JP2010529893A - 生理学的輸出液収集部位から医療用薬剤を除去するための方法およびデバイス - Google Patents

生理学的輸出液収集部位から医療用薬剤を除去するための方法およびデバイス Download PDF

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Abstract

例えば生理学的輸出液収集部位などの生理学的部位から薬剤を選択的に除去するための方法およびデバイスが提供される。本発明の局面は、液除去要素および液除去要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータを有する液除去(例えば、吸引)デバイスを含む。流れモジュレータは、交差液流路を液除去要素へ収束させるように設定される。本方法を行うためのシステムおよびキットも提供される。本発明は、様々な異なる生理学的部位からの治療的および診断的薬剤の両方の選択的な除去を含む、様々な異なる適用における使用を見出す。

Description

関連出願の相互参照
米国特許法§119(e)に準じて、本出願は、2007年6月13日に出願された米国特許仮出願第60/934,511号の出願日に対する優先権を主張し;その出願の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
導入
被験体への治療的または診断的薬剤の投与は、典型的には、局所的または全身的経路によって遂行される。多くのタイプの薬剤は、局所的送達方法が望ましい。例えば、対象となる医療用化合物は、それらが導入される領域内で望ましい診断的または治療的効果を有し得るが、それらが他所を循環し得る場合には、毒性またはその他の望ましくない効果も示す。ある場合においては、たとえその容量によって、最終的に全身濃度が安全閾値を超えるとしても、その他の体組織によって耐えられ得るより高い容量の化合物を局所領域に導入することが望ましい。
そのような化合物の一般的な例は、放射線不透過性色素である。そのような色素のヨウ素化型(iodinated form)は、冠動脈造影法、腎動脈造影法、神経動脈造影法(neurological arteriography)、および末梢動脈造影法などのカテーテルに基づく介入手順の間に日常的に使用される。
ヨウ素成分は、x線の高い吸収作用を有し、それ故に、上流動脈内に導入される場合に、管の放射線学的同定のための造影剤を提供する。しかしながら、そのような色素の使用は、特定の製剤に依存する、尿細管細胞への直接的な損傷、内皮損傷、気管支痙攣、炎症反応、凝固促進、抗凝固、血管拡張、および甲状腺機能亢進症を含む潜在的な毒性効果を有することが公知である。
その他の、望ましい効果のために局所的に導入され得るが、その直接的またはその他の効果が他の場所で望ましくないと考えられる物質は、血管作用薬剤、細胞毒性薬剤、遺伝子ベクター、アポトーシス薬剤、無酸素性薬剤(生理食塩水を含む)、光力学薬剤、塞栓促進粒子またはコイル、抗体、サイトカイン、免疫学的標的薬剤、およびホルモンを含む。
器官に血液を供給したり排出したりする血管系およびその他の導管に関する重要な解剖学的概念は、組織または器官および器官の領域が、限定された数の一次供給導管および限定された数の排出導管しか有さない、という原理である。標的組織の上流側へ導入される物質は、典型的には、分岐する細動脈および毛細血管の中に分散し、次いで、例えば生理学的輸出液収集部位(a physiological efferent fluid collection site)において、下流の一般的な細静脈および静脈の収集へ再収束すると考えられる。例えば、心臓の心筋は、右冠動脈、左冠動脈前下行枝、および左冠動脈回旋枝によって栄養供給される。これらの動脈の各々は、小心静脈および中心静脈、前室間静脈、ならびに左心室後静脈へ最終的に収束する毛細血管ネットワークに入る。これらの静脈は、心臓血管輸出液収集部位と見なされ得る冠静脈洞のすべての支流である。毛細血管ネットワークを通って移動する前述の冠動脈のいずれかへ導入される物質は、冠静脈洞に入り、それが全身的循環に戻る前に、それを収集する機会を提供すると考えられる。別の例において、脳は、高度吻合ネットワークに入る頸動脈および椎骨動脈によって栄養供給される。脳を通る血流は、実質的に、内頸静脈上に収束する洞のネットワークを介して全身的循環に流出する。さらに別の例において、各々の腎臓は、実質的に、腎動脈によって血液を供給され、腎静脈によって排出される。さらに別の例において、腫瘍または転移性リンパ節は、一次輸入(供給)導管のセットおよび一次輸出(排出)導管のセットを有し得る。さらに別の例において、肺は、肺動脈およびその分岐によって血液を供給され、肺静脈および左心房へのそれらの支流によって排出される。
例えば生理学的輸出液収集部位などの生理学的部位から薬剤を選択的に除去するための方法およびデバイスが提供される。本発明の局面は、液除去要素(fluid removal element)および液除去要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータを有する液除去(例えば、吸引)デバイスを含む。流れモジュレータは、交差液流路(intersecting fluid flow paths)を液除去要素へ収束させるように設定される。本方法を行うためのシステムおよびキットも提供される。本発明は、様々な異なる生理学的部位からの治療的および診断的薬剤の両方の選択的な除去を含む、様々な異なる適用における使用を見出す。
本発明の局面は、生存している被験体の生理学的輸出液収集部位から薬剤を除去するための方法を含む。本発明の方法は、生理学的輸出液収集部位の少なくとも近位の生存している被験体の標的部位に、吸引要素および交差液流路を該吸引要素へ収束させるように設定される該吸引要素の遠位端にある流れモジュレータを含む吸引デバイスを導入する段階;および次いで該生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するために被験体から薬剤を含む液を除去するために、薬剤が標的部位に存在することが少なくとも予測される場合に、吸引デバイスを駆動する段階を含む。流れモジュレータは、生理学的輸出液収集部位の二つ以上の支流の交点に位置付けられる。流れモジュレータは、二つ以上の縦要素の膨張性フレームを含み得る。そのような態様において、方法は、吸引デバイスを駆動する前に交点で該フレームを膨張させる段階を含み得る。
特定の態様において、流れモジュレータは、該膨張性フレームの膨張に際して非対称性液バリア(asymmetric fluid barrier)を生成するように設定され得る、二つ以上の縦要素間に位置付けられる不透過性膜をさらに含む。特定の態様において、吸引要素および流れモジュレータは、吸引要素が駆動されていない場合に、液が吸引要素を通って流れるように設定される。流れモジュレータは、二方向性液流または一方向性液流を可能にするように設定され得る、流れモジュレータの下流に位置付けられる流れアウトレットを含み得る。
特定の態様において、方法は、例えば流れモジュレータに連結され得る血行動態センサーを用いて、輸出液収集部位における液流を検出する段階をさらに含み得る。特定の態様において、方法は、例えば該吸引要素を介して該輸出液収集部位へ導入される検出要素を含む検出器を用いて輸出液収集部位における薬剤を検出する段階をさらに含み得、方法は、例えば流れモジュレータまたは検出カテーテルに機能的に連結される位置付けメカニズムを用いて輸出液収集部位に検出器を位置付ける段階をさらに含む。
特定の態様において、生理学的輸出液収集部位は、例えば冠静脈洞などの冠状心臓血管液収集部位のような、心臓血管液収集部位などの血管液収集部位であり、液は、血液である。被験体は、例えばヒトなどの哺乳動物であり得る。薬剤は、治療的薬剤または例えば造影剤などの診断的薬剤であり得る。
特定の態様において、方法は、薬剤枯渇液(an agent depleted fluid)を生成するために液から薬剤を体外で分離する段階、および次いで体に薬剤枯渇液を戻す段階をさらに含むが、その他の態様において、方法は、液を処分する段階をさらに含む。
本発明の局面は、(a)吸引要素;(b)例えば上で記載されるように、交差液流路を吸引要素へ収束させるように設定される、吸引要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータ;(c)該吸引要素に機能的に接続される吸引メカニズム;および(d)該吸引メカニズムの作動を制御するための作動制御器要素を含む、生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するためのシステムをさらに含む。
本発明の局面は、(a)吸引要素;および(b)例えば上で記載されるように、交差液流路を吸引管腔へ収束させるように設定される、吸引要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータを含む、生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するための吸引デバイスをさらに含む。
本発明の局面は、(a)(i)吸引要素;および(ii)例えば上で記載されるように、該吸引要素の遠位端に位置付けられ、かつ交差液流路を該吸引管腔へ収束させるように設定される流れモジュレータを含む、生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するための吸引デバイス;ならびに(b)例えば上で記載されるように、本発明の方法を実践するための取扱説明書を含む、生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するためのキットをさらに含む。
図1Aは、生理学的輸出液収集部位の例である冠静脈洞における流層の図面を提供する。図1Bおよび1Cは、液が本発明の特定の態様に従って除去され得る生理学的部位の図示を提供する。 図2Aは、本発明の態様による流れモジュレータによって方向を変えられる冠静脈洞における流層の図面を提供する。図2B〜2Eは、本発明の特定の態様による様々な流れモジュレータ形態の異なる図面を提供する。 本発明の態様によるデバイスを図示する。 図4A〜4Dは、使用の様々なフェーズの間の図3のデバイスとの液流相互作用を図示する。 図5A〜5Cは、本発明の様々な態様による液除去要素の様々な図面を提供する。 図6Aおよび6Bは、本発明の特定の態様において用いられ得る、別のタイプの流れモジュレータの図示を提供する。 図7Aおよび7Bは、本発明の特定の態様に存在し得る、異なるセンサー形態の様々な図面を提供する。 本発明の特定の態様において見出される様々な位置付けメカニズムの図面を提供する。 本発明の特定の態様において見出される様々な位置付けメカニズムの図面を提供する。 本発明の特定の態様において見出される様々な位置付けメカニズムの図面を提供する。 図11A〜11Bは、以下の実施例セクションにおいて記載される実験形態の異なる図示を提供する。
詳細な説明
例えば生理学的輸出液収集部位などの生理学的部位から薬剤を選択的に除去するための方法およびデバイスが提供される。本発明の局面は、液除去要素および液除去要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータを有する液除去(例えば、吸引)デバイスを含む。流れモジュレータは、交差液流路を液除去要素へ収束させるように設定される。本方法を行うためのシステムおよびキットも提供される。本発明は、様々な異なる生理学的部位からの治療的および診断的薬剤の両方の選択的な除去を含む、様々な異なる適用における使用を見出す。
本発明がさらに記載される前に、本発明が、変化し得るものとして、記載される特別な態様に限定されないことが理解される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると考えられることから、本明細書において使用される専門用語は、特別な態様のみを記載する目的のためであり、限定的であることを意図していないことも理解される。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限、ならびにその表示範囲における任意のその他の表示値または介在値の間で、別に文脈が明確に指示しない限り、下限の単位の10分の1まで、各々の介在値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、より小さな範囲内に別個に含まれ得、また表示範囲において任意の具体的に排除された限界に従って、本発明に包含される。表示範囲が限界の一つまたは両方を含む場合、それらの含まれた限界のいずれかまたは両方を排除する範囲も、本発明に含まれる。
特定の範囲は、「約」という用語が前に置かれる数値により、本明細書において提示される。「約」という用語は、それが前に置かれる正確な数に対する、およびその用語が前に置かれる数に近いかまたはほぼその数である数に対する正確なサポート(literal support)を提供するために、本明細書において使用される。数が具体的に列挙される数に近いかまたはほぼその数であるかを決定する際に、近いまたは近似の非列挙数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙される数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
本明細書において列挙される方法は、論理的に可能である列挙される事象の任意の順ならびに事象の列挙される順で実行され得る。
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されているのと同様または同等の任意の方法および材料が本発明の実践または試験において使用されてもよいが、好ましい方法および材料が、これから記載される。
本明細書において述べられるすべての刊行物は、刊行物が引用されるものに関連する方法および/または材料を開示し記載するために、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、別に文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。特許請求の範囲は、いずれの任意の要素も排除するよう草案を作成され得ることがさらに留意される。そのように、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して、「単に」、「のみ」、および同様のものなどの排他的な専門用語の使用、または「消極的な」限定の使用に対する根拠となることを意図している。
本明細書において議論される刊行物は、単に本出願の出願日の前のそれらの開示に対して提供される。本明細書におけるいかなるものも、先行発明が原因で本発明がそのような刊行物に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の公開日が、実際の刊行日と異なる可能性があり、別個に確認される必要があり得る。
方法およびデバイス
上で要約されるように、本発明の局面は、生存している被験体の生理学的輸出液収集部位などの生理学的部位から薬剤を除去するための方法を含む。生存している被験体の生理学的輸出液収集部位は、生存している存在物における部位を意味し、その部位は、天然に存在し得るかまたは人工的に(外科的技術によってなど)作製され得、少なくとも二つの異なる源またはインプットからの液が、単一の位置へと組み合わさるか、または流れる。生理学的輸出液収集部位の例は、図1Aにおいて図示されるように、冠静脈洞であり、以下でより詳細に記載される。
特定の態様において、生理的部位は、生理的輸出液収集部位ではない。例えば、薬剤注入および収集部位が、第一の管およびその管の直接的な伸長に対して解剖学的構造上同じ管に対してあるように、前記部位は、薬剤が部位の上流に投与され、次いで薬剤導入部位の下流で除去される管の部位であってもよい。液収集の生理的部位が輸出液収集部位ではない態様の例は、図1Bおよび1Cにおいて示される。図1Bにおいて、管1は、側枝2および側枝3へ分岐する。薬剤は、分岐の上流、例えばポイント4で注入され、デバイス5および6によって各々の側枝から分岐に続いて除去され得る。図1Cは、管1が分岐していないバリエーションを示す。薬剤は、位置4で導入され、ポジション7で検出され、ポジション8で除去される。
被験体は、概して動物であり、特定の態様において、動物は、「哺乳動物」または「哺乳類」である。哺乳動物および哺乳類という用語は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱内である生物体を記載するために幅広く使用される。特定の態様において、被験体(すなわち、患者)は、ヒトである。特定の態様において、生理学的輸出液収集部位は、血管輸出液収集部位であり、少なくとも二つの異なる管からの液が、単一の管へと合流する。特定の態様において、血管輸出液収集部位は、心臓血管液収集部位であり、少なくとも二つの異なる静脈からの液が、単一の静脈構造体へと合流する。対象となる具体的な態様において、心臓血管輸出液収集部位は、冠静脈洞である。さらにその他の態様において、上で示されるように、輸出液収集部位は、例えば二つ以上の管を外科的に接合することによって作製される天然に存在しない液収集部位などの、人工的に、例えば外科的に作製された液収集部位であり得る。
本方法の態様を実践する際に、例えば吸引デバイスなどの液除去デバイスが、標的部位へ導入される(すなわち、位置付けられる)。標的部位は、生理学的部位の少なくとも近位であり、輸出液収集部位であり得、かつ図示を簡単にするために輸出液収集部位としてこれからさらに記載される。「少なくとも近位」は、標的部位が、以下でより詳細に記載されるように、標的部位での吸引要素の配置が、吸引要素の作動に際して収集部位からの薬剤の所望の除去を提供する限り、収集部位の上流もしくは下流、または収集部位と同じであることを意味する。特定の態様において、標的液除去部位は、例えば輸出液収集部位から15 mm以下の距離などの、輸出液収集部位から40 mm以下の距離である。
例えば吸引デバイスなどの液除去の局面は、例えば吸引要素などの液除去要素および吸引要素の遠位端に位置付けられる流れモジュレータを含む。説明を簡単にするために、液除去要素は、本明細書において主に吸引要素と呼ばれる。流れモジュレータは、交差液流路を吸引要素へ収束させるように設定される。交差流路は、平行ではない流路を意味し、非平行流路は、正しい角度で互いに交差する場合もあり、そうでない場合もある。特定の態様において、交差流路は、輸出液収集部位への二つ以上の異なる支流管の産物である。冠静脈洞の二つの異なる支流によって生成されるような交差流液流路の例は、図1において提供される。図1において見られるように、冠静脈洞12は、それぞれ二つの交差流路13および15を提供する二つの支流14および16を有する。交差流路は、17によって示されるように冠静脈洞において交差する。図1において見られるように、交差流路は、互いに交差し、それらが冠静脈洞を出る時に発散流路を引き起こす。
図1において示される流れモジュレータの非存在下で観測される発散軌道とは対照的に、流れモジュレータは、交差流路を収束させるように設定されるので、交差流路は、共通領域に集められる、または集中させられる。
図2Aは、冠静脈洞において観測される交差流路に対する流れモジュレータの効果の図面を提供する。図2Aにおいて、領域17での流路13および15の交点のポイントに続いて、交差流路は、モジュレータ18によって集中させられ、領域19において収束する。
本発明の態様において用いられる流れモジュレータは、それらが流れモジュレータが機能的に連結される吸引要素の遠位端などの定義される領域へ交差流路を収束させる(すなわち、集中させる)ように稼働する限り、任意の便利な形態を有し得る。特定の態様において、吸引要素の遠位端は、それが流れモジュレータの境界空間と直接的に液体連絡しないように、流れモジュレータの端に連結される。例えば、図2Bを参照されたい。図2Bにおいて、吸引カテーテルは、流れモジュレータ26の端24からある程度の距離に位置付けられる開口22を有する。取り付け要素25は、流れモジュレータ26を吸引カテーテル20に対する所定のポジションに保持し、開口27は、陰圧が吸引カテーテル20に存在しない場合に、流れモジュレータ26からの液流を提供する。図2Bにおいて示される態様において、吸引カテーテルの遠位端22は、吸引カテーテルが流れモジュレータの管腔と直接的に液体連絡しないような様式で流れモジュレータの近位端24に連結される。特定の態様において、吸引要素の遠位端は、流れモジュレータ26の端に連結されないが、代わりに、例えば図2Cにおいて示されるように、流れモジュレータによって定義されるエリア、すなわち管腔へ、途中まで伸長する。これらの異なる形態は、図2Dおよび2Eにおいて示されるような異なる流れ形態を提供し得、与えられた適用に対して特別な流れ形態が望ましい場合がある。
標的部位での吸引要素および流れモジュレータの位置付けに続いて、吸引デバイスは、除去されるべき薬剤が標的部位に存在することが少なくとも予測される場合に、駆動される。駆動は、被験体から標的薬剤を含む液を除去するのに効果的な様式で生じる。態様は、薬剤が、輸出液収集部位から選択的に除去されるという点で特徴付けられる。吸引デバイスの流れモジュレータは、それが所望のように交差流路を収束させる役目を果たす限り、任意の便利な位置に位置付けられ得る。特定の態様において、流れモジュレータは、例えば主(または軸)および側(または半径)流路が交差する生理学的輸出液収集部位の二つ以上の支流の交点に位置付けられる。
上で概説されるように、本発明の局面は、輸出液収集部位からの薬剤の選択的な除去を含む。「選択的に除去される」は、本方法が、薬剤を含むことが少なくとも予測される液を選択的にまたは優先的に除去する様式で、標的部位から液を除去することを意味し、除去される液は、少なくともそこに存在する標的薬剤を除去するために処理しなければ、体に戻されない。(特定の態様において、除去される液は、方法が除去される液を処分する段階を含むように、単純に処分されるが、その他の態様において、液は、以下でより詳細に概説されるように、処理(例えば、濾過)され、次いで被験体に戻される。)。以下に、より詳細に記載されるように、用いられる特別なプロトコールおよびデバイス次第で、例えば、液が液収集部位で収集されるが、その液が薬剤を含むことが少なくとも予測されない場合に、被験体に即座に分路が作られるといった態様において生じるように、液収集部位で継続的に収集され得るが、それが薬剤を含むことが少なくとも予測されない限り、液は体から除去されない。「少なくとも予測される」というのは、部位から除去される液の大半または大部分が、例えば薬剤の存在が推察される液などの薬剤を含むことが予想される液であるか、または例えば薬剤の存在が検出される液などの薬剤を含むことが公知である液であることを意味する。実践される本発明の特別な態様に依存して、標的液収集部位および被験体から液を選択的に除去する際に、液は、薬剤が部位にあることが少なくとも予測されるよりも前に始まる期間、部位および被験体から除去され得、薬剤が部位にあることが少なくとも予測される後の期間まで延長し得る。そのような態様において、薬剤が部位にあることが少なくとも予測される前および/または後に液が収集される間の時間は、典型的には液が除去される間の全期間の10〜15%以下を含む25%以下といった50%以下であり、液が除去される間の全期間の一部分または部分である。
特定の態様において、本方法は、標的および輸出液収集部位からすべての液を除去するわけではなく、対象となる標的薬剤を含むことが少なくとも予測される液だけを除去する。言い換えると、本方法を実践する際に、所定の期間にわたって存在する輸出液収集部位からのすべての液が除去されるわけではなく、除去されるべき対象となる標的薬剤を含むことが少なくとも予測される液のみが除去される。別の言い方をすれば、標的薬剤を含む、および含まない液が輸出液収集部位および/または標的液収集部位を通って流れる所定の期間にわたって、薬剤を含むことが少なくとも予測される、例えば予想されるかまたは公知である液のみが、部位および被験体から除去されるが、標的薬剤を含む可能性が低い液は、部位および被験体から優先的に除去されない。
本方法の特定の態様の別の局面は、特定の態様において、本方法の実践の前に投与される薬剤のすべてが、被験体から除去されるわけではないということである。言い換えると、投与された薬剤の一部のみが、本方法によって宿主または患者から除去される。一部というのは、投与された薬剤の少なくとも約20%、通常は少なくとも約50%、およびより通常は少なくとも約70%が、本方法によって除去されることを意味し、特定の態様において、除去される部分は、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上である。しかしながら、薬剤のすべてが本方法の態様の実践の間に収集されるわけではないので、特定の態様において、少なくとも約5%または少なくとも約10%などの、最初に投与された薬剤の少なくとも1%が、被験体または患者に残る。
薬剤は、上で記載されるように、実質的に標的薬剤が標的部位に存在することが少なくとも予測される場合にのみ、標的部位および被験体から液を除去する、例えば吸引することによって、本方法に従って、輸出液収集部位であってもよい、またはそうではなくてもよい標的部位から選択的に除去される。そのように、薬剤が標的部位に存在することが少なくとも予測される場合、液は、部位および被験体から除去される。逆に、薬剤が部位に存在することが予測されない特定の態様において、液は、少なくとも被験体から除去されず、特定の態様において、部位から除去されない。従って、特定の態様において、上で記載されるように、液収集部位における薬剤の検出または予想に基づいて、液は、部位および被験体から除去または吸引されるが、標的薬剤が部位に存在することが検出または予想されない場合、薬剤が標的部位にあることが少なくとも予測される時点の前および/または後の短い時間の期間についての例外はあるが、液は部位から除去されない。
特定の態様において、液は、例えば、時間の絶対プリセット期間、例えば心拍動などの生理学的測定基準によって定義されるような時間の期間などの、被験体への薬剤の投与に続く定義される時間の期間、以下で記載されるデバイスなどの例えば吸引デバイスなどの液除去要素を作動させることによって選択的に除去される。
特定の態様において、方法は、手順関連パラメータが適当なセンサー(すなわち、検出器)要素を使用して検出される検出段階を含む。様々な異なる手順関連パラメータが、所望のように検出され得る。そのようなパラメータは、薬剤そのもの(直接的におよび/または間接的に検出され得る)、例えば血行動態パラメータなどの流れ動態、解剖学的パラメータなどを含むが、それらに限定されない。インピーダンスセンサー、超音波センサー、ドップラーセンサー、光学センサーなどを含むがそれらに限定されない様々なセンサーが用いられ得る。
特定の態様において、方法は、血行動態パラメータなどの一つまたは複数の液流パラメータを検出する段階を含む。例えば、液流は、与えられたプロトコールの間に輸出液収集部位の様々な位置で査定され得る。冠静脈洞に関して、液流は、(例えば、吸引の駆動能率を提供するために)吸引要素への流れモジュレータの流れアウトレットで、および/または(例えば、右心房からの逆流を査定するために)冠静脈洞口(OS)で査定され得る。様々な異なるタイプの流れ動態センサーが、所望のように用いられ得、そのようなセンサーは、例えばデバイス挿入の間に支流の流れ方向またはオリフィスの査定を提供する、偏位センサー、熱センサー、酸素含有量のセンサーなどを含む。
特定の態様において、方法は、例えば標的部位でのデバイスの適切な配置を援助するために解剖学的構造体または機構を検出する段階を含む。例えば、対象となる支流(例えば、中心静脈、左心室の後静脈、左心室の側静脈、およびその他の血管支流)の分岐ポイントの査定に対する検出器が(例えば、標的部位でのデバイスの軸位置付けを補助するために)用いられ得る。そのような検出器の例は、(例えば、米国特許出願公開第2006-0173365-A1号において記載されるような)屈曲検出器を含み、材料の曲げが、いつ構造体が対象となる特定の解剖学的機構を通過するのかを決定するために使用され得るシグナル発生を引き起こす。この目的のために用いられ得る検出器の別のタイプは、EKG検出器であり、管におけるカテーテルの位置を決定し、かつ所望の位置での配置を補助するために、冠静脈洞への入口などの解剖学的転移点と関連する個別EKGシグニチャーを使用する。
望ましい場合、吸引の間に例えば吸引速度などのデバイスのオペレーティングパラメータを調節するために用いられ得るデータを提供するために、付加的な検出器が用いられてもよい。例えば、標的部位における流れは、EKG周期の間の様々な時間ポイントで変動し得るので、吸引速度を標的部位の内側の瞬間的な流れに適応させるための参照時間ポイントを獲得するために、EKG活動が検出され得る。加えて、例えば、排気速度を調節するために使用され得るデータを提供するために、例えば、真空能率の査定のための、またはデバイス挿入の間のCS-圧シグニチャーを検出するための圧検出器が用いられ得る。
特定の態様において、方法は、部位における標的薬剤の存在を検出し、次いで部位における標的薬剤の存在の検出に応じて、部位から液、およびそこに存在する薬剤を除去する段階を含む。以下でより詳細に概説されるように、薬剤の存在は直接的または間接的に検出され得る。典型的には、薬剤が輸出液収集部位においてもはや検出されない場合、方法は、部位から液を除去することを停止する。したがって、液は、標的薬剤が輸出液収集部位に存在する期間と実質的に重なる期間にわたって、輸出液収集部位および被験体から除去されるのみである。
本方法のこれらの態様を実践する際に、薬剤は、多くの異なるプロトコールを使用して、液収集部位において検出され得る。特定の態様において、薬剤は、当業者であるオペレーターによって視覚的に検出され、次いで、例えば以下に記載されるプロトコールに従って、オペレーターが液収集部位に存在する薬剤を可視化することに応じて液を除去する。さらにその他の態様において、液除去デバイスに機能的に接続される薬剤検出デバイスが用いられ、薬剤が液収集部位に存在するという検出器からのシグナルが、例えば吸引ユニットなどの液除去デバイスを自動的に作動させる。そのような態様において用いられ得るデバイスの代表的な態様は、以下により詳細に記載される。
特定の態様において、システムは、例えば対象となる薬剤(またはその代用物)を検出するために、検出器(すなわち、センサー)構成要素を含む。対象となる薬剤は、多くの異なるアプローチを使用して検出され得る。特定の態様において、薬剤そのものの特性が検出される。例えば結合事象センサーを使用して、薬剤の特定の結合が用いられ得る;例えば反射率、透過率、エバネッセンスなどの薬剤を検出するための光学/測光アプローチが用いられ得る;例えば粘度などの、薬剤によって引き起こされる物理的変化が用いられ得る;例えば伝導率などの、薬剤によって引き起こされる電気的変化が用いられ得る;例えば放射線吸収(radiosorbance)などの放射性アプローチが用いられ得る;薬剤によって引き起こされる蛍光変化が用いられ得る;例えば超音波、エコー輝度、散乱などの、薬剤によって引き起こされる音響変化が用いられ得る、など。
特定の態様において、薬剤の存在によって引き起こされる液における変化が、薬剤の存在を検出するために用いられる。所定の液における対象となる変化は、以下を含むが、それらに限定されない:容積あたりの血液細胞の数における変化;光学特性における変化;化学特性における変化;物理特性(密度、ヘマトクリット値、粘度)における変化;血行動態特性(速さ)における変化;血液の全体的なイメージング特性(超音波、放射能、放射線吸収、蛍光など)における変化。
薬剤の検出を補助するために、特定の態様において、薬剤は、検出可能な標識で標識されているもの、例えば患者へのその導入の前に検出可能な標識で標識されている薬剤であると考えられる。薬剤は検出可能な標識で直接的に標識され得るか、または薬剤は、標識の検出により標識に近接していることが推測または推察される薬剤の存在も示されるという点で薬剤が間接的に検出可能であるように検出可能な標識に結合し得る。標識の性質は様々であり得、放射性標識、蛍光標識、発色標識(例えば、光学的可視スペクトルにおいて検出可能な顔料を有する)などであり得る。
特定の態様において、標的部位および/または輸出液収集部位(上に記載されるように、同じ位置であっても、またはそうでなくてもよい)および/またはその支流のサブセットを含むその支流の圧は、宿主からの薬剤の望ましい収集を達成するために、調節、例えば軽減され得る。圧が調節され得る様式は、用いられる特別なデバイスおよびそれが実施される様式に依存して変化し得、標的/輸出液収集部位の圧調節が可能な代表的なデバイスおよびプロトコールは、以下により詳細に記載される。この様式で圧を調節することによって、輸出液収集部位の支流の崩壊を引き起こすことなく、所望の薬剤を除去する効能を改善するのに十分なほど収集部位内の圧を軽減し、方法のより良い有利な結末を引き起こすことができる。
特定の態様において、受動的シャント要素であっても能動的シャント要素であっても、シャント要素を含むデバイスは、所望のように、標的部位および/または輸出液収集部位の圧を調節する様式で用いられる。あるいはおよび/またはそれに加えて、液収集部位内で圧センサーを使用することができる。そのようなセンサーからのアウトプットは、代替流路を有する支流から、そのような支流の崩壊を引き起こすことなく、その領域へのより高流量の可能性を増やすために圧が十分軽減されるように、収集部位における圧の維持を最適化するために使用され得る。
特定の態様において、用いられるデバイスの吸引管腔の伸長部分は、吸引の間のそれらの崩壊を防ぎ、かつ液が吸引される容積を拡大するために、一つまたは複数の支流へ選択的に伸長される。あるいは、支流を構造的に支えるために管腔を使用するよりも、一時的または恒久的なステントが、吸引の前にそれらの支流に導入され得ると考えられる。
特定の態様において、所望の薬剤の検出と吸引メカニズムの駆動との間の遅延時間を補填する特定のパターンの吸引速度が用いられる。例えば、特定の態様において、薬剤が液収集部位に入る時と吸引メカニズムが部位から液を吸引し始める時との間の時間において、小さいが有限の遅延があると考えられる。この時間遅延の間に、薬剤を含む液のいくらかは、吸引管腔の遠位部分で吸引が普通起こる領域をすでに通過しており、したがって、薬剤を回収する効能を潜在的に低下させる可能性がある。しかしながら、収集部位内の流れの正常な生理学的速度に酷似している速度と比較して、例えば、より高い吸引速度が、5倍または10倍高いなどの2倍高い場合など、吸引が起こる期間の早期部分に吸引のより高い速度を有することによって、吸引の領域をすでに通過した液が、方向を変えて吸引ポートに戻ることを引き起こすことができる。より高い速度の吸引のこの初期期間が終わると、次いで、吸引速度は、所望のように、収集部位内の流れの正常な生理学的速度をより密接に近似するより低い速度で、生じ得ると考えられる。吸引速度を変化させることは、支流からの流入が周期パターンに従う部位で必要とされ得る。典型的な例は、中心静脈から冠静脈洞への流入であり、収縮期の間にピークが登録され、拡張期の間にローが登録される。この目的のために、吸引のEKGトリガリングが用いられ得る。
いくつかの態様において、吸引パラメータおよび時間期間を決定するために、複数の種類の検出器が用いられる。例えば、最初の立ち上がりの薬剤がうまく吸引されることを確実にするために、吸引メカニズムの駆動は、薬剤の注入の開始後にEKG上のQRS群の保存的な事前に選択された数を数えるカウンターによって駆動され得るが、吸引メカニズムを動作停止するためのトリガーは、吸引される液内にもはやそれ以上薬剤がない時を認識し得る光学センサーから得られ得る。あるいは、吸引パラメータを決定するために、複数の検出器からのインプットが、互いと直接組み合わせて使用され得る。例えば、光ファイバーに基づくセンサーの領域における心臓運動および/またはセンサーの領域における液の流れの速度におけるバリエーションのために、生成されるシグナルは、検出されるべき薬剤が存在するかしないかに関わらず、心臓周期を反映するパターンで変化し得、したがって、ノイズの多いシグナルを生成し得る。そのような場合、センサーの忠実度は、光学検出器によって生成されるシグナルをフィルターにかけるためにEKGシグナルからのインプットを使用するフィルタリングアルゴリズムを使用することによって増強され得る。心臓周期による光学検出器のアウトプットへの変化を補正することによって、検出器の領域における除去されるべき薬剤の濃度をより正確に特徴付けることが、より簡単であり得る。以下で述べられる検出器のいずれかは、検出プロセスおよび/または吸引制御器の効能をさらに最適化するために互いと組み合わせて適当に使用され得る。特定の態様において、薬剤注入システムからのフィードバックが、最終的に吸引の始期をもたらすシグナルプロセシングアルゴリズムへ組み入れられ得る。
本方法の実践は、上に記載されるように、液収集部位および被験体(本明細書では、患者または宿主としても言及される)からの薬剤の選択的除去を引き起こし、除去される薬剤の量は、特定の態様において、被験体に存在する薬剤の実質的な部分である(しかし特定の態様において、薬剤のすべてではない)。
特定の態様において、被験体または患者から除去される液は、例えば所定の手順において被験体から除去される例えば血液などの液の極限の、または最終の容積を最小にすることが望ましい場合、例えば薬剤を除去するかまたは中和するために、体外で処置され得、次いで、被験体に再導入され得る。例えば、被験体から除去される液が血液である場合、除去される血液は、血液から薬剤を除去するための血液濾過デバイスで処理され得、処理された血液または少なくともその構成要素(赤血球など)は、患者に戻され得る。例えば血液などの液の処理デバイスの例は、以下を含むが、それらに限定されない:Cell Saver(登録商標)デバイス(Haemoneticsから入手できる);autoLog(Medtronicから入手できる);および同様のもの。
そのように、本方法は、採取された液を体へ再導入するために再循環システムへ移す段階を含み得る(米国特許第5,925,016号において記載され、その開示は、参照により本明細書に組み入れられる)。再循環システムは、実質的に望ましい構成要素から実質的に望ましくない構成要素を分離するためのメカニズムを組み入れ得る。そのようなシステムは、フィルター、遠心分離器、フローサイトメトリー、除去療法、またはその他の同様の装置を組み入れ得る。吸引メカニズムは、吸引される液が定量的にまたは定性的に特徴付けられ得る液特性解析要素を組み入れ得る。
従って、特定の態様において、被験体は、血液損失を最小に保つことが望ましいものであり得、例えば、患者は、冠動脈疾患、慢性貧血などを患い得る。体外処理およびその後の処置液の再輸液は、自己輸血法として望ましい構成要素の再導入を可能にする。遠心分離メカニズム、フィルターに基づくシステム、透析膜、および細胞洗浄メカニズムは、この目的のために用いられ得るいくつかの機能的な構成要素の例である。
方法は、任意の便利なシステム/デバイスを使用して実行され得、特定の態様において、カテーテルに基づくシステム/デバイスが対象となる。本発明を実践する際の使用のための吸引デバイスおよびそのシステムの態様は、以下のセクションにおいてより詳細に概説される。
上で要約されるように、本発明の方法において用いられる吸引デバイスは、近位および遠位端を有する吸引要素、ならびに吸引要素の遠位端に存在する流れモジュレータを含む。
吸引要素に関して、この要素は、一つまたは複数の吸引管腔を含み得、吸引管腔は、管腔の遠位端が導入さる媒質の収集のための標的部位に位置付けられ得るように、例えば静脈血管系などの体導管を介して、例えば輸出液収集部位またはその近位の部位などの標的収集部位へ導入されるような様式で構築または設定される。例えば冠静脈洞から化合物を含んだ液を回収する場合におけるように、標的輸出液収集部位が心臓血管輸出液収集部位である特定の態様において、経皮送達のために、ガイドワイヤまたは同様の要素を越えてなど、冠静脈洞に進められる腕部、鎖骨下、頸部、または大腿部アクセス部位を介する導入に適当な長さを有するカテーテルがあり得る。これらの態様において、吸引管腔は、例えば静脈経路などの血管を介して輸出液収集部位へ導入されるのに十分な寸法を有するカテーテルデバイスであり、そのような寸法は公知であり、当業者によって容易に決定される。
特定の態様において、吸引管腔は、その長さに沿った複数の直径を有する。例えば、収集部位により簡単に入るかまたはアプローチするために、吸引カテーテルの遠位部分は、遠位部分が収集部位の生体構造の幾何学上の制約内に収まるような第一直径である。吸引管腔の全長に沿った流れに対する抵抗を軽減するために、吸引管腔は、吸引管腔の一つまたは複数の近位区分に対して第二のより大きな直径を有する。収集部位に入るすべての液をうまく吸引するために、高い程度の流れが必要とされ得るいくつかの場合、そのような形態は、半径の4乗に比例し、したがって管腔直径に対して非常に敏感である管腔の全抵抗を軽減するのを助ける。
特定の態様において、管腔の内表面は、例えば要素の長さに沿って吸引を促進するような形状にされ得る。例えば、内表面は、管腔の内表面上に例えば螺旋リッジ(spiral ridge)などの螺旋形態を有し得る。
吸引管腔は、特定の態様において、非閉塞性であるように具体的に構築される。そのように、これらの態様の吸引管腔は、例えばバルーンまたは管もしくは導管を閉塞するように設計されるその他の要素などの閉塞性要素を含まない。そのように、これらの特別な態様の本デバイスは、閉塞性要素を含まないデバイスである。
吸引要素の遠位端に位置付けられるのは、流れモジュレータである。流れモジュレータの例は、図2Aにおいて描かれる。図2Aにおいて、流れモジュレータは、展開される場合に、それが吸引要素の近位端でフレア端を生成するように設定される。図2Aの構造体において示されないのは、流れアウトレットを作り上げ、かつ吸引が生じていない場合に液流に対する出口を提供するフローシャント要素である。
対象となる流れモジュレータの別の例は、二つ以上の縦要素の膨張性フレームを含むものである。図3は、そのような流れモジュレータの態様の図面を提供する。図3において、(吸引カテーテルの形式での)吸引要素32およびその遠位端に膨張性フレーム36を有する流れモジュレータを含む吸引デバイスが、冠静脈洞に位置付けられる。流れモジュレータが吸引要素の遠位端に接合される領域は、本明細書において「流れアウトレット」40と呼ばれる。膨張性フレームは、二つ以上の縦要素33を含み、図3において示される態様は、6つの縦要素を有する。縦要素は、ニチノール、ステンレススチール、コバルトクロミウム合金、および同様のものなどの材料から加工され得る弾力性モノフィラメントを含む任意の便利な構造体であり得る。
全体的なフレーム形状は、任意の便利な形態を有し得るが、特定の態様において、フレーム形状は、円筒状または実質的に円筒状である。対象となるのは、それらの近位端にテーパー(すなわち、漏斗状)形状を有するフレーム形状であり、その形状は、例えば、静脈テーパリングなどの好ましくない解剖学的テーパリングの逆転などの、特定の利点を提供し得る。また、検出器に対するセンタリングメカニズムがそのような形態とともに用いられる場合、この形態は、最適な検出が達成され得るように、センタリングメカニズムが検出器を流れモジュレータにおける所望の位置に位置付けることを確実にし得る。
図3の流れモジュレータの縦要素間に位置付けられるのは、不透過性膜34である。不透過性膜は、図3において示されるような縦要素のすべてを含む二つ以上の縦要素間に位置付けられる。不透過性膜34は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、および特定の程度の弾性を有するその他のポリマーに基づく材料、および同様のものを含むがそれらに限定されない任意の便利な材料から加工され得る。膜は、様々な形態を定義し得るが、図3において示されるものなどの特定の態様において、不透過性膜は、膨張性フレームの膨張の際に非対称性液バリアを生成するように設定される。非対称性は、膜が一定の軸長の境界領域を定義しないことを意味する。膜34は、流れインレット38によって遠位端で、流れアウトレット40によって近位端で、境界をつけられる。
本発明を実践する際に、標的部位での吸引デバイス(吸引要素流れモジュレータを含む)の遠位端の位置付けに続いて、例えば標的部位(液流路の交点の部位を含む)でフレームを膨張させることによって、流れモジュレータが展開される。展開は、所望のように、受動的または能動的メカニズムによるものであり得る。例えば、膨張性フレームは、ニチノール、形状記憶および/または超弾性材料などの形状記憶材料から加工され得、送達の間圧縮され、次いでフレームを展開するためにフレームに対する圧縮力が除去される。
図3において示される態様は、吸引要素が駆動されない場合に、液が吸引要素を通って流れるように設定される吸引要素および流れモジュレータを含む。図3において示される態様において、流れモジュレータは、膨張性フレームと吸引要素の遠位端の連結領域で膜の下流に位置付けられる流れアウトレット40を含む。吸引デバイスが駆動されない場合、例えば薬剤が標的部位に存在することが少なくとも予測されない場合、液は、流れアウトレットから流れ出る。
図3の態様における膜の形態は、図4Aにおいて図示されるように、軸および側方(すなわち、半径)方向の両方に由来する液流層の所望の収束を提供する。図4Aにおいて示されるように、主管支流からの軸流層および側枝支流からの側方または半径流層が、不透過性膜によって境界をつけられる領域内で交差し、次いで吸引カテーテル32の遠位端上へ収束または集中させられる。この方式で、流れモジュレータは、例えば冠静脈洞などの輸出液収集部位に入る主管および側管の交差流路または層を吸引カテーテルの遠位端上へ収束させる。
図4B〜4Dは、本発明の態様によるデバイスの機能を図示する。これらの図において図示されるように、血管の内側の流れは、典型的には高流および低流の交互のフェーズをともなう位相性である。図4Bにおいて図示されるような高流速の期間の間、カテーテルを介する不変吸引速度を仮定すれば、流れ(a)は、カテーテルの流れモジュレータチップに入り、大部分は吸引によって捕獲される(d)。流速が吸引速度よりも高い場合、流れは、このフェーズの間に捕獲されることなく流れモジュレータを出ると考えられる(b)。特定の事例において、吸引の作用は、下流の流れが吸引/圧勾配に従って逆転することを引き起こす。図4Cにおいて図示されるような低流の期間の間、遅/静流(a、b)は、吸引勾配の結果として結集されかつ捕獲される(d)。吸引速度がこのフェーズの間に流速よりも高いと仮定すれば、下流の流れの一部は、逆転され(c)かつ吸引によって捕獲され得、したがって、高流フェーズの間に吸引を逃れた流れを補正し得る(図4B、項目b)。図4Dにおいて図示されるような非吸引の期間の間、流れは、流れモジュレータを介して通過し、吸引カテーテルによって捕獲されることなくそれを出る。
特定の態様において、流れモジュレータと吸引要素との間の流れアウトレットは、流れアウトレットを介して流れる液の制御を提供する機構を含み得る。特定の態様において、流れアウトレットは、図5Aにおいて示されるように、二方向性液流を可能にするように設定される。特定の態様において、流れアウトレットは、図5Bにおいて示されるように、一方向性液流を可能にするように設定される。望ましい場合、流れアウトレットを介する液流は、一方向に、または二方向に、検出され得る。液流出のみを可能にするチェック弁55が流れアウトレットに存在する図5Cにおいて示されるアプローチを含む、任意の便利な流れ検出プロトコールが用いられ得る。
図6Aおよび6Bは、本発明の特定の態様において用いられ得る別のタイプの流れモジュレータの図示を提供する。図6Aおよび6Bにおいて、流れモジュレータは、非フロースルー膨張性流れモジュレータである。カテーテル61は、非フロースルー流れモジュレータとして振る舞う膨張型チップ62を含む。カテーテル61は、カテーテル61のオーバーザワイヤー(OTW)配置を容易にするためのガイドワイヤーに対する内チャネル63も組み入れる。カテーテルは、流れモジュレータの近辺に終結する少なくとも一つの光学ファイバー64も組み入れる。一つの態様において、膨張型流れモジュレータ62の少なくとも一つの端は、該内チャネル63に対して軸方向に可動である。図6Bは、図6Aにおいて示されるデバイスの図面を提供し、流れモジュレータは、例えばカテーテルの配置の間および/またはカテーテルが使用されていない場合に、潰されて吸引カテーテルの管腔へ引っ込められる。
上で要約されるように、特定の態様において、方法は、生理的パラメータおよび/または薬剤および/または生理学的(例えば、解剖学的)構造体などが、輸出液収集部位において検出される検出段階を含み得る。例えば生理的パラメータ、薬剤などの検出されるべき項目の性質に依存して、様々な異なるタイプのセンサーまたは検出器が用いられ得る。対象となる検出器は、光ファイバーに基づくセンサー、温度センサー、音響センサー、pH検出器、キャパシタンスに基づく検出器、液速さ検出器、伝導率検出器、および鉄電磁気力または磁気感受性における変化を検出することができる検出器(例えば、Blood, 1 January 2003, Vol. 101, No. 1, pp. 15-19を参照されたい)、および同様のものを含むが、それらに限定されない。対象となる検出器は、米国特許出願公開第20050124969号および第20040254523号において記載される検出器を含み、そこで記載される様々な検出器の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
センサーまたは検出器は、吸引デバイスそのものと関連し得る、例えば流れモジュレータ、吸引要素などに存在し得る、または個別もしくは別個のデバイスを使用して輸出液収集部位に位置付けられ得る。
特定の態様において、方法は、輸出液収集部位での液流の検出を含む。そのような方法に対して、任意の便利な流れ検出器が用いられ得る。特定の態様において、流れ検出器は、輸出液収集部位で提供される血行動態センサーである。血行動態センサーの一つのタイプは、温度に基づき、加熱要素が、第一位置における液を温め、加熱(または冷却要素)要素の上流および下流の固定位置に位置付けられる温度センサーが、それらを通って流れる液媒質の温度における変化を検出し得、検出された変化から液流の方向を決定し得る。そのようなセンサーの態様は、図7Aにおいて提供される。あるいは、流れセンサーは、液流によって動かされかつ液流を決定するために用いられ得る動きに応じたシグナルを発生するセンサー材料を含み得ると考えられる。そのようなセンサーは、図7Bにおいて描かれる。
特定の態様において、検出器は、輸出液収集部位において除去されるべき薬剤の存在を検出するように設定される検出器である。米国特許出願公開第20050124969号および第20040254523号において概説されるように、薬剤は、直接的または間接的に検出され得る。例えば、薬剤は、その光学またはその他の特性を検出することによって直接的に検出され得る。あるいは、薬剤は、例えば液の光学特性における変化、輸出液収集部位の生理学における変化などの、輸出液収集部位における薬剤の存在に応じて生じる変化を検出することによって間接的に検出されてもよい。特定の態様において、薬剤が輸出液収集部位に存在する場合、液における例えば造影剤などの薬剤の存在を検出する光ファイバー検出器が用いられる。
特定の態様において、検出器は、吸引デバイスと関連し、そのように吸引デバイスとともに輸出液収集部位へ導入されるものである。いくつかの態様において、吸引要素を介して導入される光ファイバーケーブルである検出器が、吸引要素を介して輸出液収集部位に導入される。
特定の態様において、輸出液収集部位における特別な位置に検出器を精密に位置付けることができることが望ましい。標的部位における検出器の精密な位置付けは、任意の便利なプロトコールを使用して遂行され得る。特定の態様において、吸引デバイスは、標的部位に検出器を位置付けるように機能するセンタリングメカニズムを含む。そのようなセンタリングメカニズムの例は、図8において示される。図8において示されるデバイスにおいて、検出器カテーテル88の遠位端の近くに位置付けられるようにメカニズム86を位置付けることによって流れモジュレータ84の壁に連結される関節要素82が、所望の位置で流れモジュレータ84の中心に検出器を位置付ける役目を果たす。代替の態様が、図9において示される。図9において示されるデバイスにおいて、吸引カテーテル94の壁に連結されかつ吸引カテーテル94の遠位端の近くに位置付けられる関節要素92が、所望の位置で流れモジュレータの中心に検出器および検出カテーテル88を位置付ける役目を果たす。代替の態様において、検出器要素は、個別のセンタリングメカニズムが必要とされないように、例えば操縦可能なカテーテルなどの操縦可能な要素上に存在する。そのような態様は、図10において示される。対象となるその他の態様は、検出器が吸引要素の壁へ組み入れられるもの、および検出器が所望の配置を提供するためのデバイスと密接に関連し得る別個の要素であり、例えばそれが所望の位置に位置付けられるためにデバイスの流出要素を介して通過するように設定される態様を含む。
システム
上で記載される代表的なデバイスなどの輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するための吸引デバイスを含み、例えば検出器、薬剤イントロデューサー、データ記録装置などの本方法を実践する際の使用を見出す一つまたは複数の付加的な構成要素を任意で含み得る、本方法を実践する際の使用のためのシステムも提供される。特定の態様において、システムは、被験体(体)へ導入される吸引管腔に機能的にリンクされる吸引制御器および吸引メカニズム、ならびに標的輸出液収集部位の上流の部位で体へ薬剤を導入するための注入/送達システム、輸出液収集部位における薬剤の存在を検出するための一つまたは複数の検出器要素、およびデータ(例えば、液流データなど)を記録しかつオペレーターに同じものを表示するための吸引記録装置/ディスプレー要素などの多くの付加的な/任意の構成要素を含む。対象となるのは、米国特許出願公開第20050124969号および第20040254523号において記載されるシステムであり、本発明の吸引デバイスを含むように改変されるそこに記載されるシステムの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
実用性
本発明は、診断的および治療的適用の両方を含む多種多様な異なる適用における使用を見出す。宿主または被験体が診断的または治療的薬剤に全身的に曝露されないように、局所的に投与された診断的または治療的薬剤を被験体から選択的に除去するための本方法およびデバイスの使用が対象となる。
特定の態様において、診断的薬剤がそれが投与される宿主の例えばその特定の器官または部分などの限定領域または部分とのみ接触するように、局所的に投与される診断的薬剤を選択的に除去するための本方法が用いられる。そのような化合物の一般的な例は、放射線不透過性色素である。そのような色素のヨウ素化型は、冠動脈造影法、腎動脈造影法、神経動脈造影法、血管形成術、および末梢動脈造影法などのカテーテルに基づく介入手順の間に日常的に使用される。ヨウ素成分は、x線の高吸収を有し、それ故に、上流動脈内に導入される場合、管の放射線学的同定のための造影剤を提供する。しかしながら、そのような色素の使用は、特定の製剤に依存する、尿細管細胞への直接的な損傷、内皮損傷、気管支痙攣、炎症反応、凝固促進、抗凝固、血管拡張、および甲状腺機能亢進症を含む潜在的な毒性効果を有することが公知である。
本発明の他の適用は、局所的に投与された治療的薬剤の患者からの選択的除去であり、望ましい効果のために局所的に導入され得るが、その直接的またはその他の効果が他の場所で望ましくないと考えられる代表的な治療的薬剤または物質は、血管作用薬剤、細胞毒性薬剤、遺伝子ベクター、アポトーシス薬剤、無酸素性薬剤(生理食塩水を含む)、光力学薬剤、塞栓促進粒子またはコイル、抗体、サイトカイン、免疫学的標的薬剤、およびホルモンを含む。対象となる付加的な薬剤は、以下を含むが、それらに限定されない:細胞、酵素、活性化因子、阻害剤、およびそれらの前駆体、ならびに硬化薬剤、抗炎症剤、炎症促進剤、ステロイド、および浸透圧性薬剤、ならびに同様のもの。そのように、本方法の別の代表的な適用は、被験体への薬剤の局所投与に基づいて被験体の局所エリアまたは領域で留保される薬剤の量を決定することである。例えば、治療的薬剤が、例えば器官などの被験体の領域または位置に局所的に投与され、その薬剤を運ぶ血液が本方法に従って被験体から選択的に除去される場合、収集された血液における薬剤の量は、被験体の例えば器官などの局所領域またはエリアによって留保された薬剤の量を決定するために使用され得る。そのように、診断的または治療的薬剤を回収するために本発明が使用され、その薬剤の部分がそれが送達される領域に望ましく存在し、前記収集部位から収集される薬剤の部分がその領域において存在物のままではなかった薬剤の量を示す場合、本方法は、薬剤の有効量を推定するために用いられ得る。例えば、標的腫瘍の輸入分岐を介する化学療法薬剤の局所的送達において、本発明は、化学療法剤が腫瘍床を通過した後であるが、全身的な循環へ入る前に、化学療法薬剤のいくらかを収集し、したがって、その副作用を最小にすることが可能である。注入される薬剤の量と本発明によって回収される薬剤の量との間の差は、腫瘍へうまく組み入れられた薬剤の量と全身的循環へ逃げた薬剤の量の和を示す。化学療法薬剤の局所的送達の目標が、所定の用量の薬剤を腫瘍へ組み入れることを試みることである場合、薬剤のうちどれだけが収集部位において回収されたのかを推定することによって、送達された薬剤のうちどれだけが腫瘍へうまく組み入れられたのかをより良く推定するために本発明を使用することが可能である。または、本発明により、大部分の薬剤が標的となる器官の液収集部位で検出され除去することができる場合、より高い薬剤投下量を許容するために用いられ得る。予期するよりも多い量の薬剤が収集部位において回収された場合、薬剤の実質的な部分は、腫瘍へうまく取りこまれず、かつ、これは、医師がより多くの薬剤を腫瘍に送達するように、または処置に対する代替戦略を考慮するように方向付け得る。薬剤を回収することに関して本発明の効能が高ければ高いほど、部位にうまく送達された薬剤の量の推定がより正確になると考えられる。
キット
上に記載されるように、上記のデバイスの一つもしくは複数、および/または本システムの構成要素を含み得る、本方法を実践する際の使用のためのキットも提供される。そのように、キットは、上に記載されるように、吸引管腔、吸引メカニズム、および吸引メカニズム制御器を含む、カテーテルデバイスなどのデバイスを含み得る。キットは、本方法を実践する際の使用を見出し得る、例えばガイドワイヤなどのその他の構成要素をさらに含み得る。
上述の構成要素に加えて、本キットは典型的に、本方法を実践するためにキットの構成要素を使用するための取扱説明書をさらに含む。本方法を実践するための取扱説明書は、一般的に適した記録媒体に記録される。例えば、取扱説明書は、紙またはプラスチックなどの基材に印刷され得る。そのように、取扱説明書は、キットまたはその構成要素の容器(すなわち、包装またはサブ包装と関連する)などのラベリングにおいて、添付文書としてキットに存在し得る。その他の態様において、取扱説明書は、例えばCD-ROM、ディスケットなどの適したコンピューター可読保存媒体に存在する電子保存データファイルとして存在する。さらにその他の態様において、実際の取扱説明書は、キットに存在せず、例えばインターネット介して、リモート源から取扱説明書を獲得するための手段が提供される。この態様の例は、取扱説明書が見られ得るかつ/または取扱説明書がダウンロードされ得るウェブアドレスを含むキットである。取扱説明書と同様、取扱説明書を獲得するためのこの手段は、適した基材に記録される。
以下の実施例は、例証のために提供され、限定のためではない。
実験
I.狙い:
本実験の狙いは、ヒト心臓のガラスモデルにおける近位冠静脈洞で流れのパターンを査定することである。具体的には、現実験は、CS対MCVの流路に関して近位冠静脈洞をマッピングするように設計される。
II.方法:
命名目的のために、MCVより上流のCSセグメントは、大心臓静脈(GCV)と呼ばれる。GCVからの流れは、自然に主CS流(MCVから下流)へ伸長し、主CS流(MCVから下流)を形成すると考えられる。
近位CSにおける流れのパターンをテストするために、ヒト心臓の生体構造をシミュレートするガラスモデルが利用された。テスト媒質として、ガラス心臓モデル(GHM)は、ヒツジ血液で満たされた。ヒト等価血液循環は、2.3L/分の流速でペリスタフローポンプ利用して作り出され、およそ4mL/秒の現実的なヒトCS流をもたらした。
GCVおよびMCVの流路をマッピングする目的のために、GHMの近位セグメントCSへ挿入され得る光ファイバー流れ検出器が使用された。付加的に、GCVおよびMCVの流路をマッピングするために、近位CSの内側の様々なポジションに検出器を確実に位置付けるための方法が開発された。
既定のCSポジションで具体的な支流の流路をマッピングする時に、放射線造影剤が支流へ注入され、検出器からのインプットが登録された。検出器からのシグナルの非存在は、対応するCSポジションでの薬剤の流れの非存在を示すと考えられる。
III.結果の概要:
図11Aおよび11Bは、二つの主支流(MCVおよびGCV)を有するGHMのCSを示す。図11Aおよび11Bにおいて、検出器の試験ポジションも示される。検出器は、冠静脈洞の近位セグメントに、具体的にはMCVの合流ポイントにまたはその周りに、およびその近位(=上流)に位置付けられた。
GCVの流れのマッピング:近位CSの内側の様々なポジションでのGCV流の検出シグナルは、GCV流が、MCV流と交差するにもかかわらず、CSのOsに向かう軸、直線流を維持することを明らかにした。
MCVの流れのマッピング:近位CSの内側の様々なポジションでのCS流の検出シグナルは、MCV流が、GCV流を介して突き出て、対側CS壁上に着地することを明らかにした。次いで、MCV流は、減速すると考えられ、GCV/CS流によって偏向され、CSのOsに向って軸方向に偏心して流れると考えられる。
D.結論:
近位冠静脈洞で、流れマッピング研究は、MCV流が、(軸)GCV流を介して交差し、CSの対側壁にぶつかることを明らかにした。
理解を明確にする目的のための図示および例によって前述の発明がある程度詳細に記載されているが、本発明の開示に照らして、特定の変化および改変が添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくそこになされ得ることは、当業者にとって容易に明白である。
従って、前述のものは、本発明の原理を実証するだけである。当業者が、本明細書において明白に記載されないかまたは示されないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含められる様々な配列を考案することができることは、高く評価されると考えられる。さらに、本明細書において列挙されるすべての例および条件付き言語は、読者が本発明の原理および技術を推進することに対して本発明者らによって貢献される概念を理解することを補助することを主に意図しており、そのような具体的に列挙される例および条件への限定がないように構築される。さらに、本発明の原理、局面、および態様ならびにその具体的な例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。付加的に、そのような等価物が、現在公知の等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造体に関わらず、同じ機能を行う開発された任意の要素を含むことを意図している。それ故に、本発明の範囲は、本明細書において示されかつ記載される例示的な態様に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。

Claims (23)

  1. (a)吸引要素と、
    (b)該吸引要素の遠位端に位置付けられ、かつ交差液流路を吸引管腔へ収束させるように設定される流れモジュレータとを含む、
    生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するための吸引デバイス。
  2. 流れモジュレータが、二つ以上の縦要素の膨張性フレームを含む、請求項1記載の吸引デバイス。
  3. 流れモジュレータが、二つ以上の縦要素間に位置付けられる不透過性膜をさらに含む、請求項2記載の吸引デバイス。
  4. 不透過性膜が、膨張性フレームの膨張に際して非対称性液バリアを生成するように設定される、請求項3記載の吸引デバイス。
  5. 吸引要素および流れモジュレータが、該吸引要素が駆動されていない場合に、液が該吸引要素を通って流れるように設定される、請求項1〜4のいずれか一項記載の吸引デバイス。
  6. 流れモジュレータが、該流れモジュレータの下流に位置付けられる流れアウトレットを含む、請求項5記載の吸引デバイス。
  7. デバイスが、液流センサーをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の吸引デバイス。
  8. センサーが、流れモジュレータに連結される、請求項7記載の吸引デバイス。
  9. (a)請求項1〜8のいずれか一項記載の吸引デバイスと、
    (c)該吸引デバイスの吸引要素に機能的に接続される吸引メカニズムと、
    (d)該吸引メカニズムの作動を制御するための作動制御器要素とを含む、
    生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するためのシステム。
  10. システムが、生理学的輸出液収集部位における薬剤の存在を少なくとも予測するための検出器をさらに含む、請求項9記載のシステム。
  11. 検出器が、吸引要素を介して輸出液収集部位へ導入される検出要素を含む、請求項10記載のシステム。
  12. 検出器が、光ファイバー検出器である、請求項11記載のシステム。
  13. 吸引要素が、延長管状構造体(elongated tubular structure)に存在する、請求項9〜12のいずれか一項記載のシステム。
  14. 延長管状構造体が、カテーテルデバイスである、請求項13記載のシステム。
  15. 以下の段階を含む、生存している被験体の生理学的輸出液収集部位から薬剤を除去するための方法:
    該生理学的輸出液収集部位から薬剤を選択的に除去するために、
    生存している被験体の生理学的輸出液収集部位に少なくとも近位である標的部位に、吸引要素と、交差液流路を該吸引要素へ収束させるように設定される該吸引要素の遠位端にある流れモジュレータとを含む吸引デバイスを導入する段階;および、
    該被験体から該薬剤を含む液を除去するために、該薬剤が該標的部位に存在することが少なくとも予測される場合に、該吸引デバイスを駆動する段階。
  16. 方法が、請求項9〜14のいずれか一項記載のシステムを使用して行われる、請求項15記載の方法。
  17. 生理学的輸出液収集部位が、血管液収集部位であり、液が、血液である、請求項15または16記載の方法。
  18. 血管液収集部位が、心臓血管液収集部位である、請求項17記載の方法。
  19. 心臓血管液収集部位が、冠状心臓血管液収集部位である、請求項18記載の方法。
  20. 冠状心臓血管液収集部位が、冠静脈洞である、請求項19記載の方法。
  21. 薬剤が、治療的薬剤である、請求項15〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. 薬剤が、診断的薬剤である、請求項15〜20のいずれか一項記載の方法。
  23. 診断的薬剤が、造影剤である、請求項22記載の方法。
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