JP2010520969A - ガスタービンのロータ - Google Patents

Abstract

熱流体機械特にガスタービンのロータ（２）は複数のロータ部分（６）を備え、これらのロータ部分（６）はその中心部を通して導かれた共通の連結棒（４）で集合結合されている。ガスタービンの構造長が増大された場合でも、特に中間中空軸の範囲において連結棒（４）の振動振幅を確実にできるだけ小さくされねばならない。このために本発明に基づいて、連結棒（４）はそれを取り囲む少なくとも１つのロータ部分（６）に、連結棒を円周方向に取り囲む複数の横断面星型ばね（１０）を介して所々で固定される。
【選択図】図２

Description

本発明は特許請求の範囲の請求項１の前文に記載のガスタービンのロータに関する。また本発明はかかるロータを備えたガスタービンに関する。

ガスタービンは、通常、固定ハウジング（車室）で取り囲まれ回転可能に支持されたロータを有している。ガスタービンの複数の固定構造物はまとめてステータとも呼ばれる。ロータとステータとの間に、圧縮性作動媒体に対する軸方向に延びる流路が形成されている。通常、その流路の中に突出し、翼列の形に結合された多数の動翼がロータに取り付けられている。それらの動翼は圧縮機側において作動媒体を圧縮するために用いられ、タービン側において加圧高温作動媒体による衝撃伝達によってロータ軸を駆動するために用いられる。

回転子とも呼ばれるガスタービンのロータは、通常、運転により大きな機械的および熱的負荷を受ける。ガスタービンの運転中において殊に作動媒体の高い温度およびロータに作用する力によって、ロータ構成要素は大きく負荷される。それにもかかわらず、一方では運転安全性を保証するために、他方ではロータの製造費を許容限度内に抑えるために、かかるタービンロータに対して種々の構造方式が過去に提案されている。

その１つの構造方式は、定置形ガスタービンのロータを個々の複数のロータ部分から組立てることにあり、その個々のロータ部分は連結棒（タイロッド）を介して集結締付け結合されている。そのために各ロータ部分は軸方向に延びる孔を有し、その孔を通して張力を受けた連結棒が延びている。この連結棒の終端にねじ込まれたナットによって、この連結棒は張力を受け、これによって、端面で相互に接するロータ部分は互いに締付け結合される。その場合、これらのロータ部分は連結棒によって互いに押しつけられ、それらに作用する回転力を、それぞれ端面側に配置され互いに隣り合うロータ部分間にかみ合い結合部を形成するいわゆるハース歯（リングギヤ）を介して伝達する。

ガスタービンのロータはタービンの車室内に配置され、その両側端が適切な軸受によって支持されている。ナットを利用する代わりに、外被側が複雑に形成された部品を連結棒端にねじ込むこともでき、その部品はロータ部分の締付け結合のほかに、例えばラジアル軸受および／又はスラスト軸受におけるロータの支持のような他の機能を果たすことも可能である。

しかし、ガスタービンの運転中、ロータに振動が生じ、その振動周波数は（そのような構造様式の場合には）特に両側スラスト軸受間の距離、即ち、ロータの自由振動長および特に連結棒の自由振動長に関係する。ガスタービンの構造長が増大するにつれて、連結棒の自由振動長も増大し、これは、その固有振動周波数を回転周波数近くの低いレベルに変移させる。

従って、構造長が増大された場合でもガスタービンの運転安全性を保証するためおよびこのシステムの通常は低い固有減衰に関しても、特に連結棒の固有振動周波数が運転回転周波数の十分上に位置することが必要である。

そのために特許文献１に、類似して構成された二重ラジアル圧縮機のロータが開示されている。それで公知のロータは複数のタービン円板と中心に配置された中空軸を有している。その中空軸および複数のタービン円板を通って1本の連結棒が延び、その連結棒はその両端にねじ結合された終端部材によりこれらのタービン円板と中空軸を互いに固く締付け結合している。ロータの内部においてこの連結棒をその位置に固定するために、片側ばね固定支え付きスリーブが連結棒に設けられ、そのスリーブはねじで中空軸に当接支持されている。

また特許文献２で、内部に摩擦による制振構造体が装備された低振動性の管状体が知られている。その制振構造体は波形ばねを有し、その波頂を介して摩擦要素が管状体の内周面に押し付けられている。その押し付けを可能とするために、ばねの波底に接する環状の保持要素が設けられている。

さらに特許文献３に、連結棒無しのロータと中央の冷却空気分離管を備えた航空機用ガスタービンが示されている。

タービンの構造長が増大された場合も、連結棒の固有振動周波数を運転回転周波数より十分上にすることが望ましい。これによって、一方では、タービンの運転安全性が保証され、他方では、これによって、そのために例えばガスタービンの構造長の拡大が必要である、増大する出力需要に応えられる。

米国特許第３７４９５１６号明細書 特開平８−１０５４８９号公報 米国特許第５２３６３０２号明細書

本発明の課題は、構造長が増大された場合でもガスタービンの安全運転を保証する冒頭に述べた形式のロータを提供することにある。また、連結棒の振動振幅が特にロータの中央部位に配置された中空軸の範囲においてできるだけ小さいようにすることにある。

この課題は本発明に基づいて請求項１に記載のロータによって解決される。冒頭に述べたロータに対して、連結棒が中空軸の軸方向部分域において少なくとも１つの円周方向に巡る横断面星型ばねを介して固定され、この横断面星型ばねがそのすぐ外側のロータ部分に当接支持されていることを提案する。

本発明は、ロータの大きな総合的な強度を得るために、幾つかのロータ部分も連結棒に特に固く結合されねばないという考えから出発している。しかしその場合、ロータ構成要素の熱的条件による異なった熱膨張が補償可能でなければならない。特にガスタービンの出力を増大する要求に基づいてその構造長が増大し、このために、連結棒の固有振動周波数がガスタービンの運転回転周波数に接近することについて考慮されねばならない。この連結棒はその周波数接近を防止するために、幾つかの軸方向位置で適切に当接支持され、その強度が高められねばならない。連結棒のこの当接支持は、少なくとも、許容できない大きな振幅が生じる軸方向位置で行われねばならない。その位置はロータの圧縮機側部位とタービン側部位との間に配置された中空軸の範囲に在る。従って、膨張作用を補償するためおよび所望の支え作用を保証するために、中空軸の範囲に複数の横断面星型ばねが設けられる。これらの横断面星型ばねは、一方では、特にたわみ系の形態で受動的に膨張作用に適切に反応でき、他方では、回転中に生ずる遠心力への反応においてもそれに伴う支え作用の支障を防止できる。その支持ばねは（支持ばね自体から見て）すぐ外側に配置されたロータ部分に接している。そのロータ部分は中空軸自体でもよく、あるいは中空軸と連結棒との間に配置された冷却空気分離管でもよい。

冷却目的のためにおよび特に冷却空気流の案内のために、特に有利に、ガスタービンの中央の中空軸の範囲に同軸的に延び連結棒を取り囲む複数の冷却空気分離管が設けられている。その場合、連結棒はそれらの冷却空気分離間管で取り囲まれ、それらの冷却空気分離管は、他の実施態様において、円周方向に巡る複数の横断面星型ばねによって相互に隔てられている。これによって、連結棒は複数の冷却空気分離管で支持され、半径方向に見て最外側の冷却空気分離管も同様に、ロータの軸方向に延びる孔に横断面星型ばねによって固定されている。

本発明によって得られる利点は特に、横断面星型ばねによる連結棒に対するロータ部分の当接支持によって、増大された構造長の場合でもガスタービンの確実な運転が可能となることにある。特に、ロータの剛性の増大によって振動振幅が特に小さくなる。また、複数のロータ部分を連結棒に締付け固定することによるロータの剛性を高めるこの構成システムは、特に比較的単純な組立と軽量と僅かな経費の理由から、比較的安価な費用で実現できる。さらに、このように形成された構成システムによって、複数のロータ部分と連結棒との間の熱に起因する相対運動は良好に補償される。しかも同時に、ロータ構成要素の大きな熱的負荷に起因して必要となる冷却も、ロータの軸方向に延びる冷却空気の案内によって保証される。

以下図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお各図において同一部分には同一符号が付されている。

連結棒を備えたタービンロータの部分縦断面図。 図１におけるタービンロータの中心部位の横断面図。

連結棒（タイロッド）４によって集合保持され単一体の形に結合された複数のロータ部分６を備えたガスタービン（図示せず）のロータ２が図１に縦断面図で示されている。

そのロータ２は圧縮機側部位１とタービン側部位（図示せず）を有し、その両部位はそれぞれ複数のロータ部分６を備えている。各ロータ部分６は結合側に、即ち、端面側に、ロータ２の中心軸線Ｍに対して対称な凹所が設けられ、その凹所により生ずる輪郭は隣り合うロータ部分６の輪郭に一致して形成され、これによって、複数のロータ部分６は中心軸線Ｍに対して同心的に整列される。

各ロータ部分６は中心部に軸方向に延びる孔１０が設けられ、この孔を通して連結棒４がロータ部分６に対して空間を隔てて貫通している。図１にロータ２の圧縮機側部位におけるタービン円板として形成された３個のロータ部分６が示されている。ロータ２のタービン側部位に近い圧縮機側ロータ部分に符号６ａが付されている。そのロータ部分６ａの端面側に中間中空軸１１が接している。また半径方向内側に２つの別個の冷却空気分離管１２、１４が設けられている。連結棒４は両側端がそれぞれ１つのロータ部分６にねじ結合され、これによって、その両ロータ部分間に位置するすべてのロータ部分６は相互に集合保持され締付け結合されている。複数のロータ部分６の間に設けられた凹所は複数のロータ構成要素を冷却するための冷却材を案内するために用いられ、その冷却空気は連結棒４とロータ部分６との間に形成された冷却ダクトを通して導かれる。

ロータ２は特に高い内部剛性が得られるように設計されている。これによって特に、ロータ２の構造長が比較的大きく選定されている場合でも、ロータ２の固有振動周波数がガスタービンの運転回転周波数より上に十分に離れることが達成されるようにされている。これによって、どんな場合でもタービンの高い運転安全性を保証するために、発生する振動振幅および共振作用が十分低くなるようにされている。

ロータ２の所望の剛性を保証するために、図２にロータ２の中央部位の横断面図で示されているように、連結棒４は複数の横断面星型ばね１０を介して複数のロータ部分に対して例えば間接的に支持されている。なお唯一の横断面星型ばね１０を介してロータ部分６に連結棒４を直接支持することもできる。これらの横断面星型ばね１０は、熱膨張作用が生じた場合でも、連結棒４とその周りのロータ部分６との確実な機械的接触が生ずるように設計され、またロータ回転数が増大した場合も、その構成体システムの剛性および支え作用がなお増大されるようにされている。

図２から特に理解できるように、複数の横断面星型ばね１０を多層構造の形態にすることができ、その軸方向長は必要に応じて決定される。その場合、第１横断面星型ばね１０は第１層の形態で連結棒４を取り囲み、この第１横断面星型ばね１０は連結棒４を包囲する冷却空気内部分離管１２の内周面に外側に向けて当接支持されている。この冷却空気内部分離管１２はその外側面を他の横断面星型ばね１０によって取り囲まれ、この横断面星型ばね１０は冷却空気内部分離管１２を包囲する冷却空気外部分離管１４の内周面に外側に向けて当接支持されている。冷却空気外部分離管１４も同様に横断面星型ばね１０によって取り囲まれ、この横断面星型ばね１０はいまや対応したロータ部分６例えば中間中空軸の中心孔の内周面に外側に向けて当接支持されている。

この構造によって、単純な構造と軽量と安価な組立費と製造費で、膨張作用および遠心力作用が効果的に補償され、連結棒４とその周囲部品との確実な機械的接触が堅持される。また、この構成体システムは連結棒４に対して自動調心作用をする。横断面星型ばね１０を利用することによりさらに、温度による膨張作用は機械的接触を強化させ、これによって、構造物の剛性を増大させる。

１ ロータの圧縮機側部位
２ ロータ
４ 連結棒
６ ロータ部分
１０ 横断面星型ばね
１１ 中空軸
１２ 内部冷却空気分離管
１４ 外部冷却空気分離管

Claims (4)

1. 圧縮機側部位（１）とタービン側部位を備え、その両部位にそれぞれ複数の個々のロータ部分（６）が設けられ、これらのロータ部分（６）が、ロータ部分（６）の中心部を自由に貫通して導かれた共通の連結棒（４）によって集合結合され、タービン側部位にもっとも近く配置された圧縮機側ロータ部分（６）と圧縮機側部位にもっとも近く配置されたタービン側ロータ部分（６）との間に、連結棒（４）を空間を隔てて取り囲む中空軸（１１）が設けられているガスタービンのロータ（２）であって、
   この連結棒（４）が、中空軸（１１）の軸方向部分域において少なくとも１つの円周方向に巡る横断面星型ばね（１０）を介して固定され、この横断面星型ばね（１０）がそのすぐ外側のロータ部分に当接支持されていることを特徴とするガスタービンのロータ（２）。
2. 中空軸（１１）の内部に連結棒（４）に対して同軸的に、１つあるいは複数の冷却空気分離管（１２、１４）が外側ロータ部分として配置され、連結棒（４）とそのすぐ外側の冷却空気分離管（１２）との間に横断面星型ばね（１０）が配置されていることを特徴とする請求項１に記載のロータ（２）。
3. 各冷却空気分離管（１２、１４）が、これを円周方向に巡る複数の横断面星型ばね（１０）を介して所々で固定されていることを特徴とする請求項２に記載のロータ（２）。
4. 請求項１ないし３のいずれか１つに記載のロータ（２）を備えていることを特徴とするガスタービン。

Images