動物における「癌」という用語は、制御されない増殖、不死、転移能、急速な成長及び増殖速度及びある種の特徴的な形態特性など、発癌細胞の典型的な特性を有する細胞の存在を指す。癌細胞は、腫瘍の形態であることが多いが、このような細胞は、動物内に単独で存在し得るか又は白血病細胞などの独立細胞として血流中を循環し得る。
本明細書中で使用される場合、「異常な細胞増殖」とは、別段の記載がない限り、正常な制御機構(例えば接触阻止の喪失)とは独立である細胞増殖を指す。これには、(1)変異チロシンキナーゼの発現又は受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍)、(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が起こるその他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞、(4)受容体チロシンキナーゼによって増殖するあらゆる腫瘍、(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化によって増殖するあらゆる腫瘍及び(6)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が起こるその他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞、の異常な増殖が含まれる。
本明細書中で使用される場合、「治療する」という用語は、別段の記載がない限り、患者における腫瘍、腫瘍転移もしくはその他の発癌細胞もしくは新生腫瘍細胞の進行を逆転、緩和、阻害すること、又は腫瘍、腫瘍転移もしくはその他の発癌細胞もしくは新生腫瘍細胞の増殖を部分的もしくは完全に抑制することを意味する。本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、別段の記載がない限り、治療行為を指す。
「治療方法」という句又はその等価物は、例えば癌に適用されるとき、動物における癌細胞数を減少させるかもしくは消失させるように又は癌の症候を緩和するために設計される行為の手順もしくは過程を指す。癌又は別の増殖性障害の「治療方法」は、癌細胞もしくはその他の障害が実際に除去されること、細胞数もしくは障害が実際に抑制されること、又は癌もしくはその他の障害の症候が実際に軽減されることを必ずしも意味しない。癌を治療する方法は、成功の可能性が低い場合でも実施されるが、動物の病歴及び推定余命を考慮して、それでも全体として有益な方針と考えられるものであることが多い。
「治療的有効薬」という用語は、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する組成物を意味する。
「治療的有効量」又は「有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する対象化合物又は組み合わせの量を意味する。
以下の本明細書の実施例に示すデータから、細胞培養又はインビボの何れかで増殖したNSCLC細胞などの腫瘍細胞は、それらが上皮間葉移行(EMT)を起こしたか否かに依存して、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対してある範囲の感受性を示すことが示される。EMT前には、腫瘍細胞は、化合物66(強力で(約50nMのIC50)IGF−1R選択的な低分子量IGF−1Rキナーゼ阻害剤)などのIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して非常に感受性が高いが、EMTを起こした腫瘍細胞は、このような化合物による阻害に対する感受性がかなり低い。このデータから、EMTが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の感受性レベルを決定する「全般的な生物学的スイッチ」であり得ることが示される。EMT現象の前に又はそれに続いて、腫瘍細胞によって発現される、細胞に特徴的である、バイオマーカーのレベルを測定することによって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の感受性レベルを評価できることが明らかになった。例えば、E−カドヘリンなどの上皮バイオマーカーの腫瘍細胞発現レベルが高いことは、細胞がEMTをまだ起こしていないことを示し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する高感受性と相関する。逆に、ビメンチン又はフィブロネクチン、Snail、Zeb1又はSip1などの間葉バイオマーカーの腫瘍細胞発現レベルが高いことは、細胞がEMTを起こしていることを示し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する低感受性と相関する。細胞のEMT状態の代替的指標は、転写抑制の指標である、E−カドヘリン遺伝子(CHD1)プロモーターのメチル化状態である。CDH1プロモーターメチル化は、腫瘍細胞が、EMT移行を起こしていることを示す。本明細書中のデータから、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性の程度は、CDH1遺伝子のメチル化状態と相関し、CDH1プロモーターのメチル化が低いか又はないことが観察される腫瘍細胞は、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が顕著に高いことを示す。さらに、腫瘍細胞の上皮又は間葉状態及びそれに続いて起こる、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する感受性に関する情報を提供するために、形態計測細胞分析を使用することができる。従って、最後に、本明細書中で与えられるデータから、腫瘍細胞におけるpErkレベルは、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために使用することができ、pErkレベルが低いほど、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が高いことを予測し、腫瘍細胞におけるHER3又はpHER3のレベルはIGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために使用することができ、HER3又はpHER3レベルが高いほど、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が高いと予測する。従って、これらの知見は、腫瘍増殖に対するIGF−1Rキナーゼ阻害剤の効果を予測するための価値ある新しい診断法の基礎を形成し得、患者に対して最も適切な治療を選択するのに役立つさらなるツールを腫瘍専門医に提供し得る。
従って、本発明は、腫瘍細胞によって発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。上皮バイオマーカーの好ましい例には、E−カドヘリン及びBrk(即ちPTK−6)が含まれる(表1参照)。本発明の方法で利用することができる上皮バイオマーカーの追加の例には、γ−カテニン(即ちジャンクションプラコグロビン)、α−カテニン(即ちα1、α2又はα3カテニン)、ケラチン8及びケラチン18(表1参照)が含まれる。
本発明はまた、腫瘍細胞によって発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。間葉バイオマーカーの好ましい例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる(表1参照)。本発明の方法で利用することができる間葉バイオマーカーのさらなる例には、フィブリリン−1、フィブリリン−2、コラーゲンα−2(IV)、コラーゲンα−2(V)、LOXL1、ナイドジェン、C11orf9、テネイシン、N−カドヘリン及び胚性EDB+フィブロネクチンが含まれる(表1参照)。
本発明の実施において、好ましい上皮バイオマーカーを用いて、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性が高い腫瘍細胞における発現レベルは、一般に、検出に対して例えば特異的抗バイオマーカー抗体を用いて、バイオマーカーを極めて容易に検出可能であるような高いレベルである。好ましい上皮バイオマーカーを用いた場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して比較的不感受性である腫瘍細胞における発現レベルは、一般に、バイオマーカーが類似の手順を用いて検出されたとしてもわずかであるような低いレベルである(例えば、以下の本明細書の実施例に記載のデータにおいて、図2及び3の感受性の高い腫瘍細胞と比較的不感受性の腫瘍細胞との間のE−カドヘリンレベルを比較)。
しかし、その他のそれほど好ましくない上皮バイオマーカーの場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して比較的感受性が低い腫瘍細胞におけるバイオマーカー発現レベルは、容易に検出可能であり得るが、それでも、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性が高い腫瘍細胞よりもかなり低い発現レベルである(例えば、以下の本明細書の実施例に記載のデータにおいて、図2の感受性の比較的低い腫瘍細胞SW1573と、感受性の高い腫瘍細胞H441、H358及びH292に対するα−カテニンレベルを比較)。
同様に、本発明の実施において、好ましい間葉バイオマーカーを用いた場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性の比較的低い腫瘍細胞における発現レベルは、一般に、例えば特異的抗バイオマーカー抗体を検出に用いてバイオマーカーを極めて容易に検出することができるような高いレベルである。好ましい間葉バイオマーカーを用いた場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性の比較的高い腫瘍細胞における発現レベルは、一般に、類似の手順を用いてバイオマーカーが検出されたとしてもわずかであるような低いレベルである(例えば、以下の本明細書の実施例に記載のデータにおいて、図2及び3の感受性の高い腫瘍細胞と感受性の比較的低い腫瘍細胞との間のフィブロネクチン又はビメンチンレベルを比較)。
また、その他のそれほど好ましくない間葉バイオマーカーの場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性が比較的高い腫瘍細胞におけるバイオマーカー発現レベルは、容易に検出可能であり得るが、それでも、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性の比較的低い腫瘍細胞よりもかなり低い発現レベルである。
何らかの所定の上皮又は間葉バイオマーカーの場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性が比較的低い腫瘍細胞と感受性の高い腫瘍細胞と間の発現レベルの範囲は、例えば、本明細書に記載のような腫瘍細胞パネル上で試験することによって(例えば図2)、又は腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤(例えば化合物66)に対してある範囲の感受性を示す患者からの腫瘍生検で試験することによって、当業者により容易に評価され得る。
本発明に関連して、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性の比較的低い腫瘍細胞の割合が比較的小さい場合、単一のバイオマーカーレベルのみを評価するときには、腫瘍細胞によって発現される上皮又は間葉バイオマーカーのレベルを評価することを含む、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測するための上記方法では、腫瘍細胞増殖が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して感受性が高いと誤って予測される恐れがある。例えば、以下の本明細書の実施例に記載されるデータにおいて、H460腫瘍細胞における上皮バイオマーカーγ−カテニン及びα−カテニンのレベル又はH460細胞における間葉バイオマーカービメンチンのレベルにより、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が高いことが誤って予測される(図2参照)。従って、このような誤った予測に基づいて、医師がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いて治療する患者数は少数となり得、その腫瘍は、阻害剤に対して感受性がない可能性がある。しかし、腫瘍細胞の大多数(例えば、以下の本明細書の実施例に記載のデータから、少なくとも90%)では、単一のバイオマーカー発現レベルの評価によって、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性レベルが正確に予測されると期待される。
さらに、本発明に関連して最も重要なことには、上記方法によって試験した場合(単一のバイオマーカーレベルのみを評価する場合)、腫瘍細胞増殖がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して不感受性であるという誤った予測を与える、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して感受性が高い腫瘍細胞は見出されなかった。従って、本明細書に記載の試験方法を利用することによって、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から利益を得ることができる場合に、医師がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療を差し控えることはないはずである。
さらに医薬分野の当業者は、特に診断テスト及び治療用物質による治療の適用に関して、生体系はある程度可変であり、必ずしも完全に予測可能ではなく、従って多数の良好な診断テスト又は治療用物質が無効である場合もあることを認識している。従って、試験結果、患者の状態及び病歴及び主治医自身の経験に基づき、個々の患者に最適な治療コースを決定するのは、最終的には主治医の判断による。例えば、診断テストから又はその他の基準からのデータに基づき、腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して特に感受性が高いと予測されない場合でも、特に、その他の明白な治療選択肢の全部もしくは大部分が役に立たない場合、又は別の治療と併用したときにある相乗作用が予測される場合には、医師がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いて患者を治療することを選択する場合もあり得る。化合物のクラスとしてのIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、癌治療で使用されるより伝統的な化学療法又は細胞毒性薬などの多数のその他の抗癌剤と比べて、比較的耐容性が良好であることから、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はより実行可能な選択肢になっている。また、本明細書中で開示されるバイオマーカーが、腫瘍を有するどの患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤から最も利益を受ける可能性があるかを予測すると同時に、より穏やかな効果が期待されるはずである、最適のバイオマーカー特徴のない腫瘍を有する患者が利益を受けないということを必ずしも意味するわけではないことに注意されたい。
E−カドヘリンなどの本発明における使用に適切な上皮バイオマーカーの好ましい例は、上記方法において使用した場合(単一のバイオマーカーレベルのみを評価する場合)、誤った予測をもたらさない。
さらに、本発明は、複数のバイオマーカーレベルの腫瘍細胞での発現レベルの同時評価を利用するさらなる方法も提供する。(以下に記述する)これらの方法の好ましい実施形態において、単一のバイオマーカー発現レベルを評価する上記方法のいくつかの場合と同様に、誤った予測レベルはない。
従って、本発明は、腫瘍細胞により発現される1以上の(又は一連の)上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、評価される腫瘍細胞上皮バイオマーカー全ての同時に起こる高発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びBrkを含み、2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びγ−カテニンを含み、2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。2つの後者の好ましい実施形態において、両バイオマーカーの高発現レベルが高感受性を示すために必要とされることに注意すること。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される1以上の(又は一連の)間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、評価される腫瘍細胞間葉バイオマーカーの全ての同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、間葉バイオマーカーはビメンチン及びフィブロネクチンを含み、この場合、この2種類の腫瘍細胞間葉バイオマーカーの同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。後者の好ましい実施形態において、両バイオマーカーの低発現又は検出不可能な発現が高感受性を示すのに必要とされることに注意されたい。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはBrkを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはビメンチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはγ−カテニンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。
本発明はまた、腫瘍の細胞により発現される1以上の(又は一連の)上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測することと、を含み、評価される腫瘍細胞上皮バイオマーカーの全ての同時に起こる高発現レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びBrkを含み、この場合、この2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びγ−カテニンを含み、この場合、2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。2つの後者の好ましい実施形態において、両バイオマーカーの高発現レベルが高感受性を示すのに必要とされることに注意されたい。
本発はまた、腫瘍細胞により発現される1以上の(又は一連の)間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測することと、を含み、評価される腫瘍細胞間葉バイオマーカーの全ての同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、間葉バイオマーカーはビメンチン及びフィブロネクチンを含み、この場合、この2種類の腫瘍細胞間葉バイオマーカーの同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。後者の好ましい実施形態において、両バイオマーカーの低発現又は検出不可能な発現が高感受性を示すのに必要とされることに注意されたい。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはBrkを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはビメンチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはγ−カテニンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される1以上の(又は一連の)上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの全ての同時に起こる高発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びBrkを含み、この場合、この2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリン及びγ−カテニンを含み、この場合この2種類の腫瘍細胞上皮バイオマーカーの同時に起こる高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する。2つの後者の好ましい実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を示すのに両バイオマーカーの高発現レベルが必要とされることに注意されたい。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される1以上の(又は一連の)間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの全ての同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、間葉バイオマーカーはビメンチン及びフィブロネクチンを含み、この場合、この2種類の腫瘍細胞間葉バイオマーカーの同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する。後者の好ましい実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を示すために、両バイオマーカーの低発現又は検出不可能な発現が必要とされることに注意されたい。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことがIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍と相関する、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。本発明のある好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはBrkを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含み、間葉バイオマーカーはビメンチンを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、上皮バイオマーカーはγ−カテニンを含み、間葉バイオマーカーはフィブロネクチンを含む。
本発明の方法の関連において、腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーは、腫瘍細胞の移行状態を示す分子及び細胞マーカーを含み得る。好ましい実施形態において、バイオマーカーは、腫瘍の特定の移行状態、即ち上皮もしくは間葉特性を示す腫瘍に特徴的な個々のマーカータンパク質又はそれをコードするmRNAである。代替的な実施形態において、ある種の状況において、バイオマーカーは、上皮状態又は間葉状態の何れかに特徴的である細胞の巨大分子によって、腫瘍細胞中に形成される特徴的な形態学的パターンであり得る。従って、腫瘍細胞の上皮又は間葉状態及びそれに続く、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する感受性に関する情報を提供するために、形態計測的細胞分析を使用することができる。さらなる好ましい実施形態において、腫瘍細胞の移行状態を示すバイオマーカーはE−カドヘリン遺伝子(CDH1)プロモーターのメチル化である。CDH1プロモーターメチル化は、腫瘍細胞がEMT移行を起こしていることを示す。
表1に、本明細書中に記載の本発明の方法の実施において使用することができる上皮又は間葉分子バイオマーカーの例をコードする遺伝子を列挙する。上皮又は間葉分子バイオマーカーは、これらの遺伝子(これらの変異体を含む)により発現されるあらゆる産物、例えば、発現mRNA又はタンパク質、スプライス変異体、同時翻訳及び翻訳後修飾タンパク質、多形変異体など、を含み得る。ある実施形態において、バイオマーカーは、フィブロネクチン1遺伝子により発現されるスプライス変異体である胚性EDB+フィブロネクチンである(Kilian、O.ら(2004)Bone 35(6):1334−1345)。フィブロネクチンのこの胚型を決定するということに対する考えられる利点は、間葉様腫瘍を周囲の間質組織から容易に区別することができることである。さらなる実施形態において、バイオマーカーは、ヒト遺伝子産物の動物ホモローグであり得る(例えば、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サル、類人猿由来など)。
本発明に記載の本発明の方法の何れかの別の実施形態において、本方法で使用される間葉バイオマーカーは、ヒト転写抑制因子Snail(NCBI GeneID6615)、Zeb1(NCBI GeneID6935)、Twist(NCBI GeneID7291)、Sip1 NCBI GeneID8487)及びSlug(NCBI GeneID6591)から選択される。さらなる実施形態において、転写抑制因子バイオマーカーは、ヒト遺伝子産物の動物ホモローグ(例えばイヌ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サル、類人猿由来など)であり得る。
従って、本発明は、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞による間葉バイオマーカーの高レベル発現がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関し、間葉バイオマーカーがSnail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞はNSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される2以上の間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞による間葉バイオマーカーの何れか1つの高レベル発現がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関し、この2以上の間葉バイオマーカーがSnail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。この方法において、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugのうちただ1つの発現から、それらが(例えばE−カドヘリン遺伝子の)転写抑制因子として作用する能力においてこれらの遺伝子により発現されるタンパク質が互いに競合する能力により、間葉細胞タイプへの移行及びIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性が示され得る。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される1以上の間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、評価される腫瘍細胞間葉バイオマーカーの全ての同時に起こる低発現レベル又は検出不可能な発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、間葉バイオマーカーの少なくとも1つがSnail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。ある実施形態において、「1以上の間葉バイオマーカー」は、ビメンチン及び、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される間葉バイオマーカーを含む。別の実施形態において、「1以上の間葉バイオマーカー」は、フィブロネクチン及び、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される間葉バイオマーカーを含む。本発明の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
バイオマーカーSnail、Zeb1、Twist、Sip1又はSlugが調べられる本明細書に記載の本発明の方法の何れかの実施形態において、Snail、Zeb1、Twist、Sip1又はSlugバイオマーカーのレベルを評価するために、Snail、Zeb1、Twist、Sip1又はSlug mRNA転写レベルのレベルを調べる。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、間葉バイオマーカーはSnail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、上皮バイオマーカーはE−カドヘリンを含む。本発明の別の実施形態において、上皮バイオマーカーはBrkを含む。本発明の別の実施形態において、上皮バイオマーカーはγ−カテニンを含む。本発明の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し:IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含み、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階が、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される1以上の間葉バイオマーカーのレベルを評価することを含む、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測するための方法を使用することにより行われる、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。本方法のある実施形態において、「IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測するための方法」は、本明細書中に記載のような、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugから選択される1以上の間葉バイオマーカーのレベルを評価することを含む、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測するための方法の何れかから選択される。本方法の別の実施形態において、1以上のさらなる抗癌剤は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤と同時に又は逐次的に併用投与される。本発明の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関し、間葉バイオマーカーが、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子のプロモーターのメチル化である、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法に関連して、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高レベルは、基本的に、プロモーターの容易に検出可能なメチル化(例えば、プロモーターメチル化部位由来のメチル化特異的PCR増幅核酸産物の検出中の強いシグナル)を意味し、一方で腫瘍細胞間葉バイオマーカーが低レベルであることは、基本的に、プロモーターのメチル化が検出不可能であること又はメチル化レベルが低いこと(例えばプロモーターメチル化部位由来のメチル化特異的PCR増幅核酸産物の検出中、シグナルがないか又は比較的低い。)を意味する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子は、E−カドヘリン遺伝子である(即ちCDH1;NCBI GeneID999)。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子は、γ−カテニン遺伝子である(即ちNCBI GeneID3728)。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子はα−カテニン遺伝子である(例えばNCBI GeneID1495、1496又は29119)。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子は、サイトケラチン遺伝子である(例えばNCBI GeneID3856(ケラチン8)又は3875(ケラチン18))。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、腫瘍細胞が上皮−間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含み、腫瘍細胞が上皮−間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階が、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することにより行われ、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関し、間葉バイオマーカーが腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子のプロモーターのメチル化である、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞でのEMTの結果として転写が抑制される遺伝子は、E−カドヘリン遺伝子(即ちCDH1)である。本方法の別の実施形態において、1以上のさらなる抗癌剤は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤と同時に又は逐次的に併用投与される。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、本明細書中に記載のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療のあらゆる方法を提供し、記載のような方法は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を患者に投与する段階の前に、患者の腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2(即ちインスリン様成長因子1及び/又は2)のレベルの評価というさらなる段階が含まれる。IGF−1Rはリガンド(即ちIGF−1及び/又はIGF−2)結合においてのみ活性化されることが報告されているので、腫瘍においてIGF−1Rリガンドが存在しない場合、本発明の方法の1以上が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害にそれが感受性があるはずであることを予測するとしても、腫瘍細胞は、このような環境下で、増殖及び生存に対するIGF−1Rシグナル伝達経路に依存し得ず、従って、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はおそらく有効な治療ではない。多くの腫瘍は、腫瘍細胞それ自身由来、腫瘍中に存在する間質細胞由来又は非腫瘍細胞(例えば肝臓細胞)由来の血管系を介したものであり得る、IGF−1及び/又はIGF−2を高レベル発現することが分かっている(Pollack、M.N.ら(2004)Nature Reviews Cancer 4:505−518)。IGF−1及び/又はIGF−2レベルの評価は、例えばバイオマーカーレベルの評価、例えばIGF−1及び/又はIGF−2タンパク質レベルの免疫アッセイ判定;IGF−1及び/又はIGF−2mRNA転写レベルの判定のための本明細書中に記載の方法の何れかなど、当技術分野で公知の何らかの方法によって行われ得る。代替的な実施形態において、患者の腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2(即ちインスリン様成長因子1及び/又は2)のレベルの評価の段階は、患者の血液又は血清中のIGF−1及び/又はIGF−2(即ちインスリン様成長因子1及び/又は2)のレベルの評価の段階と置換され得る。この代替法は、腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2のレベルの直接的測定を通じたものではなく、腫瘍におけるIGF−1Rに対するリガンドの潜在的利用可能性の指標を与えることができ、より単純で安価な試験である。IGF−1及び/又はIGF−2のこの間接的評価の潜在的欠点は、腫瘍細胞それ自身又は腫瘍中の間質細胞の何れかによりIGF−1及び/又はIGF−2が腫瘍において局所的に産生される場合、腫瘍におけるリガンドレベルの真の指標を与えることができないということである。
従って、本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉移行(EMT)を起こしているか否かを評価することにより、例えば腫瘍細胞により発現される上皮及び/又は間葉バイオマーカーを評価することにより、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(上皮バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。);患者の腫瘍(又は血液もしくは血清)におけるIGF−1及び/又はIGF−2レベルを評価し;患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性を有する可能性があると診断され、腫瘍がIGF−1及び/又はIGF−2を有すると判定された場合(又は血液もしくは血清レベルが、腫瘍細胞に対するIGF−1及び/又はIGF−2の潜在的利用可能性を示す。)、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法を提供する。さらなる実施形態において、腫瘍細胞が上皮−間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を評価するための、本明細書中に記載のような1以上のその他のバイオマーカー(例えばpErk、HER3、pHER3)を評価する段階により置き換えることができる。あるいは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を評価するためのこれらの1以上のその他のバイオマーカーの評価は、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かの評価に加えて行うことができる。IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために複数のバイオマーカーが評価される方法において、患者は、方法の少なくとも1つにより潜在的感受性が示される場合に、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性がある可能性があると診断される。
本発明はまた、腫瘍細胞が上皮間葉移行(EMT)を起こしているか否かを示すバイオマーカーのレベルを評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し;患者の腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2のレベルを評価し;患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性である可能性があると診断され、腫瘍がIGF−1及び/又はIGF−2を有すると判定された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。
本発明はまた、pErk、HER3及びpHER3から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し;患者の腫瘍におけるIGF−1及び/又はIGF−2のレベルを評価し;患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性がある可能性があると診断され、腫瘍がIGF−1及び/又はIGF−2を有すると判定された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍と相関し、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron及びホスホ−SHC1から選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。上皮バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなくタンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化の変化レベルはまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化レベルの変化によるものであるとも理解される。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対する反応性がより低い腫瘍と相関し、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron及びSHC1から選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。間葉バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなくタンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化の変化レベルはまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化レベルの変化によるものであるとも理解される。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、E−カドヘリン、Brk、γ−カテニン、α1−カテニン、α2−カテニン、α3−カテニン、ケラチン8、ケラチン18、コネキシン31、プラコフィリン3、ストラタフィン1、ラミニンα−5及びST14から選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、CAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron及びSHC1から選択されるか、又はあるいは、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレク
チン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron及びホスホ−SHC1から選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストン1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストン1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、ビメンチン、フィブロネクチン、フィブリリン−1、フィブリリン−2、コラーゲンα−2(IV)、コラーゲンα−2(V)、LOXL1、ナイドジェン、C11orf9、テネイシン、N−カドヘリン、胚性EDB+フィブロネクチン、チューブリンα−3及びエピモルフィンから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明の方法の何れかにおいて使用され得るさらなる上皮マーカーの例には、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、E−カドヘリン、Brk、γ−カテニン、α1−カテニン、α2−カテニン、α3−カテニン、ケラチン8、ケラチン18、コネキシン31、プラコフィリン3、ストラタフィン1、ラミニンα−5及びST14が含まれる(表1及び図7参照)。上皮バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明の方法の何れかにおいて使用され得るさらなる間葉マーカーの例には、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、ビメンチン、フィブロネクチン、フィブリリン−1、フィブリリン−2、コラーゲンα−2(IV)、コラーゲンα−2(V)、LOXL1、ナイドジェン、C11orf9、テネイシン、N−カドヘリン、胚性EDB+フィブロネクチン、チューブリンα−3及びエピモルフィンが含まれる(表1及び図7参照)。間葉バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明の方法の何れかで使用され得るが腫瘍細胞型(例えばH1703細胞)の一部での使用に限定されると思われる、さらなる上皮バイオマーカーには、SERCA2、CD44抗原、ERO1−Lα、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホ−GPCR RAIG−3、ジヒドロリポイルリジンスクシニルトランスフェラーゼ、ペルオキシレドキシン2、レティキュロカルビン−1、ホスホ−40Sリボソームタンパク質S15(RIGタンパク質)及び腫瘍タンパク質D54が含まれる。上皮バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍と相関し、上皮バイオマーカーが、SERCA2、CD44抗原、ERO1−Lα、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホ−GPCR RAIG−3、ジヒドロリポイルリジンスクシニルトランスフェラーゼ、ペルオキシレドキシン2、レティキュロカルビン−1、ホスホ−40Sリボソームタンパク質S15(RIGタンパク質)及び腫瘍タンパク質D54から選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。
本発明の方法の何れかで使用され得るが腫瘍細胞型の一部での使用に限定されると思われる(例えばH1703細胞)さらなる間葉バイオマーカーには、ホスホ−α−インターネキシン、レチナールデヒドロゲナーゼ1、脂肪アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アスパラギンシンテターゼ、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、ホスホ−ARF、GTPase−活性化タンパク質、マゴナシタンパク質ホモローグ2、ホスホ−ERK−2、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ、ホスホ−PDGF−R−α、ホスホ−プロゲステロン−誘導性阻止因子1、ピリン、プロフィリン−1、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、ホスホ−TAF(II)68、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ、チオレドキシンレダクターゼ1、UDP−N−アセチルへキソサミンピロホスホリラーゼ、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ及びジキシンが含まれる。間葉バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対する反応性がより低い腫瘍と相関し、間葉バイオマーカーが、ホスホ−α−インターネキシン、レチナールデヒドロゲナーゼ1、脂肪アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アスパラギンシンテターゼ、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、ホスホ−ARF、GTPase−活性化タンパク質、マゴナシタンパク質ホモローグ2、ホスホ−ERK−2、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ、ホスホ−PDGF−R−α、ホスホ−プロゲステロン誘導性阻止因子1、ピリン、プロフィリン−1、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、ホスホ−TAF(II)68、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ、チオレドキシンレダクターゼ1、UDP−N−アセチルへキソサミンピロホスホリラーゼ、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ及びジキシンから選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。
本発明の方法の何れかで使用され得るが、腫瘍細胞型(例えばCalu6細胞)の異なる一部での使用に限定されると思われるさらなる上皮バイオマーカーには、14−3−3β/α、ホスホ−Rho GEF−7(p85COOL−1)、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、フィラミンA、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、ホスホ−パキシリン、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、C−ret、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ及びユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼが含まれる。上皮バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍と相関し、上皮バイオマーカーが、14−3−3β/α、ホスホ−Rho GEF−7(p85COOL−1)、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、フィラミンA、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、ホスホ−パキシリン、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、C−ret、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ及びユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼから選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。
本発明の方法の何れかで使用され得るが、腫瘍細胞型の異なる一部(例えばCalu6細胞)での使用に限定されると思われるさらなる間葉バイオマーカーには、酸性ロイシンリッチ核リンタンパク質32B、CD44抗原、カルシウム結合Aralar2、2,4−ジエノイル−CoAレダクターゼ、電子伝達フラボタンパク質、脂肪酸−結合タンパク質(E−FABP)、RNA−結合タンパク質FUS、K−グルタミナーゼ、ミトコンドリアクレアチンキナーゼ、ホスホ−ロイパキシン、ミリストイル化アラニンリッチC−キナーゼ基質、Ras関連タンパク質Rab−2A、Ras関連タンパク質Rab−7、Ras関連タンパク質Rap−1b、ホスホ−C−ret及びSTAT3が含まれる。間葉バイオマーカーがリン−「タンパク質」である場合、タンパク質それ自身のレベルではなく、タンパク質のリン酸化の程度が、EMT後に変化するパラメータである。これらのタンパク質のリン酸化のレベル変化はまた、タンパク質の1以上のチロシン残基のリン酸化のレベルの変化によるものであると理解される。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対する反応性がより低い腫瘍と相関し、間葉バイオマーカーが、酸性ロイシンリッチ核リンタンパク質32B、CD44抗原、カルシウム結合Aralar2、2,4−ジエノイル−CoAレダクターゼ、電子伝達フラボタンパク質、脂肪酸−結合タンパク質(E−FABP)、RNA−結合タンパク質FUS、K−グルタミナーゼ、ミトコンドリアクレアチンキナーゼ、ホスホ−ロイパキシン、ミリストイル化アラニンリッチC−キナーゼ基質、Ras関連タンパク質Rab−2A、Ras関連タンパク質Rab−7、Ras関連タンパク質Rap−1b、ホスホ−C−ret及びSTAT3から選択される、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法も提供する。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、E−カドヘリン、Brk、γ−カテニン、α1−カテニン、α2−カテニン、α3−カテニン、ケラチン8、ケラチン18、コネキシン31、プラコフィリン3、ストラタフィン1、ラミニンα−5、ST14、SERCA2、CD44抗原、ERO1−Lα、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホ−GPCR RAIG−3、ジヒドロリポイルリジンスクシニルトランスフェラーゼ、ペルオキシレドキシン2、レティキュロカルビン−1、ホスホ−40Sリボソームタンパク質S15(RIGタンパク質)及び腫瘍タンパク質D54から選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、ホスホ−α−インターネキシン、レチナールデヒドロゲナーゼ1、脂肪アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アスパラギンシンテターゼ、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、ホスホ−ARF、GTPase−活性化タンパク質、マゴナシタンパク質ホモローグ2、ホスホ−ERK−2、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ、ホスホ−PDGF−R−α、ホスホ−プロゲステロン−誘導性阻止因子1、ピリン、プロフィリン−1、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、ホスホ−TAF(II)68、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ、チオレドキシンレダクターゼ1、UDP−N−アセチルへキソサミンピロホスホリラーゼ、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ及びジキシンから選択されるか、又はあるいは、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスル
フィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB−様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、SERCA2、CD44抗原、ERO1−Lα、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホ−GPCR RAIG−3、ジヒドロリポイルリジンスクシニルトランスフェラーゼ、ペルオキシレドキシン2、レティキュロカルビン−1、ホスホ−40Sリボソームタンパク質S15(RIGタンパク質)及び腫瘍タンパク質D54から選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、ビメンチン、フィブロネクチン、フィブリリン−1、フィブリリン−2、コラーゲンα−2(IV)、コラーゲンα−2(V)、LOXL1、ナイドジェン、C11orf9、テネイシン、N−カドヘリン、胚性EDB+フィブロネクチン、チューブリンα−3、エピモルフィン、ホスホ−α−インターネキシン、レチナールデヒドロゲナーゼ1、脂肪アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アスパラギンシンテターゼ、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、ホスホ−ARF、GTPase−活性化タンパク質、マゴナシタンパク質ホモローグ2、ホスホ−ERK−2、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ、ホスホ−PDGF−R−α、ホスホ−プロゲステロン−誘導性阻止因子1、ピリン、プロフィリン−1、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、ホスホ−TAF(II)68、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ、チオレドキシンレダクターゼ1、UDP−N−アセチルへキソサミンピロホスホリラーゼ、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ及びジキシンから選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、E−カドヘリン、Brk、γ−カテニン、α1−カテニン、α2−カテニン、α3−カテニン、ケラチン8、ケラチン18、コネキシン31、プラコフィリン3、ストラタフィン1、ラミニンα−5、ST14、14−3−3β/α、ホスホ−Rho GEF−7(p85COOL−1)、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、フィラミンA、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、ホスホ−パキシリン、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、C−ret、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ及びユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼから選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17−様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、酸性ロイシンリッチ核リンタンパク質32B、CD44抗原、カルシウム結合Aralar2、2,4−ジエノイル−CoAレダクターゼ、電子伝達フラボタンパク質、脂肪酸−結合タンパク質(E−FABP)、RNA−結合タンパク質FUS、K−グルタミナーゼ、ミトコンドリアクレアチンキナーゼ、ホスホ−ロイパキシン、ミリストイル化アラニンリッチC−キナーゼ基質、Ras関連タンパク質Rab−2A、Ras関連タンパク質Rab−7、Ras関連タンパク質Rap−1b、ホスホ−C−ret及びSTAT3から選択されるか、又はあるいは、上皮バイオマーカーが、ホスホ−14−3−3ε、14−3−3γ(KCIP−1)、14−3−3σ(ストラチフィン(Stratifin))、14−3−3ζ/δ、ホスホ−セリン/スレオニンホスファターゼ2A、4F2hc(CD98抗原)、アデニンヌクレオチド輸送体2、アネキシンA3、ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−インスリン受容体基質p53/p54、バシジン(CD147抗原)、ホスホ−CRK−結合基質(p130Cas)、Bcl−X、ホスホ−P−カドヘリン、ホスホ−カルモジュリン(CaM)、カルパイン−2触媒サブユニット、カテプシンD、コフィリン−1、カルパイン小サブユニット1、カテニンβ−1、カテニンδ−1(p120カテニン)、シスタチンB、ホスホ−DAZ−結合タンパク質1、カルボニルレダクターゼ[NADPH]、ダイアファナス関連ホルミン1(DRF1)、デスモグレイン−2、伸長因子1−δ、ホスホ−p185erbB2、エズリン(p81)、ホスホ−焦点接着キナーゼ1、ホスホ−p94−FER(c−FER)、フィラミンB、ホスホ−GRB−2関連結合タンパク質1、Rho−GDIα、ホスホ−GRB2、GRP78、グルタチオン−S−トランスフェラーゼP、3−ヒドロキシアシル−CoAデヒドロゲナーゼ、HSP90−α、HSP70.1、eIF3p110、eIF−4E、白血球エラスターゼ阻害剤、インポーチン−4、インテグリンα−6、インテグリンβ−4、ホスホ−サイトケラチン17、サイトケラチン19、サイトケラチン7、カゼインキナーゼI、α、タンパク質キナーゼC、δ、ピルビン酸キナーゼ、アイソザイムM1/M2、ホスホ−エルビン、LIM及びSH3ドメインタンパク質1(LASP−1)、4F2lc(CD98軽鎖)、L−乳酸デヒドロゲナーゼA鎖、ガレクチン−3、ガレクチン−3結合タンパク質、ホスホ−LIN−7ホモローグC、MAP(APC−結合タンパク質EB1)、マスピン前駆体(プロテアーゼ阻害剤5)、ホスホ−Metチロシンキナーゼ(HGF受容体)、混合血統白血病タンパク質2、モノカルボン酸トランスポーター4、ホスホ−C−Myc結合タンパク質(AMY−1)、ミオシン−9、ミオシン軽鎖ポリペプチド6、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニバン様タンパク質(Meg−3)、オルニチンアミノトランスフェラーゼ、ホスホ−オクルディン、ユビキチンチオールエステラーゼ、PAFアセチルヒドロラーゼIBβサブユニット、ホスホ−区画−欠損型(partitioning−defective)3(PAR−3)、ホスホ−プログラム細胞死6−結合タンパク質、ホスホ−プログラム細胞死タンパク質6、タンパク質ジスルフィド−イソメラーゼ、ホスホ−プラコフィリン−2、ホスホ−プラコフィリン−3、タンパク質ホスファターゼ1、ペルオキシレドキシン5、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1、
プロサイモシンα、レチノイン酸誘導性タンパク質3、ホスホ−DNA修復タンパク質REV1、リボヌクレアーゼ阻害剤、RuvB様1、S−100P、S−100L、カルサイクリン、S100C、ホスホ−Sec23A、ホスホ−Sec23B、ライソソーム膜タンパク質II(LIMP II)、p60−Src、ホスホ−アンプラキシン(EMS1)、SLP−2、γ−シヌクレイン、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質1、腫瘍カルシウムシグナル伝達物質2、トランスゲリン−2、トランスアルドラーゼ、チューブリンβ−2鎖、翻訳調節(TCTP)、組織トランスグルタミナーゼ、膜貫通タンパク質Tmp21、ユビキチン結合酵素E2N、UDP−グルコシルトランスフェラーゼ1、ホスホ−p61−Yes、ホスホ−密着結合タンパク質ZO−1、AHNAK(デスモヨーキン)、ホスホ−ATPシンターゼβ鎖、ホスホ−ATPシンターゼδ、低温ショックドメインタンパク質E1、デスモプラキンIII、プレクチン1、ホスホ−ネクチン2(CD112抗原)、ホスホ−p185−Ron、ホスホ−SHC1、14−3−3β/α、ホスホ−Rho GEF−7(P85COOL−1)、脳酸可溶性タンパク質1、ホスホ−カベオリン−1、フィラミンA、ホスホ−p38α、ヌクレオシドジホスフェートキナーゼB、ホスホ−パキシリン、ホスホ−チロシン−タンパク質ホスファターゼSHP−2、C−ret、STAT3、アスパラギニル−tRNAシンテターゼ及びユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼから選択され、間葉バイオマーカーが、MHCクラスI抗原A*1、アシルCoAデサチュラーゼ、LANP−様タンパク質(LANP−L)、アネキシンA6、ATPシンターゼγ鎖、BAGファミリー分子シャペロン調節因子−2、ホスホ−水疱性類天疱瘡抗原、ホスホ−タンパク質C1orf77、CDK1(cdc2)、ホスホ−クラスリン重鎖1、コンデンシン複合体サブユニット1、3,2−トランス−エノイル−CoAイソメラーゼ、DEAH−boxタンパク質9、基本ホモローグのホスホ−エンハンサー(phospho−Enhancer of rudimentary homolog)、ホスホ−フィブリラリン、GAPDH筋肉、GAPDH肝臓、シナプス糖タンパク質SC2、ホスホ−ヒストンH1.0、ホスホ−ヒストンH1.2、ホスホ−ヒストンH1.3、ホスホ−ヒストンH1.4、ホスホ−ヒストンH1.5、ホスホ−ヒストンH1x、ホスホ−ヒストンH2AFX、ホスホ−ヒストンH2A.o、ホスホ−ヒストンH2A.q、ホスホ−ヒストンH2A.z、ホスホ−ヒストンH2B.j、ホスホ−ヒストンH2B.r、ホスホ−ヒストンH4、ホスホ−HMG−17様3、ホスホ−HMG−14、ホスホ−HMG−17、ホスホ−HMGI−C、ホスホ−HMG−I/HMG−Y、ホスホ−甲状腺受容体結合タンパク質7(TRIP7)、ホスホ−hnRNP H3、hnRNP C1/C2、hnRNP F、ホスホ−hnRNP G、eIF−5A、NFAT45kDa、インポーチンβ−3、cAMP−依存性PK1a、ラミンB1、ラミンA/C、ホスホ−ラミニンα−3鎖、L−乳酸デヒドロゲナーゼB鎖、ガレクチン−1、ホスホ−Fez1、ヒアルロナン結合タンパク質1、ホスホ−微小管−アクチン架橋因子1、メラノーマ関連抗原4、マトリン−3、リン酸輸送体タンパク質、ミオシン−10、ホスホ−N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ、ホスホ−NHP2−様タンパク質1、H/ACAリボ核タンパク質サブユニット1、核小体リンタンパク質p130、ホスホ−RNA−結合タンパク質Nova−2、ヌクレオフォスミン(NPM)、NADH−ユビキノンオキシドレダクターゼ39kDaサブユニット、ホスホ−ポリアデニル酸−結合タンパク質2、プロヒビチン、プロヒビチン−2、スプライシング因子Prp8、ポリピリミジントラクト−結合タンパク質1、パラサイモシン、Rab−2A、ホスホ−RNA−結合タンパク質Raly、推定RNA−結合タンパク質3、ホスホ−60Sリボソームタンパク質L23、hnRNP A0、hnRNP A2/B1、hnRNP A/B、U2小核リボ核タンパク質B、ホスホ−リアノジン受容体3、ホスホ−スプライシング因子3Aサブユニット2、snRNPコアタンパク質D3、ネスプリン−1、チロシン−tRNAリガーゼ、ホスホ−タンキラーゼ1−BP、チューブリンβ−3、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、ホスホ−bZIP促進因子BEF(Aly/REF;Tho4)、ユビキチン、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ5、ユビキノール−チトクロムcレダクターゼ、液胞タンパク質選別16、ホスホ−亜鉛フィンガータンパク質64、ホスホ−AHNAK(デスモヨーキン)、ATPシンターゼβ鎖、ATPシンターゼδ鎖、ホスホ−低温ショックドメインタンパク質E1、ホスホ−プレクチン1、ネクチン2(CD112抗原)、p185−Ron、SHC1、ビメンチン、フィブロネクチン、フィブリリン−1、フィブリリン−2、コラーゲンα−2(IV)、コラーゲンα−2(V)、LOXL1、ナイドジェン、C11orf9、テネイシン、N−カドヘリン、胚性EDB+フィブロネクチン、チューブリンα−3、エピモルフィン、酸性ロイシンリッチ核リンタンパク質32B、CD44抗原、カルシウム結合Aralar2、2,4−ジエノイル−CoAレダクターゼ、電子伝達フラボタンパク質、脂肪酸−結合タンパク質(E−FABP)、RNA−結合タンパク質FUS、K−グルタミナーゼ、ミトコンドリアクレアチンキナーゼ、ホスホ−ロイパキシン、ミリストイル化アラニンリッチC−キナーゼ基質、Ras関連タンパク質Rab−2A、Ras関連タンパク質Rab−7、Ras関連タンパク質Rap−1b、ホスホ−C−ret及びSTAT3から選択される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明はまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測するために本明細書中に記載の方法の何れかを用いることによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に対して有効な反応を示す可能性がある者として患者を同定し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。ある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤はOSI−906を含む。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測すること、とを含み、腫瘍細胞によるバイオマーカーpErkの高レベル発現がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、卵巣、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErkの高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。)、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤とともに同時に又は逐次的に1以上のさらなる抗癌剤が併用投与される。本発明の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、卵巣、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するさらなる段階が行われ、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階は、本明細書中に記載の方法の何れかを用いて1以上のバイオマーカーのレベルを評価することによって行われる。治療前にpErk及びEMT状態を示すバイオマーカーが両者とも評価されるこの代替的二重バイオマーカー実施形態は、潜在的信頼性が向上した方法を提供する。この実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するための段階の何れか1つ又は両方が、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有する可能性があることを示した場合、患者は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有する可能性があると診断され、従ってIGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量が投与される。
従って、本発明は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現の低レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)、腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーを評価することによって腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価し(上皮バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。);バイオマーカー評価の何れかによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。評価される上皮又は間葉バイオマーカーは、本明細書中で開示される上皮又は間葉バイオマーカーの何れかであり得る。
先行する段落に記載の二重バイオマーカーの実施形態の一例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk低発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞により発現されるE−カドヘリンレベルを評価し(E−カドヘリンの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
上記の二重バイオマーカー実施形態の別の例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk低レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞におけるE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化の欠失はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
本明細書中に記載の本発明の方法の何れかにおいて、本方法で使用されるバイオマーカーがpErkである場合、「pErk」という用語は、「リン酸化Erkタンパク質」を指し、「Erk」は、Erk1及び/又はErk2(例えば5595及び5594のNCBI GeneID番号を有するヒトErk1及びErk2遺伝子によりコードされるタンパク質)であり、チロシン及びスレオニンアミノ酸残基両方での各リン酸化はErkキナーゼ活性化に必要である(即ちヒトErk1におけるT202及びY204;及びヒトErk2におけるT185及びY187;これらのリン酸化部位のすぐ近くのアミノ酸残基はヒトErk1及びErk2において同一である。)。Erkの二重リン酸化は、酵素のキナーゼ活性の活性化に必要とされることが示されている。SDS−PAGE及びpErk−特異的抗体により調べた免疫ブロットで分析したヒト腫瘍細胞溶解液において、Erk1及びErk2が両者とも存在する場合、p42/p44リン酸化Erk1/Erk2の2つのバンドが典型的に観察される。本明細書中に記載の本発明の何れかの実施形態において、pErkが含まれ、腫瘍細胞又は患者が非ヒトである場合、Erkは、Erkの対応する動物ホモローグであり、pErkは、酵素の活性化中に、アミノ酸残基の類似ペアにおいてリン酸化されている(N.B.2つのリン酸化残基の付番は種に依存して変化し得るが、ヒトErk1又はErk2リン酸化部位周辺のアミノ酸配列と相同の動物配列を調べることにより当業者にとって容易に明らかとなろう。)。
本発明の方法において、腫瘍細胞により発現されるpErkバイオマーカーのレベルは、例えば、本明細書中で詳述するような、ELISA、RIA、免疫沈降法、免疫ブロッティング、免疫蛍光顕微鏡などを含む、リンタンパク質のレベルの測定のための免疫学的方法又は例えばタンパク質精製法又はタンパク質機能もしくは活性アッセイを含む、リンタンパク質の発現レベルの測定に対して当技術分野で公知の標準的バイオアッセイ手順の何れかを用いて評価され得る。ヒトpErkのアッセイのための好ましい実施形態において、(ヒトErk2のT185/Y187リン酸化部位と同一である)ヒトErk1におけるT202/Y204周辺の残基に対応する合成ホスホペプチドで免疫付与される動物から誘導されるハイブリッドーマから産生される抗体(例えばタンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーにより精製されるIgG断片)が免疫アッセイにおいて使用される。
本発明の方法において、pErkバイオマーカー発現レベルは、発現レベルが一定のままである対照分子(例えばGAPDH、β−アクチン、チューブリンなどの「ハウスキーピング遺伝子」)の発現に対して評価することができる。pErkバイオマーカー発現レベルはまた、腫瘍細胞バイオマーカー(即ち上皮、間葉)の別の型に対して、又は、同じ組織の非腫瘍細胞において又はアッセイ基準として使用される別の細胞もしくは組織源におけるバイオマーカーレベルに対しても、評価され得る。例えば、pErkレベルが測定され、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性と相関する、実験セクションにおいて本明細書中に記載の細胞株のうち1つをアッセイ基準として使用し得る。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3の高レベル発現がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3の高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤とともに同時に又は逐次的に1以上のさらなる抗癌剤が併用投与される。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するさらなる段階が行われ、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階は、本明細書中に記載の方法の何れかを用いて1以上のバイオマーカーのレベルを評価することにより行われる。治療前にHER3及びEMT状態を示すバイオマーカーが両者とも評価されるこの代替的二重バイオマーカー実施形態は、潜在的信頼性が向上した方法を提供する。この実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するための段階の何れか1つ又は両方が、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有すると思われることを示した場合、患者は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有する可能性があると診断され、従ってIGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量が投与される。
先行する段落に記載の二重バイオマーカーの実施形態の一例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3の高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞により発現されるE−カドヘリンレベルを評価し(E−カドヘリンの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
上記の二重バイオマーカー実施形態の別の例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞におけるE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化の欠失はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
バイオマーカーHER3が測定される本明細書に記載の本発明の方法の何れかの実施形態において、バイオマーカーHER3のレベルを評価するために、HER3mRNA転写レベルのレベルが測定される。
本発明はまた、腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpHER3のレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することとを含み、腫瘍細胞におけるバイオマーカーpHER3の高レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法も提供する。本方法のある実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。
本発明はまた、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを評価することにより、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpHERの高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。本方法のある実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤とともに同時に又は逐次的に1以上のさらなる抗癌剤が併用投与される。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞は、NSCL、結腸、乳房、頭頸部又は膵臓腫瘍細胞である。本方法の別の実施形態において、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するさらなる段階が行われ、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する段階は、本明細書中に記載の方法の何れかを用いて1以上のバイオマーカーのレベルを評価することにより行われる。治療前にHER3及びEMT状態を示すバイオマーカーが両者とも評価されるこの代替的二重バイオマーカー実施形態は、潜在的信頼性が向上した方法を提供する。この実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するための段階の何れか1つ又は両方が、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に反応性があると思われることを示した場合、患者は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤への反応性を有する可能性があると診断され、従ってIGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量が投与される。
従って、先行する段落に記載の二重バイオマーカーの実施形態の一例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞により発現されるE−カドヘリンレベルを評価し(E−カドヘリンの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
上記の二重バイオマーカー実施形態の別の例は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpHER3高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞におけるE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化の欠失はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法である。
本発明は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーHER3の高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErkの低レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);何れか又は両方のバイオマーカー評価によりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する。
本発明は、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpHER3のレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpHER3の高レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを評価し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErkの低レベル発現はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);何れか又は両方のバイオマーカー評価によりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する。
本発明は、患者の腫瘍細胞により発現されるHER3及びpHER3から選択されるバイオマーカーのレベルを両方評価することによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーHER3又はpHER3が高レベルであることはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーを評価することにより腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価し(上皮バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関し、間葉バイオマーカーの高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。);バイオマーカー評価の何れかによりIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する。
方法中で使用されるバイオマーカーがpHER3である本明細書中に記載の本発明の方法の何れかにおいて、「pHER3」という用語は、「リン酸化HER3タンパク質」を指し、「HER3」は、例えば、2065のNCBI GeneID番号を有するヒトHER3遺伝子によりコードされるタンパク質であり、HER3は(ヒトタンパク質における)Y1289部位でリン酸化される。pHER3が含まれ、腫瘍細胞又は患者が非ヒトである本明細書中に記載の本発明の何れかの実施形態において、HER3は、HER3の対応する動物ホモローグであり、pHER3は類似アミノ酸残基においてリン酸化される(注:リン酸化残基の付番は種に依存して変化し得るが、ヒトHER3リン酸化部位周辺のアミノ酸配列と相同の動物配列を調べることにより当業者にとって容易に明らかとなろう。)。
本発明の方法において、腫瘍細胞により発現されるHer3及びpHER3バイオマーカーのレベルは、例えば、本明細書中で詳述するような、ELISA、RIA、免疫沈降法、免疫ブロッティング、免疫蛍光顕微鏡などを含むリンタンパク質のレベルの測定のための免疫学的方法又は例えばタンパク質精製法又はタンパク質機能もしくは活性アッセイを含む、タンパク質又はリンタンパク質の発現レベルの測定に対して当技術分野で公知の標準的バイオアッセイ手順の何れかを用いて評価され得る。ヒトpHER3のアッセイのための好ましい実施形態において、ヒトpHER3におけるY1289周辺の残基に対応する合成ホスホペプチドで免疫付与される動物から誘導されるハイブリドーマから産生される抗体(例えばタンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーにより精製されるIgG断片)が免疫アッセイにおいて使用される。
本発明の方法において、Her3又はpHER3バイオマーカー発現レベルは、発現レベルが一定のままである対照分子(例えばGAPDH、β−アクチン、チューブリンなどの「ハウスキーピング」遺伝子)の発現に対して評価することができる。Her3又はpHER3バイオマーカー発現レベルは、腫瘍細胞バイオマーカー(即ち上皮、間葉)の別の型に対して又は同じ組織の非腫瘍細胞又はアッセイ基準として使用される別の細胞もしくは組織源におけるバイオマーカーレベルに対しても、評価され得る。例えば、Her3又はpHER3レベルが測定され、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性と相関する実験セクションにおいて本明細書中に記載の細胞株のうち1つをアッセイ基準として使用し得る。
本明細書中に記載のように、本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍感受性を予測するために様々なバイオマーカーを用いる方法を提供する。これらの方法のそれぞれは、潜在的な長所及び短所を有し、好ましい方法は、最終的に個々の患者の状況に依存するが、一方で、複数の診断法を使用することにより、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の使用を含む治療計画の起こり得る結果を予測する能力が向上し得る。従って、本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する感受性を予測するための、本明細書中に記載の診断法の何れかの2以上の、同時に又は逐次的の何れかの、最初の使用と、それに続き、診断法の1以上が、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を有する可能性があることを示す場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与することと、を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法を提供する。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍感受性を予測するために好ましい診断法を調べることにおいて考慮されるべき因子には、方法の使用に影響を与える方法及び技術考察のそれぞれの両方の固有の特徴が含まれる。例えば、少数の腫瘍細胞は、E−カドヘリンをコードする遺伝子において突然変異を有することが記載されている(例えばHCT−116、Colo205及びDU4475腫瘍細胞;Buck、E.ら(2007)Mol Cancer Ther 6:532−541)。これらの細胞株におけるE−カドヘリンは転写抑制されていないが、細胞は、この突然変異により同型細胞接着を形成することができない。従って、これらの腫瘍細胞は、表現型の面で間葉様であるがEMTが起こっておらず、従って、上皮腫瘍細胞の予想されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を保持する。このようにして、形態学的細胞分析によって、この型の腫瘍細胞の場合にIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が比較的低いという間違った予測がもたらされる。しかし、形態学的細胞分析は、腫瘍細胞の大部分に対して感受性を正しく予測し、比較的単純であり、安価な分析である。また、上述のように、ある種の上皮又は間葉バイオマーカーは、単一のバイオマーカーを用いるその他の診断法より好ましい。IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を正しく予測する能力の向上は、診断法において2以上のバイオマーカー測定を使用することにより達成され得ることが多い。一般に、腫瘍細胞により発現されるE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価すること(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化の欠失はIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。)は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために非常に信頼できるバイオマーカーであると思われる。IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して比較的感受性が低いと同定される高pErkの腫瘍細胞の例はないので、腫瘍pErkレベルを評価することもまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するための特に信頼性の高いバイオマーカーであると思われる。
上皮又は間葉バイオマーカーレベルの測定は、上皮関連(例えばE−カドヘリン)又は間葉関連(例えばビメンチン、Zeb1)バイオマーカーとして分かれるタンパク質の直接分析を含む多くの様々なアプローチにより評価され得る。このアプローチの長所は、EMTマーカーが直接読み取られることである。しかし、このアプローチはまた、分析を行うために組織の十分な量を必要とする(例えば免疫組織化学)。組織の十分量は、FNA(細針吸引)などのある種の手順から得ることは困難であり得る。コア生検は、より多くの組織を提供するが、診断中に日常的に行われないことがある。あるいは、これらのEMTバイオマーカーは、定量的PCRに基づくアプローチを用いて、それらのコードRNA転写産物の発現レベルに基づき、評価され得る。このアプローチの長所は、この測定のために必要とされる腫瘍細胞が少量であることであり、FNAを介して十分な物質を得ることができる可能性が非常に高い。しかし、ここで、ある一定のバイオマーカーに対する転写レベルは、腫瘍からの腫瘍細胞ならびに浸潤間質細胞の両方由来であり得る。間質細胞がまた間葉細胞マーカーも発現するならば、これにより、腫瘍細胞に対するEMT状態の検出が妨げられ得る。インシトゥハイブリッド形成(例えばFISH)又は組織マイクロダイセクションの使用は、本発明において、この潜在的限界を克服するために有用であり得る。
E−カドヘリンの発現レベルが腫瘍細胞に対するEMT状態の顕著な特徴であるならば、EMTはまた、E−カドヘリンプロモーターのメチル化状態に基づき上昇し得、本明細書中に記載のように、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために使用され得る。メチル化は転写を抑制し、メチル化の高レベルは間葉様状態と相関する。このアプローチの潜在的利益は、転写レベルの測定のように、DNAのメチル化状態を測定するために必要であるのはごく少量の物質であることである。FNAから十分な物質を得ることができる可能性が高いと思われ、コア生検を必要としない。さらに、このアプローチはDNAの評価を含み、RNAの評価を含まないので、試料の中期又は長期保存の間、長時間にわたりより安定に読み出すことができる可能性がある。
本明細書中に記載のデータは、pErkが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する相対的不感受性を予測するバイオマーカーであることを示す。間葉バイオマーカーが、本明細書中にも記載のように、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する相対的不感受性の予測因子でもあることを考えると、予測され得るように、高レベルのpErkが間葉腫瘍細胞において観察される。本明細書中で示されるように、腫瘍pErkレベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を予測するために、特に信頼できるバイオマーカーであると思われる。しかし、このバイオマーカーのある潜在的短所は、pErkのレベルが、腫瘍試料が適切に操作されない場合、長時間にわたり安定ではない可能性があることである。従って、診断法としてのこのバイオマーカーの適用には、例えば、生検時に瞬間冷凍すること又はタンパク質変性を用いて急速に固定することによってなど、Erkタンパク質のリン酸化状態を維持する(即ちタンパク質の脱リン酸化を阻害する)ように、腫瘍物質が調製されることが必要である。しかし、このような方法は、当技術分野で周知であり、日常的に組織試料を維持するために使用される。
本明細書中に記載の方法において、腫瘍細胞は、典型的には、癌、前癌状態又は異常細胞増殖の別の形態と診断された患者、及び治療を要する患者から得られる。癌は、肺癌(例えば非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌、頭頸部癌、胃癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、又は本明細書に記載の以下の様々なその他の癌の何れかであり得る。癌は、好ましくは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療可できる可能性があることが知られている癌である。
本発明の方法において、上皮又は間葉バイオマーカー発現レベルは、発現レベルがEMTを通じて一定である対照分子と比較して、又は分子バイオマーカー(例えば、GAPDH、β−アクチン、チューブリンなどの「ハウスキーピング」遺伝子)によって示されるような上皮もしくは間葉移行状態を発現する腫瘍細胞を比較したときに、評価することができる。バイオマーカー発現レベルは、腫瘍細胞バイオマーカーのその他のタイプと比較して(即ち、間葉に対する上皮)、又は同じ組織の非腫瘍細胞中のバイオマーカーレベルと比較して、又はアッセイ基準として使用される別の細胞もしくは組織源と比較して評価することもできる。
本発明の方法において、腫瘍細胞によって発現される上皮又は間葉バイオマーカーのレベルは、以下で詳述するように、例えば、ELISA、RIA、免疫沈降、免疫ブロット、免疫蛍光顕微鏡検査、RT−PCR、インシトゥハイブリッド形成、cDNAマイクロアレイなどを含む、遺伝子の発現レベルを測定するための、当技術分野で公知の標準的バイオアッセイ手順の何れかを用いることによって評価することができる。
本発明の方法において、腫瘍細胞上皮又は間葉バイオマーカーの発現レベルは、好ましくは腫瘍生検をアッセイすることによって評価される。しかし、別の実施形態において、腫瘍細胞バイオマーカーの発現レベルは、腫瘍又は腫瘍細胞から生じるバイオマーカーの検出可能なレベルを含有する体液又は排出物中で評価することができる。本発明において有用である体液又は排出物には、血液、尿、唾液、便、胸膜液、リンパ液、痰、腹水、前立腺液、脳脊髄液(CSF)又は何らかのその他の体液分泌物もしくはその誘導体が含まれる。血液とは、全血、血漿、血清又は血液の何らかの誘導体を含むものとする。このような体液又は排出物中の腫瘍上皮又は間葉バイオマーカーの評価は、侵襲的試料採取方法が不適当又は不都合である状況において好ましいことがある。
本発明の方法において、腫瘍細胞は、肺癌腫瘍細胞(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌腫瘍細胞、乳癌腫瘍細胞、頭頸部癌腫瘍細胞、胃癌腫瘍細胞、結腸癌腫瘍細胞、卵巣癌腫瘍細胞又は本明細書で下記に記載のような様々なその他の癌の何れかに由来する腫瘍細胞であり得る。腫瘍細胞は、好ましくは、固形腫瘍由来の全腫瘍細胞がそうであるように、IGF−1Rキナーゼを発現することが知られているか又は予想されるタイプである。IGF−1Rキナーゼは、野生型又は突然変異体であり得る。
本発明の方法において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、本明細書で下記に記載のような何らかのIGF−1Rキナーゼ阻害剤(医薬的に許容可能なその塩又は多形体を含む。)であり得る。
以下の方法は、本発明の方法のさらなる具体的な実施形態である。
本発明は、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の高感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の低感受性と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍増殖の感受性を予測する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞により発現される上皮バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞上皮バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に効果的に反応する腫瘍と相関する、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法を提供する。
本発明の方法において、腫瘍は、肺癌腫瘍(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、膵臓癌腫瘍、乳癌腫瘍、頭頸部癌腫瘍、胃癌腫瘍、結腸癌腫瘍、卵巣癌腫瘍、又は本明細書中で以下に記載のような様々なその他の癌の何れかに由来する腫瘍であり得る。腫瘍は、好ましくは、全固形腫瘍がそうであるように、細胞がIGF−1Rキナーゼを発現することが知られているか又は予想されるタイプである。IGF−1Rキナーゼは、野生型又は突然変異体であり得る。
本発明は、腫瘍細胞により発現される間葉バイオマーカーのレベルを評価することと;腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療に効果的に反応するか否かを予測することと、を含み、腫瘍細胞間葉バイオマーカーの高発現レベルがIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対する反応性がより低い腫瘍と相関する、癌患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に効果的に反応する腫瘍を患っているか否かを予測する方法を提供する。
本発明は、少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの対照ポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを少なくとも1つの対照ポリペプチドの腫瘍細胞レベルと比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞対照ポリペプチドに対する比が高いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、有用な上皮バイオマーカーポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの対照ポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを少なくとも1つの対照ポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルと比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞対照ポリヌクレオチドに対する比が高いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが挙げられる。
本発明は、少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの対照ポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルと少なくとも1つの対照ポリペプチドの腫瘍細胞レベルを比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞対照ポリペプチドに対する比が低いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、有用である間葉バイオマーカーポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの対照ポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを少なくとも1つの対照ポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルと比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドと腫瘍細胞対照ポリヌクレオチドの比が低いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞レベルと比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドに対する比が高いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関して、有用である上皮バイオマーカーポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルとポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞レベルを比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドに対する比が高いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが含まれる。
本発明は、少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞レベルを測定することと、少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの腫瘍細胞レベルを少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞レベルと比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドの非腫瘍細胞バイオマーカーポリペプチドに対する比が低いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、有用である間葉バイオマーカーポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルとポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞レベルとを比較することと、を含み、腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドの非腫瘍細胞バイオマーカーポリヌクレオチドに対する比が低いことが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、(c)少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドのレベルを少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドのレベルと比較することと、を含み、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドに対する比が高いことは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが含まれる。この方法に関し、間葉バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドの腫瘍細胞レベルを測定することと、(c)少なくとも1つの上皮バイオマーカーポリヌクレオチドのレベルを少なくとも1つの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドのレベルと比較することと、を含み、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドの間葉バイオマーカーポリヌクレオチドに対する比が高いことは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性が予測されることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測する方法を提供する。この方法に関し、上皮バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrkが含まれる。この方法に関し、間葉バイオマーカーポリヌクレオチドによってコードされる有用なポリペプチドの例には、ビメンチン及びフィブロネクチンが含まれる。
本発明は、患者試料中の間葉バイオマーカーの発現レベルと対照非癌試料中のバイオマーカー発現の正常レベルとを比較することを含み、正常レベルに対する患者試料中の間葉バイオマーカーの発現レベルの有意な上昇が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する可能性が低い癌に患者が罹患していることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する癌に癌患者が罹患しているか否かを評価する方法を提供する。この方法に関し、有用な間葉バイオマーカーの例には、ビメンチン及びフィブロネクチン及びこれらのタンパク質をコードする核酸が含まれる。
本発明は、患者試料中の上皮バイオマーカーの発現レベルと対照非癌試料中のバイオマーカー発現の正常レベルとを比較することを含み、正常レベルに対する患者試料中の上皮バイオマーカーの発現レベルの有意な低下が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する可能性が低い癌に患者が罹患していることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する癌に癌患者が罹患しているか否かを評価する方法を提供する。この方法に関し、有用なる上皮バイオマーカーの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrk及びこれらのタンパク質をコードする核酸が含まれる。
本発明は、患者試料中の上皮バイオマーカーの発現レベルと対照非癌試料中のバイオマーカー発現の正常レベルとを比較することを含み、正常レベルに対する患者試料中の上皮バイオマーカーの発現レベルの有意な低下が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する可能性が低い癌に患者が罹患していることを示す、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する癌に癌患者が罹患しているか否かを評価する方法を提供する。この方法に関し、有用なる上皮バイオマーカーの例には、E−カドヘリン、γ−カテニン、ケラチン8、ケラチン18及びBrk及びこれらのタンパク質をコードする核酸が含まれる。
患者試料に関する上記方法の何れかにおいて、このような試料の例は腫瘍生検であり得る。
本発明は、(a)ヒト対象の細胞由来のヒト核酸又はタンパク質を含有する生体物質の試料を回収することと、(b)試料中の1以上の上皮細胞バイオマーカータンパク質又は1以上の上皮細胞バイオマーカータンパク質特異的mRNAの発現レベルを試料において定量的又は半定量的に測定することと、(c)(b)における発現レベルを正常対照におけるバイオマーカー発現レベルと、又は試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、を含み、対照レベルに対して、1以上の上皮細胞バイオマーカータンパク質又は1以上の上皮細胞バイオマーカータンパク質特異的mRNAの発現の低下が、ヒト対象においてIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する可能性が低い腫瘍の存在を示す、ヒト対象において腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対して反応性を有するか否かを判定する方法を提供する。
本発明は、(a)ヒト対象の細胞由来のヒト核酸又はタンパク質を含有する生体物質の試料を回収することと、(b)1以上の間葉細胞バイオマーカータンパク質又は1以上の間葉細胞バイオマーカータンパク質特異的mRNAの発現レベルを試料中で定量的又は半定量的に測定することと、(c)(b)における発現レベルを正常対照におけるバイオマーカー発現レベルと、又は試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、を含み、対照レベルに対して、1以上の間葉細胞バイオマーカータンパク質又は1以上の間葉細胞バイオマーカータンパク質特異的mRNAの発現の上昇が、ヒト対象においてIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に有効に反応する可能性が低い腫瘍の存在を示す、ヒト対象において腫瘍がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対して反応性を有するか否かを判定する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞中の1以上の上皮バイオマーカーのレベルを測定することと、このレベルを非腫瘍対照における上皮バイオマーカー発現レベルと、又は腫瘍試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、腫瘍細胞が含有する1以上の上皮バイオマーカーが比較的高レベルであるか否かを判定することと、を含み、高レベルであることが、腫瘍を有する患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から比較的長い延命的利益を示すことを示す、腫瘍を有する患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から比較的長い延命的利益を示す可能性を判定する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞中の1以上の間葉バイオマーカーのレベルを測定することと、このレベルを非腫瘍対照における間葉バイオマーカー発現レベルと、又は腫瘍試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、腫瘍細胞が含有する1以上の間葉バイオマーカーが比較的低レベルであるか否かを判定することと、を含み、低レベルであることが、腫瘍を有する患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から比較的長い延命的利益を示すことを示す、腫瘍を有する患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から比較的長い延命的利益を示す可能性を判定する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞中の1以上の上皮バイオマーカーのレベルを測定することと、このレベルを非腫瘍対照における上皮バイオマーカー発現レベルと、又は腫瘍試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、腫瘍細胞が1以上の上皮バイオマーカーの比較的高いレベルを含有するか否かを判定することと、腫瘍細胞中の1以上の間葉バイオマーカーのレベルを測定することと、このレベルを非腫瘍対照における間葉バイオマーカー発現レベルと、又は腫瘍試料中の対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、腫瘍細胞が含有する1以上の間葉バイオマーカーが比較的低レベルであるか否かを判定することと、を含み、1以上の上皮バイオマーカーの高レベル及び1以上の間葉バイオマーカーの低レベルが、腫瘍患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療からの比較的長い延命的利益を示すことを示す、腫瘍患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療から比較的長い延命的利益を示す可能性を判定するための方法を提供する。
本発明は、新生腫瘍細胞に関連する上皮バイオマーカーのレベルを測定することと、この上皮バイオマーカーのレベルを非腫瘍性上皮バイオマーカー基準レベルと、又は新生腫瘍細胞に関連する対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、を含み、新生腫瘍細胞に関連する上皮バイオマーカーの低レベルが前記患者の生存低下と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対して腫瘍性症状の患者の生存についての予後を判定する方法を提供する。
本発明は、新生腫瘍細胞に関連する間葉バイオマーカーレベルを測定することと、この間葉バイオマーカーレベルを非腫瘍性間葉バイオマーカー基準レベルと、又は新生腫瘍細胞に関連する対照ポリペプチドもしくは核酸のレベルと比較することと、を含み、新生腫瘍細胞に関連する間葉バイオマーカーレベル上昇がこの患者の生存低下と相関する、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対して腫瘍性症状の患者の生存についての予後を判定する方法を提供する。
腫瘍細胞上皮又は間葉バイオマーカー発現の評価に対して、腫瘍細胞又はこれらの腫瘍細胞によって産生されるタンパク質もしくは核酸を含有する患者試料を本発明の方法で使用し得る。これらの実施形態において、腫瘍細胞試料、例えば、患者から得られた腫瘍生検又は腫瘍由来の物質を含有するその他の患者試料(例えば、血液、血清、尿又は本明細書中上記のようなその他の体液もしくは排出物)中のマーカー量(例えば絶対量又は濃度)を評価することによって、バイオマーカーの発現レベルを評価することができる。細胞試料は、試料中のマーカー量を評価する前に、様々な周知の回収後調製及び保存技術(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外ろ過、濃縮、蒸発、遠心分離など)に供することができることは言うまでもない。同様に、腫瘍生検も、回収後調製及び保存技術、例えば、固定に供することができる。
本発明の方法において、バイオマーカータンパク質を発現する腫瘍細胞の表面に提示される少なくとも一部分を有するバイオマーカータンパク質の発現を検出することができる。マーカータンパク質又はその一部が細胞表面に露出しているか否かを判定することは当業者にとって簡単なことである。例えば、全細胞上のこのようなタンパク質を検出するために免疫学的方法が使用され得るか、又は少なくとも1個の細胞外ドメイン(即ち、分泌タンパク質及び少なくとも1個の細胞表面ドメインを有するタンパク質を含む。)の存在を予測するために、周知のコンピュータ配列解析法が使用され得る。マーカータンパク質を発現する細胞の表面に提示される少なくとも一部分を有するマーカータンパク質の発現は、腫瘍細胞を必ずしも溶解せずに(例えば、タンパク質の細胞表面ドメインに特異的に結合する標識抗体を用いて)検出することができる。
本発明に記載のバイオマーカーの発現は、転写された核酸又はタンパク質の発現を検出するための多岐にわたる周知の方法の何れかによって評価され得る。このような方法の非限定例には、分泌された、細胞表面タンパク質、細胞質タンパク質又は核タンパク質を検出するための免疫学的方法、タンパク質精製方法、タンパク質の機能又は活性アッセイ、核酸ハイブリッド形成法、核酸逆転写法及び核酸増幅方法が含まれる。
ある実施形態において、バイオマーカーの発現は、腫瘍細胞において通常受ける翻訳後修飾(例えばグリコシル化、リン酸化、メチル化など)の全部又は一部が起こっているバイオマーカータンパク質を含む、バイオマーカータンパク質又はその断片と特異的に結合する、抗体(例えば、放射性標識、発色団標識、フルオロフォア標識又は酵素標識抗体)、抗体誘導体(例えば、基質もしくはタンパク質との複合抗体又はタンパク質−リガンド対{例えばビオチン−ストレプトアビジン}のリガンド)又は抗体断片(例えば、1本鎖抗体、単離抗体超可変ドメインなど)を用いて評価される。
別の実施形態において、バイオマーカーの発現は、患者試料中の細胞からmRNA/cDNA(即ち転写ポリヌクレオチド)を調製することによって、及び、mRNA/cDNAをバイオマーカー核酸又はその断片の相補体である基準ポリヌクレオチドとハイブリッド形成させることによって、評価される。cDNAは、場合によっては、基準ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成前に、様々なポリメラーゼ連鎖反応法の何れかを用いて、増幅され得る。1以上のバイオマーカーの発現は、同様に、バイオマーカーの発現レベルを評価するための定量PCRを用いて検出され得る。あるいは、患者におけるバイオマーカーの存在を検出するために、本発明のバイオマーカーの突然変異体又は変異体(例えば、一塩基多形体、欠失体など)を検出する多数の公知の方法の何れかが使用され得る。
関連する実施形態において、試料から得られた転写ポリヌクレオチドの混合物を、バイオマーカー核酸の少なくとも一部(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500以上のヌクレオチド残基)と相補的又は相同であるポリヌクレオチドが固定された基質と接触させる。相補的又は相同のポリヌクレオチドが、基質上で別々に検出可能である(例えば、異なる発色団もしくはフルオロフォアを用いて検出可能であるか又は異なる選択位置に固定されている)場合、複数のバイオマーカーの発現レベルは、単一の基質(例えば、選択位置に固定されたポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を用いて同時に評価され得る。1つの核酸と別の核酸のハイブリッド形成を含むバイオマーカー発現評価方法が使用される場合、厳密な(ストリンジェンシーが高い)ハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成が行われることが好ましい。
本発明の方法において本発明の複数のバイオマーカーが使用される場合、単一反応混合物中(即ち、各バイオマーカーに対する異なる蛍光プローブなどの試薬を用いて)又はバイオマーカーの1以上に対応する個々の反応混合物中の何れかで、患者試料中の各バイオマーカーの発現レベルを、同じタイプの非癌試料中の複数のバイオマーカーの各々の正常発現レベルと比較することができる。
正常(即ち非癌)ヒト組織におけるバイオマーカー発現レベルは、様々な方法で評価され得る。ある実施形態において、この正常発現レベルは、非癌性であると考えられる細胞部分におけるバイオマーカーの発現レベルを評価し、次いでこの正常発現レベルを腫瘍細胞部分における発現レベルと比較することによって評価される。交互に、特に、本明細書に記載の方法の日常的な実施の結果としてさらなる情報が利用可能になるので、本発明のバイオマーカーの正常発現に対する集団平均値が使用され得る。その他の実施形態において、「正常」バイオマーカー発現レベルは、非癌罹患患者から得られた患者試料中の、患者における癌の発症が疑われる前に患者から得られた患者試料からの、患者の保存試料などからの、バイオマーカーの発現を評価することによって求められ得る。
生体試料中のバイオマーカータンパク質又は核酸の有無を検出するための代表的方法は、生体試料(例えば、腫瘍に関連する体液)を対象から採取することと、生体試料をポリペプチド又は核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA又はcDNA)を検出することができる化合物又は薬剤と接触させることと、を含む。従って、例えば生体試料中で、インビトロ及びインビボで、mRNA、タンパク質、cDNA又はゲノムDNAを検出するために、本発明の検出方法が使用され得る。例えば、mRNAの検出のためのインビトロ技術には、ノーザンハイブリッド形成及びインシトゥハイブリッド形成が含まれる。バイオマーカータンパク質の検出のためのインビトロ技術には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット法、免疫沈降、免疫蛍光が含まれる。ゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術には、サザンハイブリッド形成が含まれる。mRNAの検出のためのインビボ技術には、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、ノーザンブロットハイブリッド形成及びインシトゥハイブリッド形成が含まれる。さらに、バイオマーカータンパク質の検出のためのインビボ技術には、タンパク質又はその断片に対する標識抗体を対象に導入することが含まれる。例えば、抗体は、対象における存在及び場所が標準画像化技術によって検出され得る放射性マーカーで標識することができる。
このような診断及び予後アッセイの一般的原理は、適切な条件下で、バイオマーカー及びプローブが相互作用し、結合して、反応混合物中で除去及び/又は検出され得る複合体を形成するのに十分な時間、バイオマーカーを含有し得る試料又は反応混合物及びプローブを調製することを含む。これらのアッセイは、種々の方法で実施され得る。
例えば、このようなアッセイを実施するためのある方法は、バイオマーカー又はプローブを基質とも呼ばれる固相支持体上に固定することと、固相に固定された標的バイオマーカー/プローブ複合体を反応の最後に検出することと、を含む。このような方法のある実施形態において、バイオマーカーの存在及び/又は濃度をアッセイする、対象由来の試料を担体又は固相支持体上に固定することができる。別の実施形態において、逆の状況が考えられ、プローブを固相に固定し、対象由来の試料をアッセイの非固定成分として反応させることができる。
アッセイ成分を固相に固定する多数の方法が確立されている。これらの方法には、以下に限定されないが、ビオチンとストレプトアビジンの結合によって固定されるバイオマーカー又はプローブ分子が含まれる。このようなビオチニル化アッセイ成分は、当分野で公知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals、Rockford、Ill.)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジン被覆96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定することができる。ある実施形態において、固定化アッセイ成分を含む表面を前もって調製し、保存することができる。
このようなアッセイに対するその他の適切な担体又は固相支持体には、バイオマーカー又はプローブが属する分子クラスに結合することができる何らかの物質が含まれる。周知の支持体又は担体には、以下に限定されないが、ガラス、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然及び修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩及び磁鉄鉱が含まれる。
上記アプローチによってアッセイを実施するために、非固定成分を固相に添加し、その後、第2の成分を固定する。反応が完結した後に、形成された何らかの複合体が固相上に固定されたままになるような条件下で非複合成分を(例えば洗浄によって)除去することができる。固相に固定されたバイオマーカー/プローブ複合体の検出は、本明細書で概説するいくつかの方法で行うことができる。
ある実施形態において、プローブが非固定アッセイ成分である場合、プローブは、アッセイの検出及び読み取り目的で、本明細書で考察される、当業者にとって周知の検出可能な標識で直接又は間接的に標識することができる。
バイオマーカー/プローブ複合体の形成は、例えば蛍光エネルギー移動技術(即ちFET、例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号、Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号参照)を利用することによって、何れかの成分(バイオマーカー又はプローブ)をさらに操作又は標識せずに、直接検出することもできる。第1の「供与体」分子上のフルオロフォア標識は、適切な波長の入射光によって励起されると、その放射蛍光エネルギーが第2の「受容体」分子上の蛍光標識によって吸収され、吸収されたエネルギーによって蛍光標識が蛍光を発することができるように選択される。交互に、「供与体」タンパク質分子は、トリプトファン残基の天然蛍光エネルギーを単に利用することもできる。異なる波長の光を発する標識が選択され、その結果、「受容体」分子標識を「供与体」の標識から区別することができる。標識間のエネルギー移動効率は分子間の距離に関係するので、分子間の空間的関係を評価することができる。結合が分子間で起こる状況において、アッセイにおける「受容体」分子標識の蛍光発光は最大になるはずである。FET結合現象は、当分野で周知の標準的な蛍光定量検出手段(例えば、蛍光光度計を用いて)都合よく測定することができる。
別の実施形態において、プローブのバイオマーカー認識能力は、アッセイ成分の何れか(プローブ又はバイオマーカー)を標識せずに、リアルタイム生体分子間相互作用解析(BIA)などの技術を利用することによって求めることができる(例えば、Sjolander、S.及びUrbaniczky、C.、1991、Anal.Chem.63:2338−2345及びSzaboら、1995、Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705参照)。本明細書で使用される場合、「BIA」又は「表面プラズモン共鳴」は、相互作用物の何れも標識せずに、生体分子特異的相互作用をリアルタイムで研究するための技術である(例えばBIAcore)。(結合現象を示している)結合表面における質量変化の結果、表面近傍の光の屈折率が変化し(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)、生体分子間のリアルタイム反応の指標として使用することができる検出可能なシグナルが生じる。
あるいは、別の実施形態において、液相中の溶質としてバイオマーカー及びプローブを用いて、類似の診断及び予後アッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて、複合体化されたバイオマーカー及びプローブは、以下に限定されないが、分画遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動及び免疫沈降を含む、いくつかの標準技術の何れかによって、非複合成分から分離される。分画遠心分離において、バイオマーカー/プローブ複合体は、異なるサイズ及び密度に基づき複合体が異なる沈降平衡を有するために、一連の遠心段階によって非複合アッセイ成分から分離することができる(例えば、Rivas、G.及びMinton、A.P.、1993、Trends Biochem Sci.18(8):284−7参照)。複合分子を非複合分子から分離するために、標準クロマトグラフィー技術を使用することもできる。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーは、サイズに基づいて分子を分離し、例えば、カラム形式の適切なゲルろ過レジンを利用することによって、比較的大きい複合体を比較的小さい非複合成分から分離することができる。同様に、非複合成分と比較した場合に、バイオマーカー/プローブ複合体の比較的異なる電荷特性を利用して、例えばイオン交換クロマトグラフィーレジンを利用して、複合体を非複合成分から区別することもできる。このようなレジン及びクロマトグラフィー技術は当業者にとって周知である(例えば、Heegaard、N.H.、1998、J.Mol.Recognit.Winter 11(1−6):141−8;Hage、D.S.及びTweed、S.A.J.Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct 10;699(1−2):499−525参照)。複合アッセイ成分を非結合成分から分離するために、ゲル電気泳動を使用することもできる(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons、New York、1987−1999参照)。この技術において、タンパク質又は核酸複合体は、例えばサイズ又は電荷に基づいて分離される。電気泳動プロセス中、結合相互作用を維持するために、典型的には非変性ゲルマトリックス材料及び還元剤の非存在下の条件が好ましい。特定のアッセイ及びその成分に適切な条件は、当業者にとって周知である。
特定の実施形態において、バイオマーカーmRNAのレベルは、当技術分野で公知の方法を用いて、生体試料中で、インシトゥ及びインビトロ形式の両方により測定することができる。「生体試料」という用語は、対象から単離された組織、細胞、体液及びその単離物、ならびに対象中に存在する組織、細胞及び体液を含むものとする。多数の発現検出方法で単離RNAが使用される。インビトロ法の場合、mRNAの単離に対して選択しない何らかのRNA単離技術が、腫瘍細胞からのRNA精製のために利用され得る(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York 1987−1999参照)。さらに、例えば、Chomczynskiの1段階RNA単離法(1989、米国特許第4,843,155号)などの当業者にとって周知の技術を用いて、多数の組織試料を容易に処理することができる。
単離mRNAは、以下に限定されないが、サザン又はノザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析及びプローブアレイを含む、ハイブリッド形成又は増幅アッセイにおいて使用することができる。mRNAレベルの検出のためのある好ましい診断法は、検出されている遺伝子によってコードされるmRNAとハイブリッド形成することができる核酸分子(プローブ)と単離mRNAを接触させることを含む。核酸プローブは、例えば、全長cDNA又はその一部であり得、例えば少なくとも7、15、30、50、100、250又は500ヌクレオチド長の、及び本発明のバイオマーカーをコードするmRNA又はゲノムDNAと厳密な(ストリンジェンシーが高い)条件下で特異的にハイブリッド形成するのに十分なオリゴヌクレオチドなどである。本発明の診断アッセイに使用するのに適切なその他のプローブは本明細書中で記載されている。mRNAとプローブとのハイブリッド形成は、問題のバイオマーカーが発現されていることを示す。
ある形式において、例えば単離mRNAをアガロースゲル上で泳動し、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に転写することによって、mRNAを固体表面に固定し、プローブと接触させる。別の形式において、プローブが固体表面に固定化され、例えばAffymetrix遺伝子チップアレイ中でmRNAをプローブと接触させる。当業者は、本発明のバイオマーカーによってコードされるmRNAのレベルの検出に使用するために、公知のmRNA検出方法を容易に改変することができる。
試料中のmRNAバイオマーカーレベルを測定するための代替法は、核酸増幅プロセス、例えば、RT−PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号に記載の実験実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:189−193)、自立配列複製(Guatelliら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwohら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−Betaレプリカーゼ(Lizardiら、1988、Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)又は何らかのその他の核酸増幅方法と、それに続く当業者にとって周知の技術を用いた増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、核酸分子がごく僅かしか存在しない場合に、このような分子の検出に特に有用である。本明細書で使用される場合、増幅プライマーは、遺伝子の5’又は3’領域でアニール形成することができる核酸分子の1対(それぞれプラス及びマイナス鎖又はその逆)であるとして定義され、間に短い領域を含有する。一般に、増幅プライマーは、約10から30ヌクレオチド長であり、約50から200ヌクレオチド長の領域に隣接する。適切な条件下で、適切な試薬を用いて、このようなプライマーによって、プライマーが隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子を増幅することができる。
インシトゥ法の場合、mRNAを腫瘍細胞から検出前に単離する必要はない。このような方法において、細胞又は組織試料を公知の組織学的方法を用いて調製/処理する。次いで、試料を支持体、一般にスライドガラス上に固定し、次いでバイオマーカーをコードするmRNAとハイブリッド形成することができるプローブと接触させる。
バイオマーカーの絶対発現レベルに基づく測定の代替物として、測定は、バイオマーカーの正規化された発現レベルに基づき得る。バイオマーカーの絶対発現レベルをバイオマーカーでない遺伝子、例えば、恒常的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較して、バイオマーカーの絶対発現レベルを補正することによって、発現レベルを正規化する。正規化に適切な遺伝子には、アクチン遺伝子などのハウスキーピング遺伝子又は上皮細胞特異的遺伝子などが含まれる。この正規化によって、一試料、例えば患者試料を別の試料、例えば非腫瘍試料と、又は異なる起源由来の試料間で、発現レベルを比較することができるようになる。
あるいは、発現レベルを相対発現レベルとすることができる。バイオマーカーの相対発現レベル(例えば間葉バイオマーカー)を求めるために、問題の試料の発現レベルを測定する前に、癌細胞単離株に対して正常細胞単離株の10以上の試料、好ましくは50以上の試料について、バイオマーカー発現レベルを測定する。より多数の試料においてアッセイされた遺伝子の各々の平均発現レベルを求め、これをバイオマーカーに対するベースライン発現レベルとして使用する。次いで、試験試料について測定したバイオマーカー発現レベル(絶対発現レベル)をそのバイオマーカーについて得られた平均発現値で除算する。これによって相対発現レベルが得られる。
本発明の別の実施形態において、バイオマーカータンパク質を検出する。本発明のバイオマーカータンパク質を検出するための好ましい薬剤は、このようなタンパク質又はその断片と結合することができる抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体はポリクローナル又はより好ましくはモノクローナルであり得る。完全な抗体又はその断片もしくは誘導体(例えば、Fab又はF(ab’).sub.2)を使用することができる。プローブ又は抗体に関して「標識された」という用語は、検出可能な物質をプローブ又は抗体と連結(即ち、物理的に連結)することによるプローブ又は抗体の直接標識、及び直接標識される別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接標識を包含するものとする。間接標識の例には、蛍光標識二次抗体を用いた一次抗体の検出及び蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出することができるようなビオチンによるDNAプローブの末端標識が含まれる。
腫瘍細胞由来のタンパク質は、当業者に周知の技術を用いて単離することができる。用いられるタンパク質単離方法は、例えば、Harlow及びLane(Harlow及びLane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)に記載されている方法などである。
所与の抗体に結合するタンパク質を試料が含有するか否かを判定するために、様々な形式が用いられ得る。このような形式の例には、以下に限定されないが、酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロット分析及び酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が含まれる。当業者は、腫瘍細胞が本発明のバイオマーカーを発現するか否かの判定に使用するために公知のタンパク質/抗体検出方法を容易に改変することができる。
ある形式において、発現されたタンパク質を検出するために、抗体又は抗体断片もしくは誘導体をウエスタンブロット又は免疫蛍光技術などの方法で使用することができる。このような使用において、抗体又はタンパク質の何れかを固体支持体に固定することが一般に好ましい。適切な固相支持体又は担体には、抗原又は抗体と結合することができる何らかの支持体などが含まれる。周知の支持体又は担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び修飾セルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩及び磁鉄鉱が含まれる。
当業者は、抗体又は抗原と結合する多数のその他の適切な担体を知っており、このような支持体を本発明での使用のために改変することができる。例えば、腫瘍細胞から単離されたタンパク質を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において泳動させ、ニトロセルロースなどの固相支持体上に固定化することができる。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄し、続いて検出可能な標識抗体を用いて処理することができる。次いで、非結合抗体を除去するために、固相支持体を再度緩衝液で洗浄することができる。次いで、固体支持体上の結合標識の量を従来手段によって検出することができる。
ELISAアッセイの場合、特異的結合対は、免疫型又は非免疫型であり得る。免疫特異的結合対は、抗原−抗体系又はハプテン/抗ハプテン系によって例示される。フルオレセイン/抗フルオレセイン、ジニトロフェニル/抗ジニトロフェニル、ビオチン/抗ビオチン、ペプチド/抗ペプチドなども挙げることができる。特異的結合対の抗体メンバーは、当業者にとって公知の通例の方法によって作製することができる。このような方法は、特異的結合対の抗原メンバーによって動物を免疫化することを含む。特異的結合対の抗原メンバーが免疫原性でない場合、例えば、ハプテンである場合、担体タンパク質と共有結合させて免疫原性にすることができる。非免疫結合対は、2つの成分が互いに天然の親和性を共有するが、抗体ではない系を含む。例示的な非免疫対は、ビオチン−ストレプトアビジン、内因子−ビタミンB12、葉酸−葉酸塩結合タンパク質などである。
様々な方法を利用して、抗体を特異的結合対のメンバーで共有結合標識することができる。特異的結合対メンバーの性質、所望の連結のタイプ及び様々な複合化化学物質に対する抗体の寛容性に基づいて方法が選択される。ビオチンは、市販の活性誘導体を利用して抗体へ共有結合的に連結させることができる。これらの一部は、タンパク質上のアミン基に結合するビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミド;炭水化物部分、アルデヒド及びカルボキシル基をカルボジイミド連結を介して結合するビオチンヒドラジド;及びスルフヒドリル基と結合するビオチンマレイミド及びヨードアセチルビオチンである。フルオレセインは、フルオレセインイソチオシアネートを用いてタンパク質アミン基と連結させることができる。ジニトロフェニル基は、2,4−ジニトロベンゼン硫酸塩又は2,4−ジニトロフルオロベンゼンを用いてタンパク質アミン基と連結させることができる。ジアルデヒド、カルボジイミド連結、ホモ官能性架橋及びヘテロ二官能性架橋を含め、特異的結合対メンバーとモノクローナル抗体を連結させるために、複合化のその他の標準的方法を使用することができる。カルボジイミド連結は、ある物質上のカルボキシル基を別の物質上のアミン基と連結させる有効な方法である。カルボジイミド連結は、市販試薬1−エチル−3−(ジメチル−アミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を用いることによって促進される。
二官能性イミドエステル及び二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含むホモ二官能性架橋剤は市販されており、ある物質上のアミン基と別の物質上のアミン基の連結に使用される。ヘテロ二官能性架橋剤は、異なる官能基を有する試薬である。最も一般的な市販ヘテロ二官能性架橋剤は、アミン反応性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを第1の官能基として有し、スルフヒドリル反応基を第2の官能基として有する。最も一般的なスルフヒドリル反応基は、マレイミド、ピリジルジスルフィド及び活性ハロゲンである。官能基の1つは、照射時に様々な基と反応する光活性アリールニトレンであり得る。
検出可能に標識された抗体、又は検出可能に標識された特異的結合対メンバーは、放射性同位体、酵素、蛍光発生材料、化学発光材料又は電気化学材料であり得るレポーターと連結させることによって調製される。一般に使用される2種類の放射性同位体は125I及び3Hである。標準放射性同位体標識手順には、クロラミンT、ラクトペルオキシダーゼ及び125Iに対するBolton−Hunter法及び3Hに対する還元的メチル化が含まれる。「検出可能に標識された」という用語は、標識の内因性酵素活性によって、又はそれ自体容易に検出することができる別の成分の標識との結合によって、容易に検出することができるように標識された分子を指す。
本発明での使用に適切な酵素には、以下に限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ホタル及びウミシイタケを含むルシフェラーゼ、β−ラクタマーゼ、ウレアーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びリゾチームが含まれる。酵素標識は、抗体と特異的結合対メンバーとの連結に対して上記に記載のようなジアルデヒド、カルボジイミド連結、ホモ二官能性架橋剤及びヘテロ二官能性架橋剤を使用することによって促進される。
選択される標識方法は、酵素及び標識される物質において利用可能な官能基及び連結条件に対する両方の耐性に依存する。本発明で使用される標識方法は、以下に限定されないが、Engvall及びPearlmann、Immunochemistry 8、871(1971)、Avrameas及びTernynck、Immunochemistry 8、1175(1975)、Ishikawaら、J.Immunoassay 4(3):209−327(1983)及びJablonski、Anal.Biochem.148:199(1985)に記載の方法を含む、現在使用される何らかの従来法の1つであり得る。
標識は、スペーサー又は特異的結合対のその他のメンバーの使用などの間接的方法により行うことができる。この例は、逐次又は同時に添加されるストレプトアビジン及びビオチニル化酵素での、非標識ストレプトアビジン及びビオチニル化酵素を有するビオチニル化抗体の検出である。従って、本発明によれば、検出に使用される抗体は、レポーターによって直接的に、又は第1の特異的結合対メンバーによって間接的に、検出可能に標識することができる。抗体を第1の特異的結合対メンバーと連結させる場合、抗体−第1の特異的結合複合体メンバーを第2の標識又は非標識結合対メンバーと上述のように反応させることによって、検出が行われる。
さらに、非標識検出抗体は、非標識抗体を非標識抗体に特異的な標識抗体と反応させることによって検出することができる。この場合、上記で使用される「検出可能に標識された」は、非標識抗体に特異的な抗体が結合することができるエピトープを含有することを意味する。このような抗抗体は、上記で考察したアプローチの何れかを用いて直接的又は間接的に標識することができる。例えば、抗抗体は、上記で考察されるストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ系と反応させることによって検出されるビオチンと連結させることができる。
本発明のある実施形態において、ビオチンが使用される。次いで、ビオチン化抗体をストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体と反応させる。オルトフェニレンジアミン、4−クロロ−ナフトール、テトラメチルベンジジン(TMB)、ABTS、BTS又はASAを色素検出に使用することができる。
本発明を実施するためのある免疫測定法形式において、捕捉試薬が従来技術を用いて支持体表面に固定されたフォワード(forward)サンドイッチアッセイが使用される。アッセイに使用される適切な支持体には、ポリプロピレン、ポリスチレン、置換ポリスチレン、例えばアミノ化又はカルボキシル化ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ガラスビーズ、アガロース又はニトロセルロースなどの合成高分子支持体が含まれる。
本発明は、生体試料中のバイオマーカータンパク質又は核酸の存在を検出するためのキットも包含する。このようなキットは、対象が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対して影響されにくい腫瘍に罹患しているか否か、又はその発症リスクが高いか否かを判定するために使用することができる。例えば、本キットは、生体試料中のバイオマーカータンパク質又は核酸を検出することができる標識化合物又は試薬、及び試料中のタンパク質又はmRNAの量を測定する手段(例えば、タンパク質もしくはその断片に結合する抗体又はタンパク質をコードするDNAもしくはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含み得る。キットは、キットを用いて得られた結果を解釈する説明書も含み得る。
抗体に基づくキットの場合、このキットは、例えば、(1)バイオマーカータンパク質と結合する(例えば、固体支持体に付着した)第1の抗体及び場合によっては(2)タンパク質又は第1の抗体と結合し、検出可能な標識に連結される、第2の異なる抗体を含み得る。
オリゴヌクレオチドに基づくキットの場合、このキットは、例えば、(1)バイオマーカータンパク質をコードする核酸配列とハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド又は(2)バイオマーカー核酸分子の増幅に有用であるプライマー対を含み得る。本キットは、例えば、緩衝試薬、防腐剤又はタンパク質安定化剤を含み得る。本キットは、検出可能な標識の検出に必要な構成要素(例えば酵素又は基質)をさらに含み得る。本キットは、アッセイされ、試験試料と比較され得る対照試料又は一連の対照試料も含有し得る。キットの各構成要素は、個々の容器に封入され得、様々な容器全てが、キットを用いて実施されるアッセイの結果を解釈する説明書と一緒に、単一包装中で包装され得る。
本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することによって、例えば、腫瘍細胞上皮及び/又は間葉バイオマーカーの発現レベルを測定するための本明細書に記載の方法の何れかによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者における腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法もさらに提供する。この方法に関して、好ましいIGF−1Rキナーゼ阻害剤の例は、薬理学的に許容可能なその塩又は多形体を含む、化合物66と類似の特性(例えば、選択性、効力)を有するものである。この方法において、個々の患者に関する何らかのさらなる状況と組み合わせて、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性の予測を考慮して、投与医師によって適切であると判断された場合に、1以上のさらなる抗癌剤又は治療薬をIGF−1Rキナーゼ阻害剤と同時に又は逐次的に投与することができる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する反応性を予測するためのその他のバイオマーカー測定法とともに又はこれなしで、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性の予測因子としてE−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化を使用することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断する最初の段階を含む、IGF−1Rキナーゼ阻害剤によって、その他の抗癌化合物とともに又はこれなしで、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する(CDH1プロモーターメチル化が低いか又はないことは、IGFIRキナーゼ阻害剤に対する感受性がより高いことを示す。)。これに関連して、IGFI−Rキナーゼに対する反応性を診断するための複数の方法が使用される場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断するための方法の少なくとも1つが、患者がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性がある可能性があることを示す場合、患者は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると診断され、従って、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量が投与される。
従って、本発明は、腫瘍細胞においてE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化がないか又は低いことは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法を提供する。
本発明はまた、患者の腫瘍細胞により発現されるバイオマーカーpErkのレベルを両方評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞によるバイオマーカーpErk発現が低レベルであることはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞においてE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化が低いこと又はないことは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断された場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。
本発明はまた、患者の腫瘍細胞により発現される上皮又は間葉バイオマーカーの遺伝子発現レベルを評価することによってIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し(腫瘍細胞による間葉バイオマーカー発現が低レベルであること又は上皮バイオマーカー発現が高レベルであることはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);腫瘍細胞におけるE−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化状態もまた評価し(E−カドヘリン遺伝子プロモーターメチル化が低いこと又はないことはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。);IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して反応性を有する可能性があると患者が診断される場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を該患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法も提供する。上皮又は間葉バイオマーカーの遺伝子発現レベルの評価は、例えば、バイオマーカータンパク質又はmRNA転写レベルを測定することにより行われ得る。
医学分野の熟練者にとって当然のことながら、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性の診断後のIGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量の患者への投与の正確な方法は、主治医の判断に任される。投与量を含む投与方式、その他の抗癌剤との組み合わせ、投与のタイミング及び頻度などは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性の診断ならびに患者の状態及び病歴により影響を受け得る。従って、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して比較的感受性が低いと予測される腫瘍があると診断される患者でさえも、特にその他の抗癌剤又はIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍の感受性を変化させ得る薬剤と組み合わせて、このような阻害剤での治療から利益を受け得る。
本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することにより、例えば腫瘍細胞上皮及び/又は間葉バイオマーカーの発現レベルを測定するための本明細書中に記載の何れかの方法により、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いた治療に対して有効な反応を示す可能性がある者として患者を同定し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する。
本発明は、腫瘍細胞が上皮間葉移行を起こしているか否かを評価することにより、例えば腫瘍細胞上皮及び/又は間葉バイオマーカーの発現レベルを測定するための本明細書中に記載の何れかの方法により、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する患者の推定反応性を診断し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療に対して有効な反応を示す可能性が少ないか又は示す可能性がないものとして患者を同定し、IGF−1Rキナーゼ阻害剤以外の抗癌療法で患者を治療する段階を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための方法をさらに提供する。
本発明は、(a)IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対してある範囲の感受性を示す腫瘍細胞パネル中の上皮バイオマーカー候補の発現レベルを測定することと、(b)腫瘍細胞中の前記上皮バイオマーカー候補の発現レベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性との相関関係を明らかにすることを含み、上皮バイオマーカーレベルが高いこととIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の高感受性との相関関係により、前記上皮バイオマーカーの発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性を予測することが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性をその発現レベルが予測する上皮バイオマーカーを同定する方法をさらに提供する。この方法のある実施形態において、腫瘍細胞パネルは腫瘍細胞系パネルである。代替的実施形態において、腫瘍細胞パネルは、患者又は実験動物モデル由来の腫瘍試料から調製される原発腫瘍細胞パネルである。さらなる実施形態において、腫瘍細胞パネルは、マウス異種移植片中の腫瘍細胞系パネルであり、腫瘍細胞増殖は、例えば、増殖の分子マーカー又は腫瘍増殖の肉眼的測定、例えば腫瘍寸法又は重量を監視することによって測定することができる。
本発明は、(a)IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対してある範囲の感受性を示す腫瘍細胞パネルでの間葉バイオマーカー候補の発現レベルを測定することと、(b)腫瘍細胞中のその間葉バイオマーカー候補の発現レベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性との間の相関関係を明らかにすることと、を含み、間葉バイオマーカーレベルが高いこととIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の低感受性との間の相関関係によって、その間葉バイオマーカーの発現レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性の欠如が予測されることが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する腫瘍細胞増殖の感受性をその発現レベルが予測する間葉バイオマーカーを同定する方法をさらに提供する。この方法のある実施形態において、腫瘍細胞パネルは腫瘍細胞株パネルである。代替的な実施形態において、腫瘍細胞パネルは、患者モデル又は実験動物モデル由来の腫瘍試料から調製される原発腫瘍細胞パネルである。さらなる実施形態において、腫瘍細胞株パネルは、マウス異種移植片中の腫瘍細胞系パネルであり、腫瘍細胞増殖は、例えば、増殖の分子マーカー又は腫瘍増殖の肉眼的測定、例えば腫瘍寸法又は重量を監視することによって測定することができる。
本発明は、(a)腫瘍性症状の患者からの新生腫瘍細胞含有試料中の上皮バイオマーカー候補のレベルを測定することと、(b)患者からの試料中の前記上皮バイオマーカー候補のレベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状の治療の有効性との間の相関関係を明らかにすることと、を含み、上皮バイオマーカーのレベルが高いこととIGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状のより有効な治療との間の相関関係によって、前記上皮バイオマーカーが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状のより有効な治療の診断指標になることが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状のより有効な治療に対する診断指標になる上皮バイオマーカーを同定する方法をさらに提供する。
本発明は、(a)腫瘍性症状の患者からの新生腫瘍細胞含有試料中の間葉バイオマーカー候補のレベルを測定することと、(b)患者からの試料中の前記間葉バイオマーカー候補のレベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状の治療の有効性との間の相関関係を明らかにすることと、を含み、間葉バイオマーカーのレベルが高いこととIGF−1Rキナーゼ阻害剤による有効性が低い腫瘍性症状の治療との間の相関関係によって、この間葉バイオマーカーが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による腫瘍性症状のさほど有効でない治療の診断指標になることが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による有効性が低い腫瘍性症状の治療の診断指標になる間葉バイオマーカーを同定する方法をさらに提供する。
先述の方法における治療の有効性は、例えば、腫瘍性症状を有する患者における腫瘍サイズの減少を測定することによって、又は腫瘍細胞の増殖度の分子決定要因をアッセイすることによって、調べることができる。
本発明は、(a)腫瘍性症状を有する患者からの新生腫瘍細胞含有試料中の上皮バイオマーカー候補のレベルを測定することと、(b)患者からの試料中のこの上皮バイオマーカー候補のレベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療した際の患者の生存との間の相関関係を明らかにすることと、を含み、上皮バイオマーカーとこの患者の生存との相関関係によって、この上皮バイオマーカーが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療した際の、腫瘍性症状を有する患者の延命の診断指標になることが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を用いて治療した際に、腫瘍性症状を有する患者の延命の診断指標になる上皮バイオマーカーを同定する方法を提供する。
本発明は、(a)腫瘍性症状を有する患者からの新生腫瘍細胞含有試料中の間葉バイオマーカー候補のレベルを測定することと、(b)患者からの試料中のこの間葉バイオマーカー候補のレベルとIGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療したときの患者の生存との逆相関関係を明らかにすることと、を含み、間葉バイオマーカーとこの患者の生存との逆相関関係によって、この間葉バイオマーカーが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療した際の、前記腫瘍性症状を有する患者の生存短縮の診断指標になることが示される、IGF−1Rキナーゼ阻害剤により治療した際に、腫瘍性症状を有する患者の生存短縮の診断指標になる間葉バイオマーカーを同定する方法を提供する。
本発明は、腫瘍細胞が、以前に上皮間葉移行した腫瘍細胞として特徴づけられ、この腫瘍細胞の試料をIGF−1Rキナーゼ阻害剤と接触させることと、この腫瘍細胞の同一試料を試験薬剤の存在下でIGF−1Rキナーゼ阻害剤と接触させることと、IGF−1Rキナーゼ阻害剤が介在する増殖阻害を試験薬剤の存在下及び非存在下で比較することと、試験薬剤がIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞増殖の感受性を高める薬剤であるか否かを判定することと、を含む、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞増殖の感受性を高める薬剤を同定する方法を提供する。この方法に関し、好ましいIGF−1Rキナーゼ阻害剤の例は、薬理学的に許容可能なその塩又は多形体を含む化合物66と類似の特性を有する化合物である。この方法のある実施形態において、腫瘍細胞試料は、腫瘍細胞株、原発腫瘍細胞培養物などのインビトロでの細胞であり得る。代替的実施形態において、腫瘍細胞試料は、マウス異種移植片中の腫瘍細胞などのインビボでの細胞であり得る。後者の実施形態において、腫瘍細胞増殖は、例えば、増殖の分子マーカー又は腫瘍増殖の肉眼的測定、例えば腫瘍寸法又は重量を監視することによって測定することができる。
先述の方法において試験され得る適切な試験薬剤には、コンビナトリアルライブラリ、特定の化学物質、ペプチド及びペプチド模倣物、オリゴヌクレオチド及びディスプレイ(例えばファージディスプレイライブラリ)などの天然物ライブラリ及び抗体産物などが含まれる。試験薬剤は、例えば1回の反応あたり10種類の物質の初期スクリーニングに使用され得、阻害又は活性化を示すこれらのバッチの物質を個々に試験することができる。試験薬剤は、1nMから1000μM、好ましくは1μMから100μM、より好ましくは1μMから10μMの濃度で使用され得る。
先述の方法によって同定されたIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞増殖の感受性を高める薬剤は、(肺癌又は本明細書に記載のその他の癌タイプの何れかを含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する反応性が低いことが予測される癌患者の治療に使用することができ、これは本発明のさらなる実施形態である。従って、本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に関連して本明細書に記載の方法を含む、当技術分野で公知の方法の何れかによって処方及び投与することができるこのような薬剤を含む組成物をさらに提供する。IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞増殖の感受性を高めるこのような薬剤は、例えば、間葉上皮移行(MET)を誘発する薬剤又はIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する低感受性に関与する特定の細胞活性を阻害する薬剤又はIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を高める特定の細胞活性を誘導する薬剤であり得る。適切な薬剤の例には、EMT誘導剤のアンタゴニストが含まれる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量と、さらに1以上のその他の細胞毒性薬、化学療法剤もしくは抗癌剤又はこのような薬剤の効果を高める化合物とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
本発明に関連して、さらなるその他の細胞毒性薬、化学療法剤もしくは抗癌剤又はこのような薬剤の効果を高める化合物には、例えば、シクロホスファミド(CTX;例えば、CYTOXAN(R))、クロラムブシル(CHL;例えば、LEUKERAN(R))、シスプラチン(CisP;例えば、PLATINOL(R))ブスルファン(例えばMYLERAN(R))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化剤又はアルキル化作用を有する薬剤;メトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16;例えば、VEPESID(R))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオcグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えばXELODA(R))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗物質;アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えば、ADRIAMYCIN(R))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンなどの抗生物質;ビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイドなどのアルカロイド;及びパクリタキセル(例えばTAXOL(R))及びパクリタキセル(pactitaxel)誘導体などのその他の抗腫瘍薬、細胞増殖抑制剤、デキサメタゾン(DEX;例えばDECADRON(R))などのグルココルチコイド及びプレドニゾンなどのコルチコステロイド、ヒドロキシ尿素などのヌクレオシド酵素阻害剤、アスパラギナーゼなどのアミノ酸枯渇酵素、ロイコボリン及びその他の葉酸誘導体及び類似の多様な抗腫瘍薬が含まれる。以下の薬剤もさらなる薬剤として使用することができる:アミフォスチン(arnifostine)(例えば、ETHYOL(R))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えばDOXIL(R))、ゲムシタビン(例えばGEMZAR(R))、ダウノルビシンリポ(例えばDAUNOXOME(R))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えばTAXOTERE(R))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT1(イリノテカン)、10−ヒドロキシ7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンβ、インターフェロンα、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシル。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに1以上の抗ホルモン剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。本明細書中で使用される場合、「抗ホルモン剤」という用語は、腫瘍においてホルモン作用を調節又は阻害するように作用する天然又は合成の有機又はペプチド化合物を含む。
抗ホルモン剤には、例えば、ステロイド受容体アンタゴニスト、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、その他のアロマターゼ阻害剤、42−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(例えばFARESTON(R))などの抗エストロゲン;フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;及び医薬的に許容可能な、上記の何れかの塩、酸又は誘導体;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)及び黄体形成ホルモン(LH)及びLHRH(黄体形成(leuteinizing)ホルモン放出ホルモン)などの糖タンパク質ホルモンのアゴニスト及び/又はアンタゴニスト;ZOLADEX(R)(AstraZeneca)として市販されているLHRHアゴニスト酢酸ゴセレリン;LHRHアンタゴニストD−アラニンアミドN−アセチル−3−(2−ナフタレニル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(3−ピリジニル)−D−アラニル−L−セリル−N6−(3−ピリジニルカルボニル)−L−リシル−N6−(3−ピリジニルカルボニル)−D−リシル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リシル−L−プロリン(例えば、ANTIDE(R)、Ares−Serono);LHRHアンタゴニストガニレリクス酢酸塩;ステロイド性抗アンドロゲン酢酸シプロテロン(CPA)及びMEGACE(R)(Bristol−Myers Oncology)として市販されている酢酸メゲストロール;EULEXIN(R)(Schering Corp.)として市販されている非ステロイド性抗アンドロゲンフルタミド(2−メチル−N−[4,20−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルプロパンアミド);非ステロイド性抗アンドロゲンニルタミド、(5,5−ジメチル−3−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル−4’−ニトロフェニル)−4,4−ジメチル−イミダゾリジン−ジオン);及びRAR、RXR、TR、VDRなどに対するアンタゴニストなどのその他の非許容受容体に対するアンタゴニストが含まれる。
化学療法計画における上記細胞毒性薬及び他の抗癌剤の使用は、一般に、癌治療分野において特徴が明らかになっており、本明細書中でのその使用も、耐性及び有効性の監視及び投与経路及び投与量の制御について、ある程度の調節の上、同様に考慮される。例えば、細胞毒性薬の実際の投与量は、組織培養法を使用することによって求められる患者の培養細胞反応に応じて変化し得る。一般に、投与量は、さらなるその他の薬剤の非存在下で使用される量と比較して少ない。
有効な細胞毒性薬の典型的な投与量は、製造者によって推奨される範囲内であり得、インビトロでの反応又は動物モデルにおける反応によって示される場合には、最高で約1桁の濃度又は量を減少させ得る。従って、実際の投与量は、医師の判断、患者の状態及び初代培養悪性細胞もしくは組織培養した組織試料のインビトロでの反応性に基づくか又は適切な動物モデルにおいて観察される反応に基づく治療方法の有効性に依存して決まる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに1以上の血管新生阻害剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者における腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
抗血管新生剤には、例えば、SU−5416及びSU−6668(Sugen Inc.of South San Francisco、Calif.、USA)又は例えば、WO99/24440、WO99/62890、WO95/21613、WO99/61422、WO98/50356、WO99/10349、WO97/32856、WO97/22596、WO98/54093、WO98/02438、WO99/16755及びWO98/02437及び米国特許第5,883,113号、同5,886,020号、同5,792,783号、同5,834,504号及び同6,235,764号に記載のものなどのVEGFR阻害剤;IM862(Cytran Inc.of Kirkland、Wash.、USA)などのVEGF阻害剤;angiozyme、Ribozyme(Boulder、Colo.)及びChiron(Emeryville、Calif.)からの合成リボザイム;及びベバシズマブ(例えばAVASTINTM、Genentech、South San Francisco、CA)、VEGFに対する組み換えヒト化抗体などのVEGFに対する抗体;αvβ3、αvβ5及びαvβ6インテグリン及びそのサブタイプ、例えば、シレンギチド(EMD121974)などのインテグリン受容体アンタゴニスト及びインテグリンアンタゴニスト又は例えば、αvβ3特異的ヒト化抗体(例えば、VITAXIN(R))などの抗インテグリン抗体;IFN−α(米国特許第41530,901号、同4,503,035号及び同5,231,176号)などの因子;アンギオスタチン及びプラスミノゲン断片(例えば、クリングル1−4、クリングル5、クリングル1−3(O’Reilly、M.S.ら(1994)Cell 79:315−328;Caoら(1996)J.Biol.Chem.271:29461−29467;Caoら(1997)J.Biol.Chem.272:22924−22928);エンドスタチン(O’Reilly、M.S.ら(1997)Cell 88:277及びWO97/15666);トロンボスポンジン(TSP−1;Frazier(1991)Curr.Opin.Cell Biol.3:792);血小板因子4(PF4);プラスミノゲン活性化因子/ウロキナーゼ阻害剤;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;ヘパリナーゼ;TNP−4701などのフマギリン類似体;スラミン及びスラミン類似体;血管新生抑制ステロイド;bFGFアンタゴニスト;flk−1及びflt−1アンタゴニスト;MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)阻害剤及びMMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤などの抗血管新生剤が含まれる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、WO96/33172、同96/27583、同98/07697、同98/03516、同98/34918、同98/34915、同98/33768、同98/30566、同90/05719、同99/52910、同99/52889、同99/29667及び同99/07675、欧州特許公開第818,442号、同780,386号、同1,004,578号、同606,046号及び同931,788号;英国特許公開第9912961号及び米国特許第5,863,949号及び同5,861,510号に記載されている。好ましいMMP−2及びMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性を殆ど又は全く持たない阻害剤である。その他のマトリックス−メタロプロテイナーゼ(即ちMMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12及びMMP−13)に対して、MMP−2及び/又はMMP−9を選択的に阻害する阻害剤がより好ましい。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに1以上の腫瘍細胞アポトーシス促進剤又はアポトーシス刺激剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者における腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに1以上のシグナル伝達阻害剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
シグナル伝達阻害剤には、例えば、erb2受容体阻害剤、例えば有機分子など、又はerb2受容体に結合する抗体、例えばトラスツズマブ(例えばHERCEPTIN(R));その他のタンパク質チロシンキナーゼの阻害剤、例えばイマチニブ(imitinib)(例えばGLEEVEC(R));EGFRキナーゼ阻害剤(本明細書下記参照);ras阻害剤;raf阻害剤;MEK阻害剤;mTOR1及びmTOR2キナーゼの両方に結合し、直接阻害するmTOR阻害剤を含む、mTOR阻害剤;二重PI3K/mTORキナーゼ阻害剤であるmTOR阻害剤、例えばFan Q−Wら(2006)Cancer Cell 9:341−349及びKnight、Z.A.ら(2006)Cell 125:733−747に記載のような化合物PI−103など;mTORキナーゼ及び1以上のその他のPIKK(又はPIK関連)キナーゼファミリーメンバーの二重阻害剤であるmTOR阻害剤が含まれる。このようなメンバーには、MEC1、TEL1、RAD3、MEI−41、DNA−PK、ATM、ATR、TRRAP、PI3K及びPI4Kキナーゼ;サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤;PI−3キナーゼ阻害剤;及びPDK−1阻害剤(このような阻害剤のいくつかの例の記述、及び癌治療の臨床試験におけるその使用については、Dancey、J.及びSausville,E.A.(2003)Nature Rev.Drug Discovery 2:92−313を参照)が含まれる。
EGFR阻害剤には、例えば、[6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニルフェニル)アミン(OSI−774、エルロチニブ又はTARCEVATM(エルロチニブHCl)としても知られる;OSI Pharmaceuticals/Genentech/Roche)(米国特許第5,747,498号;WO01/34574及びMoyer,J.D.ら(1997)Cancer Res.57:4838−4848);CI−1033(従来、PD183805として知られる。;Pfizer)(Sherwoodら、1999、Proc.Am.Assoc.Cancer Res.40:723);PD−158780(Pfizer);AG−1478(University of California);CGP−59326(Novartis);PKI−166(Novartis);EKB−569(Wyeth);GW−2016(GW−572016又は二トシル酸ラパチニブとしても知られる;GSK);ゲフィチニブ(ZD1839又はIRESSATMとしても知られる;Astrazeneca)(Woodburnら、1997、Proc.Am.Assoc.Cancer Res.38:633);及び抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤が含まれる。本発明に従い使用することができる特に好ましい低分子量EGFRキナーゼ阻害剤は、[6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリン−4−イル]−(3−エチニルフェニル)アミン(即ちエルロチニブ)、その塩酸塩(即ちエルロチニブHCl、TARCEVATM)又はその他の塩形態(例えばメシル酸エルロチニブ)である。抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤には、その天然リガンドによって、EGFRの活性化を部分的又は完全に阻止することができる何らかの抗EGFR抗体又は抗体断片が含まれる。抗体に基づくEGFRキナーゼ阻害剤の非限定例には、「Modjtahedi、H.ら、1993、Br.J.Cancer 67:247−253;Teramoto、T.ら、1996、Cancer 77:639−645;Goldsteinら、1995、Clin.Cancer Res.1:1311−1318;Huang、S.M.ら,1999、Cancer Res.15:59(8):1935−40;及びYang、X.ら、1999、Cancer Res.59:1236−1243に記載されているものが含まれる。従って、EGFRキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体MabE7.6.3(Yang、X.D.ら(1999)Cancer Res.59:1236−43)又はMabC225(ATCC受託番号HB−8508)又は抗体もしくは結合特異性を有するその抗体断片であり得る。適切なモノクローナル抗体EGFRキナーゼ阻害剤には、以下に限定されないが、IMC−C225(セツキシマブ又はERBITUXTMとしても知られる;Imclone Systems)、ABX−EGF(Abgenix)、EMD72000(Merck KgaA、Darmstadt)、RH3(York Medical Bioscience Inc.)及びMDX−447(Medarex/Merck KgaA)が含まれる。
EGFRキナーゼ阻害剤にはまた、例えばEGFRキナーゼにおいて活性を有する多重キナーゼ阻害剤、即ちEGFRキナーゼ及び1以上のさらなるキナーゼを阻害する阻害剤である。このような化合物の例には、EGFR及びHER2阻害剤CI−1033(従来、PD183805として知られる;Pfizer);EGFR及びHER2阻害剤GW−2016(GW−572016又はトシル酸ラパチニブとしても知られる;GSK);EGFR及びJAK2/3阻害剤AG490(チロホスチン);EGFR及びHER2阻害剤ARRY−334543(Array BioPharma);BIBW−2992、不可逆二重EGFR/HER2キナーゼ阻害剤(Boehringer Ingelheim Corp.);EGFR及びHER2阻害剤EKB−569(Wyeth);VEGF−R2及びEGFR阻害剤ZD6474(ZACTIMATMしても知られる;AstraZeneca Pharmaceuticals)及びEGFR及びHER2阻害剤BMS−599626(Bristol−Myers Squibb)が含まれる。
ErbB2受容体阻害剤には、例えば、GW−282974(Glaxo Wellcome plc)などのErbB2受容体阻害剤、AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc.of Woodlands、Tex.、USA)及び2B−1(Chiron)などのモノクローナル抗体及びWO98/02434、同99/35146、同99/35132、同98/02437、同97/13760及び同95/19970及び米国特許第5,587,458号、同5,877,305号、同6,465,449号及び同6,541,481号に記載のものなどのerbB2阻害剤が含まれる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに抗HER2抗体又は免疫療法的に活性なその断片とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに1以上のさらなる抗増殖剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
さらなる抗増殖剤には、例えば、米国特許第6,080,769号、同6,194,438号、同6,258,824号、同6,586,447号、同6,071,935号、同6,495,564号、同6,150,377号、同6,596,735号及び同6,479,513号及びWO01/40217に開示及び特許請求される化合物を含む、酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤及び受容体チロシンキナーゼPDGFRの阻害剤が含まれる。
本発明に従い使用することができるPDGFRキナーゼ阻害剤の例には、イマチニブ(GLEEVEC(R);Novartis);SU−12248(リンゴ酸スニチニブ、SUTENT(R);Pfizer);ダサチニブ(SPRYCEL(R);BMS、BMS−354825としても知られる。);ソラフェニブ(NEXAVAR(R);Bayer;Bay−43−9006としても知られる。);AG−13736(アキシチニブ;Pfizer);RPR127963(Sanofi−Aventis);CP−868596(Pfizer/OSI Pharmaceuticals);MLN−518(タンズチニブ;Millennium Pharmaceuticals);AMG−706(モテサニブ;Amgen);ARAVA(R)(レフルノミド;Sanofi−Aventis;SU101としても知られる。)及びOSI−930(OSI Pharmaceuticals)が含まれ;本発明に従い使用され得るFGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子量PDGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例には、XL−999(Exehxis);SU6668(Pfizer);CHIR−258/TKI−258(Chiron);RO4383596(Hoffmann−La Roche)及びBIBF−1120(Boehringer Ingelheim)が含まれる。
本発明に従い使用することができるFGFRキナーゼ阻害剤の例には、RO−4396686(Hoffmann−La Roche);CHIR−258(Chiron;TKI−258としても知られる。);PD173074(Pfizer);PD166866(Pfizer);ENK−834及びENK−835(両者ともEnkam Pharmaceuticals A/S);及びSU5402(Pfizer)が含まれる。本発明に従い使用され得るPDGFRキナーゼ阻害剤でもある低分子量FGFRキナーゼ阻害剤のさらなる好ましい例には、XL−999(Exelixis);SU6668(Pfizer);CHIR−258/TKI−258(Chiron);RO4383596(Hoffmann−La Roche)及びBIBF−1120(Boehringer Ingelheim)が含まれる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらにCOXII(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。有用なCOX−II阻害剤の例には、アレコキシブ(例えばCELEBREXTM)、バルデコキシブ及びロフェコキシブが含まれる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量とさらに放射線治療又は放射性医薬品とを同時又は逐次的に患者に投与することを含む、患者における腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
放射線源は、治療する患者の外部又は内部であり得る。放射線源が患者の外部にある場合、治療法は外照射療法(EBRT)として知られている。放射線源が患者の内部にある場合、治療法は近接照射療法(BT)と呼ばれる。本発明に関連する使用のための放射性原子は、以下に限定されないが、ラジウム、セシウム−137、イリジウム−192、アメリシウム−241、金−198、コバルト−57、銅−67、テクネチウム−99、ヨウ素−123、ヨウ素−131及びインジウム−111を含む群から選択され得る。本発明によるIGF−1Rキナーゼ阻害剤が抗体である場合、抗体をこのような放射性同位体で標識することもできる。
放射線療法は、切除不能又は手術不能な腫瘍及び/又は腫瘍転移を制御するための標準的な治療である。放射線療法が化学療法と組み合わせられる場合、結果が向上する。放射線療法は、標的領域に対して与えられる高線量照射によって、腫瘍組織及び正常組織の両方において生殖細胞が死滅するという原理に基づく。照射投与計画は、一般に、放射線吸収線量(Gy)、時間及び分割法の点から定義され、腫瘍専門医によって慎重に定められなければならない。患者が受ける照射量は、様々な検討事項に依存するが、2つの最も重要な検討事項は、体のその他の重要な構造又は器官に対する腫瘍の場所及び腫瘍の拡散度である。放射線療法を受けている患者に対する典型的な治療コースは、1から6週間にわたる治療スケジュールであり、10から80Gyの間の総線量を患者に約1.8から2.0Gyに分割して1日1回、週5日与える。本発明の好ましい実施形態において、ヒト患者の腫瘍を本発明及び放射線の併用治療により治療する場合、相乗作用がある。言い換えると、本発明の組み合わせを含む薬剤による腫瘍増殖阻害は、放射線と併用した場合に、場合によってはさらなる化学療法剤又は抗癌剤と併用した場合に増強される。補助放射線療法のパラメータは、例えば、WO99/60023に含有される。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の治療的有効量を患者に投与することと、さらに抗腫瘍免疫反応を増強し得る1以上の薬剤による同時又は逐次的治療と、を含む、患者において腫瘍又は腫瘍転移を治療するための先述の方法をさらに提供する。
抗腫瘍免疫反応を増強することができる薬剤には、例えば、CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)抗体(例えば、MDX−CTLA4)及びCTLA4を遮断することができるその他の薬剤が含まれる。本発明で使用することができる特異的CTLA4抗体には、米国特許第6,682,736号に記載のものが含まれる。
本発明に関連して、薬剤又は治療法の「有効量」は上記で定義した通りである。薬剤又は治療法の「治療量未満」とは、薬剤又は治療法の有効量未満の量であるが、別の薬剤又は治療法の有効量又は治療量未満と組み合わせた場合に、例えば、得られる有効な効果における相乗作用により、又は副作用が減少することにより、医師が望む結果がもたらされ得る。
本明細書中で使用される場合、「患者」という用語は、好ましくは、あらゆる目的でIGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療を要するヒトを指し、より好ましくは、癌又は前癌状態もしくは病変を治療するためのこのような治療を要するヒトを指す。しかし、「患者」という用語は、非ヒト動物、好ましくはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ及び非ヒト霊長類などの哺乳動物、とりわけ、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による治療を要する哺乳動物も指し得る。
好ましい実施形態において、患者は、癌、前癌状態もしくは病変又はその他の異常細胞増殖形態の治療を要するヒトである。癌は、好ましくは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与によってある程度又は完全に治療可能である何らかの癌である。癌は、例えば、肺癌、非小細胞肺(NSCL)癌、細気管支肺胞細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚黒色腫又は眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌(stomach cancer)、胃癌(gastric cancer)、結腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌又は尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン腫、上衣細胞腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫(上記癌の何れかの難治性のものを含む。)又は上記癌の1以上の組み合わせであり得る。前癌状態又は病変には、例えば、口腔白板症、光線性角化症(日光性角化症)、結腸又は直腸の前癌ポリープ、胃上皮形成異常、腺腫性異形成、遺伝性非ポリポーシス大腸癌症候群(HNPCC)、バレット食道、膀胱異形成及び子宮頸部前癌状態からなる群が含まれる。
本明細書で使用される場合、「難治性」という用語は、治療(例えば、化学療法剤、生物剤及び/又は放射線療法)が無効であることが証明された癌を定義するために使用される。難治性の癌腫瘍は、縮小し得るが、治療が有効であると判定される点までは縮小しない。しかし、典型的には、この腫瘍は、治療前と同じ大きさに留まるか(安定型疾患)又は増大する(進行性疾患)。
本発明の目的に対して、IGF−1Rキナーゼ阻害剤とさらなる抗癌剤(両方の成分を以下では「2種類の活性薬剤」と呼ぶ。)「の同時投与」及び「同時投与する」とは、2種類の活性薬剤の別個又は一緒の何らかの投与を指し、併用療法の利点が得られるように設計された適切な投薬計画の一部として、2種類の活性薬剤が投与される。従って、2種類の活性薬剤は、同じ医薬組成物の一部として、又は個別の医薬組成物として、投与され得る。さらなる薬剤は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与前に、投与と同時に、もしくは投与に続いて投与され得るか又はそれらの何らかの組み合わせにおいて投与され得る。IGF−1Rキナーゼ阻害剤が、例えば標準治療コース中に、患者に繰り返して投与される場合、さらなる薬剤は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤又はそれらの何らかの組み合わせの各投与前に、投与と同時に、もしくは投与に続いて、又はIGF−1Rキナーゼ阻害剤治療に対して異なる間隔で投与され得るか、又はIGF−1Rキナーゼ阻害剤での治療コース前に、治療コース中の任意の時間に、もしくは治療コースに続いて単回投与され得る。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、典型的に、当分野で公知のような、及び例えばWO01/34574で開示されるような、患者が治療されている癌の(効力及び安全性の両方の観点から)最も有効な治療をもたらす投薬計画で患者に投与される。本発明による治療方法を実施する際、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、治療される癌のタイプ、使用されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤のタイプ(例えば、小分子、抗体、RNAi、リボザイム又はアンチセンスコンストラクト)及び、例えば公開された臨床試験の結果に基づくような、処方医師の医学的判断に応じて、経口、局所、静脈内、腹膜内、筋肉内、関節内、皮下、鼻腔内、眼球内、膣、直腸又は皮内経路などの、当技術分野で公知の何らかの有効な方式で投与され得る。
投与されるIGF−1Rキナーゼ阻害剤の量及びIGF−1Rキナーゼ阻害剤投与のタイミングは、治療されている患者のタイプ(人種、性別、年齢、体重など)及び状態、治療されている疾患又は症状の重症度及び投与経路に依存する。例えば、低分子IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、患者に0.001から100mg/kg体重/日もしくは週の範囲の用量で単回もしくは分割投与することができるか又は連続注入することができる(例えば国際公開第01/34574号参照)。特に、化合物66などの化合物又は類似の化合物は、患者に5−200mg/日もしくは100−1600mg/週の範囲の用量で単回もしくは分割投与され得るか又は連続注入され得る。好ましい用量は150mg/日である。抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤又はアンチセンス、RNAi又はリボザイムコンストラクトは、患者に0.1から100mg/kg体重/日又は週の範囲の用量で単回もしくは分割投与され得るか又は連続注入され得る。ある例では、前記範囲の下限未満の投与量レベルが十二分であり得るが、最初に1日を通していくつかの小投与用量に分割すれば、有害な副作用を何ら起こさずにさらに多い用量が使用され得る。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤及びその他のさらなる薬剤は、同じ又は異なる経路によって、別個に又は一緒に、多岐にわたる様々な剤形で、投与され得る。例えば、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、好ましくは、経口又は非経口投与される。IGF−1Rキナーゼ阻害剤が化合物66又は類似のこのような化合物である場合には、経口投与が好ましい。IGF−1Rキナーゼ阻害剤及びその他のさらなる薬剤の両方を単回又は複数回投与することができる。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、医薬的に許容される様々な不活性担体とともに、錠剤、カプセル剤、舐剤、トローチ剤、ハードキャンデー剤、散剤、噴霧剤、クリーム剤、軟膏剤(salve)、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤(ointment)、エリキシル剤、シロップ剤などの形態で投与され得る。このような剤形の投与は、単回又は複数回投与で実施することができる。担体には、固体希釈剤又は充填剤、無菌水性媒体及び様々な無毒有機溶媒などが含まれる。経口医薬組成物は、適切に甘味付け、及び/又は香味付けされ得る。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、噴霧剤、クリーム剤、軟膏剤(salve)、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤(ointment)などの形態で、医薬的に許容可能な不活性担体と組み合わせることができる。このような剤形の投与は、単回又は複数回投与で実施することができる。担体には、固体希釈剤又は充填剤、無菌水性媒体及び様々な無毒有機溶媒などが含まれる。
タンパク質性IGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む全製剤は、阻害剤の変性及び/又は分解及び生物活性喪失を回避するように選択されるべきである。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物を調製する方法は当技術分野で公知であり、例えばWO01/34574に記載されている。本発明の教示を考慮して、IGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む医薬組成物の調製方法は、上記刊行物及びRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.第18版(1990)などのその他の公知参考文献から明らかである。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤の経口投与の場合、活性薬剤の一方又は両方を含有する錠剤は、例えば、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリジンなどの様々な賦形剤の何れか、デンプン(及び好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩などの様々な崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムのような造粒結合剤と、組み合わせられる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの潤滑剤は、錠剤化に非常に有用であることが多い。類似のタイプの固体組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用され得、これに関連して好ましい材料にはまた、ラクトース又は乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含まれる。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤が経口投与に対して望ましい場合、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は様々な甘味剤又は香味料、着色剤又は色素と組み合わせられ得、必要に応じて、乳化剤及び/又は懸濁剤も、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの様々な類似の組み合せなどの希釈剤と一緒に組み合わせられ得る。
活性薬剤の一方又は両方の非経口投与の場合、ゴマもしくはピーナツ油又は水性プロピレングリコールの何れか中の溶液ならびに活性薬剤又は対応するその水溶性塩を含む滅菌水溶液が使用され得る。このような滅菌水溶液は、好ましくは適切に緩衝され、また、好ましくは例えば十分な食塩水又はグルコースによって等張にされる。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内注射用に特に適切である。油状溶液は、関節内、筋肉内及び皮下注射用に適切である。これらの全溶液の無菌条件下での調製は、当業者にとって周知の標準製薬技術によって容易に実施され得る。タンパク質性IGF−1Rキナーゼ阻害剤の投与に選択される何らかの非経口製剤は、阻害剤の変性及び生物活性の喪失を回避するように選択されるべきである。
さらに、標準製薬実務に従って、例えば、クリーム剤、ローション剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤(ointment)、軟膏剤(salve)などにより、活性薬剤の一方又は両方を局所投与することができる。例えば、約0.1%(w/v)から約5%(w/v)の濃度のIGF−1Rキナーゼ阻害剤を含む局所製剤を調製することができる。
獣医学用の場合、活性薬剤は、上記剤形の何れかを用いて、及び上記経路の何れかによって、別個に又は一緒に動物に投与され得る。好ましい実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、カプセル剤、ボーラス、錠剤、水薬(liquid drench)の形態で、注射によって又は移植片として投与される。別の方法として、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は動物飼料と一緒に投与され得、このために、濃厚飼料添加剤又は混合飼料を正常な動物飼料用に調製することができる。このような製剤は、標準獣医実務に従って従来の様式で調製される。
本明細書で使用される場合、「IGF−1Rキナーゼ阻害剤」という用語は、当技術分野で現在公知であるか又は将来同定される、何らかのIGF−1Rキナーゼ阻害剤を指し、患者に投与されると、下流の生物学的効果の何れか(投与されない場合、その天然リガンドがIGF−1Rと結合することによって生じる。)を含め、患者におけるIGF−1受容体の活性化に関連する生物活性を結果として阻害する、何らかの化学物質を含む。このようなIGF−1Rキナーゼ阻害剤には、IGF−1Rの活性化を遮断し得るか又は患者における癌治療に関連するIGF−1R活性化の下流の生物学的効果の何れかを遮断し得る、何らかの薬剤が含まれる。このような阻害剤は、受容体の細胞内ドメインに直接結合し、そのキナーゼ活性を阻害することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、IGF−1受容体のリガンド結合部位又はその一部を占め、それによってその天然リガンドが受容体に接近できないようにし、その正常な生物活性を阻止又は抑制することによって作用し得る。あるいは、このような阻害剤は、IGF−1Rポリペプチドの2量体化もしくはIGF−1Rポリペプチドとその他のタンパク質の相互作用を調節することによって作用し得るか又はIGF−1Rのユビキチン化及びエンドサイトーシス分解を増強し得る。IGF−1Rキナーゼ阻害は、IGF−1Rを活性化するために利用可能なIGF−1の量を低下させることによって、例えばIGF−1のその受容体への結合に拮抗することによって、IGF−1のレベルを低下させることによって、又はIGF結合タンパク質などのIGF−1R以外のタンパク質(例えばIGFBP3)とのIGF−1の会合を促進することによって、作用し得る。IGF−1Rキナーゼ阻害剤には、以下に限定されないが、低分子量阻害剤、抗体又は抗体断片、アンチセンスコンストラクト、低分子干渉RNA(即ちdsRNAによるRNA干渉;RNAi)及びリボザイムが含まれる。好ましい実施形態において、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、ヒトIGF−1Rに特異的に結合する、低分子量有機分子又は抗体である。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤には、例えば、イミダゾピラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、キナゾリンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピリド−ピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピリミド−ピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピロロ−ピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、ピラゾロ−ピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、フェニルアミノ−ピリミジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、オキシインドールIGF−1Rキナーゼ阻害剤、インドロカルバゾールIGF−1Rキナーゼ阻害剤、フタラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、イソフラボンIGF−1Rキナーゼ阻害剤、キナロン(quinalone)IGF−1Rキナーゼ阻害剤及びチロホスチンIGF−1Rキナーゼ阻害剤及びこのようなIGF−1Rキナーゼ阻害剤の医薬的に許容可能な全ての塩及び溶媒和物が含まれる。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤のさらなる例には、イミダゾピラジンIGF−1Rキナーゼ阻害剤を記載するWO05/037836、IGF−1R関連疾患を治療するためのピリミジンを記載するWO03/018021及び同03/018022、シクロリグナン及びIGF−1R阻害剤としてのシクロリグナンを記載するWO02/102804及びWO02/102805、IGF−1Rチロシンキナーゼの阻害に対して反応する疾患の治療のためのピロロピリミジンを記載するWO02/092599、チロシンキナーゼ阻害剤としてピロロピリミジンを記載するWO01/72751及びキナーゼのピロロトリアジン阻害剤を記載するWO00/71129;及びピロロ[2,3−d]ピリミジン及びチロシンキナーゼ阻害剤としてのそれらの使用を記載するWO97/28161、インビトロ及びインビボでIGF−1R阻害活性を有するチロホスチンを記載するParrizasら(Endocrinology、138:1427−1433(1997))、IGF−1R阻害剤としてのヘテロアリール−アリール尿素を記載するWO00/35455、IGF−1Rの調節物質としてのピリミジン誘導体を記載するWO03/048133、キナーゼタンパク質に対する阻害的効果を有する化学的化合物を記載する、WO03/024967、WO03/035614、WO03/035615、WO03/035616及びWO03/035619、過剰増殖症状を治療するための方法及び組成物を記載するWO03/068265、タンパク質キナーゼ阻害剤としてのピロロピリミジンを記載するWO00/17203、セフェム化合物、その産生及び抗微生物組成物を記載する日本国特許JP07/133280、プテリジン研究及び4位が置換されていないプテリジンを記載する、Albert、A.ら、Journal of the Chemical Society、11:1540−1547(1970)及び3,4−ジヒドロプテリジンを介して、ピラジンからプテリジン(4位が置換されていない)の合成を記載するAlbert、A.ら、Chem.Biol.Pteridines Proc.Int.Symp.、4th,4:1−5(1969)中のものが含まれる。
本発明において有用なさらなるIGF−1Rキナーゼ阻害剤には、US公開特許出願2006/0235031又はWO2005/097800 A1に記載のような式(I)により表される化合物が含まれる。OSI−906は、式(I)に従うIGF−1Rキナーゼ阻害剤に相当し、具体的な式cis−3−[8−アミノ−1(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−α]ピラジン−3−イル]−1−メチル−シクロブタノール)及び次のような構造を有する。
本発明に従い使用され得るIGF−1Rキナーゼ阻害剤のさらなる具体例には、h7C10(Centre de Recherche Pierre Fabre)、IGF−1アンタゴニスト;EM−164(ImmunoGen Inc.)、IGF−1R調節物質;CP−751871(Pfizer Inc.)、IGF−1アンタゴニスト;ランレオチド(Ipsen)、IGF−1アンタゴニスト;IGF−1Rオリゴヌクレオチド(Lynx Therapeutics Inc.);IGF−1オリゴヌクレオチド(National Cancer Institute);Novartisによって開発中のIGF−1Rタンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、NVP−AEW541、Garcia−Echeverria、C.ら(2004)Cancer Cell 5:231−239;又はNVP−ADW742、Mitsiades、C.S.ら(2004)Cancer Cell 5:221−230);IGF−1Rタンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤(Ontogen Corp);OSI−906(OSI Pharmaceuticals);AG−1024(Camirand、A.ら(2005)Breast Cancer Research 7:R570−R579(DOI10.1186/bcr1028);Camirand、A.及びPollak,M.(2004)Brit.J.Cancer 90:1825−1829;Pfizer Inc.)、IGF−1アンタゴニスト;チロホスチンAG−538及びI−OMe−AG538;BMS−536924、IGF−1Rの低分子量阻害剤;PNU−145156E(Pharmacia & Upjohn SpA)、IGF−1アンタゴニスト;BMS536924、二重IGF−1R及びIRキナーゼ阻害剤(Bristol−Myers Squibb);AEW541(Novartis);GSK621659A(Glaxo Smith−Kline);INSM−18(Insmed);及びXL−228(Exelixis)が含まれる。
抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤には、その天然リガンドによるIGF−1R活性化を部分的又は完全に阻止し得る何らかの抗IGF−1R抗体又は抗体断片が含まれる。抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤にはまた、IGF−1R活性化を部分的又は完全に阻止し得る何らかの抗−IGF−1抗体又は抗体断片も含まれる。抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤の非限定例には、Larsson、O.ら(2005)Brit.J.Cancer 92:2097−2101及びIbrahim、Y.H.及びYee、D.(2005)Clin.Cancer Res.11:944−950に記載のもの又はImclone(例えばA12)又はSchering−Plough Research Institute(例えば19D12;又はUS公開特許出願2005/0136063A1及びUS2004/0018191 A1に記載のようなもの)により開発されているものが含まれる。IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、モノクローナル抗体又はその結合特異性を有する抗体もしくは抗体断片であり得る。
さらなる抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、公知の方法に従い、例えば、とりわけ、ブタ、ウシ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ及びマウスから選択される宿主動物に対して適切な抗原又はエピトープを投与することによって、生成され得る。抗体産生を促進するために、当技術分野で公知の様々なアジュバントを使用することができる。
本発明の実施に有用である抗体はポリクローナルであり得るが、モノクローナル抗体が好ましい。IGF−1Rに対するモノクローナル抗体は、培養中の連続細胞株によって抗体分子の産生をもたらす何らかの技術を用いて、調製され、単離され得る。産生及び単離のための技術には、以下に限定されないが、Kohler及びMilsteinによって最初に記載されたハイブリドーマ技術(Nature、1975、256:495−497);ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunology Today 4:72;Coteら、1983、Proc.Nati.Acad.Sci.USA 80:2026−2030)及びEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、Inc.、pp.77−96)が含まれる。
あるいは、抗IGF−1R1本鎖抗体を生産させるために、1本鎖抗体の産生について記載された技術(例えば米国特許第4,946,778号参照)を改変することができる。本発明の実施に有用である、抗体に基づくIGF−1Rキナーゼ阻害剤にはまた、以下に限定されないが、完全抗体分子のペプシン消化によって生成され得るF(ab’)2断片及びF(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFab断片を含む、抗IGF−1R抗体断片も含まれる。あるいは、IGF−1Rに対して所望の特異性を有する断片を迅速に特定するために、Fab及び/又はscFv発現ライブラリを構築することができる(例えば、Huseら、1989、Science 246:1275−1281参照)。
モノクローナル抗体及び抗体断片の作製及び単離のための技術は当技術分野で周知であり、Harlow及びLane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory及びJ.W.Goding、1986、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、Academic Press、Londonに記載されている。ヒト化抗IGF−1R抗体及び抗体断片もまた、Vaughn、T.J.ら、1998、Nature Biotech.16:535−539及びそこで引用されている参考文献に記載の技術などの公知技術に従い調製することができ、このような抗体又はその断片も本発明の実施に有用である。
あるいは、本発明での使用のためのIGF−1Rキナーゼ阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンストラクトに基づき得る。アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞中で、IGF−1R mRNAに結合し、タンパク質翻訳を阻止するか又はmRNA分解を増加させ、IGF−1Rキナーゼタンパク質のレベルを低下させ、従って活性を低下させることによって、IGF−1R mRNAの翻訳を直接阻止するように作用する。例えば、少なくとも約15塩基であり、IGF−1RをコードするmRNA転写配列特有の領域に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば従来のリン酸ジエステル技術によって合成することができ、例えば静脈内注射又は注入によって投与することができる。配列が既知である遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためのアンチセンス技術を使用するための方法は当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,566,135号、同6,566,131号、同6,365,354号、同6,410,323号、同6,107,091号、同6,046,321号及び同5,981,732号参照)。
低分子干渉RNA(siRNA)も、本発明での使用のためのIGF−1Rキナーゼ阻害剤として機能し得る。IGF−1Rの発現が特異的に阻害されるように、腫瘍、対象又は細胞を低分子二本鎖RNA(dsRNA)又は低分子二本鎖RNAを産生させるベクターもしくはコンストラクトと接触させることによってIGF−1R遺伝子発現を低下させることができる(即ちRNA干渉又はRNAi)。適切なdsRNA又はdsRNAをコードするベクターを選択するための方法は、配列が既知である遺伝子に対して当技術分野で周知である(例えば、Tuschi、T.ら(1999)Genes Dev.13(24):3191−3197;Elbashir、S.M.ら(2001)Nature 411:494−498;Hannon、G.J.(2002)Nature 418:244−251;McManus、M.T.及びSharp、P.A.(2002)Nature Reviews Genetics 3:737−747;Bremmelkamp、T.R.ら(2002)Science 296:550−553;米国特許第6,573,099号及び同6,506,559号及び国際公開第01/36646号、同99/32619号及び同01/68836号参照)。
リボザイムも、本発明での使用のためのIGF−1Rキナーゼ阻害剤として機能し得る。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素RNA分子である。リボザイムの作用機序は、リボザイム分子と相補的標的RNAとの配列特異的ハイブリッド形成と、それに続くヌクレオチド鎖切断を含む。IGF−1R mRNA配列のヌクレオチド鎖切断を特異的かつ効率的に触媒する、改変ヘアピン又はハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、それによって本発明の範囲内で有用である。何らかの潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、最初、リボザイム切断部位について標的分子を詳しく調べることによって同定され、典型的には以下の配列、GUA、GUU及びGUCを含む。同定されたら、オリゴヌクレオチド配列を不適当なものにし得る二次構造などの予測される構造上の特徴について、切断部位を含有する標的遺伝子領域に対応する約15から20リボヌクレオチドの短いRNA配列を評価することができる。候補標的の適切性は、例えばリボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成に対する接近可能性を試験することによって評価することもできる。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムの両者とも、公知の方法によって調製され得る。その方法には、例えば固相ホスホルアミダイト(phosphoramadite)化学合成などによる化学合成技術が含まれる。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のインビトロ又はインビボでの転写によって作製することができる。このようなDNA配列は、T7又はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多岐にわたるベクター中に組み込まれ得る。本発明のオリゴヌクレオチドに、細胞内の安定性を高め、半減期を延長する手段として、様々な修飾を導入することができる。考えられる修飾には、以下に限定されないが、分子の5’及び/又は3’末端へのリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの隣接配列の付加又は、オリゴヌクレオチド骨格内のホスホジエステラーゼ結合ではなく、ホスホロチオアート又は2’−O−メチル結合の使用が含まれる。
本発明は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤が使用されることを特徴とし、治療方法の代替的実施形態において何らかのさらなる薬剤、阻害剤又は条件が特定される場合に、医薬品を製造するための方法に対して対応する代替的実施形態にそれらも含まれるように、本明細書中に記載の「治療方法」の何れか、癌の治療における使用のための、及び治療法について記載される、同じ適応で及び同一条件又は様相下での使用のための、対応する「医薬品を製造するための方法」をさらに提供する。「医薬品を製造するための方法」という用語は、本明細書中で特定されるような適用での使用のための、特に、一般に腫瘍、腫瘍転移又は癌での使用のための、医薬品の製造に関する。この用語は、特定化される適応におけるいわゆる「スイスタイプ」のクレイム様式に関する。
本発明の治療方法に関連して、IGF−1Rキナーゼ阻害剤は、医薬的に許容可能な担体と、(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物の無毒の治療的有効量と、からなる組成物として使用される。
「医薬的に許容可能な塩」という用語は、医薬的に許容可能な無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、無機塩基及び有機塩基を含む医薬的に許容可能な無毒の塩基から都合良く調製され得る。このような無機塩基由来の塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(銅(II)及び銅(I))、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(マンガン(III)及びマンガン(II))、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。医薬的に許容可能な無毒の有機塩基由来の塩には、第一級、第二級及び第三級アミンならびに環状アミン及び天然及び合成置換アミンなどの置換アミンの塩が含まれる。塩が形成され得るその他の医薬的に許容可能な無毒の有機塩基には、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンレジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどのイオン交換レジンが含まれる。
本発明で使用される化合物が塩基である場合、その対応する塩は、無機酸及び有機酸を含む、医薬的に許容可能な無毒の酸から都合良く調製され得る。このような酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物を活性成分として含む、本発明で使用される医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体を含み得、その他の治療成分又はアジュバントを場合によっては含み得る。その他の治療薬には、上記のような細胞毒性薬、化学療法剤もしくは抗癌剤又はこのような薬剤の効果を促進する薬剤が含まれ得る。本組成物は、経口、直腸、局所及び(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)非経口投与に適切な組成物を含むが、何らかの所定の症例において最も適切な経路は、特定の宿主及び活性成分が投与される状態の性質及び重症度に依存する。医薬組成物は、好都合には単位剤形で与えられ得、医薬の技術分野で周知の方法の何れかによって調製され得る。
実際には、本発明の(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物は、均質混合物中の活性成分として従来の医薬配合技術に従い医薬担体と混合され得る。担体は、投与、例えば、経口又は(静脈内を含む)非経口投与に望ましい製剤の形態に依存して多岐にわたる形態をとり得る。従って、本発明の医薬組成物は、活性成分の所定量を各々が含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤などの経口投与に適切な個別単位として提供され得る。さらに、本組成物は、散剤、顆粒剤、溶液、水系懸濁剤、非水系液剤、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤として提供され得る。上記一般的剤形に加えて、(医薬的に許容可能なその各成分の塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物は、制御放出手段及び/又は送達装置によっても投与され得る。組み合わせ組成物は、調剤方法の何れかによって調製され得る。一般に、このような方法は、1以上の必要な成分を構成する担体と活性成分を会合させる段階を含む。一般に、本組成物は、活性成分を液体担体又は微粉固体担体又はその両方と均一に十分混合することによって調製される。次いで、生成物を所望の形に都合良く成形することができる。
本発明で使用される(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物はまた、1以上のその他の治療有効化合物と組み合わせた医薬組成物に含められ得る。その他の治療有効化合物には、上記のような細胞毒性薬、化学療法剤もしくは抗癌剤又はこのような薬剤の効果を促進する薬剤が含まれ得る。
従って、本発明のある実施形態において、医薬組成物は、抗癌剤と組み合わせたIGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物を含み得、この抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、ポドフィロトキシン、抗生物質、ニトロソ尿素、ホルモン療法、キナーゼ阻害剤、腫瘍細胞アポトーシスの活性化剤及び血管新生阻害剤からなる群から選択される薬剤である。
使用される医薬担体は、例えば、固体、液体又は気体であり得る。固体担体の例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナツ油、オリーブ油及び水である。気体担体の例には二酸化炭素及び窒素が含まれる。
経口剤形用組成物を調製する際、何らかの好都合な医薬媒体が使用され得る。例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び溶液などの経口液体製剤を形成するために、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などが使用され得、一方で、散剤、カプセル剤及び錠剤などの経口固体製剤を形成するために、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体が使用され得る。錠剤及びカプセル剤は、投与が容易なので好ましい経口投与単位であり、それによって固体医薬担体が使用される。場合によって、錠剤は、標準の水系又は非水系技術によって被覆され得る。
本発明に対して使用される組成物を含有する錠剤は、場合によっては1以上の副成分又はアジュバントと一緒に、圧縮又は成形によって調製され得る。圧縮錠剤は、場合によっては結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合される散剤又は顆粒剤などの自由流動形態の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性希釈液で湿らせた散剤化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造され得る。各錠剤は好ましくは活性成分約0.05mgから約5gを含有し、各カシェ剤又はカプセル剤は好ましくは活性成分約0.05mgから約5gを含有する。
例えば、ヒトへの経口投与が意図される製剤は、全組成物の約5から約95パーセントで変動し得る担体材料の適切で好都合な量と配合される活性薬剤の約0.5mgから約5gを含有し得る。単位剤形は、一般に活性成分約1mgから約2g、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
非経口投与に適切な本発明で使用される医薬組成物は、活性化合物の水溶液又は水中懸濁液として調製され得る。例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な界面活性剤が含まれ得る。分散剤は、グリセロール、液状ポリエチレングリコール中で、オイル中のそれらの混合物中で調製することもできる。さらに、微生物の有害な増殖を防止するために防腐剤が含まれ得る。
注射用に適切である本発明で使用される医薬組成物には、滅菌水溶液又は分散液が含まれる。さらに、本組成物は、このような滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌散剤の形態であり得る。全ての場合において、最終注射用剤形は無菌でなければならず、注入が容易になるよう効率的に流動性でなければならない。本医薬組成物は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、従って、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用を防止しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、植物油及びこれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。
本発明の医薬組成物は、例えば、エアロゾル、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、散布剤などの局所用に適切な形態であり得る。さらに、本組成物は、経皮装置での使用に適切な形態であり得る。これらの製剤は、(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物を利用して、従来の加工方法を介して調製され得る。例として、クリーム剤又は軟膏剤は、親水性材料及び水を本化合物の約5重量%から約10重量%と一緒に混合し、所望の稠度を有するクリーム剤又は軟膏剤を製造することによって調製される。
本発明のための医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適切な形態であり得る。混合物は単位用量坐剤を形成することが好ましい。適切な担体には、ココアバター及び当技術分野で一般に使用されるその他の材料が含まれる。坐剤は、本組成物を軟化又は溶融担体とまず混合し、続いて型の中で冷却及び成形することによって都合良く形成され得る。
上記担体成分に加えて、上記医薬製剤は、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、(抗酸化剤を含む)防腐剤などの1以上のさらなる担体成分を適宜含み得る。さらに、製剤を対象受容者の血液と等張にするためにその他のアジュバントが含まれ得る。(医薬的に許容可能なその塩を含む)IGF−1Rキナーゼ阻害剤化合物を含有する組成物は、散剤又は濃縮液体の形態でも調製され得る。
本発明を実施するために使用される化合物の投与量レベルは、およそ、本明細書に記載の通りであるか又はこれらの化合物について当技術分野に記載の通りである。しかし、何れかの特定の患者に対する具体的用量レベルは、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排出速度、薬物組み合わせ及び治療を受ける特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存することを理解されたい。
例えば、本発明に関連する技術領域で入手できる優れた手引書及び教科書の多くに記載の(例えば、Using Antibodies、A Laboratory Manual、Harlow、E.及びLane、D.編、1999、Cold Spring Harbor Laboratory Press(例えばISBN0−87969−544−7);Roe B.A.ら、1996、DNA Isolation and Sequencing(Essential Techniques Series)、John Wiley & Sons.(例えばISBN0−471−97324−0);Methods in Enzymology:「Chimeric Genes and Proteins」、2000、J.Abelson、M.Simon、S.Emr、J.Thorner編、Academic Press;Molecular Cloning:a Laboratory Manual、2001、第3版、by Joseph Sambrook及びPeter MacCallum(以前のManiatis Cloning manual)(例えばISBN0−87969−577−3);Current Protocols in Molecular Biology、Fred M.Ausubelら編、John Wiley & Sons(例えばISBN0−471−50338−X);Current Protocols in Protein Science、John E.Coligan編、John Wiley & Sons(例えばISBN0−471−11184−8)及びMethods in Enzymology:Guide to protein Purification、1990、Vol.182、Deutscher、M.P.編、Acedemic Press、Inc.(例えばISBN0−12−213585−7))又は分子生物学における実験法を記載した多数の大学及び商用のウェブサイトに記載のように、当技術分野で公知の多数の代替実験法で、本発明の実施において本明細書中に具体的に記載されている実験法を置き換えてもよい。
本発明は、以下の実験の詳細によってより良好に理解される。しかし、当業者にとって当然のことながら、考察する特定の方法及び結果は、以下の特許請求の範囲に詳述されている本発明を単に例示するためのものにすぎず、これらの方法及び結果に限定されるものではない。
実験の詳細
導入
IGF−1受容体機能の阻害剤は臨床上有用であり、治療の利点を得る可能性が最も高い患者集団を表す重要なIGF−1受容体シグナル伝達経路の定義は、重要な検討領域となった。腫瘍細胞が、細胞外マトリックス又は細胞−細胞接触なしで増殖及び生存シグナルを維持する能力は、細胞移動及び転移に関して重要であるだけでなく、細胞外マトリックスが再構築され、細胞接触阻害が減弱している創傷様腫瘍環境中で細胞増殖及び生存を維持することにおいても重要である。ここで、発明者らは、IGF−1受容体阻害に対するNSCLC細胞及びその他の腫瘍細胞の感受性が、E−カドヘリン上皮細胞表現型によって付与されることを示す。逆に、IGF−1受容体阻害に対する不感受性には、ビメンチン及び/又はフィブロネクチンの発現に伴う上皮−間葉移行(EMT)が介在した。pERK、HER3及びpHERもまた、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞感受性を予測し得るバイオマーカーであることも示される。
材料及び方法
細胞培養及び細胞抽出物の調製
IGF−1Rを有するNSCLC株、H292、H358、H322、H441、A549、Calu6、H460、H1703及びSW1573を適切なATCC推奨添加培地中で培養した。プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含有する界面活性剤溶解((50mM Tris−HCl、pH8、150mM NaCl、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸Na、0.1%SDS)によって細胞抽出物を調製した。可溶性タンパク質濃度をmicro−BSAアッセイ(Pierce、Rockford IL)によって測定した。
10%FCSを含有するATCCにより指示されるとおりの培地中で、細胞株HCT−116、HT−29、GEO、Colo205、SW480、SW620、BxPC3、HPAC、CFPAC−1、MiaPaca−2、Pane1、A1165、MDA−MB−231、MDA−MB−435、DU4475及びMDA−MB−468を通常どおり培養した。GEO腫瘍細胞(Roswell Park Cancer Institute(RPCI)より入手)及びA1165(FCRF(NCI−Frederick Cancer Research Facility)より入手)を除き、全ての腫瘍細胞をATCCから得た。
細胞分画の調製
ProteoExtract(R)試薬(EMD Biosciences、San Diego、CA;#444810)を用いて膜及び細胞質分画を調製した。その後、トリクロロ酢酸/デオキシコール酸共沈殿(膜又は細胞質試料に2%デオキシコール酸を添加し、氷上で30分間温置し、その後、100%TCAを1:1(体積/体積)の比で試料に添加した。)を用いて、タンパク質を沈殿させた。試料をボルテックス撹拌し、一晩温置し(10℃)、15,000xgで10分間(4℃)遠心し、沈殿物を5mL冷アセトンで洗浄し、ボルテックス撹拌し、2回再沈殿させて風乾させた。沈殿試料を8M尿素中で再懸濁し、5mMトリブチルホスフィン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO;#T7567;RTで1時間)で還元し、ヨードアセトアミド(RTで1.5時間、15mM)でアルキル化し、1M尿素で希釈し、20μgトリプシン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO;#T6567;37℃、18時間)でのタンパク質分解に供した。トリフルオロ酢酸(TFA)でペプチドを酸性化し、C18Sep−Pak Plusカートリッジ(Waters Corporation、Milford、MA;#WAT020515)を用いて脱塩した。ビシンコニン酸(MicroBCA;Pierce、Rockford、IL)を用いてタンパク質濃度を測定し;し、各細胞株試料に対してiTRAQ標識のために物質200μgを使用した。
細胞表面タンパク質をビオチンに架橋し、膜脂質を可溶化し、ストレプトアビジン固相レジン上の架橋タンパク質を回収することによって細胞表面捕捉を行った。ビオチンリンカー内のチオール結合の還元によって捕捉タンパク質を固体支持体から遊離させた。試料を8M尿素になるように調整し、5mMトリブチルホスフィン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO;#T7567;RTで1時間)で還元し、ヨードアセトアミド(RTで1.5時間、15mM)でアルキル化し、1M尿素になるように希釈し、20μgトリプシン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO;#T6567;37℃、18時間)によるタンパク質分解に供した。トリフルオロ酢酸(TFA)でペプチドを酸性化し、C18Sep−Pak Plusカートリッジ(Waters Corporation、Milford、MA;#WAT020515)を用いて脱塩した。ビシンコニン酸(MicroBCA;Pierce、Rockford、IL;)を用いてタンパク質濃度を測定し、行い、各細胞株試料に対してiTRAQ標識のために物質200μgを使用した。
LC−MS/MS ペプチド配列決定によるタンパク質同定及び定量
標準的方法による固体支持体への共有カップリングにより、抗ホスホチロシン免疫アフィニティーレジンを調製した。結合を最大化し、持ち越しを減少させるために、各生物学的実験に対して新たに調製した免疫アフィニティーレジンを使用した。簡潔に述べると、抗ホスホチロシン抗体を固体支持体に架橋し、非共有結合IgGを低pH溶出により除去した。交差汚染を回避するために、各生物学的実験に対して新たにアフィニティーレジンを調製した。既に記載のように、トリプシンペプチドのiTRAQ標識によって、抗ホスホチロシンアフィニティー選択により単離されるタンパク質を測定した(Rossら(2004)Mol Cell Proteomics 3(12)1154−1169;Haleyら、2004)。電子スプレーLC−MS/MS及び及びデータベース検索によりペプチドの質量及び配列情報を調べた。>=20のスコアを有する>=90%の信頼水準のペプチドを考慮し、その後、手動でスペクトルを調べた。ペプチド発現比をlog2値に変換し、平均を算出し、エルロチニブ曝露(1μM)後の各時間点(1、4及び24時間)に対する単一タンパク質発現値を得た。ユークリッド階層法及び自己組織化マップを用いて、時間log2タンパク質発現比により、タンパク質を分類した。
IGF−1R阻害剤化合物保存溶液
IGF−1R阻害剤である化合物66(即ち3−(3−アゼチジン−1−イルメチル−シクロブチル)−1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−イルアミン;下記構造参照)の保存溶液濃度は、100%DMSO(ジメチルスルホキシド)中で10mMであった。IGF−1R阻害剤の50%阻害用量を確定めるために、連続希釈(1:3又は1:4)を使用した。投薬の前に、阻害剤を100%DMSO中で希釈し、次いで、二重に(デュプリケート)、所望の最終濃度になるように細胞に添加した。最終DMSO濃度は、0.3から0.5%の間であった。化合物66は、WO2005/097800 A1に記載の方法により合成した。
IGF−1R阻害剤化合物PQIP:PQIPの合成:cis−3−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−シクロブチル]1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−イルアミン(PQIP;下記構造参照)は、特許出願WO2005/097800 A1に記載の方法により合成される1,3−2置換−8−アミノ−イミダゾピラジン誘導体である。Bruker Advance 400、WatersMicromass ZQ及びWaters LC Module I Plus装置をそれぞれ用いた1H及び13C核磁気共鳴、質量分析(MS)及び高速液体クロマトグラフィーにより、ならびに元素分析により、化合物同一性及び純度(>99%)を確認した。インビトロで行われる生化学的又は細胞アッセイでの使用のために、10mmol/Lで、DMSO中でPQIPを溶解させた。インビボ実験に対しては、経口により20mL/kgで所望の用量を送達させるために、適切な濃度で25mmol/L酒石酸中でPQIPを溶解させた。
細胞抽出物の免疫ブロット及びRNA分析
SDS−PAGEによって分離されたタンパク質のニトロセルロースへの電気泳動的転写、抗体との温置及び化学発光第2段階検出(Pico West;Pierce、Rockford、IL)によってタンパク質免疫検出を行った。抗体には、E−カドヘリン(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA;sc21791)、α−カテニン(sc9988)、β−カテニン(sc7963)、γ−カテニン(sc8415)及びBrk(sc1188);ビメンチン(BD Biosciences、San Jose、CA;BD550513)及びフィブロネクチン(BD610077);GAPDH(AbCam、Cambridge、UK);ホスホ−Akt(Cell Signaling(CS)、Beverly、MA#9271)、Akt(CS、#9272)、ホスホ−p44/42MapキナーゼT202/Y204(Erk1/2;CS#9101)、ホスホ−SrcファミリーY416(CS#2101)、ホスホ−STAT3Y705(CS、#9131)及びホスホ−S6S235/236(CS、#2211);β−アクチン(Sigma、Saint Louis、MO#A5441)が含まれた。抗体には、さらに、ホスホ−Shc(Cell Signaling、#2434、Beverly、MA)、ホスホ−パキシリン(Cell Signaling、#2541)、ホスホ−Akt(Ser473及びThr308)(Cell Signaling、#9271及び9275)、ホスホ−HER2/ErbB2(Cell Signaling、#2245)、ホスホ−Her3(Tyr1289)(Cell Signaling#4791)、ホスホ−p44/42Mapキナーゼ(Cell Signaling、#9101)、ホスホ−EGFR(Tyr845)(Cell Signaling、#2231)、ホスホ−EGFR(Tyr992)(Cell Signaling、#2235)、ホスホ−EGFR(Tyr1045)(Cell Signaling、#2237)、EGFR(Cell Signaling、#2232)、ホスホ−p70 S6キナーゼ(Cell Signaling、#9205)、ホスホ−GSK−3α/β(Cell Signaling、#9331)、ホスホ−EGFR(Tyr1068)(Cell Signaling、#2236)、ホスホ−Srcファミリー(Tyr416)(Cell Signaling#2101)、ホスホ−SAPK/JNK(Thr183/Tyr185)(Cell Signaling#9251)、ホスホ−STAT3(Tyr705)(Cell Signaling#9131)、ErbB2(Cell Signaling#2242);ErbB4(Cell Signaling 4795)、PY20(Exalpha Biologicals Inc.)、Brk(Santa Cruz Biochemicals)が含まれた。
プロテアーゼ(P8340、Sigma、St.Louis、MO)及びホスファターゼ(P5726、Sigma、St.Louis、MO)阻害剤カクテルを含有する界面活性剤溶解(50mM Tris−HCl、pH8.0、150mM NaCl、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸Na、0.1%SDSにより、細胞抽出物を調製した。マイクロBSAアッセイ(Pierce、Rockford IL)により可溶性タンパク質濃度を測定した。
下流シグナル伝達タンパク質のリン酸化におけるIGF−1R阻害剤(例えばPQIP)効果の分析のために、およそ70%のコンフルエンシーまで細胞株を増殖させ、その時点で化合物を指示濃度で添加し、指示通り、2時間又は24時間の何れかにわたり細胞を37℃で温置した。指示される場合、40ng/mL IGFリガンドを5分間添加した。培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄し、既に記載のように細胞を溶解させた。
次のようにRT−PCRによりSnail、Sip1及びZeb1 RNA転写レベルを調べた:Applied Biosystems(Foster City、CA)から、Taqmanプローブ及びzeb1、Snail及びSip1に対するプライマーセットを得た。鋳型30ngを用いて、製造者により記載のように、相対遺伝子発現の定量を行った。細胞株にわたり相対発現を調べるために、GAPDHに対する遺伝子の増幅に対して特異的遺伝子の増幅を正規化した。RT−PCRによりSlug及びTwist RNA転写レベルを同様に調べる。
インビトロ薬理学
細胞の生存能を測定するために、Promegaからキットとして購入可能なCell−Titer Gloアッセイを使用した。アッセイの基礎は、細胞培養プレートウェル中に存在するATPの発光の定量である。要約すれば、ウェル中の生存細胞の数が多いほど、存在するATPレベルが高くなる。本アッセイは、ATPに結合して発光シグナルを生成する基質を使用しており、発光シグナルは、照度計上で読み取ることができる。別段の断りがない限り、製造業者の指示書に正確に従った。簡潔に述べれば、第1日目に、白色ポリスチレン96ウェルアッセイプレート中に、4000細胞/ウェルの密度で10%血清含有増殖培地120μL中に細胞を播種した。第2日目に、150μLの最終ウェル体積になるように、IGF−1R阻害剤(例えば化合物66、PQIP)の10x濃度15μL又はDMSOのみで細胞を処理した。阻害剤とともに72時間温置した後、細胞のアッセイを行った。結果はDMSO対照細胞の比として計算した。
腫瘍細胞におけるCDH1プロモーターメチル化状態の判定
当技術分野で公知の方法の何れかにより腫瘍細胞におけるCDH1プロモーターメチル化状態を調べる(例えばLombaerts、M.ら(2006)British Journal of Cancer 94:661−671;Yoshiura、K.ら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.92:7416−7419;Lind、G.E.ら(2004)Molecular Cancer 3:28;Kumagai、T.ら(2007)Int.J.Cancer 121:656−665;Hennig、G.ら(1996)J.Biol.Chem.271(1):595−602;Marchevsky、A.M.ら(2004)Journal of Molecular Diagnostics 6:28−36;Reinhold、W.C.ら(2007)Mol.Cancer Ther.6:391−403;Hu、X−C.ら(2002)Life Sciences 71 :1397−1404;又はNakata、S.ら(2006)Cancer 106(10):2190−2199参照)。腫瘍細胞におけるプロモーターメチル化状態の判定のために市販キットを利用することも可能である(例えばPanomics、Redwood City、CAからのプロモーターメチル化PCRキット)。メチル化特異的PCR法によりCDH1プロモーターメチル化状態を判定することができる。例えば、典型的な段階は、制限酵素でのゲノムDNAの消化、DNA/タンパク質複合体を形成させるためのメチル化結合タンパク質(例えばMeCP2)とのDNA断片の温置、アフィニティークロマトグラフィーによる複合体の単離及びDNA断片の溶出、DNA断片のPCR増幅及びアガロースゲル電気泳動によるPCR産物の分析を含む。あるいは、メチル化DNAと非メチル化DNAとの間の差別化のために、PCR前のゲノムDNAの重亜硫酸塩修飾を使用することができる(Herman、J.G.ら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.93:9821−9826)。
インビボ薬理学
雌CD−1 nu/nuマウス(Charles River Laboratories)側腹部の腋窩部で単一皮下部位に、収集したNSCLC腫瘍細胞を移植した。腫瘍を200±50mm3まで増殖させた。腫瘍体積及び体重を週に2回測定した。ノギスを用いて2方向を測定し、腫瘍体積=(長さx幅2)/2の式を用いて計算することによって、腫瘍体積を求めた。動物から腫瘍を採取し、液体窒素中に瞬間凍結した。
結果
wtIGF−1受容体を含有するNSCLC株は、化合物66に対して幅広い感受性を示す。
幅広いヒトNSCLC細胞株での化合物66感受性の分析によって、広範な感受性が示された。従って、発明者らは、化合物66媒介性増殖阻害に対して、比較的不感受性である細胞株(SW1573及びH460)、中間の感受性を示す細胞株(A549)及び感受性がある細胞株(H441、H358及びH292)に、これらの細胞株を広く分類した。このようにして、最も感受性の高いもの(H358)から最も感受性が低いもの(SW1573)にわたって、化合物66に対する細胞の幅広い感受性が観察された。
上皮及び間葉細胞マーカーの変化は、化合物66に対するNSCLC細胞株の感受性と相関する。
発明者らは、異常発現ビメンチン及び/又はフィブロネクチンにおける、化合物66感受性NSCLC株と比較的不感受性のNSCLC株との間の顕著な差を観察した(図2)。典型的には、ビメンチン及びフィブロネクチン発現は、間葉細胞に特徴的であり、上皮細胞系列では弱いか又は発現されない。ビメンチン発現は、主に、SW1573、H1703及びCalu6中で見出されたが、一方で、フィブロネクチン発現はH460細胞中で観察された。SW1573細胞は、インビトロにおいて、化合物66による増殖阻害に対して比較的不感受性であり、10μM阻害剤での阻害は10%未満であった。化合物66感受性NSCLC株、H292、H441及びH358又は中間感受性株A549では、ビメンチン又はフィブロネクチン発現は、殆ど又は全く見出されなかった。
化合物66に対して相対的に不感受性であるNSCLC株中での間葉タンパク質の発現に基づいて、発明者らは、上皮又は間葉表現型の何れかに特徴的なマーカーの有無に関して、相対的に不感受性及び感受性のNSCLC細胞株の同一パネルから得たタンパク質抽出物を分析した(図2)。注目すべきことに、感受性細胞株(H441、H358及びH292)でE−カドヘリンが検出されたが、相対的に不感受性の細胞株中には存在しなかった(SW1573及びH460)。中間感受性細胞株A549は、低いが、検出可能な発現を示した。H460を除き、化合物66に対して相対的に不感受性の細胞中で、γ−カテニンの同様の喪失が観察された。従って、相対的に不感受性の細胞株は、上皮細胞マーカータンパク質の発現を喪失したと思われる。次に、発明者らは、これらの細胞株が、間葉マーカーフィブロネクチン及び/又はビメンチンを発現したか否かについて疑問を抱いた。相対的に不感受性の細胞株は、フィブロネクチン及びビメンチンの一方又は両方を明確に発現し(図2)、一方、化合物66に対して感受性の細胞株中では、何れのタンパク質も検出されなかった。興味深いことに、中間感受性細胞株A549は、同じく、両タンパク質の低いが検出可能なレベルを示した。しかし、E−カドヘリン及びビメンチンに対して特異的な抗体による免疫染色を用いた共焦点顕微鏡実験(結果は示さず。)によって、細胞の二重染色は観察されなかったので、用いたA549細胞培養は、混合細胞集団であると思われることが示された。これは、この細胞株を用いて得られる結果が若干変動することも説明し得、化合物66に対する中間感受性と合致する。
化合物66感受性は、インビボでの腫瘍増殖中の上皮マーカーの維持と相関する。
発明者らは、インビトロで同定された化合物66感受性を予測するタンパク質マーカーがインビボでも観察可能であるか否かを調べようと考えた。H460、Calu6、A549、H441及びH292細胞から増殖させた3つの独立した腫瘍異種移植片からタンパク質抽出物を調製した。抽出物の免疫ブロッティングによって、E−カドヘリンは、化合物66に対して比較的不感受性であるH460細胞に由来する異種移植片中での発現は検出可能ではなく、中間感受性のA549細胞に由来する異種移植片中では発現が低レベルであり、化合物66に対して感受性があるH441及びH292細胞株中では発現が高レベルであることが示された(図3)。γ−カテニンレベルの分析において同様の結果が観察された。これに対して、H460由来の異種移植片試料はフィブロネクチンのみを発現し、インビトロ細胞培養から得られた結果と合致した(図2)。H441及びH292由来の異種移植片抽出物は、フィブロネクチン又はビメンチンを殆ど又は全く示さなかった。これらのインビボでの結果は、インビトロデータをさらに裏づけ、これらのタンパク質マーカーの存在が、細胞培養の人為的影響によるものではないことを示す。さらに、これらの結果は、化合物66感受性が上皮表現型を有する細胞に限定され得ること及びEMTを起こした細胞は、細胞増殖及び生存に対するIGF−1Rシグナル伝達にあまり依存しなくなるという仮説を裏付ける。
IGF−1受容体阻害に対して比較的不感受性であるか又は感受性があるNSCLC細胞株中でのBrkの発現
興味深いことに、高いBrk発現が、化合物66に対するより高い感受性に相当し、Brkがないこと又はそのより低い発現が不感受性株を特徴付ける傾向がある限り、Brkレベルと化合物66感受性との間に非常に良好な相関関係がある。
PQIPによるIGF−1R阻害に対して、複数の腫瘍タイプが反応する。
結腸直腸(DLD−1、GEO、SW480、SW620、RKO、Colo205、HCT−116及びHT−29)、乳房(MCF−7、MDA−MB−468、DU4475、MDA−MB−231及びMDA−MB−435)、膵臓(BxPC3、HPAC、CFPAC、A1165、MiaPaca−2及びPane1)、NSCLC(NCI−H292、H358、Calu6、H322、NCI−H441、H1703及びNCI−H460)及び頭頸部腫瘍(1386及び1186)由来の28種類の腫瘍細胞株からなるパネルに対して、IGF−1Rの選択的低分子量阻害剤(PQIP;Mulvhill、M.J.ら(2007)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17:1091−1097)による増殖阻害に対する感受性を調べた(図5)。3μM PQIPにより処理された細胞は、%最大増殖阻害(2%−72%)により示されるような範囲の感受性を示し、このパネルに対する増殖阻害中央値は37%であり、図5で破線の赤いバーにより示した。細胞増殖におけるPQIPの様々な濃度の影響を全ての細胞株に対して調べた(データは示さず。)。このことから、PQIPによる増殖阻害が用量依存的であることが分かった。このパネルに含まれる5種類の腫瘍細胞株(HCT−116、MCF−7、DLD−1、NCI−H460及びRKO)は、PI3Kにおいて既知の活性化突然変異を有し(図5で「*」で示される。)、このことから、それらの増殖及び生存が成長因子と独立であり得ることが示唆される。しかし、DLD−1、RKO及びNCI−H460細胞に対して増殖のPQIPによる阻害が20%未満であるにも関わらず、P13Kにおいて活性化突然変異も有するHCT−116及びMCF−7細胞は70%を超える増殖阻害を示し、このことから、PI3Kにおける突然変異がIGF−1Rアンタゴニズムに対する不感受性を一様には予測しないことが示される。この結果は、EGFR阻害に対する感受性に関して発明者らが以前に観察したものと一致し、PI3Kに対する突然変異状態もまた感受性に必ずしも相関しなかった。
上皮腫瘍細胞は、EMT様移行を起こしている腫瘍細胞よりもEGFR阻害に対して感受性が高いことが報告されている(Buck、E.ら(2007)Mol Cancer Ther 6:532−541;Thomsonら(2005)Cancer Res 65:9455−9462;Yauch、R.L.ら(2005)Clin Cancer Res 11 :8686−8698)。この実験に対して(図5参照)、腫瘍細胞は、E−カドヘリン遺伝子(CDH1)に対する転写活性に基づき、上皮(E)又は間葉(M)として定義された。E−カドヘリン遺伝子の転写抑制は、EMTプロセスに対する顕著な特徴として既に定義されている(Thieryら(2003)Curr Opin Cell Biol 15:740−746)。EMTには、CDH1遺伝子を転写抑制するために作用する(De Craene、B.ら(2005)Cancer Res.65(14):6237−6244;Aigner、K.ら(2007)Oncogene、advance online publication doi:10.1038/sj.onc.1210508、1−10頁)様々な転写因子(例えばSnail、Zeb1、Twist、Sip1又はSlug)の発現の上昇が付随し、これはプロモーターメチル化を伴う。このパネル内の28種類の腫瘍細胞株のうち19種類(HCT−116、HT−29、Colo205、H358、MCF−7、SW620、SW480、H322、H441、MDA−MB−435、DU4475、MiaPaca−2、MDA−MB−486、H1703、Panc1、H460、RKO、DLD1及びMDA−MB−231)に対してCDH1プロモーターメチル化状態が既に記載されており(例えばLombaerts、M.ら(2006)British Journal of Cancer 94:661−671;Yoshiura、K.ら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.92:7416−7419;Lind、G.E.ら(2004)Molecular Cancer 3:28;Kumagai、T.ら(2007)Int.J.Cancer 121:656−665;Hennig、G.ら(1996)J.Biol.Chem.271(1):595−602;Marchevsky、A.M.ら(2004)Journal of Molecular Diagnostics 6:28−36;Reinhold、W.C.ら(2007)Mol.Cancer Ther.6:391−403参照)、zeb1及びSnailを含むE−カドヘリンの転写抑制因子の発現と相関する(Buck、E.ら(2007)Mol Cancer Ther 6:532−541;Thomsonら(2005)Cancer Res 65:9455−9462)。パネル内のその他の腫瘍細胞株に対して、CDH1に対するプロモーターメチル化状態は記載されていないが、腫瘍細胞株1186、H292、HPAC、GEO、CFPAC及びBxPC3は、転写抑制因子を発現しないことが既に報告されており、一方、腫瘍細胞株Calu6、1386及びA1165は転写抑制因子を発現することが報告されている(Buck、E.ら(2007)Mol Cancer Ther 6:532−541;Thomsonら(2005)Cancer Res 65:9455−9462)。このパネルに含まれるいくつかの腫瘍細胞株がE−カドヘリンをコードする遺伝子において突然変異を有し(HCT−116、Colo205及びDU4475)(Buck、E.ら(2007)Mol.Cancer Ther.6:532−541)、これにより、これらの細胞が間葉様の形態を獲得するようになることが述べられたが、これらの細胞株においてE−カドヘリンは転写抑制されない。従って、EMT状態(必ずしも間葉様形態ではない。)は、上皮腫瘍細胞が、EMTを起こしている腫瘍細胞よりも十分に感受性が高いように、IGF−1Rキナーゼ阻害に対する感受性と相関する。しかし、間葉様形態を有する腫瘍細胞の大部分がEMTを起こしていると思われ、従って、形態計測学的分析はIGF−1Rキナーゼ阻害に対する感受性の有用な予測法であろうが最も好ましい方法ではないであろうことに留意されたい。上皮腫瘍細胞の70%が、このパネルの増殖阻害中央値(37%)よりも増殖阻害が大きくなり、このパネルにおける何れの間葉腫瘍細胞株でも50%以上の阻害は観察されなかった。これらのデータから、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対して最も反応性である可能性が高い患者を同定するためにEMTバイオマーカーが有用であることが示唆される。間葉腫瘍から上皮腫瘍を区別するために使用することができるバイオマーカーには、E−カドヘリンなどの上皮マーカーならびに、ビメンチン、Snail、Zeb1、Twist、Sip1及びSlugなどの間葉マーカーが含まれる。
NSCL腫瘍細胞において同定されるさらなるバイオマーカー
Calu6においてホスホ−サイトケラチン−7、−8及び−18の減少が観察され(上皮株H292及びH358と比較)、H1703では全く観察されなかった(Calu6及びH1703の間葉様表現型と一致)。同様に、α−及びβ−カテニンのリン酸捕捉は上皮状態の腫瘍細胞に限定され、上皮状態の腫瘍細胞においてδ−カテニンが顕著に上昇した(H292及びH358)。プラコフィリン−2、−3、−4、デスモプラキン−3及びインテグリン−β4のホスホチロシン捕捉は、上皮表現型のNSCLC細胞でのみ観察された。ホスホE−カドヘリンは、上皮表現型のH292でのみ観察された。まとめると、細胞接着を制御するタンパク質は、上皮表現型を有する腫瘍細胞で主に発現されたが、より間葉様である表現型を有する腫瘍細胞では発現が低いか又はなかった。上皮及び間葉様株の間で、細胞骨格変性複合体を含有するp130CAS/パキシリン又はHsp90、Hsp70、Hsp71、Hsp60、HspB1、Grp78又はGrp94を含有する熱ショックタンパク質複合体の、差次的発現及び/又は制御は見られなかった。これは、上皮又は間葉表現型の間でタンパク質の大部分が量的に比較的不変であったという観察と一致する。
上皮と間葉NSCLC表現型との間の細胞生存シグナル伝達の変化
複数のリンタンパク質の発現及び/又は制御は、生物学的に興味深い方式で特定の細胞型に限定された。例えば、高ホスホ−PDGF受容体発現は、H1703細胞でのみ観察され、少量のFer及びFgrも観察された。これには、SOS−1、SHP−2、インターセクチン−2、チロシン−タンパク質キナーゼJAK1、GRB−2関連結合タンパク質GAB1、ホスホリパーゼC−γ1、PI3−キナーゼp110サブユニット−α及び−β及びPI3−キナーゼp85−α及び−βサブユニットのリン酸捕捉の上昇が付随した。
ヒアルロナン受容体RHAMMは、間葉様株のホスホチロシン分画でのみ検出可能であり、間葉表現型に付随する移動促進及び侵襲特性に関与し得る。間葉NSCLC株はバシジン(CD147)レベルが低下しているので、これは特に重要であり得る。
要するに、上記で列挙される及び図7のタンパク質及びリンタンパク質は、EMT状態及び従って腫瘍細胞のIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性を評価するために使用することができるさらなるバイオマーカーを提供する。特異的な細胞分画(即ち細胞質、膜又は細胞表面分画)で列挙される細胞質タンパク質バイオマーカー及びおそらく1以上のリンタンパク質分画も、EMTの結果として発現レベルが変化するタンパク質である。1以上のリンタンパク質分画でのみ挙げられるタンパク質はリン酸化レベルが変化するが、EMTに反応してタンパク質発現レベルは変化しない。従って、後者の場合、リンタンパク質自身がバイオマーカーである。間葉様細胞において低下するものとして図7で列挙される腫瘍バイオマーカーは上皮バイオマーカーであり、その高発現レベルは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。間葉様細胞において増加するものとして図7で列挙されるバイオマーカーは間葉バイオマーカーであり、その高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する。結果として、図7で列挙されるバイオマーカーに対して、間葉バイオマーカー発現レベルに対する上皮バイオマーカーの比が高いことは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。
間葉様細胞において存在度が混合性であるとして図7で列挙されるバイオマーカーは、タンパク質の発現レベルの変化及びタンパク質のリン酸化状態の変化により異なる結果が予測されるものである。例えば、タンパク質「p185−Ron」は、EMT後に発現が上昇し、それに対する高発現レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する低感受性と相関する間葉マーカーであるが、一方で、「ホスホ−p185−Ron」は、EMT後に低下する上皮マーカーであり(即ちEMT後にp185−Ronのリン酸化レベルが低下する。)、その高リン酸化レベルはIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する高感受性と相関する。
間葉細胞株H1703又はCalu6において上昇又は低下するものとして図7で列挙されるバイオマーカーは、調べた全ての主要細胞で同様に変化すると思われる図7で上記で列挙するその他のバイオマーカーとは異なり、細胞特異的方式で変化すると思われるバイオマーカーである。従って、間葉細胞株H1703又はCalu6は、おそらく、これらの細胞特異的バイオマーカーがEMTにおいて変化し、従ってこれらの腫瘍タイプにおけるIGF−1Rキナーゼ阻害剤による阻害に対する感受性を予測する、腫瘍細胞タイプのサブセットの各代表である。
バイオマーカーpErkは、NSCLC、膵臓、結腸直腸、乳房及び卵巣腫瘍細胞におけるIGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPに対する不感受性を予測する。
ヒトNSCLC、膵臓及び結腸直腸腫瘍細胞に対して(図6)、Erkのリン酸化レベルが、IGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPに対する感受性の低下及び間葉状態への腫瘍細胞の移行の両方と相関することが分かった。卵巣腫瘍細胞に対して同様の結果が得られた(データは示さず。)。従って、pErkは、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性低下を効果的に予測し得るバイオマーカーであり、従ってどの患者が抗−IGF−1受容体抗体療法を含むIGF−1受容体キナーゼ阻害剤療法から利益を得ると思われるかを予測するための診断法として役立つ。
間葉バイオマーカー、Zeb1、Snail及びSip1は、NSCLC、膵臓、結腸直腸及び乳房腫瘍細胞におけるIGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPに対する不感受性を予測する。
IGF−1Rキナーゼ阻害剤による増殖阻害に対して感受性があるか又は比較的耐性であるヒト細胞株(NSCLC、膵臓、結腸直腸及び乳房腫瘍細胞)の代表的パネルに対して、Zeb1、Snail及びSip1に対するmRNA転写レベルを測定した。より高レベルのZeb1、Snail又はSip1を発現するこれらの細胞株(例えばMiaPaca−2、Panc1、RKO)はとりわけ、IGF−1R阻害に対して比較的不感受性であった。Zeb1又はSnailを比較的低いレベルで発現する腫瘍細胞株(例えばCFPAC、HPAC、BxPC3、DLD1、GEO、HT−29及びColo205)は全て、IGF−1R阻害に対して比較的感受性が高かった。膵臓腫瘍細胞株に対して代表的データを図8で示すが、Zeb1、Sip1又はSnailを比較的低いレベルで発現したもの(即ちCFPAC、HPAC、BxPC3)は全てIGF−1Rキナーゼ阻害に対して比較的感受性が高く、一方、Zeb1、Sip1又はSnailの何れかを高レベル発現したものは、IGF−1Rキナーゼ阻害に対して比較的不感受性であった。従って、高レベルの間葉バイオマーカーZeb1、Snail及びSip1は、NSCLC、膵臓、結腸直腸及び乳房腫瘍細胞においてIGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPに対する不感受性を予測する。
CDH1プロモーターメチル化は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPヒト腫瘍細胞に対する不感受性を予測する。
細胞のEMT状態の代替的指標は、転写抑制の指標であるE−カドヘリン遺伝子(CDH1)プロモーターのメチル化状態である。図5に記載の28種類の腫瘍細胞株のうち19種類に対するCDH1プロモーターメチル化状態が既に調べられており(例えばLombaerts、M.ら(2006)British Journal of Cancer 94:661−671;Yoshiura、K.ら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.92:7416−7419;Lind、G.E.ら(2004)Molecular Cancer 3:28;Kumagai、T.ら(2007)Int.J.Cancer 121:656−665;Hennig、G.ら(1996)J.Biol.Chem.271(1):595−602;Marchevsky、A.M.ら(2004).Journal of Molecular Diagnostics 6:28−36;Reinhold、W.C.ら(2007)Mol.Cancer Ther.6:391−403参照)、Zeb1及びSnailを含むE−カドヘリンの転写抑制因子の発現と相関する(Buck、E.ら(2007)Mol Cancer Ther 6:532−541;Thomsonら(2005)Cancer Res 65:9455−9462)。これらの腫瘍細胞のうち、SW620、MDA−MB−435、MiaPaca−2、H1703、Panc1、H460、RKO及びMDA−MB−231は、CHD1プロモーターメチル化があることが分かったが、一方、HCT−116、HT−29、Colo205、H358、MCF−7、SW480、H322、H441、DU4475、MDA−MB−486及びDLD1に対して、CHD1プロモーターメチル化は検出されなかった(即ちプロモーターメチル化レベルが低いか又はゼロ)。これらの腫瘍細胞のIGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性とこのデータとの比較から(図5参照)、IGF1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性の程度がCDH1遺伝子のメチル化状態と相関し、CDH1プロモーターメチル化がないか又は低い腫瘍細胞が観察された場合、それはIGF1Rキナーゼ阻害剤に対する感受性が顕著により高いことが示される。従って、CDH1プロモーターメチル化は、腫瘍細胞におけるIGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する不感受性を予測する有効なバイオマーカーである。
バイオマーカーHER3又はpHER3は、腫瘍細胞におけるIGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPに対する感受性を予測する。
28種類のヒト腫瘍細胞のパネル(図9;結腸直腸癌(DLD−1、GEO、SW480、SW620、RKO、Colo205、HCT−116及びHT−29)、乳癌(MCF−7、MDA−MB−468、DU4475、MDA−MB−231及びMDA−MB−435)、膵臓癌(BxPC3、HPAC、CFPAC、A1165、MiaPaca−2及びPanc1)、NSCLC(NCI−H292、H358、Calu6、H322、NCI−H441、H1703及びNCI−H460)及び頭頸部腫瘍(1386及び1186)由来)に対して、HER3の発現が、IGF−1Rキナーゼ阻害剤PQIPによる阻害に対するより高い感受性と相関することが分かった。この方法により調べられた細胞株のサブセットに対して、HER3タンパク質の発現ではなく、pHER3のレベルを分析することにより(リン酸化部位Y1289に対して特異的な抗体を用いた免疫ブロッティング分析により)、同様の結果が得られた(データは示さず。)。従って、HER3及びpHER3は、IGF−1Rキナーゼ阻害剤に対する腫瘍細胞の高感受性を有効に予測することができるバイオマーカーであり、従って、抗−IGF−1受容体抗体療法を含むIGF−1受容体キナーゼ阻害剤療法から利益を最も受けると思われるのはどの患者かを予測するための診断法として役立つ。
結論
E−カドヘリン発現を喪失すること及びより間葉性の表現型を獲得することは、複数の上皮由来の固形腫瘍における予後不良と相関することが示された。E−カドヘリンの喪失は、IGF−1受容体阻害に対する細胞の不感受性と相関し、γ−カテニン及びBrkの喪失の相関はE−カドヘリンよりも低かった。逆に、細胞の間葉マーカー、ビメンチン、フィブロネクチン又はフィブリリンの獲得は、IGF−1受容体阻害剤に対する感受性の喪失と相関する。発明者らは、部分的又は完全な上皮間葉移行が、IGF−1受容体阻害剤に対する細胞反応に負の方向に影響し、抗IGF−1受容体抗体療法を含むIGF−1受容体キナーゼ阻害剤療法から利益を得る可能性が最も高い患者に対する診断指標として役立つことを明確に示す。E−カドヘリン遺伝子プロモーターのメチル化などのE−カドヘリン遺伝子転写抑制又はSnail、Zeb1、Twist、Sip1又はSlugなどの転写抑制因子タンパク質(又はmRNA転写)の存在に関与するバイオマーカーは、IGF−1受容体キナーゼ阻害剤に対する不感受性の有効な予測因子である。さらに、バイオマーカーpErkの存在は、抗IGF−1受容体抗体療法を含むIGF−1受容体キナーゼ阻害剤療法から利益を受けないであろう患者を同定するための特に有効な診断法であると思われる。一方、バイオマーカーHER3又はpHER3の存在は、抗IGF−1受容体抗体療法を含むIGF−1受容体キナーゼ阻害剤療法から利益を受けるであろう患者を同定するための特に有効な診断法であると思われる。
略語
EGF、上皮成長因子;EMT、上皮間葉移行;NSCLC、非小細胞肺癌;HNSCC、頭頸部扁平上皮癌;CRC、結腸直腸癌;MBC、転移性乳癌;EGFR、上皮成長因子受容体;ErbB3、「v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモローグ3」(HER−3としても知られる。);pHER3、リン酸化HER3;Erkキナーゼ、細胞外シグナル制御タンパク質キナーゼ(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼとしても知られる。);pErk、リン酸化Erk;Brk、(タンパク質チロシンキナーゼ6(PTK6)としても知られる。)乳房腫瘍キナーゼ;LC、液体クロマトグラフィー;MS、質量分析法;IGF−1、インスリン様成長因子−1;IGF−1R又はIGFR、インスリン様成長因子−1受容体;TGFα、トランスフォーミング成長因子α;HB−EGF、ヘパリン結合性上皮成長因子;LPA、リゾホスファチジン酸;TGFα、トランスフォーミング成長因子α;IC50、最大半量の阻害濃度;RT、室温;pY、ホスホチロシン;pPROTEIN、ホスホ−PROTEIN、「PROTEIN」は、リン酸化され得る何れかのタンパク質であり得る。例えばEGFR、ERK、HER3、S6など;wt、野生型;PI3K、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ;GAPDH、グリセルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ。
参照による組み込み
本明細書で開示される全ての特許、公開特許出願及びその他の参考文献は、明確に参照により本明細書に組み込まれる。
均等物
当業者は、本明細書中で具体的に記載される本発明の具体的実施形態の多数の均等物を、定型的な実験法にすぎない実験法を用いて認識するか又は確認することができる。かかる均等物は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。