異なる図面において同一の参照符号を持つ項目は、同一の構造上の特徴及び同一の機能を持つか、又は、同一の信号であることに留意すべきである。斯様な項目の機能及び/又は構造が説明された場合には、詳細な説明においてこれらの繰り返した説明の必要はない。
図1は、N個のプライマリに対して規定された入力画像信号を、M個(M>N)の表示プライマリに関する出力信号に変換するコンバータのブロック図を概略的に示している。以下において、これは、単一の副画素SPを各表示プライマリに関する画素PI毎に持つ表示デバイスDIに対して説明される。
コンバータは、各入力画素がN個の入力プライマリの分布を規定するN個の値により規定される入力画像信号ISを受信する。多くの場合、入力信号は、3つのプライマリR(赤)、G(緑)及びB(青)に対して規定されたRGB信号である。例えばYUVのような入力信号の如何なる他の表現もRGB信号に変換され得る。多くの場合、これらのRGBプライマリは、EBUプライマリである。しかしながら、他のプライマリの他の数Nに対して規定された如何なる他の信号も処理され得る。
コンバータは、表示デバイスDDの表示画素DPIのM個の副画素SPを駆動させるために、M個の駆動信号DSを表示デバイスDDに供給する。図1に示される例において、表示デバイスDDは、RGBWディスプレイであり、表示画素DPIは、分布された光(R、G、B及びW(白))の色により示されたM=4個の副画素SPを有する。副画素SPの色も、表示プライマリと称される。ディスプレイは、表示画素DPIの輝度に実質的に寄与し得る副画素SPの1以上の群を持つ。示された例においては、一の群SG1がWの副画素を含み、その一方で、他の群SG2がGの副画素又はRGBの副画素を含む。
コンバータは、N個の入力プライマリに対して規定された入力画像信号ISを、表示プライマリに対して規定された出力信号OSに変換するマルチプライマリコンバータMPCを有する。副画素分布器SPDは、処理される出力信号画素を取り囲む空間における副画素SPに出力信号OSを分布させる(又は割り当てる)。例えば、RGBWディスプレイに関して、3つの入力プライマリRGBに関する3つの値により規定される入力画素は、4つの副画素SPに関する4つの駆動値DSに変換される。マルチコンバータMPCは、制約規定ユニットCDにより生成される制約COを受信する。制約規定ユニットCDは、ディスプレイDD上の副画素を変換するエリアを規定するエリア情報A1、A2又はAD(図2参照)を用いる。制約規定ユニットCDは、副画素SPにより生成されるようなエリアの輝度が入力画像ISにおける対応するエリアの入力画素の輝度と可能な限り対応するような制約COを生成するためにこれらの領域を用いる。制約規定ユニットCDの動作は、図2に関してより詳細に説明されるだろう。
副画素分布SPDも、マルチプライマリコンバータMPCの出力画像信号OSの割り当てを駆動値DS及びそれ故に副画素SPを制御するために、入力画素の入力輝度分布を用い得る。この制御された副画素分布SPDは、図6及び7に関連して説明される。
図2A及び2Bは、制約されたマルチプライマリコンバータに関する制約を規定するために要求された、表示デバイス上で選択されたエリアと入力画像における対応するエリアとのそれぞれの例を概略的に示している。
図2Aは、示された例においてはRGBWディスプレイである表示デバイスDDの副画素グリッドSPGの一例を示している。同一のモノクロ階調で示された副画素SPは、同一の色に対応している。エリアA1は、大きな円で境界付けられ、この大きな円の内側の副画素(又はこれらの部分)をカバーする。エリアA2は、小さな円で境界付けられ、この小さな円の内側の副画素(又はこれらの部分)をカバーする。
エリア又は領域A2は、如何なる所望の輝度をも取得するために十分な副画素SPをカバーするように選択される。示された例においては、エリアA2は、RGBの副画素の少なくとも一部をカバーする。Wの副画素が中心画素として選択される場合には、エリアA2は、Wの副画素(の一部)をカバーするように選択され得る。好ましくは、エリアA2は、表示画素DPIの単一の輝点に強く関連するように選択される。RGBWディスプレイにおいて、2つの輝点が存在し、これは、高輝度情報、即ち、Wの副画素及び副画素のRGB群を伝達する。代わりに、Gの副画素が、単独で高い輝点であると見なされてもよいが、この輝点は、他の高い輝点の白色とは異なる緑色を持つ。強く関連した一実施形態においては、エリアA2が単一の高い輝点を可能な限りカバーし、他の輝点を僅かにカバーすることを意味する。エリアA1は、如何なる所望の色をも取得するために、副画素SP(又は少なくともこれらの部分)の全てのタイプをカバーするように選択される。それ故、エリアA1は、2つの高い輝点がカバーされるように十分な副画素(又はこれらの部分)をカバーする。好ましくは、エリアA1は、2つの輝点の単一の組み合わせをカバーするために必要とされる副画素までをカバーする。エリアA1の範囲内の2つの輝点のうちの1つは、エリアA2の範囲内でもある。別の言い方をすると、エリアA2は、エリアA1の範囲内にある。示された例においては、エリアA1及びA2が円形の外周を持つが、2つのエリアA1、A2の如何なる他の適切な形状も選択され得る。
図2Bは、入力画像信号ISの入力画素の入力画素グリッドIPGを示している。エリアA2は、出力副画素グリッドSPGにおけるエリアA2によりカバーされた副画素群に対応する入力画素上に中心合わせされた入力画素グリッドIPGにおけるものである。エリアA1は、出力副画素グリッドSPGのように、入力画素グリッドIPGにおいて、エリアA2に対する同一の関連性を持つ。輝度L1は、エリアA1の範囲内の入力画素(又はこれらのカバーされた部分)の輝度であり、輝度L2は、エリアA2における入力画素(又はこれらのカバーされた部分)の輝度である。
エリアA1及びA2は、出力副画素グリッドSPGにおけるエリアA1及びA2の副画素SPの輝度DL1,DL2が、それぞれ、入力画素グリッドIPGにおけるエリアA1及びA2の輝度L1及びL2に可能な限り対応するように、マルチプライマリ変換MPCを制御することができるように選択される。代わりに、2つの輝度L1及びL2に適合することに代えて、大きな円と小さな円との間の出力副画素グリッドSPGにおけるエリアであるエリアA2−A1の出力副画素グリッドSPGにおける輝度DLDが、入力画素グリッドIPGにおける対応するエリアADの輝度LDに適合され得る。エリアA1及びA2は、出力副画素グリッドSPGと入力画素グリッドIPGとの双方において同一の次元を持つことが示されており、これは、入力画素グリッドIPGが出力副画素グリッドSPGに適合するようにスケールされるためである。
一実施形態において、大きなエリアA1は、エリアA2に関連した輝点以上の他の輝点を生成するために要求された隣接副画素をカバーする異なるエリアAD又はA1−A2を取得するために、小さなエリアA2に対して選択される。しかしながら、副画素パターンに依存して、エリアA1は、エリアA2によりカバーされた輝点に寄与する副画素又は副画素の部分を更に有してもよい。実際には、エリアA1及びA2の間のエリアの差分は、副画素により生成された輝度分布が、関連付けられた入力画素の輝度分布に対応するエリアを規定する。小さな差分エリアでは、平均化があまり発生せず、高頻度の空間輝度分布(又は高輝度階調度)が、非常に局所的にだけではあるが再現され得る。この非常に局所的なアプローチは、出力副画素グリッドSPG上の表示された画像の隣接エリアに対する不連続アーチファクトを生じさせ得る。比較的大きな差分エリアでは、不連続アーチファクトは、低下するだろうが、輝度の平均化により輝度分解能が失われるだろう。
図3A〜3Dは、選択されたエリアの他の例を概略的に示している。
図3Aに示された例は、緑及び白並びに緑の輝点のそれぞれに関するRGBWディスプレイのディスプレイスクリーンの副画素グリッドSPGにおけるエリア又は下位エリアA1及びA2を示している。これは、効果的には、白及び緑に関する輝点の最も近傍である。下位領域A1及びA2の形状は、例えば、輝点のボロノイ図を形成することから取得され得る。図3Aに示された例においては、下位領域又はエリアA1は、副画素G1、G2、G3及びG4の中心点を接続する矩形により境界付けられ、下位領域又はエリアA2は、赤の副画素R1及びR2並びに青の副画素B1及びB2の中心点を接続する矩形により境界付けられる。白の副画素は、W1で示される。
図3Bは、入力画素グリッドIPGにおける関連した入力画素輝度YG1、YR1、YG2、YB1、YW1、YB2、YG3、YR2及びYG4を示している。選択された下位領域A1及びA2に基づいて、白色輝度YW及び緑色輝度YGを両方決定することに関する寄与度が図3C及び3Dにそれぞれ示されている。これらの寄与行列の合計は、全体領域の寄与行列を形成することに留意しなければならない。これらの寄与行列は、輝度画像をサンプリングするために用いられ、以下のような、緑及び白の輝点のセットに関する所望の輝度をもたらす。
これらの寄与行列及びこれらが用いられる手法は、実際には、輝度入力画像上で動作するフィルタ核であることに留意しなければならない。示されるように、フィルタ核は、中心の副画素に依存する。核は、より広い領域を考慮に入れてもよく、又は、鮮鋭化を追加してもよい。中心の副画素が白の副画素W1であるときの差分信号は、以下の式により規定される。
この差分信号は、1の自由度を効果的に除去するために、マルチプライマリ変換における制約として用いられる。
マルチプライマリ変換は、以下の一般的な行列方程式に従い、XYZ色座標システムにおいて規定されたときの色C=(Cx,Cy,Cz)が、駆動値(RGBW)のリニアの組み合わせにより決定される。
実用的な実装において、標準化されたRGBW駆動値は、0.0(完全にオフ)と1.0(完全にオン)との間にあるように強いられる。例えば、アナログ実装において、これらの境界値は、多くの場合、用いられた電源電圧に関連し、デジタル実装において、この範囲は、ビットの選択された数により表現可能なデジタル言語の正規化された範囲である。中央の行列において、列(例えば、RxRyRz)は個々のプライマリのカラーポイントを表す。行RyGyByWyは、各表示プライマリの輝度を表す。この方程式は、劣決定(under-determine)され、同一のターゲット色Cを形成する駆動値RGBWに関する多くの解決策を可能にすることに留意すべきである。解決策における自由度は、緑又は白に向かって輝度を制御するために用いられる。実際には、最適な輝度バランスを取得することが試行される。これは、以下の行列方程式に対して、YW及びYGに関する上記方程式から直接得られる2つの追加の"制約"行を追加することにより達成される。
これらの制約行は、個々の輝点の下位領域YW,YGの所望の輝度が達成されるように、駆動値RGBWを効果的に強いる。より詳しい検査は、制約行4及び5が行2を合計することを明らかにする。上記行列は、それ故に、以下のように行列が行4から行5を差し引くこと(又はその逆)により単純化され得ることを意味するランク4である。
これは、輝度差分信号ΔYの使用を明らかにする。中央の行列は、全てのランクの静的なもの(係数が変化しない)であり、それ故、その逆が、システムにおいて計算されて格納され得る。逆行列は、以下により規定される。
逆行列は、以下のように、駆動レベルR
0,G
0,B
0,W
0の最適な組み合わせを計算するために用いられる。
同様に、行列RGBは、以下により付与されて規定され得る。
これは、XYZ行列として同様の役割を果たすが、RGBにおいて直接規定された入力色C=(CRCGCB)に関する。そして、最適な駆動レベルに対する計算は、以下のようになる。
駆動値の最適な組み合わせは、これらが0.0と1.0との間の有効範囲になければならないので、実際のディスプレイ上で常には実現され得ない。多くの場合、有効範囲外の値は、ハード又はソフト的にクリップされる。駆動値の最適な選択に関する制約下で適切なマルチプライマリ変換を実行する回路の一例が、WO2006/106457(ID692833)において説明されている。図4に示されたブロック図は、この回路に基づいている。
図4は、制約の決定及び制約されたマルチプライマリ変換の一実施形態のより詳細なブロック図を概略的に示している。
表示エリアセレクタDASは、表示デバイスDDの副画素グリッドSPG上において、輝度制約LCが適用されるべきエリアA1−A2又はエリアA1,A2を選択する。選択は、実際の副画素パターンSPPに依存し得る。表示エリアセレクタDASは、エリア選択が実際のディスプレイに合わせられるように、副画素パターンSPPに関する入力を実際に受信し得る。代わりに、副画素パターンSPPが良く知られている場合には、選択されたエリアA1,A2が予め格納されてもよい。輝度制約LCは、輝度に対する寄与度を持つ異なる着色副画素を有する異なる副画素群に関連しなければならない。例えば、RGBWディスプレイにおいて、副画素は、赤、緑、青及び白のプライマリを形成する。第1の群が白の副画素を有し、第2の群が緑の副画素、又は、緑、赤及び青の副画素を有してもよい。選択された副画素群は、単一の副画素だけを有してもよいことに留意しなければならない。
入力輝度決定ユニットILDは、副画素グリッドSPGにおいて選択されたエリアA1−A2(図5参照)又はエリアA1及びA2にそれぞれ対応する入力画素IP(又はこれらの部分)に関する入力画素グリッドIPGにおける入力画素IPの入力輝度DL(図5参照)又はL1及びL2を決定する。この入力輝度DL又はこれらの入力輝度L1及びL2は、対応する表示輝度又はエリアA1−A2若しくはエリアA1及びA2の輝度が入力輝度DL又はL1及びL2にそれぞれ適合するという制約CO下で変換を実行するために、マルチプライマリ変換MPCにおいて用いられる。
輝度L1及びL2を決定するために、入力輝度決定ユニットILDは、フィルタ核としてのエリアA1及びA2のそれぞれとエリアA1及びA2のそれぞれによりカバーされた副画素の部分の関連するエリアに依存する係数FCとを用いて、入力画像信号ISの入力画素をフィルタリングする2つのフィルタFI1及びFI2を有し得る。差分輝度及び差分エリアが用いられる場合には、単一のフィルタFI(図5参照)で十分である。それ故、表示エリアセレクタDASは、核セレクタとも称され得るとともに、入力輝度決定ユニットILDは、フィルタと称され得る。
4つのマルチプライマリ変換MPCに対する3つが単一の自由度を持つので、1つの制約COが適用され得る。単一の制約COは、2つのエリアの2つの入力輝度L1及びL2の間の比率若しくは差分として、又は、2つのエリアA1及びA2の差分エリアA1−A2の単一の輝度DLとして規定され得る。第2のエリアA2は、第1の副画素群SG1をカバーするように選択され得るとともに、第1のエリアA1は、第1の副画素群SG1と第2の副画素群SG2との双方をカバーするように選択され得る。例えば、RGBWディスプレイにおいて、第1の副画素群SG1は、白の副画素Wを有してもよく、第2のエリアA2は、白の副画素W及びそのすぐ隣の周囲を有する。このすぐ隣の周囲は、周囲のRGB副画素の全て又は一部を有し得る。周囲の副画素の一部がカバーされる場合には、入力画像において規定された第2の輝度L2に対する寄与度は、フィルタ係数FCにより規定され得るようにこの部分に比例する。
第1のエリアA1は、第2のエリアA2及びそのすぐ隣の周囲の副画素を有する。この場合もやはり、すぐ隣の周囲の画素が部分的にのみカバーされる場合には、入力画像において規定された第1の輝度L1に対する寄与度は、この部分に比例する。好ましくは、中心エリアと呼ばれ得る第2のエリアA2は、如何なる所望の輝度をも作るために十分な副画素をカバーするように選択され、全体エリアと呼ばれ得る第1のエリアは、如何なる所望の色をも作るために全てのタイプの副画素をカバーするように選択される。別の言い方をすると、第2のエリアA2は、実質的には単一の輝点をカバーし、その一方で、第1のエリアA1は、この単一の輝点と他の輝点(又は他の輝点の一部)とをカバーする。2つのエリアA1及びA2のそれぞれに対応する入力画像における輝度L1及びL2が決定され、マルチプライマリ変換MPCは、2つのエリアA1及びA2におけるディスプレイ上の輝度DL1及びDL2が2つのエリアA1及びA2における入力画像の輝度L1及びL2に適合するように制御される。勿論、これらの2つの輝度L1及びL2のマッチングに代えて、差分エリアA1−A2の輝度DLが適合されてもよい。
4つ以上のプライマリのマルチプライマリ変換MPCに対する3つに関して、より多くの制約COが、決定的な解決策を得るために追加されてもよいことに留意しなければならない。例えば、5つのプライマリを伴うディスプレイにおいては、表示画素毎の3つの輝点が規定され得るとともに、2つの制約COが、3から5へのマルチプライマリ変換MPCの2つの自由度をキャンセルするように規定され得る。代わりに、自由度のサブセットだけが、輝度制約COのサブセットだけを用いることによりキャンセルされてもよい。残りの自由度は、放置され得るか、又は、他の制約に用いられ得る。
マルチプライマリ変換MPCは、表示プライマリの座標PCO、及び、(前に明らかにされたように)2つの追加の方程式又は1つの追加の方程式のような制約COをそれぞれ制御するためのディスプレイ(DI)の副画素パターン(SPP)を用いることにより、前述のように行列Mxyz又はMrgbを計算する行列計算ユニットMCを有する。行列乗算ユニットMMは、既に説明された以下の方程式に応じてWの副画素に対する最適な駆動値を計算するために、この行列Mxyz又はMrgbを画素入力値CR、CG、CB及び差分輝度で乗算する(この行列Mxyz又はMrgbの内積を決定する)。
この方程式で示されたように、赤、緑、青の副画素に対する最適な値R0、G0、B0が直接計算され得る。しかしながら、図4は、多くの場合に境界値を含む範囲0〜1に標準化される有効範囲に対して駆動値をクリッピングすることに更に注意するより効果的なアプローチを示している。図4においては、クリップされた最適な値は、W、R、G、Bの副画素のそれぞれに対してWOS、ROS、GOS及びBOSと呼ばれる。
ミニマックス(min/max)回路MIMAは、Wの駆動信号の有効値に対する最大及び最小の境界を決定する。ミニマックス回路MIMAは、W0の任意の正規化された負の値を、ゼロ及び任意の正規化された1から1以上の正の値にクリップするためにクリッピング回路CL1を制御する。更に、W0の有効値は、R0、G0、B0の値の実際の値に依存する。R0、G0、B0の値のうちの少なくとも1つが1よりも大きい場合には、W0の最大値は、R0、G0、B0の値の最小値よりも高くなり得ず、W0の最小値は、ゼロよりも大きくなり得る。W0のクリップされた値は、Wの副画素に対する出力値WOSである。減算回路SU1、SU2及びSU3は、クリップされた値WOSを入力値CR、CG及びCBのそれぞれから減じる。結果的に生じた差分信号は、もし要求される場合には、コンポーネントがR、G及びBの副画素のそれぞれに関する出力信号ROS、GOS及びBOSであるマルチプライマリ変換の出力信号OSを供給するために、クリッピング回路SL2においてクリップされる。
同一の体系は、如何なる他のマルチプライマリシステムに対しても有効であるが、マルチプライマリコンバータは、より複雑になり、一例がWO2006/106457において説明されている。
図5は、制約の決定の他の実施形態のより詳細なブロック図を示している。この実施形態においては、単一のフィルタFIが差分輝度DLを決定するために用いられる。表示エリアセレクタDASは、表示デバイスDDの副画素グリッドSPG上において、差分エリアDA=A1−A2を選択する。入力輝度決定ユニットILDは、入力画素グリッドIPGにおける差分エリアDAの範囲内の入力画素又は入力画素部分に関する入力輝度信号ISの入力画素の寄与度の輝度DLを決定する。行列計算ユニットMCは、マルチプライマリ変換MPCの行列に対する制約COとして、差分輝度ΔYに関する方程式を有する。
図6は、副画素分布器のブロック図を概略的に示している。
概して、本発明によれば、副画素分布器は、マルチプライマリ変換MPCの出力値ROS、GOS、BOS、WOSを、特定の色を持つ中心副画素を取り囲む及び含む副画素領域SPRに渡って分布させる。中心副画素の色に依存して、斯様な副画素領域SPRが、例えば、図3Aに示されるようなエリアA1又はA2となるように選択され得る。中心副画素は、出力値が分布される特定の副画素である。分布は、全ての方向において均一ではないが、特定の副画素に対応する入力画像領域IPRにおける入力画像ISの輝度階調度に依存する。入力画像における入力画素の斯様な領域は、図3Bに示されるようなエリアA1又はA2であってもよい。それ故、副画素領域SPRに対応する入力画像IPRにおける領域の輝度は、副画素領域SPRにおける副画素のうちのそれぞれの出力値ROS、GOS、BOS、WOSをそれぞれに分布させるためのガイドとして用いられる。
概して、分布は、副画素SPのうちの1つが(相対的に)低い関連性の輝度を持つ場合には、これに対して高い駆動値を分布させる意味がないというルールを用いる。別の言い方をすると、特定の副画素SPの輝点に対応する特定の位置での入力画素グリッドIPGの入力画像領域IPRにおける入力画素輝度が低い値を持つ場合には、低い駆動値が、この特定の副画素SPに分布されるべきである。副画素分布器は、各副画素SPに関する出力値ROS、GOS、BOS、WOSのセットをマルチプライマリコンバータMPCから受信する。他の情報は、領域における副画素SPがどのプライマリカラーに属しているかを示す前述された副画素領域SPRの副画素パターンSPPについて、及び、問題となっている副画素SPを取り囲む入力画像領域IPRにおける所望の輝度値について要求される。
先ず、図6に示された回路が簡単に述べられる。図6に示された回路の動作は、Gの副画素に対するGOS出力値の分布の一例の図7に関してより詳細に説明される。
分布器DISは、駆動信号DSを取得するために、マルチプライマリコンバータMPCにより供給されたRGBW出力値ROS、GOS、BOS、WOSを、蓄積回路ACCにより蓄積される分布信号DIに分布させる。駆動信号DSは、RGBWの副画素SPのそれぞれに対するコンポーネントRDS、GDS、BDS及びWDSを持つ。RGBW出力値ROS、GOS、BOS、WOSのそれぞれは、特定色の出力値が選択副画素領域SPRの範囲内の特定のプライマリカラーの副画素SPに関する駆動信号DSに渡って分布されるように、分布係数DCOに応じて別々に分布される。蓄積回路ACCは、全体画像に渡る計算されたRGBW領域SPRを蓄積する。特定の副画素SPに対する各出力値は、副画素領域SPRにおける周囲の副画素SPに部分的に分布される。これは、各副画素SPがその近傍から自己の駆動値に対する寄与度を受信することを意味する。これらの寄与度は、蓄積器ACCによって合計され、必要に応じて、この副画素SPに関する駆動信号DSを取得するための有効範囲にクリップされる(図示省略)。
全体輝度計算回路CTLは、図3Bの入力画素領域IPRにおける輝度分布を用いることにより、プライマリR、G、B、Wのそれぞれに対する全体輝度YRT、YGT、YBT、YWTをそれぞれ計算する。全体輝度計算回路CTLは、領域SPRにおける副画素パターンSPPを供給する副画素領域SPRから、ディスプレイDDの異なる着色副画素SPの位置を検索する。副画素パターンSPPは、図3Aに示された副画素パターンと同じであってもよい。図3に関して、入力画素領域IPR及び副画素領域SPRは、1対1の関係を持つ。
乗算係数決定器MCDは、特定の色を持つ副画素SPの全体輝度と比較して、特定の色を持つ各副画素に関する乗算係数MCOを、問題となっている副画素SPの輝度の寄与度として決定する。問題となっている副画素SPの輝度の寄与度と全体輝度とのこの比率は、(i)図3A及び3Bに示すように、選択されたエリアA1又はA2におけるこの色を持つ副画素SPの全体エリアに対して問題となっている副画素SPのエリア寄与度により、及び、(ii)図3Bに示されるように、入力画像ISにおける輝度パターンIPRにより、規定される。従って、乗算係数決定器MCDは、全体輝度YRT,YGT,YBT,YWT、輝度パターンIPR及び副画素パターンSPPを受信する。エリアの比率は、領域A1及びA2のエリア、当該領域A1及びA2の部分、当該領域A1及びA2における副画素SPにより規定される。
図7A〜7Cは、RGBWディスプレイの緑の副画素に対する出力値の分布の一例を概略的に示している。
図7Aは、選択された副画素領域SPRを示しており、副画素SPの色が頭文字で示され、数字が同一色を持つ副画素SPを識別する。示された例において、G1〜G4が緑の副画素を示しており、R1及びR2が赤の副画素、B1及びB2が青の副画素、W1が中央の白の副画素を示している。
図7Bは、選択された副画素領域SPRに対応する入力画素領域IPRを示している。入力画素の部分的な輝度YLは、副画素領域SPRにおける副画素の色にリンクされて示されている。緑の副画素G1〜G4に対応する入力画素IPの部分的な輝度YLは、YG1〜YG4であり、赤の副画素R1及びR2に対応する入力画素の輝度は、YR1及びYR2であり、青の副画素B1及びB2に対応する入力画素の輝度は、YB1及びYB2であり、最後に、白の副画素W1に対応する入力画素の輝度は、YW1である。
図7Cは、中央の画素W1の周りの領域における緑の副画素G1〜G4に関するマルチプライマリ変換MPCの出力値がこれらの緑の副画素G1〜G4に渡ってどのように分布されたか、又はどのように割り当てられたかを示すグレーレベルを示している。図7B及び7Cから参照され得るように、入力画素領域IPRにおける緑の副画素に関する全体輝度YTは、輝度GDS1〜GDS4という結果を生じさせるように、緑の副画素G1〜G4に関連付けられた個々の入力画素に渡る輝度分布YG1〜YG4に応じて、緑の副画素G1〜G4に渡って分布される。
換言すれば、緑Gの駆動値の分布は、最初に、緑の副画素G1〜G4の位置が副画素領域SPRの範囲内において決定される。次に、対応する所望の輝度YG1〜TG4が検索される。そして、Gの副画素に関する駆動値GDSは、これらの輝度に比例的に分布される。分布の割合を計算するために、緑の副画素G1〜G4に関する全体輝度YTが最初に計算されて、領域SPRにおける緑の副画素G1〜G4に関する(例えば、図3Cに示すように、マルチプライマリ変換MPCについて既に規定されるような)寄与係数により重み付けされる。全体輝度は、以下により規定される。
RGBWの4つのレイアウトのこの特定の実施形態に関して、全ての係数は1/4と同等であることに留意しなければならない。しかしながら、これは、例えばRGBWのペンタイルレイアウトのような他の配置に関する場合と異なる。重み付けは、更に遠くに配置された副画素に対してより近くに配置された副画素についての優先度を生成するために用いられ得る。中央の副画素にできるだけ近くの分布された色を維持することが望ましい。重み付けは、中央の副画素に伴って変化する、表示プライマリ毎のフィルタ核として再び参照され得る。
そして、緑の副画素G1〜G4に対する分布は、以下により計算される。
この分布によれば、全体の駆動値GOSが完全に分布される。
そして、同一のプロセスが、他のプライマリ駆動値WOS,ROS及びBOSに対して行われる。
前述の実施形態は、単なるガイドラインであり、分布が輝度分布YLに実質的に比例すべきであることに留意しなければならない。任意の比較され得る体系を満足させる。例えば、緑の副画素の1つ(例えば、輝度YG4を伴うG4の副画素)だけが一部の輝度を持ち、残りが完全に暗いという極端な例において、駆動値GOSの全ては、特定の緑の副画素G4だけに伝えられる。分布のこのレベルは、副画素G4に対してクリッピングするという結果を生じさせる可能性が最も高い。これは、制約が以下の分布ファクタの範囲にある場合に回避され得る。
前述した実施形態は、本発明を限定するというよりはむしろ例示であり、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計可能であることに留意すべきである。
本発明は、RGBWに関する多くの実施形態について明らかにされているが、類似のアプローチが、他のマルチプライマリディスプレイに対して有効である。更に、示された副画素パターンは単なる例であり、本発明は、1以上の輝点を生成し得る任意の副画素パターンに適用可能である。
本発明は、ハードウェアブロックの機能を説明することにより明らかにされているが、専用のハードウェアに代えて、適切にプログラムされたコンピュータが機能を実行するために用いられてもよい。プログラムコードは、コンピュータプログラムプロダクト上で利用可能であってもよく、又は、ソフトウェアアプリケーションにおけるプラグインとして実行されてもよい。
特許請求の範囲において、括弧内に配置された如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして構成されるべきではない。"有する"という用語の使用及びその結合は、特許請求の範囲に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。要素の単数表記は、斯様な要素の複数の存在を除外しない。本発明は、いくつかの別個の要素を有するハードウェアにより、及び、適切にプログラムされたコンピュータにより実行されてもよい。いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項において、いくつかのこれらの手段は、ハードウェアの1つ及び同一アイテムにより実施されてもよい。特定の寸法が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの寸法の組み合わせが利点のために用いられ得ないことを示すものではない。