JP2010513079A - インクジェット記録要素 - Google Patents

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Abstract

支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含み、該層のうちの少なくとも1つの層が、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含む、インクジェット受容体を記載する。該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、金属塩と有機置換基を有するケイ素含有化合物とを有機溶剤中で接触させることによって得られ、該ケイ素含有化合物は塩基性基を含有し、そして/又は該反応は塩基の存在において行われ、該金属は、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該ケイ素含有化合物は、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を形成するような、加水分解性置換基及び非加水分解性置換基を含む。記載したインクジェット受容体は、経時的に優れた色堅牢性を有するインクジェット印刷よって画像を形成するのに有用である。

Description

本発明は、高分子金属有機ケイ酸塩粒子を含むインクジェット受容体又はインクジェット記録要素に関する。より具体的には、本発明は、このような金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含み、そして優れた印刷色濃度、画質、及びオゾンに対する曝露から生じる退色に対する耐性を示すインクジェット受容体に関する。
ここ数年間、デジタル写真が急成長しており、一般の人々が効率的で手頃な価格のデジタル・カメラを利用するようになっている。そのため人々は、シンプルなコンピュータ及びそのプリンタから写真プリントをできる限り最良の品質で生成できることを求めている。
多くのプリンタ、例えば個人オフィス・オートメーションに連結されたプリンタは、インクジェット・プリント技術を利用する。インクジェット・プリント技術には、2つの主要な群、すなわち連続ジェット及びドロップ・オン・デマンドがある。
連続ジェットはよりシンプルなシステムである。インクが液滴流を形成するように、加圧されたインク(典型的には3.105Pa)が強制的に1つ又は2つ以上のノズルを通される。規則的な圧力パルスが規則的なサイズ及び液滴間隔を保証し、そしてこのような圧力パルスは、例えば高周波(最大1MHz)交流(AC)電源を有する圧電性結晶を使用して発生させることができる。単一ノズルを使用してメッセージを印刷できるように、どの液滴も個別に制御され、指向されなければならない。このためには静電エネルギーが使用される。すなわち、液滴が形成される場所に、インクジェットの周りに電極が配置される。ジェットは誘導により帯電され、そしてその後はどの液滴も、印加電圧に依存する値を有する電荷を保持する。次いで液滴は、対向符号の電荷を有する2つの偏向板の間を通り、次いで、所与の方向に追従する。この運動の振幅は、プレートのそれぞれによって保持された電荷に対して比例する。他の液滴が紙に達するのを阻止するために、これらの液滴は帯電されないままにされる。すなわち、支持体に達する代わりに、液滴は偏向されることなしにそれらの経路を進み続け、そして容器内に直接的に入る。次いでインクは濾過され、そして再使用することができる。或いは、インク液滴が空気流を使用した選択的偏向によって分別されるのを可能にするように、液滴サイズを選択的に制御することによりインク液滴を偏向することもできる。
インクジェットプリンタの他方のカテゴリは、ドロップ・オン・デマンド(DOD)である。ドロップ・オン・デマンドは、家庭及び職場環境において最も一般的に利用されるインクジェット印刷法である。この方法の場合、インク・カートリッジ内の圧力は一定のままでは維持されず、文字を形成しなければならない時に加えられる。広く行き渡った1つのシステムには、オープン・ノズルから成る列があり、これらのノズルのそれぞれが圧電性結晶で活性化される。ヘッド内に含有されるインクにパルスが与えられ、圧電素子は電圧によって収縮し、このことは容積を減少させ、ノズルによる液滴の駆出に導く。素子がその初期形状を取り戻すと、素子は新しい印刷に必要なインクをリザーバ内にポンピングする。ノズル列はこうして、液滴の偏向が必要にならないようにカラム・マトリックスを生成するために使用される。このシステムの1つの変更形は、圧電性結晶の代わりに、それぞれのノズルの背後にある小さな加熱素子を使用することにある。液滴は、溶剤蒸気から成る気泡を形成するのに続いて放出される。容積の増大は液滴の駆出を可能にする。最後に、インクが周囲温度で固体であるパルス式インクジェット・システムがある。この場合インクが液化し印刷できるようにプリント・ヘッドを加熱しなければならない。これは、コンベンショナルなシステムよりも広い範囲の製品上で急速乾燥を可能にする。
優れた品質の写真画像を生成することができる新しい「インクジェット」プリンタが今や存在する。しかし、これらのプリンタは、劣った品質の印刷用紙を使用した場合に、良好なプルーフを供給することはできない。印刷用紙の選択は、得られる画質にとって基本的なことである。印刷用紙は、下記特性:高品質印刷画像、印刷後の急速乾燥、良好な経時的染料保持性、平滑な外観及び高度の光沢、を併せ持たねばならない。
一般に、印刷用紙は、必要とされる特性に応じて1つ又は2つ以上の層が塗布された支持体を含む。例えば、支持体上に一次付着層、吸収層、インク染料定着層、及び保護層又は表面層を適用することより、記録要素の光沢を提供することが可能である。一つの層は、これらの機能のうちの2つ以上を提供することができる。吸収層は、画像形成後、水性インク組成物の液体部分を吸収する。液体の排除は、表面のインク移動のリスクを軽減する。インク染料定着層は、紙ベースの繊維内へのインク損失を防止することより、良好な色飽和を得る一方、印刷ドットのサイズの増大を助長して画質を低下させることになる過剰インクを防止する。吸収層と染料定着層とは、両機能を保証する単一のインク受容層を構成することもできる。保護層は、指紋及びプリンタ供給ローラの加圧痕に対する保護を保証するように構成される。インク受容層は、バインダー、受容剤、及び種々の添加剤を含む。受容剤の目的は、印刷用紙内に染料を定着させることである。最もよく知られている無機受容剤は、ヒュームド・アルミナ、ヒュームド・シリカ、コロイドシリカ又はベーマイトである。例えば、欧州特許出願公開第0976571号明細書及び同第1162076号明細書に記載されたインクジェット印刷用材料の場合、インク受容層は無機受容剤として、Grace Corporationによって市販されているLudox(登録商標)CL(コロイドシリカ)、又はSasolによって市販されているDispal(登録商標)(コロイド・ベーマイト)を含有する。しかし、このような無機受容剤を含有するインク受容層を含む印刷用紙は、経時的画像安定性が低いおそれがある。このような低い画像安定性は色濃度の損失によって実証される。
写真品質、プリント速度及び色安定性に関する市場の新しい要件を満たすためには、上記の特性、より具体的には、速乾性を保ちながら良好な染料保持性を有する新しいインクジェット記録要素を提供できることが必要である。
特開昭59−103789号公報においてNaito他によって開示されたインクジェット記録用普通紙の場合、サイジング剤又は表面塗布剤が、有機物質によって改質された粘土鉱物を含む充填剤を含む。普通紙は写真品質プリントを提供しない。
米国特許第5,342,876号明細書においてAbe他によって、ポリ(ビニルアルコール)バインダー中のアルミニウム、亜鉛、及びマグネシウムのフィロケイ酸塩を塗布された、UV光に当てられた画像染料の耐退色性を改善するインクジェット記録紙が記載されている。これらの材料は、シリカに対して30%のポリアクリルアミドの存在において製造されるが、しかしケイ素に共有結合された有機部分を含まない。
米国特許第5,919,559号明細書においてNakano他によって記載されたインクジェット記録シートは、有機処理剤、例えば製法が特開平06−287014号公報に記載されているポリ(オキシエチレン)トリアルキルアンモニウムクロリドで改質された層状ケイ酸塩の粒子を含む。この場合、アルキルアンモニウム・イオンが層間にインターカレートされているが、しかし、ケイ素との共有結合を形成することはない。染料の耐退色性の改善は示されていない。
特開2003−080832号公報においてIguchi他によって開示されたインク記録シート用塗布剤は、構造単位RSiO(3/2)によって表されるシルセスキオキサン粒子を含む。粒子は金属を含有しておらず、染料耐退色性の改善は開示されていない。
米国特許第2005/0158486号明細書においてKapusniak他によって開示されたインクジェット記録要素は、高湿度保持力を改善するためのアルミノケイ酸塩の粒子を含む。粒子は有機部分を含有しておらず、耐オゾン退色性の改善に関しては何も述べられていない。記録要素は膨潤性であり、多孔質ではない。
米国特許出願公開第2006/0083870号明細書においてChenによって開示された多孔質インク受容層は、粘土であってよいアミン官能化粒子を含む。アミン官能化粒子は、結合機能を提供し、また亀裂を低減するために、エポキシ改質粒子と共有結合することが意図されている。耐オゾン退色性の改善に関しては開示されていない。
国際公開第2005/09747号パンフレットにおいてBringley他によって記載された、コア/シェル粒子を含有する多孔質インクジェット媒体の場合、粒子のシェルは、オリゴマー又はポリマーアルミノケイ酸塩錯体又はアルミノケイ酸塩粒子であり、そしてコアは有機又は無機である。負の表面電荷を有するコア材料、例えばシリカが好ましい。媒体上に印刷された画像染料の耐退色性は、シリカ又はアルミナの標準的な粒子と比較して改善される。粒子は有機改質されていない。
米国特許第7,132,165号明細書においてPinnavia他によって開示された、官能性無機要素と有機官能基とを含有する新規の層状のメソ多孔質シリカ組成物は、鋳型としてのジェミニ・アミン界面活性剤又は構造指向剤を使用して調製される。このような材料は触媒的に使用することもできると述べられているが、しかし、インクジェット関連用途における使用に関しては開示されていない。
国際公開第2004/039724号パンフレットには、アルミニウムとケイ素アルコキシドとの未改質混合物を水性アルカリで処理し、その結果としての混合物を、ポリマー形成に十分な時間にわたって攪拌し、そして副産物を排除することにより得られるアルミノケイ酸塩ポリマーが開示されている。アルミニウムとケイ素アルコキシドとの混合物は好ましくは、例えば塩化アルミニウムと、ケイ素アルコキシド、例えばケイ素テトラエトキシドとを反応させることにより形成される。
同様に、国際公開第2004/009494号パンフレットに開示されたハイブリッド・アルミノケイ酸塩ポリマーは、アルミニウムと、加水分解性及び非加水分解性双方の置換基を有するケイ素アルコキシドとの混合物を、水性アルカリで処理し、その結果としての混合物を、ポリマー形成に十分な時間にわたって攪拌し、そして副産物を排除することにより得られる。アルミニウムとケイ素アルコキシドとの混合物は好ましくは、例えば塩化アルミニウムと、未改質ケイ素アルコキシド、例えばテトラエトキシシラン、及び改質ケイ素アルコキシド、例えばメチルトリエトキシシランとを反応させることにより形成される。
上記両明細書において、アルミノケイ酸塩の調製は、アルミニウムのモル濃度が0.3未満であること、アルミニウムの珪酸塩に対するモル比が1〜3.6であること、アルカリのアルミニウムに対するモル比が2.3〜3であることを必要とする。反応は、シナノール基、シリカ・ビードの存在において行われる。これらの方法に従って形成されたアルミノケイ酸塩ポリマーは、染料保持特性及び光沢が改善されたインクジェット受容体のインク受容層成分としての特定の有用性を見いだす。
印刷時における改善された色安定性、及びインクジェット印刷を介して調製された写真プリント及びカラードキュメントの長い寿命を可能にするための改善された保持力を有するインクジェット受容体が依然として必要である。
本発明によれば、支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とバインダーとを含み、該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、金属塩とケイ素含有化合物とを有機溶剤中で接触させること、この際、該ケイ素含有化合物は塩基性基を含有し、そして/又は該反応は塩基の存在において行われ、該金属は、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該ケイ素含有化合物は、加水分解性置換基及び非加水分解性置換基を含み、そしてこれから得られた該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を捕集することにより得ることができるインクジェット受容体が提供される。
本発明の第2の形態によれば、支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とバインダーとを含み、該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、有機ケイ酸塩と配位結合された第1の金属を有する粒子を含み、該第1の金属が、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム及び亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該有機ケイ酸塩が、有機置換基を有するケイ素含有化合物を含み、そして該金属:ケイ素比が3:2〜1:2であるインクジェット受容体が提供される。
本発明の第3の形態によれば、インクジェット受容体の製造方法であって、支持体上に配合物を塗布すること、そして該塗布された支持体を乾燥させることにより、該支持体上に受容層を形成することを含み、該配合物が、上記の1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含む無機粒子材料及びバインダーの溶液又は分散体を含むインクジェット受容体の製造方法が提供される。
本発明の第4の形態によれば、印刷方法であって、デジタルデータ信号に応答することができるインクジェットプリンタを用意する工程;該プリンタにインクを提供する工程;該プリンタに上記のインクジェット受容体を提供する工程;そして所望の印刷画像に対応するデジタルデータ信号集合が該プリンタに送信されるようにする工程を含んで成る印刷方法が提供される。
本発明の第5の形態によれば、上記方法によって、上記受容体上に印刷された画像を含む印刷された受容体が提供される。
本発明によるインクジェット記録要素は、多孔質受容体と関連する迅速なインク吸収及び迅速な乾燥時間を可能にしながら、改善された印刷画像安定性及び改善された経時的保持力を有する。市場で入手可能なインクジェット記録要素と比較して、保持特性の著しい改善を実証することができる。
これらの利点をもたらす一方、本発明のインクジェット受容体又はインクジェット記録要素は、大量生産しやすい方法で調製され、コスト効率が高い形でこれらの利点を提供することができる。
本発明のインクジェット受容体は、染料系インク受容体としての使用、又は汎用受容体、すなわち染料系又は顔料系インク受容体としての使用に合わせて、製造時に適合させることができるので有利である。
本発明によるインクジェット受容体又はインクジェット記録要素は、支持体と、所望の画像に従ってインクを受容するための、支持体上に塗布された少なくとも1つの層とを含み、インクジェット受容体は、下記のようなインク受容層及び画像受容層の調製から生じる改善された保持特性によって恩恵を受ける。
支持体はいかなる好適な支持体であってもよく、所望の用途に応じて選択することができ、また例えば透明又は不透明の熱可塑性フィルム、特にポリエステル系フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレート;セルロース誘導体、例えばセルロース・エステル、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース;ポリアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスチレン;プロオレフィン;ポリスルホン;ポリエーテルイミド;ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル;及びこれらの混合物であってよい。或いは、支持体は紙であってもよく、紙の一方又は好ましくは両方の側にはポリエチレン層が塗布されていてよい。紙パルプを含む支持体の両側にポリエチレンが塗布されている場合、これは一般に樹脂塗布紙(RCペーパー)と呼ばれる。支持体の使用側に、ベース層、例えばゼラチン又は別の組成物から成る極めて薄い層を塗布することにより、支持体上の第1層の付着を保証することができる。
使用される支持体はいかなる好適な厚さであってもよく、例えば50〜500μm又は好ましくは75〜300μmであってよい。所望の場合には、支持体中に抗酸化剤、静電防止剤、可塑剤又は他の周知の添加剤を内蔵してよい。
インクジェット受容体は、支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層を有しており、これらの層のうちの少なくとも1つの層は、少なくとも1種の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含み、この材料を含むと、本明細書中に記載する保持力の利点を引き出すことができる。それぞれのこのような層は、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と、バインダーと、任意の更なる成分、例えば第2の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料、又は下でより詳細に説明する他の成分とを含む。
こうして、本発明によるインクジェット受容体は、1つの層を含んでよく、又は複数の層を含んでもよい。これらの複数の層のうちの1つ又は2つ以上は、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と、バインダーとを含む。2つ以上の層が支持体上に塗布されている場合には、インクジェット受容体(インクジェット記録要素)は、インク受容パックを有するものとして記述することがある。このインク受容パックは、染料(又は顔料)画像が実際に形成されるインク受容層である画像受容層を含むインク受容層を構成する。インクジェット受容体は、インク受容パックと支持体との間の1つ又は2つ以上のベース層、及びインク受容パックを保護するためのトップ層を含んでよい。
インク受容パックは、例えば1つ又は2つ以上の画像受容層(典型的には1つの画像受容層)と、インク受容過程に関与する更なる層、例えば、インクのキャリヤ流体を吸収するか、又はキャパシティ(例えば溜め)を提供するか、又は受容体表面からのインク引き込み量又は吸収速度を高めるように意図された層とを含む。典型的には、インク受容パックは、画像受容層と、液体吸収層と、任意の中間層とを含む。
インクジェット受容体の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料含有層内に使用されるバインダーは、インクジェット受容体層内の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を結合するための任意の好適な材料であってよい。好適なこのようなバインダーは、例えば天然発生型の親水性コロイド及びガム、例えばゼラチン、アルブミン、グアール、キサンタン、アカシア及びキトサン及びこれらの誘導体、機能化タンパク質、機能化ガム及び澱粉、セルロースエーテル及びこれらの誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース、ラテックス・ポリマー、例えばスチレンブタジエン・ラテックス及びスチレンアクリレート・ラテックス、ポリビニルオキサゾリン及びポリビニルメチルオキサゾリン、ポリオキシド、ポリエーテル、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド及びポリビニルピロリドンを含むn−ビニルアミド、ポリエチレンオキシド及びポリビニルアルコール、その誘導体及びコポリマー、のうちの1種又は2種以上から選択されてよい。好ましくは、バインダーは、少なくとも1種の水溶性バインダーであり、この水溶性バインダーは好ましくはゼラチン又はポリビニルアルコールである。バインダーは、写真分野で従来より使用されているようなゼラチンであってよい。このようなゼラチンは、Research Disclosure, 1994年9月, 第36544号、第IIA部に記載されている。Research Disclosureは、Dudley House, 12 North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, United Kingdom在、Kenneth Mason Pulications Ltdの刊行物である。ゼラチンは仏国SKWから、そしてポリビニルアルコールはNippon Gohsei又はAlfa Aesarから得ることができる。好ましくは、バインダーはポリビニルアルコールである。
インクジェット受容体の任意の他の層もまた、上記のバインダーを含んでもよい。
上記のように、本発明によるインクジェット受容体は、その少なくとも1つの層内、好ましくはインク受容パックの少なくとも1つの層、より好ましくはインク受容層内、及び任意選択的に画像受容層又は画像記録層内に、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料をバインダーと一緒に含む。金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、これが製造される方法の形態から記述することができる。それというのも、このような材料の構造及び特性は他の手段によって解明し特徴付けすることが難しいことがあり、またその製造方法に或る程度依存することがあるからである。使用される金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の別の(又は追加の)定義はまた、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の成分の相対比の形態から記述される。
上記1つの形態において、インクジェット受容体は、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、金属塩とケイ素含有化合物とを有機溶剤中で接触させること、この際、該ケイ素含有化合物は塩基性基を含有し、そして/又は該反応は塩基の存在において行われ、該金属は、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該ケイ素含有化合物は、加水分解性置換基及び非加水分解性置換基を含み、そして得られた金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を捕集することによって得ることができることを特徴とする。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子は、金属塩又は金属塩の混合物と、上記1種又は2種以上のケイ素含有化合物、特に1種又は2種以上のケイ素アルコキシドとを反応させることにより形成される。
金属塩又は混合金属塩は好ましくは、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、又はアルミニウムのうちの1つ又は2つ以上、より好ましくはマグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛、そして最も好ましくはマグネシウムを含む。金属塩は、塩基性環境内で加水分解性置換基を有するケイ素含有化合物と反応することになるいかなる好適な塩であってもよい。好ましくは、金属塩は、金属ハロゲン化物、例えば金属塩化物である。最も好ましくは、金属塩は、塩化マグネシウムであり、塩化マグネシウムは任意選択的に六水和物形態として利用されてよい。
ケイ素含有化合物は好ましくは、金属有機ケイ酸塩ポリマーの形成を容易にするための少なくとも2つの加水分解性基と、有機ケイ酸塩の有機成分を形成するか又は後続の官能化を通して有機ケイ酸塩の有機成分の形成を容易にするための少なくとも1つの非加水分解性基とを有するのが好ましい。
加水分解性(又は離脱)基は、好適な反応条件下で、例えば塩基性環境中の加水分解条件下で切断又は加水分解され得るケイ素含有化合物上の任意の好適な有機置換基であってよい。例えば、加水分解性基は、ハロ基、例えばクロロ基であってよく、しかし好ましくはオキシ誘導体、例えばアルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ベンゾイルであり、そして最も好ましくはアルコキシ基である。
非加水分解性基は、加水分解性基又は離脱基の切断条件下又は加水分解条件下で切断しない、ケイ素含有化合物上の任意の好適な有機置換基であってもよい。非加水分解性基は好ましくは、結果として生じた有機ケイ酸塩ポリマーの有機基、又は非加水分解性基から誘導された有機ケイ酸塩ポリマーの有機基を形成する。例えば、非加水分解性基は、有機ケイ酸塩の形成後にさらに官能化されてよく、或いは、反応条件下で反応することにより、異なる有機基を形成することもでき、この場合、例えば非加水分解性基は、この基の上に、加水分解性である分枝又は置換基を有している。
典型的には、非加水分解性基は、H、又はそれぞれが置換型又は無置換型であってよい任意の好適なアルキル、アルケニル、アリール、若しくはベンジル基である。
好ましい態様の場合、ケイ素含有化合物は、式R’Si(OR)3に基づくケイ素アルコキシド、又はケイ素アルコキシドの混合物である。上記式中Rは、炭素原子数が1〜5のアルキル基であり、そしてR’は、H又はそれぞれが置換型又は無置換型であってよいアルキル、アルケニル、アリール、若しくはベンジル基から選択された非加水分解性基である。好ましくは、R’は、置換型又は無置換型の直鎖状又は分枝状のアルキル基若しくはアルケニル基、より好ましくはC1−C12アルキル又はアルケニル基、さらにより好ましくはC2−C8(例えばC3−C5の範囲)アルキル又はアルケニル基であり、最も好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、又はビニル基であり、これらのそれぞれは置換型又は無置換型であってよい。
R’基内に任意選択的に内蔵されてよい非加水分解性基、特に直鎖状又は分枝状のアルキル基若しくはアルケニル基に対する置換基は、所望の通りにR’基の特性に影響を与えるのに好適ないかなる置換基であってもよい。例えば、置換基は、塩基性基、例えばアミノ基(ジアミノ置換基又はトリアミノ置換基を含む);ハロゲン、例えば1つ又は2つ以上のフルオロ、クロロ、ブロモ、若しくはヨードであってよく、しかし好ましくはクロロ基;エーテル又はエステル、ヒドロキシル基、アクリレート、例えばメタクリレート、又は、更なる改質を可能にするその他の離脱基又は加水分解性基、例えばエポキシ基であってよい。
最も好ましくは、R’は、アルキル、アルキルアクリレート、例えばメタクリレート、アミノアルキル、クロロアルキル、又はビニル基、特にメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、プロピルメタクリレート、3−クロロプロピル、又は3−アミノプロピル基である。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を形成する反応混合物の、金属塩中の金属のケイ素含有化合物中のケイ素に対するモル比は、3:2〜1:2、好ましくは6:1〜1:2の範囲である。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を形成するために、その中で金属塩がケイ素含有化合物と接触させられる溶媒は、金属有機ケイ酸塩ポリマーを形成するための金属塩と有機ケイ酸塩との反応が容易になるいかなる好適な反応媒体であってもよい。好ましくは、金属塩及びケイ素含有化合物の両方は溶媒中に少なくとも部分的に可溶性であり、より好ましくは実質的に可溶性であり、そして好ましくは、結果として生じた金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、溶媒中に不溶又は実質的に不溶である。
溶媒は好ましくは有機溶媒であり、有機溶媒は、好適な有機溶剤を含み、そして好ましくは事実上1種又は2種以上の有機溶剤から成る。有機溶剤は好ましくは極性溶剤であり、例えば、エチルアセテート、ジメチルスルホキシド、又はアルコールであってよい。好ましくは、溶剤はアルコール、例えばメタノール又はエタノール、より好ましくはエタノールである。任意選択的に、有機溶媒は、加水分解性基の加水分解を容易にするために、少量の水、例えば金属塩の結晶水又は大気から吸収された水を含有する。有機溶媒中に存在する水の量は、ケイ素含有化合物及び使用される塩基の性質に応じて変化してよい。典型的には、水の有機溶剤、例えばエタノールに対するモル比は、好ましくは1:4以下、より好ましくは1:8以下、そして最も好ましくは1:10以下であり、すなわち最も好ましくは水の最大量(水/溶剤の比)は0.1以下である。しかし、加水分解性基の加水分解を可能にするために、溶媒中に少なくとも少量の水が存在すること、例えば水の有機溶剤、例えばエタノールに対するモル比が1:100を上回る、好ましくは1:50を上回る、そしてより好ましくは1:20を上回ることが好ましく、すなわち水の最小量が少なくとも0.05であることが最も好ましい。もしあるならば溶媒中に存在する水の量は、金属の量と関連させることができ、そのようなものとして、水の金属に対するモル比は20:1〜1:1であることが好ましく、約6:1であることがより好ましい。
溶媒中に使用される有機溶剤の量は、使用される溶剤、並びにケイ素含有化合物及び金属塩の性質に依存する。エタノールの場合、エタノールの金属塩に対するモル比は好ましくは500:1未満であり、より好ましくは100:1未満、そして最も好ましくは60:1未満である。エタノールの金属塩に対するモル比は少なくとも10:1であることが望ましく、好ましくは少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも50:1である。
本発明のインクジェット受容体内に使用される金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を製造する際に使用される塩基は、ケイ素含有化合物の加水分解性基又は非加水分解性基の塩基性成分形成部分であってよく、或いは塩基は、反応混合物に添加される補助塩基であってよく、或いは存在する塩基は、1種又は2種以上の塩基性成分及び/又は1種又は2種以上の補助塩基の混合物であってもよい。好適な塩基性成分は例えば、アミノ又はジアミノアルキル基を形成する非加水分解性基のアミノ置換基であってよい。好適な補助塩基は例えば、有機補助塩基、例えばトリエチルアミン又はエチレンジアミン、又は無機補助塩基、例えば典型的にはアルコール溶液として添加される水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであってよい。好ましくは、補助塩基は水酸化ナトリウムである。
好ましくは、総塩基の金属に対する比は、3:2〜1:2である。この場合、総塩基は、補助塩基及び/又はケイ素含有化合物上の塩基性基を含む。
フィロケイ酸マグネシウム粘土又はポリシルセスキオキサン塩と呼ばれる或る特定の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料について、Mann他の“Hybrid lamella nanocomposites based on organically functionalized magnesium phyllosilicate clays with interlayer activity”, Journal of Materials Chemistry, 1998, 8(8), 1927-32に記載されている。Mann他は、有機官能基、例えばアリル、エポキシ、イミダゾール、及びエチレンジアミノ基が共有結合された層状フィロ(有機)ケイ酸マグネシウム・ナノ複合材料の、直接的な合成手順による調製について説明している。エチレンジアミンで官能化されたフィロ(有機)ケイ酸マグネシウムのCo(II)に対する良好な結合能力を含む、結果として生じるナノ複合材料の特性が実証された。
このような材料の提案された構造の更なる特徴が、Mann他において記載されている。この開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する。
好ましくは、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、上記の金属及びケイ素含有化合物の任意の置換とともに、Mann他に記載された方法を用いて得ることができる。
Fukishima他、J. Chem Soc, Chem Commun, 1995, 241(一般式(SiR)8616(OH)4によって表されるマグネシウム種及びニッケル種、式中MはMg又はNiであり、そしてRは、シラン・カップリング剤化学物質に見いだされる一般的な有機基である)、及びUkrainczyk他、J. Phys Chem B, 1997, 101, 531(一般式(RSi)4Al28(OH)2のアルミニウム種、式中Rはドデシル又はオクチルである)に記載された層状金属有機ケイ酸塩ポリマーに関するその他の記述内容も、参考のため本明細書中に引用する。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が混合金属配位構造を含む1つの態様の場合、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、混合金属塩(例えばマグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、及び/又はアルミニウム)及び式R’xSi(OR)4-x(上記式中、xは1〜2であり、R’はH又は、それぞれが置換型又は無置換型であってよいアルキル、アルケニル、アリール、又はベンジル基であり、そしてRは炭素原子数1〜5を含むアルキル基である)によって定義されるケイ素含有化合物をアルコール・アルカリ溶液で処理することを含む制御型共加水分解法によって得られるものと定義することができる。ケイ素含有化合物のR’官能基が塩基性基、例えばアミノ基を含む場合、アルコール・アルカリ溶液を添加することは必要でない。金属のケイ素に対するモル比は、好ましくは6:5〜1:2に維持されるのがよく、総塩基の金属に対するモル比(添加塩基及び/又はケイ素含有化合物上の塩基性基を含む)は3:2〜1:2に維持されるのがよい。生成物であるポリマー粒子材料は、形成された白い沈殿物を濾過し、そして形成された副産物を排除するために(例えばエタノールで)洗浄し、次いで乾燥させることにより得ることができる。
本発明の更なる態様において、混合された有機基を有する金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を形成することができる。これは、1種又は2種以上の塩を、少なくとも2種以上のケイ素含有化合物(例えばシラン)と接触させることにより達成させることができ、これらのうちの少なくとも2種は、異なる非加水分解性基を有するので、2種又は3種以上の異なる有機成分を有する有機ケイ酸塩を形成することができる。例えば、アミノプロピル基を有する第1ケイ素含有化合物、及びビニル基を有する第2ケイ素含有化合物は、上記方法に従って、塩基の存在において塩化マグネシウム塩と接触させることにより、アミノプロピル基及びビニル基を有する有機ケイ酸マグネシウム・ポリマー粒子を形成することができる。有機基は任意選択的に、所望通りにさらに官能化されてよい。
このような材料は、混合金属塩(例えばマグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムのうち1種又は2種以上の塩)及びケイ素含有化合物R’1 xSi(OR14-x及びR’2 ySi(OR24-yの混合物(上記式中、x及びyは独立して1〜2であり、R’1及びR’2は、H、又はそれぞれが置換型又は無置換型であってよいアルキル、アルケニル、アリール、若しくはベンジル基から独立して選択された非加水分解性基であり、そしてR1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜5を含むアルキル基である)をアルコール・アルカリ溶液で処理することを含む制御型共加水分解法によって形成されると言われることがある。ケイ素含有化合物のR’官能基が塩基性基、例えばアミノ基を含むいくつかの態様において、所望の化学量論的等量の塩基が存在することを保証するために少量の塩基が必要となることはあるものの、アルコール・アルカリ溶液を添加することは必要でない。金属のケイ素に対するモル比は、好ましくは6:5〜1:2に維持されるべきであり、総塩基の金属に対するモル比(添加塩基及び/又はケイ素含有化合物上の塩基性基を含む)は3:2〜1:2に維持されるべきである。好ましくは、0.5M〜5M、好ましくは約3Mの濃度の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム、ジエチルアミン又はトリエチルアミンのアルコール溶液が使用される。さらに、ケイ素含有化合物のアルコキシ基、すなわちOR1及びOR2は、好ましくはプロポキシ、エトキシ、又はメトキシ基である。
上記別の形態において、インクジェット受容体は、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、有機ケイ酸塩と配位結合された第1の金属を有する粒子を含み、第1の金属が、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、有機ケイ酸塩が、有機置換基を有するケイ素含有化合物を含み、そして金属:ケイ素比は3:2〜1:2であることを特徴とする。
好ましくは、有機置換基は、R’に関して前述したような、1種又は2種以上の置換型又は無置換型の直鎖状又は分枝状アルキル基、直鎖状又は分枝状の、アルケニル基、アリール基、若しくはベンジル基から選択される。有機置換基、特に直鎖状又は分枝状アルキル基若しくはアルケニル基に対する置換基は、R’上の置換基に関して前述したように、所望の通りに特性に影響を与えるのに好適ないかなる置換基であってもよい。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の金属は好ましくは、マグネシウム又は亜鉛を含み、そして最も好ましくはマグネシウムを含む。
好ましい態様の場合、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、式:MmM’n(SiR’1p(SiR’2q(式中、M及びM’は同じか又は異なるものであり、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムのうちの1つ又は2つ以上、好ましくはマグネシウム、亜鉛、及びストロンチウムから選択され、最も好ましくは、M及びM’の少なくとも一方はマグネシウムであり;R’1及びR’2は同じか又は異なるものであってよい上記規定の非加水分解性有機置換基を表し;そして(m+n)/(p+q)の比は1.5〜0.5である)にしたがう、金属、ケイ素、有機置換基配列の観点から定義することができる。MとM’とが同じであるときには、特にR’1とR’2とが同じである場合、M及びM’はアルミニウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、及びストロンチウムから選択される。
1つの態様の場合、MはM’と同じものであり、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムから選択され、そしてR’1及びR’2は互いに異なる。好ましくは、金属はマグネシウムである。R’1及びR’2基は、上記任意の好適な有機置換基であってよい。例えばR’1は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、3−クロロプロピル又は3−アミノプロピルであってよく、R’2は、アルキルアクリレート又はビニル基であってよい。
別の態様の場合、M及びM’は互いに異なっており、Mはマグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはマグネシウムであるのに対して、M’は、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはアルミニウムである。この態様の場合、R’1及びR’2は同じか又は異なるものであってよく、上記のものであることが可能である。
M及びM’が異なる場合、MのM’に対するモル比は任意の所望の比であってよいが、しかし好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは4:6〜6:4である。M及びM’が異なるものであり、且つMがマグネシウムである場合、モル比は好ましくは4:6〜9:1であり、好ましくはマグネシウムを優先して少なくとも6:4である。
R’1及びR’2が互いに異なる場合、これらは、結果として生じる金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の所望の特性に従って選択することができる。例えば、水可溶化基を含むことにより、水性媒体中の粒子材料の溶解度を高くし、ひいては水性塗布媒体中の材料の塗布を容易にするように一方を選択することができ、これに対しインクジェット受容体内で官能的な役割を果たすように、例えば、さらなる官能化を可能にするように、層内に含まれている媒染剤に結合するように、又は染料又は顔料粒子に結合するように、又は大気からオゾンを除去し、ひいてはオゾンと染料又は顔料との接触を防止するように、又は更なる官能性添加剤に結合するように、他方を選択することができる。
本発明の範囲内に含まれる特定の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、一般式(I):(SiR’)8616(OH)4、及び式(II):(R’Si)4Al28(OH)2を有するものを含み、上記式中R’は上記規定の通りである。
本発明任意の形態のインクジェット受容体の1つ又は2つ以上の層は、1種の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の混合物を含んでよく、第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と第2の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とは、金属又は金属混合物又は有機ケイ酸塩の有機成分の同一性において異なっていてよい。
インクジェット受容体の2つ以上の層が金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含む場合、1つの層内の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、別の層の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と同じ又は異なっていてよい。例えば、第1層は、第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を有していてよく、第2層は、金属又は金属混合物又は有機ケイ酸塩の有機成分の同一性において、第1層とは異なる第2の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を有していてよく、或いは、第2層は、第1粒子材料と第2粒子材料との混合物を含んでもよい。
任意選択的に、インクジェット受容体の1つ又は2つ以上の塗布層のうち、少なくとも1つの層は、上記の第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と、1種又は2種以上の更なる粒子材料、例えば粘土、コロイドシリカ、アルミナ、ベーマイト、アルミノケイ酸塩ポリマー、又は第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子と異なる第2の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とを含む。
更なる無機粒子材料は、第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料及び好適なバインダーを上記相対量で有する多孔質受容層を形成することができる、いかなる好適な無機粒子であってもよい。好適なこのような無機粒子材料は、例えばシリカ(例えばコロイドシリカ)、アルミナ(例えばアルミナ・ゾル、コロイド・アルミナ、カチオン性酸化アルミニウム又はその水和物、プソイドベーマイトなど)、表面処理型カチオン性コロイドシリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サテンホワイト、珪藻土、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト(例えば分子篩3A、4A、5A及び13X)、水和ハロイサイト、又は水酸化マグネシウムを含んでよい。好ましくは、このような更なる無機粒子材料は、コロイドシリカ又はアルミナである。好適なコロイドシリカの例は、例えばNalco(登録商標)1115(4 nm)、Ludox(登録商標)SM-30(7 nm)、Ludox(登録商標)LS-30(12 nm)、Ludox(登録商標)TM-40(22 nm)、Ludox(登録商標)AM(〜30 nm)、Ludox(登録商標)TM-30(〜50 nm)、及びLudox(登録商標)PW-50(〜80 nm)、又はこれらの混合物、好ましくはLudox(登録商標)PW-50を含む。
アルミナは、アルミナの1つ又は2つ以上の形態、例えば多孔質アルミナ、非晶質アルミナ、ベーマイト(米国特許第6,256,419号明細書(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)に記載されている希土類で改質されたプソイドベーマイト)、アルミナ水和物粒子、アルミナ水和物で表面被覆された粒子(例えばアルミナ水和物で表面被覆されたシリカ粒子)、又はヒュームド・アルミナのうちの1種又は2種以上の形態であってよい。ヒュームド・アルミナの具体例は、Cab-O-SPERSE(登録商標) PG003又はPG008の商品名でCabot Corporationによって入手可能なものを含む。
バインダーは、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料含有層の0.5乾燥重量%〜25乾燥重量%の量であり、好ましくは2〜20%、より好ましくは5〜15%である。
任意選択的に、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料含有層は媒染剤を含んでいてよい。媒染剤は、例えばカチオン性ポリマー、例えば高分子第四アンモニウム化合物、又は塩基性ポリマー、例えばポリ(ジメチルアミノエチル)メタクリレート、ポリアルキレンポリアミン、及びジシアノジアミドとのこれらの縮合生成物、アミン-エピクロロヒドリン重縮合物、二価II族金属イオン、レシチン及びリン脂質化合物、又は媒染剤に転移された染料材料の定着を支援することができる任意の好適な媒染剤のうちの任意の1種又は2種以上であってよい。このような媒染剤の例は、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド/エチレングリコールジメタクリレート、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(2−N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートメトスルフェート、及びポリ(3−N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルクロリドを含む。好ましい媒染剤は第四アンモニウム化合物、例えばN,N−ジメチルメタンアミンで四級化された(m−及びp−クロロメチル)エチレンベンゼン及び2−メチル−2−プロペン酸1,2−エタンジイルエステルのポリマーである。
層は任意選択的に、印刷された受容体が高温多湿で貯蔵されるときに画像のスミア形成を低減するために、非晶質水和アルミノケイ酸塩をさらに含む。好適なこのような材料は、国際公開第2004/039724号パンフレット及び同第2004/009494号パンフレットに記載されており、これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
層は、例えば塗布用組成物の塗布性を改善するために添加される界面活性剤を含んでもよい。好適な界面活性剤は、用いられる塗布法に応じて、フルオロ界面活性剤、例えばLodyne(登録商標)S100又はZonyl(登録商標)FSN、又は非フルオロ界面活性剤、例えばOlin(登録商標)10Gを含む。
インク受容層は好ましくは、乾燥状態のインク受容層の総重量と比較して、5〜95重量%の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含む。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は典型的には、インクジェット受容体の層、好ましくはインク受容層内に、10〜40g/m2、好ましくは15〜25g/m2の量で存在してよい。他の粒子材料が存在する場合、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は好ましくは、有益な特性が経済的に提供されるのを保証するために、粒子材料の少なくとも5重量%、好ましくは5%〜15%を占める。
他の粒子材料、コロイドシリカ、ヒュームド・シリカ、ヒュームド・アルミナ、又はベーマイトが、上記金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を有する層内に存在する場合、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の金属の他の粒子材料に対するモル比は、インクジェット受容体内の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の改善された保持特性を維持しつつ、好ましくは少なくとも2:98、好ましくは最大95:5、より好ましくは5:95〜50:50又は最大25:75、さらにより好ましくは10:90〜20:80である。
任意選択的に、インクジェット受容体は、支持体とインク受容パックとの間にサビング層を含む。サビング層は好ましくは、インク受容パックの最下層を塗布する前に支持体上に塗布され、例えばサビング層は、インク受容パックのパスに通じる、塗布ステーションの別個のパス内で塗布される。サビング層は、インク受容パックの最下層に隣接していてよく、或いは、1つ又は2つ以上の中間層によって分離されていてもよい。
支持体に対するインク受容パックの下層の付着力を改善するサビング層は典型的にはポリマー材料、例えばスルホン化ポリエステル、ゼラチン、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロースエーテル及びこれらの誘導体、例えばメチルセルロールを含む。好ましくは、サビング層はホウ酸、ホウ酸塩、又はこれらの誘導体及び/又は塩は、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸の誘導体、及び無水ホウ酸などを含む。特に好ましいホウ酸塩は、四ホウ酸ナトリウム十水塩であり、これは、Borax(登録商標)Decahydrateの商品名でBorax Limitedから入手可能である。
サビング層内の材料の総乾燥レイダウン量は好ましくは0.5〜3g/m2、より好ましくは1.5〜2.5g/m2である。
サビング層内に含むための任意選択の追加の成分は、支持体上へのサビング層の塗布を容易にするための界面活性剤を含む。
本発明のインクジェット受容体は、インク受容パック及び任意の更なる層、例えばサビング層を支持体上に、当業者に知られた任意の好適な方法によって塗布することにより製造することができる。インク受容パック及び任意の更なる層の支持体に対する付着力を改善するために、支持体の表面には任意選択的に、塗膜を適用する前にコロナ放電処理が施されてよい。
水性又は溶剤系分散体であってよいが、しかし好ましくは所望の層内に使用するための成分の水性分散体である塗布用組成物は、任意の好適な技術、例えば浸漬塗布、巻線ロッド塗布、ドクターブレード塗布、ロッド塗布、エアナイフ塗布、グラビア及びリバース・ロール塗布、スライド塗布、ビード塗布、押し出し塗布、及びカーテン塗布などによって適用されてよい。好ましくは、押し出し塗布又はカーテン塗布技術が用いられ、そしてより好ましくは押し出し塗布が用いられる。
塗布過程において、任意選択のサビング層を好ましくは先ず支持体上に塗布し、そして乾燥させ、次いでインク受容パックの層を、任意に塗布された支持体上に同時又は順次に塗布する。インク受容パック内に2つの層がある場合、これら2つの層は、第1層の塗布前に第2層を乾燥させることにより順次に塗布してよく、或いは同時に塗布してもよい。インク受容パックの第3層又は後続の層は、上側の層の前に塗布してよく、或いは、第2層、又は第2層及び第1層と同時に塗布してもよい。
上記インクジェット受容体(又は記録要素)のインク受容層を形成するために支持体上に塗布されるように意図された塗布用組成物を製造する際に、好ましくは水溶性バインダー、例えばポリビニルアルコールであるバインダーは、その粘度を調節しその塗布を容易にするために、溶剤(好ましくは水)中に希釈される。この場合組成物は、全ての所要成分を含有する水溶液又は分散体の形態を有する。上で得られた金属有機ケイ酸塩ポリマーが、組成物を粉末として調製するために使用される場合には、この粉末は極めて微細な粉末であることが好ましい。
組成物は好ましくは、湿潤状態の厚さほぼ20〜300μm、より好ましくは100〜300μm、及び最も好ましくは約200μmで適用される。インク受容層を形成する組成物は、支持体の両側に適用することができる。インク受容層を塗布される支持体の背面に、静電防止層又は巻き防止層を提供することも可能である。
本発明によるインクジェット受容体又はインクジェット記録要素は、上記インク受容層の他に、インク受容層の上方又は下方に配列された別の機能を有する他の層を含むことができる。インク受容層並びに他の層は、結果として得られる画像の特性を改善するために、当業者に知られた任意の他の添加剤、例えばUV線吸収剤、蛍光増白剤、抗酸化剤、可塑剤などを含むことができる。
本発明において有用なインク受容層は、乾燥状態で一般に1μm〜50μmの厚さを有している。このようなインク受容層を含むインクジェット記録要素は、改善された経時的染料保持特性、並びに改善された速乾性を有する。このインクジェット記録要素は、いかなるタイプのインクジェットプリンタにも使用することができ、またこの技術のために開発された全てのインクに対して使用することもできる。
以下に本発明の範囲を限定することなしに、下記例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
例1〜5−種々の金属有機ケイ酸塩ポリマーの調製
例1
1.2モルのMgCl2・6H2Oを2900gのエタノール中に可溶化し、次いで312gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを素早く添加した。白い沈殿物が形成され、そして混合物を24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gのエタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は93%であった。Mg/Siのモル比は、ICP−AES(誘導結合プラズマ原子発光分光法)によって測定して0.6であった。生成物は結晶化されにくいことが見いだされた。
例2
1.2モルのMgCl2・6H2Oを2900gのエタノール中に可溶化し、次いで339gの(3−クロロプロピル)トリエトキシシランを素早く添加した。形成された混合物は無色であり透明であった。1000gのエタノール中に可溶化された56gのNaOHを次いで添加した。白い沈殿物が極めて迅速に形成され、そして混合物を次いで24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gのエタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は92%であり、Mg/Siのモル比は、ICP−AESによって測定して0.7であった。NaOHの代わりにトリエチルアミンを使用すると、同様の生成物が得られた。生成物は結晶化されにくいことが見いだされた。
例3
0.6モルのMgCl2・6H2Oを1500gのエタノール中に可溶化し、次いで193.5gのn−オクチルトリエトキシシランを添加した。混合物は無色であり透明であった。1000gのエタノール中に可溶化された28gのNaOHを次いで添加した。白い沈殿物が極めて迅速に形成され、そして混合物を次いで24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gの低温エタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は70%であり、Mg/Siのモル比は、ICP−AESによって測定して0.7であった。NaOHの代わりにトリエチルアミンを使用すると、同様の生成物が得られた。生成物は結晶化されにくいことが見いだされた。
例4
0.6モルのMgCl2・6H2Oを1500gのエタノール中に可溶化し、次いで173.5gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを添加した。混合物は無色であり透明であった。1000gのエタノール中に可溶化された28gのNaOHを次いで添加した。白い沈殿物が極めて迅速に形成され、そして混合物を次いで24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gの低温エタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は65%であり、Mg/Siのモル比は、ICP−AESによって測定して0.85であった。NaOHの代わりにトリエチルアミンを使用すると、同様の生成物が得られた。生成物は結晶化されにくいことが見いだされた。
例5
100gのMgCl2・6H2Oを1200gのエタノール中に可溶化し、次いで116.6gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、25gのビニルトリエトキシシラン、及び12gのトリエチルアミンの200gのエタノール中の混合物を素早く添加した。白い沈殿物が極めて迅速に形成された。混合物を次いで24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を1000gのエタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は87%であり、Mg/Siのモル比は、ICP−AESによって測定して1.18であった。赤外スペクトルは、2つの有機部分の存在を確認した。生成物は結晶化されにくいことが見いだされた。
比較例1
1.2モルのMgCl2・6H2Oを2900gのエタノール中に可溶化し、次いで353.6gのテトラエトキシシランを素早く添加した。混合物は無色であり透明であった。1000gのエタノール中に可溶化された56gのNaOHを添加した。白い沈殿物が形成され、そして混合物を次いで24時間にわたって室温で攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gのエタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は100%であった。Mg/Siのモル比は、ICP−AESによって測定して0.5であった。生成物はよく結晶化されることが見いだされ、X線データは、これが疑いなく純粋なタルクであることを示した。
例6〜8−金属有機ケイ酸塩ポリマー及び無機粒子の混合物の調製
例6−コロイドシリカ及び金属有機ケイ酸塩ポリマーの混合物
例1に記載された120gの金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子を、1200gのコロイドシリカNalco 2329 (水中40重量%のシリカ)と混合した。混合物をダイアフィルトレートすることにより、Nalco生成物に由来する全てのNaClを除去し、そして1.5 Barの限外濾過膜AMICON S10Y10 (10KD)によって濃度を調節した。最終的な安定なコロイド懸濁液をICP−AESによって分析し、金属有機ケイ酸塩ポリマーのSiO2に対するモル比13/87を示した。
例7−ヒュームド・シリカ及び金属有機ケイ酸塩ポリマーの混合物
例1に記載された120gの金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子を、2000gの浸透水中に可溶化させ、次いで480gのヒュームド・シリカ(Aldrich, S5505)を添加した。白い混合物をダイアフィルトレートすることにより、副産物を除去し、そして1.5 Barの限外濾過膜AMICON S10Y10 (10KD)によって濃度を調節した。最終的な安定なコロイド懸濁液をICP−AESによって分析し、金属有機ケイ酸塩ポリマーのSiO2に対するモル比12/88を示した。
例8−ベーマイト及び金属有機ケイ酸塩ポリマーの混合物
例1に記載された3.3gの金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子を、水中に可溶化させ、金属有機ケイ酸塩ポリマーの16.66重量%溶液を形成した。金属有機ケイ酸塩ポリマーのアルミニウムに対するモル比が12/88の混合物を構成するために、この金属有機ケイ酸塩ポリマー溶液を種々の量のベーマイトSasol Catapal(登録商標) 200と混合した。
例9−支持体上に塗布されるインク受容層を構成する塗布用組成物の調製
水溶性バインダーとして、分子量>100,000及び加水分解率86%のポリビニルアルコール(Nippon Gohseiによって販売されているGohsenol(登録商標) GH23)を使用し、浸透水中に9重量%まで希釈した。4つのタイプの塗布用組成物A、B、C及びDを調製した。組成物Aは、例1〜5に記載された合成に従って調製された金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含んだ。組成物Bは、比較例1に記載された合成に従って調製されたタルクを含んだ。組成物Cは、例6〜8に記載された合成に従って調製された金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子及び他の粒子の混合物を含んだ。組成物Dは、純水コロイドシリカNalco 2329を含んだ。
全ての塗布用組成物Aは:
10.1gの浸透水
2.0gの金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子(乾燥物質)
2.7gの9%ポリビニルアルコール(PVA/金属有機ケイ酸塩ポリマーの重量比=0.12)
を混合することに得た。
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子は、粉末形態を成しており、最初に微粉砕しておいた。混合物は一晩剪断することにより均一化した。
塗布用組成物Bは:
10.1gの浸透水
比較例1において記載されているように調製された2gのタルク(乾燥物質)
2.7gの9%ポリビニルアルコール(PVA/タルクの重量比=0.12)
を混合することに得た。
タルクは粉末形態を成しており、粒子は最初に微粉砕しておいた。混合物は一晩剪断することにより均一化した。
全ての塗布用組成物Cは:
10.1gの浸透水
金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子/他の粒子の2.0gの混合物(乾燥物質)
(PVA/無機混合物)重量比を0.12に等しく保つための所定量の9%ポリビニルアルコール
を混合することに得た。混合物が調製されるとすぐに組成物Cは塗布することができた。
塗布用組成物Dは:
10.1gの浸透水
2gのコロイドシリカNalco 2329(乾燥物質)
(PVA/無機添加量)重量比を0.12に等しく保つための所定量の9%ポリビニルアルコール
を混合することに得た。
例10−インクジェット記録要素の調製
樹脂塗布紙タイプの支持体を塗布機械上に置き、これに極めて薄いゼラチン層を先ず塗布し、そして支持体を真空によって塗布機械上に保持した。支持体に、ブレードを使用して例9に従って調製された組成物を塗布した。湿潤厚は例1〜5の場合には125μmであり、比較例1及び2並びに例6〜8の場合には200μmであった。次いでこれを室温(21℃)で3時間にわたって乾かしておいた。
例に対応する、結果として得られたインクジェット受容体を下記表1に示し、インク受容層内に使用される材料を特定する。
Figure 2010513079
例11−経時的染料保持特性の評価
経時的染料保持特性を評価するために、オゾンに対する曝露による染料退色試験を、結果として得られたインクジェット受容体毎に実施した。4色(ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタ)を含むターゲットを、KODAK(登録商標) PPM 200又はEpson(登録商標) 690プリンタ及び関連インクを使用して、各記録要素上に印刷した。ターゲットを、種々の色の強度を測定するGretagMacbeth(登録商標) Spectrolino分光光度計を使用して分析した。次いで、記録要素を、制御されたオゾン雰囲気(60ppb)を有する室内の暗所に3週間にわたって置いた。分光光度計を使用して、毎週、色濃度の劣化をモニタリングした。全ての色に関して濃度損失が3週間後に30%未満である場合に、その記録要素は、特に安定な印刷が得られるのを可能にすると考えた。結果は下記表2に示す。
Figure 2010513079
表2は、KODAK(登録商標) PPM 200プリンタを使用して印刷された、そしてEpson(登録商標) 680を使用して印刷されたターゲットの4色に関する3週間後の濃度損失%を示している。濃度損失%は、元の濃度を1.00として観察し、提示された数字は、各事例における4つの色のうちの最も悪いものの濃度損失を表している。
本発明において使用するための金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料は、タルクを含む受容体(比較例1)又は純水コロイドシリカ(比較例2)と比較して、インクジェット受容体内のオゾン曝露から生じる濃度損失に対する改善された耐性を提供した。
好ましい態様を参照しながら本発明について説明してきた。しかしながら、本発明の範囲を逸脱することなしに当業者によって変更及び改変を施し得ることは明らかである。
本明細書中で参照した特許明細書及び刊行物は、引用することによりそれらの全体を本明細書に組み入れる。

Claims (36)

  1. 支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とバインダーとを含み、
    該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、
    金属塩とケイ素含有化合物とを有機溶剤中で接触させること、この際、該ケイ素含有化合物は塩基性基を含有し、そして/又は該反応は塩基の存在において行われ、該金属は、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該ケイ素含有化合物は、加水分解性置換基及び非加水分解性置換基を含み、そして
    該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を捕集すること
    により得ることができるインクジェット受容体。
  2. 該ケイ素含有化合物が、ケイ素アルコキシドである請求項1に記載のインクジェット受容体。
  3. 該金属がマグネシウムである請求項1又は2に記載のインクジェット受容体。
  4. 該金属塩が塩化マグネシウムである請求項3に記載のインクジェット受容体。
  5. 該塩化マグネシウムがその六水和物の形態である請求項4に記載のインクジェット受容体。
  6. 1種又は2種以上のケイ素含有化合物が式R’Si(OR)3(式中、R’はH又は置換型又は無置換型の、アルキル、アルケニル、アリール若しくはベンジル基から選択された非加水分解性基であり、そしてRは、炭素原子数1〜5の加水分解性アルキル基である)を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  7. 該R’基が、炭素原子数1〜8の置換型又は無置換型の直鎖状又は分枝状アルキル若しくはアルケニルである請求項6に記載のインクジェット受容体。
  8. 該R’基が、アミノ、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、又はアクリル酸基で置換されている請求項6に記載のインクジェット受容体。
  9. 該R’基が、3−アミノプロピル、3−クロロプロピル、又はメタクリロイルプロピルから選択される請求項6に記載のインクジェット受容体。
  10. 該塩基性基が、ケイ素アルコキシドのR’置換基の成分から成る請求項6〜9のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  11. 該塩基が補助塩基を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  12. 該補助塩基が水酸化ナトリウムである請求項11に記載のインクジェット受容体。
  13. 該有機溶剤が、該金属有機ケイ酸塩ポリマーが実質的に不溶であるような量で、選択又は使用される請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  14. 該有機溶剤が少なくとも1種のアルコールを含む請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  15. 該有機溶剤がエタノールである請求項14に記載のインクジェット受容体。
  16. 金属のケイ素に対するモル比が3:2〜1:2である請求項1〜15のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  17. 添加塩基及び/又はケイ素含有化合物上の塩基性基を含む総塩基のモル比が、3:2〜1:2である請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  18. 支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とバインダーとを含み、
    該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、有機ケイ酸塩と配位結合された第1の金属を有する粒子を含み、該第1の金属が、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム及び亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択され、該有機ケイ酸塩が、有機置換基を有するケイ素含有化合物を含み、そして該金属:ケイ素比が3:2〜1:2であるインクジェット受容体。
  19. 該有機置換基が、H及び1種又は2種以上の置換型又は無置換型の、アルキル、アルケニル、アリール、若しくはベンジル基とから選択される請求項18に記載のインクジェット受容体。
  20. 該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子の有機置換基が、炭素原子数1〜8の置換型又は無置換型の直鎖状又は分枝状アルキル若しくはアルケニル基である請求項18又は19に記載のインクジェット受容体。
  21. 該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子のアルキル基又はアルケニル基が、アミノ、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、又はアクリル酸基で置換されている請求項20に記載のインクジェット受容体。
  22. 該有機置換基が、アミノプロピル、クロロプロピル、又はメタクリロイルプロピルから選択される請求項21に記載のインクジェット受容体。
  23. 該第1の金属がマグネシウムである請求項18〜22のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  24. 該金属有機ケイ酸塩ポリマーが、該有機ケイ酸塩と配位結合された第2の金属を有する粒子をさらに含み、該第2の金属が該第1の金属とは異なっており、そしてアルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム及び亜鉛から選択される請求項18〜23のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  25. 該有機ケイ酸塩の有機置換基が少なくとも1つの水可溶化置換基を含む請求項18〜24のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  26. 支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、請求項1〜25のいずれか一項に記載の第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料と、粘土、コロイドシリカ、ベーマイト、アルミノケイ酸塩ポリマー、又は第1の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子と異なる第2の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料のうちの1種又は2種以上とを含むインクジェット受容体。
  27. 該層内の、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料の他の粒子材料に対するモル比が5:95〜95:5である請求項26に記載のインクジェット受容体。
  28. 該バインダーがポリビニルアルコールである請求項1〜27のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  29. 粒子材料に対するバインダーの量が、粒子材料含有層の0.5乾燥重量%〜25乾燥重量%から選択される請求項1〜28のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  30. 該金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料が、下式:
    mM’n(SiR’1p(SiR’2q
    (式中、M及びM’は同じか又は異なるものであり、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムのうちの1つ又は2つ以上から選択され;R’1及びR’2は同じか又は異なるものであり、そしてH又は置換型又は無置換型のアルキル、アルケニル、アリール若しくはベンジル基から選択された有機置換基を表し、そして(m+n)/(p+q)の比は1.5〜0.5であり、
    MとM’とが同じであり且つR’1とR’2とが同じであるときには、M及びM’は、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム及びアルミニウムから選択される)
    にしたがう、金属、ケイ素、有機置換基配列を有している請求項18に記載のインクジェット受容体。
  31. 該少なくとも1つの層がインク受容層である請求項1〜30のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  32. 該少なくとも1つの層が画像受容層である請求項1〜31のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
  33. インクジェット受容体の製造方法であって、該方法は、
    支持体上に配合物を塗布すること、そして該塗布された支持体を乾燥させることにより、該支持体上に受容層を形成することを含み、該配合物は、請求項1〜26のいずれか一項に記載の1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料を含む無機粒子材料及びバインダーの溶液又は分散体を含む。
  34. デジタルデータ信号に応答することができるインクジェットプリンタを用意する工程;
    該プリンタにインクを提供する工程;
    該プリンタに請求項1〜32のいずれか一項に記載のインクジェット受容体を提供する工程;そして
    所望の印刷画像に対応するデジタルデータ信号集合が該プリンタに送信されるようにする工程
    を含んで成る印刷方法。
  35. 請求項34に記載の方法によって請求項1〜32のいずれか一項に記載の受容体上に印刷された画像を含む印刷された受容体。
  36. インクジェット受容体のための塗布用調製物であって、該塗布用調製物は、水性媒体中の、請求項1〜26のいずれか一項に記載の1種又は2種以上の金属有機ケイ酸塩粒子材料及びバインダーの溶液又は分散体を含む。
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