JP2010287751A - 銅配線半導体用洗浄剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 研磨工程由来の有機残渣除去性能と銅の腐食抑制効果に優れ、かつ腐食防止剤が残留しない銅配線半導体用洗浄剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 鎖状アミン(A)、水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水を必須成分とすることを特徴とする銅配線半導体用洗浄剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、銅配線半導体用の洗浄剤に関する。
半導体の製造において、研磨工程等で銅配線に付着する研磨剤の微粒子等のパーティクルを除去し、銅配線の腐食を抑制するための銅配線半導体用洗浄剤として、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドと腐食防止剤(ベンゾトリアゾール、キナルジン酸など)を含有する洗浄剤が知られている(特許文献1)。
また、研磨工程等で銅配線表面に付着する酸化鉄や銅配線が酸化した酸化銅を除去する銅配線半導体用洗浄剤として、有機アミンを含有する洗浄剤が知られている(特許文献2)。
しかし、これらの銅配線半導体用洗浄剤は、パーティクル成分のうち、研磨剤の微粒子や金属イオン成分の除去には効果があるものの、銅配線に付着する研磨剤由来の有機残渣(防錆剤と銅イオンから生成する不溶性錯体など)を除去する効果が不十分であるばかりでなく、金属配線材料(銅、タングステン等)が腐食するという問題がある。
また、これらの研磨剤由来の有機残渣の残留や金属配線の腐食は、銅配線の接触抵抗が増大し、特に半導体の製造においては大きな問題となる。
特開2003−536258号公報 特開2001−569870号公報
本発明は、研磨工程由来の有機残渣除去性能と銅の腐食抑制効果に優れ、かつ腐食防止剤が残留しない銅配線半導体用洗浄剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意努力し本発明に至った。
すなわち本発明は、鎖状アミン(A)、水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水を必須成分とすることを特徴とする銅配線半導体用洗浄剤(C)である。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は、研磨剤由来のベンゾトリアゾール等の有機残渣除去に優れ、かつ銅配線の腐食抑制効果がある。また、洗浄性に優れている。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は、鎖状アミン(A)、水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水を必須成分とすることを特徴とする銅配線半導体用洗浄剤(C)である。
鎖状アミン(A)としては、下記一般式(1)で表される鎖状ジアミン(A1)または下記一般式(2)で表される鎖状ポリアミン(A2)などが挙げられる。
Figure 2010287751
[式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示し、Yはアルキレン基を示す。]
Figure 2010287751
[式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子また一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示す。Yはアルキレン基を示し、Rは水素原子また一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。Yはアルキレン基を示す。]
一般式(1)で表される鎖状ジアミン(A1)において、R〜Rで示される一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分枝状のものが挙げられる。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基などが挙げられる。
なお、水酸基は通常アルキル基中に1〜2個、好ましくは1個、任意の位置に置換されている。R〜Rで示される一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基のアルキル基1個あたりの炭素数は、半導体基板または半導体素子に対する洗浄性(研磨粒子などの除去性)等の観点から、1〜4が好ましく、さらに好ましくは1〜3である。
このような一部が水酸基で置換されているアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、ジヒドロキシメチル基、1,1−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、2、3−ジヒドロキシプロピル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
一般式(1)中のYで示されるアルキレン基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分枝状のものが挙げられる。具体的には、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、2−メチルプロピレン基、ペンタメチレン基、ペンチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基などが挙げられる。Yで示されるアルキレン基の炭素数は、半導体基板または半導体素子に対する洗浄性(研磨粒子などの除去性)等の観点から、1〜4が好ましく、さらに好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
一般式(2)で表される鎖状ポリアミン(A2)において、R〜Rで示される一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基のアルキル基は、前記のR〜Rで示される一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基と同様のものである。
一般式(2)中のYで示されるアルキレン基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分枝状のものが挙げられる。具体的には、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、2−メチレンプロピレン基、ペンタメチレン基、ペンチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基などが挙げられる。Yで示されるアルキレン基の炭素数は、半導体基板または半導体素子に対する洗浄性(研磨粒子などの除去性)等の観点から、1〜4が好ましく、さらに好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
一般式(2)中のYで示されるアルキレン基は、前記のYで示されるアルキレン基と同様のものである。
一般式(2)中のnは1〜3の整数であり、n個の(−YNR−)はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)および(2)で表される鎖状アミン(A)は、銅配線の腐食などの観点から、2級アミノ基または3級アミノ基を分子内に少なくとも1個含むものであるものが好ましく、より好ましくは2級アミノ基または3級アミノ基を分子内に少なくとも2個含むものである。
一般式(1)で表される鎖状ジアミン(A1)の化合物の具体例としては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソプロピレンジアミン、ブチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N−エチル−N’−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N、N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N−エチル−N、N’、N’−トリメチルエチレンジアミン、N、N’−ジエチル−N、N’−ジメチルエチレンジアミン、N、N、N’−トリエチルエチレンジアミン、N、N、N’−トリエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N、N、N’、N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1−[(2−アミノエチル)アミノ]−2−プロパノール、2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール、(1、2−エタンジイルジイミノ)ビスメタノール、2,2’−(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、2、2’−[(2−アミノエチル)イミノ]ビスエタノール、1,1’−[(1,2−エタンジイル)ビスイミノ]ビス(2−プロパノール)、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,2−エタンジアミン、1、1’−[[2−[(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]エチル]イミノ]ビス(2−プロパノール)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、エチレンジアミン−N、N、N’、N’’−テトラ−2−プロパノール(商品名:クアドロール)などが挙げられる。
一般式(2)で表される鎖状ポリアミン(A2)の化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ジメチルジエチレントリアミン、2,2’−(メチルイミノ)ビス(N−メチルエタンアミン)、N,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、1−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ−2−プロパノール、3、3’、3’’、3’’’−[3―ヒドロキシプロピルイミノビス(エチレンニトリロ)]テトラキス(1−プロパノール)、N、N、N’、N’、N’’−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミンなどが挙げられる。
これらの鎖状アミン(A)のうち、水溶性及び有機残渣除去の観点から、より好ましくは2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール、エチレンジアミン−N、N、N’、N’’−テトラ−2−プロパノールである。
洗浄性及び銅腐食抑制の観点から、鎖状アミン(A)の含有量は、鎖状アミン(A)、ポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水の合計重量に基づいて、通常0.0001〜30重量%であり、好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)としては、少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物が挙げられ、その他の置換基として、アルキル基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、チオール基、スルホン基を有してもよい。
ポリフェノール系還元剤(B)において、芳香族化合物としては、ベンゼン系芳香族化合物、非ベンゼン系芳香族化合物、縮合環芳香族化合物及び複素芳香族化合物などが挙げられる。
芳香族化合物の具体例としてはベンゼン、ナフタレン、アズレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾールなどが挙げられる。芳香族化合物は、水溶性及び半導体基板または半導体素子に付着、残存しない点で、ベンゼン系芳香族化合物および縮合環芳香族化合物が好ましく、さらに好ましくはベンゼン系芳香族化合物である。
ポリフェノール系還元剤(B)の化合物の具体的としては、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、3−メチルカテコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、ヒドロキノンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
これらのポリフェノール系還元剤(B)のうち、銅表面の洗浄性及び銅腐食抑制の観点から、没食子酸が好ましい。
銅表面の洗浄性および銅腐食抑制の観点から、ポリフェノール系還元剤(B)の含有量は、鎖状アミン(A)、ポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸及び水の合計重量に基づいて、通常0.0001〜10重量%であり、好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%である。
さらなる銅表面の洗浄性の向上とポリフェノール系還元剤(B)の劣化を抑制する目的で、必須成分としてアスコルビン酸を含有させる。
アスコルビン酸の含有量は、鎖状アミン(A)、ポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水の合計重量に基づいて、通常0.0001〜20重量%であり、好ましくは0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%である。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は水を含有する。また、使用時はさらに水で希釈して使用する。
この水の電気伝導率(μS/cm;25℃)は、洗浄性、入手のし易さ、及び銅配線の再汚染(水中の金属イオンの銅配線への再付着)防止の観点から、通常0.055〜0.2、好ましくは0.056〜0.1、さらに好ましくは0.057〜0.08である。このような電気伝導率が小さい水としては、超純水が好ましい。
なお、電気伝導率は、JIS K0400−13−10:1999に準拠して測定される。
洗浄剤として使用時の水の含有量は、洗浄性及び溶液粘度の観点から、鎖状アミン(A)、ポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水の合計重量に基づいて、通常40.0〜99.999重量%であり、好ましくは79.0〜99.9重量%、さらに好ましくは89.0〜99.9重量%、特に好ましくは92.0〜99.9重量%である。
半導体洗浄用洗浄剤の25℃でのpHは、銅腐食抑制等の観点から、7.0〜10.0が好ましく、より好ましくは7.5〜9.5、特に好ましくは8.0〜9.5である。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は、必須成分である鎖状アミン(A)、ポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸、水以外に、必要に応じて、その他の成分(D)として、界面活性剤(D1)、ポリフェノール系還元剤(B)とアスコルビン酸以外の還元剤(D2)、錯化剤(D3)、pH調整剤(D4)、有機溶剤(D5)などを添加してもよい。
界面活性剤(D1)は、有機残渣除去性および金属不純物除去性向上の観点から添加することができる。このような界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤(D1)を添加する場合、界面活性剤の含有量は、洗浄剤の表面張力を低下させるのに必要な量でよく、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)の重量に基づいて、通常0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.3重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。
本発明の水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)とアスコルビン酸以外の還元剤(D2)としては、シュウ酸(塩)、シュウ酸水素(塩)、炭素数が6〜9のアルデヒド等、炭素数6〜30のフェノール化合物やベンズアルデヒドなどの有機還元剤;亜硫酸(塩)及びチオ硫酸(塩)などの無機還元剤が挙げられる。
これらのポリフェノール系還元剤(B)とアスコルビン酸以外の還元剤(D2)のうち、水溶性及び銅腐食抑制効果の観点から、有機還元剤が好ましく、さらに好ましくは脂肪族有機還元剤、特に好ましくはシュウ酸(塩)である。さらに、錯化作用の観点等から、シュウ酸塩が好ましく、さらに好ましくはシュウ酸アンモニウムである。
ポリフェノール系還元剤(B)とアスコルビン酸以外の還元剤(D2)を添加する場合、ポリフェノール系還元剤(B)とアスコルビン酸以外の還元剤(D2)の含有量は、銅配線の腐食抑制効果向上の観点から、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)の重量に基づいて、通常0.001〜1.0重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%、特に好ましくは0.05〜0.1重量%である。
錯化剤(D3)としては、炭素数1〜6の芳香族又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)、炭素数9〜23のヒドロキシル基かカルボキシル基の少なくとも一方を有する複素環式化合物、炭素数6〜9のホスホン酸(塩)等が挙げられる。
これらの錯化剤(D3)のうち、銅腐食抑制効果向上の観点から、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)及びポリカルボン酸(塩)が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(塩)が特に好ましい。
錯化剤(D3)を添加する場合、錯化剤の含有量は、銅配線の腐食抑制効果向上の観点から、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)の重量に基づいて、通常0.001〜0.5重量%であり、好ましくは0.01〜0.3重量%、特に好ましくは0.05〜0.1重量%である。錯化剤(D3)の含有量が0.5重量%より多くなると腐食抑制効果が低下する。
pH調整剤(D4)としては、無機物の塩酸、硫酸および硝酸などの鉱酸ならびにアンモニア、有機物のモノエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、などの水溶性アミン、4級アンモニウム化合物が挙げられ、金属イオンなどの不純物を実質的に含まないものであればどのようなものでも使用でき、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち洗浄性の観点から、好ましくは4級アンモニウム化合物であり、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウムヒドロキシド、ビス(ヒドロキシアルキル)ジアルキルアンモニウムヒドロキシド及びトリス(ヒドロキシアルキル)アルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましく、特に好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドである。
pH調整剤(D4)を添加する場合、pH調整剤(D4)の含有量は、銅腐食抑制等の観点から、7.0〜10.0の好ましい範囲となる量を添加する。ただし、pH調整剤(D4)の含有量が1.0重量%より多くなるとその他の成分による効果が低下する。
有機溶剤(D5)としては、使用時に水と混合可能であれば、その種類と使用量は特に限定されない。
このような有機溶剤(D5)としては、ジメチスルホキシドなどのスルホキシド類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類、ジオキサンなどのエーテル類、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。
なお、上記有機溶剤を用いる際は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち洗浄性(有機残渣の溶解性)の観点から、好ましくはアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類であり、より好ましくはアルコール類、グリコール類が好ましく、さらに揮発性の観点から特に好ましくはグリコール類である。
有機溶剤(D5)を添加する場合、有機溶剤(D5)の含有量は、洗浄剤の表面張力を低下させるのに必要な量でよく、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)の重量に基づいて、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜30重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は、鎖状アミン(A)、水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および必要によりその他の成分(D)を、水と混合し、必要によりさらに希釈することによって製造することができる。
混合する方法としては、特に限定されないが、容易かつ短時間で均一に混合できるという観点等から、水(W)と鎖状アミン(A)を混合し、続いてアスコルビン酸と水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、必要によりその他の成分(D)を混合する方法が好ましい。
混合装置としては、撹拌機が使用できる。撹拌機としては、メカニカルスターラー及びマグネチックスターラー等が挙げられる。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)は、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を洗浄する洗浄方法に使用することができる。
この洗浄方法としては、枚葉方式とバッチ方式が挙げられる。枚葉方式は、一枚ずつ半導体基板又は半導体素子を回転させ、銅配線半導体用洗浄剤を注入しながら、ブラシを用いて洗浄する方法であり、バッチ方式とは複数枚の半導体基板又は半導体素子を銅配線半導体用洗浄剤に漬けて洗浄する方法である。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C)は、銅配線を有する半導体基板又は半導体素子を製造する過程において、レジスト現像後、ドライエッチング後、ウェットエッチング後、ドライアッシング後、レジスト剥離後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理前後及びCVD(Chemical Vapor Deposition)処理前後等の洗浄工程に使用できる。特に、有機残渣除去性と金属不純物除去性の観点から、CMP処理後の洗浄工程に用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
以下に、実施例1、2と比較例1〜3の銅配線半導体用洗浄剤(C)の調製について説明をする。
<実施例1>
ポリエチレン製容器に水99.37部を入れ、2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール(A−1)0.08部、没食子酸(B−1)0.05部、アスコルビン酸0.2部、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(商品名:25%TMAH、純度25%水溶液、多摩化学社製)0.3部を加え、マグネチックスターラーで撹拌し、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C−1)を得た。
<実施例2>
実施例1において、(A−1)の代わりにエチレンジアミン−N、N、N’、N’’−テトラ−2−プロパノール(A−2)0.15部とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明の銅配線半導体用洗浄剤(C−2)を得た。
<比較例1>
実施例1において、アスコルビン酸を配合しないこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較のための銅配線半導体用洗浄剤(C’−1)を得た。
<比較例2>
実施例1において、没食子酸(B−1)を配合しないこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較のための銅配線半導体用洗浄剤(C’−2)を得た。
<比較例3>
実施例1において、2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール(A−1)を配合しないこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較のための銅配線半導体用洗浄剤(C’−3)を得た。
実施例1、2で作成した本発明の銅配線用半導体用洗浄剤(C−1)、(C−2)、および比較例1〜3で作成した比較のための銅配線用半導体用洗浄剤(C’−1)〜(C’−3)について、ベンゾトリアゾールとキナルジン酸の有機残渣の除去速度、ベンゾトリアゾール除去率、銅腐食抑制性能(銅溶出量)を以下の方法で測定し、評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2010287751
<ベンゾトリアゾールとキナルジン酸の有機残渣の除去速度の測定方法>
有機残渣の除去速度は、以下の手順にしたがって、QCM(Quartz Cristal Microbalance)法で測定した。
QCM法とは一定の振動数で振動している水晶振動子表面に物質が吸着するとその質量分だけ振動数が下がり、脱離すると振動数が上がるという原理を利用した測定方法である。測定は質量変化計測装置(北斗電工社製、HZ−5000型)を使用した。
有機残渣としては、ベンゾトリアゾールとキナルジン酸の2種類で評価した。
(1)QCM電極の洗浄
QCM用金電極を銅めっきした後、酢酸水溶液で洗浄した。
(2)有機残渣液の調製
(2−1)ベンゾトリアゾールの有機残渣液1
ベンゾトリアゾール0.4g、濃度30%の過酸化水素水0.6g、水200gを混合し、塩酸でpHが3.0になるように調整し、有機残渣液1を作成した。
(2−2)キナルジン酸の有機残渣液2
濃度30%の過酸化水素水1.0g、キナルジン酸0.8g、マレイン酸2.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム0.4g、水200gを混合し、水酸化カリウム(KOH)水溶液でpHを9.5に調整し、有機残渣液2を作成した。
(3)有機残渣を付着させたQCM電極の作成
(3−1)ベンゾトリアゾールの有機残渣1を付着させたQCM電極の作成
QCM電極を有機残渣液1に60秒間浸漬した後、水1Lに浸漬し、ベンゾトリアゾールを含む有機残渣を付着させたQCM電極を作成した。
(3−2)キナルジン酸の有機残渣2を付着させたQCM電極の作成
QCM電極を有機残渣液2に60秒間浸漬した後、水1Lに60秒間浸漬した。続いてそのQCM電極を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に120秒間浸漬後、水1Lに60秒間浸漬し、キナルジン酸を含む有機残渣を付着させたQCM電極を作成した。
(4)有機残渣除去速度の測定
本発明及び比較用の銅配線半導体用洗浄剤各200gに、上記(3−1)と(3−2)で得たQCM電極を浸漬し、測定した。
(5)有機残渣の除去速度の評価
浸漬直後の共振周波数と10秒後の共振周波数を読み取り、読み取った2つの値を下記数式(1)に代入し有機残渣除去速度を算出した。
Figure 2010287751
△freq:(浸漬10秒後の共振周波数)−(浸漬直後の共振周波数)(Hz)
μ:水晶振動子定数(2.947×1011g/cm/秒
ρ:水晶振動子密度(2.648g/cm
:基準周波数(6MHz)
A:水晶振動子の面積(1.33cm
(4)で求めた有機残渣の除去速度が有機残渣1と有機残渣2において、2.5ng/分以上のものを○、それ2.5ng/分未満のものを×と判定した。
<ベンゾトリアゾール除去率の評価方法>
ベンゾトリアゾール除去率は、以下の手順にしたがって、評価した。
(1)銅メッキされたシリコンウエハの洗浄
シリコンウエハに銅メッキが施されたウエハ(アドバンスマテリアルテクノロジー社製、「Cuメッキ10000A Wafer」、銅メッキの膜厚=1.0μm)を、縦1.5cm×横1.5cmに切断し、10%酢酸水溶液中に1分間浸漬した後、水で洗浄した。
(2)ベンゾトリアゾールを含む有機残渣液の調製
有機残渣除去速度の測定で作成した有機残渣液1を用いた。
(3)ベンゾトリアゾールを含む有機残渣を付着させた銅メッキウエハの作成
銅メッキウエハを有機残渣液1に60秒間浸漬した後、水に60秒間浸漬し、ベンゾトリアゾールを含む有機残渣を付着させた銅メッキウエハを作成した。
(4)銅メッキウエハに付着させたベンゾトリアゾール量の確認
銅メッキウエハに付着したベンゾトリアゾール量は、ベンゾトリアゾールに由来する窒素の量を、X線光電子分光装置(アルバックファイ社製、ESCA−5400型)を用いて測定することによって確認した。
具体的には、XPSを用いて、結合エネルギー397eV〜399eVの範囲で光電子数の測定を行い、窒素に由来する397.5〜398.4eVの範囲におけるピーク面積値を求めた。軟X線は、MgKα線(1253.6eV)を使用した。
(5)ベンゾトリアゾールを含む有機残渣の除去
本発明及び比較用の銅配線半導体用洗浄剤各50gに、(3)で作成したベンゾトリアゾールを含む有機残渣を付着させた銅メッキウエハを3分間浸漬し、銅メッキウエハからベンゾトリアゾールを含む有機残渣を除去した。その後、水1Lに60秒間浸漬し、窒素気流でウエハ表面を乾燥させた。
(6)銅メッキウエハに残留したベンゾトリアゾール量の確認
銅メッキウエハに残留したベンゾトリアゾール量は、ベンゾトリアゾールに由来する窒素の量を、(4)と同様に、XPSを用いて測定することによって確認した。
(7)ベンゾトリアゾール除去率の評価
(4)と(6)で測定した、2つのピーク面積値を下記数式(2)に代入し、ベンゾトリアゾール除去率を算出した。
除去率が90%以上のものを○、90%未満のものを×と判定した。
Figure 2010287751
Xa:有機残渣除去前のベンゾトリアゾール由来の窒素のピーク面積値。
Xb:有機残渣除去後のベンゾトリアゾール由来の窒素のピーク面積値。
<銅腐食抑制性能の測定方法>
銅腐食抑制性能の評価は、銅メッキウエハを銅配線半導体用洗浄剤中に浸漬させた後、銅メッキウエハから溶出した銅の濃度を定量することによって行った。単位面積あたりの銅の溶出量が少ないほど、銅腐食抑制性能に優れると判定した。
銅の濃度はICP−MS分析装置(誘導結合プラズマ質量分析装置)(アジレントテクノロジー社製、Agilent7500cs型)で測定した。
(1)銅メッキウエハの洗浄
銅メッキウエハを、縦1.0cm×横2.0cmに切断し、10%酢酸水溶液中に1分間浸漬した後、水で洗浄した。
(2)銅の溶出
(1)で洗浄した銅メッキウエハを、本発明と比較用の銅配線半導体用洗浄剤各10gに浸漬し、25℃で3分間静置した後、銅メッキウエハを銅配線半導体用洗浄剤から取り出した。
(3)銅メッキウエハから溶出した銅の溶出量の測定
銅メッキウエハを浸漬させた後の銅配線半導体用洗浄剤を5g取り出し、硝酸水溶液でpHを3.0に調整した。その後、全量が10gになるまで水を加えて測定液とした。測定液中の銅の濃度を、ICP−MS分析装置を用いて測定した。
(4)銅腐食抑制性能の評価
(3)で測定して銅の濃度を下記数式(3)に代入し、銅溶出量を算出した。
銅溶出量が15ng/cm未満のものを○、15ng/cm以上のものを×と判定した。
Figure 2010287751
Cucon:ICP−MS分析で測定した測定液中の銅濃度(ppm(μg/g))
:銅メッキウエハを浸漬した銅配線半導体用洗浄剤の液量(g)
:pH調整前に取り出した銅配線半導体用洗浄剤の液量(g)
:測定液の液量(g)
Cu:銅メッキウエハにおける銅メッキ面の面積(cm2)
表1に示すように、実施例1、2の本発明の銅配線半導体用洗浄剤はすべて、評価した3つの項目すべてで良好な結果が得られた。
一方、比較例1は必須成分であるアスコルビン酸を含まないため、ベンゾトリアゾール有機残渣1及びキナルジン酸有機残渣2の除去性及び銅腐食抑制が不良であった。また比較例2は必須成分である水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)を含まないため、ベンゾトリアゾール有機残渣1及びキナルジン酸有機残渣2の除去性及び銅腐食抑制が不良であった。比較例3は必須成分である鎖状アミン(A)を含まないため、ベンゾトリアゾール有機残渣とキナルジン酸有機残渣の除去性が不良であった。
本発明の銅配線半導体用洗浄剤は、有機残渣(ベンゾトリアゾール、キナルジン酸など)除去性、銅配線の腐食抑制能、及び研磨剤や研磨装置由来の金属残渣除去性が優れているため、銅配線用半導体用洗浄剤として好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 鎖状アミン(A)、水酸基を2〜5個含むポリフェノール系還元剤(B)、アスコルビン酸および水を必須成分とすることを特徴とする銅配線半導体用洗浄剤(C)。
  2. 該鎖状アミン(A)が下記一般式(1)で表される鎖状ジアミン(A1)または下記一般式(2)で表される鎖状ポリアミン(A2)である請求項1記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
    Figure 2010287751
    [式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子または一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示し、Yはアルキレン基を示す。]
    Figure 2010287751
    [式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子また一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示す。Yはアルキレン基を示し、Rは水素原子また一部が水酸基で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。Yはアルキレン基を示す。]
  3. 該ポリフェノール系還元剤(B)が没食子酸である請求項1または2記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
  4. 該鎖状アミン(A)が、2級アミノ基または3級アミノ基を分子内に少なくとも2個含む請求項1〜3いずれか記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
  5. 該鎖状アミン(A)が、2−[メチル[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノールまたはエチレンジアミン−N、N、N’、N’’−テトラ−2−プロパノールである請求項1〜4いずれか記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
  6. 水で希釈して洗浄剤として使用時の該鎖状アミン(A)を0.0001〜30重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
  7. pH7.0〜10.0である請求項1〜6いずれか記載の銅配線半導体用洗浄剤(C)。
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