JP2010515755A - 気道過敏および喘息を処置するためのil−31の使用法 - Google Patents
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Abstract
Description
喘息は、1700万人以上のアメリカ人に影響を与えている慢性肺疾患である。喘息は、空気通路を囲む筋肉の炎症によって引き起こされる断続的な気管支痙攣を伴う気道の炎症を特徴とする。呼吸が極めて困難となるため、喘息の発作は生命に関わる。喘息は、慢性疾患であり、継続的な管理および適切な処置を必要とする。
本発明は、IL-31により処理された気道過敏(AHR)のモデルマウスが、媒体処理対照と比較して、より少ないAHRを示したという発見、およびIL-31処理が、恐らくIL-5およびIL-13のダウンレギュレーションを通して、アレルギー性喘息のマウスモデルにおける疾患の病原を減少させるという発見に一部分基づく。さらに、本発明は、IL-31の投与のタイミングおよび投薬量が、喘息およびAHRを処置するためのIL-31の使用において重要であるという予想外の所見を教示する。従って、本発明は、喘息、急性呼吸促迫、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、および呼吸器疾患を処置するためのIL-31の使用を包含する。
実施例1:気道過敏マウスモデルにおけるIL-31の分析
A)感作および気道チャレンジ
6週齢の雌のBALB/cマウスおよびC57B1/6マウスをCharles River Laboratoriesから購入し、SPF条件下で維持した。8〜10週齢のマウスの群を、0日目および7日目に、50%Imject Alum(Pierce)中の10ugのOVA(Calbiochem)の腹腔内注射によって感作した。7日後、マウスを、50ul PBS中の20ugのOVAにより、2日連続で(14日目および15日目)チャレンジした。アレルゲンチャレンジの48時間後、感作された動物の半分から、全肺組織、BAL細胞浸潤物、BAL液、および血清を、さらなる分析のために収集し、残りのマウスを気道過敏(AHR)について査定した。
気管支肺胞洗浄液を気管内カニューレ挿入を介して収集した。生理食塩水を肺に徐々に注射し、4×1mlの一定分量で引き出した。BAL細胞を単離するために洗浄液を遠心分離し、上清を後の分析のために凍結させた。BAL細胞ペレットを1ml当たり200万細胞で再懸濁させ、150ulを全細胞数および細胞分画のために使用した。全BAL白血球数は、トリパンブルー排除を使用して光学顕微鏡法を介して各マウスについて決定された。各動物の洗浄液中の細胞分画は、風乾され固定されたサイトスピンスライドのH&E染色(DiffQuik;Merz & Dade, Dubingen, Switzerland)によって決定された。細胞数は、1サイトスピン当たり100個の細胞を調査することにより計算された(Phoenix Laboratories)。異なる白血球の総数は、データ収集から計算された。結果は肺1個当たりの細胞数として表される。
気道応答性は、全身プレチスモグラフィ(Buxco, Electronics, Shannon, CT)14を使用して、エアロゾル化メタコリン(MCh)によるチャレンジの後の気道機能の変化として査定された。簡単に説明すると、無拘束の意識のあるマウスを、全身プレチスモグラフィチャンバーに置き、呼吸波形を、5分間、基線を入手するために測定した。基底値が確立された後、マウスを、非チャレンジ対照測定のためエアロゾル化生理食塩水でチャレンジし、次いで増加する濃度(0.075Mから0.3Mまで)のMChでチャレンジした。読み取りは、各噴霧化期間の3分後に、10分間、行われた。データは、無次元パラメーターPehnHを使用して、基底値に対する増加倍率として表される。
肺組織およびBAL細胞を、抗原チャレンジの48時間後に動物から収集した。全組織試料およびBAL細胞ペレットを急速凍結させ、RLT緩衝液に再懸濁させ、RNA単離のために処理するまで-80℃で保存した。簡単に説明すると、肺組織をRLT緩衝液(Qiagen)中でホモジナイズし、製造業者(Qiagen, Valencia, CA)の指示通りに市販のRNeasyキットを使用して抽出した。RNAを、製造業者のプロトコルに従って、Taqman RT-PCR試薬(Applied Biosystems, Branchburk, NJ)を使用して、第一鎖cDNAへと転写した。マウスのIL-31、IL-31RA、IL-4、IL-5、IL-13、IFNg、TNFa、CD40、CD40L、クラスII、カテプシンL、IL-13Ra2、MIP-2、IL-8R、エオタキシン、およびOSMRのmRNAのレベルを、多重リアルタイムTaqMan PCRを介して決定した。オリゴヌクレオチドプライマーおよびTaqManプローブは、Primer Expressソフトウェア(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して設計され、施設内で合成された。順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブ配列が作成された。各遺伝子のmRNAのレベルは、Comparative Ct法(User Bulletin # 2, PE Applied Biosystems)を使用して、内部ハウスキーピング遺伝子ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)に対して相対的に計算された。
BAL液上清中および血清試料中のサイトカインレベルは、製造業者の指示に従ってMouse Cytokine LINCOplexキット(LINCO Research, St Charles, MS)およびLuminex100プレートリーダ(Luminex Corporation, Austin, TX)を使用して測定された。サイトカインの定量化は、キットに含まれていたサイトカイン標準物から作成された標準曲線からの回帰分析によって実施された。IL-5およびIL-13の検出の下限値は、それぞれ0.6pg/mlおよび4.7pg/mlであった。
マウスIL-31は、BALB/cマウスの背部に皮下移植された浸透圧ミニポンプ(Alzet)によって、14日間、1日当たり20ug(1日当たりおよそ1mg/kg)の用量で送達された。PBS+0.1%BSAが媒体対照として含まれていた。モデルの経過を通したIL-31送達を確実にするために、ポンプは3日目に植え込まれた。
肺は、膨張および10%通常緩衝ホルマリン(NBF)への浸漬によって固定された。
5uMの切片を、ChemMate Antibody Dilution Buffer(part# ADB250, Ventana Medical systems)中で、60分間、IL31およびIL31RAの両方について、333ng/mlから1330ng/mlに希釈された一次抗体と共にインキュベートした。組織をTBSTで2回洗浄し、次いで、PBSB(catalog # BA-1000, Vector Labs)中750ng/mlのビオチン化ヤギ抗ウサギAb中で45分間インキュベートした。スライドを洗浄し、Vectastain Elite ABC Reagent(catalog# PK-7100, Vector Labs)中で45分間インキュベートし、TBSTで2回洗浄した。シグナルを室温で10分間DAB+(catalog# K-3468, DakoCytomation)により現像した。次いで、組織スライドをヘマトキシリン(catalog# H-3401 Vector Labs)で対比染色し、脱水し、VectorMount(catalog# H-5000, Vector Labs)でカバーガラスで覆った。
BAL分画および血清IgEについての群間の差のレベルを決定するために、分散分析(ANOVA)が使用された。遺伝子発現研究についての群間の差を決定するために、スチューデントt検定が実施された。データは平均値+SDとして表される。差は、p<0.05である場合に、統計的に有意であると見なされた。
アレルギー性喘息のマウスモデルにおけるIL-31の全身送達は、IL-5およびIL-13のmRNAレベルおよびタンパク質レベルの減少をもたらす。抗原により誘導される喘息のマウスモデルにおける動物からの肺組織およびBAL細胞浸潤物の予備分析は、IL-31の受容体であるIL-31RAをコードするmRNAが、気道抗原チャレンジの48時間後に、肺組織全体および肺細胞浸潤物の両方においてアップレギュレートされたことを示した(Dillon et al., 2004)。
健康ヒトドナーから全血(200ml)を収集し、50mlコニカルチューブにおいてPBSと1:1で混合した。次いで、希釈された血液30mlを、Ficoll Paque Plus(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)15mlに重層した。これらの勾配を、500gで30分遠心分離し、ブレーキをかけずに停止させた。界面にあるRBC枯渇細胞(PBMC)を収集し、PBSで3回洗浄した。下記の選択の前、単離されたヒトPBMCの収量は、300×106個であった。
3.1 材料および方法
3.1.1 マウス
雌BALB/cマウスはCharles River Laboratoriesから購入され、SPF条件下で維持された。使用されたすべての実験動物は、ZymoGeneticsのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されたプロトコルの下にあった。マウスは研究開始時に11週齢であった。
8〜12週齢のマウスを、0日目および7日目に、50%Imject Alum(Pierce)中の10ugのOVA(Calbiochem)100□Lの腹腔内注射によって感作した。1週間後、マウスを、2日連続(14日目および15日目)で、50uL PBS中の20□gのOVAにより鼻腔内チャレンジした。OVAによる鼻腔内チャレンジの48時間後、全肺組織、気管支肺胞洗浄(BAL)細胞浸潤物、BAL液、および血清を動物から収集した。いくつかの実験においては、追加的な動物群をプロトコルに置き、全身プレスチモグラフィ(WBP)によって気道過敏(AHR)について試験した。
BALB/cマウスの背部に皮下移植された浸透圧ミニポンプ(Alzet)によって、7日間または14日間、マウスIL-31を送達した。PBS+0.1%BSAが媒体対照として含まれた。送達されたIL-31の量は後述される。一般に、14日間ポンプによるIL-31の送達は、IL-31がアレルゲン感作期およびチャレンジ期の両方に循環血中に存在することを確実にした。過半数の実験が、大腸菌由来IL-31(SEQ ID NO:17)を用いて実施されたが、BHK由来材料(SEQ ID NO:2)は類似の効果を有することが示された。
気道応答性は、全身プレスチモグラフィ(Buxco, Electronics, Shannon, CT)を使用して、エアロゾル化メタコリン(MCh)によるチャレンジの後の気道機能の変化として査定された。簡単に説明すると、無拘束の意識のあるマウスを、全身プレスチモグラフィチャンバーに置き、呼吸波形を、基線を入手するために5分間測定した。基底値が確立された後、マウスを、非チャレンジ対照測定のためにエアロゾル化PBSによりチャレンジし、次いで増加する濃度のMCh(0.075M〜0.3M)でチャレンジした。読み取りは、各噴霧化期間の3分後に、10分間、行われた。データは、無次元パラメーターPenh(エンハンストポーズ(enhanced pause))を使用して、基底値に対する増加倍率として表される。
気管支肺胞洗浄液は気管内カニューレ挿入を介して収集された。0.5%FBSを含むPBSを、肺に徐々に注射し、3×1mlの一定分量で引き出した。BAL細胞を単離するために洗浄液を遠心分離し、上清を後の分析のために凍結させた。BAL細胞ペレットを、1ml当たり200万細胞で再懸濁させ、150□Lを全細胞数および細胞分画のために使用した。全BAL白血球数は、トリパンブルー排除を使用して光学顕微鏡法を介して各マウスについて決定された。各動物の洗浄液中の細胞分画は、風乾され固定されたサイトスピンスライドのH&E染色(DiffQuik;Merz & Dade, Dubingen, Switzerland)によって決定された。細胞数は、1サイトスピン(Phoenix Laboratories)当たり100個の細胞を調査することにより計算された。異なる白血球の総数は、データ収集から計算された。結果は、肺1個当たりの全細胞数として表される。
肺組織およびBAL細胞を、抗原チャレンジの48h後に動物から収集した。動物からの肺組織は別々に分析されたが、群内の動物からのBAL細胞は、材料が少量であったためプールされた。RLT緩衝液に再懸濁した急速凍結された全組織試料およびBAL細胞ペレットを、RNA単離のために処理するまで-80℃で保存した。簡単に説明すると、肺組織をRLT緩衝液(Qiagen)中でホモジナイズし、製造業者の指示(Qiagen, Valencia, CA)通りに市販のRNeasyキットを使用して抽出した。RNAを、製造業者のプロトコルに従って、TaqMan RT-PCR試薬(Applied Biosystems, Branchburk, NJ)を使用して、第一鎖cDNAへと転写した。オリゴヌクレオチドプライマーおよびTaqManプローブは、Primer Expressソフトウェア(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、設計され、施設内で合成された。順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブ配列が調製された。リアルタイムPCRは、ABI Prism 7900HT(Applied Biosystems)上で384穴プレートでトリプリケートで実行された。リアルタイムデータは、基線および閾値パラメータを手動で調整しながら、SDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して、取得され分析された。各遺伝子のmRNAのレベルは、Comparative Ct法(User Bulletin # 2, PE Applied Biosystems)を使用して、内部ハウスキーピング遺伝子、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)に対して相対的に計算された。
BAL液上清中および血清試料中のサイトカインレベルは、製造業者の指示に従って、カスタムMouse Cytokine LINCOplexキット(LINCO Research, St Charles, MS)およびLuminex100プレートリーダ(Luminex Corporation, Austin, TX)を使用して測定された。サイトカインの定量化は、キットに含まれていたサイトカイン標準物から作成された標準曲線からの回帰分析によって実施された。
全IgEおよびOVA特異的IgEの血清中濃度は、ELISAによって測定された。ELISAマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorb)を、4℃で、PBS中の2ug/ml捕獲抗IgE(Pharmingen cat#553413)100ul/ウェルにより一夜コーティングした。次いで、プレートをRTで15分間、200ul/ウェルのSuperBlock(Pierce cat#37515)によりブロッキングし、次いで、ELISA Cで洗浄した。ELISA B(PBS、1%BSA)で希釈されたIgE標準物(Pharmingen cat#557079)を、500ng/mlから連続2倍希釈で播いた。ELISA Bで1:50希釈された血清試料を、100ul/ウェルで播いた。Ova特異的IgE濃度を測定する場合には、ova/alumにより免疫感作され追加刺激されたマウスからの血清を陽性参照として使用し、未感作マウスからの血清を陰性参照として使用した。参照血清は試料血清と同じ1:50に希釈された。プレートを、4℃で一夜インキュベートし、次いで、ELISA Cで洗浄した。次いで、ELISA B中2ug/mlのビオチン化検出抗マウスIgE(Pharmingen cat#553419)を100ul/ウェルで播き、RTで60分、インキュベートした。プレートをELISA Cで洗浄し、次いでELISA Bで1:1000希釈されたSA-HRP(Pharmingen cat#554066)100ul/ウェルを播き、RTで30分、インキュベートした。インキュベーションの後、プレートをELISA Cで洗浄し、次いで、OPD(10mlクエン酸Na/クエン酸pH5、OPD錠(Pierce, Cat#34006)1つ、10ul H2O2)を使用して現像した。0.1M H2SO4によりELISAプレートの現像を中止し、490nmで分光光度計で読み取った。
3.2.1 マウス気道におけるIL-31RAの発現
3.2.1.1 IL-31RAおよびOSMRのmRNAの調節
OVAにより感作されチャレンジされたマウスの最初の研究において、アレルゲンにより誘導される気道炎症におけるIL-31活性の可能性を決定するために、肺組織およびBALからの細胞からのmRNAを、IL-31受容体の発現について分析した。BALB/cマウスおよびC57B1/6マウスをOVAにより感作し、次いで、アレルゲンとしてのOVAまたは対照としてのPBSのいずれかにより鼻腔内チャレンジした。組織の定量RT-PCR分析は、感作されたマウスにおいて、アレルゲンチャレンジ後、肺組織(図1)およびBAL細胞浸潤物の両方においてIL-31Raが有意にアップレギュレートされることを示唆した。IL-31受容体の他のサブユニットOSMRも肺において発現されることが見出されたが、発現はアレルゲン感作の結果として調節されないようであった。対照的に、BAL細胞において、OSMRレベルは極めて低かった。これらのデータは、IL-31シグナル伝達が、アレルゲン感作後の気道炎症の発症において役割を果たしているかもしれないことを示唆する。
IL-31RAタンパク質がマウス肺のどこで発現されたかを決定するために、本発明者らは、OVAにより感作され、OVAまたはPBSのいずれかにより鼻腔内チャレンジされた動物から肺を収集した。次いで、本発明者らは、免疫組織化学によりIL-31RAの発現を分析し、IL-31を発現する主要な細胞型がマクロファージであるらしいことを見出した。また、本発明者らは、常在性単球を象徴する大きな単球細胞における染色にも注目した。これは、最小の炎症性浸潤物が観察されたPBS処理動物の肺において特に認められた。これらの後者の「未関与の」肺の肺胞において、場合により、陽性染色マクロファージが観察されることも注目された。
3.2.2.1 実験#1
IL-31Raがマウスにおける抗原誘導気道炎症において調節されたという観察に続いて、本発明者らは、気道炎症の発症に対するIL-31送達の効果を研究した。この目的のため、OVA特異的な気道炎症を、BALB/c動物で、循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で発生させた。簡単に説明すると、BALB/cマウスを、0日目および7日目に、ミョウバン中の10ugのOVAにより腹腔内感作した。3日目、感作された動物のうちの5匹に、1日当たり20ug(1日当たりおよそ1mg/kg)のマウスIL-31(BHK由来)を14日間送達する浸透圧ミニポンプを皮下移植した。この送達割合は、血清中のおよそ20ng/mlのIL-31をもたらした。もう一つの動物5匹の群には、媒体対照としてPBS+0.1%BSAを含有しているポンプが移植された。次いで、14日目および15日目、動物をOVAにより鼻腔内チャレンジした。第三の動物群は、OVAにより感作されたが、PBSによりチャレンジされ、基線対照(炎症なし)として含まれた。最後の鼻腔内チャレンジの48時間後に、組織を分析のために収集した。BAL細胞浸潤物の分析のために肺を洗浄し、遺伝子調節の分析のためBAL細胞浸潤物からも全肺ホモジネートからもmRNAを調製した。サイトカインおよびIgEのレベルの分析のため血清を収集した。
IL-31送達による肺における遺伝子発現の分析は、IL-5、IL13、およびカテプシンLを含む喘息および肺炎症の発症に関与していることが示されている遺伝子の発現を、IL-31が有意に減少させ得ることを示唆している(それぞれ、p値0.0137、0.003、および0.0381、BSA処理対IL-31処理)(表1)。結果は統計的有意性に達しなかったが、IL-4、IL-31Ra、TNFa、CD40、およびCD40Lの発現の減少傾向も存在した。興味深いことに、媒体対照動物と比較して、IL-31処理後のIL-8R遺伝子発現の有意な増加が存在し、これは有意ではなかったがMIP-2の増加傾向が存在した。MIP-2およびKCは、マウスにおけるIL-8の機能的なホモログである。MIP-2およびKCは、細菌の取り込みおよび殺傷を含む好中球の機能的活性を増加させる。IL-8RおよびMIP-2に関するこれらの所見の意味は不明であるが、IL-8Rが好中球上に発現され、好中球の走化性のために必要とされることは既知である。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
血清サイトカインの分析は、媒体処理マウス(110+15.7pg/ml)とIL-31処理マウス(37+8.4pg/ml)との間の循環血中IL-5タンパク質レベルの有意な減少を示した(p<0.0001)。IL-6、IL-9、IL-10、IL-12、GM-CSF、MIP-1、およびRANTESは検出されたが、処理群間の差は観察されなかった。この実験において、IL-4タンパク質およびIL-13タンパク質は、マウス血清中に検出され得なかった。
BAL中の細胞分画の分析は、媒体処理動物と比較して、IL-31処理マウスのBALにおける全リンパ球数の有意な減少を示し(p 0.0095)、差は統計的に有意ではなかったが、BAL好酸球の減少傾向を示した。肺およびBAL組織におけるIL-8R mRNA発現の増加は、BAL中の好中球の増加が存在することを示唆した。IL-31処理後の好中球数の増加傾向が存在したが、結果は、群内の大きな変動および細胞数の少なさのため統計的に有意ではなかった。48hrが、マクロファージおよび好酸球の流入の測定のための最適の時点であるが、好中球の浸潤についてはそうでないことも注目されるべきである。好中球浸潤のより正確な査定のためには、より早い時点の分析が正当であり得る。
抗原特異的な気道過敏を分析する実験#1の繰り返しを、BALB/c動物において循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で実施した。
実験#1と比較して、この実験においては、遺伝子のサブセットのみを分析した。これらの遺伝子には、IL-4、IL-5、IL-13、IL-13Ra2、IL31RA、カテプシンL、およびTNFaが含まれていた。ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表3に与えられる。この実験において、媒体対照動物と比較して、IL-31により処理されたマウスについては、IL-13およびTNFaの遺伝子発現の有意な減少が観察された。第1の実験において有意な減少を示した3種の遺伝子、IL-5、IL-31RA、およびカテプシンLのmRNAの減少傾向が存在したが、処理群間の差は、この実験においては統計的に有意ではなかった。BAL mRNAについての結果は、表4に示され、第1の実験と同様の遺伝子が、IL-31処理により、この実験において有意にダウンレギュレートされたことを示している。これらの遺伝子には、IL-5、IL-31RA、およびカテプシンLの有意なダウンレギュレーションが含まれる。IL-13レベルも有意にダウンレギュレートされたが、この分析のために検出されたIL-13 mRNAのレベルは検出下限にあった。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
b統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。NS=有意でない、ND=検出されず。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
b統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。NS=有意でない、ND=検出されず。
BAL液中のサイトカインの分析の結果は表5に要約される。肺およびBAL細胞におけるmRNAの調節についての結果と一致して、BAL液中のタンパク質レベルの分析は、IL-5(p<0.0001)およびIL-13(p<0.0001)の有意な減少を示している。さらに、KC(p 0.0332)およびMCP-1(p 0.007)の有意な増加が、IL-31により処理されたマウスにおいて観察された。KC mRNA発現はこの実験において試験されなかったが、先の実験はIL-31処理後のKCアップレギュレーションの証拠を示している。BAL液中のタンパク質の検出は、IL-31処理が肺におけるKCレベルをアップレギュレートするという所見を支持する。GM-CSF、IFNg、IL-10、IL-12、IL-1b、IL-4、IL-6、IL-9、およびRANTESのレベルは検出不可能であった。MIP-1aおよびTNFaは検出されたが、IL-31処理動物と未処理動物との間に差は観察されなかった(表5)。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、動物がOVAによりチャレンジされない時の基線値を表す。
血清サイトカインの分析は、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、GM-CSF、MIP-1a、およびTNFaを含む検出されたサイトカインの循環血中レベルの統計的に有意な減少を示唆しなかった。IL-4タンパク質およびRANTESタンパク質は、この実験において、マウス血清中に検出され得なかった。
BAL中の細胞の分画分析は、第一の実験における所見と同様に、IL-31処理が、浸潤好酸球の有意な減少、およびリンパ球の減少傾向をもたらすことを示唆したが、この場合、リンパ球についての差は統計的に有意ではなかった。この実験において、媒体対照動物と比較されたIL-31処理による好中球の観察された増加は、独立t-tailed t検定で試験された場合にのみ有意に達し(p=0.0203)、BAL液中のKC増加の所見と一致していた。しかしながら、すべてのデータおよびすべてのパラメーターを一緒に分析するために二元配置のANOVAを使用した統計分析は、2群間の好中球の差は統計的に有意でないことを示唆した。
先の二つの実験と同様に、抗原特異的な気道過敏の分析を、BALB/c動物において循環血中マウスIL-31の存在下または非存在下で実施した。
ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表5に与えられる。媒体対照と比較された、IL-31により処理されたマウスにおけるIL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31Ra遺伝子発現の観察された有意な減少は、先の二つの実験と一致している(表6)。実験#1において見られたように、媒体処理マウスと比較されたIL-31処理群におけるIL-8R遺伝子発現の増加傾向も存在したが、差は統計的に有意ではなかった。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
BAL液中のサイトカインの分析の結果は表8に要約される。先のデータと同様に、これらのデータは、IL-31処理によるIL-5(p=0.0133)およびIL-13(p<0.0001)の有意な減少を示している。しかしながら、先の実験とは対照的に、BAL中のKCおよびMCP-1の分析は、媒体対照動物と比較して、IL31処理マウスにおけるレベルの減少を示した(それぞれ、p=0.0405およびp=0.0387)(表8)。IL-1b、IL-10、MIP-1a、およびRANTESのレベルは、アッセイの検出限度未満であった。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。
循環血中の全IgEまたはOVA特異的IgEの有意差は、二つの動物群間に認められなかった。血清サイトカインは測定されなかった。
BAL中の細胞の分画分析は、先の実験において観察されたように、IL-31処理が、浸潤リンパ球(p=0.0011)、マクロファージ(p=0.0291)、および好酸球(p=0.0198)の有意な減少をもたらすことを示唆した。二つの処理群のマウスのBAL中に見出される好中球数の統計的な差は存在しなかった。
気道炎症に対するIL-31処理の全体的な効果を決定するため、この研究は、免疫組織化学のための肺組織の収集を含むため、そしてWBPによりアレルゲンチャレンジに対する生存マウスの気道過敏を分析するために設計された。マウスは、最後の三つの実験において既に記載されたように、OVAにより感作され、チャレンジされ、IL-31(大腸菌由来)または媒体により処理された。最後の鼻腔内チャレンジの48時間後、前記のように、分析のために組織を収集した。さらに、肺の一部を収集し、10%緩衝中性ホルマリンまたはZn TRIS固定液で保存した。ホルマリン固定組織を、加工し、パラフィン包埋し、切片化し、得られたスライドを微視的評価のためヘマトキシリンおよびエオシンにより染色した。
ハウスキーピング対照遺伝子HPRTに対する遺伝子発現の相対レベルの完全な概要は表9に与えられる。予想通り、媒体処理対照と比較して、IL-5およびIL-31Ra遺伝子発現の有意な減少が、IL-31により処理されたマウスにおいて観察された(表9)。先に観察された、IL-4、IL-13、およびカテプシンLの減少傾向、ならびにIFNgおよびCD40Lの有意な減少が存在した。さらに、本発明者らは、再度、全肺ホモジネートにおけるIL-8R発現の統計的に有意な増加を観察する(表9)。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、OVAチャレンジなしの基線を表す。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、媒体処理群をIL-31処理動物と比較する独立t検定を使用して実施された。PBS群は、OVAチャレンジなしの基線を表す。
IL-31処理OVA感作マウスおよび媒体処理OVA感作マウスにおいて、全IgEおよび抗原特異的IgEについて、血清を分析した。この特定の実験において、本発明者らは、媒体処理動物と比較して、IL-31処理マウスにおけるOVA特異的IgEのレベルの有意な減少を見出した(p=0.0070)。しかしながら、二つの処理群間の全IgEレベルの差は、統計的有意性に達しなかった。
IL-31処理動物および媒体処理動物からの肺の組織学的調査は、以下のものを含む、OVAによる感作およびりチャレンジに関連した多数の微視的変化を示した:(1)好酸球および/または好中球(好酸性細胞質により細分化された核)および大きな単球型細胞と、いくつかのリンパ球との蓄積を特徴とする多巣性〜びまん性の気管支周囲/血管周囲の亜急性炎症;(2)びまん性の上皮/杯細胞過形成;ならびに(3)いくつかの多核巨細胞形成を伴う肺胞における多巣性マクロファージ浸潤物。
提示されたデータは、マウスにおける抗原感作および気道チャレンジの間のIL-31送達が、組織学および全身プレスチモグラフィを介した気道過敏によって査定されるような肺炎症のダウンレギュレーションをもたらすことを示唆している。全肺ホモジネートおよび肺内の浸潤細胞からのmRNAにおける遺伝子調節の分析は、IL-31が、IL-5、IL-13、およびカテプシンLを含む肺炎症および喘息に関連付けられている遺伝子を一貫してダウンレギュレートし得ることを示唆している。炎症に一般に関連している遺伝子も、ダウンレギュレートされることが見出され、それらには、IFNg、CD40、およびCD40Lが含まれていた。遺伝子ダウンレギュレーションに対するIL-31の効果は、全肺mRNAと比較して、BAL浸潤細胞からのmRNAにおいてより一貫しているようであった。さらに、BAL液中のサイトカインレベルが試験された場合、タンパク質の調和性のダウンレギュレーションがしばしば観察された。このTh2および炎症性遺伝子のダウンレギュレーションは、BAL細胞浸潤物、特に好酸球、マクロファージ、およびリンパ球の減少にしばしば翻訳される。組織形態計測を介したIL-31処理動物の肺におけるF4/80+マクロファージ細胞数の分析は、肺における組織マクロファージの減少を確認する定量的データを与えた。さらに、肺アレルギー性炎症に関連した一般病理学の分析は、IL-31の送達による疾患の重度の減少を示した。従って、これらのデータは、アレルゲン感作およびチャレンジの間のIL-31の送達が、未知の機構を通して、肺炎症の重度を低下させ得ることを示唆している。
2.3.1 実験#1
本発明者らは、次に、マウスにおけるOVAによる感作および鼻腔内チャレンジの後の肺炎症に対する阻害効果のために必要とされるIL-31の最小用量を調査することに決めた。第1の実験において、Alzet 14日間浸透圧ポンプに20ug/日から0.02ug/日まで10倍ずつ減少する濃度のIL-31を負荷し、前記と同様にして、OVAアレルゲンによる感作およびチャレンジの間にマウスに移植した。1群当たり5匹の動物を分析した。
先の研究は、20ug/日のIL-31の送達が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の肺における多数の遺伝子の発現を減少させることを示した。表11に要約された結果は、これらの遺伝子のうちのいくつかについて、このIL-31の効果が用量依存性であることを示している。20ug/日のIL-31により処理されたマウスの群における遺伝子発現レベルの、10倍、100倍、または1000倍少ないIL-31を受容したものとの比較は、有意差を示している。IL-5、IL-13、IL-31Ra、TNFa、IFNg、クラスII、IL-13Ra2、エオタキシン、IL-10、CD40、およびCD40Lを含む遺伝子は、IL-31のより低い用量で、特に0.2および0.02ug/日の用量で、より高度に発現された。カテプシンLおよびIL-4は、IL-31の用量が低くなるほど発現の増加傾向を示したが、これらの傾向は有意ではなかった。さらに、20ug/日のIL-31処理後に増加することが示されていたIL-8RおよびMIP-2も、有意なIL-31用量依存性を示した。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
bダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、より低い濃度(2、0.2、および0.02ug/日)でのIL-31処理を、先の実験において使用された標準20ug/日での処理と比較して、**p<0.01および*p<0.05。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
bダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、より低い濃度(2、0.2、および0.02ug/日)でのIL-31処理を、先の実験において使用された標準20ug/日での処理と比較して、**p<0.01および*p<0.05。
BAL細胞浸潤物の分析は、アレルゲンによる鼻腔内チャレンジの後の細胞浸潤物の量および型に対する用量依存効果があることも示唆した。20および2ug/日のIL-31の用量は、IL-31のより低い用量(0.2および0.02ug/日)と比較して、肺細胞浸潤物における好酸球、マクロファージ、およびリンパ球の数の有意な減少を誘導する効果がより高い。
先の実験において、本発明者らは、気道炎症に対するIL-31の効果が用量依存性であることを証明した。遺伝子発現およびBAL細胞浸潤物の分析は、10倍低い用量のIL-31(2ug/日)が、アレルゲンによる鼻腔内チャレンジの後の肺における細胞浸潤物のレベルを有意に阻害し得ることを示唆した。この実験は、2ug/日以下の用量のIL-31が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の気道過敏を減少させ得るか否かを決定するために設計された。
肺における遺伝子のダウンレギュレーションのためのIL-31の最低有効濃度を決定するための、IL-31処理動物からの肺mRNAの分析は、IL-4、IL-13、IFNg、IL-31Ra、およびTNFaのようないくつかの遺伝子が、増加する濃度のIL-31(最大用量2ug/ml)における発現のダウンレギュレーションの傾向を示すが、その差は大部分の遺伝子において統計的に有意ではないことを証明した(表14)。CD40Lは、2ugまたは0.2ug/日のIL-31が送達された場合にのみ発現の有意なダウンレギュレーションを示した唯一の試験された遺伝子であった。肺組織において試験されたすべての遺伝子についてのPCRデータは(表13)に要約される。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。統計分析は、IL-31処理を媒体対照(IL-31なし、灰色カラム)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAであった(**p<0.01および*p<0.05)。
aデータは、1群当たり5匹の動物から収集されたプールされたBAL細胞のトリプリケートウェルの平均値+標準偏差として表される。統計分析は、IL-31処理を媒体対照処理動物(IL-31なし、灰色カラム)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAであった(**p<0.01および*p<0.05)。
BAL液を、luminex多重アッセイによってサイトカインについて分析した。IL-4、IL-5、IL-9、IL-13、およびKCは、すべて、BAL液中に検出された。BAL液中のサイトカインのレベルは、BAL中の遺伝子の発現について収集されたデータを反映しているようであり、より低い濃度のIL-31が、有意に高いレベルのIL-5およびIL-13のタンパク質を誘導した。IL-4も、より低い濃度でアップレギュレートされるようであったが、IL-31処理と無処理の間の差は統計的有意性に達しなかった。KCは無処理と比較して2ug/日でアップレギュレートされることが見出された。TNFa、IFNg、およびMCP-1は、BAL液中に検出されなかった。MIP-2は試験されなかった。
BAL分画の分析は、より低い用量で処理されたマウスと比較して、この研究における最大濃度(2ug/日)のIL-31により処理されたマウスのBAL中には、好酸球浸潤物の減少傾向があったことを示している。変動の程度が大きかったため、データは統計的に有意ではなかった。2ug/日のIL-31によるマクロファージ数の有意な減少があった。その他のIL-31濃度のいずれも、マクロファージ数を減少させるのに有効でないようであった。
過去の実験は、より高い濃度(20ug/日)でのIL-31処理に関連した炎症パラメータの減少が、一般に、全IgEまたはOVA特異的IgEの減少をもたらさないことを示した(この報告のセクション1を参照されたい)。にもかかわらず、異なる濃度のIL-31による処理の後、血清を全IgEおよびOVA特異的IgEについて分析した。この実験において、これらのマウスの血清中の全IgEのレベルの差は存在しなかったが、1日当たり0.02および0.01ugのIL-31により処理された群においては、IL-31未処理または最低用量のIL-31(0.005ug/日)のいずれかと比較して、OVA特異的IgEの増加が存在するようであった。ここで、0.1ug/日のIL-31が、BAL液中のIL-5およびIL-13のmRNAおよびタンパク質の有意なアップレギュレーションを誘導したことに注目することは興味深い(表15)。このデータは、高濃度のIL-31は、気道アレルゲンに対する肺炎症を減少させるが、低濃度のIL-31は、逆の効果を有するかもしれないことを示唆し得る。
マウスを、OVAによる鼻腔内チャレンジの後の気道過敏について全身プレスチモグラフィによってさらに分析した。この実験において試験された濃度でのIL-31処理は気道過敏を減少させなかった。
ここまでの本発明者らのデータは、気道過敏のマウスモデルにおけるIL-31の抗炎症効果が少なくとも20ug/日のIL-31の送達を必要とすることを示した。IL-31濃度の10倍の減少は、気道炎症を一貫して低下させず、アレルゲンチャレンジに対する気道過敏の低下をもたらさない。マウス肺の免疫組織化学は、過半数のIL-31RAが、肺内の常在性マクロファージおよび浸潤マクロファージの両方に発現されていることを示しており、この時点では、IL-31が、抗炎症効果を生ずるためにこれらの細胞に直接作用しているのか、またはもう一つの標的細胞型が存在するのかは不明である。IL-31が、抗原によるチャレンジおよび感作に関連した炎症をダウンレギュレートするために常在性の細胞型に作用するのか否かを決定するため、本発明者らは、IL-31前処理(感作およびチャレンジの前のIL-31送達)が、モデルの感作期およびチャレンジ期の両方を通したIL-31送達と同一の効果を有するか否かを決定することを望んだ。
媒体処理マウス、IL-31前処理マウス、およびIL-31処理マウスからの全肺ホモジネートにおける遺伝子発現の分析は、表15に要約される。統計分析は、IL-31群(前処理または処理)を媒体対照群と比較することにより実施された。
aデータは、1群当たり5匹の動物の平均値+標準偏差として表される。
IL-31前処理またはIL-31処理を媒体対照(IL-31なし)と比較する、ダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、**p<0.01および*p<0.05。
aデータは、1群当たり5匹の動物から収集されたプールされたBAL細胞のトリプリケートウェルの平均値+標準偏差として表される。
IL-31前処理またはIL-31処理を媒体対照(IL-31なし)と比較するダネットのポスト検定を用いた一元配置のANOVAを使用して、**p<0.01および*p<0.05。
結果は統計的に有意ではなかったが、IL-31処理を受けた動物は、媒体処理群と比較して、BAL液中のIL-4、IL-5、およびIL-13の減少傾向を示した。IL-31処理マウスによる先の研究と一致して、この群は、KCレベルも有意に上昇させた。アッセイされたすべてのその他のサイトカインは検出限度未満であった。
細胞分画の分析は、OVAによる感作およびチャレンジの間にIL-31により処理されたマウスのBALにおける、より低い好酸球浸潤物の傾向を示し、それは先の研究と一致している。感作およびチャレンジの前のIL-31によるマウスの前処理は、媒体処理対照動物から有意に細胞浸潤物の型または数を改変しないようであった。
全IgEまたはOVA特異的IgEのレベルの群間の有意差は存在しなかった。
IL-31により前処理されたマウス群、感作およびチャレンジの間にIL-31により処理されたマウス群、または媒体により処理されたマウス群を、鼻腔内アレルゲンチャレンジの後の気道過敏に対する感受性について分析した。結果は、IL-31前処理が、IL-31未処理対照と比較して、気道過敏に影響を与えないことを示している。しかしながら、対照的に、感作およびチャレンジを通したIL-31処理は、アレルゲンチャレンジを受容していない動物と比較可能なレベルにまで気道過敏を減少させた。
本発明者らは、OVAによる感作およびチャレンジの間に送達された20ug/日のIL-31が、肺炎症のダウンレギュレーションをもたらすことを既に確立した。このセクションにおいては、本発明者らは、この効果が用量依存性であることを証明する。2ug/日という低いIL-31の濃度は、やはり気道過敏の発症において重要な遺伝子の発現を低下させることができるが、この低い濃度は、全身プレスチモグラフィによって測定されるような気道過敏の低下をもたらすのには十分でなかった。
3.2.4.1 実験#1
IL-31トランスジェニック動物を、前記と同様に、OVAにより感作しチャレンジし、全身プレスチモグラフィによって気道過敏について試験した。データは、IL-31トランスジェニック動物が、野生型対照同腹仔と比較して、OVAにより誘導される気道過敏に対して有意に低感度であったことを示唆している。
この実験は、アレルゲンにより誘導される気道過敏に対するIL-31トランスジェニックマウスの感受性のテストの繰り返しであった。データの分析は、先の実験と同様の所見を示している。IL-31トランスジェニック動物は、特にメタコリンの最も高い用量で、感作アレルゲンによって誘導される肺炎症を起こしにくいようである。
IL-31トランスジェニック動物が、全身プレスチモグラフィによって測定されるように、気道過敏に対して低感度であるらしいことが確立されたため、本発明者らは、肺における減少した炎症の性質を分析した。従って、IL-31トランスジェニック動物および野生型対照を、OVAにより感作し、OVAまたはPBSのいずれかにより気道を介してチャレンジした。鼻腔内チャレンジの48時間後、BAL液を肺細胞浸潤物の査定のため収集し、肺をmRNAおよび遺伝子発現の分析のため収集した。血清も、全IgEおよびOVA特異的IgEの分析のため収集した。この実験において、BAL液中および血清中のサイトカインは測定されなかった。
肺mRNAを、肺炎症と関係付けられている遺伝子のパネルの発現について定量的RT-PCRによって試験した。4つの動物群間で2セットの比較を行った。表17は、IL-31トランスジェニック動物が、OVAまたはPBSいずれかによる感作の条件下で野生型マウスと直接比較された最初の分析からのデータを示す。一般に、OVAまたはPBSのいずれかによりチャレンジされた場合、IL-31トランスジェニックと、対照同腹仔との間に差はなかった。IL-4、IL-5、IL-13、およびIL-31RAを含む多数の遺伝子について、OVAによる感作の後、IL-31トランスジェニックの肺におけるより低い発現があるようであったが、これらは統計的に有意ではなかった(表17)。1種の遺伝子IL-10は、OVAによるチャレンジの後、IL-31トランスジェニックマウスと比較して、野生型マウスの肺における有意に高い発現を示した。
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキー(Tukey)のポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(**p<0.01)。
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***P<0.001、**p<0.01、*p<0.05)。
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***p<0.001、**p<0.01、および*p<0.05)。
a群間の差についての統計分析は、すべての群の、チューキーのポスト比較検定を用いた一元配置のANOVAにより実施された(***p<0.001、**p<0.01、および*p<0.05)。
BAL細胞浸潤物を収集し、細胞内容物について分析した。野生型対照同腹仔と比較して、IL-31 Tg動物の肺細胞浸潤物には好酸球数の減少傾向があったが、データはテスト群内の可変性のため統計的有意性に達しなかった。
OVA感作後のIL-31トランスジェニック動物の血清中の全IgEの分析は、同腹仔野生型対照と比較して、IL-31トランスジェニック動物の循環血中の全IgEの産生の有意な減少を示したが(p=0.048、独立t検定)、血清中の検出可能なOVA特異的IgEのレベルの統計的な差は存在しなかった。
本発明者らは、IL-31送達が、アレルゲンによる感作およびチャレンジの後の肺炎症を減少させるのであれば、IL-31トランスジェニック動物は、アレルゲンにより誘導される喘息も起こしにくいであろうと仮定した。実際、IL-31トランスジェニックは、気道応答性が全身プレスチモグラフィによって測定された場合、OVAによる感作およびチャレンジに対するより少ない気道過敏を発症するようであった。本発明者らは、IL-31トランスジェニックが、同腹仔対照と比較して、OVAによる感作およびチャレンジの後のTh-2型遺伝子のアップレギュレーションに、より抵抗性であるらしいことを見出した。さらに、野生型対照と比べて、OVAチャレンジIL-31トランスジェニックには、肺内の好酸球数の減少傾向が存在した。これらのデータは、IL-31過剰発現が肺炎症をダウンレギュレートするという本発明者らの観察と一致している。
Claims (25)
- 哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法。
- IL-31アゴニストが、
a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および
b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 - 炎症が阻害、最小化、または中和される、請求項1記載の方法。
- IL-31アゴニストが哺乳動物細胞において産生される、請求項2記載の方法。
- IL-31アゴニストが大腸菌(E.coli)において産生される、請求項2記載の方法。
- IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基が、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている、請求項5記載の方法。
- 哺乳動物にIL-31アゴニストを投与する工程であって、IL-31アゴニストが感作またはチャレンジの間に投与される、工程を含む、喘息、気道過敏、アレルギー性鼻炎を処置する方法。
- IL-31アゴニストが、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎に対する前処置として投与されない、請求項7記載の方法。
- 肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生が阻害、最小化、または中和される、請求項1記載の方法。
- 炎症誘発性サイトカインがIL-5またはIL-13である、請求項9記載の方法。
- 炎症誘発性サイトカインがIL-5およびIL-13である、請求項9記載の方法。
- a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を含むポリペプチド;および
b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
からなる群より選択されるポリペプチドを投与する工程を含む、肺炎症状態における肺およびBAL液における炎症誘発性サイトカインの産生を阻害、最小化、または中和する方法。 - 前記ポリペプチドが哺乳動物細胞において産生される、請求項12記載の方法。
- 前記ポリペプチドが大腸菌において産生される、請求項12記載の方法。
- 炎症誘発性サイトカインの減少を生ずるIL-31アゴニストの量を決定する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するために使用されるIL-31アゴニストの用量を最適化する方法。
- 炎症誘発性サイトカインがIL-5またはIL-13である、請求項15記載の方法。
- 炎症誘発性サイトカインがIL-5およびIL-13である、請求項15記載の方法。
- 喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎の症状を処置、最小化、低下、または阻害するためのIL-31アゴニストを含む薬学的組成物の使用であって、薬学的組成物が、
a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を含むポリペプチド;および
b)SEQ ID NO:2のアミノ酸残基27から残基164までを含むポリペプチド
からなる群より選択される、使用。 - 喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を処置するための最適用量を決定するためのキットであって、
a)喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎を有する患者から肺組織またはBAL液の試料を採取する工程;
b)ある量のIL-31アゴニストが試料中の炎症誘発性サイトカインの産生を減少させるか否かを決定するためにインビトロで試料を試験する工程であって、炎症誘発性サイトカインの量は、遺伝子発現またはタンパク質のレベルを決定することにより測定される、工程;
c)炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させるのに十分なIL-31アゴニストの投薬量を決定する工程
を含む、キット。 - ある量のIL-31アゴニストを投与する工程を含む、喘息、気道過敏、またはアレルギー性鼻炎のような状態においてIL-31Raの発現をダウンレギュレートする方法。
- IL-31アゴニストが、
a)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までのポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド;および
b)SEQ ID NO:2の残基27から残基164までの配列を含むポリペプチド
からなる群より選択される、請求項20記載の方法。 - 炎症が阻害、最小化、または中和される、請求項20記載の方法。
- IL-31アゴニストが哺乳動物細胞において産生される、請求項21記載の方法。
- IL-31アゴニストが大腸菌において産生される、請求項21記載の方法。
- IL-31アゴニストのアミノ酸配列のシステイン残基が、IL-31の均質の調製物を産生するために変異されている、請求項24記載の方法。
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