JP2010503151A - 炭素発泡体の外部安定化 - Google Patents

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Abstract

一態様によれば、本開示は、エネルギー蓄積装置のための電極板に関する。電極板は、炭素発泡体電流コレクタ及び外部拘束構造を含んでよい。化学的活物質は、炭素発泡体電流コレクタ上に設けることが可能である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エネルギー蓄積装置における炭素発泡体の使用に関し、より詳細には、エネルギー蓄積装置における炭素発泡体電流コネクタの外部安定化に関する。
鉛酸蓄電池等の電気化学電池は、化学反応により電気化学電位差を発生させる。これらの電池のうちある種のものは、少なくとも1つの正電流コレクタと、少なくとも1つの負電流コレクタと、電解液(例えば、硫酸(HSO)及び蒸留水を含有する電解液)と、を有することが知られている。通常、鉛酸蓄電池内の正電流コレクタ及び負電流コレクタは、いずれも鉛から構成される。これらの鉛電流コレクタの役割は、充放電プロセスの間に、電池端子へ及び電池端子から、電流を移動させることである。鉛酸蓄電池における電気エネルギーの蓄積及び放出は、電流コレクタ上に設けられたペースト内で発生する化学反応により可能とされる。このペーストにより被覆された正電流コレクタ及び負電流コレクタは、それぞれ正極板及び負極板と呼ばれる。
鉛酸蓄電池は、様々な用途に広く使用されている一方で、その耐久性及び耐用年数に関する顕著な制約に、正極板の鉛電流コレクタの腐食がある。例えば、硫酸電解液が鉛酸蓄電池に加えられ、更にこの蓄電池が充電されると、各正極板の電流コレクタは、継続的に硫酸及び正極板のアノード電位への露呈による腐食にさらされる。鉛電流コレクタが腐食するにつれ、電流コレクタの鉛源金属から二酸化鉛が形成される。二酸化鉛は、鉛より大きな体積を有するため、正極板電流コレクタの腐食により体積膨張が生じる。体積膨張は、電流コレクタに、これを変形及び伸長させる機械的応力を生じさせる。電流コレクタは、その全体積の約4%から約7%の増加により破砕することがある。結果として、バッテリー容量が低下し、最終的には、蓄電池はその寿命に達することになる。加えて、腐食の進んだ段階では、電流コレクタ内での内部ショート及びセルケースの破裂が発生し得る。これらの腐食は、蓄電池内のセルの1以上に生じる故障の原因となることもある。
鉛酸蓄電池の耐用年数を延長させる1つの方法は、蓄電池の電流コレクタ及び他の導電要素に導電性を有するカーボンを加えることで、電流コレクタ及び他の導電要素の耐腐食性を増大させることである。鉛酸蓄電池が一般的に動作する温度において炭素は酸化しないため、これらの方法のうちいくつかでは、鉛酸蓄電池における有害な腐食プロセスを遅らせ又は妨げるため、様々な形態で炭素が使用されてきた。例えば、炭素発泡体は、鉛酸蓄電池に使用する電流コレクタ物質として提案されている。
電流コレクタとしての炭素発泡体(例えば、黒鉛発泡体)の使用により、耐腐食性及び鉛電流コレクタ格子上の電流コレクタの表面積を増加させることができる。この電流コレクタの付加的表面積により、蓄電池の比エネルギー及び電力を増加させ、蓄電池の性能を強化することが可能である。しかしながら、この発泡体に形成された細孔網には、電解液の荷電イオンの、発泡体構造へのインターカレーション(Intercalation)を可能とする複数の異常部が存在する場合がある。このイオンのインターカレーションは、発泡層間での分離及び層間剥離等の内部損傷を引き起こし、最終的には、電流コレクタの性能低下又は初期故障の原因となる。インターカレーションの影響は、炭素発泡体構造が黒鉛発泡体を含む場合に特に顕著に見られる傾向がある。
従って、イオンのインターカレーション及びこの現象の有害な影響に対する炭素発泡体の耐性を向上させることができる、構造的な拘束システム等の構造が必要である。ここに開示する実施態様は、この必要を満たすことを目的としている。
一態様によれば、本開示は、エネルギー蓄積装置の電極板に関する。この電極板は、炭素発泡体電流コレクタ及び外部拘束構造を含んでもよい。炭素発泡体電流コレクタ上には、化学的活物質が設けられてもよい。
他の態様によれば、本開示は、エネルギー蓄積装置に関する。このエネルギー蓄積装置は、ハウジングと、正端子と、負端子と、ハウジング内に配置された少なくとも1つのセルと、を含んでもよい。各セルは、電解液と、少なくとも1つの正極板と、少なくとも1つの負極板と、を含んでもよい。少なくとも1つの正極板は、炭素発泡体電流コレクタ及び外部拘束構造を含んでもよい。炭素発泡体電流コレクタ上に化学的活物質が設けられてもよい。
更に別の態様によれば、本開示は、エネルギー蓄積装置の電極板の製造方法に関する。この方法は、炭素発泡体電流コレクタを提供することと、高分子基外部拘束構造を適用することと、炭素発泡体電流コレクタに化学的活物質を適用することと、を含んでもよい。
例示の実施形態に係るエネルギー蓄積装置の一部破断斜視図 例示の実施形態に係る電極板を示す図 例示の実施形態に係る拘束構造を示す図 例示の実施形態に係る電極板の製造方法の説明図 例示の実施形態に係る拘束構造の説明図 例示の実施形態に係る拘束構造の説明図 例示の実施形態に係る拘束構造の説明図 例示の実施形態に係る拘束構造の説明図
本明細書に組み込まれ、かつその一部分を構成する添付図面は、開示した実施形態の図表示を提供するとともに、その記載と併せて本発明の原理を説明するのに役立つ。
図1は、例示的に開示した実施形態に係るエネルギー蓄積装置10の図による表示を提供する。エネルギー蓄積装置10は、様々な種類の電池を備えてよい。例えば、一実施形態では、エネルギー蓄積装置10に鉛酸蓄電池を設けることが可能である。しかしながら、他の電池化学物質、例えば、ニッケル、リチウム、ナトリウム−硫黄、亜鉛、金属水素化物、又は電位差を提供するのに用いることのできる他のあらゆる適切な化学反応若しくは物質に基づく化学反応が利用されてよい。
図1に示すように、エネルギー蓄積装置10は、ハウジング12と、端子14(1つのみを図示する。)と、セル16とを備える。各セル16は、1以上の正極板18及び1以上の負極板19を有する。鉛酸蓄電池では、例えば、正極板18及び負極板19を交互に積み重ねることが可能である。各セル16では、母線20を設けて正極板18を互いに接続することができる。同様の母線(図示せず。)を設けて負極板19を互いに接続することが可能である。
エネルギー蓄積装置10はまた、正極板18と負極板19との間の容積を少なくとも部分的に満たす、水成又は固体の電解質をも有する。鉛酸蓄電池において、例えば、この電解質は、硫酸及び水の水溶液を有する。ニッケル基蓄電池は、水と混合された水酸化カリウム等の塩基を含有するアルカリ電解質溶液を有する。開示した蓄電池の電解液は、他の酸及び他の塩基を用いて形成することもできることに留意すべきである。
各セル16は、隣接するセルに対し、セル隔離板22により電気的に絶縁することができる。さらに、正極板18は、極板アイソレータ23により、負極板19から分離することができる。セル隔離板22及び極板アイソレータ23は、そのいずれもが、エネルギー蓄積装置10における電気化学反応により引き起こされる電解液及び/又はイオンの流動を許容する一方で、極板を電気的に分離する。従って、セル隔離板22及び極板アイソレータ23は、例えば、ガラス繊維等の、電気的絶縁性を有する多孔性物質又はイオン輸送を促す物質から製造することが可能である。
エネルギー蓄積装置10の化学反応に応じ、各セル16は、特有の電気化学ポテンシャルを有することになる。例えば、自動車及び他の用途に使用される鉛酸蓄電池では、各セルは、約2ボルトのポテンシャルを有する。セル16を直列に接続して、蓄電池の全ポテンシャルを提供することが可能である。図1に示すように、電気コネクタ24を設けて1つのセル16の正母線20を隣接するセルの負母線に接続することができる。このように、例えば、6個の鉛酸セルを直列に連結することで、要求される約12ボルトの全ポテンシャルを提供することができる。採用する電池化学反応の種類及び必要な全ポテンシャルに応じ、他の電気的構造とすることも可能である。
セル16の適切な構成を使用して全要求ポテンシャルが与えられた後は、リード端子26により、このポテンシャルをハウジング12上の端子14に移すことが可能である。これらのリード端子26は、エネルギー蓄積装置10に存在する、いかなる適切な導電性要素に対しても電気的に接続することができる。例えば、図1に示すように、リード端子26は、正母線20及び他のセル16の負母線に夫々接続することができる。各リード端子26により、ハウジング12上の端子14と、エネルギー蓄積装置10の対応する正母線20又は負母線(若しくは他の適切な導電性要素)との間の電気的接続を確立することも可能である。
図2は、例示の開示形態による、正電極板30を示している。電極板30は、夫々電流コレクタ31を含んでよい。電流コレクタ31は、開放細孔構造を有する炭素発泡体から形成することができる。図2に示すように、炭素発泡体電流コレクタ31は、複数の細孔32を有する。炭素発泡体からなる電流コレクタによれば、従来の電流コレクタによる表面積の2000倍を超える表面積を提供することが可能である。結果として、図2に示すように、1以上の炭素発泡体電流コレクタ31を有するエネルギー蓄積装置によれば、炭素発泡体電流コレクタを含まない従来の構成に比べ、改善された比エネルギー値、電力密度値及び充放電速度を提供することができる。
さらに、炭素発泡体電流コレクタ上に、化学的活物質(図示せず。)を設けることが可能である。この化学的活物質の組成は、エネルギー蓄積装置10の化学反応に依存する。鉛酸蓄電池では、例えば、化学的活物質は、鉛の酸化物又は塩を有する。他の例として、ニッケルカドミウム(NiCd)蓄電池の陽極板(即ち、正極板)に水酸化カドミウム(Cd(OH))活物質を、ニッケル水素電池にランタンニッケル(LaNi)活物質を、ニッケル亜鉛(NiZn)蓄電池に水酸化亜鉛(Zn(OH))活物質を、ニッケル鉄(NiFe)電池に水酸化鉄(Fe(OH))活物質を用いることができる。全てのニッケル基蓄電池において、陰極板(即ち、負電極板)上の化学的活物質は、水酸化ニッケルであってよい。前述のように、電流コレクタ31の役割は、少なくとも幾つかの電池化学反応において、充放電プロセスの間に化学的活物質内で生じる電気化学反応により生成された電流を集め及び移動させることである。複数の細孔32による炭素発泡体電流コレクタ31の増加した表面積のため、化学的活物質は、炭素発泡体電流コレクタ31の開放細孔構造内部に効率的に浸透することができる。
一実施形態において、電流コレクタ31に使用される炭素発泡体物質は、1センチメートル当たり約4個から約50個の細孔を、少なくとも約200マイクロメートルの平均細孔径で含んでよい。しかしながら、他の実施形態では、平均細孔径はより小さくてもよい。例えば、ある実施形態では、平均細孔径は、少なくとも40マイクロメートルであってよい。更に別の実施形態では、平均細孔径は、少なくとも20マイクロメートルであってよい。炭素発泡体物質の平均細孔径の縮小は、炭素発泡体物質の効率的な表面積の増加という効果を有するかもしれないが、その一方で20マイクロメートルより小さい平均細孔径は、炭素発泡体物質の細孔内部への化学的活物質の浸透を妨げ又は抑制する可能性がある。
平均細孔径に関わらず、炭素発泡物質の全細孔率値は、少なくとも60%であってよい。言い換えれば、炭素発泡体構造の体積の少なくとも60%が細孔32に含まれてよいということである。炭素発泡体物質はまた、60%未満の全細孔率値を有してもよい。例えば、ある実施形態では、炭素発泡体は、少なくとも30%の全細孔率値を有する。
その上、炭素発泡体は、少なくとも90%の開放細孔率値を有してよい。それ故、細孔32の少なくとも90%が隣接する細孔に対して開かれるため、細孔32の網状組織(網状細孔群)は、実質的な開放網を形成する。この細孔32の開放網により、各電流コレクタ31上に設けられた化学的活物質が炭素発泡体構造内部に浸透することが可能とされる。細孔32の網状組織に加えて、炭素発泡体は、炭素発泡体に対する支持を与えるウェブ(web)状構造要素を有する。炭素発泡体の細孔32の網状組織及び前記構造要素の全体で、炭素発泡体物質の密度を約0.6g/cmより小さくしてよい。
本開示の炭素発泡体の導電性により、電流コレクタ31は、電池端子14又は蓄電池10の電位の取出しを可能とするあらゆる他の導体素子へ及びそこから、効率的に電流を移動させることができる。ある形態では、炭素発泡体は、約1ohm・cmより小さい面積抵抗値を示してよい。他の形態では、炭素発泡体は、約0.75ohm・cmより小さい面積抵抗値を有してよい。
開示の実施形態の幾つかでは、炭素発泡体は、黒鉛発泡体を有する。黒鉛発泡体の密度及び細孔構造は、炭素発泡体と近似するものであってよい。黒鉛発泡体と炭素発泡体との主な違いは、構造要素を構成する炭素原子の配向性である。例えば、炭素発泡体において、炭素は、少なくともその一部で非晶質であってよい。一方で、黒鉛発泡体において、炭素は、層状構造に秩序化される傾向がある。この黒鉛構造の秩序性により、黒鉛発泡体は、炭素発泡体より高い導電性を示すことができる。黒鉛発泡体は、約100μ・ohm・cmから約2500μ・ohm・cmまでの電気抵抗値を示す。
炭素発泡体構造、特に黒鉛発泡体構造の内部には、複数の層が存在してもよい。炭素発泡体が電解液中で荷電イオンに露呈されるときに、このイオンは、開放細孔網に存在することのある表面欠陥及び切れ目を通じて、発泡体構造の層間に挿入される。イオンは、炭素発泡体構造に打ち込まれる楔のように作用して、層を引き離し、内部損傷を引き起こすことがある。イオンのインターカレーションは、最終的には、炭素発泡体構造内部の発泡体層の分離を引き起こすこともあるが、電流コレクタとしての炭素発泡体の亀裂、ひいては故障の原因ともなる。電解液の荷電イオンの炭素発泡体へのインターカレーションを防ぎ又はこれを最小限に抑えるため、炭素発泡体電流コレクタ31の外表面上に外部拘束33を設けてもよい。この外部拘束によれば、発泡体構造の層を、特に拘束構造に隣接する層において互いに物理的に結束させ、炭素発泡体をインターカレーションの発生に対して安定させることが可能である。その設計に応じ、外部拘束は、様々な厚さの炭素発泡体の安定化において効果的なものとなり得る。一実施形態では、外部拘束33は、最大で1〜2mmまでの厚さを有する炭素発泡体層を安定させることができる。しかしながら、2mmより大きい厚さの炭素発泡体の安定化も、例えば、厚さ及び/又は外部拘束33の物質特性の調整により達成することが可能である。
このような黒鉛発泡体の1つは、「PocoFoam」(商標)のもとでPoco Graphite社より販売されている。PocoFoam(商標)は、炭素原子の秩序層(ordered layers)によりその異方性がきわめて高い。エネルギー蓄積装置での使用のためにPocoFoam(商標)材を準備するにあたっては、PocoFoam(商標)材を、シート状に切断するか、又は2つの大きな主表面と4つのエッジ面とを有するプレート状に切断する。この発泡状素材は、発泡体における炭素原子の秩序層の面に対して垂直な向きに切断されるため、存在する表面欠損のうち大部分がPocoFoam(商標)シートの主表面に含まれる一方、エッジ面には、表面欠損は殆ど含まれない。炭素発泡体の主表面に外部拘束33を適用することにより、電流コレクタは、主表面に存在する表面欠損及び切れ目を通じた発泡体へのイオンのインターカレーションを最小限に抑えるに際し、拘束の効率を最大化することができる。
炭素発泡体電流コレクタ31上に設けられた外部拘束33を多孔質として、外部拘束33を通じた様々な物質又はイオン等の移動が可能となる。例えば、外部拘束33は、蓄電池の電解液からのイオンを通過させ、電流コレクタ31上に設けられた活物質と相互作用させることができる。
外部固定33を製造するため、様々な物質が使用されてよい。電池環境において化学的に安定したあらゆる対酸性物質を使用して、外部拘束33を形成することが可能である。外部拘束33は、例えば、スチレン、PVC、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他の高分子化合物を含む様々な非導電性物質から製造することができる。他の実施形態では、金属等の導電物質が使用されてもよい。外部拘束構造は、接着剤を使用して電流コレクタの表面に物理的に接合することができる。或いは、外部拘束は、縫合又はいかなる他の適切な接合若しくは接着技術により、電流コレクタ上に固定されてもよい。外部拘束は、ウェブ状構造、メッシュ又はグリッド等、多くの異なる態様で構成することが可能である。
図3は、炭素発泡体電流コレクタ31の外表面の一部に設けられた、例示的な拘束構造33の概略を示している。炭素発泡体の外表面には、複数のリッジ41及び空隙42が設けられてよく、空隙42は、炭素発泡体の外表面と交差する細孔により形成することができ、リッジ41は、炭素発泡体の外表面の空隙に近接して見られる炭素発泡体の構造に一致する。例示の一形態において、外部拘束33は、炭素発泡体の外表面のリッジのうち幾つか又は全てに形成された構造を有してよい。空隙は、外部拘束を形成するのに使用される物質が実質的に存在しない状態に維持される。炭素発泡体の外表面のリッジ上に拘束33を設けることにより、この拘束がウェブ状の構造をなしてもよい。ウェブ状拘束構造は、電解液と炭素発泡体電流コレクタ31上に設けられた化学的活物質との相互作用を可能にする。信頼性試験において、図3により示された拘束を有する実施形態が、拘束されていない炭素発泡体に比べ、400倍を超えて増加した耐用年数を有することがわかっている。
図4は、図3に示されたものと同様の構造を形成するために炭素発泡体電流コレクタ上に物理的な拘束構造を設ける、例示的な工程の概略的な流れを示している。第1工程は、工程50に示されるように、拘束物質を準備する。拘束物質は、多様な態様で準備することが可能である。一実施形態では、拘束物質は、溶媒中に溶解された高分子化合物(例えば、スチレン及び/又は他の適切な高分子化合物)として開始してよい。溶媒に採用し得る選択肢として、特にn−メチルピロリドン(NMP)、メチレンクロリド、アセトン、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフラン(THF)がある。溶媒は、それらの蒸発速度において相違する。例えば、速い蒸発のためにメチレンクロリドを使用することができる一方、遅い蒸発のためにn−メチルピロリダン(NMP)を使用することが可能である。適切な溶媒を選択することにより、拘束物質溶液の乾燥時間を制御して、要求された結果を達成することが可能である。
要求された混合物濃度を達成するための、いかなる量の高分子化合物をも溶媒に加えることが可能である。例えば、混合物がシロップほどの濃度(syrup‐like consistency)に達するまで、溶媒に高分子化合物を加えてもよい。適切な量の高分子化合物が溶媒及び溶媒の混合物に加えられ、溶解した高分子化合物が要求された濃度に達したときに、この混合物を、炭素発泡体表面への塗布のために用意された塗布器(例えば、ガラス板)上に広げることが可能である。混合物を広げるのにインクローラーを使用してもよい。ガラス基板上の溶解高分子化合物及び溶媒の混合物は、溶解高分子化合物の薄膜を形成する。ガラス板上に広げられた高分子化合物膜は、要求された拘束の厚さを提供するのに適するいかなる厚さであってもよい。一実施形態では、膜の厚さを約5マイクロメートルまでとすることで、拘束が炭素発泡体のリッジ上にだけ設けられ、実質的に空隙には設けられない可能性を最大化することができる。
次に、工程52に示されるように、準備した膜を、炭素発泡体の1以上の表面に塗布する。膜は、1つの主表面に又は2つの反対側の主表面に塗布してもよい。ある実施形態では、炭素発泡体の1以上のエッジ面にも準備した膜のコーティングが施される。炭素発泡体のリッジを被膜するため、炭素発泡体の層をガラス板上に設置し、更にその上に形成された、準備した膜と接触させてもよい。膜混合物は、炭素発泡体の表面空隙42を実質的に満たすことなく、発泡体の表面リッジ41を濡らすことが可能である。
工程54では、準備した拘束物質溶液の膜により被膜した炭素発泡体を乾燥させて、溶媒を蒸発させる。被膜した炭素発泡体は、空気乾燥させるか、又は溶媒除去のための加熱炉に配置する。溶媒が除去されるのに従い、炭素発泡体の外表面上(例えば、外表面のリッジ41上)で残っている高分子化合物が固まり、炭素発泡体電流コレクタの拘束を提供する高分子化合物のウェブ状構造が形成される。
炭素発泡体の外表面に塗布する高分子化合物の厚さを選択して、要求される水準の剛性及び炭素発泡体に対する構造的拘束を提供することが可能である。例えば、一実施形態では、発泡体を被膜している高分子化合物(即ち、拘束33)の厚さは、約100マイクロメートルまでである。ある実施形態では、高分子化合物の要求厚さは、約20マイクロメートルから約50マイクロメートルまでの間であってよい。高分子化合物の複合利用も可能である。
炭素発泡体電流コレクタ上に物理的な拘束構造を設けるのに、図4と合致する第2の方法を採用してもよい。この第2の方法では、工程50における拘束物質を準備する工程には、溶媒に高分子化合物を溶解させることに代えて、高分子化合物の融解が含まれる。例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の外部拘束33の加工に有用な様々な高分子化合物を融解させることが可能である。
高分子化合物の融解及び工程52による融解高分子化合物の塗布は、いかなる適切な方法によっても実行可能である。一実施形態では、高分子化合物のシートを加熱された厚板表面上に配置し、融解させる。他の実施形態では、高分子化合物を加熱プレート又は加熱炉内で融解させた後、例えば、溶融高分子化合物をその粘性状態に保つために加熱された厚板の表面上に広げる。工程52における拘束物質の塗布は、炭素発泡体を溶融高分子化合物に露呈させることにより生じ、溶融高分子化合物の一部が、炭素発泡体表面の1以上の表面に溶着する。上記の実施形態のように、本実施形態の溶融高分子化合物は、実質的に空隙42を溶融高分子化合物がない状態に保持しながら、発泡体の表面リッジ41に塗布される。工程54において、炭素発泡体の表面上の溶融高分子化合物は、例えば、溶融高分子化合物を炭素発泡体の表面上で冷却し及び固めることで硬化し、ウェブ状構造を形成する。
上記の実施形態は、炭素発泡体の1以上の表面上にウェブ状構造で形成された拘束物質33を有するが、外部拘束33について多くの他の適切な構造を採用することも可能である。例えば、外部拘束33は、図5に図式的に示されるように、メッシュを含んでもよい。物理的な拘束33として使用されるメッシュスクリーンは、炭素発泡体の効率的な拘束を容易にするため、約2mm四方の開口部を有する。既製のメッシュ拘束構造は、電流コレクタ31に対し、いかなる適切な方法によっても適用することが可能である。例えば、高分子化合物製のメッシュスクリーンを炭素発泡体の2つの最大面上に使用して、物理的な拘束を提供することができる。一実施形態では、電流コレクタ上にメッシュ拘束材を接合するために接着剤が使用される。例えば、接着剤の層を、メッシュ拘束材及び/又は電流コレクタ31に適用する。そして、メッシュ拘束材及び電流コレクタを圧力下で互いに押し付ける。加圧時において、付加的に熱を加えてもよい。他の実施形態では、メッシュ拘束材を、縫合、ステープル留め又はあるいは他の適切な機械的拘束手段により、電流コレクタ31上に取り付けることが可能である。
更に別の実施形態では、外部拘束33は、炭素発泡体層の両表面に配置され、互いに縫合されるか又は他の適切な手段により取り付けられた、2つのグリッド(例えば、金属又は高分子化合物)を含んでよい。このような構成は、図6に図式的に示されている。グリッド62は、例えば、チタニウム、アルミニウム、鉛若しくは他の種類の金属、又は様々な種類の高分子化合物から形成される。前述のように、素材から切り出された炭素又は黒鉛の発泡体シートの配向性に応じ、炭素発泡体の比較的大きな主表面には、大部分の表面欠陥が含まれている。従って、より大きな拘束効果のため、グリッド62を炭素発泡体のうち、この2つの主表面に取り付ける。2つのグリッド62は、例えば、タングステンワイヤー64を使用して互いに縫い合わせることができる。信頼性試験では、図6により示された拘束構造を有する炭素発泡体によれば、拘束されていない炭素発泡体に比べ、約20倍長い時間に亘ってその構造的完全性を維持することが示されている。
更に別の実施形態では、外部拘束33は、図7Aに図式的に示されるように、三次元連結構造を含んでよい。このような構造は、例えば、電流コレクタの外表面上のシート73により提供することが可能である。シート73の一方又は両方には、互いに連結するための構造が設けられている。例えば、シート73は、複数のスパイク、ブリスル又は他の突起部75を有する構造であってよい。シート73は、様々な金属、高分子化合物又は他の適切な素材から作成することができる。例示の一形態では、グリッドパターンが施された硬質プラスチックメッシュを炭素発泡体の第1表面上に配置する一方、炭素発泡体のうち第1表面とは反対側の他の表面上に、複数の突起部75(例えば、スパイク又はブリスル)を有する、グリッドパターンが施された第2プラスチックメッシュを配置することができる。突起部75は、炭素発泡体に圧入され、多くの箇所で炭素発泡体に突き刺さる。そして、突起部75は、炭素発泡体の他方の表面上に設けられたグリッド上に融解することで構造全体を結合し、図7Bにより断面で図式的に示された拘束構造を形成する。
本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な変形及び変更が開示した材料及び工程に対してなされ得ることは、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本開示の内容及び具体的な実施を考慮することで当業者に明らかとなろう。本明細書及び実施例は、単なる例示としてのみ考慮されるものであり、本開示の真の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されるものとする。

Claims (25)

  1. 細孔網を含み、少なくとも1つの外表面を有する炭素発泡体電流コレクタと、
    前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面上に設けられた外部拘束構造と、
    前記炭素発泡体電流コレクタ上に設けられ、前記炭素発泡体電流コレクタの前記細孔網の少なくとも一部に浸透した化学的活物質と、
    を含んで構成されるエネルギー蓄積装置の電極板。
  2. 前記外部拘束構造は、前記炭素発泡体電流コレクタの少なくとも2つの外表面上に設けられた、請求項1に記載の電極板。
  3. 前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面は、複数のリッジ及び空隙を有し、
    前記外部拘束構造は、前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面の前記リッジのうち少なくとも幾つかに設けられた、請求項1に記載の電極板。
  4. 前記外部拘束構造は、高分子化合物のウェブを有する、請求項3に記載の電極板。
  5. 前記外部拘束構造の厚さは、約10マイクロメートルから約100マイクロメートルである、請求項3に記載の電極板。
  6. 前記外部拘束構造の厚さは、約20マイクロメートルから約50マイクロメートルである、請求項3に記載の電極板。
  7. 前記外部拘束構造は、前記炭素発泡電流コレクタに接合された、請求項1に記載の電極板。
  8. 前記外部拘束構造は、少なくとも2つの金属グリッドを有し、該金属グリッドは、金属製のワイヤーにより互いに縫合された、請求項1に記載の電極板。
  9. 前記外部拘束構造は、
    前記炭素発泡体電流コレクタの第1表面を貫く少なくとも1つの突起部を有する第1部材と、
    前記第1表面とは反対側の前記炭素発泡体電流コレクタの第2表面上に設けられた第2部材と、
    を含んで構成され、
    前記第1部材の前記少なくとも1つの突起部は、前記炭素発泡体電流コレクタを通じて前記第2部材と結合するように構成された、請求項1に記載の電極板。
  10. 前記外部拘束構造は、メッシュスクリーンを有する、請求項1に記載の電極板。
  11. 前記炭素発泡体電流コレクタは、黒鉛発泡体を有する、請求項1に記載の電極板。
  12. 前記炭素発泡体電流コレクタの厚さは、最大で約2mmである、請求項1に記載の電極板。
  13. ハウジングと、
    正端子及び負端子と、
    前記ハウジング内に設置された少なくとも1つのセルと、
    を含んで構成され、
    前記セルは、
    電解液と、
    前記正端子及び前記負端子に対して夫々接続された、少なくとも1つの正極板及び少なくとも1つの負極板と、を有し、
    前記少なくとも1つの正極板は、
    細孔網を含み、少なくとも1つの外表面を有する炭素発泡体電流コレクタと、
    前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面上に設けられた外部拘束構造と、
    前記炭素発泡体電流コレクタ上に設けられ、前記炭素発泡体電流コレクタの前記細孔網の少なくとも一部に浸透した化学的活物質と、
    有する、
    エネルギー蓄積装置。
  14. 前記外部拘束構造は、高分子化合物のウェブ、金属グリッド又はメッシュを有する請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  15. 前記外部拘束構造は、前記炭素発泡体電流コレクタに接合された、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  16. 前記外部拘束構造は、前記炭素発泡体電流コレクタの少なくとも2つの外表面上に設けられた、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  17. 前記外部拘束構造の厚さは、約10マイクロメートルから約100マイクロメートルである、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  18. 前記外部拘束構造の厚さは、約20マイクロメートルから約50マイクロメートルである、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  19. 前記炭素発泡体電流コレクタは、黒鉛発泡体を有する、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  20. 前記炭素発泡体電流コレクタの厚さは、最大で約2mmである、請求項13に記載のエネルギー蓄積装置。
  21. 細孔網と、複数のリッジ及び空隙を有する少なくとも1つの外表面とを備える炭素発泡体電流コレクタを提供することと、
    前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面の前記複数のリッジのうち少なくとも幾つかに、高分子化合物基外部拘束構造を設けることと、
    前記炭素発泡体電流コレクタに化学的活物質をつけることと、
    を含んで構成される、
    エネルギー蓄積装置の電極板の製造方法。
  22. 前記炭素発泡体電流コレクタの少なくとも1つの前記外表面に前記外部拘束を設ける工程は、
    前記高分子化合物を溶媒に溶解させて、溶液を作成することと、
    前記炭素発泡体電流コレクタを前記溶液に露呈することにより、前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面の前記リッジのうち少なくとも幾つかに、溶液をつけることと、
    前記炭素発泡体電流コレクタを乾燥させることと、
    を含む、請求項21に記載の製造方法。
  23. 前記炭素発泡体電流コレクタの前記乾燥工程は、加熱を含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面に前記外部拘束構造を設ける工程は、
    高分子化合物を溶融させることと、
    前記炭素発泡体電流コレクタを前記融解高分子化合物に露呈することにより、前記炭素発泡体電流コレクタの前記少なくとも1つの外表面の前記リッジのうち少なくとも幾つかに、前記溶融高分子化合物をつけることと、
    前記炭素発泡体電流コレクタを冷却することと、
    を含む、請求項21に記載の方法。
  25. 前記外部拘束物質を設ける工程は、前記炭素発泡体電流コレクタに圧力をかけることを含む、請求項21に記載の方法。
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