JP2010535788A - 免疫調節性ペプチド - Google Patents

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Abstract

IgGは、病原体に対する保護の仲介、並びに組織、粘膜、及び皮膚表面への免疫系構成要素の漸増を促進するアレルギー性反応及び炎症性反応の仲介で重要な役割を果たす。本発明は、いくつかの実施形態で、ヒトFcRnに結合し、IgGのFc部分がFcRnに結合するのを阻害し、それにより血清IgG濃度を調節する、親水性ポリマーで誘導体化したペプチドに関する。開示された組成物及び方法は、いくつかの実施形態で、例えば、自己免疫疾患及び炎症障害を治療する際に使用され得る。本発明はまた、更なる実施形態で、本発明のペプチドを使用する方法及び作製する方法に関する。

Description

IgGは、病原体に対する保護の仲介、並びに組織、粘膜、及び皮膚表面への免疫系構成要素の漸増を促進するアレルギー性反応及び炎症性反応の仲介で重要な役割を果たす。Junghans, Immunol. Res. 16(1):29 (1997)。しかし、IgGは種々の自己免疫疾患においても重要な役割を果たしている。
IgGの血清半減期は、他の血漿タンパク質の血清半減期より長い。例えば、IgGの血清半減期は、マウスで5〜7日、ヒトで22〜23日である。非特許文献1;非特許文献2。血清半減期が長いのは、少なくとも部分的に、新生児Fc受容体、FcRnが原因であり、この受容体は(成体及び新生児において)飲作用されたIgGのFc部分に結合して、それをリソソーム分解から保護することによる。この飲作用を受けたIgGは、その後、細胞外区画へ戻されて再利用される。例えば、非特許文献2、非特許文献1を参照のこと。実際に、βm及びFcRn重鎖をコードしている遺伝子の少なくとも一部を発現しないノックアウトマウスモデルでは、IgGの血清半減期が短縮される。特許文献1、及び非特許文献2を参照のこと。
IgGの濃度が利用可能なFcRnを超える水準に達すると、非結合IgGは分解機構から保護されず、結果的に血清半減期がより短くなる。例えば、非特許文献3を参照のこと。類似して、FcRnへのIgGの結合が阻害されると、IgG血清半減期は短縮され、それによって、IgGが再利用されなくなる。したがって、FcRnへのIgGの結合を阻害又は拮抗する薬剤を、不適切に発現したIgG抗体の存在を特徴とする障害(例えば、自己免疫性及び炎症性の疾患並びに障害等)の調節、治療、又は予防に使用することもできる。例えば、FcRnのIgGとの結合を阻害可能な抗体が、FcRn重鎖ノックアウトマウス系を使用して作製されている(国際公開第02/43658号)。別の例では、FcRn複合体に結合するペプチドが同定されている。非特許文献4、米国特許第6212022号。このようなペプチド、これらの合成、及びこれらの用途について更に記載している、2007年2月16日に出願された米国出願第11/676148号、並びに2006年2月17日に出願された米国仮出願第60/774853号、及び2006年6月23日に出願された米国仮出願第60/805634号の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかし、現在、免疫反応を特徴とする病状、疾患、及び障害を調節、治療、又は予防するためにさらなる薬剤が必要とされている。
国際公開第02/43658号
Roopenian et al., J. Immunol. 170:3528 (2003) Junghans and Anderson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5512 (1996) Brambell et al.,Nature 203:1352 (1964) Kolonin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99(20): 13055−60 (2002)
したがって、FcRnに特異的に結合して、IgG FcがFcRnに結合するのを阻害し、それによりリソソームによる分解からIgGを保護する役割におけるFcRnの機能を妨げることで、IgGが再利用されないようにするペプチドを開示する。代表的な実施形態では、ペプチドがFcRnに結合して、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のサブクラスがFcRnに結合するのを阻害する。
本発明のペプチドは、モノマー、あるいは例えばダイマー、トリマー、又はテトラマー等のマルチマーとして存在し得る。いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは、飲作用をより受けやすいペプチドであり得、それによりペプチドのより速い結合が可能になり、その結果、腎臓による排出がより少ない。
いくつかの実施形態では、本発明は、治療的に有効な量の、1つ又はそれ以上の本発明のペプチドを含有する製薬組成物を提供する。
他の実施形態では、本発明は、細胞を、治療的に有効な量の1つ又はそれ以上の本発明のペプチドと接触させることを含む、疾患の状態を調節する方法を提供する。更なる実施形態には、FcRnに結合して、FcRnがIgG分子のFc部分に結合するのを阻害できる、1つ又はそれ以上の本発明のペプチドを含有する治療的に有効な量の組成物を対象に投与することを含む、対象の血清中のIgG濃度を調節する方法が含まれる。特定の実施形態では、対象の血清中の可溶性IgGの半減期を短縮するために、本発明の方法を用いることもできる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物を投与することによって、対象の血清中可溶性IgGの半減期が、ペプチド投与前の対象の血清中IgGの半減期と比較して短縮される結果となる。
他の実施形態では、本発明は、治療前のIgGの血清濃度と比較してIgGの血清濃度を低下させる、ヒトIgGのFc部分がFcRnに結合するのを阻害する方法を提供する。IgGの血清濃度を低下させる方法には、IgG分子のFc部分がFcRnに結合するのを阻害する1つ又はそれ以上の本発明のペプチドを含有する治療的に有効な量の組成物を対象に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、ヒトIgGの血清濃度の低下は、少なくとも15%の低下のように少なくとも5%であるか、又はヒトIgGの血清濃度の低下は少なくとも25%である。
本発明のいくつかの実施形態は、例えば自己免疫疾患、炎症疾患、又は免疫系の癌等、IgGの発現増加又は不適切な発現を特徴とする疾患に罹患している対象を治療する方法を提供し、この方法には、FcRnがIgG分子のFc部分に結合しないようにすることができる1つ又はそれ以上の本発明のペプチドを含有する治療的に有効な量の組成物を対象に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質又は遺伝子治療用ベクターに対する免疫反応を予防、治療、又は調節するために本発明の方法を用いることもできる。
他の実施形態では、例えば、放射性同位体、酵素(検出可能な、例えば有色、発光性、又は蛍光性等の、産物を生成する反応を触媒する酵素)、蛍光団、発色団、化学発光化合物、磁性粒子、ミクロスフィア、ナノスフィア、ビオチン、ストレプトアビジン、及びジゴキシン等から選択される少なくとも1つの検出可能な標識を用いて、本明細書に記載のペプチドを標識することを含む、FcRnの検出方法を提供する。
本発明の他の実施形態には、本明細書に記載のペプチドを固体支持体に固定すること、FcRnを含む溶液を固体支持体上に固定されたペプチドと接触させること、及び前記固体支持体からこの溶液を分離することによってFcRnを精製することを含む、FcRnの精製方法が含まれる。
本発明の更なる実施形態、目的、及び利点を以下の説明で部分的に示し、また、部分的にこの記載から明らかであるか、又は本発明の実施により明らかにされ得る。本発明のこれらの実施形態、目的、及び利点は、添付の特許請求の範囲で具体的に指摘した要素及び組合せによって実現され、達成され得る。
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも、例示及び説明のためだけのものであり、請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
実施例12に説明するような、例示的なN−末端アルデヒドペプチドモノマーの合成の概要を示した図である。 例示的な実施例としてペプチド270番を使用して実施例12に説明する、還元的アルキル化によるペプチドダイマーの合成の概要を示した図である。 ビスチオールリンカーを含むペプチド及びブロモアセチル化されたペプチドを使用することによってペプチドダイマーを合成する例示的な実施例として、ペプチド100番の合成を説明した図である。ペプチド配列の上にある横向きのかっこは架橋の存在を示す。 チオールリンカーを含むペプチド及びブロモアセチル化されたペプチドを使用してペプチドダイマーを合成する例示的な実施例として、ペプチド122番の合成を示した図である。ペプチド配列の上にある横向きのかっこは架橋の存在を示す。 二酸を含むリンカーを使用する、ペプチドダイマーの合成を示した図である。ペプチド283番の合成を例示的な実施例として示す。ペプチド配列の下にある横向きのかっこは架橋の存在を示す。 アミンを含むリンカーを使用する、ペプチドダイマーの合成を示した図である。ペプチド280番の合成を例示的な実施例として示す。ペプチド配列の下にある横向きのかっこは架橋の存在を示す。 精製したペプチド289番の4〜20%トリス−グリシンゲル上でのSDS−PAGE分析によってペプチド289番の分子量を示した図である。レーン1は、分子量マーカーを含む。レーン2は、非抱合PEG3OkDa出発物質を含む。レーン3は、粗反応混合物を含む。レーン4は、精製したペプチド289番を含む。 ペプチド289番の静脈内注射後のTG32BマウスにおけるヒトIgGの異化動態を示した図である。 ペプチド290番、291番、292番、及び293番の化学構造を示した図である。 4〜20%トリス−グリシンゲルを使用した、還元的アルキル化によって合成したペグ化ペプチドのSDS−PAGE分析を示した図である。全てのレーンに10mgをロードした。レーン1は、分子量マーカーを含む。レーン2は、非抱合PEG3OkDa出発物質アルデヒドを含む。レーン3は、精製したペプチド290番を含む。レーン4は、非抱合PEG2OkDa出発物質アルデヒドを含む。レーン5は、精製したペプチド291番を含む。レーン6は、非抱合PEG5kDa出発物質アルデヒドを含む。レーン7は、精製したペプチド292番を含む。 4〜20%トリス−グリシンゲルを使用した、還元的アルキル化によって合成したペグ化ペプチドのSDS−PAGE分析を示した図である。レーン1は、分子量マーカーを含む。レーン2は、精製したペプチド292番を含む。レーン3は、精製したペプチド291番を含む。レーン4は、精製したペプチド290番を含む。レーン5は、精製したペプチド293番を含む。レーン6は、精製したペプチド295番を含む。レーン7は、精製したペプチド296番を含む。レーン8は、分子量マーカーを含む。 t=0時間で500mg/kgのヒトIgGを静脈内投与した後に、t=24時間で5mg/kg又は25mg/kgのペプチド290番を静脈内注射した後の、TG32BマウスにおけるヒトIgGの異化率を示した図である。実施例18のようにhIgGの濃度をELISAで測定して、t=24時間の濃度に正規化し、ビヒクル対照群との比較を行った。 ペプチド295番の化学構造を示した図である。 ペプチド296番の化学構造を示した図である。 t=0時間で500mg/kgのヒトIgGを静脈内投与した後に、t=24時間で25mg/kgのペプチド290番、291番、293番、295番、及び296番を静脈内注射した後の、TG32BマウスにおけるヒトIgGの異化率を示した図である。実施例18のようにhIgGの濃度をELISAで測定して、t=24時間の濃度に正規化し、ビヒクル対照群との比較を行った。 実施例4に説明するIgG競合ELISA分析及び実施例18のヒトIgGの異化を用いて、インビトロ及びインビボにおける種々のペプチドの活性を比較した表である。 分岐PEG結合による抗FcRnペプチドの合成を示した図である。 ペプチド297番の化学構造を示した図である。 ペプチド307番、308番、及び309番の化学構造を示した図である。 ペプチド307番、308番、及び309番の化学構造を示した図である。 2.5mg/kgの皮下投与を用いる実施例18に記載のIgG異化実験における、ペプチド283、298、299、300、301の作用を示した図である。
I.定義
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸」は、コードされている及びコードされていないアミノ酸を包含する。本明細書では、コードされているアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)については、標準的な1文字及び3文字表記を用いる。
コードされていないアミノ酸としては、例えば、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、δ−アミノ酸、及びω−アミノ酸が挙げられ、任意のキラル原子にR又はSキラリティを有してもよい。コードされていないアミノ酸としては、例えば、コードされているアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸並びに、アロ−スレオニン及びアロ−イソロイシンのようなアロ−アミノ酸)及び構造異性体(例えば、β−アラニンが挙げられる)のような、コードされているアミノ酸の異性体が挙げられる。D−キラリティを有するコードされているアミノ酸の立体異性体を示すために、本明細書では小文字の1文字コードを用いる(例えば、a=D−アラニン、y=D−チロシン)。コードされていないアミノ酸としてはまた、N−メチル化アミノ酸が挙げられる。特定の一般的なコードされていないアミノ酸については、本明細書では従来の3文字表記を用いる(例えば、Aib=アミノイソ酪酸、Apa=5−アミノペンタン酸、Dab=1,3−ジアミノ酪酸、Dap=1,2−ジアミノプロピオン酸、Orn=オルニチン、Pen=ペニシラミン、Sar=サルコシン)。一般に、α−アミノ酸を示す特定の立体配置が存在しない場合、当業者は、アミノ酸がL−アミノ酸であることを理解するであろう。しかしながら、特定の実施形態では、コードされていないアミノ酸はまた、ラセミ体、非ラセミ体及びジアステレオマー混合物であってよい。
コードされていないアミノ酸は、ペプチド分野で周知であり、例えば、N−アセチルセリン、アロ−イソロイシン、アロ−スレオニン、β−アラニン(3−アミノプロピオン酸)、α−アミノアジピン酸、2−アミノブタン酸、4−アミノブタン酸、3−アミノ−1−カルボキシメチルバレロラクタム、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、6−アミノヘキサン酸、2−アミノヘプタン二酸、7−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、アミノメチルピロールカルボン酸、8−アミノ−3,6−ジオキサ−オクタン酸、アミノピペリジンカルボン酸、アミノセリン、アミノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、アゼチジンカルボン酸、ベンゾチアゾリルアラニン、ブチルグリシン、カルニチン、4−クロロフェニルアラニン、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルスタチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジメチルチアゾリジンカルボン酸、4−グアニル−フェニルアラニン、ホモアルギニン、ホモシトルリン、ホモシステイン、ホモフェニルアラニン、ホモプロリン、ホモセリン、4−ヒドラジノ安息香酸、4−ヒドロキシプロリン、イソニペコ酸、メタノプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、p−アミノ安息香酸、ペニシラミン、フェニルグリシン、O−ホスホセリン、ピペリジニルアラニン、ピペリジニルグリシン、ピロリジニルアラニン、サルコシン、スタチン、テトラヒドロピラングリシン、チエニルアラニン、ε−N,N,N−トリメチルリジンが挙げられる。
アミノ酸の「類似体」は、アミノ酸ではないが、例えば、大きさ、電荷、親水性、疎水性、極性、水素結合能、又は剛性のような、少なくとも1つの特性に関してアミノ酸に類似する分子である。例えば、乳酸はアミノ酸類似体であり得る。同様に、ジペプチドの類似体は、ジペプチドではないが、例えば、大きさ、電荷、親水性、疎水性、極性、水素結合能、又は剛性のような、少なくとも1つの特性に関してジペプチドに類似する分子である。更に、ペプチド類似体は、ペプチドではないが、例えば、大きさ、電荷、親水性、疎水性、極性、水素結合能、又は剛性のような、少なくとも1つの特性に関してペプチドに類似する分子である。いくつかの実施形態では、ジペプチド類似体又はペプチド類似体は、1つ又はそれ以上のペプチド結合が、当業者に周知の方法により、例えば、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−C(O)CH−、−CH(OH)CH−又は−CHSO−から選択される結合により置換されるという点で、ジペプチド又はペプチドとは異なり得る。例えば、Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15:29 (1986);Evans et al., J. Med. Chem. 30:1229 (1987)を参照のこと。ジペプチド類似体としてはまた、例えば、β−ターン類似体が挙げられる。例えば、Friedinger, J. Med. Chem. 46:5553−5566 (2003)及び Hanessian, Tetrahedron 53:12789−12854 (1997)を参照のこと。
ジペプチド類似体の非限定的な例としては、例えば、β−アラニン、4−アミノブタン酸、5−アミノブタン酸、3−(アミノメチル)安息香酸、4−(アミノメチル安息香酸)、3−(アミノフェニル)酢酸、4−(アミノフェニル)酢酸、並びに
−3(S)−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン−酢酸及び3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン−酢酸;
−3(S)−アミノ−2−オキソ−1−アゼピン−酢酸及び3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−アゼピン−酢酸;
−3(S)−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン−酢酸及び3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン−酢酸;並びに
−3−アミノ−N−1−カルボキシメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]−ベンズアゼピン−2−オンが挙げられる。
所与の配列と「実質的に同一」であるアミノ酸配列は、例えば、所与の配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一であり得る。実質的に同一である配列は、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸を、1つ若しくはそれ以上のコードされていないアミノ酸(例えば、D−アミノ酸又はN−メチル化アミノ酸のような)又はアミノ酸類似体で置換することを含む、1つ若しくはそれ以上のアミノ酸の切断、欠失、置換、付加又は修飾により、所与の配列と異なり得る。あるいは、実質的に同一である配列は、保存的アミノ酸置換によってのみ、所与の配列と異なり得る。
保存的置換は、第1アミノ酸が、例えば、大きさ、電荷、親水性、疎水性、極性、水素結合能、又は剛性のような、第1アミノ酸の少なくとも1つの特性に近い第2アミノ酸により置換される、置換である。保存的置換は、コードされているアミノ酸及びコードされていないアミノ酸の両方、並びにアミノ酸類似体を包含する。
例えば、いくつかの実施形態では、アラニンは、例えば、メチオニン、バリン、ロイシン若しくはイソロイシンのような別の疎水性アミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。他の実施形態では、アラニンは、例えば、β−アラニン、エチルグリシン、α−アミノイソ酪酸、若しくはD−アラニンのような、およそイソタクチックであるアミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。いくつかの実施形態では、システインは、例えば、ホモシステイン、D−システイン若しくはペニシラミンのような別のチオール含有アミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。他の実施形態では、システインは、例えば、セリン、スレオニン、若しくは2,3−ジアミノプロピオン酸のようなおよそイソタクチックであるアミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。他の実施形態では、フェニルアラニンは、例えば、3−フルオロフェニルアラニン、4−メチルフェニルアラニン、フェニルグリシン、1−ナフチルアラニン及び3,3−ジフェニルアラニン、4−アミノフェニルアラニン、ペンタフルオロフェニルアラニン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、4−ニトロフェニルアラニン、2−ピロリジニルアラニン、3−ピペリジルアラニン、若しくは4−ピペリジルアラニンにより、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。別の例として、ヒスチジンは、例えば、リジン、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、アルギニン、若しくはグアニルアラニンのような塩基性アミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。他の実施形態では、ヒスチジンは、例えば、チエニルアラニン、チロシン、トリプトファン若しくはフェニルアラニンのような芳香族アミノ酸により、又は上述のアミノ酸のいずれかの類似体により、保存的に置換され得る。更に別の実施形態では、ヒスチジンは、例えば、1−メチルヒスチジン、2−ピリジルアラニン、3−ピリジルアラニン、4−ピリジルアラニン、4−アミノフェニルアラニン、4−グアニルフェニルアラニン、チアゾリルアラニンのような、塩基性、芳香族アミノ酸、及びこれらの類似体により保存的に置換され得る。
特定の実施形態では、保存的置換は、第1アミノ酸を、例えば±0.5、±1、又は±2異なる値のような、類似の疎水性親水性指標を有する第2アミノ酸に置換する置換であり得る。他の実施形態では、保存的置換は、例えば±0.5、±1、又は±2異なる値のような、類似の親水性値を有する第2アミノ酸に置換する置換であり得る。
いくつかの実施形態では、非保存的置換を導入することができる。非保存的置換は、例えば、荷電アミノ酸を中性アミノ酸で置換する置換、塩基性アミノ酸を産生アミノ酸で置換する置換、極性アミノ酸を非極性アミノ酸で置換する置換、親水性アミノ酸を疎水性アミノ酸で置換する置換、アミノ酸を立体的に異なるアミノ酸で置換する置換、又は異なる水素結合能を有するアミノ酸であり得る。非保存的置換は、適切な場合に行なうことができる。例えば、当業者は、生物学的活性(例えば、FcRn結合親和性又はインビボでのIgG濃度の低下のような)又はペプチドの構造を著しく変更することなく、非保存的に置換できる、ペプチドの1つ又はそれ以上のアミノ酸を同定することができる。例えば、実施例7を参照のこと。
II.親水性ポリマーで誘導体化されたペプチド
一般に、本開示は、親水性ポリマーで誘導体化されたペプチドを提供する。例えば、実施例に開示されたいずれかのペプチドは、親水性ポリマーで誘導体化され得、親水性ポリマーで誘導体化され得るように改変することができる(例えば、下記のように)。用語「誘導体化された」は、本発明のペプチドに関連して用いるとき、親水性ポリマーを含む、アミノ酸若しくはペプチド、又はアミノ酸若しくはペプチドの類似体を指す。
親水性ポリマーは、例えば、モノアルキルポリエチレングリコールを含む、ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;例えば、デキストラン及びセルロースのような多糖類;メチルセルロース;ヒドロキシセルロース;ヒドロキシメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;例えば、ヒドロキシエチルデンプンを含むヒドロキシアルキルデンプン;ポリビニルアルコール;ポリ(N−ビニルピロリドン);及びポロキサマーから選択してよい。他の実施形態では、親水性ポリマーは、例えば、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー及びポリエチレングリコール−ポリ(N−ビニルピロリドン)コポリマーのような、ポリエチレングリコールコポリマーから選択することができる。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、非ペプチドポリマーである。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは容易に水和される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、水和したとき、大きな流体力学半径を有する。例示的な実施形態では、親水性ポリマーはポリエチレングリコールである。
いくつかの実施形態では、本発明のペプチド(モノマー又はマルチマー)は、ペプチドモノマーあたり1分子の親水性ポリマーを含有し得る。他の実施形態では、本発明のペプチドは、ペプチドモノマーあたり複数個の分子の親水性ポリマーを含有し得る。例えば、本明細書に開示する抗FcRnペプチドは、ペプチドモノマーあたり1、2、3、4、5、6、7、8又は1〜4、1〜8、2〜3、2〜4、2〜6、3〜6又は2〜6分子の親水性ポリマーを有し得る。
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは直鎖であり得る。他の実施形態では、親水性ポリマーは分岐し得る。分岐親水性ポリマーは、例えば、2、3、4、5、6、7又は8個の枝を有し得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60kDaの平均分子量を有してよく、又は、例えば約10〜60、10〜40、10〜30、20〜30、20〜40、20〜50、30〜60、15〜25、25〜35、35〜45又は45〜55kDaの範囲の平均分子量を有して得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する誘導体化されたペプチドは、対応する誘導体化されていないペプチドに比べて、強化された薬剤学的性質を呈する。例えば、誘導体化されたペプチドは、動物での血清半減期が長い場合がある。いくつかの実施形態では、誘導体化されたペプチドは、ヒト、マウス、ラット及びカニクイザルのいずれかで、対応する誘導体化されていないペプチドより少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150、175、200又は300%長い血清半減期を有し得る。他の実施形態では、誘導体化されたペプチドは、ヒト、マウス、ラット及びカニクイザルのいずれかで、対応する誘導体化されていないペプチドの少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、50、75、100、200、500、1,000、5,000又は10,000倍長い血清半減期を有し得る。血清半減期は、例えば、LC−MS又は適切な抗体を用いるELISAアッセイにより決定できる。特定の実施形態では、誘導体化は、効力の著しい低下をもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、誘導体化は、例えば結合親和性の著しい低下をもたらさない。他の実施形態では、誘導体化は、IgG−FcRn相互作用に対する阻害活性の著しい低下をもたらさない。例えば、いくつかの実施形態では、誘導体化は、例えば、実施例4に説明するIgG−ペプチド競合アッセイ、Biacore又はKinExA(動態排除アッセイ)により測定したとき、効力の著しい低下をもたらさず、誘導体化されたペプチドは、対応する誘導体化されていないペプチドの効力の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、97、98又は99%を有し得る。
いくつかの実施形態では、例えばペプチド番号227、235及び239のようなモノマー性ペプチドを誘導体化することができ、又は、誘導体化できるように改変することができる(例えば、保存的又は非保存的置換により)。他の実施形態では、例えば、ペプチド番号119、247、278、285、286、287のようなモノマー性ペプチドを誘導体化することができ、又は、誘導体化できるように改変することができる。
本発明の誘導体化されたペプチドは、例えばペプチド番号290、291、292、293、294、295及び296から選択することができる。例示的な実施形態では、誘導体化された抗FcRnペプチドは、実施例24、27〜29及び31に説明されるように直鎖PEG鎖で、又は実施例33〜34に記載のように分岐PEG鎖でペグ化された、ペプチド番号285であり得る。いくつかの実施形態では、分岐PEG鎖は、直鎖PEG鎖よりも、インビトロ及びインビボでより有利な特徴を提供し得る。例示的な実施形態では、分岐ペグ化ペプチドは、20kDaの2分岐PEG又は2分岐、40kDaのPEGによるペプチド番号285の還元的アルキル化の産物であり得る。
誘導体化されたペプチドは、モノマー性又はマルチマー性(例えば、ダイマー性、トリマー性及びテトラマー性ペプチドを含む)であり得る。マルチマー性ペプチドの場合、それからマルチマーが構成される個々のペプチドモノマーのそれぞれが、同じであってもよく、又はマルチマー中の任意の他のペプチドモノマーと異なってもよい。いくつかの実施形態では、ペプチドマルチマーは、個々のペプチドモノマーを多価リンカーと反応させることにより合成できる。例えば、Rose, J. Am. Chem. Soc. 116:30 (1994)を参照のこと。例えば、ペプチドマルチマーは、個々のペプチドモノマーを、樹脂中で、多価リンカーと反応させることにより合成できる。他の実施形態では、ペプチドマルチマーは、例えば、Posnett et al., J. Biol. Chem. 263:1719 (1988)のように、ペプチド配列の合成前に、分岐リンカー基を組み込むことにより合成できる。
当業者に既知である任意の好適なリンカーを用ることができる。一般に、FcRnへの結合を干渉しないリンカーが選択される。例えば、リンカーは、例えば、実施例:米国特許第4,671,958号;同第4,867,973号;同第5,691,154号;同第5,846,728号;同第6,472,506号;同第6,541,669号;同第7,141,676号;同第7,176,185号;及び同第7,232,805号、並びに米国特許出願公開第2006/0228348号に開示されているリンカーのうちの1つであり得る。
一般に、リンカーは、マルチマーのペプチドモノマー間の立体障害を避け、FcRnへのペプチドモノマーの結合を干渉しないような、好適な長さとすることができる。いくつかの実施形態では、リンカーは共有結合であり得る。他の実施形態では、リンカーは、1〜100、1〜60、5〜60、5〜40、2〜50、2〜20、5〜10又は5〜20個の直鎖原子を含み得、この場合リンカーは、例えばエステル、アミド、ヒドラゾン、オキシム、セミカルバゾン、エーテル、チオエーテル、ホスホロチオエート、ホスホネート、チオエステル及び/又はジスルフィド結合を用いて、ペプチドモノマーに結合する。リンカー中の残りの直鎖原子は、好ましくは、炭素、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択され、これらの原子のいずれかは、所望により、炭素環、複素環、アリール又はヘテロアリール環に含まれ得る。リンカー中の直鎖炭素原子は、所望により、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ及びウレイドから成る群から選択される置換基で置換することができる。リンカー中の直鎖窒素原子は、所望により、アシル、スルホニル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシカルボニルで置換することができる。リンカー中の直鎖硫黄原子は、所望により、酸化することができる。特定の実施形態では、リンカーは、例えば、米国特許出願公開第2006/0228348号及び米国特許第4,867,973号;同第7,176,185号;同第7,232,805号に開示されているように、開裂可能であり得る。
いくつかの実施形態では、誘導体化されたペプチドは、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化又は脂質化のような、更なる修飾を含み得る。
誘導体化されたペプチドは、特定の実施形態では、FcRnに対して多少の親和性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ペプチド−FcRn相互作用のKは、50fM〜1mMの範囲であり得る。他の実施形態では、Kは50fM〜100μM、50fM〜1nM、又は1pM〜1nMの範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、IgGのFc部分がFcRnに結合するのを阻害する。例えば、いくつかの実施形態では、ペプチドは、IgGのFc部分が、例えば50fM〜100μM、50fM〜1μM、1pM〜100nM、又は10pM〜10nMのIC50で、FcRnに結合するのを阻害することができる。
A.代表的な誘導体化されたペプチド
いくつかの実施形態では、本開示は以下の代表的な誘導体化されたペプチドを提供する。
代表的な実施形態1:以下の配列を有する誘導体化されたペプチド。
又は
ここで式中、
−Aは、存在する場合、親水性ポリマーを含む、又は水素、アシル若しくはアミノ保護基であり;
−Bは、存在する場合、親水性ポリマーを含む、又はQ、アミノ基、ヒドロキシル基、若しくはカルボキシ保護基であり;
−Qは、存在する場合、アミン基(中性であっても、又は正電荷を有してもよい)であって、アルキレン基によりペプチドに結合し、ここでアルキレン基は、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン及びn−ヘキシレンを含むが、これらに限定されないか;又は、アルキレン基とアルキレンオキシドサブユニットとの組み合わせ(アルキレンオキシドサブユニットは−(CH−CH−O)p−(式中、pは1、2、3、4又は5である)を含むが、これらに限定されない)によりペプチドに結合するアミン基を含み;Qの非限定的な例としては、
−CH−CH−NH
−CH−CH−CH−CH−NH
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−NH
−CH−CH−O−CH−CH−NH
−(CH−CH−O)−CH−CH−NH及び
−(CH−CH−O)−CH−CH−NH
が挙げられ;
−Xは、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
−Xは、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、X10、X12又はX13と架橋を形成することができる、アミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、所望により誘導体化されたアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜4個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
−Xは、塩基性アミノ酸若しくはその類似体、芳香族アミノ酸若しくはその類似体、又は塩基性芳香族アミノ酸若しくはその類似体であり;
−Xは、フェニルアラニン又はその類似体であり;
−X及びXは、それぞれ独立して、グリシン若しくはその類似体、サルコシン若しくはその類似体、アスパラギン酸若しくはその類似体、D−アミノ酸若しくはその類似体、及びα−アミノイソ酪酸若しくはその類似体から選択されるか、又は、
−Xは、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
−X10は、アミノ酸若しくはその類似体であるか、又は
−X10は、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
−X11は、チロシン又はその類似体であり;
−X12は、所望により誘導体化されたアミノ酸又はその類似体であり;
−X13は、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
−X14は、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸又はその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
−Yは、親水性ポリマーを含み、
−Zは、
−A;
−B;
−Xが存在する場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;Xが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;X及びXが両方存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;又は、X、X及びXが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;
−X14が存在する場合、X14のカルボキシ末端若しくは側鎖;X14が存在しない場合、X13のカルボキシ末端若しくは側鎖;又はX13及びX14が両方存在しない場合、X12のカルボキシ末端若しくは側鎖;
を通して、各ペプチドモノマーに結合するリンカーであり;
−mは、1、2及び3から選択される整数であり;
−nは、1、2及び3から選択される整数であり;
式中:
−各A、B、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13及びX14は、独立して選択され;
−ペプチドの各モノマーの長さは、10〜50個のアミノ酸で変動する。
ZがXの側鎖を通してペプチドに結合する場合、Aは必ず存在することが、当業者には明らかであろう。同様に、ZがX14の側鎖に結合する場合、Bは必ず存在する。
いくつかの実施形態では、Aは親水性ポリマーを含む。例えば、Aは、親水性ポリマー及び、親水性ポリマーとX(又は、Xが存在しない場合X、X及びXが存在しない場合X、若しくはX、X及びXが存在しない場合X)とを結合させるリンカー(例えば、本明細書に記載するリンカーのいずれかのような)を含み得る。他の実施形態では、Aは水素、アシル又はアミノ保護基である。いくつかの実施形態では、Bは親水性ポリマーを含む。例えば、Bは親水性ポリマー及び、親水性ポリマーとX14(又は、X14が存在しない場合X13、若しくはX13及びX14が存在しない場合X12)とを結合させるリンカー(例えば、図18中に見られるものを含む、本明細書に記載するリンカーのいずれかのような)を含み得る。他の実施形態では、Bはアミノ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシ保護基である。
アミノ基又はカルボキシ基のようなイオン化可能な基の電荷は、環境に応じて、帯電してもよく、又は中性であってもよい。
代表的な実施形態2:以下の配列を有する、実施形態1に記載のペプチド。
ここで式中、
−Xは、誘導体化されていないアミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、誘導体化されていないアミノ酸若しくはその類似体、又は誘導体化されていない2若しくは4個のアミノ酸若しくはその類似体のペプチドであり;
−X12は、誘導体化されていないアミノ酸又はその類似体である。
代表的な実施形態3:Xが存在しない、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態4:Xがアルギニン又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態5:Xが芳香族アミノ酸又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態6:Xがフェニルアラニン若しくはその類似体、チロシン又はその類似体、又はトリプトファン若しくはその類似体である、実施形態5に記載のペプチド。
代表的な実施形態7:Xがフェニルアラニン若しくはその類似体である、実施形態6に記載のペプチド。
代表的な実施形態8:ペプチドが架橋されていない、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態9:X10、X12又はX13の少なくとも1つが、Xと架橋を形成することができる、アミノ酸又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態10:Xが、X10、X12又はX13と架橋を形成する、実施形態9に記載のペプチド。Xと、X10、X12又はX13との間の架橋は、側鎖−側鎖架橋か、又は側鎖−カルボキシ末端架橋であり得る(例えば、X13がペプチドのカルボキシ末端である実施形態では)。架橋は、例えば、ジスルフィド(例えば、実施例7を参照のこと)、エーテル、チオエーテル、アルケン、又はアミド(例えば実施例10を参照のこと)のような、1つ若しくはそれ以上の官能基を含むか、又はその官能基の形成に起因し得、この場合架橋は、例えばジスルフィド、エーテル、チオエーテル、アルケン又はアミド架橋と呼ぶことができる。
代表的な実施形態11:XがX13と架橋を形成する、実施形態10に記載のペプチド。
代表的な実施形態12:架橋が、側鎖−側鎖架橋である、実施形態11に記載のペプチド。
代表的な実施形態13:側鎖−側鎖架橋が、ジスルフィド架橋、エーテル架橋、チオエーテル架橋、アルケン架橋、又はアミド架橋である、実施形態12に記載のペプチド。
代表的な実施形態14:側鎖−側鎖架橋が、
−システインとシステイン;
−システインとホモシステイン;
−システインとペニシラミン;
−ホモシステインとホモシステイン;
−ホモシステインとペニシラミン;又は
−ペニシラミンとペニシラミン
の間のジスルフィド架橋である、実施形態13に記載のペプチド。
代表的な実施形態15:側鎖−側鎖架橋が、
−アスパラギン酸とリジン;
−アスパラギン酸とオルニチン;
−アスパラギン酸と2,4−ジアミノ酪酸;
−アスパラギン酸と2,3−ジアミノプロピオン酸;
−グルタミン酸とリジン;
−グルタミン酸とオルニチン;
−グルタミン酸と2,4−ジアミノ酪酸;又は
−グルタミン酸と2,3−ジアミノプロピオン酸
の間のアミド架橋である、実施形態13に記載のペプチド。
代表的な実施形態16:ペプチドが少なくとも1つのシステインを含む、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態17:ペプチドが、
−ホモシステイン;
−D−システイン;及び
−ペニシラミン
から選択される、少なくとも1種のシステイン類似体を含む、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態18:Xがスレオニン又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態19:Xが、
−リジン又はその類似体;
−オルニチン又はその類似体;
−2,4−ジアミノ酪酸又はその類似体;
−2,3−ジアミノプロピオン酸又はその類似体;
−アルギニン又はその類似体;及び
−グアニルアラニン又はその類似体
から選択される、塩基性アミノ酸又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態20:Xが、
−チロシン又はその類似体;
−トリプトファン又はその類似体;及び
−フェニルアラニン又はその類似体
から選択される、芳香族アミノ酸又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態21:Xが、
−ヒスチジン又はその類似体;
−1−メチルヒスチジン又はその類似体;
−2−ピルジルアラニン又はその類似体;
−3−ピルジルアラニン又はその類似体;
−4−ピルジルアラニン又はその類似体;
−4−アミノフェニルアラニン又はその類似体;
−4−グアニルフェニルアラニン又はその類似体;及び
−チアゾリルアラニン又はその類似体
から選択される、塩基性芳香族アミノ酸又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態22:Xが、ヒスチジン若しくはその類似体、3−ピリジルアラニン若しくはその類似体、4−ピリジルアラニン若しくはその類似体、又は4−グアニルフェニルアラニン若しくはその類似体である、実施形態21に記載のペプチド。
代表的な実施形態23:Xが4−グアニルフェニルアラニン又はその類似体である、実施形態22に記載のペプチド。
代表的な実施形態24:Xがヒスチジン又はその類似体である、実施形態22に記載のペプチド。
代表的な実施形態25:Xがフェニルアラニンである、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態26:X及びXの少なくとも1つが、
−グリシン;
−D−アミノ酸;
−α−アミノイソ酪酸;及び
−サルコシン
から選択される、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態27:XがXと共に、
−β−アラニン;
−4−アミノブタン酸;
−5−アミノペンタン酸;
−3−(アミノメチル)安息香酸;
−4−(アミノメチル)安息香酸;
−3−(アミノフェニル)酢酸;
−4−(アミノフェニル)酢酸;
−3−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン−酢酸;
−3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン−酢酸;
−3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−アゼピン酢酸;
−3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸;及び
−3−アミノ−N−1−カルボキシメチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−[1]−ベンズアゼピン−2−オン、
から選択される、ジペプチド類似体を形成する、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態28:ペプチドが、
−トリプトファン;
−チロシン;
−2−アミノフェニルアラニン;
−3−アミノフェニルアラニン;
−4−アミノフェニルアラニン;
−ペンタフルオロフェニルアラニン;
−2−ピリジルアラニン;
−3−ピリジルアラニン;
−4−ニトロフェニルアラニン;
−1−ナフチルアラニン;
−ホモフェニルアラニン;
−フェニルグリシン;
−2−メチルフェニルアラニン;
−3−メチルフェニルアラニン;
−4−メチルフェニルアラニン;
−2−クロロフェニルアラニン;
−3−クロロフェニルアラニン;
−4−クロロフェニルアラニン;
−3,3−ジフェニルアラニン;
−4,4‘−ジフェニルアラニン;
−4−t−ブチルフェニルアラニン;
−シクロヘキシルアラニン;
−(4−アミノアセチル)フェニルアラニン;
−L−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸;
−D−β−メチルフェニルアラニン;及び
−L−β−メチルフェニルアラニン
から選択されるフェニルアラニン類似体を含む、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態29:ペプチドが、
−フェニルアラニン;
−4−アミノフェニルアラニン;
−4−メトキシフェニルアラニン;
−ペンタフルオロフェニルアラニン;
−2−ピリジルアラニン;
−3−ピリジルアラニン;
−4−ピリジルアラニン;
−4−ニトロフェニルアラニン;
−2−ニトロチロシン;及び
−4−フルオロフェニルアラニン
から選択される、少なくとも1種のチロシン類似体を含む、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態30:X及びX10は、共に、
−D,L−フリードリンガーラクタム
及び、−L,L−フリードリンガーラクタム
から選択される、ジペプチド類似体を形成する、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態31:ペプチドが、
−2,4−ジアミノ酪酸;
−チアゾリルアラニン;
−2,3−ジアミノプロピオン酸;
−グアニルアラニン;
−2−ピリジルアラニン;
−3−ピリジルアラニン;
−4−ピリジルアラニン;
−チエニルアラニン;
−オルニチン;
−リジン;
−アルギニン;
−4−グアニルフェニルアラニン;
−1−メチルヒスチジン;
−3−メチルヒスチジン;
−1,3−ジメチルヒスチジン;
−4−アミノフェニルアラニン;
−2−ピロリジルアラニン;
−3−ピペリジルアラニン;及び
−4−ピペリジルアラニン
から選択される、少なくとも1種のヒスチジン類似体を含む、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態32:X10が、中性疎水性アミノ酸及びその類似体から選択される、実施形態1に記載のペプチド。他の実施形態では、X10は中性アミノ酸又はその類似体である。更に他の実施形態では、X10は疎水性アミノ酸又はその類似体である。更なる実施形態では、X10はN−メチル化疎水性アミノ酸又はその類似体である。
代表的な実施形態33:X11が、チロシン又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態34:X12が、プロリン又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態35:X13が、チロシン又はその類似体である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態36:X14が存在しない、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態37:X15がアミノ基である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態38:ペプチドが、式II、III及びIVのいずれかのペプチドであり、nが1である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態39:ペプチドが、式II、III及びIVのいずれかのペプチドであり、nが2である、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態40:ペプチドが、配列
又は
を有する、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態41:Xが存在しない、実施形態40に記載のペプチド。
代表的な実施形態42:X、X及び/又はX12が、誘導体化されたアミノ酸又はその類似体である、実施形態40に記載のペプチド。
代表的な実施形態43:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態40のペプチド。
又は
ここで、式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。式XIでは、Zは、C−末端システイン残基(X13)の側鎖がペニシラミン(X)と架橋を形成するとき、カルボキシ末端を通して各ペプチドモノマーに結合することが、当業者には明らかであろう。同様に、式XIIでは、Zは、C−末端システイン残基(X13)の側鎖がペニシラミン(X)と架橋を形成するとき、カルボキシ末端を通して1つのペプチドモノマーに結合し、Zは、Xのアミノ末端又は側鎖を通して他のペプチドモノマーに結合することが、当業者には明らかであろう。
代表的な実施形態44:親水性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストラン;セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポロキサマー、及びポリエチレングリコールコポリマーから選択される、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態45:親水性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)である、実施形態44に記載のペプチド。
代表的な実施形態46:PEGが直鎖PEGである、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態47:PEGが分岐PEGである、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態48:PEGが10〜60kDaの範囲の平均分子量を有する、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態49:PEGが10〜40kDaの範囲の平均分子量を有する、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態50:PEGが約20kDaの分子量を有する、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態51:PEGが約30kDaの分子量を有する、実施形態45に記載のペプチド。
代表的な実施形態52:ペプチドが、ヒトFcRnに特異的に結合する、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態53:ペプチドのヒトFcRnに対する親和性が、50fM〜1mMの範囲である、実施形態52に記載のペプチド。
代表的な実施形態54:ペプチドのヒトFcRnに対する親和性が、500fM〜100μMの範囲である、実施形態53に記載のペプチド。
代表的な実施形態55:ペプチドのヒトFcRnに対する親和性が、5pM〜1μMの範囲である、実施形態54に記載のペプチド。
代表的な実施形態56:ペプチドが、ヒトFcRnのヒトIgGへの結合を阻害し、
50fM〜1mMの範囲のIC50を有する、実施形態52に記載のペプチド。
代表的な実施形態57:ペプチドが、1pM〜100nMの範囲のIC50を有する、実施形態56に記載のペプチド。
代表的な実施形態58:ペプチドが、10pM〜10nMの範囲のIC50を有する、実施形態56に記載のペプチド。
代表的な実施形態59:ペプチドが、配列
を有する、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態60:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態59に記載のペプチド。
ここで、式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
代表的な実施形態61:ペプチドが、配列
を有する、実施形態60に記載のペプチド。
代表的な実施形態62:ペプチドが、配列:
を有する、実施形態59に記載のペプチド。
代表的な実施形態63:BがQである、実施形態1に記載のペプチド。
代表的な実施形態64:Bが、−(W)m−(CH)n−NHであり、存在する場合、Wが−(CH、−(CH−CH−、−(CH−O)−、又は
であり、mが1、2、3、4又は5であり、nは1、2又は3であり、pは1、2、3、4、5である、実施形態63に記載のペプチド。
代表的な実施形態65:XがX13と架橋を形成する、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態66:架橋が、側鎖−側鎖架橋である、実施形態65に記載のペプチド。
代表的な実施形態67:Xがヒスチジン又はその類似体である、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態68:X及びXの少なくとも1つが、
−グリシン;
−D−アミノ酸;
−α−アミノイソ酪酸;及び
−サルコシン
から選択される、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態69:X14が存在しない、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態70:nが1である、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態71:ペプチドが、配列
を有する、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態72:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態71に記載のペプチド。
ここで、式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
代表的な実施形態73:ペプチドが、配列
を有する、実施形態64に記載のペプチド。
代表的な実施形態74:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態73に記載のペプチド。
ここで式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
代表的な実施形態75:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態74に記載のペプチド。
ここで式中、Bは、−(W)m−(CH)n−NHであり、存在する場合、Wは−(CH)p、−(CH−CH)p、−(CH−O)p−、又は
であり、mが1、2、3、4又は5であり、nは1、2又は3であり、pは1、2、3、4、5である)
B.誘導体化されたペプチドの合成
誘導体化されたペプチドは、当該技術分野において既知の任意の方法に従って調製できる。ポリエチレングリコールで誘導体化されたペプチド(「ペグ化された」ペプチド)を調製する代表的な方法を、以下に説明する。これらの方法は、本明細書に記載する任意のポリマーとともに用いることができる。したがって、本開示全体を通して用語「ペグ化する」、「ペグ化」又は「ペグ化された」を用いるときはいつでも、ポリエチレングリコールの代わりに、任意の親水性ポリマーで容易に代用できることが、当業者には明らかであろう。
(1)誘導体化されていないペプチドのペグ化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するペプチドは、対応するペグ化されていないペプチドとして合成し、次いでペグ化することができる。
a.誘導体化されていないペプチドの合成
本発明のペプチドは、実施例に記載の手順に従って、又は、例えば固相ペプチド合成のような他の既知の合成方法によって合成することができる。例えば、Abelson et al., eds., Methods in Enzymology, Volume 289: Solid−Phase Peptide Synthesis (1997);Chan and White, eds., Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach Oxford, University Press Inc., New York (2000); Benoiton, Chemistry of Peptide Synthesis, CRC (2005); Bodanszky, Principles of Peptide Synthesis, 2nd ed., Springer−Verlag, New York (1993);Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., Pierce Chemical Co., Rockford, Ill. (1984)を参照のこと。
全体的にコードされているアミノ酸から構成される本発明のペプチドは、当該技術分野において周知の技術を用いて、細胞内で組み換えで合成してもよい。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1989)及び Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)を参照のこと。
あるいは、本発明のペプチドは、合成と組み換え方法を併用して合成してもよい。
b.ペグ化
ペグ化は、当該技術分野において既知のペグ化反応のいずれかによって実施することができる。ペグ化されたタンパク質産物を調製する方法は、一般に、(a)典型的に少なくとも1つの第2反応基を含む、本発明のペプチドが、1つ又はそれ以上のPEG基に結合する条件下で、ポリペプチドを、第1反応基(例えば、活性エステル、アルデヒド、アミン、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジド、オチオール、マレイミド及び、例えばヨードアセチルのようなα−ハロアシルのような)を含むPEGと反応させることと、(b)反応産物を得ることとを含む。反応条件は、ペグ化分野で既知であるもののいずれか、又は続いて開発されるものから選択することができる。一般に、本発明の抗FcRnペプチドを分解しない反応条件(例えば、温度、溶媒及びpHを含む)が選択される。
ペグ化されるべきペプチドが、ペグ化できる第2反応基を1個超含有する実施形態では、これらの基の一部又は全てを、ペグ化反応中適切なPEG化学量論を用いることにより、ペグ化することができる。2つのC−末端アミンを含むペプチドダイマーの例示的な例では、用いるPEG化学量論に応じて、両方のアミンをペグ化してもよく、又は1つのアミンのみをペグ化してもよい。
アシル化 本明細書で使用するとき、アシル化は、制限なく、本発明のペプチドとPEGとの間に以下の種類の結合:アミド、カルバメート、ウレタン等を含むことが想到される。例えば、Chamow, Bioconjugate Chem., 5:133−140 (1994)を参照のこと。
最初の例では、アミン含有ペプチド(アミン基が、例えば側鎖アミン基又はN−末端アミン基である場合)は、活性化エステル基(例えば、PEGスクシンイミジルエステル及びPEGパラ−ニトロフェニルエステル、例えばNOF Corp. (Japan) Cat. Nos. Sunbright MEGC−30TS and Sunbright MENP−30T等)を有するPEG試薬と選択的に反応させて、アミド結合を生じさせることができる。あるいは、ペプチドは、アミノオキシ、ヒドラジン、又はヒドラジド基を含んでもよい。
2番目の例では、ペプチドカルボン酸基(例えば、側鎖及びC−末端カルボン酸基を含む)は、種々の試薬(例えば、1−エチル−3−(3‘−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミジド+EDCを含む)で活性化することができる。活性化されたペプチドは、次いで、アミン含有PEG試薬(例えば、NOF Corp. (Japan) Cat. No. Sunbright MEPA−30Tを含む)に結合させることができる。
アルキル化及び還元的アルキル化 ペプチド−PEG抱合体は、アミン(又はアミノオキシ、ヒドラジン、又はヒドラジド)とアルデヒドとの反応による、アルキル化により調製できる。例えば、アミノオキシ、ヒドラジン又はヒドラジドの反応を含む、いくつかの実施形態では、アルキル化産物は還元されない。他の実施形態では、ペプチド−PEG抱合体は、好適な還元剤の存在下における、アミン(又はアミノオキシ、ヒドラジン、若しくはヒドラジド)とアルデヒドとの反応による還元的アルキル化により、又は、アミン(又はアミノオキシ、ヒドラジン、若しくはヒドラジド)とアルデヒドとを反応させ、次いで好適な還元剤で還元して、例えば実施例12、14、16、27〜29及び31〜34に記載のような、安定な炭素−窒素単結合を生じさせることにより、調製できる。
最初の例では、側鎖又は遊離N−末端アミン基を含むペプチドは、アルデヒド基を含むPEGと結合することができる。PEGアルデヒドは市販されている(例えば、NOF Corp. (Japan) Cat. No. Sunbright ME−300Alを含む)。別の代表的なPEGアルデヒドは、水に対して安定性である、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、又はそのモノC〜C10アルコキシ若しくはアリールオキシ誘導体である。例えば、米国特許第5,252,714号を参照のこと。一般に、アルデヒド基を含有するPEGは、単一の反応性アルデヒド基を有し得る。
2番目の例では、ヒドロキシアミン、ヒドラジン又はヒドラジド基を含むペプチドは、PEG−アルデヒドと容易に反応できる。(アミノオキシ、ヒドラジン又はヒドラジド基を含むペプチドは、実施例39に記載のもののような、当業者に既知である標準的な方法により調製できる。)いくつかの実施形態では、得られる産物は還元される。他の実施形態では、得られる産物は還元されない。
3番目の例では、ペプチドアルデヒドは、アミン含有PEG試薬(例えば、NOF Corp. (Japan) Cat. No. MEPA 30Tのような)と反応する。ペプチドアルデヒドは、例えば実施例12に記載のように、又はアルデヒド含有アミノ酸を組み込むことにより、容易に反応する。
トリアルキル化 遊離チオール官能基(例えば、システインアミノ酸残基由来の)を含むペプチドは、例えばマレイミド(例えば、NOF Corp. (Japan) Cat. No. ME−300MAのような)又は、ヨードアセチルを含むハロアセチルを含むα−ハロアシルのような求電子剤で官能化されたPEGと容易に反応して、チオエーテル結合を形成することができる。あるいは、求電子官能基(例えば、マレイミドを含み、これは当業者に既知である標準的な方法により調製できる)を含むペプチドは、チオール含有PEG基(例えば、NOF Corp. (Japan) Cat. No. ME−300SHのような)と反応することができる。好適な求電子官能基は、当業者に既知である。
他の抱合化学 当業者が利用可能である多数のPEG結合方法が存在し、例えば、欧州特許第0401384号;Malik et al., Exp. Hematol., 20:1028−1035 (1992);Francis, Focus on Growth Factors, 3(2):4−10 (1992);欧州特許第0154316号;同第0401384号;国際公開第92/16221号及び同第95/34326号に記載されている。PEG−ペプチド抱合のための他の可能な方法としては、例えば、アジド−アルキン化学(例えば、J. Am. Chem. Soc. 125:3192−3193 (2003)に記載のような)の使用が挙げられる。特定の実施形態では、PEGチオエステルは、例えば、Dawson and Kent, Annu. Rev. Biochem. 69:923 (2000)に記載のように、N−末端システイン残基を有するペプチドと反応できる。
(2)ペグ化部位
本明細書に記載の抗FcRnペプチドは、下記のように、ペプチドの任意の好適な位置でペグ化することができる。いくつかの実施形態では、抗FcRnペプチドは、複数の位置でペグ化することができる。
N−末端 N−末端にアミン基を有するペプチドは、例えば、上記任意の好適な抱合方法により、N−末端をペグ化することができる。
N−末端反応基の付加 いくつかの実施形態では、1つ又はそれ以上の反応基を、本発明の抗FcRnペプチドのN−末端に付加することができる。いくつかの実施形態では、反応基は、アミノ酸側鎖である。例えば、アセチルでキャッピングされたリジン残基を、N−末端に付加し、ペグ化できる側鎖アミン基を得ることができる。他の実施形態では、アミン含有側鎖を有するアミノ酸をN−末端に付加することにより、複数のペグ化部位を導入することができる。例えば、リジン残基を、ペプチド番号285の遊離アミンに付加して、ペグ化のための2つの利用可能なアミン部位(リジンα−及びε−アミノ基)を生成することができる。リジン含有産物と好適に活性化されたPEG(例えば、下記アルデヒド含有PEGのような)との反応により、図18に図示するように、ペプチド1つあたり2つのPEG部分を有するPEG−ペプチド抱合体を得ることができる。
N−末端リンカー モノマー性ペプチドは、例えば、実施例12、13及び15に記載のような反応基を含むN−末端リンカーでマルチマー化することができる。例えば、ペプチド番号100、119、120、121、160、199及び200は、ペグ化できるカルボン酸基を含むN−末端リンカーを有し、ペプチド番号285及び286は、ペグ化できるアミン基を含むN−末端リンカーを有する。
C−末端 C−末端にカルボン酸基を有するペプチドは、例えば、上記任意の好適な抱合方法により、C−末端をペグ化することができる。
他の実施形態では、ペプチドは、C−末端アミン基を得るために、アミン含有樹脂(例えば、1,2−ジアミノエタントリチルPS、Novabiochem Cat. No. 01−64−0081)上で合成できる。
C−末端反応基の付加 いくつかの実施形態では、ペグ化のための1つ又はそれ以上の反応基を、本発明の抗FcRnペプチドのC−末端に付加することができる。いくつかの実施形態では、反応基は、アミノ酸側鎖である。例えば、C−末端アミド基を有するリジン残基をC−末端に付加して、ペグ化できる側鎖アミン基を得ることができる。他の実施形態では、アミン含有側鎖を有するアミノ酸C−末端に付加することにより、複数のペグ化部位を導入することができる。例えば、グルタミン酸残基を、C−末端に付加して、ペグ化のための2つの利用可能なカルボン酸部位(グルタミン酸α−及びγ−カルボキシル基)を生成することができる。反応基のC−末端への付加は、実施例7に記載のペプチド切断研究に基づいて、抗FcRnの活性を実質的に妨げるとは予測されない。
C−末端リンカー モノマー性ペプチドは、例えば、実施例12に記載のような反応基を含むC−末端リンカーでマルチマー化することができる。例えば、ペプチド番号278は、ペグ化できるアミン基を含むC−末端リンカーを有する。
側鎖 いくつかの実施形態では、反応基は、例えばアミノ酸側鎖(例えば、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、オルニチン、及びリジンのような側鎖アミンを含むアミノ酸;例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸のような側鎖カルボン酸を含むアミノ酸;並びに、例えば、システイン及びペニシラミンのような側鎖チオール基を含むアミノ酸を含む)に位置し得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、ペグ化できるアミノ酸側鎖を含む。
他の実施形態では、好適なペグ化部位は、1つ又はそれ以上の所与の配列のアミノ酸を、所望の反応基を含むアミノ酸に置換することにより得ることができる。例えば、実施例7に記載のペプチドアラニン走査研究は、ペプチド番号501のアルギニン−2、スレオニン−5及びプロリン−13残基が、インビトロでの効力を著しく低下させることなく、アラニンに置換できることを示したため、これらのアミノ酸の1つ、2つ又は全てもまた、インビトロでの効力を著しく低下させることなく、所望の反応基を含むアミノ酸に置換することが可能である。いくつかの実施形態では、ペプチド番号1のアルギニン−2、スレオニン−5及びプロリン−13残基は、例えば、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、オルニチン、及びリジンのような側鎖アミンを含むアミノ酸;例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸のような側鎖カルボン酸を含むアミノ酸;並びに、例えば、システインのような側鎖チオール基を含むアミノ酸に置換し得る。いくつかの実施形態では、このような置換により、例えば、実施例4に記載のようなIgG−ペプチド競合アッセイ、Biacore又はKinExA(動態排除アッセイ)により測定したとき、元のペプチドに比べて、インビトロでの効力が低下しない、又は元のペプチドのインビトロでの効力の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、75、80、85、90、95、97、98若しくは99%である、ペプチドを得ることができる。
(3)ペグ化構成単位の組み込み
他の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、PEG部分を含むアミノ酸構成単位を組み込むことにより合成できる。
C.ペプチド抱合体
いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは、例えば、ペプチド及び第2分子を含む、共有及び非共有抱合体が挙げられる、抱合体として提供され、第2分子は、例えば、タンパク質、ペプチド、小分子、ポリマー又は核酸であり得る。いくつかの実施形態では、第2分子は、本明細書に記載のペプチドに、例えば、半減期の延長、安定性及び/又は輸送の促進のような所望の特性を付与することができる。いくつかの実施形態では、第2分子は、実施例4に示すように、例えばIgG競合ELISAにより測定される、本発明のペプチドの効果を高めることができる。いくつかの実施形態では、第2分子は、例えば、カニクイザルの血清IgG濃度を全体的に低下させることにより、又は抱合されていないペプチドと比べた、特定の治療効果を得るために必要な、抱合化されたペプチドの投与頻度を比較することにより測定される、本発明のペプチドの効果を高めることができる。更なる実施形態では、例えば、第2分子は、特定の細胞、組織及び/又は器官に対するペプチドの標的化をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、抱合体は、増大されたIgG−FcRnを阻止する能力を有し得る。他の実施形態では、抱合体は、ペプチドが分解するのを防ぎ、それによりペプチドのインビボでの効果を高めることができる。いくつかの実施形態では、抱合体は、より長い循環半減期を有し得る。更なる実施形態では、このような抱合体は、本発明のペプチドよりも効率的に、他の分子を結合及び中和することができる。他の実施形態では、抱合体は精製を容易にすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明の抱合化されているペプチドの第2分子は、IgGのFcドメイン又はその断片であり得る。IgGは、例えば、ヒトIgG、IgG、又はIgGのようなヒトIgGであり得る。いくつかの実施形態では、IgGは、例えば、Pro331Ser Fcγ2変異体、Leu235Ala Fcγ4変異体、Leu234Val Fcγ1変異体、Leu235Ala Fcγ1変異体、又はPro331Ser Fcγ1のような、改変された又は突然変異したIgGである。いくつかの実施形態では、第2分子は、例えば、ヒンジ、CH及び/又はCHドメインを含むIgG断片であり得る。
いくつかの実施形態では、本発明の抱合化されているペプチドの第2分子は、アルブミン、アルブミン断片、又はアルブミン結合分子(例えば、ペプチド、タンパク質、及び、例えばアルブミンに非共有的に結合する長アルキル鎖が挙げられる分子のような)であり得る。このような抱合体は、インビボでの半減期がより長くなり得、したがって、所望の治療効果を得るために必要なペプチド用量はより少なくてよい。例えば、Chuang et al., Pharm. Res. 19:569 (2002);米国特許第6,685,179を参照のこと。
本発明のペプチドの、タンパク質、ペプチド、小分子、ポリマー又は核酸との抱合体は、当該技術分野において既知の、又は本明細書に記載の、任意の抱合化学に従って調製できる。例えば、いくつかの実施形態では、ペプチドは、例えば、Zobel et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 13:1513 (2003)に記載のように、アルブミンに非共有的に結合するための疎水性芳香族キャッピング試薬により、キャッピングできる。他の実施形態では、チオール反応基で修飾されたペプチドを、例えばKim et al., Diabetes 52:751 (2003)に記載のように、遊離システイン残基への共有抱合のために用いることができる。更なる実施形態では、アルデヒドを含有する本発明のペプチドは、例えばKinstler, Adv. Drug Del. Rev. 54:477 (2002)に記載のように、還元的アルキル化反応により、第2分子と反応することができる。あるいは、第2分子がN−末端システインを有するタンパク質又はペプチドである場合、ペプチドチオエステルは、第2分子と反応して、例えばDawson and Kent, Annu. Rev. Biochem. 69:923 (2000)に記載のように、共有抱合体を形成することができる。ペプチド−タンパク質及びペプチド−ペプチド抱合体はまた、特定の実施形態では、全てのアミノ酸がコードされているアミノ酸である場合、適切な宿主細胞で発現させることにより調製できる。
D.代表的なペプチド抱合体
代表的な実施形態76:実施形態1〜75のいずれか1つに記載のペプチド及び第2分子を含む抱合体。
代表的な実施形態77:第2分子が、アルブミン、トランスフェリン及び免疫グロブリンのFc部分から選択される、実施形態76に記載の抱合体。
代表的な実施形態78:第2分子が免疫グロブリンのFc部分である、実施形態77に記載の抱合体。
代表的な実施形態79:免疫グロブリンが、IgG、IgG、IgG及びIgGから選択される、実施形態78に記載の抱合体。
III.他のペプチド
いくつかの実施形態では、本発明のペプチドは誘導体化されない。このようなペプチドの代表的な実施形態を以下に記載する。
代表的な実施形態A:以下の配列を有するペプチド。
又は
ここで式中、
−Aは、存在する場合、水素、アシル又はアミノ保護基であり;
−Bは、存在する場合、Qを含む、又はアミノ基、ヒドロキシル基、若しくはカルボキシ保護基であり;
−Qは、存在する場合、アミン基(中性であっても、又は正電荷を有してもよい)であって、アルキレン基によりペプチドに結合し、ここでアルキレン基は、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、n−ペンチレン及びn−ヘキシレンを含むが、これらに限定されないか;又は、アルキレン基とアルキレンオキシドサブユニットとの組み合わせ(アルキレンオキシドサブユニットは−(CH−CH−O)p−(式中、pは1、2、3、4又は5である)を含むが、これらに限定されない)によりペプチドに結合するアミン基を含み;Qの非限定的な例としては、
−CH−CH−NH
−CH−CH−CH−CH−NH
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−NH
−CH−CH−O−CH−CH−NH
−(CH−CH−O)−CH−CH−NH及び
−(CH−CH−O)−CH−CH−NH
が挙げられ;
−Xは、存在する場合、アミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
−Xは、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、X10、X12又はX13と架橋を形成することができる、アミノ酸又はその類似体であり;
−Xは、アミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜4個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
−Xは、塩基性アミノ酸若しくはその類似体、芳香族アミノ酸若しくはその類似体、又は塩基性芳香族アミノ酸若しくはその類似体であり;
−Xは、フェニルアラニン又はその類似体であり;
−X及びXは、それぞれ独立して、グリシン若しくはその類似体、サルコシン若しくはその類似体、アスパラギン酸若しくはその類似体、D−アミノ酸若しくはその類似体、及びα−アミノイソ酪酸若しくはその類似体から選択されるか、又は、
−Xは、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
−X10は、アミノ酸若しくはその類似体であるか、又は
−X10は、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
−X11は、チロシン又はその類似体であり;
−X12は、アミノ酸又はその類似体であり;
−X13は、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
−X14は、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸のペプチド若しくはその類似体であり;
−Zは、
−A;
−B;
−Xが存在する場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;Xが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;X及びXが両方存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;又は、X、X及びXが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;
−X14が存在する場合、X14のカルボキシ末端若しくは側鎖;X14が存在しない場合、X13のカルボキシ末端若しくは側鎖;又はX13及びX14が両方存在しない場合、X12のカルボキシ末端若しくは側鎖;
を通して、各ペプチドモノマーに結合するリンカーであり;
−mは、1、2及び3から選択される整数であり;
−nは、1、2及び3から選択される整数である。
式中:
−各A、B、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13及びX14は、独立して選択され;
−ペプチドの各モノマーの長さは、10〜50個のアミノ酸で変動する。
ZがXの側鎖を通してペプチドに結合する場合、Aは必ず存在することが、当業者には明らかであろう。同様に、ZがX14の側鎖に結合する場合、Bは必ず存在する。
代表的な実施形態B:BがQである、実施形態Aに記載のペプチド。
代表的な実施形態C:Bが、−(W)−(CH−NHであり、Wが、存在する場合、−(CH、−(CH−CH、−(CH−O)−又は
であり、mが1、2、3、4又は5であり、pが1、2、3、4、5である、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態D:XがX13と架橋を形成する、実施形態Cに記載のペプチド。
代表的な実施形態E:架橋が側鎖−側鎖架橋である、実施形態Dに記載のペプチド。
代表的な実施形態F:Xが、ヒスチジン又はその類似体である、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態G:X及びXの少なくとも1つが、
−グリシン;
−D−アミノ酸;
−α−アミノイソ酪酸;及び
−サルコシン
から選択される、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態H:X14が存在しない、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態I:nが1である、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態J:ペプチドが、配列
を有する、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態K:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態Bに記載のペプチド。
ここで式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
代表的な実施形態L:ペプチドが、配列
を有する、実施形態Bに記載のペプチド。
代表的な実施形態M:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態Lに記載のペプチド。
ここで式中、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
代表的な実施形態N:ペプチドが、以下の配列を有する、実施形態Mに記載のペプチド。
ここで式中、Bは、−W−CH−CH−NHであり、Wは、存在する場合、−(CH、−(CH−CH、−(CH−O)−又は
であり、pは1、2、3、4、5である。
代表的な実施形態O:Wが存在しない、実施形態Mに記載のペプチド。
代表的な実施形態P:Wが、−(CH−CH)−である、実施形態Mに記載のペプチド。
代表的な実施形態Q:Wが、−(CH−CH−O)−であり、pが1である、実施形態Mに記載のペプチド。
代表的な実施形態R:Wが、−(CH−CH−O)−であり、pが2である、実施形態Mに記載のペプチド。
IV.FcRnに結合し、FcRn−IgG相互作用を阻止するペプチドのスクリーニング及び発見方法
FcRnに結合するペプチドは、ファージディスプレイライブラリを用いて同定できる。ファージディスプレイライブラリは、Smith and Petrenko, Chem. Rev. 87:391 (1997)に記載のように容易に作製できる。あるいは、ファージディスプレイライブラリは、例えばDyax Corp. (Cambridge, MA)のような、商業的供給業者から入手することができる。スクリーニング条件に応じて、ファージは、種々の異なる特性により同定できる。FcRnに結合する(それによりIgGのFcRnへの結合と競合する)ペプチドを同定するために、FcRnへの結合について、及びIgGとの競合により、ファージライブラリをスクリーニングすることができる。所望により、ファージライブラリを1種又はそれ以上の代わりの受容体とともにインキュベートすることにより、ライブラリから、代わりの受容体に結合するペプチドを取り除くことができる。それにより、代わりの受容体に結合したファージは、所望のファージプールが枯渇する。FcRnに結合できるファージクローンのDNAの配列を決定することにより、FcRnに結合し、IgG−FcRn結合を阻害することができるペプチドを同定できる。
FcRnに結合するペプチドを同定する他の方法の例としては、mRNAディスプレイ(Roberts and Szostak, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 94:12297 (1997))、セルベースディスプレイ(Boder and Wittrup, Nat. Biotechnol. 15:553 (1997))、及び合成ペプチドライブラリ(Lam, Nature 354:82 (1991); Houghten et al., Nature 354:84 (1991))が挙げられる。
V.FcRnに結合し、IgG:FcRn相互作用を阻止するペプチドの評価方法
多数の方法を用いて、ペプチド又はペプチドミメティックが、FcRnに結合し、FcRn:IgG相互作用を阻止する能力を評価できる。例えば、表面プラズモン共鳴法(SPR)は、結合事象を判定するための、当業者に周知の方法である(Biacore AB, Uppsala, Sweden)。この方法を用いて、結合パートナーの一方(FcRn又はIgG)をSPRセンサチップ上に固定し、もう一方の他の結合パートナーは、チップを通過させ、このチップが得られる信号をモニタする。同じ実験で、IgGとFcRnとの間の相互作用の競合者として判定されるペプチドも、チップを通過させる。任意の信号の低下は、ペプチドの、FcRnとIgGとの間の相互作用を阻止する能力の指標として解釈できる。
他の可能性のある、IgG:FcRn相互作用のペプチド阻害剤を評価するための方法も、当該技術分野において周知である。このような方法の1つは、96ウェルプレート型におけるIgG競合アッセイである。この例のアッセイでは、96ウェルプレート上の可溶性ヒトFcRnをIgG及び試験ペプチドに曝露する。抗IgG抗体及び標準的なELISA可視化試薬により検出したとき、残りの結合したIgGは、ペプチドの、FcRn−IgG相互作用を阻止する能力の指標を与える。
ペプチドの、IgG−FcRn結合を阻止する能力はまた、細胞表面上でヒトFcRnを発現させ得る細胞株を発生させるために、ヒトFcRnをコードするDNAをトランスフェクトした細胞上で行ない得る。IgG−FcRn結合のペプチド阻害剤が、蛍光標識されたIgG分子と競合する、結合競合アッセイを適用することができる。細胞に結合している残りのIgG濃度は、標準的な蛍光活性化細胞選別機(FACS)を用いて測定できる。
VI.免疫調節性ペプチドの製薬学的使用
本発明のペプチドは、FcRnに結合し、IgGの定常領域のFc部分がFcRnに結合するのを阻害し、本発明のペプチドの非存在下におけるIgGの異化と比較して、IgGの異化を増加させる。代表的な実施形態では、IgGの定常領域は、IgG、IgG、IgG又はIgGサブクラスに由来する。
A.製薬組成物の調製
本発明のペプチドは、IgGの異化が増加することが望ましい場合がある、任意の疾患又は病状の治療のための薬物(製薬組成物)の製造で用いることができる。したがって、本発明は、少なくとも1つの本発明のペプチドを含む製薬組成物を提供する。これらの組成物は、典型的には、製薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含む。好適な製薬担体は、E.W. MartinのRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。賦形剤の例としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を挙げることができる。組成物はまた、pH緩衝剤及び湿潤又は乳化剤を含有することができる。
本発明の製薬組成物は、例えば、静脈内に、皮下に、筋肉内に、経口で、舌下に、口内に、舌下に、鼻に、直腸内に、膣内に、が挙げられる任意の合理的な投与経路により、又は吸入により、それを必要とする患者に投与するために処方することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ペプチドの持続放出を可能にするバイオポリマー固体支持体内に植え込んでもよく、又はそれに結合させてもよい。
経口投与の場合、製薬組成物は、従来の手段により調製される錠剤又はカプセルの形態をとってよい。組成物はまた、例えば、シロップ剤又は懸濁液のような、液体として調製することもできる。液体は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水添食用脂)、乳化剤(レシチン又はアカシア)、非水性媒体(例えば、扁桃油、油状エステル、エチルアルコール又は分留植物油)及び防腐剤(例えば、メチル若しくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸又はソルビン酸)を含むことができる。製剤はまた、着香剤、着色剤及び甘味剤を含んでもよい。あるいは、組成物は、水又は別の好適な媒体との構成のために、乾燥製品として提示してもよい。
口内及び舌下投与の場合、組成物は、従来のプロトコルに従って、錠剤又は舐剤の形態をとり得る。
吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素又は他の好適な気体である、好適な噴射剤を用いて、加圧包装又は噴霧器(例えば、PBS)から噴霧されるエアゾールスプレーの形態で、便利に送達される。加圧エアゾールの場合、用量単位は、計量された量を運ぶための弁を設けることにより決定できる。吸入器若しくは吹き入れ器で用いる、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジを、化合物及び、ラクトース又はデンプンのような好適な粉末基剤の粉末ミックスを含有するように、処方することができる。
製薬組成物は、大量瞬時投与による非経口投与(例えば、静脈内又は筋肉内投与を含む)のために処方することができる。注入のための処方は、防腐剤の添加された、例えば、アンプル又は複数回投与用容器内に、単位用量で提示することができる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとることができ、懸濁、安定化及び/又は分散剤のような処方剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、例えば発熱物質を含まない水のような、好適な媒体との構成のために、粉末形態であり得る。
製薬組成物はまた、例えば、カカオバター又は他のグリセリドのような従来の坐薬基剤を含有する、坐薬又は停留浣腸として直腸内投与するために処方することもできる。
B.代表的な製薬組成物
代表的な実施形態80:治療的に有効な量の、実施形態1〜75又はA〜Rのいずれか1つに記載のペプチド、又は治療的に有効な量の、実施形態76〜79のいずれか1つに記載の抱合体を含む、製薬組成物。
代表的な実施形態81:治療的に有効な量のペプチドが、ペプチドで治療する前のヒトIgGの血清濃度に比べて、ヒトIgGの血清濃度を低下させることができる、実施形態80に記載の組成物。
代表的な実施形態82:ヒトIgGの血清濃度の低下が少なくとも5%である、実施形態81に記載の組成物。
代表的な実施形態83:ヒトIgGの血清濃度の低下が少なくとも15%である、実施形態82に記載の組成物。
代表的な実施形態84:ヒトIgGの血清濃度の低下が少なくとも25%である、実施形態83に記載の組成物。
C.治療方法
本発明の製薬組成物は、IgGの異化が増加することが望ましい任意の疾患又は病状を治療するのに有用である。したがって、本発明は、治療的に有効な量の本発明のペプチドを、それを必要とする患者に投与することを含む、不適切に発現したIgG抗体、又はIgGの望ましくない量若しくは濃度を特徴とする疾患を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のペプチドでIgGの血清濃度を調節することにより、疾患を治療する方法を提供する。用語「治療する」、「治療」及び「治療すること」は、(1)疾患若しくは病状の重篤度又は期間の低減、(2)必ずしも治癒するわけではないが、疾患若しくは病状に関連する1つ若しくはそれ以上の症状の寛解、又は(3)疾患若しくは病状の予防を指す。
特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫リンパ増殖症候群、自己免疫血小板減少性紫斑病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー−疱疹状皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、クローン病、ドゴー病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状、本態性クリオグロブリン血症(essential mixed cryoglobulinemia)、線維筋痛−線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、移植片拒絶反応、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑並びにウェゲナー肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない自己免疫疾患を治療、予防又は制御することができる。
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、水疱性類天疱瘡、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症(MG)、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡を含む)及び移植片拒絶反応から選択される。
特定の実施形態では、本発明のペプチドを含む組成物は、免疫抑制のためにステロイドと併用してもよい。
本発明のペプチドを用いて、限定されないが、ぜんそく、潰瘍性大腸炎及び炎症性腸症候群、アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎皮膚アレルギー(例えば、発疹(すなわち、じんましん)、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎を含む)、食物アレルギー、薬剤アレルギー、昆虫アレルギーを含むアレルギー、、肥満細胞症、変形性関節症を含む関節炎、関節リウマチ、並びに脊椎関節症を含む炎症性疾患を治療することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、炎症に基づく病因論を有する循環器疾患(例えば、動脈硬化)、移植片拒絶反応、及び/又は移植片対宿主病(GVHD)を治療する方法を提供する。
本発明の他の実施形態は、本発明のペプチドを投与することにより、癌を治療する方法を含む。本発明の方法を使用して、多発性骨髄腫を含む形質細胞癌のような、IgGの過剰産生を伴う癌を治療する又は制御を補助することができる。
しばしば、治療用タンパク質の投与を必要とする疾患又は病状では、投与を受ける対象は治療用タンパク質に対する抗体を発現し、次いでこれは、治療用タンパク質を意図する治療目的に利用可能にすることを妨げる。したがって、本発明のペプチドは、治療用タンパク質と併用して、IgG濃度を低下させることにより治療用タンパク質の利点を強化することができ、ここでIgG抗体は治療用タンパク質の生物学的利用能の低下に関与する。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、細胞を、治療的に有効な量の本明細書に開示する任意のペプチドと接触させることを含む、凝固因子に対する免疫反応に起因する病状、疾患若しくは障害を制御、治療又は予防する方法であって、前記凝固因子がフィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子又はフォン・ヴィレブランド因子から選択される方法を提供する。この方法を用いて、例えば血友病A又は血友病Bに罹患している患者における、凝固因子に対する免疫反応を制御する、又は治療する、又は予防することができる。いくつかの実施形態では本発明のペプチドは、第VIII因子阻害剤を阻止する。他の実施形態では、この方法を用いて、例えば赤芽球癆(PRCA)に罹患している患者における、例えば治療用エリトロポエチンに対する免疫反応を制御する、又は治療する、又は予防することができる。本発明は更に、リソソーム加水分解酵素に対する免疫反応を制御する、又は治療する、又は予防することができ、例えば、α−ガラクトシダーゼA、酸性セラミダーゼ、酸性α−L−フコシダーゼ、酸性β−グルコシダーゼ(グルコセレブロシダーゼ)、酸性βガラクトシダーゼ、イズロン酸−2−スルファターゼ、α−L−イズロニダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ、酸性α−マンノシダーゼ、酸性β−マンノシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、N−アセチルガラクトサミン−6−スルフェートスルファターゼ、酸性β−ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、酸性α−グルコシダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼB、ヘパランN−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル−CoA:α−グルコサミニド、N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スルフェートスルファターゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、シアリダーゼ、β−グルコロニダーゼ及びβ−ヘキソサミニダーゼAのようなリソソーム加水分解酵素が存在しないと、リソソーム蓄積障害が生じる。
他の実施形態では、本発明の方法を使用して、遺伝子治療用ベクターに対する免疫反応を治療、予防又は制御することができる。疾患又は病状を治療するための遺伝子治療をうまく実行する妨げとなるものとしてはまた、導入遺伝子によりコードされている治療用タンパク質に加えて、恐らく導入遺伝子を送達するのに用いられるベクターに特異的な抗体の発生が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載するペプチドは、遺伝子治療と併用して投与し、IgGの濃度を低下させることにより、コードされている治療用タンパク質の利点を強化することができる。これらの方法は、IgG抗体が、遺伝子治療用ベクター又はコードされている治療用タンパク質の生物学的利用能の低下に関与する状況で特に有用である。遺伝子治療用ベクターは、例えば、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスのようなウイルスベクターであり得る。遺伝子治療を用いて治療できる疾患としては、嚢胞性線維症、血友病、PRCA、筋ジストロフィー又は、例えばゴーシェ病及びファブリー病のようなリソソーム蓄積症が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法では、本明細書に記載の組成物は、例えば、静脈内に、皮下に、筋肉内に、経口で、舌下に、口内に、舌下に、鼻に、直腸内に、膣内に、のような任意の好適な経路を介して、又は吸入により投与することができる。一般に、本明細書に記載する組成物の適切な用量は、治療される疾患又は病状、疾患又は病状の重篤度、対象の性別、年齢及び体重を含む対象、所望の成果、並びに用いられる具体的な投与経路に応じて変動する。例えば、用量は、0.1〜100,000μg/kg体重の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1〜10,000μg/kgであってよい。他の実施形態では、用量範囲は、10〜1,000μg/kgであってよい。更に別の実施形態では、用量範囲は100〜500μg/kgである。
本発明の組成物は、連続的に又は特定の時間間隔で投与することができる。インビトロアッセイを使用して、最適な用量範囲及び/又は投与スケジュールを決定することができる。他の有効な用量は、用量反応曲線を定める日常的な治験を通して、当業者が容易に決定することができ、例えば、IgG濃度を増加又は減少させるのに必要な本発明のペプチドの量は、インビボ実験から算出できる。当業者は、用量レベルが、特定の化合物、症状の重篤度、及び対象の副作用に対する感受性の関数として変化し得ることを容易に理解し、所与の化合物の好ましい用量は、種々の手段により当業者が容易に決定可能である。例えば、当業者は、用いられる具体的な薬剤に応じて、所望の効果を有することが必要な量に関する容易に利用可能な情報を用いて、適切な用量を算出できる。
D.治療実施形態の代表的な方法
代表的な実施形態85:実施形態80〜84のいずれか1つに記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、不適切に発現したIgG抗体又は過剰なIgGを特徴とする疾患の治療方法。
代表的な実施形態86:疾患が、エリトロポエチン、リソソーム加水分解酵素(これが存在しないと、リソソーム蓄積症が生じる)及び凝固因子から選択される、治療用タンパク質に対する免疫反応である、実施形態85に記載の方法。
代表的な実施形態87:リソソーム加水分解酵素が、α−ガラクトシダーゼA、酸性セラミダーゼ、酸性α−L−フコシダーゼ、酸性β−グルコシダーゼ(グルコセレブロシダーゼ)、酸性βガラクトシダーゼ、イズロン酸−2−スルファターゼ、α−L−イズロニダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ、酸性α−マンノシダーゼ、酸性β−マンノシダーゼ、アリールスルファターゼB、アリールスルファターゼA、N−アセチルガラクトサミン−6−スルフェートスルファターゼ、酸性β−ガラクトシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、酸性α−グルコシダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼB、ヘパランN−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル−CoA:α−グルコサミニド、N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スルフェートスルファターゼ、α−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、シアリダーゼ、β−グルコロニダーゼ及びβ−ヘキソサミニダーゼAから成る群から選択される、実施形態86に記載の方法。
代表的な実施形態88:凝固因子が、フィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子及びフォン・ヴィレブランド因子から選択される、実施形態86に記載の方法。
代表的な実施形態89:IgGが遺伝子治療用ベクターに特異的である、実施形態85に記載の方法。
代表的な実施形態90:疾患が、炎症疾患、自己免疫疾患及び癌から選択される、実施形態89に記載の方法。
代表的な実施形態91:自己免疫疾患が、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫肝炎、自己免疫リンパ増殖症候群、自己免疫血小板減少性紫斑病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー−疱疹状皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、クローン病、ドゴー病、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、円板状、本態性クリオグロブリン血症、線維筋痛−線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性関節炎、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、移植片拒絶反応、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑並びにウェゲナー肉芽腫症から選択される、実施形態90に記載の方法。
代表的な実施形態92:自己免疫疾患が、水疱性類天疱瘡、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、天疱瘡及び移植片拒絶反応から選択される、実施形態91に記載の方法。
代表的な実施形態93:天疱瘡が尋常性天疱瘡である、実施形態92に記載の方法。
代表的な実施形態94:疾患が炎症疾患である、実施形態91に記載の方法。
代表的な実施形態95:炎症疾患が、ぜんそく、潰瘍性大腸炎及び炎症性腸症候群、アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、皮膚アレルギー、食物アレルギー、薬剤アレルギー、昆虫アレルギーを含むアレルギー、肥満細胞症、変形性関節症を含む関節炎、関節リウマチ及び、脊椎関節症から選択される、実施形態94に記載の方法。
代表的な実施形態96:皮膚アレルギーが、発疹、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎から選択される、実施形態95に記載の方法。
VII.FcRnのインビトロイメージング及び検出
本発明のペプチドを、FcRnを検出するためのアッセイで用いることができる。いくつかの実施形態では、アッセイは、本発明のペプチドとFcRnとの結合を検出する結合アッセイである。いくつかの実施形態では、FcRnを固定化して、本明細書に記載する1つ又はそれ以上のペプチドを、固定化したFcRn上を通過させることができる。代替実施形態では、1つ又はそれ以上のペプチドを固定化して、FcRnを、固定化したペプチド上を通過させることができる。FcRn又は本発明のペプチドのいずれかを検出可能に標識化させることができる。好適な標識としては、64Cu、67Cu、90Y、111In、124I、125I、131I、137Cs、186Re、211At、212Bi、213Bi、223Ra、241Am、244Cm及び99mTc−MDPが挙げられるが、これらに限定されない放射性同位体;検出可能な産物(例えば、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ等)を有する酵素;蛍光団(例えば、フルオレセイン(例えば、フルオレセインイソチオシアネートのように結合できる)、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒド、及びフルオレサミン);蛍光放射金属、例えば152E、又はEDTAのような金属キレート化基を通して本発明のペプチドに結合する、ランタン系列の他のもの;化学発光化合物、例えば、ルミノール、イソルミノール、セロマチックアクリジニウムエステル、アクリジニウム塩、イミダゾール、及びオキザラートエステル又は;並びに生物発光化合物、例えば、ルシフェリン、若しくはエクオリン(緑色蛍光タンパク質)、特異的結合分子、例えば金属粒子、ミクロスフィア、ナノスフィア、発光量子ドットナノ結晶等が挙げられる。
あるいは、特異的結合対をアッセイで用いて、FcRnを検出してもよく、このアッセイには、例えば、第2段階抗体又は検出可能に標識され、信号を増幅することができる試薬が関与する。例えば、本発明のペプチドは、ビオチン、及び第2段階試薬として添加される西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合ストレプトアビジンに抱合され得る。ジゴキシン及び抗ジゴキシンは、別の好適な結合対を提供する。他の実施形態では、第2段階抗体は、ペルオキシダーゼの存在下で色が変化する基質と組み合わせて、ペルオキシダーゼのような酵素に抱合され得る。本発明のペプチドとFcRnとの間の結合の存在又は非存在は、解離細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡検査、X線検査、蛍光定量、発色検出、ホスフォイメージング、フィルム上での化学発光の検出、及びシンチレーション計数が挙げられる、種々の方法により決定できる。このような試薬及びその使用法は、当該技術分野において周知である。
インビボ診断適用では、少なくとも部分的に、FcRnの発現を特徴とする場合がある、特定の組織又は更には特定の細胞性障害を、十分な量の本発明の標識化ペプチドの投与により画像化できる。
インビボでの組織イメージングに好適な広範な金属イオンが試験され、臨床的に利用されている。放射性同位体によるイメージングでは、以下の特徴が一般に望ましい。(a)患者への放射線量が少ない。(b)光子収量が高く、そのため核医学手順を短期間で実施することが可能になる。(c)十分な量を生成する能力。(d)コストが許容可能である。(e)投与するための製剤が単純である。及び(f)後で患者を隔離する必要がない。これらの特徴は、一般に以下のように言い換えられる。(a)最も重要な器官への放射線被曝が5ラド未満である。(b)注入後数時間以内に単一像を得ることができる。(c)放射性同位体が粒子を放射して崩壊しない。(d)同位体を容易に検出できる。及び(e)半減期が4日未満である(Lamb and Kramer, “Commercial Production of Radioisotopes for Nuclear Medicine,” In Radiotracers For Medical Applications, Vol. 1, Rayudu (Ed.), CRC Press, Inc., Boca Raton, pp. 17−62)。いくつかの実施形態では、金属はテクネチウム−99m(99mTc)である。
したがって、本発明は、対象に、放射性である金属を含有する少なくとも1つの本発明のペプチドを含む組成物を有効量投与し、放射性金属の崩壊から得られるシンチグラフィー像を記録することを含む、対象の内部領域の画像を得る方法を提供する。同様に、本発明は、対象に、常磁性である金属を含有する少なくとも1つの本発明のペプチドを含む組成物を有効量投与し、対象のMR画像を記録することを含む、対象の内部領域の磁気共鳴(MR)画像を向上させる方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供する他の方法としては、対象に、金属を含有する少なくとも1つの本発明のペプチドを含む組成物を有効量投与し、対象の内部領域の超音波画像を記録することを含む、対象の内部領域の超音波画像を向上させる方法を提供する。一般に、金属は、任意の非毒性重金属イオンであり得る。特定の実施形態では、対象に、金属を含有する少なくとも1つの本発明のペプチドを含む組成物を有効量投与し、対象の内部領域のX線画像を記録することを含む、対象の内部領域のX線画像を向上させる方法もまた提供される。一般に、放射性、非毒性重金属イオンを用いてよい。
本発明のペプチドは、例えば米国特許第5,326,856号に記載されているもののようなキレート剤に結合することができる。ペプチド−キレート剤複合体は、次いで、放射性標識されて、IgG濃度の調節に関与する疾患若しくは病状の診断又は治療用の造影剤を提供する。本発明のペプチドはまた、イメージング及び放射線治療で用いるための、放射性標識されたペプチドを作製するための、米国特許第5,449,761号で開示されている方法で用いることもできる。
A.代表的なFcRnの検出方法
代表的な実施形態97:実施形態1〜75のいずれか1つに記載のペプチド、又は実施形態76〜79のいずれか1つに記載の抱合体を、放射性同位体、検出可能な産物を有する酵素、蛍光団、化学発光化合物、磁性粒子、ミクロスフィア、ナノスフィア、ビオチン、ストレプトアビジン及びジゴキシンから選択される検出可能な標識で標識することを含む、FcRnの検出方法。
代表的な実施形態98:検出可能な標識で標識されたペプチド又は抱合体が、診断用キットに含まれる、実施形態97に記載の方法。
VIII.FcRnの精製
本発明のペプチドを用いてFcRnを精製することもできる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、適切なクロマトグラフィーマトリックスに共有結合して、有効なFcRn分離媒質を形成する。FcRnを含有する溶液を、次いで、クロマトグラフィーマトリックス上を通過させると、FcRnは固定化された結合パートナーと非共有結合する。FcRnを含有する溶液は、体液、組織又は細胞試料、細胞培養上清のような生体試料由来であり得る。FcRnは、固定化されたペプチド:FcRn複合体を好適な溶液で洗浄して、不純物を取り除き、次いで好適な溶出溶液でクロマトグラフィーマトリックスからFcRnを放出することにより精製される。
本発明のペプチドは、当業者に周知である多数の化学的アプローチを用いて、好適なクロマトグラフィーマトリックスに結合することができる。例えば、本発明のペプチドは、チオール、アミン、カルボン酸、アルコール、アルデヒド、アルキルハロゲン化物、N−アルキルマレイミド、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、エポキシド、アミノオキシ、及びヒドラジドのような、好適な反応基を含むマトリックスに結合できる。
他の実施形態では、本発明のペプチドは、適切なクロマトグラフィーマトリックスに非共有的に結合する化学部分又はペプチド配列を含むよう改変することができる。例えば、ペプチドは、ビオチン部分で改変して、アビジンタンパク質を含有するクロマトグラフィーマトリックスに非共有的に結合させることができる。あるいは、改変されたペプチドは、FcRn溶液とともにインキュベートして、得られる混合物を適切なクロマトグラフィーマトリックス上に通過させて、FcRn:ペプチド複合体を分離することができる。
親和性精製用のペプチドの類似用途の例は、Kelley et al, “Development and Validation of an Affinity Chromatography Step Using a Peptide Ligand for cGMP Production of Factor VIII,” In Biotechnology and Bioengineering, Vol. 87, No. 3, Wiley InterScience, 2004, pp. 400−412及び米国特許第6,197,526号中に見出すことができる。
A.代表的なFcRnの精製方法
代表的な実施形態99:
(a)実施形態1〜75若しくはA〜Rのいずれか1つに記載のペプチド、又は実施形態76〜79のいずれか1つに記載の抱合体を、固体支持体に固定化することと、
(b)FcRnを含有する溶液を、固体支持体上の固定化されたペプチド又は抱合体と接触させることと、
(c)前記固体支持体から溶液を分離することによりFcRnを精製することと、
を含む、FcRnの精製方法。
上述した発明の態様及び実施形態を実施例によっても説明し詳述するが、これは単に本発明を例示するためのものであって、いかなる形であれ本発明を限定するものではない。実施例は、下記の実験が、行った実験の全てであること、又は行った実験がこれだけであることを表すものではない。使用する数値(例えば、量、温度等)に関して精度を確実にするために努力したが、ある程度の実験の誤差及び偏差は考慮されたい。特に明記しない限り、割合は重量により、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、かつ圧力は大気圧又は大気圧付近である。
(実施例1)
可溶性ヒトFcRn(shFcRn)の発現
文献に記載のように、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞におけるグルタミン合成酵素発現系を用いて、可溶性ヒトFcRnのcDNAをクローニングして発現させ、精製を行った。例えば、米国特許第5623053号を参照のこと。膜貫通領域を除くために、ヒトFcRnのタンパク質配列のアミノ酸274位の後に停止コドンを入れた。
(実施例2)
ヒトFcRnによるHEK293細胞のトランスフェクション
ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞(ATCC, Manassas, VA)のトランスフェクションは、SuperFectトランスフェクション試薬(Qiagen, Valencia, CA)を使用して製造業者の推奨プロトコルに従って行った。FcRn発現ベクター、FcRn:pCDNA6を作製するために、全長FcRnのcDNA構築物(Story et al., J. Exp. Med. 180:2377−2381 (1994)、Simister et al., Eur. J. Immunol. 26:1527−1531 (1996))を、最初にプラスミドベクターとしてのpcDNA6(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングした。ヒトβmのcDNA構築物を、最初にプラスミドベクターとしてのpcDNA3(Invitrogen)にクローニングして、ヒトβm発現ベクター、βm:pcDNA3を作製した(Gussow et al., J. Immunol. 139:3132−3138 (1987))。
トランスフェクションの前日に、HEK293細胞を100mmシャーレあたり0.5〜2.5×10細胞で播種して、cDMEM中、37℃、5%COで16時間インキュベートした。cDMEMの組成には、1LのDMEM(Invitrogen #11995−065);10mLの1M HEPES、pH7.55;10mLのMEMアミノ酸溶液(Invitrogen #11130−051);10mLのMEM非必須アミノ酸溶液(Invitrogen #11140−050);10mLの100mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen #11360−070);10mLのペニシリンストレプトマイシン液(Invitrogen #15140−148);10mLのL−グルタミン溶液(Invitrogen #25030−081);1mLの2‐メルカプトエタノールの55mMダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)溶液(Invitrogen #21985−023);100mLの熱失活させたウシ胎児血清(FBS)(Invitrogen)が含まれる。トランスフェクション当日に、5μgのFcRn:pCDNA6構築物及び5μgのβm:pCDNA3のDNAを290μLのDMEM(Invitrogen)に加えた。この溶液を数秒間混合した後に遠心した。次いで、60μLのSuperFectトランスフェクション試薬(Qiagen)をこのDNA溶液に加えて、10秒間ボルテックス処理を行った。このDNA/SuperFect溶液を室温で5〜10分間インキュベートし、その間に、細胞が入っているシャーレから培地を吸引して、細胞を4mLのPBSで1回洗浄した。DNA/SuperFectを5〜10分間インキュベートした後に、3mLの完全増殖培地(cDMEM)をこのDNA/SuperFect溶液に加え、溶液を混合して直ちに100mmシャーレ中の細胞に添加した。
この細胞をDNA/SuperFect溶液と共に、37℃、5%COで2〜3時間インキュベートした。DNA/SuperFect溶液を含む培地を細胞から除去して、細胞をPBSで3回洗浄し、この細胞に新しいcDMEMを加えた。48時間インキュベートした後に、この培地をイムノブロット分析によって評価して、FcRn/βm複合体の一過性発現が生じたかどうかを判定した。さらに、この細胞を、抗生物質として250μg/Lのジェネテシン(Invitrogen)と、ブラストサイジン抵抗性の安定したトランスフェクタントを選択するために5μg/Lのブラストサイジンとを含むcDMEM中に1:4の比率で継代した。抗生物質選択の4週後、生存細胞を96ウェル組織培養プレート中にウェルあたり1細胞の密度で播種した。最終的に12クローンを選択して、それぞれを増殖させ、イムノブロット分析によってFcRn及びβmの発現を確認した。最も高い発現水準を有すると同定された、FcRn及びβmを発現している293をその後のアッセイに用いた。
(実施例3)
FcRn−IgG阻害剤のためのファージライブラリのスクリーニング
Dyax Corp(Cambridge, MA)から使用認可された繊維状ファージディスプレイライブラリのスクリーニングによって、IgGのFc部分がFcRnに結合するのを阻害できるペプチドを同定した。より詳細には、TN−9−IV、TN10−X、TN−11−I、及びTN−12−Iのライブラリを組み合わせてスクリーニングに使用した。Dyaxのプロトコルに記載のように、各ライブラリ中に含まれる生存能力のあるそれぞれのファージの総数を、ライブラリを大腸菌中で発現させて限界希釈で播いたときに各ライブラリに確立される形質転換体の数で表した。TN−9−IV、TN10−X、TN−11−I、及びTN−12−Iの形質転換体の数はそれぞれ、3.2×10、2×10、2.7×10、及び1.4×10であった。所与の体積中の生存能力のあるファージの絶対数は、単位体積あたりのプラーク形成単位(pfu)で報告することができる。
A.ファージスクリーニングに使用する緩衝液
以下の緩衝液をFcRn結合ペプチドのスクリーニングに使用した。
1.NZCYM培養液:NZアミン−A10g;塩化ナトリウム5g;バクト酵母エキス(Difco)5g;カザミノ酸1g;無水硫酸マグネシウム粉末1g:材料を800mLの水に溶解し、1N水酸化ナトリウムでpH7.5に調整した後に、水で全量を1Lにして20分間加圧滅菌した。
2.結合緩衝液(BB):PBS、pH6に10mMのEDTAを添加。C.NZCYM−T:NZCYM培養液に12.5μg/mLのテトラサイクリンを添加。
3.HBSS−E:ハンクス平衡塩類溶液(Invitrogen)に10mMのEDTA(Invitrogen)を添加。
4.最小塩類A:KHPO(リン酸二カリウム)10.5g;KHPO(リン酸一カリウム)4.5g;(NHSO(硫酸アンモニウム)1.0g及びクエン酸ナトリウム0.5gを1Lの水に溶解した。
5.LB培養液:バクトトリプトン10g;バクト酵母エキス5g;塩化ナトリウム10gを1Lの水に溶解して、20分間加圧滅菌した。
6.CBS pH2:50mMクエン酸ナトリウム;150mM塩化ナトリウム:緩衝液をHClでpH2に調製してフィルター滅菌した。
7.LB寒天培地:バクトトリプトン30g;バクト酵母エキス15g;塩化ナトリウム30gを3Lの水に溶解して、20分間加圧滅菌した。
8.LB軟寒天培地:バクトトリプトン20g;バクト酵母エキス10g;塩化ナトリウム20g;バクト寒天14gを2Lの水に入れて沸騰させずに軽く加熱して溶解した。
9.TE緩衝液:10mMトリス、1mM EDTA、pH7。
B.スクリーニングプロトコル:1回目
各ライブラリーの約100ランダムライブラリー相当をそれらの力価に応じてプールした。すなわち、24μLのTN9−IV(1.3×1010−pfu/μL)、12.5μLのTN10−X(1.6×1010pfu/μL)、225μLのTN11−I(1.2×10pfu/μL)、及び48.7μLのTN12−I(2.9×10pfu/μL)を189μLのPBS、75μLの氷冷した17%ポリエチレングリコール(PEG)(平均分子量:8000Da、Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)及び75μLの3M塩化ナトリウムと混合して、氷上で30分間インキュベートした。293クローン11細胞(実施例2)のT75フラスコ1本をHBSS−Eで1:3の比率に分けた。この細胞を1mLの微量遠心管に移して、冷却した結合緩衝液で1回洗浄し、その上清を除去した。この細胞をファージと共に4℃で1.5時間、ローテーター上でインキュベートした。インキュベート後、細胞を1mLの氷冷BBで5回洗浄し、各回の洗浄後に1400rpmで2分間の遠心を行った。強く結合したファージは、BB中に透析しておいた66μMのヒトIgG(Calbiochem, San Diego, CA)を加えることによって溶出した。このファージ−IgG混合物を細胞と共に4℃で1時間インキュベートした。遠心処理(1400rpmの回転を2分間)の後に、細胞の沈殿物を最初に200μLの66μM IgGで洗浄して遠心(1400rpmの回転を2分間)し、最後に100μLのIgGで洗浄した。このIgG洗浄と併せて、最終量500μLのIgG溶出を行った。下記のように、溶出液中のファージを力価測定して増幅した。
C.ファージ力価
ファージ溶液を100倍で段階希釈した。通常は、2μLのファージ溶液を198μLのNZCYM培養液に加え、これを連続して10−10まで希釈した。XL1 Blue MRF’大腸菌細胞が対数増殖期にあってA600(UV吸光度600nm)で光学密度0.5に達したときに、希釈したファージをXL1 Blue MRF’大腸菌細胞の培養物に加えた。この培養物を室温で10分間インキュベートした。その後、0.5mLの感染細胞を3.5mLの溶解した約55℃の上層寒天培地(LB培養液及びLB寒天培地の50/50混合物)に加えて、標準寒天平板上に広げて、37℃で一晩インキュベートした。30〜300個のプラークを含むプレートから力価を算出した。10−8のファージ希釈から播いた、50個プラークを含むプレートの場合、算出は以下のように行う。50個のプラーク/500μL感染細胞×感染期間中の10倍希釈×10ファージ希釈=μLあたりの10プラーク形成単位。
後のファージELISA及びシークエンシング解析に必要な場合には、ファージプラークを含むそれぞれの寒天培地の断片を加圧滅菌したパスツールピペットで採取した。96ウェル滅菌丸底組織培養プレート(Greiner)中に断片を沈殿させ、それにウェルあたり100μLのTEを加えた。37℃で2時間又は4℃で一晩、ファージをプラークから溶出させた。
D.ファージ増幅
XL1 blue MRF’大腸菌細胞の培養物を、飽和した一晩培養物の1/100希釈から、培養物がA600で光学密度0.5に達するまで、NZCYM−T培養液中で増殖させた。この細胞を3500rpmで15分間遠心することによって濃縮した後に、原体積の1/20となるように最小塩類A中に再懸濁した。一連の選択の後に細胞から溶出したファージを、最終体積1mLとなるように最小塩類A中に希釈して、1mLの濃縮した細菌培養物に加えた。37℃の水浴中で15分間インキュベートした後、ファージ−細胞混合物を2×NZCYM培養液2mLに加え、50μg/mLのアンピシリンを添加したNZCYMの入った大きなNUNCプレート上に乾燥するまで塗布した。プレートを37℃で14〜18時間インキュベートした。一晩で形成されたコロニーを、20mLのPBS存在下、コンラージ棒で穏やかにかき集めた。PBSを含む細菌及びファージを遠心管中に回収した。プレート上に残った細菌を10mLのPBS存在下で再びかき集めて回収した。最後に10mLのPBSでプレートを1回すすぎ、かき集めた全ての材料と共にプールした。この細菌細胞を遠心(3500rpmで15分間)によって沈殿させて、透明な上清を別の遠心管に注ぎ移して、再び浄化し、最後にまた注ぎ移した。次いで、0.15mLの17%PEG+3M NaClをこの上清に加え、これを混合して4℃で一晩保存した。遠心(8500×gを30分間)して、その後上清を捨てることにより、沈殿したファージを回収した。このファージの沈殿物を少量のPBS中に再懸濁して、短時間の回転で浄化し、0.15体積の17%PEG+3M NaClで再沈殿させた。最終的なファージの沈殿物をPBS中に再懸濁して、次の回の選択に備えて力価測定した。
E.2回目
1mLの結合緩衝液中に10ランダムライブラリー相当のみが希釈されるように、増幅したファージライブラリーを希釈した。トランスフェクトしていない293細胞のT75フラスコ1本の3分の1を、冷却した結合緩衝液で1回洗浄した。FcRnを発現していない細胞に結合可能なペプチドを発現するファージをライブラリーから除去するためにあるサブトラクションの工程を、ファージをトランスフェクトしていない細胞と共に15分間インキュベートすることによって2回行った。この上清を回収した。次いで、293クローン11細胞のT75フラスコ1本の3分の1を、冷却した結合緩衝液で1回洗浄して、ファージと共に4℃で1.5時間、ローテーター中でインキュベートした。この細胞を1mLの冷却した結合緩衝液で5回洗浄及び遠心(1400rpmの回転を2分間)して、(結合緩衝液中で透析した)200μLの66μMヒトIgGを用いてファージ−細胞−IgG混合物を4℃で1時間インキュベートすることによって強く結合したファージを溶出した。遠心(1400rpmの回転を2分間)した後に、上清を回収して、沈殿物を200μLの66μM IgGで洗浄し、次いで100μLの66μM IgGで洗浄した。標識したファージの力価というセクション及びファージ増幅というセクションで後述するように、この溶出液中のファージを力価測定して増幅した。
F.3回目
この回は、2回目で前述したように行った。3回目の完了後、溶出液中のファージの力価を測定し、ファージELISAを用いてIgG−FcRn阻害剤のためのアッセイを行った。
G.ファージELISA
酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって、FcRnに結合可能なペプチドをコードするファージを同定するために以下の工程を行った。まず、以下の溶液を調製した。
緩衝液A:PBS+0.1%Tween+0.5%BSA
緩衝液B:100mM MES、pH5.5+150mM NaCl+0.1%Tween
緩衝液C:50mM MES、pH6.0+150mM NaCl+0.1%Tween
FcRnに結合できることが示されたファージを増殖させるためのXL1 blue MRF’大腸菌培養物を、一晩培養物の1:100希釈からA600で光学密度0.5になるまで増殖させた。次いで、上記のように調製した10μLの各ファージプラーク溶出液を、96ウェルプレートのウェル中の30μLのXL1 blue MRF’大腸菌細胞に加えて、室温で15分間インキュベートした。次いで、50μg/mLのアンピシリンを含む130μLのNZCYM培養液を各ウェルに加えて、このプレートを37℃で一晩インキュベートした。
ストレプトアビジンコーティング、BSAブロッキング済みのマイクロタイタープレート(Pierce)を、ウェルあたり200μLの緩衝液Aですすいで調製して、これを緩衝液A中、1mg/mLのビオチン化した可溶性ヒトFcRn(実施例4、セクションA)を用いて4℃で一晩コーティングした。このFcRnを含んだ緩衝液を捨て、プレートを緩衝液Cで2回すすいだ。次いで、70μLの緩衝液Bをプレートの各ウェルに加えた後に、ファージを含んだ30μLの細菌培養物を加えた。室温で1時間後、プレートを200μLの緩衝液Cで5回洗浄した。次いで、1:10000希釈のHRP抱合抗M13抗体(Amersham Pharmacia)を含む100μLの緩衝液Cを各ウェルに加えた。このプレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートを緩衝液Cで9回洗浄して、1ステップTMB(KPL)で発色させ、5〜15分後に2M硫酸で反応停止させて、Spectra Max Plusプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて450nmで読み取った。
H.ファージDNAのPCR増幅
製造業者の使用説明書によってPCR Core SystemIIキット(Promega)を使用して、TE中のプラークから溶出したファージを配列決定用に増幅した。次いで、5mLの溶出したファージを、200μMの各dNTP、500nMの3PCRUPプライマー(5’−CGGCGCAACTATCGGTATCAAGCTG−3’)、500nMの3PCRDNプライマー(5’−CATGTACCGTAACACTGAGTTTCGTC−3’)、1×Taq DNAポリメラーゼ緩衝液(10×:500mM KCl、100mMトリス−HCl 25℃でpH9.0、1%トリトンX−100、15mM MgCl)、及び1.25ユニットのTaq DNAポリメラーゼ酵素を含む反応混合液に加えた。反応は、MJリサーチPCT−200サーマルサイクラーで以下のプログラムにかけた:94℃で5分間;94℃で15秒間、55℃で30秒間、及び72℃で60秒間を30サイクル、その後72℃で7分間。得られた産物を、製造業者の使用説明書に従ってQiaQuick PCR調製キット(Qiagen)を使用して精製し、A260の吸光度で定量して、3SEQ−80プライマー(5’−GATAAACCGATACAATTAAAGGCTCC−3’)を用いて配列決定した。
3回のスクリーニング後に増幅したファージの配列を決定することによって、全長のヒトFcRn及びヒトβ−2ミクログロブリン1のアミノ酸配列をコードするDNA配列が明らかにされた。これらの「ファージヒット」をまとめて、以下のアミノ酸配列で定義されるコンセンサスペプチド配列を同定した:G−H−F−G−G−X−Y。
(実施例4)
ペプチド−IgG競合ELISA
繊維状ファージディスプレイライブラリのスクリーニングから得られた本発明のペプチドが、IgGのFcRnへの結合も阻止できるかどうかを決定するために、以下のELISAアッセイを考案して行った。
A.shFcRnのビオチン化
トリス緩衝液中の可溶性ヒトFcRn(shFcRn)の溶液を、2リットルのPBS、pH8.0中で3時間ずつ2回透析した。回収したshFcRnの量は、280nmにおける吸光度を測定することにより決定した。shFcRnの濃度は、読み取った吸光度をshFcRnの吸光係数、すなわち、ε=85880M−1cm−1で乗算することによって得られた。透析したshFcRnを、2倍モル過剰のSulfo−NHS−LC−ビオチン(Invitrogen, Carlsbad, CA)で4℃で2時間処理することによって、shFcRnがビオチン化された。その後、shFcRn−Sulfo−NHS−LC−ビオチン反応混合物を、2Lの冷却したPBS中で2回透析し、もう一度吸光度を読み取って、残存しているタンパク質の濃度を決定した。このビオチン化したshFcRnを、必要なときまで4℃で0.1%アジ化ナトリウムと共に保存した。
B.ペプチド−IgG競合ELISAアッセイ
BSAでブロッキングされた96ウェルReactiBindニュートラアビジンコーティング済みプレート(Pierce, Rockford, IL)を、200μL/ウェルの緩衝液A(緩衝液A:PBS pH7.4(Gibco, 14040)、IgGを含まない0.5%BSA、0.05%Tween−20)で2回洗浄した。このウェルを、100μL/ウェルの緩衝液A中1μg/mLのビオチン化したshFcRnでコーティングした。このプレートを密閉して37℃で2時間インキュベートした。その後、このプレートを200μL/ウェルの緩衝液B(緩衝液B:100mM MES pH6、150mM NaCl、IgGを含まない0.5%BSA(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)、0.05%Tween−20)で洗浄した。次いで、緩衝液B中の6nMヒトIgG(Calbiochem, San Diego, CA)50μL/ウェル並びに(さまざまな濃度の)種々の競合ペプチド50μL/ウェルを加え、これによりウェル中のIgGの最終濃度が3nMとなった。混合させるために、プレートを2分間振動させて、密閉して37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後に、液体をプレートから吸引して、緩衝液B中に1:10000希釈したペルオキシダーゼ抱合ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)断片特異的F(ab’)断片(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)100μL/ウェルを加えた。プレートを覆い、室温で30分間インキュベートして、200μL/ウェルの氷冷した緩衝液Bで4回洗浄した。SureBlue TMB基質溶液(100μL/ウェル、KPL, Gaithersburg, MD)を加え、発色するまで5〜10分間、プレートを室温でインキュベートした。発色後、100μL/ウェルのTMB停止液(KPL, Gaithersburg, MD)を加えて、450nmにおける吸光度を測定した。データをペプチド濃度に対する吸光度でプロットして、50%阻害濃度(IC50)値を導いた。
(実施例5)
ペプチド−IgG競合FACSアッセイ
実施例4に記載のELISAのアプローチを用いることに加えて、繊維状ファージディスプレイライブラリのスクリーニングから得られた本発明のペプチドが、細胞上のFcRnへのIgGの結合も阻止できるかどうかを決定するために、以下の蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイを考案して行った。
A.Alexa−Fluor−488によるSynagis(登録商標)の標識
製造業者の提唱するプロトコルに従ってAlexa Fluor 488タンパク質標識キット(Molecular Probes/Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、ヒト化IgG1(Synagis(登録商標)、Medlmmune, Gaithersburg, MD)を標識した。簡単に説明すると、50μLの1M炭酸水素ナトリウム、pH9.0を、2mg/mLのIgGのPBS溶液500μLに加えた。このタンパク質溶液を、Alexa Fluor 488スクシニミジルエステル(乾燥粉末)に加えて、室温で1時間インキュベートした。キットコンポーネントカラム(Bio−RadバイオゲルP−30細サイズ排除精製樹脂)を使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって、このタンパク質を精製した。この試料をカラム上にロードして、PBSで溶出した。第1の有色バンドに標識したタンパク質が含まれていた。280nm及び494nmにおける溶出したIgGの吸光度を測定することによって、標識の程度を決定した。以下の式を使用してタンパク質モル濃度を決定した。タンパク質濃度(M)=[A280−(A494×0.11)×希釈係数]/203,000。さらに、タンパク質1モルあたりの色素のモル数を導くために以下の式を使用した。=A494×希釈係数/71,000×タンパク質濃度(M)。典型的には、IgG1モルあたり4〜7モルのAlexa−Fluor 488が組み込まれた。
B.293クローン11細胞を用いたIgG−ペプチド競合FACSアッセイ
アッセイのための準備では、5μg/mLのブラストサイジン及び250μg/mLのG418(Gibco, Carlsbad, CA)を含むDMEM完全培地(Gibco, Carlsbad, CA)中のHEK293クローン11細胞(実施例2)をスピンダウンして、3×10細胞/mLの濃度で緩衝液C(緩衝液C:10mM EDTA(Gibco)を含むダルベッコPBS(Gibco, Carlsbad, CA))に再懸濁した。細胞(0.1mL)をピペットで96ウェルアッセイプレートの各ウェルに入れて、Sorvall RT7ベンチトップ遠心機を使用して、このプレートを2600RPMで5分間遠心した。上清を静かに注ぎ移して、プレートをペーパータオル上で吸い取らせた。様々な濃度で緩衝液C中に可溶化した競合ペプチド(90μL)をこのプレートに加えて、マルチチャンネルピペットで混合した。Alexa 488で標識したSynagis(登録商標)10μLをこのプレートの各ウェルに加え、これにより、Alexa 488で標識したSynagis(登録商標)の最終濃度は100nMとなった。このプレートをホイルに包み、氷上に1時間置いた後に、Sorvall RT7ベンチトップ遠心機中2600rpmで5分間遠心し、次いで、100μLの緩衝液Cで1回洗浄して再び遠心した。この細胞を200μLの緩衝液Cに再懸濁して、ベックマンコールターEPICS XLフローサイトメーターで解析した。
(実施例6)
表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてペプチドの平衡結合定数(K)を決定する方法
Biacore(BIAapplications Handbook, version AB, section 4.2, Biacore AB, Uppsala, Sweden)により推奨されるように以下の工程を行い、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)(Biacore AB, Uppsala, Sweden)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(Biacore AB, Uppsala, Sweden)が関与するアミンカップリング反応によって、ヒト又はカニクイザルの可溶性FcRnをセンサーチップCM5(Biacore AB, Uppsala, Sweden)のデキストラン表面に架橋した。FcRnタンパク質を、50mM酢酸ナトリウム、pH4.5(Biacore AB, Uppsala, Sweden)中、10〜30μg/mLの濃度に希釈し、これを用いてセンサーチップ上の1つのフローセルをコーティングした。このFcRnフローセル上の残存部位を、1Mエタノールアミン塩酸塩 pH8.5(Biacore AB, Uppsala, Sweden)で阻止した。対照フローセルをリファレンスサブトラクション用にエタノールアミン塩酸塩で阻止した。モノマー性ペプチドを解析する場合には、最終密度4000〜5000レスポンスユニット(RU)となるようにFcRnをコーティングした。ダイマー性ペプチドを解析する場合には、最終密度2000〜2500RUとなるようにFcRnをコーティングした。SPR測定は全て、BIACORE3000測定器(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用して行った。pH6又はpH7.4で測定する場合は、50mMリン酸塩、100mM塩化ナトリウム、0.01%界面活性剤P20(Biacore AB, Uppsala, Sweden)中で実験を行った。
A.モノマー性ペプチドの結合定数を決定する代表的な方法
10段階2倍希釈したペプチドを、FcRn−CM5チップに流速20μL/分で2分間注入した。ペプチドを緩衝液で2.5分間チップから解離させた。HBS−P緩衝液(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を30μL/分の速度で30秒間注入して、残ったペプチドを全てチップから除去した。BiaEvalソフトウェア バージョン3.1(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用して、センサーグラムを作製し解析した。注入毎に観察される平衡RUを濃度に対してプロットした。BiaEvalソフトウェアにある定常状態親和性モデルを用いてプロットを解析することによって、平衡K値を導いた。
B.ダイマー性ペプチドの結合定数を決定する代表的な方法
10段階2倍希釈したペプチドを、FcRn−CM5チップに流速30μL/分で10分間注入した。ペプチドを緩衝液で10分間チップから解離させた。50mMトリス−塩酸塩、100mM NaCl、0.01%界面活性剤P20 pH9.0を含む溶液を、100μL/分で60秒間、2回注入して、残ったペプチドを全てチップから除去した。
BiaEvalソフトウェア バージョン3.1(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用して、センサーグラムを作製し解析した。注入毎に観察される平衡RUを濃度に対してプロットした。BiaEvalソフトウェアにある定常状態親和性モデルを用いてプロットを解析することによって、平衡K値を導いた。
(実施例7)
ジスルフィド結合を含むモノマーペプチドの合成
モノマーペプチドの合成を、焼結した丸底フラスコを用いて手作業で又はAdvanced Chemtech 396−omega合成器(Advanced Chemtech,Louisville,KY)を用いてのいずれかで、固相ペプチド合成を用いて行なった。Rinkアミド樹脂(Novabiochem,San Diego,CA)又はPAL−PEG−PS(Applied Biosystems,Foster City,CA)と組み合わせた、標準的なFmoc/tBuプルトコルを用いて(W.C.Chan and P.D.White eds.,Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach Oxford University Press Inc.New York(2000))、切断時にC末端アミドを生じた。カップリング試薬は、2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3,−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾル(HOBt)(Novabiochem, San Diego,CA)であった。基剤は、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)であり、溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(EM Science,Kansas City,MO)であった。典型的な合成サイクルは、20%ピペリジン/DMFを用いる2×10分の脱保護工程、HOBt/HBTUを用いる2×30分のアミノ酸カップリング、及び無水酢酸/HOBtを用いる10分のキャッピング工程を含んだ。95%トリフルオロ酢酸;2.5%エタンジチオール;1.5%トリイソプロピルシラン、及び1%水で2時間処理することによって、ペプチドを樹脂から切断し、氷冷エーテルで沈殿させ、遠心分離し、エーテルで3回粉末化(triturate)した。
システインを含む粗ペプチドを、1mg/mLの濃度まで酢酸と水の4:1混合物(EM Science,Kansas City,MO)に溶解することによって対応するジスルフィドに酸化した。10モル当量のヨウ素(1M水溶液、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)をこの溶液に加え、反応混合物を室温で1時間混合した。透明な溶液が得られるまで、1Mチオ硫酸ナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を徐々に添加することによって、反応を停止させた。この反応混合物を真空中で濃縮し、その後250mm×21.2mm Phenomenex(Torrence CA)C18カラムを装備したWaters Prep600逆相HPLCシステム(Millford,MA)を用いて精製した。HPLC精製工程用に選ばれた溶出液は、0.1%(w/v)TFAを含むアセトニトリル/水の濃度勾配であった。適当な画分を回収し、プールし、凍結乾燥した。エレクトロスプレー質量分析(Mariner ES−MS)(Applied Biosystems,Foster City,CA)と連結した、250mm×2mmカラム(Phenomenex,Torrence,CA)を組み合わせた逆相分析HPLCにより、ペプチドの同一性及び純度を確認した。
表2は、ヒトFcRnに対する高い親和性及びIgG−FcRn相互作用を阻止する能力を有するペプチドを同定するのに使用されたペプチド発現ライブラリのスクリーニングから得られた、元のファージペプチド配列のリストを提供する。表2及びその後の表において、列1はペプチド識別子を含む。列2は、ペプチドのアミノ酸配列を含む。列3は、実施例4で概説したIgG競合ELISAで決定したときの各ペプチドのIC50を含む。列4及び5は、実施例6で概説したBiacore分析によって、それぞれ、pH6及びpH7.4で決定したときの各ペプチドのKを含む。
表3は、ペプチド番号506の切断物のリストを提供し、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する切断の効果を示している。列1は、ペプチド識別子を含む。列2は、ペプチドのアミノ酸配列を含む。列3は、実施例4で概説したIgG競合ELISAで決定したときの各ペプチドのIC50を含む。列4及び5は、実施例6で概説したBiacore分析によって、それぞれ、pH6及びpH7.4で決定したときの各ペプチドのKを含む。
表4は、ペプチド番号501に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。このペプチドでは、1つのアミノ酸がアラニンで置換されている(アラニン走査)。表4は、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する置換の効果を示している。
表5は、ペプチド番号501に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。このペプチドでは、システイン類似体によるシステインの置換が行なわれている。表5は、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する置換の効果を示している。
表6は、ペプチド番号501ペプチド及びペプチド番号32に由来するペプチドのリストを提供する。これらのペプチドでは、1つのアミノ酸がN−メチルアミノ酸に置換されている。表6は、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する置換の効果を示している。
表7は、ペプチド番号32由来ペプチド類似体の切断のリストを提供する。表7は、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する切断の効果を示している。
表8は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常Gly−Gly−Leuという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表9は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常Arg−Phe−ペニシルアミンという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表10は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常ペニシルアミン−Thr−Glyという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表11は、ペプチド番号187に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常Phe−Gly−サルコシンという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表12は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常His−Phe−Glyという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表13は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体によるチロシンの置換が生じている。
表14は、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、通常Gly−Leuという配列がある場所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換が生じている。
表15は、通常Gly−Leuという配列がある場所でグリシン及びロイシンが共にジペプチドミメティックに置換されている、ペプチド番号32に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。
(実施例8)
ヒスチジン類似体を含むペプチドの合成
以下の改変ヒスチジン類似体を除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で記載したように、改変ヒスチジン類似体(表16)を合成した。ペプチド番号99に類似した完全保護ペプチドを含む樹脂を未希釈のヨウ化メチルに15時間懸濁することによって、ペプチド番号259を合成した。この樹脂をジクロロメタンで洗浄し、上記のようにペプチドを樹脂から切断し、酸化し、HPLCで精製して、モノメチル化ヒスチジンペプチド(ペプチド番号259)を得た。
ペプチド番号99に類似した完全保護ペプチドを含む樹脂を未希釈のヨウ化メチルに72時間懸濁することによって、ペプチド番号260を合成した。この樹脂をジクロロメタンで洗浄し、上記のようにペプチドを樹脂から切断し、酸化し、HPLCで精製して、ジメチル化ヒスチジンペプチド(ペプチド番号260)を得た。
ペプチド番号248に類似した完全保護ペプチドを含む樹脂を窒素下でジクロロメタンに懸濁することによって、ペプチド番号269を合成した。この懸濁液に10モル当量の2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加え、その後5モル当量のメチル−トリフルオロメタン−スルホネート(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加えた。揺動させながら、この反応を4時間進行させ、まずジクロロメタンですすぎ、次にジメチルホルムアミドですすぎ、最後にジクロロメタンでもう一度すすいだ。上記のようにペプチドを樹脂から切断し、酸化し、HPLCで精製して、N−メチル−チアゾリウムペプチド(ペプチド番号269)を得た。
100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に33%エタノール、10%アセトニトリル、10% N,N−ジメチルホルムアミドを含む溶液中で、ペプチド(ペプチド番号261)を30当量の硫酸銅、30当量のアスコルビン酸、及び10当量のアジ化ナトリウムで処理することにより、ペプチド番号271を合成した。この反応を2時間進行させ、混合物を上記のようなHPLCで精製して、1,2,3−トリアゾル側鎖を含むペプチド(ペプチド番号271)を得た。
表16は、同一のペプチド又はペプチド類似体と比較した様々なペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチドでは、ヒスチジンが1つのアミノ酸又はアミノ酸類似体と置換されている。これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対する置換の効果も提供する。
(実施例9)
Gly−Glyのペプチドミメティック類似体を含むペプチドの合成
Gly−Glyアミノ酸ミメティック(表17)は全て、Fmoc−アミノ酸保護アミノ酸として組み込まれており、特に断らない限り市販されていた(Chem−Impex,Wood Dale,IL)。Freidinger et al.,J.Org.Chem.47:104−109(1982)によって記載されたプロトコルに従って、3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン酢酸のN−Fmoc誘導体をペプチド番号227に組み込むことにより、3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピペリジン酢酸を含むペプチドを合成した。Freidinger et al.,J.Org.Chem.47:104−109(1982)によって記載されたプロトコルに従って、3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸のN−Fmoc誘導体をペプチド番号214に組み込むことにより、3(R)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸を含むペプチドを合成した。全てD−アミノ酸を使用することを除いては、Subasinghe et al.,J.Med.Chem.36:2356−2361(1993)によって記載されたプロトコルに従って、5,5−二環式ジペプチド模倣物をペプチド番号197又はペプチド番号198に組み込むことにより、5,5−二環式ジペプチド模倣物を含むペプチドを合成した。全てD−アミノ酸を使用することを除いては、Etzkorn et al.,J.Am.Chem.Soc.116:10412(1994)によって記載されたプロトコルに従って、6,5−二環式ジペプチド模倣物をペプチド番号204に組み込むことにより、6,5−二環式ジペプチド模倣物を含むペプチドを合成した。D−メチオニンの代わりにL−メチオニンを使用することを除いては、Freidinger et al.,J.Org.Chem.47:104−109(1982)によって記載されたプロトコルに従って、(D,L)−フリードリンガーラクタムをペプチド番号216に組み込むことにより、(D,L)−フリードリンガーラクタムを含むペプチドを合成した。
表17は、ペプチド番号501に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。これらのペプチド及びペプチド類似体では、通常2つの隣接するグリシン(Gly−Gly)がある所に様々なアミノ酸及びアミノ酸類似体による置換がなされている。
表18は、通常Gly−Glyという配列がある場所で2つのグリシンが共にペプチドミメティック類似体に置換されている、ペプチド番号99に由来するペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。
(実施例10)
ラクタム架橋を介して環状化されたペプチドの合成
様々なシステインの代わりとして以下のアミノ酸:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Orn(Aloc)−OH、Fmoc−Dab(Aloc)−OH、及びFmoc−Dap(Aloc)−OH、Fmoc−Glu(OAllyl)−OH、並びにFmoc−Asp(OAllyl)−OH(Bachem,Torrance,CA)を使用することを除いては、上記に実施例7で概説したように、固相ペプチド合成によってラクタム環状化ペプチド(表19)を合成した。完全保護ペプチドを樹脂上で生成する過程が終了した後、この樹脂をジクロロメタン中で膨潤させ、窒素でパージし、0.1モル当量のテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)及び30モル当量のフェニルシラン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)で処理し、反応を3時間進行させた。この樹脂を、まずジクロロメタンで洗浄し、DMFで洗浄し、最後に1%(v/v)トリエチルアミン及び1%(w/v)ジエチルジチオカルバミン酸のDMF溶液で更に5回洗浄した。DMFを用いた追加の洗浄工程の後、ベンゾトリアゾル−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)(Novabiochem,San Diego CA)及びDIEAで16時間、樹脂を処理した。実施例7で上記したように、この樹脂からペプチドを切断し、精製した。
表19は、ラクタム架橋を介してそれぞれのペプチドの環状化を可能にするであろう、システイン残基からアミノ酸及びアミノ酸類似体へのアミノ酸置換を有する本発明の様々なペプチドのリストを提供する。これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターに対するこれらの置換の効果も提供する。
(実施例11)
直鎖ペプチド類似体の合成
ジスルフィド形成アミノ酸を表20及び21で示すように置換することを除いては、実施例7で上記したように、非架橋(「直鎖」)ペプチド類似体を合成した。
表20は、本発明のペプチド番号501由来の直鎖ペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。表20は、これらのペプチドのヒトFcRnとの結合パラメーターも提供する。
表21は、通常グリシン−サルコシンという配列(Gly−Sar)がある場所で様々なペプチドミメティックに置換されている、ペプチド番号236由来ペプチド及びペプチド類似体のリストを提供する。
(実施例12)
還元的アルキル化を介したペプチドダイマーの合成
ペプチドアルデヒド及びペプチドのアミノ(N)又はカルボキシ(C)末端アミンの還元的アルキル化によって、ペプチドダイマー(表22)を作製した。
モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、ペプチドN−末端アミンを合成した。
1,2−ジアミノエタン樹脂(Novabiochem,San Diego,CA)を合成工程で使用することを除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、ペプチドC−末端アミンも合成した。その結果、樹脂からの切断によって、C末端エチルアミンが生じた。
N末端アミノ酸の非保護アミンを、DIEA/DMFの存在下で2時間、5当量の無水コハク酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)と反応させることによって、ペプチドN末端アルデヒド(図1)を合成した。その後、PyBOP及びDIEAの存在下で2時間、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソランメタミン(Sigma−Aldrich,St.Louis MO)と反応させることによって、保護ジオール樹脂を得た。次に、この樹脂から粗ペプチドを切断し、その後、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、システインを酸化し、精製することによって、ペプチドジオールを得た。このジオールを33%酢酸に溶解し、その後2当量の過ヨウ素酸ナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加え、反応を5分間進行させた。この反応混合物を(ジオールに対して)20当量のエチレングリコール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)でクエンチし、10分後、粗反応混合物を水で3倍希釈し、0.1%TFAを含むアセトニトリル/水の増加する濃度勾配を用いて、C18 Sep−Pakカラム(Waters Corp.,Milford,MA)で精製した。ペプチドアルデヒドを凍結乾燥し、実施例7で記載した液体クロマトグラフィー(Applied Biosystems,Foster City,CA)の後、質量分析(Mariner ES−MS)による分析に供した。
Rinkアミド樹脂の代わりにFmoc−1−アミノ−2,3−プロパンジオール−2’−クロロトリチル樹脂(Novabiochem,San Diego,CA)を使用することを除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、ペプチドC末端アルデヒドを合成した。それ故に、結果として得られるペプチド樹脂は、マスクされたC末端ジオールを含んだ。この樹脂からの切断によって、N末端アルデヒドについて上記したように、ジオールをアルデヒドに酸化した。
ペプチド番号275のようなラクタム環状化ペプチドを合成するために、ラクタム架橋で環状化されたペプチドの合成を示す、実施例10で上記した方法に従って、ペプチドモノマーを合成した。そこでは、樹脂からの切断の前に、Asp−Lys環状化を樹脂上で行なった。
2%酢酸を含むDMF中、40mg/mlの濃度で、1当量のペプチドアルデヒドを1当量のアミン含有ペプチドと反応させることによって、ペプチドダイマーを合成した(図2)。60分後、2当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加え、反応物を1時間、振盪させた。反応混合物を水で10倍希釈し、実施例7で記載したように、HPLCで精製し、液体クロマトグラフィー(Applied Biosystems,Foster City,CA)の後、質量分析(Mariner ES−MS)で分析した。
表22は、還元的アルキル化によって合成された本発明のダイマーペプチドのリストを提供する。表22及びその後の表において、列1は、ペプチド識別子を含む。列2は、ペプチドのアミノ酸配列を含む。列3は、実施例4で概説したIgG競合ELISAで決定したときの各ペプチドのIC50を含む。列4及び5は、実施例6で概説したBiacore分析によって、それぞれ、pH6及びpH7.4で決定したときの各ペプチドのKを含む。列6は、実施例5で概説したような競合的IgG結合FACSで決定したときの各ペプチドのIC50を含む。
(実施例13)
チオールリンカー及びブロモアセチル化ペプチドによるペプチドダイマーの合成
ブロモアセチル化ペプチドをチオールリンカーと反応させることによって、ペプチドダイマー(表23)も合成した。保護ペプチド樹脂の遊離のα−アミノ基を4当量の臭化ブロモアセチル(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)及び8当量のDIEA(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)とDMF中で反応させることによって、ブロモアセチル化ペプチドを合成した(図3)。1時間後、樹脂をDMFで洗浄し、その後DCMで洗浄し、実施例7で上記したように樹脂から切断した。ラクタム環状化ペプチドを、ビス−チオールを用いてダイマー化する場合には、ブロモアセチル化工程の前に、樹脂上での(on−resin)環状化工程を実施した。ジスルフィド含有ペプチドを、ビス−チオールリンカーを用いてダイマー化する場合には、実施例7で上記したような切断の後に、ヨウ素酸化工程を実施した。
NH−Gly−2−クロロトリチル樹脂(Novabiochem,San Diego,CA)を、2当量のPyBOP(Novabiochem,San Diego,CA)及びDIEA/DMFの存在下で18時間、2当量のN,N−ビス(N’−Fmoc−3−アミノプロピル)グリシンカリウムヘミ硫酸塩(Chem−Impex,Wood Dale,IL)と反応させることによって、ビス−チオールリンカーを合成した(図3)。20%ピペリジン/DMFで10分間、2回処理することによって、Fmoc保護基を除去した。リンカー化合物のいくつかについては、β−アラニンもスペーサー単位として組み込んだ。PyBOP及びDIEを用いて、Fmoc−β−Ala−OH(Novabiochem)を上記のような樹脂に結合させた。20%ピペリジン/DMFを用いてFmoc保護基を除去した後、遊離のN末端アミン樹脂を2当量のN−スクシンイミジル−S−アセチルチオプロプリオネート(SATP;Pierce,Rockford,IL)及び4当量のDIEAと18時間反応させることによって、別のβ−アラニンスペーサー単位を組み込むか、又はビス−チオールリンカーを組み込むかのいずれかにした。
その後、0.05mmolのペプチド樹脂を、1mlのDMF及び0.4mlの緩衝剤A(緩衝剤A:1M塩酸ヒドロキシアミン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、40mMリン酸ナトリウム(pH7.5)、50mM EDTA(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO))を含む脱気溶液と18時間反応させることによって、S−アセチル保護基の除去を遂行した。この樹脂をDMF、次いでDCMで洗浄し、2%トリイソプロピルシランを含む50%TFAのDCM溶液で15分間、樹脂から切断した。粗リンカーを処理し、実施例7で上記したように精製した。
水(10%)及び100mMリン酸ナトリウム、pH7.5(50%)を含むDMF中で、1当量の精製ビス−チオールリンカーを2当量のブロモアセチル化N末端ペプチドと反応させることにより、ビス−チオールリンカーを用いてペプチドダイマーを作製した(図3)。18時間後、この粗反応混合物を、実施例7で上記したように逆相HPLCカラムで精製した。
ブロモアセチル化ペプチドをSATPで誘導体化したペプチドと反応させることによって、ペプチド番号122を合成した(図4)。簡潔には、遊離N末端アミンを有する粗ペプチド樹脂を、2当量のSATPとDMF中で2時間反応させた。S−アセチル保護基を上記のように除去し、次いで上記のように樹脂から切断し、その後精製した。
表23は、チオールリンカーによって合成された本発明のダイマーペプチドのリストを提供する。
(実施例14)
還元的アルキル化を介したペプチドトリマーの合成:ペプチド番号247
ペプチドアルデヒド及びペプチドアミノN−末端アミンの還元的アルキル化によって、ペプチドトリマー(表22)を作製した。
N末端をビス−アミニプロピルグリシン(BAPG;Sigma−Aldrich,Stl.Louis,MOから購入したBis−Fmoc−BAPGとして使用)等の二官能性アミンリンカーでキャッピングし、その後、サルコシンを結合させることを除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、ペプチドN末端アミンを合成した。ペプチドN末端アルデヒド(図1)を実施例12で記載したように合成した。2%酢酸を含むDMF中、40mg/mlの濃度で2当量のペプチドアルデヒドを1当量のアミン含有ペプチドと反応させることによって、ペプチドトリマーを(図2のように)合成した。60分後、4当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加え、反応物を1時間振盪した。この反応混合物を水で10倍希釈し、実施例7で記載したように、HPLCで精製し、液体クロマトグラフィー(Applied Biosystems,Foster City,CA)の後、質量分析(Mariner ES−MS)で分析した。
(実施例15)
二酸リンカー及びアミンリンカーを用いたペプチドダイマーの合成
2つの樹脂上のペプチドモノマーのN末端を二官能性酸リンカーと反応させることによるか、又は二官能性アミンリンカーを含む樹脂上でペプチドの合成を行ない、それにより2つの樹脂上のペプチドモノマーのC末端を連結することによるかのいずれかで、アミドが結合したペプチドダイマー(表24)を作製した。
以下を除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、N末端で結合したペプチドダイマーを合成した。すなわち、ペプチドを樹脂から切断する前に、2つのペプチドモノマーのN末端を二官能性酸リンカーと連結させる。例えば、1当量のPyBOP及び2当量のDIEAの存在下で、0.5当量のコハク酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を用いて、ペプチド番号235と類似したペプチド配列を含むペプチド樹脂を非保護N末端と反応させることによって、ペプチド番号283を合成する。これにより、N末端を介したアミド結合で共有結合的に結合している、樹脂上の隣接するペプチドが結果として生じる。
HPLC精製の前にペプチドジスルフィドを酸化しないことを除いては、実施例7で記載したように、結果として得られるペプチドダイマーを樹脂から切断し、精製する。精製された還元ペプチドを、20%DMSOを含む10mMリン酸ナトリウム(pH7.5)に約0.1mg/mLまで溶解し、室温で3日間混合する。この酸化工程は、ダイマーの2つのモノマー間とは対照的に、ダイマーの1つのペプチドモノマーの内部でのジスルフィド結合の形成を可能にする。この反応混合物をペプチド濃度0.05mg/mLまで水で希釈し、0.1%TFAを含むアセトニトリル/水の増加する濃度勾配を用いてC18 Sep−Pakカラム(Waters Corp.,Milford,MA)で精製する。ペプチドダイマーを凍結乾燥し、実施例7で記載したように、液体クロマトグラフィー(Applied Biosystems,Foster City,CA)の後、質量分析(Mariner ES−MS)による分析に供した(図5参照)。ペプチド番号283の場合、ペプチドをトリプシンで30分間消化し、その後、結果として得られるペプチドをLCMSで分析することによって、ジスルフィド結合様式を確認した。トリプシンは、アルギニン残基及びリジン残基の後ろで切断することが知られており、アルギニン−フェニルアラニン結合の位置でペプチド番号283を切断する。ペプチド番号283の主なLCMSの産物は、NH−[Phe Phe−Pen−Thr−Gly−His−Phe−Gly−Sar−NMeLeu−Tyr−Pro−Cys]−CONH(ジスルフィド)(LCMS:M+H=1355.6Da)であり、これは、ペプチド番号283のジスルフィド結合が、各々の13アミノ酸ペプチドモノマーの分子内で形成されていることを示す。
ペプチド配列がペプチド番号32と類似していたこと、使用された二酸リンカーがエチレングリコール−ビス(コハク酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)であったこと、及びPyBOPをカップリング反応に使用しなかったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号201を合成した。
使用された二酸リンカーがビス−dPEG6−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)(Quanta Biodesigns Ltd.)であったこと、及びPyBOPをカップリング反応に使用しなかったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号279を合成した。
大過剰の無水コハク酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)でペプチド樹脂を処理したことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号281を合成した。それにより、樹脂上の全てのペプチドが、コハク酸でキャッピングされたN末端を含む結果となる。この樹脂を、1当量のPyBOP及び2当量のDIEAの存在下で、0.5当量のN,N’−ジメチルエチル−エンジアミン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)で処理した。その後の切断、精製、及び酸化工程を、ペプチド番号283についてと同様に実施した。
使用された二酸リンカーがN−メチル−イミノジ酢酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)であったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号282を合成した。
使用された二酸リンカーが3,3−ジメチルグルタル酸(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)であったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号284を合成した。
使用された二酸リンカーがBoc−Asp(OH)−OH(Novabiochem,San Diego,CA)であったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号285を合成した。
使用された二酸リンカーがBoc−Glu(OH)−OH(Novabiochem,San Diego CA)であったことを除いては、ペプチド番号283と同様に、ペプチド番号286を合成した。
ペプチド合成の前に二官能性アミンリンカーを樹脂に結合させることを除いては、モノマーペプチドジスルフィドの合成について実施例7で上記したように、C末端で結合したペプチドダイマーを合成した。これにより、C末端がアミド結合で共有結合的に結合したペプチドダイマーが結果として生じる。例えば、まずFmoc−Lys(Fmoc)−OH(Novabiochem,San Diego,CA)を樹脂に結合させ、その後アミノ酸に結合させてペプチド番号235と類似した配列を生み出すことにより、ペプチド番号280を合成した。これにより、樹脂上で合成されている間に、2つのペプチド鎖の共有結合的結合が結果として生じる。結果として得られるペプチドダイマーを、N末端が結合したダイマーについて上記したように、樹脂から切断し、精製し、酸化する(図6参照)。
グリシン残基(Gly)がペプチド番号235配列と分岐リジンリンカーとの間に挿入されることを除いては、ペプチド番号280と同様に、ペプチド番号287を合成した。
2つのグリシン残基(Gly−Gly)がペプチド番号235配列と分岐リジンリンカーとの間に挿入されることを除いては、ペプチド番号280と同様に、ペプチド番号288を合成した。
表24は、アミド結合を含む本発明のダイマーペプチドのリストを提供する。
(実施例16)
還元的アルキル化を介したペプチド−Fc融合体の合成
ペプチドN末端アルデヒド、ペプチド番号252、ペプチド番号229、及びペプチド番号232(表25)を実施例12で記載したように合成した。3つのペプチド−Fc融合体は全て、同じプロトコルを用いて作製した。CysFc(N末端システインを持つFcドメイン)及び4.5当量のペプチドアルデヒドを、氷上、80mM酢酸ナトリウム(pH5.5)中で、1時間インキュベートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを最終濃度20mMまで加え、反応物を4℃で16時間インキュベートした。この反応混合物をSDS−PAGEで解析し、主に1個のペプチドがFcタンパク質に付加されていることを確認した。このタンパク質混合物をPBSで2回透析し、インビトロの阻止活性について試験した(表25)。ペプチド番号252−Fcの場合、タンパク質をTG32BマウスIgG異化モデルでも評価した。CysFcの産生は、米国特許出願公開第2005/0027109号に記載されたように実施することができる。ここで、CysFcの産生の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
表25は、CysFc及びアルデヒドペプチドを用いて合成された本発明のペプチド−Fc融合タンパク質のリストを提供する。
(実施例17)
トランスジェニックマウス
トランスジェニックマウスは、Bar Harbor,MEのJackson LaboratoryのRoopenian博士から入手した。内在性のマウスFcRn及びβm遺伝子は、相同組み換えによる外来ポリヌクレオチド配列の挿入によって不活化され、遺伝子導入によってヒトFcRn及びヒトβm遺伝子と置換された(muFcRn(−/−)、muβm(−/−)、+huFcRn、+huβm)。これらのマウスを系統名TG32Bと呼ぶ。
(実施例18)
5mg/kg及び10mg/kgを用いたTG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号270の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24、48、72、96、及び120時間で、5mg/kg又は10mg/kgのいずれかのペプチド番号270をマウスに静脈内注射した。各時点で15mM酢酸ナトリウム(pH5)を含むビヒクルPBSを用いて、対照注射を行なった。注射前に全ての時点で、及び168時間で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。
IgG Fcドメイン特異的ELISAを用いて、各時点での血清中ヒトIgGのレベルを検出した。簡潔には、30μlの10μg/ml原液のヤギ抗ヒトIgG(Pierce,Rockford,IL)を、6mlの0.05M重炭酸ナトリウム、pH9.6(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)で希釈した。96ウェルプレートを50μl/ウェルのこの溶液でコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。コーティング溶液を除去し、PBST(0.05%Tween−20を含むリン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄した。その後、200μl/ウェルの2%ウシ血清アルブミン(BSA)原液/PBSを加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルをPBSTで3回洗浄し、50ng/mlのhIgG1から始めて2.5倍希釈を行なうことによって標準曲線を3通りで作成した。その後、100μlの標準溶液又は試料溶液のいずれかをウェルに加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。更に3回PBST洗浄を行なった後、2%BSAを含むPBS中のヤギ抗ヒトIgG[Fc]−HRP抱合体(Pierce,Rockford,IL)の1:10,000希釈液100μlを加えた。このプレートを37℃で1時間インキュベートした後、PBSTで洗浄し、各ウェルに100μlのTMB One−Component基質(BioFX,Owings Mills,MD)を加えた。各ウェルに100μlの0.25M硫酸を加えることによって、5分後に発色を停止させた。各ウェルについてのUV吸光度を450nmで測定し、キャリブレーション曲線を用いて、これらの実験についての血清IgG濃度対時間のプロットを導いた。
(実施例19)
TG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号231、ペプチド番号274、及びペプチド番号252−Fcの効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24、48、及び72時間で、1mg/kgのペプチド番号231、1mg/kgのペプチド番号274、又は20mg/kgのペプチド番号252−Fcのいずれかをマウスに静脈内注射した。対照注射は、15mM酢酸ナトリウム、pH5を用いて各時点で行ない、全ての注射用のビヒクルとしての役割を果たした。注射前に全ての時点で、並びに30、96、及び144時間で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。
各時点での血清中ヒトIgGの濃度を、実施例18で上記したように決定した。
(実施例20)
カニクイザルにおけるヒトIgG異化並びに内在性IgG、IgM、及びアルブミンに対するペプチド番号270の効果
平均体重4.8kgの3匹の成体カニクイザルに、0時間で、静脈内用量の5mg/kgのビオチン化ヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。4、48、72、及び96時間で、10mg/kgのペプチド番号270又は同体積のビヒクル(30mM酢酸ナトリウム、pH5)のいずれかを、1ml/分の速度で動物に静脈内注射した。120時間で、動物CO6215を、第5用量の10mg/kgのペプチド番号270で処理した。全ての注射の前、並びに120、168、192、及び244時間で、並びに30日で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。
ストレプトアビジン−Fc−特異的ELISAを用いてビオチン−hIgGトレーサーを検出した。ストレプトアビジンをコーティングしたプレート(Pierce,Rockford,IL,Cat #15121)をPBST(リン酸緩衝生理食塩水+0.05%Tween−20)で3回洗浄した。血清試料及び標準をPBSB(PBS+2%BSA)で希釈した。標準曲線を1.56ng/ml〜200ng/mlの範囲で定めた。希釈した試料(100μl)又は標準をウェル毎に加え、室温で2時間インキュベートした。その後、ウェルをPBST(300μl/ウェル)で3回洗浄した。ヤギ抗ヒトFc−HRP(Pierce,Rockford,IL,Cat #31416)をPBSBで1:25,000に希釈し、100μl/ウェルを加え、プレートを室温で30分間インキュベートした。このプレートをPBST(300μl/ウェル)で3回洗浄し、100μl/ウェルのBioFx高感度TMB基質(BioFX,Owing Mills,MD)を用いて室温で約5分間発色させた。100μl/ウェルの0.25M硫酸を加えることによって、反応物の発色を停止させ、各ウェルの吸光度を450nmの波長で測定した。
以下のELISAプロトコルを用いて、内在性のカニクイザルIgGを検出した。まず、ウサギ抗サルIgGをコーティング緩衝液(コーティング緩衝液=1錠の炭酸塩−重炭酸塩カプセル,Sigma−Aldrich,St.Louis,MO Cat#C−3041を100mLの水に溶かしたもの)で2μg/mlまで希釈した。次に、96ウェルプレート(Costar/Corning)を、100μl/ウェルの2μg/mlウサギ抗サルIgG(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)でコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBST(0.05%Tween−20を含むPBS)で4回洗浄し、200μl/ウェルのPBSB(1%BSA/PBS;10%BSA/PBSストック(KPL)から希釈)を用いて37℃で1時間ブロッキングした。このプレートをPBSTで再び4回洗浄した。血清試料及び標準をPBSBで希釈した。標準曲線を2000ng/ml〜1.9ng/mlのサルIgG(Antibodies Incorporated,Davis,CA)の範囲で定めた。その後、100μl/ウェルの各試料を37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBSTで3回洗浄した。100μl/ウェルの1:30,000希釈のウサギ抗サルIgG−HRP(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)/PBSBを加え、37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBSTで3回洗浄し、100μl/ウェルのSureBlue TMB基質(KPL,Gaithersburg,MD)を用いて室温で約5分間発色させた。発色反応を100μl/ウェルのTMP停止溶液(KPL,Gaithersburg,MD)で停止させ、各ウェルの吸光度を450nmの波長で測定した。
以下のELISAプロトコルを用いて内在性のカニクイザル血清アルブミンを検出した。まず、ウサギ抗サル血清アルブミンをコーティング緩衝液(コーティング緩衝液=1錠の炭酸塩−重炭酸塩カプセル、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO cat#C−3041を100mLの水に溶かしたもの)で5μg/mlまで希釈した。次に、96ウェルプレート(Costar/Corning)を、100μl/ウェルの5μg/mlウサギ抗サル血清アルブミン(Nordic Immunology,The Netherlands,cat#RAMon/Alb)でコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBST(0.05%Tween−20を含むPBS)で4回洗浄し、300μl/ウェルの5%魚ゼラチン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO cat#G−7765)原液/PBSを用いて37℃で1時間ブロッキングした。このプレートをPBSTで再び4回洗浄した。血清試料及び標準をPBSBで希釈した。標準曲線を200ng/ml〜0.39ng/mlのサル血清アルブミン(Nordic Immunology,The Netherlands,cat#MonAlb Batch#6082)の範囲で定めた。その後、100μl/ウェルの各試料を37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBSTで6回洗浄した。100μl/ウェルの1:30,000希釈のヤギ抗ヒトアルブミン−HRP抱合体(Academy Bio−Medical,Inc.,Houston,TX,cat#AL10H−G1a)/PBSBを加え、37℃で1時間インキュベートした。プレートをPBSTで6回洗浄し、100μl/ウェルのSureBlue TMB基質(KPL,Gaithersburg,MD)を用いて室温で約5分間発色させた。発色反応を100μl/ウェルのTMP停止溶液(KPL,Gaithersburg,MD)で停止させ、各ウェルの吸光度を450nmの波長で測定した。
以下のELISAプロトコルを用いて、内在性のカニクイザルIgMを検出した。まず、ヤギ抗サルIgM抗体をコーティング緩衝液(コーティング緩衝液=1錠の炭酸塩−重炭酸塩カプセル、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO cat#C−3041を100mLの水に溶かしたもの)で5μg/mlまで希釈した。次に、96ウェルプレート(Costar/Corning)を、100μl/ウェルの5μg/mlヤギ抗サルIgM(KPL,Gaithersburg,MD,cat#071−11−031)でコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBST(0.05%Tween−20を含むPBS)で4回洗浄し、200μl/ウェルのPBSB(1%BSA/PBS;10%BSA/PBSストック(KPL)から希釈)を用いて37℃で1時間ブロッキングした。このプレートをPBSTで再び4回洗浄した。血清試料及び標準をPBSBで希釈した。標準曲線を2000ng/ml〜15.6ng/mlのサルIgM(Alpha Diagnostic International,San Antonio,TX,cat #2001301)の範囲で定めた。その後、100μl/ウェルの各試料を37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBSTで4回洗浄した。100μl/ウェルの1:10,000希釈のヤギ抗サルIgM−HRP抱合体(RDI,Concord,MA,cat #617103007)/PBSを加え、37℃で1時間インキュベートした。このプレートをPBSTで4回洗浄し、100μl/ウェルのSureBlue TMB基質(KPL,Gaithersburg,MD)を用いて室温で約5分間発色させた。発色反応を100μl/ウェルのTMP停止溶液(KPL,Gaithersburg,MD)で停止させ、各ウェルの吸光度を450nmの波長で測定した。
(実施例21)
様々な投薬スケジュールを用いたTG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号270の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。4匹のマウスの群に、t=24時間で、5mg/kgのペプチド番号270(第1群);t=24及び72時間で、5mg/kgのペプチド番号270(第2群);並びにt=24、48時間、72、及び96時間で、2.5mg/kgのペプチド番号270(第3群)を静脈内注射した。各時点で15mM酢酸ナトリウム(pH5)を含むビヒクルPBSを用いて、追加のマウスの群を用いて、対照注射を行なった。注射前に全ての時点で、及び168時間で、血液試料を採取した。実施例18と同様に、血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。
(実施例22)
追加のTG32Bマウス実験
ペプチド番号270を用いてTG32Bマウスで追加の実験を実施した。実施例18で記載したのと同じ実験設計を用いて、ペプチド番号270がIgG異化の速度を加速するのに有効であることが、皮下(SC)及び腹腔内(IP)経路の投与を用いて分かった。24時間から開始した5日用量の5mg/kgのペプチド番号270は、ペプチド番号270の皮下(SC)及び腹腔内(IP)注射の後、IgGの半減期を56時間まで低下させることが分かった。これらの半減期は、80〜100時間のIgG半減期を示す典型的な対照群よりも顕著に短かった。更に、対照群と比較したとき、hIgGの濃度は、ペプチド番号270を用いた168時間後に56%(SC)及び66%(IP)低下した。
実施例18で記載した実験プロトコルを用いて、ペプチド番号230もTG32Bマウスで試験した。ヒトIgGを静脈内注射した24時間後、5mg/kgのペプチド番号230の静脈内(IV)注射を、毎日、合計5日間投与した。対照群の半減期92時間と比較したとき、hIgGの半減期は、39時間まで低下した。更に、対照群と比較したとき、hIgGの濃度は、168時間後に76%低下した。
また、3回の1日ペプチド用量と比較したときの1回のペプチド用量の効果を評価するために設計された2つの実験で、ペプチド番号230を試験した。実施例18で記載した実験プロトコルを用いて、ヒトIgGを静脈内注射した24時間後、1つの動物群を、1回の静脈内用量である5mg/kgのペプチド番号230で処理する一方、2番目の動物群は、3回連続で1日静脈内用量である5mg/kgのペプチド番号230を受けた。120時間後、単一用量のペプチド番号230は、マウスにおけるhIgGの濃度を41%低下させた。3回の1日用量のペプチド番号230を受けたマウスの群では、hIgGの濃度は、120時間後に61%減少した。
(実施例23)
TG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号283の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24、48、72、及び96時間で、0.5、1、2.5、5、又は10mg/kgのいずれかのペプチド番号283をマウスに静脈内注射した。対照注射は、15mM酢酸ナトリウム、pH5を用いて各時点で行ない、全ての注射用のビヒクルとしての役割を果たした。注射前に全ての時点で、120時間、及び168時間で、並びに30日で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。
各時点での血清中ヒトIgGの濃度を実施例18で上記したように決定した。
(実施例24)
ペグ化されたペプチド番号289の合成
ペプチド番号285を10mMリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、1当量のPEG30kDa−スクシニミジルエステル(NOF Corp.(Japan)Cat.No. Sunbright MEGC−30TS)で18時間処理した。この粗反応混合物を、実施例7で説明されるC4カラム(Jupiter, Phenomenex)で精製し、凍結乾燥し、ペプチドが10mM酢酸ナトリウム(pH5)中で樹脂と結合する陽イオン交換クロマトグラフィー(Fractoprep SO 、カタログ番号1.17972、EMD Chemicals Inc,Gibbstown,NJ)で再び精製し、樹脂を10m酢酸ナトリウム(pH5)で洗浄し、ペプチドを100mM塩化ナトリウムで10mM酢酸ナトリウム(pH5)中に溶出した。このペプチド溶液を1%酢酸に対して透析し、凍結乾燥した。この精製ペプチドをSDS−PAGEで解析して、約50kDaのペプチド染色バンドを示し、HPLCで解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した(図7)。
(実施例25)
TG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号289の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24時間で、25mg/kgのペプチド番号289をマウスに静脈内注射した。24、48、72、96、120、及び168時間で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。各時点での血清中ヒトIgGの濃度を、実施例18で上記したように決定した。結果を図8に示す。
(実施例26)
カニクイザルにおけるhIgG異化並びに内在性IgG、IgM、及びアルブミン濃度に対するペプチド番号283の効果
18匹のカニクイザルを3匹の動物ずつの6群に分け、全ての動物を、t=3日で、5mg/kgのビオチン化されたヒトIgG(MP Biomedical)で処理した。t=0から始めて、動物を以下の投与レジメンに従ってペプチド番号283で4週間処理した。1)1mg/kg、3回/週、静脈内;2)1mg/kg、1回/週、皮下;3)1mg/kg、3回/週、皮下;4)5mg/kg、3回/週、静脈内;5)5mg/kg、1回/週、皮下;6)5mg/kg、3回/週、皮下。第4群についての最後のペプチド投与は16日目であったことに留意されたい。血清試料を3日前、15分前、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目、18日目、21日目、23日目、25日目、28日目、30日目、32日目、35日目、42日目、49日目、77日目に採取した。ビオチン化ヒトIgG、内在性IgG、及びアルブミンの濃度を、実施例20で記載したように決定した。
(実施例27)
還元的アルキル化を用いた30kDaのペグ化されたペプチド番号290の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の直鎖30kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan) Cat.No. Sunbright ME−300−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後実施例7で記載したように、逆相C4カラム(Jupiter,Phenomenex)で精製して、遊離ペプチドを除去し、凍結乾燥した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製し、遊離PEGを除去した。実施例24と同様に透析した後、ペプチド溶液をSDS−PAGEで解析して、約50kDaのバンドを示し、逆相HPLCで解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。図9、10、及び11を参照のこと。
(実施例28)
還元的アルキル化を用いた20kDaのペグ化されたペプチド番号291の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の直鎖20kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan) Cat.No. Sunbright ME−300−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後、実施例7で記載したように、逆相C4カラム(Jupiter,Phenomenex)で精製して、遊離ペプチドを除去し、凍結乾燥した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製し、遊離PEGを除去した。100〜300mMの酢酸ナトリウムを含む溶出画分を合わせ、C18 Sep−Pak(Waters Corp,Milford MA)に通して、酢酸塩を除去し、その後1%酢酸から凍結乾燥した。ペプチドをSDS−PAGEで解析して、約35kDaのバンドを示し、逆相HPLCで解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。図9、10、及び11を参照のこと。
(実施例29)
還元的アルキル化を用いた5kDaのペグ化されたペプチド番号292の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の直鎖5kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan) Cat.No. Sunbright ME−300−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後、実施例7で記載したように、逆相C4カラム(Jupiter,Phenomenex)で精製して、遊離ペプチドを除去し、凍結乾燥した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製し、遊離PEGを除去した。100〜300mMの酢酸ナトリウムを含む溶出画分を合わせ、C18 Sep−Pak(Waters Corp,Milford MA)に通して、酢酸塩を除去し、その後1%酢酸から凍結乾燥した。ペプチドをSDS−PAGEで解析して、約8kDaのバンドを示し、逆相HPLCで解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。図9、10、及び11を参照のこと。
(実施例30)
TG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号290の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24時間で、5mg/kg又は25mg/kgのいずれかのペプチド番号290をマウスに静脈内注射した。24、48、72、96、120、及び168時間で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。各時点での血清中ヒトIgGの濃度を、実施例18で上記のように決定した(図12)。
(実施例31)
還元的アルキル化を用いた40kDaのペグ化されたペプチド番号293の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の直鎖40kDa PEG−アルデヒド(Dow Pharma,Cat #008−005)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後10kDa膜カットオフを通して、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中に透析した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製し、遊離PEGを除去した。1%酢酸中に透析した後、ペプチド溶液をSDS−PAGEで解析して、約65kDaのバンド(図11)を示し、逆相HPLC(TSKフェニル1000 Aカラム)で解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。
(実施例32)
還元的アルキル化を用いた10kDaのペグ化されたペプチド番号294の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の直鎖10kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp,Japan,Sunbright ME−100−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートする。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加える。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後、実施例7で記載したように、逆相C4カラム(Jupiter,Phenomenex)で精製して、遊離ペプチドを除去し、その後、液体を凍結乾燥する。実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製し、遊離PEGを除去する。100〜300mM酢酸ナトリウムを含む溶出画分を合わせ、C18 Sep−Pak(Waters Corp,Milford MA)に通して、酢酸塩を除去し、その後1%酢酸から凍結乾燥する。ペプチドをSDS−PAGEで解析して、抱合反応がうまく行ったことを確認し、及び逆相HPLCで解析して、最終産物中に残存する遊離ペプチドがないことを示す。
(実施例33)
20kDaの2アーム型ペグ化ペプチド番号295の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の20kDa分岐PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan)Cat No.Sunbright GL3−200AL020U)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後10kDaメンブレンカットオフを通して、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中に透析した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製して、遊離PEGを除去した。1%酢酸中に透析した後、ペプチド溶液をSDS−PAGEで解析して、約44kDaのバンド(図12)を示し、逆相HPLC(TSKフェニル1000 Aカラム)で解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。ペプチド番号295の構造を図13に示す。
(実施例34)
40kDaの2アーム型ペグ化ペプチド番号296の合成
ペプチド番号285及び1.25当量の40kDa分岐状PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan)Cat No.Sunbright GL3−400AL2)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後10kDa膜カットオフを通して、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中に透析した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製して、遊離PEGを除去した。1%酢酸中に透析した後、ペプチド溶液をSDS−PAGEで解析して、約75kDaのバンド(図12)を示し、逆相HPLC(TSKフェニル1000 Aカラム)で解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。ペプチド番号296の構造を図14に示す。
(実施例35)
TG32BマウスにおけるヒトIgG異化に対するペプチド番号290、292、291、296、295、及び293の効果
成体TG32Bマウスに、t=0時間(T)で、500mg/kgのヒトIgG(MP Biomedicals,Irvine,CA)を静脈内注射した。24時間で、25mg/kgのペグ化されたペプチドをマウスに静脈内注射した。24、48、72、96、120、及び168時間で、血液試料を採取した。血清を調製し、ELISAを実施するまで−20℃で保存した。各時点での血清中ヒトIgGの濃度を、実施例18で上記したように決定した(図12)。結果を図15に示す。
(実施例36)
ペグ化されたペプチドのインビトロ活性
様々なペグ化されたペプチドのインビトロ活性を、実施例4で説明したIgG競合ELISAアッセイを用いて試験した。結果を図16に示す。
(実施例37)
分岐PEG結合を有する抗FcRnペプチドの合成
リジン等のビス−アミンリンカーをペプチド番号285の遊離アミンに結合させ、ペグ化のための2つの利用可能なアミン部位を生み出すことができる。(アルデヒド−PEGのような)直鎖PEGとそのような化合物の反応は、図17で示した抱合体のような、分岐PEG−ペプチド抱合体を提供することができる。
(実施例38)
還元的アルキル化を用いた30kDaのペグ化されたペプチド番号297の合成
ペプチドを1,2−ジアミノエタントリチル樹脂(Novabiochem,Cat#01−64−0081)上で合成することを除いては、実施例15で記載したように、C末端のエチルアミンリンカーを有するペプチド番号297(図18参照)を合成した。ペプチド番号297及び0.75当量の直鎖30kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan)Cat No.Sunbright ME−300−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後10kDa膜カットオフを通して、10mM酢酸ナトリウム(pH5)中に透析した。その後、実施例24で記載したように、この材料を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製して、遊離PEGを除去した。1%酢酸中に透析した後、逆相HPLC(TSKフェニル1000 Aカラム)でペプチド溶液を解析して、残存する遊離ペプチドがないことを示した。100〜300mM酢酸ナトリウムを含む溶出画分を合わせ、1%酢酸中に透析し、凍結乾燥した。実施例4で説明されるIgG競合ELISAアッセイを用いてペプチド番号297の活性を試験した。このアッセイの結果を図19に示す。
(実施例39)
二酸リンカー及びアミンリンカーを用いた追加のペプチドダイマーの合成
追加のアミド結合ペプチドダイマー(表27)を、以下のことを除いては、実施例15で記載したように合成した。すなわち、ペプチド番号298は、1,2−ジアミノエタントリチル樹脂(Novabiochem,Cat #01−64−0081)上で合成し;ペプチド番号299は、1,4−ジアミノブタントリチル樹脂(Novabiochem,Cat #01−64−0082)上で合成し;ペプチド番号300は、O−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコールトリチル樹脂(Novabiochem,Cat #01−64−0235)上で合成し;ペプチド番号301は、ビス−(2−アミノエチル)−エーテルトリチル樹脂(Novabiochem Cat#01−64−0141)上で合成した。
実施例18で説明される、t=0時間での500mg/kgの静脈内用量のヒトIgG、その後のt=24h、48h、72h、及び96hでの、2.5mg/kgのペプチド299、300、及び301の皮下注射の後のTG32BにおけるヒトIgG異化の速度を図20に示す。hIgGの濃度を実施例18と同様にELISAで決定し、t=24水準に対して標準化し、ビヒクル対照群と比較した。
(実施例40)
還元的アルキル化を用いた30kDaのペグ化されたペプチド番号307、308、及び309の合成
ペグ化されたペプチド307、308、及び309のペプチド構成要素は、それぞれ、ペプチド番号304、305、及び306である。304では、Arg2をLysと置換し、305では、Thr4をLysと置換し、306では、Pro12をLysと置換することを除いては、実施例15のペプチド283のように、ペプチド304、305、及び306を合成した。これにより、ダイマーペプチド当たり2つのLysが与えられる。PEG化を行なって、ダイマーペプチド当たり1つのPEG部分を生じさせる。
ペプチド304、305、又は306及び2当量の直鎖30kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.(Japan)Cat No.Sunbright ME−300−AL)を10mg/mLのPEG濃度で100mM酢酸ナトリウム(pH5.5)に溶解し、4℃で30分間インキュベートした。その最終濃度が20mMになるように、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。この反応物を4℃で18時間揺動し、その後10mM酢酸ナトリウム(pH5)に対して透析して、遊離ペプチドを除去した。その後、実施例24で記載したように、透析した反応物を陽イオン交換クロマトグラフィーで精製して、遊離PEGを除去した。精製材料を1%酢酸に対して透析し、凍結乾燥した。これらのペプチドの構造を図19に示す。その後、これらのペプチドを、実施例4及び18で記載したようにインビトロ及びインビボでの活性について試験した(図16)。
(実施例41)
30kDaのペグ化されたペプチド303の合成
ダイマー化反応でBoc−Asp(OH)−OHを使用する代わりにFmoc−Asp(OH)−OHを使用することを除いては、上記のように、ペプチド番号302を樹脂上で合成した。樹脂上のペプチドをFmoc−Asp(OH)−OHと反応させて樹脂上のダイマーを作製した後、この樹脂を20%ピペリジン/DMF(2×10分)で処理し、DMFで洗浄し、4当量のビス−Boc−アミノオキシ酢酸、4当量のPyBOP、及び8当量のDIEA/DMFで処理し、1時間混合した。実施例15で記載したように、このペプチドを樹脂から切断し、酸化し、ペプチド番号302を得た。
ペプチド番号302を、0.1%(v/v)TFAを含む水の中で、1.1当量の30kDa PEG−アルデヒド(NOF Corp.,Japan,Cat #Sunbright ME−300−AL)で処理した。この反応混合物を30分間インキュベートし、実施例24と同様に精製し、ペプチド番号303を生じた。このペプチドのインビトロ及びインビボでの活性を、実施例4及び18で記載したように試験し、その結果を図16に示す。
本明細書は、本明細書中で引用された参照の教示に照らせば、完全に理解される。本明細書中の実施形態は、本発明の実施形態の例証を提供するものであり、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者は、他の多くの実施形態が本発明によって包含されるということを容易に認識する。本開示で引用された全ての刊行物及び特許は、それらの全文が参照することにより組み込まれる。参照することにより組み入れられる内容が本明細書と矛盾するか又は一致しない場合、本明細書は、いかなるそのような内容にも優先する。本明細書におけるいかなる参照の引用も、そのような参照が本発明の先行技術であるという承認ではない。
特に指示がない限り、特許請求の範囲を含む、本明細書で使用される成分、反応条件等の量を表す全ての数字は、全ての場合に、用語「約」により修正されるものであると理解すべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、数値パラメーターは近似であり、本発明によって得ようとしている所望の特性に応じて様々に変わり得る。最低限、特許請求の範囲に対する等価物の原理の応用を制限しようとするのではなく、各数値パラメーターは、有効数字の桁数及び普通の丸め手法(rounding approach)に照らして、解釈されるべきである。
特に指示がない限り、一連の要素の前に置く用語「少なくとも」は、先行するあらゆる要素を指すものと理解されるべきである。当業者は、本明細書で記載された本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又はいつもと同じ程度の実験を用いて、それを確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。

Claims (28)

  1. 以下の配列を有するペプチド。
    又は
    ここで式中、
    −Aは、存在する場合、親水性ポリマーを含む、又は水素、アシル若しくはアミノ保護基であり;
    −Bは、存在する場合、親水性ポリマーを含む、又はアミノ基、ヒドロキシル基、若しくはカルボキシ保護基であり;
    −Xは、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
    −Xは、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸又はその類似体であり;
    −Xは、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
    −Xは、X10、X12又はX13と架橋を形成することができる、アミノ酸又はその類似体であり;
    −Xは、所望により誘導体化されたアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜4個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
    −Xは、塩基性アミノ酸若しくはその類似体、芳香族アミノ酸若しくはその類似体、又は塩基性芳香族アミノ酸若しくはその類似体であり;
    −Xは、フェニルアラニン又はその類似体であり;
    −X及びXは、それぞれ独立して、グリシン若しくはその類似体、サルコシン若しくはその類似体、アスパラギン酸若しくはその類似体、D−アミノ酸若しくはその類似体、及びα−アミノイソ酪酸若しくはその類似体から選択されるか、又は、
    −Xは、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
    −X10は、アミノ酸若しくはその類似体であるか、又は
    −X10は、Xと共にジペプチド類似体を形成し;
    −X11は、チロシン又はその類似体であり;
    −X12は、所望により誘導体化されたアミノ酸又はその類似体であり;
    −X13は、存在する場合、アミノ酸又はその類似体であり;
    −X14は、存在する場合、所望により誘導体化されたアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜15個のアミノ酸の所望により誘導体化されたペプチド若しくはその類似体であり;
    −Yは、親水性ポリマーを含み、
    −Zは、
    −A;
    −B;
    −Xが存在する場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;Xが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;X及びXが両方存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;又は、X、X及びXが存在しない場合、Xのアミノ末端若しくは側鎖;
    −X14が存在する場合、X14のカルボキシ末端若しくは側鎖;X14が存在しない場合、X13のカルボキシ末端若しくは側鎖;又はX13及びX14が両方存在しない場合、X12のカルボキシ末端若しくは側鎖;
    を通して、各ペプチドモノマーに結合するリンカーであり;
    −mは、1、2及び3から選択される整数であり;
    −nは、1、2及び3から選択される整数であり;
    式中、
    −各A、B、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13及びX14は、独立して選択され;
    −ペプチドの各モノマーの長さは、10〜50個のアミノ酸で変動する。
  2. 以下の配列を有する、請求項1に記載のペプチド。
    ここで式中、
    −Xは、誘導体化されていないアミノ酸又はその類似体であり;
    −Xは、誘導体化されていないアミノ酸若しくはその類似体であるか、又は、2〜4個のアミノ酸の誘導体化されていないペプチド若しくはその類似体であり;
    −X12は、誘導体化されていないアミノ酸又はその類似体である。
  3. 前記ペプチドが架橋されていない、請求項1に記載のペプチド。
  4. がX13と架橋を形成する、請求項1に記載のペプチド。
  5. 前記架橋が側鎖−側鎖架橋である、請求項4に記載のペプチド。
  6. がヒスチジン又はその類似体である、請求項1に記載のペプチド。
  7. 及びXの少なくとも1つが、
    −グリシン;
    −D−アミノ酸;
    −α−アミノイソ酪酸;及び
    −サルコシン
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  8. 14が存在しない、請求項1に記載のペプチド。
  9. 前記ペプチドが、式II、III及びIVのいずれかのペプチドであり、nが1である、請求項1に記載のペプチド。
  10. 前記ペプチドが、式II、III及びIVのいずれかのペプチドであり、nが2である、請求項1に記載のペプチド。
  11. 前記ペプチドが、以下の配列を有する、請求項1に記載のペプチド。
    又は
  12. 前記ペプチドが、以下の配列を有する、請求項11に記載のペプチド。
    又は
    ここで、横向きのかっこは架橋の存在を示す。
  13. 前記親水性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストラン、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポロキサマー、及びポリエチレングリコールコポリマーから選択される、請求項1に記載のペプチド。
  14. 前記親水性ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項13に記載のペプチド。
  15. 前記PEGが直鎖PEGである、請求項14に記載のペプチド。
  16. 前記PEGが分岐PEGである、請求項14に記載のペプチド。
  17. 前記PEGが、10〜60kDaの範囲の平均分子量を有する、請求項14に記載のペプチド。
  18. 前記ペプチドが、ヒトFcRnに特異的に結合する、請求項1に記載のペプチド。
  19. 前記ペプチドのヒトFcRnに対する親和性が50fM〜1mMの範囲である、請求項18に記載のペプチド。
  20. 前記ペプチドが、ヒトFcRnのヒトIgGへの結合を阻害し、50fM〜1mMの範囲のIC50を有する、請求項18に記載のペプチド。
  21. 前記ペプチドが、配列
    を有する、請求項1に記載のペプチド。
  22. 前記ペプチドが、配列
    を有する、請求項21に記載のペプチド。
    ここで横向きのかっこは架橋の存在を示す。
  23. 前記ペプチドが、配列
    を有する、請求項22に記載のペプチド。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のペプチド及び第2分子を含む抱合体。
  25. 治療的に有効な量の、請求項1〜23のいずれか一項に記載のペプチド、又は治療的に有効な量の請求項46に記載の抱合体を含む、製薬組成物。
  26. 請求項47に記載の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、不適切に発現したIgG抗体又は過剰IgGを特徴とする疾患の治療方法。
  27. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項24に記載の抱合体を、放射性同位体、検出可能な産物を有する酵素、蛍光団、化学発光化合物、磁性粒子、ミクロスフィア、ナノスフィア、ビオチン、ストレプトアビジン及びジゴキシンから選択される検出可能な標識で標識することを含む、FcRnの検出方法。
  28. (a)請求項1〜23のいずれか一項に記載のペプチド、又は請求項24に記載の抱合体を、固体支持体に固定化することと、
    (b)FcRnを含有する溶液を、固体支持体上の固定化されたペプチド又は抱合体と接触させることと、
    (c)前記固体支持体から溶液を分離することによりFcRnを精製することと、
    を含む、FcRnの精製方法。
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