JP2010536377A - 固体支持体上の核酸の安定化 - Google Patents
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Abstract
本発明は、生体分子の保存および安定化のための方法、組成物ならびにキットを提供する。本方法はトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を固体支持体に結合した少なくとも1つの生体分子に使用すること、および有機溶媒中で保存することを含む。好ましくは、生体分子は核酸である。本発明に従ってプロセスを実施するための組成物およびキットもまた提供する。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2007年8月24日出願の米国特許出願第11/844578号の開示に関し、かつその利益を主張するものであり、その開示のすべてを参照により本明細書に組み込む。
本出願は、2007年8月24日出願の米国特許出願第11/844578号の開示に関し、かつその利益を主張するものであり、その開示のすべてを参照により本明細書に組み込む。
発明の背景
発明の分野
本発明は生体分子の保存の分野に関する。より具体的には、本発明は核酸等の生体分子と固体基材とを安定化するための方法、組成物およびキットに関する。
発明の分野
本発明は生体分子の保存の分野に関する。より具体的には、本発明は核酸等の生体分子と固体基材とを安定化するための方法、組成物およびキットに関する。
関連技術の説明
DNAおよびRNA等の生体分子の解析は、遺伝子発現の研究において極めて重要であり、基礎研究だけではなく診断用途の医療分野においても極めて重要である。例えば、診断手段は、微量の細胞、組織および/または生検材料由来の核酸配列を検出するための手段、ならびに血中または血漿中のウイルス核酸を検出するための手段を含む。RNAは、特定の医薬化合物の添加等の一定の環境変化に対する細胞応答の標識として、マイクロアレイによる発現プロファイリングに使用することができる。RNAはまた別の方法において、cDNAの生成、逆転写PCR(RT−PCR)およびノーザンブロット解析に使用することができる。これらのどの技術の成功にも、出発材料として使用する核酸の品質が関与している。
DNAおよびRNA等の生体分子の解析は、遺伝子発現の研究において極めて重要であり、基礎研究だけではなく診断用途の医療分野においても極めて重要である。例えば、診断手段は、微量の細胞、組織および/または生検材料由来の核酸配列を検出するための手段、ならびに血中または血漿中のウイルス核酸を検出するための手段を含む。RNAは、特定の医薬化合物の添加等の一定の環境変化に対する細胞応答の標識として、マイクロアレイによる発現プロファイリングに使用することができる。RNAはまた別の方法において、cDNAの生成、逆転写PCR(RT−PCR)およびノーザンブロット解析に使用することができる。これらのどの技術の成功にも、出発材料として使用する核酸の品質が関与している。
生体分子を分解させずに保存することは、分子生物学の実施において重視すべき事項である。時間および労力を費やした生体分子の単離後の誤った保存状態が、アッセイ前の目的分子の分解または破壊の原因とさえなり得る。微量の分解でさえも、後の解析に使用する生体分子の品質低下を生じさせる可能性があるため、不正確な実験結果を導く。
核酸等の生体分子の保存の容易さは、保存する核酸のタイプによって決まる。例えば、DNA分子は通常、EDTA等のキレート剤を含む、水またはトリスをベースとする緩衝液等の比較的単純な液体中に、冷蔵または冷凍のどちらかの形で保存される。比較的安定なDNA分子とは異なり、RNA内のホスホジエステル結合に隣接した2’ヒドロキシル基は、塩基触媒および酵素触媒加水分解の双方において分子内求核試薬として作用する能力があるため、RNA分子は分解をより受け易い。デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)が活性のために金属イオンを必要とするために、キレート剤によって不活性化することができる一方で、多くのRNaseは、2’ヒドロキシル基を反応種として利用することによって、金属イオンの必要性を回避する。実際に、細菌のmRNAは、たった数分という、生体内(in vivo)における非常に短い半減期を有する。一般に、真核生物のmRNAはより長い半減期を有するため、数時間に渡り生体内において安定である。しかしながら細胞溶解が起こると、真核生物のmRNAはもはや保護された環境にはなく、非常に短い寿命となり得る。単離されたRNAは通常、RNaseによる分解を避けるために、無RNase水中または低イオン強度緩衝液中で、−20℃または−80℃のどちらかで保存する。RNAはまた、低温で沈殿物としてエタノール中にも保存することができ、後に、例えば精製の最終工程として遠心分離によってエタノールから分離することができる。
トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)は、ジスルフィド結合を減少させてスルフヒドリル基に還元することができる化合物である。TCEPは、タンパク質の安定化および可溶化に有用であることが分かっている。TCEPはまた、RheeおよびBurkeによって、核酸に関するプロトコルにおいてジチオスレイトール(DTT)の代わりとして提示さている(Rhee,S.S.,およびD.H.Burke,Anal.Biochem.325:137−143,2004)。これらの研究者らは、TCEPが、中性のpHから塩基性のpHで、および高温において、DTTよりも安定であることを特定した。彼らはまた、高温および中性pHにおいて、TCEPはDTTよりもRNAを大幅に安定化し得ることを特定した。これらの結果を考慮して、彼らはDTTよりもむしろTCEPが、核酸化学およびチオリン酸化学の還元剤として使用され得ると結論付けた。しかしながら、これらの研究者らは、ヌクレアーゼ活性の低減についての、または湿潤ガラスもしくはシリカフィルター上でのRNAの保存についての、TCEP、DTTまたはβ−メルカプトエタノール(BME)等の還元剤の使用に関する、いかなる研究も報告しなかった。
当技術分野の現状は、カオトロピック塩存在下でのガラスまたはシリカへの核酸の吸着と、その後に続くガラスまたはシリカ基材から保存のための緩衝液もしくは水への溶出に基づく核酸の単離を教示する。例えば、Boomら(米国特許第5234809号)は、カオトロピック基材の存在下において核酸を単離し、その後カオトロピック物質含有溶液で洗浄する方法を開示する。アルコールおよび水から構成される溶液のさらなる洗浄、およびその後の固相−核酸複合体の乾燥は、本発明の方法における任意のステップである。カオトロピック物質は、細胞の溶解および核酸の基材への結合に使用される。しかしながらこの参考文献は、ヌクレアーゼ活性の低減におけるカオトロピック物質の使用を議論していない。本特許はまた、無機基材に結合した核酸の乾燥も教示する。実際に、一般的には、当技術分野の現状は、核酸−基材複合体の乾燥後の、ガラスまたはシリカ基材からの核酸の迅速な除去、および続く水中または低イオン強度緩衝液中での低温での保存を教示する。
核酸を輸送するために、冷蔵できない現場での、および/またはドライアイスが不十分もしくは高価過ぎる現場での利用において、分子が分解することなく室温で核酸の保存を可能とする方法は有利となるだろう。血液等の基材(substrate)上の物質からの核酸の精製、および基材に結合した核酸で精製を停止する能力を与える方法を有することも、また有利となるだろう。使用者または核酸‐シリカ複合体を別の使用者へ輸送するのに都合のいいように、核酸は基材から分離およびアッセイされ得る。この生体分子の精製と生体分子の溶出との分離は、病院での使用者に、例えば、自動装置内で血液からRNAを精製し、その後安定した形状でフィルターに結合したRNAを、さらに処理するためにより専門的な研究所に送付することを可能にする。フィルターに結合したRNAは、ドライアイス中に詰める等、凍結状態で送付する必要がなく、大幅な費用削減および核酸−シリカ複合体の梱包の軽減をもたらすだろう。
本発明は、細胞培養物および血液等の試料由来の生体分子を保存ならびに安定化するための方法、組成物およびキットを提供することによって、当技術分野の要望に応える。本発明は、少なくとも一部において、RNA等の生体分子を、ガラス繊維等の無機物質に結合させながら比較的温かい温度(例えば氷点より高い)において、分解することなく保存することができるという驚くべき発見に基づく。より具体的には、無機物質に結合させながら、TCEP等の還元剤を含む組成物で処理した生体分子は、有機溶媒の存在下等で、顕著に分解することなく基材上で保存が可能である。還元剤による処理および有機溶媒中の基材に結合した生体分子の保存の組み合わせを含む、還元剤による生体分子の処理は、現在安定性に悪影響を及ぼすと考えられている温度において、分子、特にRNA分子の安定性をもたらす。
第1の態様において、本発明は1以上の生体分子を保存および/または安定化する方法を提供する。一般的に、本発明の方法は、固体支持体(本明細書において、固体マトリクス、固体基材または無機基材ともいう)に結合した目的の生体分子を、1以上の還元剤に接触させるステップと、および生体分子を1以上の有機溶媒に接触させるステップとを含む。好ましい実施形態において、還元剤の少なくとも1つはTCEPである。結合分子を1以上の還元剤および有機溶媒に曝露すると、生体分子の安定化を生じ、そして実質的に結合状態で無期限に分子の保存を可能にする。場合により、一部の還元剤またはすべての還元剤が、有機溶媒と接触する前に生体分子との接触から除去され得る。複数の実施形態において、本発明の方法は、結合した生体分子を少なくとも1日間、室温等の氷点より高い温度で保存することを含む。例えば、本発明の方法は、無機基材に結合した一本鎖核酸または二本鎖核酸等の生体化合物を、還元剤を含む組成物で洗浄するステップと、有機溶媒を生体分子−基材複合体に添加するステップと、および基材に結合した生体分子を有機溶媒中に保存するステップとを含むことができる。好ましい実施形態において、本発明の方法はRNA等の一本鎖核酸を、通常は核酸にとって不安定と考えられる条件下で保存するのに用いられ得る。場合により、本発明の方法は、有機溶媒中に長期間、37℃等の高温で複合体を保存することを含む。
別の態様において、本発明は核酸等の1以上の生体分子を安定化および/または保存するのに用いられ得る組成物を提供する。一般的に、本発明の組成物は、TCEP等の1以上の還元剤および1以上の有機溶媒を含む。本発明の組成物はまた、1つの還元剤、1以上の有機溶媒および核酸等の目的の生体分子も含み得る。本発明の組成物は、無機基材に吸着または結合して複合体を形成した生体分子を含んでよく、ここで、複合体は1以上の還元剤および1以上の有機溶媒に暴露されている。例えば、本発明の組成物はTCEPおよび100%エタノールに曝露されたRNA−ガラス繊維フィルター複合体を含み得る。本発明の組成物は好ましくは、核酸、タンパク質、炭水化物等、および/またはその他の1以上の生体分子を含む。例示的な実施形態において、本発明の組成物は1以上の還元剤および1以上の有機溶媒と接触することで安定化された安定化核酸を含み、ここで安定化核酸は、還元剤、有機溶媒もしくはそれら両方の存在下で含まれるか、または還元剤および/もしくは有機溶媒から除去されている。
さらなる態様において、本発明は、無機支持体および還元剤を独立して含む1以上の容器を含むキットを提供する。例えば、本発明のキットは、目的の核酸を結合するための1以上の無機支持体、1以上の有機溶媒、1以上の還元剤もしくは1以上の還元剤を含む組成物、1以上の洗浄溶液もしくは緩衝液またはこれらの2以上の組み合わせを含み得る。本発明のキットは例えば、核酸等の生体分子を保存するために使用され得る。好ましい実施形態において、本発明のキットは目的の核酸を単離し、核酸を安定化し、かつ核酸を保存するための試薬および供給物を含む。場合により、本発明のキットは、保存された生体分子をキットの無機基材から溶出するための材料を含み得る。一般的に、本発明のキットは、本発明の方法を実施するのに使用するための材料、試薬、供給物等を含む。
本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の一部の実施形態を説明し、かつ記載された説明と共に、本発明の多様な原理を説明するのに役立つ。図面が本発明の範囲または内容を制限するものと解釈されないことが理解されるべきである。
本発明の多様な実施形態の詳細な説明
ここで、本発明の多様な例示的実施形態について詳細に参照する。以下の説明は、本発明の特定の実施形態における詳細を提示するために提供され、本発明の全容を制限するものと理解するべきではない。
ここで、本発明の多様な例示的実施形態について詳細に参照する。以下の説明は、本発明の特定の実施形態における詳細を提示するために提供され、本発明の全容を制限するものと理解するべきではない。
概して、本発明は、有機溶媒存在下で無機基材またはフィルターに結合した生体化合物を保存するための方法、組成物およびキットを提供する。従って、1つの態様において、本発明は1以上の還元剤を含む組成物に曝露した後に、有機溶媒存在下で生体分子を保存および安定化する方法を提供する。一般的に、本方法は無機基材にすでに吸着または結合した生体分子を、還元剤を含有する組成物に曝露するステップと、有機溶媒を添加するステップと、および相当の期間保存するステップとを含む。好ましい実施形態において、還元剤はTCEPである。別の好ましい実施形態において、有機溶媒を添加する前に、還元剤を含む組成物を無機基材に吸着した生体分子から分離する。本発明の方法は、還元剤に曝露する前に、生体分子が無機基材へ吸着または結合する行為を含み得る。本発明の方法はまた、保存した後に、無機基材またはフィルターの生体分子を乾燥および溶出することを含み得る。本発明の方法は、70℃以上等の、4℃を超える温度での保存に最も有用であるが、本発明の方法は4℃未満の温度での保存にも同様に有効となるだろう。
好ましい実施形態において、本発明は、一本鎖および二本鎖核酸を含む核酸の保存および安定化の方法を提供する。本発明の方法は、少なくとも1つの無機基材(本明細書において、無機支持体または固体支持体ともいう)に結合した核酸を含有する試料を、還元剤を含む組成物または溶液に曝露するステップと、この混合物に有機溶媒を添加するステップと、およびこの混合物を保存するステップとを含む。好ましい実施形態において、有機溶媒を添加する前に還元剤を除去する。この混合物は、冷蔵せず、かつ顕著に核酸が分解することなく、長期間保存できる。
驚くべきことに、ガラス繊維フィルターに結合したRNA等の固体支持体に結合した生体分子の、TCEP等の還元剤および有機溶媒との(あらゆる順序または組み合わせでの)接触は、当技術分野において生体分子の迅速かつ実質的な分解が生じると知られる温度での保存を含む、顕著に分解することなく長期間保存可能なほど、生体分子の安定化をもたらすことを見出した。従って、本発明の方法は、RNA等の通常室温以上において不安定である生体分子が、37℃等の通常では厳しい条件下でも、少なくとも3日間といった長期間、分解からの保存および安定化を可能とする。当技術分野における現在の教示は、ヌクレアーゼによる核酸の分解を回避するために、核酸分子の保存は低温(例えば4℃以下)でするべきであることを強く勧めている。従って、例えば現在のプロトコルは一般的に、核酸、特にRNAがより温かい温度で残存できる時間を最小限とすることを推奨している。一般的に、RNA単離プロトコルは精製の間、RNA混合物を氷上に維持し、かつRNAを−80℃等のできるだけ低温で保存することを勧めている。しかし、本発明の方法によれば、固体基材に結合したようなRNA分子を、RNA分子の品質を顕著に損なうことなく、37℃で数日間といった、比較的高温で長期間保存することが可能である。
本明細書で用いる用語「生体分子」は、細胞内に見られる、またはウイルスを含む生物により産生される、あらゆる分子を指す。「生体分子」は、核酸、タンパク質、炭水化物および脂質を含み得るが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、生体分子は核酸を指す。生体分子は、あらゆる種類の組織、培養細胞、体液、全血、血清、血漿、尿、便、微生物、ウイルス、植物および酵素反応後の核酸を含む混合物等の、多様な試料から単離され得る。例示的な組織は、昆虫および軟体動物等の無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類ならびにヒト、ラット、イヌ、ネコおよびマウス等の哺乳類等の脊椎動物由来の組織を含む。培養細胞は、細菌、藍藻、放線菌類およびマイコプラズマ等の原核生物、ならびに植物、動物、酵母等の菌類および原生動物等の真核生物由来であり得る。
本発明の好ましい方法において、保存する生体分子は核酸である。天然のDNA(例えばゲノムDNA)およびプラスミド、人工染色体等といった組み換えDNA等の、あらゆる種類のDNA分子が本方法によって保存され得る。DNAのサイズは制限されない。本方法によって保存可能なRNAは、mRNA、tRNA、rRNA、ならびにsnRNA、snoRNA、miRNAおよびsiRNA等の非コードRNAを含む。本方法によって保存可能なRNAのサイズは制限されないが、通常は約20ヌクレオチド(siRNA等)から約5kbまたは6kb(mRNA等)を超える範囲である。
生体分子を吸着するのに使用する無機基材は、目的の分子を結合可能なあらゆる基材であってもよい。従って、「無機基材」は無機物を必ずしも含んでいる必要はない。むしろ、この用語は、目的の生体分子が結合、吸着等するすべての固体物質または不溶性物質を表すために広く本明細書に使用される。例えば、本発明に関わる無機基材は、例えば、ポリスルホン(PSU;Pall Corp.のBTS膜等)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PSU/PVP複合材料(例えば、Pall Corp.のMMM膜)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ナイロンおよびニトロセルロースで作られる単シート/単層または複数シート/多層であり得る膜等の高分子材料であってもよい。「無機基材」はまた、2以上の固体/不溶性基材の複合材料または混合物を含み得る。核酸の結合のために、多孔性もしくは非多孔性金属酸化物または合金酸化物、シリカゲル、砂、珪藻土、未処理ガラス粒子等のガラスを主成分とする材料、ガラス粉、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタンおよび二酸化ジルコニウムを含む、あるいはこれらからなるフィルターが好ましい。ガラスを含む繊維フィルターまたは繊維フィルターの形状になり得るあらゆる他の材料が、本方法に使用され得る。アルカリ土類金属を無機基材に使用する場合、これらをエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはEGTAによって結合してもよく、サルコシン酸塩が、湿潤剤、洗浄剤または分散剤として使用され得る。また、無機基材に使用されるあらゆる材料を、磁気特性を有するように加工してもよい。無機基材の粒子サイズは、好ましくは0.1マイクロメートル(μm)〜1000μmであり、細孔のサイズは、好ましくは2μm〜1000μmである。無機基材は、ガラス、石英またはセラミックで作られたフィルター層内で、シリカゲルが配置された膜内で、粒子内で、繊維内で、石英およびガラスウールの繊維内で、ラテックス粒子内でまたはポリエチレン、ポリプロピレンおよびフッ化ポリビニリデン等のガラス材料で、遊離して存在し得る。無機基材は、粉末等の固体の形状であってもよく、または液体試料と混合する場合は固体と液体との懸濁液であってもよい。無機基材は層内にも存在してもよく、ここで1以上の層は試料を吸着するのに共に使用される。1つの実施形態において、無機基材は、微小遠心管内に入れることのできる遠心カラムまたは遠心カップ内に充填される。別の実施形態において、より大きな試料より生体分子を単離するために、無機基材はより大きな遠心カラムまたは遠心カップ内に充填される。さらに別の実施形態において、無機基材は充填されずに遊離して存在し、かつ試料と混合される。無機基材はまた、陽圧および/または陰圧などによって液体が通過可能なフィルター容器に存在し得る。本発明の方法は、生体分子が多くの試料から単離するハイスループット精製および/または自動精製の後に、核酸を保存するのに使用され得る。例えば、無機基材は96穴結合プレート内に存在し得る。
本発明の方法は1以上の還元剤を使用する。還元剤は、特に1以上の電子を供与することによって、別の基材を化学的に還元する、あらゆる物質であってもよい。特に、TCEP、BMEおよび/またはDTT等のジスルフィド還元剤(つまり、ジスルフィド結合を還元することができる)である還元剤は、本発明の方法に特に適切となり得る。好ましい実施形態において、C9H15O6Pの化学式を有するジスルフィド還元剤であるTCEPは、本発明の方法で使用する少なくとも1つの還元剤である。TCEPはまた、一般的にTCEP−HClとして使用される。本明細書において参照しやすいように、用語TCEPはこの分子のすべての形態を指すのに用いる。TCEPの炭素原子に置換および付加を有する化合物が、生体分子が高温で長期間安定であることを可能とするという点で、TCEPのように作用し得ることを想定することもできる。例えば、1以上の炭素は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、セプチルおよびオクチル等の短鎖アルキル基と置換され得る。同様に、ヒドロキシル基置換は、カルボキシル基およびカルボニル基のような1以上の炭素において許容され得る。窒素含有基、硫黄含有基および酸素含有基も同様に、1以上の炭素において置換され得る。しかしながら、ヌクレアーゼに存在するジスルフィド結合の還元を抑制し、先述の条件下での生体分子の不安定化を誘導するTCEPの修飾は、本発明の方法において有利ではないかもしれない。また、本明細書において、(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス;C4H11NO3)またはトリス−塩酸は、TCEP(C9H15O6P)とは異なることを実証する。トリスはまた、トリス塩基、トリス緩衝液、トロメタミン、トロメタン等としても知られる。
1以上の生体分子を、好ましくは長期間、保存および/または安定化する方法において、用語「保存」は、その現在の状態を維持する操作をしない等、目的の生体分子を実質的に不変の状態で維持することを意味する。用語「安定化」は、1以上の生体分子を時間経過に伴って顕著に変化しない状態に維持することを意味する。変化は、目的の生体分子に関連したあらゆるアッセイによって観察され得る。例えば、核酸分子について、分解またはそれらの欠落は、ゲル電気泳動、紫外分光光度法、PCRアッセイおよび/または核酸分子の品質を検出し得るあらゆる他のアッセイによって検出され得る。顕著に分解されない(変化しない)ことは、目的の分子が、所定の目的のための分子の解析または分子の使用に必要とされる範囲内で、まだ無傷である(分解されていない)ことを意味する。例えば、顕著に分解されていない分子は、50%を超える分子が無傷であることを示すような分子の集合内のものである。さらに好ましくは、約70%、80%または90%が無傷といった、約60%を超える分子が無傷である。
本発明の方法において、核酸等の生体分子は、顕著に分解することなく長期間保存され得る。場合によっては、生体分子は、当技術分野において分子の安定保存に不適切であると認識されている温度で、長期間保存される。例えば、RNA保存の場合において、一般的に、RNAが経時的に安定性を維持することを確保するために、RNAは−20℃または好ましくは−80℃等の0℃未満の温度で保存するべきであると認識されている。本発明の方法において、RNAは顕著に分解することなく、長時間0℃を超えた温度で保存され得る。いかなる特定の最小または最大時間も限定しないが、保存のための例示的な時間は1分以下〜1時間以上を含む。例えば、保存は約1時間〜数日間、何週間または12ヵ月といった月までも実施され得る。生体分子が分解されずに保存され得る時間は、目的の分子および保存の温度にある程度依存する。当業者は、分、時間、日、月および年のすべての特定の数値が、各々の特定の数値を特に列挙する必要なく、本明細書が列挙する範囲に含まれることを認識するだろう。
本発明は、1以上の生体分子を保存する方法を提供する。例えば、RNAおよびDNA等の核酸は、これらの方法に従って、何時間〜何日といった長期間保存され得る。保存は、凍結温度(−20℃または−80℃等)、冷蔵温度(4℃等)、室温(20℃〜24℃等)、高温(37℃等)またはこれらの間のあらゆる温度でされ得る。一部の生体分子の保存は、約37℃〜約60℃等、37℃より高温でされ得る。要するに、保存のための温度は制限がないが、一般的には保存または輸送される試料が曝露され得る温度である。保存時間と同様に、温度に対する特定の数値は、記載する範囲の各々およびすべての数値が本発明に含まれることを理解するために、当業者に対して本明細書に特別に開示する必要はない。
まず、目的の生体分子がガラス繊維フィルター等の無機基材に吸着または結合した後に保存することが想定される。一旦目的の生体分子を他の分子から分離し、フィルターに結合させると、使用者が目的の生体分子を生物学的アッセイ等で操作すること、または目的の生体分子を別の使用者に輸送することを望むまで、目的の生体分子は保存され得る。例えば、核酸等の生体分子を、プラスチック容器内にガラス繊維フィルターを含む自動精製システムを使用して精製する場合、ガラス繊維に結合した精製核酸を含むプラスチック容器は、低温のためにプラスチックが破損する心配をすることなく、室温で輸送され得る。この方法をすでに精製された生体分子を保存するのにも使用可能な場合があり得る。例えば、輸送を容易にするために、精製RNA分子をガラス繊維フィルターに結合し得る。
別の観点から、本発明の方法は、ガラス繊維フィルター等の無機基材上の生体分子を安定化する方法を提供する。核酸等の生体分子は無機基材に結合して、分子が分解されることなくさまざまな温度に維持され得る。分解した分子をアッセイに使用することは不正確な結果を導くことが多いため、生体分子を単離および保存する間、生体分子を無傷で維持されていることの確認が、多くの場合に重要であることが、当業者によって理解される。前記の通り、RNA分子はそれらの構造およびRNA分解酵素活性への脆弱性のため、高温で不安定である。本発明の方法は、RNA等の生体分子を長期間、冷蔵温度以上において安定な状態で保存することを可能とする。
実施形態において、本発明の方法は、生体化合物−無機基材複合体を、1以上の還元剤または1以上の還元剤を含有する組成物と接触させることを含む。本明細書において時折、この接触ステップを「洗浄ステップ」と呼ぶ。特定の方法はまた、還元剤に曝露する前に、手動または自動的のどちらかで、生体化合物を無機基材と混合して複合体を形成することも含み得る。例えば、複合体は核酸等の生体化合物を、ガラス繊維フィルターに適切な条件下において手動で添加することにより形成され得る。複合体はまた、自動化された様式で化合物をガラス繊維フィルターに吸着させる機械に、生体化合物を添加することによっても形成され得る。生体化合物−無機基材複合体の形成だけが、手動または自動的に実施できるのでなく、本発明のあらゆるステップの方法もまた、手動的または自動的のどちらかで行われ得る。例えば、TCEP等の還元剤を含む組成物の添加は、手動でまたは機械的に実施され得る。
本方法において還元剤は、精製化合物または組成物の一部として使用され得る。還元剤を含有する組成物は、生体分子のフィルターへの吸着または結合を維持可能なあらゆる組成物であってもよい。好ましくは、組成物は、塩およびエタノール等の有機溶媒、ならびにTCEP等の還元剤を含み得る。これらの方法に使用される塩は、塩化グアニジウム、チオシアン酸グアニジウム、イソチオシアン酸グアニジウム、過塩素酸ナトリウムおよびヨウ化ナトリウム等のカオトロピック塩であってもよい。非カオトロピック塩もまた使用してもよく、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、ならびにルビジウム塩およびセシウム塩等の、I族アルカリ金属の塩を含み得る。一般的な事項として、有機溶媒の存在下で生体分子の無機基材への継続的な結合を可能とするあらゆる塩が、本方法において使用され得る。本発明における塩は、ある特定の塩でもよく、または塩の混合物が使用されるような塩の配合物を含んでいてもよい。本発明の方法における塩濃度は、1mM〜500mMまたは500mM〜1M等の約0M〜5Mの範囲であり得る。当業者は、塩濃度のすべての特定の数値が、各々の特定の数値を特に列挙する必要なく、本明細書に列挙する範囲に含まれることを認識するであろう。このステップに適した有機溶媒は、エタノールまたは以下に詳述するようなエタノールに類似した有機溶媒を含み、最終濃度は約25%〜約100%であり得る。組成物中のTCEP等の還元剤の濃度は、約0.01mM〜約100mMの範囲であり得る。還元剤を含む組成物のpHは、あらゆるpHであるが、一般的には約4〜約8の範囲であり得る。pHを望ましい範囲に維持するために、1以上の緩衝剤を組成物中に含み得る。当業者は、生体材料を含む組成物の緩衝をするのに利用可能な、多様な緩衝液を熟知している。RNAの加水分解の傾向のため、生体分子がRNAである場合は、8を超えるpHが不適切であることが想定できる。しかしながら、一部の他の生体分子のための緩衝液のpHは8より高くてもよい。実施形態において、還元剤を含む組成物は、異なる分子として(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス;C4H11NO3)またはトリス−塩酸を単独で含まない。
本発明の方法において、還元剤および生体分子は組成物(例えば混合物)中等で接触が生じる。一部の実施形態において、一部の還元剤、基本的にすべての還元剤またはすべての還元剤が、生体分子の保存の前に、生体分子含有組成物から除去される。除去は、還元剤および生体分子の物理的分離によるもの(例えば、ピペット操作、傾斜法、蒸発)、大容量の1以上の液体による還元剤の希釈によるもの(例えば、洗浄または単に容量の大きな上昇)または還元剤を除去できるあらゆる他の手段でもよい。例えば、還元剤含有緩衝液は、フィルター上に吸着した生体分子に添加することができ、その後、重力、遠心分離、陽圧および/または真空等を含むがこれらに限定されない、あらゆる好適な技術を用いて除去することができる。分離方法は当技術分野においてよく知られているため、本明細書には詳述しない。1つの作用様式に限定されることはないが、RNA分子の保存の場合、本発明の方法のこのステップは、フィルターに吸着したRNAに付属して存在するRNA分解酵素活性を、減少または除去すると考えられる。
生体分子(フィルターに結合した生体分子等)を還元剤(例えばTCEP含有緩衝液)と接触させた後、生体分子を1つの有機溶媒または2以上の溶媒の混合液と接触させる。例えば、1以上の有機溶媒を、生体分子‐フィルター複合体を含む容器に添加することができる。このステップは、還元剤処理の後に残存し得るあらゆる残留ヌクレアーゼ活性を、減少または除去すると考えられる。本発明の方法で使用する有機溶媒は、生体分子の無機基材への継続的な結合を可能とする、あらゆる有機溶媒であり得る。有機溶媒は、エタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、モルホリン、テトラグライム、ジメチルスルホキシドおよびスルホランであってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、有機溶媒はエタノール、エタノールに類似した有機溶媒またはこれらの混合物である。エタノールに類似した有機溶媒とは、化学的特性および物理的特性が「類似」した溶媒を意味する。例えば、溶媒は類似した特定の比重、水への混和性または生体分子の無機基材もしくはフィルターへの継続的な結合を可能とする、他の特性を有し得る。「これらの混合物」は、2種類以上の有機溶媒が緩衝液において使用され得ることを意味する。例えば、エタノールとジオキソランとの混合物、スルホランとジオキソランとの混合物、エタノール、ジオキソランおよびアセトニトリルの混合物等は、生体分子の無機基材への継続的な結合のために使用できる。このステップに使用できる有機溶媒の混合物に多くのバリエーションがあり、混合物は2以上の有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒の最終濃度は、目的の分子の継続的な結合を可能とするあらゆる量であり得る。核酸に対しては、70%〜100%、例えば90%〜100%といった、約50%〜100%の範囲であってもよい。
フィルターに吸着した生体分子は、有機溶媒中で長期間保存できる。目的の生体分子によって、保存は数分から、恐らく数時間〜数日の範囲であり得る。RNA分子の例示において、本発明の方法はRNAを少なくとも3日間37℃で保存するのに用いることができ、これが驚くべき結果であるのは、当技術分野において、そのような条件がRNAの保存には極めて不都合であると広く認識され、教示されているためである。DNA分子の場合においては、顕著に分解されることなく数日または数ヶ月保存され得る。無機基材に結合または吸着した一部のタンパク質の場合において、安定性は目的の特定タンパク質に依存するだろうが、また数日〜数ヶ月またはそれ以上の範囲であろう。
上記の通り、実施形態において、本発明の方法はガラス繊維フィルター材料に結合したRNA等の、無機基材に結合した生体分子において実施される。目的の分子が無機基材に結合される場合、本発明の方法は、有機溶媒中での保存の後といった保存後に、生体分子を無機基材から溶出することを含み得る。生体分子を無機基材から溶出するステップは、まず水および有機溶媒(例えばエタノール)を除去するために無機基材を乾燥させる(例えば単純に空気中で蒸発させることによる)ステップと、次に溶出緩衝液または水等の液体を基材に添加するステップと、場合により、溶出が生じるのに十分な時間(例えば約5秒〜1時間以上)、液体が基材および目的の分子と接触したままであることを可能とするステップと、および液体を基材から分離するステップとを含み得る。一部の環境下で、溶出に先立ち、水および他の有機化合物を蒸発により除去するのを促進するために、結合した生体分子をアセトン等の高揮発性有機化合物に曝露してもよい。実施形態において、核酸を溶出する場合、一般的に、約0秒〜約10秒または約0〜約5分間等の、約1秒〜約20分間のインキュベーションをしてもよい。好ましい実施形態においては、約2分間インキュベーションする。このステップの間、基材に結合した核酸分子の多くは液体中に溶出するはずである。約26℃〜約80℃等の温かい液体または約20℃〜約25℃等の室温に近い液体でインキュベーションし得る。好ましくは、溶出溶液(例えば緩衝液)が塩を含む場合、塩は約6〜約10のpKa値であり、緩衝液は約100mMまでの塩濃度である。例えば、10mMトリス(pKa8.0)pH8.5は、生体分子を無機基材から溶出するのに使用できる。
従って、複数の実施形態において、本発明は核酸等の生体化合物の保存方法を提供し、ここで本方法は:a)還元剤を含む組成物を無機基材に結合または吸着した少なくとも1つの生体分子に添加するステップと、b)場合により、無機基材に結合した生体分子から還元剤を除去するステップと、c)無機基材に吸着した生体分子に有機溶媒を添加するステップと、およびd)無機基材に吸着した生体分子をしばらく保存するステップとを含む。1つの例示的な実施形態において、目的の生体分子はRNA分子であり、還元剤はTCEPである。本方法はまた、還元剤を添加するステップおよび/またはフィルターを乾燥するステップ、ならびに生体分子を保存後にフィルターから溶出するステップの前に、生体分子を無機基材に付着するステップを含み得る。
別の一般的な態様において、1以上の生体分子を保存および安定化するのに使用可能な組成物を提供する。組成物は還元剤および有機溶媒を含み得る。好ましい実施形態において、組成物はTCEPを含む。組成物はまた還元剤、有機溶媒および核酸等の生体分子を含み得る。還元剤および有機溶媒に曝露した、生体分子−無機基材複合体を含有する組成物が提供される。一般的に、本発明の組成物は、無機基材またはフィルター、有機溶媒および二本鎖核酸(例えばDNA)、一本鎖核酸(例えばRNA)またはタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチド等の少なくとも1つの生体分子を含む。一部の実施形態において、組成物は生体分子が無機フィルターへの吸着を継続可能にし、かつ生体分子の安定化を可能にする、十分な量の有機溶媒および還元剤(例えばTCEP)を含む。本発明の方法で有用な、さまざまな範囲の有機溶媒および還元剤、ひいては本発明の組成物は上記に開示され、そしてあらゆるこれらの範囲または特定の濃度が本発明の組成物において使用できる。さらに、さまざまな塩および塩の濃度が上記の本発明の方法の文脈中で論じられる。あらゆるこれらの塩、塩の組み合わせ、範囲または特定の濃度は、本発明の組成物に使用できる。さらに、組成物中に存在し得るさまざまな種類および量の無機支持体が、本明細書中に開示される。
複数の実施形態において、本発明は安定化核酸を提供する。安定化核酸は、本発明の安定化の方法から生じるものである。従って、例えば、安定化核酸は、TCEP等の還元剤および1以上の有機溶媒で処理されているものであってもよい。複数の実施形態において、安定化核酸は、少なくとも1つの有機溶媒および場合により還元剤を含む組成物中に存在する。組成物において、還元剤は比較的高濃度(例えばミリモルの範囲)または比較的低濃度(例えばマイクロモル、ナノモル、ピコモルの範囲)で存在し得る。場合により、洗浄または還元剤を除去することを目的とした、他の処置によって除去されない程度だけ還元剤が存在する。場合により、還元剤を含む組成物を1以上の有機溶媒により希釈した結果として、還元剤が存在する。一部の実施形態において、安定化RNAが提供する。これらの実施形態において、安定化RNAを1以上の還元剤と接触することおよびRNAを1以上の有機溶媒と接触させることによって生成する。好ましくは、RNAを有機溶媒との接触の前に還元剤と接触させる。場合により、一部の還元剤、実質的にすべての還元剤またはすべての還元剤を、RNAの有機溶媒との接触の前にRNAから除去する。場合によっては、還元剤、有機溶媒またはその両方に曝露する前に、RNAを固体支持体に結合する。
さらに別の一般的な態様において、本発明はキットを提供する。一般的に、キットは1以上の容器を保持する梱包物を含む。一般的には、容器は本発明の方法を実施するための少なくとも1つの試薬、供給物または材料を含む。好ましい実施形態において、キットは還元剤(例えばTCEP)および有機溶媒を含み、これらは本発明の方法に従って使用する場合に、生体分子を安定化し、かつ分解されることなく保存可能とする。複数の実施形態において、キットは少なくとも1種類の核酸分子を安定化するために適切な量の還元剤および有機溶媒を保持する1以上の容器を含む。キットは、本発明の方法を実施するのに必要ないくつかの成分またはすべての成分等の、他の成分を含み得る。例えば、キットは1以上の無機基材または基材ユニット(例えば、単ユニットとして提供される無機基材の多層)を含み得る。本発明のキットに含有可能な成分の他の制限されない例示は、滅菌水、細胞溶解緩衝液、洗浄緩衝液および溶出緩衝液または溶出水である。もちろん、複数の有機溶媒が、独立的にまたは溶媒の混合液として提供され得る。
本発明を、以下の実施例によってさらに説明し、これらは本発明の単なる例示となることを目的とし、かつ本発明を決して制限するものと考えるべきではない。
実施例1 ガラス−繊維フィルター上のジャーカットRNA安定化におけるTCEPの効果
一般に、RNAは、実施例におけるすべての実験についての以下のプロトコルを用いてジャーカット(Jurcat)細胞系またはヒト白血球細胞から単離した。細胞(1×107)を50ml管内のガラス繊維遠心カップ上に収集した。細胞を10ml、次に5mlのPBS緩衝液(GIBCO製剤)で洗浄して、混入物質を減少させた。フィルターを新しい管に移した後、3mlの溶解緩衝液(5Mチオシアン酸グアニジン、20mMクエン酸ナトリウムpH7.0、0.05%サルコシル、1%Triton X−100、0.01%Anti−foam A、5mM TCEP pH5.0)をフィルターに通し、その結果細胞から核酸を遊離させた。溶解ステップにおいて、ゲノムDNAをガラス繊維フィルターに吸着させた。主にRNAを含むろ過物を測定し、等量の80%スルホランをろ過物に添加後、スルホランを含むろ過物(約500μl)の分液を、1.5ml微小遠心管内のガラス−繊維遠心カップに通した。スルホランを添加したため、このステップにおいてろ過物中のRNAはガラス−繊維フィルターに吸着した。ガラス−繊維遠心カップをさまざまな濃度およびpHのTCEPを含む500μlの低塩洗浄緩衝液(Low Salt Wash Buffer)(LSW緩衝液;2mMトリスpH6〜6.5、20mM NaCl、80%エタノール)で3回洗浄した。遠心カップをさらなる時間遠心して、ガラス−繊維フィルターを乾燥させた。対照試料のためのRNAを100μl水中に溶出後、−20℃で保存した。他の遠心カップを新しい微小遠心管に移した後、100%エタノール(200μl)または場合によりさまざまな濃度およびpHのTCEPを含むLSW緩衝液を各々の遠心カップに添加した。管をパラフィルムで密封し、37℃または室温で3日間保存した。保存後、遠心カップをLSW緩衝液で1回洗浄し、RNAを100μlの水で溶出した。アッセイを実施する前にRNAを−80℃で保存した。RNAの純度および品質をAgilent 2100 Bioanalyzerを用いて、および場合によりPCRアッセイで確認した。Agilent Bioanalyzerはミニゲルを泳動後、試料の電気泳動画像およびゲル様画像を示し、自動的にRNA品質を評価する(RINおよび28S/18S比)。
一般に、RNAは、実施例におけるすべての実験についての以下のプロトコルを用いてジャーカット(Jurcat)細胞系またはヒト白血球細胞から単離した。細胞(1×107)を50ml管内のガラス繊維遠心カップ上に収集した。細胞を10ml、次に5mlのPBS緩衝液(GIBCO製剤)で洗浄して、混入物質を減少させた。フィルターを新しい管に移した後、3mlの溶解緩衝液(5Mチオシアン酸グアニジン、20mMクエン酸ナトリウムpH7.0、0.05%サルコシル、1%Triton X−100、0.01%Anti−foam A、5mM TCEP pH5.0)をフィルターに通し、その結果細胞から核酸を遊離させた。溶解ステップにおいて、ゲノムDNAをガラス繊維フィルターに吸着させた。主にRNAを含むろ過物を測定し、等量の80%スルホランをろ過物に添加後、スルホランを含むろ過物(約500μl)の分液を、1.5ml微小遠心管内のガラス−繊維遠心カップに通した。スルホランを添加したため、このステップにおいてろ過物中のRNAはガラス−繊維フィルターに吸着した。ガラス−繊維遠心カップをさまざまな濃度およびpHのTCEPを含む500μlの低塩洗浄緩衝液(Low Salt Wash Buffer)(LSW緩衝液;2mMトリスpH6〜6.5、20mM NaCl、80%エタノール)で3回洗浄した。遠心カップをさらなる時間遠心して、ガラス−繊維フィルターを乾燥させた。対照試料のためのRNAを100μl水中に溶出後、−20℃で保存した。他の遠心カップを新しい微小遠心管に移した後、100%エタノール(200μl)または場合によりさまざまな濃度およびpHのTCEPを含むLSW緩衝液を各々の遠心カップに添加した。管をパラフィルムで密封し、37℃または室温で3日間保存した。保存後、遠心カップをLSW緩衝液で1回洗浄し、RNAを100μlの水で溶出した。アッセイを実施する前にRNAを−80℃で保存した。RNAの純度および品質をAgilent 2100 Bioanalyzerを用いて、および場合によりPCRアッセイで確認した。Agilent Bioanalyzerはミニゲルを泳動後、試料の電気泳動画像およびゲル様画像を示し、自動的にRNA品質を評価する(RINおよび28S/18S比)。
図1は、RNAを100%エタノールおよびさまざまな濃度およびpHのTCEP中で保存した1つの一連の実験、ならびにRNAをさまざまな濃度およびpHのTCEPを含むLSW緩衝液で洗浄して、100%エタノール中だけで保存した別の一連の実験を表す。すべての試料をガラス−繊維フィルター上で、37℃で3日間保存した。Aglient Bioanalyzerの出力図は、初めの一連の実験においてTCEPを保存組成物に添加した場合、TCEP(pH5.0)の添加が、RNA Integrity Number(RIN)および28/18 SリボソームRNA比に関して、ガラス−繊維フィルター上のRNA安定性を若干向上させたことを示した(対照のレーン2と比較したレーン5および6)。すなわち、TCEPを添加しなかった試料のRIN値 6.1(レーン2)と比較して、保存に使用する100%エタノールへ5mMおよび25mMのTCEP、pH5.0を添加した結果、RIN値(レーン5および6)がそれぞれ6.6および7.1となった。5mMおよび25mMのTCEP、pH5.0の試料の、それぞれの28S/18S比 0.6および0.8もまた、TCEPなしの試料の28S/18S比(レーン2)0.3と比較して好ましいものであった。5mMまたは25mMのTCEP、pH5.0を保存組成物に添加することは、TCEPを添加しなかった試料(レーン2)と比較して、より多くの28Sおよび18Sをもたらした(レーン5および6)。5mMまたは25mMどちらかのTCEP(pH2.5)を保存組成物に添加することは、28S/18S比が0、およびゲル電気泳動によって見られる無傷RNAの少なさ(レーン3および4)が示すように、この実験においてRNAの保存のために有益ではなかった。図1における対照試料(レーン1)は、水中に溶出され、エタノール存在下37℃で保存されることなく、直ちに−20℃で冷凍されたRNAを含む。
図1における第2の一連の実験において、RNAの保存のために使用さする100%エタノール組成物の代わりに、洗浄に使用するLSW緩衝液にTCEPを添加した。Agilent Bioanalyzerの出力図は、TCEPの添加を何もしない試料のRIN値 6.1(レーン2)と比較して、TCEP、pH5.0を各々0.2mM、1mMおよび5mMの濃度でLSW緩衝液に添加した試料は、8.2、8.0および8.0の好ましいRIN値を示した(レーン10〜12)。TCEPの添加を何もしない試料の、28S/18S比(レーン2)0.3と比較して、TCEP、pH5.0を各々0.2mM、1mMおよび5mMの濃度でLSW緩衝液に添加した試料の、好ましい28S/18S比1.5、1.5および1.3が同様に見られた(レーン10〜12)。
図2は、LSW緩衝液に添加したTCEPの濃度(0.2、1および5mM)ならびにpH(5.0、6.0および7.0)のさらなるバリエーションの効果を示す。ガラス繊維フィルターに結合したRNAをLSW緩衝液で洗浄し、緩衝液を遠心分離により除去した後、RNA−ガラス繊維フィルター複合体を100%エタノール中、37℃で3日間保存した。TCEP、pH5.0を緩衝液に添加する条件を2連で実施し、Agilent Bioanalyzerの出力図に見られる通り、緩衝液においてpH5.0で1mM濃度のTCEP(レーン2および5)が、レーン1、3、4および6と比較して、最良の品質のRNAとなったことを示す。すなわち、1mM TCEP、pH5.0の試料に対して見られるRIN値は8.3および7.5であり(各々レーン2および5)、これらは実験において示された最も高いRIN値であった。両方の1mM TCEP、pH5.0の試料の28S/18S比 1.6もまた、実験において見られる最も高い比であった。実際、図1および2からの結果は、一般に、試料を5.0、6.0または7.0のpHで0.2mM、1mMまたは5mM TCEPを含むLSW緩衝液で前処理する場合または事前に洗浄する場合、ガラス繊維フィルターに結合したRNAを100%エタノールの存在下で、少なくとも37℃で3日間保存可能であることを示す。
図3は、LSW(洗浄)緩衝液に添加するTCEP(pH 5)の濃度のさらに追加のバリエーションでの効果を表す。RNA−ガラス繊維フィルター複合体を、100%エタノール中に37℃で3日間保存した。図3における対照試料は、水中に溶出し100%エタノール存在下、37℃で保存することなく、直ちに−20℃で冷凍したRNAを含む。2連の試料からの結果は、Agilent Bioanalyzerの出力図に見られる通り、0.33のTCEP濃度が最良の品質のRNAとなったことを示唆した。つまり、0.33mM TCEPの試料に対して見られるRIN値は8.0および8.2であり、28S/18S比は1.2および1.5であった。1mM TCEPの試料からの結果もまた、RIN値(7.9および8.3)ならびに28S/18S比(1.1および1.1)に見られる通り、好ましいものであった。これらの条件下において、図は0.1mM〜5mMのTCEP濃度が有利に使用可能であることを示す。
実施例2 RNA安定性におけるTCEPを含む洗浄緩衝液中のトリスの効果
RNA安定性におけるトリスの効果を試験するために、場合によりトリスをLSWに添加しないことを除いて、基本的にジャーカット細胞由来のRNA試料を、上記のように処理した。生じたRNAの特徴を図4に示す。要約すると、1mM TCEP、pH5.0を含み、トリスを含まない洗浄緩衝液を使用して単離したRNAは、2mMトリスを含む緩衝液の使用と比較して、37℃で3日後におけるRNA安定性の向上を示した。つまり、トリスを含まないTCEP緩衝液を使用して単離および保存したジャーカットRNAは、8.1および8.0のRIN値ならびに1.8および1.9の28S/18S比を示した。一方で、2mMのトリスを含むTCEP緩衝液を使用して、単離および保存したジャーカットRNAは、7.3および8.2のRIN値ならびに1.2および1.5の28S/18S比を示した。従って、これらの条件下において、TCEPを含むがトリスを欠如する洗浄緩衝液を使用することが有利となり得る。
RNA安定性におけるトリスの効果を試験するために、場合によりトリスをLSWに添加しないことを除いて、基本的にジャーカット細胞由来のRNA試料を、上記のように処理した。生じたRNAの特徴を図4に示す。要約すると、1mM TCEP、pH5.0を含み、トリスを含まない洗浄緩衝液を使用して単離したRNAは、2mMトリスを含む緩衝液の使用と比較して、37℃で3日後におけるRNA安定性の向上を示した。つまり、トリスを含まないTCEP緩衝液を使用して単離および保存したジャーカットRNAは、8.1および8.0のRIN値ならびに1.8および1.9の28S/18S比を示した。一方で、2mMのトリスを含むTCEP緩衝液を使用して、単離および保存したジャーカットRNAは、7.3および8.2のRIN値ならびに1.2および1.5の28S/18S比を示した。従って、これらの条件下において、TCEPを含むがトリスを欠如する洗浄緩衝液を使用することが有利となり得る。
実施例3 トリス非存在下でのRNA安定性におけるTCEP濃度の解析
実証されたRNA安定性におけるTCEPの有益な効果、およびTCEPだけと比較したTCEPとトリスとの組み合わせの悪影響を調べた。これを行うために、TCEP、pH6.0を含むがトリスを欠如するLSW緩衝液を使用して、前記のとおりジャーカット細胞由来のRNAを単離した。LSW緩衝液中のTCEPの濃度を、5mM〜0.037mMに変化させた。トリスおよびTCEPの両方を欠如する緩衝液も使用した。試料を単離した後、ガラス繊維フィルター上、37℃で3日間保存した。結果を図5に示す。図に見られるように、TCEP、pH6.0を試験範囲において含む緩衝液を使用して単離したすべての試料は、許容可能な安定性を示し、一方で、TCEPなしで単離した試料はより安定性が低かった。0.037mM TCEP〜5mM TCEP、pH6の範囲の使用が、RNA安定性への向上をもたらす。
実証されたRNA安定性におけるTCEPの有益な効果、およびTCEPだけと比較したTCEPとトリスとの組み合わせの悪影響を調べた。これを行うために、TCEP、pH6.0を含むがトリスを欠如するLSW緩衝液を使用して、前記のとおりジャーカット細胞由来のRNAを単離した。LSW緩衝液中のTCEPの濃度を、5mM〜0.037mMに変化させた。トリスおよびTCEPの両方を欠如する緩衝液も使用した。試料を単離した後、ガラス繊維フィルター上、37℃で3日間保存した。結果を図5に示す。図に見られるように、TCEP、pH6.0を試験範囲において含む緩衝液を使用して単離したすべての試料は、許容可能な安定性を示し、一方で、TCEPなしで単離した試料はより安定性が低かった。0.037mM TCEP〜5mM TCEP、pH6の範囲の使用が、RNA安定性への向上をもたらす。
実施例4 白血球細胞由来RNAにおけるTCEPの効果
細胞の種類をこえてRNA安定性におけるTCEPの効果をより特徴付けるために、1mM TCEPをpH5.0、6.0および7.0で含むLSW緩衝液を使用して、白血球細胞由来のRNAを上記の通り単離した。TCEPを含む低塩濃度洗浄(LSW)緩衝液は新たに作製するか、または2ヵ月半室温で保存した後に使用した。洗浄後、RNAを100%エタノール中にガラス繊維フィルター上、37℃で3日間保存した(レーン5〜12)。結果をTCEP非存在下で単離した試料(直ちに溶出した後、−20℃で保存したもの(レーン1〜2)、または37℃で3日間保存したもの(レーン3〜4))と比較した。結果を図6に示す。図に見られるように、1mM TCEPで単離した白血球細胞RNA試料は、3日間37℃で保存した場合に優れた品質を示し、一方、TCEPなしで単離し、同じ期間37℃で保存したRNA試料は有意な分解を示した。これらの結果はまた、TCEPを含むLSW緩衝液が室温で少なくとも2ヵ月半の間、その活性を失うことなく保存可能であることを示した。
細胞の種類をこえてRNA安定性におけるTCEPの効果をより特徴付けるために、1mM TCEPをpH5.0、6.0および7.0で含むLSW緩衝液を使用して、白血球細胞由来のRNAを上記の通り単離した。TCEPを含む低塩濃度洗浄(LSW)緩衝液は新たに作製するか、または2ヵ月半室温で保存した後に使用した。洗浄後、RNAを100%エタノール中にガラス繊維フィルター上、37℃で3日間保存した(レーン5〜12)。結果をTCEP非存在下で単離した試料(直ちに溶出した後、−20℃で保存したもの(レーン1〜2)、または37℃で3日間保存したもの(レーン3〜4))と比較した。結果を図6に示す。図に見られるように、1mM TCEPで単離した白血球細胞RNA試料は、3日間37℃で保存した場合に優れた品質を示し、一方、TCEPなしで単離し、同じ期間37℃で保存したRNA試料は有意な分解を示した。これらの結果はまた、TCEPを含むLSW緩衝液が室温で少なくとも2ヵ月半の間、その活性を失うことなく保存可能であることを示した。
実施例5 湿潤保存および乾燥保存したガラス−繊維フィルター上のジャーカットRNAの安定性におけるTCEPの効果
図7において、実施例1の記載に従って、RNAをジャーカット細胞株から単離した。これらの実験の目的は、ガラスフィルターに結合したRNAを100%エタノールの存在下で湿潤保存する代わりに、乾燥保存が可能かどうかを調べることである。ガラスフィルターに吸着したRNA試料を、変化させたpH条件で5mM TCEPを含むLSW緩衝液で洗浄後、100%エタノール存在下または非存在下、37℃で3日間保存した。この実験の結果は、試験したあらゆるpH値(5.0、6.0および7.0)で5mM TCEPを含むLSW緩衝液での洗浄および乾燥状態でのガラスフィルターに吸着した試料の保存が、低い28S/18S比 0.0および低いRIN値に見られる通り、無傷のRNAがほとんど無かったことを示した。100%エタノールの存在下でガラス繊維フィルターに結合して保存したこと以外、乾燥試料と同じ条件で処理した他の試料は、5.0、6.0または7.0のpHでTCEPをLSW緩衝液に添加した場合に安定であることが見出された(レーン1、2、4、5、7、8、10および11)。
図7において、実施例1の記載に従って、RNAをジャーカット細胞株から単離した。これらの実験の目的は、ガラスフィルターに結合したRNAを100%エタノールの存在下で湿潤保存する代わりに、乾燥保存が可能かどうかを調べることである。ガラスフィルターに吸着したRNA試料を、変化させたpH条件で5mM TCEPを含むLSW緩衝液で洗浄後、100%エタノール存在下または非存在下、37℃で3日間保存した。この実験の結果は、試験したあらゆるpH値(5.0、6.0および7.0)で5mM TCEPを含むLSW緩衝液での洗浄および乾燥状態でのガラスフィルターに吸着した試料の保存が、低い28S/18S比 0.0および低いRIN値に見られる通り、無傷のRNAがほとんど無かったことを示した。100%エタノールの存在下でガラス繊維フィルターに結合して保存したこと以外、乾燥試料と同じ条件で処理した他の試料は、5.0、6.0または7.0のpHでTCEPをLSW緩衝液に添加した場合に安定であることが見出された(レーン1、2、4、5、7、8、10および11)。
実施例6 QRT−PCRによるジャーカットRNAの品質の評価
精製RNAの定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)は、核酸の品質を示すのに使用できる。この実験において、対照のRNA試料は、LSW緩衝液で洗浄し、水で溶出後、−20℃で保存した試料(パネルAの試料1)、および5mM TCEPを含むLSW緩衝液で洗浄し、水で溶出後、−20℃で保存した試料(試料2)からなる。pH5.0でTCEPを0.2mM、1mMまたは5mM含むLSW緩衝液で残りの試料を洗浄した後(各々試料3、4および5)、37℃で3日間、100%エタノール中で保存した。QRT−PCRを用いたβ−2−ミクログロブリン(B2M)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸加水分解酵素(GAPDH)mRNAの逆転写および増幅によるRNA品質の評価は、試験したすべての試料について等しいRNA品質を示した(パネルB)。すなわち、図5は、10ngの各々のRNA(25μl反応体積)、Brilliant QRT−PCR Master Mix,1−step(Stratagene)ならびにTaqManプライマーおよびプローブ(B2MおよびGAPDH、Assay on Demand、ABI)を使用して、Mx3000P Real−time PCR System(Stratagene)で、以下のサイクルパラメーターを用いて実施したリアルタイムQRT−PCR反応の増幅プロットを示す:50℃/30分、次に95℃/10分の後に、95℃/15秒、60℃/1分を40サイクル。5つのRNA試料すべてが、5つの試験したRNA試料すべてが同等に高品質であることを示唆する2つの試験した遺伝子で非常に類似したCt値、および完全に重なった増幅曲線を示す。従って、この実験は、LSW緩衝液においてpH5.0で5mMまでのTCEPの添加が、これらの条件下で安定なRNA試料をもたらすだけでなく、QRT−PCR反応に影響しないまたは阻害しないことを示す。
精製RNAの定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)は、核酸の品質を示すのに使用できる。この実験において、対照のRNA試料は、LSW緩衝液で洗浄し、水で溶出後、−20℃で保存した試料(パネルAの試料1)、および5mM TCEPを含むLSW緩衝液で洗浄し、水で溶出後、−20℃で保存した試料(試料2)からなる。pH5.0でTCEPを0.2mM、1mMまたは5mM含むLSW緩衝液で残りの試料を洗浄した後(各々試料3、4および5)、37℃で3日間、100%エタノール中で保存した。QRT−PCRを用いたβ−2−ミクログロブリン(B2M)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸加水分解酵素(GAPDH)mRNAの逆転写および増幅によるRNA品質の評価は、試験したすべての試料について等しいRNA品質を示した(パネルB)。すなわち、図5は、10ngの各々のRNA(25μl反応体積)、Brilliant QRT−PCR Master Mix,1−step(Stratagene)ならびにTaqManプライマーおよびプローブ(B2MおよびGAPDH、Assay on Demand、ABI)を使用して、Mx3000P Real−time PCR System(Stratagene)で、以下のサイクルパラメーターを用いて実施したリアルタイムQRT−PCR反応の増幅プロットを示す:50℃/30分、次に95℃/10分の後に、95℃/15秒、60℃/1分を40サイクル。5つのRNA試料すべてが、5つの試験したRNA試料すべてが同等に高品質であることを示唆する2つの試験した遺伝子で非常に類似したCt値、および完全に重なった増幅曲線を示す。従って、この実験は、LSW緩衝液においてpH5.0で5mMまでのTCEPの添加が、これらの条件下で安定なRNA試料をもたらすだけでなく、QRT−PCR反応に影響しないまたは阻害しないことを示す。
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、さまざまな改良およびバリエーションが本発明の実施においてなされ得ることは、当業者にとって明白であろう。本発明の他の実施形態が、本発明の明細書および実施の考察から当業者に明白であろう。以下の請求項によって示される本発明の本当の範囲および精神により、明細書および実施例は単に例示と見なされることが意図される。
Claims (31)
- 固体支持体に結合した生体分子の安定化方法であって、
前記生体分子を少なくとも1つの還元剤と接触させるステップと、
前記生体分子を少なくとも1つの有機溶媒と接触させるステップ
とを含む方法。 - さらに前記還元剤の一部またはすべてを除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- さらに前記生体分子を前記有機溶媒の存在下で保存するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記生体分子が約1時間〜約12ヵ月の期間に渡り保存される、請求項3に記載の方法。
- さらに前記生体分子を前記固体支持体から解離させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記生体分子が核酸分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記核酸分子がRNAである、請求項6に記載の方法。
- 前記有機溶媒がエタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、モルホリン、テトラグリム、ジメチルスルホキシド、スルホランまたはこれらの2以上の混合物である、請求項1に記載の方法。
- 固体支持体に結合した生体分子の安定化方法であって、
前記生体分子をトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)と接触させるステップと、
前記生体分子を少なくとも1つの有機溶媒と接触させるステップ
とを含む方法。 - TCEPの一部またはすべてを除去するステップを含む、請求項9に記載の方法。
- 前記生体分子が(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)またはトリス−塩酸と接触しない、請求項9に記載の方法。
- さらに前記生体分子を前記有機溶媒の存在下で保存するステップを含む、請求項9に記載の方法。
- 前記生体分子が約1時間〜約12ヵ月の期間に渡り保存される、請求項12に記載の方法。
- さらに前記生体分子を前記固体支持体から解離させるステップ含む、請求項9に記載の方法。
- 前記生体分子が核酸分子である、請求項9に記載の方法。
- 前記核酸分子がRNAである、請求項15に記載の方法。
- 前記有機溶媒がエタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、モルホリン、テトラグリム、ジメチルスルホキシド、スルホランまたはこれらの2以上の混合物である、請求項9に記載の方法。
- 前記TCEPが約4〜約8のpHを有する組成物中に提供される、請求項9に記載の方法。
- 前記組成物が0.01mM〜100mM TCEPを含む、請求項18に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの有機溶媒と接触するステップが、有機溶媒の最終濃度が前記組成物中の液体の約50%〜100%である組成物を作製するステップである、請求項9に記載の方法。
- 固体支持体に結合した生体分子と、
TCEPと、
少なくとも1つの有機溶媒
とを含む組成物であって、前記TCEPおよび前記有機溶媒の濃度が、生体分子の固体支持体への継続的な結合を可能とすること、および生体分子の4℃を超える温度での安定化を可能とするのに十分である、組成物。 - 前記組成物が、0.01mM〜100mM TCEPを含み、前記組成物のpHが約4〜約8である、請求項21に記載の組成物。
- 前記生体分子が核酸である、請求項21に記載の組成物。
- 前記核酸がRNAである、請求項22に記載の組成物。
- RNAを固体支持体に結合させるステップと、
前記RNAをTCEPと接触させるステップと、
前記RNAを少なくとも1つの有機溶媒と接触させるステップ
とにより調製される、安定化RNA分子。 - 前記RNAが少なくとも1時間、顕著に分解されることなく保存可能である、請求項25に記載の安定化RNA。
- 前記RNAが少なくとも30分間、0℃を超える温度で保存可能である、請求項25に記載の安定化RNA。
- 前記RNAが前記固体支持体に結合している、請求項25に記載の安定化RNA。
- 前記RNAが前記1以上の有機溶媒の存在下で維持される、請求項25に記載の安定化RNA。
- 梱包する組み合わせにおいて、TCEPを含む容器および少なくとも1つの有機溶媒を含む容器を含むキット。
- さらに目的の生体分子を結合するための固体支持体を含む、請求項30に記載のキット。
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