JP2010531038A - 多重反射イオン光学装置 - Google Patents

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Abstract

多重反射イオン光学装置が、第一静電ポテンシャルΦEF及び第二静電ポテンシャルΦLSの重なりによって定義される静電場を生成するように構成された静電場生成手段を含む。第一静電ポテンシャルΦEFはイオンをエネルギー収束させる。第二静電ポテンシャルΦLSはイオンを横方向の一つにおいて安定させ、また、前記横方向の一つにおける少なくとも有限回数の振動の継続期間の間、別の横方向において安定させるとともに、イオンを所定のエネルギー範囲において前記横方向の一つにおいてエネルギー収束させる。

Description

本発明は、多重反射イオン光学装置に関する。本発明は特に、限定されるわけではないが、多重反射飛行時間型(multi-reflecting time-of-flight(TOF))質量分析器に関する。すなわち、多重反射によって飛行経路の距離が伸張された飛行時間型質量分析器に関するものであり、また、そのような飛行時間型質量分析器を含む飛行時間型質量分析装置に関する。本発明はまた、例えば、イメージ電流検出法を採用した静電イオントラップ、質量選択を行ってイオンを放出するように構成されたイオントラップ、イオン蓄積器として用いられるイオントラップのような、イオントラップ型の多重反射イオン光学装置に関する。
原子や分子の質量を正確に測定する(質量分析する)ことは、物質の化学組成を定性分析及び定量分析するのに最も効率的な方法の一つである。調べようとする物質をまず、多数の利用できるイオン化法(例えば、電子衝突、放電、レーザ照射、表面イオン化、表面電離、エレクトロスプレイ)のうちの一つを用いてイオン化する。飛行時間型質量分析装置においては、電場により、イオンは離散したイオンパルスとしてイオン源から抽出され、加速された後に、分析器の飛行経路に導入される。静電場における運動の法則の故に、異なる質量電荷比を有する(しかし同一の平均エネルギーを有する)イオンの飛行時間は質量電荷比の平方根に比例する。従って、イオンはその質量電荷比に応じて離散したパケットに分割され、そして検出器によって順次記録されて質量スペクトルを形成することができる。
飛行時間型分析器においては、イオンの総飛行時間が長ければ長いほど、質量分析の分解能は高くなる。このため、多重反射によって飛行経路を延長させた飛行時間型質量分析器が何種類か開発されている。イオンパケットのサイズを十分に小さく保ったままでイオンの飛行時間を増加させるのは困難な課題である。なぜならば、イオン源の内部においてイオンの初期位置に広がりがあり、これによって運動エネルギーが平均値からずれる(エネルギーが広がる)からであり、また、初期イオンの速度に広がりがあることで、いわゆる“turn-around time: ターンアラウンドタイム”及びビームの横方向角度に広がりが生じるからである。高感度で広い質量範囲のマススペクトルを得るためには、幾つかの相容れない条件を同時に満たすことが望ましい。すなわち、1)ビームの軌道がループしないようにすること、2)イオンビームの横方向安定性を確保すること、そして、3)検出器の表面において最小収差で空間−エネルギー収束することである。このため、多重反射飛行時間型(multi-reflecting TOF: mTOF)システムを開発する際には、アクセプタンス、即ちシステムによって受け容れ可能な位相空間の体積を増加させるために、イオン光学を最適化することが含まれていた。これまで、この課題は一般的に、複雑な最適化ソフトウェアを用いることで対処されてきたが、それぞれのデザインには固有の長所と短所がある。
既存の飛行時間型システムのアクセプタンスは緩衝ガスを利用したイオンクーリング及び高イオン引き出し電界を採用する多くのイオン源に適しているが、そのようなシステムは、例えばマトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix-assisted laser desorption/ionization: MALDI)イオン源によって生成されるイオンのように、エネルギーに広がりがあり、また角度に広がりがあるイオンを直接受け容れるのにはあまり適さない。
H.Wollnikは英国特許GB2080021(図1)において多重反射を用いた静電システムを数多く提案している。H.Wollnikによって記載されているシステムは複雑な製造プロセスと慎重な最適化を伴う。より単純なシステムが、Nazarenkoらによるソビエト連合特許SU1725289(図2)に記載されている。彼らのシステムは、多重反射を実行するために、グリッドのない二つの平行なイオンミラーを備える。イオンはZ軸(飛行)方向に関して小さな角度で以てシステムに導入される。その結果、イオンは二つの平行なミラーの間で反射され、何度も折れ曲がるジグザグ状の軌道を描きながら、より長い飛行時間をかけて、X軸(ドリフト)方向に比較的ゆっくりと移動する。残念ながら、このシステムはドリフト方向にビームが発散するのを防ぐ手段を欠いている。初期角度に広がりがあれば、ビームの幅が検出器の幅を超えてしまい、感度が低下するため、飛行時間を更に長くすることが事実上不可能になる。
二つの平行な平面ミラーに基づく多重反射システムを著しく改善したものが、A.VerentchikovとM.YavorによってWO001878A2において提案された。図3に示すように、ミラー間のフィールドフリー領域に配置された一式のレンズによって、ドリフト方向のビームの角度発散が補正される。Nazarenkoのシステムにおけるのと同様に、イオンはX軸(飛行)方向に関して小さな角度で以てミラー間の空間に導入されるが、その角度はイオンビームが一式のレンズL1, L2, …, LD2を通過するように選択される。その結果、イオンビームは反射する毎に再度焦点が合わせられ、X軸(ドリフト)方向に発散することがない。このシステムの最後のレンズLD2は、システムから出口へ向いたビームのドリフトの方向を逆方向にするための偏向器としても機能する。この動作モードでは、システムは、伸張された飛行経路をもって最大の質量範囲の動作を可能とする。更に、三次のエネルギー収束をもたらすのみならず、二次までの横方向収差を最小とするように平面ミラーのデザインが最適化されているため、高分解能が得られる。また、WO006102430A2に記載されているデザインは、レンズの働きにより完全な横方向安定性が得られるという点において、Nazarenkoによって記載されたシステムに比較して優れている。同時にまた、周知の通り、レンズが収差を引き起こすのは不可避であり、それによってシステムの全体的なアクセプタンスが低減される。
本発明は、上記のような既存のシステムの問題点を解決するものである。
本発明に係る多重反射イオン光学装置は、
互いに独立した第一静電ポテンシャル分布ΦEF及び第二静電ポテンシャル分布ΦLSの重なりによって定められる静電場を生成するように構成される静電場生成手段を備え、
これによって、飛行方向のイオン運動が、該飛行方向に直交する横方向のイオン運動から切り離されており、
前記第一静電ポテンシャル分布ΦEFが、同一の質量電荷比を有するイオンを前記飛行方向に関してエネルギー収束させる効果を有し、
前記第二静電ポテンシャル分布ΦLSが、イオンを前記横方向の一つにおいて安定させ、また、該横方向の一つにおける少なくとも有限回の振動の継続期間の間、別の前記横方向において安定させるとともに、同一の質量電荷比を有するイオンを所定のエネルギー範囲において前記横方向の一つに関してエネルギー収束させる効果を有することを特徴としている。好適な実施形態においては、このイオン光学装置は多重反射飛行時間型質量分析器の形態を有する。
本発明者らは、相反する課題であるイオンビームの横方向安定性と縦方向のエネルギー収束とを、互いに独立した静電ポテンシャル分布を生成することで別々に処理すれば、例えば多重反射飛行時間型質量分析装置のような多重反射イオン光学装置のアクセプタンスを大幅に向上させることができることに想到した。これにより、既存の多重反射飛行時間型質量分析器が著しく改善される。本発明のイオン光学装置はまた、マススペクトルを得るためにフーリエ変換を用いる処理を含むイメージ電流検出を行うイオントラップとして、イオン検出器に対してイオンを質量選択的に(各種の方法を利用して)排出するイオントラップとして、又は単なるイオン蓄積装置として使用することができる(また、多くの独自の利点を有している)。
これより、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は単なる例に過ぎない。説明は以下の添付図面を参照して行う。
GB2080021においてH.Wollnikによって記載された既知の軸対称多重反射飛行時間型質量分析装置の概略図。 SU1725289においてNazarenkoによって記載された既知の平面多重反射飛行時間型質量分析装置の概略図。 WO001878においてVerentchikovとYavorによって記載された既知の平面多重反射飛行時間型質量分析装置の概略図。 本発明に係るイオン光学装置の横方向であるX軸方向における静電ポテンシャル分布φ(x)の例。 本発明に係るイオン光学装置の電極構成の例。 本発明に係るイオン光学装置の横方向であるX軸方向における静電ポテンシャル分布φ(x)の他の例。 図6の分布φ(x)に関するエネルギーの関数としての、X軸方向における振動の半減期の変化の図。 図6に示された分布φ(x)を有する本発明に係るイオン光学装置のXY(図A)、YZ(図B)、XZ(図C)平面におけるイオンの軌跡の図。 内部に搭載されたイオン源を有する電極構造。
飛行時間法(TOF method)では、同じ質量電荷比(m/e)のイオンパルスの持続時間(δt)が、検出器の表面に到達した時点で、なるべく短いことが求められる。これは、質量分析の分解能(Rm)が、飛行時間をTとしたときに、Rm=0.5T/δtで与えられるからである。飛行時間型質量分析装置で使用される検出器(例えばマイクロチャンネルプレート(microchannel plate: MCPやダイノード電子倍増管)では、イオンが到着して、幾つかの二次電子を生成する平面を有している。二次電子は次いで、電子倍増管によって倍増される。従って、記録システムは実際は、検出器の表面にイオンが到着した時点での電子のパルスを検出する。質量が類似する多くのイオンが僅かに異なる時間で到着し、マススペクトルにおいて平均化されたピークを形成することがある。(δt)を小さくするためには、検出器の表面に直交する方向においては確実にイオンパケットが可能な限り狭くなるようにすることが望ましいが、一方で、他の方向においてはそのパルスが検出器の幅と同程度にまで拡がってもよい。このことからすると、イオン源から排出されるイオンパルスがイオンの軌跡に沿う方向のうちの一つに関して確実に狭くなっている(すなわち、空間的−エネルギー的に収束している(space-energy focused))ことが望ましい。以後、この方向を「飛行方向」と称し、飛行と直交する方向のことを「横方向」と称する。以下の説明においてはデカルト座標系を用いるが、Z軸方向のことを「飛行方向」と称し、互いに直交するX軸方向とY軸方向を「横方向」と称する。
横方向において要求されるのは、ビームが検出器の幅よりも狭い状態を保持することである。イオンの初期速度には横方向の広がりがあるため、イオンは飛行方向に進むに従って横方向に拡がる傾向がある。そして、多くの既存の飛行時間型質量分析器では、ビームが検出器よりもかなり広くなり、分析の感度を損ねてしまうことがある。多重反射によってイオンの飛行時間を長くするための飛行時間型システムでは、ビームの横方向安定性を確保することが不可欠である。本発明によれば、これは、特別に設計された静電場を用いてビームを再収束させることにより達成される。本明細書において、ある方向(例えばY軸方向)におけるイオン運動の「安定性」は粒子の位置が、例えばymin<y<ymaxのような、ある限界内にとどまるための必要条件であると定義する。これが無限の時間において真であれば、安定性は「基本的」と考えられる。他方、もしこの条件が限られた時間のみにしかあてはまらなければ、安定性は「限定的」と考えられる。例えば、エネルギー保存則により、一次元のポテンシャル井戸中のイオンの振動は「基本的」安定性を示す。横方向の両方向(X軸、Y軸)において基本的安定性が望ましいものの、これは厳密な限定ではなく、「限定的」安定性も許容できる。当然ながら、振動の安定性は「エネルギーの等時性」と同じ意味ではない。後者の要求は、異なる初期エネルギーを有し、同一の箇所から同時に出発したイオンが他の(収束地点と呼ばれる)箇所にほぼ同時に到達することである。この特性について、飛行時間をイオンエネルギーの関数としてテーラー級数展開した次式を参照しながらさらに説明する。
T(K)=T0+Ak+1(K-K0)k+1+Ak+2(K-K0)k+2+... (1)
ここに、T0はエネルギーK0のイオンの飛行時間であり、複数の係数Akは定数である。式1からわかるように、最初の幾つかの項は0に等しい。すなわち、A1=A2=...=Ak=0である。この場合、システムはk次のオーダーまでエネルギー等時性を持つ、つまり、k次のオーダーまで飛行時間T0がエネルギーKに非依存となる。二次のポテンシャル分布を有するシステムでは、全ての係数Akがゼロとなる。そのようなシステムは「理想的な」空間的−エネルギー的収束を示すシステムと呼ばれる。言及する価値があることだが、システムは、イオン運動が安定性を欠いていたとしても、エネルギー等時となり得る。既知のリフレクトロン飛行時間型システムがこの一例である。
これまでに、飛行方向に関してイオンパルスの横方向安定性とイオンパルスのエネルギー収束との両方の要求を同時に満たすことは難しいことがわかっている。そして、この問題は通常、複雑な最適化ソフトウェアを用いて対処されてきた。このような最適化の「性能指数」は、横方向において互いに直交する(X軸、Y軸)方向におけるアクセプタンス(即ち、位相空間上の面積)と、許容できる分解能が得られる最大の(Z軸)飛行方向におけるエネルギー広がりΔK/Kとで表現される。典型的には、従来知られているシステムでは、アクセプタンスが横方向における両方向において約1mm*20mrad以下であって、エネルギーの広がりが数%以下であれば、数万の分解能が達成される。しかし、WO001878においてVerenchikovとYavorによって記載されているシステムでは、各横方向におけるアクセプタンスが10πmm*mrad程度で、且つ飛行方向におけるエネルギーの広がりが5%のときに、最大30000の分解能が達成されたことが報告されている。
本発明の発明者らは、飛行方向におけるエネルギー収束と横方向安定性という相反する要求を、場の構成を適切に選択することで二つの独立したサブシステムに分けることによって、多重反射飛行時間型質量分析器のような多重反射型イオン光学装置のアクセプタンスを著しく高めることができることに想到した。例えば、これは次式のように、二部から成る静電ポテンシャル分布によって定義される静電場を用いることによって達成される。
Φ(x,y,z)=ΦEF(x,y,z)+ΦLS(x,y,z) (2)
ここに、静電ポテンシャルΦ(x,y,z)はラプラス方程式を満たし、一方、関数ΦEF(x,y,z)とΦLS(x,y,z)は一般形である。本発明によれば、場ΦEFは(Z軸)飛行方向のエネルギー収束に関与し、場ΦLSは横方向の両(X軸、Y軸)方向におけるビームの安定性を確保する。
エネルギーが収束する条件をまず考えてみると、無限のエネルギー範囲について理想的なエネルギー収束は次の形態を有する「四重極」場を用いてZ軸方向で達成できる。
ΦEF(y,z)=Vz(z2-y2)/l2 (3)
ここに、Vzは静電ポテンシャルの大きさであり、lは特性距離である。
ポテンシャル分布はZ軸方向において二次依存性を有し、この方向における質量m、電荷eのイオンについての運動方程式は次のようになる。
m(d2z/dt2)+2e(Vz/l2)z=0 (4)
この方程式の解は次の永年周波数を有する正弦関数である。
Ωz=(2eVz/ml2)1/2 (5)
この正弦関数の振幅と位相はイオンの初期条件に依存している。便宜上、同一の箇所z0から出発し、異なる初期速度v0を持つ粒子について考える。これは即ち、次のようになる。
z(t)=z0cosΩt+(v0/Ω)sinΩt (6)
Tz=2π/Ωzの周期を一つ終える毎に、イオンは、初期速度とは関係無く、全く同一の箇所z0に戻る。従って、総飛行時間はイオンエネルギーから独立している。この、四重極場内で示される「理想エネルギー収束」特性は、飛行時間型質量分析装置の分野で古くから知られている。US4,625,112においてY.Yoshidaは、四重極場のこの特性を利用して一組の環状のダイヤフラムからTOF用のイオンミラーを設計する方法を記載している。残念なことに、式3によって規定される形態の四重極場においてイオンの横方向の運動は不安定であることも従来から知られている。このことは、y方向のイオン運動を調べることにより、式3から容易に理解できる。そういうわけで、Y.Yoshidaによって記載されたデザインにはほとんど実用性がなく、特に多重反射を用いた飛行時間型質量分析器には適していない。この例もまた、広いエネルギー範囲にわたる空間的−エネルギー的収束と横方向安定性という相反する要求を同時に満たすことが難しいことを示している。
SU1247973 A1は、横方向の一つにおいてビーム安定性を保持しつつ、Z軸方向に二次のポテンシャル分布を有する静電場を設計する方法を教示している。このような場はZ軸のまわりに軸対称性を有しており、次の形式の(極座標で表現される)ポテンシャル関数によって表される。
Φ(z,ρ)=Vz[z2/l2-0.5(ρ2/l2)+μ・ln(ρ/l)], ρ=(x2+y2)1/2 (7)
ここで、ΦEF=Vz[z2/l2]、ΦLS=Vz[-0.5(ρ2/l2)+μ・ln(ρ/l)]である。
無次元の定数μを適切に選択することによって、半径方向の運動が少なくともいくらかの(かなり広い)横方向の速度広がりに関して確実に安定させることができる。一方、式7のポテンシャル分布は方位角γに全く依存しないため、本システムのビームは方位角方向(azimuthal direction)に制御不能に広がる。この欠点が存在することにより、「オービトラップ(Orbitrap)」としてこの技術分野で知られるこの特徴的なデザインは、多重反射飛行時間型質量分析器に有効に応用することができない。
先に説明したように、式3によって規定される静電ポテンシャル分布ΦEF(z,y)は、(Z軸)飛行方向における、無限のエネルギー範囲にわたって理想的なエネルギー収束をもたらす。しかしながら、このポテンシャルにおいて横方向運動は不安定である。この問題を軽減することを目的として静電ポテンシャルΦLSは広いアクセプタンス内でビームの横方向安定性を確保するように定められる。そのために、ΦLSは二次元で平面的な静電ポテンシャル分布ΦLS(x,y)として設計される。その結果、(X-Y平面における)横方向のイオン運動は(Z軸)飛行方向におけるイオン運動と完全に切り離され、単独で考慮することができる。この場合、横方向の運動方程式は次のようになる。
m(d2x/dt2)+e(∂ΦLS/∂x)=0 (9a)
m(d2y/dt2)-2e(Vz/l2)y+e(∂ΦLS/∂y)=0 (9b)
さらに検討するために、ポテンシャル関数ΦLS(x,y)を“y”のべき級数展開で表すことがふさわしい。この理論的アプローチは、イオン運動は平面y=0近傍の狭い部分で生じるという事実により、本願で検討中のシステムにとって極めて現実的である。調和関数の場合、この展開は次のようになる(例として、P.W.Hawkes, E.Kasper, “Principles of Electron Optics”, Academic Press, London, vol.1, 1996, pp.90,91を参照のこと):
ΦLS=φ(x)-(y2/2)φ"(x)+(y4/24)φ(4)(x)-(y6/720)φ(6)(x)+… (10)。
次いで、式10は運動方程式(9)に代入される。X軸方向の運動に関する式9aにおいて、一次までの項は無視される。従って、結果として運動方程式は次のようになる。
m(d2x/dt2)+e(dφ(x)/dx)=0 (11)
式11は関数φ(x)によって規定されるポテンシャル井戸中のイオン運動を表す。ポテンシャル分布φ(x)は次の基準に従って選択される。
1.イオンがポテンシャル井戸内でX軸方向に安定した振動を受ける。
2.横方向であるX軸方向に沿った振動の期間がKxo近傍の特定のエネルギー範囲において粒子の運動エネルギーKxから実質的に独立している。
3.直交するY軸方向におけるイオンの振動が、好ましくは無限の時間の間または少なくともX軸方向におけるかなりの回数の振動の間、安定している。
関数φ(x)は、例えば図4に示す形態のポテンシャル関数φ(x)のように、常にこれらの要求を満たすように選択することができる。イオンは、ポテンシャル井戸内で一定エネルギーKxoでもって転回点x1及びx2の間の安定した周期的な振動を受ける。ポテンシャル関数φ(x)を適切に最適化することで、振動Txの周期は、エネルギーKxo近傍の幾らかの範囲に関して運動エネルギーKxから実質的に独立させられる。この場合、類似した質量を有しつつエネルギーは異なっているイオンは、横方向であるX軸方向において反射する都度、エネルギー収束される。このことは、エネルギーの広がりが十分に小さいという条件において、何度も反射してもX軸方向のビームの横方向サイズは有限のままであることを意味する。
Y軸方向の安定性に関して、yに関する二次のオーダーの項を考慮に入れた運動方程式は次のようになる。
m(d2y/dt2)-e[2(Vz/l2)+φ"(x)]y=0 (12)
ここで、ポテンシャル分布の二次導関数φ"はX軸方向に沿ったイオンの位置の関数である。エネルギーKxを有するイオンに関して、時間tにおけるxの変動は式11より次のように導くことができる。
Figure 2010531038
式13により、X軸上のイオンの位置を飛行時間の関数x=f(t)(ここでf(t±Tx)=f(t)である)として表示することができる。従って、式12は周期的ポテンシャルにおけるイオンの運動を表す。このような運動の理論は既に詳細に研究されている(異なる信号及び安定条件を有する安定線図の説明に関しては、例えば、M.Sudakov, D. J. Douglas, N.V. Konenkov, “Matrix Methods for the Calculation of Stability Diagrams in Quadrupole Mass Spectrometry”, JASMS, 2002, v.13, pp. 597-613を参照)。方程式のパラメータ空間には粒子の安定した運動に対応する広い領域があることが知られている。本発明においては、そのような安定運動の範囲が存在することのみが重要である。
本発明に係る一例では、次の解析関数の組み合わせによって定義されるXY平面における2次元の静電ポテンシャル分布ΦLS (x,y)を利用する。

Figure 2010531038
ここにおいて、
φ0(x,y,a,b,c)=2xys1+(x2-y2+c)s2
s1=-sin2ay/2(cos2ay+cosh2a(x-b))、 (15)
s2=1/2+sinh2a(x-b)/2(cos2ay+cosh2a(x-b))である。
(14)及び(15)の係数は下の表1及び2において与えられる。
Figure 2010531038
Figure 2010531038
本発明は、表1及び2において与えられる係数を用いた式14及び15の関数により定義されるシステムのみによって実現されるのではなく、他の変形も可能である。
注意すべきこととして、ここ及び以降の説明の大部分においては、無次元の単位が用いられる。エネルギーはeVzの単位で表され、距離はlの単位で表される。この理由の故に、式14及び15において、対応する定数が存在しない。飛行時間はτ=l(m/|eVz|)1/2の単位で表される。このような場の形状を実現するのに適した電極構造の例を図5に示す。
(Z=0における)本システムのX軸方向に沿った静電ポテンシャル分布を図6に示す。シミュレーションによれば、このポテンシャルのX軸方向に沿ったイオンの振動の半期は、図7に示すようなエネルギーに依存する。従って、このシステムは約Wx=7.8unitsのエネルギーにおいて一次収束特性(dT/dK=0)を有する。この場合に関して式12を調べれば、広い範囲の初期条件に関してY軸方向のイオン運動が安定することも理解できる。図8は本システム内のイオンパケットの軌跡を示す。一連のイオンパケットが、Wx+Wz=15.6unitsの全エネルギーでZ軸方向に関して平均45°の角度で入射される。このような入射の結果、ビームはX軸及びZ軸方向の両方において平均7.8unitsのエネルギーを有する。この値はX軸方向におけるイオン運動の等時地点に対応する。このイオンパケットは全体のエネルギーが、10%の相対的なエネルギーの広がりに相当する、1.6unitsで一様に分布している。入射角は44°〜46°の間(すなわち±1°の角度広がり)で一様に分布しており、Y軸方向においては、この広がりは−10°〜10°の範囲であった。図を描くために、イオンの軌道は50時間単位の間しか計算されていないが、これはX軸方向における約16回の完全な振動、Z軸方向における約11回の振動に相当する。図8からわかるように、イオンパケットは軌跡全体において比較的小さく保たれている。一つの実例では、イオンの全飛行運動エネルギーが312eVとなるようにポテンシャルVzは100Vに設定された。Z軸方向において±120mm、X軸方向において±140mmの軌跡が得られるようにスケーリングパラメータの長さはl=40mmに設定された。一価のイオンが、10%の相対的なエネルギー広がり、XZ平面における±1°の角度広がり、及びXY平面における±5°の角度広がりをもって入射された。X軸方向における20回の完全な反射(総飛行時間は780μs)の後、X軸に沿ったイオン雲の寸法は14mmに満たなかった。この寸法は典型的な検出器のサイズ(20mm)よりも小さい。そして、後述するように、システムに設けることができる出口スリットのサイズにも適合する。重要なことは、静電ポテンシャル分布ΦEFによって理想的なエネルギー収束が達成されているために、(Z軸)飛行方向における飛行時間の広がりが初期イオンパルスの時間広がりと同一になっていることである。1000Daのイオンに関して10nsより短い時間広がりのパルスは、衝突冷却を用いる必要すらなく、最近のイオン源によって容易に生成できる。従って、望ましいシミュレーションの質量分解能はR=0.5*780000ns/10ns=39000であると考える。
(Z軸)飛行方向に関してエネルギー広がりは無限であり得るものの、X軸方向に関して許容できるエネルギー広がりは限られており、本例に関しては10%であると推定される。Y方向における本システムのアクセプタンスは10mm*10°すなわち1745mm*mradであることがわかった。X軸方向ではアクセプタンスは10mm*2°すなわち350mm*mradであると推定される。これらの推定値は同等の分解能が達成される質量分析計として従来報告された値よりも数桁大きい。
既に説明したようにイオン光学装置の電極構成は図5に示す形状とすることができる。それは、ある空間を内包する一対の湾曲した導電性の電極であって、対応する直流電圧をその電極に印加すると、特定の特性を有する静電場がその空間内に生成される。物理法則によれば、静電場内のイオンの全力学的エネルギーは保存量である。このことは、もしイオンが電極の一つに設けられた孔を通して入射されたとすれば、それらイオンは最終的に同じ静電ポテンシャルに達する、言い換えれば、同じ電極に衝突することを暗に示している。この原理は外部のイオン源から電極構造内にイオンを入射する、また、電極の一つに設けられた孔を通じてイオンを電極構造から検出器に排出するのに利用することができる。または、イオンを電極構造に入射する、又は電極構造から排出する間に一つ又は複数の電極のスイッチを切ることによる手法はいつでも可能である。
イオンを電極構造に入射するための別の構成には、その構造自体の内部にイオン源Sを収納することも含む。そのイオン源は図9に示すように試料を保持する金属製の柱Pを含むことができる。イオンは試料をレーザパルスに曝すことによって生成され、静電抽出場を利用して飛行経路へと引き込まれる。この方法は特に、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)を用いるイオン源に適している。MALDI源によって生成されるイオンの初期速度分布は、質量とは関係無く約800m/sの平均速度と±400m/sの速度広がりとを持って試料の表面から切除される中性粒子の初期速度分布と類似していることが知られている。従って、重いイオンにとってこの速度は非常に高いエネルギー:Kz[eV]∝3.13・M[kDa](ここに、質量は一価のイオンに関して[kDa]で表される)およびかなりのエネルギー広がりに相当する。加えて、MALDIイオンは、試料表面に直交する方向において非常に広い角度広がり(最大±60°)を有する。一様な加速を行うことによって、角度広がりはかなり低減され、結果として提案されるシステムのアクセプタンスに適合する。例えば、1000Daの一価のイオンに関して、横方向エネルギーは3.13eVである。1200eVまで加速された後、この広がりは2°にまで減少する。この程度の広がりであれば上記のシステムにおけるY軸方向においては許容でき、X軸方向においては十分すぎるほどである。イオンの質量がより大きな場合には、より大きな飛行エネルギーに達するような加速が必要となる。この加速は、金属製の試料プレートと試料表面から少し離れた箇所に配置されたグリッドとの電位差によって行うことができる。イオンのFragmentationを避けるために抽出を遅らせる(Delayed Extraction)ことは、当業者なら当然知っているであろう。
提案されるシステムのアクセプタンスはX軸及びY軸の横方向において非対称である。この特性は、イオン雲がイオントラップ軸に沿って伸張される線形イオントラップ(linear ion traps: LIT)に基づくいくつかの先進的なイオン源に適している。そのような源においては、エミッタンスを減少させるために衝突冷却を利用することができる。LIT源は三次元イオントラップ源やMALDIと比較してずっと大きな電荷容量を有している。このことを念頭において、本発明の他の実施形態では、本イオン光学装置をイオントラップとして動作させる。すなわちイオントラップ内でのイオン運動に応じてマススペクトルを生成するイメージ電流検出を利用するイオントラップの形態を有する。
Z軸(飛行)方向における理想的なエネルギー収束の故に、m/zが類似するイオンパケットは、多数回の(実際、何百万回という)振動があったとしても、軌跡に沿って広がることがない。荷電粒子は近くの電極上に表面電荷を誘導することが知られている。イオントラップ内におけるイオン雲の振動により、この誘導電荷は飛行領域を囲む一対の電極に接続された回路内に交流電流を生成する。この電流は感度の高い検流計によって測定し、記録することができる。時間領域信号をフーリエ変換(Fourier transform: FT)することによって試料のマススペクトルが得られる。これは、二次のポテンシャルにおけるイオン振動の振動数は、m/zの平方根に反比例するという事実に基づく。従って、本発明に係るイオン光学装置はイメージ電流検出及びフーリエ変換処理を利用する静電イオントラップとして用いることが可能である。
本発明の他の実施形態においては、イオン光学装置はイオントラップ蓄積器の形態を有する。この形態においては、装置の静電場内におけるイオン運動は、好ましくは基本的安定性を示す。このことは実際上、選択された範囲の初期エネルギー及び入射角について、無限長の時間、イオン運動の角度は有限であって、ある領域内に限られることを意味する。この特性により、このイオン光学装置はイオントラップ蓄積器として使用することができる。例えば、もし、装置のアクセプタンス窓の範囲に完全に収まる、エネルギーの広がりがあるイオンビームが、運動の安定性を保証する初期条件で以て導入されたならば、イオンは装置の有限の領域内で安定した運動状態におかれ、そこからイオンの処理操作又は質量分析のために他の装置に向かって排出される。異なるエネルギーのイオンが異なる周期で振動するため、時間が経つと、イオン雲は安定した運動の領域を完全に占める。このことは本装置をイオン蓄積に使用する上で障害とはならない。下流に移送される間に、同技術分野の公知技術を用いて、イオン雲は冷却されて分離され得る。イオンが蓄積領域から失われる恐れがあるとすれば、残留ガスの中性粒子による散乱及び/又はイオンの空間電荷相互作用による損失のみだろう。散乱に関しては、蓄積を行う期間、残留ガスの圧力を十分に小さくしておくことで損失を最小にすることができる。イオンを数分以上の間閉じ込めておくことが本技術分野において知られている。空間電荷相互作用に関しては、もしこれが重要な要因となるならば、空間電荷相互作用が捕捉の妨げとならないように、蓄積器に導入されるイオンの総数を常に少なくすることができる。静電場におけるイオンの閉じ込めに関する実験データによれば、空間電荷相互作用はむしろ、質量が類似するイオンを集合させることによって、イオン蓄積器内におけるイオンの閉じ込め効果を高めていると考えられる。それ故に、空間電荷効果は提案される種類のイオントラップ蓄積器にとって常に欠点となるわけではない。
上記の好適な実施形態は単に例として挙げることを意図したものであり、限定を行うことを意図したものではない。請求の範囲内において他の実施形態は、本技術分野に通じた技術者には推測できるであろう。

Claims (14)

  1. 互いに独立した第一静電ポテンシャル分布ΦEF及び第二静電ポテンシャル分布ΦLSを重畳することにより定められる静電場を生成するように構成される静電場生成手段を備え、
    これによって、飛行方向のイオン運動が、該飛行方向に直交する横方向のイオン運動から分離されており、
    前記第一静電ポテンシャル分布ΦEFが、同一の質量電荷比を有するイオンを前記飛行方向に関してエネルギー収束させる効果を有し、
    前記第二静電ポテンシャル分布ΦLSが、イオンを前記横方向の一つにおいて安定させ、また、該横方向の一つにおける少なくとも有限回の振動の継続期間の間、別の前記横方向において安定させるとともに、同一の質量電荷比を有するイオンを所定のエネルギー範囲において前記横方向の一つに関してエネルギー収束させる効果を有する
    ことを特徴とする多重反射イオン光学装置。
  2. 前記第一静電ポテンシャル分布ΦEFが、同一の質量電荷比を有するイオンを飛行継続時間に関して理想的にエネルギー収束させる効果を有することを特徴とする請求項1に記載のイオン光学装置。
  3. 前記第二静電ポテンシャル分布ΦLSが次式で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン光学装置。
    ΦLS=φ(x)-y2φ"(x)+(y4/24)φ(4)(x)-(y6/720)φ(6)(x)+…
    ここに、x及びyはそれぞれ、互いに直交するX軸、Y軸方向である横方向に沿った距離を表し、φ(x)はX軸方向に沿った距離xの関数としての静電ポテンシャル分布を表し、φ"、 φ(4)(x)、φ(6)(x)はそれぞれ、距離xに関するφ(x)の二次、四次及び六次導関数である。
  4. 前記第二静電ポテンシャル分布ΦLSが、本書類中に記載される式14及び15によって規定される形式を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン光学装置。
  5. 多重反射飛行時間型質量分析器の構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイオン光学装置。
  6. イオンを供給するイオン源と、
    前記イオン源によって供給されるイオンを分析する、請求項5に記載の多重反射飛行時間型分析器と、
    前記多重反射飛行時間型質量分析器によってイオンが質量電荷比に応じて分離された後に、同一の質量電荷比を有し且つエネルギーが異なるイオンを、略同時に受ける検出器と、
    を含むことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  7. イオントラップの構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイオン光学装置。
  8. 前記イオントラップが、該イオントラップ内でのイオン運動に応じたマススペクトルを生成する効果を有するイメージ電流検出手段を含むことを特徴とする請求項7に記載のイオン光学装置。
  9. 前記イオントラップが、マススペクトルを生成するためにイオンを質量選択的に排出することを特徴とする請求項7に記載のイオン光学装置。
  10. 前記イオントラップがイオントラップ蓄積器であることを特徴とする請求項7に記載のイオン光学装置。
  11. 前記静電場生成手段の電極構造に搭載され、またその電極構造に囲まれたイオン源を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のイオン光学装置。
  12. 前記イオン源がMALDIイオン源であることを特徴とする請求項11に記載のイオン光学装置。
  13. 前記イオン源を、前記電極構造の電極の開口を通って導入されるレーザ光のパルスで照射する手段を含むことを特徴とする請求項11に記載のイオン光学装置。
  14. 添付の図面に関連して本書類中に実質的に記載された請求項1に記載のイオン光学装置。
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