JP2008528039A - Il−31の均質調製物 - Google Patents

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Abstract

成熟タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列内の1つ以上のシステイン残基を突然変異させることによって、ヒト及びマウスIL-31の均質な調製物を製造した。前記システイン突然変異タンパク質は、それらの同族受容体に結合するか、又は生物学的活性を呈することを示すことができる。

Description

ヒト及び他のゲノムからの遺伝子の利用可能性及び同定の拡大は、組み換えタンパク質の効率的な発現及び精製の必要性の増大につながった。細菌におけるタンパク質の発現は、群を抜いて最も広く使用される、クローン化遺伝子の製造のためのアプローチである。種々の理由で、細菌における発現は、真核細胞における発現より好まれる。例えば、細菌は、真核細胞に比べて培養がはるかに簡単である。より詳しく述べると、豊富で高度な分子遺伝的手段と、何千もの突然変異体の利用可能性が、発現宿主としてのE. coli(E.コリ)をタンパク質製造のために極めて有用なものにした。しかしながら、E.コリにおける機能性タンパク質、特に真核生物起源のそれらの高度な製造は、多くの場合、困難であった。
IL-31は、4ヘリックス束サイトカインの構造を持つ最近発見されたタンパク質である。この新しいサイトカインは、共に本明細書中に援用される、共同所有のPCT出願WO 03/060090及びDillotiら、Nautre Immunol. 5:752-760ページ、2004の中で十分に説明されている。IL-31は、受容体IL-31RAと、オンコスタチンM受容体βを含めた少なくとも1種類の追加サブユニットに対して高い特異性を有するリガンドである。IL-31は、CD3に関して選択された活性化ヒト末梢血液細胞(hPBCs)から作り出されたcDNAライブラリーから分離された。CD3はリンパ系起源の細胞、特にT細胞に独特な細胞表面マーカーである。
マウス型及びヒト型のIL-31は共に、奇数のシステインを含むことが知られている(PCT出願WO 03/060090及びDillonら、前記)。組み換えIL-31の発現は、複数の立体構造内の分子内ジスルフィド結合から成る不均質なタンパク質の混合物をもたらす可能性がある。これらの形態の分離は、難しく、且つ、面倒である。それ故に、発現の際に1つの分子内ジスルフィド結合パターンを持つIL-31分子、並びに均質性を維持するためにこれらの調製物を再び折り畳み、そして精製する方法を提供することが望ましい。よって、本発明は、IL-31の均質な調製物を製造するための組成物及び方法を提供する。
細菌宿主の組み換えタンパク質の発現における進歩にもかかわらず、タンパク質製造のより高い収率をもたらし、原核細胞系において生物学的に活性な、且つ、精製された組み換えIL-31タンパク質を製造するための改良された方法の必要性が存在している。本発明のこれらの及び他の側面は、以下の詳細な説明を参照することで明らかになる。加えて、様々な参考文献が、以下に特定され、そして、その全体が本明細書中に援用される。
本発明は、本明細書中の教示から当業者には明白であるはずのこれらの及び他の用途のために前述のポリペプチドを提供する。
発明の概要
1つの側面において、本発明は、配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む分離されたポリペプチドを提供する。
他の側面において、本発明は、作動できるように連結された以下の要素:転写プロモーター;配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA断片;及び転写ターミネーター、を含む発現ベクターを提供する。
他の側面において、本発明は、配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA断片を含む発現ベクターを導入した培養細胞であって、上記DNA断片によってコードされたポリペプチドを発現する上記細胞を提供する。ある態様において、培養細胞は原核細胞である。他の態様において、細胞はグラム陰性細胞である。他の態様において、細胞はE.コリである。他の態様において、E.コリ細胞はE.コリ株W3110である。
他の側面において、本発明は、以下のステップ:
配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA断片を含む発現ベクターが挿入された細胞であって、上記DNA断片によってコードされたポリペプチドを発現する上記細胞を培養し;そして、発現されたポリペプチドを回収する、
を含むポリペプチドの製造方法を提供する。
他の側面において、本発明は、配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体又は抗体断片を提供する。ある態様において、抗体は、ポリクローナル抗体、マウス・モノクローナル抗体、マウス・モノクローナル抗体由来のヒト化抗体、抗体断片、中和抗体、及びヒト・モノクローナル抗体から成る群から選択される。他の態様において、抗体断片は、F(ab’)、F(ab)、Fab’、Fab、Fv、scFv、及び最小認識部位から成る群から選択される。
他の側面において、抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を含めた抗イディオタイプ抗体を提供する。
他の側面において、本発明は、配列番号4、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る分離されたポリペプチドを提供する。
他の側面において、以下の:
配列番号4、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択される分離されたポリペプチド;及び
医薬として許容される溶媒、
を含む製剤を提供する。ある態様において、製剤はキットの状態で提供する。
他の側面において、配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、炎症誘発性である。
他の側面において、本発明は、配列番号23の第2残基〜第133残基のアミノ酸配列を含む分離されたポリペプチドを提供する。
発明の詳細な説明
本発明について詳細に説明する前に、以下の用語を規定することがその理解に役立つかもしれない:
用語「アフィニティー・タグ」は、別のポリペプチドの精製又は検出に備えるか、又は別のポリペプチドの基板への取り付けのための部位を提供するために別のポリペプチドに付け加えることができるポリペプチド断片を意味するために本明細書中で使用される。原則として、抗体又は他の特異的結合作用物質が利用可能であるあらゆるペプチド又はタンパク質が、アフィニティー・タグとして使用できる。アフィニティー・タグには、ポリヒスチジンtract、プロテインA(Nilssonら、EMBO J. 4:1075ページ、1985年;Nilssonら、Methods Enzymol. 198:3、1991年)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smith及びJohnson、Gene 67:31、1988年)、Glu-Gluアフィニティー・タグ(Grussenmeyerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952-4ページ、1985年)、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hoppら、Biotechnology 6:1204-10ページ、1988年)、ストレプトアビジン結合ペプチド、又は他の抗原エピトープ若しくは結合ドメインが含まれる。一般に、Fordら、Protein Expression and Purification 2:95-107ページ、1991年を参照のこと。アフィニティー・タグをコードするDNAは、商業的な供給業者(例えば、Pharmacia Biotech、Piscataway, NJ)から入手可能である。
用語「対立遺伝子変異型」は、同じ染色体座を占める2種類以上の代替形態の遺伝子のいずれかを示すために本明細書中で使用される。対立遺伝子変異型は、突然変異を通じて天然に生じ、そして、集団内に表現形多型性をもたらすことができる。遺伝子突然変異は、サイレントであるか(コードするポリペプチドに変化がない)、又は変化したアミノ酸配列を持つポリペプチドをコードする可能性がある。用語、対立遺伝子変異型は、また、遺伝子の対立遺伝子変異型によってコードされたタンパク質を示すために本明細書中で使用される。
用語「アミノ末端」及び「カルボキシル末端」は、ポリペプチド内の位置を示すために本明細書中で使用される。前後関係が許す場合には、これらの用語は、近接又は相対的位置関係を示すためにポリペプチドの特定の配列又は部分に関して使用される。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル末端側に配置される特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端の近位に位置するが、必ずしも完結したポリペプチドのカルボキシル末端にあるというわけではない。
用語「相補体/抗相補体対」は、適切な条件下で非共有結合的に結合する安定した対を形成する非同一部分を示す。例えば、ビオチンとアビジン(又はストレプトアビジン)は、相補体/抗相補体対の典型的なメンバーである。他の代表的な相補体/抗相補体対には、受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハプテン若しくはエピトープ)対、センス/アンチセンス・ポリヌクレオチド対などが含まれる。相補体/抗相補体対のその後の解離が望まれる場合には、好ましくは、相補体/抗相補体対が、<109M-1の結合親和性を持つ。
用語「ポリヌクレオチド分子の相補体」は、相補的な塩基配列、及び参照配列と比べて逆の方向性を持ったポリヌクレオチド分子を示す。例えば、配列5’ ATGCACGGG 3’は、5’ CCCGTGCAT 3’に対して相補的である。
用語「コンティグ」は、他のポリヌクレオチドと同じであるか又は相補的な、連続した一続きの配列を持つポリヌクレオチドを示す。連続した配列は、その全体で、又は部分的な一続きのポリヌクレオチドに沿って与えられた一続きのポリヌクレオチド配列の「重ね合わせ」と言われる。例えば、ポリヌクレオチド配列5’-ATGGCTTAGCTT-3’に対する代表的なコンティグは、5’-TAGCTTgagtct-3’及び3’-gtcgacTACCGA-5’である。
用語「縮重ヌクレオチド配列」は、(ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチド分子と比べた場合に)1つ以上の縮重コドンを含むヌクレオチド配列を示す。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なったトリプレットを含んでいるが、同じアミノ酸残基をコードする(すなわち、GAUとGACトリプレットはそれぞれAspをコードする)。
用語「発現ベクター」は、その転写に備える追加断片に作動できるように連結された着目のポリペプチドをコードする断片を含む、線状又は環状のDNA分子を示すために使用される。前述の追加断片は、プロモーター及び終止配列を含み、また、1つ以上の複製開始点、1つ以上の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなども含んでもよい。発現ベクターは、一般に、プラスミド又はウイルスDNA由来であるか、又はその両方の構成要素を含むかもしれない。
ポリヌクレオチドに適用される時、用語「分離された」は、そのポリヌクレオチドが、本来の遺伝子環境から取り出され、それにより、他の外来の又は望ましくないコード配列を含まないので、遺伝子工学的タンパク質製造システムの中での使用に好適な形態であることを示す。そのような分離された分子は、それらの天然の環境から分離されたものであり、cDNA及びゲノム・クローンを含む。本発明の分離されたDNA分子は、それらが通常関連している他の遺伝子を含まないが、天然の5’及び3’非翻訳領域、例えば、プロモーター及びターミネーターなどを含むかもしれない。関連領域の同定は、当業者にとって明らかである(Dynan及びTijan、Nature 316:774-78ページ、1985年を参照のこと)。
「分離された」ポリペプチド又はタンパク質は、天然の環境以外の条件で、例えば、血液及び動物組織などから離れて見つけられるポリペプチド又はタンパク質である。好ましい形態では、分離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高度に精製された形態の、すなわち、95%を超える純粋な、より好ましくは、99%を超える純粋なポリペプチドを提供することが好ましい。これに関連して使用される時、用語「分離」は、代わりとなる物理的形態、例えば、二量体など、又は代わりとなるグリコシル化若しくは誘導化形態の同じポリペプチドの存在を除外しない。
細胞について言及する時、用語「新生物」は、新生物をもたらす、増殖が制御不能であり、且つ、進行性である、特に組織における新規、且つ、異常な増殖をする細胞を指す。新生細胞は、悪性、すなわち、侵襲性及び転移性であるか、又は良性のいずれにもなりうる。
DNA断片について言及する時、用語「作動できるように連結された」は、例えば、転写がプロモーターで始まり、そして、コード断片を通ってターミネーターに至るといった、それらの本来の目的のために調和して機能するように、断片が配置されていることを指す。
用語「オルソログ」は、異なる種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的な対応物である、ある種由来のポリペプチド又はタンパク質を示す。オルソログ内の配列の相違は、種分化の結果である。
「パラログ」は、生物によって作られた、異なっているが、構造的に関連したタンパク質である。パラログは、遺伝子重複を通じて生じると考えられている。例えば、α-グロビン、β-グロビン、及びミオグロビンは、互いにパラログである。
「ポリヌクレオチド」は、5’末端から3’末端に読み出されたデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の1本鎖又は2本鎖重合体である。ポリヌクレオチドは、RNA及びDNAを含み、且つ、天然の起源から分離されるか、生体外において合成されるか、又は天然及び合成の分子の組合せから調製されるかもしれない。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対(短縮された「bp」)、ヌクレオチド(「nt」)、又はキロベース(「kb」)と表現される。前後関係が許す場合には、後者の2つの用語は、1本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドを表すことができる。その用語が二本鎖分子に適用される時、それは全長を示すのに使用され、且つ、用語「塩基対」に相当すると理解される。二本鎖ポリヌクレオチドの2本の鎖は長さが若干異なることがあり、且つ、酵素的切断の結果としてその末端がずれているかも知れず;それ故に、二本鎖ポリヌクレオチド分子内の全てのヌクレオチドが対を形成できるわけではないことは当業者によって認識されるであろう。
「ポリペプチド」は、天然に産生されるか合成によって製造されるかに関係なく、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の重合体である。約10アミノ酸残基未満のポリペプチドは、一般的に「ペプチド」と呼ばれる。
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合と、転写開始を提供するDNA配列を含む遺伝子の一部を示す、この技術分野で認識されている意味として本明細書中で使用される。プロモーター配列は、一般的に、しかし、常にそうとも限らないが、遺伝子の5’非コード領域に見られる。
「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質は、また、非ペプチド性構成要素、例えば、炭水化物基などを含むかもしれない。炭水化物及び他の非ペプチド性置換基は、そのタンパク質が産生された細胞によってタンパク質に付加されることができ、そして、細胞型によって異なる。タンパク質は、それらのアミノ酸骨格構造に関して本明細書中で規定され;置換基、例えば、炭水化物基などは、一般に特定されないが、それにもかかわらず、存在しているかもしれない。
用語「受容体」は、生理活性分子(すなわち、リガンド)と結合し、そして、細胞に対するリガンドの効果を伝達する細胞関連タンパク質を示す。膜結合型受容体は、細胞外リガンド結合ドメインと、通常、シグナル伝達にかかわる細胞内エフェクタ・ドメインを含むマルチ・ペプチド構造を特徴とする。受容体へのリガンドの結合は、細胞内においてエフェクタ・ドメインと他の分子との相互作用を引き起こす、受容体の立体構造変化をもたらす。この相互作用は、順繰りに、細胞代謝の変化につながる。受容体−リガンド相互作用に結び付いた代謝事象には、遺伝子の転写、リン酸化、脱リン酸化、サイクリックAMP産生の増強、細胞内カルシウムの動員、細胞膜脂質の動員、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、及びリン脂質の加水分解が含まれる。一般に、受容体は、膜結合型、細胞質型、又は核内型であるかもしれず;単量体(例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体、β-アドレナリン作動性受容体)又は多量体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリスロポエチン受容体、及びIL-6受容体)であるかもしれない。
用語「分泌シグナル配列」は、より大きなポリペプチドの構成要素の場合に、そのより大きなポリペプチドをそれが合成された細胞の分泌経路に通すように指示するポリペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を示す。前記より大きなポリペプチドは、一般的に、分泌経路を通る通過中に分泌ペプチドを取り外すために切断される。
用語「スプライス変異」は、遺伝子から転写されたRNAの代替形態を示すために本明細書中で使用される。スプライス変異は、転写されたRNA分子内、又は一般的ではないが、別々に転写されたRNA分子間の選択的スプライシング部位の使用によって天然に生じ、そして、同じ遺伝子から転写されたいくつかのmRNAをもたらすことができる。スプライス変異は、変異アミノ酸配列を持つポリペプチドをコードすることができる。用語、スプライス変異は、また、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変異によってコードされたタンパク質を示すために本明細書中で使用される。
大体の解析法(例えば、ゲル電気泳動)によって測定された重合体の分子量及び長さが近似値であることは理解される。そのような値が「約」X又は「およそ」Xとして表現される時、規定されるXの値は±10%まで正確であると理解される。
本明細書中に引用された全ての参考文献は、その全体を本明細書中に援用する。
本発明は、原核宿主からの組み換えIL-31タンパク質を製造するための発現ベクター及び方法を提供し、そして、1つには、IL-31の均質な調製物を製造するための組成物と方法の発見に基づいている。IL-31は、4ヘリックス束サイトカインの構造を持つ最近発見されたタンパク質である。このサイトカインは、以前にIL-31として同定されており、そして、2003年1月21日に出願した共同所有の米国特許出願第10/352,554号において完全に説明された。共に本明細書中に援用される、公開米国特許出願第2003-0224487号、及びPCT出願WO 03/060090を参照のこと。また、Dillonら、Nautre Immunol. 5:752-760ページ、2004年も参照のこと。IL-31は、受容体IL-31RAと、オンコスタチンM受容体β(OSMRbeta)を含めた少なくとも1つの追加サブユニットに高い特異性を有するリガンドである。ヒトIL-31の天然のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号1及び2に示されている。配列番号3は、配列番号2に示したアミノ酸配列を持つポリペプチドの縮重ポリヌクレオチドを示している。マウスIL-31の天然のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、それぞれ配列番号4及び5に示されている。配列番号6は、配列番号5に示したアミノ酸配列を持つポリペプチドの縮重ポリヌクレオチドを示している。ヒトIL-31RAの天然のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号7及び8に示されている。マウスIL31-RAの天然のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号9及び10に示されている。ヒトOSMRbetaの天然のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、それぞれ、配列番号11及び12に示されている。
マウス型及びヒト型のIL-31は共に、奇数のシステインを持つことが知られている(PCT出願 WO 03/060090及びDillonら、前記)。組み換えIL-31の発現は、複数の立体構造内の分子内ジスルフィド結合から成るタンパク質の不均質な混合物をもたらすかもしれない。これらの形態の分離は、難しく、且つ、面倒である。それ故に、発現の際に、1つの分子内ジスルフィド結合パターンを持つIL-31分子、並びに均質性を維持するためにこれらの調製物を再び折り畳み、そして、精製する方法を提供することが望ましい。
特に、本発明の発現ベクター及び方法は、E.コリ発現系を含む。本明細書中に記載の発現ベクターを使用することで、細菌から回収される組み換えタンパク質の収率が著しく向上した。
本発明は、均質な調製物である組み換えIL-31調製物の発現をもたらすIL-31のシステイン突然変異体をコードするDNA及びRNA分子を含めたポリヌクレオチド分子を提供する。本願発明の目的のために、IL-31の均質な調製物は、精製ポリペプチドにおける1つの分子内ジスルフィド結合パターンの少なくとも98%を含む調製物である。他の態様において、精製ポリペプチドの調製物における1つのジスルフィド立体構造が、99%の均質性である。一般に、これらのシステイン突然変異体は、本明細書中に記載の野生型IL-31のいくつかの生物活性を維持している。例えば、本発明の分子は、かなりの特異性でIL-31受容体に結合することができる。一般に、KDが100nM〜100pMの範囲に入る時、リガンドの同族受容体への結合は特異的である。100mM〜10nMのKDの範囲にある特異的結合は、低親和性結合である。2.5pM〜100pMのKDの範囲にある特異的結合は、高親和性結合である。他の実例において、本明細書中で詳細に説明した野生型IL-31に付随するある程度の活性をその分子が持つ時に、IL-31システイン突然変異体の生物活性が存在している。
天然のIL-31に言及する時、用語はIL-31とzcytor17ligを意味するものとする。IL-31RAに言及する時、用語はIL-31RAとzcytor17を意味するものとする。
本発明は、また、IL-31タンパク質が、宿主によって発現されて、そして、非グリコシル化不溶性封入体として宿主細胞内に見つかった時に、組み換えIL-31タンパク質を原核宿主から回収する方法も提供する。封入体(屈折体とも呼ばれる)を分離するために原核細胞が溶解される時、封入体はIL-31の凝集体になる。それ故に、封入体は、IL-31タンパク質を分離するために分離、溶解されなければならず、そして、一般に、これは変性カオトロピック溶剤の使用を必要とし、重要な生物活性を持つように再び折り畳まれなければならないポリペプチドを回収することになる。IL-31タンパク質が再び折り畳まれた時点で、タンパク質は、捕獲されて、そして、精製される必要がある。よって、本発明は、原核細胞から不溶性IL-31タンパク質を分離し、その不溶性IL-31タンパク質をカオトロピック溶剤中に溶解し、IL-31タンパク質が再び折り畳まれ、且つ、分離されるような様式でカオトロピック溶剤を希釈する方法を提供する。本発明は、また、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して希釈した再折り畳みバッファーから再折り畳みIL-31を捕獲し、そして、疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用して再折り畳みIL-31タンパク質を精製する方法も含む。更なる精製は、IL-31受容体等を使用した結合アッセイにおいて陰イオン交換を使用することで達成される。
本発明は、単一形態のIL-31分子の発現をもたらす、配列番号1、2、3、4、5、及び6に示されるIL-31の野生型配列内の突然変異を提供する。形態の不均質性は複数の分子内ジスルフィド結合パターンの結果であると考えられるので、本発明の具体的な態様は、野生型IL-31配列内のシステイン残基の突然変異を含む。成熟ヒトIL-31ポリペプチドは、配列番号13に示され、その上、配列番号49は開始メチオニンを含む成熟ヒトIL-31ポリペプチドを示す。成熟ヒトIL-31ポリペプチド分子は、配列番号13の46位と107位のシステイン残基の間、配列番号13の46位と121位の間、及び配列番号13の107位と121位の間にジスルフィド結合を持つ可能性がある。これらの3つのシステインのいずれかの突然変異が、1つのジスルフィド結合しか形成しないヒトIL-31タンパク質の突然変異型をもたらす。よって、46位の突然変異は、配列番号13の107位と121位の間のジスルフィド結合を形成するタンパク質をもたらし;107位の突然変異は、配列番号13の46位と121位の間のジスルフィド結合を形成するタンパク質をもたらし;そして、121位の突然変異は、配列番号13の46位と107位の間のジスルフィド結合を形成するタンパク質をもたらす。これらの位置のシステインを、例えば、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、又はアスパラギンに変異させてもよい。例えば、配列番号13の46位にシステインからセリンへの突然変異を持つヒトIL-31タンパク質が、配列番号14で示されており;配列番号13の107位にシステインからセリンへの突然変異を持つヒトIL-31タンパク質が、配列番号15で示されており;配列番号13の121位にシステインからセリンへの突然変異を持つヒトIL-31タンパク質が、配列番号16に示されている。
ヒトIL-31がE.コリで発現される時、N末端又はアミノ末端メチオニンが存在している。例えば、配列番号17〜19は、突然変異体内にN末端Metが存在している時のIL-31のヌクレオチド及びアミノ酸残基配列を示している。
同様の突然変異が、マウスIL-31ポリペプチド配列に対して行われることができる。成熟マウスIL-31ポリペプチドは、配列番号20に示されている。成熟マウスIL-31ポリペプチド分子は、配列番号20の44位と87位のシステイン残基の間;配列番号20の44位と107位の間;配列番号20の44位と121位の間;配列番号20の44位と133位の間;配列番号20の87位と107位の間;配列番号20の87位と121位の間;配列番号20の87位と133位の間;配列番号20の107位と121位の間;配列番号20の107位と133位の間;配列番号20の121位と133位の間にジスルフィド結合を持つかもしれない。これらのシステインのいずれかの突然変異が、マウスIL-31タンパク質の突然変異型をもたらす。これらの位置のシステインは、例えば、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、又はアスパラギンに変異させることができる。例えば、配列番号20の44位にシステインからセリンへの突然変異を持つマウスIL-31タンパク質は、配列番号21に示されており;配列番号20の87位にシステインからセリンへの突然変異を持つマウスIL-31タンパク質は、配列番号22に示されており;配列番号20の107位にシステインからセリンへの突然変異を持つマウスIL-31タンパク質は、配列番号23に示されており;配列番号20の121位にシステインからセリンへの突然変異を持つマウスIL-31タンパク質は、配列番号24に示されており;そして、配列番号20の133位にシステインからセリンへの突然変異を持つマウスIL-31タンパク質は、配列番号25に示されている。
マウスIL-31がE.コリで発現される時、N末端又はアミノ末端メチオニンが存在している。例えば、配列番号26〜30は、N末端Metがこれらの突然変異体内に存在している時のIL-31のヌクレオチド及びアミノ酸残基配列を示している。本発明のマウスIL-31Cys突然変異体が配列番号20の107位のセリンを用いてE.コリにおいて作製される時、精製されたN末端が、アラニンに代わってフェニルアラニン(Phe)で始まると測定された。よって、本発明の1つの態様は、配列番号20又は配列番号21〜30の2位(Phe)から133位(Cys)のアミノ酸配列を含むか、又はそれらから成るポリペプチドである。
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチド分子は、本明細書中に記載の何らかの生物活性を保有したままで、天然のIL-31分子内に存在するシステインの1つ以上に突然変異を持つ。IL-31のシステイン突然変異体について言及する時、その用語は、先に記載のIL-31突然変異型のいずれかを意味するものとし、そして、例えば、一般に、IL-31Cys突然変異体と呼ばれる配列番号14〜19又は21〜30のいずれかを含むものとする。
他の成長因子の不存在下、生存又は増殖のためにOSMRbeta及びzcytor17受容体と結び付いた経路に依存する細胞株は、本明細書中に記載のIL-31Cys突然変異体の活性を計測するのに使用できる。IL-31受容体のトランスフェクション及び発現に使用できる好ましい成長因子依存性細胞株は、BaF3である(Palacios及びSteinmetz、Cell 41:727-734ページ、1985年;Mathey-Prevotら、Mol. Cell. Biol. 6:4133-4135ページ、1986年)。しかしながら、他の成長因子依存性細胞、例えば、FDC-P1(Hapelら、Blood 64:786-790ページ、1984年)、及びMO7e(Kissら、Leukemia 7:235-240ページ、1993年)などが、この目的のために好適である。
当業者は、いろいろな種が「優先的なコドン使用」を示す可能性があることを理解している。一般に、Granthamら、Nuc. Acids Res. 8:1893-912ページ、1980年;Haasら、Curr. Biol. 6:315-24ページ、1996年;Wain-Hobsonら、Gene 13:355-64ページ、1981年;Grosjean及びFiers、Gene 18:199-209ページ、1982年;Holm、Nuc. Acids Res. 14:3075-87ページ、1986年;Bcemura、J. Mol. Biol. 158:573-97ページ、1982年を参照のこと。本明細書中で使用される場合には、用語「優先的なコドン使用」又は「優先的なコドン」は、ある種の細胞において最も頻繁に使用されるタンパク質翻訳コドンを示す当該技術分野の用語であり、先に述べたように、各アミノ酸をコードする可能性のあるコドンの代表的なものの1つ又はいくつかを好む。例えば、アミノ酸のスレオニン(Thr)は、ACA、ACC、ACG、又はACTによってコードされることができるが、哺乳動物細胞において、ACCが最も一般的に使用されるコドンであり;他の種、例えば、昆虫細胞、酵母、ウイルス、又は細菌において、異なるThrコドンが優先的であるかもしれない。当該技術分野で知られている様々な方法によって、特定の種の優先的なコドンが、本発明のポリヌクレオチドに挿入できる。組み換えDNA内への優先的なコドン配列の導入は、例えば、特定の細胞型又は種においてより効率的なタンパク質翻訳を行うことによってタンパク質の製造を促進することができる。これにより、配列番号3で開示された縮重コドン配列は、当該技術分野で一般的に使用される、及び本明細書中に開示される様々な細胞型及び種におけるポリヌクレオチドの発現を最適化するための鋳型として機能する。優先的なコドンを含む配列は、本明細書中に開示されるように、様々な種における発現について試験され、そして、最適化され、並びに機能性について試験されることができる。
先述のとおり、本発明の分離されたポリヌクレオチドは、DNA及びRNAを含む。DNA及びRNAを製造する方法は、当該技術分野で周知である。一般に、RNAは、大量のIL-31 RNAを産生する組織又は細胞から分離される。そのような組織及び細胞は、標的細胞又は組織に対する活性についての、様々な細胞型からの条件培地のノーザンブロット(Thomas、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:5201ページ、1980年)又はスクリーニングによって特定される。活性、又はRNA産生細胞若しくは組織が特定された時点で、グアニジウム・イソチオシアネート抽出と、それに続く塩化セシウム・グラジエント中での遠心分離による分離を使用して、全RNAを調製することができる(Chirgwinら、Biochemistry 18:52-94ページ、1979年)。ポリ(A)+RNAは、Aviv及びLederの方法を使用して全RNAから調製される(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408-12ページ、1972年)。相補DNA(cDNA)は、知られている方法を使用してポリ(A)+RNAから調製される。別の方法では、ゲノムDNAが分離されるかもしれない。IL-31ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、次に、例えば、ハイブリダイゼーション又はPCRによって同定され、そして、分離される。
実質的に類似した配列同一性を有する変異IL-31ポリペプチド又はポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は付加を持つものとして特徴付けられる。ポリペプチドの折り畳み又は活性に著しく影響しない保存アミノ酸置換及び他の置換;通常、1〜約30アミノ酸の小さな欠失;及びアミノ又はカルボキシル末端伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基、最長約20〜25残基の小さなリンカー・ペプチド、又はアフィニティー・タグなどであるこれらの変化は、好ましくは、軽度のものである。よって、本発明は、配列番号2の対応部分と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は99%超同一である配列を含む約108〜216アミノ酸残基から成るポリペプチドを含む。アフィニティー・タグを含むポリペプチドは、IL-31ポリペプチドとアフィニティー・タグの間にタンパク分解性切断部位を更に含むかもしれない。好まれる前述の部位には、トロンビン切断部位及び第Xa因子切断部位が含まれる。
配列番号15〜30、及び配列番号49に示されるIL-31タンパク質配列のHopp/Woods親水特性が、発生するかもしれない(Hoppら、Proc. Natl. Acad. Sci. 78:3824-3828ページ、1981年;Hopp、J. Immun. Meth. 88:1-18ページ、1986年、及びTriquierら、Protein Engineering 11:153-169ページ、1998年)。前記特性は、スライディング6残基ウィンドウに基づいている。埋もれたG、S、及びT残基、並びに露出したH、Y、及びW残基が無視された。
加えて、本発明のタンパク質(又はそのポリペプチド断片)は、多機能分子を提供するために、他の生理活性分子、特に他のサイトカインに連結されてもよい。例えば、1つ以上のらせん形IL-31は、それらの生物的性質又は製造の効率を高めるために、他のサイトカインに連結されてもよい。
よって、本発明は、1つ以上のIL-31ヘリックスを含む断片が他のポリペプチドに融合されている一連の新規ハイブリッド分子を提供する。好ましくは、融合は、組み換え産生系におけるキメラ分子の発現を可能にするために、DNAレベルのスプライシングによって行われる。そして、得られた分子は、改善された溶解性、改善された安定性、延長されたクリアランス半減期、改善された発現及び分泌レベル、並びに薬力学といった特性についてアッセイされる。そのようなハイブリッド分子は、構成成分タンパク質又はポリペプチドの間に追加のアミノ酸残基(例えば、ポリペプチド・リンカー)を更に含んでもよい。
非天然アミノ酸には、これだけに制限されることなく、trans-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、cis-4-ヒドロキシプロリン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、allo-スレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジン・カルボン酸、デヒドロプロリン、3-及び4-メチルプロリン、3,3-ジメチルプロリン、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、及び4-フルオロフェニルアラニンが含まれる。非天然アミノ酸残基をタンパク質内に組み入れるためのいくつかの方法が当該技術分野で知られている。例えば、化学的アミノアシル化サプレッサーtRNAを使用してナンセンス突然変異が抑えている場合には、インビトロの系を用いることができる。アミノ酸を合成し、そして、tRNAをアミノアシル化する方法は、当該技術分野で知られている。ナンセンス突然変異を含むプラスミドの転写及び翻訳は、E.コリS30抽出物、並びに市販の酵素及び他の試薬を含む無細胞系において通常行われる。タンパク質はクロマトグラフィーによって精製される。例えば、Robertsonら、J. Am. Chem. Soc. 113:2722ページ(1991年)、Ellmanら、Methods Enzymol. 202:301ページ(1991年)、Chungら、Science 259:806ページ(1993年)、及びChungら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:10145ページ(1993年)を参照のこと。
第2の方法において、翻訳は、突然変異mRNA及び化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによってアフリカツメガエル卵母細胞において行われる(Turcattiら、J. Biol. Chem. 271:19991ページ(1996年))。第3の方法において、E.コリ細胞は、置き換えられるべき天然アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の不存在下、且つ、所望の非天然アミノ酸(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、又は4-フルオロフェニルアラニン)の存在下、培養される。非天然アミノ酸が、その天然の対応するものに代わってタンパク質内に組み込まれる。Koideら、Biochem. 33:7470ページ(1994年)を参照のこと。天然のアミノ酸残基は、インビトロにおける化学修飾によって非天然種に変換されることもできる。化学修飾は、置換の範囲を更に広げるための部位特異的突然変異誘発と組み合わされることもできる(Wynn及びRichards、Protein Sci. 2:395ページ(1993年))。それは、分子の半減期を伸ばすため、特に活性状態における代謝残留性を延長するために、IL-31及びIL-31Cys突然変異体を安定させるのに有利であるかもしれない。延長された半減期を得るために、IL-31及びIL-31Cys突然変異分子は、本明細書中に記載の方法を使用して化学的に修飾されるかもしれない。血漿内半減期を延ばすことが実証され、そして、溶解性を高め、且つ、抗原性及び免疫原性を下げるペグ化は、一般的に使用される方法の1つである(Nucciら、Advanced Drug Delivery Reviews 6:133-155ページ、1991年、及びLuら、Int. J. Peptide Protein Res. 43:127-138ページ、1994年)。
限られた数の非保存アミノ酸、遺伝コードによってコードされないアミノ酸、及び非天然アミノ酸(non-naturally occurring amino acid及びunnatural amino acid)が、IL-31及びIL-31Cys突然変異体アミノ酸残基と置換されるかもしれない。
一般に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドをコードするDNA配列は、発現ベクター内に転写プロモーター及びターミネーターを一般に含めた、その発現に必要とされる他の遺伝要素に作動できるように連結されるかもしれない。ベクターは、また、1種類以上の選択マーカー及び1つ以上の複製開始点も一般的に含むが、特定の系において、選択マーカーが別個のベクターに提供されるかもしれず、そして、外来DNAの複製が宿主細胞ゲノム内への統合によって得られるかもしれないことを当業者は認識している。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクター、及び他の要素の選択は、当業者レベルの範疇にある日常的な設計の事項である。そのような多くの要素が文献に記載されており、且つ、商業的な供給業者を通して入手可能である。
原核細胞における所望のタンパク質の製造に好適な発現ベクターは、通常、(1)細菌宿主内で発現ベクターの維持のための細菌複製開始点をコードする原核生物DNA要素;(2)転写開始を制御するDNA要素、例えば、プロモーターなど;(3)転写産物の加工を制御するDNA要素、例えば、転写ターミネーターなど;及び(4)選択マーカー、例えば、抗生物質抵抗性などをコードする遺伝子を含む。原核宿主細胞は、発現ベクターの導入によりIL-31を産生する。従って、本発明は、プロモーター、IL-31ヌクレオチド配列、及びターミネーター配列を含む発現ベクターを意図する。他の態様において、発現ベクターは、選択マーカーを更に含む。1つの態様において、選択マーカーは、カナマイシン耐性である。
発現ベクターは、また、所望のタンパク質の精製を助けるためのペプチド・タグをコードするヌクレオチド配列も含むことができる。組み換えポリペプチドを分離するのに有用であるペプチド・タグには、例えば、(ニッケル・キレート樹脂に親和性を持つ)ポリヒスチジン・タグ、c-mycタグ、(カルモジュリン・アフィニティ・クロマトグラフィーを用いて分離される)カルモジュリン結合タンパク質、サブスタンスP、(抗RYIRS抗体と結合する)RYIRSタグ、Glu-Gluタグ、及び(抗FLAG抗体と結合する)FLAGタグが含まれる。例えば、Luoら、Arch. Biochem. Biophys. 329:215ページ(1996年)、Morgantiら、Biotechnol. Appl. Biochem. 23:67ページ(1996年)、及びZhengら、Gene 186:55ページ(1997年)を参照のこと。前述のペプチド・タグをコードする核酸分子は、例えば、Sigma-Aldrich Corporation(St. Louis, MO)から入手可能である。
当業者は、発現ベクターの調製のための多数の分子技術に精通している。例えば、IL-31ポリヌクレオチドは、相互プライミング、長いオリゴヌクレオチド、及び本明細書中に記載のヌクレオチド配列を使用した核酸分子の合成によって調製することができる(例えば、Ausubel(1995年)8-8〜8-9ページを参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応を使用した確立された技術が、少なくとも2キロベースの長さのDNA分子を合成する能力を提供する(Adangら、Plant Molec. Biol. 21:1131ページ(1993年)、Bambotら、PCR Methods and Applications 2:266ページ(1993年)、Dillonら、"Use of the Polymerase Chain Reaction for the Rapid Construction of Synthetic Genes," in Methods in Molecular Biology、第15巻:PCR Protocols:Current Methods and Applications、White(編)、263-268ページ(Humana Press, Inc. 1993年)、及びHolowachukら、PCR Methods Appl. 4:299ページ(1995年))。
発現系を構築するための他の方法は、酵母系を使用した相同組み換えを利用する。本明細書中に援用される米国特許番号第6,207,442号、相同組み換えによるプラスミド構築物、を参照のこと。その系は、ポリペプチド融合を含めた着目のあらゆるポリペプチドをコードするDNAをクローン化するのに使用できる普遍的なアクセプター・プラスミドを提供する。その系は、着目のタンパク質をコードする領域を含む二本鎖の環状DNA分子を調製する方法を提供する。着目のタンパク質、すなわち、IL-31をコードする1つ以上のドナーDNA断片が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)宿主細胞内でアクセプター・プラスミド、第1のDNAリンカー、及び第2のDNAリンカーと組み合わされ、それによって、ドナーDNA断片がドナーDNA、アクセプター・プラスミド、及びリンカーの相同組み換えによってアクセプター・プラスミドと一緒になり、閉鎖型の環状プラスミドを形成する。
本発明の核酸分子は、また、プロトコール、例えば、ホスホロアミダイト法などを使用した「遺伝子用機構(gene machines)」を用いて合成できる。化学的に合成される場合、例えば、遺伝子又は遺伝子断片の合成などの適用のために二本鎖DNAが必要であり、次に、各相補鎖が別々に作製される。短い遺伝子(60〜80塩基対)の製造は、技術的に簡単であり、相補鎖を合成し、次に、それらをアニーリングすることによって達成されることができる。しかしながら、より長い遺伝子(>300塩基対)の製造に関して、化学的DNA合成中にそれぞれのサイクルの結合効率が100%になることはないので、特別なストラテジーを必要とするかもしれない。この問題を克服するために、(2本鎖)合成遺伝子が、20〜100ヌクレオチドの長さである1本鎖断片から、モジュール形式で組み立てられる。ポリヌクレオチド合成の概説のために、例えば、Click及びPasternak、Molecular Biotechnology、Principles and Applications of Recombinant DNA(ASM Press 1994年)、Itakuraら、Annu. Rev. Biochem, 53:323ページ(1984年)、及びCiimieら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 87:633ページ(1990年)を参照のこと。
IL-31遺伝子及び発現ベクターを調製するために使用できる代替技術の実例は、例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化と連結、及びポリメラーゼ連鎖反応を含み、その全てが当該技術分野で周知である。
様々な選択マーカー遺伝子が利用可能である(例えば、Kaufman、Meth. Enzymol. 185:487ページ(1990年);Kaufman、Meth. Enzymol. 185:537ページ(1990年))。選択マーカー、例えば、テトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ネオマイシン耐性、又はクロラムフェニコール耐性などを含むことは、発現ベクターに関して一般的である。選択マーカーは、形質転換されていない細胞からの発現ベクターで形質転換された細胞の選択、及び/又は検出を可能にする。発現ベクターは、2種類以上の前述の抗生物質抵抗性遺伝子を保有することができる。抗生物質抵抗性を持たない選択マーカーの実例は、プラスミドR1からのhok/sokシステムを使用する。hokの遺伝子は、52アミノ酸から成る毒性Hokタンパク質をコードし、sok遺伝子は、hok mRNAリーダー配列に相補的であるアンチセンスRNAをコードする。この選択マーカーは、当業者に知られており、そして、Gerdes, K.ら、Genetic Engineering, 19:49-61ページ、1997年によって更に詳細に説明されている。
様々な好適な組み換え宿主細胞は、本発明によって網羅され、そして、これだけに制限されることなく、グラム陰性原核宿主生物を含む。E.コリの好適な菌株には、W3110、K12由来菌株MM294、TG-1、JM-107、BL21、及びUT5600が含まれる。他の好適な菌株には:BL21(DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pLysE、DH1、DH4I、DH5、DH5I、DH5IF、DH5IMCR、DH10B、DH10B/p3、DH11S、C600、HB101、JM101、JM105、JM109、JM110、K38、RR1、Y1088、Y1089、CSH18、ER1451、ER1647、E.コリ K12、E.コリ K12 RV308、E.コリ K12 C600、E.コリHB101、E.コリ K12 C600 R.sub.k-M.sub.k-、E.コリ K12 RR1が含まれる(例えば、Brown(編)、Molecular Biology Labfax(Academic Press 1991年)を参照のこと)。他のグラム陰性原核宿主には、セラチア属(Serratia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、カウロバクター属(Caulobacter)が含まれるかもしれない。原核宿主には、グラム陽性生物、例えば、バチルス属(Bacillus)、例えば、B.サブチリス(B. subtilis)やB.チューリンゲンシス(B. thuringienesis)、及びB.チューリンゲンシス変異株イスラエレンシス(B. thuringienesis var. israelensis)など、並びにストレプトマイセス(Streptomyces)、例えば、S.リビダンス(S. lividans)、S.アンボファシエンス(S. ambofaciens)、S.フラディエ(S. fradiae)、及びS.グリセオフスクス(S. griseofuscus)などが含まれるかもしれない。バチルス・サブチリスの好適な菌株には、BR151、YB886、MI119、MI120、及びB170が含まれる(例えば、Hardy、"Bacillus Cloning Methods," in DNA Cloning:A Practical Approach、Glover(編)(IRL Press 1985年))。原核宿主におけるベクターを増殖させるための標準的な技術は、当業者にとって周知である(Ausubelら(編)、Short Protocols in Molecular Biology、第3版(John Wiley & Sons 1995年);Wuら、Methods in Gene Biotechnology(CRC Press, Inc. 1997年))。原核生物におけるプロテアーゼ欠失株の概要に関して、Meermanら、Biotechnology 12:1107-1110ページ、1994年を参照のこと。本発明はW3110菌株を使用して例示されるが、上記菌株はATCC番号27325としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託されている。
クローンDNA分子を操作し、そして、外来DNAを様々な宿主細胞に挿入する技術は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY、1989年、及びAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons, Inc.、NY、1987年によって開示される。形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞は、栄養素、及び選ばれた宿主細胞の増殖に必要な他の成分を含む培地中で従来法の手順に従って培養される。合成培地及び天然培地を含めた様々な好適な培地が当該技術分野で知られており、一般に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、及びミネラルが含まれる。培地は、また、必要に応じて成長因子又は血清のような構成要素も含むかもしれない。成長培地は、一般に、例えば、薬物選択、又は発現ベクターにより運ばれたか若しくは宿主細胞内に同時形質転換された選択マーカーによって補足される必須栄養素の欠乏によって外部から加えられたDNAを含む細胞を選択する。液体培養は、従来の手段、例えば、小さいフラスコの振盪、又は発酵槽のスパージングなどによって十分な曝気が得られる。着目の遺伝子を発現する組み換え宿主細胞を得るために、形質転換細胞を選択し、そして、増殖させるかもしれない。MBP(マルトース結合タンパク質)融合系(New England Biolabs(NEB;Beverly, MA))を使用してE.コリにおいて、IL-31を発現することができる。この系において、IL-31 cDNAは、malE遺伝子の3’末端に取り付けられて、MBP-IL-31融合タンパク質を形成する。融合タンパク質の発現は、tacプロモーターによって駆動され、そして、プロモーターが1mmolのIPTG(イソプロピルb-チオガラクトシルピラノシド)の添加によって誘発されるまで「オフ」である。構築物は、pMAL-c2ベクター(NEB)の多重クローニング部位(MCS)、及び製造業者の仕様書に従ってMBPとのインフレーム融合として構築されることができる。
原核宿主からのタンパク質の発酵は、当業者に周知である。発酵に続いて、細胞は、遠心分離によって回収され、均質化バッファー中に再懸濁され、そして、例えば、APV-Gaulinホモジェナイザ(Invensys APV, Tonawanda, New York)又は他のタイプの細胞破壊装置、例えば、ビーズミルや超音波処理器などにより均質化される。あるいは、細胞は、発酵槽から直接取り出され、そして、APV-Gaulinホモジェナイザにより均質化される。あるいは、発酵培養液は、均質化、そして、IL-31又はIL-31Cys突然変異体の回収の前に水又はバッファーで希釈される。
加えて、IL-31を回収する方法は、IL-31を沈殿させ、洗浄し、そして、再可溶化する更なるステップを含むかもしれない。洗浄された封入体は、6Mのグアニジン又8Mの尿素中に可溶化され、水又はバッファー中、6〜10倍に希釈され、30分間インキューベートされ、そして、遠心分離又は濾過される。あるいは、限外濾過又はマクロ濾過が、均質化後の洗浄封入体に使用されてもよい。得られた沈殿は、2〜6Mの尿素中で洗浄され、そして、IL-31タンパク質を含む。沈殿物は、次に、可溶化前に水で洗浄される。細胞破片、可溶性タンパク質、DNA、RNA、及び炭水化物を沈殿させるために、Al3+又はFe3+の追加かそれとも、アニオン系及びカチオン系重合体又は作用物質、例えば、スペルミン、PEIや、ベンゾナーゼなどを加えるかもしれない。
洗浄した封入体調製物は、還元剤、例えば、β-メルカプトエタノール(10〜100mM)又はジチオスレイトール(5〜50mM)などを含む、塩酸グアニジン(5〜8M)、グアニジン・チオシアナート(5〜6M)、又は尿素(7〜8M)を使用して可溶化できる。溶液は、Tris、リン酸塩、HEPES、又は他の適切なバッファーで調製することができる。封入体は、また、ラウリル硫酸ナトリウム(0.1〜2%)含有尿素(2〜4M)で可溶化できる。1リットルの発酵培養液からの封入体は、50〜200mlの説明した溶液を使用することで可溶化できる。1つの方法が、40mMのDTTを含む100mMのTris、pH8.0中に調製された150mlの6M GuHCl中への、1リットルの発酵培養液からの封入体ペレットの可溶化を行う。他の態様において、封入体スラリーは、50〜100mlの8M GuHCLと混合される。前記スラリーは、スパチュラでの混合とそれに続く、Omni EZホモジナイザ(Omni International、Warrenton, VA)による均質化処理、又は機械的装置による混合によって再懸濁される。懸濁液は、3〜37℃で30〜120分間、混合される。1つの態様において、懸濁液は、15〜25℃にて混合されて、可溶化の過程を終える。サンプルは、次に、適切な遠心分離機を使用して4℃にて7,500〜16,000×Gで10〜30分間、遠心分離される。可溶化されたIL-31を含む上清サンプルは、上清を静かに移され、保持され、そして、可溶化画分中のIL-31の濃度が測定される。
本発明の1つの側面において、IL-31が屈折封入体として発現されている形質転換E.コリ宿主株からの精製されたIL-31の回収の過程は、細胞が破壊され、そして、封入体が当該技術分野で周知の過程によって回収される。
再折り畳みは、また、メチオニン酸化を減らすためにEDTAの存在下で、又はサイズ排除カラムで、又はタンジェンシャル・フロー濾過若しくは電気透析を使用して行なわれてもよい。
残っている不純物と混入物を取り除くためのIL-31の精製が、望まれるかもしれない。例えば、陰イオン交換カラムは、エンドトキシン濃度を下げるのに使用できる。IL-31は、<10mS/cmの電導度レベルまで希釈され、且つ、pHは8.0に調整される。それが、20mMのTris、pH8.0で平衡化したQセファロースFFカラム(Amersham Biosciences)に適用される。IL-31は、カラムを通過して、前記の適用物に比べてエンドトキシンの約80%の減少がある。pH5.0〜9.0の間でエンドトキシン・レベルを下げるために、Mustang Q又はMustang E(Pall、Port Washington, NY)膜も、使用できる。
IL-31の更なる精製のために使用される可能性のありうる他の精製法には、金属キレート・クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、又はフェニル・カラムによる疎水性相互作用クロマトグラフィーが含まれる。また、例えば、逆相HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、又は金属キレート・クロマトグラフィーを使用して、IL-31の再折り畳みをする前に精製を行うことも可能である。よって、本発明は、本明細書中に開示された精製の追加ステップを含む方法を更に提供する。
本発明は、また、本明細書中に記載のIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドのエピトープ担持部分を含むポリペプチド断片又はペプチドも提供する。そのような断片又はペプチドは、タンパク質全体が免疫原として使用された時に抗体応答を誘発するタンパク質の一部である「免疫原性エピトープ」を含む可能性がある。免疫原性エピトープ担持ペプチドは、標準的な方法を使用することで特定できる(例えば、Geysenら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 81:3998ページ(1983年)を参照のこと)。
対照的に、ポリペプチド断片又はペプチドは、抗体が特異的に結合することができるタンパク質分子の領域である「抗原エピトープ」を含むかもしれない。特定のエピトープは、線状又は隣接する一続きのアミノ酸から成り、そして、そのようなエピトープの免疫原性は変性剤によって破壊されない。タンパク質のエピトープを模倣することができる比較的短い合成ペプチドが、そのタンパク質に対する抗体産生を刺激するのに使用できることは、当該技術分野で知られている(例えば、Sutcliffeら、Science 219:660ページ(1983年)を参照のこと)。従って、本発明の抗原性エピトープ担持ペプチド及びポリペプチドは、本明細書中に記載のポリペプチドに結合する抗体(例えば、中和抗体)を産生させるために有用である。Hopp/Woods親水性特性は、最も高い抗原性の潜在能力を有する領域を測定するのに使用できる(Hoppら、1981年、前記、及びHopp、1986年、前記)。例えば、ヒトIL-31において、親水性領域には、配列番号49の第54〜59アミノ酸残基、配列番号49の第129〜134アミノ酸残基、配列番号49の第53〜58アミノ酸残基、配列番号49の第35〜40アミノ酸残基、及び配列番号49の第33〜38アミノ酸残基が含まれる。例えば、マウスIL-31において、親水性領域には、配列番号20の第34〜39アミノ酸残基、配列番号20の第46〜51アミノ酸残基、配列番号20の第131〜136アミノ酸残基、配列番号20の第158〜163アミノ酸残基、及び配列番号20の第157〜162アミノ酸残基が含まれる。
抗原エピトープ担持ペプチド及びポリペプチドは、好ましくは、配列番号2又は配列番号5の少なくとも4〜10のアミノ酸、少なくとも10〜14のアミノ酸、又は約14〜約30のアミノ酸を含む。前述のエピトープ担持ペプチド及びポリペプチドは、本明細書中に記載のような、IL-31ポリペプチドの断片化又は化学的ペプチド合成によって製造できる。そのうえ、エピトープは、ランダム・ペプチド・ライブラリーのファージ・ディスプレイによって選択できる(例えば、Lane及びStephen、Curr. Opin. Immunol. 5:268ページ(1993年);及びCorteseら、Curr. Opin. Biotechnol. 7:616ページ(1996年)を参照のこと。エピトープを含む小ペプチドからエピトープを特定し、そして、抗体を製造する標準的な方法は、例えば、Mole、"Epitope Mapping," in Methods in Molecular Biology、第10巻、Manson(編)、105-116ページ(The Humana Press, Inc. 1992年);Price、"Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies," in Monoclonal Antibodies:Production, Engineering, and Clinical Application、Ritter及びLadyman(編)、60-84ページ(Cambridge University Press 1995年)、並びにColiganら(編)、Current Protocols in Immunology、9.3.1 - 9.3.5ページ及び9.4.1 - 9.4.11ページ(John Wiley & Sons 1997年)によって説明されている。
本発明のタンパク質がマウス抗ヒトIL-31モノクローナル抗体を製造する際の有効性に関して抗原としてスクリーニングされた実験において、BHKにより産生されたIL-31で免疫されたマウス由来の融合物が、配列番号23からのアミノ酸配列を持つE. コリにより産生されたIL-31よりも良好な中和能力を持っていた。
変異IL-31及びIL-31Cys突然変異ポリヌクレオチドの特定のヌクレオチド配列に関係なく、上記ポリヌクレオチドは、その増殖性若しくは分化誘導活性、特殊な細胞機能を誘発若しくは抑止するその能力、又は抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体若しくはzcytor17受容体に特異的に結合する能力を特徴とするポリペプチドをコードする。より詳しく述べると、変異IL-31及びIL-31Cys突然変異ポリヌクレオチドは、配列番号2に示されるポリペプチドの活性の少なくとも50%、そして、好ましくは、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は99%超を示すポリペプチドをコードする。
変異体及び融合タンパク質を含めたあらゆるIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドに関して、当業者は、先の表1及び2に説明された情報を使用することでその変異体をコードする完全に縮重したポリヌクレオチド配列を容易に作り出すことができる。
本発明は、他の様々なポリペプチド融合体(そして、1つ以上のポリペプチド融合体を含む関連多量体タンパク質)を提供する。例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、米国特許番号第5,155,027号及び同第5,567,584号に開示のとおり、二量化タンパク質への融合体として調製できる。この点で好ましい二量化タンパク質は、免疫グロブリン定常領域ドメインを含む。免疫グロブリン-IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド融合体は、(様々な多量体IL-31及びIL-31Cys突然変異体類似体を産生するために)遺伝子を組み換えられた細胞において発現されることができる。特定の細胞、組織、又は高分子をそれらの標的にするために、補助的なドメインがIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドに融合されてもよい。例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド又はタンパク質は、その標的細胞の表面上の受容体に特異的に結合するリガンドへのIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの融合によって、予定された細胞型を標的とするようにできる。このように、ポリペプチド及びタンパク質は、治療上、又は診断上の目的のために標的とされるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、2つ以上の残基、例えば、精製のためのアフィニティー・タグや標的ドメインなどに融合されてもよい。ポリペプチド融合は、また、特にドメイン間に、1つ以上の分割部位を含んでもよい。Tuanら、Connective Tissue Research 34:1-9ページ、1996年を参照のこと。
完全長ポリペプチド、機能的な断片、及び融合ポリペプチドを含めた本発明のIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、通常の技術による遺伝子組み換え宿主細胞において製造されるかもしれない。好適な宿主細胞は、外来DNAで形質転換又はトランスフェクトされることができ、且つ、培養下で増殖することができる細胞型であり、そして、細菌、真菌細胞、及び培養高等真核細胞が含まれる。真核細胞、特に多細胞生物の培養細胞が好まれる。クローンDNA分子を操作し、そして、外来DNAを様々な宿主細胞内に挿入する技術は、Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY、1989年、及びAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons, Inc.、NY、1987年によって開示されている。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に導くために、(リーダー配列、プレプロ配列、又はプレ配列としても知られている)分泌シグナル配列が発現ベクター内に与えられる。分泌シグナル配列は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体のものであるか、又は他の分泌タンパク質(例えば、t-PA)由来であるか、若しくは新たに合成されるかもしれない。分泌シグナル配列は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体DNA配列に作動できるように連結される、すなわち、上記2つの配列は正しいリーディングフレームの状態で連結され、且つ、新たに合成されたポリペプチドが宿主細胞の分泌経路に導かれるように配置される。分泌シグナル配列は、一般的に、着目のポリペプチドをコードするDNA配列に対して5’側に配置され、ある分泌シグナル配列は、着目のDNA配列の他の場所に配置されるかもしれない(例えば、Welchらの米国特許番号第5,037,743号;Hollandらの米国特許番号第5,143,830号を参照のこと)。
あるいは、本発明のポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は、他のポリペプチドを分泌経路に導くのに使用される。本発明はそのような融合ポリペプチドを提供する。シグナル融合ポリペプチドは作製されることができ、ここで、配列番号2の第1〜23アミノ酸残基又は配列番号5の第1〜23残基由来の分泌シグナル配列が、当該技術分野で知られる方法や本明細書中に開示の方法を使用して他のポリペプチドをコードするDNA配列に作動できるように連結される。本発明の融合ポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は、好ましくは、付加ペプチドを分泌経路に導くように付加ペプチドにアミノ末端側に融合される。そのような構築物には、当該技術分野で知られる数々の用途があった。例えば、これらの新規な分泌シグナル配列融合構築物は、本来なら非分泌タンパク質から成る活性成分を分泌に導くことができる。そのような融合体は、ペプチドが分泌経路を通るように導くためにインビボ又はインビトロにおいて使用されるかもしれない。
細菌のエシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バチルス属(Bacillus)、及び他の属の菌株を含めた原核宿主細胞もまた、本発明における有用な宿主細胞である。これらの宿主を形質転換し、そして、そこにクローン化された外来DNA配列を発現させる技術は、当該技術分野で周知である(例えば、Sambrookら、前記を参照のこと)。細菌、例えば、E.コリなどでIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドを発現する時、ポリペプチドは、通常、不溶性顆粒として細胞質内に保持されるか、又は細菌の分泌配列によって細胞膜周辺腔に導かれるかもしれない。前者の場合では、細胞は、溶解され、そして、顆粒が回収され、例えばグアニジン・イソチオシアネート又は尿素を使用して変性される。変性されたポリペプチドは、次に、例えば、尿素と還元及び酸化グルタチオンの組合せ物の溶液に対する透析とそれに続く、緩衝化生理食塩溶液に対する透析によって変性剤を希釈することにより再び折り畳まれ、そして、二量化されることができる。後者の場合では、細胞膜周辺腔の内容物を放出するように(例えば、超音波処理又は浸透圧衝撃により)細胞を破壊し、そして、タンパク質を回収し、その結果、変性及び再折り畳みの必要性を除くことによって、ポリペプチドが、可溶性、且つ、機能的な形態で細胞周辺腔から回収されることができる。
形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞は、選ばれた宿主細胞の成長に必要な栄養素及び他の成分を含む培地中で従来の手順に従って培養される。合成培地及び天然培地を含めた様々な好適な培地が、当該技術分野で知られていて、そして、一般に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、及びミネラルを含む。培地は、また、必要に応じて、成長因子又は血清のような成分も含むかもしれない。一般に、成長培地は、例えば、薬物選択、あるいは発現ベクターで運ばれたか、又は宿主細胞内に同時トランスフェクトされた選択マーカーによって補足される必須栄養素の欠乏によって外から加えられたDNAを含む細胞を選択する。P.メタノリカ(P. methanolica)細胞は、炭素、窒素、及び微量栄養素の適当な源を含む培地中、約25℃〜35℃の温度にて培養される。液体培養には、従来の手段、例えば、小さいフラスコの振盪又は発酵槽のスパージングなどで十分な曝気が与えられる。P.メタノリカの好ましい培地は、YEPD(2%のD-グルコース、2%のBacto(商標)Peptone(Difco Laboratories, Detroit, MI)、1%のBacto(商標)酵母抽出物(Difco Laboratories)、0.004%のアデニン、及び0.006%のL-ロイシン)である。
本発明のポリペプチドを≧80%の純度、より好ましくは、≧90%の純度、より一層好ましくは、95%の純度まで精製することが好ましく、特に好ましいのは、医薬として純粋な状態であり、すなわち、高分子、特に他のタンパク質及び核酸の混入に関して99.9%超純粋であり、且つ、感染性及び発熱性作用物質を含まない。好ましくは、精製されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。
発現された組み換えIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド(又は、キメラIL-31ポリペプチド)は、分留、及び/又は従来の精製方法及び媒体を使用して精製することができる。硫安沈殿、及び酸又はカオトロープ抽出が、サンプルの分留に使用できる。代表的な精製ステップには、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除FPLC、及び逆相高速液体クロマトグラフィーが含まれるかもしれない。好適なクロマトグラフ媒体には、誘導化デキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特殊シリカ等が含まれる。PEI、DEAE、QAE、及びQ誘導体が好まれる。代表的なクロマトグラフ媒体には、フェニル、ブチル、又はオクチル基を用いて誘導化された媒体、例えば、フェニル−セファロースFF(Pharmacia)、Toyopearlブチル650(Toso Haas, Montgomeryville, PA)、オクチル−セファロース(Pharmacia)等;又はポリアクリル酸樹脂、例えば、Amberchrom CG71(Toso Haas)等が含まれる。好適な固形担体には、それらが使用されるべき条件下で不溶性であるガラスビーズ、シリカ・ベースの樹脂、セルロース樹脂、アガロース・ビーズ、架橋処理されたアガロース・ビーズ、ポリスチレン・ビーズ、架橋処理されたポリアクリルアミド樹脂等が含まれる。これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフィドリル基、ヒドロキシル基、及び/又は炭化水素部分によるタンパク質の付着を可能にする反応基で修飾されてもよい。カップリング化学反応の実例には、臭化シアン活性化、N-ヒドロキシサクシニミド活性化、エポキシド活性化、スルフィドリル活性化、ヒドラジド活性化、並びにカルボジイミド・カップリング化学反応のためのカルボキシル及びアミノ誘導体が含まれる。これら及び他の固体媒体は、当該技術分野で周知であり、且つ、広く使用されており、そして、商業的な供給業者から入手可能である。受容体ポリペプチドを媒体に結合させる方法は、当該技術分野で周知である。特定の方法の選択は、日常的な設計の事項であり、選ばれた支持体の特性によってある程度決定される。例えば、Affinity Cinematography:Principles & Methods、Pharmacia LKB Biotechnology、Uppsala, Sweden, 1988年を参照のこと。
本発明のポリペプチドは、それらの物理的又は生化学的特性の利用によって分離できる。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーは、ポリヒスチジン・タグを含むものを含めた高ヒスチジン・タンパク質を精製するのに使用できる。簡単に言えば、ゲルは、最初に、2価金属イオンで電荷を与えられて、キレートを形成する(Sulkowski、Trends in Biochem. 3:1-7ページ、1985年)。高ヒスチジン・タンパク質は、使用された金属イオンによって、異なる親和性でこのマトリックスに吸着され、そして、pHを下げることでの競合溶出、又は強いキレート剤の使用によって溶出される。他の精製方法には、レクチン・アフィニティー・クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製(Methods in Enzymol.、第182巻、"Guide to Protein Purification"、M. Deutscher(編)、Acad. Press, San Diego, 1990年、529-39ページ)、並びに可溶性zcytor17受容体の使用が含まれる。本発明の追加的な態様において、精製を容易にするために、着目のポリペプチドとアフィニティー・タグ(例えば、マルトース結合タンパク質、免疫グロブリン・ドメイン)の融合物が構築されるかもしれない。
そのうえ、当該技術分野で説明されている方法の使用により、ポリペプチド融合、ハイブリッドIL-31及びIL-31Cys突然変異型タンパク質は、他のヒト・サイトカイン・ファミリーのタンパク質(例えば、インターロイキン又はGM-CSF)、又は不均質なタンパク質と組み合わせて本発明のIL-31及びIL-31Cys突然変異体の領域又はドメインを使用することで構築される(Sambrookら、前記、Altschulら、前記、Picard、Cur. Opin. Biology, 5:511-5ページ、1994年、及びその中の参考文献)。これらの方法は、着目のポリペプチドの中でより大きなドメイン又は領域の生物学的重要性の判定を可能にする。前述のハイブリッドは、反応動力学、結合を変えるか、又は基質特異性を収縮若しくは拡張させるか、あるいはポリペプチドの組織や細胞局在を変えるかもしれず、そして、未知の構造のポリペプチドに適用できる。
融合タンパク質は、融合タンパク質の各構成要素を調製し、そして、それらを化学的に連結することによって、当業者に知られている方法で調製することができる。あるいは、適切なリーディングフレーム内の融合タンパク質の両方の構成要素をコードするポリヌクレオチドが既知の技術を使用することで作り出され、そして、本明細書中に記載の方法によって発現させてもよい。例えば、生物学的機能を与えるヘリックスの一部又は全部が、本発明のIL-31及びIL-31Cys突然変異体と、他のファミリーのメンバー、例えば、IL-15、IL-2、IL-4、又はGM-CSFなどからの機能的に同等なヘリックスとの間で交換されてもよい。前述の構成要素には、これだけに制限されることなく、4ヘリックス束サイトカインの分泌シグナル配列;ヘリックスA、B、C、D;ループA/B、B/C、C/Dが含まれる。そのような融合タンパク質は、構築された融合物によって本発明のポリペプチド又は他の既知の4ヘリックス束サイトカイン・ファミリー・タンパク質と同じか又は類似した生物学的な機能的特徴を有することが期待されるだろう。そのうえ、そのような融合タンパク質は、本明細書中に開示される他の特性を示すかもしれない。
標準的な分子生物学的技術及びクローン技術は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドと、それらが融合されるそのポリペプチドの間の同等なドメインを交換するのに使用できる。一般に、着目のドメイン、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体のヘリックスA〜D、又は本明細書中に記載の他のドメインをコードするDNA断片は、本明細書中に記載のように、追加的なポリペプチド(例えば、他のサイトカイン、例えば、IL-2等からのドメイン又は領域)をコードする少なくとも1つの他のDNA断片に、フレーム内で作動できるように連結され、そして、適切な発現ベクター内に挿入される。一般に、DNA構築物は、ポリペプチドの対応部分をコードするいくつかのDNA断片が、融合タンパク質全体、又はその機能部分をコードする単独の構築物を作るように、フレーム内に作動できるように連結されるように作製される。例えば、DNA構築物は、N末端からC末端に向かって、シグナル・ポリペプチドを含む融合タンパク質と、それに続いてヘリックスA、続いてヘリックスB、続いてヘリックスC、続いてヘリックスDを含む成熟4ヘリックス束サイトカイン融合タンパク質をコードするだろう。前述の融合タンパク質は、本明細書に記載のとおり、発現され、分離され、活性についてアッセイされるかもしれない。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、又はその断片は、また、化学合成によっても調製されるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、単量体又は多量体;グリコシル化又は非グリコシル化;ペグ化又は非ペグ化であってよく;そして、最初のメチオニン・アミノ酸残基を含んでも含まなくてもよい。例えば、前記ポリペプチドは、例えば、Merrifield、J. Am. Chem. Soc. 85:2149ページ、1963年によって説明されるように、固相ペプチド合成によって調製されてもよい。
本発明の分子の活性は、zcytor17受容体を発現する細胞の増殖、及び/又はその細胞への結合を計測する様々なアッセイを使用して計測されるかもしれない。特に着目すべきは、IL-31依存性細胞における変化である。IL-31依存性になるように操作される好適な細胞株には、IL-31依存性BaF3細胞株(Palacios及びSteinmetz、Cell 41:727-734ページ、1985年;Mathey-Prevotら、Mol. Cell. Biol. 6:4133-4135ページ、1986年)、FDC-P1(Hapelら、Blood 64:786-790ページ、1984年)、及びMO7e(Kissら、Leukemia 7:235-240ページ、1993年)が含まれる。成長因子依存性細胞株は、確立された方法に従って樹立されるかもしれない(例えば、Greenbergerら、Leukemia Res. 8:363-375ページ、1984年;Dexterら、in Baumら編、Experimental Hematology Today, 8th Ann. Mtg. Int. Soc. Exp. Hematol. 1979年、145-156ページ、1980年)。
リガンドとして、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの活性は、受容体結合とその後の生理学的な細胞応答に関連する細胞外の酸性化速度、又はプロトン排出を計測するシリコン・ベースのバイオセンサ・マイクロフィジオメーターによって計測することができる。代表的なデバイスは、Molecular Devices, Sunnyvale, CAによって製造されたCytosensor(商標)Microphysiometerである。様々な細胞応答、例えば、細胞増殖、イオン輸送、エネルギー産生、炎症反応、調節及び受容体活性化等が、この方法によって計測されることができる。例えば、McConnell, H.M.ら、Science 257:1906-1912ページ、1992年;Pitchford, S.ら、Meth. Enzymol. 228:84-108ページ、1997年;Arimilli, S.ら、J. Immunol. Meth. 212:49-59ページ、1998年;Van Liefde, I.ら、Eur. J. Pharmacol. 346:87-95ページ、1998年を参照のこと。
そのうえ、IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体刺激経路に反応する細胞、組織、又は細胞株を同定するのに使用できる。先に記載のマイクロフィジオメーターは、リガンド応答性細胞、例えば、本発明のIL-31及びIL-31Cys 突然変異体に応答性の細胞などを迅速に同定するのに使用できる。細胞は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの存在下、又は不存在下で培養されるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体の存在下で、細胞外の酸性化速度に測定できる変化を引き起こした細胞は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対して応答性である。そのような細胞又は細胞株は、先に記載のとおり、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの拮抗薬及び作動薬を同定するのに使用できる。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、また、その活性の阻害剤(拮抗薬)を同定するためにも使用できる。試験化合物が、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の活性を抑制する化合物を同定するために、本明細書中に開示されたアッセイに加えられる。本明細書中に開示されたそれらのアッセイに加えて、受容体結合性、IL-31及びIL-31Cys突然変異体依存性細胞反応の刺激/阻害、又はzcytor17受容体発現細胞の増殖を計測するように設計された様々なアッセイの中で、サンプルがIL-31及びIL-31Cys突然変異体活性の阻害について試験されるかもしれない。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、2つの定常領域ドメインを含み、且つ、可変領域を欠く免疫グロブリン重鎖定常領域、主としてFcフラグメントとの融合体として発現されるかもしれない。前述の融合体を調製する方法は、米国特許番号第5,155,027号及び同第5,567,584号で開示されている。前述の融合体は、Fc部分が互いにジスルフィド結合され、且つ、2つの非Igポリペプチドが互いにすぐ近くに接近して整列される多量体分子として通常分泌される。このタイプの融合体は、例えば、安定性及びインビボにおける半減期を高める二量体化に、インビトロにおけるアッセイ・ツールとしてアフィニティー精製リガンドに、又は拮抗薬に使用できる。アッセイにおける使用のために、キメラは、Fc領域を介して支持体に結合され、そして、ELISAの様式で使用される。
アッセイ・システムは、リガンド結合性受容体(又は、抗体、相補体/抗相補体対のメンバーの1つ)、あるいはその結合断片を使用し、そして、市販のバイオセンサ機器(BIAcore、Pharmacia Biosensor、Piscataway, NJ)を有利に用いることができる。前述の受容体、抗体、相補体/抗相補体対又は断片のメンバーが、受容体チップの表面上に固定される。この機器の使用は、Karlsson、J. Immunol. Methods 145:229-40ページ、1991年、及びCunningham及びWells、J. Mol. Biol. 234:554-63ページ、1993年によって開示されている。受容体、抗体、メンバー、又は断片を、フロー・セル内の金膜に取り付けられたデキストラン繊維に、アミン又はスルフィドリル化学反応を使用して、共有結合させる。試験サンプルに、前記セルを通り抜けさせる。リガンド、エピトープ、又は相補体/抗相補体対の反対側のメンバーがサンプル中に存在する場合、それは、それぞれ、固定された受容体、抗体、又はメンバーに結合して培地の屈折率の変化を引き起こし、そのことが金膜の表面プラズモン共鳴の変化として検出される。このシステムは、結合親和性を計算することができる結合速度(on-rates)及び解離速度(off-rates)の測定、及び結合の化学量論の評価を可能にする。あるいは、リガンド/受容体結合性は、SELDI(商標)技術を使用することで分析できる(Ciphergen, Inc.、Palo Alto, CA)。
リガンド結合受容体ポリペプチドは、また、当該技術分野で知られている他のアッセイ・システムの中でも使用できる。そのようなシステムは、結合親和性の測定のためのスキャッチャード解析(Scatchard、Ann. NY Acad. Sci. 51:660-72ページ、1949年を参照のこと)、及び熱量アッセイ(Cunninghamら、Science 253:545-48ページ、1991年;Cunninghamら、Science 245:821-25ページ、1991年)を含む。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドは、また、IL-31エピトープ、ペプチド、又はポリペプチドに結合する抗体を調製するために使用できる。IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド又はその断片は、動物に接種して免疫応答を誘発する抗原(免疫原)としての役目を果たす。そのような抗体は、炎症誘発性IL-31及びIL-31Cys突然変異体の生物学的作用を遮断するのに使用でき、そして、本明細書中に記載の様々な疾患における抗炎症性の治療として有用である。当業者は、抗原性エピトープ担持ポリペプチドは、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド(例えば、配列番号2)の少なくとも6つ、好ましくは、少なくとも9つ、そして、より好ましくは、少なくとも15〜約30個の隣接アミノ酸残基から成る配列を含むことを認識しているであろう。IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの大部分、すなわち、アミノ酸配列の全長までの30〜100残基を含むポリペプチドが含まれる。抗原又は免疫原性エピトープは、また、本明細書中に記載のとおり、付着タグ、補助剤、溶媒、及び担体を含むこともできる。好適な抗原には、配列番号2のアミノ酸番号24〜アミノ酸番号164、又は隣接する9〜141個のアミノ酸断片によってコードされるIL-31ポリペプチドが含まれる。他の好適な抗原には、本明細書中に記載のとおり、IL-31の4ヘリックス束構造物の、完全長、且つ、成熟IL-31、ヘリックスA〜D、及び個々又は複数のヘリックスA、B、C、及びDが含まれる。抗原として使用される好ましいペプチドは、親水性ペプチド、例えば、本明細書に記載のとおり、疎水度プロットから当業者によって予測されるものなどであり、例えば、配列番号2の第114〜119アミノ酸残基、第101〜105アミノ酸残基、第126〜131アミノ酸残基、第113〜118アミノ酸残基、及び第158〜162アミノ酸残基:並びに配列番号11の第34〜39アミノ酸残基、第46〜51アミノ酸残基、第131〜136アミノ酸残基、第158〜163アミノ酸残基、及び第157〜162アミノ酸残基である。そのうえ、例えば、DNASTARプロテアン・プログラム(DNASTAR, Inc.、Madison, WI)を使用したジェームソン−ウルフ・プロットによって予測されるIL-31及びIL-31Cys突然変異体抗原エピトープは、好ましい抗原として働き、且つ、当業者によって容易に測定される。
これらの抗原の、動物に対する接種によって生み出される免疫応答からの抗体は、本明細書に記載のとおり分離され、そして、精製されることができる。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を調製し、そして、分離する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Current Protocols in Immunology、Cooliganら(編)、National Institutes of Health、John Wiley and Sons, Inc.、1995年;Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor, NY、1989年;及びHurrell, J. G. R.編、Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications、CRC Press, Inc.、Boca Raton, FL、1982年を参照のこと。
当業者にとって明白であるように、ポリクローナル抗体は、様々な温血動物、例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、及びラットなどにIL-31ポリペプチド又はその断片を接種することで作り出されるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの免疫原性は、アジュバント、例えば、ミョウバン(水酸化アルミニウム)、又はフロイント完全又は不完全アジュバントなどの使用により増強できる。免疫に有用なポリペプチドには、また、融合ポリペプチド、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体若しくはその一部と、免疫グロブリン・ポリペプチド、又はマルトース結合タンパク質との融合体も含まれる。ポリペプチド免疫原は、その完全長分子又はその一部であるかもしれない。ポリペプチド部分が「ハプテン様」である場合、そのような部分は、免疫付与のために高分子支持体(例えば、キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、又は破傷風トキソイドなど)に有利に取り付けられるか又は連結されるかもしれない。
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、親和性精製したポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び抗原結合性断片、例えば、F(ab’)2及びFabタンパク質分解断片などが含まれる。遺伝子組み換えされた原型を保った抗体又は断片、例えば、キメラ抗体、Fv断片、1本鎖抗体など、並びに合成の抗原結合ペプチド及びポリペプチドもまた含まれる。非ヒト抗体は、ヒト・フレームワーク及び定常領域に非ヒトCDRsを結び付けるか、又は(場合により、その結果物が「化粧張りした」抗体(a ”veneered” antibody)である、露出した残基の置き換えによってヒト様表面でそれらを「覆って」)非ヒト可変ドメイン全体を内蔵することによって、ヒト化されるかもしれない。場合によっては、ヒト化抗体が、固有の結合特性を強化するためにヒト可変領域のフレームワーク・ドメイン内に非ヒト残基を保有するかもしれない。抗体をヒト化することで、生物学的半減期を延長でき、そして、ヒトへの投与の際の不利な免疫反応の可能性が低減される。そのうえ、ヒト抗体は、WIPO公開番号WO 98/24893で開示されているように、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むように設計されたヒト以外のトランスジェニック動物において産生されるかもしれない。これらの動物における内因性免疫グロブリン遺伝子は、例えば、相同組み換えなどによって不活性化又は排除されていることが好ましい。
抗体は:1)それらが結合活性の閾値レベルを示し、且つ、2)それらが関連ポリペプチド分子と著しい交差反応をしない場合に、特異的に結合すると考えられる。本明細書中の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異型抗体が、対照ポリペプチド(非IL-31)への結合親和性に比べて少なくとも10倍高い親和性で、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、ペプチド、又はエピトープに結合する場合に、結合の閾値レベルが測定される。抗体が106M-1以上、好ましくは107M-1以上、より好ましくは108M-1以上、そして、最も好ましくは109M-1以上の結合親和性(ka)を示すことが好ましい。抗体の結合親和性は、例えば、当業者によって、例えば、スキャッチャード解析によって容易に測定することができる(Scatchard, G.、Ann. NY Acad. Sci. 51:660-672ページ、1949年)。
抗IL-31及びIL-31Cys突然変異型抗体が関連ポリペプチド分子と著しい交差反応をしないかどうかは、標準的なウェスタンブロット分析を使用して、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドを検出する抗体によって示されるが、関連ポリペプチドは分からない(Ausubelら、前記)。既知の関連ポリペプチドの実例は、従来技術において開示されたもの、例えば、既知のオルソログやパラログ、及びタンパク質ファミリーの類似の既知メンバーである。スクリーニングは、また、非ヒトIL-31及びIL-31突然変異体ポリペプチドを使用して行われるかもしれない。そのうえ、抗体は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドに特異的に結合する集団を分離するために、既知の関連ポリペプチド「に対してスクリーニングされる」かもしれない。例えば、IL-31やIL-31Cys突然変異体に対して産生された抗体は、不溶性マトリックスに接着された関連ポリペプチドに吸着され;IL-31及びIL-31Cys突然変異体に特異的な抗体は適切なバッファー条件下でマトリックスを通過する。スクリーニングは、既知の密接に関連するポリペプチドと交差反応しないポリクローナル及びモノクローナル抗体の分離を可能にする(Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow及びLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年;Current Protocols in Immunology、Cooliganら(編)、National Institutes of Health、John Wiley and Sons, Inc.、1995年)。特異的抗体のスクリーニング、そして、分離は、当該技術分野で周知である。Fundamental Immunology、Paul(編)、Raven Press、1993年;Getzoffら、Adv. in Immunol. 43:1-98ページ、1988年;Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、Coding, J.W.(編)、Academic Press Ltd.、1996年;Benjaminら、Ann. Rev. Immunol. 2:67-101ページ、1984年を参照のこと。特異的に結合する抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体は、当該技術分野の、そして、以下に開示される多くの方法によって検出できる。
当業者に知られている様々なアッセイが、IL-31及びIL-31Cys突然変異体タンパク質又はポリペプチドに結合する抗体を検出するのに利用できる。代表的なアッセイは、Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow及びLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988年の中に詳細に記載されている。そのようなアッセイの代表的な実例には:同時免疫電気泳動法、放射免疫測定法、放射免疫−沈殿法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ドットブロット又はウェスタンブロット・アッセイ、阻害又は競合アッセイ、及びサンドイッチ・アッセイが含まれる。加えて、抗体は、突然変異体IL-31タンパク質又はポリペプチドに対する野生型への結合に関してスクリーニングされるかもしれない。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する抗体は、IL-31を発現する細胞のタグ付けに;親和性精製によるIL-31及びIL-31Cys突然変異体の分離に;IL-31ポリペプチドの循環レベルを測定するための診断アッセイに;潜在する病理学又は疾患のマーカーとしての可溶性IL-31の検出又は定量に;FACSを用いた解析に;発現ライブラリーのスクリーニングに;抗イディオタイプ抗体を作り出すために;並びにインビトロ及びインビボにおけるIL-31活性を遮断するための中和抗体又は拮抗薬として使用できる。好適な直接的なタグ又は標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁性粒子等が含まれ、間接的なタグ又は標識には、中間体としてビオチン−アビジン又は他の相補体/抗相補体対の使用を特徴とすることができる。本明細書中の抗体は、また、薬物、毒素、放射性核種等に直接的又は間接的に結合することができ、そして、これらの複合体は、インビボにおける診断上の又は治療上の適用に使用される。そのうえ、IL-31及びIL-31Cys突然変異体又はその断片に対する抗体は、アッセイ、例えば、ウェスタンブロット又は当該技術分野で知られている他のアッセイにおいて変性IL-31及びIL-31Cys突然変異体又はその断片を検出するためにインビトロにおいて使用されてもよい。
好適な検出可能分子は、直接的又は間接的にポリペプチド又は抗体に取り付けられ、そして、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁性粒子等を含んでもよい。好適な細胞傷害性分子は、直接的又は間接的にポリペプチド又は抗体に取り付けられてもよく、そして、細菌又は植物毒素(例えば、ジフテリア、毒素、サポリン、シュードモナス外毒素、リシン、アブリン等)、並びに治療用放射性核種、例えば、(直接的ポリペプチド又は抗体に取り付けられるか、又は例えば、キレート分子の手段により間接的に取り付けられる)ヨウ素131、レニウム188、又はイットリウム90などを含む。ポリペプチド又は抗体は、また、細胞毒性薬物、例えば、アドリアマイシンなどに連結されてもよい。検出可能分子又は細胞傷害性分子の間接的な取り付けのために、その検出可能分子又は細胞傷害性分子は、相補体/抗相補体対のメンバーと結合されることができ、ここで、もう一方のメンバーがポリペプチド又は抗体部分に結合される。これらの目的のために、ビオチン/ストレプトアビジンは、代表的な相補体/抗相補体対である。
結合ポリペプチドは、また、インビトロ及びインビボにおいてIL-31及びIL-31Cys突然変異体の結合及びシグナル伝達を遮断するIL-31及びIL-31Cys突然変異体の「拮抗薬」としても機能できる。これらの抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体結合ポリペプチドは、IL-31活性又はタンパク質結合を抑制するのに有用であるだろう。
ポリペプチド毒素融合タンパク質又は抗体毒素融合タンパク質は、標的細胞又は組織の阻害又は(例えば、癌細胞又は組織の治療のための)除去に使用できる。あるいは、ポリペプチドが複合機能ドメイン(すなわち、活性化ドメイン又は受容体結合ドメイン、に加えて標的ドメイン)を持つ場合、標的ドメインだけを含む融合タンパク質が、検出可能分子、細胞傷害性分子、又は相補体分子を着目の細胞又は組織型へと誘導するのに好適であるかもしれない。ドメインのみの融合タンパク質が相補体分子を含む例において、抗相補体分子は検出可能分子又は細胞傷害性分子に連結されることができる。よって、前述のドメイン−相補体分子融合タンパク質は、一般的な抗相補体−検出可能分子又は細胞傷害性分子複合体の細胞/組織特異的デリバリーのための一般的な標的化担体又は溶媒を表す。
他の態様において、IL-31及びIL-31Cys突然変異体−サイトカイン融合タンパク質又は抗体−サイトカイン融合タンパク質は、インビボにおいて標的組織を死滅させるために使用できる(例えば、白血病、リンパ腫、肺癌、腸癌、黒色腫、膵臓癌、卵巣癌、皮膚、血液、及び骨髄の癌、又はIL-31受容体が発現されている他の癌)(一般に、Hornickら、Blood 89:4437-47ページ、1997年を参照のこと)。説明した融合タンパク質は、所望の作用部位へのサイトカインのターゲッティングを可能にし;その結果、サイトカインの高い局所濃度をもたらす。好適なIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド又は抗IL-31抗体は、望ましくない細胞又は組織(すなわち、腫瘍又は白血病)を標的とし、そして、融合したサイトカインがエフェクタ細胞による改善された標的細胞の分解を媒介した。この目的のための好適なサイトカインには、例えば、インターロイキン2及び顆粒球−マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
本明細書中に記載の生物活性ポリペプチド又は抗体複合体は、静脈内、動脈内、又は管内にデリバリーされるか、あるいは意図される作用部位にて局所的に導入されてもよい。
炎症は、侵入した物質を回避するための生物体による防御応答である。炎症は、多くの細胞性及び液性メディエーターが関与するカスケード事象である。一方では、炎症応答の抑制は、宿主の免疫的に無防備な状態を残す可能性があるが;しかしながら、抑制されないままである場合、炎症は、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患等)、敗血症ショック、及び多臓器不全を含めた重大な合併症をもたらす可能性がある。重要なことには、これらのさまざまの病状は、一般的な炎症メディエーターを共有する。炎症を特徴とする共通の疾患は、ヒトの罹患率及び死亡率に大きく影響する。これにより、抗炎症性抗体及び結合ポリペプチド、例えば、本明細書中に記載の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体及び結合ポリペプチドなどが、喘息及びアレルギーから自己免疫及び敗血症ショックまでの膨大な数のヒト及び動物の疾患に関して重要な治療的有効性を持ち得ることは、明らかである。そのようなものとして、本明細書中に記載の抗炎症性抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、及び結合ポリペプチドの使用は、特に疾患、例えば、関節炎、エンドトキシン血症、炎症性腸疾患、乾癬、関連疾患等における本明細書中に記載のIL-31拮抗薬として治療的に使用される可能性がある。
1.関節炎
変形性関節症、関節リウマチ、損傷が原因の関節炎の関節などを含めた関節炎は、抗炎症性抗体及び結合ポリペプチド、例えば、本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異型抗体、並びに結合ポリペプチドの治療上の使用から利益を得るであろう一般的な炎症状態である。例えば、関節リウマチ(RA)は、全身に影響を及ぼす全身性疾患であり、関節炎の最も一般的な形態の1つである。それは関節を内膜の炎症を特徴とし、疼痛、こわばり感、熱感、発赤、及び腫脹を引き起こす。炎症細胞は、骨及び軟骨を消化することができる酵素を放出する。関節リウマチが原因で、炎症を起こした、関節の内膜である滑膜は、骨及び軟骨を浸潤し、そして損傷を与え、他の生理学的影響の中で関節の劣化及び激痛をもたらす。病変関節は、その形状及び配置を失う場合があり、疼痛及び運動の喪失をもたらす。
関節リウマチ(RA)は、特に、重度の障害及び死亡率の増加につながる炎症とそれに続く組織損傷を特徴とする免疫介在性疾患である。様々なサイトカインが、リウマチ様関節において局所的に産生される。非常に多くの研究が、IL-1及びTNF-αの2つの典型的な炎症誘発性サイトカインが滑膜炎及び進行性関節破壊にかかわる作用機序において重要な役割を果たすことを実証した。実際に、RAの患者におけるTNF-α及びIL-1阻害剤の投与は炎症の臨床的及び生物学的徴候の劇的な改善、並びに骨浸食及び軟骨破壊の放射線学的徴候の減少につながった。しかしながら、これらの希望を与える結果をよそに、かなりの割合の患者がこれらの作用物質に応答せず、他のメディエーターも関節炎の病理生理学にかかわっていることが示唆された(Gabay、Expert. Opin. Biol. Ther. 2(2):135-149ページ、2002年)。それらのメディエーターの1つがIL-31及びIL-31Cys突然変異体である可能性があり、そして、IL-31と又はIL-31Cys突然変異体に結合又は阻害するそのような分子、例えば、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体又は結合パートナーなどが、関節リウマチにおける炎症、及び他の関節炎疾患を軽減するための有益な治療として役立つかもしれない。
当該技術分野で知られている関節リウマチに関する数種類の動物モデルが存在する。例えば、コラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルでは、マウスはヒト関節リウマチに酷似した慢性炎症性関節炎を発症する。CIAはRAと類似した免疫学的及び病理学的特徴を共有するので、このことは、それを潜在的なヒト抗炎症性化合物のスクリーニングのための理想的なモデルにさせる。CIAモデルは、発生させるために免疫応答と炎症反応の両方に依存する、周知のマウス・モデルである。免疫応答は、抗原として与えられるコラーゲンに対する反応としてB細胞及びCD4+T細胞の相互作用を含み、そして、抗コラーゲン抗体の産生につながる。炎症相は、マウスの天然コラーゲンに対して交差反応する、及び補体カスケードを活性化するこれらの抗体のいくつかの結果としての炎症メディエーターからの組織反応の結果である。CIAモデルを使用することの利点は、発症機序の基本的な機構が知られていることである。関連T細胞及びB細胞のII型コラーゲンに対するエピトープは同定されていて、免疫介在性関節炎に関連する様々な免疫学的(例えば、遅延型過敏症と抗コラーゲン抗体)、及び炎症性(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及びマトリクス分解酵素)パラメーターが、測定されたので、それ故に、CIAモデルにおける試験化合物の有効性の評価に使用できる(Wooley、Curr. Opin. Rheum. 3:407-20ページ、1999年;Williamsら、Immunol. 89:9784-788ページ、1992年;Myersら、Life Sci. 61:1861-78ページ、1997年;及びWangら、Immunol. 92:8955-959ページ、1995年)。
(本明細書中に記載のヘテロ二量体及び多量体受容体を含む)ポリペプチドを含む可溶性zcytor17、例えば、zcytor17-Fc4及び他のzcytor17可溶性、且つ、融合タンパク質のこれらのCIAモデル・マウスへの投与が、症状を改善するため、及び疾患の経過を変更するためのzcytor17の使用を評価するために使用された。免疫及び炎症反応を調節する分子であるIL-31及びIL-31Cys突然変異体が関節リウマチの発症機序に関係するSAAの産生を引き起こし、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬がインビトロ及びインビボにおけるSAA活性を減少させるかもしれないので、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬、例えば、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体又は結合パートナー、(本明細書中に記載のヘテロ二量体及び多量体受容体を含む)ポリペプチドを含むzcytor17、例えば、zcytor17-Fc4又は他のzcytor17可溶性、且つ、融合タンパク質などの全身的又は局所的投与は、潜在的に、RAの炎症応答を抑える可能性がある。他の潜在的な治療には、本発明のzcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、又は抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、あるいは結合パートナーなどが含まれる。
2.エンドトキシン血症
エンドトキシン血症は、一般的に、感染性物質、例えば、細菌や他の感染性病原体、敗血症、中毒性ショック症候群などに起因するか、又は日和見感染などを患った免疫低下患者において生じる重度の症状である。治療として有効な抗炎症性抗体及び結合ポリペプチド、例えば、本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、及び結合ポリペプチドなどは、ヒト及び動物におけるエンドトキシン血症を予防及び治療する際に助けとなるであろう。他の潜在的な治療には、zcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、又は本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、若しくは結合パートナーなどが含まれ、エンドトキシン血症における炎症及び病理学的影響を軽減するための有益な治療として役立つであろう。
齧歯動物における感染症、及びLPS誘発エンドトキシン血症病において病理学的影響を生じる炎症誘発性メディエーターの多くが携わるリポ多糖類(LPS)誘発エンドトキシン血症は、潜在的な炎症誘発薬又は免疫調節薬の薬理効果を研究するために広く使用される、及び受け入れられるモデルである。グラム陰性菌で産生されるLPSが、敗血症ショックの発症機序における主要な原因物質である(Glausnerら、Lancet 338:732ページ、1991年)。実際には、ショック様状態は、動物へのLPSの単回投与によって実験的に誘発することができる。LPSに対して応答した細胞によって産生される分子は、直接的又は間接的に病原菌を標的とするかもしれない。これらの生物応答は、病原菌の侵入に対して宿主を保護するが、それらは、また、害も引き起こす可能性がある。よって、重度のグラム陰性細菌感染の結果として起こる先天的免疫の大規模な刺激は、サイトカイン及び他の分子の過剰産生、そして、発熱、低血圧、汎発性血管内凝固、及び多臓器不全を特徴とする死に至る症状である敗血症ショック症候群の発生につながる(Dumitruら、Cell 103:1071-1083ページ、2000年)。
LPSのこれらの中毒作用は、複数の炎症メディエーターの放出につながるマクロファージの活性化に主に関連する。これらのメディエーターの中で、中和抗TNF抗体の投与によるLPS毒性の予防によって示されるように、TNFが重要な役割を担っていると思われる(Beutlerら、Science 229:869ページ、1985年)。C57B1/6マウスへの1μgのE.コリ LPSの注射が、注射の約2時間後に循環IL-6、TNF-α、IL-1、及び急性期タンパク質(例えば、SAA)の顕著な増加をもたらすことは、十分に立証されている。これらのメディエーターに対する受動免疫が低い死亡率をもたらすことができることから、LPSの毒性は、これらのサイトカインに媒介されていると思われる(Beutlerら、Science 229:869ページ、1985年)。敗血症ショックの予防、及び/又は治療のための潜在的な免疫介入ストラテジーには、抗TNF mAb、IL-1受容体拮抗薬、LIF、IL-10、及びG-CSFが含まれる。LPSがエンドトキシン血症の病変の原因となる可能性のある炎症誘発性因子の産生を誘発するので、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドに拮抗することによるIL-31及びIL-31Cys突然変異体活性、SAA又は他の炎症誘発性因子の中和が、例えば、エンドトキシン・ショックなどに見られるエンドトキシン血症の症状を軽減するために使用されるかもしれない。他の潜在的な治療には、zcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、又は本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、又は結合パートナーなどが含まれる。
3.炎症性腸疾患、IBD
米国において、約50万人が、結腸や直腸(潰瘍性大腸炎)のいずれか、又はその両方、小腸及び大腸(クローン病)に影響を与える可能性のある炎症性腸疾患(IBD)に罹患している。これらの疾患の発症機序は不明瞭であるが、それらは罹患組織の慢性炎症に関連する。潜在的な治療には、zcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、又は結合パートナーなどが含まれ、IBD及び関連疾病における炎症及び病理学的影響を軽減するための有益な治療としての役割を担うかもしれない。
潰瘍性大腸炎(UC)は、一般に結腸と呼ばれる大腸の炎症性疾患であり、結腸の粘膜又は最深部の内膜の炎症及び潰瘍を特徴とする。この炎症は、結腸を頻繁に空にする下痢症状をもたらす。症状には、大便をゆるくする及び関連する腹筋けいれん、発熱、並びに体重減少が含まれる。UCの正確な原因はわかっていないが、最近の研究は、体の自然防御能が、体が異物であると思う体内のタンパク質に働いていること(「自己免疫反応」)が示唆された。恐らく、それらは腸内の細菌性タンパク質に類似しているので、これらのタンパク質は、結腸の内膜(lining)を破壊し始める炎症過程を引き起こすか又は刺激するかもしれない。結腸の内膜が破壊されるので、潰瘍が粘液、膿、及び血液の放出を生じる。疾患は、通常、直腸領域で始まり、そして、最終的に、大腸全体にわたって広がるかもしれない。炎症の反復される症状の発現は、瘢痕組織を伴った腸及び直腸の壁の肥厚につながる。結腸組織の死滅又は敗血症は、重度の疾患と共に起こるかもしれない。潰瘍性大腸炎の症状は、重さが異なり、そして、それらの開始は、ゆるやかであるか、又は突然であるかもしれない。発作は、呼吸器感染症又はストレスを含めた多くの要因によって引き起される可能性がある。
現在、UCに利用可能ないずれの療法も存在しないが、治療は結腸内膜における異常な炎症過程を抑圧することに絞り込まれている。コルチコステロイド免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、及びメトトレキサート)及びアミノサリチル酸を含む治療が、その疾患を治療するために利用可能である。しかしながら、免疫抑制剤、例えば、コルチコステロイド及びアザチオプリンなどの長期間の使用は、骨の薄化、白内障、感染、並びに肝臓及び骨髄への影響を含めた重大な副作用をもたらす可能性がある。現在、療法が成功していない患者では、外科手術が1つの選択肢である。外科手術は結腸及び直腸全体の摘出を含む。
慢性潰瘍性大腸炎を部分的に模倣することができる数種類の動物モデルが存在する。最も広く使用されているモデルは、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸/エタノール(TNBS)誘発結腸炎モデルであり、そのモデルは結腸における慢性炎症及び潰瘍形成を引き起こす。TNBSが直腸内点滴により感受性マウスの結腸内に導入される時、それは結腸粘膜においてT細胞介在性免疫応答を引き起こし、この場合、大腸壁全体にわたるT細胞及びマクロファージの高密度浸潤を特徴とする大規模な粘膜炎症をもたらす。そのうえ、この組織病理学像は、進行性体重減少(消耗性)、出血性下痢、直腸脱、及び大腸壁肥厚の臨床像に伴って起こる(Neurathら、Intern. Rev. Immunol. 19:51-62ページ、2000年)。
他の大腸炎モデルは、好中球の浸潤による出血性下痢、体重減少、結腸の短縮、及び粘膜潰瘍によって明らかにされる急性結腸炎を引き起こすデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を使用する。DSS誘発結腸炎は、リンパ組織過形成、病巣腺窩の傷害、及び上皮の潰瘍形成を伴った、固有層内への炎症細胞の浸潤を組織学的な特徴とする。これらの変化は、上皮に対するDSSの中毒作用により、そして、固有層細胞の食作用とTNF-α及びIFN-γの産生によって発症すると考えられる。その共用にもかかわらず、ヒト疾病との関連性についてDSSの作用機序の点でいくつかの問題が未解決のままで残っている。それがT細胞欠損動物、例えば、SCIDマウスなどで観察されるので、DSSはT細胞非依存性モデルと見なされる。
これらのTNBS又はDSSモデルへの抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体又は結合パートナー、(ヘテロ二量体及び多量体受容体を含む)ポリペプチドを含む可溶性zcytor17、例えば、zcytor17-Fc4又は他のzcytor17可溶性、且つ、融合タンパク質の投与は、症状を改善し、そして、消化器系疾患の経過を変えるためのIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬の使用を評価するのに使用されてもよい。IL-31及びIL-31Cys突然変異体は結腸炎の炎症応答に関与する可能性があるので、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬の投与によるIL-31及びIL-31Cys突然変異体活性の中和は、IBDのための潜在的な治療的アプローチである。他の潜在的な治療には、zcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、又は本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、若しくは結合パートナーなどが含まれる。
4.乾癬
乾癬は、700万人を上回るアメリカ人に影響を及ぼす慢性の皮膚病である。乾癬は、新しい皮膚細胞が異常に成長する時に起こり、古い皮膚が十分すばやく落ちない場合に、皮膚の炎症、腫脹、及びうろこ状の斑をもたらす。最も一般的な形態である斑状乾癬は、白銀のうろこが被さった皮膚の炎症性の斑(「病巣」)を特徴とする。乾癬は、いくつかのプラークに制限されるか、又は最も一般的に、頭皮、膝、肘、及び胴体に現れる、中程度〜広い皮膚の領域にかかわるかもしれない。それは非常に目につくが、乾癬は感染症でない。疾患の発症機序は、罹患組織の慢性炎に関係する。zcytor17ポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、本発明の抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、若しくは結合パートナーなどが、乾癬、他の炎症性皮膚疾患、皮膚及び粘膜アレルギー、及び関連疾患における炎症及び病理学的影響を軽減する有益な治療として役立つであろう。
乾癬は、相当な不快症状を引き起こす可能性のある、皮膚のT細胞介在性炎症性障害である。それは、療法がない疾患であり、且つ、あらゆる年齢の人々に影響を及ぼす。乾癬は、ヨーロッパ人及び北アメリカの人口の約2パーセントに影響を及ぼす。軽い乾癬の人は、多くの場合、局所治療薬を用いて彼らの疾患を制御できるが、世界中の100万人を超える患者は、紫外線又は全身的免疫抑制療法を必要としている。残念ながら、紫外線照射の不便と危険性、及び多くの療法の毒性が、それらの長期使用を制限している。そのうえ、患者は、通常、乾癬の再発があり、そして、場合によっては、免疫抑制療法を止めた直後に反動がある。
IL-31は、重要な免疫機能を持つことが知られており、且つ、免疫系において役割を果たす細胞を含む組織から分離された。IL-31は、CD3+選択、活性化末梢血液細胞において発現され、そして、T細胞活性化後にIL-31発現が増強されることが示された。そのうえ、本発明のポリペプチドは、単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、及び/又は単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞の分化状態、あるいはこれらの細胞の前駆細胞の成長/増殖に効果を持つかもしれない。造血系幹細胞の増殖を刺激し、且つ、成熟細胞を活性化する因子が一般に知られているが、しかしながら、成長及び活性化には、また、追加の成長因子も必要とするかもしれない。例えば、IL-7とスチール因子(c-キット・リガンド)が、NK前駆細胞のコロニー形成を必要とすることが示された。IL-7及びスチール因子と組み合わせたIL-15+IL-2が、より効果的であった(Mrozekら、Blood 87:2632-2640ページ、1996年)。しかしながら、未同定のサイトカインが、NK細胞、及び/又はNK前駆細胞の特異的サブセットの増殖に必要であるかもしれない(Robertsonら、Blood 76:2451-2438ページ、1990年)。同様に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、又はNK細胞の成長、増殖(proliferation, expansion)、及び分化の修飾を促進するために単独で、又は他のサイトカインと協力して、若しくはそれらとの相乗効果で作用するかもしれない。
分化を計測するアッセイには、例えば、組織、酵素活性、機能的活性、又は形態学的変化のステージ特異的発現に関連する細胞マーカーを計測するステップを含む(Watt、FASEB, 5:281-284ページ、1991年;Francis、Differentiation 57:63-75ページ、1994年;Raes、Adv. Anim. Cell Biol. Technol. Bioprocesses、161-171ページ、1989年;全てを本明細書中に援用する)。あるいは、IL-31ポリペプチド自体が、組織のステージ特異的発現に関連する追加の細胞表面又は分泌マーカーとしての役割を果たすかもしれない。そういうものとして、IL-31ポリペプチドの直接的な測定、又はそれが分化する場合には、組織におけるその発現消失が、組織の分化に関するマーカーとしての役割を果たすかもしれない。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体、又はそれに対する抗体は、腫瘍形成の治療において有用であるかもしれず、従って、癌治療において有用であろう。IL-31及びIL-は、活性化T細胞、単球、及びマクロファージで発現され、そして、白血病において転座が一般的であるヒト染色体の領域に連結される。そのうえ、IL-31は、サイトカイン受容体、zcytor17を通して作用することが示されており、上記zcytor17も活性化T細胞、単球、及びマクロファージにおいて発現される。IL-31及びIL-31Cys 突然変異体による活性化T細胞、単球、及びマクロファージの過度の刺激は、ヒトの病状、例えば、免疫細胞癌又は他の癌などをもたらすかもしれない。そういうものとして、IL-31発現を同定することにより、ポリペプチド(例えば、抗IL-31抗体による、zcytor17可溶性受容体(例えば、zcytor17受容体、ヘテロ二量体、多量体、又は他のIL-31結合パートナー))は、診断的なものとして機能を果たすかもしれず、そして、IL-31及びIL-31Cys突然変異体増殖作用の拮抗薬としての機能を果たすかもしれない。リガンドは、従来法の化学療法薬、並びに免疫モジュレーター、例えば、インターフェロンαなどの両方を含む既に使用中の他の作用物質と組み合わせて投与されるであろう。α/βインターフェロンは、いくつかの白血病及び疾患動物モデルを治療するのに有効であることが示され、そして、インターフェロンα、並びにIL-31及びIL-31Cys突然変異体の成長阻害効果が相加的であるかもしれない。
NK細胞は、転移性腫瘍細胞の排除において大きな役割を果たすと考えられ、転移性及び固形腫瘍の両方を患う患者は、NK細胞活性レベルが減少している(Whitesideら、Curr. Top. Microbiol. Immunol. 230:221-244ページ、1998年)。NK細胞を刺激する作用物質は、腫瘍の排除において有用だろう。
本発明は、新生物性の単球/マクロファージの増殖を減少させるのに十分な量のIL-31及びIL-31Cys突然変異体、又は抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体の組成物量を単球/マクロファージ新生物を患う哺乳動物に投与するステップを含む、新生物性の単球/マクロファージの増殖を減らす方法を提供する。他の態様において、前記組成物は少なくとも1種類の他のサイトカインを含むことができる。第2のサイトカインは、IL-2、IL-3、IL-12、IL-21、IL-22、IL-15、IL-4、GM-CSF、Flt3リガンド、又は幹細胞因子から成る群から選択されるかもしれない。
本発明は、単球/マクロファージの活性化又は分化を抑制する方法を提供する。単球は、それらが成熟してマクロファージになった場合、様々な組織に遊走する、完全に分化していない細胞である。マクロファージは、リンパ球に抗原を提示することによって免疫応答で中心的な役割を果たし、且つ、多数のサイトカインを分泌することによってリンパ球の補助細胞として支援的な役割を果たす。マクロファージは、細胞外分子を取り込み、そして、活性化によって、細胞内微生物及び腫瘍細胞を殺傷する増強された能力を持つことができる。活性化マクロファージは、また、急性又は局所炎症の刺激にも関与する。
他の側面において、本発明は、新生物性の単球/マクロファージの増殖を減らすのに十分なIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬の組成物量を、B又はT細胞新生物を患う哺乳動物に投与するステップを含む、新生物性のB又はT細胞の増殖を減らす方法を提供する。他の態様において、前記組成物は、少なくとも1種類の他のサイトカインを含むことができ、そのサイトカインは、IL-2、IL-3、IL-12、IL-21、IL-22、IL-15、IL-4、GM-CSF、Flt3リガンド、又は幹細胞因子から成る群から選択されるかもしれない。更に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬は、リガンド/毒素融合タンパク質であるかもしれない。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体−サポリン融合毒素が、IL-31及びIL-31Cys突然変異体で治療されるかもしれない白血病の範囲を拡大して、類似した一連の白血病及びリンパ腫に対して利用されるかもしれない。例えば、前述の白血病は、zcytor17受容体(例えば、zcytor17受容体、ヘテロ二量体(例えば、zcytor17/OSMRbeta)、多量体(例えば、zcytor17/OSMRbeta))を過剰発現するものであるかもしれない。zcytor17受容体、zcytor17受容体ヘテロ二量体又は多量体(例えば、zcytor19/OSMRbeta)の融合毒素を媒介した活性化は、標的細胞の増殖を抑制するための2つの独立した手段を提供するが、1つ目はリガンドのみで見られた効果と同じであり、2つ目は受容体取り込みによる毒素のデリバリーによる。zcytor17受容体のリンパ系及び単球の制限された発現パターンは、リガンド−サポリン複合体が患者によって許容される可能性を示唆する。
悪性腫瘍の治療が同種骨髄又は幹細胞移植を含む時、IL-31及びIL-31Cys突然変異体が、移植片対腫瘍効果の増進において重要であるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、骨髄前駆細胞からの細胞溶解性NK細胞の発生を刺激でき、そして、抗原受容体の活性化に続いて、単球及びマクロファージの増殖を刺激できる。これにより、患者が同種骨髄移植を受けた時、IL-31及びIL-31Cys突然変異体が、ドナー・リンパ球の注入のあるなしにかかわらず、抗腫瘍反応の発生を促進する。
所定のサイトカインに対する受容体の生体内分布は、そのサイトカインの作用の候補部位の強い可能性を表す。CD3+、CD4+、及びCD8+T細胞の活性化により発現の劇的な増加を伴うzcytor17の発現は、単球及びB細胞で見られる。加えて、2つの単球細胞株、THP-1(Tsuchiyaら、Int. J. Cancer 26:171-176ページ、1980年)及びU937(Sundstromら、Int. J. Cancer 17:565-577ページ、1976年)もzcytor17発現に関して陽性であった。
OSMRの発現は、非常に広いことが報告されている(Mosleyら、JBC 271:32635-32643ページ、1996年)。zcytor17及びOSM受容体のこの分布は、免疫応答、特に、活性化によるT細胞の増殖におけるIL-31及びIL-31Cys突然変異体の役割、又は免疫系の単球/マクロファージ・アームにおける役割を裏付ける。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体に、免疫系の抑制における、例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病、炎症性腸疾患、クローン病などを含めた自己免疫疾患の治療などにおける有用性を見いだすことができる。免疫抑制は、また、罹患した細胞型の増殖を抑制することによって、組織又は臓器移植物及び移植片の拒絶反応を軽減するため、並びにT細胞、B細胞、又は単球特異的白血病又はリンパ腫、及び他の癌を治療するためにも使用できる。そのうえ、IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、単球、マクロファージ、及び活性化T細胞を検出するために、そして、そのような自己免疫疾患、特に、単球が高くなるか又は活性化される病状における診断を援助するために使用できる。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、ペプチド、抗体などは、また、IL-31の循環レベルの検出のための診断システムの中で使用できる。関連する態様において、IL-31ポリペプチドに特異的に結合する抗体又は他の作用物質が、循環IL-31ポリペプチドを検出するために使用できる。リガンド・ポリペプチドの高い又は低いレベルは、癌を含めた病的状態の徴候であるかもしれない。IL-31ポリペプチドは、病理学的過程の一因となる可能性があり、且つ、元の疾患の間接的なマーカーになるかもしれない。
また、IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、特定の病状においてその受容体を検出するか、又は標的とするために使用できる。例えば、ヒト血清中の高いレベルの可溶性IL-2受容体は、多種多様な炎症性及び新生物性の状態、例えば、心筋梗塞、喘息、重症筋無力症、関節リウマチ、急性T細胞白血病、B細胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、結腸癌、乳癌、卵巣癌などに関連した(Heaneyら、Blood 87:847-857ページ、1996年)。同様に、zcytor17受容体は、活性化した単球において高められるので、zcytor17受容体、及び/又はその可溶性受容体もそれらに関連する炎症性及び新生物性の状態に関連するか、又はマーカーとしての役目を果たすことができる。それ故に、細胞傷害性複合体を含むIL-31及びIL-31Cys突然変異体は、前述の組織、及び病状を検出するか、又は標的とするために使用できる。
本発明の分子は、免疫系の単球/マクロファージ・アームにおける特定の用途がある。そのような活性を評価できる方法が知られている。例えば、インターフェロンγ(IFNγ)は単核食細胞の強力な活性化剤である。例えば、インターフェロンγによるTHP-1細胞(ATCC番号TIB-202)の活性化によるzcytor17の発現の増加は、この受容体が単球の活性化にかかわることを示唆するかもしれない。単球は、それらが成熟して、マクロファージになった場合に様々な組織に遊走する、完全に分化してない細胞である。マクロファージは、リンパ球に抗原を提示することによって免疫応答において中心的役割を果たしており、多数のサイトカインを分泌することによって、リンパ球に対する補助細胞として支援的な役割を果たしている。マクロファージは、細胞外分子を取り込み、活性化によって、細胞内微生物及び腫瘍細胞を死滅させる増強された能力を持つことができる。活性化マクロファージは、また、急性又は局所の炎症の刺激に関与する。そのうえ、単球−マクロファージ機能は、様々な病的状態で正常ではなくなることが示されている。例えば、Johnston, RB、New Eng. J. Med. 318:747-752ページ、1998年を参照のこと。
当業者は、zcytor17受容体の作動薬、例えば、IL-31及びIL-31Cys 突然変異体などが有用であると認識するだろう。例えば、単球の抑制された遊走は、感染に対して素因を有する人々、例えば、新生児など、コルチコステロイド又は他の免疫抑制療法を受けている患者、及び糖尿病、熱傷、又はAIDSの患者において報告された。zcytor17の作動薬、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体などは、これらの人々において遊走し、場合により、感染症を予防する単球の能力の増強をもたらすかもしれない。また、慢性肉芽腫症を患う患者からの単核食細胞による食作用性死滅の深刻な欠陥も存在する。これは、皮下膿瘍、並びに肝臓、肺、脾臓、及びリンパ節の腫瘍の形成をもたらす。zcytor17受容体の作動薬、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体などは、この食作用の欠陥を修正、又は改善できるかもしれない。加えて、欠陥がある単球細胞毒性は、癌及びウィスコット−アルドリッチ症候群(湿疹、血小板減少症、及び再発性の感染)の患者において報告されている。zcytor17受容体の作動薬、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体などによる単球の活性化は、これらの状態の治療において助けとなるだろう。単球−マクロファージ系は、いくつかの脂質蓄積症(スフィンゴリピド症)、例えば、ゴーシェ病などに大きく関与する。感染に対する抵抗性は、マクロファージ機能の欠陥により損なわれる可能性があり、上記マクロファージ機能は、zcytor17受容体の作動薬、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体などによって治療されるだろう。
そのうえ、当業者は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の拮抗薬が有用であることを認識するだろう。例えば、アテローム性動脈硬化症において、最初の異常の1つが内皮細胞への単球/マクロファージの局在である。これらの病巣は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する拮抗薬の使用によって予防されるだろう。抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体(例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体を中和する抗体)、zcytor17可溶性受容体、ヘテロ二量体及び多量体、並びにIL-31及びIL-31Cys突然変異体結合パートナーは、また、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する拮抗薬としても使用されることができる。そのうえ、単芽球白血病は、マクロファージの生物学的産物の放出を反映する様々な臨床的異常に関連し、実例には、血清及び尿中の高レベルのリゾチーム、並びに高熱が含まれる。そのうえ、前述の白血病は、単球細胞の異常な増加を示す。これらの影響は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する拮抗薬、例えば、本明細書に記載のものによって、場合により、予防されるだろう。そのうえ、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、白血病単球細胞の死滅を導くために本明細書に記載のとおり、分子、例えば、毒性部分やサイトカインなどに結合させてもよい。
当該技術分野で知られる方法、及び本明細書中に開示された方法を使用して、当業者は、本明細書中に開示された病状、炎症、免疫性(例えば、自己免疫性)、癌、又は感染、並びに単球細胞が関与する他の病状において、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の作動薬及び拮抗薬の活性を容易に評価するだろう。加えて、IL-31はT細胞、マクロファージ、及び単球に特異的な様式で発現され、且つ、これらの疾患は、単球細胞における異常、例えば、細胞増殖、機能、局在、及び活性化に関与するので、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び抗体は、そのような単球細胞の異常を検出し、そして、疾患の存在を示す診断として使用できる。前述の方法は、患者から生物学的サンプル、例えば、血液、唾液、又は生検など採取し、そして、それを正常対照サンプルと比較するステップを含む。組織学的方法、細胞学的方法、フローサイトメトリー法、生物化学的方法、及び他の方法が、IL-31又は細胞が発現したIL-31の相対的レベル又は局在を測定するために使用できる、すなわち、患者試料中の単球を正常対照と比較した。対照と比較したIL-31発現レベルの変化(増加又は減少)、又は単球の数又は局在の変化(例えば、通常、それらが存在していない組織内における単球細胞の増加又は浸潤)は、疾患の徴候であるだろう。そのような診断法は、また、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、又は抗体に取り付けられた放射測定、蛍光、及び比色タグの使用も含むかもしれない。そのような方法は、当該技術分野で周知であり、且つ、本明細書中に開示されている。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体活性を有するアミノ酸配列は、zcytor17受容体に結合し、これにより、内因性IL-31受容体とIL-31の結合を妨げることによって免疫系を調節するために使用できる。IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬、例えば、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体などは、また、内因性IL-31及びIL-31Cys突然変異体受容体とIL-31及びIL-31Cys突然変異体の結合を阻害することによって免疫系を調節するために使用できる。従って、本発明は、IL-31活性を有するタンパク質、ポリペプチド、及びペプチド(例えば、IL-31ポリペプチド、IL-31類似体(例えば、抗IL-31抗イディオタイプ抗体)、及びIL-31融合タンパク質など)の、このポリペプチドの適当量を欠いているか、又は受容体を含めた過剰なzcytor17を産生する対象への使用を含む。zcytor17受容体(例えば、抗zcytor17抗体)は、また、過剰なIL-31又はzcytor17のいずれかを産生する対象を治療するために使用できる。好適な対象には哺乳動物、例えば、ヒトなどが含まれる。
IL-31は、活性化単球において発現されることが示され、そして、炎症の調節に関与することができる。そういうものとして、本発明のポリペプチドは、炎症を調節するそれらの能力についてアッセイされ、そして、使用されるか、又は炎症のマーカーとして使用されるかもしれない。IL-31の炎症誘発性及び抗炎症性の特質を測定する方法は、当該技術分野で知られており、且つ、本明細書中で議論される。そのうえ、それは、急性期反応物質、例えば、血清アミロイドA(SAA)、α1-抗キモトリプシン、及びハプトグロビンなどの産生の上方制御に関与するかもしれず、しかも、炎症応答に関与するリポ多糖(LPS)のインビボにおける注射によってzcytor17受容体リガンドの発現は増強されるかもしれない(Dumoutier, L.ら、Proc. Nat'l. Acad. Sci. 97:10144-10149ページ、2000年)。急性期タンパク質、例えば、SAAなどの産生は、炎症が有益である短期生存機構であると考えられる;しかしながら、長期間の急性期タンパク質の持続は、慢性炎症の原因となり、ヒトの健康に有害であるかもしれない。概説のために、Uhlar, CM及びWhitehead, AS、Eur. J. Biochem. 265:501-523ページ、1999年、並びにBaumann H.及びGauldie、J. Immunology Today 15:74-80ページ、1994年を参照のこと。そのうえ、急性期タンパク質のSAAは、いくつかの慢性炎症性疾患の発症機序に関係しており、アテローム性動脈硬化及び関節リウマチに関係しており、そして、アミロイドーシスにおいて沈着したアミロイドAタンパク質の前駆体である(Uhlar, CM及びWhitehead、前記)。リガンド、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体などが炎症誘発性分子として作用し、そして、SAAの産生を誘発する場合に、拮抗薬は、炎症性疾患、並びにそのリガンドによって誘発された急性期反応タンパク質に関連する他の疾患を治療するのに有効であるだろう。そのような拮抗薬が本発明によって提供される。例えば、炎症を軽減する方法は、炎症を軽減するのに十分である量のIL-31及びIL-31Cys突然変異体、又は抗IL-31抗体(例えば、中和抗体)の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。そのうえ、炎症を有する哺乳動物の炎症応答を抑制する方法は、以下のステップ:(1)血清アミロイドAタンパク質のレベルを測定し;(2)許容される医薬担体中の、本明細書中に記載のIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、又は抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体を含む組成物を投与し;(3)血清アミロイドAタンパク質の投与後レベルを測定し;(4)ステップ(1)の血清アミロイドAタンパク質レベルを、ステップ(3)の血清アミロイドAタンパク質レベルと比較する、を含むかもしれず、ここで、血清アミロイドAタンパク質レベルの増加又は減少の欠如は、炎症応答を抑制したことを示す。
IL-31のように、そのzcytor17受容体cDNAに対応するmRNAの生体内分布の分析は、mRNAレベルが単球及び前立腺細胞において最も高く、活性化単球、並びに活性化CD4+、活性化CD8+、及び活性化CD3+細胞において高められることを示した。それ故に、zcytor17受容体は、また、炎症性及び免疫反応の誘発にもかかわる。よって、本発明の特定の態様は、炎症性及び免疫性の疾患、又は状態、例えば、膵炎、I型糖尿病(IDDM)、膵臓癌、膵炎、グレーブス病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、結腸及び腸癌、憩室炎、自己免疫疾患、敗血症、臓器又は骨髄移植;外傷、手術、又は感染による炎症;アミロイドーシス;脾腫;移植片対宿主病における;そして、炎症の阻害、免疫抑制、造血、免疫、炎症、又はリンパ球系細胞、マクロファージ、(Th1及びTh2細胞、CD4+及びCD8+細胞を含めた)T細胞の増殖の減少、病原菌又は抗原に対する免疫反応の抑制の場合の、拮抗薬としてのIL-31及びIL-31Cys突然変異体−抗体、IL-31及びIL-31Cys突然変異体、並びに可溶性zcytor17受容体ヘテロ二量体の使用に向けられる。そのうえ、zcytor17受容体の存在、及び活性化免疫細胞、例えば、活性化CD3+、単球、CD4+、及びCD19+細胞におけるIL-31の発現は、zcytor17受容体が外来性の異物:例えば、微生物や細胞破片に対する生体の免疫防衛反応に関与するかもしれず、そして、炎症及び癌形成中の免疫応答において役割を果たすだろうことを示した。そのようなものとして、zcytor17受容体機能に対して作動性及び拮抗性である本発明のIL-31及びIL-31Cys突然変異体、並びにIL-31抗体は、免疫応答及び炎症を調節するために使用できる。
そのうえ、zcytor17受容体ポリペプチドと結合するIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、並びにそれに対する抗体は、以下のことに有用である:
1)急性炎症、外傷、組織傷害、手術、敗血症又は感染の結果としての炎症、及び慢性炎症性疾患、例えば、喘息、炎症性腸疾患(BBD)、慢性結腸炎、脾腫、関節リウマチ、再発性急性炎症性症状の発現(例えば、結核)、及びアミロイドーシスとアテローム性動脈硬化の治療、カースルマン病、喘息、及び急性期反応の誘導に関連した他の疾患の治療における、zcytor17含有受容体によるシグナル伝達との拮抗又はその遮断。
2)zcytor17受容体による免疫細胞(例えば、リンパ球、単球、白血球)におけるシグナル伝達を妨げる又は抑制するための、自己免疫疾患、例えば、IDDM、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、関節リウマチ、及びIBDなどの治療におけるzcytor17受容体によるシグナル伝達との拮抗又はその遮断(Hughes Cら、J. Immunol. 153:3319-3325ページ、1994年)。あるいは、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する抗体、例えば、モノクローナル抗体(MAb)などは、自己免疫疾患を治療するための望ましくない免疫細胞を減少させる拮抗薬として使用できる。喘息、アレルギー、及び他のアトピー性疾患は、免疫応答を抑制するためにか、又は問題を起こす細胞を減少させるために、例えば、抗IL-31及びIL-31Cys 突然変異体抗体、可溶性zcytor17受容体可溶性受容体、又はzcytor17/CRF2-4へテロ二量体に対するMAbを用いて治療されるかもしれない。本発明のポリペプチド及び抗体を使用した、zcytor17を介したシグナル伝達の遮断又は抑制は、また、膵臓、腎臓、下垂体、及びニューロン細胞の疾患に有益になるかもしれない。IDDM、NIDDM、膵炎、及び膵臓癌は、利益を得るかもしれない。拮抗性MAbが癌増殖を抑制し、そして、免疫介在性殺滅を標的とする場合に、zcytor17は、癌のMAb療法のための標的としての役割を果たすかもしれない(Holliger, P及びHoogenboom, H:Nature Biotech. 16:1015-1016ページ、1998年)。可溶性zcytor17受容体単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、及び多量体に対するMabsは、また、ネフロパシー、例えば、糸球体硬化症、膜性ニューロパシー、(他の組織の中で腎臓にも影響を及ぼす)アミロイドーシス、腎動脈硬化症、様々な原因の糸球体腎炎、腎臓の線維増殖性疾患、並びにSLE、IDDE、II型糖尿病(NIDDM)、腎腫瘍に関連する腎機能障害、及び他の疾患などを治療するために有用であるかもしれない。
3)自己免疫疾患、例えば、IDDM、MS、SLE、重症筋無力症、関節リウマチ、及びIBDなどの治療におけるzcytor17受容体を介したシグナル伝達の作動(agonize)又は開始。IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、自己免疫を改善する、分化する、増殖を変更する、又はサイトカイン若しくは細胞表層タンパク質の産生を変えるようにリンパ球又は他の免疫細胞にシグナルを送るかもしれない。具体的には、サイトカイン分泌の代替パターンに対するTヘルパー細胞応答の調節が、疾患を改善するように自己免疫応答から逸脱するかもしれない(Smith JAら、J. Immunol. 160:4841-4849ページ、1998年)。同様に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、喘息、アレルギー、及びアトピー性疾患に関与する免疫細胞の、シグナル伝達、減少、及び逸脱に使用されるかもしれない。zcytor17受容体を介したシグナル伝達は、また、膵臓、腎臓、下垂体、及びニューロン細胞の疾患にも有益であるかもしれない。IDDM、NIDDM、膵炎、及び膵癌が、利益を得るかもしれない。zcytor17は、シグナル伝達MAbが癌増殖を抑制し、そして、免疫介在性殺滅を標的とする場合に、膵癌のMAb療法のための標的としての役割を果たすかもしれない(Tutt, ALら、J Immunol. 161:3175-3185ページ、1998年)。同様に、T細胞特異的白血病、リンパ腫、プラズマ細胞疾患(例えば、多発性骨髄腫)、及び癌腫は、本発明の可溶性受容体を含むzcytor17に対するモノクローナル抗体(例えば、中和抗体)によって治療されるかもしれない。
本明細書中に記載の、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、可溶性zcytor17受容体単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、及び多量体ポリペプチドは、本明細書中に記載のとおり、自己免疫疾患、アトピー性疾患、NIDDM、膵炎、及び腎機能障害の治療においてzcytor17受容体リガンド活性を中和するか、又は遮断するために使用できる。zcytor17受容体の可溶性形態は、T細胞によって媒介される抗体応答を促進するために、及び/又はリンパ球又は他の免疫細胞によるIL-4又は他のサイトカインの産生を促進するために使用できる。
抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体、並びに可溶性zcytor17含有受容体は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の拮抗薬として有用である。そのような拮抗効果は、直接的な中和、又はその天然リガンドの結合によって達成されるかもしれない。拮抗的用途に加えて、可溶性受容体は、体内の別の組織、臓器、及び細胞にIL-31及びIL-31Cys突然変異体を輸送するために、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に結合して、担体又は担体タンパク質としての役割を果たすかもしれない。そういうものとして、可溶性受容体は、可溶性の受容体−リガンド複合体を特定の部位、例えば、組織、特定の免疫細胞、単球、又は腫瘍に導く分子、ポリペプチド、又は化学部分と融合されるか又は結合されるかもしれない。例えば、急性感染又はいくつかの癌において、利益は炎症及び局所的な急性期応答タンパク質の誘導から生じるかもしれない。よって、本明細書中に記載の可溶性受容体、又は本発明の抗体は、炎症誘発性IL-31及びIL-31Cys突然変異体リガンドの作用を特異的に導くために使用されてもよい。Cosman, D.、Cytokine 5:95-106ページ、1993年;及びFernandez-Botran, R.、Exp. Opin. Invest. Drugs 9:497-513ページ、2000年を参照のこと。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体は、感染症に対する免疫力を高めるか、免疫低下患者、例えば、HIV+患者、癌患者などを治療するか、又はワクチンを改良するのに重要であるだろう免疫系を活性化することができる。特に、L-31及びIL-31Cys突然変異体の単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、又はそれらの前駆細胞の刺激又は増殖が、ウイルス感染の治療において、及び抗新生物性因子としての治療的価値を提供するだろう。同様に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体のウイルス及び(細菌、原生動物、及び真菌を含めた)非ウイルス病原体に対する免疫応答刺激は、そのような感染作用物質の増殖を抑制することによってそのような感染の治療における治療的価値を提供するだろう。体内に存在する病原菌又は抗原、例えば、腫瘍細胞などのレベルの直接的又は間接的な測定は、当該技術分野で知られている及び本明細書中に記載の多くの方法によって達成されることができる。
実験的証拠は、皮膚又は内側の上皮、例えば、大腸、小腸、膵臓、肺、前立腺、子宮などに関係する疾患の進行におけるIL-31の役割を示唆する。最初に、本明細書中に開示されるように、OSM受容体βとzcytor17の両方を含むzcytor17受容体は、肺上皮、肺線維芽細胞、前立腺、結腸、乳房、肝臓上皮、骨及び皮膚上皮、骨繊維芽細胞などに由来する細胞株を含めた上皮表面にあるいくつかの細胞型において発現される。そのうえ、本明細書中に開示されるように、これらの細胞型の各々からの実例は、また、STATレポーター構築物のIL-31活性化に対しても応答した。加えて、いくつかの細胞株が、本明細書中に記載のとおり、高レベルのIL-6、IL-8、MCP-1(走化性因子)を産生することによってIL-31刺激に応答した。全体として、これらのデータは、上皮に関係する疾患、例えば、アトピー性皮膚炎;皮膚炎;乾癬;乾癬性関節炎;湿疹;歯肉炎;歯周病;炎症性腸疾患(IBD)(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病);繁殖障害、例えば、子宮頚部異形成、子宮頚癌など;癌のような他の皮膚病:肉腫;癌腫;黒色腫など、すなわち、免疫系が癌の活性化/治癒に関係するので、単に炎症性疾患だけでもない;バリア機能障害を伴う疾患、例えば、移植片対宿主病(GVHD)及び過敏性腸管症候群(BBS)など;並びに肺上皮にかかわる疾患、例えば、喘息、肺気腫などにおけるIL-31及びIL-31Cys突然変異体の役割を示唆する。加えて、IL-31に晒された細胞によるサイトカイン、IL-6、IL-8、及びMCP-1の放出は、IL-31が炎症に関与することを示唆する。それ故に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の調節は、受容体を発現する組織に関連する自己免疫疾患、炎症性疾患、又は癌疾患の治療において有効であるかもしれない。これらの疾患には、例えば、前立腺炎、肝炎、変形性関節症などが含まれる。IL-31は、上方又は下方に直接的又は間接的にこれらの疾患を調節するかもしれない。それ故に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体の投与は、直接的に、あるいは、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体に対するモノクローナル抗体の両方、若しくはzcytor17に対するモノクローナル抗体、又はzcytor17とOSM受容体βの複合体を認識するモノクローナル抗体を含むIL-31及びIL-31Cys突然変異体の活性を抑制する分子と一緒に、本明細書中に記載の疾患を治療するために使用できる。
データは、また、IL-31がTH2 T細胞介在性疾患の調節に関与する可能性があることを示唆する。最初に、IL-31は、活性化T細胞のTH2サブセットによって作られる。TH2細胞は、TH1細胞と比べてより多くのIL-31を発現する。加えて、少なくとも2種類の肺上皮細胞系(SK-LU-1、A549)が、本明細書中に記載のとおり、zcyto17リガンド刺激に対応してIL13受容体α-2 mRNAを高めるように刺激された。IL-13受容体α2鎖と、ヒト乳腫瘍及び膵臓腫瘍の腫瘍原性との関連性が存在する。これは、IL-31及びIL-31Cys突然変異体がこれらのタイプの癌、及び他の癌の腫瘍原性の調節において役割を果たす可能性があることを示唆する。それ故に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬の投与、又はIL-31及びIL-31Cys突然変異体の直接使用は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、良性又は悪性の、そして、腫瘍成長の様々な悪性度(I〜IV度)及び病期(例えば、TNM又はAJC病期診断法)のこれらのタイプの癌の治療に有用である。
IL13が活性化TH2細胞の生成、及びTH2介在性疾患、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎などに関与することは、当該技術分野で周知である。IL-31及びIL-31Cys突然変異体、又はIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬は、TH2 T細胞が関与する疾患の治療に有用であるかもしれない。これには、疾患、例えば、アトピー性皮膚炎、喘息、並びに活性化TH2細胞によって悪化する他の疾患などが含まれるだろう。疾患、例えば、アトピー性皮膚炎などにおけるIL-31及びIL-31Cys突然変異体の関与は、また、IL-31及びIL-31Cys突然変異体を過剰発現する遺伝子導入マウスの表現型、並びに本明細書に記載のとおり、アトピー性皮膚炎の症状発症によっても裏付けられる。
TH2細胞によるIL-31の優先的発現にもかかわらず、TH1細胞及びCD8+T細胞においてIL-31の発現がまだいくらかある。それ故に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体又はその拮抗薬は、例えば、ウイルス感染、癌、移植片拒絶反応などを含めた活性化T細胞の免疫調節に関係する疾患の治療において有用であるかもしれない。
IL-31は、また、癌の発生に関与するかもしれない。ヒト骨繊維芽細胞骨肉腫、ヒト皮膚線維芽細胞黒色腫、結腸上皮性癌腫、腺癌、乳房上皮性腺癌、前立腺上皮性腺肉腫、並びに肺上皮性腺癌及び癌腫においてzcytor17及びOSM受容体β受容体の発現がある。それ故に、IL-31及びIL-31Cys突然変異体、その断片、又はIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬を用いて、これだけに制限されることなく、癌腫、腺癌、及び黒色腫を含めた上皮起源の腫瘍を治療することは、有用であるかもしれない。IL-31及びIL-31Cys突然変異体、又はIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬は、これだけに制限されることなく、扁平上皮細胞又は類表皮癌、基底細胞腺癌、腺癌、乳頭状癌、嚢胞腺癌、気管支癌、気管支腺腫、黒色腫、腎細胞癌、肝細胞癌、遊走細胞癌、絨毛膜癌、セミノーマ、胎生期癌、唾液腺起源の悪性混合腫瘍、ウィルムス腫瘍、未熟型異常腫、異常癌、及び少なくともいくつかの上皮起源の細胞を含む他の腫瘍を含めた癌からの、癌を治療するため、又は癌の1つ以上症状を軽減するために使用できる。
一般に、投与されるIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド(又は、zcytor17類似体又は融合タンパク質)の投薬量は、患者の年齢、体重、伸長、性別、全般的な病状、及び過去の病歴といった要因によって異なる。通常は、約1pg/kg〜10mg/kg(作用物質の量/患者の体重)の範囲内にあるIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの投与量を受容者に提供することが望ましいが、指示に応じて、より低い又はより高い投与量も投与されるかもしれない。当業者は、当該技術分野で知られている方法を使用して、そのような投与量を容易に決定し、且つ、それに調節することができる。
対象へのIL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドの投与は、局所カテーテルを通した潅流によるか、又は直接的な病巣内注入による、局部的、吸入、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜内、くも膜下腔内であるかもしれない。注射によって治療用タンパク質を投与する時、投与は、連続点滴によって、又は単回若しくは複数回ボーラスによってであってもよい。
投与のさらなる経路には、経口、粘膜、肺、及び経皮が含まれる。経口デリバリーは、ポリエステル・ミクロスフェア、ゼイン・ミクロスフェア、プロテイノイド・ミクロスフェア、ポリシアノアクリレート・ミクロスフェア、及び脂質ベースのシステムに好適である(例えば、DiBase及びMorrel、"Oral Delivery of Microencapsulated Proteins," in Protein Delivery:Physical Systems、Sanders及びHendren(編)、255-288ページ(Plenum Press 1997年)を参照のこと)。鼻腔内デリバリーの実現可能性は、インシュリン投与のそのような様式によって例示される(例えば、Hinchcliffe及びIllum、Adv. Drug Deliv. Rev. 35:199ページ(1999年)を参照のこと)。IL-31及びIL-31Cys突然変異体を含む乾燥性又は液体粒子が調製され、そして、乾燥粉末分散機、液体エアゾール発生装置、又は噴霧装置の助けで吸入されるかもしれない(例えば、Pettit及びGombotz, TIBTECH 16:343ページ(1998年);Pattonら、Adv. Drug Deliv. Rev. 35:235ページ(1999年))。このアプローチは、AERX糖尿病管理システムによって例証されており、それは、エアゾール化されたインスリンを肺にデリバリーする手持ちの電子化吸入器である。研究は、48,000kDaの大きさのタンパク質が低周波超音波の助けで治療濃度にて皮膚を越えてデリバリーされ、経皮投与の実現可能性を例証したことを示した(Mitragotriら、Science 269:850ページ(1995年))。エレクトロポレーションを使用した経皮デリバリーは、IL-31及びIL-31Cys突然変異体結合活性を有する分子を投与するための他の手段を提供する(Pottsら、Pharm. Biotechnol. 10:213ページ(1997年))。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体結合活性を有するタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む医薬組成物は、医薬として有用な組成物を調製するための既知の方法に従って処方されることができ、それによって、上記治療用タンパク質が医薬として許容される担体との混合物中に混ぜ合わせられる。組成物は、その投与が受容患者によって許容されうる場合、「医薬として許容される担体」であると言われる。無菌リン酸緩衝食塩水は、医薬として許容される担体の1つの実例である。他の好適な担体は、当業者にとって周知である。例えば、Gennaro(編)、Remington's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company 1995年)を参照のこと。
療法の目的のために、IL-31及びIL-31Cys突然変異体結合活性を有する分子、及び医薬として許容される担体が、治療的有効量で患者に投与される。IL-31及びIL-31Cys突然変異体結合活性を有するタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドと、医薬として許容される担体の組合せ物は、投与された量が生理学的に有効である場合に、「治療的有効量」で投与されたと言われる。作用物質は、その存在が受容患者の生理に検出可能な変化をもたらす場合に、生理学的に有効である。例えば、炎症を治療するために使用される作用物質は、その存在が炎症応答の少なくとも一部を緩和する場合に、生理的に有効である。
IL-31及びIL-31Cys突然変異体(又は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体類似体若しくは融合タンパク質)を含む医薬組成物は、液体形態、エアゾール、又は固体形態で提供されるかもしれない。液体形態は、注射液、エアゾール、液滴、トポロジカル溶液、及び経口懸濁液によって説明される。代表的な固体形態には、カプセル、錠剤、及び放出制御形態が含まれる。後者の形態は、小型浸透圧ポンプ及び移植片によって説明される(Bremerら、Pharm. Biotechnol. 10:239ページ(1997年);Ranade、"Implants in Drug Delivery," in Drug Delivery Systems、Ranade及びHollinger(編)、95-123ページ(CRC Press 1995年);Bremerら、"Protein Delivery with Infusion Pumps," in Protein Delivery:Physical Systems、Sanders及びHendren(編)、239-254ページ(Plenum Press 1997年);Yeweyら、"Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant," in Protein Delivery:Physical Systems、Sanders及びHendren(編)、93-117ページ(Plenum Press 1997年))。他の固体形態には、クリーム、軟膏、他のトポロジカル使用などが含まれる。
本発明は、また、先に議論したとおり、ポリペプチドが重合体と連結される、IL-31及びIL-31Cys突然変異体活性を有する化学修飾ポリペプチド、例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、IL-31及びIL-31Cys突然変異体作動薬、IL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬、例えば、抗IL-31及びIL-31Cys突然変異体抗体も意図する。
他の投与形態は、例えば、Ansel及びPopovich、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第5版(Lea & Febiger 1990年)、Gennaro(編)、Remington's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company 1995年)によって、及びRanade及びHollinger、Drug Delivery Systems(CRC Press 1996年)によって示されているように、当業者によって考え出されるかもしれない。
例として、医薬組成物は、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチド、又はIL-31及びIL-31Cys突然変異体拮抗薬(例えば、IL-31及びIL-31Cys突然変異体ポリペプチドと結合する抗体又は抗体断片)を含む格納容器を含めたキットとして提供されるかもしれない。治療用ポリペプチドは、単回若しくは複数回用量のための注射液の形態か、又は注射前に再構成される無菌散剤として提供されるかもしれない。あるいは、前述のキットは、治療用ポリペプチドの投与のための乾燥粉末分散機、液体エアゾール発生装置、又はネブライザを含むかもしれない。前述のキットは、医薬組成物に関する指示及び使用法に対する書面情報を更に含むかもしれない。そのうえ、そのような情報には、IL-31及びIL-31Cys突然変異体組成物がIL-31及びIL-31Cys突然変異体に対する知られている過敏症を有する患者において禁忌が示されるという記載が含まれるかもしれない。
本発明は、以下の限定されることのない実施例によって更に例証される。
実施例1
IL-31-CEEの哺乳動物発現ベクターの構築
A.ヒトIL-31-CEE/pZMP21の構築
zcytor17lig-CEEを含む発現プラスミドを、zcytor17lig-CEEのDNA断片(配列番号31)と発現ベクターpZMP21を使用した相同組み換えにより構築した。断片を、プライマーZC41607(配列番号32)とZC41605(配列番号33)を使用したPCR増幅によって作り出した。
PCR断片zcytor17lig-CEEは、zcytor17ligコード領域を含み、それは、鋳型として、先に作り出されたzcytor17ligのクローンを使用して作られた。断片には、pZMP21ベクター配列を持つ5’オーバーラップ、zcytor17lig断片、EEタグ、及びpZMP21ベクター配列を持つ3’オーバーラップが含まれる。使用されるPCR条件は、以下のとおりであった:1サイクル、94℃、5分間;35サイクル、94℃、1分間、続いて55℃、2分間、続いて72℃、3分間;1サイクル、72℃、10分間。
PCR反応混合物を、1%のアガロースゲルに泳動し、そして、挿入物のサイズに相当するバンドを、QIAquick(商標)Gel Extraction Kit(Qiagen、カタログ番号28704)を使用してゲル抽出した。
プラスミドpZMP21は、MPSVプロモーター、コード配列の挿入のための複数の制限部位、及びotPAシグナル・ペプチド配列を持つ発現カセット;ポリオウイルスからの内部リボソーム侵入部位(IRES)要素、及び膜貫通ドメインのC末端にて切断されたCD8の細胞外ドメイン;E.コリの複製開始点;SV40プロモーター、エンハンサー、及び複製開始点、DHFRの遺伝子、並びにSV40ターミネーターを含む哺乳動物選択マーカー発現単位;S.セレビシエにおける選択及び複製に必要とされるURA3及びCEN-ARS配列を含む哺乳動物用の発現ベクターである。pZMP21は、米国特許公開番号第20030232414 A1に記載されており、そして、ATCC番号PTA-5266に指定されてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託されている。
PCR断片と一緒に酵母内に組み換える前に、プラスミドpZMP21をBglIIで切断した。100マイクロリットルのコンピテント酵母(S.セレビシエ)細胞を、10μlの挿入DNAと100ngの切断pZMP21ベクターと別個に合わせ、そして、その混合物を0.2cmのエレクトロポレーション・キュベットに移した。酵母/DNA混合物を、0.75kV(5kV/cm)、∞オーム、及び25μFに設定した電源(BioRad Laboratories、Hercules, CA)を使用して電気パルス処理した。600μlの1.2Mソルビトールをキュベットに加え、そして、酵母を、100μlと300μlのアリコートで2枚のURA-Dプレート上に蒔き、そして、30℃でインキューベートした。約72時間後に、1枚のプレートからのUra+酵母形質転換体を、1mlのH2O中に再懸濁し、そして、酵母細胞をペレットにするために短時間、遠心分離した。細胞ペレットを、0.5mlの溶解バッファー(2%のTriton X-100、1%のSDS、100mMのNaCl、10mMのTris、pH8.0、1mMのEDTA)中に再懸濁した。500マイクロリットルの溶解混合物を、250μlの酸洗浄ガラスビーズと300μlのフェノール−クロロホルムを含むエッペンドルフ・チューブに加え、3分間、ボルテックスで処理し、そして、エッペンドルフ遠心分離機により最高速度で5分間、遠心分離した。300マイクロリットルの水相を、新しいチューブに移し、そして、DNAを600μlのエタノール(EtOH)とそれに続く最高速度で30分間の遠心分離で沈殿させた。チューブの上清を静かに捨て、そして、ペレットを1mLの70%エタノールで洗浄した。チューブの上清を静かに捨て、そして、DNAペレットを30μlのTE中に再懸濁した。
エレクトロコンピテントE.コリ宿主細胞(DH12S)の形質変換を、5μlの酵母DNA調製物と50μlの細胞を使用しておこなった。細胞を、2.0kV、25μF、及び400オームにて電気パルス処理した。エレクトロポレーションに続いて、1mlのSOC(2%のBacto(商標)Tryptone(Difco、Detroit, MI)、0.5%の酵母抽出物(Difco)、10mMのNaCl、2.5mMのKCl、10mMのMgCl2、10mMのMgSO4、20mMのグルコース)を加え、次に、細胞を、50μlと200μlのアリコートで2枚のLB AMPプレート(LBブロス(Lerniox)、1.8%のBacto(商標)Agar(Difco)、100mg/Lのアンピシリン)上に蒔いた。
構築物について3つのクローンの挿入物を配列分析にかけ、そして、各構築物について正しい配列を含んでいる1つのクローンを選択した。より大量のプラスミドDNAを、製造業者の取扱説明書に従って市販のキット(QIAGEN Plasmid Mega Kit、Qiagen, Valencia, CA)を使用して分離した。
B.マウスIL-31-CEE/pZMP21の構築
マウスzcytor17lig-CEEを含む発現プラスミドを、マウスzcytor17lig-CEEのDNA断片(配列番号34)を発現ベクターpZMP21と一緒に使用したことを除いて、同じ様式で構築した。プライマーZC41643(配列番号35)とZC41641(配列番号36)を使用したPCR増幅によって、断片を作り出した。PCR及びクローニング条件は、ヒト構築物に関するものと同じであった。
実施例2
ヒト及びマウスIL-31-CBEのトランスフェクションと発現
ヒト及びマウスzcytor17lig-CEEタンパク質を、ヒト又はマウスzcytor17lig-CEE/pZMP21(実施例1)でトランスフェクトしたBHK細胞により作り出した。BHK570細胞(ATCC CRL-10314)を、T75組織培養フラスコ内に蒔き、そして、成長培地(SL7V4、3%のFBS、1%のpen/strep)中、37℃、5%のCO2にて、約50〜70%コンフルエントまで増殖させた。そして、細胞を、無血清(SF)培地(SL7V4)中、(Lipofectamine(商標);Life Technologiesを使用した)リポソーム介在トランスフェクションによって、ヒト又はマウスzcytor17Lig-CEE/pZMP21でトランスフェクトした。プラスミド(16μg)を、1.5mlチューブ内、SF培地で640μlの総終量に希釈した。35μlの脂質混合物を605μlのSF培地と混合し、そして、得られた混合物を室温で約15分間インキューベートした。次に、5mlのSF培地をDNA:脂質混合物に加えた。細胞を、10mlのPBSで1度すすぎ、PBSを静かに捨て、そして、DNA:脂質混合物を加えた。細胞を、37℃で5時間インキューベートし、次に、15mlの培地(SL7V4、3%のFBS、1%のpen/strep)を各プレートに加えた。プレートを37℃で一晩インキューベートし、そして、翌日、DNA:脂質培地混合物を選択培地(SL7V4、3%のFBS、1%のpen/strep、1μMのメトトレキサート)に置き換えた。トランスフェクションの約10日後に、T75トランスフェクション・フラスコからのメトトレキセート抵抗性コロニーをトリプシン処理し、そして、その細胞をためて、T-162フラスコ内に蒔いて、大量培養に移した。
実施例3
BHKからのヒトIL-31-CEEの精製
樹脂を沈殿させ、上清を静かに捨て、そして、等量のPBSを加えることによって、500mlの樹脂を平衡化する。次に、その樹脂を、そっとスラリー化し、活栓を取り付けたBioRadのガラス・エコノ−カラムに移し、そして、再び沈殿させる。このステップを3回繰り返す。そして、4樹脂容量の200mM TEA、pH8.2、1CVを用いて上述のとおり同じ様式で1回、洗浄することによって、抗EE抗体を結合するために樹脂を調製する。次に、調製した樹脂を、ローラーボトルに移し、そして、抗EE抗体を加える。得られたスラリーが濃すぎるようであれば、200mM TEA、pH8.2を、樹脂対液体で1:1の比まで加える。バッチを、ゆっくり回転させながら、4℃で一晩、結合させる。
結合した樹脂の架橋を室温又は4℃で実施することができる。スラリーを、活栓を取り付けた適切な大きさのガラス・エコノ−カラムに移す。非結合材料を、重力流により集める。樹脂を、2CVの200mM TEA、pH8.2で洗浄し、適切な容器内に集める。樹脂を、ローラーボトルに戻し、SDS-PAGEにより結合効率を分析する場合には、50μLを取り出す。100mLの200mM TEA、pH8.2中に18gのDMPを溶かし、そして、それを樹脂が入っているローラーボトルにすぐに加えることによって、36mgのDMPを1mLの樹脂に架橋処理する。スラリーが濃い場合、200mM TEA、pH8.2を、樹脂対液体で1:1の比まで加える。このボトルを、室温で少なくとも1時間、又は、4℃で一晩、保持する。
スラリーをガラス・カラムに戻し、そして、2CVの20mMエタノール・アミン、200mM TEA、pH8.2、次に、4CVのPBSで洗浄することによって、架橋反応を終結させる。使用した抗体の量を知ることによって、結合効率を3つの方法:標準として精製抗体を使用したSDS-PAGEゲルの濃度測定、RP-HPLC、又は1.44の吸光係数を使用したUV-Vis、により測定することができる。
親和性樹脂を、0.05%のアジ化ナトリウム(短期間)又は20%のエタノール(長期間)を含むPBS中に保存する。保存を4℃にておこなう。
親和性捕獲クロマトグラフィーを、以下のとおり実施する:取り出された培地を抗EE親和性樹脂上で捕獲し、そして、生理的条件においてEEペプチドを使用した競合によって溶出する。非特異的混入物を溶出するために、低pH洗浄を利用する。カラムを流れ落ちる最大圧力は、1Mpaを超えてはならない。
クロマトグラフィーのパラメーターは、以下のとおりである:175mLの抗EE親和性樹脂をWaters AP-5x200ガラス・カラム内に充填する。システムは、Akta Explorer Workstationである。平衡バッファー(A)は、50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、120mM NaCl、pH7.2である。溶出バッファー(B)は、50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、0.28mg/mL EEペプチド、120mM NaCl、pH7.2である。洗浄バッファー(C)は:0.1M グリシン、pH3.0である。洗浄バッファー(D)は、50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、600mM NaCl、pH7.2である。温度は4℃である。流れの方向は下向きである。流速は、25cm/時間にて添加、15.3cm/時間にて溶出、61.1cm/時間にて洗浄である。215nmと280nmの波長が観察される。UV平均化時間は0.1秒である。画分サイズは25mlである。
カラムを、浄化し、そして、1CVの洗浄バッファーC、続いて1CVの洗浄バッファーDでカラムを洗浄することによって培地を添加する前に洗浄し、そして次に、バッファーAで平衡化する。培地を、カラム上に添加し、続いてカラムを10CVにわたりバッファーA(平衡バッファー)を使用して洗浄する。
溶出は、EEペプチドを使用した競合により:2カラム容量(CV)の溶出バッファーB、2CVのバッファーA、そして、それぞれの1CVのバッファーC及びバッファーDで浄化した。カラムを、2CVのバッファーAで再生した。
抗EE親和性カラムからの溶出液プールを、サイズ排除カラム(10mL)の3%未満の容量まで濃縮する。
濃度パラメーターは、以下のとおりである:システムは、Millipore Stirred Ultrafiltration Cell 8200である。膜はYM 10 63.5mmである。膜MWCOは、10kDaである。フィード圧は50〜55psi(約35154〜38669kgf/m2)である。
前記システムを、製造業者の取扱説明書に従って設定する。50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、109mM NaCl、pH7.3を、5〜10分間、システムを通過させる。あらゆる残留溶液を流れ出させる。
Superdex(商標)75プールを、リザーバに注ぎ入れ、そして、<10mLまで濃縮する。
濃縮物を、ピペットを使用して吸出し、そして、2mLの50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、109mM NaCl、pH7.3で膜を洗浄する。
追跡溶液を、10mLの濃縮物総量を超えないように濃縮物に加える。撹拌セルを、DI水で洗浄し、次に、一晩、0.5M NaOHに浸す。次に、ユニットを、DI水で徹底的に洗浄し、そして、20% エタノール中に保存した。
濃縮した親和性プールを、Superdex(商標)75調製用カラム上に注入する。注入は、カラム容量の3%を超えることはない。流れは、zcytor17lig CEEのバルクから重い混入物を分離し、且つ、精製された標的を現在の製剤バッファーにバッファー交換する。一方が非常に純粋なzcytor17lig CEEであり、もう一方が多少純粋ではない、2つのプールが作り出される。この純粋ではないプールを、再濃縮し、そして、再注入して、混入物をより十分に分離し、そして、得られた生成物を、最初の非常に純粋なzcytor17lig CEEに加えて、最終生成物を得る。
クロマトグラフィー・パラメータは、以下のとおりである。カラムは、318mL Superdex(商標)75 Prep Gradeカラム26/60である。システムは、Akta Explorerである。溶出バッファーは、50mM NaPO4(70:30 二塩基性:一塩基性)、109mM NaCl、pH7.3である。温度は4℃である。流れの方向は下向きである。流速は30.6cm/時間である。注入容量は<10mLである。215nmと280nmの波長が観察される。UV平均化時間は0.1秒である。画分サイズは2.5mLである。
1.5CVの溶出バッファーを使用した定組成溶離をにより、指定した流速にて、親和性濃縮物を、カラム上のループから成る10mL容Superloop Injection内に添加する。
プールしたものを、銀染色したSDS-PAGEゲルにより測定した。通常、一方が非常に純粋な生成物であるのに対して、もう一方が多少純粋ではない、2つのプールが作り出される。この純粋ではない生成物を、2回目の精製ステップ4及び5を受けさせて、可能な最高の純度を生み出す。カラムを、それぞれ2CVの0.5M NaOH、0.5M Tris、pH7.0、及び0.02% NaN3を含む溶出バッファーの30cm/時間の上昇流により浄化する。
必要に応じて、Superdex(商標)75カラムからの溶出液プールを、1mg/mLまで濃縮する。前記プールが、すでに、RP-HPLC又はBCAによって1mg/mLである場合、次に、殺菌及び特徴付けをすぐに開始する。
濃度パラメーターは、以下のとおりである。システムは、Millipore Amicon Ultra Deviceである。膜は、Ultracel Regenerated Celluloseである。膜MWCOは10kDaである。デバイス・サイズは15mlである。遠心分離スピードは3000rpmである。温度は4℃である。
Superdex(商標)75プールを、デバイスに加え、蓋をし、そして、10分間隔で遠心する。所望の容量に達するまでプールを加えて、1mg/mLの溶液を作る。タンパク質濃度の測定は、RP-HPLC分析、BCA、又はA280nm UV-Visにより達成される。
精製したzcytor17lig CEEを、無菌条件下、0.2μmの濾過にかける。濾過するとすぐに、アリコートを、タンパク質を特徴付けするのに使用される様々な分析的な、インビトロにおけるアッセイのために抜き取る。この間、バルク・タンパク質を−80℃で冷凍する。
この手順に従って、ヒトIL-31 CEEは、タンパク質Gセファロース1mLあたり3.71〜4.0mgの抗EE結合をもたらす、42%の最終的な回収があった。
実施例4
マウスIL-31 CEEのトランスフェクションと発現
Zcytor17ligm-CEEを、哺乳動物BHK 570発現系を使用して精製して、生物学的研究のための被験物質を提供する。精製中、捕獲ステップ後にサイズ排除クロマトグラフィーを使用してモノマーから分離される多量の凝集体が存在していた。最終調製物を高度にグリコシル化し、そして、クマシーSDS-PAGEにより目に見える2つの優性グリコシル化形態を持った。
合計117mgのzcytor17ligm-CEEを、75LのBHK570発現ファクトリーから精製した。
全ての精製ステップを4℃で実施した。
5つの集菌物を、別々に添加し、そして、捕獲ステップから溶出した。
ファクトリーからの15リットルの集菌物を、7mM リン酸Na、pH7.3、1.5mM KH2PO4、2mM KCl、140mM NaClで平衡化した抗EE-CNBR-セファロースFF上に直接添加した。50mlのカラム寸法は、20mmD×160mmLであった。集菌物を、3.9〜5.9mL/分の流速で添加した。タンパク質を、0.1M酢酸、0.5M NaCl、pH3を使用して10mL/分の流速でステップ溶出した。画分を、2M Tris、pH8ですぐに中和した。zcytor17ligm-CEEのプールを、A280nmピークによって測定した。少量のプールを、RP-HPLC、SDS-PAGE、及びウエスタンによりアッセイした。そして、次の4つの集菌物を親和性ステップで捕獲するまで、前記プールを冷凍した。
最後の集菌物をデリバリーし、zcytor17ligm-CEEを捕獲し、そして、親和性カラムから溶出した後に、全てのプールを解凍し、そして、合わせた。
次に、混合した溶出液プールを、Amicon Stirred Cellにより5000 MWCOポリエーテルスルホン・フイルターを使用して38倍の総濃度に濃縮した。
濃縮物を、Superdex 75のための2つの別々の添加物に分割した。カラム容量は180mLであり、寸法=16mmD×900mmLであった。カラムを、7.0mM Na2H2PO4、pH7.3、1.5mM KH2PO4、2mM KCl、140mM NaClで平衡化した。流速は1mL/分であった。クマシーSDS-PAGE及びウエスタン・データに基づいて画分を集め、47mLの最終的なプールになった。このプールを、濾過滅菌し、アリコートに分けた。
実施例5
IL-31のためのE.コリ発現ベクターの構築
A.IL-31システイン突然変異体:ヒトIL-31 C108S/pTAP433の構築
ヒトIL-31 C108S発現構築物を、以下のとおり作り出した。天然のIL31配列の最初の350塩基を、鋳型としてpTAP433、並びにオリゴヌクレオチド・プライマーzc43,156(配列番号37)及びzc45,307(配列番号38)を使用したPCR増幅によって作り出した。第302〜421塩基の領域を、鋳型としてpTAP433、並びにオリゴヌクレオチド・プライマーzc43,137(配列番号39)及びzc45,306(配列番号40)を使用したPCR増幅によって作り出した。PCR条件は以下のとおりであった:94℃にて30秒間、50℃にて30秒間、及び72℃にて1分間で25サイクル;続いて4℃にて浸漬する。これらの2つのDNA断片を、一緒に混合し、そして、2倍量の無水エタノールで沈殿させた。ペレットを、10μLのH2O中に再懸濁し、そして、Sma1切断した受容ベクター、pTAP238内への再結合に使用して、ヒトIL31 C108Sをコードする構築物を製造した。得られたクローンをpCHAN7と表す。それらを、NotIで消化し(10μlのDNA、5μlのバッファー 3 New England BioLabs、2μLのNotI、33μLのH2O、37℃で1時間)、そして、T4 DNAリガーゼ・バッファーにより再連結した(7μLの先の消化物、2μLの5×バッファー、1μlのT4 DNAリガーゼ)。ベクターを簡素化するために、このステップで、酵母配列、CEN-ARSを取り除いた。DNAのアリコートを、PvuIIとPstIで消化して、酵母配列の不存在を確認した。ヒトIL31 C108S発現構築物を、E.コリ株W3110内に形質転換した。ヒトIL-31 C108Sシステイン突然変異体のポリヌクレオチド配列を、配列番号41に示す。対応するポリペプチド配列を、配列番号42に示す。
B.IL-31システイン突然変異体:マウスIL-31 C108S/pTAP433の構築
マウスIL-31 C108S発現構築物を、以下のとおり作り出した。天然のIL31配列の最初の350塩基を、鋳型としてpTAP433、並びにオリゴヌクレオチド・プライマーzc43,883(配列番号43)及びzc45,302(配列番号44)を使用したPCR増幅によって作り出した。第302〜406塩基の領域を、鋳型としてpTAP433、並びにオリゴヌクレオチド・プライマーzc43,875(配列番号45)及びzc45,303(配列番号46)を使用したPCR増幅によって作り出した。PCR条件は以下のとおりであった: 94℃にて30秒間、50℃にて30秒間、及び72℃にて1分間で25サイクル;続いて4℃にて浸漬する。これらの2つのDNA断片を、一緒に混合し、そして、2倍量の無水エタノールで沈殿させた。ペレットを、10μLのH2O中に再懸濁し、そして、Sma1切断した受容ベクター、pTAP238内への再結合に使用して、マウスIL31 C108Sをコードする構築物を製造した。得られたクローンをpCHAN8と表す。それらを、NotIで消化し(10μlのDNA、5μlのバッファー 3 New England BioLabs、2μLのNotI、33μLのH2O、37℃で1時間)、そして、T4 DNAリガーゼ・バッファーにより再連結した(7μLの先の消化物、2μLの5×バッファー、1μlのT4 DNAリガーゼ)。ベクターを簡素化するために、このステップで、酵母配列、CEN-ARSを取り除いた。DNAのアリコートを、PvuIIとPstIで消化して、酵母配列の不存在を確認した。マウスIL31 C108S発現構築物を、E.コリ株W3110内に形質転換した。マウスIL-31 C108Sシステイン突然変異体のポリヌクレオチド配列を、配列番号47に示す。対応するポリペプチド配列を、配列番号48に示す。
実施例6
E.コリにおける発現に続くヒトIL-31リガンドの再折り畳みと精製
ヒトIL-31ポリヌクレオチドでトランスフェクトしたE.コリ細胞を、ビーカ内で解凍し、そして、細胞の質重量1グラムあたり4mlの氷冷溶解バッファーを加える。アイスバケット内の氷上にビーカを置くことによって、細胞を冷やしておく。
全ての塊が破壊されるまで、ポリトロン組織粉砕ホモジナイザを使用して、細胞を均質化し、次に、細胞懸濁液を4℃に冷やし続けながら、8500〜9000psi(5976〜6328tf/m2)にてAPV2000を2回、通過させて溶解させる。全細胞の溶解液のアリコートをSDS-PAGEのために確保しておく。超音波ホモジナイザを使用した50%のデューティサイクル(オンで5秒間、オフで5秒間)を用いて、全出力にて5分間、超音波処理することによって、又はAPVを3回、通過させることによって、懸濁液の粘性を下げる。溶解した細胞懸濁液を、4℃にて22,000×gで30分間の遠心分離によって(Beckman J2-21M遠心分離機によるJA-14ローターにて12,000rpm)、沈殿させる。壊れていない細胞、大きな細胞残屑、及び封入体タンパク質を、遠心分離によってペレットにする。
上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨てる。組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、細胞湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファーで懸濁する。ペレットの完全な均質化は、可溶タンパク質及び細胞成分を洗い落とすために重要である。細胞壁及び外膜物質の除去は、洗浄溶液の量を細胞1グラムあたり10mlに増やすことによって改善できる。
懸濁液を、4℃にて、22,000×g(JA-14において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。上清を捨て、そして、組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、細胞の湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファー中に懸濁する。このステップを、もう2回、繰り返す。上清がそれでも濁っているか又は色付いている場合、上清が透明になるまで、洗浄を続ける。湿細胞1グラムあたり4〜6mlのバッファーを使用して、ペレットを、尿素を除いた洗浄バッファー中に懸濁する。4℃にて22,000×g((JA-14ローター)において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。必要に応じて、洗浄ペレットを−80℃で保存してもよい。
組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、グアニジンHCl含有抽出バッファーで懸濁する。抽出物をゲル濾過に供する場合、最初の細胞の湿重量1グラムあたり0.5〜1.0mlのバッファーを使用する。抽出物をタンパク質折り畳み手順に使用する場合、2〜4mlのバッファーを使用する。このステップを、室温で実施し、次に、4℃で一晩、ゆるやかにかき混ぜる。懸濁液を、4℃にて35,000×gで1時間、遠心分離する。上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、そして、0.45umのフィルターを通して濾過する。沈殿させた封入体抽出物を、折り畳まれたタンパク質を調製するために使用する。必要になるまで、抽出物を−80℃にて保存してもよい。
封入体を、以下のバッファー:pH8.2(室温pH)にて、0.75Mアルギニン、PEG3350 0.055%(w/v);10.56mM NaCl;0.44mM KCl;2.2mM MgCl2;2.2mM CaCl2;0.055M Tris中に希釈する。再折り畳みバッファー中の酸化還元対と濃度は、以下のとおりである:[GSH]=1mM:[GSSG]=0.1mM。酸化還元対を、可溶化した封入体の希釈直前にバッファーに加える。18mlの可溶性封入体12mg/ml(RP-HPLCアッセイによる)を、激しく撹拌しながら、2250mlの上記再び折り畳みバッファーに、室温にて滴下して加える。再折り畳み中の標的タンパク質終濃度は、0.10mg/mlである。希釈に続いて、容器に蓋をし、そして、室温で16時間、緩やかに撹拌する。この時点で、RP-HPLCアッセイは、ほぼ等量の2つの鋭いピークを示す。最も早い溶出ピークは遊離CysのS-グルタチオン付加化合物(天然配列の異常なシステイン残基)である。同様の領域の次のピークは、遊離Cys部分である。25mMまでの酢酸の添加、及びpH5.2まで下げるpH滴定により、反応をクエンチする。再折り畳み反応は、ここで、生成物のHIC捕獲のための準備ができた。クエンチし、そして、滴定した再折り畳み媒体を、生成物捕獲のためのブチルHICカラムへの添加前に0.45ミクロン(0.45μm)濾過を通過させた。
クエンチした再折り畳み反応物(pH5.5)を、0.45ミクロン(0.45μm)濾過した。濾過した調製物の全部を、希釈剤としてのpH5.2の2M (NH42SO4;25mM酢酸と共にインライン配合により(室温の過程)、30ml/分でToso Haas Butyl 650-Mのベッド(直径2cm、23mlのベッド)に供給した。配合比は、(0.75M (NH42SO4の名目上の供給濃度をデリバリーするために)62.5%の再折り畳み反応物対37.5%の希釈剤である。操作パラメーター下、添加中に、標的は通過しなかった。カラムを、(pH5.2の0.75M (NH42SO4;25mM 酢酸をデリバリーするための)62.5%の25mM 酢酸:37.5%の2M (NH42SO4;25mM 酢酸を用いて、ベースラインまで洗浄した。洗浄が完了した時点で、洗浄条件からpH5.2の25mM 酢酸;25mM MOPS;25mM ホウ酸(「マルチバッファー」)への3CVのグラジエントを開始する。低イオン強度へのこの変換中に、わずかなタンパク質がHICマトリックスから溶出する。さらに5CVの洗浄後に、(10CVにわたって)pH上昇グラジエントを、pH5.2の「マルチバッファー」と、pH8.65の同じ「マルチバッファー」の間で形成する。この上昇pHグラジエント中、標的タンパク質は、〜pH6.2にて生じる最大値と、それに続くより高いpHにおけるテーリング画分中のわずかな隆起のある溶出をする。SDS-PAGE分析によって、溶出物質は、単量体であり、そして、還元と非還元SDS-PAGEサンプルを比較すると、移動度シフトを示した。後者の画分(テーリング隆起)は、プールした単量体画分から排除されるいくつかの高次多量体を呈する。
HICプールを、20mM Trisに調整し、そして、pHを7.8に調整する。これにより、調節した材料を、8ml/分にてPoros HQ50陰イオン交換ベッド(直径1cm、14mlの容量)に直接添加する。カラムを、pH7.8の20mM Tris(バッファーA)で平衡化する。カラム流出液のRP-HPLCアッセイによって測定されるように、これらの条件下、標的タンパク質は通過しなかった。添加が完了した後に、ベッドを、10CVの平衡バッファーで洗浄し、その後、平衡バッファー(バッファーA)と、0.5M NaClを含む同じバッファー(バッファーB)の間で(20CVにわたって厳密に0%から60%のBへと)形成された20CVのグラジエントを開始する。このグラジエントのごく初期に、鋭い左右対称のピークが溶出し、大きなブロード・ピークが続いた。SDS-PAGE及びHPLC分析によると、最初のピークが単量体形態であり、2番目のピークが大部分の二量体及び高分子量種を含む。各ピークのタンパク質を、別々にプールし、そして、SECカラム・ステップへの適用のために濃縮する。
AIEXプールのそれぞれを、濃縮し、そして、pH7.0の50mM リン酸Na;109mM NaClで平衡化したSuperdex 75の120mlベッド(直径1.6cm)に注入した。AIEXピーク1適用のSEC特徴は、0.6〜0.7CVで溶出した左右対称のピークとなり、且つ、SDS-PAGE分析によると単量体であるいくつかのプレ主要ピーク吸光度を示す。ADEXピーク2適用のSEC特徴は、0.4〜0.6CVで溶出し、そして、二量体、並びに高分子量種を含む。AIEXプール1の適用からの溶出物を、0.6〜0.7CVでプールする。この物質は、最終生成物のSDS-PAGEクマシー染色ゲルで見られるように、優性単量体EL31hリガンドである。ピーク画分を、プールし;0.2ミクロン(0.2μm)無菌濾過し、そして、4℃で2日間のように保存した後に、アリコートに分け、そして、−80℃で冷凍する。アリコートを、AAA、N末端配列決定、エンドトキシン試験、及びSEC-MALLS分析に供した。
実施例7
E.コリ発現からのヒトIL-31 C108Sの再折り畳みと精製
ヒトIL-31 C108S突然変異体ポリヌクレオチド配列でトランスフェクトしたE.コリ細胞を、ビーカ内で解凍し、そして、細胞の質重量1グラムあたり4mlの氷冷溶解バッファーを加える。アイスバケット内の氷上にビーカを置くことによって、細菌細胞を冷やしておく。
全ての塊が破壊されるまで、ポリトロン組織粉砕ホモジナイザを使用して、細胞を均質化する。細胞懸濁液を4℃に冷やし続けながら、細胞を、8500〜9000psi(5976〜6328tf/m2)にてAPV2000を2回、通過させて溶解させる。全細胞の溶解液のアリコートをSDS-PAGEのために確保しておく。超音波ホモジナイザを使用した50%のデューティサイクル(オンで5秒間、オフで5秒間)を用いて、全出力にて5分間、超音波処理することによって、又はAPVを3回、通過させることによって、懸濁液の粘性を下げる。溶解した細胞懸濁液を、4℃にて22,000×gで30分間の遠心分離によって(Beckman J2-21M遠心分離機によるJA-14ローターにて12,000rpm)、沈殿させる。壊れていない細胞、大きな細胞残屑、及び封入体タンパク質を、遠心分離によってペレットにする。
上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、組織ホモジナイザを使用して、そのペレットを、細胞湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファーで懸濁する。ペレットの完全な均質化は、可溶タンパク質及び細胞成分を洗い落とすために重要である。細胞壁及び外膜物質の除去は、洗浄溶液の量を細胞1グラムあたり10mlに増やすことによって改善できる。
懸濁液を、4℃にて、22,000×g(JA-14において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。上清を捨て、そして、組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、細胞の湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファー中に懸濁する。このステップを、もう2回、繰り返す。
上清がそれでも濁っているか又は色付いている場合、上清が透明になるまで、洗浄を続ける。湿細胞1グラムあたり4〜6mlのバッファーを使用して、ペレットを、尿素を除いた洗浄バッファー中に懸濁し、そして、4℃にて22,000×g((JA-14ローター)において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。必要に応じて、洗浄ペレットを−80℃で保存してもよい。抽出段階の後よりも、この段階で材料を保存する方がよい。
組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、グアニジンHCl含有抽出バッファーで懸濁する。抽出物をゲル濾過に供する場合、最初の細胞の湿重量1グラムあたり0.5〜1.0mlのバッファーを使用する。抽出物をタンパク質折り畳み手順に使用する場合、2〜4mlのバッファーを使用する。このステップを、室温で実施し、次に、4℃で一晩、ゆるやかにかき混ぜる。懸濁液を、4℃にて35,000×gで1時間、遠心分離する。上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、そして、0.45umのフィルターを通して濾過する。沈殿させた封入体抽出物を、折り畳まれたタンパク質を調製するために使用する。必要になるまで、抽出物を−80℃にて保存する。
再折り畳みと精製
封入体を、以下のバッファー:pH8.2(室温pH)にて、0.75Mアルギニン、PEG3350 0.055%(w/v)、20% グリセロール;10.56mM NaCl;0.44mM KCl;2.2mM MgCl2;2.2mM CaCl2;0.055M Tris中に希釈する。再折り畳みバッファー中の酸化還元対と濃度は、以下のとおりである:[DTT]=1.25mM:[シスタミン]=0.5mM。酸化還元対を、可溶化した封入体の希釈直前にバッファーに加える。16mlの可溶性封入体28.6mg/ml(RP-HPLCアッセイによる)を、激しく撹拌しながら、3200mlの上記再び折り畳みバッファーに、室温にて滴下して加える。再折り畳み中の標的タンパク質終濃度は、0.15mg/mlである。希釈に続いて、容器に蓋をし、そして、室温で16時間、緩やかに撹拌する。この時点で、RP-HPLCアッセイは、1つの鋭いピークを示す。25mMまでの酢酸の添加、及びpH5.2まで下げるpH滴定により、反応をクエンチする。再折り畳み反応は、ここで、生成物のHIC捕獲のための準備ができた。クエンチし、そして、滴定した再折り畳み媒体を、生成物捕獲のためのブチルHICカラムへの添加前に0.45ミクロン(0.45μm)濾過を通過させた。
クエンチした再折り畳み反応物(pH5.5)を、0.45ミクロン(0.45μm)濾過した。濾過した調製物の全部を、希釈剤としてのpH5.2の2M (NH42SO4;25mM酢酸と共にインライン配合により(室温の過程)、30ml/分でToso Haas Butyl 650-Mのベッド(直径2cm、29mlのベッド)に供給した。配合比は、(0.75M (NH42SO4の名目上の供給濃度をデリバリーするために)62.5%の再折り畳み反応物対37.5%の希釈剤である。
HICカラムに添加している間、供給の流れは理想的に機能し、添加全体を通じて、作動圧力の偏向がないことを観察した。操作パラメーター下、添加中に、標的は通過しなかった。カラムを、(pH5.2の0.75M (NH42SO4;25mM 酢酸をデリバリーするための)62.5%の25mM 酢酸:37.5%の2M (NH42SO4;25mM 酢酸を用いて、ベースライン(20CV)まで洗浄する。洗浄が完了した時点で、洗浄条件からpH5.2の25mM 酢酸;25mM MOPS;25mM ホウ酸(マルチバッファーA)への3CVのグラジエントを開始する。低イオン強度へのこの変換中に、わずかなタンパク質がHICマトリックスから溶出する。さらに5CVの洗浄後に、(30CVにわたって)pH上昇グラジエントを、pH5.2のマルチバッファーAと、pH8.65の同じマルチバッファー(マルチバッファーB)の間で形成する。この上昇pHグラジエント中、標的タンパク質は、〜pH6.2にて生じる最大値と、それに続くより高いpHにおけるテーリング画分中のわずかな隆起のある溶出をする。SDS-PAGE分析によって、早く溶出した物質は、単量体であり、そして、還元と非還元SDS-PAGEサンプルを比較すると、移動度シフトを示した。後者の画分(テーリング隆起)は、高次多量体を呈し、そして、プールした単量体画分から排除される。
HICプールを、20mM Trisに調整し、そして、pHを7.8に調整する。これにより、調節した材料を、30ml/分にてPoros HQ50陰イオン交換ベッド(直径2cm、44mlの容量)に直接添加する。カラムを、pH7.8の20mM Tris(バッファーA)で平衡化する。カラム流出液のRP-HPLCアッセイによって測定されるように、これらの条件下、標的タンパク質は通過しなかった。添加が完了した後に、ベッドを、10CVの平衡バッファーで洗浄し、その後、平衡バッファー(バッファーA)と、0.5M NaClを含む同じバッファー(バッファーB)の間で(20CVにわたって厳密に0%から60%のBへと)形成された15CVのグラジエントを開始する。このグラジエントのごく初期に、鋭い左右対称のピークが溶出し、低レベルのブロード・ピークが続いた。SDS-PAGE及びHPLC分析によると、早い左右対称のピークは、単量体形態の生成物であるのに対して、後者の低レベルの吸収のブロード・ピークは、主に、先のHICステップで作り出されたプールから完全に排除されなかった凝集体である。左右対称のピークのタンパク質を、プールし、そして、SECカラム・ステップへの適用のために濃縮する。
Poros HQ50 AIEXプールを、濃縮し、そして、pH7.0の50mM リン酸Na;109mM NaClで平衡化したSuperdex 75の320mlベッド(直径2.6cm)に注入した。タンパク質は、〜0.55-0.6CVにおける鋭い左右対称のピークとして溶出し、そして、HPLCによるあらゆる画分、及びクマシー染色した過剰添加SDS-PAGEゲルにおいても検出可能な多量体は存在しなかった。ピーク画分を、プールし;0.2ミクロン(0.2μm)無菌濾過し、そして、4℃で2日間のように保存した後に、アリコートに分け、そして、−80℃で冷凍する。アリコートを、AAA、N末端配列決定、エンドトキシン試験、及びSEC-MALLS分析に供した。
実施例8
E.コリにおける発現に続くマウスIL-31リガンドの再折り畳みと精製
ヒトIL-31ポリヌクレオチド配列でトランスフェクトしたE.コリ細胞を、ビーカ内で解凍し、そして、細胞の質重量1グラムあたり4mlの氷冷溶解バッファーを加える。アイスバケット内の氷上にビーカを置くことによって、細菌細胞を冷やしておく。全ての塊が破壊されるまで、ポリトロン組織粉砕ホモジナイザを使用して、細胞を均質化する。細胞懸濁液を4℃に冷やし続けながら、細胞を、8500〜9000psi(5976〜6328tf/m2)にてAPV2000を2回、通過させて溶解させる。全細胞の溶解液のアリコートをSDS-PAGEのために確保しておく。超音波ホモジナイザを使用した50%のデューティサイクル(オンで5秒間、オフで5秒間)を用いて、全出力にて5分間、超音波処理することによって、又はAPVを3回、通過させることによって、懸濁液の粘性を下げる。
4℃にて22,000×gで30分間の遠心分離によって(Beckman J2-21M遠心分離機によるJA-14ローターにて12,000rpm)、溶解した細胞懸濁液を沈殿させる。壊れていない細胞、大きな細胞残屑、及び封入体タンパク質を、遠心分離によってペレットにする。
上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、組織ホモジナイザ、及び細胞湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファーを用いて、そのペレットを懸濁する。ペレットの完全な均質化は、可溶タンパク質及び細胞成分を洗い落とすために重要である。細胞壁及び外膜物質の除去は、洗浄溶液の量を細胞1グラムあたり10mlに増やすことによって改善できる。懸濁液を、4℃にて、22,000×g(JA-14において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。上清を捨て、そして、組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、細胞の湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファー中に懸濁する。このステップを、もう2回、繰り返す。上清がそれでも濁っているか又は色付いている場合、上清が透明になるまで、洗浄を続ける。湿細胞1グラムあたり4〜6mlのバッファーを使用して、ペレットを、尿素を除いた洗浄バッファー中に懸濁し、そして、4℃にて22,000×g((JA-14ローター)において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。
必要に応じて、洗浄ペレットを−80℃で保存してもよい。
組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、グアニジンHCl含有抽出バッファーで懸濁する。抽出物をゲル濾過に供する場合、最初の細胞の湿重量1グラムあたり0.5〜1.0mlのバッファーを使用する。抽出物をタンパク質折り畳み手順に使用する場合、2〜4mlのバッファーを使用する。このステップを、室温で実施し、次に、4℃で一晩、ゆるやかにかき混ぜる。懸濁液を、4℃にて35,000×gで1時間、遠心分離する。上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、そして、0.45umのフィルターを通して濾過する。沈殿させた封入体抽出物を、折り畳まれたタンパク質を調製するために使用する。必要になるまで、抽出物を−80℃にて保存してもよい。
封入体を、以下のバッファー:pH8.2(室温pH)にて、0.75Mアルギニン、PEG3350 0.055%(w/v)、20% グリセロール;10.56mM NaCl;0.44mM KCl;2.2mM MgCl2;2.2mM CaCl2;0.055M Tris中に希釈する。再折り畳みバッファー中の酸化還元対と濃度は、以下のとおりである:[システアミン]=1.25mM:[シスタミン]=0.5mM。酸化還元対を、可溶化した封入体の希釈直前にバッファーに加える。9.5mlの可溶性封入体15.4mg/ml(RP-HPLCアッセイによる)を、激しく撹拌しながら、1600mlの上記再び折り畳みバッファーに、室温にて滴下して加える。再折り畳み中の標的タンパク質終濃度は、0.10mg/mlである。希釈に続いて、容器に蓋をし、そして、室温で16時間、緩やかに撹拌した。この時点で、RP-HPLCアッセイは、1つの鋭いピークを示す。25mMまでの酢酸の添加、及びpH5.2まで下げるpH滴定により、反応をクエンチする。再折り畳み反応は、ここで、生成物のHIC捕獲のための準備ができた。クエンチし、そして、滴定した再折り畳み媒体を、生成物捕獲のためのブチルHICカラムへの添加前に0.45ミクロン(0.45μm)濾過を通過させた。
クエンチした再折り畳み反応物(pH5.5)を、0.45ミクロン(0.45μm)濾過した。濾過した調製物の全部を、希釈剤としてのpH5.2の3M (NH42SO4;25mM酢酸と共にインライン配合により(室温の過程)、30ml/分でToso Haas Butyl 650-Mのベッド(直径2cm、30mlのベッド)に供給した。配合比は、(0.75M (NH42SO4の名目上の供給濃度をデリバリーするために)75%の再折り畳み反応物対25%の希釈剤である。
HICカラムに添加している間、供給の流れは理想的に機能し、添加全体を通じて、作動圧力の偏向がないことを観察した。これらの操作パラメーター下、添加中に、約8%の標的が通過した。カラムを、20CVの、pH5.2の0.75M (NH42SO4;25mM 酢酸バッファーを用いて、ベースラインまで洗浄する。洗浄が完了した時点で、洗浄条件からpH5.2の25mM 酢酸;25mM MOPS;25mM ホウ酸(マルチバッファーA)への3CVのグラジエントを開始する。低イオン強度へのこの変換中に、わずかなタンパク質がHICマトリックスから溶出する。さらに5CVの洗浄後に、(10CVにわたって)pH上昇グラジエントを、pH5.2の「マルチバッファーA」と、pH8.65の同じバッファー(マルチバッファーB)の間で形成する。この上昇pHグラジエント中、標的タンパク質は、およそpH6.2にて生じる最大値と、それに続くより高いpHにおけるテーリング画分中のわずかな隆起のある溶出をする。SDS-PAGE分析によって、早く溶出した物質は、単量体であり、そして、還元と非還元SDS-PAGEサンプルを比較すると、移動度シフトを示した。後者の画分(テーリング隆起)は、高次多量体を呈し、そして、プールした単量体画分から排除される。
HICプールを、20mM Trisに調整し、そして、pHを7.8に調整する。これにより、調節した材料を、8ml/分にてPoros HQ50陰イオン交換ベッド(直径1cm、14mlの容量)に直接添加する。カラムを、pH7.8の20mM Tris(バッファーA)で平衡化する。カラム流出液のRP-HPLCアッセイによって測定されるように、これらの条件下、標的タンパク質は通過しなかった。添加が完了した後に、ベッドを、10CVの平衡バッファーで洗浄し、その後、平衡バッファー(バッファーA)と、0.5M NaClを含む同じバッファー(バッファーB)の間で、20CVにわたって厳密に0%から60%のバッファーBへと形成された20CVのグラジエントを開始する。このグラジエントのごく初期に、鋭い左右対称のピークが溶出し、低レベルのブロード・ピークが続いた。SDS-PAGE及びHPLC分析によると、早い左右対称のピークは、単量体形態の生成物であるのに対して、後者の低レベルの吸収のブロード・ピークは、主に、先のHICステップで作り出されたプールから完全に排除されなかった凝集体である。左右対称のピークのタンパク質を、プールし、そして、SECカラム・ステップへの適用のために濃縮する。
Poros HQ50 AIEXプールを、濃縮し、そして、pH7.0の50mM リン酸Na;109mM NaClで平衡化したSuperdex 75の120mlベッド(直径1.6cm)に注入した。タンパク質は、〜0.55-0.6CVにおける鋭い左右対称のピークとして溶出し、そして、HPLCによるあらゆる画分、及びクマシー染色した過剰添加SDS-PAGEゲルにおいても検出可能な多量体は存在しなかった。ピーク画分を、プールし;0.2ミクロン(0.2μm)無菌濾過し、そして、4℃で2日間のように保存した後に、アリコートに分け、そして、−80℃で冷凍する。アリコートを、AAA、N末端配列決定、エンドトキシン試験、及びSEC-MALLS分析に供した。
実施例9
E.コリにおける発現に続くマウスIL-31 C108Sの再折り畳みと精製
ヒトIL-31 C108S配列でトランスフェクトされたE.コリ細胞を、ビーカ内で解凍し、そして、細胞の質重量1グラムあたり4mlの氷冷溶解バッファーを加える。
アイスバケット内の氷上にビーカを置くことによって、細菌細胞を冷やす。全ての塊が破壊されるまで、ポリトロン組織粉砕ホモジナイザを使用して、細胞を均質化する。
細胞懸濁液を4℃に冷やし続けながら、細胞を、8500〜9000psi(5976〜6328tf/m2)にてAPV2000を2回、通過させて溶解させ、そして、全細胞の溶解液のアリコートをSDS-PAGEのために確保しておく。超音波ホモジナイザを使用した50%のデューティサイクル(オンで5秒間、オフで5秒間)を用いて、全出力にて5分間、超音波処理することによって、又はAPVを3回、通過させることによって、懸濁液の粘性を下げる。溶解した細胞懸濁液を、4℃にて22,000×gで30分間の遠心分離によって(Beckman J2-21M遠心分離機によるJA-14ローターにて12,000rpm)、沈殿させる。壊れていない細胞、大きな細胞残屑、及び封入体タンパク質を、遠心分離によってペレットにする。
上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、組織ホモジナイザを使用して、そのペレットを、細胞湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファー中に懸濁する。ペレットの完全な均質化は、可溶タンパク質及び細胞成分を洗い落とすために重要である。細胞壁及び外膜物質の除去は、洗浄溶液の量を細胞1グラムあたり10mlに増やすことによって改善できる。懸濁液を、4℃にて、22,000×g(JA-14において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。上清を捨て、そして、組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、細胞の湿重量1グラムあたり4〜6mlの洗浄バッファー中に懸濁する。このステップを、もう2回、繰り返す。上清がそれでも濁っているか又は色付いている場合、上清が透明になるまで、ペレットを洗浄する。湿細胞1グラムあたり4〜6mlのバッファーを使用して、ペレットを、尿素を除いた洗浄バッファー中に懸濁し、次に、4℃にて22,000×g((JA-14ローター)において12,000rpm)で30分間、遠心分離する。
必要に応じて、洗浄ペレットを−80℃で保存してもよい。
組織ホモジナイザを使用して、ペレットを、グアニジンHCl含有抽出バッファーで懸濁する。抽出物をゲル濾過に供する場合、最初の細胞の湿重量1グラムあたり0.5〜1.0mlのバッファーを使用する。抽出物をタンパク質折り畳み手順に使用する場合、2〜4mlのバッファーを使用する。このステップを、室温で実施し、そして、4℃で一晩、ゆるやかにかき混ぜた。懸濁液を、4℃にて35,000×gで1時間、遠心分離する。上清を、ペレットから慎重に注ぎ捨て、そして、その上清を、0.45umのフィルターを通して濾過する。沈殿させた封入体抽出物を、折り畳まれたタンパク質を調製するために使用する。必要になるまで、抽出物を−80℃にて保存してもよい。
封入体を、以下のバッファー:pH8.2(室温pH)にて、0.75Mアルギニン、PEG3350 0.055%(w/v)、20% グリセロール;10.56mM NaCl;0.44mM KCl;2.2mM MgCl2;2.2mM CaCl2;0.055M Tris中に希釈する。再折り畳みバッファー中の酸化還元対と濃度は、以下のとおりである:[DTT]=0.5mM:[シスタミン]=0.2mM。酸化還元対を、可溶化した封入体の希釈直前にバッファーに加える。55mlの可溶性封入体47mg/ml(RP-HPLCアッセイによる)を、激しく撹拌しながら、19リットルの上記再び折り畳みバッファーに、室温にて滴下して加える。再折り畳み中の標的タンパク質終濃度は、0.15mg/mlである。希釈に続いて、容器に蓋をし、そして、室温で16時間、緩やかに撹拌した。この時点で、RP-HPLCアッセイは、1つの鋭いピークを示す。25mMまでの酢酸の添加、及びpH5.2まで下げるpH滴定により、反応をクエンチする。再折り畳み反応は、ここで、生成物のHIC捕獲のための準備ができた。クエンチし、そして、滴定した再折り畳み媒体を、生成物捕獲のためのブチルHICカラムへの添加前に0.45ミクロン(0.45μm)濾過を通過させた。
クエンチした再折り畳み反応物(pH5.5)を、0.45ミクロン(0.45μm)濾過した。濾過した調製物の全部を、希釈剤としてのpH5.2の3M (NH42SO4;25mM酢酸と共にインライン配合により(室温の過程)、30ml/分でToso Haas Butyl 650-Mのベッド(直径5cm、190mlのベッド)に供給した。配合比は、(0.75M (NH42SO4の名目上の供給濃度をデリバリーするために)75%の再折り畳み反応物対25%の希釈剤である。
HICカラムに添加している間、供給の流れは理想的に機能し、添加全体を通じて、作動圧力の偏向がないことを観察した。これらの操作パラメーター下、添加中に、約8%の標的が通過した。カラムを、20CVの、pH5.2の0.75M (NH42SO4;25mM 酢酸バッファーを用いて、ベースラインまで洗浄する。洗浄が完了した時点で、洗浄条件からpH5.2の25mM 酢酸;25mM MOPS;25mM ホウ酸(「マルチバッファーA」)への3CVのグラジエントを開始する。低イオン強度へのこの変換中に、わずかなタンパク質がHICマトリックスから溶出する。さらに5CVの洗浄後に、(5CVにわたって)pH上昇グラジエントを、pH5.2の「マルチバッファーA」と、pH8.65の同じマルチバッファー(マルチバッファーB)の間で形成する。この上昇pHグラジエント中、標的タンパク質は、およそpH6.2にて生じる最大値と、それに続くより高いpHにおけるテーリング画分中のわずかな隆起のある溶出をする。SDS-PAGE分析によって、早く溶出した物質は、単量体であり、そして、還元と非還元SDS-PAGEサンプルを比較すると、移動度シフトを示した。後者の画分(テーリング隆起)は、高次多量体を呈し、そして、プールした単量体画分から排除される。
HICプールを、20mM Trisに調整し、そして、pHを7.8に調整する。これにより、調節した材料を、30ml/分にてPoros HQ50陰イオン交換ベッド(直径5cm、366mlの容量)に直接添加する。カラムを、pH7.8の20mM Tris(バッファーA)で平衡化する。カラム流出液のRP-HPLCアッセイによって測定されるように、これらの条件下、標的タンパク質は通過しなかった。添加が完了した後に、ベッドを、10CVの平衡バッファーで洗浄し、その後、平衡バッファー(バッファーA)と、0.5M NaClを含む同じバッファー(バッファーB)の間で(20CVにわたって厳密に0%から60%のBへと)形成された20CVのグラジエントを開始する。このグラジエントのごく初期に、鋭い左右対称のピークが溶出し、低レベルのブロード・ピークが続いた。SDS-PAGE及びHPLC分析によると、早い左右対称のピークは、単量体形態の生成物であるのに対して、後者の低レベルの吸収のブロード・ピークは、主に、先のHICステップで作り出されたプールから完全に排除されなかった凝集体である。左右対称のピークのタンパク質を、プールし、そして、SECカラム・ステップへの適用のために濃縮する。
Poros HQ50 AIEXプールを、濃縮し、そして、pH7.0の50mM リン酸Na;109mM NaClで平衡化したSuperdex 75の320mlベッド(直径2.6cm)に注入した。タンパク質は、〜0.55-0.6CVにおける鋭い左右対称のピークとして溶出し、そして、HPLCによるあらゆる画分、及びクマシー染色した過剰添加SDS-PAGEゲルにおいても検出可能な多量体は存在しなかった。ピーク画分を、プールし;0.2ミクロン(0.2μm)無菌濾過し、そして、4℃で2日間のように保存した後に、アリコートに分け、そして、−80℃で冷凍する。アリコートを、AAA、N末端配列決定、エンドトキシン試験、及びSEC-MALLS分析に供した。
実施例10
IL-31のルシフェラーゼ活性アッセイ
zCYTOR17(ヒト又はマウス)、OSMRB(ヒト又はマウス)、及びKZ134でトランスフェクトしたBAF3細胞を、5×105〜1×106細胞/mLまで増殖させる。細胞を、アッセイ培地(RPMI 1640、10% FBS、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、及びPen/Strep)1.5xで洗浄し、次に、アッセイ培地中に3×105細胞/mLで再懸濁する。96ウェルの不透明なプレート(Costar)内で、IL-31の標準物質を、100uL/ウェル、1:2の連続希釈により、アッセイ培地中、600pg/mL〜9.38pg/mLの二重反復試験の形で力価を測定する。品質管理標準を、100uL/ウェルで350pg/mLと35pg/mLにて、二重反復試験の形でプレートに加える。サンプルを、二重反復試験の形でサンプル・ウェルに加える。次に、100uLの洗浄した細胞を、3×104細胞/ウェルの終濃度になるように各ウェルに加える。次に、このプレートを、5% CO2のインキュベーター内、37℃で16〜24時間インキューベートする。次に、プレートを、1200RPMで5分間、遠心分離する。培地を、払い落とし、そして、25uL/ウェルの溶解バッファー(Promega)を加える。10分後に、プレートを、ルミノメータ(Berthold)により読み出した。ルミノメータは、40uL/ウェルのルシフェラーゼ基質ミックス(Promega)を加え、そして、4秒間の発光を積分する。
このアッセイにおいて、ヒト又はマウス天然ポリヌクレオチド配列でトランスフェクトしたE.コリからのタンパク質を、ヒト又はマウスC108S突然変異体をトランスフェクトしたE.コリからのタンパク質と比較した。このアッセイにおいて、システイン突然変異体物質は、天然の物質と同等の活性を持っていた。
実施例11
E.コリ及びBHKで産生されたIL-31のインビボにおける活性
この研究において、E.コリ由来zcytor17ligタンパク質、又はBHK由来タンパク質で満たした7日間用の浸透圧ミニポンプを使用して、E.コリ由来タンパク質が同じインビボ活性を有するか、そして、同じ脱毛及び引っかき行動の表現型を引き起こすかどうか調べた。
Balb/cマウスに、6日間、浸透圧ミニポンプにより5、1、又は0.2μg用量のIL-31を与え、引っかき行動及び脱毛の徴候について詳しく観察した。マウスを、以下の7つの群:第1群(n=5)、401〜405番、5μg/日の、BHKで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;第2群(n=5)、406〜410番、1μg/日の、BHKで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;第3群(n=5)、411〜415番、0.2μg/日の、BHKで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;第4群(n=5)、416〜420番、5μg/日の、E.コリで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;第5群(n=5)、421〜425番、1μg/日の、E.コリで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;第6群(n=5)、426〜430番、0.2μg/日の、E.コリで産生されたzcytor17リガンド用ポンプの皮下移植;及び第7群(n=5)、431〜435番、溶媒対照(PBS/0.1% BSA)の皮下移植、に分けた。Alzetの7日間用ポンプ、モデル1007Dを使用した(Durect Corporation、Cupertino California)。タンパク質を、無菌のPBS/0.1% BSAで希釈した。
研究開始前に、マウスに、イヤー・タグを付けた。−1日目に、マウスを、麻酔し、そして、血清採取のために後眼窩を通じて事前の出血(pre-bleeds)を採取した。0日目に、Balb/cマウスに、浸透圧ミニポンプにより5、1、又は0.2μg用量のzcytor17Lを与えた。1〜5日目には、引っかき行動及び脱毛の徴候について、毎日、マウスを詳細に観察した。毎日、マウスに、0=正常、そして、4=重度の脱毛/過剰の0〜4の視覚的スコアを付けた。6日目に、マウスに視覚的にスコアを付け、そして、サイトカインの発現について試験するために、安楽死させて、血清を採取した。
観測スコアからの結果は、E.コリ由来IL-31がBHK由来物質と同じ表現型データを生じたことを示した。
前述のことから、本発明の具体的な実施例を、例証の目的で本明細書中に説明してきたが、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく様々な修飾がおこなわれるかもしれないことは理解されるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて、制限されることはない。

Claims (20)

  1. 配列番号14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む分離されたポリペプチド。
  2. 以下の作動できるように連結された要素:
    転写プロモーター;
    請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA断片;及び
    転写ターミネーター、
    を含む発現ベクター。
  3. 請求項2に記載の発現ベクターを導入した培養細胞であって、前記DNA断片によってコードされたポリペプチドを発現する培養細胞。
  4. 前記培養細胞が原核細胞である、請求項3に記載の培養細胞。
  5. 前記細胞がグラム陰性細胞である、請求項4に記載の培養細胞。
  6. 前記細胞がE.コリである、請求項5に記載の培養細胞。
  7. 前記E.コリ細胞がE.コリ株W3110である、請求項6に記載の培養細胞。
  8. 以下のステップ:
    請求項2に記載の発現ベクターを導入した細胞であって、前記DNA断片によってコードされたポリペプチドを発現する当該細胞を培養し;そして
    発現されたポリペプチドを回収する、
    を含むポリペプチドの製造方法。
  9. 請求項1に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体又は抗体断片。
  10. 前記抗体が、ポリクローナル抗体、マウス・モノクローナル抗体、マウス・モノクローナル抗体由来ヒト化抗体、抗体断片、中和抗体、及びヒト・モノクローナル抗体から成る群から選択される、請求項9に記載の抗体。
  11. 前記抗体断片が、F(ab’)、F(ab)、Fab’、Fab、Fv、scFv、及び最小認識単位から成る群から選択される、請求項9に記載の抗体断片。
  12. 請求項9に記載の抗体に特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を含む抗イディオタイプ抗体。
  13. 配列番号4、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る分離されたポリペプチド。
  14. 以下の:
    配列番号4、15、16、17、18、19、21、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30から成る群から選択される分離されたポリペプチド;及び
    医薬として許容される溶媒、
    を含む製剤。
  15. 請求項14に記載の製剤を含むキット。
  16. 前記ポリペプチドが炎症誘発性のものである、請求項1に記載のポリペプチド。
  17. 前記アミノ酸が、配列番号14、15、16、17、18、又は19である、請求項1に記載のポリペプチド。
  18. 前記アミノ酸が、配列番号21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30である、請求項1に記載のポリペプチド。
  19. 配列番号14、15、16、17、18、又は19のアミノ酸配列を含む分離されたポリペプチド。
  20. 配列番号23の第2残基〜第133残基のアミノ酸配列を含む分離されたポリペプチド。
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