JP2010515755A - 気道過敏および喘息を処置するためのil−31の使用法 - Google Patents

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Abstract

喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するための、IL-31を含むIL-31アゴニストの使用。本方法は、炎症誘発性サイトカインの産生を阻害するか、低下させるか、制限するか、または最小化することを含み、かつ喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎の状態をもたらす感作またはチャレンジの間のIL-31アゴニストの投与を含む。

Description

発明の背景
喘息は、1700万人以上のアメリカ人に影響を与えている慢性肺疾患である。喘息は、空気通路を囲む筋肉の炎症によって引き起こされる断続的な気管支痙攣を伴う気道の炎症を特徴とする。呼吸が極めて困難となるため、喘息の発作は生命に関わる。喘息は、慢性疾患であり、継続的な管理および適切な処置を必要とする。
喘息の症状には、咳、胸苦しさ、呼吸困難、および喘鳴が含まれる。喘息は、アレルゲン、タバコの煙、強い芳香、呼吸器感染、天候の変化、ウイルス感染、副鼻腔感染、運動、ストレス、逆流症(食道(esophagus)すなわち食道(food pipe)における胃酸の逆流)、薬物治療、食品、および感情的不安のような多様な刺激によって誘発され得る。
喘息の異なる分類には以下のものが含まれる:アレルゲンに曝された場合に気道炎症によって引き起こされるアレルギー性喘息;激しい活動によって誘発された場合に気道が狭くなる運動誘発性喘息;咳喘息、呼吸困難を伴わない慢性の持続性の咳;および特定の職業環境における労働と関係のある職業性喘息。
喘息の管理には、慢性の厄介な症状の防止;「正常な」呼吸の維持;運動を含む正常な活動レベルの維持;再発性喘息の再発の防止、および救急受診または入院の必要性の最小化、および有害な効果がない、または最小限の有害な効果を伴う最適の薬物治療の提供を含む、いくつかのアプローチが含まれる。喘息管理には、喘息の症状を防止し、制御し、かつ気道炎症を低下させるための妥当な薬物治療または薬物治療の組み合わせの使用が含まれる。従って、喘息薬物治療は、二つの一般的なクラス、即効型の薬物治療および長期管理型の薬物治療に分類される。症状の一時的な軽減を提供するために使用される即効型の薬物治療には、ベータアゴニストおよび抗コリン作用薬のような気管支拡張薬、ならびに副腎皮質ステロイドが含まれる。長期管理型の薬物治療は、持続性の喘息における気道炎症を制御するために毎日摂取される。このクラスには、炎症を阻害または防止するための副腎皮質ステロイドの吸入が含まれる。
従って、喘息および気道過敏の管理における、さらなる処置オプションの必要性が存在する。本発明は、この疾患の管理を補助するためのサイトカインの使用を提供する。
発明の説明
本発明は、IL-31により処理された気道過敏(AHR)のモデルマウスが、媒体処理対照と比較して、より少ないAHRを示したという発見、およびIL-31処理が、恐らくIL-5およびIL-13のダウンレギュレーションを通して、アレルギー性喘息のマウスモデルにおける疾患の病原を減少させるという発見に一部分基づく。さらに、本発明は、IL-31の投与のタイミングおよび投薬量が、喘息およびAHRを処置するためのIL-31の使用において重要であるという予想外の所見を教示する。従って、本発明は、喘息、急性呼吸促迫、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、および呼吸器疾患を処置するためのIL-31の使用を包含する。
IL-31とは、公開された米国特許出願においてZcyto17rligとして以前に記載されたサイトカインのHUGO名である(参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20030224487号、2003年1月21日出願の米国特許出願第10/352,554号、発行済みの米国特許第7,064,186号;Sprecher, Cindy et al., 2003を参照されたい)。IL-31のためのヘテロ二量体受容体は、IL-31RaとオンコスタチンM受容体ベータ(OSMRb)との間で形成されたヘテロ二量体を含む。IL-31Raとは、参照によって本明細書に組み入れられる同一所有者の米国特許出願公開第20030215838号、2003年1月21日出願の米国特許出願第10/351,157号においてzcytor17と呼ばれているタンパク質のHUGO名である。ヒトIL-31のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:1および2にそれぞれ示される。マウスIL-31のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:3および4にそれぞれ示される。本明細書において使用されるように、IL-31という用語は、上に示されたような米国特許公開第20030224487号において使用されているようなzcytor17ligを意味するものとする。IL-31Raは、参照によって本明細書に組み入れられる2001年6月26日出願の同一所有者の米国特許出願第09/892,949号に以前に記載されている。
IL-31のシステイン変異体は、2006年10月12日公開の、やはり参照によって本明細書に組み入れられる米国特許公開第2006-0228329号に記載されている。成熟ヒトIL-31ポリペプチドの分子は、成熟ポリペプチドアミノ酸配列のシステイン残基間にジスルフィド結合を有することができる。これらの3個のシステインのうちのいずれかの変異は、1個のジスルフィド結合のみを形成する変異型のヒトIL-31タンパク質をもたらす。これらの位置におけるシステインは、例えば、セリン、アラニン、トレオニン、バリン、またはアスパラギンに変異させられ得る。
OSMR受容体およびIL-31RA受容体のアミノ酸配列は、コードされた受容体が、IL-2、IL-4、IL-7、Lif、IL-12、IL-15、EPO、TPO、GM-CSF、およびG-CSFの受容体を含む(がこれらに限定はされない)クラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属することを示した(概説については、Cosman, "The Hematopoietin Receptor Superfamily" in Cytokine 5(2): 95-106, 1993を参照されたい)。zcytor17受容体は、同一所有者のPCT特許出願第US01/20484号(WIPO公開第WO02/00721号;参照によって本明細書に組み入れられる)に完全に記載されている。
本発明は、喘息および/またはAHRを処置するための、IL-31活性を有する、アゴニスト、変異体、および断片を含むIL-31分子の使用を含む。本発明は、対象にIL-31分子を投与することを含み、ヒトのための治療的使用および獣医学的な治療的使用の両方を企図する。例示的な獣医学的対象には、家畜(farm animal)および家畜(domestic animal)のような哺乳動物対象が含まれる。
「長鎖」型のIL-31RAのネイティブのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:5および6にそれぞれ示される。「短鎖」型のIL-31RAのネイティブのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:7および8にそれぞれ示される。IL-31RAポリペプチドのさらなる短縮型が、天然に発現されているようである。いずれの型も、可溶性IL-31RA受容体をコードする。「長鎖」可溶性IL-31RAのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:9および10にそれぞれ示される。「短鎖」可溶性IL-31RAのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:11および12にそれぞれ示される。マウスIL-31RAのネイティブのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:13および14にそれぞれ示される。ヒトOSMRbetaのネイティブのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、SEQ ID NO:15および16にそれぞれ示される。いずれも参照によって組み入れられるPCT出願WO02/00721およびWO04/003140を参照されたい。
アレルギー性喘息においては、アレルゲンの吸入が、CD4+ Tリンパ球が中心的な役割を果たすと考えられる炎症カスケードに至る。喘息の病原におけるCD4+ T細胞の重要な寄与は、IL-4、IL5、IL-9、およびIL-13のようなTh2型サイトカインの研究によって強調された。これらのサイトカインは、接着分子および炎症性ケモカインの産生のアップレギュレーションを媒介し、それにより免疫細胞動員、好酸球の脱顆粒、IgEの合成、および平滑筋の反応性亢進を媒介することができる(概説1)。IL-4およびIL-13は、受容体複合体において共通のIL-4Rα鎖を共有する構造的に関連している分子である。Lin J. et al., Immunity 2:331-9, 1995;Smerz-Bertling C., and Duschl A., J. Biol. Chem. 270:966-70, 1995;およびZurawski S. et al., J. Biol. Chem. 270:13869-78, 1995を参照されたい。それらは重複する機能を示し、いずれもアレルギー性疾患に関連しているが、IL-4欠損動物における研究は、IL-13がAHRの誘導にとって特に重大であり得ることを証明した。Grunig G. et al., Science 282:2261-3, 1998;Herrick C. et al., J. Immunol. 170:2488-95, 2003;およびWills-Karp M. et al., Science 282:2258-61, 1998を参照されたい。IL-5は、好酸球の成熟、分化、活性化、および生存にとって中心的である。気道好酸球増加症の発症は、気道粘膜におけるIL-5発現の増加、ならびに管腔液中および血清中のIL-5の濃度の上昇に関連している(Liu L. et al., J Allergy Clin. Immunol.: 106: 1063-9, 2000;およびKelly E. et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med.l56: 1421-8, 1997)。さらに、マウスにおける研究は、喘息のマウスモデルにおける枯渇を通して、好酸球増加症におけるIL-5の役割を示した(Saito H. et al., J. Immunol. 168:3017-23, 2002;Tanaka H. et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 19:19, 2004;およびTomaki M. et al., Pulm. Pharmacol. Ther. 15: 161-8, 2002)。従って、Th2により媒介されるサイトカインは、アレルギー性疾患を特徴づける炎症の発生において重要な役割を果たしている。
IL-31は、Th1偏向細胞と比較して、活性化されたTh2細胞によって、より優勢に産生されることが見出されている(Dillon et al., 2004)。アレルゲン誘発性喘息のモデルに曝されたマウスからの肺組織のその後の分析は、IL-31の受容体、IL-31RAのアップレギュレーションを示し、このことから、IL-31のアレルギーとの可能性のある関連が示唆された。その研究においては、製造業者の指示に従ってRNeasy Midiキット(Qiagen, Valencia, CA)を使用して、ヒトIL-31処理A549細胞、IL-31処理SK-LU-1細胞、および未処理対照細胞からRNAが単離された。IL-31により処理された細胞およびそれぞれの対照細胞の遺伝子発現プロファイリングが、GEArray QシリーズcDNA発現アレイ(SuperArray Inc., Bethesda, MD)を使用して実施された。QシリーズcDNA発現アレイは、特異的な生物学的経路に関連したcDNA断片、または類似の機能もしくは構造的特色を有する遺伝子を最大96個含有している。処理細胞および対照細胞からのアレイの比較は、特定の遺伝子のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションの決定を可能にする。プローブ標識、ハイブリダイゼーション、および検出は、製造業者の指示に従って実施された。化学発光シグナルの検出およびデータ取得は、Lumi-Imagerワークステーション(Roche, Indianapolis, IN)において実施された。得られた画像データは、ImageQuant 5.2(Amersham Biosciences, Inc., Piscataway, NJ)およびGEArray Analyzer 1.2(SuperArray Inc., Bethesda, MD)ソフトウェアを使用して分析された。ヒトインターロイキンアレイおよび受容体QシリーズHS-014Nアレイからの結果の分析は、規準化の後に、IL-31処理ヒトSK-LU-1細胞におけるIL13RA2シグナルのおよそ4.7倍の増加およびIL-31処理ヒトA549細胞におけるIL13RA2シグナルのおよそ2.2倍の増加を示した。これらの結果は、IL-31が、SK-LU-1細胞およびA549細胞においてIL13RA2を有意にアップレギュレートしたことを示している。これらは、いずれも、ヒト肺癌に由来する樹立細胞系である(Blobel et al., Virchows Arch B Cell Pathol Incl Mol Pathol., 1984; 45(4):407-29)。より具体的には、A549は、ヒト肺上皮細胞系として特徴決定されている(Lin, et al., J Pharm Pharmacol., 2002 Sep; 54(9): 1271-8;Martinez et al., Toxicol Sci., 2002 Oct; 69(2):409-23)。
活性化されたTリンパ球によって分泌されるサイトカイン、インターロイキン-13(IL13)は、アレルギー性喘息の発現のため、そして気道過敏、好酸球動員、および粘液過剰産生を含む喘息の実験モデルにおける使用のために必要かつ十分であることが証明されている(Wills-Karp et al., Science, 1998;282:2258-2261)。IL13の選択的な中和は、喘息表現型を改善することが示されている(Grunig et al., Science, 1998; 282:2261-2263)。IL13は、ヒト鼻ポリープ上皮および培養鼻上皮におけるムチン遺伝子MUC8発現のアップレギュレーションに関与していることも報告されている(Kimm et al., Acta Otolaryngol., 2002; Sep; 122(6):638-643;Seong et al., Acta Otolaryngol., 2002; Jun; 122(4):401-407)。主要な気道ムチン糖タンパク質MUC8は、ポリープを伴う慢性副鼻腔炎における粘液分泌過多の病原において役割を果たしていることが示されている(Seong et al., Acta Otolaryngol., 2002; Jun; 122(4):401-407)。
機能的には、IL13は、インターロイキン-13受容体アルファ-1鎖(IL13RA1)およびIL-4受容体アルファ(IL4RA)からなる受容体複合体によってシグナル伝達する(Daines and Hershey, J Biol Chem., 2002; 22(12): 10387-10393)。インターロイキン-13受容体アルファ-2(IL13RA2)が、単独で高い親和性でIL13に結合することも示されている(Daines and Hershey, J Biol Chem., 2002; 22(12):10387-10393)。しかしながら、この受容体は、シグナル伝達のために必要な細胞質ドメインを欠いており、従って、デコイ受容体であると考えられる。IL13RA2は、主として、インターフェロン(IFN)-ガンマによる細胞処理の後、細胞内貯蔵庫から迅速に動員され、表面発現され得る細胞内分子であることが示されている。IFN-ガンマ処理後のIL13RA2の表面発現は、タンパク質合成を含んでおらず、IL13シグナル伝達の減弱をもたらす(Daines and Hershey, J Biol Chem., 2002; 22(12): 10387-10393)。
IL-31についての遺伝子発現アレイ分析の結果は、肺上皮由来細胞系のIL-31処理が、IL13RA2遺伝子発現の有意な増加をもたらしたという点で、IL-31の作用がIFNガンマの作用に対して新規であることを示している。従って、IL-31処置は、ポリープを伴う慢性副鼻腔炎を含む、喘息、気道機能亢進(AHR)、およびムチン調節のような、長期的なIL13RA2発現のアップレギュレーションおよびIL13のダウンレギュレーションが望ましい場合に有益であるかもしれない。
本明細書に記載された生理活性アンタゴニストまたは抗体コンジュゲートは、静脈内、動脈内もしくは管内、皮下、局部に送達されてもよいし、または意図された作用部位に局所的に導入されてもよい。
一つの局面において、本発明は、哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置する方法を提供する。一つの態様において、IL-31アゴニストは、(a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するポリペプチド;(b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド;(c)(b)のアナログ;(d)(b)の誘導体;(e)(b)の変異体:および(f)(b)の断片からなる群より選択される。一つの態様において、炎症は、阻害、最小化、防止、または中和される。
本発明は、哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法を提供する。一つの態様において、IL-31アゴニストは、(a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;(b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチドからなる群より選択される。一つの態様において、炎症は、阻害、最小化、または中和される。一つの態様において、IL-31アゴニストは哺乳動物細胞において産生される。もう一つの態様において、IL-31アゴニストは大腸菌(E.coli)において産生される。一つの態様において、IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基は、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている。
一つの局面において、本発明は、IL-31アゴニストが感作またはチャレンジの間に投与される、哺乳動物にIL-31アゴニストを投与することを含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法を提供する。一つの態様において、IL-31アゴニストは、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎に対する前処置として投与されない。一つの態様において、肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生が、阻害、最小化、または中和される。一つの態様において、炎症誘発性サイトカインはIL-5またはIL-13である。一つの態様において、炎症誘発性サイトカインはIL-5およびIL-13である。
一つの局面において、本発明は、(a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および(b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドを投与することを含む、肺炎症性状態における肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生を阻害、最小化、または中和する方法を提供する。一つの態様において、ポリペプチドは哺乳動物細胞において産生される。もう一つの局面において、ポリペプチドは大腸菌において産生される。
本発明は、炎症誘発性サイトカインの減少を生ずるIL-31アゴニストの量を決定することを含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するために使用されるIL-31アゴニストの用量を最適化する方法を提供する。一つの態様において、炎症誘発性サイトカインはIL-5またはIL-13である。もう一つの局面において、炎症誘発性サイトカインはIL-5およびIL-13である。
本発明は、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎の症状を処置、最小化、低下、または阻害するための、(a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;(b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチドからなる群より選択される、IL-31アゴニストを含む薬学的組成物の使用を提供する。
本発明は、(a)喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を有する患者から肺組織またはBAL液の試料を採取する工程;(b)ある量のIL-31アゴニストが試料中の炎症誘発性サイトカインの産生を減少させるか否かを決定するためにインビトロで試料を試験する工程(ここで、炎症誘発性サイトカインの量は、遺伝子発現またはタンパク質のレベルを決定することにより測定される);(c)炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させるのに十分なIL-31アゴニストの投薬量を決定する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するための最適用量を決定するためのキットを提供する。
本発明は、ある量のIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎のような状態においてIL-31Raの発現をダウンレギュレートする方法を提供する。一つの態様において、IL-31アゴニストは、(a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および(b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチドからなる群より選択される。一つの態様において、炎症は阻害、最小化、または中和される。一つの態様において、IL-31アゴニストは哺乳動物細胞において産生される。もう一つの態様において、IL-31アゴニストは大腸菌において産生される。一つの態様において、IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基は、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている。
実施例
実施例1:気道過敏マウスモデルにおけるIL-31の分析
A)感作および気道チャレンジ
6週齢の雌のBALB/cマウスおよびC57B1/6マウスをCharles River Laboratoriesから購入し、SPF条件下で維持した。8〜10週齢のマウスの群を、0日目および7日目に、50%Imject Alum(Pierce)中の10ugのOVA(Calbiochem)の腹腔内注射によって感作した。7日後、マウスを、50ul PBS中の20ugのOVAにより、2日連続で(14日目および15日目)チャレンジした。アレルゲンチャレンジの48時間後、感作された動物の半分から、全肺組織、BAL細胞浸潤物、BAL液、および血清を、さらなる分析のために収集し、残りのマウスを気道過敏(AHR)について査定した。
B)気管支肺胞洗浄
気管支肺胞洗浄液を気管内カニューレ挿入を介して収集した。生理食塩水を肺に徐々に注射し、4×1mlの一定分量で引き出した。BAL細胞を単離するために洗浄液を遠心分離し、上清を後の分析のために凍結させた。BAL細胞ペレットを1ml当たり200万細胞で再懸濁させ、150ulを全細胞数および細胞分画のために使用した。全BAL白血球数は、トリパンブルー排除を使用して光学顕微鏡法を介して各マウスについて決定された。各動物の洗浄液中の細胞分画は、風乾され固定されたサイトスピンスライドのH&E染色(DiffQuik;Merz & Dade, Dubingen, Switzerland)によって決定された。細胞数は、1サイトスピン当たり100個の細胞を調査することにより計算された(Phoenix Laboratories)。異なる白血球の総数は、データ収集から計算された。結果は肺1個当たりの細胞数として表される。
C)気道過敏の測定
気道応答性は、全身プレチスモグラフィ(Buxco, Electronics, Shannon, CT)14を使用して、エアロゾル化メタコリン(MCh)によるチャレンジの後の気道機能の変化として査定された。簡単に説明すると、無拘束の意識のあるマウスを、全身プレチスモグラフィチャンバーに置き、呼吸波形を、5分間、基線を入手するために測定した。基底値が確立された後、マウスを、非チャレンジ対照測定のためエアロゾル化生理食塩水でチャレンジし、次いで増加する濃度(0.075Mから0.3Mまで)のMChでチャレンジした。読み取りは、各噴霧化期間の3分後に、10分間、行われた。データは、無次元パラメーターPehnHを使用して、基底値に対する増加倍率として表される。
D)RNA単離およびリアルタイムTaqMan PCR分析
肺組織およびBAL細胞を、抗原チャレンジの48時間後に動物から収集した。全組織試料およびBAL細胞ペレットを急速凍結させ、RLT緩衝液に再懸濁させ、RNA単離のために処理するまで-80℃で保存した。簡単に説明すると、肺組織をRLT緩衝液(Qiagen)中でホモジナイズし、製造業者(Qiagen, Valencia, CA)の指示通りに市販のRNeasyキットを使用して抽出した。RNAを、製造業者のプロトコルに従って、Taqman RT-PCR試薬(Applied Biosystems, Branchburk, NJ)を使用して、第一鎖cDNAへと転写した。マウスのIL-31、IL-31RA、IL-4、IL-5、IL-13、IFNg、TNFa、CD40、CD40L、クラスII、カテプシンL、IL-13Ra2、MIP-2、IL-8R、エオタキシン、およびOSMRのmRNAのレベルを、多重リアルタイムTaqMan PCRを介して決定した。オリゴヌクレオチドプライマーおよびTaqManプローブは、Primer Expressソフトウェア(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して設計され、施設内で合成された。順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブ配列が作成された。各遺伝子のmRNAのレベルは、Comparative Ct法(User Bulletin # 2, PE Applied Biosystems)を使用して、内部ハウスキーピング遺伝子ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)に対して相対的に計算された。
E)BAL液中および血清中のサイトカイン分析
BAL液上清中および血清試料中のサイトカインレベルは、製造業者の指示に従ってMouse Cytokine LINCOplexキット(LINCO Research, St Charles, MS)およびLuminex100プレートリーダ(Luminex Corporation, Austin, TX)を使用して測定された。サイトカインの定量化は、キットに含まれていたサイトカイン標準物から作成された標準曲線からの回帰分析によって実施された。IL-5およびIL-13の検出の下限値は、それぞれ0.6pg/mlおよび4.7pg/mlであった。
F)浸透圧ポンプによるIL-31投与
マウスIL-31は、BALB/cマウスの背部に皮下移植された浸透圧ミニポンプ(Alzet)によって、14日間、1日当たり20ug(1日当たりおよそ1mg/kg)の用量で送達された。PBS+0.1%BSAが媒体対照として含まれていた。モデルの経過を通したIL-31送達を確実にするために、ポンプは3日目に植え込まれた。
G)マウス肺の組織病理学
肺は、膨張および10%通常緩衝ホルマリン(NBF)への浸漬によって固定された。
ヒト肺の免疫組織化学
5uMの切片を、ChemMate Antibody Dilution Buffer(part# ADB250, Ventana Medical systems)中で、60分間、IL31およびIL31RAの両方について、333ng/mlから1330ng/mlに希釈された一次抗体と共にインキュベートした。組織をTBSTで2回洗浄し、次いで、PBSB(catalog # BA-1000, Vector Labs)中750ng/mlのビオチン化ヤギ抗ウサギAb中で45分間インキュベートした。スライドを洗浄し、Vectastain Elite ABC Reagent(catalog# PK-7100, Vector Labs)中で45分間インキュベートし、TBSTで2回洗浄した。シグナルを室温で10分間DAB+(catalog# K-3468, DakoCytomation)により現像した。次いで、組織スライドをヘマトキシリン(catalog# H-3401 Vector Labs)で対比染色し、脱水し、VectorMount(catalog# H-5000, Vector Labs)でカバーガラスで覆った。
統計分析
BAL分画および血清IgEについての群間の差のレベルを決定するために、分散分析(ANOVA)が使用された。遺伝子発現研究についての群間の差を決定するために、スチューデントt検定が実施された。データは平均値+SDとして表される。差は、p<0.05である場合に、統計的に有意であると見なされた。
結果:
アレルギー性喘息のマウスモデルにおけるIL-31の全身送達は、IL-5およびIL-13のmRNAレベルおよびタンパク質レベルの減少をもたらす。抗原により誘導される喘息のマウスモデルにおける動物からの肺組織およびBAL細胞浸潤物の予備分析は、IL-31の受容体であるIL-31RAをコードするmRNAが、気道抗原チャレンジの48時間後に、肺組織全体および肺細胞浸潤物の両方においてアップレギュレートされたことを示した(Dillon et al., 2004)。
精製されたIL-31が、ミニ浸透圧ポンプの皮下挿入を介して、アレルゲンにより誘導される喘息モデルの過程において14日間20ug/日で送達された。感作されたマウスのアレルゲン吸入の48時間後、本発明者らは、全肺組織、BAL細胞浸潤物、BAL液、および血清を収集した。肺組織およびBAL細胞から単離されたRNAを、IL-31RA、IL-31、IL-4、IL-5、IL-13、IFNg、TNFa、CD40、CD40L、クラスII、カテプシンL、IL-13Ra2、MIP-2、IL-8R、エオタキシン、およびOSMRを含む16種の遺伝子の発現について定量的TaqMan PCRを介して分析した。これらの研究からの結果は、媒体対照処理動物と比較して、IL-31により処理されたアレルゲンにより感作されチャレンジされた動物からの全肺組織におけるIL-5(p 0.013)、IL-13(p 0.003)、およびカテプシンL(p 0.038)のmRNAの有意なダウンレギュレーション、ならびにBAL細胞mRNAにおけるIL-4(p 0.01)、IL-5(p 0.003)、IL-13(p<0.001)、カテプシンL(p 0.007)、クラスII(p 0.005)、CD40(p 0.011)、およびCD40L(p<0.001)の減少を示した。サイトカインについてのBAL液の分析は、IL-5およびIL-13の両方のダウンレギュレーションを確認した(p<0.001)。さらに、IL-31処理は、より低い血清中のIL-5レベルをもたらした。血清IL-13は、対照においてもIL-31処理動物においても検出され得なかった。
IL-31処理は、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の肺炎症および気道過敏の減少をもたらす。アレルギー性喘息の古典的三徴候は、IgE産生、気道過敏(AHR)、および好酸球性炎症を含む。AHRは、アレルギー性喘息のよく確立されている特徴であり、気道粘膜炎症の結果であると考えられている。臨床治検は、T細胞、肥満細胞、単球、好酸球、および好中球を含む活性化された気道炎症細胞の存在、気道組織の形態学的変化と、AHRの重度の発症との間の関係を示唆した(Bradley B., et al., J. Allergy Clin. Immunol.88:661-74, 1991;およびWardlaw A. et al., Am. Rev. Respir. Dis. 137:62-9, 1998を参照されたい)。毎日のIL-31処理の存在下でのアレルゲンによる感作およびチャレンジの後の気道浸潤細胞の分析は、BAL液中のリンパ球(p 0.001)、マクロファージ(p0.029)、および好酸球(p 0.019)の有意な減少をもたらした。ホルマリン固定肺組織の組織学的分析は、IL-31により処理されたマウスからの肺においては、炎症細胞浸潤物および杯細胞過形成が媒体対照より実質的に少ないことを示し、このことから、気道炎症におけるIL-31の有益な効果が示唆された。
全身プレチスモグラフィを介したIL-31処理動物のAHRの分析は、IL-31で処理されたマウスが、媒体処理対照と比較して、より少ないAHRを示すことを示した。IL-31処理マウスまたは媒体処理マウスの間の血清IgEレベルの変化は明白でなかった。従って、これらのデータは、IL-31処理が、恐らくIL-5およびIL-13のダウンレギュレーションを通して、アレルギー性喘息のマウスモデルにおける疾患病原を減少させることを示している。
IL-31RAは、ヒト肺胞マクロファージ、II型肺細胞、および細気管支上皮において発現される。ヒトの喘息肺および正常組織におけるIL-31RAの発現の免疫組織化学的(IHC)分析は、IL-31RAが、肺胞マクロファージ、II型肺細胞(サーファクタントの分泌の原因である上皮由来の細胞型)、および細気管支上皮に存在することを示している。喘息肺組織と正常肺組織との間の比較は、細胞染色パターンの差異を示さなかった。
実施例2:ヒト単球染色
健康ヒトドナーから全血(200ml)を収集し、50mlコニカルチューブにおいてPBSと1:1で混合した。次いで、希釈された血液30mlを、Ficoll Paque Plus(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)15mlに重層した。これらの勾配を、500gで30分遠心分離し、ブレーキをかけずに停止させた。界面にあるRBC枯渇細胞(PBMC)を収集し、PBSで3回洗浄した。下記の選択の前、単離されたヒトPBMCの収量は、300×106個であった。
PBMCを3mlのMACS緩衝液(PBS、0.5%BSA、2mM EDTA)に懸濁させ、1×106細胞をフローサイトメトリー分析のために準備した。本発明者らは、次に、0.45mlの抗ヒトCD14ミクロビーズ(Miltenyi Biotec)を添加し、混合物を4℃で20分間インキュベートした。CD14ビーズにより標識された細胞を、30mlのMACS緩衝液で洗浄し、次いで、1.5ml MACS緩衝液に再懸濁させた。
LSカラム(Miltenyi)を製造業者の指示に従って調製した。次いで、LSカラムをMidiMACS磁場(Miltenyi)に置いた。カラムを3mlのMACS緩衝液により平衡化した。次いで、抗ヒトCD14ミクロビーズにより標識された細胞を、カラムに適用した。CD14陰性細胞を素通りさせた。カラムを10ml(2×5ml)のMACS緩衝液で濯ぎ、濯ぎ液をCD14陰性素通り細胞と共にプールした。次いで、カラムを磁石から除去し、15mlファルコンチューブ内に置いた。5mlのMACS緩衝液を2回カラムに添加することによりCD14陽性細胞を溶出させ、製造業者によって提供されたプランジャーを使用して結合細胞を流し出した。CD14+選択ヒト末梢血単球の収量は、30×106全細胞であった。これらの単球のうち100万個を、フローサイトメトリー分析のために準備した。CD14陰性素通り細胞を計数し、1×106細胞をフローサイトメトリー分析のために準備した。
準備されていた1×106個のPBMC、CD14陽性細胞、およびCD14陰性細胞を染色し、CD14+選択ヒト末梢血細胞の純度を査定するために蛍光標示式細胞分取器(FACS)に流した。FITCコンジュゲート抗ヒトCD19抗体、抗ヒトCD56-PE Ab、および抗ヒトCD11b-CyChrome Ab、および抗ヒトCD3-APC Ab(すべてPharMingen製)を、細胞を染色するために使用した。CD14+選択細胞は88%CD14+であった。PBMCは10%CD14+であり、CD14陰性細胞は0.1%CD14+であった。
ヒトCD14+選択ヒト末梢血単球を、超低接着組織培養プレート(Corning/Costar)で、37℃で、4、8、12、または24時間、rhインターフェロン-ガンマ(IFNg)10ng/ml(R&D)の存在下および非存在下で、RPMI+10%ヒトultraserum(Gemini Bioproducts, Calabasas, CA)中で2×106細胞/mlでインキュベートすることにより活性化した。各時点で、細胞を採集し、ペレット化し、FACS染色緩衝液(PBS、3%ヒトultraserum、1%BSA、10mM HEPES)で1回洗浄し、計数した。
活性化された単球を、以下のようにFACSによって染色した。1×106細胞を、200ug/mlまたはゼロの、特異的および非特異的な抗体ブロッキング試薬(それぞれ、可溶性受容体IL-31RaCEEおよびzVen1CEE)と合わせた。次いで、細胞を2.0μg/mLのビオチン化マウス抗ヒトIL-31Raもしくはビオチン化マウスアイソタイプ陰性対照(Southern Biotechnology)のいずれかと合わせるか、またはFACS緩衝液中で氷上で30分間未染色のまま放置した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、氷上で20分、1:100のFITCコンジュゲート抗ヒトCD14抗体(PharMingen)と組み合わせられた1:400のSA-PE(Jackson Immuno Laboratories)で染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、1:800で7-アミノアクチノマイシンD(Molecular Probes)を含有している400ulのFACS緩衝液に再懸濁させ、CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を使用してBD FACSCaliber上でFACSによって分析した。
マウス抗ヒトIL-31Raのビオチン化は、以下のように行われた。2.45mg/mLのマウス抗ヒトIL-31Ra(clone#276.100.5.5)205μLを、ddH2Oに溶解した2mg/mLのEZ-link Sulfo-NHS-LC-biotin(Pierce, Rockford, IL)15μLと合わせた。この溶液を室温で30分間ロッカー上でインキュベートした。ビオチン化の後、溶液を、PD-10カラム(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)上で精製した。
12時間および24時間、rhIFNgにより活性化されたヒトCD14+選択ヒト末梢血単球は、ビオチン化マウス抗ヒトIL-31Ra試薬+SA-PEとの結合を示した。結合は、12hの時点で最も顕著であった。この結合は、特異的な競合タンパク質IL-31と最初に合わせられた細胞では起こらなかった。SA-PE単独またはビオチン化マウスアイソタイプ陰性対照+SA-PEによる染色は存在しなかった。4hおよび8h、rhIFNgにより活性化されたCD14+選択ヒト末梢血単球においては、ビオチン化マウス抗ヒトIL-31Ra試薬+SA-PEとの結合は観察されなかった。
実施例3:アレルゲンにより誘導される気道過敏に対するIL-31の効果
3.1 材料および方法
3.1.1 マウス
雌BALB/cマウスはCharles River Laboratoriesから購入され、SPF条件下で維持された。使用されたすべての実験動物は、ZymoGeneticsのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルの下にあった。マウスは研究開始時に11週齢であった。
リンパ球特異的プロモーター/エンハンサーEμ/lck、または遍在性プロモーターEF1αによって駆動されたマウスIL31を過剰発現するTgマウスを、インビボのIL-31の効果を評価するために使用した。EF1μTgマウスの血清は0.3〜1.1ng/mlのmIL-31を含有し、Eμ/lck Tgの血清は10〜43ng/mlを含有していた。いずれの型のIL-31 Tgマウスも、およそ4〜8週齢で、立毛とそれに続く軽度〜重度の脱毛からなる著しい皮膚表現型を発症する。また、しばしば、皮膚の擦過傷および病変を誘導するほど十分に過度のマウスの引っ掻き行動によって証明されるように、Tgの皮膚は高度にそう痒症である。
3.1.2 感作および気道チャレンジ
8〜12週齢のマウスを、0日目および7日目に、50%Imject Alum(Pierce)中の10ugのOVA(Calbiochem)100□Lの腹腔内注射によって感作した。1週間後、マウスを、2日連続(14日目および15日目)で、50uL PBS中の20□gのOVAにより鼻腔内チャレンジした。OVAによる鼻腔内チャレンジの48時間後、全肺組織、気管支肺胞洗浄(BAL)細胞浸潤物、BAL液、および血清を動物から収集した。いくつかの実験においては、追加的な動物群をプロトコルに置き、全身プレスチモグラフィ(WBP)によって気道過敏(AHR)について試験した。
3.1.3 浸透圧ポンプによるIL-31投与
BALB/cマウスの背部に皮下移植された浸透圧ミニポンプ(Alzet)によって、7日間または14日間、マウスIL-31を送達した。PBS+0.1%BSAが媒体対照として含まれた。送達されたIL-31の量は後述される。一般に、14日間ポンプによるIL-31の送達は、IL-31がアレルゲン感作期およびチャレンジ期の両方に循環血中に存在することを確実にした。過半数の実験が、大腸菌由来IL-31(SEQ ID NO:17)を用いて実施されたが、BHK由来材料(SEQ ID NO:2)は類似の効果を有することが示された。
3.1.4 気道過敏の測定
気道応答性は、全身プレスチモグラフィ(Buxco, Electronics, Shannon, CT)を使用して、エアロゾル化メタコリン(MCh)によるチャレンジの後の気道機能の変化として査定された。簡単に説明すると、無拘束の意識のあるマウスを、全身プレスチモグラフィチャンバーに置き、呼吸波形を、基線を入手するために5分間測定した。基底値が確立された後、マウスを、非チャレンジ対照測定のためにエアロゾル化PBSによりチャレンジし、次いで増加する濃度のMCh(0.075M〜0.3M)でチャレンジした。読み取りは、各噴霧化期間の3分後に、10分間、行われた。データは、無次元パラメーターPenh(エンハンストポーズ(enhanced pause))を使用して、基底値に対する増加倍率として表される。
3.1.5 気管支肺胞洗浄
気管支肺胞洗浄液は気管内カニューレ挿入を介して収集された。0.5%FBSを含むPBSを、肺に徐々に注射し、3×1mlの一定分量で引き出した。BAL細胞を単離するために洗浄液を遠心分離し、上清を後の分析のために凍結させた。BAL細胞ペレットを、1ml当たり200万細胞で再懸濁させ、150□Lを全細胞数および細胞分画のために使用した。全BAL白血球数は、トリパンブルー排除を使用して光学顕微鏡法を介して各マウスについて決定された。各動物の洗浄液中の細胞分画は、風乾され固定されたサイトスピンスライドのH&E染色(DiffQuik;Merz & Dade, Dubingen, Switzerland)によって決定された。細胞数は、1サイトスピン(Phoenix Laboratories)当たり100個の細胞を調査することにより計算された。異なる白血球の総数は、データ収集から計算された。結果は、肺1個当たりの全細胞数として表される。
3.1.6 RNA単離およびリアルタイムTaqMan PCR分析
肺組織およびBAL細胞を、抗原チャレンジの48h後に動物から収集した。動物からの肺組織は別々に分析されたが、群内の動物からのBAL細胞は、材料が少量であったためプールされた。RLT緩衝液に再懸濁した急速凍結された全組織試料およびBAL細胞ペレットを、RNA単離のために処理するまで-80℃で保存した。簡単に説明すると、肺組織をRLT緩衝液(Qiagen)中でホモジナイズし、製造業者の指示(Qiagen, Valencia, CA)通りに市販のRNeasyキットを使用して抽出した。RNAを、製造業者のプロトコルに従って、TaqMan RT-PCR試薬(Applied Biosystems, Branchburk, NJ)を使用して、第一鎖cDNAへと転写した。オリゴヌクレオチドプライマーおよびTaqManプローブは、Primer Expressソフトウェア(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、設計され、施設内で合成された。順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブ配列が調製された。リアルタイムPCRは、ABI Prism 7900HT(Applied Biosystems)上で384穴プレートでトリプリケートで実行された。リアルタイムデータは、基線および閾値パラメータを手動で調整しながら、SDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して、取得され分析された。各遺伝子のmRNAのレベルは、Comparative Ct法(User Bulletin # 2, PE Applied Biosystems)を使用して、内部ハウスキーピング遺伝子、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)に対して相対的に計算された。
3.1.7 BAL液サイトカイン分析
BAL液上清中および血清試料中のサイトカインレベルは、製造業者の指示に従って、カスタムMouse Cytokine LINCOplexキット(LINCO Research, St Charles, MS)およびLuminex100プレートリーダ(Luminex Corporation, Austin, TX)を使用して測定された。サイトカインの定量化は、キットに含まれていたサイトカイン標準物から作成された標準曲線からの回帰分析によって実施された。
3.1.8 血清IgEの定量化
全IgEおよびOVA特異的IgEの血清中濃度は、ELISAによって測定された。ELISAマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)を、4℃で、PBS中の2ug/ml捕獲抗IgE(Pharmingen cat#553413)100ul/ウェルにより一夜コーティングした。次いで、プレートをRTで15分間、200ul/ウェルのSuperBlock(Pierce cat#37515)によりブロッキングし、次いで、ELISA Cで洗浄した。ELISA B(PBS、1%BSA)で希釈されたIgE標準物(Pharmingen cat#557079)を、500ng/mlから連続2倍希釈で播いた。ELISA Bで1:50希釈された血清試料を、100ul/ウェルで播いた。Ova特異的IgE濃度を測定する場合には、ova/alumにより免疫感作され追加刺激されたマウスからの血清を陽性参照として使用し、未感作マウスからの血清を陰性参照として使用した。参照血清は試料血清と同じ1:50に希釈された。プレートを、4℃で一夜インキュベートし、次いで、ELISA Cで洗浄した。次いで、ELISA B中2ug/mlのビオチン化検出抗マウスIgE(Pharmingen cat#553419)を100ul/ウェルで播き、RTで60分、インキュベートした。プレートをELISA Cで洗浄し、次いでELISA Bで1:1000希釈されたSA-HRP(Pharmingen cat#554066)100ul/ウェルを播き、RTで30分、インキュベートした。インキュベーションの後、プレートをELISA Cで洗浄し、次いで、OPD(10mlクエン酸Na/クエン酸pH5、OPD錠(Pierce, Cat#34006)1つ、10ul H2O2)を使用して現像した。0.1M H2SO4によりELISAプレートの現像を中止し、490nmで分光光度計で読み取った。
結果
3.2.1 マウス気道におけるIL-31RAの発現
3.2.1.1 IL-31RAおよびOSMRのmRNAの調節
OVAにより感作されチャレンジされたマウスの最初の研究において、アレルゲンにより誘導される気道炎症におけるIL-31活性の可能性を決定するために、肺組織およびBALからの細胞からのmRNAを、IL-31受容体の発現について分析した。BALB/cマウスおよびC57B1/6マウスをOVAにより感作し、次いで、アレルゲンとしてのOVAまたは対照としてのPBSのいずれかにより鼻腔内チャレンジした。組織の定量RT-PCR分析は、感作されたマウスにおいて、アレルゲンチャレンジ後、肺組織(図1)およびBAL細胞浸潤物の両方においてIL-31Raが有意にアップレギュレートされることを示唆した。IL-31受容体の他のサブユニットOSMRも肺において発現されることが見出されたが、発現はアレルゲン感作の結果として調節されないようであった。対照的に、BAL細胞において、OSMRレベルは極めて低かった。これらのデータは、IL-31シグナル伝達が、アレルゲン感作後の気道炎症の発症において役割を果たしているかもしれないことを示唆する。
3.2.1.2 IL-31RAタンパク質発現
IL-31RAタンパク質がマウス肺のどこで発現されたかを決定するために、本発明者らは、OVAにより感作され、OVAまたはPBSのいずれかにより鼻腔内チャレンジされた動物から肺を収集した。次いで、本発明者らは、免疫組織化学によりIL-31RAの発現を分析し、IL-31を発現する主要な細胞型がマクロファージであるらしいことを見出した。また、本発明者らは、常在性単球を象徴する大きな単球細胞における染色にも注目した。これは、最小の炎症性浸潤物が観察されたPBS処理動物の肺において特に認められた。これらの後者の「未関与の」肺の肺胞において、場合により、陽性染色マクロファージが観察されることも注目された。
3.2.2 OVAにより誘導される気道過敏におけるIL-31の送達
3.2.2.1 実験#1
IL-31Raがマウスにおける抗原誘導気道炎症において調節されたという観察に続いて、本発明者らは、気道炎症の発症に対するIL-31送達の効果を研究した。この目的のため、OVA特異的な気道炎症を、BALB/c動物で、循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で発生させた。簡単に説明すると、BALB/cマウスを、0日目および7日目に、ミョウバン中の10ugのOVAにより腹腔内感作した。3日目、感作された動物のうちの5匹に、1日当たり20ug(1日当たりおよそ1mg/kg)のマウスIL-31(BHK由来)を14日間送達する浸透圧ミニポンプを皮下移植した。この送達割合は、血清中のおよそ20ng/mlのIL-31をもたらした。もう一つの動物5匹の群には、媒体対照としてPBS+0.1%BSAを含有しているポンプが移植された。次いで、14日目および15日目、動物をOVAにより鼻腔内チャレンジした。第三の動物群は、OVAにより感作されたが、PBSによりチャレンジされ、基線対照(炎症なし)として含まれた。最後の鼻腔内チャレンジの48時間後に、組織を分析のために収集した。BAL細胞浸潤物の分析のために肺を洗浄し、遺伝子調節の分析のためBAL細胞浸潤物からも全肺ホモジネートからもmRNAを調製した。サイトカインおよびIgEのレベルの分析のため血清を収集した。
3.2.2.1.1 肺およびBALのmRNA分析
IL-31送達による肺における遺伝子発現の分析は、IL-5、IL13、およびカテプシンLを含む喘息および肺炎症の発症に関与していることが示されている遺伝子の発現を、IL-31が有意に減少させ得ることを示唆している(それぞれ、p値0.0137、0.003、および0.0381、BSA処理対IL-31処理)(表1)。結果は統計的有意性に達しなかったが、IL-4、IL-31Ra、TNFa、CD40、およびCD40Lの発現の減少傾向も存在した。興味深いことに、媒体対照動物と比較して、IL-31処理後のIL-8R遺伝子発現の有意な増加が存在し、これは有意ではなかったがMIP-2の増加傾向が存在した。MIP-2およびKCは、マウスにおけるIL-8の機能的なホモログである。MIP-2およびKCは、細菌の取り込みおよび殺傷を含む好中球の機能的活性を増加させる。IL-8RおよびMIP-2に関するこれらの所見の意味は不明であるが、IL-8Rが好中球上に発現され、好中球の走化性のために必要とされることは既知である。
(表1)媒体処理マウスおよびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
BAL内の細胞における遺伝子発現の分析は、肺組織と同様に調節される遺伝子を示した。IL-4、IL-5、IL-13、IL-31Ra、カテプシンL、クラスII、CCL17、IL-10、CD40、CD40Lは、すべて、各群内の動物からプールされたBAL細胞からのmRNAにおいて有意にダウンレギュレートされていた。注目すべきことに、IL-8RおよびMIP-2は、BAL細胞における発現の増加傾向を示したが、結果は統計的に有意ではなかった(表2)。
(表2)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL細胞ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
3.2.2.1.2 血清中のサイトカインおよびIgEのレベル
血清サイトカインの分析は、媒体処理マウス(110+15.7pg/ml)とIL-31処理マウス(37+8.4pg/ml)との間の循環血中IL-5タンパク質レベルの有意な減少を示した(p<0.0001)。IL-6、IL-9、IL-10、IL-12、GM-CSF、MIP-1、およびRANTESは検出されたが、処理群間の差は観察されなかった。この実験において、IL-4タンパク質およびIL-13タンパク質は、マウス血清中に検出され得なかった。
循環血中の全IgEまたはOVA特異的IgEの有意な差は、二つの動物群間に認められなかった。
3.2.2.1.3 BALの分画
BAL中の細胞分画の分析は、媒体処理動物と比較して、IL-31処理マウスのBALにおける全リンパ球数の有意な減少を示し(p 0.0095)、差は統計的に有意ではなかったが、BAL好酸球の減少傾向を示した。肺およびBAL組織におけるIL-8R mRNA発現の増加は、BAL中の好中球の増加が存在することを示唆した。IL-31処理後の好中球数の増加傾向が存在したが、結果は、群内の大きな変動および細胞数の少なさのため統計的に有意ではなかった。48hrが、マクロファージおよび好酸球の流入の測定のための最適の時点であるが、好中球の浸潤についてはそうでないことも注目されるべきである。好中球浸潤のより正確な査定のためには、より早い時点の分析が正当であり得る。
3.2.2.2 実験#2
抗原特異的な気道過敏を分析する実験#1の繰り返しを、BALB/c動物において循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で実施した。
3.2.2.2.1 肺およびBALのmRNAレベル
実験#1と比較して、この実験においては、遺伝子のサブセットのみを分析した。これらの遺伝子には、IL-4、IL-5、IL-13、IL-13Ra2、IL31RA、カテプシンL、およびTNFaが含まれていた。ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表3に与えられる。この実験において、媒体対照動物と比較して、IL-31により処理されたマウスについては、IL-13およびTNFaの遺伝子発現の有意な減少が観察された。第1の実験において有意な減少を示した3種の遺伝子、IL-5、IL-31RA、およびカテプシンLのmRNAの減少傾向が存在したが、処理群間の差は、この実験においては統計的に有意ではなかった。BAL mRNAについての結果は、表4に示され、第1の実験と同様の遺伝子が、IL-31処理により、この実験において有意にダウンレギュレートされたことを示している。これらの遺伝子には、IL-5、IL-31RA、およびカテプシンLの有意なダウンレギュレーションが含まれる。IL-13レベルも有意にダウンレギュレートされたが、この分析のために検出されたIL-13 mRNAのレベルは検出下限にあった。
(表3)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
b統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。NS=有意でない、ND=検出されず。
(表4)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL細胞ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
b統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。NS=有意でない、ND=検出されず。
3.2.2.2.2 BAL液サイトカイン
BAL液中のサイトカインの分析の結果は表5に要約される。肺およびBAL細胞におけるmRNAの調節についての結果と一致して、BAL液中のタンパク質レベルの分析は、IL-5(p<0.0001)およびIL-13(p<0.0001)の有意な減少を示している。さらに、KC(p 0.0332)およびMCP-1(p 0.007)の有意な増加が、IL-31により処理されたマウスにおいて観察された。KC mRNA発現はこの実験において試験されなかったが、先の実験はIL-31処理後のKCアップレギュレーションの証拠を示している。BAL液中のタンパク質の検出は、IL-31処理が肺におけるKCレベルをアップレギュレートするという所見を支持する。GM-CSF、IFNg、IL-10、IL-12、IL-1b、IL-4、IL-6、IL-9、およびRANTESのレベルは検出不可能であった。MIP-1aおよびTNFaは検出されたが、IL-31処理動物と未処理動物との間に差は観察されなかった(表5)。
(表5)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL液中のサイトカインレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
3.2.2.2.3 血清中のサイトカインおよびIgEのレベル
血清サイトカインの分析は、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、GM-CSF、MIP-1a、およびTNFaを含む検出されたサイトカインの循環血中レベルの統計的に有意な減少を示唆しなかった。IL-4タンパク質およびRANTESタンパク質は、この実験において、マウス血清中に検出され得なかった。
循環血中の全IgEまたはOVA特異的IgEの統計的に有意な差は、二つの動物群間に認められなかった。
3.2.2.2.4 BALの分画
BAL中の細胞の分画分析は、第一の実験における所見と同様に、IL-31処理が、浸潤好酸球の有意な減少、およびリンパ球の減少傾向をもたらすことを示唆したが、この場合、リンパ球についての差は統計的に有意ではなかった。この実験において、媒体対照動物と比較されたIL-31処理による好中球の観察された増加は、独立t-tailed t検定で試験された場合にのみ有意に達し(p=0.0203)、BAL液中のKC増加の所見と一致していた。しかしながら、すべてのデータおよびすべてのパラメーターを一緒に分析するために二元配置のANOVAを使用した統計分析は、2群間の好中球の差は統計的に有意でないことを示唆した。
3.2.2.3 実験#3
先の二つの実験と同様に、抗原特異的な気道過敏の分析を、BALB/c動物において循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で実施した。
3.2.2.3.1 肺およびBALのmRNAレベル
ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表5に与えられる。媒体対照と比較された、IL-31により処理されたマウスにおけるIL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31Ra遺伝子発現の観察された有意な減少は、先の二つの実験と一致している(表6)。実験#1において見られたように、媒体処理マウスと比較されたIL-31処理群におけるIL-8R遺伝子発現の増加傾向も存在したが、差は統計的に有意ではなかった。
BAL mRNAについての結果は、表6に示され、肺について見出された結果を反映している。IL-31処理は、BAL細胞におけるIL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31RAの有意なダウンレギュレーション、ならびにIL-8R mRNA発現の増加を誘導する(表7)。
(表6)媒体処理マウスおよびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
(表7)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL細胞ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
3.2.2.3.2 BAL液サイトカイン
BAL液中のサイトカインの分析の結果は表8に要約される。先のデータと同様に、これらのデータは、IL-31処理によるIL-5(p=0.0133)およびIL-13(p<0.0001)の有意な減少を示している。しかしながら、先の実験とは対照的に、BAL中のKCおよびMCP-1の分析は、媒体対照動物と比較して、IL31処理マウスにおけるレベルの減少を示した(それぞれ、p=0.0405およびp=0.0387)(表8)。IL-1b、IL-10、MIP-1a、およびRANTESのレベルは、アッセイの検出限度未満であった。
(表8)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL液中のサイトカインレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
3.2.2.3.3 血清分析
循環血中の全IgEまたはOVA特異的IgEの有意差は、二つの動物群間に認められなかった。血清サイトカインは測定されなかった。
3.2.2.3.4 BALの分画
BAL中の細胞の分画分析は、先の実験において観察されたように、IL-31処理が、浸潤リンパ球(p=0.0011)、マクロファージ(p=0.0291)、および好酸球(p=0.0198)の有意な減少をもたらすことを示唆した。二つの処理群のマウスのBAL中に見出される好中球数の統計的な差は存在しなかった。
3.2.2.4 実験#4
気道炎症に対するIL-31処理の全体的な効果を決定するため、この研究は、免疫組織化学のための肺組織の収集を含むため、そしてWBPによりアレルゲンチャレンジに対する生存マウスの気道過敏を分析するために設計された。マウスは、最後の三つの実験において既に記載されたように、OVAにより感作され、チャレンジされ、IL-31(大腸菌由来)または媒体により処理された。最後の鼻腔内チャレンジの48時間後、前記のように、分析のために組織を収集した。さらに、肺の一部を収集し、10%緩衝中性ホルマリンまたはZn TRIS固定液で保存した。ホルマリン固定組織を、加工し、パラフィン包埋し、切片化し、得られたスライドを微視的評価のためヘマトキシリンおよびエオシンにより染色した。
3.2.2.4.1 肺およびBALのmRNAレベル
ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表9に与えられる。予想通り、媒体処理対照と比較して、IL-5およびIL-31Ra遺伝子発現の有意な減少が、IL-31により処理されたマウスにおいて観察された(表9)。先に観察された、IL-4、IL-13、およびカテプシンLの減少傾向、ならびにIFNgおよびCD40Lの有意な減少が存在した。さらに、本発明者らは、再度、全肺ホモジネートにおけるIL-8R発現の統計的に有意な増加を観察する(表9)。
BAL細胞浸潤物中の遺伝子発現レベルは、表10に要約され、先の研究と同様に、IL-31処理が、IL-4、IL-5、IL-13、およびカテプシンLを含む試験された遺伝子の大部分の有意なダウンレギュレーションを誘導することを示している。統計的に有意ではないが、IL-31Ra発現の減少傾向が存在した。この特定の分析において、本発明者らは、いずれも先の実験(すなわち、実験#1および/または実験#2)からBAL細胞mRNAにおける増加傾向を示したMIP-2およびTNFaの有意な増加を見出した。IL-8Rも、BAL mRNAにおいて有意に増加しており、BAL細胞における遺伝子調節と全肺における遺伝子調節との分離を示唆している。
(表9)媒体処理マウスおよびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおけるレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、OVAチャレンジなしの基線を表す。
(表10)媒体処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL細胞ホモジネートにおけるmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、OVAチャレンジなしの基線を表す。
3.2.2.4.2 血清
IL-31処理OVA感作マウスおよび媒体処理OVA感作マウスにおいて、全IgEおよび抗原特異的IgEについて、血清を分析した。この特定の実験において、本発明者らは、媒体処理動物と比較して、IL-31処理マウスにおけるOVA特異的IgEのレベルの有意な減少を見出した(p=0.0070)。しかしながら、二つの処理群間の全IgEレベルの差は、統計的有意性に達しなかった。
血清サイトカインおよびBAL液中のサイトカインレベルは、この実験において分析されなかった。
3.2.2.4.3 肺組織学
IL-31処理動物および媒体処理動物からの肺の組織学的調査は、以下のものを含む、OVAによる感作およびりチャレンジに関連した多数の微視的変化を示した:(1)好酸球および/または好中球(好酸性細胞質により細分化された核)および大きな単球型細胞と、いくつかのリンパ球との蓄積を特徴とする多巣性〜びまん性の気管支周囲/血管周囲の亜急性炎症;(2)びまん性の上皮/杯細胞過形成;ならびに(3)いくつかの多核巨細胞形成を伴う肺胞における多巣性マクロファージ浸潤物。
肺のいくつかの区域に、可変性の量の炎症性浸潤物を伴う、または伴わない血管周囲の浮腫の証拠、および間質繊維症の証拠が存在した。OVAにより感作されチャレンジされた媒体処理動物からの肺と比較された場合、IL-31処理動物における炎症性変化は実質的に軽度であり、このことから、IL-31の有益な効果が示唆された。媒体処理動物およびIL-31処理動物からの肺の代表的な画像が示される。
重度の炎症を示している媒体処理動物からの肺切片は、肺胞、気管支周囲、および血管周囲の亜急性炎症区域に浸潤するF4/80+マクロファージの数の増加を示した。IL-31処理動物からの肺切片は、より少ない炎症を示し、有意に少ない数のF4/80+マクロファージ浸潤物も示した。F4/80+マクロファージの計数は、F4/80+細胞密度が、BSA処理マウスと比較して、IL31処理動物において有意に低いことを示した(p=0.0154、独立T検定)。
OVA感作動物を鼻腔内チャレンジし、全身プレスチモグラフィによって気道過敏について測定した。増加する濃度のメタコリンによるチャレンジ後の無次元パラメーター、エンハンストポーズ(PenH)の分析は、IL-31処理動物が、媒体処理マウスと比較して、アレルゲンチャレンジに対して低感度であることを示唆した。このデータは、組織病理学所見を支持し、IL-31処理がアレルゲンに対する気道炎症を減少させることを示唆する。
BAL細胞分画は、この実験において実施されなかった。
3.2.2.5 概要
提示されたデータは、マウスにおける抗原感作および気道チャレンジの間のIL-31送達が、組織学および全身プレスチモグラフィを介した気道過敏によって査定されるような肺炎症のダウンレギュレーションをもたらすことを示唆している。全肺ホモジネートおよび肺内の浸潤細胞からのmRNAにおける遺伝子調節の分析は、IL-31が、IL-5、IL-13、およびカテプシンLを含む肺炎症および喘息に関連付けられている遺伝子を一貫してダウンレギュレートし得ることを示唆している。炎症に一般に関連している遺伝子も、ダウンレギュレートされることが見出され、それらには、IFNg、CD40、およびCD40Lが含まれていた。遺伝子ダウンレギュレーションに対するIL-31の効果は、全肺mRNAと比較して、BAL浸潤細胞からのmRNAにおいてより一貫しているようであった。さらに、BAL液中のサイトカインレベルが試験された場合、タンパク質の調和性のダウンレギュレーションがしばしば観察された。このTh2および炎症性遺伝子のダウンレギュレーションは、BAL細胞浸潤物、特に好酸球、マクロファージ、およびリンパ球の減少にしばしば翻訳される。組織形態計測を介したIL-31処理動物の肺におけるF4/80+マクロファージ細胞数の分析は、肺における組織マクロファージの減少を確認する定量的データを与えた。さらに、肺アレルギー性炎症に関連した一般病理学の分析は、IL-31の送達による疾患の重度の減少を示した。従って、これらのデータは、アレルゲン感作およびチャレンジの間のIL-31の送達が、未知の機構を通して、肺炎症の重度を低下させ得ることを示唆している。
3.2.3 IL-31に対する用量反応
2.3.1 実験#1
本発明者らは、次に、マウスにおけるOVAによる感作および鼻腔内チャレンジの後の肺炎症に対する阻害効果のために必要とされるIL-31の最小用量を調査することに決めた。第1の実験において、Alzet 14日間浸透圧ポンプに20ug/日から0.02ug/日まで10倍ずつ減少する濃度のIL-31を負荷し、前記と同様にして、OVAアレルゲンによる感作およびチャレンジの間にマウスに移植した。1群当たり5匹の動物を分析した。
3.2.3.1.1 肺およびBAL細胞のmRNA
先の研究は、20ug/日のIL-31の送達が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の肺における多数の遺伝子の発現を減少させることを示した。表11に要約された結果は、これらの遺伝子のうちのいくつかについて、このIL-31の効果が用量依存性であることを示している。20ug/日のIL-31により処理されたマウスの群における遺伝子発現レベルの、10倍、100倍、または1000倍少ないIL-31を受容したものとの比較は、有意差を示している。IL-5、IL-13、IL-31Ra、TNFa、IFNg、クラスII、IL-13Ra2、エオタキシン、IL-10、CD40、およびCD40Lを含む遺伝子は、IL-31のより低い用量で、特に0.2および0.02ug/日の用量で、より高度に発現された。カテプシンLおよびIL-4は、IL-31の用量が低くなるほど発現の増加傾向を示したが、これらの傾向は有意ではなかった。さらに、20ug/日のIL-31処理後に増加することが示されていたIL-8RおよびMIP-2も、有意なIL-31用量依存性を示した。
(表11)IL-31処理マウスからの肺のmRNA分析
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
bダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、より低い濃度(2、0.2、および0.02ug/日)でのIL-31処理を、先の実験において使用された標準20ug/日での処理と比較して、**p<0.01および*p<0.05。
(表12)用量曲線IL-31処理マウスからのBAL細胞ホモジネート中のmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
bダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、より低い濃度(2、0.2、および0.02ug/日)でのIL-31処理を、先の実験において使用された標準20ug/日での処理と比較して、**p<0.01および*p<0.05。
3.2.3.1.2 BAL液の分画
BAL細胞浸潤物の分析は、アレルゲンによる鼻腔内チャレンジの後の細胞浸潤物の量および型に対する用量依存効果があることも示唆した。20および2ug/日のIL-31の用量は、IL-31のより低い用量(0.2および0.02ug/日)と比較して、肺細胞浸潤物における好酸球、マクロファージ、およびリンパ球の数の有意な減少を誘導する効果がより高い。
OVA特異的IgEまたは全IgEにおいて統計的有意性は観察されなかった(示されないデータ)。
血清、BAL液サイトカイン、および気道過敏は、この実験において測定されなかった。
3.2.3.2 実験#2
先の実験において、本発明者らは、気道炎症に対するIL-31の効果が用量依存性であることを証明した。遺伝子発現およびBAL細胞浸潤物の分析は、10倍低い用量のIL-31(2ug/日)が、アレルゲンによる鼻腔内チャレンジの後の肺における細胞浸潤物のレベルを有意に阻害し得ることを示唆した。この実験は、2ug/日以下の用量のIL-31が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の気道過敏を減少させ得るか否かを決定するために設計された。
Alzet 14日間浸透圧ポンプに0.005ug/日から2ug/日まで増加する濃度のIL-31を負荷し、OVAアレルゲンによる感作およびチャレンジの間にマウスに移植した。前期と同様に、1群当たり5匹の動物において分析を実施した。
3.2.3.2.1 肺およびBAL細胞のmRNA
肺における遺伝子のダウンレギュレーションのためのIL-31の最低有効濃度を決定するための、IL-31処理動物からの肺mRNAの分析は、IL-4、IL-13、IFNg、IL-31Ra、およびTNFaのようないくつかの遺伝子が、増加する濃度のIL-31(最大用量2ug/ml)における発現のダウンレギュレーションの傾向を示すが、その差は大部分の遺伝子において統計的に有意ではないことを証明した(表14)。CD40Lは、2ugまたは0.2ug/日のIL-31が送達された場合にのみ発現の有意なダウンレギュレーションを示した唯一の試験された遺伝子であった。肺組織において試験されたすべての遺伝子についてのPCRデータは(表13)に要約される。
(表13)IL-31処理マウスからの肺のmRNA分析
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、IL-31処理を媒体対照(IL-31なし、灰色カラム)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAであった(**p<0.01および*p<0.05)。
表14は、BAL液中の細胞についての遺伝子分析を示す。BALの細胞における遺伝子調節の傾向は、より不明瞭であった(表14)。先の研究と一致して、MIP-2およびIL-8Rは、2ug/mlのIL-31でアップレギュレートされたが、より低い濃度のIL-31ではアップレギュレートされなかった(表14)。興味深いことに、2ug/日未満のIL-31濃度のうちのいくつかで、いくつかの遺伝子のアップレギュレーションが存在するようであり、このことから、IL-31活性についての可能性のある正規曲線が示唆された。これは、特に、IL-5およびIL-13について明白であった(表14)。BAL液中の対応するタンパク質レベルは、遺伝子調節とBAL中のタンパク質レベルとの間の一貫したパターンを示す。MIP-2と関係があるKCも、2ug/mlのIL-31でアップレギュレートされることが見出された。
(表14)IL-31処理マウスにおける用量曲線からのBAL細胞ホモジネート中のmRNAレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物から収集されたプールされたBAL細胞のトリプリケートウェルの平均値+標準偏差として表される。統計分析は、IL-31処理を媒体対照処理動物(IL-31なし、灰色カラム)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAであった(**p<0.01および*p<0.05)。
3.2.3.2.2 BAL液サイトカイン
BAL液を、luminex多重アッセイによってサイトカインについて分析した。IL-4、IL-5、IL-9、IL-13、およびKCは、すべて、BAL液中に検出された。BAL液中のサイトカインのレベルは、BAL中の遺伝子の発現について収集されたデータを反映しているようであり、より低い濃度のIL-31が、有意に高いレベルのIL-5およびIL-13のタンパク質を誘導した。IL-4も、より低い濃度でアップレギュレートされるようであったが、IL-31処理と無処理の間の差は統計的有意性に達しなかった。KCは無処理と比較して2ug/日でアップレギュレートされることが見出された。TNFa、IFNg、およびMCP-1は、BAL液中に検出されなかった。MIP-2は試験されなかった。
3.2.3.2.3 BAL液の分画
BAL分画の分析は、より低い用量で処理されたマウスと比較して、この研究における最大濃度(2ug/日)のIL-31により処理されたマウスのBAL中には、好酸球浸潤物の減少傾向があったことを示している。変動の程度が大きかったため、データは統計的に有意ではなかった。2ug/日のIL-31によるマクロファージ数の有意な減少があった。その他のIL-31濃度のいずれも、マクロファージ数を減少させるのに有効でないようであった。
3.2.3.2.4 血清IgE
過去の実験は、より高い濃度(20ug/日)でのIL-31処理に関連した炎症パラメータの減少が、一般に、全IgEまたはOVA特異的IgEの減少をもたらさないことを示した(この報告のセクション1を参照されたい)。にもかかわらず、異なる濃度のIL-31による処理の後、血清を全IgEおよびOVA特異的IgEについて分析した。この実験において、これらのマウスの血清中の全IgEのレベルの差は存在しなかったが、1日当たり0.02および0.01ugのIL-31により処理された群においては、IL-31未処理または最低用量のIL-31(0.005ug/日)のいずれかと比較して、OVA特異的IgEの増加が存在するようであった。ここで、0.1ug/日のIL-31が、BAL液中のIL-5およびIL-13のmRNAおよびタンパク質の有意なアップレギュレーションを誘導したことに注目することは興味深い(表15)。このデータは、高濃度のIL-31は、気道アレルゲンに対する肺炎症を減少させるが、低濃度のIL-31は、逆の効果を有するかもしれないことを示唆し得る。
3.2.3.2.5 全身プレスチモグラフィ
マウスを、OVAによる鼻腔内チャレンジの後の気道過敏について全身プレスチモグラフィによってさらに分析した。この実験において試験された濃度でのIL-31処理は気道過敏を減少させなかった。
3.2.3.3 実験#3
ここまでの本発明者らのデータは、気道過敏のマウスモデルにおけるIL-31の抗炎症効果が少なくとも20ug/日のIL-31の送達を必要とすることを示した。IL-31濃度の10倍の減少は、気道炎症を一貫して低下させず、アレルゲンチャレンジに対する気道過敏の低下をもたらさない。マウス肺の免疫組織化学は、過半数のIL-31RAが、肺内の常在性マクロファージおよび浸潤マクロファージの両方に発現されていることを示しており、この時点では、IL-31が、抗炎症効果を生ずるためにこれらの細胞に直接作用しているのか、またはもう一つの標的細胞型が存在するのかは不明である。IL-31が、抗原によるチャレンジおよび感作に関連した炎症をダウンレギュレートするために常在性の細胞型に作用するのか否かを決定するため、本発明者らは、IL-31前処理(感作およびチャレンジの前のIL-31送達)が、モデルの感作期およびチャレンジ期の両方を通したIL-31送達と同一の効果を有するか否かを決定することを望んだ。
マウスIL-31を、BALB/cマウスの背部に皮下移植された浸透圧ミニポンプ(Alzet)によって1日当たり20□g(1日当たりおよそ1mg/kg)の用量で送達した。感作前の処理と、感作およびチャレンジの間の処理とを比較するため、マウスに、初回OVA感作の7日前に7日間ポンプを移植するか(IL-31前処理)、または感作の3日後に14日間ポンプを移植した(IL-31処理)。ここまでのすべての実験と同様に、PBS+0.1%BSAが媒体対照として含まれた。大腸菌に由来するマウスIL-31を、IL-31ポンプを調製するために使用した。
3.2.3.3.1 肺およびBALのmRNA
媒体処理マウス、IL-31前処理マウス、およびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおける遺伝子発現の分析は、表15に要約される。統計分析は、IL-31群(前処理または処理)を媒体対照群と比較することにより実施された。
データは、IL-31処理が感作およびチャレンジを通して存在する場合、主として炎症に関連した遺伝子のダウンレギュレーションのみが起こることを明らかに示している。感作期およびチャレンジ期の全体を通したIL-31の存在を必要とする遺伝子には、IL-4、IL-5、およびIL-31RAが含まれる。多数のさらなる遺伝子は、IL-31が前処理として与えられるか、または感作およびチャレンジの間に与えられるかにかかわらずダウンレギュレートされた。これらの遺伝子には、IL-9、TNFa、IFNg、カテプシンL、IL-10、CD40、およびCD40Lが含まれる。
興味深いことに、IL-13は、IL-31が前処理として与えられた場合、媒体処理対照と比較して有意に増加することが見出された(表15)。試験されたすべての遺伝子のうち、IL-13は、この発現パターンを示した唯一の遺伝子であった。IL-13は、このモデルにおける疾患の顕現に関与していることが示されている。
(表15)媒体処理マウスおよびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネート中のレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
IL-31前処理またはIL-31処理を媒体対照(IL-31なし)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、**p<0.01および*p<0.05。
BAL細胞からのmRNAにおける遺伝子調節の先の研究は、IL-31処理が、IL-5およびIL-13のような喘息関連遺伝子をコードするmRNAのアップレギュレーションを防止し得ることを示した。この実験において、類似した結果が、媒体処理対照と比較して、IL-31処理動物について観察された(表16)。
再度、IL-31処理は、感作およびチャレンジの間に与えられた場合、BALから収集された細胞におけるIL-5、IL-13、IL-31Ra、IFNg、カテプシンL、クラスII、CD40、およびCD40Lの遺伝子発現を有意にダウンレギュレートした。しかしながら、極めて対照的に、IL-31前処理は、媒体対照動物と比較して、IL-5、IL-13、IFNg、クラスII、CD40、およびCD40Lを含む、これらの遺伝子の多くの発現を有意に増加させるようである。
これらのデータは、IL-31前処置が、媒体対照マウスと比較して、肺炎症に対する有害な効果を有するかもしれず、実際、疾患を悪化させるかもしれないことを示唆している。本発明者らは、IL-31処理が、肺およびBAL細胞浸潤物の両方におけるIL-31RAの発現をダウンレギュレートすることを先の実験において見い出した。IL-31前処理は、感作前に受容体をダウンレギュレートし、そのため、Th2応答が悪化するのかもしれない。
注目すべきことに、IL-31処理は、先に観察されたように、IL-8RおよびMIP-2をアップレギュレートしたが、IL-31前処理には効果がなかった。
(表16)BSA処理マウスおよびIL-31処理マウスからのBAL細胞 mRNAホモジネート中のレベル
Figure 2010515755
aデータは、1群当たり5匹の動物から収集されたプールされたBAL細胞のトリプリケートウェルの平均値+標準偏差として表される。
IL-31前処理またはIL-31処理を媒体対照(IL-31なし)と比較するダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、**p<0.01および*p<0.05。
3.2.3.3.2 BAL液サイトカイン
結果は統計的に有意ではなかったが、IL-31処理を受けた動物は、媒体処理群と比較して、BAL液中のIL-4、IL-5、およびIL-13の減少傾向を示した。IL-31処理マウスによる先の研究と一致して、この群は、KCレベルも有意に上昇させた。アッセイされたすべてのその他のサイトカインは検出限度未満であった。
IL-31処理動物とは対照的に、IL-31により前処理されたマウスからのBAL液のサイトカイン分析は、媒体処理マウスと比較して、IL-5、IL-9、およびIL-13のレベルの有意な増加を示した。このデータは、IL-31による前処理の後のBAL細胞からのmRNAにおけるIL-5およびIL-13のような遺伝子のアップレギュレーションと一致しており、IL-31前処理が肺炎症を悪化させ得ることを示唆している。
3.2.3.3.3 BAL液の分画
細胞分画の分析は、OVAによる感作およびチャレンジの間にIL-31により処理されたマウスのBALにおける、より低い好酸球浸潤物の傾向を示し、それは先の研究と一致している。感作およびチャレンジの前のIL-31によるマウスの前処理は、媒体処理対照動物から有意に細胞浸潤物の型または数を改変しないようであった。
3.2.3.3.4 血清IgE
全IgEまたはOVA特異的IgEのレベルの群間の有意差は存在しなかった。
3.2.3.3.5 全身プレスチモグラフィ
IL-31により前処理されたマウス群、感作およびチャレンジの間にIL-31により処理されたマウス群、または媒体により処理されたマウス群を、鼻腔内アレルゲンチャレンジの後の気道過敏に対する感受性について分析した。結果は、IL-31前処理が、IL-31未処理対照と比較して、気道過敏に影響を与えないことを示している。しかしながら、対照的に、感作およびチャレンジを通したIL-31処理は、アレルゲンチャレンジを受容していない動物と比較可能なレベルにまで気道過敏を減少させた。
本研究は、IL-31前処理が気道過敏を減少させ得ないことを示しており、前処理はBAL液中のIL-5、IL-13、およびIL-9のレベルを増加させ得るが、これはIL-31未処理と比較して気道過敏を悪化させないようである。
3.2.3.4 概要
本発明者らは、OVAによる感作およびチャレンジの間に送達された20ug/日のIL-31が、肺炎症のダウンレギュレーションをもたらすことを既に確立した。このセクションにおいては、本発明者らは、この効果が用量依存性であることを証明する。2ug/日という低いIL-31の濃度は、やはり気道過敏の発症において重要な遺伝子の発現を低下させることができるが、この低い濃度は、全身プレスチモグラフィによって測定されるような気道過敏の低下をもたらすのには十分でなかった。
さらに、IL-31の受容体は、肺内の常在性マクロファージおよび浸潤マクロファージの両方に発現されるようであるが、アレルゲン感作直前のIL-31による前処理は、本発明者らがここまで観察したIL-31の抗炎症効果を達成するのには十分ではない。さらに、IL-31前処理は、IL-5、IL-13、およびIL-9のようなTh-2型サイトカインの産生を増加させる可能性がある。この所見は、IL-31RAがTh-2型の炎症応答を調節し、IL-31RA受容体の非存在下ではTh-2型応答が悪化するかもしれないことを示唆している最近の所見を支持し得る(3)。本発明者らは、IL-31の送達が、IL-31RAをダウンレギュレートし得ることを知り、本発明者らは、IL-31による前処理が、IL-5、IL-13、およびIL-9の発現の増加をもたらす抗原感作前のIL-31RAの有効な欠如をもたらすと仮定する。しかしながら、この特定の実験において、Th-2型サイトカインの増加は、気道過敏の悪化をもたらさなかった。
3.2.4 IL-31トランスジェニックにおける気道過敏
3.2.4.1 実験#1
IL-31トランスジェニック動物を、前記と同様に、OVAにより感作しチャレンジし、全身プレスチモグラフィによって気道過敏について試験した。データは、IL-31トランスジェニック動物が、野生型対照同腹仔と比較して、OVAにより誘導される気道過敏に対して有意に低感度であったことを示唆している。
3.2.4.2 実験#2
この実験は、アレルゲンにより誘導される気道過敏に対するIL-31トランスジェニックマウスの感受性のテストの繰り返しであった。データの分析は、先の実験と同様の所見を示している。IL-31トランスジェニック動物は、特にメタコリンの最も高い用量で、感作アレルゲンによって誘導される肺炎症を起こしにくいようである。
3.2.4.3 実験#3
IL-31トランスジェニック動物が、全身プレスチモグラフィによって測定されるように、気道過敏に対して低感度であるらしいことが確立されたため、本発明者らは、肺における減少した炎症の性質を分析した。従って、IL-31トランスジェニック動物および野生型対照を、OVAにより感作し、OVAまたはPBSのいずれかにより気道を介してチャレンジした。鼻腔内チャレンジの48時間後、BAL液を肺細胞浸潤物の査定のため収集し、肺をmRNAおよび遺伝子発現の分析のため収集した。血清も、全IgEおよびOVA特異的IgEの分析のため収集した。この実験において、BAL液中および血清中のサイトカインは測定されなかった。
3.2.4.3.1 肺およびBALのmRNA
肺mRNAを、肺炎症と関係付けられている遺伝子のパネルの発現について定量的RT-PCRによって試験した。4つの動物群間で2セットの比較を行った。表17は、IL-31トランスジェニック動物が、OVAまたはPBSいずれかによる感作の条件下で野生型マウスと直接比較された最初の分析からのデータを示す。一般に、OVAまたはPBSのいずれかによりチャレンジされた場合、IL-31トランスジェニックと、対照同腹仔との間に差はなかった。IL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31RAを含む多数の遺伝子について、OVAによる感作の後、IL-31トランスジェニックの肺におけるより低い発現があるようであったが、これらは統計的に有意ではなかった(表17)。1種の遺伝子IL-10は、OVAによるチャレンジの後、IL-31トランスジェニックマウスと比較して、野生型マウスの肺における有意に高い発現を示した。
(表17)OVAによる感作およびチャレンジの後のIL-31トランスジェニックマウスからの全肺ホモジネートにおけるmRNAレベル−野生型に対するIL-31トランスジェニックの比較
Figure 2010515755
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキー(Tukey)のポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(**p<0.01)。
PBSチャレンジ対OVAチャレンジに基づいて動物を比較した場合、データは、野生型マウスが、IL-31トランスジェニック動物と比較して、OVAチャレンジ後に遺伝子レベルを有意に増加させる可能性が高いことを示唆している。データは、IL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31Raのような遺伝子のアップレギュレーションが、トランスジェニックPBSマウスと比較されたトランスジェニックOVA感作マウスより、PBS感作マウスと比較された野生型OVA感作動物においてより有意にアップレギュレートされたことを示している。エオタキシンおよびクラスIIのようないくつかの遺伝子は、それらのPBS対照と比較して、野生型OVA感作動物またはIL-31トランスジェニックOVA感作動物のいずれかにおいて同等によくアップレギュレートされた(表18)。
(表18)OVAによる感作およびチャレンジの後のIL-31トランスジェニックマウスからの肺ホモジネート中のmRNAレベル−OVA対PBSの比較
Figure 2010515755
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***P<0.001、**p<0.01、*p<0.05)。
OVAまたはPBSのいずれかによる鼻腔内チャレンジの条件下でIL-31トランスジェニックを野生型対照と比較するBAL細胞浸潤物からのmRNAの分析は、以下のことを示唆している。(i)試験された3種の遺伝子、TNFa、IL-8R、およびクラスIIは、抗原特異的チャレンジの非存在下で、野生型と比較して、IL-31トランスジェニックにおいて有意に異なるレベルで発現された。TNFaおよびクラスIIは、両方とも、野生型と比べてトランスジェニックにおいてより低かったが、IL-8Rはより高いレベルで発現された。(ii)OVA鼻腔内チャレンジ後、野生型対照マウスは、IL-31トランスジェニックマウスより、有意に多く、IL-4、IL-13、IL-8R、クラスII、カテプシンL、エオタキシン、IL-10、およびCD40の発現をアップレギュレートした。(iii)IL-31トランスジェニックマウスは、野生型同腹仔対照より有意に多く、OVAチャレンジ後、CD40Lをアップレギュレートした(表19)。
(表19)OVAによる感作およびチャレンジの後のIL-31トランスジェニックマウスからのBAL mRNAにおけるmRNAレベル−野生型対IL-31トランスジェニックの比較
Figure 2010515755
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***p<0.001、**p<0.01、および*p<0.05)。
表20中のデータは、OVA鼻腔内チャレンジが、PBSチャレンジ群と比較して、IL-31トランスジェニックOVA処理マウスおよび野生型OVA処理マウスの両方において多数の遺伝子を誘導することを明らかに示している。しかしながら、二つの遺伝子IL-8Rおよびエオタキシンは、それらのPBS対照と比較して、IL-31トランスジェニックOVAチャレンジマウスにおいてアップレギュレートされず、両方の遺伝子が、それらのPBS対照と比較して、OVAによりチャレンジされた野生型マウスにおいてアップレギュレートされた(表20)。
(表20)OVAによる感作およびチャレンジの後のIL-31トランスジェニックマウスからのBAL mRNAにおけるmRNAレベル−OVA対PBSの比較
Figure 2010515755
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***p<0.001、**p<0.01、および*p<0.05)。
3.2.4.3.2 BAL細胞分画
BAL細胞浸潤物を収集し、細胞内容物について分析した。野生型対照同腹仔と比較して、IL-31 Tg動物の肺細胞浸潤物には好酸球数の減少傾向があったが、データはテスト群内の可変性のため統計的有意性に達しなかった。
3.2.4.3.3 血清中のOVA特異的IgEおよび全IgE
OVA感作後のIL-31トランスジェニック動物の血清中の全IgEの分析は、同腹仔野生型対照と比較して、IL-31トランスジェニック動物の循環血中の全IgEの産生の有意な減少を示したが(p=0.048、独立t検定)、血清中の検出可能なOVA特異的IgEのレベルの統計的な差は存在しなかった。
3.2.4.4 概要
本発明者らは、IL-31送達が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の肺炎症を減少させるのであれば、IL-31トランスジェニック動物は、アレルゲンにより誘導される喘息も起こしにくいであろうと仮定した。実際、IL-31トランスジェニックは、気道応答性が全身プレスチモグラフィによって測定された場合、OVAによる感作およびチャレンジに対するより少ない気道過敏を発症するようであった。本発明者らは、IL-31トランスジェニックが、同腹仔対照と比較して、OVAによる感作およびチャレンジの後のTh-2型遺伝子のアップレギュレーションに、より抵抗性であるらしいことを見出した。さらに、野生型対照と比べて、OVAチャレンジIL-31トランスジェニックには、肺内の好酸球数の減少傾向が存在した。これらのデータは、IL-31過剰発現が肺炎症をダウンレギュレートするという本発明者らの観察と一致している。
以上より、本発明の特定の態様が、例示のために本明細書に記載されたが、様々な修飾が本発明の本旨および範囲を逸脱することなくなされ得ることが認識されるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (25)

  1. 哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法。
  2. IL-31アゴニストが、
    a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および
    b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
    からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 炎症が阻害、最小化、または中和される、請求項1記載の方法。
  4. IL-31アゴニストが哺乳動物細胞において産生される、請求項2記載の方法。
  5. IL-31アゴニストが大腸菌(E.coli)において産生される、請求項2記載の方法。
  6. IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基が、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている、請求項5記載の方法。
  7. 哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程であって、IL-31アゴニストが感作またはチャレンジの間に投与される、工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法。
  8. IL-31アゴニストが、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎に対する前処置として投与されない、請求項7記載の方法。
  9. 肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生が阻害、最小化、または中和される、請求項1記載の方法。
  10. 炎症誘発性サイトカインがIL-5またはIL-13である、請求項9記載の方法。
  11. 炎症誘発性サイトカインがIL-5およびIL-13である、請求項9記載の方法。
  12. a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を含むポリペプチド;および
    b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
    からなる群より選択されるポリペプチドを投与する工程を含む、肺炎症状態における肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生を阻害、最小化、または中和する方法。
  13. 前記ポリペプチドが哺乳動物細胞において産生される、請求項12記載の方法。
  14. 前記ポリペプチドが大腸菌において産生される、請求項12記載の方法。
  15. 炎症誘発性サイトカインの減少を生ずるIL-31アゴニストの量を決定する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するために使用されるIL-31アゴニストの用量を最適化する方法。
  16. 炎症誘発性サイトカインがIL-5またはIL-13である、請求項15記載の方法。
  17. 炎症誘発性サイトカインがIL-5およびIL-13である、請求項15記載の方法。
  18. 喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎の症状を処置、最小化、低下、または阻害するためのIL-31アゴニストを含む薬学的組成物の使用であって、薬学的組成物が、
    a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を含むポリペプチド;および
    b)SEQ ID NO:2のアミノ酸残基27から残基164までを含むポリペプチド
    からなる群より選択される、使用。
  19. 喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するための最適用量を決定するためのキットであって、
    a)喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を有する患者から肺組織またはBAL液の試料を採取する工程;
    b)ある量のIL-31アゴニストが試料中の炎症誘発性サイトカインの産生を減少させるか否かを決定するためにインビトロで試料を試験する工程であって、炎症誘発性サイトカインの量は、遺伝子発現またはタンパク質のレベルを決定することにより測定される、工程;
    c)炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させるのに十分なIL-31アゴニストの投薬量を決定する工程
    を含む、キット。
  20. ある量のIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎のような状態においてIL-31Raの発現をダウンレギュレートする方法。
  21. IL-31アゴニストが、
    a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および
    b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
    からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
  22. 炎症が阻害、最小化、または中和される、請求項20記載の方法。
  23. IL-31アゴニストが哺乳動物細胞において産生される、請求項21記載の方法。
  24. IL-31アゴニストが大腸菌において産生される、請求項21記載の方法。
  25. IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基が、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている、請求項24記載の方法。
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