JP2010540499A - 架橋ポリマーを含む微粒子 - Google Patents

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Abstract

(a)好ましくはアルケン、スルフヒドリル(SH)、チオ酸、不飽和エステル、不飽和ウレタン、不飽和エーテル、および不飽和アミドからなる群から選択される2つ以上のラジカル重合性基を含む架橋剤と;(b)式R−C(R)=CHR式(I)[式中、−Rは、微粒子中に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて選択され、微粒子の他の構成成分と結合したときに微粒子に対する選択された活性物質(c)の親和性が高くなる構造を有するように選択され;−各Rは、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は任意にエステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)から選択され、各Rは、特に、独立して水素、並びに、置換および非置換アルキル基(これらのアルキル基は、任意に1つ以上のヘテロ原子、特にP、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する)の群から選択され;−各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、および−COOCから選択される]によって表される最大1個の不飽和C−C結合を含む単官能性反応性希釈剤とを含む架橋ポリマーを含む微粒子。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、架橋ポリマーを含む微粒子、このような微粒子の調製方法、および医療用途における前記微粒子の使用に関する。
国際公開第98/22093号パンフレットに、架橋ポリマーを含む球状微粒子(マイクロスフェア)が記載されている。これらのマイクロスフェアは、放出可能な化合物(薬物)の送達システムとして使用することが意図されている。粒子の調製に使用される架橋性ポリマーは重要ではないと記載されている。この公報に記載されている好適なポリマーは、架橋性水溶性デキストラン、デキストラン誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、ポリビニルピロリドン、タンパク質、およびタンパク質誘導体である。
前述の微粒子の欠点は、架橋ポリマーの細孔サイズが放出可能な化合物の粒度より小さくなければならないことである。従って、マイクロスフェアを製造した後に放出可能な化合物をマイクロスフェアに担持させることはできない。そのため、放出可能な化合物を含まないマイクロスフェアのマスターバッチを調製し、マイクロスフェアに内包する放出可能な化合物を後で決定することができない。別の欠点は、薬物の放出の調整が非常に困難なことである。特定の用途では、特定の薬物をより迅速に又はより緩速に放出することが必要な場合がある。
しかし、後でマイクロスフェアに担持させ得ることが望ましく、その理由は、後で活性物質を担持させるのに望ましい微粒子サイズに的を絞り、分離することができるからである。更に、活性物質のマスターバッチ製造法に続いて、マイクロスフェアの製造を拡大する(upscale)ことができ、必要に応じて、異なる部分に異なる活性物質を特定の目的に有用な量で担持させることができる。更に、微粒子から放出される薬剤が微粒子の調製中に悪影響を受ける、例えば、分解、変性又は他に不活性化される場合、微粒子の形成後に微粒子に担持させ得ることが望ましい。これは特に、活性物質が感熱性、感光性又は放射線感受性、および直接又は間接的に微粒子を形成する反応基に対する感受性を有するからである。
微粒子を調製した後で酵素、タンパク質および小分子薬物などの活性物質を適切に担持することができる、架橋ポリマーを含む代替の又は改善された微粒子が引き続き必要とされている。微粒子中の活性物質の放出を調整できることがより望ましい。選択された活性物質に対して異なる担持容量を有する微粒子を提供することがより望ましい。
従って、本発明の目的は、少なくとも既知の微粒子の代替の役割をすることができる新規な微粒子を提供すること、特に、活性物質を有効に担持することができる微粒子を提供することである。
本発明の別の目的は、後述の他の1つ以上の好ましい特性を有する微粒子を提供することである。
洗浄工程で除去される活性物質の量を測定することによって求められた封入効率、および、ブランクと比較したときの反応性希釈剤が存在する場合の放出を調整する能力を示し、溶媒蒸発により微粒子に担持させた結果を示す。 洗浄工程で除去される活性物質の量を測定することによって求められた封入効率、および、ブランクと比較したときの反応性希釈剤が存在する場合の放出を調整する能力を示し、凍結乾燥によりマイクロスフェアに担持させた結果を示す。
本発明によれば、
(a)好ましくはアルケン、スルフヒドリル(SH)、チオ酸(thioic acids)、不飽和エステル、不飽和ウレタン、不飽和エーテル、および不飽和アミドからなる群から選択される2つ以上のラジカル重合性基を含む架橋剤と;および
(b)式
−C(R)=CHR 式I
[式中、
−Rは、微粒子中に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて選択され、微粒子の他の構成成分と結合したときに微粒子に対する選択された活性物質(c)の親和性が高くなる構造を有するように選択され;
−各Rは、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は任意にエステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、並びに、S、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)から選択され、
−各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、および−OOCから選択される]
によって表される最大1個の不飽和C−C結合を含む単官能性反応性希釈剤と
を含む、選択的な活性物質を担持させるのに好適な架橋ポリマーを含む微粒子を提供することが分かった。
驚いたことに、架橋剤(a)を反応性希釈剤(b)と組み合わせて使用すると、選択された活性物質(c)に対して異なる担持容量を有する微粒子が得られることが分かった。そのようなものとして、異なる架橋剤を使用することなく活性物質の放出を調整又は変更することができる。
本発明で使用される反応性希釈剤は、最大1個の不飽和結合を有する単官能性希釈剤を意味する。
の好適な例は、直鎖、分岐(若しくはハイパーブランチ)又は環状官能基である。これらの構造は、ヘテロ原子、例えば、O、N、S又はPを有してもよい。直鎖および分岐(若しくはハイパーブランチ)R基は、アミン基、アミド基、カルバメート基、尿素基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、チオエステル基、炭酸チオエステル基、リン酸基、亜リン酸基、硫酸基、スルホキシド基、および/又はスルホン基を含んでもよい。
環状R基の好適な例としては、芳香族基および環状脂肪族基が挙げられる。複素環式R基の好適な例としては、5員環リン酸基、6員環リン酸基、5員環亜リン酸基、6員環亜リン酸基、4員環ラクトン基、5員環ラクトン基、6員環ラクトン基、5員環炭酸基、6員環炭酸基、5員環硫酸基、6員環硫酸基、5員環スルホキシド基、6員環スルホキシド基、6員環アミド基、5員環ウレタン基、6員環ウレタン基、7員環ウレタン基、5員環尿素基、6員環尿素基、および7員環尿素基が挙げられる。
分子中にウレタン基と、5員環リン酸基、6員環リン酸基、5員環亜リン酸基、6員環亜リン酸基、4員環ラクトン基、5員環ラクトン基、6員環ラクトン基、5員環炭酸基、6員環炭酸基、5員環硫酸基、6員環硫酸基、5員環スルホキシド基、6員環スルホキシド基、5員環アミド基、6員環アミド基、7員環アミド基、5員環ウレタン基、6員環ウレタン基、7員環ウレタン基、5員環尿素基、6員環尿素基、7員環尿素基を有する構成成分が好ましい。
また、非常に反応性が高く好ましい構成成分は、分子中に炭酸基と、5員環リン酸基、6員環リン酸基、5員環亜リン酸基、6員環亜リン酸基、4員環ラクトン基、5員環ラクトン基、6員環ラクトン基、5員環炭酸基、6員環炭酸基、5員環硫酸基又は亜硫酸基、6員環硫酸基又は亜硫酸基、5員環亜硫酸基、6員環亜硫酸基、5員環スルホキシド基、6員環スルホキシド基、5員環アミド基、5員環イミド基、6員環アミド基、7員環アミド基、5員環イミド基、6員環イミド基、5員環チオイミド基、6員環チオイミド基、5員環ウレタン基、6員環ウレタン基、7員環ウレタン基、5員環尿素基、6員環尿素基、および7員環尿素基からなるリストから選択される官能基を両方とも有する構成成分である。
は、独立して、水素、および、置換又は非置換アルキル基(このアルキル基は、任意にP、S、OおよびNから選択される1個以上のヘテロ原子を含有する)の群から選択される。好ましくは、Rは、水素、又は、炭素数12以下の炭化水素から選択される。特に、Rは、水素、又は、置換若しくは非置換C〜Cアルキル、より詳細には、置換若しくは非置換C〜Cアルキルであってもよい。任意に、Rは、炭素−炭素二重又は三重結合を含み、特に、Rは、−CH=CH基を含んでもよい。
は、好ましくは水素である。
好適な反応性希釈剤(b)としては、アクリル化合物又は他のオレフィン性不飽和化合物、例えば、ビニルエーテル、アリルエーテル、アリルウレタン、フマレート、マレエート、イタコネート、又は不飽和(メタ)アクリレート単位が挙げられる。好適な不飽和(メタ)アクリレートとしては、例えば、不飽和ウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル(メタ)アクリレート、不飽和エポキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ポリエーテル(メタ)アクリレートがある。
直鎖、分岐(若しくはハイパーブランチ)又は環状R基を有する反応性希釈剤(b)の特に好適な例を表1に列挙する。
Figure 2010540499

Figure 2010540499

特に、架橋剤(a)は、2つ以上の−CR=CHR
[式中、
−各Rは、独立して、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)から選択され、各Rは、特に、独立して水素、並びに、置換および非置換アルキル基(これらのアルキル基は、任意に1つ以上のヘテロ原子、特にP、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する)の群から選択され;
−各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOCから選択される]
を含む。
更により詳細には、架橋剤(a)は、式、
X−[Y−C(=Z)−N(R)−R−C(R)=CR 式II
[式中、
−Xは、(少なくとも、nに等しい官能価を有する)多官能性ラジカル重合性化合物の残基であり;
−各Yは、独立して、任意に存在し、存在する場合、各Yは独立して、O、SおよびNRの群から選択される部分を表し;
−各Zは、独立して、OおよびSから選択され;
−各RおよびR4は、上記に定義した通りであり;
−各Rは、独立して、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)の群から選択され;
−各Rは、独立して置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)の群から選択され;
−nは、少なくとも2である]
を有する化合物である。
は、特に、独立して、水素、並びに、置換および非置換アルキル基(これらのアルキル基は、任意に1つ以上のヘテロ原子、特にP、S、OおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する)の群から選択される。より詳細には、Rは、水素、又は、炭素数12以下の炭化水素である。Rは、水素、又は、置換若しくは非置換C〜Cアルキルであってもよい。Rは、また、置換又は非置換シクロアルキル、より詳細には、置換又は非置換C〜Cアルキル又は水素であってもよい。シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであってもよい。アルキルは、直鎖又は分岐アルキルであってもよい。好ましい分岐アルキルは、t−ブチルである。任意に、Rは、炭素−炭素二重結合又は三重結合含んでもよく、Rは、例えば、−CH=CH基を含んでもよい。
は、ヘテロ原子を含んでもよく、例えば、−(C=O)−O−(CH−CH又は−(C=O)−O−(CH−CH=CH(式中、iは、通常、0〜8の範囲の、好ましくは1〜6の範囲の整数である)などのエステル部分であってもよい。ヘテロ原子は、−(C=O)−(CH−CH又は−(C=O)−(CH−CH=CH(式中、iは、通常、0〜8の範囲の、好ましくは1〜6の範囲の整数である)などのケト部分であってもよい。ヘテロ原子を含むR基は、好ましくは、NR’R”基(式中、R’およびR”は、独立して、水素又は炭化水素基、特にC1〜C6アルキルである)を含む。より好ましいRは、水素又はアルキル基である。更により好ましくは、Rは、水素又はメチル基である。
は、好ましくは、炭素数1〜20である。より好ましくは、Rは、置換又は非置換C〜C20アルキレン、特に置換又は非置換C〜C14アルキレンである。Rは、o−フェニレン、m−フェニレン、又はp−フェニレンなどの芳香族部分を含んでもよい。芳香族部分は非置換であっても、又は、例えば、アミド、例えば、アセトアミドで置換されていてもよい。
は、−(O−C=O)−、−(N−C=O)、−(O−C=S)−官能基を含んでもよい。また、Rが、脂環式部分、例えば、シクロペンチレン部分、シクロヘキシレン部分又はシクロへプチレン部分(これは、任意に、例えば、N基および/又はケト基などの1つ以上のへテロ原子を含む)を含むことも可能である。
任意に、Rは、炭素−炭素二重結合又は三重結合を含み、特に、Rは、−CH=CH基を含んでもよい。好ましい実施形態では、Rは、−CH−CH−O−C(O)−基、−CH−CH−N−C(O)−基、又は−CH−CH−O−C(S)−基から選択される。
は、例えば、水素又は炭素数12以下の炭化水素である。特に、Rは、水素、又は、置換若しくは非置換C〜Cアルキル、より詳細には置換若しくは非置換C〜Cアルキルであってもよい。
任意に、Rは、炭素−炭素二重結合又は三重結合を含み、特に、Rは、−CH=CH基を含んでもよい。
は、好ましくは水素である。
nは、好ましくは2〜8である。
、Rおよび/又はR上の置換基は、例えば、ハロゲン原子およびヒドロキシルから選択されてもよい。好ましい置換基は、ヒドロキシルである。特に、Rは、−CHOH基であり、この理由は、それが市販されているからである。
ポリマーは、一般に、架橋剤のビニル結合の反応によって架橋される。
有利には、マイクロスフェアであってもよい微粒子は、特に、架橋ポリマーがカルバメート、チオカルバメート、ウレイル(ureyl)又はアミド共重合体である場合、靭性があるにもかかわらず、弾性がある。これは、急激な圧力変化、高温、低温、および/又は高剪断を含む条件などの過酷な条件下での加工が可能であることに関して有利であると考えられる。
本発明の微粒子は、例えば、微粒子を凍結乾燥する場合に起こり得る、温度の急激な低下に対して良好な耐性を示す。
好ましい実施形態では、本発明による微粒子は、本質的に凍結保護剤さえ含まない。凍結保護剤は、凍結損傷(氷の生成による損傷)から材料、即ち、微粒子を保護する物質である。凍結保護剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール、およびグリセロール又はジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
更に、本発明の微粒子は、粒子を(120℃より高温で)滅菌する場合に、又は、高温、例えば、100℃より高温で粒子に活性物質を担持させる場合に行われる可能性がある加熱に対して良好な耐性を示すことが考えられる。
活性物質、特に薬物、診断助剤、又は造影助剤の送達システムなどの医療用途に本発明の微粒子を使用してもよい。また、実質的に微粒子を損傷することなく、高圧を使用することによりカプセル又はチューブを充填するのに微粒子を使用することもでき、又は、微粒子をペレットとして圧縮してもよい。また、それを、自由な形態の懸濁液として注入可能な又は噴霧可能な形態で、又はその場で(in−situ)形成するゲル製剤に使用することもできる。更に、微粒子を、例えば、(ラピッドプロトタイピングによる)スキャフォールド、コーティング、パッチ、複合材料、ゲル又は硬膏に組み込むことができる。
本発明による微粒子は、注入、噴霧、埋込、又は吸収可能である。
式IIのYは、任意に存在し、存在する場合、各Yは、独立して、O、SおよびNRの群から選択される部分を表す。
式IIのXは、多官能性ラジカル重合性化合物の残基であり、好ましくは、Xは、−OH、−NH、−RNH又は−SH多官能性ポリマー又はオリゴマーの残基である。多官能性ポリマー又はオリゴマーは、特に、天然であっても又は合成であってもよい生体安定性又は生分解性ポリマー又はオリゴマーから選択される。
生分解性の用語は、加水分解によって又は酵素の作用によって又は細菌および真菌などの環境中に存在する生物因子の作用によって分解される材料を指す。生分解は微生物に起因する可能性がある、および/又は生分解は動物又は人間の体内で起こる可能性がある。
生体安定性の用語は、生物環境中で実質的に分解されない材料を指し、インプラントの場合、インプラントが埋め込まれた被験者、特にヒトの典型的な寿命内で少なくとも著しく分解されない材料を指す。
生分解性ポリマーの例としては、ポリラクチド(PLA);ポリグリコリド(PGA);ポリジオキサノン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−ポリジオキサノン)、ポリ酸無水物、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリ−(トリメチレンカーボネート)、脂肪族ポリエステル、ポリ(オルトエステル);ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリアミノカーボネート又はポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)がある。
生体安定性又は合成ポリマーの例しては、ポリ(ウレタン);ポリ(ビニルアルコール)(PVA);ポリアルキレングリコール、好ましくはポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリエーテル;ポリチオエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族チオエステル、ポリアルキレンオキサイド、好ましくは、ポリ(エチレンオキサイド)およびポリ(プロピレンオキサイド)から選択されるポリアルキレンオキサイド;ポロキサマー、メロキサポール、ポロキサミン、ポリカーボネート、ポリ(ビニルピロリドン);ポリ(エチルオキサゾリン)がある。
天然ポリマーの例としては、ポリペプチド、多糖類(例えば、ポリスクロース、ヒアルロン酸、デキストランおよびその誘導体、硫酸ヘパリン、硫酸コンドロイチン、ヘパリン、アルギネートなど)、および、タンパク質(ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、オボアルブミンなど)、デンプン、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシアルキル化セルロース、並びに、これらのコオリゴマー、共重合体およびブレンドがある。
式II中のXは、その生体安定性/生分解性に基いて選択されてもよい。高い生体安定性を有する微粒子を得るために、一般に、ポリエーテル、ポリチオエーテル、芳香族ポリエステル、又は芳香族チオエステルが特に適している。高い生分解性を有する微粒子を得るために、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、又はポリペプチドが特に適している。好ましくは、Xは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリチオエーテル、脂肪族ポリエーテル又はポリペプチドから選択される。より好ましいのは、PLA、PGA、PLGA、PCL、および/又はポリ(エチレンオキサイド)−コ−ポリ(プロピレンオキサイド)ブロックコオリゴマー/共重合体を含む共重合体又はブレンドである。
粒子の分解速度、および/又は、粒子中又は粒子上に担持された活性物質の放出速度に適合するように、Xを形成する2つ以上の異なる部分の組み合わせを使用してもよく、粒度を変える必要はないが、もちろん、必要に応じて粒度を変えてもよい。Xを形成する2つ以上の異なる部分は、例えば、共重合体又はコオリゴマー(即ち、2つ以上の異なるモノマー残基を含むポリマー又はオリゴマー)である。微粒子の担持容量を変更するために、微粒子の機械的特性および/又は親水性/疎水性を変化させるために、Xを形成する2つ以上の異なる部分の組み合わせを更に使用してもよい。
X部分の(数平均)分子量は、通常、100〜100,000g/molの範囲で選択される。特に、(数平均)分子量は、少なくとも200g/mol、少なくとも500g/mol、少なくとも700g/mol、又は少なくとも1000g/molであってもよい。特に、(数平均)分子量は、50,000g/mol以下、又は10000g/mol以下であってもよい。本発明では、(数平均)分子量は、実施例に記載の方法を使用して、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。
好ましい実施形態では、架橋ポリマー中のX部分は、イソシアネートと反応してカルバメート、チオカルバメート又はウレイル結合を形成できる、少なくとも2つの官能基を有する化合物をベースにする。このような実施形態では、式I中にY基が存在する。X部分は、通常、ヒドロキシル(−OH)基、アミン基又はチオール基などの最小限2つの反応基を有するポリマー又はオリゴマー化合物である。
別の実施形態では、Xは、アルケノイル尿素を提供する、即ち、式、X−(N−CO−NR−CO−CH=CH又はX−(N−CO−NR−CO−C(CH)=CHで表される化合物を提供する、アミン含有化合物の残基である。その例としては、特に、ポリ(プロペノイル尿素)、ポリ(メチルプロペノイル尿素)、又はポリ(ブテノイル尿素)がある。本明細書では、各Rは、独立して、前述のものなどの炭化水素基を表す。
更に別の実施形態では、Xは、ポリ(アルケニルカルバモジチオ酸)エステルなどの、式X−(S−C(S)−NH−フェニル−CH=CHによって表される化合物を提供する、チオール含有化合物の残基である。
別の実施形態では、Xは、式X−(C(O)−NR−C(O)−CH=CHによって表される化合物を提供する、カルボン酸含有化合物の残基である。本明細書では、各Rは、独立して、前述のものなどの炭化水素基を表す。その一例は、ポリ(メチル−)オキソ−プロペンアミドである。
本願で使用する場合、「オリゴマー」の用語は、特に、実際に又は概念的に相対分子質量のより小さい分子から誘導される少数の単位から本質的になる分子を意味する。分子は、その単位の1個又は数個を除去すると性質が著しく変化する場合、中間の相対分子質量を有すると見なされることに留意されたい。また、分子の一部又は全部が中間の相対分子質量を有し、実際に又は概念的に相対分子質量のより小さい分子から誘導される少数の単位を本質的に含む場合、オリゴマーの(oligomeric)と、又は形容詞的に使用されるオリゴマーで表され得ることにも留意されたい。一般に、オリゴマーは、200Da超、例えば、400Da超、800Da超、1000Da超、1200Da超、2000Da超、3000Da超、又は4000Da超などの分子量を有する。上限は、ポリマーの質量に対する下限として定義されるものによって定義される(次の段落を参照)。
従って、「ポリマー」の用語は、実際に又は概念的に、相対分子質量の小さい分子から誘導される単位の複数の繰り返しを本質的に含む構造を意味する。このようなポリマーは、架橋網目構造、分岐ポリマー、および直鎖ポリマーを含み得る。多くの場合、とりわけ合成ポリマーでは、その単位の1個又は数個を追加又は除去しても分子の性質に極僅かな影響しかない場合、分子は相対分子質量が大きいとみなすことができることに留意されたい。この記述は、性質が分子構造の細部に非常に依存する、ある一定の高分子の場合には当てはまらない。また、分子の一部又は全部が大きい相対分子質量を有し、実際に又は概念的に、相対分子質量の小さい分子から誘導される単位の複数の繰り返しを本質的に含む場合、高分子の(macromolecular)若しくはポリマーの(polymeric)と、又は形容詞的に使用されるポリマーで表され得ることにも留意されたい。一般に、ポリマーは、8000Da超、例えば、10,000Da超、12,000Da超、15,000Da超、25,000Da超、40,000Da超、100,000Da超又は1,000,000Da超などの分子量を有する。
微粒子は、その特定の構造、サイズ、又は組成に応じて、様々な異なる方法で定義され、分類されてきた(例えば、Encyclopaedia of Controlled drug delivery Vol2 M−Z Index,Chapter:Microencapsulation Wiley Interscience、493頁以降、特に495頁および496頁を参照されたい)。
本明細書で使用する場合、微粒子は、典型的には固体又は半固体材料からなり、活性物質を担持できるマイクロスケール又はナノスケールの粒子を含む。典型的には、フラウンホーファー(Fraunhofer)理論によって体積パーセントで与えられる微粒子の平均直径は、10nm〜1000μmの範囲である。好ましい平均直径は、意図される用途に依存する。例えば、微粒子が注射用薬物送達システム、特に、血管内薬物送達システムとして使用されるように意図されている場合、10μm以下、特に1〜10μmの平均直径が望ましい可能性がある。
平均直径800nm未満、特に500nm以下の微粒子が、細胞内での用途に有用であると考えられる。このような用途では、平均直径は、好ましくは、少なくとも20nm、又は少なくとも30nmである。他の用途では、より大きい寸法、例えば、1〜100μm、又は10〜100μmの範囲の直径が望ましい可能性がある。特に、本明細書で使用される粒径は、LST 230 Series Laser Diffracction Particle size analyzer(ベックマン・コールター(Beckman Coulter))でUHMW−PE(0.02〜0.04μm)を標準物質として使用して求めることができる直径である。粒度分布は、フラウンホーファー回折データから推定され、体積(%)で与えられる。粒子が小さすぎる場合、又は、その光学的特性のため光散乱により分析不可能である場合、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を使用することができる。
本発明に従って、幾つかのタイプの微粒子構造を調製することができる。これらには、ナノスフェアおよびマイクロスフェア等を含む、実質的に均質な構造を含まれる。しかし、2種類以上の活性物質を放出しなければならない場合、又は1つ以上の機能性が必要な場合、微粒子が内部コアと外部シェルを含む構造を備えることが好ましい。コア/シェル構造により、例えば、不適合性の化合物の薬物送達において、又は画像化において、更に多様な作用モードが可能になる。コアの形成後にスプレードライヤーを使用してシェルを塗布することができる。コアとシェルは、同じ架橋ポリマーを含んでも又は異なる架橋ポリマーを含んでもよく、異なる活性物質を有する。この場合、異なる速度で活性物質を放出することが可能である。また、活性物質がコアにのみ存在し、シェルが滑性を付与することができる架橋ポリマーからなることも可能である。
別の実施形態では、微粒子は、本発明による架橋ポリマーを含むコアと、磁性又は磁化可能な(magnetisable)材料を含むシェルを含んでもよい。
更に別の実施形態では、微粒子は、磁性又は磁化可能なコアと、本発明による架橋ポリマーを含むシェルを含んでもよい。好適な磁性又は磁化可能な材料は、当該技術分野で既知である。このような微粒子は、金属、特に鋼を含む物体、例えば、グラフト又はステントなどの埋め込まれた物体に引き付けられることができるため有用な可能性がある。このような微粒子は、更に、精製に又は分析用に有用な可能性がある。
更に別の実施形態では、粒子は特定の技術で画像化可能である。好適な画像化技術は、MRI、CT、X線である。造影剤を粒子の内部に組み込む、又は粒子の表面に結合させることができる。このような粒子は、例えば、血液中又は細胞内で粒子がどのように移動するかを視覚化するのに有用な可能性がある。好適な造影剤は、例えば、ガドリニウムである。
本発明による微粒子は、1種類以上の活性物質(c)を担持してもよい。本発明による微粒子は、活性物質(c)の担持容量が大きいため、活性物質(c)を担持するのに特に適している。活性物質(c)は、微粒子内に又は微粒子コア内に、ある程度均質に分散していてもよい。活性物質(c)は、また、微粒子シェル内に配置されてもよい。
特に、活性物質(c)は、栄養分、医薬、タンパク質およびペプチド、ワクチン、遺伝子材料(ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プラスミド、DNAおよびRNAなど)、診断薬、および造影剤の群から選択されてもよい。活性薬理成分(API)などの活性物質(c)は、意図された用途に応じて、どのような種類の活性を示してもよい。
活性物質(c)は、生物学的応答を促進又は抑制可能であってもよい。活性物質(c)は、例えば、成長因子(VEGF、FGF、MCP−1、PIGF、抗生物質(例えば、B−ラクタム系などのペニシリン、クロラムフェニコール)、抗炎症性化合物、抗血栓性化合物、跛行改善薬(anti−claudication drugs)、抗不整脈薬、抗アテローム硬化薬、抗ヒスタミン薬、制癌剤、血管薬、眼科用薬、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、神経伝達物質、神経ホルモン、酵素、信号分子、および向精神薬から選択されてもよい。
具体的な活性物質(c)の例としては、神経薬(アンフェタミン、メチルフェニデート)、α1アドレナリン受容体拮抗薬(プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、ケテンセリン、ウラピジル)、α2遮断薬(アルギニン、ニトログリセリン)、降圧薬(クロニジン、メチルドパ、モキソニジン、ヒドララジン、ミノキシジル)、ブラジキニン、アンジオテンシン受容体遮断薬(ベナゼプリル、カプトプリル、シラゼプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、ゾフェノプリル)、アンジオテンシン−1遮断薬(カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタン、バルサルタン)、エンドペプチダーゼ(オマパトリラート)、β2作動薬(アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモドール、メトプロロール、ネビボロール、ベタキソロール)、β2遮断薬(カルベジロール、ラベタロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール)、利尿剤(クロルタリドン、クロロチアジド、エピチジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、アミロライド、トリアムテレン)、カルシウム拮抗薬(アムロジピン、バルニジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、ベラパミル)、抗不整脈剤(アミオダロン、ソラトール、ジクロフェナク、エナラプリル、フレカイニド)又はシプロフロキサシン、ラタノプロスト、フルクロキサシリン、ラパマイシンおよび類似体、およびリムス(limus)誘導体、パクリタキセル、タキソール、シクロスポリン、ヘパリン、コルチコステロイド(トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニド)、血管新生阻害薬(iRNA、VEGF拮抗薬:ベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ)、成長因子、ジンクフィンガー転写因子、トリクロサン、インスリン、サルブタモール、エストロゲン、ノルカンタリジン、マイクロリジル(microlidil)類似体、プロスタグランジン、スタチン、コンドロイチナーゼ、ジケトピペラジン、大環状化合物、ニューレグリン、オステオポンチン、アルカロイド、免疫抑制剤、抗体、アビジン、ビオチン、クロナゼパムがある。
局所送達するために、又は、術前若しくは術後療法として疼痛、骨髄炎、骨肉腫、関節の感染、黄斑変性、糖尿病性眼疾患、真性糖尿病、乾癬、潰瘍、アテローム硬化、跛行、血栓症、ウイルス感染、癌管理のために、又はヘルニアの治療で、活性物質(c)を送達することができる。
本発明によれば、活性物質(c)が存在する場合、微粒子中の1種類以上の活性物質の濃度は、好ましくは、微粒子の総重量を基準にして少なくとも5重量%、特に少なくとも10重量%、より詳細には少なくとも20重量%である。濃度は、必要に応じて、90重量%以下、70重量%以下、50重量%以下、又は30重量%以下であってもよい。
本発明による微粒子を使用できる分野としては、皮膚科、血管、整形外科、眼科、脊髄(spinal)、腸管、肺、鼻、又は耳の分野が挙げられる。
本発明による微粒子は、医薬用途の他に、とりわけ農業用途に使用されてもよい。特に、このような微粒子は、殺虫剤又は植物の養分を含んでもよい。
また、官能基、特に信号分子、酵素、又は受容体分子(抗体など)を少なくとも表面に提供することによって、少なくとも微粒子の表面を官能化することも可能である。例えば、受容体分子は、例えば、診断検査の一部として、本発明の粒子を使用して精製又は検出される目的の構成成分の受容体分子であってもよい。好適な官能化方法は、当該技術分野で既知の方法に基くものであってもよい。特に、受容体分子は、粒子を構成する架橋ポリマーに、残基X中の反応性部分で結合してもよい。残基X中の反応性部分の一例としては、カルボジイミド基又はコハク酸アミド基がある。
微粒子が、例えば、−OH基および/又は−COOH基を、例えば、X部分に含む場合、このような−OH基又は−COOH基をカルボジイミドで官能化することができ、それは更に粒子に結合する標的官能性部分のヒドロキシル基と反応し得る。
アミド基を含む標的官能性部分を結合させるために、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を使用してもよい。特に、微粒子がPEG部分などのポリアルキレングリコール部分を含む場合、NHSを微粒子に結合させてもよい。このようなポリアルキレングリコール部分は、特に、式IIで表されるX残基又はその一部であってもよい。
標的官能性部分は、また、−SH基、例えば、システイン残基を含んでもよく、それは、まず微粒子をビニルスルホンと反応させることによって微粒子に結合されてもよい。特に、微粒子がPEG部分などのポリアルキレングリコール部分を含む場合、ビニルスルホンを微粒子に結合させてもよい。このようなポリアルキレングリコール部分は、特に、式IIで表されるX基又はその一部であってもよい。他の様々なカップリング剤が知られている(例えば、Fisherら、Journal of Controlled release 111(2006年)、135〜144頁、および、Kasturiら、Journal of Controlled release 113(2006年)、261〜270頁を参照されたい)。
原則的に、微粒子は、当該技術分野で既知の方法で調製されてもよいが、但し、従来技術で使用されるポリマーは(少なくとも一部)架橋剤(a)で代替され、反応性希釈剤(b)が存在する。
反応性希釈剤(b)と架橋剤(a)の重量比は、0以上、通常、少なくとも10:90、特に少なくとも30:70、又は、少なくとも45:55であってもよい。好ましくは、比は、90:10以下、特に55:45以下、又は35:65以下である。
架橋剤(a)と反応性希釈剤(b)の他に、本発明の微粒子は更にポリマーおよび架橋性又は重合性化合物の群から選択される他の1つ以上の化合物を含んでもよい。ポリマーは、特に、前述のものなどのポリマーであってもよい。架橋性又は重合性化合物は、特に、アクリル化合物および他のオレフィン性不飽和化合物(例えば、ビニルエーテル、アリルエーテル、アリルウレタン、フマレート、マレエート、イタコネート又は不飽和アクリレート単位)の群から選択される化合物であってもよい。好適な不飽和アクリレートとしては、例えば、不飽和ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステルアクリレート、不飽和エポキシアクリレートおよび不飽和ポリエーテルアクリレートがある。
微粒子の性質を調節するために、例えば、活性物質の放出特性を更に調整するために、又は完全な重合を得るために(即ち、細胞毒性の可能性がある反応性不飽和結合が残留しないようにするために)、又は微粒子の粒度分布を狭くするために、他のポリマー又は重合性化合物を使用してもよい。微粒子が、架橋剤(a)、反応性希釈剤(b)および他の1つ以上の重合性化合物の組み合わせから調製される場合、架橋剤(a)、反応性希釈剤(b)および他の1つ以上の化合物からなる架橋ポリマーが形成され得る。
他のポリマーおよび重合性化合物の群、対、架橋剤(a)および反応性希釈剤(b)の総量の重量比は、0以上であってもよい。別のポリマー又は重合性化合物が存在する場合、他のポリマーおよび重合性化合物の群、対、架橋剤(a)および反応性希釈剤(b)の総量の重量比は、通常、少なくとも10:90、特に少なくとも25:75、又は、少なくとも45:55である。好ましくは、比は、90:10以下、特に55:45以下、又は35:65以下である。
微粒子は、例えば、
−微粒子中に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて反応性希釈剤(b)を選択する工程と;
−架橋剤(a)を反応性希釈剤(b)および任意に熱開始剤、光開始剤又はレドックス開始剤と混合する工程と;
−反応生成物を含む液滴を形成し、反応生成物を架橋させ、微粒子を得る工程と
で調製される。
活性物質を担持する微粒子は、例えば、
−微粒子中に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて反応性希釈剤(b)を選択する工程と;
−架橋剤(a)を反応性希釈剤(b)および任意に熱開始剤、光開始剤又はレドックス開始剤と混合する工程と;
−反応生成物を含む液滴を形成する工程と;
−反応生成物を架橋させ、微粒子を得る工程と;
−活性物質(c)を溶媒(d)に溶解させる工程と;
−溶媒(d)に溶解させた活性物質(c)の溶液で微粒子を浸漬する工程と;
−微粒子溶液から溶媒(d)を除去する工程と
で調製することができる。
溶媒は、溶媒蒸発により又は凍結乾燥により除去されてもよい。
溶媒(d)は、活性物質(c)を溶解させ、活性物質(d)に対して反応性がない任意の液体であってよい。例としては、アルコール、塩素化溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、水、エーテル、エステル、ホスホン化緩衝液、ケトン(例えば、アセトン)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびN−メチルピロリドン(NMP)が挙げられる。
式IIによる架橋剤を使用する場合、微粒子は、例えば、
−多官能性ラジカル重合性化合物Xを、式III
O=C=N−R−C(R)=CHR 式III
(式中、X、R、RおよびRは上記に定義した通りである)
で表されるイソシアネートと反応させる工程;
−反応生成物(式IIで表される)を反応性希釈剤(b)と混合する工程;
−反応生成物および反応性希釈剤(b)を含む液滴を形成する工程;
−反応生成物を架橋する工程;
によって調製される。
このような方法の利点は、2つの出発物質、即ち、Xを提供する化合物と式IIIの化合物のみから出発して微粒子を調製することができ、とりわけ、式IIIの化合物は市販されているため、微粒子の調製が簡単なことである。
代替の調製経路は、次の反応:
X+OCN−R−NCO+HO−R−A−C(=O)−C(R)=CH
(式中、Rは脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基であり、Rはアルキル(C2〜C4)であり、Aは、O又はNから選択され、Rは式IIで定義した通りである)
による。
このような代替の調製方法は、実際的な理由で、とりわけ様々なR基を有する原料が商業的に得られる容易さの点で有利である。イソシアネートの代わりに、チオイソシアネートを使用することもできる。
液滴は、好ましくは、不連続相中に反応生成物を含むエマルションを作製することによって形成される。式IIの化合物を、例えば、水、水溶液、又は別の液体若しくは溶媒中で乳化させてもよい。既知の界面活性剤、例えば、トリトンX、ポリエチレングリコール又はTween 80を使用することによって、エマルションの安定性を向上させてもよい。乳化重合の使用は簡単であり、特にバッチ法に適している。
また、押し出し、噴霧乾燥又はインクジェット法を使用して、液滴を調製することも可能である。本明細書では、典型的にはノズルを使用して、好適な気体、例えば、空気、窒素、若しくは希ガス等の中に、又は液体および反応生成物の非溶媒中に、反応生成物を含む液体を押し出す、又は「噴出させる」。配合物の粘度、振動ノズル、および/又は、電界が印加されるノズルの使用により、液滴のサイズを制御することができる。例えば、Espesitoら、Pharm.Dev.Technol 5(2)、267〜278頁、又は、Ozekiら、Journal of controlled release 107(2005年)、387〜394頁に記載されるように、非溶媒又はガスに好適な温度を選択することによって、および/又は、別の条件、例えば、放射線を適用することによって、架橋が達成され、それによって本発明の微粒子が形成される。このようなプロセスは、特に、連続的に実施されるのに適しており、それは、特に、大量の微粒子を調製する場合に、有利な可能性がある。
反応温度は、通常、架橋剤(a)の融点より高い。また、任意に、化合物を溶媒に、化合物の融点より低温又は高温で、溶解させることもできる。比較的低温で液滴を形成できることの他に、これは、多孔質の粒子を調製するために有用な可能性がある。また、反応性溶媒、例えば、重合試薬と反応し得る溶媒、例えば、ラジカル重合性モノマーである溶媒を使用することも可能である。このようにして、微粒子の網目構造の密度を微調整することができる。温度は、一般に、(1つ以上の)液相の沸点より低い。
ビニル基を含む架橋化合物について既知の任意の好適な方法で、特に、熱開始(過酸化物又はアゾ開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどの熱開始剤を用いる)によって、光開始(ノリッシュ(Norrish)I型又はII型開始剤などの光開始剤を用いる)によって、レドックス開始(レドックス開始剤を用いる)によって、又は、化学的化合物および/又は電磁放射線を使用してラジカルを発生させる(他の)任意の機構によって架橋を実施してもよい。好適な架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートがある。
本発明に従って、十分な封入効率で、微粒子に1種類以上の活性物質を担持させることが可能である。本明細書では、封入効率は、担持された微粒子が24時間、1つ以上の洗浄工程を経た後の粒子中の活性物質の量を、微粒子に担持させるのに使用した活性物質の量で除したものと定義され、例えば、洗浄工程で除去される活性物質の量を測定することによって求められる。担持条件に応じて、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも90%又はそれ以上の効率が実現可能である。
ここで、以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[材料および方法]
ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート(AAEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、フェノキシエチルアクリレート(PhEA)、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMEA)、アクリル酸エチル(EA)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンおよび2−エチルヘキサン酸スズ(II)は、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から購入した。ポリビニルアルコール(PVA)(加水分解度88%、分子量=22,000)は、アクロス・オーガニックス(Acros organics)で購入した。エベクリル(Ebecryl)1040は、サイテック・インダストリーズ(Cytec industries)から購入した。ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサンおよびジクロロメタン(DCM)は、Merckから購入した。N−ヘキサンは、VWRから購入した。チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス(Irganox)1035)および2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(ダロキュア(Darocure)1173)は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から購入した。D,L−ラクチドおよびグリコリドは、ピューラック(Purac)から購入した。L−リシンジイソシアネートエチルエステル(OEt−LDI)は、DSLケミカルズ(DSL Chemicals)から購入した。L−リシンジイソシアネートエチルエステルを使用前に真空蒸留した。1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンを使用前に酢酸エチルから再結晶した。他の化学物質は、そのまま使用した。
核磁気共鳴(NMR)実験は、Varian Inova 300 spectrometerで実施した。
赤外実験は、Perkin Elmer Spectrum One FT−IR Spectrometerで実施した。
測定した(メタ)アクリレート転化率は、減衰全反射(ATR)アクセサリを備えたPerkin Elmer Spectrum One FTIR spectrometerで実施した。4cm−1のスペクトル分解能で20回の走査を平均して、4000〜650cm−1の赤外スペクトルを記録した。透過スペクトルを吸収スペクトルに変換した。1640および815cm−1でピーク高さを求め、二重結合の消費を測定した。
微粒子は、Ultraturrax(Janke & Kunkel IKA Labortechnik model T25)を用いた機械的攪拌により調製された。
LST 200 Series Laser Diffracction Particle size analyzer(ベックマン・コールター)を使用して微粒子の粒度分布を測定した。標準物質は、UHMwPE(>50μm)であった。
Leica DMLB microscope(倍率×50〜×400)を使用して微粒子の形態を分析した。
分子量分布は、Waters 2410 Refractive index detectorおよびWaters dual λ absorbance UV−detectorを備えたWaters GPCで測定した。
[実施例1:(PLGA)1550(OH)の合成]
グリコリド(48.63グラム、0.4189mol)、D,L−ラクチド(60.62グラム、0.4206mol)、および1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(10.43グラム、0.07777mol)を500mlの反応フラスコ内で窒素下で一緒に攪拌し、150℃まで加熱した。2−エチルへキサン酸スズ(II)(189mg)(反応物の総重量に対して0.05%(m/m))を1mlのn−ヘキサン中に溶解させることによって触媒溶液を作製した。この溶液を150℃の反応混合物に添加した。これを150℃で18時間攪拌した時点で、NMRで示されるように反応が終了していた。H−NMR(300MHz,CDCl,22℃,TMS):δ(ppm)=5.3−5.1(8.6H,m,CH),4.8−4.6(17H,m,CO−CH−O),4.3−4.0(10.5H,m,C−CH+CH−OH+CO−CH−OH),1.8−1.2(22.4H,m,CH−C +C −C −C −CH),0.9(3H,m,CH−CH)。
[実施例2:OEt−LDI−HEAの合成]
L−リシンジイソシアネートエチルエステル(OEt−LDI)(247.17グラム、1.0926mol)、イルガノックス1035、450mg(総重量を基準にして0.12重量%)、および2−エチルへキサン酸スズ(II)180mg(反応物の総重量に対して0.048%(m/m))を100mlの反応フラスコ内で、乾燥空気下、室温で一緒に攪拌した。2−ヒドロキシエチルアクリレート126.54g(1.0898mol)を10分で滴下した。反応混合物を18時間、40℃で攪拌した時点で、NMRで示されるように反応が終了していた。H−NMR(300MHz,CDCl,22℃,TMS):δ(ppm)=6.4(H,m,CH,Cisアクリレート),6.2(H,m,CH−C=O,アクリレート),5.9(H,m,CH,Trans,アクリレート),5.4(H,broad,N−CH),4.8(H,broad,NH−CH),4.4−4.2(7H,m,O−C −CH+O−C −CH−O+O−CH−C −O+C−NH),4.0(H,m,CH−NCO),3.4(2H,m,CH−NCO),3.2(2H,m,CH−NH),1.9−1.3(8H,m,C −C −C −CH+O−CH−C )。
[実施例3:(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)5317−25の合成]
(PLGA)1550(OH)(119.68グラム、0.09832mol)、イルガノックス1035、304mg(総重量を基準にして0.19重量%)、2−エチルへキサン酸スズ(II)121mg(反応物の総重量に対して0.08%(m/m))およびTHF100mlを100mlの反応フラスコ内で、乾燥空気下で一緒に攪拌した。OEt−LDI−HEA48.41g(0.1414mol)を30分で滴下した。反応混合物を18時間、30℃で攪拌した時点で、IRおよびNMRで示されるように反応が終了していた。ロータリエバポレーターでTHFを留去した。H−NMR(300MHz,CDCl,22℃,TMS):δ(ppm)=6.4(2H,m,CH,Cisアクリレート),6.2(2H,m,CH−C=O,アクリレート),5.9(2H,m,CH,Trans,アクリレート),5.6(2H,broad,N−CH),5.4(2H,broad,N−CH),5.3−5.1(8.6H,m,CH),4.8−4.6(17H,m,CO−CH−O),4.4−4.0(26H,m,O−C −C −O+C−CH+C−NH+O−C −CH),3.1(4H,m,C −NH),1.9−1.2(54.7H,m,CH−C +C −CH+C −C −C −CH+O−CH−C ),0.9(3H,m,CH−CH)。
[実施例4:エベクリル1040を有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.1807g、エベクリル1040、3.0133gおよびダロキュア1173、0.1009からなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.452gとDCM0.382gからなる配合物を調製した。
配合物1.361gとPVA原液30.024gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例5:EAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.1207g、EA2.9786gおよびDarocure 1173、0.1029gの予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.4723gとDCM0.4050gからなる配合物を調製した。
配合物1.516gとPVA原液29.97gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例6:PEGMEAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.2377g、PEGMEA3.0378gおよびダロキュア1173、0.1054gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.4571gとDCM0.368gからなる配合物を調製した。
配合物1.415gとPVA原液20.211gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例7:PhEAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.2392g、PhEA3.1438gおよびダロキュア1173、0.1197gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.4816gとDCM0.569gからなる配合物を調製した。
配合物1.794gとPVA原液30.336gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例8:HEAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)6.9182g、HEA2.9942gおよびダロキュア1173、0.1055gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.5152gとDCM0.399gからなる配合物を調製した。
配合物1.462gとPVA原液30.02gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例9:AAEMAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.1248g、AAEMA3.0106gおよびダロキュア1173、0.0987gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.4763gとDCM0.366gからなる配合物を調製した。
配合物1.215gとPVA原液30.03gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例10:THFMAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)6.8471g、THFMA3.0060gおよびダロキュア1173、0.1028gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液を調製した。予備配合物1.5165gとDCM0.3968gからなる配合物を調製した。
配合物1.59gとPVA原液30.07gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例11:DMAEMAを有する(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.5213g、DMAEMA3.0016gおよびダロキュア1173、0.1018gからなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液も調製した。予備配合物1.4631gとDCM0.3648gからなる配合物を調製した。
配合物1.558gとPVA原液30.05gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[比較実験A:(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)の微粒子]
(PLGA)1550(OEt−LDI−HEA)7.6019g、DCM1.9172gおよびダロキュア1173、0.0743からなる予備配合物を調製した。また、脱イオン水1001.2gにPVA10.49gを溶解させた1%(m/m)PVA原液を調製した。予備配合物1.25gとDCM0.78gからなる配合物を調製した。
配合物1.741gとPVA原液19.992gの混合物を8000rpmで50mlのビーカー内で室温で1分間攪拌した。ここで、重合を30分間紫外線(Macam Flexicure controller、D−バルブ、400mW/s/cm)下で進行させた。その後、二重結合の消費を確認した:>98%(FT−IR,1640cm−1および810cm−1)。ここで、微粒子を6回、10mlの脱イオン水で遠心処理することにより洗浄し、上澄みをデカントした。
微粒子を70時間凍結乾燥することにより乾燥させた。
[実施例12:溶媒蒸発による薬物の微粒子への担持]
表2の、THFに溶解させたデキサメタゾンの原液を調製した。30(±2)mgの微粒子が入った遠心管に、この溶液から一定量を添加した。
その後、遠心管をローラーベンチ(roller bench)上に18時間置くことによって、遠心管からTHFを蒸発させた。
Figure 2010540499

[実施例13:凍結乾燥による薬物の微粒子への担持]
表3の、1,4−ジオキサンに溶解させたデキサメタゾンの原液を調製した。30(±2)mgの微粒子が入った遠心管に、この溶液から一定量を添加した。
その後、遠心管を凍結乾燥機に18時間入れることによって、遠心管から1,4−ジオキサンを蒸発させた。
Figure 2010540499

図1および図2は、洗浄工程で除去される活性物質の量を測定することによって求められた封入効率を示す。図は、更に、ブランクと比較したときの反応性希釈剤が存在する場合の放出を調整する能力を示す。
図1は、溶媒蒸発により微粒子に担持させた結果を示す。
凍結乾燥によりマイクロスフェアに担持させた結果である図2から、ブランクと比較して、より迅速に又はより緩速に放出することが分かる。

Claims (24)

  1. (a)好ましくはアルケン、スルフヒドリル(SH)、チオ酸、不飽和エステル、不飽和ウレタン、不飽和エーテル、および不飽和アミドからなる群から選択される2つ以上のラジカル重合性基を含む架橋剤と;
    (b)式
    −C(R)=CHR 式I
    [式中、
    −Rは、微粒子中に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて選択され、微粒子の他の構成成分と結合したときに微粒子に対する選択された活性物質(c)の親和性が高くなる構造を有するように選択され;
    −各Rは、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は任意にエステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、並びに、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)から選択され、
    −各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、および−COOCから選択される]
    によって表される最大1個の不飽和C−C結合を含む単官能性反応性希釈剤と
    を含む、架橋ポリマーを含む微粒子。
  2. が、任意にO、N、S又はPからなる群から選択されるヘテロ原子を有する直鎖、分岐(若しくはハイパーブランチ)又は環状官能基である、請求項1に記載の微粒子。
  3. が、アミン基、アミド基、カルバメート基、尿素基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、チオエステル基、炭酸チオエステル基、リン酸基、亜リン酸基、硫酸基、スルホキシド基、および/又はスルホン基を含む直鎖又は分岐(若しくはハイパーブランチ)官能基である、請求項2に記載の微粒子。
  4. が、5員環リン酸基、6員環リン酸基、5員環亜リン酸基、6員環亜リン酸基、4員環ラクトン基、5員環ラクトン基、6員環ラクトン基、5員環炭酸基、6員環炭酸基、5員環硫酸基、6員環硫酸基、5員環スルホキシド基、6員環スルホキシド基、6員環アミド基、5員環ウレタン基、6員環ウレタン基、7員環ウレタン基、5員環尿素基、6員環尿素基、および7員環尿素基からなる群から選択される環状官能基である、請求項2に記載の微粒子。
  5. 前記架橋剤(a)が、2つ以上の−CR=CHR基[式中、
    −各Rは、独立して、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)から選択され、
    −各Rは、水素、−COOCH、−COOC、−COOC、−COOCから選択される]
    を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微粒子。
  6. 前記架橋剤(a)が、式、
    X−[Y−C(=Z)−N(R)−R−C(R)=CR 式II
    [式中、
    −Xは、(少なくとも、nに等しい官能価を有する)多官能性ラジカル重合性化合物の残基であり;
    −各Yは、独立して、任意に存在し、存在する場合、各Yは独立して、O、SおよびNRの群から選択される部分を表し;
    −各Zは、独立して、OおよびSから選択され;
    −各RおよびR4は、請求項5に定義した通りであり;
    −各Rは、独立して、水素、並びに、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)の群から選択され;
    −各Rは、独立して、置換および非置換、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素基(これらの基は、任意に、エステル部分、エーテル部分、チオエステル部分、チオエーテル部分、カルバメート部分、チオカルバメート部分、アミド部分、および、1つ以上のヘテロ原子、特にS、O、PおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む他の部分の群から選択される1つ以上の部分を含有する)の群から選択され;
    −nは、少なくとも2である]
    で表される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微粒子。
  7. Xが、OH、−NH、−RNH、又は−SH多官能性ポリマー又はオリゴマーの残基である、請求項6に記載の微粒子。
  8. Xが、生体安定性又は生分解性ポリマー又はオリゴマーから選択される、請求項6又は7に記載の微粒子。
  9. Xが、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリチオエステル、脂肪族ポリチオエーテル、脂肪族ポリエーテル又はポリペプチドから選択される、請求項8に記載の微粒子。
  10. が、水素又はアルキル基である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の微粒子。
  11. が、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜14である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の微粒子。
  12. が、水素であるか、又は炭素数1〜6である、請求項6〜11のいずれか一項に記載の微粒子。
  13. 平均直径が、10nm〜1000μmの範囲、好ましくは1〜100μmの範囲である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の微粒子。
  14. 前記微粒子が、内部コアと外部シェルを含む構造を備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微粒子。
  15. 1種類以上の活性物質(c)を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の微粒子。
  16. 前記活性物質(c)が、栄養分、医薬、タンパク質およびペプチド、ワクチン、遺伝子材料、オリゴヌクレオチド、診断薬、又は造影剤の群から選択される、請求項15に記載の微粒子。
  17. 前記架橋ポリマーが、カルバメート共重合体、チオカルバメート共重合体、ウレイル共重合体、又はアミド共重合体である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の微粒子。
  18. −微粒子に担持される選択された活性物質(c)の構造に応じて反応性希釈剤(b)を選択する工程と;
    −架橋剤(a)を反応性希釈剤(b)および任意に熱開始剤、光開始剤又はレドックス開始剤と混合する工程と;
    −反応生成物を含む液滴を形成する工程と;
    −前記反応生成物を架橋し、前記微粒子を得る工程と
    を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の微粒子の調製方法。
  19. −活性物質(c)を溶媒(d)に溶解させる工程と;
    −前記溶媒(d)に溶解させた前記活性物質(c)の溶液で前記微粒子を浸漬する工程と;
    −前記微粒子溶液から前記溶媒(d)を除去する工程と
    を含む、1種類以上の活性物質(c)が担持された、請求項18に記載の微粒子の調製方法。
  20. 前記溶媒の除去が、溶媒蒸発又は凍結乾燥によって達成される、請求項19に記載の方法。
  21. 医療用途のための請求項1〜17のいずれか一項に記載の微粒子。
  22. 皮膚科、血管、整形外科、眼科、脊髄、腸管、肺、鼻又は耳の分野における治療用薬剤を製造するための請求項1〜17のいずれか一項に記載の微粒子の使用。
  23. 活性物質のための送達システムとして使用される請求項1〜17のいずれか一項に記載の微粒子。
  24. 懸濁液、カプセル、チューブ、ペレット、(ラピッドプロトタイピングによる)スキャフォールド、コーティング、パッチ、複合材料、又は硬膏若しくは(その場で形成する)ゲル中における、請求項1〜17のいずれか一項に記載の微粒子の使用。
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