JP2011004502A - 短絡保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータの大型化及びコストの増大を回避することのできる短絡保護装置を提供する。
【解決手段】パワーモジュールの端子接続部19における第1端子17と第2端子18間に、半導体素子20とこの半導体素子20に接続される電極21間に設けた第1金属体22とは異なる第2金属体24を設け、その第1金属体22を、両端子17、18間に設けた第2金属体24の融点よりも高くした。第2金属体24には、第1金属体22よりも融点の低い共晶金属を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、短絡保護装置に関する。
例えば、インバータでは、異常動作時(例えば、短絡故障等)に半導体素子(スイッチング素子)に大電流が流れるため、安全性を確保する目的で電気回路に短絡保護装置を設けている(例えば、特許文献1等に記載)。
特許文献1では、半導体素子間にヒューズを設け、大電流が流れた場合にはヒューズを溶断して電流を遮断することで安全性を確保している。
特開昭60−32519号公報
しかし、特許文献1におけるように短絡保護装置としてヒューズを使用するとコストが増加してしまう問題点がある。
そこで、本発明は、コストの増大を回避することのできる短絡保護装置を提供する。
本発明の短絡保護装置は、パワーモジュールの端子接続部における両端子間に、半導体素子とこの半導体素子に接続される電極間に設けた第1金属体とは異なる第2金属体を設ける。そして、第1金属体を、両端子間に設けた第2金属体の融点よりも高くした。
本発明の短絡保護装置によれば、半導体素子と電極間に設けた第1金属体の融点が、パワーモジュールの端子接続部における両端子間に設けた第2金属体の融点よりも高いので、インバータで異常動作による大電流が電気回路に流れた時に、第1金属体よりも融点の低い第2金属体が溶け出して両端子間をオープンにし、電気回路に流れる大電流を遮断することができる。このように、本発明によれば、従来技術のようにヒューズを使用する必要がないので、コストを低減することができる。
図1はバッテリーからの直流電源をモータへ3相交流に変換するインバータの一例を示す電気回路図である。 図2は図1の電気回路に使用される第1実施形態の短絡保護装置の一例を示す図である。 図3は第2実施形態の短絡保護装置を示す図である。 図4は第3実施形態の短絡保護装置を示す図である。 図5は第4実施形態の短絡保護装置を示す図である。 図6は第5実施形態の短絡保護装置を示す図である。 図7は第6実施形態の短絡保護装置を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
「第1実施形態」
一般的な電気自動車(電動車両)では、バッテリーからの直流電源をモーターへ3相交流に変換して流すためインバータが用いられている。このインバータには、電流の変換を行うためのパワーモジュールが搭載されており、そのパワーモジュール中のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子の導通、非導通を制御することにより電流の変換を行っている。このパワーモジュールに流れる電流の大きさは非常に大きく、インバータ故障による異常動作時には半導体素子(スイッチング素子)に大電流が流れる。そこで、異常動作時の半導体素子への大電流を遮断するヒューズに代わる本実施形態の短絡保護装置を電気回路に設ける。
図1は一般的な電気自動車に使用されるインバータの一例を示す電気回路図である。短絡保護装置1〜6は、バッテリー7からIGBT8及びダイオード9を備えた半導体モジュール10〜15を通じてモータ16へと電流が流れる経路に配置される。短絡保護装置1〜3は、モータ16への電流を遮断し、残りの短絡保護装置4〜6は、短絡を防ぐ。この実施形態では、短絡保護装置1〜6は主回路の部品間に設けているが、これは部品間に限るものではなく母線に設けることもできる。
図2は図1の電気回路に使用される短絡保護装置の一例を示す図である。例えば、この図2では、図1における半導体モジュール10のIGBT8の電極から伸び出た第1端子17と、もう一方の半導体モジュール13のIGBT8の電極から伸び出た第2端子18との端子接続部19に、短絡保護装置1を設けている。
先ず、IGBT8の構成について簡単に説明すると、半導体素子20を上下の電極21に半田からなる第1金属体22にて接続し、その半導体素子20に生じる熱を放熱して冷却するための冷却器23を各電極21に取り付けることによりIGBT8を構成している。
前記端子接続部19における第1端子17と第2端子18間には、前記第1金属体22とは異なる第2金属体24が設けられている。第2金属体24は、第1金属体22である半田(例えば、Sn−Ag−Cu半田)の融点(一般的には200℃程度)よりも低い温度で溶ける共晶合金からなる。共晶合金には、例えば融点が138.5℃であるSn−Bi共晶金属、融点が124℃であるSn-Pb共晶金属、融点が130℃であるSn−Bi−Zn共晶金属、融点が176℃であるSn−Cd共晶金属が使用できる。第2金属体24には、前記した共晶金属の何れかが使用される。
また、第2金属体24には、半導体素子22へ異常電流が流れることにより第1金属体22よりも先に溶ける必要がある他、第2金属体24が溶けて溶融状態になった際に端子接合部19に滞留し難い低粘性を持つ必要がある。先に挙げた共晶合金は、この条件に当てはまる。また、第2金属体24は、異常電流が流れない通常動作時において溶融しないことも必要とされるが、共晶金属であればこの条件も満たす。さらに、第2金属体24は、電流経路に設けられることから、その電気抵抗も低いものであることも求められるが、共晶金属であればこの条件も満たす。このような共晶合金は、半田よりも低融点で電気抵抗が低い上、大電流が流れることで瞬時に溶ける性質を持つものである。
前記第2金属体24の形状は、第1端子17と第2端子18をネジ25にてそれらの端子間に固定する構造であるため、中心にネジ穴26を形成した円盤形状とされる。この実施形態では、第2金属体24を円盤形状としたが、特にその外形状は限定されることはなく矩形状でも多角形状でも構わない。
第1端子17には、ネジ25を挿通させるネジ挿通孔27が形成されている。これに対して第2端子18には、ネジ25に形成された雄ねじ28を螺合させる雌ねじ29が形成されている。
前記ネジ25は、第2金属体24の溶融時において電流パスとして機能しないように、絶縁性を持った樹脂材料で形成されている。例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂でネジ25が形成されている。また、このネジ25は、締め付けトルク(例えば5.5N/m程度)に耐えられるだけの強度が必要となるが、前記PEEK樹脂及びPPS樹脂であればこの条件を満たす。このネジ25を形成するには、例えばプリフォーム成形することで簡単に形成することができる。
第2金属体24は、第1端子17と第2端子18の端子接続部19においてこれら端子間17、18に挟み込まれた後、絶縁性樹脂からなるネジ25で固定されることにより、短絡保護装置1を構成する。
以上のように構成された短絡保護装置1を設けたインバータで異常電流が流れた場合、これら第1端子17及び第2端子18が高温となり、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにする。共晶合金からなる第2金属体24は、瞬時に溶けて端子接合部19に滞留することなく流れ落ちる。これにより、短絡保護装置1で異常電流を遮断することができ、半導体素子20を保護することができる。
第1実施形態の短絡保護装置によれば、半導体素子1と電極21間に設けた第1金属体22の融点が、パワーモジュールの端子接続部19における両端子17、18間に設けた第2金属体24の融点よりも高いので、インバータで異常動作による大電流が電気回路に流れた時に、第1金属体21は溶けることなく第2金属体24が溶け出して両端子17、18間をオープンにし、電気回路に流れる大電流を遮断することができる。このように、第1実施形態の短絡保護装置によれば、インバータの大型化及びコストアップの原因となっていたヒューズを使用することなく異常動作時における安全性を確保することができる。これにより、短絡保護装置の小型化及び低コスト化を実現することが可能となる。
また、第1実施形態の短絡保護装置によれば、第2金属体24を共晶金属としたので、大電流が電気回路に流れた時に瞬時に溶けることから、直ちに両端子17、18間をオープンさせて異常電流を遮断することができる。
また、第1実施形態の短絡保護装置によれば、共晶金属にはSn−Bi共晶金属、Sn-Pb共晶金属、Sn−Bi−Zn共晶金属、Sn−Cd共晶金属の何れかを使用することで、第2金属体24は第1金属体22に使用される半田の融点よりも低い融点となる。
以上、第1実施形態の短絡保護装置について説明したが、本発明は、前記第1実施形態に限定されるものではない。例えば、図2では半導体素子としてIGBT8を例にとり説明したが、ダイオード9であってもよく、或いはパワーMOS−FETなどであってもよい。
また、第1実施形態では、第2金属体24を第1金属体22よりも融点の低い低融点合金である共晶合金としたが、インバータの主回路において最も先に溶け出す機能を持つものであれば、特に第1金属体22の融点よりも低い共晶金属を第2金属体24としなくとも良い。また、第2金属体24は共晶合金に限らず、半導体素子20と電極21との接合に用いられる半田などの第1金属体22よりも融点が低く、異常電流発生時において半田の融解よりも先に溶融状態となり、端子間接続部19を瞬時に遮断することが可能な金属であれば、そのような金属を第2金属体22に使用することもできる。
「第2実施形態」
図3は第2実施形態の短絡保護装置を示す図であり、端子接続部のみを取り出して示してある。第2実施形態の短絡保護装置30では、第1実施形態で用いた第2金属体24を第1端子17と第2端子18の端子接続部19にネジ25で固定するのではなく、平面視矩形状とした第2金属体24を第1端子17と第2端子18間に配置してろう付けすることで固定している。なお、第2金属体24は、実施形態1と同じ共晶合金であるため、その説明は省略する。
このように構成された短絡保護装置においては、第1実施形態と同様、インバータで異常電流が流れた場合、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにし異常電流を遮断する。
「第3実施形態」
図4は第3実施形態の短絡保護装置を示す図であり、端子接続部のみを取り出して示してある。第3実施形態の短絡保護装置31では、端子接続部19の第1端子17と第2端子18に板厚方向に貫通する貫通孔32、33を形成している。貫通孔32、33は、第1端子17及び第2端子18のそれぞれに例えばドリル加工で2つ以上形成することが好ましい。貫通孔32、33の数が増えることで、異常電流通電時に溶融する第2金属体24を、速やかに貫通孔32、33へと流出させることができる。
前記第2金属体24を第1端子17と第2端子18間にろう付けする際には、貫通孔32、33にレジストを充填してろう付けを行うことで、当該貫通孔32、33内に第2金属体24を構成する共晶合金が付着しないようにする。なお、第2金属体24は、実施形態1と同じ共晶合金であるため、その説明は省略する。
このように構成された短絡保護装置31においては、第1実施形態と同様、インバータで異常電流が流れた場合、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにし異常電流を遮断する。特に、この短絡保護装置31では、溶融した第2金属体24は貫通孔32、33へ流れ込むため、流れ出す領域が増えることにより、各端子間17、18に滞留し難くなる。また、この短絡保護装置31によれば、第2金属体24の溶融時において共晶金属が表面張力によって端子17、18間に張り付くことが防止され、異常電流の遮断性を向上させることができる。
「第4実施形態」
図5は第4実施形態の短絡保護装置を示す図であり、端子接続部のみを取り出して示してある。第4実施形態の短絡保護装置34では、第2金属体24が配置される部位の両端子17、18間の体積に対して、該第2金属体24の体積を小さくしている。具体的には、第2実施形態の短絡保護装置30における第2金属体24の体積に比べて、この短絡保護装置34で使用する第2金属体24の体積が小さくなるように、半田ボールを適宜の間隔を置いて第1端子17と第2端子18との間に配置してろう付けすることにより形成している。こうすることで、第2金属体24が配置される部位の両端子17、18間の体積に対して、実際の第2金属体24の体積が小さくなる。なお、第2金属体24は、実施形態1と同じ共晶合金であるため、その説明は省略する。
このように構成された短絡保護装置34においては、インバータで異常電流が流れた場合、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにし異常電流を遮断する。特に、この短絡保護装置34では、第2金属体24の体積の絶対量が端子17、18間の第2金属体24が配置される部位の空隙に対して小さいので、異常電流により第2金属体24が溶け出し易く瞬時に電気的な接続を遮断することができる。また、この短絡保護装置34によれば、第2金属体24が柱状であるため、安定して溶け易くなる。
「第5実施形態」
図6は第5実施形態の短絡保護装置を示す図であり、端子接続部のみを取り出して示してある。第5実施形態の短絡保護装置35では、端子接続部19における両端子17、18の第2金属体24と接する面に、第1端子17及び第2端子18に用いられる金属よりも剛性の高い金属36を設けている。
前記金属36は、例えば銅などからなる第1端子17及び第2端子18に比べて剛性が高く且つ線膨張係数の大きなアルミニウムなどの金属とされる。かかる金属36は、第1端子17及び第2端子18に対して熱間圧延などにより接合されることにより形成される。なお、第2金属体24は、実施形態1と同じ共晶合金であるため、その説明は省略する。
このように構成された短絡保護装置35においては、インバータで異常電流が流れた場合、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにし異常電流を遮断する。特に、この短絡保護装置35では、アルミニウムからなる金属36の線膨張係数が銅からなる第1端子17及び第2端子18の線膨張係数よりも大きいため、両端子17、18間の距離がより広がる方向に変形する。その結果、溶融状態となった第2金属体24との電気的な接続をより素早く遮断することができる。
「第6実施形態」
図7は第6実施形態の短絡保護装置を示す図であり、端子接続部のみを取り出して示してある。第6実施形態の短絡保護装置37では、アルミニウムからなる金属36を接合した第1端子17及び第2端子18に、その一部厚みを薄くした部位38、39を設けている。例えば、第1端子17には、金属36が設けられる側とは反対側の面に切り欠きを形成して厚みを薄くした部位38を形成している。また、第2端子18には、金属36が設けられる側とは反対側の面に同様の切り欠きを形成して厚みを薄くした部位39を形成している。
このように構成された短絡保護装置37においては、インバータで異常電流が流れた場合、第1金属体22は溶けることなく該第1金属体22よりも融点が低い第2金属体24のみが全電気回路の中で最初に溶け出し、両端子間をオープンにし異常電流を遮断する。特に、この短絡保護装置37では、第5実施形態に比べて異常電流発生時の両端子17、18の反りが大きくなるので、端子間距離が更に広がり電流遮断速度がより一層早まる。
本発明は、電気回路に異常電流が流れた時に回路を遮断する短絡保護装置に利用することができる。
1〜6、30、31、34、35、37…短絡保護装置
7…バッテリー
8…IGBT
9…ダイオード
10〜15…半導体モジュール
16…モータ
17…第1端子(端子)
18…第2端子(端子)
19…端子接続部
20…半導体素子
21…電極
22…第1金属体
24…第2金属体
25…ネジ

Claims (7)

  1. パワーモジュールの端子接続部に設けられた短絡保護装置において、
    前記端子接続部における両端子間に、半導体素子と当該半導体素子に接続される電極間に設けた第1金属体とは異なる第2金属体を設け、前記第1金属体を前記第2金属体の融点よりも高くした
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  2. 請求項1に記載の短絡保護装置であって、
    前記第2金属体を挟む前記端子に、板厚方向に貫通する貫通孔を形成した
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  3. 請求項1に記載の短絡保護装置であって、
    前記第2金属体が配置される部位の前記両端子間の体積に対して、該第2金属体の体積を小さくした
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  4. 請求項1に記載の短絡保護装置であって、
    前記端子接続部における前記端子の前記第2金属体と接合する面に、該端子に用いられる金属よりも剛性の高い金属を設けた
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  5. 請求項4に記載の短絡保護装置であって、
    前記第2金属体を挟む前記両端子に、一部厚みを薄くした部位を設けた
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の短絡保護装置であって、
    前記第2金属体が共晶金属である
    ことを特徴とする短絡保護装置。
  7. 請求項6に記載の短絡保護装置であって、
    前記共晶金属は、少なくともSn−Bi共晶金属、Sn-Pb共晶金属、Sn−Bi−Zn共晶金属、Sn−Cd共晶金属の何れかである
    ことを特徴とする短絡保護装置。
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