JP2011000553A - マグネシアスラリーの塗布方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】調合タンクにて調整されたマグネシアスラリーを、給液ポンプによりコーティング部まで送給し、該コーティング部にてマグネシアスラリーを鋼板に塗布するに際し、前記給液ポンプからのマグネシアスラリーを、少なくとも1箇所が屈曲された配管にて前記コーティング部まで導くに当たり、該配管の屈曲部を通るマグネシアスラリーの外側流と内側流とを、屈曲部の配管下流側において分断して前記内側流を前記コーティング部に導く。
【選択図】図2
Description
かように形成されたフォルステライト被膜は、上塗りされたリン酸塩系絶縁コーティングと地鉄部分とを密着させる一種のバインダーとしての働きや、鋼板に張力を付与することにより磁気特性を向上させる働き、鋼板の被膜外観を均一化する働きなどがあり、マグネシアの役割は大きい。
また、本発明の目的は、この塗布方法に直接使用する塗布装置を提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
前記給液ポンプからのマグネシアスラリーを、少なくとも1箇所が屈曲された配管にて前記コーティング部まで導くに当たり、該配管の屈曲部を通るマグネシアスラリーの外側流と内側流とを、屈曲部の配管下流側において分断して前記内側流を前記コーティング部に導くことを特徴とするマグネシアスラリーの塗布方法。
0.9≧Sout/(Sout+Sin)≧0.1
であることを特徴とする前記(1)に記載のマグネシアスラリーの塗布方法。
(l・V)/(t・R)≧5.0
を満足することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のマグネシアスラリーの塗布方法。
ここで、前記屈曲部の曲率半径とは、該屈曲部での配管の中心軸線における曲率半径を意味し、屈曲部における曲率が変化している場合は、その平均の曲率半径とする。同様に、屈曲部の長さも、該屈曲部での配管の中心軸線における長さである。また、配管の円相当径とは、軸直交断面が円の場合はその直径であり、その他の形状である場合は、その断面形状の内接円の直径を意味する。
前記給液ポンプから前記コーティング部までの配管に、マグネシアスラリーの分級装置を少なくとも1つ設置し、該分級装置は、前記配管を屈曲させた屈曲部と、該屈曲部を通るマグネシアスラリーの外側流と内側流とを、屈曲部の配管下流側において分断して前記内側流を前記コーティング部に導く分流部と、を有することを特徴とするマグネシアスラリーの塗布装置。
0.9≧Sout/(Sout+Sin)≧0.1
であることを特徴とする前記(4)に記載のマグネシアスラリーの塗布装置。
まず、本発明のマグネシアスラリーの塗布装置の一例を、図1に示す。本発明に従うマグネシアスラリーの塗布装置は、焼鈍分離剤原料21および水22を混合する調合タンク1と、調合タンク1から配管10を介して送られてきた調合後のマグネシアスラリーを撹拌しながら、該スラリー中のマグネシアの水和量を制御する撹拌タンク2と、撹拌タンク2からポンプ11によって送給される水和量調整後のスラリーが、配管12を介して供給されるリザーブタンク3と、このリザーブタンク3から給液ポンプ13によって送給されるスラリーが、配管14を介して供給されるコーティング部4と、を有する。コーティング部4は、スプレーノズル41、コーティングロール42およびコーティングスラリーの受け皿43を備え、ここに導入される鋼板Sにスプレーノズル41およびコーティングロール42を介してマグネシアスラリーの塗布を行う。
発明者らは、マグネシアスラリーの塗布工程において、スプレーを閉塞させた物質及び、マグネシアスラリー塗布後の鋼板裏面から採取された押し疵の原因と思われる物質を調査した。そのX線回折の結果から、当該物質は水酸化マグネシウムと判明した。この物質の形状は、瓦のように湾曲した板状(薄片)であった。また、大きさは様々であったが、概ね25mm2から100mm2の面積を有していた。
さらに、この物質の由来を確認するため、スラリー化前のマグネシア、攪拌タンク内、スラリー配管内などをくまなく調査した。その結果、スラリー配管内に同じ形状(湾曲)をした水酸化マグネシウムの固化・乾燥物が堆積していることが判明した。このことから、配管内を流れるスラリーが少しずつ配管に堆積して、時間の経過とともに水酸化マグネシウムに変化し、そのうち、定期的に配管内を清掃する際に、十分に清掃しきれず残留したものが乾燥・固化し、メンテナンス後、使用を再開したときに剥落したものが、ノズルを閉塞させたり、鋼板に押し疵を生じさせたと考えられる。
さて、流速V(m/s)で流れているスラリー中の粒子には、曲率半径R(m)で曲がる屈曲部50を通過する際にV2/Rの加速度がかかる。固化物の密度はスラリーの密度より高いため、この密度差に応じた力で屈曲部の外側に固化物が押し出される。屈曲部50終了後は、スラリーを速やかに、図中BおよびCで示す、2つの流路に分離(分離部52)し、B流路をコーティング部4へ、C流路を例えばスラリーのリザーブタンク内に戻すことにより、コーティング部4に固化物が流れ込まないようにすることが出来る。
Ve=KV2/R …(1)
K:定数
とみなすこととし、屈曲部の長さをl(m)、配管の円相当径をt(m)とすると、
l/V≧t/Ve …(2)
の関係が成り立っていないと十分に分離できないと考えられる。この(2)式に(1)式を代入すると、
(l・V)/(t・R)≧1/K …(3)
従って、配管におけるスラリーの流速V、屈曲部の曲率半径R、屈曲部の長さlおよび配管の円相当径tにつき、上記(3)式を満足する範囲にそれぞれ設定することによって、スラリーと固化物との分離が可能になるのである。
Ve=Kg
ここで、g:重力加速度
の関係を有することから、Kを実測することができる。実測結果によると、Kの値は粒子の大きさや形状で様々に変化したが、1/Kの最小値は5.0であった。
本発明では、固化物をスラリーから分離する装置、すなわち分級装置を、スラリーの給液ポンプ13からコーティング部4までの配管14内に設置する必要がある。これは分級するための動力としてスラリーの流れを利用するためである。
(l・V)/(t・R)≧5.0
であることが好ましい。なぜなら、(l・V)/(t・R)が5.0未満であると、十分に固形物を分離することが難しいからである。(l・V)/(t・R)の上限値は特に規定するものではないが、配管の圧力損失を考慮すると、5000≧(l・V)/(t・R)とすることが好ましい。
10、12、14 配管
11 ポンプ
13 給液ポンプ
2 撹拌タンク
21 焼鈍分離剤原料
22 水
3 リザーブタンク
4 コーティング部
41 スプレーノズル
42 コーティングロール
43 受け皿
5 分級装置
50 屈曲部
51a 外側流
51b 内側流
52 分流部
53 弁
S 鋼板
Claims (5)
- 調合タンクにて調整されたマグネシアスラリーを、給液ポンプによりコーティング部まで送給し、該コーティング部にてマグネシアスラリーを鋼板に塗布するに際し、
前記給液ポンプからのマグネシアスラリーを、少なくとも1箇所が屈曲された配管にて前記コーティング部まで導くに当たり、該配管の屈曲部を通るマグネシアスラリーの外側流と内側流とを、屈曲部の配管下流側において分断して前記内側流を前記コーティング部に導くことを特徴とするマグネシアスラリーの塗布方法。 - 前記内側流におけるマグネシアスラリー量をSinとし、前記外側流におけるマグネシアスラリー量をSoutとしたとき、
0.9≧Sout/(Sout+Sin)≧0.1
であることを特徴とする請求項1に記載のマグネシアスラリーの塗布方法。 - 前記配管の屈曲部の曲率半径をR(m)、屈曲部の長さをl(m)、配管の円相当径t(m)、屈曲部入口でのマグネシアスラリーの流速をV(m/s)としたとき、
(l・V)/(t・R)≧5.0
を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシアスラリーの塗布方法。 - マグネシアスラリーを調整する調合タンク、マグネシアスラリーを塗布するコーティング部および、前記調合タンクからのマグネシアスラリーを該コーティング部へ供給する給液ポンプを有する、マグネシアスラリーの塗布装置であって、
前記給液ポンプから前記コーティング部までの配管に、マグネシアスラリーの分級装置を少なくとも1つ設置し、該分級装置は、前記配管を屈曲させた屈曲部と、該屈曲部を通るマグネシアスラリーの外側流と内側流とを、屈曲部の配管下流側において分断して前記内側流を前記コーティング部に導く分流部と、を有することを特徴とするマグネシアスラリーの塗布装置。 - 前記分流部の前記内側流におけるマグネシアスラリー量をSinとし、前記外側流におけるマグネシアスラリー量をSoutとしたとき、
0.9≧Sout/(Sout+Sin)≧0.1
であることを特徴とする請求項4に記載のマグネシアスラリーの塗布装置。
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