JP2010519760A - スピントランスファトルク発振器 - Google Patents

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Abstract

本発明は、スピントランスファトルク構造を電圧振動を発生するように動作させる方法に関する。前記構造は、固定磁化ベクトルを有する磁性材料の第1の層と、非磁性材料のスペーサと、自由磁化ベクトルを有する磁性材料の第2の層とを備える。本方法は、前記構造に電流(jop)を供給し、前記第2の層の面内に磁界(Hexp)を供給するステップを含む。本方法では、電圧振動を起動及び停止させるために双安定領域とヒステリシス挙動を利用する。

Description

本発明は、スピンモーメントトランスファの原理に基づくRF発振の生成方法に関する。
スピン電子デバイスは、現在、磁気記録から電圧制御発振器(VCO)に及ぶ様々な用途に対する徹底的した研究が話題になっている。
一般に、スピン電子デバイスは、固定磁化方向の第1の強磁性層(偏極層又はピン層とも呼ばれる)と、金属又は絶縁材料の非磁性スペーサと、可変磁化方向の第2の強磁性層(それゆえ自由層とも呼ばれる)とを備える磁性多層膜構造に基づいている。スペーサは第1及び第2の強磁性層の磁気減結合をもたらす。スペーサが絶縁材量の場合には、磁気トンネル接合(MJT)が得られるが、スペーサが金属層の場合には、いわゆるスピンバルブ(SV)構造が得られる。スピンバルブ及び磁気トンネル接合は、主としてそれらの巨大磁気抵抗(GMR)特性に関して大きな注目を集めている。巨大磁気抵抗はスピン依存散乱(SV)又はスピン依存トンネリング(MJT)に起因する。例えば、スピンバルブの抵抗値は、ピン層と自由磁性層の磁化方向が平行の場合には低いが、反平行の場合には高い。自由層の磁化方向の反転は外部磁界を印加することによって得ることができる。
特許文献1には、別のタイプの磁化反転機構が提案されており、この反転機構では自由層の磁化と自由層を流れるもしくは自由層で反射される伝導電子との交換相互作用によって誘起される。
プレーナスピンバルブとして知られている第1のタイプのデバイスでは、偏極層及び自由層の磁化ベクトルはともに層の平面内に位置する。構造を流れる電流がない場合には、磁化ベクトルは平行又は反平行の安定な配置にある。しかし、電流又は電流パルスがデバイスに印加されると、ピン層を通過する電子が偏極されたスピンを有し、自由層の電子と相互作用して、その磁化ベクトルがもとの軸を中心に歳差運動させられる。電流の振幅及び符号、ピン層及び自由層のそれぞれの磁化方向及びもしあれば外部磁界の方向に依存して、円錐歳差運動の角度が減少して零に戻り、所定の値に安定化するか、あるいは最終的に180°に達するまで増大して、自由層の磁化ベクトルを反転する。
別の有望なデバイスはいわゆる垂直ポラライザ(PERP)である。このようなデバイスでは、プレーナスピンバルブ又はMTJと対比すると、偏極層の磁化方向が膜面に垂直であるが、自由層の磁化方向は膜面内に維持される。プレーナスピンバルブに関しては、所定の動作状態の下で、ピン層により偏極された電子のスピンは自由層の磁化ベクトルを、この場合には膜面に垂直な軸を中心に、歳差運動させる。偏極層の垂直磁化は、非特許文献1に記載されているように、高い垂直磁気異方性を有する材料を用いることによって達成される。
プレーナスピントルクデバイスも垂直ポラライザ構造も磁気メモリセルを実現するために従来技術で使用されている。偏極された電子から自由層の磁化ベクトルへの角運動量の移動は、十分な電流密度に対して、自由層の磁化ベクトルをスイッチングするのに十分に高い有効トルクとしてモデル化することができる。この磁化ベクトルの状態は2進情報を記憶するために用いることができる。
磁気RAMセルとして使用される垂直ポラライザの一例は、例えば特許文献2に記載されている。
プレーナスピントルクデバイスでは、適切な磁界の印加の下で、偏極された電子のDC電流が自由層の磁化ベクトルの歳差運動を、この磁化ベクトルをスイッチングすることなく、またその運動を減衰することなく、生じさせることができる。このとき、自由層の磁化ベクトルは定常振動(発振)状態に入る。磁化ベクトルの回転面内成分は磁気抵抗の変調を誘起し、これにより偏極層と自由層との間に振動(発振)電圧が発生する。振動(発振)周波数はしきい値電流において自由層の強磁性共振周波数に近似し、典型的にはGHzレンジに位置する。更に、歳差運動周波数、従って振動の振動周波数は、DC電流の強度を適切に制御することによって調整することができる。
この原理に基づくプレーナスピンバルブ構造を用いるチューナブルRF発振器は特許文献3に既に開示されている。また、垂直ポラライザをマイクロ波源として使用するのが好ましいことも、非特許文献2に提案されている。1−20GHzレンジのチューナブル周波数が外部磁界の印加なしで予測されている。
プレーナスピンバルブ型又は垂直ポラライザ型のスピントランスファトルク発振器に影響を与える主な問題は、電圧振動を取得し維持するために大きな電流密度が必要とされることにある。この電流密度は、臨界電流密度とも呼ばれ、プレーナ構造に対しては、
Figure 2010519760
で表わせ、垂直ポラライザに対しては、
Figure 2010519760
で表わせる。
ここで、Msは飽和磁化、τは自由層の厚さ、Huは自由層内の実効一軸面内異方性磁界、αはギルバート減衰係数及びg(θ)は自由層の磁化ベクトルとピン層の磁化ベクトルとの角度θに依存するスピントルク効率因子である。
臨界電流密度は典型的には約10A/cmである。このような電流密度レベルでは、ジュール効果により発生する熱、従って温度上昇がデバイス構造を損傷し、その特性を大きく悪化する。
式(1)及び(2)から、臨界電流密度は飽和磁化、厚さ及び/又は減衰係数を減少させることによって低下させることができることがわかる。しかし、厚さ及び飽和磁化の低減は熱不安定性をもたらし、また低い減衰係数は上述の構造に現在使用されている材料で達成することは殆どできない。
従って、本発明の基礎をなす問題は低い動作電流密度を有するとともに良好な熱安定性を示すスピントランスファトルク発振器を設計することにある。
米国特許第5695864号明細書 米国特許第6532164号明細書(本出願人による出願) 国際特許出願公開2005/064783号明細書
S. Mangin 他,"Current-induced magnetization reversal in nanopillars with perpendicular anisotropy", Nature, Vol. 5, March 2006, pp.210-215 K.J. Lee他, "Analytical investigation of spin-transfer dynamics using a perpendicular-to-plane polarizer", Applied Physics Letters 86, 22505 (2005)
この問題は、添付の請求項1、2又は9に特定されたスピントランスファトルク発振器を動作させる方法を実施することによって解消される。
本発明の方法とともに使用するスピントランスファトルク構造を概略的に示す。 図1の構造内の自由層の磁化に作用するトルク成分を示す。 図1に示すスピントランスファトルク構造の状態図を示す。 本発明の第1の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。 本発明の第2の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。 本発明の第3の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。 本発明の第4の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。 本発明の第5の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。 本発明の第6の実施例による、前記構造を発振器として動作させる方法を示す。
本発明は、図1に示されるようなスピントランスファトルク構造を利用する。この構造100は、固定磁化方向の第1の磁性層110と、金属、絶縁材料又は半導体材料の非磁性スペーサと、可変磁化方向の第2の磁性層130とを備える。私達は、磁性材料とは、その磁気モーメントが長距離秩序を示し、従って非ゼロの瞬時飽和磁化を示す材料であると理解している。磁性材料の例として、Co,Fe,Ni及びそれらの合金又は強磁性材料がある。
第1の変形例によれば、第1の磁性層110(以後、ピン層又は固定層ともいう)は単一の磁性材料、例えば上記の材料の一つからなるものとし得る。また、その磁性特性を向上させるためにこの磁性材料を反強磁性材料と結合させることもできる。
第2の変形例によれば、第1の磁性層110は、磁性材料の層内に挿入された極めて薄い(1nm以下の厚さの)非磁性(NM)層を備えるものとし得る。このNM層は磁性層のスピン依存輸送特性を調整するためにスピン依存界面散乱を発生するように選択される。同様に、この積層構造もその磁性特性を向上させるために反強磁性材料と結合させることができる。
第3の変形例によれば、固定磁性層110は、[Co/Ni]×nのような異なる磁性層の多層膜積層体とすることができる。その磁気特性を向上させるために、この多層膜積層体も反磁性材料に結合させることができる。
第4の変形例によれば、第1の磁性層110は、それらの磁化が互いに反平行又は平行になるように2つの磁性層FM1及びFM2が非磁性層NMを介して結合された[FM1/NM/FM2]×nのような多層膜構造で実現することができる。非磁性層NMの材料及び厚さは、2つの磁性層(例えばRu,Cu,Pt)間の交換結合を仲介するように、及び/又は界面異方性を生じるように選択され、この選択は正確な利用のために必要とされる所望の磁気特性により決まる。その磁気特性を向上させるために、この多層膜積層体も反磁性材料に結合させることができる。このような多相膜構造の例として、合成反強磁性体と呼ばれるCo/Ru/Co及びCoFe/Ru/CoFeがあり、Ruの厚さが適切に選択されている場合、2つのFM層は反平行に結合される。別の例は(Co/Pt)×nの多層膜であり、この場合にはFM層は平行に結合され、Co及びPt層の厚さが適切に選択され及び最適化されている場合、磁化は面外異方性を有する。
第5の変形例によれば、第1の磁性層は上述した変形例の任意の組合せとすることができる。
いずれにせよ、第1の磁性層は強い面外異方性と強いスピン偏極とを示す必要がある。磁化ベクトルMpは好ましくは層の平面に垂直に選択される。しかし、斜め磁化方向、即ち層の平面から外への(面外)磁化方向も等しく考えられ、本発明の範囲に含まれる。
第2の磁性層(以後、自由層ともいう)130は上述した5つの変形例の何れかに従って実現することができる。
非磁性スペーサは、Cuのような非磁性金属の薄い層、Al又はMgOの薄い非磁性絶縁トンネル障壁層又は任意の酸化物層又は薄い非磁性半導体層とすることができる。薄い非磁性層とは、ここでは、この層の厚さが、電子が非磁性金属内を移動する際に十分なスピン偏極が維持されるように、金属スピン拡散長より小さいことを意味する。絶縁材料の薄い層とは、ここでは、電子が障壁をトンネリングする際に十分に強いトンネル効果が得られ、トンネル磁気抵抗値が維持されることを意味する。
接点電極140(例えばCu/Ta,Al,Au又は表面抵抗Rsが十分低い任意の材料からなる)がピン層110の底面及び自由層130の上面にそれぞれ堆積される。密度jのDC電流Iがこれらの電極から構造100内に注入され、即ちスピン偏極された電子がピン層110から非磁性スペーサ120を経て自由層130へと流れ(又は該ピン層から反射され)、磁化ベクトル(以後Mで示す)の歳差運動を誘起する。
この構造の活性部は接点電極の形状又は構造自体の形状によって横方向(面方向)に限定される。後者の場合には、これらの層を任意の形状のピラー(ナノピラー)にパターン化することができ、これらのピラーは、スピントランスファトルク効果が磁化に作用する他の物理的力、例えばピラーを流れる電流により生成されるエルステッド磁場による物理的力より優勢になるように十分に小さい横方向寸法にする。代表的な寸法は100nmである。
磁化ベクトルが自由層又は活性部の全域で均一である(マクロスピンモデル)とすると、磁化ベクトルMの運動は、スピントルクの項を含むランダウ−リフシッツ−ギルバート(landau-Lifschitz-Gilbert)の方程式:
Figure 2010519760
によって表わされる。
ここで、Hは有効磁界、即ち3つの層が有効に経験する磁界であり、pは電子偏極方向に沿うユニタリベクトルであり、αは減衰係数であり、γは磁気回転比を示し、a(θ)は
Figure 2010519760
であり、jは構造を流れる電流密度である。
有効磁界Hは外部磁界Hextと、減磁界Hd、即ち磁化ベクトルM自体により発生される磁界と、自由層内に異方性磁気エネルギー分布を生じる異方性磁界Huとの和である。
方程式(3)の右辺の最初の項は磁化ベクトルの歳差運動に関するものである。第2の項は磁化ベクトルの運動に伴うエネルギー消費を表わす。第3の項はスピン偏極された電子の注入により誘起されるスピントランスファトルクを示す。
説明のために、以下において、ピン層の磁化ベクトルMp、従って偏極ベクトルpは層面に垂直であるとする。しかし、本発明はこの特定の場合に限定することを意図しない。
図2は、自由層の磁化ベクトルMに作用する種々のトルク成分を示す。
有効磁界は、層の面内にあり、軸Oxに平行であるとする。更に、異方性磁界Huも正のx軸方向に向いているとする。
偏極ベクトルpと磁化ベクトルMとの間の角度はθで示される。磁化ベクトルMの投影と正のx軸との間の角度はφで示される。方程式(3)の第1の項は、ベクトルMを軸Ozを中心に(ここでは時計方向の)歳差運動させるトルクTzである。この方程式の第2の項は、ベクトルMを層の面、即ちその最小エネルギーの位置(θ=0;φ=0又はπ)に向けプルしようとする、回転軸Oyφを中心とするトルクTyφである。この方程式の最後の項は、スピン偏極された電子により誘起されるトルクT’yφであり、このトルクは磁化ベクトルMを平面外にプルし、偏極ベクトルpと整列させようとする。スピントランスファトルクT’yφが減衰トルクTyφと平衡する場合、一定の角度θで歳差運動が生じさせることができる。
3つのトルクT,Tyφ,T’yφの複合作用は一般に極めて複雑である。この複合作用は、第1に、スピン偏極された電流の値及び有効磁界の値に依存する。
最初に、電流はゼロであるものとする。磁化ベクトルの初期状態は最小エネルギーの平衡状態にあり、即ち磁化ベクトルは有効磁界と整列している。換言すれば、磁化ベクトルはx軸の正方向又は負方向(φ=0又はφ=π)に向いている。
電流密度が増大すると、磁化ベクトルMは静的に元の位置から離れる方向に向くが、それでもなお本質的には層の平面内、即ちθ=0及びφ≠0、φ≠πに位置する。
電流密度が第1のしきい値jc1に達すると、磁化ベクトルMは層の面から引きずり出され、Oz軸を中心に連続的に歳差運動し始める。第1のしきい値jc1は、
Figure 2010519760
で近似できる。ここで、Hu及びHextはそれぞれ異方性磁界及び外部磁界である(x軸の正方向に向いている場合に正である)。式(5)内の±符号は磁化ベクトルの初期方向により決まり、φ=0の場合符号は正であるが、φ=πの場合符号は負である。言及しないが、jc1の符号は注入電流の符号である。
歳差運動円錐の半角は、スピントルクと減衰トルク、即ち方程式(3)の第3項と第2項を等式にすることによって与えられ、次の方程式が得られる。
Figure 2010519760
ここで、a(θ)はa(π/2)でほぼ近似できる。
関連する歳差運動周波数、即ちスピントランスファトルク発振器の周波数はほぼ
Figure 2010519760
で与えられる。
電流密度が更に増大すると、磁化ベクトルが面外に益々引き出され、即ち角度θが0又はπに近づく。しかし、電流密度が第2のしきい値jc2に達すると、磁化ベクトルMの面外成分Mzは飽和し、即ちMz=Msになり、歳差運動は停止する。従って、磁化ベクトルMは安定な面外状態になり、振動が消滅する。
第2のしきい値jc2は、
Figure 2010519760
として表わすことができる。
式(8)からわかるように、第2のしきい値は外部磁界Hextの値に依存しない(これは外部磁界が減磁界4πMの約半分より小さい限り成り立つ)。図3は、自由層の状態図をスピン偏極された電流及び外部磁界Hextの強度の関数として概略的に示す。
3組の臨界線が識別され、それぞれjc1,jc2,jc3で示されている。
第1組の臨界線jc1は電流密度の第1のしきい値に対応する。磁化ベクトルが最初に正のx軸と整列している場合(φ=0)又は負のx軸と整列している場合(φ=π)にそれぞれ対応する2つの部分に区別することができる。各部分はゼロ電流軸を中心に対称であり、この部分を構成する2つの線は互いに反対の電流方向に対応する。
第2組の臨界線jc2は電流密度の第2のしきい値に対応する。この組の2つの線は互いに反対の電流方向に対応する。
第1及び第2組の臨界線は状態図内に4つの領域OPP+,OPP−,OPS+,及びOPS−を定める。
3角形状の領域OPP+,OPP−はそれぞれ上半部空間(θ<π/2)及び下半部空間(θ>π/2)における磁化ベクトルの面外歳差運動状態に対応する。動作点がOPP+又はOPP−内に位置するとき、即ちjc1<|j|<jc2の場合には、構造は発振器として働く。
領域OPS+及びOPS−は上半部及び下半部空間における磁化ベクトルの面外安定静状態にそれぞれ対応する。もっと正確に言えば、動作点がOPP+又はOPP−領域内に位置するとき、電流(絶対値)が増大すると、自由層が安定な面外磁化領域OPS+又はOPS−に入る。
図中の残された空白領域は安定な面内静状態に対応し、IPSは正のx軸と整列した初期磁化ベクトル(φ=0)の場合、IPSπは負のx軸と整列した初期磁化ベクトル(φ=π)の場合、IPSは上記の両方の場合に対応する。動作点がこれらの領域内に位置しているとき、電流密度(絶対値)が増大すると、磁化ベクトルがその最小エネルギー方向(φ=0又はφ=π)から最終的に第1のしきい値又は第2のしきい値に到達するまで面内で回転し、自由層の面外へ移動し始める。
第3組の臨界線j3cも方程式(3)の解から導出される。これらの線の位置は固定ではなく、電流の上昇時間に依存する。上及び下の臨界線jc3は水平線Hext=Hu又はHext=−Huで垂直方向に境界される。
臨界線jc1及びjc3は状態図内に4つの領域(1)〜(4)を定める。領域(1)又は(2)は、φ=0の初期磁化に対して面内安定静状態に対応するが、φ=πの初期磁化に対して上半部又は下半部空間領域において面外歳差運動状態である。同様に、領域(3)又は(4)はφ=πの初期磁化に対して面内安定静状態に対応するが、φ=0の初期磁化に対して上半部又は下半部空間において面外歳差運動状態である。
本発明は、図4に示す2つの双安定領域の発見に基づくものである。この図は、図3と同一の状態図を示し、図4では明瞭のためにほとんどの参照符号が省略されている。
第1の双安定領域は薄灰色に着色されている。この領域は、第2組の臨界線jc2と、ゼロ電流軸を中心に対象に位置するが3角形状の領域OPP+及びOPP−を含まない2つの線からなる第4組の臨界線jc4との間に含まれる。
従って、第1の双安定領域は次の制約:
Figure 2010519760
によって定められる。ここで、Hは第1の臨界線が第2の臨界線と交差する点におけるHextの値を示す。この値は、式(8)に従って、電流jの符号に応じて相違しうる点に注意されたい。
この第1の双安定領域においては、面外歳差運動状態OPP(即ちOPP+又はOPP−)と面内静状態が両方とも安定である。状態のタイプは磁化ベクトルの前歴により決まる。もっと正確に説明すると、第1の双安定領域に入る際に磁化ベクトルが歳差運動OPP(|Hext|<H)にあった場合、磁化ベクトルは歳差運動状態にとどまる。逆に、第1の双安定領域に入る際に磁化ベクトルが静IPS状態にあった場合、磁化ベクトルはIPS状態にとどまる。
第2の双安定領域は濃い灰色に着色されている。この領域は、第2組の臨界線jc2と第1組の臨界線jc1との間に含まれ、次の制約:
Figure 2010519760
で表わされる。
この第2の双安定領域においては、面外静状態(OPS)と面内静状態(IPS)が両方とも安定である。ここでも、状態のタイプは磁化ベクトルの前歴により決まる。第2の双安定領域に入る際に磁化ベクトルがOPS状態にあった場合、磁化ベクトルはOPS状態にとどまる。逆に、第2の双安定領域に入る際に磁化ベクトルがIPS状態にあった場合、磁化ベクトルはIPS状態にとどまる。
ここで、動作点が最初に領域jc1<jc2内に位置する場合、即ち|Hext|<Hの場合について考察する。
最初に、歳差運動状態(OPP)と静状態(IPS)との間の遷移はヒステリシスであり、静状態から歳差運動状態への遷移は第1組の臨界線により決まり、歳差運動状態から静状態への遷移は第4組の臨界線により決まることに注目することが重要である。
このヒステリシス挙動は、例えばサイクルa→b→a→c→aで示される。その全サイクルは一定の外部磁界値Hopにおいて起こり、この外部磁界値はゼロにしてもよい。
出発状態(a)は静状態と仮定する。これは、一般に、出発状態はIPS領域内、即ち磁化ベクトルの初期角度がφ=0である領域(1)又は(2)内、又は磁化ベクトルの初期角度がφ=πである領域(3)又は(4)内に位置することを意味する。本例では、(a)はφ=0の領域(1)内に位置するが、他の場合も同等に考えられる。
電流(絶対値)は最初に上昇され、動作点が領域OPP+内に位置する状態(b)に移動する。第1の臨界線jc1が横切られるので、歳差運動が起こり、構造は振動電圧を発生する。
電流は次に減少され、動作点が第1の臨界線を横切って戻り、低電流密度の状態、例えば初期状態(a)に到着し、この状態では電圧が振動を維持する。従って、ヒステリシス挙動のために、構造は振動電圧を第1のしきい値より低い電流密度で発生し続ける。
振動を停止させるためには、電流(絶対値)を、動作点が第4の臨界線jc4(以後第3のしきい値という)を横切るように低下させるだけで十分である。状態(c)において、磁化ベクトルは静状態になる。動作点が双安定領域、例えば初期状態(a)に戻されても、磁化ベクトルは静状態に維持される。
構造の動作が図の左上四半部内に位置するサイクルで示されているが、他のサイクルを他の3つの四半部において必要な変更を加えて行うことができること明らかである。
従って、本発明の第1の実施例によれば、
・ スピントランスファ構造の動作点を、自由層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる双安定領域内に設定し(例えば状態(a))、
・ 電流密度(絶対値)を該電流密度が第1のしきい値(|jc1(Hop)|)を横切るまで増大させて、自由層の磁化ベクトルの歳差運動を誘起させ(状態b)、
・ 電流密度(絶対値)を該電流密度が前記第1のしきい値を横切るまで減少させて、自由層の磁化ベクトルを前記歳差運動状態に維持することによって、
スピントランスファトルク構造を低い電流密度で発振器として動作させることができる。
発振器をスイッチオフするためには、電流密度が第2のしきい値(|jc4(Hop)|)を横切るまで、即ち動作点が前記第1の双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域内に移動するまで電流密度(絶対値)を減少させる(状態(c))。更なる動作サイクルのために、次に電流(絶対値)を増大させることによって動作点を第1の双安定領域内に戻すことができる(状態(a))。
従って、第1の実施例によれば、スピントランスファトルク発振器は、適切な極性で、第1のしきい値を横切らせるのに十分な大きさの電流パルスを供給することによってターンオンすることができる。逆に、この発振器は、反対極性で第1のしきい値を横切らせるのに十分な大きさのパルスを供給することによってスイッチオフすることができる。
図5は、本発明の第2の実施例による、スピントランスファ構造を発振器として動作させる方法を示す。
この図は一定の電流密度値jopで実行される動作サイクルの一例a→b→a→c→aを示す。
出発状態(a)は静状態であるとする。つまり、第1の実施例の場合と同様に、出発状態はIPS領域内、即ち磁化ベクトルの初期角度がφ=0である領域(1)又は(2)内、又は磁化ベクトルの初期角度がφ=πである領域(3)又は(4)内に位置する。本例では、状態(a)はφ=0の領域(2)内に位置するが、他の場合も同等に考えられる。
歳差運動が開始する|jop|>|jc1(Hdown)|となるように外部磁界をしきい値Hdownを横切るまで減少させて、その結果構造が振動電圧を発生するようにする。本例では、動作点は領域(4)内の状態bに移動する。磁化ベクトルの初期角度はφ=0であったため、この動作点も安定な面外歳差運動状態に対応する。
発振を停止させるためには、|jop|<|Hjc4(Hup)|となるように、即ち動作点が第4の臨界線jc4を横切るように、外部磁界Hextをしきい値Hupを横切るまで増大させる。状態(c)において、磁化ベクトルは静ベクトルである。動作点を双安定領域、例えば初期状態(a)に戻しても、磁化ベクトルは静ベクトルのままである。
従って、本発明の第2の実施例によれば、
・ スピントランスファ構造の動作点を、自由層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる双安定領域内に設定し(例えば状態(a))、
・ 外部磁界を該磁界が第3のしきい値(Hdown)を横切るまで変化させて、自由層の磁化ベクトルの歳差運動を誘起させ(状態b)、
・ 外部磁界を該磁界が前記第3のしきい値を横切るまで逆方向に変化させて、自由層の磁化ベクトルを前記歳差運動状態に維持することによって、
スピントランスファトルク構造を低い電流密度で発振器として動作させることができる。
発振器をスイッチオフするためには、外部磁界を該磁界が第4のしきい値(Hup)を横切るまで前記反対方向に変化させて、動作点を前記第1の双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域内に移動させる(状態(c))。次に、外部磁界を該磁界が前記第4のしきい値を横切るまで前記所定の方向に変化させることによって動作点を第1の双安定領域に戻すことができる。このとき発振器は更なる動作サイクルのための準備が整う。
従って、第2の実施例によれば、スピントランスファトルク発振器は、適切な極性で第3のしきい値を横切らせるのに十分な大きさの磁界パルスを供給することによってターンオンすることができる。逆に、この発振器は、反対極性で第4のしきい値を横切らせるのに十分な大きさを有するパルスを供給することによってスイッチオフすることができる。
図6は、本発明の第3の実施例による、スピントランスファ構造を発振器として動作させる方法を示す。この実施例では、スピントルク発振器は、所定の極性の電流パルスを供給することによってスイッチオンされ、所定の極性の外部磁界パルスを供給することによってスイッチオフされる。
更に具体的に言うと、図6は動作サイクルa→b→a→c→aを示し、そのスイッチオン半サイクルa→b→aは第1の実施例のスイッチオン半サイクルa→b→aと同一であるが、そのスイッチオフ半サイクルa→c→aは第2の実施例のスイッチオフ半サイクルa→c→aと同一である。
図7は、本発明の第4の実施例による、スピントランスファ構造を発振器として動作させる方法を示す。この実施例では、スピントルク発振器は、所定の極性の外部磁界パルスを供給することによってスイッチオンされ、所定の極性の電流パルスを供給することによってスイッチオフされる。
更に具体的に言うと、図7は動作サイクルa→b→a→c→aを示し、そのスイッチオン半サイクルa→b→aは第2の実施例のスイッチオン半サイクルa→b→aと同一であるが、そのスイッチオフ半サイクルa→c→aは第1の実施例のスイッチオフ半サイクルa→c→aと同一である。
次に、動作点が最初にjc1>jc2の領域、即ち|Hext|>Hの領域内に位置する場合について考察する。この領域におけるスピントルク構造の動作をより良く図解するために、jc1(Hext=0)が前実施例の場合より小さい状態が図8に示されている。
c2(Hext=0)≦jc1(Hext=0)の場合、即ち
Hu/2≧α4πM (11)
の場合には、3角形領域OPP+及びOPP−は全く存在しないことを理解されたい。
図8に戻り説明すると、動作サイクルa→b→a→c→aが示されている。全サイクルが一定の外部磁界値Hextにおいて実行される。
開始状態(a)は第1の双安定領域内に位置し、面内静状態(IPS)にあるとする。電流(絶対値)が増大されると、動作点が最初に、IPS状態に維持されたまま、第2の双安定領域を移動し、次いで第1の臨界線jc1を横切り、この点で磁化ベクトルが面外安定状態(OPS)にジャンプし、最終的に状態(b)に到達する。
電流が次に減少され、動作点が逆戻りして第1の臨界線を横切る。動作点が第2の双安定領域を移動するとき、この領域内においてOPS状態が安定であるため、磁化ベクトルはOPS状態のままである。しかし、動作点が逆戻りして第2の臨界線を横切り、第1の安定領域に入ると、安定化ベクトルが不安定になり、歳差運動を開始する。動作点はOPP状態に維持されたまま状態(a)に到達する。
発振器をスイッチオフするために、電流(絶対値)が第4のしきい値jc4を横切るまで減少される。動作点は第1の双安定領域を離れ、静状態のみが安定である領域に入る。更なる動作サイクルのために電流(絶対値)を増大させることによって、動作点は次に第1の双安定領域に戻る(状態(a))。
従って、本発明の第5の実施例によれば、
・ スピントランスファ構造の動作点を、自由層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる第1の双安定領域内に設定し(例えば状態(a))、
・ 電流密度(絶対値)を、該電流密度が第1のしきい値(|jc1(Hop)|)横切るまで増大させて、磁化ベクトルを自由層の面外に移動させ(状態b)、
・ 電流密度(絶対値)を、該電流密度が第2の臨界線を横切るまで減少させて、自由層の磁化ベクトルを歳差運動状態にさせることによって、
スピントランスファトルク構造を低い電流密度で発振器として動作させることができることが理解されよう。
従って、第1の実施例と同様に、このスピントランスファトルク発振器は、反対極性及び十分大きな振幅を有するパルスを供給することによってターンオン及びオフすることができる。
図9は、本発明の第6の実施例による、スピントランスファ構造を発振器として動作させる方法を示す。
この実施例は第6の実施例と、発振の停止が第3の実施例と同様に外部磁界パルスを供給することによって行われる点が相違するのみである。
最後に、jc1<jc2の領域においても、第2及び第4の実施例が等しく適用される。
本発明のすべての実施例において、発振器は、動作点を第1の臨界線を所定の方向に横切らせ、次いで逆方向に戻すことによってターンオンされる点に注意されたい。同様に、発振器は、動作点を第4の臨界線を所定の方向に横切らせ、次いで逆方向に戻すことによってターンオフされる。
いずれの実施例においても、発振器をターンオン及びオフするセットアップ時間は本質的に電流/磁界パルスの立上り及び立下りエッジの持続時間により制限され、数拾ピコ秒又はそれ以上にすることができる。パルスの持続時間は、磁化ベクトルがOPP又はOPS状態で安定化するのに十分な長さにする必要がある。
更に、発振器の周波数は動作点を適切に設定することによって調整することができる。実際には、周波数は1〜10GHzの範囲に亘って調整することができるが、周波数は正確な材料パラメータに依存してもっと高く又は低くすることができる。
従って、本発明は、例えばレーダ分野又は無線通信分野用のゲートRF源及び/又は周波数ホップ源を実現するために使用することができる。

Claims (18)

  1. 固定磁化ベクトルを有する磁性材料の第1の層と、非磁性材料のスペーサと、自由磁化ベクトルを有する磁性材料の第2の層とを備えるスピントランスファトルク構造を、前記構造に電流を供給することによって、電圧振動を発生するように動作させる方法であって、該方法は、
    ・ 前記構造の動作点を、前記第2の層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる双安定領域内に設定するステップ、
    ・ 電流(絶対値)を第1のしきい値より上に増大させて、前記第2の層の磁化ベクトルの歳差運動を誘起させるステップ、及び次に
    ・ 電流(絶対値)を前記第1のしきい値より下に減少させて、前記第2の層の磁化ベクトルを前記歳差運動状態に維持するステップ、
    を具えることを特徴とするスピントランスファトルク構造の動作方法。
  2. 固定磁化ベクトルを有する磁性材料の第1の層と、非磁性材料のスペーサと、自由磁化ベクトルを有する磁性材料の第2の層とを備えるスピントランスファトルク構造を、前記構造に電流を供給することによって、電圧振動を発生するように動作させる方法であって、該方法は、
    ・ 前記構造の動作点を、前記第2の層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる双安定領域内に設定するステップ、
    ・ 電流(絶対値)を第1のしきい値より上に増大させて、前記第2の層の磁化ベクトルを該層の面外に移動させるステップ、及び次に
    ・ 電流(絶対値)を前記第1のしきい値より下に減少させて、前記第2の層の磁化ベクトルを安定な歳差運動状態にするステップ、
    を具えることを特徴とするスピントランスファトルク構造の動作方法。
  3. 前記電流を増大させ、次に減少させるステップは電流パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記第2の層の面内に磁界(Hext)を供給するステップを更に具えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. 前記動作点が前記双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域に移動するまで前記電流(絶対値)を減少させることによって、前記電圧振動を停止させるステップを更に具えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  6. 前記電圧振動を停止するステップは、電流パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記動作点が前記双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域に移動するまで磁界を所定の方向に変化させることによって、前記電圧振動を停止させるステップを更に具えることを特徴とする請求項4記載の方法。
  8. 前記電圧振動を停止するステップは、磁界パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 固定磁化ベクトルを有する磁性材料の第1の層と、非磁性材料のスペーサと、自由磁化ベクトルを有する磁性材料の第2の層とを備えるスピントランスファトルク構造を、前記構造に電流(jop)を供給するとともに前記第2の層の面内に磁界(Hext)を供給することによって、電圧振動を発生するように動作させる方法であって、該方法は、
    ・ 前記構造の動作点を、前記第2の層の磁化ベクトルが安定な静状態又は安定な歳差運動状態の何れかになることができる双安定領域内に設定するステップ、
    ・ 前記磁界が第3のしきい値を横切るまで前記磁界を所定の方向に変化させて、前記第2の層の磁化ベクトルを歳差運動させるステップ、及び次に
    ・ 前記磁界が前記第1のしきい値を横切るまで前記磁界を反対方向に変化させて、前記第2の層の磁化ベクトルを前記歳差運動状態に維持するステップ、
    を具えることを特徴とするスピントランスファトルク構造の動作方法。
  10. 前記磁界を前記所定の方向に変化させ、次に前記反対方向に変化させるステップは磁界パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 前記動作点が前記双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域に移動するまで前記磁界を前記反対方向に変化させることによって、前記電圧振動を停止させるステップを更に具えることを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
  12. 前記電圧振動を停止するステップは、磁界パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 前記動作点が前記双安定領域から前記磁化ベクトルの静状態のみが安定である領域に移動するまで前記電流(絶対値)を減少させことによって、前記電圧振動を停止させるステップを更に具えることを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
  14. 前記電圧振動を停止するステップは、電流パルスを供給することによって実行することを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記第1の層の前記磁化ベクトルはこの層の面に垂直であることを特徴とする請求項1−14の何れかに記載の方法。
  16. 前記スペーサは非磁性材料の層であることを特徴とする請求項1−15の何れかに記載の方法。
  17. 前記スペーサは絶縁材料の層であることを特徴とする請求項1−15の何れかに記載の方法。
  18. 前記磁性材料の第1の層及び前記磁性材料の第2の層は強磁性材料からなることを特徴とする請求項1−18の何れかに記載の方法。
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