JP2010505474A - マイクロポンプ作動の薬剤投与システム - Google Patents
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Abstract
本発明は、物質をヒト又は動物の体内に注射するための装置に関する。本発明によれば、注射される薬剤は、陰圧を生じさせることによって、リザーバから引き出される。
Description
本発明は、物質をヒト又は動物の体内に注射するための装置であって、大気圧より低い圧にすることによって注射する薬剤をリザーバから移動させる装置に関する。
薬剤の多くは、体内に注射しなければならない。これは、特に、経口投与すると不活性であるか又は活性が決定的に低い薬剤に当てはまる。これらの薬剤としては、特に、タンパク質(例えば、インスリン、成長ホルモン、インターフェロンなど)、糖質(例えば、ヘパリン)、抗体又は殆どのワクチンが挙げられる。体内への注射のためには、主として注射器、薬剤ペン又は薬剤ポンプが使用される。
従来のインスリン注射器具はインスリン注射器である。インスリン療法が始まって以来これが使用されているが、近年段階的に、特にドイツではインスリン・ペンの導入にとって代わられている。それでも、注射器は、例えばインスリン・ペンを紛失したり又はそれが不具合だった場合には現在でもかけがえのないものであり、多くの糖尿病患者は、インスリン・ペンと組み合わせて使用している。メンテナンスの必要がなく何処でも入手可能であることは、特に旅行中には有利である。
インスリン注射器は、使用されるインスリンの濃度(U40又はU100)によって、記号表示及び目盛りが異なる。インスリンは、バイアルからでも或いはインシュリン・ペン用のプレフィルドカートリッジからでも採取することができる。これにより、異なる種類のインスリンの混合が可能になり、必要な注射の回数を減らすことができる。インスリンを注射器に吸引するときには、気泡なしにすることについて特に注意が必要である。吸引したインスリン投与量を直接目視できるようにすることで、使用者は、注射するインスリンの量を容易に確認することが可能となる。それでもなお、注射器でエラーなしに投与するためには、熟練及び恒常的な使用が必要である。
現在、非常に広く世界的にそして特に欧州で使用されている更なる注射器具は、インスリン・ペンである。
マーカーペンのサイズであるこの医療器具は、1980年代半ばに開発され、主により強化したインスリン療法(more intensive insulin therapy)に使用されている。インスリン注射器に比べてかなり革新的なのは、交換可能な薬剤容器を使用していることである。この容器は、カルプル又はカートリッジとも呼ばれ、製造業者になって供給されるときにインスリンが充填され、使用前にインスリン・ペンに挿入される。ペンを操作すると、注射針によりカートリッジのシーリングディスクに孔があけられ、インスリン投与の予め選択された投与量の非経口注射が達成される。注射時、注射及び放出の機構は、カートリッジのプランジャー又はストッパを前進させる注射ストロークを生じさせ、予め選択された投与量を標的組織内に送達させる。その機構は、通常、全長がカートリッジストッパーのストロークに相当する長さの、剛性プランジャー軸から成る。
インスリン・ペンは、使い捨て用と再使用可能なものに分けられる。使い捨てのものの場合、カートリッジと計量機構が製造業者によって予め製作された1つのユニットになっており、カートリッジが空になった後一緒に廃棄される。計量機構の再使用は意図されていない。予め製作されたペンとは対照的に、再使用可能なペンは、使用者に増大した要求をつきつける。つまり、カートリッジを交換したときには、プランジャー軸を、開始位置に後退させなければならない。これは、機種にもよるが、計量機構の特別な機能を同時に作動させながらプランジャー軸をねじるか又は滑らせることによって行われる。これは、日常の使用及び高い機械的応力のために不調(例えば、プランジャー軸のスティッキング(sticking)がたまに起こる可能性があるため、使用者はこれをかなり慎重に行わなければならない。
再使用可能インスリン・ペンは、更に手動式ペン及び半自動式ペンに分けられる。手動式ペンの場合、使用者は指に力を加えて注射ボタンを作動させ、注射の接続時間及び進行を決定する。それに反して、半自動式のインスリン・ペンでは、使用する前に注射に必要なエネルギを蓄積するように手動でバネに張力を付与する。実際の注射段階では、バネは使用者によって解放される。注射速度はバネの力によって一定であり、個人的ニーズに合わせることはできない。
特許文献1には、投与しようとする液体薬剤用の容器と移送ラインとの間にポンプが取り付けられている医療用計量ポンプが記載されている。そのシステムは、運転中患者の身体に取り付けられ、連続的に作動する医療用計量ポンプを作動させるために使われる。
医療用計量ポンプは、長時間(例えば、約10分から最長数時間) にわたって継続的に薬剤を溶解した形態で送達するように構成される。本明細書では、医療用計量ポンプは、例えば注射器のような注射装置、又は例えばインスリン・ペンのような薬剤ペンとは特に区別する必要がある。薬剤ペンでは、あらかじめ固定された量の薬剤を、例えば1秒未満、1〜30秒、1〜60秒から1〜2分までのあたりの短時間内に送達する。
医療用計量ポンプによる薬剤の連続的送達は、例えば比較的長時間の投入の間の体の拒絶反応、物質の汚染、又はカニューレによる損傷などを介して、医学的問題が投入部位で発生する可能性があるという不利を有する。継続的な薬剤の投入には、不連続な薬剤の投入とは異なる疾患治療計画が必要である。インスリン・ポンプは、一般にI型糖尿病に使用される。
特許文献2は、中の吸引ポンプが機械的なバネの力によって作動する吸引装置を用いた注射装置が記載されている。機械的駆動は、この場合電子的構成部品及びソフトウエアによる制御、監視及びシグナル処理に適していない。その結果は、薬剤は機械的な状況においてしか、投与できないということである。その上、機械的なバネの使用は、グイッと迅速に動く、従って苦痛を伴う注射という結果をもたらす。
特許文献3の注入装置では、薬剤を大気圧より低い圧によって移動させる。大気圧より低い圧は、器具の部品の互いの機械的運動によって生成される。この器具も、また、純粋に機械的なシステムの限定された範囲の適用を免れない。加えて、運動性又は筋力が低下した人は、このシステムを非常に限定的にしか使用できないか、又は全く使用できない。
従って、本発明による装置は、公知の先行技術と比較して非常に柔軟に使うことができ、患者に対する注射方法を決定的に容易にし、全く異なるデザインの(また異なるメーカーからの)リザーバを簡単な方法で受けるように適合させることができ、電子システムによる制御及び監視ができ、データ収集及びデータ交換に適しており、そして遠隔操作で作動させることができる。
従って、本発明は、とりわけ、
a)少なくとも1つのリザーバ;及び
b)a)のリザーバからの1つ又はそれ以上の流出ライン;及び
c)a)のリザーバとb)の流出ラインの間に取り付けられるポンプ機構;及び
d)注射に適しており、b)の流出ラインに機能的に接続される構成部品;
を含む物質をヒト又は動物の体内に注射する装置であって、ポンプ機構が原動力によって駆動される装置に関する。
a)少なくとも1つのリザーバ;及び
b)a)のリザーバからの1つ又はそれ以上の流出ライン;及び
c)a)のリザーバとb)の流出ラインの間に取り付けられるポンプ機構;及び
d)注射に適しており、b)の流出ラインに機能的に接続される構成部品;
を含む物質をヒト又は動物の体内に注射する装置であって、ポンプ機構が原動力によって駆動される装置に関する。
装置は1つ又はそれ以上の構成部品から成り、特定の医療目的、特にヒト又は動物の体内に物質を注射する働きをする。1つの構成部品は1つ又はそれ以上の要素から成り、技術的又は非技術的な機能に応ずる働きをする。機能が、力、仕事、エネルギ、材料(物質)、データ及び/又はシグナルの伝達、構造及び/又は形態の保守、又は物質の保管、又は情報の記憶に関係する場合には、機能は技術的である。機能が、装置の使用者による若しくは使用者に対する情報の入力若しくは出力、又は使用者による若しくは使用者に対する物質の入力若しくは出力に関係する場合には、機能は非技術的である。
構成部品は、例えば器具の全体的な機能に関連する部分的な機能を与える技術的器具の部分であってもよい。構成部品は、例えばリザーバである。リザーバは、物質(特に、例えばインスリンのような薬剤)を含む交換可能なカートリッジであってもよい。交換可能なカートリッジは、特に薬剤をインスリン・ペン、又はヒト又は動物の体内に注射するための他の装置の使用に適する場合がある。技術的構成部品の別の例は、ポンピング用の装置又はポンプである。技術的構成部品の更なる例は、特に注射器、注射針、プランジャー軸、計量ユニット、機械的ディスプレイ、チュービング、シール、電池、モータ、トランスミッション、電子ディスプレイ、電子メモリ又は電子制御器である。この技術的な装置に関連する目的の意味は、特に、液体をある場所から別の場所に移動させることにある。1つの目的は、例えば液体体積のリザーバから流出ラインへの移動で定められる。目的は、また、ヒト又は動物の体内への薬剤の注射であってもよい。
構成部品は、一緒に目的に適合させるために1つ又はそれ以上の他の構成部品と技術的な方法で接続してもよい。技術的な接続は、例えば力、仕事、エネルギ、材料(物質)、データ及び/又はシグナルの伝達に適した構成部品の接続である。構成部品は、例えば機械的なカップリング、固定した機械的接続(張合せ、ねじ留め、リベット締め、リンク仕掛経由など)、歯車、フッチ、インターロック手段、金属ワイヤ、光導波路、無線リンク、電磁場、光ビームなどによって接続することができる。
リザーバは、外形及びその中にある内部体積によって区別され、これに物質、特に液体が封入される。体積は、外側に対して液密に閉鎖されている。しかし、その体積へのアクセス経路は存在し、物質の投入及び/又は取り出しを可能にする。外形は、ガラス、金属(例えば、アルミニウム)又はプラスチックを加工することによって製作することができる。アクセスは、穿孔可能な膜又はねじ閉鎖を介してもよい。リザーバは、例えばインスリン・ペンに使用するインスリン・カートリッジである。
注射は、注射器、又は特にペンのような機能的に類似した装置と共に、カニューレによって、物質、特に液体をヒト又は動物の体内に導入することである。とりわけ、皮下、筋肉内、静脈内、皮内及び関節内の注射が知られている。皮下注射は、皮膚の下に行うもので、比較的容易に行うことができ、痛みもそれほどでなく、患者自身によって行うことができる。筋肉内注入は筋肉内に行う。この場合、リスク、例えば疼痛性の骨膜損傷が起きるリスクが大きいので、通常は医療スタッフによって行われる。静脈内注射は、静脈穿刺の後、直接静脈を通して行われる。皮内注射では、薬剤は真皮のすぐ下に送られる。関節内注射では、液体を関節内に注射する。ヒト又は動物の体内への物質の注射は、特に薬剤ポンプを介する物質の導入、輸液又はある時間にわたって行われる別のタイプの連続供給とは区別すべきである。
ポンプ機構は、液体を動かす1つ又はそれ以上の技術的構成部品から成る機能的ユニットである。本発明の意味におけるポンプ機構は、少なくとも1つのポンピング構成部品及び少なくとも1つの駆動エネルギをポンピング構成部品に供給する更なる構成部品で構成され、又はそれらから成ってもよい。ポンピング構成部品は、例えば、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ又は圧電式ポンプなどである。ポンピング構成部品に駆動エネルギを供給する更なる構成部品は、例えば電気モータであってよい。
本発明の意味におけるポンプ機構は、少なくとも1つのポンピング構成部品、更にこのポンピング構成部品へのインターフェースを含んでもよく、それを経由して、外部にある原動力発生用の技術器具をポンピング構成部品と接続させることが出来、又はそれを経由して、原動力発生用の技術器具をポンピング構成部品と連結する(couple)ことが出来る。これに関連して、インターフェースは、原動力を発生させる技術器具の駆動シャフトの、例えば電気モータによって駆動されるポンプのような、ポンピング構成部品のポンピング作用を生み出す器具部品との機械的接続に特に関係している。そのようなインターフェースとしては、機械的ホルダー、及び場合により必要とされる電気的接触、又は情報、データ及び/又はシグナルを伝達するための接触が挙げられる。器具、例えば電気モータのような器具は、それが初めからの装置の構成要素ではないが、技術装置に付いた器具自体のインターフェースを介して機能的な方法でその装置と一緒に保持するために後で備えたものである場合、外部に存在する。例えば、電気モータのような原動力を発生させるための技術的器具は、技術的器具と構成部品がそれぞれ別個の器具単位として、例えば器具間の空間距離によって区別できる場合、ポンピング構成部品、例えばチューブポンプに機能的に接続される。これは機能的な接続の妨げとはならず、その接続は、例えばチューブ、ワイヤ、長距離継手などによって維持することができる。
例えば、電気モータのような原動力を発生させる技術的器具は、2つの器具がインターフェースを介して接続された後、単一の器具のように見え、例えば組み立てられたユニットとして同時にしかそして一緒にしか動くことができない場合、ポンピング構成部品、例えばチューブポンプに連結される。
原動力を発生させるための技術的器具(例えば、電気モーター)は、そのような器具のシャフトの駆動運動がポンピング構成部品の適切な技術的接続部材によってポンピング構成部品のポンピング作用に変換される場合、ポンピング構成部品(例えば、チューブポンプ)に機能的に接続される。そのような機能的接続用の適切な技術的接続部材は、例えば駆動技術器具のシャフトとポンピング構成部品のシャフトとの間の固定したリンク仕掛又は脱離可能な継手である。
本発明の意味におけるポンプ機構は、好ましい実施態様では、例えばモータ駆動ポンプの形態のように、完全に一体化した形態で駆動エネルギを供給する構成部品と一緒に存在するポンピング構成部品から成ってもよい。
上記のような本発明のポンピング構成部品は、好ましい駆動形態では、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ又は圧電型ポンプから成ってもよい。しかし、ベローズポンプ、ピストンポンプ、回転ピストンポンプ、ギアポンプ、回転円板ポンプ、ベルトポンプ、偏心スクリューポンプ、プロペラポンプ及びその他の使用もまた可能である。
例えば、ポンプのようなポンピング構成部品は、機械的仕事を供給することによって液体に存在するエネルギを増大させる機械である。液体の圧力が高められるか、又は運動エネルギーが液体に付与されるかのいずれかである。従って、適切な技術装置が利用可能な場合は、方向性を持った液体の移動は達成可能である。機械的仕事は、この目的のために設計された、例えば電気モータのような機械によって供給することができる。電気モータは、磁場の助けをかりて電気的又は化学的仕事を機械的仕事に変換することができる。電気モータは、直流、三相電流又は交流で作動させることができる。
前述のように、本発明の好ましい実施態様においては、ポンピング構成部品を駆動するための原動力は、電気モータによって生み出される。しかし、そのような原動力は、また、例えば太陽電池モータ、ガス・エンジン、蒸気圧によって作動するモータ、機械エネルギーを変換することによって作動するモータなどによっても供給することもできる。
原動力を供給する構成部品、特に電気モータを作動させるために好ましく使用されるエネルギー源は、電池、蓄電池及び/又は太陽電池、及び/又は家庭用電流(必要に応じて変圧器を経由)である。
解放可能なそして再接続可能なカップリング、及び/又は逓減、逓増、同調させるための若しくは運動の種類を切り換えるためのトランスミッションは、ポンピング構成部品とポンピング構成部品に原動力を供給するための構成部品との間に挿入される。
トランスミッションは、それによって回転運動を伝動又は変換することができる機械的構成部品であることを意味するものとする。変換とは、例えば円運動の、水平方向又は垂直方向の往復運動への転換を意味する。逓減、逓増及び同調は、出力の速度又はトルクに対する対応する入力の割合を意味する。
前述のような技術装置の形態における本発明の好ましい実施態様では、リザーバは、柔軟性のない外壁を有する。この壁は、例えばガラス、金属(特にスチール、アルミニウム、チタン、金、銀、及びプラチナ)、木材、プラスチック(特にポリカーボネート又はアクリルガラス)、1つ又はそれ以上の上記物質又は別の材料で構成される複合材料から成ってもよい。本発明の意味におけるリザーバは、特に薬剤が保管される又は保管できるボトルまたはカートリッジである。これらのタイプのリザーバは、例えば種々の製造業者(例えば、Sanofi-Aventis; Novo Nordisk; Eli Lilly)からのインスリン・ペンに使用するためのインスリン・カートリッジとして又はインスリン・ポンプとして、医薬品販売、特に薬局において、入手することが可能である。
本発明の別の好ましい実施態様では、リザーバは可撓性の外壁を有する。液体は、例えば大気圧より低い圧を発生させ、従って外部の空気圧又は与圧室中の圧力の作用によってリザーバの圧搾を引き起こすことによって、可撓性の外壁を有するリザーバから移動させることができる。
更に好ましい実施態様では、リザーバは、各場合薬剤を収容しているか、又は保管するのに適している、市販のリザーバ及び/又はカートリッジからなる。そのような薬剤は、好ましくはインスリンである。
リザーバからの流出ラインとして使用される好ましい構成部品は、空洞を有するものである。この構成部品は一方の端部をリザーバに向けて配置してそれに接続し、他方の端部をポンプ機構に向けて配置してそれに接続する。接続は、例えば、張合せ、溶接、リベット締め、ねじ留め、クランプ固定、フランジング(flanging)及び他の技術のような、加工品のための従来の接続技術によって製作することができる。流出ラインは、また、空洞をリザーバの部分に挿入し、そしてポンプ機構又は必要な任意のアダプターに正確に適合する接続を製作することによって、リザーバの部分から形成することができる。リザーバの適切な外部形状によって、正確に適合する接続を達成することができる。
流出ラインは、同様にポンプ機構の部分から形成することができ、それは空洞をそのような相手に挿入し、リザーバ又は必要な任意のアダプターに正確に適合する接続を製作することによる。ポンプ機構の適切な外部形状によって、正確に適合する接続を達成することができる。流出ラインとして、例えば金属(特にスチール、アルミニウム)、若しくはプラスチック、又は他の素材で出来た管状構造物又は管を使用することも可能である。
流出ラインは、リザーバから液体を移送するのに適した内部空洞を有する。空洞は通常円筒形を有する。リザーバ、ポンプ機構及び任意の他の構成部品への流出ラインの接続も、可能な限り液密に設計される。流出ラインは、それで物質が、特に液体がリザーバから移送できる場合機能を果せる。
本発明による装置の構成部品として物質を注射するための構成部品は、好ましい実施態様では、とりわけカニューレから成る。
カニューレは、通常、金属(例えば、スチール、ステンレススチール、金、銀、白金)で作られている本質的に中空針である。カニューレの端部は、ある角度で研削して鋭くすることが多い。カニューレは、一方の端部を尖らせ及び/又は鋭くし他の端部を鈍端としてもよいが、両端を尖らせ及び/又は鋭くしてもよい。カニューレは、通常2つの端部の1つに例えばプラスチック製で円錐形の取付具を有し、それにより医療器具を、例えば注射器、薬剤ペン、特にインスリン・ペン、薬剤リザーバ又は薬剤ポンプなどに、例えば押し込み又は螺合することによって中空針を配置できる。カニューレは、注射器、ペン、ポンプ、又は目的に適した別の医療器具との機能的な相互作用を果たし、ヒト又は動物の体内から若しくは体内に液体を取り出したり若しくは供給する。
カニューレの直径(外径)は、通常mm又はゲージで指定される(18ゲージ=1.2mm;20ゲージ=0.9 mm;21ゲージ=0.8 mm;22ゲージ=0.7 mm;23ゲージ=0.6 mm;25ゲージ=0.5mm;27ゲージ=0.4 mm)。カニューレを特徴づける別のパラメータは、その長さである。カニューレの典型的な長さは、40mm、30mm、25mm、8mm、6mm及びその他長さである。
本発明の好ましい実施態様において、技術的装置は、ポンピング構成部品及び/又はポンピング構成部品に原動力を供給する構成部品を検査、監視及び/又は制御する少なくとも1つの電子的構成部品を含む。本発明の更に好ましい実施態様では、技術的装置は、リザーバから移送する、及び/又は注射するのに使用される物質の量を測定するための流量センサーを含む。
本発明は、更に上記した装置の製造であって、
a)リザーバを受ける構成部品を備え;
b)リザーバ(このリザーバは、液体の形態の薬剤、例えばインスリンを含んでもよい。しかし、そのリザーバは空の形態で存在してもよい)を備え;
c)リザーバからの流出ラインを備え;
d)ポンプ機構を備え;
e)物質を注射するための構成部品を備え;
f)場合によって、流量センサーを備え;
g)場合によって、記憶及び/又はデータ処理及び/又はデータ転送のための電子的構成部品を備え;
h)a)〜g)に記載された各構成要素を一緒に結合して1つの機能的ユニットを得る;
製造に関する。
a)リザーバを受ける構成部品を備え;
b)リザーバ(このリザーバは、液体の形態の薬剤、例えばインスリンを含んでもよい。しかし、そのリザーバは空の形態で存在してもよい)を備え;
c)リザーバからの流出ラインを備え;
d)ポンプ機構を備え;
e)物質を注射するための構成部品を備え;
f)場合によって、流量センサーを備え;
g)場合によって、記憶及び/又はデータ処理及び/又はデータ転送のための電子的構成部品を備え;
h)a)〜g)に記載された各構成要素を一緒に結合して1つの機能的ユニットを得る;
製造に関する。
本発明による技術的装置は、例えば消化管を回避して物質をヒト又は動物の体内に注射するのに適した器具の構成要素として適している。好ましくは薬剤、特にインスリンの投与は、その様な器具を使えば可能である。
本発明は、更に、薬剤をヒト又は動物の体内に注射するための医療器具であって、とりわけ以下の構成要素a)〜f):
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品;
d)注射対象の液体の量を表示する構成部品;
e)液体の注射を開始する構成部品;
f)上記の本発明による1つ又はそれ以上の技術的装置から成る構成部品;
を含む、又は上記の構成要素a)〜f)の全部若しくは一部から成る医療器具に関する。
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品;
d)注射対象の液体の量を表示する構成部品;
e)液体の注射を開始する構成部品;
f)上記の本発明による1つ又はそれ以上の技術的装置から成る構成部品;
を含む、又は上記の構成要素a)〜f)の全部若しくは一部から成る医療器具に関する。
この医療器具は、好ましい実施態様において、データ及び/又はシグナルを記憶及び/又は処理するための少なくとも1つの手段を含む。
この医療器具は、また、更に好ましい実施態様において、データ及び/又はシグナルの記憶及び/又は処理するために適切に構成されている外部技術ユニットに及び/又は外部技術ユニットからデータ及び/又はシグナルを伝送するためのインターフェースを含む。その様な外部技術ユニットは、例えば、医療器具によって送信されるデータ及び/又はシグナルを記憶及び/又は処理するためのソフトウエアがインストールしたPCから成るものであってもよい。そのような医療器具は、特に好ましい実施態様において、インスリン、特に長時間作用型及び/又は短時間作用型のインスリンを含み、そしてそれ故インスリン、特に長時間作用型及び/又は短時間作用型のインスリンの注射に使用することができる。そのような医療器具は、別の好ましい実施態様において、GLP−1を含み、そしてそれ故GLP−1の注射に使用することができる。そのような医療器具は、更なる好ましい実施態様において、ロベノックスを含み、そしてそれ故ロベノックスの注射に使用することができる。
本発明による医療器具は、特に、インスリン(例えば長時間作用型又は短時間作用型)、GLP−1又はロベノックスなどの薬剤をリザーバ内に含む。前記薬剤、及び本発明による器具を使って注射できる他の全ての薬剤は、この点に関して、溶液、又は種々の温度若しくは圧力条件(例えば、保存条件)下の物質の溶解挙動に依存して、懸濁液、即ち部分的に液体で部分的に固体の形態として存在する。本発明による医療器具を使って注射するための薬剤は、また、2つ又はそれ以上の別々のチャンバを有するリザーバに入れて提供してもよく、その1つのチャンバは固体形態の薬剤を含み、更なるチャンバは、例えば緩衝剤、イオン、保存剤、安定剤、酸、塩基、アルコール類、有機溶剤などの添加剤を含む又は含まない水のような液体を含む。その薬剤は、注射する前に溶解した形態に変換される。これは、例えば固体形態の薬剤と液体(例えば、水)のチャンバー間の仕切りを透過性にして、液体(例えば、水)を薬剤と接触させることができる装置によって行われる。次いで注射する前に、薬剤は、チャンバー間の仕切りを透過性にした同じ装置による、又はそのために適した別の装置による、振とう、攪拌、往復運動などの更なる手段によって、又は使用者の手動操作によって、溶解した形態に変換することができる。
本発明は、更なる実施態様において、本発明による医療器具の製造であって、
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素を備え;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品を備え;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品を備え;
d)表示部の形態の構成部品を備え;
e)放出機構の形態の構成部品を備え;
f)上記の本発明による少なくとも1つの技術的装置を備え;
g)a)〜f)に記載された各構成要素を組み立てて1つの機能的ユニットを得る;
製造に関する。
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素を備え;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品を備え;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品を備え;
d)表示部の形態の構成部品を備え;
e)放出機構の形態の構成部品を備え;
f)上記の本発明による少なくとも1つの技術的装置を備え;
g)a)〜f)に記載された各構成要素を組み立てて1つの機能的ユニットを得る;
製造に関する。
本発明は、更に、薬理活性が消化管で損なわれるか消失する物質によって、身体の疾患及び/又は機能障害を予防及び/又は治療するための、本発明の医療器具の使用に関する。そのような物質は、例えばタンパク質、糖質、核酸又はワクチンである。そのような物質の例は、インスリン、成長ホルモン、インターフェロン、インターロイキン、サイトカイン、ヘパリン、モノクローナル抗体、ウイルス感染症(例えば、インフルエンザ)の弱毒化病原体、及びその他である。
本発明による医療器具の使用は、とりわけ糖尿病治療、インスリン、GLP−1、インターフェロン、成長ホルモン、ヘパリン、ロベノックス又はワクチンの投与に関係する。
本発明の意味における医療器具は、例えば特にインスリンのような物質をヒト又は動物の身体に供給することによる、ヒト又は動物の体の治療に使用される。物質の供給は、例えば、注射器又は薬剤ペン、特にインスリン・ペンなどによる注射によって行うことができる。インスリン・ポンプによる供給は、連続様式で行われることで注射とは異なり、本発明の意味での注射とは区別すべきである。
医療器具は、特にヒト又は動物の体内に物質を注射するための器具である。注射器の他に、そのような注射用の器具は、例えばインスリン・ペンのような薬剤ペンであってもよい。薬剤ペンは種々の形態、様々な目的に適しており、市場においていろいろな製造業者から入手可能である(例えば、Optiklick, Optipen, Optiset)。
例えば、インスリン・ペンのような医療器具の基部要素は、その外部ケーシングを意味することが意図されているが、これはまた決定的に形状を決定する。この形状は、例えばペンのように細長い形状、楕円形、円形、正方形、矩形、エッグ・タイマー形状、蝶番で開閉できる形状、又は伸縮自在に折畳める形状であってもよい。外部ケーシングの素材は、1つ又はそれ以上のプラスチック、ガラス、金属、木材又はセラミックで作られる。構成部品が基部要素の中又は上に実装されるということは、出来上がった使える状態の医療器具の中で、この構成部品が基部要素の中に在る、又は基部要素に取り付けられていることを意味する。
全てのインスリン・ペンは、安全で失敗のない使用を可能にするために、容易な操作性に関連する様々な要件を満たさなければならない。基本的な要件は、予め選択された投与量及びカートリッジ内の残存量を表示するためのものである。更に、投与量の設定及び注射プロセスの完了が、聴き取れ、触って認識可能であり、そして目視可能であるべきである。この安全性の要件は、特に高齢のII型糖尿病患者の限られた認識能力から起こっている。
注射針のあるインスリン・ペンの他に、また、インスリン療法に使用されるのは、無針注射システムである。無針注射システムを使用する現在の例は、Roesch社のインジェクス(Injex)注射システムである。この注射器では、極めて高い圧力を使用して、マイクロニードルを通して皮膚の脂肪層内にインスリンを発射する。このため、注射前に手動で弾性バネに張力を付与して、注射に必要なエネルギを蓄える。この場合、注射された物質は、均一かつ円錐状に脂肪組織に分布される。
この器具の無視できない利点は、薬剤の無針注射であり、それは一部の患者では、インスリン投与についての心理的抑制閾値(psychological inhibition threshold)を低下させる。また、無針注射は、穿刺部位の感染を排除する。従来のインスリン・ペンに比べた場合の欠点は、インスリンを特殊なカートリッジに移すこと;比較的大きな質量器具;及びバネに張力を付与するための更なる付属品の包含にあることがわかっている。
インスリン・ポンプ類は、インスリンの連続的な皮下注射のための完全自動注入システムである点で、インスリン注射器とは異なる。それらは凡そタバコの箱のサイズを有し、恒久的に体に装着される。短時間作用型インスリンを、患者により前もって設定されたプログラムに従って、カテーテル及び皮膚に設置された針を通して皮膚組織内に注射する。インスリン・ポンプの役目は、膵臓によるインスリンの連続的な放出を模倣して血中グルコースレベルを下げることであるが、閉ループ制御で血中グルコースレベルを調節することはできない。インスリンの継続的及び順応性の高い供給のため、これらのポンプは、スポーツ活動に従事する人及び日課が大きく変化する人には特に有利である。例えば、顕著な暁現象(DAWN現象)のある糖尿病患者におけるような大幅な血中グルコースレベルの変動を補償することは、従来の方法では大きな努力を払わなければ調節することはできないが、インスリン・ポンプ療法では可能である。1つの欠点は、インスリン供給が体内のインスリンリザーバの枯渇によって中断した場合、重篤な代謝異常が起こる可能性があることである。インスリン・ポンプは様々な技術構成で利用可能であり、技術開発の間に注射器様容器を備えた器具が確立されるようになっている。注射針を有するインスリン・ペンと同様に、インスリンは、可動ストッパを備えたリザーバに入っている。可動ストッパは、モータ駆動のプランジャー軸によって動かされる。
完全に自動的で連続的なインスリン送達のため、ポンプは、深刻な結果を伴う不調からユーザーを保護するために、多数の安全確保システムを備えている。しかし、これは、器具の責任あるそして先を見越した使用が不要であることを意味するものではない。
現在の注射器具、並びに医療及びマイクロシステム技術における更なる技術的な発展に基づいて、完全自動式の小型薬剤計量システムに向かう明らかな傾向が存在する。更なる開発で、埋め込み型及び体外型の薬剤計量システムの方向に向かう可能性がある。埋め込み型インスリン・ポンプのねらいは、糖尿病患者を、体に外部器具を装着する必要無しに、毎日のインスリン注射から解放することである。
インスリン・ペンは、EN ISO規格11608において本質的に人間工学及び安全機能に集中している。これも同様に、インスリン・カートリッジ及びペン注射針の幾何学的形状/材料物性を包含する。ペンの取り扱い及び操作は、従ってほぼ一様であり、使用者のためのモデルとは無関係である。
インスリン・ペン、インスリン・カートリッジ及び針に関係するEN ISO規格11608の内容は、これにより参照することによって本明細書の開示に明白に組み込まれている。
ペンの設計においては、さまざまな製造業者のペンには、幾つかのかなりの相違があることが見出される。その理由は、例えば異なる標的群(小児、高齢者)の指定である。EN ISO規格11608の要件のために、その違いは、特に注射機構及び放出機構に限定される。投与量セレクタ及び投与量ディスプレイは、主として人間工学的な要件が課せられ、それぞれのモデルの一般的な設計条件に由来する。
インスリン・ペンの本質的な機能要素は注射機構である。それにより、ペンのタイプ及びサイズ、並びに放出機構及び投与量セレクタの設計が決まる。機構は、投与量セレクタで予め設定された投与量を、放出機構から得られる注射エネルギで、カートリッジ内のストッパの注射ストロークに変換する。このエネルギは、直接、又は運動を変更するトランスミッションを介しての何れかで注射機構に伝達される。
プランジャー軸の形状の注射機構の形態を変えることは、技術的に可能である。現在、市販されているインスリン・ペンでは、剛性設計(例えば、ネジ付きスピンドル、歯付きラック)又は可撓性設計(例えば、湾曲歯付きラック、湾曲圧縮バネ)による解(solution)が確立されてきた。伸縮自在のプランジャー軸のようなその他の可能性のある構成(例えば、ネジ機構、ベルト・チェーン駆動装置、液圧トランスミッション、連結トランスミッション)は、現在市販されているインスリン・ペンには採用されていない。
剛性タイプ及び可撓性タイプの設計解は、ペンの種類(即ち、再使用可能ペン又は使い捨てペン)に依存して広範囲に変化する。用いられるプランジャー軸は、ネジ付きスピンドル若しくは歯付きラック、又は両者の組み合わせである。投与量セレクタでは、投与量に相当する回転角度が、もどり止め装置を用いて予め設定され、それは次のネジ機構及び歯車によって注射機構に伝動され、注射ストロークに変換される。
薬剤の送出は、注射ストローク及びその結果としてのストッパの変位置を特定することによって行われる。送出される液体の量は、注射ストローク及びカートリッジの内径に依存する。投与エラーを回避するために、気泡は、製造業者の仕様書及びEN ISO規格11608に従って完全に取り除かなければならない。さらに、液体を送出した後、定常状態、即ちカートリッジ内の液体が常圧であり、ストッパの弛緩を確実にするために、十分に長い時間経過させるべきである。
薬剤用のリザーバ(カートリッジとも呼ぶ)は、薬剤ペンの構築及び機能的構造に影響する。これに関連して区別できる部分的機能は、第一に薬剤の保護機能であり、次に搬送機能であり、最後に薬剤ペンの注射システムとの連結機能である。保護機能は、カートリッジ全体として、即ちストッパ、ガラス体及びシーリングディスクによって達成される。薬剤の搬送機能は、注射機構の使用で変位させられ、カートリッジ内の体積変化をもたらすストッパによって与えられる。最後に注射システムへの連結機能は、シーリング手段(例えば、シーリングディスク)によって作り出される。
自動薬剤ペン(例えば、自動インスリン・ペン)では、注射エネルギは、後続のトランスミッションで駆動することによって加えられる。エネルギ供給及び制御ユニットが、更に必要である。
本発明による注射機構において、薬剤(例えば、インスリンを介して)は、注射機構ストッパを変位させることによって搬送されるのではなく、ポンプ装置の導入によって搬送される。ポンプ装置は、カートリッジと注射システムの間に挿入され、適切なインターフェースを備える。ポンプ装置は、流量センサを備えていてもよい。それは、薬剤(例えば、インスリン)と直接接しており、従って、特に微生物数の低減、無菌性、生体適合性(biscompatibility)のような追加の要件を生じさせる。この機能原理を適用すると、薬剤が吸い出されるとき大気圧より低い圧が生じるため、従来の注射用薬剤ペン(例えば、インスリン・ペン)に比較すれば、多数の変数(例えば、薬剤容器の液体圧)が変更される。
インスリン・カートリッジは薬剤の一次包装としての機能を果し、高度の基準を満たさなければならない。これは、投与の正確さ(accuracy)及び他の構成部品との適合性に関連する、カートリッジの寸法の正確さに関係する。EN ISO規格11608−3はこれらの要件に関係しており、カートリッジの形状を不必要に制限することなく、基本的な側面及び幾何学的/物質的な構築を記載している。カートリッジの薬剤不透過性は、同様に保証されなければならない。
カートリッジは、複数の副構成部品から成る。主要なものは、インスリンに対する高い中性及び耐薬品性を備えた薬剤ガラスのシリンダである。充填する前に、シリコン処理によってシリンダの表面性状を改善する。この表面処理はストッパの滑り及び最大静止摩擦力(breakaway force)を低減し、投与の正確さを高め、そして長い貯積時間中のガラス成分の溶出を抑える。シリコン処理の程度は、これに関連して、ストッパの摩擦力のレベルと相関しており、限度はシリコンに対するインスリンの感受性によって設定される。
カートリッジは、エラストマークロージュア部品であるストッパ及びシーリングディスクによって両端が密閉される。これに関連して重要なポイントは、様々な圧力の状況において実証された機械的不浸透性及び長期試験における全ての生体への微生物学的不浸透性である。更なる重要な点は、最大許容ストッパ力及びカニューレによるシーリングディスクの穿刺回数である。
ペン注射針は、インスリンをカートリッジから標的組織内に案内するために使用される滅菌した使い捨て製品である。ペン注射針の実際の機能は、2つの構成部品の協働を通してしか実現されないため、カートリッジと同様、それらは厳しい要件が課せられる。針は、両端部が研削され、カートリッジの取り付け部片にセットされたカニューレから成る。カニューレの最適な研削により標的組織への挿入を、患者に対して実質的に痛みを与えず、さらに引き抜きに際して、わずかの組織損傷しか起こさずに可能にする。同様に、カートリッジのシーリングディスクは大きな断片化なしに刺通される。これは、針を定期的に変更するときもカートリッジの不透過性を確保しなければならないため、義務的要件である。カートリッジの取り付け部片は、インスリン・ペンへのしっかりした嵌合を確実にする。
ペン注射針は、たとえ2回又はそれを越える回数使用した後肉眼では殆ど見えない磨耗の徴候を示すものであるとしても、無菌性の理由に各注射後に交換しなければならない。さらに、結晶化したインスリンは針を詰まらせる可能性がある。そのうえ、温度変化がある場合、カートリッジの中に空気が入り、それは同じく投与エラーの原因になる。従って、わずか15Kの温度変化でも、最大15μLの空気がカートリッジに入る原因となる。
マイクロ流体工学はマイクロシステム技術のサブセクションであり、1μmから1mmの寸法を有する流路横断面の流体の量を操作し処理する、マイクロシステムの設計、生産、使用及び調査を含む。マイクロ流体システムは、医療技術、生化学、化学工学及び分析、並びにマイクロ反応技術に使用される。これらのマイクロシステムは、実際の使用で重要なのはマイクロ流体システムの寸法ではなく流体の量であるため、ミリメートル及びセンチメートルの寸法を有してもよい。また、その様なシステムは、流体が少量であること及びしばしば小さいシステムサイズであるため、従来の流体システムとは著しい違いを示す。微小化は、表面に関連した作用並びに静電学的及び動電学的力が支配するため、流体の流れの挙動の変化を伴う。従って、マイクロ流体的構成部品(例えば、マイクロポンプ及びセンサー)の設計、製作及び特性化のための新しいアプローチが必要である。アクチュエータ作動装置の一定のエネルギー密度はそれらの出力低下を起こし、その結果、それはマクロ・セクタにおける従来の構成部品と同等ではない。このため、外部アクチュエータがしばしば使用され、これは時にシステム全体の寸法をかなり大きくする。さらに、マイクロ流体的構成部品の小型化は、輸送しよとする粒子及び分子の物理学及び化学によって制限される。
マイクロポンプは、非常に少量の液体を計量する役割を有すると同時に、生産コストが低く及び小さな外部寸法が小さい。ポンプの小型化は、単に巨視的技術に付随する現象に過ぎない物理的作用を利用する。その結果として、ポンプは、作用原理が巨視的に適合されたもの及び微視的な新型のものの2つのグループに分けることができる。
現在利用可能な又は実験室モデル段階のポンプの大部分は、微小変位ポンプ(microdisplacement pump)を有する。完全流体システム内に組み込むための要件が、これに対する主な理由である。最大容量及び最大送出圧力に加え、重要な選択基準としては、とりわけより高い費用効果の生産、再現性のあるそして安定した送出特性、簡単な充填及び摂動影響に関連する堅牢性が挙げられる。このワークの明確性及び関連性の理由で、以下のセクションでは微小変位ポンプの構築及び作用方式のみを扱う。これらは実質的に3つのユニット、即ちポンプチャンバ、流体を動かすアクチュエータ、及び流れの方向を制御するバルブユニットから成る。ポンピング工程は2つの相に分かれる。吸引相ではアクチュエータがチャンバーの体積を大きくして大気圧より低い圧を生じさせ、流体は入口から吸込まれる。変位相では、アクチュエータは反対の方向に動き、ポンプチャンバの体積を減少させる。流体は、出口を通ってポンプから送り出される。バルブユニットは、この工程を通じて、方向性を持った液体の流れを作り出す。
アクチュエータの原理及びバルブユニットの構成は、実質的には、要求されるポンプパラメータ、即ちポンプ出力、製造工程、流体特性、エネルギ供給及び許容されるサイズによって決定される。この2つの機能的ユニットは、互いに協調し合い、ポンプの運転特性に影響を及ぼす。
マイクロポンプを比較し選択するための重要なパラメータは、最大限に達成可能なレベルの送出圧力と送出速度である。
センサは、物理的、化学的又は生物学的測定量を、必ずではないがしばしば直線性の、明確な方法での計測に関連する電気的測定シグナルに変換する。マイクロ流体センサは、実質的に2つのグループに分けられる。流量センサは、単位時間当たりに観察される管断面を通過する体積測定量又は物質量を検出する働きをする。総体積を確定することは積分ユニットを用いて可能であり、総体積は計測の作業にとって特に重要である。一方、化学センサーは、流体中の様々な物質、分子又はイオンの存在及び濃度を検出する(例えば、pH測定用のセンサー)。しかし、本ワークのねらいに関連して、以下の説明は流量センサーにとどめる。
流量センサーは、巨視的な適用においてさえも又は小型化によってのみ利用可能である、さまざまな物理法則を利用して達成することができる。測定方法によって、分当たり2、3ナノリットルから数ミリリットルの範囲の流速が測定できる。
熱的に作動する流量センサーでは、加熱要素によって温度シグナルが液体流れの中に送り込まれ、そして再び温度センサーによって検出される。流速は、測定したシグナル消失時間及びカバーされる距離に基づいて、それから計算することができる。
糖尿病は、身体そのものが、全く又は充分な量のインスリンを生産することができず、そして適切にそれを使用出来ない疾患である。インスリンは、血液から体の細胞内にグルコースを輸送するために必要である。血中グルコースレベルは、継続的に狭い範囲(60〜100mg%又は3.33〜5.55mmol/L)に一定に保たれる。これはインスリン及びグルカゴンの2つのホルモンの相互作用を介して行われる。
糖尿病は、適切な検査室器具を使って採血した後、診断される。高血中グルコースレベルは、診断を確定するためには、少なくとも2つの異なる機会で検出しなければならない。
糖尿病は、血漿で測定したグルコースレベルが、提示された以下のケース:
a) 空腹時血糖:7.0mmol/L又は126mg/dL;
b) 75mgのブドウ糖投与後2時間の血糖(経口ブドウ糖負荷試験):11.1mmol/L又は200 mg/dL;
c) 重篤な口渇 (多飲症)、頻尿(多尿症)又は体重減少と関連した血糖:11.1mmol/L又は200mg/dL;
の少なくとも1つに記載された値を超えた場合に使われる用語である。
a) 空腹時血糖:7.0mmol/L又は126mg/dL;
b) 75mgのブドウ糖投与後2時間の血糖(経口ブドウ糖負荷試験):11.1mmol/L又は200 mg/dL;
c) 重篤な口渇 (多飲症)、頻尿(多尿症)又は体重減少と関連した血糖:11.1mmol/L又は200mg/dL;
の少なくとも1つに記載された値を超えた場合に使われる用語である。
糖尿病の未治療の場合は、高血中グルコースレベルに至り、多発神経障害、微小血管障害、大血管障害、網膜症、腎症及びその他のような様々な症状及び予後に至る可能性がある。赤血球の非酵素的糖化(HbA1c値)が低下している場合は、糖尿病に由来する晩期障害のリスクはより小さい。
糖尿病性昏睡は糖尿病の命にかかわる急性の合併症である。このような症例では、血液の過剰酸性(代謝性アシドーシス)と関連して血中グルコースレベルは1000mg/dL以上になる可能性がある。糖尿病性昏睡は、とりわけ感染症、多すぎる炭水化物の摂取、アルコール乱用又は間違ったインスリン投与によって誘発される可能性がある。
I型糖尿病とII型糖尿病には差異がある。I型糖尿病では絶対的インスリン欠乏が最初からあり、インスリン投与でしか治療ができない。II型糖尿病は、低下したインスリン感受性及び相対的なインスリン欠乏によって特徴付けられる。II型糖尿病は、通常最初は食事療法及び錠剤投与で治療することができる。疾患の経過中に、インスリン補充がしばしばに必要となる。
II型糖尿病は主として先進工業国での広範囲に及ぶ疾患になってきた。過食、運動不足及び肥満が主な原因と考えられている。II型糖尿病は、特に体重減量を目指した運動トレーニング及び糖尿病対策によって効果的に抑えることができる。また、II型糖尿病の症例では、例えばアカルボース、ビグアニド、スルホニル尿素、グリタゾン及びその他のような経口抗糖尿病薬を使用することも可能である。インスリンを用いる療法は、血中グルコースレベルがもはや前記の対策によって、十分な永続性をもって正常範囲又は近傍に保持できない場合に必要である。
インスリン療法には、様々なインスリンを使用することができる。通常、作用の持続時間又は化学構造に従って区別される。インスリンアナログは、ヒト・インスリンと対比して個々の位置で異なるアミノ酸を有する。それによって特性が変わる可能性がある。
速効型インスリンとしては、ヒト・インスリン、及びグルリシン(商標名:アピドラ)、リスプロ(商標名:フマログ)及びアスパルト(商標名:ノボラピッド)のような種々の速効型及び短時間作用型インスリンアナログが挙げられる。
遅効型又は長時間作用型インスリンは、NPHインスリン(プロタミン含有中間型インスリン(ハーゲドルン)で持続化された作用を有するヒト・インスリン)、亜鉛インスリン、及びグラルギン(商標名:ランタス)及びデテミール(商標名:レベミル)のような多様なインスリンアナログである。
同じく、インスリン療法で使われるのは、混合型インスリン及び最近の吸入型インスリンである。
混合型インスリンは、種々の混合割合の速効型インスリン及び長時間作用型インスリンから成る。通常は、10/90%、25/75%、30/70%、50/50%の混合物である。インスリン療法は、常に血中グルコースレベルの規則正しい測定を伴うものでなければならない。
従来のインスリン療法では、定まった量の混合型インスリンが一定の時間に注射される。I型糖尿病患者の治療には、主として、更に強化された従来のインスリン療法が採用される。この症例では、基礎的な供給を長時間作用型インスリン(基礎)で確保し、更に食事の時に速効型インスリン(ボーラス)を与える。
ポンプを使ったインスリンの持続皮下注入は、主にI型糖尿病に適している。インスリンは注射されるのではなく、小型ポンプによって体内に送り込まれる。ポンプは恒久的に体上に存在する。インスリンはカニューレを備えたカテーテルを通して供給される。インスリン・ポンプは、通常、速効型インスリンを短い等間隔で長期に亘って送達する。
グルカゴン様ペプチド1(GLP1)は、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)と並んで、インクレチンの最も重要な代表の1つである。インクレチンは腸内でホルモンとして産生され、とりわけ膵臓のインスリン分泌を刺激することによって血中グルコースレベルを調節する。
産生される腸ホルモンの量は、経口で摂取した炭水化物の量に依存している。GLP1レベルは、グルコースの静脈内投与の後よりもグルコースの経口摂取の後の方がより高くなる。II型糖尿病患者で、GLP1の静脈内注入及び皮下注射が、多くの症例で、血中グルコースレベルの完全な正常化をもたらすことを、研究によって示すことは可能となっている。問題は、GLP1がジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)によって非常に短時間に阻害されることである。GLP1の皮下注射で有効血漿濃度を維持できるのは、わずか約1〜2時間である。GLP1の持続的効果に向けた解決策は、より長時間作用型GLPアナログの開発或いは薬剤によるDPP−IV阻害で発見できるものと思われる。
成長ホルモンは、ヒト、動物及び植物の成長を刺激する物質である。既知の例は、ソマトトロピン(ヒト)、ウシソマトトロピン(ウシ)及びオーキシン並びにジベレリン酸(植物)である。
ソマトトロピン(STH)は、また、ヒト成長ホルモン(HGH)及び成長ホルモン(GH)の名でも知られる。STHは、191のアミノ酸残基を有するペプチドホルモンである。産生は、視床下部由来のソマトトロピン放出因子(SRF;GHRH;GRF)の制御のもとに下垂体前葉で行われる。STHは、正常な直線的成長(linear growth)のために絶対に必要である。生産性の低下又はSTHに対する細胞の反応性の低下は、結果として低身長になる。過剰産生は巨人症又は先端巨大症になる。
成長ホルモン欠乏によって引き起こされる低身長は、数年間STHを投与することによって治療されている。STHは、1985年に遺伝子操作で生産が可能になるまで、最初は死体の下垂体から得られていた。
インターフェロンは、組織ホルモンとしてヒト又は動物の白血球、線維芽細胞又はTリンパ球によって産生される。インターフェロンは免疫賦活作用(例えば、抗ウイルス作用)又は抗ホルモン作用を有するタンパク質又は糖タンパク質である。インターフェロンは、α−インターフェロン、β−インターフェロン及びγ−インターフェロンに分類される。インターフェロンは、ウイルス性疾患(例えば、SARS)、がん、多発性硬化症、B/C型肝炎、C型肝炎などの適応症のために、種々の製造業者から入手可能である。
ワクチンは、生物学的に又は遺伝子操作によって生産される組成物であり、とりわけ個々のタンパク質及び/又はRNA若しくはDNA断片及び/又は死滅若しくは弱毒化病原体(例えば、インフルエンザ、SARS、ポックスウイルス(pocks virus)、はしか、耳下腺炎、風疹、灰白髄炎の病原体、百日咳病原体)を含む。
既知のタイプは、生ワクチン(例えば、ウシポックス)、弱毒化ウイルス又はバクテリア(例えば、MMRワクチン、黄熱病、灰白髄炎)の弱毒化生ワクチン、及び不活化若しくは死滅ウイルス若しくはバクテリア又はそれらの成分による死菌ワクチン(例えば、インフルエンザ、コレラ、腺ペスト、A型肝炎)である。
ヘパリンは、血液凝固を抑制するために、治療上使用される物質である。ヘパリンは、それぞれの場合、D−グルコサミンと、D−グルクロン酸又はL−イズロン酸との各場合の交互配列から成る。5ユニットから成る鎖長であれば、抗凝固には十分である。
殆どの多糖鎖は、4000と40000の間の分子量を有する。未分画ヘパリン以外に、約5000の分子量を持つ低分子量分画ヘパリンも使用される。ヘパリンは消化管から吸収されないが、非経口的に投与しなければならない。ヘパリンはアンチトロンビンIIIと結合し、活性化凝固因子の不活化を促進させることによって作用する。
ロベノックス(クレキサンとしても知られる)は、薬理学的な活性成分のエノキサパリン(enoxaprin)ナトリウムを使った市販の医薬製剤である。活性成分が直線的な用量反応関係及び常に高い生物学的利用能を有する低分子量ヘパリンの1つである。
ロベノックスの適応症の領域は、深部静脈血栓症の一次予防、肺塞栓症の有無に関わりのない深部静脈血栓症の治療、不安定狭心症及び所謂非Q波心筋梗塞の治療、及び血液透析中の血栓予防並びに抗凝固である。
以下の記述は、選択した実施例に基づく自動インスリン・ペンに関連して、本発明による装置の構築、機能の様式及び試験について説明する。
この場合、ペンの中心となる構成部品は、カートリッジからインスリンを吸い出し、それを標的組織内に注射針を通して注射するポンプ装置によって形成される。この装置は液体と直接接触する。インスリン投与はセンサを用いて行うようにする。このコンセプトはカートリッジ及びペン注射針の使用を必要とし、ポンプ装置の運転特性はこれらの構成部品に適合させなければならない。寸法を決める重要なパラメータは、一定の送出速度を生み出すことが出来る吸引圧力及び背圧である。
最初に、溶液コンセプトに関連して適切なカートリッジ特性を確認する。調査の核心は、インスリン送出に必要な吸引圧力であり、これはガラスシリンダとストッパの間の摩擦によって引き出される。可能であれば、開発すべきペンのポンピング工程を最適化する提案は、また、これに関連して行う。続いて、代表的ペン注射針にインスリンを送り出すときの圧力低下を確認する。これらの調査結果に基づいて、ポンプ装置についての作用原理を選択し、そして次に、適合性を機能検査で実証する。基準は、また、ポンプ出力以外に、交換性、医学的要件の遵守及び小型能(miniaturizability)である。インスリンの流量を検出するセンサ原理の検討でこの項は完了する。
カートリッジと注射針は、インスリンを送出するための協調的な機能的ユニットを形成する。ストッパ速度及びペン注射針の直径に依存して、ストッパが前進するとき、力の平衡は、プランジャー軸の力と、ストッパ摩擦と静水圧から生じる合計の力の間に設定される。ストッパ位置及び前進速度は、ストッパの圧縮性を無視して、プランジャー軸の位置によって、毎回測定される。この場合のカートリッジ内の体積減少が、ペン注射針を介して液体を送る大気圧より高い圧をもたらす。
しかし、カートリッジが本発明による作用の原理で使用される場合、システムの変数が変わる。
以下の境界条件が考慮されなければならない。
液体が吸い出される時、カートリッジ内に大気圧より低い圧が生成する。大気圧より低い圧は、相対圧力とも呼ばれ、理論的には通常の外圧で101.03kPaに限定される。ストッパの最大作用力は、この圧力差によって約7.3Nに限定される。
カートリッジ内に気泡がない場合、ストッパ速度はもっぱらストッパ摩擦及び吸引圧力に依存する。静止摩擦の領域では、たとえ吸引圧力が高くても、これは小さい可能性がある。
カートリッジ内に気泡がない場合、送出速度はストッパ速度に依存し、従って変動する。
ペン注射針での圧力低下は、この作用原理を備えたカートリッジ内の工程に対して何ら影響を及ぼさない。
液体に溶けている空気は、大気圧より低い圧のため、ガスを放出する可能性がある。存在する気泡は、静水圧に依存して体積の増加が認められる。非常に高い吸引圧力は、蒸気圧に達した場合、キャビテーションを起こす可能性がある。これは絶対に避けなければならない。
吸引方法についての検討では、静水圧及びストッパ位置の両方の測定が要求される。それらは、この作用原理に対するカートリッジの適合性に関する情報の提供を目的としている。同様に、ポンプ装置の必要な吸引能力について及び吸引方法の最適化についての記載が行われる。特に、重要な側面は、静止摩擦領域及びすべり摩擦領域における弾性ストッパ摩擦である。有益な結果を得るために、検討は、十分に多数で、そして種々のロットのカートリッジを用いて行われる。
試験アセンブリは、4つの主要な構成部品であるシリンジポンプ、圧力センサ、光センサ、及びLabViewソフトウェア(image6.1)を搭載した測定用コンピュータから成る。TSE社製のシリンジポンプ、モデル540060はチューブ及び注射針によってカートリッジに接続し、そしてコンピュータを用いてプログラミングし制御することができる。それは吸引及び圧力操作のために設計され、一定した範囲内の送出速度を生み出す。静水圧を測定するために、Aktiv Sensor社から供給され、同じ様にチューブ及び注射針が備わっている圧力センサのモデルAUS±1.0 barは、カートリッジのシーリングディスクを刺通する。正確に充填された場合、チューブ内に一切の液体流れは起こらず、注入針の毛細管圧は無視できるため、静水圧はカートリッジ内の空気圧に対して測定できる。TAOS社によって供給されるリニアセンサのモデルTSLR1410Rを使用して、ストッパ位置を測定する。このセンサはカートリッジと平行に配置され、400dpiの解像度を有する。カートリッジを周辺光から遮蔽して、平行光による透光によりストッパのシルエットを検出する。データ収集プログラムは、そのシルエットから、特定のアルゴリズム及び補間法を用いて最大50μmの精度でストッパの位置を計算する。測定値は、静水圧と共に、更に処理するために記憶される。
実験手順は固定パターンに従う。実際の測定を開始する前に、シリンジポンプは希望するポンプ順序にプログラムされなければならない。その順序は、中間の一時停止又は異なる送出速度で1つ又はそれ以上の投与量の排出が構成されてもよい。次に、新しいカートリッジを試験アセンブリに入れる。水を満たしたチューブ及びシリンジポンプは、次いで気泡について調べ、必要ならばそれを除去する。一般にシステム内の死容積(dead volume)を最小限に抑えることに注意を払われなければならない。最後に、カートリッジへの流体接続がなされる。次に、測定は開始できる。同時に、測定用コンピュータは、シリンジポンプを作動させ、そしてセンサシグナルの読み取りを開始する。測定プログラムはシグナルを変換し、それを時間依存的にファイルに記憶する。理解と表現を良くするために、静水圧は常に空気圧に対して負の記号で示される。例えば、カートリッジ内の絶対静水圧力が60kPaは、その場合、通常の空気圧との比較で、約39kPaの正の相対圧力に相当する。
1つは蒸留水が充填され、3つはインスリンLantus Aspart(表示:L436、D029、D053)が充填された4つのバッチから成る200個のカートリッジが、リザーバを検討するのに使用可能である。様々なバッチの充填における変動はこの方法で同定し、信頼性のある全体的な記述を可能にする。
測定の間に、合計44の試験系列を行った。検討したカートリッジの数は、試験の持続時間の観点から、測定の系列当たり10又は15個に抑えた。
測定開始時に、短い起動時間に続いて、カートリッジ内の吸引圧力が上昇する。ストッパ摩擦に依存して、これは最大値93kPaまでに達する。しかし、たとえ、ストッパが非常にしっかりとすえられたとしても、システム内の漏洩及び気体状の大気酸素の発生が、更なる圧力の上昇を抑える。新しく形成された及び前から存在する気泡が膨張する。外部の空気圧によって加えられる力が、ゆっくりとストッパを始動させる。静止摩擦が克服された後、ストッパは高い加速性能を得て、短時間で高速に達する。これは、すべり摩擦の見かけ上の定常状態におけるより数倍高い。これは、ストッパの動きが送出速度に適合した後に設定される。ストッパ速度は今や一定である。すべり摩擦の領域では、ストッパとガラスシリンダの間の摩擦力の変化に由来する圧力変化が観察される。ポンプのスイッチが切られた後、圧力は低下し、ストッパは移動を中止する。逃避摩擦の相では、ストッパと静止摩擦力の間に平衡が形成される。
Claims (36)
- a)少なくとも1つのリザーバ;
b)1つ又はそれ以上のa)からの流出ライン;
c)a)からのリザーバ及びb)からの流出ラインの間に取り付けられるポンプ機構;
d)注射に適しており、b)からの流出ラインと機能的に接続される構成部品;
を含む物質をヒト又は動物の体内に注射する装置であって、ポンプ機構が原動力によって駆動される装置。 - 請求項1に記載の装置であって、ポンプ機構が少なくとも1つのポンピング構成部品及びポンピング構成部品に駆動エネルギーを供給する少なくとも1つの更なる構成部品を含む装置。
- 請求項1に記載の装置であって、ポンプ機構が少なくとも1つのポンピング構成部品を含み、そしてまた、原動力を生み出すための外部に存在する技術装置がポンピング構成部品に機能的に接続することを可能にする、又は原動力を生み出すための技術装置がポンピング構成部品と機能的に結合することを可能にするインターフェースを有する装置。
- 請求項1に記載の装置であって、ポンプ機構が、ポンピング構成部品及びポンピング構成部品に駆動エネルギーを供給する構成部品を、統合されたユニットとして含む装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置であって、ポンピング構成部品がチューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ又は圧電式ポンプから成る装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置であって、ポンピング構成部品を駆動するための原動力を発生させるためにマイクロモータを使用する装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置であって、原動力を発生させるための構成部品のエネルギー源が電池、蓄電池、太陽電池又は家庭用電流から成る装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置であって、逓減又は逓増させるための伝動装置がポンピング構成部品とポンピング構成部品に原動力を供給するための構成部品の間に挿入される装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置であって、リザーバが柔軟性のない外壁を有する装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置であって、リザーバが可撓性の外壁を有する装置。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置であって、リザーバが薬剤を受けるための商業的に入手可能なカートリッジから成る装置。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置であって、物質を注射するための構成部品がカニューレから成る装置。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置であって、ポンピング構成部品及び/又はポンピング構成部品に原動力を供給する構成部品を検査、監視及び/又は制御するための少なくとも1つの電子的構成部品を更に含む装置。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置であって、リザーバから移送される物質の量及び/又は注射に使用される物質の量を測定するための流量センサを含む装置。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置の製造であって、
a)リザーバを受ける構成部品を備え;
b)リザーバを備え;
c)リザーバから物質を移すための流出ラインを備え;
d)ポンプ機構を備え;
e)物質を注射するための構成部品を備え;
f)流量センサーを備え;
g)記憶及び/又はデータ処理及び/又はデータ転送のための電子的構成部品を備え;
h)a)〜g)に記載された各構成部品を統合して1つの機能的ユニットを得る;
製造。 - 消化管を避けて物質をヒト又は動物の体内に投与するのに適した医療器具を組み立てるための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置の使用。
- 物質が薬剤である、請求項16に記載の装置の使用。
- 物質がインスリンである、請求項17に記載の装置の使用。
- 薬剤をヒト又は動物の体内に注射するための医療器具であって、
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品;
d)注射対象の液体の量を表示する構成部品;
e)液体の注射を開始する構成部品;
f)請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置から成る構成部品;
を含む医療器具。 - データ及び/又はシグナルを記憶及び/又は処理するための少なくとも1つの手段を含む、請求項19に記載の医療器具。
- データ及び/又はシグナルの記憶及び/又は処理するために構成されている外部技術ユニットへ及び/又は外部技術ユニットからデータ及び/又はシグナルを伝達する少なくとも1つのインターフェースを含む、請求項19又は20に記載の医療器具。
- 外部技術ユニットがPCである、請求項21に記載の医療器具。
- 注射対象の薬剤がインスリンから成る、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具。
- インスリンが長時間作用型又は短時間作用型のインスリンである、請求項23に記載の医療器具。
- 注射対象の物質がGLP−1から成る、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具。
- 注射対象の物質がロベノックスから成る、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具。
- 薬剤を注射するための請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の製造であって、
a)少なくとも1つの更なる構成部品を実装するための基部要素を備え;
b)注射対象の液体から気泡を除去するための構成部品を備え;
c)注射対象の液体の量を予め設定する構成部品を備え;
d)表示部の形態の構成部品を備え;
e)放出機構の形態の構成部品を備え;
f)請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置を備え;
g)a)〜f)に記載された各構成要素を組み合わせて1つの機能的ユニットを得る;製造。 - 請求項19〜26のいずれか1項に記載の医療器具の使用であって、薬理活性が消化管で損なわれるか消失する物質によって、疾患及び/又は体の機能障害の予防及び/又は治療するための使用。
- 糖尿病を治療するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の機械的器具の使用。
- インスリンを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の機械的器具の使用。
- GLP−1を投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の機械的器具の使用。
- インターフェロンを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の使用。
- 成長ホルモンを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の使用。
- ヘパリンを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の使用。
- ロベノックスを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の使用。
- ワクチンを投与するための、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医療器具の使用。
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