JP2010507099A - 合成抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、合成抗体のための方法、合成抗体を作製するための方法、リガンドを同定するための方法、ならびに関係する方法および反応物を提供する。

Description

相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2006年10月16日に出願された米国特許仮出願第60/852,040号および2007年9月26日に出願された同第60/975,442号に対して優先権を主張する。
政府の権利の記載
本出願は、NIAID助成金番号5 U54 A1057156およびNCI助成金番号5 U54 CA112952の米国政府資金によって一部援助された。したがって、米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
抗体またはリガンドの基本的な用途は、それらが複合混合物中の1種の成分を他の成分から区別できることである。必要とされる区別のレベルは、用途によって異なる。抗体(リガンド)開発の根本的な問題は、標的の表面の1つまたは複数の領域を構造的に補完することができ、かつその相補性が混合物中の他の成分の相補性よりも必要な程度高い、何らかの実体を発見することである。
伝統的な抗体は、通常1〜4ヶ月に渡って複数回、タンパク質またはタンパク質をコードする遺伝子を動物に注射することによって作製される。ポリクローナル抗体は、血清から直接使用される。これらは、十分な量の標的タンパク質が利用可能である場合には、アフィニティー精製することができる。ハイブリドーマ技術を用いて、ポリクローナル集団の1つの要素を産生する個々のクローンを同定し、抗体を無制限に増殖させることができる。この手順は、一般に、生成物の質にむらがあり、遅く、ロースループットであり、混入物の問題があり、高価である。また、動物の屠殺も必要とする。このアプローチの最も進歩した形態は、遺伝的免疫化を使用する1。各抗体に関して、タンパク質配列に対応する遺伝子を化学合成し、遺伝子銃を用いて動物の皮膚中に注射する。並行して、同じ遺伝子断片を用いて、少量のタンパク質をインビトロで転写/翻訳する。反応性を直接評価するために、このタンパク質をビーズに結合させる。このシステムは、免疫化のためにタンパク質を作製する必要性、混入物を回避し、かつ比較的ハイスループットである。一般に、抗体の質は、より高い。しかしながら、このシステムは、大きな労働力を要する動物の取扱いを依然として必要とする2。補充可能な抗体を作製するには、このシステムを伝統的なモノクローナル作製と結び付けなければならない3
動物における抗体の直接的な作製の代替手段は、一般に、繰り返し選択プロセスを含み、これらは高価であるが、より重要なことには、ハイスループットな方法に適合できない。臨床的に使用される抗体は、その標的に対して10-12〜5×10-8M/lの親和性(Kd)を有する。この親和性は、抗体の可変領域中の変異を選択することによって生物学的に生じる。可変領域は、基本的には、N末端およびC末端に保持された柔軟なペプチドである。任意の個体における約107種の変異体から選択し、かつ配列を変異的に改善することによって、抗体を成熟させ、ほぼすべての標的に対する好適な結合物を作製することができる。このプロセスを反復するのに一般的なアプローチは、多様な核酸またはポリペプチドを含む非常に大型の分子ライブラリー(109〜1014個のメンバー)を作り、標的に対してパンニングして、1つまたは数個の最良の結合物を発見することである。選択プロセスは、強い結合物が弱い結合物を打ち負かす場合に適用される。
大型ライブラリーをパンニングするこの基本的なアプローチは、抗体様要素を発見するために最も一般的に使用される。しかしながら、このようなパンニングには厳しい制限がある。第一に、比較的短いペプチドまたは核酸を用いて、相互作用の非常に良好な一致を探しているため、大型ライブラリーを作製および検索しなければならない。これは、両方とも時間がかかり、かつハイスループットに向いていない。たいていの場合は、標的上の最良の結合区域のみが発見されるように、繰り返し選択(パンニング)を用いて完全な一致を発見しなければならない。標的上の複数の区域への結合物を発見することは困難である。他のアプローチでは、化学および構造決定の細部まで行き届いた応用を利用して、2つの有機低分子が剛性の短いリンカーによって結合されている分子を作製した。しかしながら、このアプローチは、精巧な化学および構造生物学を要求し、低分子は結合のために完全に配置されなければならず、したがって、リンカーの性質に厳しい制限が課される。さらに、結合要素、有機低分子の性質が、本来的に制限されている。有機低分子に十分に結合すると考えられる、所与のタンパク質上の第2の部位を発見することは非常に困難であることが判明している。よく考えてみると、これは完璧に理屈に合う。細胞中のタンパク質濃度は60〜100mg/mlであるため、タンパク質の大半の露出表面は、非結合性でなければならず、さもなければ、すべてのタンパク質が凝集するであろう。したがって、低分子は一般に、タンパク質上の奥まった所にあるポケットにのみ結合すると考えられる。
したがって、リガンドを発見するための新しい方法、および例えば合成抗体を構築する際に使用するための、結果として得たリガンドが、当技術分野において必要とされている。
第1の局面において、本発明は、以下の段階を含む、関心対象の標的に対する親和性要素を同定するための方法を提供する:
(a)支持体上に標的親和性要素が存在する場合に、標的が標的親和性要素に中程度に親和性結合するのに適した条件下で、組成が公知である102〜107個の異なる試験化合物のアレイを含む支持体表面を関心対象の標的と接触させる段階であって、標的は抗体のFv部分ではなく、異なる試験化合物は標的に由来しない段階;および
(b)少なくとも中程度の親和性で標的に結合する試験化合物を同定する段階であって、このような化合物が標的親和性要素を含む段階。
本発明のこの第1の局面の方法の1つの態様において、支持体表面はアドレス指定可能である。別の態様において、これらの方法は、少なくとも中程度の親和性で標的に結合しない試験化合物を同定する段階をさらに含む。さらなる態様において、試験化合物は、1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する。さらなる態様において、試験化合物はポリペプチドである。別の態様において、これらの方法は、同じ支持体表面または別の支持体表面を競合物と接触させる段階、および標的に結合する試験化合物と競合物に結合する試験化合物の比率を求める段階をさらに含む。さらなる態様において、これらの方法は、同じ標的上の異なる部位に結合する標的親和性要素の組合せを同定する段階をさらに含む。これらの方法は、標的に対する標的親和性要素単独の結合親和性および/または特異性と比べて、標的に対する親和性要素の組合せの結合親和性および/または特異性を増大させるために、親和性要素の組合せ中の標的親和性要素間の適切な間隔を決定する段階をさらに含んでよい。さらなる態様において、これらの方法は、親和性要素の組合せを連結する段階を含み、その際、リンカーは、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する。これらの方法は、標的に対する第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方の結合親和性を最適化する段階をさらに含んでよい。さらなる態様において、第1の局面は、本発明の第1の局面の方法によって作製した合成抗体を提供する。
第2の局面において、本発明は、以下を含む合成抗体を提供する:
(a)第1の標的に結合することができる第1の親和性要素;
(b)第1の標的に結合することができ、かつ、第1の標的に結合された第1の親和性要素の存在下で第1の標的に結合することができる第2の親和性要素;ならびに
(c)第1の親和性要素および第2の親和性要素をつなぐリンカー;
ここで、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素のうち少なくとも1つは、第1の標的に由来せず;
合成抗体は、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
第1の標的は抗体のFvではない。さらなる態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の両方とも、約1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する。
別の態様において、リンカーは、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する。さらなる態様において、第1の親和性要素も第2の親和性要素も、抗体のFv領域に由来しない。別の態様において、第1の親和性要素も第2の親和性要素も、第1の標的に由来しない。さらに別の態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素は、ポリペプチドまたは核酸を含む。さらなる態様において、合成抗体は、第1の親和性要素および第2の親和性要素につながれた第3または別の親和性要素をさらに含む。さらなる態様において、合成抗体は支持体に結合される。
別の態様において、本発明は、以下を含む支持体を提供する:
(a)表面;および
(b)表面に付着させた、本発明の第2の局面による複数の合成抗体。
第3の局面において、本発明は、合成抗体を作製するための方法であって、所与の標的に対する少なくとも第1の親和性要素および第2の親和性要素をリンカーによってつなぐ段階を含む方法を提供し、
ここで、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素のうち少なくとも1つは、第1の標的に由来せず;
合成抗体は、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
第1の標的は抗体のFvではない。
1つの態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の両方とも、1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する。別の態様において、リンカーは、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する。さらなる態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、ポリペプチドまたは核酸を含む。
さらなる局面において、本発明は、以下の段階を含むリガンド同定のための方法を提供する:
(a)標的アレイを含む支持体表面を1種または複数種の潜在的なリガンドと接触させる段階であって、支持体上に存在する適切な標的への1種または複数種のリガンドの中程度から高度の親和性結合に適した条件下で実施される段階;および
(b)少なくとも中程度の親和性で1種または複数種のリガンドに結合する標的を同定する段階。
1つの態様において、1種または複数種の潜在的なリガンドは、抗体および本発明の第2の局面による合成抗体からなる群より選択される。さらなる態様において、標的のアレイは、フローチャンバー中に取り付けられ、
(i)1種または複数種の潜在的なリガンドを含む第1の緩衝液が、アドレス指定可能なアレイ上に流され、
(ii)少なくとも中程度の親和性で1種または複数種のリガンドに結合する標的を同定する段階が、アレイリーダーによって集められたリアルタイムの親和性データを解析する段階を含み;
(iii)アレイへの少なくとも中程度の結合が検出された後に、アドレス指定可能なアレイ上の第1の緩衝液フローが停止され;
(iv)1種または複数種のさらなる潜在的なリガンドを含む別の緩衝液を用いて、(i)〜(iii)のステップを望ましい回数繰り返す。
別の局面において、本発明は、本発明による複数の合成抗体を含む支持体を試験試料と接触させる段階および該試験試料に対する合成抗体の結合を対照試料に対する合成抗体の結合と比較する段階を含む、関心対象の試験試料に対する合成抗体プロファイルを同定するための方法であって、対照試料と比べて試験試料中の標的に差次的に結合する合成抗体が、試験試料に対する合成抗体プロファイルを構成する方法を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
(a)鋳型核酸鎖に結合した第1の親和性要素;
(b)相補的な核酸鎖に結合した第2の親和性要素;
ここで、第1の親和性要素および第2の親和性要素は、共通の標的に非競合的に結合し;
鋳型核酸鎖および相補的な核酸鎖は、塩基対合によってアニールしてアセンブリを形成し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素は、アセンブリ中で離れており;かつ、
鋳型核酸鎖、相補的な核酸鎖のいずれか、または両方が、支持体の表面に結合している。
図2〜8に示すシンボディ(synbody)変種の概念図の記号一覧。 単純なシンボディの概略図。 (a)ホモ二量体および(b)ヘテロ二量体に特異的なシンボディの概略図。 (a〜b)化学的ORゲートまたはスイッチとして作用するシンボディの概略図。 複数のA分子に協同的に結合するシンボディの概略図(a≠1;正の協同性または負の協同性のいずれか)。 複数の異なる分子に協同的に結合するシンボディの概略図(a≠1;正の協同性または負の協同性のいずれか)。 シグナル伝達分子センサーとして作用するシンボディの概略図;(a)2つの要素が相互作用してシグナルを形成する;(b)2つの要素がずらされてシグナルを形成する。 酵素活性の作動装置として作用するシンボディの概略図(ホモ多量体またはヘテロ多量体)。 (a)合成抗体の図示。(b)ペプチド間の距離が異なるシンボディのミニライブラリーの構築。(c)分子計算尺組成物の1つの態様。 (a)マレイミドスルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシラート)の構造。(b)スルホ-SMCCを用いた、ポリリジン表面コーティングのリジン単量体のεアミンへのポリペプチドのC末端システインのチオール結合による、ポリリジン表面コーティングへのポリペプチドの結合。 (a)SPRチップ表面へのタンパク質標的の結合の間に予想されるシグナル。(b)SPRチップ表面へのタンパク質標的の結合の段階。 (a)第1のリガンドのみと固定化された標的との相互作用;(b)第2のリガンドのみと固定化された標的との相互作用;(c)第1のリガンドおよび第2のリガンドと固定化された標的との相互作用(これらのリガンドは競合も干渉もしない);(d)標的上の異なる部位に結合しないが、その代わりに同じ結合部位を求めて競合する2つのリガンドの結合の際に予想されるSPRシグナル。 実施例2において説明するようにして同定したポリペプチドのいくつかのペア(表1を参照されたい)を異なる標的部位への結合に関して評価した結果。 オリゴヌクレオチド中にアミンで修飾されたシトシンを提供するために使用された、5'-ジメトキシトリチル-N-ジメチルホルムアミジン-5-[N-(トリフルオロアセチルアミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシシチジン、3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト。 DNAリンカーによって連結された、実施例3において説明するようにして同定した2つのポリペプチド親和性要素を含む、gal80に特異的なシンボディの概略図。 ポリペプチド親和性要素を含むシンボディ。 ポリペプチド親和性要素を含むシンボディの合成のフローチャート。 BP1およびBP2を含むシンボディのgal80に対する相対的なSPR応答。 親和性要素BP1単独およびBP2単独、BP1-BP2を含むシンボディ、ならびにDNAリンカーに結合させたBP1単独およびBP2単独のgal80に対する親和性(Kd)。 BP1-BP2を含むシンボディと比較して、gal80に対するBP1単独およびBP2単独の結合親和性を確認するELISAタイプの解析から得られたデータ。 リジン分子のαアミン部分およびεアミン部分に2つの20量体ポリペプチドのC末端グリシンを連結し、それによって約1nmの間隔を提供することによって構築したシンボディの概略図。 1C10が最も高い強度で結合した18種のタンパク質、および観察された相対強度を示すグラフ。 SYN23-26が最も高い強度で結合した18種のタンパク質、および観察された相対強度を示すグラフ。 SYN21-22が最も高い強度で結合した18種のタンパク質、および観察された相対強度を示すグラフ。 gal80シンボディが最も高い強度で結合した15種のタンパク質、および観察された相対強度を示すグラフ。 (a)DNAオリゴヌクレオチドから構築した4-らせんDNAタイルリンカーの概略図。(b)一本鎖DNAループ中に組み込まれたトロンビンに特異的なアプタマーの位置。概略的に示したように、アプタマーがタイルから伸びた構造物を提供する。(c)単一のアプタマーを含むループのみを有する構造物。(d)単一のアプタマーを含むループのみを有する別の構造物。 DNAタイルシンボディにおけるトロンビン結合アッセイ法の結果を示すグラフ。 クリック型の化学反応による結合に適した化学的部分のペア。 結合が表示した順序で実施される場合に、4つの相互作用しない(orthogonal)結合を提供する、クリック型の化学反応による結合に適した化学的部分の4つのペア ポリ-(Gly-Ser)リンカーを含むシンボディの合成の図。 マレイミド官能化ポリペプチドとチオール官能化オリゴヌクレオチドの結合を示す図。 ポリ-(Gly-Hyp-Hyp)リンカーを含むシンボディの合成の図。 両方の親和性要素がクリック型の化学結合によって結合されている、ポリ-(Gly-Hyp-Hyp)リンカーを含むシンボディの合成の図。 シンボディを標的と結合させて自己組み立てさせることにより、最適化した親和性要素および/またはリンカーを同定するための方法の根底にある概念概略図 3つの潜在的に可逆的な結合化学反応を示す図。 シンボディリンカーとして使用するのに適したテトラペプチド骨格の合成を示す図。 テトラペプチド骨格リンカーへの最大3つの親和性要素の相互作用しない結合を示す図。 シンボディリンカーとして使用するのに適したデカペプチド骨格の合成を示す図。 デカペプチド骨格リンカーへの親和性要素の相互作用しない結合を示す図。 Symphonyペプチド合成機において標準的な固相ペプチド合成方法を用いた、ポリペプチド親和性要素400、ポリ-(Pro-Gly-Pro)リンカー410、およびリジン402に結合させたアジド部分を含む構造物の合成を示す図。 チアゾリジン形成プロセスを示す図。
発明の詳細な説明
第1の局面において、本発明は、以下の段階を含む、関心対象の標的に対する親和性要素を同定するための方法を提供する:
(a)支持体上に標的親和性要素が存在する場合に、標的が中程度に親和性結合するのに適した条件下で、組成が公知である102〜107個の異なる試験化合物のアレイを含む支持体表面を関心対象の標的と接触させる段階であって、標的は抗体のFv部分ではなく、異なる試験化合物は標的に由来しない段階;および
(b)少なくとも中程度の親和性で標的に結合する試験化合物を同定する段階であって、このような化合物が標的親和性要素を含む段階。
発明者らは、組成が公知である異なる試験化合物のアレイを用いて、関心対象の標的に対する親和性要素をスクリーニングすることにより、ごく一部の空間を用いて大量の化学的/構造的空間を適切にサンプリングすることが可能になることを発見した。結果として得られる方法は、関心対象の標的に対する親和性要素を同定するための迅速かつハイスループットな方法を提供する。いかなる特定の仮説にも拘泥しないが、本発明者らは、所与のサイズの標的に対する途方もなく多数の起こり得る配置が、実際には、非常に限られた数の構造形態またはより小さな配列の小片の組合せを形成するため、これまで可能とみなされていたよりもずっと小規模な試験化合物(すなわち潜在的な親和性要素)のアレイに対して関心対象の標的をスクリーニングすることにより、関心対象の標的に対する親和性要素を同定する能力を与えることを提唱する。支持体表面の各試験化合物の組成は公知であるため、この方法は、親和性要素のスクリーニングであって選択ではない。本発明の方法で使用されるスクリーニング可能なライブラリーは、選択可能なライブラリー(109〜1014個)よりもはるかに小さい(約102〜107個)。したがって、親和性要素発見のプロセスは、試験化合物を含む支持体表面で個々の標的をスクリーニングできる速度にしか制限されない。この点で、これは、未知の配列を用いた繰り返し選択が必要とされる現在の選択技術とは異なる。例示的な支持体表面は後述する。
1つの態様において、支持体表面は、アドレス指定可能な試験化合物アレイを含む。「アドレス指定可能な」とは、支持体表面の試験化合物が支持体上の特定の位置に存在することを意味し、したがって、結合事象の検出は、どの試験化合物が標的に結合したかを特定するのに役立つ。
「組成が公知である異なる試験化合物」は、公知の構造および/または組成を有する。したがって、例えば、試験化合物が核酸またはポリペプチドを含むか、またはそれらからなる場合、それらの核酸配列またはアミノ酸配列は公知であり、(必須ではないが)さらなる構造情報も公知である場合がある。さらに、試験化合物は、コア配列または構造の軽微な変異に基づいて、すべてが関連しているわけではない。したがって、試験化合物が核酸またはポリペプチドを含む場合、それらの核酸配列またはポリペプチド配列は公知であるが、試験化合物は、単に、公知の配列を有する一連の変異体/断片でも、所与の抗原に由来する一連のエピトープ/存在し得るエピトープでもない。異なる試験化合物には、所与の試験化合物の変異体(ポリペプチドのイソ型など)が含まれてよいが、アレイ上の試験化合物の少なくとも10%は、構造的かつ/または組成的に無関係である。様々な態様において、アレイ上の試験化合物の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%またはそれ以上が、構造的かつ/または組成的に無関係である。
異なる試験化合物は、関心対象の標的に結合できる任意のクラスの化合物を含むか、またはそれらからなってよいが、異なる試験化合物は、標的に由来しない。本明細書において使用される場合、「由来しない」とは、それらの試験化合物が、スクリーニングされる標的の断片ではないことを意味する。この態様において、例えば、標的が核酸である場合、異なる試験化合物は、標的内部(そのセンス鎖上またはアンチセンス鎖上)に存在するポリヌクレオチドからならない。同様に、標的がタンパク質である場合には、試験化合物は、個々に、標的またはその「アンチセンス」型(すなわち、そのタンパク質標的をコードする、所与のリーディングフレーム中のDNAの反対の鎖上でコードされるポリペプチド。これは、ポリペプチドの疎水性親水性相補性(hydropathic complementary)に基づいて互いに結合する親和性を有し得る)内部に存在するポリペプチドからならない。
これらのアレイが対照化合物をさらに含んでよいこと、およびこのような対照化合物が、限定されるわけではないが、抗体、抗体のFv領域、抗体の可変領域、または抗体の抗原結合領域、および標的に由来する対照化合物を含む、標的結合のための適切な対照として働くのに適した任意のタイプのものでよいことが、当業者には理解されると考えられる。様々な態様において、支持体表面の化合物の最大25%が対照化合物でよい。さらなる様々な態様において、支持体表面の化合物の20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%またはそれ以下が対照化合物である。
別の態様において、アレイ上の異なる試験化合物は、抗体でも、抗体のFv領域でも、抗体の可変領域でも、抗体の抗原結合領域でもない。
本発明において使用するのに適した試験化合物のクラスには、核酸、ポリペプチド、ペプトイド、多糖、有機化合物、無機化合物、ポリマー、脂質、およびそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるわけではない。試験化合物は天然または合成でよい。試験化合物は、いくつかの結合または結合の組合せ(例えば、アミド、エステル、エーテル、チオール、ラジカル付加、金属配位など)、樹状構造物、環状構造物、空洞構造物、または、特異的な付加がなされると骨格として働く多数の近接した結合部位を有する他の構造物のいずれかに基づく、直鎖状または分枝状のヘテロ多量体化合物を含むか、またはそれらからなってよい。様々な好ましい態様において、すべてまたは複数の試験化合物は非天然である。他の態様において、試験化合物は、核酸およびポリペプチドからなる群より選択される。1つの特定の態様において、異なる試験化合物が核酸からなる場合には、標的は核酸ではない。別の態様において、異なる試験化合物は核酸ではない。さらなる態様において、試験標的は核酸ではない。
さらなる態様において、支持体上の異なる試験化合物は、同じクラスの化合物である(すなわち、すべてポリペプチド;すべて核酸、すべて多糖など)。他の態様において、試験化合物は、所望の任意の比率で、異なるクラスの化合物を含む。これらの試験化合物は、当技術分野において標準的な方法を用いて、支持体上にスポットするか、またはインサイチューで合成してよい。試験化合物は、協同的結合のような有用な相互作用を検出するために、組み合わせてスポットするか、またはインサイチューで合成してよい。
支持体は、前述の対照化合物または対照要素、ならびに任意の所与の目的に適した同定用の特徴(RFIDタグなど)をさらに含んでよい。
1つの態様において、異なる試験化合物は、ランダムな選択を行うための任意の技術を用いてランダムに選ぶ。さらなる態様において、異なる試験化合物を選択するためのアルゴリズム的アプローチが使用される。
さらなる態様において、アレイ上のすべてまたは複数の試験化合物は、標的が生物学的分子である場合、標的の由来元である生物中に天然に存在しない。試験化合物がポリペプチドを含む別の態様において、すべてまたは複数のポリペプチド試験化合物は、SWISSPROTデータベース中に存在する完全長ポリペプチドとしても、ポリペプチドの断片としても、SWISSPROTデータベース(ウェブサイトebi.ac.uk/swissprot/)中に存在しない。言い換えると、これらの試験化合物は、天然のタンパク質に由来しない。試験化合物が核酸を含む別の態様において、すべてまたは複数の核酸試験化合物は、GENBANKデータベース中に存在する完全長核酸としても、核酸の断片としても、GENBANKデータベース(ウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/Genbank/)中に存在しない。このような「非天然の」試験化合物を用いるのには少なくとも2つの理由がある。第1に、どんな潜在的な結合空間が、要素の特定の集合によって占有されるかについてはほとんど知られていないことである。多くの代替案に賛成または反対する議論が交わされ得る。第2に、世の中での空間(life space)(すなわち、天然の化合物)は、単に結合すること以上の多くの条件を満たすように選択されており、結合は、世の中において非常に特殊な状態にある。したがって、天然の化合物は、多くの自由度に対する制約を欠点として持ち、これらの制約は、多数の標的に対する親和性要素の検索を不利にするであろう。(下記に考察する)非天然の異なる試験化合物を使用することの予期しない利益は、全般的に、少なくともポリペプチドの場合において、結果として得られる試験化合物が、生活空間の化合物に由来する同様のサイズの化合物セットよりも、可溶性がより高く、溶液中で挙動が良い傾向があり、このことが、本明細書において開示するアレイベースの形式でのもののような結合アッセイ法に利点を与えることである。様々なさらなる態様において、アレイ上の試験化合物の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%またはそれ以上は、標的が生物学的分子である場合、標的の由来元である生物中に天然に存在しない。同様の様々なさらなる態様が、上記に開示した具体的な核酸およびポリペプチドの態様のために企図される。
さらなる態様において、試験化合物は、約(すなわち、±5%)1000ダルトン(D)〜10,000Dの分子量を有する。下記に考察するように、この分子量クラスの範囲内の試験化合物は、本発明による合成抗体(本明細書において「シンボディ」とも呼ぶ)を調製する際に特に有用である。1つの態様において、本発明のこの局面の方法において使用するためのポリペプチド試験化合物は、約1000ダルトン〜4000ダルトン(最大約30個のアミノ酸残基)であり、様々なさらなる態様において、1100D〜4000D、1200D〜4000D、1300D〜4000D、1400D〜4000D、1500D〜4000D、1000D〜3500D、1100D〜3500D、1200D〜3500D、1300D〜3500D、1400D〜3500D、1500D〜3500D、1000D〜2000D、1100D〜3000D、1200D〜3000D、1300D〜3000D、1400D〜3000D、および1500D〜3000Dである。別の態様において、最大10,000ダルトンの核酸アプタマーが使用される(すなわち、約30個の塩基)。
本明細書において使用される場合、標的親和性要素に対する標的の「少なくとも中程度の親和性結合」とは、一般に、少なくとも約(すなわち、±5%)500μMの結合親和性を意味する。様々なさらなる態様において、標的に対する「少なくとも中程度の結合親和性」とは、少なくとも約250μM、150μM、100μM、50μM、または1μMを意味する。様々なさらなる態様において、標的親和性要素は、約(すなわち、±5%)1μM〜500μMの標的に対する結合親和性を有する。様々なさらなる態様において、標的親和性要素に対する標的の中程度の親和性結合とは、一般に、約1μM〜250μM、1μM〜150μM、10μM〜500μM、25μM〜500μM、50μM〜500μM、100μM〜500μM、10μM〜250μM、50μM〜250μM、および100μM〜250μMの結合親和性を意味する。
本明細書において使用される場合、標的への試験化合物の「結合」とは、複合混合物(すなわち、上記のバックグラウンド)における選択的結合を意味し、かつ、伝統的な抗体はしばしば交差反応するため、結合が所与の標的に特異的であることを必要としない。所与の親和性要素に対して許容される標的の交差反応性の程度は、それがどのように使用されるかに依存し、本明細書における教示に基づいて当業者が決定することができる。例えば、本発明の方法において同定される結合物を用いて作製した合成抗体の親和性および選択性を改変するための方法を後述する。このような結合は、限定されるわけではないが、共有結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、弱い非共有結合性の相互作用の複合効果などを含む任意のタイプのものでよい。
試験化合物に対する標的の中程度の親和性結合のために適した特定の条件は、標的および試験化合物(すなわち、ポリペプチド、核酸など)のタイプ、ならびにそれぞれの具体的な構造(すなわち、長さ、配列など)に依存すると考えられる。試験化合物の特定の集団に対する特定の標的の中程度の親和性結合のために適した条件の決定は、本明細書における教示に基づいて、当業者のレベルで十分に対応できる範囲である。様々な非限定的な態様において、以下の実施例において説明するもののような条件が使用され得る。
例えば、非水系条件のような非生物学的条件下でスクリーニングを実施することができる。これは、何らかの段階で生物系を使用する、前述した先の選択方法と対照的である。大半の抗体は、アレイの表面に適用された場合に機能しない。一方、本明細書で開発する結合物質は、表面で機能するようにスクリーニングされる。
結合は、限定されるわけではないが、標的の直接標識、標的の二次抗体標識を含む他の多くの方法によって検出するか、またはSPR電気化学的検出、マイクロメカニカル検出(例えば、共鳴発振器における周波数偏移)、電子工学的検出(コンダクタンスもしくはキャパシタンスの変化)、質量分析法、もしくは他の方法によって直接的に決定することができる。また、検索に集中するために特定のクラスの親和性標的の結合をブロックするために、標的を別の対照化合物(すなわち、タンパク質、薬物、または抗体など)とプレインキュベートしてもよい。結合は、特異性を強調するために、競合的な阻害物質(大腸菌(E. coli)抽出物または血清を含むがそれらに限定されない)の存在下で実施することができる。
別の態様において、これらの方法は、一度に複数の標的に対する親和性要素を同定する段階を含む。本発明の方法は、多重化を容易に受け入れられる。1つの態様において、各標的は、限定されるわけではないが、蛍光体、量子ドット、および放射性標識を含む、様々なシグナル伝達標識で標識される。このような多重化は、最高で標識の解像能力まで達することができる。2つまたはそれ以上の親和性要素に結合した標的は、合計されたシグナルを生じると思われる。アッセイ法を多重化するための他の技術は、本明細書における教示に基づいて使用され得る。
様々な態様において、支持体表面は、100〜100,000,000個の異なる試験化合物のアレイを含む。このようなアレイは、上記に考察した対照化合物または対照要素をさらに含んでよい。他の様々な態様において、支持体表面は、100〜10,000,000個、100〜2,000,000個、100〜5,000,000個、100〜1,000,000個、100〜500,000個、100〜100,000個、100〜75,000個、100〜50,000個、100〜25,000個、100〜10,000個、100〜5,000個、100〜4,000個、250〜1,000,000個、250〜500,000個、250〜100,000個、250〜75,000個、250〜50,000個、250〜25,000個、250〜10,000個、250〜5,000個、250〜4,000個、500〜1,000,000個、500〜500,000個、500〜100,000個、500〜75,000個、500〜50,000個、500〜25,000個、500〜10,000個、500〜5,000個、500〜4,000個、1,000〜1,000,000個、1,000〜500,000個、1,000〜100,000個、1,000〜75,000個、1,000〜50,000個、1,000〜25,000個、1,000〜10,000個、1,000〜8,000個、1,000〜5,000個、および1,000〜5,000個の異なる試験化合物を含む。
本明細書において使用される場合、「核酸」とは、修飾された塩基、糖、および主鎖を含む、任意およびすべての形態の代替核酸である。これらには、DNA、RNA、アプタマー、ペプチド核酸(「PNA」)、2'-5'DNA(DNAの立体構造Aに一致する塩基間隔を有する短縮された主鎖を有する合成材料;2'-5'DNAは、B型のDNAと通常はハイブリダイズしないが、RNAと容易にハイブリダイズすると考えられる)、ロックド核酸(「LNA」)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。核酸類似体には、同様または改善された結合特性を有する天然ヌクレオチドの公知の類似体が含まれる。プリンおよびピリミジンの「類似」型は当技術分野において周知であり、アジリジニルシトシン、4-アセチルシトシン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルクエオシン(queosine)、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、および2,6-ジアミノプリンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明によって提供されるDNA主鎖類似体には、US 6,664,057において考察されているように、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、ホスホロアミダート、アルキルホスホトリエステル、スルファマート、3'-チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3'-N-カルバマート、モルホリノカルバマート、およびペプチド核酸(PNA)、メチルホスホナート結合、または交互のメチルホスホナートおよびホスホジエステル結合(Strauss- Soukup (1997) Biochemistry 36:8692-8698)、ならびにベンジルホスホナート結合が含まれる。Oligonucleotides and Analogues, a Practical Approach、F.Eckstein編、IRL Press at Oxford University Press (1991); Antisense Strategies, Annals of the New York Academy of Sciences, Volume 600, BasergaおよびDenhardt編(NYAS 1992); Milligan (1993) J. Med. Chem. 36:1923- 1937; Antisense Research and Applications (1993, CRC Press)も参照されたい。
「ポリペプチド」という用語は、最も広い意味で使用され、サブユニットアミノ酸、アミノ酸類似体、またはペプチド模倣体の配列を意味する。特に言及した場合を除き、サブユニットは、ペプチド結合によって連結される。ポリペプチドは、天然であるか、(酵素的消化によるもののような)天然のポリペプチドの加工された形態であるか、化学的に合成されるか、または組換えによって発現されてよい。好ましくは、本発明の方法において使用するためのポリペプチドは、標準的な技術を用いて化学的に合成される。ポリペプチドは、特殊な特性を付与するために、(L-アミノ酸に特異的なプロテアーゼに対して耐性である)D-アミノ酸、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の組合せ、βアミノ酸、ならびに他の様々な「デザイナー」アミノ酸(例えば、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、およびNα-メチルアミノ酸など)を含んでよい。合成アミノ酸には、リジンに対するオルニチン、およびロイシンまたはイソロイシンに対するノルロイシンが含まれる。さらに、ポリペプチドは、新規な特性を有するポリペプチドを調製するために、エステル結合のようなペプチド模倣結合を有してよい。例えば、還元型のペプチド結合、すなわちR1-CH2-NH-R2(R1およびR2はアミノ酸残基または配列である)を含むポリペプチドを作製することができる。還元型のペプチド結合はジペプチドサブユニットとして導入することができる。このようなポリペプチドは、プロテアーゼ活性に対して耐性であり、延長されたインビボでの半減期を有すると思われる。親和性要素はまた、側鎖が、アミノ酸の場合のようにα炭素に付いているのではなく、分子主鎖に沿って窒素原子に付いている、ペプトイド(N-置換グリシン)でもよい。
「多糖」という用語は、サブユニットである単糖、オリゴマー(oligimer)、または修飾された単糖でできている任意のポリマー(ホモポリマーまたはヘテロポリマー)を意味する。糖間の結合には、アセタール結合(グリコシド結合)、エステル結合(ホスホジエステル(phophodiester)を含む)、アミド結合、エーテル結合などが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。脂質は、両親媒性脂質、アンフィフィリック脂質、脂肪族脂質、直鎖脂質、分枝状脂質、芳香族脂質、飽和脂質、または不飽和脂質を含む、任意の無極性を含む炭化水素ベースの分子でよい。本明細書において親和性要素として使用できる具体的な脂質のタイプには、リン脂質、脂肪酸、グリセリド(モノ-、ジ-、トリ-など)、スフィンゴ脂質、およびワックスが含まれるが、これらに限定されるわけではない。同様に、他の任意の適切な有機化合物、無機化合物、治療物質、およびポリマーも、本発明に従って親和性要素として使用することができる。
標的は、親和性要素が結合することができる、抗体のFv部分(すなわち、抗体の抗原結合部分)以外の任意の構造物でよく、核酸、ポリペプチド、ペプトイド、多糖、有機化合物、無機化合物、代謝産物、糖オリゴマー、糖ポリマー、他の合成ポリマー(プラスチック、繊維など)、ポリペプチド複合体、ポリペプチド集合体、ポリペプチド/核酸複合体、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド/炭水化物構造物(ペプチドグリカン(peptdidogycan)など)、クロマチン構造物、膜断片、細胞、組織、器官、細胞小器官、無機表面、電極、半導体基板(シリコンベースの基板を含むがそれに限定されるわけではない)、色素、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤー、量子ドット、および医療器具が含まれるが、これらに限定されるわけではない。標的は、下記により詳細に考察するように、単一のこのような構造物、または同じもしくは異なるこのような構造物の多量体(すなわち、ホモ二量体、ヘテロ二量体など)でよい。同様に下記により詳細に考察するように、付加的な親和性要素が使用される場合、別の親和性要素に対する標的は、第1および/または第2の親和性要素に対する標的と同じであるか、または異なってよい。1つの態様において、標的は、抗体でも、抗体を有する細胞でも、抗体を結合する細胞表面受容体(または抗体結合に適したその一部分)でもない。別の態様において、標的は核酸を含まない。さらなる態様において、標的はポリペプチドを含む。
任意の適切な支持体表面を本発明の方法において使用することができ、マイクロアレイ、ビーズ、カラム、光ファイバー、ワイプ(wipe)、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、石英、マイカ、ジアゾ化メンブラン(紙もしくはナイロン)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、紙、セラミック、金属、半金属、半導体材料、量子ドット、コーティングされたビーズ、他のクロマトグラフィー材料、磁性粒子によって提供される表面;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレンなどのプラスチックおよび他の有機ポリマー;ポリピロールおよびポリインドールなどの導電性ポリマー;核酸タイリングアレイ、ナノチューブ、ナノワイヤー、もしくはナノ粒子で装飾された表面などのマイクロ構造もしくはナノ構造の表面;またはメタクリラート、アクリルアミド、糖ポリマー、セルロース、シリケート、および他の繊維性ポリマーもしくはより合わせられたポリマーなどの多孔性表面もしくはゲルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。1つの例示的な態様において、支持体は、上記に開示した1つまたは複数の支持体のような「ディップスティック」器具において使用するのに適した支持体を含む。
本発明のこの第1の局面の方法の1つの非限定的な態様において、標的は、(先に考察したように)検出可能に標識され、例えば、ペプチドまたはタンパク質の場合、標識された抗体によって結合され得るタグで標識される。次いで、この標的は、20アミノ酸長の5,000〜1,000,000個の試験ポリペプチドを含むスライド上のスポット型アレイに添加される。この例では、ポリペプチドは、C末端を介して表面に結合させることができる。これらのポリペプチドの配列は、システインを除く19種のアミノ酸からランダムに作製した。このタイプの実験を実施する場合、典型的には0.1%〜10%のポリペプチドが、標的に対して何らかの結合を示す。結合反応は、各ポリペプチド結合標的に対する特異性の比率を求めることができるように、別の色素で標識した非特異的競合物として、例えば、過剰な(例えば、100倍過剰な)大腸菌タンパク質を含んでよい。最も高い特異性および結合を有するポリペプチドを選ぶことができる。各スポット上のポリペプチドのアイデンティティは公知であり、したがって、選択されたポリペプチドのストックの使用またはこれらのポリペプチドの再合成のいずれかを通じて、さらに使用するために容易に同定することができる。
したがって、別の態様において、これらの方法は、同じ支持体表面または別の支持体表面を競合物と接触させる段階、および標的に結合する試験化合物と競合物に結合する試験化合物の比率を求める段階をさらに含む。これにより、標的に対する高い親和性を有するだけでなく、競合物に対して比較的低い親和性を有する試験化合物の同定が可能になる。1つの態様において、標的はポリペプチドであり、競合物は、限定されるわけではないが、細菌の細胞溶解物またはタンパク質抽出物を含む、細胞溶解物またはタンパク質抽出物を含む。別の態様において、競合物は、検出および結合比率の決定を容易にするために、標的と区別して標識される。さらなる態様において、標的/競合物スクリーニングは、2つまたはそれ以上の別々の支持体表面(例えば、1つには競合物としての大腸菌溶解物、別のものにはサケ精子、別のものには豊富な血清タンパク質)上で実施され、(例えば、行列形式で)様々な競合物全体にわたって結合比率を比較して、適度に特異的であるプローブを同定する。例示的な態様(大腸菌溶解物との競合)を下記に詳細に説明する。
1つの態様において、これらの方法は、(c)少なくとも中程度の親和性で標的に結合しない試験化合物を同定する段階をさらに含む。支持体上の各試験化合物の組成は公知であるため、この第1の局面の方法は、試験される各標的に対する、配列された試験化合物の結合親和性に関する情報を提供する。これらのデータは、限定されるわけではないが、試験化合物および様々な標的に対するそれらの結合親和性(またはその欠如)に関するデータベースの作成を含む様々な目的のために使用することができる。したがって、さらなる態様において、本発明の任意の局面または態様の方法は、本発明の方法を用いて得られるデータをデータベース中に保存する段階をさらに含む。このようなデータは、親和性要素結合親和性(解離定数の定量的測定、結合自由エネルギーの変化、結合エンタルピーの変化、および結合エントロピーの変化を含む)、特異性、および構造/配列、ならびに非親和性要素(すなわち、非結合物)構造/配列を含むが、それらに限定されるわけではない。これらの解析から得られるデータを用いて、どの親和性要素が様々な構造物に結合するか予測することを可能にするデータベースを作成することができる。異なるグループのポリペプチドは、同じタンパク質の異なる表面に結合する傾向がある。この情報は、リード標的解析用のより好適な親和性要素を設計するために使用することもできる。
別の態様において、本発明のこれらの方法は、同じ標的上の異なる部位に結合する親和性要素の組合せを同定する段階をさらに含む。本発明のこれらの方法を用いて選択される親和性要素は、典型的には、標的に対して比較的中程度の親和性(約uM)を有する。同じ標的に非競合的に結合する2つの親和性要素を連結することによって、親和性および選択性を増大させることができる(下記のデータを参照されたい)。したがって、異なる標的部位に結合する親和性要素の組合せが、最初に同定される。天然抗体は、相乗作用でタンパク質上の部位に結合する軽鎖および重鎖変異体を選択することによってこれを行う。軽鎖と重鎖の間の空間は、大部分は固定されており、したがって、最適な結合部位/間隔の組合せは、数百万の抗体変異体から選択される。本明細書において開示する方法は、部位間に本質的に任意の間隔を与えることにより、抗体産生の天然プロセスに勝る利点を有する。標的が二量体または多量体である場合、1つの親和性要素は、標的複合体上の複数の部位に同時に結合することができる(すなわち、各単量体に結合する親和性要素)。例えば、約60%の可溶性タンパク質が、二量体または他の多量体であると推定されている。したがって、多くの場合、単一の親和性要素の2つ(またはそれ以上の)コピーを連結することにより、親和性および/または選択性を増大させることができるが、標的が多量体を含む場合は、2つ(またはそれ以上の)異なる親和性要素を用いることによって親和性および/特異性を増強することができる。
同じ標的上の異なる部位に結合する親和性要素を同定するための任意の適切な技術を使用することができ、多くのこのような技術は当業者に公知である。いくつかの場合において、特にホモ二量体タンパク質の場合、同じ親和性要素を2回使用して、合成抗体を作製することができる(すなわち、結合は依然として異なる部位に対し、1つがホモ二量体ペアの各メンバーに結合する)。1つの非限定的な実施例において、同じ標的上の異なる部位に結合する親和性要素は、標的への第1の親和性要素の結合を促進する条件下で、標的を第1の親和性要素とプレインキュベートし、次いで、標的を1種または複数種の別の親和性要素と接触させて、どの別の親和性要素が、標的に結合された第1の親和性要素の存在下で標的に結合するかを調べることによって同定される。例えば、同じタンパク質上の異なる部位に結合するポリペプチドを発見する1つの方法は、タンパク質標的を1つのポリペプチド親和性要素と共にプレインキュベートし、アレイ上のどのポリペプチドが引き続き結合するかを観察することである。これを繰り返して実施することにより、タンパク質上の標的部位に関して、すべての結合ポリペプチドを分類することができる。別の方法は、すべてのタンパク質特異的ポリペプチド親和性要素をペアになるように組み合わせ、次いでそれらをアレイ上にスポットして、元の標的に対する結合を評価することである。タンパク質の2つの異なる区域に結合する2つのポリペプチド親和性要素は、複数の付加的な親和性を有するはずである。これらのポリペプチド親和性要素が、単一の距離間隔をあけて並んでいなくても、ランダムな分布のポリペプチド間隔がある。平均の間隔が最適な距離ぐらいである場合には、結合の強化が起こり得る。これはまた、表面へのリンカーアームの長さおよび柔軟性の影響を受け得る。このようにして、標的上の異なる部位に結合するポリペプチド親和性要素のペアが、ハイスループットな様式で発見され得る。ペアを発見するための両方のアプローチを支持するデータを下記に考察する。ポリペプチド親和性要素のペアは、混合物として表面に固着させて、協同的結合を利用することができる。しかしながら、ポリペプチドのサブセットしか、最適な間隔で存在しないと思われる。代替手段は、ポリペプチドが選択された間隔で分布され得るように、相互作用しない化学物質で誘導体化しておいた表面上にポリペプチドのペアを固着させることである。別の態様は、表面プラズモンチップに標的を結合させる段階を含み、各ポリペプチドをその上に流して、標的へのその結合を決定する。次いで、ポリペプチド親和性要素の各ペアに対して同じことを実施する。標的上の同じ部位または重複する部位を占めるポリペプチド親和性要素の場合、応答は、個別のポリペプチド親和性要素の平均であると考えられる。異なる部位を占めるものの場合、応答は合計である。選択に対するスクリーニングの有効性の本発明者らの解析によって予測されるように、この技術を用いて、本発明者らは、標的上の2つまたはそれ以上の部位に結合するいくつかのポリペプチド親和性要素を容易に得る。
本発明の方法は、所与の標的に対する(例えば、下記の合成抗体の態様のいずれかにおいて説明するような)2つまたはそれ以上の親和性要素をリンカーによってつないで、合成抗体を作製する段階をさらに含み、その際、下記により詳細に考察するように、標的に対する合成抗体の親和性および/または特異性は、標的に対するいずれか一方の親和性要素単独の親和性および/または特異性と比べて高い。
本発明の方法は、高親和性で完全に一致する1つの合成抗体を作製しようとせず、その代わりに、2つの弱い結合物を発見し、それらを連結して親和性のより高い結合物を作製することがより簡単であることを利用する。いかなる特定の仮説にも拘泥するものではないが、本発明者らは、タンパク質の表面の大半は深いポケットが無いため、表面に十分に結合する(ほぼマイクロモル濃度)、より大型の分子を使用することが有益であると考える。これは、ライブラリーにおける選択によって実施するのは困難である。したがって、本発明者らは、結合要素をスクリーニングするための効率的な方法を開発した。しかしながら、スクリーニング可能なライブラリーは、必然的に、選択可能なライブラリー(109〜1014個)よりもはるかに小さい。これら2つの要求は矛盾するように思われる。本発明者らは、ライブラリーサイズを制限したいが、より大きな分子空間を検索したい。例えば、存在し得る20種のアミノ酸すべてを用いた20アミノ酸ポリペプチドの配列空間は、約1026通りである。本発明者らの驚くべき発見は、タンパク質の表面上に表される構造的空間が、少数の20アミノ酸ポリペプチドによってカバーされるため、これらの2つの要求を満たすことができるということであった。これにより、少数の化合物を用いて、標的1つにつき2つまたはそれ以上の部位上で少なくともマイクロモル濃度のKdを与えるのに十分な空間をカバーすることが可能になる。さらに、このシステムは、スクリーニングによってリードリガンドに到達することを可能にするため、これらのシンボディがハイスループットな様式で作製され得るという重要な意味を有する。
別の態様において、この方法は、適切な距離で2つの親和性要素を連結して、特異性および親和性を増大させる段階をさらに含む。リンカーは、第1の親和性要素および第2の親和性要素をつなぐことができる任意の分子または構造物でよく、核酸リンカー、アミノ酸リンカー、任意のポリマーリンカー(ヘテロポリマーまたはホモポリマー)、PEGリンカー、核酸タイルなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、リンカーは、1つまたは複数のプロリン-グリシン-プロリンサブユニットを含むポリマーである。いくつかの態様において、リンカーは、1つまたは複数のヒドロキシプロリン(hydroxproline)サブユニットを含むポリマーである。プロリンおよび/またはヒドロキシプロリンを含む様々なポリマーは、有用かつ潜在的に最適化可能な剛性特性および弾性特性を有するらせん状構造物を形成することができる。このようなリンカーは、天然の化合物/構造物でよいか、または非天然でよく、核酸類似体、アミノ酸類似体などが含まれるがそれらに限定されるわけではない。親和性要素とリンカーのつながりは、任意のタイプのものでよく、リンカーのタイプおよび親和性要素のタイプに応じて、共有結合、水素結合、イオン結合、塩基対合、静電的相互作用、および金属配位が含まれるがそれらに限定されるわけではない。本発明の合成抗体において使用するのに適切なリンカーの選択は、本明細書における教示に基づいて、当業者のレベルで十分に対応できる範囲である。リンカーは、下記により詳細に説明するように、リンカーの所望の特徴に応じて、剛性または柔軟性でよい。
理想的な連結は、親和性要素の2つの個別の結合定数を有する親和性生成物をもたらすことができる。これに対する1つのアプローチは、1種または複数種のリンカー上に異なる距離で結合した異なる部位に結合する、ポリペプチドのような親和性要素の各ペアの集合を作り、次いで、標的に対する、親和性要素の連結された各ペアの親和性を測定することである(これは、下記により詳細に考察する)。協同的に結合しているものは、標的に対してはるかに高い親和性を有すると考えられる。また、様々な構築物を混合し、それらを標的と共にインキュベートし、次いで標的を除去および洗浄することもできる(例えば、標的がヒスチジンタグ化されている場合にはニッケルビーズ上で行う)。混合物の中から結合する合成抗体は、個々の親和性要素の最適な間隔を有するものであると思われる。高親和性で結合する合成抗体の同定は、質量分析によって直接的に、または各構築物上に同定用のタグを含めることによって間接的に決定することができる。
この手順を実施する過程で、本発明者らは予想外の現象に注目した。いくつかの親和性要素の組合せは、親和性および特異性が約10倍増大した合成抗体をもたらすと考えられる。しかしながら、この増大は距離感受性ではないものの、ポリペプチド親和性要素は、合成抗体中で互いに1nm未満しか離れていない場合には増大を示さない。本発明者らは、真の協同的結合と対立するものとして、このタイプの応答を標的の「ケージング(caging)」と分類する。本発明者らは基本的に、標的がその間でバウンドする局所濃度の高い結合部位が作り出されることに、親和性のこの増加は起因すると考える。
1つの態様において、最適なリンカー距離は、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約(±5%)0.5nm〜約30nmの間隔を提供する。様々なさらなる態様において、間隔は、約0.5nm〜25nm、0.5nm〜20nm、0.5nm〜15nm、0.5nm〜10nm、1nm〜30nm、1nm〜25nm、1nm〜20nm、1nm〜15nm、および1nm〜10nmである。
別の態様において、結果として生じる合成抗体のpH7での正味電荷は、特に親和性要素がポリペプチドを含むか、またはそれからなる場合、+2〜-2である。本発明者らは、この特徴を有する合成抗体が、この特徴を持たないものよりもうまく作用する傾向があることを発見した。
別の態様において、合成抗体は、非特異的に標的に結合する。本発明者らは、驚くべきことに、所与の標的への結合を通じて開発したいくつかの合成抗体が、同様に他の標的に対して高い親和性結合(すなわちnM)を示すことを発見した(下記の実施例を参照されたい)。この態様において、合成抗体は、複数の標的を選択的に標的とするのに使用することができるか、または当業者に公知の技術によって標的特異性を改変することができる。いくつかの応用の場合、さらに高い親和性もしくは選択性またはそうでなければ変化した親和性もしくは選択性を有するシンボディを作製することが望ましい場合がある。したがって、本発明の異なる局面のさらなる態様および完全に任意の態様において、これらの方法は、標的に対する第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方の結合親和性を最適化する段階をさらに含む。このような最適化は、さらに高い親和性結合もしくは特異性のシンボディまたは特定の用途(例えば、クロマトグラフィー材料への可逆的結合)のために調整した任意の範囲の特異的親和性もしくは選択性を有するシンボディを作製するために望ましい場合がある。1つの態様において、最適化は支持体上で実施され、これは標準的な抗体では可能ではない。標的に対する合成抗体の親和性を最適化するための任意の技術を使用することができる。
ポリペプチドベースのシンボディの1つの非限定的な例において、シンボディ中のポリペプチドの1つまたは両方が、アレイアラニンスキャニングに供される。アレイは、出発配列中の各アミノ酸が1つずつアラニン(または適宜、他の任意のアミノ酸)に変更されるように、合成される。次いで、元の標的タンパク質をアレイに結合させる。特定のアミノ酸が結合のために重要である場合には、アラニンで置換されると(最初はアラニンではなかったと仮定する)、それは標的にうまく結合しなくなると考えられる。この手順により、決定的に重要なアミノ酸が同定される。最適化される必要があるアミノ酸は、アラニン置換の影響を最も強く受けるものでもよく、またはそれらでなくてもよい。しばしば、構造解析と組み合わせたアラニン置換から、最適化され得る他のアミノ酸またはポリペプチドの領域が示唆される。決定的に重要なアミノ酸をこの方法によって同定した後、アラニンが決定的に重要な部位または決定的に重要ではない部位の20個の異なるアミノ酸を置換したポリペプチドの新しいセットを合成することができる。ポリペプチドのこれらのセットを標的に対して分析して、特徴の改善した新しいものを発見することができる。より大型のアレイ(30,000個またはそれ以上)を用いる場合、望ましいならば、より高度な初期スキャンを使用することが実際に可能である。例えば、ポリペプチド中の17個の多様な位置の範囲内にある考え得るすべてのアミノ酸ペアを、10個のアミノ酸のすべての組合せで置換することができる(27,200個のこのようなポリペプチドがある)。これにより、それ自体が重要であるアミノ酸を認識すること、およびまた、結合を増強できるペアを成す相互作用または代償的な相互作用もさらに発見することが可能になる。多くの場合、このペアを成すアプローチは、(それ自体で実質的な局所的最適化を提供することにより)後続の最適化の必要性を軽減し得る。他の場合では、これは、後述する後続の最適化ラウンドにどのアミノ酸を含めるべきかを単に決定する。本明細書における教示に基づいて、当業者には、ポリペプチドの重要な構造/機能要素を位置づけるための初期スクリーニングのために可能な、このアプローチの多くの変形法があることが明らかになると考えられる。これは、一度に異なる数(2つより多い)のアミノ酸位置を変更する段階、1つの位置当たりの試験するアミノ酸の数を変更する段階、ポリペプチド中に非天然アミノ酸またはアミド結合したモノマーを含める段階、置換の代わりに切断および欠失を起こす段階などを含んでよい。
最適化方法は、決定的に重要な各部位で、置換された多種多様のアミノ酸(天然または非天然)を有するアレイを構築する段階も含んでよい。例えば、アラニンスキャニングによって指摘された3つの決定的に重要なアミノ酸があり、かつこれらの各部位で20種のアミノ酸変異体が使用された場合、アレイは8,000種のポリペプチドからなるはずである。次いで、標的タンパク質をこのアレイに添加する。元のポリペプチドに対する結合を比較する。これらのアレイ上での選択は、改善した親和性および/または特異性を対象とすることができる。選択した後、改善されたポリペプチドをシンボディ中に再挿入して、より高いか、またはそうでなければ改変された親和性、選択性、および/または結合動態をもたらすことができる。例えば、特定の値に親和性を設定することが望ましい場合がある。これは、動的結合が有用であるクロマトグラフィー、細胞染色、およびセンサーシステムに関連した用途に特に当てはまり、したがって、標的に可逆的に結合するシンボディを作製することが望ましいと思われる。実際には、重要な問題は、親和性よりむしろオン時間およびオフ時間を調整することである可能性がある。これは、結合および遊離の速度論的研究によって実施することができる。このような研究は、適切な機器を用いてアレイ上で実施することができる。
当業者は、本明細書における教示に基づいて、シンボディを最適化するための代替方法を認識するであろう。例えば、ファージディスプレイ系、mRNAディスプレイ系、または酵母/細菌ディスプレイ系を用いて、より好適な結合物を検出することができる。mRNAディスプレイの例として、4000個のオリゴを含むチップを購入することができ、これは、3つの感受性位置に16種の異なるアミノ酸がコードされた置換物を有するはずである。T7を含むプライマーでこれらをプライミングして、インビトロで転写/翻訳されてポリペプチドを生成し得る断片をそのコードmRNAと結合させる。このライブラリーを標的タンパク質に対してパンニングして、改善した結合物を選択することができる。
様々な態様において、これらの方法は、第1の標的または他の標的に結合する別の親和性要素(第3の親和性要素、第4の親和性要素など)を合成抗体につなぐ段階をさらに含む。1種または複数種の別の親和性要素が、第1の親和性要素および/または第2の親和性要素と同じ標的に結合する態様において、1種もしくは複数種の別の親和性要素は、リンカーによって第1の親和性要素および/もしくは第2の親和性要素につながれてよいか、または、別のリンカーでもよく、または異なるクラスの化合物を含むか、もしくはそれからなってもよい1種もしくは複数種の別のリンカー(第2のリンカー、第3のリンカーなど)によって第1の親和性要素および/もしくは第2の親和性要素につながれてよい。複数のリンカーが使用される場合、異なるリンカーによってつながれる親和性要素間の空間的配置は、同じまたは異なってよい。別の親和性要素が、第1の親和性要素および第2の親和性要素と同じ標的に結合する様々なさらなる態様において、リンカーまたは別のリンカーは、標的に対する別の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、標的に対する合成抗体の結合親和性および/または特異性を増大させる、第1の親和性要素および第2の親和性要素に対する別の親和性要素の空間的配置を提供する。
したがって、本明細書において開示するシンボディを作製するための方法は、例えば、限定されるわけではないが、図1〜8において開示するもの、および下記に詳細に考察するものを含む、本明細書において開示するシンボディ態様のいずれかを作製するために使用することができる。
別の態様において、本発明は、本発明のこの第1の局面の方法によって作製した合成抗体を提供する。
本明細書において考察するように、プロテオーム表面空間の構造的複雑さは、マイクロモル濃度程度の親和性で結合できる約1000〜10,000個くらいの親和性要素(ポリペプチドまたは他のポリマーなど)によってカバーすることができ、それらを一緒に連結すると、高い親和性および特異性の合成抗体が生じる。ペアとして組み合わされ、連結され得る1000個くらいの結合物(すなわち親和性要素)のストックを作製して、任意のものに対するリガンドを迅速に作製することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の方法によって単離された親和性要素のプールを含む。ストックは、製造を直ちに開始できるように、大量に予め作製してよい。1人当たり約107個の抗体多様性は、ほぼ何にでも結合できることを思い出されたい。1000個の結合物は、106個のペアに相当し、それらが10通りの異なる方法で連結され得る場合には、このストックは107個のリガンドに相当するはずである。抗体多様性の等価物は、迅速で安価な製造のために棚に保管され得る。
第2の局面において、本発明は、以下を含む合成抗体を提供する:
(a)第1の標的に結合できる第1の親和性要素;
(b)第1の標的に結合することができ、かつ、第1の標的に結合された第1の親和性要素の存在下で第1の標的に結合することができる第2の親和性要素;ならびに
(c)第1の親和性要素および第2の親和性要素をつなぐリンカー;
ここで、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素のうち少なくとも1つは、第1の標的に由来せず;
合成抗体は、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
第1の標的は抗体のFv領域ではない。
本発明のこの局面による合成抗体は、関心対象の任意の1種または複数種の標的に対して得ることができ、一般に、溶液中および表面の両方の標的に結合することができ、したがって、それらの用途の応用範囲が広がる。シンボディ中の親和性要素の空間的配置(すなわち、特定の間隔および/または向き)は、標的に対する個々の親和性要素の親和性と比べて、標的に対する親和性を改善し、したがって、合成抗体は、多種多様の用途に適しており、これらの用途には、例えば、標準的なELISAに似た形式またはマルチプレックスアレイにおけるエクスビボ診断;造影剤としてのインビボでの用途、または特定の適応症に対する治療物質としての用途;アフィニティー分離技術のための結合物質および反応物としての用途(アフィニティーカラムおよびアフィニティービーズが含まれるがそれらに限定されるわけではない);環境物質または生物学的物質の検出器としての用途;ならびに化学反応の触媒としての用途が含まれるがそれらに限定されるわけではない。治療物質として、合成抗体は、標的に結合させるため、もしくは特定の細胞における結合および取込みを媒介するため、または薬物送達のための「スマートドラッグ」として使用することができる。
本明細書において使用される場合、「合成抗体の高い結合親和性および/または特異性」とは、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べた、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べた、任意の増大を意味する。様々な態様において、この増大は、いずれか1つの個別の要素より10倍、100倍、1000倍、またはそれ以上多い。
さらなる態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、約1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する。1つの態様において、本発明のこの局面の方法において使用するためのポリペプチド化合物は、約1000ダルトン〜4000ダルトン(最高で約30個のアミノ酸残基)である。別の態様において、最大10,000ダルトンの核酸アプタマーが使用される(すなわち、約30個の塩基)。
本発明によるシンボディは、使用される親和性要素およびリンカーのサイズに基づいて、任意の適切なサイズのものでよい。
この第2の局面において使用される、親和性要素(すなわち、関心対象の標的に対する親和性要素であると同定された化合物)、標的、リンカー、および他の用語は、本発明の第1の局面において前述したのと同じ意味を有する。さらに、本発明の第1の局面において開示したすべての態様が、本発明の第2の局面において使用され得る。
1つの態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の少なくとも1つは、抗体のFv部分でも、その抗原結合部分でもない。さらなる態様において、第1の親和性要素も第2の親和性要素も、抗体のFv部分でも、その抗原結合部分でもない。第1の標的は抗体のFvではない。さらなる態様において、第1の標的は、抗体でも、抗体を有する細胞でも、抗体を結合する細胞表面受容体(または抗体結合に適したその一部分)でもない。
所与の合成抗体の内部で、第1の親和性要素および第2の親和性要素は同じクラスの化合物(すなわち、核酸、ポリペプチドなど)でよいか、またはそれらは異なるタイプの化合物でよい。例えば、第1の親和性要素は、核酸を含むか、またはそれらからなってよく、第2の親和性要素は、ポリペプチドを含むか、またはそれらからなってよい。1つの態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、ポリペプチドを含むか、またはそれらからなる。当業者は、本発明による多種多様の親和性要素の組合せを認識するであろう。1つの態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、本発明の第1の局面において考察したように、非天然の化合物を含むか、またはそれからなる。さらなる態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、核酸を含みもせず、それらからなりもしない。
1つの態様において、この局面の合成抗体に含める前の第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方の第1の標的に対する結合の解離定数は、約1μM〜500μMである。第1の親和性要素および第2の親和性要素を連結することにより、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する高い親和性および/または特異性を有する合成抗体が提供される。したがって、本発明の合成抗体は、2つのより弱い結合物を、それらを連結することによって組み合わせる。前述したように、本明細書における1つの驚くべき発見は、タンパク質表面に表される構造的空間が、少数の20アミノ酸ポリペプチドによってカバーされることである。これにより、少数の親和性要素を用いて、標的1つにつき2つまたはそれ以上の部位上でマイクロモル濃度程度のKdを与えるのに十分な空間をカバーすることが可能になる。更なる利点は、これらの比較的大型の分子を用いることにより、結果として生じるシンボディの第1の標的に対する結合がリンカー付加によって妨害される可能性がより低くなることである。
様々な態様において、合成抗体に含める前の第1の親和性要素および第2の親和性要素の第1の標的に対する結合の解離定数は、約1μM〜500μM、1μM〜150μM、10μM〜500μM、25μM〜500μM、50μM〜500μM、100μM〜500μM、10μM〜250μM、50μM〜250μM、および100μM〜250μMである。
1つの態様において、最適なリンカー距離は、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する。様々なさらなる態様において、間隔は、約0.5nm〜25nm、0.5nm〜20nm、0.5nm〜15nm、0.5nm〜10nm、1nm〜30nm、1nm〜25nm、1nm〜20nm、1nm〜15nm、および1nm〜10nmである。当業者は、本明細書における教示に基づいて、適切な間隔のためにリンカーを設計することができる。
別の態様において、合成抗体のpH7での正味電荷は、特に親和性要素がポリペプチドを含むか、またはそれからなる場合、+2〜-2である。本発明者らは、この特徴を有する合成抗体が、この特徴を持たないものよりもうまく作用する傾向があることを発見した。
本発明の合成抗体は第1の親和性要素および第2の親和性要素を含むが、これらは、下記により詳細に考察するように、別のこのような親和性要素(すなわち、第3の親和性要素、第4の親和性要素など)を含んでよい。
前述したように、合成抗体は、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する親和性および/または特異性が高い。例えば、第1の親和性要素および第2の親和性要素の配置が、結果として生じる合成抗体の単量体標的に対する親和性を増大させ得る(例えば、図2を参照されたい)。あるいは、第1の親和性要素および第2の親和性要素の配置が、ホモ二量体標的またはヘテロ二量体標的に対する合成抗体の親和性および特異性を増大させる場合もあり、さもなければ個々の親和性要素は単量体に結合することしかできないはずである(例えば、図3を参照されたい)。
第1の親和性要素および第2の親和性要素は第1の標的に結合し、かつ、一般に、標的上の異なる領域に結合する第1の親和性要素および第2の親和性要素のおかげで、標的へのそれらの結合は排他的ではない。例えば、標的が単一の構造物である場合、第1の親和性要素および第2の親和性要素は、標的上の異なる部位に結合し得る(例えば、図2を参照されたい)。あるいは、標的がホモ二量体である場合、第1の親和性要素および第2の親和性要素は同一でよく、かつ、同じ位置に結合してよいが、ホモ二量体の各モノマーに1つが結合する(例えば、図3の左のパネルを参照されたい)。さらなる実施例において、標的がヘテロ二量体ABである場合、第1の親和性要素がAに結合してよく、第2の親和性要素がBに結合してよい(例えば、図3の右のパネルを参照されたい)。当業者は、本発明の開示に基づいた多くの変形例を認識するであろう。親和性要素に対する標的は、従来の抗体によって達成可能ではない距離で存在し得る。この距離は、上述したように、2つの異なる標的に対するものでよい。
本明細書において使用される場合、標的への親和性要素の「結合」とは、複合混合物(すなわち、上記のバックグラウンド)における選択的結合を意味し、かつ、伝統的な抗体はしばしば交差反応するため、結合が所与の標的に特異的であることを必要としない。所与の合成抗体に対して許容される標的の交差反応性の程度は、それがどのように使用されるかに依存し、本明細書における教示に基づいて当業者が決定することができる。例えば、合成抗体の親和性および選択性を改変する方法が、本明細書において説明される。
様々な態様において、本発明の合成抗体は、第1の標的または他の標的に結合する別の親和性要素(第3の親和性要素、第4の親和性要素など)を含んでよい。1種もしくは複数種の別の親和性要素は、リンカーによって第1の親和性要素および/もしくは第2の親和性要素につながれてよいか、または、異なるクラスのリンカー化合物を含むか、もしくはそれからなってもよい1種もしくは複数種の別のリンカー(第2のリンカー、第3のリンカーなど)によって第1の親和性要素および/もしくは第2の親和性要素につながれてよい。複数のリンカーが使用される場合、異なるリンカーによってつながれる親和性要素間の空間的配置は、同じまたは異なってよい。様々なさらなる態様において、任意の別の標的に対する、結果として生じる合成抗体の結合親和性および/または特異性は、標的に対する別の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて高い。
本発明のこの第2の局面による合成抗体の様々な別の態様には、以下のように図面において提供されるものが含まれるがそれらに限定されるわけではない。
図4:本実施例において、合成抗体は、標的Aに結合する親和性要素1、標的Aおよび標的Bに結合する親和性要素2、ならびに標的Bに結合する親和性要素3を含む。リンカーによる3つの親和性要素の空間的配置により、標的Aおよび標的Bのうち1つのみが合成抗体によって結合され得るようになる。1つの非限定的な態様において、標的Aの結合のKdは、Bの結合のKdによって減少する。この特定の実施例において、結合は競合的であり、核酸リンカーのような剛性リンカーが使用され得る。このシンボディは、化学的ORゲートとして作用するか、または別の標的の存在によって1つの標的の結合を制御する作用をする。当業者には、例えば、追加の親和性要素を用いることによって、これを3つまたはそれ以上の標的に一般化することができる。
図5:本実施例において、合成抗体は、標的Aに結合する親和性要素1および親和性要素2を含む。別の親和性要素3および親和性要素4を、親和性要素1および親和性要素2に対するリンカーを用いて空間的に配置して、第2の標的分子Aの協同的結合を提供する。例えば、第2の標的分子Aの結合の解離定数は、第1の標的分子Aの結合の解離定数のものより小さいか、または大きく、したがって、正の協同性または負の協同性が可能であるが、図面には正の協同性のみを示す。これにより、特定の標的分子に対する結合曲線を変更して、低濃度でその結合曲線を超直線(superlinear)または亜直線(sublinear)にすることが可能になる。これは、例えば、低濃度の標的と高濃度の標的とで比率の大きく異なる測定値を生じさせるために使用することができる。
図6:本実施例において、合成抗体は、標的Aに結合する親和性要素1および親和性要素2を含む。別の親和性要素3および親和性要素4を、親和性要素1および親和性要素2に対するリンカーを用いて空間的に配置して、標的分子Bの協同的結合を提供する。これは、協同的結合(正または負)が2つの異なる標的分子間であることを除いては図5と同様である。これは、BがAの結合曲線に影響することを可能にするか、またはその逆を可能にする別の方法である。図4の場合とは異なって、相互作用は競合的ではないが、酵素系におけるアロステリック作用因子により似ている。
図7:結合の際に本発明のシンボディの立体構造的変化もしくは機能的変化を設計するか、かつ/または結合の際にセンサー分子の環境を変更する能力は、抗体または個々のリガンド系に容易に設計することができないシンボディの独特な能力である。本実施例において、合成抗体は、標的Aに結合する親和性要素1および親和性要素2を含み、親和性要素1および親和性要素2にAが結合すると、その前は離れていた2つのシグナル伝達要素(図中で円および四角として表す)のある空間的配置が生じて、標的Aの存在を示すシグナル変化をもたらす。シグナル伝達要素は、例えば、蛍光共鳴エネルギー転移を介して相互作用する2つ(もしくはそれ以上の)蛍光体、または1つの蛍光体および消光物質(エネルギー移動もしくは電子移動のいずれかを介して作用する)を含むか、またはそれからなってよい。蛍光体と第2の分子または単にシンボディの別の部分との他の相互作用は、標的に結合した際に、蛍光体の発光強度、波長、スペクトル分布、分極、偏光、または励起状態動力学を変更するように設計することができる。また、このような立体構造的変化により、蛍光体の吸光度特性を変更することも可能である。他の態様において、シグナル伝達要素は、相互作用して、1つまたは複数の分子の観察される中点電位または電流電圧関係の他の局面を変更する、1つもしくは2つ(またはそれ以上)の電気化学的センサー分子を含むか、またはそれらからなってよい。この種の立体構造的変化は、屈折率の変化を測定する方法(例えば、表面プラズモン共鳴)または材料の表面特性、したがって、境界面での光学的挙動を変更する方法(第二高調波発生のような非線形方法)によって直接観察することができる。さらなる態様において、シグナル伝達要素は、一連のドナーシグナル伝達分子およびアクセプターシグナル伝達分子を含むか、またはそれらからなってよく、これらの分子はすべて遠く離れているため、エネルギー移動は最初は起こらないが、複数の標的分子(同じ標的または異なる標的のいずれかでよい)が結合すると、十分に近づいて一緒にエネルギー(または電子)移動ネットワークを形成する。これにより、シグナル生成が非線形になり、複数の分子(同じまたは異なる)の結合と相関するようになる。
図8:本実施例において、合成抗体は、標的Aに結合する親和性要素1および親和性要素2を含む。別の親和性要素3および親和性要素4を、親和性要素1および親和性要素2に対するリンカーを用いて空間的に配置して、標的Aおよび標的Bの複合体を自己組み立てさせる。本実施例は、本発明のシンボディが複数の構成要素を組織して、構成要素部分からの酵素または他の機能的システムの組み立てを指示できることを実証する。このテーマには多くの変形法がある。この図において、2つの標的は、シンボディに結合することによって統合されて酵素を形成する。変形法には、触媒以外の何らかの機能、または結合が減少した場合には酵素活性もしくは他の機能的活性のために2つのサブユニットを密接に近づけることが含まれるがそれに限定されるわけではない。このシステムは、オペロンが、最終的に遺伝子転写を制御するタンパク質間の相互作用のための鋳型として働くのと同じ意味で、酵素活性または他の機能的活性をプログラムするための柔軟な鋳型を提供する。転写制御システムまたは他の酵素制御システムで認められるのと同じ種類の結合ベースの制御アプローチはすべて、ここで使用することができる。このようなシステムは、(ELISAと同じ意味で)結合シグナルを増幅するために、または化学的、生化学的、もしくは生物医学的プロセスにおいて用いて酵素活性を制御するために使用され得る。
本発明の合成抗体は、溶液中に存在するか、凍結されるか、または支持体に結合されてよい。例えば、合成抗体のライブラリーを作製し、様々なタイプの検出アッセイ法において使用するために適切な支持体上に配置することができる。これは、アレイベースの応用では大半が作用しない従来の抗体よりも優れた明確な利点を提供する。したがって、別の態様において、本発明の1つまたは複数の合成抗体は、直接的または間接的に支持体の表面に結合される。支持体は、アレイ上の各合成抗体のアイデンティティおよび位置が公知であるアドレス指定可能なアレイを含んでよい。このような適切な支持体の例には、マイクロアレイ、ビーズ、カラム、光ファイバー、ワイプ、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、石英、マイカ、ジアゾ化メンブラン(紙もしくはナイロン)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、紙、セラミック、金属、半金属、半導体材料、量子ドット、コーティングされたビーズ、他のクロマトグラフィー材料、磁性粒子;ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレンなどのプラスチックおよび他の有機ポリマー;ポリピロールおよびポリインドールなどの導電性ポリマー;核酸タイリングアレイ、ナノチューブ、ナノワイヤー、もしくはナノ粒子で装飾された表面などのマイクロ構造もしくはナノ構造の表面;またはメタクリラート、アクリルアミド、糖ポリマー、セルロース、シリケート、および他の繊維性ポリマーもしくはより合わせられたポリマーなどの多孔性表面もしくはゲルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。1つの例示的な態様において、支持体は、上記に開示した1つまたは複数の支持体のような「ディップスティック」器具において使用するのに適した支持体を含む。
したがって、さらなる態様において、本発明の第2の局面は、以下を含む支持体を提供する:
(a)表面;および
(b)表面に付着させた、第2の局面の1つまたは複数の合成抗体。
支持体表面は、複数の同じ合成抗体、または複数の異なる合成抗体を含んでよい(その際、各合成抗体は、それ自体が複数のコピーとして存在してもよく、異なる合成抗体中の親和性要素は、異なる化合物クラスのものでよい(すなわち、いくつかの核酸ベースの親和性要素、いくつかのポリペプチドベースのものなど)。固体支持材に結合される場合、合成抗体は、支持材に直接連結されるか、または公知の化学的手段によって表面に結合されてよい。さらなる態様において、合成抗体は、本明細書において考察するように、各合成抗体(または合成抗体のサブセット)がアレイ上で個別にアドレス指定可能となるように支持体上に配置することができる。したがって、誘導体化が標的への合成抗体の結合を妨げない限り、当技術分野において公知の方法を用いて支持体および/または合成抗体を誘導体化して、固体支持材への合成抗体の結合を促進することができる。支持体は、参照または対照用の化合物または要素、ならびに任意の所与の目的に適した同定用の特徴(RFIDタグなど)をさらに含んでよい。
第3の局面において、本発明は、(本明細書において開示するシンボディ態様のいずれかによる)合成抗体を作製するための方法であって、所与の標的に対する少なくとも第1の親和性要素および第2の親和性要素をリンカーによってつなぐ段階を含む方法を提供し、
ここで、第2の親和性要素は、標的に結合された第1の親和性要素の存在下で標的に結合することができ;
第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、第1の標的に由来せず;
合成抗体は、第1の標的に対する第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに標的に対する第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
第1の標的は抗体のFv領域ではない。
本発明の第1の局面および第2の局面に関して上記に開示した用語および態様はすべて、本発明のこの第3の局面に適用される。親和性要素間のつながりは、任意のタイプのものでよく、リンカーのタイプおよび親和性要素のタイプに応じて、共有結合、水素結合、イオン結合、塩基対合、静電的相互作用、および金属配位が含まれるがそれらに限定されるわけではない。本発明の合成抗体を作製する方法において使用するのに適切なリンカーの選択は、本明細書における教示に基づいて、当業者のレベルで十分に対応できる範囲である。さらなる態様において、1つ、2つ、またはそれ以上のリンカーによって、3つ、4つまたはそれ以上の親和性要素を物理的につなぐことができる。これらの各態様において、親和性要素は、すべて同じ化合物タイプ(核酸、タンパク質など)のものでも、異なっても、またはそれらの組み合わせでもよい。様々なさらなる態様において、別の親和性要素が、同じ標的または第1の親和性要素および第2の親和性要素に結合された標的と異なる1種もしくは複数種の標的に結合してよい。複数のリンカーが使用される場合、リンカーは、すべて同じ化合物タイプ(核酸、タンパク質など)のものでも、異なっても、またはそれらの組み合わせでもよい。
本明細書において開示する方法によって作製した合成抗体の利点は、上記に考察する。1つの態様において、これらの方法は、親和性要素の組合せ中の親和性要素(すなわち、第1の親和性要素および第2の親和性要素;第1-第2-第3の親和性要素など)間の適切な間隔を決定する段階を含む。適切なリンカー距離は、結果として生じるシンボディの親和性および/または特異性を最適化するものである。適切な間隔を決定するための任意の適切な技術を使用することができる。1つの非限定的な実施例において、最大100nmの増分をカバーするリンカーの規定のセットを作り、親和性要素を各リンカーにつなぎ、かつ、適切な結合アッセイ法を用いて最適な距離を決定する。リンカーは、例えば、誘導体化したPEGでよいが、上記および以下の実施例で詳細に考察するように、最適な間隔を決定するのに使用できる任意の適切なタイプのものでよい。
別の態様において、最適な間隔を決定する段階は、表面でのリンカーのインサイチューの合成が使用されるシステムを含み、このシステムでは、ひと続きの化合物(例えば、ポリアラニンペプチド)が、2つの可変的に間隔を空けたリジンで差次的にブロックされ、その結果、2つのペプチドを続いて大量に結合させることにより(一方のリジン、ついで他方を取り除く)、あらゆる範囲の間隔を与える。このテーマに関する他の多くの変形法が、ペプチド、核酸または様々な非天然ポリマー、ヘテロポリマー、大環状分子、空洞(cavities)、他の骨格、およびDNAタイリングアレイを用いて可能である。
別の方法は、DNAの柔軟性を利用して、所定の距離だけ離れた2つの親和性要素に一致するオリゴヌクレオチドのセットを作製する段階を含む(図9a)。(下記により詳細に考察する)このシステムのカセット局面により、どの親和性要素が相乗作用を示すか、および距離はどれだけかを容易に決定することが可能になる。限定されるわけではないが、SPR電気化学的検出、マイクロメカニカル検出(例えば、共鳴発振器における周波数偏移)、電子工学的検出(コンダクタンスもしくはキャパシタンスの変化)、質量分析法、もしくは他の方法を含む任意の適切な方法によって、またはスライド上にスポットし、標的を蛍光検出することにより、検出を遂行することができる。SPR測定の例示的なシステムを図9cに示す。図9cに示されるように、1つのスライド上で、複数のポリペプチド組み合わせおよびそれらの距離を試験することができる。このシステムは、費用対効果が大きく、単純で、広範な親和性要素レパートリーに利用可能であり、かつハイスループットに適する。
したがって、第4の局面において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
(a)鋳型核酸鎖に結合した第1の親和性要素;
(b)相補的な核酸鎖に結合した第2の親和性要素;
ここで、第1の親和性要素および第2の親和性要素は、共通の標的に非競合的に結合し;
鋳型核酸鎖および相補的な核酸鎖は、結合してアセンブリを形成し;
第1の親和性要素および第2の親和性要素は、アセンブリ中で離れており;かつ、
鋳型核酸鎖、相補的な核酸鎖のいずれか、または両方が、支持体の表面に結合している。
この局面のさらなる態様において、組成物は、第1の親和性要素および第2の親和性要素に結合した共通の標的をさらに含む。
これらの組成物(「分子計算尺」とも呼ばれる)は、例えば、所与の用途のためにシンボディ中の親和性要素の最適な空間的分離を決定するための本発明の第1、第3、および第5の局面の方法において使用することができる。
鋳型核酸鎖および相補的な核酸鎖は結合して、アセンブリを形成する。この結合は任意のタイプのものでよく、共有結合および塩基対合が含まれるがそれらに限定されるわけではない。また、鋳型核酸鎖および相補的な核酸鎖の1つまたは両方は支持体表面に結合してもよい。この結合は、共有結合のような上述した任意のタイプのものでよいが、鋳型核酸鎖および相補的な核酸鎖は一本鎖核酸、好ましくはDNAである。
親和性要素および支持体は、上記に開示したとおりである。この局面において使用される場合、「離れた(separated)」とは、親和性要素は互いに結合しないが、第1の親和性要素および第2の親和性要素が標的に同時に結合することを可能にする親和性要素の最適な間隔の決定が可能になるように位置していることを意味する。例えば、組成物の異なる種類は、DNAらせん(すなわち、鋳型核酸鎖および相補鎖の塩基対合によって形成されたアセンブリ中の二本鎖核酸)の反復ターンによって離された親和性要素を有する。
この第4の局面のさらなる態様において、本発明は、上記に開示した、支持体表面に結合した複数の組成物を含むアレイを提供し、これら複数の組成物は、以下の1つまたは両方を含む:
(a)第1のリガンドおよび第2のリガンドが各組成物に対して同じであるが、アセンブリ中の第2のリガンドからの第1のリガンドの分離が異なる、複数の組成物;ならびに
(b)第1のリガンドおよび/または第2のリガンドが各組成物に対して異なる、複数の組成物。
この局面で使用される場合、複数は、2またはそれ以上、好ましくは3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。選択肢(a)の組成物は、シンボディ中の第1の親和性要素と第2の親和性要素の最適な距離を決定するために好ましく、選択肢(b)は、アッセイ法を多重化するのに好ましい。
本発明の第4の局面の組成物の支持体への結合は、本明細書において開示するもののような任意の適切な技術によってよい。
この第4の局面において、二本鎖核酸は、プログラムされたナノメートルスケールの間隔を有する、異なる親和性要素ペアのアセンブリに鋳型指示(template-direct)するのに使用される。DNAは、操作するのが容易で、かつ自己組立して、形態が公知である著しく再現性の高い構造物になるため、合成建築物(architecture)を開発するための理想的な材料である。1つの非限定的な実施例において、鋳型鎖は、親和性要素1に結合され、かつ、親和性要素2に結合された相補鎖にアニールされる。このシステムは、親和性要素1が、1つの付加的な塩基分離およびDNAらせんの反復ターンによって親和性要素2から離れるように設計される(図9b)。各塩基は、2つの親和性物質を離すために使用することができる。DNAらせんの各ターンは、およそ4nm、7.5nm、11nmの分離距離に相当する。各親和性要素ペア複合体を、支持体上の独立した位置にスポットし、各複合体に対する標的の相対的結合または実際の結合を、非限定的に蛍光または表面プラズモン共鳴(SPR)を含む任意の適切な技術によって決定する。
この第4の局面の組成物を、ソラレン光架橋戦略を用いてアレイ形式で支持体に結合させることができる(図9(c))。これは、可変鎖の下流の鋳型の領域を認識することができるソラレン-DNA「リンカー」鎖を用いて実施することができる。リンカー鎖が鋳型にアニールされた後、UV光に曝露されると、親和性要素1および親和性要素2を含むDNAらせんへのリンカー鎖の化学的架橋がもたらされる。次いで、過剰なリンカー鎖をアフィニティー分離によって反応混合物から除去し、標的結合活性および特異性を実施する。伝統的な蛍光に基づいたアッセイ法によってスクリーニングを実現することができ、その場合、合成抗体をスライドガラスまたはビーズに結合させ、次いで蛍光標識した標的を用いてスクリーニングする。さらに、合成抗体を金表面に結合させ、SPR、電気化学的検出、マイクロメカニカル検出(例えば、共鳴発振器における周波数偏移)、電子工学的検出(コンダクタンスもしくはキャパシタンスの変化)、質量分析法、または他の方法など標識を用いない技術によってスクリーニングすることもできる。
第5の局面において、本発明は、以下の段階を含むリガンド同定のための方法を提供する:
(a)標的アレイを含む支持体表面を1種または複数種の潜在的なリガンドと接触させる段階であって、支持体上に存在する適切な標的への1種または複数種のリガンドの中程度から高度の親和性結合に適した条件下で実施される段階;および
(b)少なくとも中程度の親和性で1種または複数種のリガンドに結合する標的を同定する段階。
標的アレイは、本明細書において開示する関心対象の標的の任意のアレイでよい。様々な態様において、アレイは、50個、100個、500個、1000個、2500個、5000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、10,000,000個またはそれ以上の標的を含んでよい。さらなる態様において、標的アレイは、結合された標的を同定する際に簡単なように、(化合物アレイに関して上記に開示したように)アドレス指定可能に配列される。結合の検出は、本明細書において別の場所で開示するものを非限定的に含む、当技術分野において公知である任意の方法によってよい。
これらの標的は、本明細書において説明する任意の標的クラスを含んでよい。1つの態様において、標的はタンパク質標的である。さらなる態様において、標的アレイは、ある範囲の異なるタンパク質標識を含み、タンパク質標識は、コア配列の軽微な変異に基づいて、すべてが関連しているわけではない。さらなる態様において、標的は、抗体でも抗体のFv領域でもない。さらなる態様において、第1の標的は、抗体でも、抗体を有する細胞でも、抗体を結合する細胞表面受容体(または抗体結合に適したその一部分)でもない。
同様に、潜在的リガンドは、本明細書において開示する任意の適切な潜在的リガンド(すなわち、化合物または親和性要素)でよい。様々な態様において、潜在的リガンドは、本発明の任意の局面または態様による合成抗体を含む。さらなる態様において、潜在的リガンドは、標的特異性が以前に明らかにされていないものでよい。
上記に開示した用語および態様はすべて、本発明のこの局面に等しく適用される。本発明の合成抗体が使用される態様において、潜在的リガンドとしてスクリーニングされる1つまたは複数の合成抗体は、第1の親和性要素および第2の親和性要素を含み、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも約1000ダルトンの分子量を有しする。さらなるこのような態様において、第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方は、ポリペプチドを含むか、またはそれからなる。あるいは、リガンドの合理的設計により、またはさらにランダムな配列から候補物を構築してもよい。
人工抗体の場合、開始点はほぼ常にタンパク質または他の標的である。変異体のライブラリー(単鎖抗体クローン、ペプチドのファージディスプレイ、アプタマーライブラリーなど)を、タンパク質標的に対してスクリーニングする。単一クローンまたはコンセンサス配列を特定の標的に対する特異的リガンドとして単離する。これらすべてのタイプの実施例において、開始点は、リガンドを単離する対象の特定の標的である。
一方、本発明のこの局面は、リガンドを作製するためのこの標準的手順を覆す。本発明者らは最初に、1つの潜在的リガンド、数個の潜在的リガンド、または潜在的リガンドのライブラリーを作製する。例えば、本発明者らは、(例えば、上記に開示した方法を用いて)、リンカーによって連結されたランダムな(非天然)配列の2つの20量体ポリペプチドからなるシンボディを作製する。1つの非限定的な態様において、シンボディは、約1nM離れて連結された2つの異なるポリペプチドを有する。シンボディを標識し、次いで8000個のヒトタンパク質を含むアレイと反応させる。シンボディが高い親和性および特異性で結合するタンパク質を同定する。このようにして、その特定のタンパク質に対して非常に好適な合成抗体が単離される。本発明の独特な局面は、通常のプロセスが逆転されること、すなわち、潜在的リガンドを作製し、次いで、適切に反応する標的を求めて標的のライブラリーをスクリーニングすることである。
このシステムは、ハイスループットまたはさらに超並列スクリーニングに適する。例えば、多数の潜在的リガンドを、例えば上記に開示した方法および合成抗体を用いて、様々な結合要素、連結、および間隔距離を組み合わせることによって構築することができる。これらを混合(またはコンビナトリアル法によって調製し)、多数の標的と反応させてよい。各標的上のリガンドは、非限定的に質量分析、バーコード方式、または混合した蛍光タグを含む任意の適切な技術によって同定することができる。このシステムの利点は、特定の標的に対するリガンドの親和性だけでなく、アレイ上の他のすべてのタンパク質に対するオフターゲット反応性も決定することである。
このアプローチは、存在し得る標的形状の空間がこの種のスクリーニング戦略には極度に大きすぎ、抗体に似た親和性および特異性を有するシンボディを作製できないと示唆する従来の見識に反する。特定のメカニズムに拘泥するものではないが、本発明者らは、(前述したように)タンパク質表面には極めて限られた数の独特な下部構造があると考える。すなわち、配列空間とは異なり、タンパク質表面に示される構造的空間は、極めて限られている。タンパク質の表面は、限られた数の形状を有する。仮説の第2の局面は、適切に選択された少数のリガンドが、タンパク質表面に存在するすべての形状の構造的相補物を代表し得るということである。例えば、世の中に無い(non-life)配列の20アミノ酸ポリペプチド5,000個は、大半の相補的形状を提供し得る。第3の局面は、これらの形状結合要素のうち2つが一定の距離で維持される場合、結果として生じるシンボディが、妥当なサイズのライブラリーにおいて、その距離だけ離れたところに相補的形状を有する何らかのタンパク質を発見する可能性が高く、協同的に、かつ高い特異性でそのタンパク質に結合すると考えられる。
本発明のこの局面の様々なさらなる態様は、所与の数の候補をスクリーニングするために必要とされる(非常に高価な)マイクロアレイの数を減らすように、タンパク質マイクロアレイ上で抗体およびシンボディをスクリーニングするための方法である。1つの非限定的な実施例において、親和性データは、フローチャンバーに取り付けられたタンパク質マイクロアレイと共にリアルタイムマイクロアレイリーダーを用いて読み取る。単一の抗体またはシンボディを極めて低濃度で含む緩衝液を、少数の標的上で結合が検出されるまで、マイクロアレイの上に流す。これらは、その抗体またはシンボディに対して最も親和性の高い標的であると考えられる。抗体またはシンボディは、特異的である数個の標的を除くすべての標的に対して極めて親和性が低いため、および抗体またはシンボディは、極めて低濃度で添加され、結合が検出された後にフローは停止されるため、ほぼすべての標的が占有されないまま残り、占有された標的さえ、飽和には程遠い。次いで、第2の抗体またはシンボディを用いてこのプロセスを繰り返し、それによって、タンパク質アレイから最大限の利益を得ることができる。
別の態様において、本発明のこの局面の方法を用いて、治療的抗体、診断用抗体、および研究用抗体を含む既存の抗体に対する新規な標的を同定することができる。下記に開示するように、これらの方法は、ハイスループットかつ低コストな様式で、このような抗体の特異性に関する貴重な情報を提供し、かつ、抗体が現在利用できない標的に対して特異的な抗体の同定を可能にする。
第6の局面において、本発明は、本発明による複数の合成抗体を含む支持体を試験試料と接触させる段階および該試験試料に対する合成抗体の結合を対照試料に対する合成抗体の結合と比較する段階を含む、関心対象の試験試料に対する合成抗体プロファイルを同定するための方法であって、対照試料と比べて試験試料中の標的に差次的に結合する合成抗体が、試験試料に対する合成抗体プロファイルを構成する方法を提供する。
この局面で使用される場合、複数とは、2またはそれ以上、好ましくは50、100、250、500、1000、2500、5000またはそれ以上を意味する。試験試料は、関心対象の任意の試料でよく、患者組織試料(非限定的に、血液、血清、骨髄、唾液、痰、咽頭洗浄液、涙、尿、精液、および膣分泌液、または生検材料もしくは腫瘍、または細胞学的検査のために取り出された組織などの外科的標本などを含む)、研究用試料(非限定的に、細胞抽出物、組織抽出物、器官抽出物などを含む)、または他の任意の関心対象の試料が含まれるがそれらに限定されるわけではない。このような患者試料は、関心対象の任意の患者クラスに由来してよい。対照試料は、公知の正常物または他の任意の標準物に由来する同様の組織試料のような任意の適切な対照でよい。したがって、これらの方法は、例えば、診断道具、予想道具、または研究道具として使用することができる。1つの態様において、対照試料は試験試料と同じ支持体と接触させられる。別の態様において、対照試料は試験試料と異なるが、類似または同一の支持体と接触させられる。
この局面において、複数の合成抗体候補(すなわち、10個、20個、50個、100個、250個、500個、1000個、2500個、5000個またはそれ以上)は、例えばプリント済みのスライド上で、アドレス指定可能に配列される。候補物中のリガンドは、予め選択された配列、合理的設計、またはランダム斑列に由来してよい。次いで、これらのアレイは、関心対象の試料をスクリーニングするために使用される。例えば、それらは、正常な対象および罹患した対象に由来する血清でよい。血清の構成要素に結合した合成抗体、および2つの試料間で構成要素に差次的に結合したものを選択することができる。各合成抗体に結合される実際の1種または複数種の標的は、質量分析によって、または合成抗体を親和性物質として用いて標的を精製することによって、アレイから直接決定することができる。
自動合成法、支持体のロボット処理、マイクロフルイディクス、および自動シグナル検出、ならびに解析ハードウェア(例えば蛍光検出ハードウェア)およびソフトウェアを用いて、本発明の異なる局面の方法の段階のいずれか1つまたはすべてを自動化または半自動化することができる。
したがって、別の局面において、本発明は、本発明の方法を実施するための手順をシグナル検出装置に遂行させるための取扱い説明書一式を含む、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体を提供する。例えば、これらの手順は、シグナル処理、標的親和性要素同定段階、および本発明の第2の局面のデータベース化、ならびにその任意/すべての態様を含む。コンピューターで読み取り可能な記憶媒体には、磁気ディスク、光ディスク、有機記憶、および中央処理装置(「CPU」)によって読み取り可能な他の任意の揮発性(例えば、ランダムアクセスメモリ(「RAM」))または非揮発性(例えば、読み出し専用メモリ(「ROM」))大容量記憶システムが含まれ得るがそれらに限定されるわけではない。コンピューターで読み取り可能な記憶媒体は、協同するか、または相互接続されたコンピューターで読み取り可能な媒体を含み、これは、処理装置の処理システム上でもっぱら存在することができるか、または処理装置の近くもしくは遠方にあってよい複数の相互接続された処理システムに分布してよい。
本発明はさらに、本明細書において開示する任意の1つまたは複数の反応物を含むキットも提供する。このようなキットは、例えば、本明細書において開示する方法を用いて、親和性要素を選択し、それらからシンボディを作製するために使用することができる。
実施例1
本発明のこの第2の局面の1つの非限定的な態様において、ポリペプチド4,000個のアレイをスライド上にスポットする。各ポリペプチドは20アミノ酸長であり、その向きがC末端を介して制御されるように、スポットする。ごく一部の存在し得る空間を用いて、大量の配列および化学的空間を適切に標本抽出することができる。例えば、このアレイの場合、1917=5×1021個のポリペプチド配列が存在し得る(最初の3個のアミノ酸は一定に保たれるが、これは必ずしも必要ではなく、システインはチオールを介した結合としてC末端にのみ使用される)が、本発明者らは、たった4×103個の配列を標本抽出し、いくつかのタンパク質に対して中程度の結合親和性および特異性を示すポリペプチドを同定することができる。
標的タンパク質を蛍光色素で標識し、アレイと共にインキュベートする。標的タンパク質に結合するポリペプチドを決定する。あるいは、本発明者らは、非標識の親和性タグ化型の標的タンパク質をインキュベートし、タグに対する二次抗体を用いて結合を検出した。各スポット上のポリペプチドの各配列は既知である。したがって、このプロセスは、要素のスクリーニングであって、選択ではない。したがって、リガンド発見のプロセスは、プリント済みのポリペプチドアレイ上で個々の標的をスクリーニングできる速度によってのみ制限される。この意味で、これは、未知の配列を用いた繰り返し選択が必要とされ、標的に結合する要素のみが決定されるが、結合しないものは不明であるアプタマーパンニング法、ファージパンニング法、または他のパンニング法とは異なる。
このような小さな配列空間が効果的な結合物を生じ得るかどうかは、結合空間がどのような形状であるかに依存する。相対的な結合親和性の勾配が、最適なポリペプチドの近くで非常に急である場合、4,000個のポリペプチドのうち1つが、最適なポリペプチドの内の1つに接近している可能性は低い。しかしながら、結合空間の勾配がゆるやかである場合には、「山腹」にあるポリペプチドを見出すことができる。最適なポリペプチドの決定を配列類似性に頼る場合には、4,000個のポリペプチドにおいて、最適なものに類似した配列を有するものが、(17量体のポリペプチドの場合)1021個の存在し得る形態(possiblity)で見出される可能性は非常に低い。
この分野の大半の専門家は、このプロセスは機能しないと考えたが、実際は機能する。上記の論理と一致して、あるタンパク質上の特定の部位に結合するポリペプチドの大半の配列は相互に似ていない。したがって、いかなる仮説にも拘泥しないが、本発明者らは、ペプチド配列空間への新しい洞察となる、以下の説明を提案する。本発明者らは、1021個の存在し得る17量体ポリペプチドは、実際には極めて限られた数(約4000個)の構造形態を形成すると提唱する。この見解は、いくつかの重要な予測および含意を有する。第1に、空間の大きさははるかに小さいと思われる。したがって、各最適配列の近くに、必ずしも何らかの配列類似性を有するとは思われない、構造的に関連した山腹のポリペプチドがあると思われる。第2に、いくつかのタンパク質が特定のペプチドに結合し得るが、そのペプチドを変更して、どちらか一方により上手く結合するようにすることができる。言い換えると、同じ4000個のポリペプチドが、事実上無制限な数の標的に対するシンボディを作製するのに必要とされるすべてであり得る。
所与の標的に対する1組の親和性物質を単離した後、本発明者らは、これらを直接使用するか、またはそれらを使用して人工抗体を作製することができる。後者の場合、本発明者らは、標的上の異なる部位に結合する2つまたはそれ以上の要素を同定する。これを実施するために、本発明者らは、例えば、標的ポリペプチドを用いて標的結合をブロックするか、もしくはスライド上にそれらを同時にスポットすることができ、または本発明者らは、DNAリンカー上にペアを置いて、ペアおよび間隔を同時に決定することができる(図9c)。親和性要素のペアは、それら自体が貴重である場合がある。
次いで、本発明者らは、前述の測定用のシステムを用いてシンボディを作製する。第1の親和性要素は、DNA鋳型鎖に共有結合され、親和性要素2は、相補鎖上の異なるヌクレオチド位置に別個に結合される。本発明者らは、DNAの2本の鎖をアニールし、表面プラズモン共鳴(SPR)Flexchip上の400個の異なる部位に複合体を固定化する。次いで、本発明者らは、関心対象の標的を支持体の上に流して、結合が強化された様々なリガンドペアおよびリガンドペアの分離距離を同定する。結合が最も強化されたリガンドペアおよびリガンドペア分離距離を、直接使用するか、またはSPR解析において決定した距離パラメーターに基づいた合成テザーを用いて再構築する。本発明者らは、このプロセスを用いて、下記の実施例6で詳細に説明するように強化された結合を示すGal80に対するシンボディを作製した。Gal80シンボディは、溶液中(Elisa形式)および固体表面上で、高い親和性および高い特異性で機能する(実施例8を参照されたい)。
本発明の第2、第3、および/または第4の局面において上記に開示した技術を用いて開発したシンボディは、表面に固定化された場合に機能し、また、溶液相での結合物質としても機能する。1回の実験から得られる最も結合性の高いシンボディ候補物をELISA実験における検出物質として使用し、シンボディ、シンボディ上の各ポリペプチド、およびDNA主鎖の溶相相での解離定数(Kd)を決定した(実施例8を参照されたい)。このデータは、適切な距離にある相乗作用的なポリペプチドの使用を通じて、結合親和性の大幅な増大を実現できることを実証する。このアプローチのさらなる利点は、シンボディが単一のアッセイ法で発見されること、次いで、機能的アッセイ法における検出物質として直ちに使用するのに有用なシンボディが十分にあることである。これは、事実上、発見および作製を結び付けて一段階にして、シンボディの開発時間を劇的に短縮する。
実施例2 シンボディに対する親和性要素のマイクロアレイ選択
本実施例では、ランダムなポリペプチドのアレイ上で標的をスクリーニングすることによる親和性要素の同定を実証する。ポリリジンで表面コーティングされたスライドガラス上に、約4,000個の異なるポリペプチド組成物(ポリペプチド組成物1つ当たり2つのレプリケートアレイフィーチャー(feature))をロボットでスポットすることにより、マイクロアレイを調製した。各ポリペプチドの長さは20残基で、グリシン-セリン-システインを含んだ。これら3つのC末端残基および残りの残基は、システインを除く20種の各天然アミノ酸が各位置で選択される確率が等しい、擬似ランダム計算プロセスによって決定した。表面への正確な結合を促進するため、システインはC末端位置以外で使用しなかった。マレイミド(スルホ-SMCC、スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシラート、図10(a)を参照されたい)(図10(b)に示すように、ポリリジン表面コーティングのリジン単量体のεアミンに共有結合されている)にポリペプチドのC末端システインをチオール結合することによって、ポリリジン表面コーティングにポリペプチドを結合させた。これらのポリペプチドは、Alta Biosciences(Birmingham, UK)によって合成された。最初に、各ポリペプチドをジメチルホルムアミドに一晩溶解し、かつ、ポリペプチドの最終濃度が約2mg/mlになるように、等体積の水を添加することによって、マスターのストックプレートを調製した。マスタープレートから得た等体積のポリペプチドを、ポリペプチドの最終濃度が約1mg/mlになるようにリン酸緩衝化生理食塩水で希釈することによって、作業用のスポットプレートを調製した。SpotArray 72マイクロアレイプリンター(Perkin Elmer, Wellesley, MA)を用いて、2つ組でポリペプチドをスポットし、プリント済みのスライドは、使用するまでアルゴン雰囲気下、4℃で保管した。意図したアレイアッセイ法と適合性のある様式でアレイ表面にポリペプチドを固定化するために実施可能な他の任意のスポット/固定化化学および/または方法を使用してよい。非限定的な例として、ポリペプチドは、ポリペプチドのC末端残基とリジンのεアミンとのアミド結合を介してポリリジン表面コーティングに直接結合させてもよく、または、アミノシランもしくは表面に露出した他の官能化遊離アミンに結合させてもよい。また、SMCC以外のリンカーまたはSMCCに加えたリンカーを使用してもよい。非限定的な例として、PEGリンカーを用いて、支持体から離してポリペプチドを配置してよい。アミン以外の表面官能基化を使用して、提供される表面部分に親和性要素の結合に適した結合化学を用いて結合させることができる。いくつかの態様において、表面固定化は非共有結合性でよい。
大腸菌溶解物競合物の存在下、ポリペプチドマイクロアレイ上でトランスフェリンをインキュベートすることによって、自由裁量で選択したタンパク質標的であるトランスフェリンに対するシンボディのための候補親和性要素としていくつかのポリペプチドを同定した。トランスフェリンの遊離アミンをAlexa(商標)555でランダムに直接標識し、大腸菌溶解物の遊離アミンをAlexa(商標)647でランダムに直接標識した。BSAおよびメルカプトヘキサノールの混合物を1時間添加することによって、3つのレプリケートアレイを不活性化した(passivized)。これらのアレイを非標識の大腸菌溶解物で1時間ブロックし、次いでTBST(0.05% Tween)で3回、続いて水で3回洗浄した。標識したトランスフェリンおよび標識した大腸菌溶解物の混合物を3つのレプリケートアレイに添加し、3時間インキュベートした。これらのアレイを再びTBST(0.05% Tween)で3回、続いて水で3回洗浄し、かつ、アレイリーダーを用いて555nmおよび647nmでスキャンした。6つのレプリケートフィーチャーの555nmでの生データ強度の平均値を2乗し、6つのレプリケートフィーチャーの647nmでの生データ強度の平均値で割った値に等しい各ポリペプチドのスコアを算出することによって、シンボディの親和性要素として含める候補物としてポリペプチドを分類した。この単純なスコア付け機能は、少なくとも中程度の親和性で結合する候補ポリペプチドに有利な傾向があり(そうでなければ、555nmでの強度は相対的に低くなるはずであるため)、かつ、比較的特異的である候補ポリペプチドに有利な傾向がある(そうでなければ、647nmでの強度が相対的に高くなり、相対的に低いスコアをもたらすはずであるため)。このランキングおよび同定のプロセスの多くの変形例を使用することができ、例えば、非限定的な例として、他の競合物に対する二色比較;他の標的に関する別々の実験で得られたデータとの比較;ならびに他の因子を考慮し、他の関数関係を使用し、かつ/もしくは統計解析を使用し、かつ/もしくはデータを前処理し、かつ/もしくはバックグラウンドの蛍光および/もしくは測定される強度の正確性に影響を及ぼす他の因子を補正する、スコア付け機能の使用などである。最もスコアの高いポリペプチドを選択することにより、シンボディ中の親和性要素としての使用に関してさらに評価するために、10個のポリペプチド(表1)を同定した(1つのポリペプチドは合成が困難であるため不採用とした。したがって、選択したポリペプチドは、11個の最高スコアを有するものの内の10個であった)。
(表1)トランスフェリン結合親和性要素
Figure 2010507099
実施例3 DNA連結シンボディのための親和性要素のマイクロアレイ選択
本実施例では、シンボディ中に組み込むための親和性要素を同定するためのプロセスの別の態様を実証する。標準的な4,000フィーチャーのポリペプチドマイクロアレイを用いて実施したいくつかのポリペプチドマイクロアレイ実験からデータを取得し、解析することによって、Gal80に特異的なDNA連結シンボディのための15量体ポリペプチド親和性要素を同定した。この各フィーチャーは、C末端がグリシン-セリン-システインで終わり、擬似ランダムアルゴリズムによって20種の天然アミノ酸のうち8種から選択した他の12残基を有する、長さ15残基のポリペプチドを含んだ。蛍光体で標識した4種のタンパク質標的、すなわちgal80、gal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80、トランスフェリン、およびα-抗トリプシンをLC Sciences社の所有するプロトコルに従うアレイ解析のためにLC Sciences社に提供し、結合(蛍光強度)データを取得した。ランダムペプチドアレイに対してスクリーニングするために、製造業者のプロトコルに従って、Cy3蛍光色素およびCy5蛍光色素(GE Healthcare)でGal80を標識した。Nanodrop ND-100分光光度計(Nanodrop Technologies)においてProteins and Labels設定を用いて、色素対タンパク質の比率を求めた。Cy3標識Gal80およびCy5標識Gal80の色素対タンパク質の比率はそれぞれ3.4および5.0であった。ペプチドアレイをブロックするために使用したブロッキング溶液は、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.5%脱脂乳、0.05%Tween-20の1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶液(pH7.4)から構成された。次いで、ブロッキング後、0.05% Tween-20の1×PBS溶液(pH7.4)から構成された洗浄緩衝液で各アレイを3回洗浄した。インキュベーション緩衝液は、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.5%脱脂乳の1×リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶液(pH7.4)から構成された。Axon GenePix 400B Microarray Scanner (Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して、ペプチドアレイの画像を取得した。アレイの最初のスキャンは、アレイ上の各ペプチドからの任意のバックグランド蛍光を決定するために取得した。タンパク質インキュベーションの後に得られた蛍光強度をバックグラウンド蛍光から引き、解析のためにMicrosoft Excelにエクスポートした。
Gal4結合ポリペプチドは、特定の結合部位(gal4結合部位)でgal80に結合することが公知である。アレイポリペプチドのうち142個が、gal80に上記の閾値蛍光強度で結合し、アレイポリペプチドのうち29個が、gal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80に上記の閾値蛍光強度で結合し、アレイポリペプチドのうち10個が、gal80およびgal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80の両方に上記の閾値蛍光強度で結合した。gal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80に結合したが、gal80単独には結合しなかったポリペプチドは、gal4結合ポリペプチドに結合している可能性が高いため不採用とした。gal80単独に結合したが、gal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80には結合しなかったポリペプチド(これらのポリペプチドが、gal80上のgal4結合部位に結合していることを暗示する)の強度データを、トランスフェリンおよびα-抗トリプシンに関する、同じポリペプチドの強度データと比較した。トランスフェリンまたはα-抗トリプシンのいずれかに有意な結合を示しているポリペプチドを除外し、残っているポリペプチドのうちで、gal80に対して最も高い強度で結合するポリペプチドをgal80シンボディに組み込むための第1の親和性要素として選択した。gal80単独およびgal4結合ポリペプチドと複合体を形成したgal80の両方に結合したポリペプチド(これらのポリペプチドが、gal4結合部位以外の部位でgal80に結合していることを暗示する)の強度データを、トランスフェリンおよびα-抗トリプシンに関する、同じポリペプチドの強度データと比較した。やはり、トランスフェリンまたはα-抗トリプシンのいずれかに有意な結合を示しているポリペプチドを除外し、残っているポリペプチドのうちで、gal80に対して最も高い強度で結合するポリペプチドをgal80シンボディに組み込むための第2の親和性要素として選択した。選択したポリペプチドの配列は、表2に示すとおりであった。
(表2)Gal80結合親和性要素
Figure 2010507099
実施例4
トランスフェリンシンボディ親和性要素の結合特徴のSPRによる検証
本実施例では、親和性要素の結合特徴のSPR測定を実証する。図11に例示したように、アミンカップリングによって、Biacore T100 CMS Dextran SPRチップのカルボキシル官能化表面にトランスフェリンを固定化した。EDC(0.4M 1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド水溶液)およびNHS(0.1M N-ヒドロキシスクシンイミド水溶液)の1:1混合物を接触時間約6〜10分間、流速5〜10μl/分で適用して(300)、表面に露出したカルボキシル基にマレイミド306を結合させることによって表面を活性化した。次いで、pHを補正するために選択した固定化緩衝液中のトランスフェリン25μg/mlを接触時間約5〜10分間、流速5〜10μl/分で適用して(302)、トランスフェリン308上のアミン官能性に、活性化されたNHSエステルを置換させ、アミド結合を介して表面に結合させた。最後に、エチレンジアミン(1Mエチレンジアミン-HCl、pH8.5)を接触時間約6〜7分間、流速5〜10μl/分で適用して(304)、デキストランチップ表面上の任意の残存する反応性基を不活性化した。流速および接触時間は、意図した用途のために望ましい標的の表面濃度を提供するために必要に応じて調整され、かつ標的によって異なってよい。一般に、結合が起こるかどうかを評価するためには、比較的大量の標的を固定化することが好ましく、より速い流速および/またはより長い接触時間が使用され得る。動態を決定するためには、固定化する標的の量を制限して再結合および結合活性の影響を最小限にすることが好ましく、より遅い流速および/またはより短い接触時間が使用され得る。
SPR解析によって、トランスフェリンシンボディTRF19、TRF21、TRF23、TRF24、TRF25、およびTRF26のための候補親和性要素のトランスフェリンに対する溶液相KDを個別に評価した。これらのポリペプチドの解離速度は非常に速かったため、2倍希釈系列の少なくとも5種の濃度における定常状態応答を測定することによってKD値を推定した。各濃度は2つ組で試験した。各実験において、参照表面を用いて応答データを処理して、バルク屈折率の変化および任意の非特異的結合を補正した。また、ブランクの泳動用緩衝液注入からの応答を用いて、データを二重に参照(double referenced)した。Biacore T100機器において、PBST(0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水、0.138M NaCl、0.0027M KCl、0.05%界面活性剤Tween20、pH7.4)を泳動用緩衝液として用いて、各実験を25℃で実施した。分析物を流速30μl/分で60秒間注入した。NaOH/NaCl(1M NaCl中50mM NaOH)およびグリシン(10mMグリシン-HCl、pH2.5)を30秒間連続的にパルスして、抗原表面を再生した。概算のKD値を表3に示す。
(表3)トランスフェリンシンボディの候補親和性要素のKD
Figure 2010507099
実施例5 標的上の異なる/複数の部位への親和性要素結合のSPR解析
本実施例では、タンパク質標的上の異なる部位に結合するポリペプチド親和性要素を同定するためのSPRに基づいた方法を実証する。上記の実施例4で説明した方法に従って、トランスフェリン標的をBiacore T100 SPRチップ上に固定化し、候補ポリペプチドをペアの1:1の混合物として添加し、応答データを得た。図12に示したように、固定化した標的の上に候補ポリペプチドを流すと、理想的には、単独で添加した1つのポリペプチドが、標的上の第1の結合部位に結合し、第1の特徴的なSPR応答レベルを生じ(図12(a))、他のポリペプチドは、標的上の第2の異なる結合部位に結合して、第2の特徴的な応答レベルを生じ(図12(b))、2種のポリペプチドを一緒にした混合物(前と同じ濃度)は、これらのポリペプチドが異なる結合部位に結合するため、各ポリペプチド単独によって生じた応答レベルの合計に近い応答レベルを生じると思われる(図12(c))。しかしながら、これら2種のポリペプチドは標的上の異なる結合部位に結合しないが、その代わりに同じ結合部位を求めて競合することも起こり得(図12(d))、この場合、予想されるSPR応答は、いずれか一方のポリペプチドによって別々にもたらされる応答レベルと2種の合計の中間である。図13は、実施例2において説明するようにして同定したポリペプチドのいくつかのペア(表1を参照されたい)を評価した結果を示す。他のペアのうちでは、TRF23およびTRF26が、トランスフェリンに対して約50〜100μMのKD範囲の溶液相親和性を有し(表3を参照されたい)、トランスフェリン上の異なる部位に結合することが判明した。
異なる結合部位に結合する能力を決定するための解析は、標的に結合する際に2つの親和性要素が互いに干渉するか否かを評価するために実施可能な他の任意の方法によって実施することができる。非限定的な例として、これは、アレイ実験、SPR、または他の任意の適切な方法により、標的に対するポリペプチドの結合特徴を、標的特異的抗体に予め結合させた標的と比較することによって実施できる。抗体が存在する場合および抗体が存在しない場合に標的に結合するポリペプチドは、その抗体が結合する部位以外の部位に結合する可能性が高いこと、ならびに抗体が存在しない場合に標的に結合し、かつ抗体が存在する場合には結合しないポリペプチドは、その抗体が結合する部位に結合する可能性が高いことが推測され得る。
実施例6 DNAリンカーシンボディの合成
本実施例では、DNAリンカーによって連結された、実施例3において説明するようにして同定した2つの15量体ポリペプチド親和性要素を含む、gal80に特異的なシンボディの合成を実証する。この構造物は、図15に概略的に示す。配列は、2次構造物の予測される形成をもたらすべきではなく、BLAST検索によって決定した際にいかなる天然配列に類似でも同一でもあるべきではなく、かつ可変鎖は、親和性要素の結合が望まれる位置にシトシン残基を有するべきである(他の結合様式が使用されてもよいが、便宜上、使用した結合は、シトシン残基のC6アミン修飾を含んだ)という制約を条件として、DNAリンカー配列をランダムに決定した。鋳型鎖314の5'末端シトシン残基をアミン修飾して、マレイミドリンカー328を介したポリペプチド親和性要素330の結合を可能にした。可変鎖316は、鋳型鎖に対して逆相補的であり、内部のシトシン残基をアミン修飾して、やはりマレイミドリンカー332を介した他のポリペプチド親和性要素334の結合を可能にした。それぞれ異なる位置がアミン修飾された可変鎖のライブラリーを得て、親和性要素間の分離距離の範囲に対応する、結合点の範囲を提供した。結合点の決定はまた、DNA主鎖の反対側に親和性要素を位置づけることを回避するために、DNAらせんに沿った残基の角度の向きも考慮に入れた。生理学的条件下の溶液中のB-DNAの場合、二重らせんは、約10.4〜10.5塩基対で完全に一周回転し、10塩基対当たりの長さは約3.4nmである。らせんの縦軸の回りにほぼ同じ角度位置で親和性要素の結合点を整列させるために、および親和性要素が反対の鎖に結合されることに留意して、約10.5個(1つの完全な回転)プラス約4個(鎖間の角度位置の差に相当する)、プラスまたはマイナス約2個または3個(親和性要素は必ずしも、互いに完璧に整列されることによって標的に最適に結合するわけではないため)のおよそ偶数倍数の分離距離で、結合点を含む塩基を選択することができる。様々な結合点をスクリーニングすることにより、親和性要素の様々な分離距離および相対的向きを試験することができる。本明細書において説明する実施例の場合、(可変鎖の3'末端から数えて)13番目、15番目、17番目、24番目、26番目、および28番目にアミン修飾されたシトシンを有する可変鎖を得た。アミン修飾されたシトシン(以下、dC C6)は、5'-ジメトキシトリチル-N-ジメチルホルムアミジン-5-[N-(トリフルオロアセチルアミノヘキシル)-3-アクリルイミド]-2'-デオキシシチジン、3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト(図14を参照されたい)を用いてオリゴヌクレオチド中に組み入れた。これらは、シチジン塩基の5番炭素から伸びたトリフルオロアセチルアミノヘキシル部分310を有する。
Williams BAR, Lund K, Liu Y, Yan H, Chaput JC: Self- Assembled Peptide Nanoarrays: An Approach to Studying Protein-Protein Interactions. Angew Chem Int編、2007, 46:3051-3054に詳細に説明されている方法に従って、これらのポリペプチドを合成DNA鋳型314および可変鎖316に結合させた。2つのDNAオリゴヌクレオチド、鋳型鎖314(
Figure 2010507099
5'末端dC C6 は、前述のアミン修飾されたシトシンである)、および可変鎖316(
Figure 2010507099
3'末端から数えて13番目に現れるdC C6がアミン修飾されたシトシンである)を、Keck Oligonucleotide Synthesis Facility (Yale University)から購入した。アセトニトリル中SMCC(1mg/mL)200μLを0.1M KHPO4緩衝液(pH7.2)中DNA(20nmol)200μLと混合することによって、これらのアミン修飾されたシトシンのトリフルオロアセチル部分(312、図14)を、二価性リンカーである4-(マレイミドメチル)-1-シクロヘキサンカルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC、Sigma Aldrich)(328、332)に結合させた。室温で3時間インキュベーションした後、SMCC(10mg/ml)の2つめの分量(20μL)を添加し、反応を室温で一晩継続させた。Nap-5カラム(Amersham Bioscience)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって、SMCCを結合させたDNA試料から過剰なSMCCを除去した。ポリペプチド-オリゴヌクレオチド結合体を構築するために、Gal80結合ポリペプチド330
Figure 2010507099
を、0.1M KHPO4緩衝液(pH7.2)200μLに溶かしたSMCC結合鋳型鎖314(2nmol)と共にインキュベートし、かつ、Gal4活性化ドメインペプチド334
Figure 2010507099
を、0.1M KHPO4緩衝液(pH7.2)200μLに溶かしたSMCC結合可変鎖316(2nmol)と共に室温で3時間インキュベートして、これらのポリペプチドのC末端システインをそれぞれSMCCリンカー328、332に結合させた。ポリペプチド-オリゴヌクレオチド結合体をHPLCで精製した。これら2つのポリペプチド-オリゴヌクレオチド結合体は、ワトソン-クリック塩基対合によって容易にハイブリダイゼーションを受ける。
Gal80-鋳型鎖結合体314を、チオールを含むDNAオリゴヌクレオチド318
Figure 2010507099
に架橋結合させた(338)。このチオールを含むDNAオリゴヌクレオチド318は、鋳型鎖314の3'末端領域の一部分に部分的に逆相補的であり、鋳型鎖に部分的にハイブリダイズすることができ(次いで、安定性のために鋳型鎖314に架橋結合させた(338))、チオールを含むオリゴ318の3'末端は、シンボディ構築物から一本鎖を伸ばし、かつ、チオール修飾因子320を介して、マレイミドで修飾したビオチン322に対する結合部位を提供し、その結果として、ストレプトアビジン324を結合させたHRP326が結合され得る部位を提供することにより、ELISAタイプのアッセイ法におけるこの構築物の使用を可能にする。第3のDNA鎖318を含めることは、任意である。第3のDNA鎖318を使用する場合、鎖のハイブリダイズしていない部分に任意の所望の実体を結合させるために実施可能な任意の結合化学を使用することができる。非限定的な例として、任意のマレイミドをチオール修飾因子に結合させることができ、マレイミドで修飾したビオチンを使用する場合は、ストレプトアビジンを連結した任意の実体をビオチンに付けることができる。20μLの架橋緩衝液(100mM KCL、1mMスペルミジン、200mM Hepes pH7.8、および1mM EDTA pH8)中で、90℃で5分間、Gal80-鋳型結合体40μL(2nmol)およびソラレンを含む鎖4.8μL(4nmol)を用いてハイブリダイゼーションを起こさせ、次いで、氷上で30分間冷却した。この試料を96ウェルの平底NUNC透明プレートの1つのウェルに入れ、紫外線光(366nm)を15分間放射した。ビオチン化した相補的DNA鎖を含むストレプトアビジン磁性ビーズ上で、未反応の架橋DNAを精製した。フロースルー液を、架橋したGal80-鋳型結合体として採取し、1M NaClの存在下、90℃で5分間インキュベートすることによって等モル比のGal4-可変鎖とハイブリダイズさせ、次いで、氷上で30分間冷やした。使用する前に、室温で30分間、10mM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド)と共にインキュベートすることによって、架橋したDNA上のジスルフィド結合を30分間還元した。マイクロコンYM-10分子量スピンカラム(Millipore)を用いて、メルカプトプロパンを除去した。
実施例7 シンボディの合成
本実施例では、先に同定したポリペプチド親和性要素(図16に示す配列)を用いた、図16に示すシンボディの合成を実証する。図17に示すように、αアミンをFmoc保護基に、およびεアミンをivDde保護基に保護されたリジンをシステイン残基に結合させ、その結果として、酸に不安定な結合によって樹脂支持材に結合させた。Fmoc保護基を除去し、標準的な固相ペプチド合成技術による残基の逐次付加によってリジンのαアミンから第1のポリペプチド親和性要素を合成し、かつ末端のFmoc保護基をBocに変換した。次いで、ivDde保護基をリジンのεアミンから除去し、リジンの露出したεアミンへの残基の逐次付加によって第2のポリペプチド親和性要素を合成した。樹脂へのシステイン残基の酸に不安定な結合を切断して、完成したシンボディを遊離させた。前述の段階は、標準的な固相ペプチド合成技術に従って実施した。例えば、参照により本明細書に組み入れられるAtherton E, Sheppard RC: Solid Phase peptide synthesis: a practical approach. Oxford, England: IRL Press; 1989およびStewart JM, Young JD: Solid Phase Peptide Synthesis、第2版、Rockford: Pierce Chemical Company; 1984を参照されたい。構造物を合成および/または組み立てるために実施可能な他の任意の技術が使用され得る。非限定的な例として、標準的な固相合成技術を用いた残基の逐次付加によって、または前もって合成した下部構造物の組み立てによって、ポリペプチド親和性要素のいずれか1つまたは両方を合成することができる。リジンリンカーは、図16に示すように、2つのポリペプチドの結合点の間に約1nmの間隔を与える。システインは、蛍光標識したストレプトアビジンを用いた検出を可能にするためにビオチン化してよく、または他の任意の望ましい官能基化のために使用してよい。また、他のC末端残基または構造物を使用してもよい。システインの代わりにC末端にグリシンまたはアラニンを有するシンボディも調製した。
これらのシンボディは、水中0.1%TFAおよび0.1%TFA中90%CH3CNの25分で10〜95%の勾配を用いて、C-18 セミ分取カラムにおいて流速4ml/分で精製し、MALDI-TOFによって確認した。
実施例8 DNA連結シンボディのSPR解析およびリンカーの距離/向きの最適化
本実施例では、DNAシンボディ用のリンカーの長さの最適化を実証し、かつ、適切なリンカーによって、標的に対する中程度の親和性を有する2つの親和性要素を結合することにより、個々の親和性要素の親和性よりも実質的に改善した親和性を同じ標的に対して有するシンボディがもたらされることを実証する。(実施例6で説明したようにして調製した)DNA連結シンボディ構築物をFlexchip上に固定化し、溶液中のgal80をチップ上に流し、応答データを取得した。一方の親和性要素としてのBP1ポリペプチドおよびもう一方の親和性要素としてのBP2ポリペプチドをそれぞれ有する12個の異なるシンボディ構築物を評価した。これらの構築物のうち6個は、鋳型鎖に結合されたBP1ポリペプチドおよび可変鎖のそれぞれ6個の異なる位置(可変鎖の3'末端から数えて13番目、15番目、17番目、24番目、26番目、および28番目)に結合されたBP2ポリペプチドを有した。他の6個の構築物は、これら2つのポリペプチドの位置が逆転していた(すなわち、BP2ポリペプチドが鋳型鎖に結合され、BP1ポリペプチドが可変鎖に結合されていた)ことを除いては、最初の6個と同一であった。gal80に対するこれらのシンボディの相対的なSPR応答を決定および比較し、図18に結果を示した。鋳型鎖上にBP1および可変鎖上にBP2を有する立体配置の方が、逆の立体配置より高い応答をもたらし、かつリンカーを長くするにつれ、gal80に対するシンボディの親和性は低下したことから、約13〜17DNA塩基または約5nmに相当するリンカー長がこの立体配置にとって最適であることが示唆された。これは、ほぼ円柱形であり、長さが約10nm、直径5nmであるgal80ホモ二量体構造物の公知の寸法に良く対応する。
SPRチップ上に固定化したgal80を用いて実施例4で説明した方法によってSPRで決定した結合速度および解離速度から解離定数を得、かつ、鋳型鎖上にBP1親和性要素および可変鎖の3'末端から13番目にBP2親和性要素を有し、リンカーで最適化したシンボディ、各親和性要素単独、ならびにそれ自体で二本鎖DNAリンカーと複合体を形成した各親和性要素に関して比較した。図19に示すように、親和性要素単独の親和性は、数μM程度のKd範囲であった(BP1のKd=1.5、およびBP2のKd=5.6)。図20は、表面に結合させたGal80への溶液中のBP1/BP2 DNA連結シンボディ(1μM〜7.81nmの範囲の濃度系列)の結合をSPR解析した結果を示し、Kd値が91nMであることを示す。ゲルシフトアッセイ法を実施したところ、やはりKd推定値は約100nMであった。
これらのデータをELISAタイプの解析によって確認した。標準的な方法を用いてgal80をELISAウェルに固定化し、実施例6で説明したようにストレプトアビジンを結合させたHRPで機能化し、リンカーで最適化したシンボディを濃度系列として添加し、標準的なELISA技術に従って、結合したシンボディを検出した。図20に示したように、各親和性要素がgal80に対してそれぞれ約25〜50μMのKd範囲の親和性を有したのと比べて、シンボディはgal80に対してナノモルの低い親和性を有することがやはり判明した。
リンカーで最適化したシンボディの特異性を、gal80以外の3種のタンパク質標的(α1-抗トリプシン、アルブミン、およびトランスフェリン)に対するシンボディの親和性のSPR測定によって評価した。各事例において、親和性は、gal80に対するシンボディのKdより1000倍超大きなKd範囲であった。
実施例9 シンボディのSPR解析
本実施例では、実施例2で説明したようにして同定した親和性要素を含むシンボディが、いずれか一方の親和性要素単独の同じ標的に対する親和性よりも有意に優れている親和性で、それらの同定のために使用される標的(ここでは、トランスフェリン)に結合できることを実証する。上記の実施例7で説明した方法に従って、TRF-19からTRF-26(表3を参照されたい)の親和性要素の様々なペア形成を含む様々なシンボディを合成し、上記の実施例4で説明した方法に従って、SPRチップ上に固定化したトランスフェリンを用いたSPRによって、トランスフェリンに対するそれらの親和性を評価し、動態からKd値を決定した。評価したペア形成のすべてから、個々の親和性要素単独のKd値よりも小さいKd値を有するシンボディが得られた(すなわち、すべて約50μMより低かった)。TRF-26およびTRF-23を含むシンボディのトランスフェリンに対するKdは150±50nmであった。
実施例10
上記の実施例7で説明したようなリジン分子のそれぞれαアミン部分およびεアミン部分上に2つの20量体ポリペプチドを合成することによってシンボディを構築し、それによって、図21に示すような約1nmの間隔を提供した。システインのチオール基をビオチン化して、蛍光標識したストレプトアビジンを用いた検出を可能にする。
シンボディ中の結合要素として使用したポリペプチド配列を、実施例2で説明したようにして決定した。トランスフェリンが結合した場所に対応するいくつかのポリペプチドを選択し、合成し(シンボディの組み立てのためにリジンリンカーへの結合を促進するために、末端のシステインをグリシンで置換)、かつ実施例4で説明したようにSPRによって解析して、トランスフェリン上の異なる場所に同時かつ非競合的に結合できるポリペプチドのペアを同定した。いくつかのこのようなペアを、シンボディ中に組み込むために選択した。
2つのビオチン化抗TRFシンボディ(SYN23-26およびSYN21-22)を、8,000個のフィーチャー(各フィーチャーは、ニトロセルロースでコーティングしたスライドに吸着させた異なるヒトタンパク質(GST融合物)を含む)を有するタンパク質マイクロアレイ(免疫応答生物マーカープロファイリング用のInvitrogen Protoarray Human Protein Microarrayバージョン4.0)を有するタンパク質マイクロアレイに添加した。マイクロアレイへのシンボディの添加は、製造業者の取扱い説明書に従って実施した(ProtoArray Human Protein Microarray, Invitrogen、カタログ番号PAH052401、バージョンB、2006年12月15日、25-0970, Users Manualを参照されたい)。4℃で1時間、穏やかに振盪しながら1% BSA/PBS/0.1% Tweenでアレイをブロッキングした後、シンボディと共にプロービング緩衝液(1×PBS、5mM mgCl2、0.5mM DTT、0.05%トリトンX-100、5%グリセロール、1%BSA)120μlをアレイに添加した。所定のカバーガラスをアレイ上に置き、調整して気泡を除去した。このアレイを、プリント済みの側を上にして、振盪せずに4℃で1.5時間、50mlコニカル試験管中でインキュベートした。次いで、このアレイをコニカル試験管から取り出し、アレイチャンバー中に斜めに挿入し、氷上で保存した。プロービング緩衝液8mlをチャンバー壁に添加した。カバーガラスを取り除き、氷上で1分間、アレイをプロービング緩衝液中でインキュベートした。プロービング緩衝液をデカントし、排水した。プロービング緩衝液8mlを添加し、氷上で1分間インキュベートし、かつデカントし排水して、さらに2回の洗浄を実施した。プロービング緩衝液6ml中に希釈した、5nMの蛍光標識ストレプトアビジンを、暗所、氷上で30分間、アレイ上でインキュベートした後、その溶液をデカントし、排水した。それぞれプロービング緩衝液8mlを添加し、氷上で1分間インキュベートし、デカントし、排水することによって、3回の洗浄段階を実施した。このアレイをチャンバーから取り出し、800×g、室温で5分間、遠心分離した。暗所、室温で60分間、アレイを乾燥させた後、蛍光式マイクロアレイスキャナーを用いてスキャンし、データを取得し解析した。
SYN23-26の結合パターンデータを、同じアレイ上で高品質の抗TRFモノクローナル抗体である1C10(Kd=1.5pm)に関して得たデータと比較した。SYN21-22のポリペプチド結合要素の配列は
Figure 2010507099
および
Figure 2010507099
であり、SYN23-26の配列は
Figure 2010507099
および
Figure 2010507099
であった。
SYN23-26に関して測定されたバックグラウンドを上回る蛍光強度の値(占有率、そして更には結合親和性の測定値である)を、1C10抗体の値と比較した結果を示す。1C10が最も高い強度で結合した18種のタンパク質に対する結果を図22に、SYN23-26が最も高い強度で結合した18種のタンパク質に対する結果を図23に示す。SYN21-22に対するデータを図24に示す。トランスフェリンおよびAKT1へのSYN23-26の結合をSPRによって評価したところ、Kd推定値がAKT1に関しては約1nMであり、トランスフェリンに関しては約141nMであることが示された。
1C10抗TRF抗体に対して最も親和性が高い標的の強度プロットから確認することができるように(図22、色の薄い棒)、1C10は、TRFに対する強度と等しいか、またはそれより大きい強度で10種の他の標的に結合し、1つの標的AKT1には、10倍超高い強度で結合した。SYN21-22の場合も同様の結果が得られた(図24)。
ごく少数の標的に対する高い親和性によって示されるように、モノクローナル抗体1C10および両方のシンボディ構築物が高い特異性を示し、すべての標的に対する親和性のプロットは、親和性を基準として降順に並べると、急速に、かつほぼ指数関数的に低下するようであった。抗体および両方のシンボディに対して観察された最も高い親和性は、トランスフェリン以外の標的に対応していた。このデータは、二価のシンボディ(SYN23-26およびSYN21-22)(自由裁量で選択したタンパク質標的(トランスフェリン)上の異なる部位に対するそれらの親和性を基準にして選択した結合要素をそれぞれ有する)が、8,000個のライブラリーからの1種の標的(SYN23-26の場合はPCCAおよびSYN21-22の場合はIgκ軽鎖)に対して、モノクローナル抗体1C10が親和性の最も高いその標的(AKT1)に対して示すものと本質的に等しい親和性特徴および特異性特徴をそれぞれ有することを示す。
SYN23-26が、1C10が通常の標的(TRF)に対して示すものよりも高い強度で7種の標的(図4、PCCA、CASZ1、GRP58、AKT1、LIN7、Fbox-21、およびホスホジエステラーゼ)に結合したことは注目に値し、これは、SYN23-26が、高品質の市販のモノクローナル抗体の質と等価な質で、これら7種のタンパク質標的のいずれかに対する合成抗体として使用され得ることを示唆する。
実施例11
上記の実施例6で説明したようにして、Gal80に対する親和性の点で選択した結合要素を有する二価のシンボディを組み立て、核酸リンカーによって連結して、約5nmの結合要素間の間隔を提供した。上記の実施例3で説明したようにして、結合要素BP1およびBP2を同定した。
4,000種の酵母タンパク質のアレイ(免疫応答生物マーカープロファイリングのためのInvitrogen Protoarray Yeast Protein Microarray)上で(ビオチン化)シンボディをスクリーニングし、Alexa(商標)555で標的したストレプトアビジンを用いて検出した。図25に示したように、蛍光強度データを得た(バックグラウンド蛍光に対して調整した)。やはり、最も高い結合するタンパク質標的に対する親和性の分布は、高品質モノクローナル抗体のその特徴に匹敵していた。かつ、やはり、シンボディが最も高い親和性を示したタンパク質標的は、結合要素をもともとスクリーニングした標的(Gal80)を含まなかった。
実施例12 DNAタイルシンボディ
本実施例では、DNAタイルリンカーによって連結されたDNAアプタマー親和性要素を有するシンボディの組み立てを実証し、かつ、そのようにして構築したシンボディが、アプタマー親和性要素を同定するために使用される標的に対して、同じ標的に対するアプタマー親和性要素のいずれか一方の親和性よりも有意に大きな親和性を有することを実証する。図26に概略的に示され、かつ参照により本明細書に組み入れられるKe YG, Liu Y, Zhang JP, Yan H: A study of DNA tube formation mechanisms using 4-, 8-, and 12-helix DNA nanostructures. Journal of the American Chemical Society 2006, 128(13):4414-4421に詳細に説明されているようにして、DNAオリゴヌクレオチドから4-らせんDNAタイルリンカーを構築した。親和性要素の間隔は、らせんの数およびアプタマー親和性要素を組み入れるループの選択によってある程度決定される。らせんの数およびループの選択は、所望の間隔を実現するために変更してよい。表4に示すトロンビンに特異的なアプタマーの配列を第1の一本鎖DNAループ340および第4の一本鎖DNAループ342中に組み入れて、図26(b)に概略的に示すようにアプタマーがタイルから伸び、(4-らせんタイルに対する)アプタマー間の間隔が約2nmである構造物を提供した。このアプタマー2つのシンボディ構造物の結合特性を、単一の親和性要素のみを有する同様の構造物と比較および評価するために、第1のループ340中にApt1のみを有し、Apt2が存在しない構造物(図26(c)を参照されたい)および第4のループ342中にApt2のみを有し、Apt1が存在しない構造物(図26(d)を参照されたい)も同様に合成した。
(表4)DNAタイルシンボディ中で使用したアプタマー配列
Figure 2010507099
ゲルシフトアッセイ法によって、トロンビンへのDNAタイルシンボディ(図26(b))の結合を評価し、かつ、DNAタイルのループ中に組み込まれ、他のアプタマーが存在しない各アプタマー(図26(c)および(d))のトロンビンへの結合と比較した。0〜100nMの濃度範囲のヒトα-トロンビンと共に室温で1時間プレインキュベートした、予めアニールさせた1nMのSybr-Gold染色したタイル/アプタマーを用いて、25℃で5時間、低電圧200Vで非変性(8%ポリアクリルアミド)ゲル電気泳動を実施した。ゲルシフトアッセイ法において、シンボディは、トロンビンに対して約5nMのKdを有することが判明し、apt1のみまたはapt2のみを組み入れたタイルのKd値は100nMを上回った。
トロンビンへの結合をELISAタイプのアッセイ法で評価した。30μg/mLヒトα-トロンビン100μLで96ウェルプレートのウェルをコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。このプレートをDDI H2Oで2回洗浄し、1×PBS緩衝液中3% BSAで1時間不活性化した。プレートを振盪し、かつ、様々な濃度の分析物(それぞれ、DNAタイルシンボディ、各アプタマーを含み、他方が存在しないDNAタイル、および各アプタマー単独)50μLを室温で1時間インキュベートした。DNAタイルの遠位のDNA鎖346の一方の5'末端をビオチンで修飾した(図26(a)を参照されたい)。1×PBS中で10回プレートをゆすぎ、1×PBS中0.1% BSAに溶かしたストレプトアビジン-HRPの1:1000希釈物50μLをピペットで分注し、室温で1時間インキュベートした。このプレートを再びゆすぎ、TMB50μLを添加し、室温で15分間インキュベートした。0.5M HCl 50μLを添加し、直ちにプレートを読み取った。結果を図27に示す。DNAタイルシンボディ350;Apt1を含むがApt2は存在しないDNAタイル352;Apt2を含むがApt1は存在しないDNAタイル356;Apt1単独354;およびApt2単独358である。このアッセイ法から推定された解離定数値は、DNAタイルシンボディでは約1nMであり、Apt1単独では約10nMであり、Apt2単独では1μMより大きかった。
他の幅のDNAタイルも構築し、約2nm、4nm、6nm、および8nmの分離距離のアプタマー結合を非変性ゲルシフトアッセイ法(6%ポリアクリルアミド)によって評価した。6nmの分離では、2nm、4nm、または8nmの分離と比較して、推定Kdが約2倍改善した(2nmの分離の場合の推定Kdは約2nMであるのに対して、6nmの分離の場合の推定Kdは約1nMであった)。
実施例13 リンカー
本明細書において開示する組成物および方法において使用するリンカーは任意の構造物でよく、結果として生じるシンボディが、関心対象の標的に対して、そのように結合されていない場合の親和性要素のものより優れた親和性および/または特異性を有するように、2つまたはそれ以上の親和性要素を1つに結合させるために操作可能な1つまたは複数の分子を含む。様々な態様において、リンカーは、2つまたはそれ以上の親和性要素のそれぞれが連結される別個の構造物でよく、他の態様において、リンカーは、1つまたは両方の親和性要素と一体化されてよい。いくつかの態様において、水系環境において安定かつ比較的溶解性であり、所望の位置および/または立体構造で親和性要素を結合するための効率的かつ特異的な化学反応を受け入れやすいリンカー構造物を選択することが望ましい。
上述の内容の汎用性を制限することなく、この予測的実施例は、他の実施例で説明したDNAリンカーおよびリジンリンカーに加えて、いくつかのリンカー組成物および親和性要素をそれに結合させるための化学反応を実証する。
ポリプロリンおよびその変異体が、いくつかの態様においてリンカーとして使用され得る。ポリプロリンは、三回転対称性の比較的剛性かつ安定ならせん構造を形成し、したがって、残基3個の間隔をあけて並んだ結合部位は、軸次元に対するそれらの角度関係を基準としてほぼ整列している。このような結合部位(3残基分離れている)間の距離は、ポリプロリンIIの場合、約9.4Aであり、ペプチド結合はトランス立体構造であり、ポリプロリンIの場合、約5.6Aであり、ペプチド結合はシス立体構造である。これらの構築物中のプロリンをヒドロキシプロリンで置換して、より親水性の構造物を提供し、溶解性を改善することができる。参照により本明細書に組み入れられる、Schumacher M, Mizuno K, Chinger HPB: The Crystal Structure of the Collagen-like Polypeptide (Glycyl-4(R)- hydroxyprolyl-4(R)-hydroxyprolyl)9 at 1.55 Å Resolution Shows Up-puckering of the Proline Ring in the Xaa Position. Journal of Biological Chemistry 2005, 280(21):20397-20403を参照されたい。
一般に、標準的な固相合成技術によって合成できる親和性要素およびリンカーを含むシンボディは、アミノ酸もしくは他の単量体の段階的な付加、または予め組み立てた親和性要素およびリンカーもしくは他の予め合成したサブユニットの連結のいずれかによって、合成することができる。ペプチドおよび他のヘテロポリマーの段階的合成のための技術は当業者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み入れられるAtherton E, Sheppard RC: Solid Phase peptide synthesis: a practical approach. Oxford, England: IRL Press; 1989および Stewart JM, Young JD: Solid Phase Peptide Synthesis、第2版、Rockford: Pierce Chemical Company; 1984を参照されたい。
予め合成した実体を連結することによってシンボディを構築する場合、相互作用せず、したがって、他の付加点の不注意な脱保護の危険も改変の危険も冒さずに、結合点の脱保護および結合点への付加をすることができ、かつ、迅速かつ高収率で、したがって、適切な生成物が生成する結合化学反応および方法を使用することが望ましい場合がある。図38は、いくつかの結合ペア(図38中の矢印によってペアを示す)を挙げ、それぞれ、ペプチドまたは他の親和性要素上に存在する化学的部分、およびオリゴヌクレオチド、ペプチド骨格、もしくは他のリンカー上に存在する別の化学的部分を含み、ペアの2つのメンバーは、本明細書の開示によって導かれた当業者が容易に決定可能である条件下で反応して共有結合を形成する。図38に示す「クリック」部分のうちいくつかは、複数の他の部分と結合できることが分かる。このような部分が使用される場合、このような他の部分が適用される前に、複数の他の部分との反応に対する感受性が高い任意の部分で所望の結合が起こるように、適切な順序で所望の結合を実施する必要がある場合がある。図39は、4つの「クリック」反応を実施することによって4つの相互作用しない結合が実現される例示的な例を示し、これは、好ましくは、示した順序で実施されるべきである(例えば、チオール部分360は、アルデヒド部分364と反応すると意図されるが、マレイミド部分362とも反応し得る;これは、マレイミド362を意図されるクリックペア366と最初に反応させることによって防止し、したがって、チオール360が添加される際、それと反応するマレイミド362は残っていない。生体高分子と他のヘテロポリマーとの結合を実施するための「クリック」ケミストリーの使用は、本明細書の開示によって導かれた当業者の能力で十分に対応できる範囲内であり、参照により本明細書に組み入れられるKolb HC, Finn MG, Sharpless KB: Click chemistry: Diverse chemical function from a few good reactions. Angewandte Chemie-International Edition 2001, 40(11):2004 およびEvans RA: The rise of azide-alkyne 1,3-dipolar 'click' cycloaddition and its application to polymer science and surface modification. Australian Journal of Chemistry 2007, 60(6):384-395などの様々な参考文献に詳細に記載されている。
図30は、ポリGly-Serリンカーによって連結された2つのペプチド親和性要素(TRF26およびTRF23)を含み、かつ、適切な蛍光標識を用いた標識のために、ミニPEGを介して結合されたシステインをさらに含む、シンボディの合成を示す。標準的な方法により、マイクロ波合成機中で、図30(1)に示す実体を大量(すなわち、0.5〜1.0mmole)に最初に合成する。次いで、ivDDE保護基を除去し、脱保護した生成物を10個のアリコートに分割する。再びマイクロ波合成により、各アリコートに、1〜10個の範囲の所定の数のGly-Serを添加し、その結果、この時点で各アリコートは(Gly-Ser)n(nは、第1のアリコートの場合は1、第2のアリコートの場合は2など、最高10まで)を含むリンカーを有する(図30(3))。各アリコートにおいて、次いで、アミノ酸の段階的付加によって、第2のペプチド親和性要素であるTRF23を合成する(図30(4))。次いで、シンボディを樹脂から切断する。ミニPEGで連結されたシステイン上の完全なt-ブチルチオール保護基を除去し、かつ所望の場合は蛍光標識を付加してよい(図30(5))。
図31は、上記の実施例9のDNAタイルリンカと共にペプチド親和性要素を使用することを可能にするために使用され得るペプチド-オリゴヌクレオチド結合体を生成する、チオールで修飾したオリゴヌクレオチドへのマレイミド官能化ペプチドの結合を示す。このペプチドに結合されたオリゴヌクレオチドは、DNAタイルの露出したDNA鎖に対して逆相補的であり、それに安定にハイブリダイズする。
図32は、ポリ-(Gly-Hyp-Hyp)連結シンボディの合成を示し、ivDDE脱保護を改善するための方法を例示する(長いペプチドの存在下でのivDDE脱保護は、樹脂表面に近いivDDEに接近可能なペプチドによる干渉が原因で最適とは言えない場合がある)。標準的な固相合成技術によって、図32(1)に示す構造物を最初に合成する。ivDDE 370に保護されたリジンを脱保護し(図32(2))、アミノ酸の段階的付加によって、第1のペプチド親和性要素TFR26を合成する(図32(3))。alloc保護基368を除去し、Fmoc-Gly-Hyp-Hyp-OHサブユニットをリンカーに付加して所望の長さにする(図32(4))。次いで、構造物を樹脂から切断し、かつ、末端リジンのマレイミド官能基化374によって前もって合成しておいたTRF23を、ポリ-(Gly-Hyp-Hyp)リンカーのフラニル部分372に結合させる(図32(5))。
図33は、互いに相互作用しない結合を用いて両方の親和性要素を結合させることによる、様々な長さのポリ-(Gly-Hyp-Hyp)リンカーを用いたシンボディの合成を示す。n=1〜n=10の様々な長さの(Gly-Hyp-Hyp)nリンカーを、第1の親和性要素を結合するためのフラニル部分376および第2の親和性要素を結合するためのベンズアルデヒド部分378と共に前もって合成する。ヒドラジド部分で官能化した第1の親和性要素380を、ポリ-(Gly-Hyp-Hyp)リンカーのベンズアルデヒド部分に結合させる(図33(a))。マレイミド部分386で官能化した第2の親和性要素384を、リンカーのフラニル部分に結合させる(図33(b))。複数の異なるリンカー長および/または複数のペプチド配列を含む反応混合物中でこれらの結合を実施して、複数のリンカー長および親和性要素の組合せに相当するコンビナトリアルライブラリーの作製を可能にすることができ、これから、アフィニティーカラムまたは他の適切なスクリーニング法を用いて、関心対象の標的に最適に結合する構築物を同定する。
図34は、トランスフェリンのような関心対象の標的394の存在下で、所望のシンボディ構造物を自己組み立てさせることによって、適切なリンカー長および親和性要素配列を決定するための方法を概略的に示す。トランスフェリン394を含む溶液に、様々な異なる親和性要素388(図34にペプチド1として示される)を様々な長さのリンカー390(親和性要素が結合される)と組み合わせた第1のライブラリーを添加する。各リンカー390は、第2の親和性要素396の結合に適した部分392によって、(親和性要素の結合点と反対の末端、または所望の分離および/もしくは向きを与える他の結合点で)官能化されている。リンカーとの結合に適した部分398でそれぞれ官能化した様々な異なる親和性要素396(図34のペプチド2)を含む第2のライブラリーを添加する。標的394上の場所に対して親和性を有する親和性要素388、396は、好ましい位置および/または向きで標的に結合する傾向がある。親和性要素388およびリンカー390ならびに親和性要素396および結合部分398を含むペアが、親和性要素396の結合部分398およびリンカーの結合部分392が極めて近くにあり、かつ適切に向きを定められるような仕方で標的分子と結合する場合、反応が起こり、結合392が形成して、シンボディ中に2つの親和性要素を連結し、標的に対するその位置および向きは、標的それ自体によって決定された。次いで、標的に結合されたシンボディを同定し、特徴付ける。使用する親和性要素の濃度は、好ましくは、親和性要素および標的分子と結合しないリンカー間の顕著な結合を防ぐのに十分な程度に低いべきであるが、所望のペアを結合させるのに十分な時間、親和性要素が標的と結合するのに十分な程度に高いべきである。また、結合化学反応は、最も適切な組合せに有利である平衡状態に結合プロセスを到達させるために、可逆的であるべきである。適切な条件下で潜在的に可逆的であるいくつかの結合化学官能を図35に示す。(多くの他の可逆的結合化学反応が可能である。いずれの場合も、所望の可逆性の獲得は、適切な反応条件に依存すると考えられる)。
実施例14 環状テトラペプチドリンカーシンボディ
本実施例では、ペプチドまたは他の親和性要素を結合するための、相互作用せずに保護された3つの結合部位を有する環状テトラペプチドの合成を実証する。
図に示すように、3つの修飾アミノ酸および市販されている第4のアミノ酸から、図36に示す構造物を合成する。3つのアミノ酸を最初に合成し、樹脂を修飾する。次いで、テトラペプチドの合成を実施し、ペプチドまたは他の親和性要素を付加する。したがって、テトラペプチドは、シンボディ構築のためのリンカーとして役立つ。
修飾アミノ酸の合成
1-メチル-1-フェニルエチル3-アミノプロパノアート(図46(3))を以下のようにして合成した:NaH(50mg、2.1mmol)のジエチルエーテル(2mL)懸濁液に、ジエチルエーテル2mL中2-フェニル-2-プロパノール(2.5g、18.36mmol)溶液を滴下して加えた。この混合物を室温で20分間攪拌し、次いで0℃で冷却した。トリクロロアセトニトリル(1.9mL)を緩徐に添加し(15分間)、混合物を室温に戻した。1時間攪拌した後、混合物を濃縮乾燥させ、結果として得られる油をペンタン(2mL)中に溶解し、溶液をろ過した。ろ液を蒸発乾固させて、非常に色の濃い油を得、本発明者らはこれを次の反応で直ちに使用した。新しく調製した1-メチル-1,1-フェニルエチルトリクロロアセトイミダート(2.7g、6.424mmol)を、DCM(8mL)に溶かしたFmoc-β-アラニン(図46(1))(1g、3.212mmol)溶液に添加した。一晩攪拌した後、沈殿したトリクロロアセトアミドをろ過によって除去し、ろ液混合物を蒸発乾固させ、かつフラッシュクロマトグラフィーCH2Cl2/MeOH(0%〜1%)によって精製して、1.158g(84%)の化合物2を無色の油として得た。
フラスコ中で、(図46(2))(1.158g、2.698mmol)をDCM(4mL)中に溶解し、ジエチルアミン(12mL)を添加した。すぐに、混合物は透明になる。混合物を2時間攪拌した。トルエン20mLを添加した後、混合物を濃縮乾燥させ、10%のCH2Cl2MeOHおよび2%のEt3Nを用いて、フラッシュクロマトグラフィーにより分離を実施して、526mg(94%)の(図46(3))を無色の油として得た。
N2-(アリルオキシカルボニル)-N3-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-2,3-ジアミノプロパン酸(7)を以下のようにして合成した:氷浴中で冷却した4M NaOH溶液3.78mL中のアスパラギン2g(図46(4)、15.138mmol)の溶液に、アリルクロロホルマート1.615mL(15.138mmol)および4M NaOH溶液3.78mLを分割して添加した。反応をアルカリ性で維持し、室温で15分間攪拌した。エーテルでこの混合物を抽出し、濃HClで酸性にし、こうして生成物を結晶化させ、ろ過し、かつ凍結乾燥して、白色固形物として(図46(5))(2.816g、86%)を得た。[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(8.402g、19.539mmol)を、(図46(5))(2.816g、13.026mmol)および水性DMF(140mL、1:1、体積/体積)の混合物に添加した。混合物を15分間攪拌し、DIEA(4.54mL、26.052mmol)を添加した。8時間の反応後、反応物の半分しか消費されなかった。したがって、同じ量の[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンおよびDIEAを添加し、反応物を一晩攪拌した。翌日、溶液を濃縮乾燥させ、残渣を水100mL中に溶解し、ジエチルエーテルで繰り返し洗浄することによって(4×100mL)、有機副産物を除去した。水相を蒸発乾固させて、生成物(図46(6))を得、これをそれ以上精製せずに次の反応で使用した。
先に得た油(図46(6))を水(20mL)中に再溶解し、アセトニトリル(15mL)に溶かしたDIEA(2.24mL、13.026mmol)およびFmocOSu(4.393g、13.026mmol)を添加し、この反応物を1.5時間攪拌させた。HCl添加によってこの混合物を(pH2.0まで)酸性にし、生成物をDCM中で抽出した(5×40mL)。有機相を合一し、Na2SO4で乾燥し、かつ蒸発乾固させた。粗生成物混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中10%MeOH)によって精製した。合一した生成物画分にヘキサンを添加し、形成された沈殿をろ過し、ヘキサンで洗浄し、かつ乾燥させて白色固形物(図46(7))を得た。
2-アジド-3-[(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)アミノ]-プロパン酸(10)を以下のようにして合成した:H2O 25mL中NaN3(9.841g、151.38mmol)溶液を氷浴中で冷却し、CH2Cl2 50mLで処理した。二相性の混合物を力強く攪拌し、30分間に渡ってTf2O(8.542g、282.14mmol)で処理した。この反応混合物を、氷浴温度で2時間攪拌した。NaHCO3水溶液で反応を停止した後、層を分離し、水層をCH2Cl2で2回抽出した(2×50mL)。有機相を合一して、TfN3溶液100mLを得、これをNa2CO3で1回洗浄し、それ以上精製せずに次の反応で使用した。
H2O 50mLおよびMeOH 100mLに溶かしたL-アスパラギン(図46(4))(2g、15.138mmol)溶液に、以下のものを添加した:K2CO3(3.138g、22.707mmol)、CuSO4(38mg、0.151mmol)、および予め調製したTfN3のCH2Cl2溶液。この反応物を室温で一晩攪拌した。次いで、固形NaHCO3(10g)を注意深く添加し、有機溶媒を蒸発させた。濃HClを水溶液に添加してpH=6にし、かつ0.25M PBS 100mLを添加した。次いで、酢酸エチル(3×150mL)を使用して抽出を実施した。次に、さらに多くの濃HClを使用してpH=2に到達させ、酢酸エチル(5×150mL)で新たに抽出を実施し、かつ抽出物を濃縮乾燥させて、黄色の油(図46(8))を得、これをそれ以上精製せずに次の反応で使用した。
[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(19.529g、45.414mmol)を、粗製の(図46(8))(15.138mmol)および水性DMF(120mL mL、1:1、体積/体積)の混合物に添加した。混合物を15分間攪拌し、DIEA(10.546mL、60.552mmol)を添加した。反応を一晩継続する。翌日、溶液を濃縮乾燥させ、残渣を水100mL中に溶解し、ジエチルエーテルで繰り返し洗浄することによって(3×100mL)、有機副産物を除去した。水相を蒸発乾固させて、青白い油として生成物(図46(9))を得、これをそれ以上精製せずに次の反応で使用した。
先に得た油(図46(9))を水(20mL)中に再溶解し、アセトニトリル(15mL)に溶かしたDIEA(2.6mL、15.138mmol)およびFmocOSu(5.106g、15.138mmol)を添加し、この反応物を1.5時間攪拌させた。HCl添加によってこの混合物を(pH2.0まで)酸性にし、生成物をDCM中で抽出した(5×40mL)。有機相を合一し、Na2SO4で乾燥し、かつ蒸発乾固させた。粗生成物混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中10%MeOH)によって精製した。合一した生成物画分にヘキサンを添加し、形成された沈殿をろ過し、ヘキサンで洗浄し、かつ乾燥させて白色固形物(図46(10))を得た。
樹脂の誘導体化
Boc-β-アラニンおよびFmoc-β-アラニンの混合物(いずれも2.0当量、4.0当量のTBTU、8当量のDIEA(DMG中)、25℃で1時間)をアミノメチルポリスチレン樹脂(1.0g、0.5mmol/g)と結合させた。DCM中50%TFAを用いてBoc基を除去し、露出したアミノ基を無水酢酸(acetanhydride)処理によりキャップ化した。このようにして、樹脂の添加量(loading)を0.16mmol/gまで減らした。DMF中20%ピペリジンによる処理を用いてFmoc基を除去し、HATUによって促進した結合により、4-(4-ホルミル-3,5-ジメトキシフェノキシ)酪酸を結合して、誘導体化した樹脂を得た。
樹脂上での骨格の合成
1%(体積/体積)AcOH(16mL)を含む、1-メチル-1-フェニルエチル3-アミノプロパノアート(図46(3)、160mg、4当量)およびNaCNBH3(48mg、4当量)のDMF中混合物で、先に誘導体化した樹脂(1.0g、0.16mmol/gの添加量)を室温で1時間処理した。DMF、DCM、およびMeOHで樹脂を洗浄し、フィルター上で乾燥させた。
DMF-DCM(1:9、体積/体積)に溶かした5.0当量のPyAOPおよび10当量のDIEAを25℃で2時間用いて、二級アミンをAloc-Dpr(Fmoc)-OH7(5.0当量)でアシル化した。25℃で20分間、ピペリジン-DMF(1:4、体積/体積)で処理することによって、Fmoc基を除去した。25℃で1時間、DMFに溶かした5当量のアミノ酸、5当量のHATU、および10当量のコリジンで処理することによって、2-アジド-3-[(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)アミノ]プロパン酸(図46(10))およびFmoc-Dpr-(Mtt)-OH(11)のカップリングを各事例において実施して、生成物(図46(12))を得た。TFAのDCM溶液(1:99、体積/体積、25℃で6分間)で処理することにより、Mttの除去およびPhiPr保護を実施し、続いて、PyのDCM中混合物(1:5、体積/体積)で洗浄することによって直ちに中和した。次いで、PyAOPを活性化因子として用いて(DMFに溶かした5当量のPyAOP、5当量のDIEA。25℃で2時間)、ペプチド(図46(13))の環化を実施した。各カップリング(環化段階を含む)後、無水酢酸処理によって、潜在的に残存する遊離アミノ基をキャップ化した。
次いで、TFAのDCM溶液(1:1、体積/体積、25℃で30分)で樹脂を処理して、最終生成物を遊離させた((図46(14))。
骨格へのペプチドの逐次付加
3つのアミノ酸残基を逐次的に脱保護し、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(Sulfo-SMCC)または他のヘテロ二価性リンカーと反応させ、対応するペプチドを付加することができる。したがって、この骨格は、図37に示すように、最高3つの同じまたは異なるペプチドの組入れを可能にする。上記の実施例で説明したようなランダムペプチドマイクロアレイ上での標的のスクリーニングに基づいて、ペプチドを選択する。
実施例15 環状デカペプチドリンカーシンボディ
本実施例では、図38に示すように、N末端アミノ酸としてのTrt-Lys(Fmoc)OHおよびSASRIN樹脂を用いた固相合成による、市販のFmocアミノ酸からの環状デカペプチドリン骨格の合成を実証する。デカペプチドの環化を高度希釈で実施する。このデカペプチド構造物は、相互作用せずに保護された結合部位を提供して、最高4つの異なるペプチドまたは他の親和性要素の結合を可能にし、したがって、シンボディのためのリンカーとして役立つ。
デカペプチドH2NLys(Fmoc)ProGlyLys(pNz)Lys(Boc)ProGly-Lys(Aloc)AlaOH(図48(b))の合成
保護ペプチドの組み立てを手動で実施した。Fmoc-Ala-SASRIN(0.5g、0.75当量/g)を洗浄し、CH2Cl2(2×10mL×15分)およびDMF(2×50mL×15分)で膨張させた(swollen)。樹脂添加量に対して、DMF8mLに溶かした4当量のPyBOPおよび8当量のDIEAで30分間インサイチューで活性化した4当量のN-α-Fmoc-保護アミノ酸を用いて、カップリング反応を実施した。各カップリングの完全性をカイザー試験によって確認した。ピペリジン:DMF 1:4(10mL×4×10分)での処理により、N-α-Fmoc保護基を除去し、各脱保護の完全性を、ピペリジン洗浄物の299nmでのUV吸収によって確認した。
樹脂ビーズが黒紫色になるまで、TFA:CH2Cl2 1:99でペプチド樹脂を繰り返し処理した(10×10mL×3分)。ピリジン:MeOH 1:4(5mL)で各洗浄溶液を中和した。合一した洗浄物を減圧下で濃縮し、EtOAc/石油エーテルから沈殿させて白色固形物を得た。この固形物をEtOAc中に溶解し、ピリジニウム塩を水で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、かつ濃縮乾燥した。CH2Cl2/Et2Oからの沈殿により、白色固形物が得られ、固相抽出によってこれをさらに脱塩し、かつ凍結乾燥して直鎖状ペプチドを得た。この材料をそれ以上精製せずに次の段階で使用した。
溶液中での環化(図48(c))
上記の直鎖状ペプチドをDMF(100mL)中に溶解し、DIEA添加によってpHを8〜9に調整した。HATU(1.1当量)を添加し、溶液を室温で3時間攪拌した。真空中で溶媒を除去した。残渣をTFA:CH2Cl2 1:1(15mL)中に溶解し、室温で45分間静置した。次いで、溶液を減圧下で濃縮し、残渣をEt2Oで粉砕し、かつろ過して、図38(c)に示す粗生成物を得た。骨格は、異なる表面にそれを結合させるため、または研究に寄与すると考えられる色素を付加するために、官能化することができる。
リンカー付加
骨格は、異なる表面にそれを結合させるため、または研究に寄与すると考えられる色素を付加するために、官能化することができる。したがって、内部のリンカーが末端位置にチオール(SH)基を有するように操作することができる。このチオールを酸化して、親和性要素が結合された骨格の二量体を得ることができる。また、チオールは、他の様々な骨格および表面に構造物を結合させるために使用することもできる。官能化は、図39に示すように、遊離のNH2基で起こる。例として、このアミノ基は、tert-ブチルチオで保護されたチオグリコール酸を用いてアシル化することができる。この時点で、骨格は、関心対象のペプチドを逐次付加する準備が整っている。
骨格へのペプチドの逐次付加
4つのリジン残基を相互作用せずに(互いに影響を及ぼさずに)脱保護し、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(Sulfo-SMCC)または他の類似したとヘテロ二価性リンカーと反応させ、対応するNH2で保護したペプチドを付加する。したがって、この骨格は、図39に示すように、最高4つの異なるペプチドの組入れを可能にする。
図39に示すリンカーが末端位置にチオール(SH)基を有するように操作することができる。このチオールを酸化して、親和性要素が結合された骨格の二量体を得ることができる。また、チオールは、他の様々な骨格および表面に構造物を結合させるために使用することもできる。
実施例16 PGPリンカーシンボディ
本実施例では、ポリ-(Pro-Gly-Pro)リンカー(その長さは、(Pro-Gly-Pro)サブユニットの所望の数を挿入することによって決定することができる)によって連結されたポリペプチド親和性要素を有するシンボディの合成およびクリック結合によるその組み立てを実証する。図40に示すように、Symphonyペプチド合成機において標準的な固相ペプチド合成方法を用いて、図に示すようにポリペプチド親和性要素400、ポリ-(Pro-Gly-Pro)リンカー410、およびリジン402に結合させたアジド部分を含む、図40に示す構造物を合成した。第2のポリペプチド親和性要素406を含み、かつ図に示すようにアルキン部分404を有する第2の構造物を別に合成した。これら2つの構造物を、ビタミンCおよびCuSO4の存在下、溶液中で反応させて、連結されたシンボディ構造物408を作製した。正確なシンボディ構造物の合成をMALDIによって確認した。
この方法において、固相合成の進行中に親和性要素/リンカー/アジド構造物中に組み入れることができる任意のリンカーを使用することができる。したがって、この方法は、さまざまなリンカー組成物を試験する方法を提供する。
また、図41に示すチアゾリジン形成プロセスによって、ポリ-(Pro-Gly-Pro)で連結されたシンボディも構築した。この合成において、標準的な固相ペプチド合成方法により、ポリペプチド親和性要素TRF26(SEQ ID NO. 8)412をポリ-(Pro-Gly-Pro)リンカー414と共に合成した。これは、図に示すようにポリペプチド親和性要素412と反対側のリンカーの端またはその近くにシステイン残基416を有する。C末端近くにセリン残基420を有する第2のポリペプチド親和性要素TRF23(SEQ ID NO. 5) 418を合成し、これを424に示すように改変した。これら2つの実体をpH4.5の溶液中で反応させて、422に示すチアゾリジン環結合を作製した。正確なシンボディ構造物426の合成をMALDIによって確認した。
参考文献:
Figure 2010507099

Claims (49)

  1. 以下の段階を含む、関心対象の標的に対する親和性要素を同定するための方法:
    (a)支持体上に標的親和性要素が存在する場合に、標的が標的親和性要素に中程度に親和性結合するのに適した条件下で、組成が公知である102〜107個の異なる試験化合物のアレイを含む支持体表面を関心対象の標的と接触させる段階であって、該標的は抗体のFv部分ではなく、該異なる試験化合物は該標的に由来しない段階;および
    (b)少なくとも中程度の親和性で前記標的に結合する試験化合物を同定する段階であって、このような化合物が標的親和性要素を含む段階。
  2. 支持体表面がアドレス指定可能である、請求項1記載の方法。
  3. さらに以下の段階を含む、請求項1または2記載の方法:
    (c)少なくとも中程度の親和性で前記標的に結合しない試験化合物を同定する段階。
  4. 試験化合物が1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 試験化合物がポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. 同じ支持体表面または別の支持体表面を競合物と接触させる段階、および標的に結合する試験化合物と競合物に結合する試験化合物との比率を求める段階をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 同じ標的上の異なる部位に結合する標的親和性要素の組合せを同定する段階をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 標的に対する標的親和性要素単独の結合親和性および/または特異性と比べて、該標的に対する親和性要素の組合せの結合親和性および/または特異性を増大させるために、該親和性要素の組合せ中の該標的親和性要素間の適切な間隔を決定する段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
  9. 親和性要素の組合せを連結する段階をさらに含み、リンカーが、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する、請求項7または8記載の方法。
  10. 第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方の、第1の標的に対する結合の解離定数が、約1μM〜500μMである、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. 第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方の標的に対する結合親和性を最適化する段階をさらに含む、請求項8〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項記載の方法によって作製した合成抗体。
  13. 以下を含む合成抗体:
    (a)第1の標的に結合できる第1の親和性要素;
    (b)前記第1の標的に結合することができ、かつ、該第1の標的に結合された前記第1の親和性要素の存在下で該第1の標的に結合することができる第2の親和性要素;ならびに
    (c)前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素をつなぐリンカー;
    ここで、前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
    前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素のうち少なくとも1つは、前記第1の標的に由来せず;
    前記合成抗体は、前記第1の標的に対する前記第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに該標的に対する前記第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、該第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
    前記第1の標的は抗体のFvではない。
  14. 第1の親和性要素および第2の親和性要素の両方が、約1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する、請求項13記載の合成抗体。
  15. リンカーが、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する、請求項13または14記載の合成抗体。
  16. 第1の親和性要素も第2の親和性要素も、抗体のFv領域に由来しない、請求項13〜15のいずれか一項記載の合成抗体。
  17. 第1の親和性要素も第2の親和性要素も、第1の標的に由来しない、請求項13〜16のいずれか一項記載の合成抗体。
  18. 第1の親和性要素および第2の親和性要素がポリペプチドを含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の合成抗体。
  19. 第1の親和性要素および第2の親和性要素が核酸を含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の合成抗体。
  20. 合成抗体のpH7での正味電荷が+2〜-2である、請求項18記載の合成抗体。
  21. 第1および第2の親和性要素のうち少なくとも1つが非天然化合物である、請求項13〜20のいずれか一項記載の合成抗体。
  22. リンカーがアミノ酸リンカーである、請求項13〜21のいずれか一項記載の合成抗体。
  23. リンカーが核酸リンカーである、請求項13〜21のいずれか一項記載の合成抗体。
  24. 第1の親和性要素および第2の親和性要素の1つまたは両方が核酸ではない、請求項23記載の合成抗体。
  25. 第1の親和性要素および第2の親和性要素が異なり、第1の標的の別の領域に結合する、請求項13〜24のいずれか一項記載の合成抗体。
  26. 第1の親和性要素および第2の親和性要素に結合された第3の親和性要素をさらに含む、請求項13〜25のいずれか一項記載の合成抗体。
  27. 第3の親和性要素が、第1の標的と異なる第2の標的に結合することができる、請求項26記載の合成抗体。
  28. 第2の親和性要素も同様に第2の標的に結合し、かつ、第1の親和性要素、第2の親和性要素、および第3の親和性要素の空間的配置により、第1の標的および第2の標的のうち1つのみが合成抗体によって結合されることができる、請求項27記載の合成抗体。
  29. 第1の親和性要素、第2の親和性要素、および第3の親和性要素につながれた第4の親和性要素をさらに含み、該第3および該第4の親和性要素を該第1の親和性要素および該第2の親和性要素に対して空間的に配置して、合成抗体に結合された第1の標的の存在下でさらなる標的の結合を提供する、請求項26記載の合成抗体。
  30. 第1のシグナル伝達要素および第2のシグナル伝達要素をさらに含み、該第1のシグナル伝達要素および該第2のシグナル伝達要素の空間的関係を変更して、合成抗体に標的が結合した際に検出可能なシグナルを生じるようにした、請求項13〜29のいずれか一項記載の合成抗体。
  31. 支持体に結合された、請求項13〜30のいずれか一項記載の合成抗体。
  32. 以下を含む支持体:
    (a)表面;および
    (b)前記表面に付着させた、請求項13〜30のいずれか一項記載の複数の合成抗体。
  33. 複数の合成抗体が、複数の異なる合成抗体を含む、請求項32記載の支持体。
  34. 所与の標的に対する少なくとも第1の親和性要素および第2の親和性要素をリンカーを介してつなぐ段階を含む、合成抗体を作製するための方法であって、
    前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素の1つまたは両方は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有し;
    前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素のうち少なくとも1つは、第1の標的に由来せず;
    前記合成抗体は、前記第1の標的に対する前記第1の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、ならびに該標的に対する前記第2の親和性要素の結合親和性および/または特異性と比べて、該第1の標的に対する結合親和性および/または特異性が高く;かつ、
    前記第1の標的は抗体のFvではない、
    前記方法。
  35. 第1の親和性要素および第2の親和性要素の両方が、1000ダルトン〜10,000ダルトンの分子量を有する、請求項34記載の方法。
  36. リンカーが、第1の親和性要素と第2の親和性要素の間に約0.5nm〜約30nmの間隔を提供する、請求項34または35記載の方法。
  37. 第1の親和性要素も第2の親和性要素も、抗体のFv領域ではない、請求項34〜36のいずれか一項記載の方法。
  38. 第1の親和性要素および第2の親和性要素のうち少なくとも1つが核酸を含む、請求項34〜37のいずれか一項記載の方法。
  39. 第1の親和性要素および第2の親和性要素のうち少なくとも1つがポリペプチドを含む、請求項34〜37のいずれか一項記載の方法。
  40. 合成抗体のpH7での正味電荷が+2〜-2である、請求項39記載の方法。
  41. 以下の段階を含む、リガンド同定のための方法:
    (a)標的アレイを含む支持体表面を1種または複数種の潜在的なリガンドと接触させる段階であって、該支持体上に存在する適切な標的への該1種または複数種のリガンドの中程度から高度の親和性結合に適した条件下で実施される段階;および
    (b)少なくとも中程度の親和性で前記1種または複数種のリガンドに結合する標的を同定する段階。
  42. 1種または複数種の潜在的なリガンドが、抗体および請求項13〜31のいずれか一項記載の合成抗体からなる群より選択される、請求項41記載の方法。
  43. 標的のアレイがフローチャンバー中に取り付けられ、
    (i)1種または複数種の潜在的なリガンドを含む第1の緩衝液が、アドレス指定可能なアレイ上に流され、
    (ii)少なくとも中程度の親和性で前記1種または複数種のリガンドに結合する標的を同定する段階が、アレイリーダーによって集められたリアルタイムの親和性データを解析することを含み、
    (iii)前記アドレス指定可能なアレイへの少なくとも中程度の結合が検出された後に、該アレイ上の第1の緩衝液フローが停止され;
    (iv)1種または複数種のさらなる潜在的なリガンドを含む別の緩衝液を用いて、(i)〜(iii)のステップを所望の回数繰り返す、
    請求項41または42記載の方法。
  44. 本発明による複数の合成抗体を含む支持体を試験試料と接触させる段階および該試験試料に対する合成抗体の結合を対照試料に対する合成抗体の結合と比較する段階を含む、関心対象の試験試料に対する合成抗体プロファイルを同定するための方法であって、該対照試料と比べて該試験試料中の標的に差次的に結合する合成抗体が、該試験試料に対する合成抗体プロファイルを構成する方法。
  45. 対照試料を試験試料と同じ支持体に接触させる、請求項44記載の方法。
  46. 試験試料が疾患状態の試験試料である、請求項44または45記載の方法。
  47. 試験試料が研究用の試験試料である、請求項44または45記載の方法。
  48. 以下を含む組成物:
    (a)鋳型核酸鎖に結合した第1の親和性要素;
    (b)相補的な核酸鎖に結合した第2の親和性要素;
    ここで、前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素は、共通の標的に非競合的に結合し;
    前記鋳型核酸鎖および前記相補的な核酸鎖は、塩基対合によってアニールしてアセンブリを形成し;
    前記第1の親和性要素および前記第2の親和性要素は、前記アセンブリ中で離れており;かつ、
    前記鋳型核酸鎖、前記相補的な核酸鎖のいずれかまたは両方が、支持体の表面に結合している。
  49. 支持体表面に結合した請求項48記載の複数の組成物を含むアレイであって、該複数の組成物が以下の1つまたは両方を含む、アレイ:
    (a)第1のリガンドおよび第2のリガンドが各組成物に対して同じであるが、アセンブリ中の該第2のリガンドからの該第1のリガンドの分離が異なる、複数の組成物;ならびに
    (b)前記第1のリガンドおよび/または前記第2のリガンドが各組成物に対して異なる、複数の組成物。
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