本発明は、遊技機における払出装置に対する不正行為を抑制・防止するための払出装置およびその装置を搭載した遊技機(特に、パチンコ遊技機)に係るものである。これ以降、本発明の技術的意義をより明確なものとするために、本発明の払出装置が用いられる遊技機の基本構成および基本等な動作について記載した上で、本発明の払出装置のより具体的な実施形態を例示する。
(遊技機の基本構成)
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、その枠部材5に対して遊技盤2が着脱可能に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、下方(発射装置211;図4参照)から発射された遊技球が遊技盤2の主面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材(図示せず)とを備えている。
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示器21が配設されている。画像表示器21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示器21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
第1始動口25aは、遊技球が入賞して第1特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第1特別図柄表示器31a)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。第2始動口25bは、遊技球が入ると入賞して第2特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第2始動口25bは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第2特別図柄表示器31b)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
第2始動口25bは、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26の一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口がほぼ閉ざされるため、遊技球が第2始動口25bへほとんど入らない。一方、電動チューリップ26の一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が始動口25へ入り易くなる。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間開き、規定回数だけ開閉する。
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)だけ繰り返す。また、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。表示器3の詳細については、後述する。
なお、図1に示した遊技機1は、遊技領域20に2つの始動口(第1始動口25a、第2始動口25b)が配設されているが、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が開始される始動口を1つだけ、または3つ以上設けてもかまわない。また、遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数設けてもかまわない。
また、後述により明らかとなるが、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時に大当たりが抽選される大当たり確率が変動することがある。例えば、遊技機1は、上記大当たり確率が相対的に低い状態(低確状態;例えば大当たり確率が300分の1)から上記大当たり確率が相対的に高い状態(高確状態;例えば大当たり確率が30分の1)へ変動することがある。また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ26の羽根部の開時間が延長されたり、電動チューリップ26の羽根部が開閉する回数が増えたりする(電チューサポート)場合がある。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しはない。
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置211(図4参照)が遊技球を電動発射する。皿59(図3参照)は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置211に供給される。なお、皿59は、上下皿一体で構成してもいいし、上皿と下皿とを分離して構成してもかまわない。また、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
次に、図2を参照して、遊技機1に設けられる表示器3について説明する。図2において、表示器3は、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35を備えている。
第1特別図柄表示器31aは、第1始動口25aに遊技球が入賞することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、第1特別図柄表示器31aは、7セグ表示装置で構成され、第1始動口25aに遊技球が入賞した場合、特別図柄(第1特別図柄)を変動表示してその抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器31bは、第2始動口25bに遊技球が入賞することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、第2特別図柄表示器31bは、7セグ表示装置で構成され、第2始動口25bに遊技球が入賞した場合、特別図柄(第2特別図柄)を変動表示してその抽選結果を表示する。普通図柄表示器33は、ゲート27を遊技球が通過することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、普通図柄表示器33は、LED表示装置で構成され、遊技球がゲート27を通過した場合、普通図柄を変動表示してその抽選結果を表示する。
第1特別図柄保留表示器32aは、第1特別図柄抽選を保留している回数を表示する。第2特別図柄保留表示器32bは、第2特別図柄抽選を保留している回数を表示する。普通図柄保留表示器34は、普通図柄抽選を保留している回数を表示する。
例えば、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31bまたは普通図柄表示器33によって表示図柄が変動表示されている期間(入賞1回分の変動表示が行われている間)に、さらに他の遊技球が入賞した場合、その入賞した遊技球に対する表示図柄の変動表示は、先に入賞した遊技球に対する変動表示が終了するまで、規定回数(例えば、4回)を限度に保留される。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選回数)が、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32bおよび普通図柄保留表示器34に表示される。例えば、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32bおよび普通図柄保留表示器34は、それぞれ列設されたLED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留回数が表示される。
遊技状態表示器35は、遊技機1の電源投入時点における遊技状態を表示する。後述によって明らかとなるが、遊技機1には複数の遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、潜伏遊技状態)が設定されている。そして、遊技機1の電源投入時点においては、遊技状態表示器35によってその遊技状態が報知される。例えば、遊技状態表示器35は、複数のLED表示装置で構成され、その点灯態様によって遊技状態が表示される。
次に、図3を参照して、遊技機1に設けられる入力装置について説明する。図3において、遊技機1には、入力装置の一例として、演出ボタン57および演出キー58が設けられている。
演出ボタン57および演出キー58は、それぞれ遊技者が演出に対する入力を行うために設けられている。演出ボタン57は、遊技機1の前方に突出した皿59の上面脇部に設けられる。演出キー58は、中央キーと略十字に配列された複数のキーとを有し、演出ボタン57に隣接して皿59の上面脇部に設けられる。例えば、演出キー58は、その中央に1つの中央キーを配置し、中央キーの周囲に略同一形状の4つの周囲キーを配置して構成されている。演出ボタン57および演出キー58は、それぞれ遊技者に押下されることによって所定の演出が行われる。例えば、遊技者は、演出キー58の4つの周囲キーを操作することにより、画像表示器21に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶことが可能である。また、遊技者は、演出キー58の中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。
また、上記内枠体の背面側には、払出用の遊技球を溜めておく球タンクや遊技球を皿59に払い出す払出機構(図4の払出駆動部311、図5などの払出装置711が対応する)が設けられ、各種の基板等が取り付けられている。例えば、遊技盤2の後面には、メイン基板およびサブ基板等が配設されている。
具体的には、メイン基板には、内部抽選および当選の判定等を行うメイン制御部100が構成されたメイン制御基板、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する発射制御部200が構成された発射制御基板、および賞球の払出を制御する払出制御部300が構成された払出制御基板等が配設されている。このメイン基板は、開封されることにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケースによって密封されている。
また、サブ基板には、演出を統括的に制御する演出制御部400が構成された演出制御基板、画像や音による演出を制御する画像音響制御部500が構成された画像音響制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御するランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等が配設されている。また、遊技盤2の後面には、遊技機1に供給された100VのAC電源をDC電源に変換して上述した各種の基板等に出力するスイッチング電源が配設されている。
次に、図4を参照して、遊技機1での動作制御や信号処理を行う制御装置について説明する。なお、図4は、遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4において、遊技機1の制御装置は、メイン制御部100、発射制御部200、払出制御部300、演出制御部400、画像音響制御部500、およびランプ制御部600を備えている。
メイン制御部100は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、およびRAM(Random Access Memory)103を備えている。CPU101は、内部抽選および当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM102は、CPU101にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられる。以下、メイン制御部100の主な機能について説明する。
メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると特別図柄抽選(第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選)を行い、特別図柄抽選での当選か否かを示す判定結果データを演出制御部400に送る。また、メイン制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)および特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータや、普通図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータを、演出制御部400に送る。
メイン制御部100は、電動チューリップ26の羽根部が開状態となる開時間や羽根部が開閉する回数、さらには羽根部が開閉する開閉時間間隔を制御する。また、メイン制御部100は、遊技球が第1始動口25aへ入賞したときの保留回数や、遊技球が第2始動口25bへ入賞したときの保留回数や、遊技球がゲート27を通過したときの保留回数を管理する。
メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉動作を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで、大入賞口28が突出傾斜して開状態とするラウンドを所定回数(例えば15回または1回)だけ繰り返すように制御する。また、メイン制御部100は、大入賞口28が開閉する開閉時間間隔を制御する。
メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出数を払出制御部300に対して指示する。例えば、メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部300に指示命令(コマンド)を送る。なお、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しを払出制御部300に指示しない。払出制御部300がメイン制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払出制御部300から払い出した賞球の個数に関する情報がメイン制御部100へ送られる。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した情報に基づいて、払い出した賞球の個数を管理する。
メイン制御部100は、発射制御部200を介して、遊技球を発射する発射装置211を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定の条件に基づいて、発射装置211が遊技球を発射する動作を許可する信号を、払出制御部300を介して発射制御部200へ送信する。
上述した機能を実現するために、メイン制御部100には、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111b、電動チューリップ開閉部112、ゲートスイッチ113、大入賞口スイッチ114、大入賞口開閉部115、普通入賞口スイッチ116、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35が接続されている。
第1始動口スイッチ111aは、第1始動口25aへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。第2始動口スイッチ111bは、第2始動口25bへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部112は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、電動チューリップ26の一対の羽根部を開閉する。ゲートスイッチ113は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口スイッチ114は、大入賞口28へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口開閉部115は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、大入賞口28を開閉する。普通入賞口スイッチ116は、普通入賞口29へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
また、メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞により始動した第1特別図柄抽選の結果を、第1特別図柄表示器31aに表示する。メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第1特別図柄保留表示器32aに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞により始動した第2特別図柄抽選の結果を、第2特別図柄表示器31bに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第2特別図柄保留表示器32bに表示する。メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選の結果を、普通図柄表示器33に表示する。そして、メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過に応じて抽選を保留にしている保留回数を、普通図柄保留表示器34に表示する。
さらに、メイン制御部100は、遊技機1を設置している店(ホール)に設けられたホストコンピュータに対して、各種の情報を送信する。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した、払い出した賞球数に関する情報やメイン制御部100の状態等を示す情報を、上記ホストコンピュータに送信する。
発射制御部200は、CPU201、ROM202、およびRAM203を備えている。CPU201は、発射装置211に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM202は、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM203は、CPU201の作業用メモリ等として用いられる。
レバー52は、その位置が中立位置にある場合、信号を出力せずに発射停止状態となる。そして、レバー52は、時計方向に回転操作されると、その回転角度に応じた信号を打球発射指令信号として発射制御部200に出力する。発射制御部200は、打球発射指令信号に基づいて、発射装置211の発射動作を制御する。例えば、発射制御部200は、レバー52の回転角度が増すほど、遊技球が発射される速度が速くなるように、発射装置211の動作を制御する。また、発射制御部200は、メイン制御部100から発射を許可する信号を受信することによって、発射装置211の発射動作が可能となる。一方、発射制御部200は、停止ボタン53が押下された信号が出力されたり、メイン制御部100から発射を停止する制御信号が出力されたりした場合、発射装置211が遊技球を発射する動作を停止させる。
払出制御部300は、CPU301、ROM302、およびRAM303を備えている。CPU301は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。ROM302は、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM303は、CPU301の作業用メモリ等として用いられる。そして、払出制御部300は、メイン制御部100から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部300は、メイン制御部100から、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部311を制御する。ここで、払出駆動部311は、遊技球の貯留部(図5における、球タンク701に対応)から遊技球を送り出す駆動モータを備える駆動ユニット等で構成される。なお、ここで掲げた払出駆動部311は、払出球検出スイッチ312などの各種スイッチ、その他の付属部品ともに、払出装置711を構成する。払出装置711のより具体的な構成については、後述する。
また、払出制御部300は、上記ホストコンピュータに対して各種の情報を送信する。例えば、払出制御部300は、払出駆動部311に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や実際に払い出された賞球数に関する情報等を、ホストコンピュータに送信する。また、払出制御部300は、メイン制御部100に対しても、同様の情報を送信する。
演出制御部400は、CPU(演出制御CPU)401、ROM402、RAM403、およびRTC(リアルタイムクロック)404を備えている。また、演出制御部400には、演出ボタン57および演出キー58が接続されている。CPU401は、演出を制御する際の演算処理を行う。ROM402は、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM403は、CPU401の作業用メモリ等として用いられる。RTC404は、現時点の日時を計測する。
演出制御部400は、メイン制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出制御部400は、遊技者によって演出ボタン57または演出キー58が押下操作された場合、当該操作入力に応じて演出内容を設定する場合もある。また、演出制御部400は、遊技機1に対する遊技が所定期間以上中断された場合、演出の1つとして客待ち用の演出を設定する。
さらに、メイン制御部100が、特別図柄抽選時の当選確率を変動させたことを示すデータを出力した場合、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、演出制御部400は、それぞれ出力されたデータが示す内容に対応させて、演出内容を設定する。そして、演出制御部400は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像音響制御部500およびランプ制御部600にそれぞれ送る。
画像音響制御部500は、CPU(画像音響制御CPU)501、ROM502、およびRAM503を備えている。CPU501は、演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。ROM502は、CPU501にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM503は、CPU501の作業用メモリ等として用いられる。
画像音響制御部500は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、画像表示器21に表示する画像およびスピーカ55から出力する音響を制御する。具体的には、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。
また、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21に表示される画像と同期させて、または表示される画像とは独立に、スピーカ55から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等の各種音響データが記憶されている。画像音響制御部500のCPU501は、ROM502に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU501は、読み出した画像データを用いて、背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理を行う。また、CPU501は、読み出した音響データを用いて音声処理を行う。そして、CPU501は、画像処理された画像データが示す画像を画像表示器21に表示する。また、CPU501は、音声処理された音響データが示す音響をスピーカ55から出力する。
ランプ制御部600は、CPU601、ROM602、およびRAM603を備えている。CPU601は、盤ランプ23や枠ランプ56の発光、および可動役物22の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM602は、CPU601にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM603は、CPU601の作業用メモリ等として用いられる。
ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、可動役物22の動作を制御する。具体的には、ランプ制御部600のROM602には、演出制御部400にて設定される演出内容に応じた盤ランプ23や枠ランプ56での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した発光パターンデータに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の発光を制御する。また、ROM602には、演出制御部400にて設定される演出内容に応じた可動役物22の動作パターンデータが記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された動作パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した動作パターンデータに基づいて、可動役物22の動作を制御する。
(不正防止のための機構およびそれを有する払出装置)
(遊技機における払出装置の配置)
次に、図5を参照して、遊技機1における払出装置711の例示的な態様をより詳細に説明する。図5は、遊技機1の概略背面図である。本実施形態において、遊技機1の内枠体の背面側には、遊技球を皿59(図2参照)に払い出す払出装置711が、各種の基板および払出用の遊技球を溜めておく球タンク701等とともに備えられている。
球タンク701に貯留されている遊技球は、傾斜樋702および球誘導筒703を介して払出装置711へ供給される。球タンク701から払出装置711への遊技球の流れにおいて、傾斜樋702は、球タンク701の下流にそれと連通して設けられている。さらに、球誘導筒703が、傾斜樋702の下流にそれと連通して設けられている。球誘導筒703がエルボ形のであることによって、傾斜樋702を通過した遊技球は、鉛直方向に案内され払出装置711に供給される。
払出装置711は、このように球タンク701から供給された遊技球のうち、所定数の遊技球を、払出制御部300の制御下で払い出す。そして、払出装置711から払い出された遊技球は、排出樋716を介して皿59に供給される。以下、払出装置711の構造およびその動作について詳細に説明する。
(払出装置の外観)
払出装置711は、遊技球を受容しつつ所定数の球を払い出す機構を担う内部構造体を収める本体ケースを備える。この本体ケースの外観は、およそ直方体状である。図5に示されているように、遊技機1に設置される際、払出装置711は、払出装置711の概して直方体状の本体ケースにおける長手軸方向が鉛直方向となるように取り付けられる。
図6を参照して、払出装置711の外観(本体ケース等)を説明する。
図6は、払出装置711の正面図、平面図、下面図、左側面図、右側面図、および背面図の一例を示す。
図6における正面図(横方向に4つ並列させて記載している図6の図面のうち、左から2つ目の図)に示されている払出装置711の正面は、遊技機1の背面側に取り付けられた際にその遊技機1の内枠体の背面に対向する面である。したがって、払出装置711が遊技機1に取り付けられた場合、図5に示された遊技機1の背面側に露出しているのは、図6に背面図(横方向に4つ並列させて記載している図6の図面のうち、右端の図)として示される払出装置711の背面である。
図6の平面図(縦方向に3つ並列させて記載している図6の図面のうち、最上位置の図)として示されている払出装置711の上面に、2個の球入口720が開設されている(これらの2つの球入口720を、特に区別して示す必要がある場合、図6に示される位置関係により、払出装置711の背面側に配置された球入口720a、払出装置711の正面側に配置された球入口720bとして区別して表記する。)。球タンク701から傾斜樋702および球誘導筒703を介して払出装置711へ供給される遊技球は、2個の球入口720を介して払出装置711の内部へと入る。
また、払出装置711のケース本体には、球誘導筒703の下端が払出装置711の上面の各球入口720と連通し、払出装置711の下面(縦方向に3つ並列させて記載している図6の図面のうち、最下位置の図に示されている面)に設けられた球出口724が排出樋716の上端部と連通するための固定部材も設けられている。
(払出装置の内部構造)
次に、図7を参照して、払出装置711の内部構造の一例についてさらに詳細に説明する。
上述のように、払出装置711には、2つの球入口720a、720bが開設されている。さらに、払出装置711の内部には、その球入口720の各々と連通する2条の賞球供給通路721a、721bが並列して成形されている。図7の紙面に向かい左側の図は、図6の正面図に対応する払出装置711の外観(本体ケース)を示すものであり、他方、右側の図は、本体ケースの一部を取り除いて、払出装置711の内部を一部露出させた様子を示した図である。具体的には、この内部を示す図には、球入口720bと連通する賞球供給通路721bなどの様子が示されている。
他方、球入口720aと連通する賞球供給通路721a(図示せず)は、上述の賞球供給通路721bとほぼ並列するように払出装置711の内部に形成されている。すなわち、図7には示されていないが、払出装置711内には賞球供給通路721bと同様の賞球供給通路721aが、図7の紙面奥行き方向に位置するように設けられている。
また、後述するように、払出装置711内の賞球供給通路721bの下端(遊技球の流れ方向に沿った際の下流側)には、分岐部その他の内部構造体が設けられている。そして、これらの内部構造体に対応する同様の内部構造体が、上述した賞球供給通路721aと同様に、図7の紙面奥行き方向に位置するように設けられている。
以下、説明の簡略化のため、図7で示されている球入口720b側の内部構造を中心に説明する。なお、本明細書中、「a」、「b」の区別をする符号(例えば、721a、721b)は、その符号が示す構成要素につき、球入口720aおよび球入口720bに係る、並列した二つの構造体の区別をするものである。但し、第1始動口25a、第2始動口25b、第1始動口スイッチ111a、または第2始動口スイッチ111bについてはこの限りでない。
賞球供給通路721bは、その通路幅方向の断面が方形状をなしており、その断面積は遊技球が所定の個数ずつ(本例示的な実施形態においては、1ずつ)連続的に流下するのに適切な大きさに調整されている。賞球供給通路721bは、その経路の形状として直線部位と屈曲部位を備えている。
賞球供給通路721bの下端には、賞球供給通路721bと連続して分岐部722bが成形される。分岐部722bは、賞球供給通路721bから流下する遊技球を異なる2方向へ分岐して流下させる2つの分岐通路を有している。そして、分岐部722bに形成された分岐通路のうち一方の下端には、当該分岐通路と連続して賞球払出通路723bが成形されている。賞球払出通路723bは、球出口724と連通している。球出口724は、払出装置711のケース本体の長手軸が鉛直方向と平行に設置された際に下端部となる面(図6の下面図に対応する面)に開設されている。
他方、賞球払出通路723bに連通する分岐通路とは別の分岐通路には、当該分岐通路への開口部となる球抜口729bを介して、当該分岐通路と連通する球抜き通路部730bが成形される。
賞球供給通路721bには、球有検出スイッチ714b(図4における「球有検出SW」に対応する)が設けられている。球有検出スイッチ714bは、賞球供給通路721bに所定数以上の遊技球が貯留されている状態が確保されていることを検知するスイッチである。
この球有検出スイッチ714bは、賞球供給通路721bに所定数以上の遊技球で満たされている状態と、遊技球で満たされていない状態とを検知して区別する機能を確保できればいずれの機構を使用してもよい。本実施形態においては、以下のような検知用部材726bとフォトセンサ728bとを備える機構により、球有検出スイッチ714bを確立している。
以下、図7の右側の図を参照して、球有検出スイッチ714bの構成をより詳細に説明する。
まず、賞球供給通路721bの直線部位には一側壁に切欠開口725bが設けられている。そして、賞球供給通路721b内に遊技球が供給されているか否かを検出するための検知用部材726が、その切欠開口725bの上端部で軸支されて自在に揺動するように配置されている。また、この検知用部材726bの一側には、突片727が設けられている。
他方、投光部と受光部とを有する二股状のフォトセンサ728bが、検知用部材726bに対向するように配設された配線基板(図7の右図において、点線枠でしめした部分)に一体的に設けられている。すなわち、軸支された検知用部材726bの全体の位置に応じて、突片727bが、フォトセンサ728bの二股状となった部位に介入する位置関係にある。
賞球供給通路721bに所定数の遊技球が存在しない場合、検知用部材726bは、その下部が自らの重さにより賞球供給通路721bの直線部位内に僅かに突出するように設けられている。このとき、上述の突片727bは、二股状のフォトセンサ728b内に介入していない状態である(図7の状態)。
他方、賞球供給通路721bに所定数以上の遊技球が貯留されているときは、検知用部材726bが遊技球に押され、賞球供給通路721b内から退避して突片727bを跳ね上げることで、突片727bは二股状のフォトセンサ728b内に介入している状態となる。
このように、賞球供給通路721b内に貯留されている遊技球の有無は、突片727bの二股状のフォトセンサ728b内への介入の有無と関連付けられている。そして、この介入により、フォトセンサ728bのオン・オフ状態が切り替わり、遊技球の有無に係る信号が、フォトセンサ728bと一体形成された配線基板等を介して払出制御部300へと伝えられる構成となっている。賞球供給通路721b内に遊技球が所定数以上貯留されていない状態であることを示す信号を受け取ると、払出制御部300は、払出装置711における異常状態として判定し、必要に応じて後続の処理(例えば、報知処理など)の命令を出す。
上述の分岐部722bには、球抜口729を開閉する切替え弁731が配置される。この切替え弁731は、上端で軸支され自在に揺動するようになっている。また、切替え弁731の後面上部にほぼ水平な制止片732が突設され、下端部には側方へ突出する係止ピン733が設けられる。その係止ピン733は、ケース本体の外周面(図7左図参照)に開設された弧状のガイド孔734に嵌入している。
他方、切替え弁731の側面に近接させてその切替え弁731を回動抑制するためのロック部材735が配置される。このロック部材735は、ケース本体内に一体に成形された溝部736内を前後方向へ摺動して切替え弁731側へ自在に接離できるようになっている。
また、ロック部材735にはケース本体の外周面に設けられた横長孔から外側へ突出する操作杆が設けられ、外部から手でロック部材735が操作できるようになっている。通常の遊技中では、ロック部材735が切替え弁731側へ摺動して制止片732の上面に係合し、切替え弁731により球抜口729が塞がれている。他方、必要に応じて、球抜口729bが開口された場合には、球抜口729bと連通する球抜き通路部730bに遊技球が流下することが可能である。
賞球供給通路721bを流下する遊技球を所定数に区切って送出するための機構が、上述の分岐部722bにおける一方の分岐通路側の下流に設けられている。
本実施形態において、その送出するための機構は、水平な出力軸738によって鉛直面内で回転する払出用回転体737を備えている。払出用回転体737の形状は、分岐部722bから一方の分岐通路へ流下する遊技球を留めつつも、払出制御部300の制御のもと、鉛直面内で回転することでその留めていた遊技球を、一方の分岐通路を介して賞球払出通路723bへと流下させ得るものである。
具体的には、払出用回転体737は、当該鉛直面の法線方向に沿って延びた突出部(羽根状部分)を備えている。その羽根状部分は、分岐部722bから賞球払出通路723bへ流下する遊技球を留める目的で、半径方向に窪んでいる部分を有している。この半径方向に窪んでいる部分の位置および個数は、払出用回転体737の回転角度と関連付けられて設定されている。つまり、払出用回転体737が所定の角度だけ所定方向に回転すると、半径方向に窪んでいる部分に収まっていた遊技球が、重力の作用によりその位置から出ることで賞球払出通路723bへと流下する。
これまで、払出装置711の長手軸方向に沿って存在する、球入口720aおよび720bに係るほぼ対称で並列した内部構造のうち、球入口720b側の構造に着目して説明してきた。上述の払出用回転体737の構造は、球入口720a側に設けられた払出球検出スイッチ712aを介して賞球払出通路723a(図8を参照)に流下する遊技球の流れの制御とも密接に関連する。よって、ここでは、図8を参照しつつ、払出用回転体737周辺の構造を、球入口720a側の構造との関係も踏まえて説明する。
図8は、払出用回転体737、払出球検出スイッチ712a、払出球検出スイッチ712b、不正検出スイッチ713との位置関係の概略を示した図である。
図8において、紙面に向かって左側の図は、図7の点線枠A内の拡大図である。他方、図8の右側の図は、左図とは別方向からの当該範囲を観察した際の概略図ある(各図の下部に示したXYZの3軸により、両図に示されたもの相対的な位置関係を示した)。払出用回転体737、払出球検出スイッチ712a、払出球検出スイッチ712bの位置関係を明示する目的で、これらの部品に限り実線にて示してある。
図8の右図に示したように、払出用回転体737により所定数に区切って排出された遊技球が、並列する2つの賞球払出通路723a、723bに流下するのを検出するために、払出球検出スイッチ712a、712bが設けられている。そして、後節で詳述する不正検出スイッチ713が、2つの払出球検出スイッチ712a、712bの近傍に位置している。
図8の左図に示された例を基準とすると、賞球の払出の際には、払出用回転体737は、出力軸738を中心に反時計周りに回転する。その紙面手前方向に延びている突出部の形状(すなわち、球入口720b側の構造)は、出力軸738を回転軸とした2回回転対称である。ここで、遊技球が1つ収まるほどの半径方向に窪んでいる部分が、出力軸738を挟んで1つずつ設けられている。つまり、紙面手前方向に延びている突出部には、総計2つの半径方向に窪んだ部分が設けられている。
このような構成をとることによって、払出用回転体737が反時計周りに180°回転するごとに、紙面手前方向に延びている突出部は、1個の遊技球を賞球払出通路723bへと送出する。
上述のように、払出用回転体737は、鉛直面の法線方向に沿って突出部を備えている。そして、図8の右図が示すように、払出装置711内に設置される際には、払出用回転体737は、その球入口720a側の内部構造と球入口720b側の内部構造とを区切る内壁面の両側にほぼ対称に位置している。つまり、上述した720b側の突出部分と相似形の突出部分が、球入口720a側にも存在している。
ここで、図9を参照する。図9は、当該払出球検出スイッチ712b、払出用回転体737、不正検出スイッチ713の位置関係の一例を示す図である。
図9の上段は、払出球検出スイッチ712b、払出用回転体737、不正検出スイッチ713が取り外された状態の払出装置711の一例を示す図である。図9の下段は、払出球検出スイッチ712b、払出用回転体737、不正検出スイッチ713が取り付けられた状態の払出装置711の一例を示す図である。図9に示されるXYZの3軸の方向は、図8に示したXYZの3軸と対応する。
図9の上段の図から理解されるように、球入口720a側の突出部分における窪んでいる部分は、球入口720b側の突出部分と比較した場合に、必要に応じて円周方向に所定の角度だけずれて配置されている。本実施形態では、遊技機に設置された払出装置711の内壁面(鉛直面と平行である面)の両側で、突出部分の形状は、円周方向に90°ずれて配置されている。つまり、払出用回転体737が反時計周りに90°回転するごとに、賞球払出通路723aまたは賞球払出通路723bに遊技球が交互に払い出される。
また、払出装置711は、払出用回転体737のやや上方に駆動ユニット739を備える。この駆動ユニット739は、払出装置711を駆動するための駆動源である。駆動ユニット739は、払出用回転体737の回転を駆動するための駆動モータ、モータの回転を払出用回転体737に伝えるための歯車等を備える。
なお、上述した羽根状部材の構成その他の払出用回転体737に係る構成の具体的な構成については、所定数の遊技球を区切って払い出せるもの構成であれば、上述のような2回回転対称の羽根形状を有するものを常に必要とするわけではなく、その機能を達成する限りにおいて別の形状であってよい。
ここで、再度、球入口720b側に着目して、説明する。上述の払出用回転体737の下流位置に払出球検出スイッチ712bが設けられており、払出用回転体737により賞球払出通路723bに排出された遊技球の個数を計数する。本払出球検出スイッチ712bの構成の詳細については後述するが、この計数が正常に行われることで、所定数量の遊技球を払い出すという動作を払出制御部300は制御し得る。
上述のように球入口720bから連通する賞球供給通路721bは、分岐部722bを通過して、払出用回転体737の働きによって所定数ずつ賞球払出通路723bへと遊技球が払い出される。この払出の際、上述の払出球検出スイッチ712bを通過した後は賞球払出通路723bへと流れ、最終的には皿59へと排出される。
(払出球検出スイッチ)
本発明の払出装置711における払出球検出スイッチ712bは、誘導形近接スイッチが用いられる。この誘導形近接スイッチは、半導体開閉素子を備え、検出領域内に磁界を発生させる近接スイッチである。ここで、半導体開閉素子とは、半導体の導電率を制御することによって、電気回路の電流を切り換えるように設計された素子である。
検出領域内に磁界を発生させる誘導形近接スイッチの検出素子は、高周波発振回路に結合したコイル(検出コイル)である。誘導形近接スイッチは、検出領域への検出体の接近あるいは存在に起因する電磁誘導作用により、近接検出体内に誘導電流が流れ、検出コイルのインダクタンスまたは損失の変化によって、発振回路定数が変化し、発振振幅および/または発振周波数が変化するのを利用して、検出体の接近あるいは存在を検出する。
次に、図10を参照して、本実施形態で使用される誘導形近接スイッチについて、動作原理も含め、さらに詳細に説明する。図10は、本発明の一実施形態で使用される誘導形近接スイッチの概略を示す図である。本実施形態において使用される誘導形近接スイッチは、好ましくは、以下に説明するような貫通型近接スイッチである。
図10の左図は、本発明で使用される貫通型近接スイッチの外観の一例を示す斜視図である。この貫通型近接スイッチは、ほぼ矩形ブロック状の外観を有しており、その一側面から対向する面まで貫通する開口部を有している。この開口部は、検出体である遊技球が1つ通過できる程度の直径を有する円形である。点線で示した複数の円および矢印記号は、遊技球が当該貫通型近接スイッチを通過する方向を示す(図10の右側の図においても同様である)。本実施形態において、矢印記号の向きは、払出用回転体737から排出された遊技球が賞球払出通路へと流れる方向に対応する。
図10の右側には、本発明で使用される貫通型近接スイッチにおける図10の左図に示す断面AAでの断面概略図を示している。貫通型近接スイッチは、高周波発振回路に結合した検出コイル740を備えているが、その検出コイル740は、開口部を取り囲む位置に設けられている。
本発明の貫通型近接スイッチの特性について説明する。この貫通型近接スイッチは、半導体開閉素子を備え、検出領域内に磁界を発生させる近接スイッチであり、その仕様は、検出範囲、応差の距離等の性能により特定される。そして、本発明の貫通型近接スイッチが、検出体を検出し得る空間的な領域(検出領域)は、その検出範囲等により規定される。
ここで、図11を参照して、本発明の検出範囲について説明する。図11は、貫通型近接スイッチの検出範囲の概念図である。ここで、検出範囲は、動作距離を調整できる範囲である。動作距離とは、基準軸(検出面に垂直で、その中心を通る軸)に沿って検出体が検出面に接近したとき、出力が反転する距離である。ここで、検出面は、電磁界が発生する当該近接スイッチの表面である。
図11は、払出球検出スイッチとして使用される貫通型近接スイッチと、その開口部を通過する遊技球との位置を示した図である。なお、図11においては、貫通型近接スイッチの開口部を、破線で示す。ここで、遊技球を、「球通過方向表示面」として特定される貫通型近接スイッチの面から開口部内を移動させたとき、検出状態となる点をa、さらに移動させて非検出状態となる点をbとしたとき、a−b間の距離Lが、当該貫通型近接スイッチの検出範囲である。
本実施形態において、貫通型近接スイッチは、好ましくは、コネクタを内蔵した直流2線式近接スイッチである。本発明の貫通型近接スイッチは、一例として、高周波発振回路、発振状態検出回路、および出力回路を備えている。そして、この貫通型近接スイッチは、金属体である遊技球が検出コイルに近づく際の検出コイルのインピーダンス変化によって、当該遊技球の通過または存在を検出する。
さらに詳細に説明すると、検出コイルより出る高周波磁界中に検出体が接近するまたはその中に存在すると、近接した検出体中に電磁誘導現象による誘導電流が流れ、検出体内に熱損失が発生する。ここで、この誘導電流による熱損失は、検出コイルを通じて発振回路より引き出されたものであり、この結果、発振回路は発振状態を維持することができず、発振が減衰するか、または停止する。発振状態検出回路が、誘導形近接スイッチ内に発振状態を検出しており、発振が減衰または停止すると、その状態を検出する。
つまり、貫通型近接スイッチにおいて検出体を検出した状態(検出状態)は、その発振回路による発振が「減衰」または「停止」した状態と関連付けられている。なお、出力回路は、動作形態の一例として、検出体の存在がある場合には、出力トランジスタがオフ状態となり、検出体の存在がない場合には、出力トランジスタがオン状態となるような構成をとる。
(誘導形近接スイッチの電磁波の影響下での動作)
電磁波を利用した不正行為において、検出体としての賞球(遊技球)が誘導形近接スイッチの検出領域を接近・通過しても検出されない状態が強制的に作り出されている。
すなわち、通常の利用状態では存在しない電磁波の影響があるために、誘導形近接スイッチは、正常な検出動作を確立できない。ここで、誘導形近接スイッチの「検出動作」とは、通常の利用状態にある誘導形近接スイッチの検出領域内に検出体が存在するときに、またはその検出領域内を検出体が接近・通過するときに、その検出体の存在または接近・通過の状態と対応づけられている当該誘導形近接スイッチにおける発振状態の変化である。また、この発振状態の変化の具体的な態様としては、例えば、発振の減衰または停止の動作である。
したがって、不正行為において使用される電磁波は、誘導形近接スイッチの検出領域と検出体との間の位置状態と、当該誘導形近接スイッチにおける発振の変化(特に、減衰または停止)との対応関係に影響を与える電磁波といえる。
上述の貫通型近接スイッチの例では、通常は検出体がそのスイッチの検出領域に存在または通過する場合、そのスイッチの発振回路による発振が減衰するか停止するところ、所定の特性(波長、振幅(電磁場の強さは振幅の二乗)、伝播方向、偏波、位相等)を有する電磁波を当てることによって、検出体の存在または通過が検出領域内にあるにも拘わらず、発振を減衰も停止もさせないという状態をつくり出す。
すなわち、当該電磁波を用いた不正行為が行われると、検出体が、払出球検出スイッチの検出領域に存在、または検出領域を通過しても、払出球検出スイッチの発振が減衰も停止もしない状態となる。
そして、上述のような状態に起因して、検出体である遊技球が、貫通型近接スイッチの検出領域を通過している(つまり、賞球が払い出されている)状態であるのに、払い出された遊技球の実際の数は遊技機側により正確に計数されない結果となる。
このような問題を解決する手段として、本発明は、以下に説明する不正検出スイッチを備える。
(不正検出スイッチ等の配置)
払出装置711における不正検出スイッチ713の保護対象は、本実施形態においては、払出球検出スイッチ712a、712bである。その位置関係については、図8および9などを参照しつつ、上述したとおりである。本節では、不正検出装置の構造をより詳細に説明する。
(不正検出スイッチ)
不正検出スイッチ713(図4における、「不正検出SW」に対応)は、払出球検出スイッチ712bと基本構成を共通にする誘導形近接スイッチと、検出体と、当該非検出体を近接スイッチの検出領域内に固定するための部材(図示省略)とを備える。なお、ここで、固定とは、遊技機の通常稼動時に、当該検出体が所定の位置を占めることが確保されているならば、必ずしも所定位置に固設されている態様でなくてよく、必要に応じて、検出体がその位置から着脱可能な態様であってもよい。
不正検出スイッチ713の構成要素としての検出体は、本実施形態の場合、遊技球718を用いる。しかしながら、後述するように、この検出体は、誘導体形近接スイッチを通常状態で、検出体に係る「検出状態」とする目的で使用される金属体であるので、別の実施形態においては必ずしも遊技球でなくてもよい。そのような金属体としては、例えば、球状、多面体(例えば、三角柱、四角柱)、円柱状、棒状、またはその他の形状ならびにその組み合わせを有する金属体が挙げられるが、これらに限定されない。
払出装置711は、2つの賞球払出通路のそれぞれに、払出球検出スイッチ712aおよび712bが並列して設けられているが、それらの近傍に不正検出スイッチ713が位置している。不正検出スイッチ713の検出領域内には、遊技球718が固定部材により固定されている。したがって、強力な電磁波が不正検出スイッチ713に照射されているような異常状態でなければ、この不正検出スイッチ713が有する発振状態検出回路は、遊技球718の存在によって発振が減衰または停止している状態を確立しており、それに対応する出力がなされている。
本実施形態において、払出球検出スイッチ712a、712bと不正検出スイッチ713との位置関係は上述のとおりであるが、複数の誘導形近接スイッチ(本実施形態でいえば、払出球検出スイッチ712bおよび不正検出スイッチ713)が、「近傍」に設けられているとの位置関係は以下のような位置関係である。
所定の電磁波が照射された際に、「近傍」の位置関係にある複数の誘導形近接スイッチは、その各々に対して当該電磁波が与えるそれぞれのスイッチの検出動作における影響は同程度である。ここで、検出動作における影響が同程度とは、当該電磁波の有無と誘導形検出スイッチの検出動作との相関関係において、比較対象とする誘導形近接スイッチ間での相関性は同程度ということである。
なお、本実施形態において、払出球検出スイッチ712aおよび712bのいずれも、不正検出スイッチ713の保護対象として設定され、上述のようにその目的に沿う位置に不正検出スイッチ713が設置されている。しかしながら、本発明を実施するためには、このような位置関係に限られる必要はなく、例えば、物理的距離が離れた複数の払出球検出スイッチのそれぞれを、保護するために複数の不正検出スイッチが個別に設置されてもよい。
上述のような「近傍」の位置関係において、対象とする2つの誘導形近接スイッチ間の距離における下限は、その誘導形近接スイッチがその検出動作における相互干渉をしない距離である。使用する近接スイッチの仕様において、2つの近接スイッチが密着して使用できるものであれば、そのような態様で使用することが可能である。つまり、2つの誘導形近接スイッチが密着して使用できる仕様であるのなら、当該下限は、その近接スイッチが設置される空間において、それらが排除する体積により許容される距離まで、近づけることが可能である。
他方、照射が想定される電磁波の特性が、複数の誘導形近接スイッチの双方に同等の影響を与える限りにおいて、その複数の誘導形近接スイッチ間の距離は大きくすることが可能である。
よって、当業者は、本明細書の記載および技術常識に基づいて、誘導形近接スイッチにより実現される払出装置における、払出球検出スイッチと、不正検出スイッチとの位置関係を、それらの機能が十分発揮できる位置に設定することが可能である。
すなわち、その払出装置が遊技機に設置され、ホール等の通常の稼動状態で用いられる場合、一般利用者側が遊技機に物理的に接触を図ることができる位置関係は特定できることに鑑みれば、検出領域に検出体を有する払出球検出スイッチの発振の減衰・停止を強制的に抑制するための電磁波の最低強度等を評価することで、その払出球検出スイッチと不正検出スイッチとの距離の上限を特定できる。
これは、払出球検出スイッチの発振における減衰・停止を強制的に抑制するために照射された電磁波が、その払出球検出スイッチと同等に、不正検出スイッチの発振状態にも影響を与えるように、それら2種のスイッチの位置関係が確立されていればよい。この条件がそろえば、電磁波を用いた払出検出スイッチに対する不正行為防止手段として、不正検出スイッチが十分機能するといえる。
したがって、保護する対象となる誘導形近接スイッチと不正検出スイッチである誘導形近接スイッチとは、可能な限り近くに配置するのが好ましいが、上述のように、両方の誘導形近接スイッチの位置関係、想定される電磁波の最小の照射強度等を考慮すれば、一定の距離をもって配置された両誘導形近接スイッチも本発明に係る課題を解決する手段として機能し得る。したがって、本発明の払出球検出スイッチ712a、712bと不正検出スイッチ713との位置関係は、添付の図面に例示されているようなものに限定されない。
さらにいえば、払出球検出スイッチの発振における減衰・停止を強制的に抑制するために照射された電磁波が、その払出球検出スイッチと同等に、不正検出スイッチの発振状態にも影響を与えるように、それら2種のスイッチの位置関係が確立されていれば、不正検出スイッチ自体が、払出装置の外部(本体ケースの外部)に設置されていても、また、遊技機内の別の構成要素に設置されていてもよい。
(不正行為検出処理)
遊技機に対する電磁波を用いた不正行為を検出する過程では、その遊技機に設置された払出装置の不正検出スイッチ713は、次のような処理過程により不正検出手段として機能する。
不正検出スイッチ713は、その開口部に遊技球718が固定部材により固定されており、通常状態で、不正検出スイッチ713が有する発振状態検出回路は、検出体としての遊技球718の存在に起因して発振が減衰または停止している状態を確立している。そして、それに対応する出力がなされている。ここで、払出装置711の払出球検出スイッチ712a、712bの近傍に、不正検出スイッチ713は位置づけられているので、払出球検出スイッチ712a、712bに対して所定特性の電磁波が当てられた場合、不正検出スイッチ713も、払出球検出スイッチ712b等と同様の影響を当該電磁波から受ける。
遊技球の払出に際して払出球検出スイッチにおける発振が減衰または停止するべき状況において、当該所定特性(周波数等)の電磁波によりその発振を減衰も停止もさせないという状態が強制的につくられている場合は、払出球検出スイッチの近傍に位置づけられている不正検出スイッチ713も、その電磁波により同様の状態となる。なお、この意味において、同仕様(同一特性)の誘導形近接スイッチを、払出球検出スイッチおよび不正検出スイッチに利用することは、電磁波の影響をほぼ同程度に受ける環境をつくりやすいことから、好ましい。
しかしながら、不正検出スイッチ713には、検出体である遊技球が検出領域内に固定されているので、そのような電磁波が意図的に与えられていなければ、常に、誘導形近接スイッチとしての発振の減衰・停止状態となることはない構成である。よって、不正検出スイッチ713において、強力な電磁波により減衰・停止状態作り出されたときには、その状況を示す信号が払出制御部に伝えられ、払出制御部300は、異常状態が発生しているとして、所定の手段により後続の処理を行う。例えば、ホールコンピュータに対してエラー信号を送る処理、または微弱なランプの点灯・点滅などの処理が行われ、それにより、異常状態を知ることが可能である。
(別の実施形態について)
上述した本発明の実施形態において、払出装置711における誘導形近接スイッチを、不正検出スイッチとして、払出球検出スイッチの近傍に設ける構成をとった。しかしながら、払出装置711における不正検出スイッチが達成されるための態様は、新たな誘導形近接スイッチを別個独立に設置する構成に限られない。
払出球検出スイッチとして機能している誘導形近接スイッチが電磁波により正常な動作を行えなくなった状態を検知するの十分な位置である限り、不正検出スイッチの設置場所は払出装置の何れの場所であっても、場合によっては、当該払い出装置の外部である領域に設置されていてもよい。このことより、払出装置内に設けられている各種スイッチに、当該スイッチの当初の機能に加え、不正検出スイッチとして機能も担わせる構成をとることによって、不正検出スイッチを備えた払出装置を実施することが可能である。
より具体的には、払出装置における球有検出スイッチ714bに、不正検出スイッチとしての機能も担わしてもよい。
上述した実施形態においては、球有検出スイッチ714bは、検知用部材726bとフォトセンサ728bを備える機構を有しており、この機構によって賞球供給通路721bに所定数の遊技球が供給され存在している状態が確保されていることを検知していた。すなわち、この球有検出スイッチ714bは、賞球供給通路721bに遊技球が満たされていない状態を、異常状態として検知する。ここで検知している異常状態に加えて、不正に与えられた電磁波の影響がある状態も異常状態として報知するように、球有検出スイッチを利用することで、不正検出スイッチとして機能させる。
このように球有検出スイッチ714bを不正検出スイッチとしても機能させるためには、フォトセンサ728bおよび検知用部材726bの代わりに、誘導形近接スイッチが球有検出スイッチとして用いられる。
その誘導形近接スイッチとしては、例えば、上述の実施形態において利用していた貫通型近接スイッチと同様のものが挙げられる。賞球供給通路の所定の位置(例えば、遊技球が払出装置内を流下する方向に沿った場合の賞球供給通路の上流側部分)に、その誘導形近接スイッチを設置する。
その誘導形スイッチの設置位置については、遊技球が賞球供給通路721b内に貯留されたときに、当該通路内に積みあがる遊技球が所定の高さ(位置)に達した場合に、その誘導形近接スイッチの検出領域に入るように、誘導形近接スイッチの位置を調整する。例えば、賞球供給通路において、遊技球が払出装置内を流下する方向における上流側の端部付近に、上述の検出領域が位置するように誘導形近接スイッチを設置する。
このような構成をとることによって、賞球供給通路内に所定数の遊技球が存在しない状態を、誘導形近接スイッチが、球有検出スイッチとして検出することが可能である。例えば、球タンクから賞球供給通路への遊技球の供給が滞ることにより所定数の遊技球が存在しない状態または不足状態を、当該誘導形近接スイッチにより検出することが可能である。
そして、賞球供給通路内に所定数の遊技球が存在していた際に、払出装置の払出球検出スイッチの正常動作を妨げる電磁波が照射された場合、上述の誘導形近接スイッチはその不正行為を検出し得る。すなわち、次のように、誘導形近接スイッチを用いて異常状態を検知することが可能である。
電磁波の影響がない条件下では、賞球供給通路内に所定数の遊技球が存在していれば、誘導形近接スイッチは、その検出領域に遊技球が存在することに検知することができる。これに対して、電磁波の影響が存在する条件下では、賞球供給通路内に所定数の遊技球が存在している状態にも拘わらず、誘導形近接スイッチはその検出領域内に遊技球が存在しないものとして動作し、異常状態を検知し得る。
このように検知された結果の信号は払出制御部に入り、次いで、ホールコンピュータに対してエラー信号を送る処理、または微弱なランプの点灯・点滅などの処理が行われることで異常状態を知ることが可能である。
このようにして、従来の球有検出スイッチを、不正検出スイッチとしても機能させることが可能である。
上述の例では、遊技球が存在しない状態または不足状態、ならびに電磁波により影響を受けた状態の双方を、一律に異常状態として処理する態様を示した。しかし、遊技球が存在しない状態または不足状態(賞球の払出が行われている際に生じる一時的な遊技球の不足状態を含む)と、電磁波により影響を受けた状態とを適当な判別条件を採用することで区別する態様も可能である。
例えば、利用する誘導形近接スイッチの検出領域に検出体がない場合に生じる信号が、所定時間に亘って継続して生じた場合のみを、遊技球が存在しない状態または不足状態、あるいは電磁波により影響を受けている状態として判別するような判別条件を採用することが可能である。この場合、利用する誘導形近接スイッチの検出領域に検出体がない場合に生じる信号が、所定時間に亘って継続して生じた場合、その遊技機の払出制御部が、誘導形近接スイッチに生じている状態がいずれの状態であるか判別し得る。
なお、ここで使用する時間条件は、単純に、所定時間以上が経過した場合を、電磁波による影響が存在している状態であると関連付けて判別してもよいが、さらに複雑な時間的条件を付して、検出状態との対応関係を規定することも可能である。また、上述の例では、球有検出スイッチに不正検出スイッチの役割を担わせたが、遊技機において用いられるスイッチを適宜、誘導形近接スイッチに代えて、上述の球有検出スイッチと同様に、不正検出スイッチの役割を担わせてもよい。
(その他)
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以上のように、本発明の実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。