で物体を検知している不正動作検知状態において、所定時間内での大入賞口28への入賞個数が所定個数以上であることを条件として磁石による不正行為が行われていることを検出する。
これに対し、遊技機1が大当たり遊技中又は小当たり遊技中でない通常遊技状態である場合、磁石を用いて不正行為を行う遊技者は、大当たり抽選の機会を増やそうとして、始動口26や電動チューリップ27に磁石を接近させる動作を繰り返し行う。そのため、通常遊技状態の場合は、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の近傍において不正検知領域R1の内側で物体を検知している不正動作検知状態が所定時間内に所定回数以上検出されることを条件として磁石による不正行為が行われていることを検出する。
このように本実施形態の遊技機1は、コイル8に発生する誘導起電力に基づいて透明板ユニット4の表面近傍での磁気の変化を検出していること、および、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体(遊技者の手など)が遊技盤面上の不正検知領域R1に位置していることの2つの条件が満たされる場合に、遊技者が不正行為を行っている可能性のある不正動作検知状態であることを判別し、その不正動作検知状態においてはさらに遊技状態に応じた別の条件を判別することによって磁石による不正行為が行われていることを検出する。そのため、この遊技機1は、磁石による不正行為の誤検知が少なく、信頼性の高い不正検知が可能になる。
そして磁石による不正行為を検知した場合、遊技機1は、遊技者に対して警告を行うと共に、周囲の店員に対して不正行為を報知し、またホール側のコンピュータに対して不正行為が行われていることを報知するためのコマンドを生成して外部出力を行う。以下、このような遊技機1について更に詳しく説明する。
次に図13は、遊技機1の制御機構を示すブロック図であり、遊技機1の背面側(本体枠2における遊技盤20の背面側)に取り付けられる各種制御基板を示している。遊技機1は、遊技に関する主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板200と、距離センサ9a,9bおよびコイル8を制御するセンサ制御基板300とを備えている。本実施形態の場合、サブ制御基板200は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、ランプ制御基板150等で構成されている。
メイン制御基板100は、遊技の進行に関する主要動作を制御する遊技制御部50を備えている。またメイン制御基板100には、遊技球が始動口26又は電動チューリップ27に入球したことを検知する始動口スイッチ81、電動チューリップ27を開閉させる電チューソレノイド82、遊技球がスルーゲート29を通過したことを検知するゲートスイッチ83、遊技球が普通入賞口に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ84、遊技球が大入賞口28に入球したことを検知する大入賞口スイッチ85、大入賞口28を開閉駆動する大入賞口ソレノイド86、普通図柄表示器31、普通図柄保留表示器32、特別図柄表示器33および特別図柄保留表示器34が接続されている。
遊技制御部50は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。この遊技制御部50は、始動口スイッチ81、普通入賞口スイッチ84および大入賞口スイッチ85のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、その入球数に応じて払出制御基板120に賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技盤20の背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されており、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の払い出しを行う。
また遊技制御部50は、大当たり抽選や普通図柄の抽選を行うように構成されている。例えばゲートスイッチ83が遊技球の通過を検知した場合、電動チューリップ27を開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド82を所定時間若しくは所定回数駆動させて電動チューリップ27を開放させる。また始動口スイッチ81が入球を検知した場合、遊技制御部50は、大当たり抽選を行い、特別図柄表示器33での特別図柄の変動表示を開始すると共に、その抽選結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。また始動口スイッチ81が入球を検知したとき、特別図柄の変動表示中である場合は、その入球に伴う特別図柄の変動表示を所定個数まで保留し、特別図柄保留表示器34に保留数を表示する。また遊技制御部50による大当たり抽選で大当たり又は小当たりに当選した場合、遊技制御部50は、特別図柄の変動表示後にその当たり種別に対応した特別図柄を表示し、大入賞口ソレノイド86の開閉駆動を開始すると共に、その当たり種別に応じてサブ制御基板200の各部を制御することにより、遊技機1を大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態に移行させる。
また遊技制御部50には、センサ制御基板300において距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体の位置情報SG1と、コイル8の誘導起電力に基づいて検出される磁気検出信号SG2との2つの信号が入力する。遊技制御部50は、これら位置情報SG1と磁気検出信号SG2を入力すると、それらに基づいて不正行為検出処理を実行する。このとき、遊技制御部50は、遊技者による不正行為を検出する不正検出手段として機能することになる。尚、この不正行為検出処理については後述する。
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えており、遊技の進行に伴って行う各種演出の実行を制御する演出制御手段である。この演出制御基板130は、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて具体的な演出内容を決定し、画像制御基板140とランプ制御基板150のそれぞれを制御する。例えば、メイン制御基板100から入力する変動パターンなどに基づいて装飾図柄の変動表示パターンや各種ランプの点灯パターンなどの演出パターンを決定し、メイン制御基板100によって特別図柄の変動表示が行われる時間の間、大当たり抽選の結果に応じた演出を行うべく、画像制御基板140およびランプ制御基板150のそれぞれを制御する。
また演出制御基板130には、センサ制御基板300において距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体の位置情報SG1が入力する。演出制御基板130は、センサ制御基板300から物体の位置情報SG1を入力すると、それに応じて演出内容を変化させることがあるがこれについては後述する。
さらに演出制御基板130は、メイン制御基板100において磁石を用いた不正行為が行われていることが検出された場合、メイン制御基板100からの指示に基づいて、画像制御基板140およびランプ制御基板150を制御することにより、遊技者に対する警告処理や、周囲の店員に対する報知処理を行うように構成される。
画像制御基板140は、CPU141とROM142とRAM143とVRAM144とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて画像表示器25における装飾図柄の変動表示を行うと共に、演出制御基板130から指定された図柄でその変動表示を停止させるなど、画像表示器25での表示画像を制御する。また画像制御基板140は、演出制御基板130からの指定に基づいてリーチ演出や画像表示器25にキャラクタを出現させるなどの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器25に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器25に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、スピーカ10から演出用の効果音や音声などを発生させる。
また画像制御基板140は、遊技者によって磁石を用いた不正行為が行われていることが検出された場合、演出制御基板130からの指示に基づいて、遊技者に警告を行うための警告用画像などを各種演出用画像よりも前面側に表示すると共に、警告用音声などをスピーカ10から出力するようにも構成される。
ランプ制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて枠ランプ11(上部ランプ12および下部ランプ13を含む)や盤ランプ87などを含む各種ランプを点灯させると共に、演出用の各種可動役物を駆動するための役物駆動部88を制御する。また図示を省略するが、ランプ制御基板150は上部ランプ12および下部ランプ13を揺動させる駆動機構を制御するようにも構成される。
またランプ制御基板150は、遊技者によって磁石を用いた不正行為が行われていることが検出された場合、演出制御基板130からの指示に基づいて、周囲の店員などに報知するために枠ランプ11,12,13などを所定の点灯パターンで点灯させるようにも構成される。
図14は、センサ制御基板300の詳細な一構成例を示すブロック図である。図14に示すようにセンサ制御基板300は、各距離センサ9a,9bを駆動するためのタイミング信号を生成するタイミング生成回路60と、距離センサ9aを制御する第1距離センサ制御部61と、距離センサ9bを制御する第2距離センサ制御部62と、各距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍にある物体の位置を検出する位置検出部63と、コイル8で発生する誘導起電力に基づいて透明板ユニット4の表面近傍での磁気の変化を検出する磁気検出回路64と、コイル8の断線の有無を診断するコイル診断回路65とを備えている。
ここでまず、距離センサ9a,9bに対する制御および距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて物体の位置を検出する処理の詳細について説明する。図15は、第1距離センサ制御部61および第2距離センサ制御部62の詳細な回路構成を示すブロック図である。タイミング生成回路60は、距離センサ9a,9bのそれぞれを駆動するためのタイミング信号を生成し、第1距離センサ制御部61と第2距離センサ制御部62のそれぞれに出力する。第1距離センサ制御部61および第2距離センサ制御部62はそれぞれタイミング生成回路60から入力するタイミング信号に基づいて各距離センサ9a,9bを個別に駆動し、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定する。
第1距離センサ制御部61は、駆動回路161と、信号処理回路162と、時間計測回路163と、距離算出部164と、自己診断回路165と、異常出力部166とを備えている。尚、第2距離センサ制御部62についてもこれと同様の構成であるので、以下においては第1距離センサ制御部61を例に挙げて説明する。
駆動回路161は、タイミング生成回路60から入力する所定周波数のタイミング信号に基づいて距離センサ9aに含まれる超音波送信器15を駆動する回路である。この駆動回路161は、例えば、入力するタイミング信号を増幅して超音波送信器15に出力することにより、超音波送信器15が所定周波数の超音波を送出するように制御する。
信号処理回路162は、超音波受信器16,17が超音波を受信することによって発生するパルス信号を処理する回路である。信号処理回路162は、例えば、超音波送信器15が送出する超音波の周波数に対応したパルス信号のみを抽出するように構成されており、フィルタ、整流器、増幅器、および、各超音波受信器16,17から出力される信号を加算する加算器などの各種回路を備えている。そして信号処理回路162は、超音波送信器15が送出した超音波に対応する反射波の信号成分のみを抽出して時間計測回路163と自己診断回路165に送出する。
時間計測回路163は、超音波送信器15が超音波を送信してから超音波受信器16,17が物体からの反射波を受信するまでに要した時間を計測する回路である。時間計測回路163には、タイミング生成回路60が出力するタイミング信号が入力している。時間計測回路163はそのタイミング信号に基づいて時間計測を開始する。そして信号処理回路162から出力される受信波に対応した信号から、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体からの反射波に対応する信号成分のみを抽出し、超音波受信器16,17が物体からの反射波を受信するまでに要した時間を測定する。時間計測回路163によって測定された時間は、距離算出部164に出力される。尚、時間計測を開始してから所定時間内に、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体からの反射波に対応する信号成分を抽出することができなかった場合は時間計測動作を停止し、距離算出部164への時間の出力は行わない。
距離算出部164は、時間計測回路163から入力する時間に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を算出する処理部である。超音波の伝播速度は既知であるため、距離算出部164は、時間計測回路163から入力する時間と、超音波の伝播速度とに基づいて演算を行うことにより、物体までの距離を算出する。そして距離算出部164において算出される第1の距離情報L1は、位置検出部63に出力される。
一方、自己診断回路165は、超音波送信器15が超音波を送信してから所定時間内にその超音波の反射波(定常状態の反射波を含む。)を受信したか否かを診断することにより、距離センサ9aが正常に機能しているか否かを診断する処理部である。例えば悪意ある遊技者が超音波送信器15および超音波受信器16,17のいずれか一方、若しくは双方の表面部分を何らかの部材で塞いでしまった場合、距離センサ9aによる距離測定機能は停止する。そのため、自己診断回路165は、距離センサ9aが正常に機能しているか否かを、常に或いは定期的に診断することにより、そのような不正行為を検出することができるようになっている。また自己診断回路165は、不正行為による機能停止だけでなく、故障などが原因で距離センサ9aが機能停止している場合にもそれを検出することができる。そして自己診断回路165が距離センサ9aの機能停止を検出した場合、異常出力部166に対して異常信号を出力する。
異常出力部166は、自己診断回路165が距離センサ9aの機能停止を検出した場合、それをメイン制御基板100の遊技制御部50に対して通知する処理部であり、位置情報SG1や磁気検出信号SG2とは別に、距離センサ9aの機能が停止したことを示す異常信号を遊技制御部50に出力する。
また第2距離センサ制御部62も上記と同様であり、第2距離センサ制御部62からは距離センサ9bが超音波を送受信することによって測定された物体までの距離を示す第2の距離情報L2が出力され、位置検出部63へと導かれる。
このように第1距離センサ制御部61および第2距離センサ制御部62は、タイミング生成回路60によって生成されるタイミング信号に基づいて距離センサ9a,9bのそれぞれを制御し、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を測定する。ここで、タイミング生成回路60が、第1距離センサ制御部61および第2距離センサ制御部62のそれぞれにおいて距離の測定動作を行わせる制御方法として2つの方法がある。
図16は、距離の測定動作に関する制御方法を示す図であり、図16(a)は第1の制御方法を、図16(b)は第2の制御方法を示している。
まず、第1の制御方法は、タイミング生成回路60において、所定周波数f(例えばf=40kHz)のタイミング信号を生成し、第1距離センサ制御部61と第2距離センサ制御部62のそれぞれに対して所定時間毎(例えば5ms毎)に交互にそのタイミング信号を切り替えて出力することにより、距離センサ9a,9bのそれぞれが異なるタイミングで所定周波数fの超音波を透明板ユニット4の表面近傍に送出し、物体までの距離を測定する方法である。この制御方法によると、例えば図16(a)に示すように、時刻t1で距離センサ9aによる距離測定動作が行われ、それが終了すると次に時刻t2で距離センサ9bによる距離測定動作が行われる。そしてさらにその次に時刻t3で距離センサ9aによる距離測定動作が行われる。このように距離センサ9a,9bは、交互に所定周波数fの超音波の送出動作を行うので、一方の距離センサが他方の距離センサの送出する超音波の影響を受けることなく、透明板ユニット4の表面近傍にある物体までの距離を正確に測定することができる。そしてこのような第1の制御方法による測定結果に基づいて出力される第1および第2の距離情報L1,L2は、磁石による不正行為を検出するための情報としても用いられるため、各距離センサ9a,9bが正確に物体までの距離を測定することにより、安定した不正行為の検出が可能となり、しかも不正行為の誤検知を低減させることも可能である。
次に、第2の制御方法は、タイミング生成回路60において、2種類の周波数f1,f2(ただしf1≠f2)のタイミング信号を同時に生成し、第1距離センサ制御部61に対して所定周波数f1のタイミング信号を出力すると共に、第2距離センサ制御部62に対して所定周波数f1とは異なる周波数f2のタイミング信号を出力する。これにより、距離センサ9aは、入力するタイミング信号に基づいて所定周波数f1の超音波を透明板ユニット4の表面近傍に送出し、物体までの距離を測定する。またこれと同時に、距離センサ9aは、入力するタイミング信号に基づいて所定周波数f2の超音波を透明板ユニット4の表面近傍に送出し、物体までの距離を測定する。つまり、第1距離センサ制御部61および第2距離センサ制御部62のそれぞれは、各距離センサ9a,9bが送出した周波数に対応する反射波成分を抽出するように構成されている。この制御方法によると、例えば図16(b)に示すように、時刻t1で距離センサ9aと距離センサ9bとの双方による距離測定動作が同時に行われ、それが終了すると次に時刻t2で再び距離センサ9a,9bによる距離測定動作が同時に行われる。そしてその後の時刻t3以降についても距離センサ9a,9bによる距離測定動作が同時に行われる。このように距離センサ9a,9bは、それぞれ異なる周波数f1,f2の超音波を送出することによって同時に測定動作を行うので、第1距離センサ制御部61と第2距離センサ制御部62のそれぞれから出力される第1および第2の距離情報L1,L2の測定タイミングにズレは生じない。そのため、上述した第1の制御方法と比較すると、透明板ユニット4の表面近傍にある物体までの距離を同じタイミングで測定することができるので、位置検出部63において物体の位置を検出する際の精度がより一層向上する。また第2の制御方法は、第1の制御方法と比較すると、2つの距離センサ9a,9bが繰り返し測定動作を行う場合の周期を短くすることができるので、透明板ユニット4の表面近傍で物体が移動している場合にその物体の移動方向をより正確に検知することができるという利点もある。そしてこのような第2の制御方法による測定結果に基づいて出力される第1および第2の距離情報L1,L2についても、上記と同様に、磁石による不正行為を検出するための情報としても用いられるため、各距離センサ9a,9bがより正確に物体までの距離を測定することにより、さらに安定した不正行為の検出が可能となり、しかも不正行為の誤検知をより一層低減させることも可能である。
尚、遊技機1において上述した第1の制御方法と第2の制御方法とのいずれを採用するかは設計事項であり、いずれを採用した場合であっても各距離センサ9a,9bが物体までの距離を正確に測定することができるという点では同様であり、それ故、安定した不正行為の検出が可能であり、しかも不正行為の誤検知を低減させることが可能であるという点では互いに共通している。
図15に戻り、位置検出部63は、第1距離センサ制御部61と第2距離センサ制御部62のそれぞれから出力される第1の距離情報L1および第2の距離情報L2に基づいて演算を行うことにより透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が遊技盤面上のどのような位置にあるかを検出し、その位置情報SG1を出力する。この位置情報SG1は、例えば遊技盤面上における2次元座標として表現される。
ここで位置検出部63において物体の位置を検出するための処理の概念について説明する。図17は、遊技機1の正面図であり、距離センサ9aによって測定された第1の距離情報L1と、距離センサ9bによって測定された第2の距離情報L2とによって物体Mの位置を検出する処理の概念を示している。図17に示すように距離センサ9aから物体Mまでの距離がL1であるとすると、その物体Mは、距離センサ9aの位置を中心とする半径L1の円弧状ラインLa上のどこかの位置に存在する。一方、距離センサ9bから物体Mまでの距離がL2であるとすると、その物体Mは、距離センサ9bの位置を中心とする半径L2の円弧状ラインLb上のどこかの位置に存在する。したがって、透明板ユニット4の表面近傍にある物体Mは、2つのラインLa,Lbの交点上に位置していることになる。そこで位置検出部63は、遊技盤面上における各距離センサ9a,9bの設置位置と、第1の距離情報L1と、第2の距離情報L2とに基づいて演算を行い、2つのラインLa,Lbの交点を求めることにより物体Mの位置を検出する。
ところで、上記のようにして2つのラインLa,Lbの交点を求めた場合、2つの交点が求められることがある。この場合、一方の交点が透明板ユニット4の外側に位置していれば、他方の交点(つまり、透明板ユニット4の内側に位置する交点)を物体Mが存在する位置として特定することができる。しかし、2つの交点のそれぞれが透明板ユニット4の内側に位置することもある。図18はそのようなケースを示しており、距離センサ9aの位置を中心とする半径L1の円弧状ラインLaと、距離センサ9bの位置を中心とする半径L2の円弧状ラインLbとの2つの交点が透明板ユニット4の内側に位置している。このような場合、図18に示す物体M1と物体M2の2つの位置のうち、実際に物体が存在する位置を正確に特定することができないが、位置検出部63は物体M1と物体M2の2つの位置のうちからいずれか一方を選択して物体Mの位置を特定する。例えば、物体M1と物体M2の2つの位置のうち、透明板ユニット4の中央部に近い方の位置を選択し、物体Mの位置を検出する。
尚、本実施形態では、距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の上方2箇所に設けられているのに対し、不正検知領域R1は透明板ユニット4の中央下部に設定されているので(図12参照)、ラインLaとLbとの2つの交点が共に透明板ユニット4の内側となり、かつ、そのうちのいずれか一方が不正検知領域R1に位置するというケースは生じない。そのため、上述のように、位置検出部63が、物体M1と物体M2の2つの位置のうちからいずれか一方を適宜に選択したとしても、それによって、実際には不正検知領域R1に位置する物体の検知漏れが生じることはなく、また逆に、実際には不正検知領域R1に位置しない物体を不正検知領域R1に位置する物体として誤検知してしまうこともない。
上記のようにして位置検出部63が物体Mの位置を検出すると、その物体Mの位置情報SG1は、図13に示したようにメイン制御基板100と演出制御基板130とに出力される。
次に、コイル8に対する制御およびコイル8に発生する誘導起電力に基づいて磁気の変化を検出する処理の詳細について説明する。図19は、磁石による不正行為が行われた場合の磁気検出回路64における信号処理の概念を示す図である。図19(a)に示すように遊技機1の正面側から磁石Mを透明板ユニット4に近づける方向F1に移動させ、その後、その磁石Mを透明板ユニット4から遠ざける方向F2に移動させる場合、前枠部材3に設けられたコイル8を貫く磁束は、例えば、はじめ増加し、その後、減少する。そのため、コイル8は、磁石Mが方向F1およびF2へ移動することに伴って図19(b)に示す出力信号(誘導起電力V)を出力する。尚、コイル8の巻き方向が逆方向の場合、誘導起電力Vの正負は図19(b)とは逆になる。
磁気検出回路64は、例えば信号増幅器、ノイズ除去回路、反転回路、A/D変換器などの各種回路を備えており、図19(b)に示すようにコイル8から出力される誘導起電力Vに対し、それら各種回路で順次信号処理を行うことによって磁気検出信号SG2を出力する。この磁気検出信号SG2は、コイル8が発生する誘導起電力Vに応じた信号となっており、例えばディジタル信号として出力される。そしてコイル8の巻き数や磁気検出回路64における各種回路のパラメータを適当に設定しておくことにより、透明板ユニット4を介して遊技球を引き付けることが可能な磁力を有する磁石が透明板ユニット4の近傍で移動した場合、それに対応した磁気検出信号SG2を出力することができる。
特に、コイル8は、前枠部材3において遊技領域21を包囲するように巻き回されているため、図19(a)に示すように磁石Mが透明板ユニット4に接近する方向F1に移動する場合や、遠ざかる方向F2に移動する場合、コイル8に大きな誘導起電力が発生する。そのため、不正行為を行おうとして磁石Mを透明板ユニット4に近づけようとする遊技者の初期動作を良好に検知することができる。
また透明板ユニット4に磁石を近接させている状態で、その磁石が遊技領域21に対して上下左右方向に移動すれば、それによってもコイル8を貫く磁束がある程度変化する。そのため、この場合にもコイル8に誘導起電力が発生する。このとき発生する誘導起電力は、図19(a)に示した方向F1又はF2に移動する場合と比較すれば小さい起電力であるが、磁気検出回路64における信号増幅率などを予め適切な値に調整しておくことで磁石の移動に伴う磁気変化を良好に検知することが可能である。
このように本実施形態の遊技機1は、コイル8と磁気検出回路64とによって、遊技領域21の近傍で磁石が移動していれば、それに伴う磁気の変化を検知することができるようになっており、特に遊技領域21に対して接近する磁石の移動や遊技領域21から遠ざかる磁石の移動に対して高い感度を有している。
上記のようにして磁気検出回路64がコイル8に発生する誘導起電力Vに基づいて磁気の変化を検出すると、それによって生成される磁気検出信号SG2は、図13に示したようにメイン制御基板100に出力される。
次に図20は、コイル診断回路65の一構成例を示す図である。このコイル診断回路65は、例えばコイル8と磁気検出回路64との間に介挿されている。コイル診断回路65は、図20に示すように、コイル8の一端側に接続された電流源65aと、コイル8の他端側に接続された電流検知部65bと、電流検知部65bの検知結果に基づいてコイル8の断線を検知する異常検知部65cとを備え、異常検知部65cがコイル8の断線を検知した場合には、メイン制御基板100に対して異常信号を出力するように構成されている。
電流源65aは、微弱な一定電流を発生させ、コイル8の一端に対してその一定電流を流す。コイル8が断線していない場合、電流検知部65bは電流源65aが発生する一定電流を検知する。これに対し、コイル8が断線している場合、電流検知部65bは電流源65aが発生する一定電流を検知しない。異常検知部65cは、電流検知部65bが検知する電流値に基づき、コイル8の断線を判断する。例えば、電流検知部65bが電流を全く検知しない場合、異常検知部65cはコイル8が断線していると判断し、メイン制御基板100に対して異常信号を出力する。また電流検知部65bが電流を検知していれば、異常検知部65cはコイル8が断線していないと判断し、メイン制御基板100には異常信号の出力を行わない。このようなコイル診断回路65を設けることにより、コイル8が正常に機能しているかどうかを自己診断することができる。尚、コイル診断回路65は、遊技機1への電源投入以降、常時、自己診断を行うようにしても良いし、また電源投入以降、一定の時間間隔ごとに繰り返し自己診断を行うようにしても良い。
以上のようにしてセンサ制御基板300は、位置情報SG1と磁気検出信号SG2とをメイン制御基板100に出力する。
ところで、図13に示した遊技制御部50は、上述したようにサブ制御基板200に対して信号やコマンドなどを出力することで遊技の進行状況に応じた制御を行いつつ、その一方で、定期的にセンサ制御基板300から出力される位置情報SG1および磁気検出信号SG2を監視している。そして遊技制御部50は、それら位置情報SG1と磁気検出信号SG2とに基づいて不正動作検知状態であるか否かを判定する。つまり、遊技制御部50は、透明板ユニット4の表面近傍での磁気の変化が検出されていることを示す磁気検出信号SG2を入力しており、且つ、位置検出部63から入力する位置情報SG1に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1の内側に位置している場合、遊技者による不正行為が行われている可能性が高い不正動作検知状態であると判定する。
図21は、遊技制御部50において不正動作検知状態であると判定される場合の物体Mの位置を示す図である。遊技制御部50に磁気検出信号SG2が入力している状態において、図21に示すように、位置検出部63によって検出された物体Mの位置が不正検知領域R1に含まれている場合、遊技制御部50は遊技者によって行われている動作が不正行為である可能性が高い不正動作検知状態であると判定する。
一方、遊技制御部50は、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1以外の領域にあることを検出した場合、不正動作検知状態とは判定しない。つまり、図22に示すように、位置検出部63によって検出された物体Mの位置が不正検知領域R1以外の領域にある場合には、磁気検出信号SG2を入力しているか否かにかかわらず、不正検出部66は遊技者による行為を不正行為でないと判定する。
また遊技制御部50は、磁気検出回路64から磁気検出信号SG2を入力している場合であっても、位置検出部63から位置情報SG1を入力していない場合には、不正動作検知状態とは判定しない。つまり、この場合もまた、遊技者による行為を不正行為でないと判定する。
そして遊技制御部50は、不正動作検知状態であると判定した場合、さらに遊技機1の遊技状態を判別し、その遊技状態に応じて定められた付加的な条件に基づいて遊技者による行為が不正行為であるか否かを判定する。例えば大当たり遊技中や小当たり遊技中である場合、遊技制御部50は、不正動作検知状態において、大入賞口28への所定時間内での入賞個数が所定個数以上であるか否かを判定し、所定個数以上の入賞があれば、遊技者が磁石を使用した不正行為を行っていることを検出する。また例えば遊技機1が通常遊技状態である場合、遊技制御部50は、不正動作検知状態が所定時間内に所定回数以上検出されるか否かを判定し、所定回数以上検出されれば、遊技者が磁石を使用した不正行為を行っていることを検出する。
そして遊技制御部50は、最終的に遊技者が磁石を使用した不正行為を行っていると判断した場合、そのタイミングで、遊技者によって行われている不正行為に対処するための各種処理を実行する。例えば、演出制御基板130に対して不正行為警告コマンドを出力することにより、画像表示器25に警告用画像を装飾図柄の前面側に重畳して表示させたり、或いは、スピーカ10から警告のための音声を発生させる。また枠ランプ11などを所定のパターンで点灯させることで周囲の店員などに報知する。また遊技制御部50は、図示しない通信インタフェースを介してホール側のコンピュータに、磁石による不正行為が行われていることを通知するための不正報知コマンドを外部出力する。これにより、ホール側では、多数設置されている遊技機のうち、どの遊技機で磁石による不正行為が行われている可能性があるのかをリアルタイムで把握することができる。
またセンサ制御基板300において距離センサ9a,9bやコイル8の自己診断が行われた結果、遊技制御部50がセンサ制御基板300から異常信号を受信した場合、遊技制御部50は、そのタイミングで距離センサ9a,9bやコイル8の異常に対処するための各種処理を実行する。例えば、演出制御基板130に対して異常コマンドを出力することにより、画像表示器25に「店員を呼んでください。」といった画像を装飾図柄の前面側に重畳して表示させたり、スピーカ10から所定の音声を発生させる。また枠ランプ11などを所定のパターンで点灯させることで周囲の店員などに報知する。また遊技制御部50は、図示しない通信インタフェースを介してホール側のコンピュータに、2つの距離センサ9a,9bのうちのいずれか一方若しくは双方が異常状態であること、或いはコイル8が異常状態であることを通知するためのコマンドを生成して外部出力する。これにより、ホール側では、多数設置されている遊技機のうち、どの遊技機で距離センサ9a,9bやコイル8の不具合が発生しているかをリアルタイムで把握することができる。
ここでメイン制御基板100の遊技制御部50によって行われる上述した動作の処理手順について説明する。図23は、遊技制御部50の主要動作を示すフローチャートである。遊技制御部50は、電源投入時や電源遮断時などの特殊な場合を除く通常の動作時において図23に示すフローチャートに基づく処理をタイマ割込処理として一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行するように構成される。
遊技制御部50は、この処理を開始すると、乱数更新処理(ステップS101)、始動口スイッチ処理(ステップS102)、ゲートスイッチ処理(ステップS103)、各種スイッチ処理(ステップS104)、賞球処理(ステップS105)、特別図柄処理(ステップS106)、普通図柄処理(ステップS107)、大入賞口処理(ステップS108)、電動チューリップ(電チュー)処理(ステップS109)、不正行為検出処理(ステップS110)、異常検出処理(ステップS111)および出力処理(ステップS112)を順次実行し、それらが終了すると、その後は初期値乱数更新処理(ステップS113)を繰り返し実行する。そして一定時間が経過し、タイマによる次の割込が発生すれば、再び乱数更新処理(ステップS101)以降の処理が実行され、以降これが繰り返される。
乱数更新処理(ステップS101)では、RAM103の乱数格納領域に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数などの各種乱数の値を更新する処理を実行する。
そして始動口スイッチ処理(ステップS102)では、始動口スイッチ81の状態を監視し、始動口スイッチ81がオンとなっている場合には、大当たり抽選の保留数を確認し、その保留数が所定数未満であれば、その保留数をインクリメントする処理を行い、さらに、乱数格納領域から大当たり抽選のために大当たり乱数などの各種乱数を取得する処理を実行する。このとき取得する大当たり乱数などにより、大当たり抽選における抽選結果が確定する。
そしてゲートスイッチ処理(ステップS103)では、ゲートスイッチ83の状態を監視し、ゲートスイッチ83がオンとなっている場合には、普通図柄抽選の保留数を確認し、その保留数が所定数未満であれば、その保留数をインクリメントする処理を行い、さらに、普通図柄抽選のための乱数を取得する処理を実行する。このとき取得する乱数により、普通図柄抽選における抽選結果が確定する。
そして各種スイッチ処理(ステップS104)では、その他全てのスイッチ(例えば普通入賞口スイッチや大入賞口スイッチなど)からの入力処理を行い、賞球処理(ステップS105)では、各種入賞口への入賞数を計数し、その計数値に基づいて払出制御基板120に出力するための賞球コマンドを設定する。
そして特別図柄処理(ステップS106)では、特別図柄の変動表示およびその変動表示に伴う処理を行う。例えば、大当たり抽選の保留数が1以上である場合に、その保留を消化して特別図柄の変動表示を開始する。このとき、当該保留の大当たり乱数などに基づいて大当たり抽選(大当たり判定)を行う。そして特別図柄の変動表示中に大当たり抽選の結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に出力するための変動パターンや、装飾図柄の変動表示を開始させるコマンドなどを設定する。
そして普通図柄処理(ステップS107)では、普通図柄の変動表示およびその変動表示に伴う処理を行う。例えば、普通図柄抽選の保留数が1以上である場合に、その保留を消化して普通図柄の変動表示を開始する。このとき、当該保留の乱数に基づいて普通図柄抽選を行う。
そして大入賞口処理(ステップS108)では、特別図柄の変動表示後、大当たり遊技又は小当たり遊技に移行した場合に大入賞口28を開閉させる処理を行う。この処理により、大当たり抽選において当選した場合の大当たり遊技又は小当たり遊技が制御される。
そして電動チューリップ処理(ステップS109)では、普通図柄処理(ステップS107)において普通図柄抽選に当選していた場合に電動チューリップ27を開放させる処理を行う。
そして不正行為検出処理(ステップS110)では、センサ制御基板300から出力される位置情報SG1および磁気検出信号SG2に基づいて遊技者による行為が不正行為であるか否かを判定する処理を実行する。このとき遊技制御部50は、不正検出手段として機能する。
図24〜図26は、この不正行為検出処理(ステップS110)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理では、まず、センサ制御基板300から磁気検出信号SG2を入力しているか否かを判断する(ステップS121)。そして磁気検出信号SG2を入力している場合(ステップS121でYES)、続いて位置情報SG1を入力しているか否かを判断する(ステップS122)。ここで位置情報SG1を入力している場合(ステップS122でYES)、その位置情報SG1によって示される物体の位置が不正検知領域R1に位置するか否かを判定する(ステップS123)。そして位置情報SG1によって示される物体の位置が不正検知領域R1の内側にあれば(ステップS123でYES)、不正動作検知状態となり、遊技状態に応じた不正行為検出処理が実行される。
すなわち、不正動作検知状態であると判断した場合(ステップS123でYES)、遊技制御部50は、現在の遊技機1の遊技状態が大当たり中であるか、又は小当たり中であるかを判断する(ステップS124)。そして大当たり中又は小当たり中である場合(ステップS124でYES)、第1不正行為検出処理を実行する(ステップS125)。これに対し、大当たり中又は小当たり中でない場合(ステップS124でNO)、第2不正行為検出処理を実行する(ステップS126)。
これに対し、不正動作検知状態でないと判断した場合(ステップS121,S122およびS123のそれぞれでNOの場合)、遊技制御部50は、不正検知フラグをオフに設定し、この処理を終了する。
図25は、第1不正行為検出処理(ステップS125)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理では、所定時間内における大入賞口28への入賞個数が所定個数以上であれば、不正行為が行われていると判定され、各種警告や報知のためのコマンドが設定される。まず、遊技制御部50は、時間計測中であるか否かを判断し(ステップS131)、時間計測中でない場合(ステップS131でNO)、時間計測を開始する(ステップS132)。一方、既に時間計測を開始している場合は、ステップS132をスキップする。そして遊技制御部50は、大入賞口28への入賞があったか否かを判断し(ステップS133)、入賞があった場合(ステップS133でYES)、その入賞数に応じて入賞個数をカウントアップする(ステップS134)。尚、大入賞口28への入賞がなかった場合にはステップS134をスキップする。
そして遊技制御部50は、時間計測を開始してから所定時間の計測が終了したか否かを判断する(ステップS135)。この第1不正行為検出処理では、所定時間は例えば数秒程度に設定される。そして所定時間が経過していない場合(ステップS135でNO)、この処理は終了し、その後、この処理が繰り返し実行されることにより、所定時間が経過するまでの間にさらに遊技球が大入賞口28に入球すると、それに応じて入賞個数がカウントアップされていく。
そして所定時間が経過すると(ステップS135でYES)、遊技制御部50は、入賞個数が所定数以上であるか否かを判断し(ステップS136)、所定数以上であれば(ステップS136でYES)、演出制御基板130に出力するための不正行為警告コマンドを設定し(ステップS137)、続いてホール側のコンピュータに対し、不正行為が行われていることを通知するための外部出力用の不正報知コマンドを設定する(ステップS138)。これに対し、入賞個数が所定数未満であれば(ステップS136でNO)、それらのコマンドを設定することなく、処理を終了する。
以上のように、この第1不正行為検出処理(ステップS125)では、大当たり遊技中又は小当たり遊技中に大入賞口28への入賞数が所定時間内に所定数以上となれば、磁石による不正行為が行われていると判断される。そして磁石による不正行為が行われていると判断された場合には、警告や報知のための各種コマンドが設定されるようになっている。
次に図26は、第2不正行為検出処理(ステップS126)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理では、不正動作検知状態であることが、所定時間内に所定回数以上検知されることによって不正行為が行われていると判定され、各種警告や報知のためのコマンドが設定される。まず、遊技制御部50は、時間計測中であるか否かを判断し(ステップS141)、時間計測中でない場合(ステップS141でNO)、時間計測を開始する(ステップS142)。一方、既に時間計測を開始している場合は、ステップS142をスキップする。そして遊技制御部50は、不正検知フラグがオフであるか否かを判断し(ステップS143)、不正検知フラグがオフであれば(ステップS143でYES)、不正検知フラグをオンにし(ステップS144)、不正検知回数をカウントアップする(ステップS145)。尚、不正検知フラグが既にオンとなっている場合(ステップS143でNO)、ステップS144とS145はスキップする。
そして遊技制御部50は、不正検知回数のカウント値が所定回数以上となっているか否かを判断する(ステップS146)。ここで不正検知回数のカウント値が所定回数以上であれば(ステップS146でYES)、演出制御基板130に出力するための不正行為警告コマンドを設定し(ステップS147)、続いてホール側のコンピュータに対し、不正行為が行われていることを通知するための外部出力用の不正報知コマンドを設定する(ステップS148)。これに対し、カウント値が所定回数未満であれば(ステップS146でNO)、それらのコマンドは設定しない。
そして遊技制御部50は、時間計測を開始してから所定時間の計測が終了したか否かを判断する(ステップS149)。この第2不正行為検出処理では、所定時間は例えば数分程度に設定される。そして所定時間が経過していない場合(ステップS149でNO)、この処理は終了し、その後、この処理が繰り返し実行されることにより、所定時間が経過するまでの間に不正動作検知状態であることが所定回数以上検知されれば、その時点で警告や報知のためのコマンドが設定される。そして所定時間が経過した場合には(ステップS149でYES)、不正検知回数のカウント値がクリアされる(ステップS150)。
以上のように、この第2不正行為検出処理(ステップS126)では、大当たり遊技中又は小当たり遊技中でない通常遊技状態において、所定時間の間に不正動作検知状態であることが所定回数以上検知されると、磁石による不正行為が行われていると判断される。そして磁石による不正行為が行われていると判断された場合には、警告や報知のための各種コマンドが設定されるようになっている。
図23に戻り、異常検出処理(ステップS111)では、センサ制御基板300から距離センサ9a,9b又はコイル8に関する異常信号が出力されているか否かを確認する処理を行う。図27は、この異常検出処理(ステップS111)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理では、まず、センサ制御基板300から異常信号を入力しているか否かを判断する(ステップS161)。そして異常信号を入力している場合(ステップS161でYES)、演出制御基板130に出力するための異常報知コマンドを設定し(ステップS162)、続いてホール側のコンピュータに対し、距離センサ9a,9b又はコイル8に異常が発生していることを通知するための外部出力用の異常報知コマンドを設定する(ステップS163)。これに対し、異常信号を入力していない場合には(ステップS161でNO)、この処理を終了する。
そして図23の出力処理(ステップS112)では、上記各処理で設定された各種コマンドなどを払出制御基板120又は演出制御基板130に対して出力する。またここでは、上記各処理で設定された外部出力用のコマンドについても、図示しない通信インタフェースを介して、ホール側のコンピュータに外部出力される。
そして初期値乱数更新処理(ステップS113)では、次のタイマ割込が発生するまでの残余時間を利用して、乱数格納領域に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数などの各種乱数の初期値を更新する処理を繰り返し実行する。次のタイマ割込が発生するまでの残余時間は、遊技機1の状態によって毎回異なるので、この処理が繰り返し実行されることによって更新される各種乱数の初期値は不規則なものとなる。そのため、一定周期毎に体感信号を発生する体感器などを用いて大当たりを不正に発生させようとした場合でも、大当たり乱数の初期値が不明なため、大当たり乱数が大当たりの当選値となるタイミングを把握することができないようになっており、そのような不正行為を防止することができる。
上記のような処理を行うことにより、遊技制御部50は、遊技機1における遊技の進行を制御すると共に、遊技中に遊技者が始動口26、電動チューリップ27又は大入賞口28に対して磁石を近づけるような不正行為を行った場合には遊技者に対して警告を行い、さらには周囲の店員やホール側に報知することができる。そのため、本実施形態の遊技機1によれば、遊技中に磁石による不正行為が行われた場合には周囲の店員やホール側がそれを速やかに把握することができ、不正行為に対する迅速な対処を行うことが可能になる。そして本実施形態の遊技機1では、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体を検出するための距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の周縁部であって前枠部材3の上部2箇所に配置されており、またコイル8が透明板ユニット4の周縁部に沿って配置されているため、距離センサ9a,9bやコイル8が遊技領域21の視認性を低下させることがないような配置態様となっている。
次に、演出制御基板130における処理の詳細について説明する。演出制御基板130は、メイン制御基板100からの出力される各種コマンドなどに基づいて各種処理を実行するが、ここでは、距離センサ9a,9bによる測定結果、すなわちセンサ制御基板300から入力する位置情報SG1に基づいて遊技中に行われている演出内容を変化させる処理と、メイン制御基板100から不正行為警告コマンドを受信した場合に行う警告処理との2つの処理について説明する。
まず、演出制御基板130が、センサ制御基板300から入力する位置情報SG1に基づいて遊技中に行われている演出内容を異なる演出に変化させる処理の一例について説明する。
演出制御基板130は、上述したようにメイン制御基板100から変動パターンを入力すると、その変動パターンに基づいて画像表示器25における装飾図柄の変動表示パターンなどの演出パターンを決定する。そしてさらに装飾図柄の変動表示を開始させるコマンドをメイン制御基板100から入力すると、その決定した演出パターンに対応する演出を行うべく、装飾図柄の変動表示を開始する。ここで、演出制御基板130が決定する演出パターンには遊技者が所定の操作を行った場合に演出内容を切り替えるための切替え用演出パターンが含まれることがある。この場合、装飾図柄の変動表示を開始した後、演出制御基板130は、実行中の演出パターンに規定される所定の演出タイミングで、センサ制御基板300から位置情報SG1を入力しているか否かを確認し、位置情報SG1を入力していれば、その位置情報SG1に基づいて現在実行中の演出パターンを切替え用の演出パターンに変化させる。以下、演出制御基板130が、演出パターンの切替えを行う場合の動作について説明する。
図28は、演出制御基板130が距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて演出内容を変化させる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば演出制御基板130がメイン制御基板100から不正行為警告コマンドを受信していない場合に、定期的に実行される処理である。演出制御基板130は、この処理を開始すると、演出実行中であるか否かを判断する(ステップS201)。ここで演出実行中でない場合は、これ以降の処理を行うことなく、この処理を終了する。一方、演出実行中である場合(ステップS201でYES)、現在実行中の演出パターンに切替え用の演出パターンが含まれているか否かを判断する(ステップS202)。現在実行中の演出パターンが切替え用の演出パターンを含まない場合(ステップS202でNO)、これ以降の処理を行うことなく、処理を終了する。この場合、現在実行中の演出が終了するまでそのまま実行されることになる。一方、現在実行中の演出パターンが切替え用の演出パターンを含んでいる場合(ステップS202でYES)、演出制御基板130は、センサ制御基板300から出力される位置情報SG1を検知するための所定の演出タイミングとなるまで待機し(ステップS203)、その演出タイミングになると(ステップS203でYES)、センサ制御基板300から位置情報SG1を入力したか否かを判断する(ステップS204)。
このとき、演出制御基板130は、例えば図29に示すように、画像表示器25に、遊技者に何らかの操作(手の動き)を行わせるための演出用画像を表示する。図29に示す例では、3つの演出パターン(演出A,演出B,演出C)のうちからひとつの演出パターンを選択することを遊技者に促している。この場合、遊技者は、画像表示器25に向かって所望の演出パターンを選択する操作を行えば、それによって実行中の演出が異なった演出パターンに変化することを把握する。そして遊技者は、現在実行中の演出が大当たりへの期待度のより一層高い演出などに変化することを期待して、そのような操作を行うようになる。その結果、距離センサ9a,9bは遊技者の手を検知するので、演出制御基板130は、センサ制御基板300から位置情報SG1を入力する。
演出制御基板130は、位置情報SG1を検知する演出タイミングとなってから所定時間が経過するまで、遊技者の手の位置を示す位置情報SG1の入力待機状態となっており(ステップS204,S205)、所定時間が経過するまでに位置情報SG1を入力しなかった場合には(ステップS205でYES)、演出パターンを切り替えることなく、この処理を終了する。この場合、現在実行中の演出パターンが終了するまで、そのまま実行される。
これに対し、所定時間が経過するまでに位置情報SG1を入力した場合(ステップS204でYES)、演出制御基板130は、遊技者の手の位置情報SG1に基づいて現在の演出パターンを切替え用演出パターンに切り替える(ステップS206)。例えば、図29に示す状態において遊技者が演出Aの画像の正面側に手をかざした場合、演出制御基板130は、遊技者の手の位置情報SG1に基づいて演出Aに対応する切替え用演出パターンを特定し、現在実行中の演出パターンを遊技者によって選択された演出Aの切替え用演出パターンに切り替えてその後の演出を実行する。尚、遊技者が演出Bの画像或いは演出Cの画像の正面側に手をかざした場合も同様である。そして装飾図柄の変動表示が終了するまで、遊技者によって選択された切替え用演出パターンに基づく演出が行われる。
このように本実施形態の遊技機1は、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手の位置を検出することができるため、例えば所定の演出タイミングで画像表示器25に複数の選択肢を表示して遊技者に選択させることができる。つまり、画像表示器25に表示される複数の選択肢のうち、遊技者によって選択された一つの選択肢を特定することができるため、所定の演出タイミングで切り替える演出パターンを多種多様に設定することができる。そのため、多くの演出パターンの中から遊技者にひとつの演出パターンを選択させることにより、多様な演出を行うことが可能になる。
また図28のフローチャートでは、遊技者の手の位置を特定した位置情報SG1を入力すれば、それに基づいて演出パターンを切り替える場合を例示したが、この他にも、例えば所定時間内における遊技者の手の移動方向を検知し、その移動方向に応じて演出パターンを切り替えるようにしても良い。その一例を挙げると、所定の演出タイミングにおいて現在表示中の装飾図柄を遊技者が手で切断するような動作を行えば、その手の移動に合わせて装飾図柄を切断していく画像を表示し、所定時間内に切断操作が成功すれば、現在表示中の装飾図柄を他の装飾図柄に変化させるといった演出を行うことができる。またこの他にも種々の演出態様がある。
尚、ここでは装飾図柄の変動表示中に行われる演出を、位置情報SG1に基づいて他の演出に切り替える場合を例示したが、位置情報SG1に基づく演出内容の切替えは、必ずしも装飾図柄の変動表示中であることに限られない。例えば大当たり遊技中又は小当たり遊技中の演出を、遊技者の手の位置に基づいて他の演出に切り替えるものあっても構わない。
次に、演出制御基板130が、メイン制御基板100から不正行為警告コマンドを受信した場合に行う警告処理の一例について説明する。
演出制御基板130は、上述したような演出制御を行いつつ、メイン制御基板100から不正行為警告コマンドが出力されているか否かを、定期的に或いは常時、監視しており、メイン制御基板100から不正行為警告コマンドを受信すると、画像制御基板140やランプ制御基板150に対して各種のコマンドを出力することにより、遊技者への不正行為に対する警告や、周囲の店員などに不正行為が行われている可能性があることを報知するための処理を実行する。以下、演出制御基板130が、警告処理を行う場合の動作について説明する。
図30は、演出制御基板130が行う警告処理に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば演出制御基板130において定期的に実行される処理となっている。演出制御基板130は、この処理を開始すると、メイン制御基板100から不正行為警告コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS211)。ここで警告コマンドを受信していない場合は、これ以降の処理を行うことなく、この処理を終了する。一方、警告コマンドを受信した場合(ステップS211でYES)、画像制御基板140に対し、警告用画像表示コマンドを出力し(ステップS212)、さらに警告用音声出力コマンドを出力する(ステップS213)。続いて、枠ランプ11などを所定の警告用点灯パターンで点灯させるべく、ランプ制御基板150に警告用点灯パターンコマンドを出力する(ステップS214)。
図31は、警告処理によって画像表示器25に表示される警告用画像G1の一例を示す図である。図31に示すように、演出制御基板130が上記のような処理を行うことにより、画像表示器25には、例えば「ガラス面から手を離してください」といった警告用画像G1が、装飾図柄の変動表示やその他の演出用画像よりも前面側に表示される。また、このとき、スピーカ10からは警告用の音声が出力されると共に、枠ランプ11などは所定の警告用点灯パターンで点灯する。そのため、磁石を用いた不正行為を行っている遊技者に、不正行為を止めさせることができる。
以上のように本実施形態の遊技機1は、前枠部材3における窓部5の周縁部に沿って巻き回したコイル8と、その窓部5の近傍に存在する物体を検知するための距離センサ9a,9bとを備えており、所定の遊技状態において、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが窓部5の近傍において物体を検知している不正動作検知状態のとき、所定の入賞口への所定時間内での入賞個数が所定個数以上であることを条件として不正行為を検出するように構成されている。また異なる遊技状態では、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが窓部5の近傍において物体を検知している不正動作検知状態が所定時間内に所定回数以上検出されることを条件として不正行為を検出するように構成されている。そのため、本実施形態の遊技機1は、遊技領域21の視認性を低下させることなく、安定して磁石による不正行為を検知することができ、しかも不正行為の誤検知を少なくすることができる構成となっている。
また本実施形態の遊技機1では、センサ制御基板300において、所定時間毎に距離センサ9aと距離センサと9bを切り替えて距離の測定動作を行わせることにより、各距離センサ9a,9bが同じ周波数の超音波を送出する場合であっても、各距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を正確に測定することができるようになる。そのため、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体の位置を精度良く検出することができるようになり、その結果、その物体が不正検知領域R1に位置するか否かを高精度に判別することができる。
また距離センサ9aが所定周波数f1の超音波を送出し、距離センサ9bがそれとは異なる周波数f2の超音波を送出する場合には、センサ制御基板300において、距離センサ9aと距離センサとの距離の測定動作を同時に行わせることにより、各距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離をより正確に、且つより短い周期で測定することができるようになる。そのため、この場合においても、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体の位置を精度良く検出することができるようになり、その結果、その物体が不正検知領域R1に位置するか否かを高精度に判別することができる。
したがって、本実施形態の遊技機1は、距離センサ9a,9bによって繰り返し継続的に測定される物体までの距離が高精度に得られるため、磁石による不正行為を検知する不正検知をより一層安定させ、しかも誤検知をより一層少なくすることが可能である。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、始動口26に遊技球が入球すると、大当たり抽選を行い、その大当たり抽選に当選すると大入賞口28が所定回数開閉する遊技機を例示した。しかしながら、本発明の遊技機は、必ずしもそのような遊技機に限定されるものではなく、上述した遊技機以外の種々の遊技機に対しても適用可能であることは勿論である。
また上述した実施形態では、遊技盤20に対して不正検知領域R1が一つの設定される場合を例示したが、複数の不正検知領域を設定しても構わない。また上述した実施形態では、距離センサ9a,9bの一例として超音波センサを採用する場合を例示したが、これに限られず、例えば不可視光を投受光する光センサを採用しても良い。また距離センサの数についても2つに限られるものではなく、3つ以上の距離センサを設けても良い。
また上述した実施形態では、主として、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体が不正検知領域R1に位置することを条件として不正動作検知状態であることを判定する場合を例示したが、これに限られるものではない。例えばコイル8が誘導起電力を発生している場合には、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて物体が透明板ユニット4の表面近傍の任意の位置に検出されれば、それによって不正動作検知状態であると判定しても良い。この場合、遊技制御部50において位置情報SG1に基づく物体の位置が不正検知領域R1にあるか否かの判定を行う必要がなくなるため、より効率的な不正行為の判定を行うことができるようになる。
またコイル8が誘導起電力を発生しているか否かにかかわらず、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて検出される物体が不正検知領域R1に位置することのみを条件として不正行為が行われていると判定するように構成しても構わない。この場合、遊技機1にコイル8を設けることは必須ではない。
また上述した実施形態では、コイル8を透明板ユニット4の周縁部に沿って配置する例を示したが、これに限られるものでもない。例えば、コイル8を前枠部材3の内側に配線したものであっても構わない。
さらに上述した実施形態では、大当たり遊技中又は小当たり遊技中における不正行為検出処理の一例として、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが窓部5の近傍において物体を検知している不正動作検知状態において、大入賞口28などの所定の入賞口への所定時間内での入賞個数が所定個数以上であることを条件として不正行為を検出する例を説明した。しかし、このような処理が適用可能な遊技状態は、大当たり遊技中又は小当たり遊技中であることに限られるものではない。
また上述した実施形態では、通常遊技状態における不正行為検出処理の一例として、コイル8が誘導起電力を発生しており、且つ、距離センサ9a,9bが窓部5の近傍において物体を検知している不正動作検知状態が所定時間内に所定回数以上検出されることを条件として不正行為を検出する例を説明した。しかし、このような処理が適用可能な遊技状態についても通常遊技状態に限られるものではない。