JP2010285763A - 構造部材、及び構造部材を有する構造物 - Google Patents

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比呂人 高津
Tetsuo Mochida
哲雄 持田
Yasumasa Miyauchi
靖昌 宮内
Toshio Yonezawa
敏男 米澤
Ai Urabe
藍 卜部
Tateo Mitsui
健郎 三井
Kazumasa Inoue
和政 井上
Yosaku Ikeo
陽作 池尾
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Abstract

【課題】二酸化炭素の排出量が低減された構造部材を提供することを目的とする。
【解決手段】柱16は、水硬性セメントが水和反応して硬化した硬化体22と、この硬化体22と一体化される角形鋼管20と、を備えている。水硬性セメントは、高炉スラグ微粉末を60質量%以上含有している。この高炉スラグ微粉末でポルトランドセメントを置換することにより、石灰石等の原料の消費量を低減することができる。また、石灰石等の原料の消費量を少なくできるため、石灰石の熱分解や燃焼による二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、構造部材、及び構造部材を有する構造物に関する。
一般的に、建築構造物では鉄筋コンクリートが多用されている。鉄筋コンクリートは、鉄筋及びコンクリートの複合材料である。このコンクリートは、水、セメント、骨材(細骨材、粗骨材)及び各種の混和材から構成されている。セメントには、石灰石、ケイ石等の原料を細かく砕いたものを、約1450℃の高温で焼成したポルトランドセメントが一般的に用いられる。
ここで、ポルトランドセメントの焼成には、多量のエネルギーを消費するだけでなく、焼成に伴って多量の二酸化炭素が発生するため、省エネ化や地球温暖化等への環境対策が求められている。
環境対策としては、高炉スラグ微粉末を用いた高炉セメント(JISR5211)が知られている。この高炉セメントは、ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末(高炉で銑鉄を製造する際に生成される副産物)で置換したものであり、高炉スラグ微粉末の分量によってA種(5〜30質量%)、B種(30〜60質量%)、C種(60〜70質量%)に分類されている。このようにポルトランドセメントを高炉スラグ微粉末で置換することで、石灰石等の原料の消費量を削減することができ、更に、二酸化炭素の排出量を実質的に削減することができる。
しかしながら、ポルトランドセメントの分量を減らすと、ポルトランドセメントの水和反応によって生成される水酸化カルシウム等のアルカリ性物質が減少する。従って、高炉セメントを用いた鉄筋コンクリート造の構造部材では鉄筋等の鋼材が腐食し易く、鋼材腐食に伴う体積膨張によってひび割れの発生が懸念される。そのため、高炉セメント、特に高炉セメントC種は、柱や梁等の構造部材として利用し難いのが実情である。
一方、特許文献1には、大気中の二酸化炭素を吸収する二酸化炭素固定化構造部材が提案されている。この二酸化炭素固定化構造部材には、その内部へ大気を導く通気孔が形成されており、この通気孔から供給された大気中の二酸化炭素がコンクリートに吸収される。
ところで、二酸化炭素固定化構造部材中の水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応すると炭酸カルシウムに変化し、アルカリ性が失われて鉄筋等の鋼材の防錆効果が低下してしまう。この対策として特許文献1の二酸化炭素固定化構造部材では、吸収された二酸化炭素と鉄筋付近の水酸化カルシウムが反応しないように、鋼材から離れた位置に上記の通気孔を形成している。そのため、大気中の二酸化炭素を二酸化炭素固定化構造部材に固定化しつつ、鋼材の腐食を抑制することができる。
しかしながら、二酸化炭素固定化構造部材はポルトランドセメントを用いて製造するため、その製造工程(ポルトランドセメントの焼成)において多量の二酸化炭素が発生する。
特開2007−246375号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、二酸化炭素の排出量が低減された構造部材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の構造部材は、高炉スラグ微粉末を60質量%以上含有する水硬性セメントが水和反応して硬化した硬化体と、前記硬化体と一体化されると共に、該硬化体の外形の一部又は全部を構成する鋼材と、を備えている。
上記の構成によれば、水硬性セメントが水和反応して硬化した硬化体と、この硬化体と一体化される鋼材と、を備えている。この鋼材は、硬化体の外形の一部又は全部を構成している。従って、曲げ耐力を合理的に大きくすることができる。
また、鋼材に硬化体を一体化したことにより、構造部材の耐力が大きくなると共に、鋼材の座屈が防止される。更に、硬化体の熱容量が加算されるため、鋼材の耐火性が向上する。
一方、水硬性セメントは、高炉スラグ微粉末を60質量%以上含有している。このように高炉スラグ微粉末を多く含有することにより、石灰石等の原料の消費量を低減することができる。更に、石灰石等の原料の消費量が少なくなるため、石灰石の熱分解や燃焼による二酸化炭素の排出量を低減することができる。
請求項2に記載の構造部材は、請求項1に記載の構造部材において、前記鋼材が中空部材であり、該中空部材内に前記硬化体が配置されている。
上記の構成によれば、鋼材が中空部材とされており、中空部材内に硬化体が配置されている。
ここで、中空部材を型枠として用いることにより、現場での硬化体の型枠を不要にすることができる。従って、施工性が向上する。また、中空部材内に硬化体を配置することで、中空部材内の気密性が高まり、中空部材の内周面に発生する錆が抑制される。
請求項3に記載の構造部材は、請求項1に記載の構造部材において、前記鋼材がH形鋼であり、該H形鋼のフランジ部の間に前記硬化体が配置されている。
上記の構成によれば、鋼材がH形鋼とされており、当該H形鋼のフランジ部の間に硬化体が配置されている。このようにフランジ部の間に硬化体を配置することにより、スペースの有効利用を図りつつ、構造部材の剛性、耐力を大きくすることができる。
請求項4に記載の構造部材は、請求項1に記載の構造部材において、前記鋼材が、前記硬化体の表面に設けられた鋼板である。
上記の構成によれば、鋼材が硬化体の表面に設けられた鋼板とされている。従って、鋼板が硬化体の表面を保護する表面材として機能する。また、構造部材で床や壁等の面材を構成する場合、対向する鋼板の間に硬化体を配置することで、いわゆるサンドイッチ構造とすることもできる。
請求項5に記載の構造部材は、請求項1〜4の何れか1項に記載の構造部材において、前記鋼材の前記硬化体との接触面に、防錆処理が施されている。
上記の構成によれば、鋼材の硬化体との接触面に、防錆処理が施されている。硬化体は、普通コンクリートと比較して、防錆効果を呈するアルカリ性が弱い。この対策として、鋼材の硬化体との接触面に、防錆処理を施すことにより、鋼材の防錆効果を高めることができる。
請求項6に記載の構造部材は、請求項1〜5の何れか1項に記載の構造部材において、前記硬化体が、該硬化体に含まれる繊維補強材によって補強されている。
上記の構成によれば、硬化体を繊維補強材で補強することにより、構造部材の剛性、耐力を大きくすることができる。
請求項7に記載の構造物は、請求項1〜6の何れか1項に記載の構造部材を有している。
上記の構成によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載の構造部材を有することで、二酸化炭素の排出量が低減された構造物を構築することができる。
本発明は、上記の事実を考慮し、二酸化炭素の排出量が低減された構造部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る構造部材によって構成された架構を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る柱を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る柱と梁との仕口部を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る柱の変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る梁を示す断面図である。 本発明の実施形態の変形例に係る梁を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る床を示す、厚さ方向の断面図である。 本発明の実施形態の変形例に係る床を示す、厚さ方向の断面図である。 本発明の実施形態の変形例に係る床を示す、厚さ方向の断面図である。 (A)は参考例に係る張弦構造が適用された床を示す断面図であり、(B)は常時荷重に起因する曲げモーメント図であり、(C)は張弦構造によって付与される曲げモーメント図であり、(D)は(B)及び(C)の曲げモーメントを合成した曲げモーメント図である。 参考例に係る張弦構造が適用された間柱を示す側断面図である。
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る構造部材について説明する。図1は、構造物12の架構14を示す概略斜視図である。架構14は、対向する一対の柱16と、これらの柱16に架け渡される梁18と、を備えたラーメン構造とされている。
先ず、構造部材としての柱16の構成について説明する。なお、構造部材としての梁18は、柱16と同様の構成であるため、説明を省略する。
図2には、柱16の断面図が示されている。柱16は、角形鋼管(鋼材、中空部材)20と、角形鋼管20と一体化される硬化体22と、を備えたCFT(Concrete Filled Steel Tube)造とされている。これらの角形鋼管20及び硬化体22によって、柱16の部材断面(柱16の材軸に垂直な断面)が構成されている。
角形鋼管20は、鋼製で角形の環状に形成されており、その内部に硬化体22が配置されている。硬化体22は、後述する弱アルカリコンクリートで角柱状に形成されており、角形鋼管20内に硬化する前の弱アルカリコンクリートを充填することにより形成される。従って、角形鋼管20によって硬化体22の外形が構成されている。
ここで、鋼材が硬化体の外形を構成するとは、鋼材が硬化体の表面の一部又は全部に設けられる場合と、鋼材の一部が硬化体の表面から露出する場合が含まれる。例えば、図2に示す柱16では、硬化体22の表面に設けられた角形鋼管20によって、硬化体22の外形の全部が構成されており、後述する図5に示す梁34では、硬化体38の表面に設けられたフランジ部36Aによって、硬化体38の表面に一部が構成されている。また、後述する図4に示す柱24では、硬化体28の表面から露出したフランジ部30A(鉄骨26の一部)によって、硬化体28の表面に一部が構成されている。なお、鋼材の一部が硬化体の表面から露出する場合には、フランジ部と硬化体との表面が面一でなくても良く、鋼材の一部が硬化体の表面から突出していても良いし、鋼材の一部が硬化体に埋没していても良い。図4に示す柱24は、フランジ部30Aと硬化体28の表面が面一の例である。
なお、角形鋼管20内は、硬化体22によって気密性が高められている。従って、角形鋼管20の内周壁に錆が発生する可能性は低いが、錆が問題となる場合には、エポキシ樹脂塗料等を塗布するなどして防錆処理を適宜施しても良い。また、角形鋼管20の内周壁に、硬化体22との付着力、一体性を高めるためのコッター、スタッド等を適宜設けても良い。
次に、実施形態に係る構造部材の作用について説明する。
建築構造物ではコンクリートが多用されており、我が国のセメント(ポルトランドセメント)の年間生産量は、約6000〜7000万tに昇っている。このポルトランドセメントの製造時に発生する二酸化炭素は、1t当たりの焼成エネルギーで約350kg/t、原材料の石灰石から約450kg/t、合計約750kg/tと非常に膨大な量となっており、我が国の産業分野全体の約4%を占めている。そこで、近年の省エネルギー化や地球温暖化等の環境対策として、高炉で銑鉄を製造した際に副産物として生成される高炉スラグを用いたセメントが提案されている。具体的には、高炉セメント、高硫酸塩スラグセメント等が挙げられる。これらのセメントは、ポルトランドセメントを高炉スラグ微粉末で置換することにより、ポルトランドセメントの主材料となる石灰石、ケイ石等の原料の消費量を削減すると共に、石灰石等の焼成時に発生する二酸化炭素の排出量を実質的に削減している。
更に、高炉スラグ微粉末に、無水石膏を添加すると共に、高炉スラグ微粉末のアルカリ反応を促進させるアルカリ刺激材として、再生コンクリート微粉末を用いることで、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の工業材料の消費量を削減している。
しかしながら、ポルトランドセメントの分量を減らすと、ポルトランドセメントの水和反応によって生成される水酸化カルシウム等のアルカリ性物質が減少する。従って、これらの高炉セメントC種、高硫酸塩スラグセメント等を用いた鉄筋コンクリート造の構造部材は、普通コンクリートと比較して中性化が速く、鉄筋等の鋼材の表面に形成された不動態皮膜が破壊され易い。従って、鋼材が腐食し始めるまでの時間が短くなり、鋼材の寿命が短くなる。また、鋼材が腐食すると、その体積膨張によって構造部材のひび割れ等が懸念される。従って、構造部材として利用し難いのが実情である。
この対策として本実施形態の柱16は、角形鋼管20の内部に硬化体22を配置したCFT造とされている。このCFT造は、一般的なS造の角形鋼管と比較して、硬化体22によって、角形鋼管20のせん断座屈、曲げ座屈が抑制されるため、靭性が向上する。また、角形鋼管20に硬化体22の熱容量が加算されるため、耐火性が向上する。更に、角形鋼管20内に硬化体22を配置することにより、角形鋼管20内の気密性が高まり、角形鋼管20の内周壁の腐食が抑制される。
また、CFT造は、一般的なRC(鉄筋コンクリート)造と比較して、角形鋼管20が柱16の外周に位置するため、柱16に作用する曲げ応力に対して、角形鋼管20が効率的に抵抗する。従って、柱16の曲げ耐力を合理的に大きくすることができる。また、角形鋼管20によって硬化体22が拘束されるため強度が増大し、柱16の剛性、耐力が向上する。更に、角形鋼管20を型枠として用いることができるため、型枠設置や撤去等の煩雑な作業を省略できるため、施工性が向上する。更にまた、角形鋼管20が引張り力を負担するため、硬化体22内に配置する鉄筋等を省略することができる。従って、鉄筋、せん断補強筋等の複雑な配筋が不要になるため、柱16の製造性が向上すると共に、柱16の部材断面を小さく抑えることができる。
また、上述したように、角形鋼管20が引張り力を負担するため、硬化体22内に配置する鉄筋等を省略することができる。従って、硬化体22を弱アルカリコンクリートで構成することができ、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
また、図3に示されるように、柱16と梁18との仕口部において、柱16を構成する角形鋼管20に、梁18を構成する角形鋼管23内に通じる貫通孔21を形成することにより、角形鋼管20及び角形鋼管23に、硬化する前の弱アルカリコンクリート27を同時に充填することができる。従って、施工性が向上する。なお、硬化する前の弱アルカリコンクリート27は、柱16の下部から充填することが望ましい。硬化する前の弱アルカリコンクリート27が角形鋼管23へ流れ込み易く、また、弱アルカリコンクリート27内に気泡等が残留し難いため、弱アルカリコンクリート27の充填効率が高まるためである。
なお、本実施形態では、角形鋼管20を用いて柱16を構成したが、角形鋼管20に替えて円形鋼管を用いても良い。また、角形鋼管20に替えて各種の形鋼を用いることができる。
図4には、角形鋼管20に替えて鉄骨26を用いた柱24の断面図が示されている。柱24は、引張り力を負担する鉄骨(鋼材)26と、この鉄骨26と一体化される硬化体28と、を備えた鉄骨コンクリート(SC)造とされており、これらの鉄骨26及び硬化体28によって柱24の部材断面が構成されている。硬化体28は、弱アルカリコンクリートで角柱状に形成されている。
鉄骨26は、2つのI形鋼30を十字状に接合して形成されている。各I形鋼30は、対向する一対のフランジ部30Aと、これらのフランジ部30Aを繋ぐウェブ部30Bと、を備えている。各I形鋼30のウェブ部30Bは、硬化体28内に埋設され、各フランジ部30Aは、柱24の四辺に面して配置され、硬化体28の外形の一部を構成している。このフランジ部30Aによって、硬化体28内へ浸透する大気を遮断され、フランジ部30Aの硬化体28との接触面、及びウェブ部30Bの硬化体28との接触面との腐食が抑制されている。
このように、鉄骨26と硬化体28とを一体化することにより、鉄骨26のせん断座屈、曲げ座屈が抑制されると共に、硬化体28が鉄骨26によって拘束されるため強度が増大し、柱24の剛性、耐力が向上する。また、鉄骨26に硬化体28の熱容量が加算されるため、耐火性が向上する。更に、硬化体28を弱アルカリコンクリートで形成することで、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
なお、図2に示す柱16と比較して、柱24の内部の気密性が低いが、フランジ部30A及びウェブ部30Bの硬化体28との接触面には、エポキシ樹脂塗料32を塗布されており、防錆効果が高められている。なお、エポキシ樹脂塗料32は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
また、図5には梁(構造部材)34の断面図が示されている。梁34は、H形鋼(鋼材)36と、H形鋼36と一体化される硬化体38と、を備えた鉄骨コンクリート(SC)造とされており、これらのH形鋼36及び硬化体38によって梁34の部材断面が構成されている。硬化体38は弱アルカリコンクリートで角柱状に形成されている。
H形鋼36は、対向する一対のフランジ部36Aと、これらのフランジ部36Aを繋ぐウェブ部36Bと、を備えている。対向するフランジ部36Aの間には硬化体38が設けられている。各フランジ部36Aは梁34の上面及び下面に設けられており、硬化体38の外形の一部を構成している。また、ウェブ部36Bには、H形鋼36と硬化体38との付着性、一体性を高めるためのスタッド42が間隔を置いて複数立設されている。
また、ウェブ部36Bの硬化体38との接触面、及びフランジ部36Aの硬化体38との接触面には、エポキシ樹脂塗料40が塗布されている。これにより、H形鋼36の防錆効果が高められている。
このように、H形鋼36と硬化体38とを一体化することにより、H形鋼36のせん断座屈、曲げ座屈が抑制されると共に、硬化体38がH形鋼36によって拘束されるため強度が増大し、梁34の剛性、耐力が向上する。また、H形鋼36に硬化体38の熱容量が加算されるため、耐火性が向上する。更に、硬化体38を弱アルカリコンクリートで形成することで、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
また、図6に示されるように、硬化体38には、鉄筋100及びせん断補強筋102を適宜埋設しても良い。この場合、鉄筋100及びせん断補強筋102には、エポキシ樹脂塗料、鉛系錆止め(鉛丹、ジンクロメート、シアナミド鉛、亜酸化鉛)、ジンクリッチペイント錆止め、各種のメッキ(ステンレスメッキ、亜鉛メッキ)等で防錆処理を施すことが望ましい。なお、図6に示す鉄筋100はエポキシ樹脂塗料104が塗布されている。また、ウェブ部36Bにスタット42(図5参照)を設けても良い。
更に、図7には、床(構造部材)44の断面図が示されている。床44は、対向する一対の表面材(鋼材、鋼板)46と、これらの表面材46の間に設けられると共に、表面材46と一体化される硬化体48と、を備えたサンドイッチ構造とされている。これらの表面材46及び硬化体48によって床44の部材断面(床44の表面と直交する方向(厚さ方向)の断面)が構成されている。硬化体48は、弱アルカリコンクリートで板状に形成されている。なお、床44は、H形鋼からなる梁52の上に載置されている。
表面材46は鋼板で形成されており、硬化体38の上下の表面に設けられ、硬化体38の外形の一部を構成している。また、表面材46の対向面には、硬化体48との付着性、一体性を高めるためのスタッド50が間隔を置いて複数立設されている。なお、スタッド50は、適宜省略しても良く、スタッド50に替えてコッター等を設けても良い。
このように、表面材46を設けることにより、硬化体48の表面を保護することができる。また、対向する表面材46で硬化体48を挟み込むと共に、表面材46と硬化体48とを一体化したサンドイッチ構造としたことにより、表面材46間の距離の2乗に比例して表面材46の断面2次モーメントが大きくなるため、床44の剛性、耐力が大きくなる。
また、硬化体48によって表面材46のせん断座屈、曲げ座屈が抑制されると共に、表面材46によって硬化体48が拘束されるため強度が増大し、床44の剛性、耐力が向上する。更に、表面材46に硬化体48の熱容量が加算されるため、耐火性が向上する。更にまた、硬化体48を弱アルカリコンクリートで形成することで、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
なお、表面材46は必要に応じて硬化体38の上面及び下面の少なくとも一方に設ければ良い。また、表面材46の硬化体48との接触面に、エポキシ樹脂塗料等を塗布するなどの防錆処理を施しも良い。特に、硬化体48の端部には大気が浸透し易いため、防錆処理を施すことが望ましい。また、スタッド50に替えて、種々の形状の突起や、コッター等の凹凸を設けても良い。
また、上記実施形態に係る構造部材には、現場打ち工法、プレキャスト工法、ハーフプレキャスト工法等の種々の工法を適用することができる。例えば、図8には、ハーフプレキャスト工法で施工された床180の断面図が示されている。
図8に示される床(構造部材)180は、プレキャスト化された硬化体182と、この硬化体182の上に弱アルカリコンクリートを打設して構築された硬化体184と、を備えており、H型鋼ならなる梁185の上に載置されている。硬化体182は弱アルカリコンクリートが硬化したものであり、工場等において製造される。この硬化体182の下面には、鋼板からなる表面材(鋼材、鋼板)186が設けられている。この表面材186は、硬化体182の表面を保護すると共に、床180に作用する引張り力、曲げモーメント等を負担している。従って、硬化体182内に配置する鉄筋等を省略することができる。また、この表面材186によって、硬化体182の下面から硬化体182内へ浸透する大気が抑制されている。なお、表面材186の硬化体182との接触面には、防錆材等によって防錆処理を施すことが望ましい。また、表面材186は適宜省略可能である。
この硬化体182の上には、現場において鉄筋188及びせん断補強筋190が配筋されると共に、硬化する前の弱アルカリコンクリートが打設され、硬化体184が構築される。鉄筋188の表面には、エポキシ樹脂塗料191が塗布されており、腐食が抑制されている。なお、せん断補強筋190につてもエポキシ樹脂塗料等によって防錆処理を施すことが望ましい。
一方、図9には、プレキャスト化された硬化体182の上に、普通コンクリート222を打設して構築された床(構造部材)220が示されている。即ち、硬化体182の上には、現場において鉄筋224、及びせん断補強筋226が配筋されると共に、硬化する前の普通コンクリート222が打設される。なお、普通コンクリート222は、アルカリ性が強く(PH12.6以上、通常PH13.5以上)、硬化体182と比較して中性化までの時間が長いため、鉄筋224及びせん断補強筋226の防錆処理を省略することが可能である。
このように、ハーフプレキャスト工法を適用することにより、現場における型枠の仮設作業や、撤去作業等を減らすことができるため、施工性が向上する。また、普通コンクリート222と硬化体182とを適宜組み合わせて、一つの構造部材を構成することも可能である。
また、上記実施形態では、構造部材としての柱16、24、梁18、34、及び床44を例に説明したが、上記実施形態は、ブレース等にも適用可能である。特に、捩れ応力等を受ける耐風梁や曲がり梁、跳ね出し部材を支持する支持梁(跳ね出し部材を片持ち支持する梁部材)に有効である。また、鋼材表面にメッシュ筋を溶接等で固定し、当該部に硬化する前の弱アルカリコンクリートを流し込むことにより、硬化体と鋼材の一体性を高めても良い。
また、硬化体を弱アルカリコンクリート(コンクリート硬化体)で形成したが、普通コンクリートよりもアルカリ性が弱いモルタル硬化体又はグラウト硬化体で形成しても良い。また、硬化体には、必要に応じて鉄筋、せん断補強筋等を埋設しても良い。更に、硬化体に鉄粉、鉄繊維、炭素繊維、竹繊維等の繊維補強材を混ぜ合わせて補強しても良い。この補強によって、硬化体のひび割れの低減効果、靭性の向上が期待できる。また、張力が付与された状態のPC線、PC鋼棒等からなるPC鋼材を埋設し、圧縮力(プレストレス)を導入しても良い。この際、鉄筋、せん断補強筋、PC鋼材等の補強鋼材には、エポキシ樹脂塗料や、鉛系錆止め(鉛丹、ジンクロメート、シアナミド鉛、亜酸化鉛)、ジンクリッチペイント錆止め、各種のメッキ(ステンレスメッキ、亜鉛メッキ)等で、防錆処理を施すことが望ましい。
なお、硬化体に防錆鉄筋を埋設する場合、鋼材腐食の観点からすれば、細径の防錆鉄筋を複数本埋設するよりも、一本当たりの防錆鉄筋の径を大きくして、埋設する防錆鉄筋の本数を減らすことが望ましい。断面積(合計断面積)を同じにしつつ、硬化体と接触する表面積(合計表面積)を小さくできるためである。これと同様に、断面積が同じであれば、細径の防錆鉄筋を複数本埋設するよりも、本実施形態のように一部材当たりの断面積が大きい形鋼(角形鋼管、H形鋼等の鋼材)を用いることが望ましい。
また、普通コンクリートとは、ポルトランドセメント、又は高炉スラグ微粉末を主成分(高炉スラグ微粉末の含有量が60質量%未満)とした水硬性セメントに、水、混和材料、骨材(細骨材、粗骨材)等を混ぜ合わせ、水との水和反応によって硬化したコンクリートである。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種のポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の各種の混合セメント等が挙げられる。
次に、参考例について説明する。
図10には、張弦構造130が示されている。張弦構造130は、硬化体132と、この硬化体132の両端部に取り付けられた一対の弦材134と、硬化体132と弦材134との間に設けられ、弦材134に発生する引張力の鉛直上向きの合力を、軸力として硬化体132に伝達し、硬化体132に曲げモーメントを発生させる束材136と、を備えている。
硬化体132は、弱アルカリコンクリートで板状に形成された床版とされており、H形鋼からなる梁137の上に載置されている。硬化体132の長手方向両端部には、接合部138が設けられている。また、硬化体132の長手方向中央部には、鋼管からなる束材136が設けられている。
束材136は硬化体132に固定されており、その先端部が、当該束材136と弦材134とを連結するT型形状の連結部材140に連結されている。弦材134はPC鋼線又はスチールワイヤー等で形成されており、接合部138と連結部材140との間に張り渡されている。
ここで、硬化体132が撓むと、一対の弦材134に引張り力が発生すると共に、こられの引張り力の鉛直分力(矢印P)の合力が、鉛直上向きの力(F)として束材136に発生する。これにより、硬化体132の長手方向中央部が上方へ押し上げられ、硬化体132が弓なりに湾曲し、図10(C)に示されるような曲げモーメントが硬化体132に作用する。更に、弦材134に発生した引張り力の水平分力(矢印P)が硬化体132の両端部に作用し、当該硬化体132に圧縮力が導入される。
なお、弦材134にはターンバックル142が設けられている。このターンバックル142を締め付けることにより、弦材134にプレテンションを生じさせることができると共に、硬化体132に発生させる曲げモーメントが調整可能となっている。
また、上記実施形態に係る構造部材は、梁、柱、床、壁、ブレース、コンクリートブロック、レンガ等の種々の構造部材に適用可能であり、例えば、梁に適用した場合は、当該梁自体が本発明の権利範囲に含まれる。更には、現場打ち工法、プレキャスト工法等の種々の工法を用いることができる。また、これらの構造部材は、構造物の一部に用いても良いし、構造物の全てに用いても良い。更に、種々の構造の新築構造物や改修構造物に適用することができる。なお、構造物とは、建築構造物、及び土木構造物(例えば、橋梁、ダムなど)を含む概念である。
次に、参考例の作用について説明する。
梁137により両端部が支持された硬化体132には、常時荷重によって曲げモーメント(図10(B)参照)が発生する。この曲げモーメントによって硬化体132が撓むと、一対の弦材134に引張り力が発生すると共に、こられの引張り力の鉛直分力(矢印P)の合力が、鉛直上向きの力(F)として束材136に発生する。これにより、束材136の軸力によって硬化体132の長手方向中央部が上方へ押し上げられ、硬化体132に曲げモーメント(図10(C)参照)が発生する。この曲げモーメントにより、常時荷重による曲げモーメント(図10(B)参照)が打ち消され、硬化体132に発生する曲げモーメントが小さくなる(図10(D)参照)。更に、弦材134に発生した引張り力の水平分力(矢印P)が硬化体132の両端部に作用し、当該硬化体132に圧縮力が導入される。
このように硬化体132に張弦構造130を適用することで、硬化体132に発生する曲げモーメントを小さく抑えることができ、更に、硬化体132に圧縮力が導入される。従って、硬化体132内に埋設する鉄筋等を省略することができるため、普通コンクリートよりも防錆硬化に劣る弱アルカリコンクリートで硬化体132を形成することができる。よって、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。
また、ターンバックル142の締め込み量を変更することで、硬化体132に発生させる曲げモーメントを調整することができると共に、硬化体132に圧縮力(プレストレス)を導入することができる。
なお、本実施形態では、ターンバックル142を用いて弦材134に発生させる引張り力(プレテンション)を調整したが、束材136に当該束材136を伸張させる伸張機構を設け、硬化体132から弦材134を離すことにより、弦材134に発生させる引張り力を調整しても良い。
また、張弦構造は床に限られず、梁、柱、ブレース等にも適用可能である。図11には、張弦構造が適用された耐風間柱152が示されている。耐風間柱152は、H型鋼156と、このH型鋼156のフランジ部の間に設けられると共に、当該H型鋼156と一体化された硬化体158と、を備え、上下の梁154に取り付けられている。なお、硬化体158は、弱アルカリコンクリートが硬化したものである。
H型鋼156のフランジ部には支持部160が設けられている。この支持部160には、ガラスパネル162の端部を貫通するボルト、ピン等の接合手段164が取り付け可能となっており、この接合手段164によって、ガラスパネル162が耐風間柱152に支持されている。また、梁154の下面には、レール状の取付部166が設けられており、この取付部166にガラスパネル162が取り付けられている。
ガラスパネル162と反対側の耐風間柱152の長手方向端部には接合部138が設けられており、また、長手方向中央部には束材136が設けられている。束材136はH型鋼156のフランジ部に立設されており、その先端部が連結部材140に連結されている。弦材134は接合部138と連結部材140との間に張り渡されている。
ここで、ガラスパネル162が風力Wを受け、耐風間柱152が撓むと、一対の弦材134に引張り力が発生すると共に、こられの引張り力の鉛直分力(矢印P)の合力が、鉛直上向きの力(F)として束材136に生じる。これにより、耐風間柱152の長手方向中央部が押し込まれて弓なりに湾曲し、硬化体158に曲げモーメントが作用する。更に、弦材134に発生した引張り力の水平分力(矢印P)が耐風間柱152の両端部に作用し、当該硬化体158に圧縮力が導入される。
このように耐風間柱152に張弦構造を適用することで、耐風間柱152に発生する曲げモーメントを小さく抑えることができると共に、耐風間柱152に圧縮力(プレストレス)を導入することができる。従って、硬化体158を弱アルカリコンクリートで構成することができ、製造エネルギー、及び二酸化炭素の排出量を実質的に低減することができる。また、ターンバックル92の締め込み量を調整することで、耐風間柱152に発生する曲げモーメント、及び耐風間柱152に導入する圧縮力(プレストレス)を調整することができる。
<第二硬化体>
次に、第二硬化体(弱アルカリコンクリート(コンクリート硬化体)、モルタル硬化体、グラウト硬化体)について説明する。
第二硬化体には、高炉スラグ微粉末を60質量%以上含有する水硬性セメントが水和反応して硬化した硬化体である。この水硬性セメントとしては、例えば、高炉スラグセメントC種、高硫酸塩スラグセメントや、高炉スラグ微粉末に、石膏、及びアルカリ刺激材を添加したものを用いることができる。このように、高炉スラグ微粉末が60質量%と高い含有率を占める水硬性セメントを用いることにより、セメント製造時における二酸化炭素の排出量を抜本的に削減することができる。
第二硬化体としては、コンクリート硬化体、モルタル硬化体、グラウト硬化体が挙げられる。弱アルカリコンクリートは、前述の水硬性セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材料等を含有する組成物が、水硬性セメントの水和反応によって硬化したものである。モルタル硬化体は前述の水硬性セメント、水、細骨材(砂)等を含有し、グラウト硬化体は前述の水硬性セメント、水を含有し、何れも水硬性セメントの水和反応によって硬化した硬化体である。
従来、用いる高炉スラグ微粉末の粉末度や置換率がコンクリート組成物に及ぼす影響について報告されている(例えば、「高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの技術の現状」、日本建築学会編、1992年、3頁)。ここでは、普通ポルトランドセメントに対する高炉スラグ微粉末の使用量が多くなると、普通ポルトランドセメント単独使用に比べて、初期強度が低下し、中性化が早くなり、乾燥収縮が大きくなる等、コンクリート物性のマイナス傾向が顕著になることが報告されている。別に、かかる高炉スラグ微粉末等に加えて各種の混和材を用いたいくつかの提案も報告されている(例えば、特開昭62−158146号公報、特開昭63−2842号公報、特開平1−167267号公報、特開平10−114555号公報、特開2000−143326号公報、特開2003−306359号公報、特開2005−281123号公報、特開2007−217197号公報、特開2007−297226号公報)。しかし、これらの従来提案には実際のところ、高炉スラグ微粉末の使用量を多くすると、1)良好な施工性を確保できない、2)硬化体の乾燥収縮率を抑えることが難しい、3)硬化体の圧縮強度の低下が大きい等、何らかの点で重大な支障をきたすという問題がある。
これに対して、以下に説明する本実施形態に係る第二硬化体は、高炉スラグ微粉末の使用割合を高くすることにより二酸化炭素の排出量を抑制しつつ、1)調製したコンクリート組成物の経時的な流動性の低下や空気量の低下を抑えて良好な施工性を確保すること、2)得られる第二硬化体の乾燥収縮率が高炉セメントB種を用いた場合に比べて大きくならないようにすること、3)得られる第二硬化体の必要な強度を発現すること、以上の1)〜3)の基本的な諸性能を同時に発現することができる。
なお、硬化体は、普通コンクリートと比較して中性化速度が速く、鉄筋等の防錆作用を呈する期間が短くなる傾向があるが、上記実施形態に係る構造部材では、硬化体の外形の一部又は全部を構成する鋼材が引張り力を負担するため、腐食が問題となる鉄筋等を省略することができる。従って、硬化体の中性化を抑制することは特に必要としない。
以下、第二硬化体として、弱アルカリコンクリートの具体例を挙げて説明する。以下に説明する弱アルカリコンクリートは、建設現場で打設されるコンクリート組成物としてだけでなく、コンクリート製品工場で加工される二次製品用のコンクリート組成物としても適用できる。
<第1の弱アルカリコンクリート>
先ず、第1の弱アルカリコンクリートについて説明する。なお、ここでは、弱アルカリコンクリートをコンクリート組成物といい、水硬性セメントを高炉スラグ組成物という場合がある。
第1の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉スラグ組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製して成る。
高炉スラグ組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を3〜15質量部の割合で添加した高炉スラグ組成物。
即ち、コンクリート組成物は、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るものである。本発明のコンクリート組成物は結合材として特定の高炉スラグ組成物を用いたものであり、かかる高炉スラグ組成物は、粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を3〜15質量部の割合で添加したものである。
高炉スラグ微粉末は、粉末度が3000〜13000cm/gのものを使用するが、好ましくは3000〜8000cm/gのものを使用し、より好ましくは3500〜6500cm/gのものを使用する。粉末度が3000〜13000cm/gの範囲を外れたものを使用すると、調製したコンクリート組成物の流動性が悪くなったり、得られる硬化体の強度発現が低下したりする。なお、粉末度はブレーン法(JIS R 5201(1997年)による比表面積で表したものである。また、粉末度は、高炉水砕スラグを粉砕する時の粉砕方法、粉砕条件や粉砕後の分級により制御することができる。
また石膏としては、無水石膏、二水石膏、半水石膏が挙げられるが、無水石膏が好ましい。無水石膏としては、それを90質量%以上の純度で含有するものであれば使用でき、天然無水石膏や副産無水石膏等を使用できる。粉末度は、3000〜8000cm/gのものが好ましく、3500〜6500cm/gのものがより好ましい。
再生コンクリート微粉末としては、粉末度が2000〜7000cm/gのものを使用するのが好ましい。また水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%のものを使用するが、好ましくは6〜12質量%のものを使用する。解体コンクリートから分離する方法は特に限定されず、これには例えば、破砕機を用いて破砕する方法や破砕物どうしを機械ですりもむ方法が挙げられる。
解体コンクリートから分離された再生コンクリート微粉末は、例えば、解体コンクリートから粗骨材や細骨材を取り除くことにより得ることができる。このとき解体コンクリートから分離された粗骨材や細骨材も再生品として使用することができる。
解体コンクリートから分離した再生コンクリート微粉末であって、水酸化カルシウムを上記の含有率で含む再生コンクリート微粉末を得る手段としては、機械擦りもみ方式が好ましく、機械擦りもみ方式のなかでは偏心ロータ方式がより好ましい。以下、このような再生コンクリート微粉末の製造方法について説明する。
本実施形態における好ましい再生コンクリート微粉末は、加熱を行わない機械擦りもみ方式により製造されることが、製造時の二酸化炭素の削減及び得られる微粉末の品質にばらつきがないという観点から好適である。特に、偏心ロータ方式や遊星ミル等の機械擦りもみ装置で製造する際に、機械すりもみプロセスを密閉された空間内で行い、空間内の空気中のCOを除去する方法、或いは、チッソガスなどの不活性ガスを封入する方法をとることで、処理中の炭酸化による水酸化カルシウム含有率の減少を抑制した再生コンクリート微粉末は本発明における如き、アルカリ刺激材として使用するのに最適な水酸化カルシウム含有率の微粉末を得ることができる。
他方、解体コンクリート塊をジョークラッシャーやインペラーブレーカー等の破砕機を用いて破砕する方法においては、骨材とモルタル・ぺーストが同時に破砕されるため、再生コンクリート微粉末中に骨材粉が多くなり易く、また、微粉中の骨材粉とモルタル・ぺースト粉の比率もコンクリートの配(調)合によっては相当変化することとなり、高炉スラグ微粉末のアルカリ刺激材として用いるには、品質のコントロールが極めて困難であり、また、加熱と機械擦りもみによって骨材を取り出す加熱すりもみ方式で製造した微粉末は骨材粉が少なく、アルカリ刺激材として適しているものの、加熱によって解体コンクリート中の水和物が変化する懸念があり、また、製造エネルギーが大きくなり、セメント製造時のCOを削減するという観点からも好適とは言い難い。
細骨材としては、公知の川砂、砕砂、山砂等を使用でき、粗骨材としては、公知の川砂利、砕石、軽量骨材等を使用できる。
このコンクリート組成物では、水/高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製するが、好ましくは35〜55%に調製する。かかる質量比が60%より大きいと、得られる硬化体の乾燥収縮が大きくなり過ぎたり、強度の低下が著しくなる。逆に、かかる質量比が30%より小さいと、調製したコンクリート組成物の流動性や空気量の経時的な低下が大きくなり、施工性が低下する。尚、水/高炉スラグ組成物の質量比は、(用いた水の質量/用いた高炉スラグ組成物の質量)×100で求められるものである。
混和材としては、従来公知のコンクリート用に用いられるものが挙げられる。これには例えば、セメント分散剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等が挙げられる。このコンクリート組成物では、セメント分散剤と乾燥収縮低減剤を、またセメント分散剤と膨張材を、更にはセメント分散剤と乾燥収縮低減剤と膨張材を混和材として使用することができる。
セメント分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、グルコン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩、メラミンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩、ポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、セメント分散剤としては、ポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体が好ましく、その構成単位の種類や組成比率及び分子量等の適切なポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体がより好ましい。かかるポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体としては、メタクリル酸(塩)から形成された単位を構成単位にもつ共重合体(例えば特開昭58−74552号公報、特開平1−226757号公報等に記載されているもの)、またマレイン酸(塩)から形成された単位を構成単位にもつ共重合体(例えば特開昭57−118058号公報、特開昭63−285140号公報、特開2005−132956号公報等に記載されているもの)が挙げられるが、そのなかでもセメント分散剤としては、メタクリル酸(塩)から形成された単位を構成単位にもつ水溶性ビニル共重合体がより好ましく、分子中に下記の構成単位Aを45〜85モル%、下記の構成単位Bを15〜55モル%及び下記の構成単位Cを0〜10モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜80000(GPC法、プルラン換算、以下同じ)の水溶性ビニル共重合体が特に好ましい。
構成単位A:メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位B:分子中に5〜150個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位
構成単位C:(メタ)アリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びメチルアクリレートから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
以上説明したポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤それ自体は公知の方法で合成できる。それがメタクリル酸(塩)から形成された単位を構成単位にもつ共重合体の場合は、例えば特開昭58−74552号公報、特開平1−226757号公報等に記載されている方法で合成でき、またマレイン酸(塩)から形成された単位を構成単位にもつ共重合体の場合は、例えば特開昭57−118058号公報、特開2005−132956号公報、特開2008−273766号公報等に記載されている方法で合成できる。これらのポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤の使用量は、高炉スラグ組成物100質量部当たり、0.1〜1.5質量部の割合とするのが好ましい。
乾燥収縮低減剤としては、公知のものを使用でき、特に限定されないが、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる乾燥収縮低減剤が好ましく、なかでもジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれるものが好ましい。かかる乾燥収縮低減剤の使用量は、高炉スラグ組成物100質量部当たり、0.2〜4.0質量部の割合とするのが好ましい。
膨張材としては、公知のものを使用でき、大別してカルシウムスルホアルミネート系のものと石灰系のものとの2種類が挙げられる。いずれも水和反応によりエトリンガイト及び水酸化カルシウムを生成して膨張する無機系の混和材であり、コンクリート用膨張材として、JIS−A6202の規格を満足するものが好ましい。かかる膨張材の使用量は、コンクリート組成物1m当たり、10〜25kgの割合とするのが好ましい。
以下、第1の弱アルカリコンクリートの構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、当該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(実施例)
試験区分1(水溶性ビニル共重合体の合成)
・水溶性ビニル共重合体(p−1)の合成
メタクリル酸60g、メトキシポリ(オキシエチレン単位数が23個、以下n=23とする)エチレングリコールメタクリレート300g、メタリルスルホン酸ナトリウム5g、3−メルカプトプロピオン酸4g及び水490gを反応容器に仕込んだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液58gを加え、攪拌しながら部分中和して均一に溶解した。反応容器内の雰囲気を窒素置換した後、反応系の温度を温水浴にて60℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液25gを加えてラジカル重合反応を開始し、5時間反応を継続して反応を終了した。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液23gを加えて反応物を完全中和し、メタクリル酸塩から形成された単位を構成単位にもつポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体(p−1)の40%水溶液を得た。水溶性ビニル共重合体(p−1)を分析したところ、メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位/メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=70/27/3(モル%)の割合で有する質量平均分子量が33800の水溶性ビニル共重合体であった。
・水溶性ビニル共重合体(p−2)〜(p−4)及び(pr−1)〜(pr−4)の合成
水溶性ビニル共重合体(p−1)の合成と同様にして、水溶性ビニル共重合体(p−2)〜(p−4)及び(pr−1)〜(pr−4)を合成した。以上で合成した各水溶性ビニル共重合体の内容を表1にまとめて示した。
Figure 2010285763
表1において、
構成単位A〜C:各構成単位を形成することとなる単量体で表示した。
A−1:メタクリル酸ナトリウム
A−2:メタクリル酸
B−1:メトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリレート
B−2:メトキシポリ(n=68)エチレングリコールメタクリレート
B−3:メトキシポリ(n=9)エチレングリコールメタアクリレート
C−1:メタリルスルホン酸ナトリウム
C−2:アリルスルホン酸ナトリウム
C−3:メチルアクリレート
試験区分2(高炉スラグ組成物の調製)
表2に記載の調合条件で、高炉スラグ微粉末、無水石膏、再生コンクリート微粉末を混合して高炉スラグ組成物を調製し、高炉スラグ組成物(S−1)〜(S−4)及び(R−1)〜(R−5)を得た。
Figure 2010285763
表2において、
sg−1:粉末度が4100cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−2:粉末度が5900cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−3:粉末度が1020cm/gの高炉スラグ微粉末
gp−1:粉末度が4150cm/gの無水石膏
gp−2:粉末度が5800cm/gの無水石膏
rc−1:粉末度が5860cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が9.2%の再生コンクリート微粉末
rc−2:粉末度が4620cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が6.5%の再生コンクリート微粉末
rc−3:粉末度が4350cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が1.5%の再生コンクリート微粉末
試験区分3(コンクリート組成物の調製)
実施例1〜16
表3に記載の配合条件で、50リットルのパン型強制練りミキサーに、練り混ぜ水(水道水)、高炉スラグ組成物、細骨材(大井川水系産川砂、密度=2.58g/cm)の各所定量を投入し、またセメント分散剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等の混和材の各所定量を投入して、更に空気量調節剤(竹本油脂社製のAE剤、商品名AE−300)を投入し、45秒間練り混ぜた。最後に、粗骨材(岡崎産砕石、密度=2.68g/cm)の所定量を投入し、60秒間練り混ぜて、目標スランプが18±1cm、目標空気量が4.5±1%とした水/高炉スラグ組成物比が45%又は40%のコンクリート組成物を調製した。
比較例1〜12
表3に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、水/高炉スラグ組成物比が45%のコンクリート組成物を調製した。
比較例13及び14
表3に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、高炉セメントB種を用いた水/高炉スラグ組成物比が45%又は50%のコンクリート組成物を調製した。
Figure 2010285763
表3において、
二酸化炭素排出量:コンクリート組成物1mを製造する場合の二酸化炭素の排出量(kg/コンクリート1m)。但し、石膏及び再生コンクリート微粉末の製造に必要なエネルギーに由来する二酸化炭素の排出量を除いて計算した値
セメント分散剤の種類:表1に記載した水溶性ビニル共重合体又は下記のP−5
P−5:ポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤として、竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11W(マレイン酸とα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンとの共重合体塩)
使用量:高炉スラグ組成物100質量部当たりの、セメント分散剤、乾燥収縮低減剤又は膨張材の固形分としての質量部
高炉スラグ組成物の種類:表2に記載したもの
*1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
*2:ジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテル
*3:太平洋マテリアル社製の商品名が太平洋ハイパーエクスパン(石灰系膨張材)
*4:高炉セメントB種(密度=3.04g/cm、ブレーン値3850cm/g)
試験区分4(調製したコンクリート組成物の評価)
調製した各例のコンクリート組成物について、空気量、スランプ、スランプ残存率を下記のように求めた。また各コンクリート組成物から得た硬化体について、乾燥収縮率及び圧縮強度を下記のように求めた。
・空気量(容量%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物及び更に60分間静置後のコンクリート組成物について、JIS−A1128に準拠して測定した。
・スランプ(cm):空気量の測定と同時に、JIS−A1101に準拠して測定した。
・スランプ残存率(%):(60分間静置後のスランプ/練り混ぜ直後のスランプ)×100で求めた。
・乾燥収縮率:JIS−A1129に準拠し、各例のコンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体についてコンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、乾燥収縮率を求めた。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
・圧縮強度(N/mm):各例のコンクリート組成物について、JIS−A1108に準拠し、材齢7日及び材齢28日で測定した。
結果を表4にまとめて示した。各実施例で調製したコンクリート組成物は、高炉セメントB種を用いた場合に比べて、コンクリート1mを製造するための二酸化炭素の排出量が少なく、またコンクリート組成物の経時的な流動性に優れ、得られる硬化体の乾燥収縮率が800×10−6よりも小さく、必要とされる充分な圧縮強度が得られている。
Figure 2010285763
表4において、
比較例2、3及び10〜12:目標とする流動性(スランプ値)が得られなかったので測定しなかった。
<第2の弱アルカリコンクリート>
次に、第2の弱アルカリコンクリートについて説明する。なお、ここでは、弱アルカリコンクリートをコンクリート組成物といい、水硬性セメントを高炉セメント組成物という場合がある。また、第1の弱アルカリコンクリートと同じものは適宜省略して説明する。
第2の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉セメント組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉セメント組成物の質量比を30〜60%に調製して成る。
高炉セメント組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を60〜90質量%、石膏を5〜20質量%及びポルトランドセメントを5〜35質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を10〜30質量部の割合で添加した高炉セメント組成物。
即ち、第2の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るものである。このコンクリート組成物は結合材として特定の高炉セメント組成物を用いたものであり、かかる高炉セメント組成物は、粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を60〜90質量%、石膏を5〜20質量%及びポルトランドセメントを5〜35質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を10〜30質量部の割合で添加したものである。
ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等が挙げられるが、汎用の普通ポルトランドセメントが好ましい。
また、コンクリート組成物では、水/高炉セメント組成物の質量比を30〜60%に調製するが、好ましくは35〜55%に調製する。かかる質量比が60%より大きいと、得られる硬化体の乾燥収縮が大きくなり過ぎたり、強度の低下が著しくなる。逆に、かかる質量比が30%より小さいと、調製したコンクリート組成物の流動性や空気量の経時的な低下が大きくなり、施工性が低下する。尚、本発明において水/高炉セメント組成物の質量比は、(用いた水の質量/用いた高炉セメント組成物の質量)×100で求められるものである。
混和材としては、従来公知のコンクリート用に用いられるものが挙げられる。これには例えば、セメント分散剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等が挙げられる。このコンクリート組成物では、セメント分散剤と乾燥収縮低減剤を組み合せて、またセメント分散剤と膨張材を、更にはセメント分散剤と乾燥収縮低減剤と膨張材を組み合せて混和材として使用することができ、第1の弱アルカリコンクリートと同様のものを使用することができる。
なお、再生コンクリート微粉末、粗骨材、細骨材については、第1の弱アルカリコンクリートと同様のものを使用することができる。
以下、第2の弱アルカリコンクリートの構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、当該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(実施例)
試験区分1(水溶性ビニル共重合体の合成)
・水溶性ビニル共重合体(p−1)〜(p−4)及び(pr−1)〜(pr−4)は、第1の弱アルカリコンクリートの実施例で示したものと同様の方法で合成を合成した。合成した各水溶性ビニル共重合体の内容は表1と同様である。
試験区分2(高炉セメント組成物の調製)
表5に記載の調合条件で、高炉スラグ微粉末、無水石膏、ポルトランドセメント及び再生コンクリート微粉末を混合して高炉セメント組成物を調製し、高炉セメント組成物(S−1)〜(S−5)及び(R−1)〜(R−6)を得た。
Figure 2010285763
表5において、
sg−1:粉末度が4100cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−2:粉末度が5900cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−3:粉末度が1020cm/gの高炉スラグ微粉末
gp−1:粉末度が4150cm/gの無水石膏
gp−2:粉末度が5800cm/gの無水石膏
pc−1:普通ポルトランドセメント
pc−2:早強ポルトランドセメント
rc−1:粉末度が5860cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が9.2%の再生コンクリート微粉末
rc−2:粉末度が4620cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が6.5%の再生コンクリート微粉末
rc−3:粉末度が4350cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が1.5%の再生コンクリート微粉末
rc−4:、粉末度が1200cm/g且つ水酸化カルシウム含有率が6.1%の再生コンクリート微粉末
試験区分3(コンクリート組成物の調製)
実施例1〜17
表6に記載の配合条件で、50リットルのパン型強制練りミキサーに、練り混ぜ水(水道水)、高炉セメント組成物、細骨材(大井川水系産川砂、密度=2.58g/cm)の各所定量を投入し、またセメント分散剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等の混和材の各所定量を投入して、更に空気量調節剤(竹本油脂社製のAE剤、商品名AE−300)を投入し、45秒間練り混ぜた。最後に、粗骨材(岡崎産砕石、密度=2.68g/cm)の所定量を投入し、60秒間練り混ぜて、目標スランプが18±1cm、目標空気量が4.5±1%とした水/高炉セメント組成物比が45%又は40%のコンクリート組成物を調製した。
比較例1〜13
表6に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、水/高炉セメント組成物比が45%のコンクリート組成物を調製した。
比較例14及び15
表6に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、高炉セメントB種を用いた水/高炉セメント組成物比が45%又は50%のコンクリート組成物を調製した。
Figure 2010285763
表6において、
二酸化炭素排出量:コンクリート組成物1mを製造する場合の二酸化炭素の排出量(kg/コンクリート1m)。但し、石膏及び再生コンクリート微粉末の製造に必要なエネルギーに由来する二酸化炭素の排出量を除いて計算した値
セメント分散剤の種類:表5に記載した水溶性ビニル共重合体又は下記のP−5
P−5:ポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤として、竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11W(マレイン酸とα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンとの共重合体塩)
使用量:高炉セメント組成物100質量部当たりの、セメント分散剤、乾燥収縮低減剤又は膨張材の固形分としての質量部
高炉セメント組成物の種類:表9に記載したもの
*1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
*2:ジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテル
*3:太平洋マテリアル社製の商品名が太平洋ハイパーエクスパン(石灰系膨張材)
*4:高炉セメントB種(密度=3.04g/cm、ブレーン値3850cm/g)
試験区分4(調製したコンクリート組成物の評価)
調製した各例のコンクリート組成物について、空気量、スランプ、スランプ残存率を下記のように求めた。また各コンクリート組成物から得た硬化体について、乾燥収縮率及び圧縮強度を下記のように求めた。
・空気量(容量%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物及び更に60分間静置後のコンクリート組成物について、JIS−A1128に準拠して測定した。
・スランプ(cm):空気量の測定と同時に、JIS−A1101に準拠して測定した。
・スランプ残存率(%):(60分間静置後のスランプ/練り混ぜ直後のスランプ)×100で求めた。
・乾燥収縮率:JIS−A1129に準拠し、各例のコンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体についてコンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、乾燥収縮率を求めた。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
・圧縮強度(N/mm):各例のコンクリート組成物について、JIS−A1108に準拠し、材齢7日及び材齢28日で測定した。
結果を表7にまとめて示した。各実施例で調製したコンクリート組成物は、高炉セメントB種を用いた場合に比べて、コンクリート1mを製造するための二酸化炭素の排出量が少なく、またコンクリート組成物の経時的な流動性に優れ、得られる硬化体の乾燥収縮率が800×10−6よりも小さく、必要とされる充分な圧縮強度が得られている。
Figure 2010285763
表7において、
比較例2、3及び11〜13:目標とする流動性(スランプ値)が得られなかったので測定しなかった。
<第3の弱アルカリコンクリート>
次に、第3の弱アルカリコンクリートについて説明する。なお、ここでは、弱アルカリコンクリートをコンクリート組成物といい、水硬性セメントを高炉スラグ組成物という場合がある。また、第1、第2の弱アルカリコンクリートと同じものは適宜省略して説明する。
第3の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉スラグ組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製して成る。
高炉スラグ組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、アルカリ刺激材を0.5〜1.5質量部又は5〜45質量部の割合で添加した高炉スラグ組成物。
即ち、第3の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るものである。このコンクリート組成物は結合材として特定の高炉スラグ組成物を用いたものであり、かかる高炉スラグ組成物は、粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、アルカリ刺激材を0.5〜1.5質量部又は5〜45質量部の割合で添加したものである。
アルカリ刺激材としては、水酸化カルシウム、生石灰、軽焼マグネシア、軽焼ドロマイト、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、再生コンクリート微粉末等が挙げられる。なかでも、アルカリ刺激材としては、水と接触したときに徐々に水酸化カルシウムを生成する性質を持つアルカリ刺激材が好まく、かかる性質を有するアルカリ刺激材として、ポルトランドセメントが好ましい。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントが挙げられるが、汎用の普通ポルトランドセメントが好ましい。
このコンクリート組成物では、水/高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製するが、好ましくは35〜55%に調製する。かかる質量比が60%より大きいと、得られる硬化体の乾燥収縮が大きくなり過ぎたり、強度の低下が著しくなる。逆にかかる質量比が30%より小さいと、調製したコンクリート組成物の流動性や空気量の経時的な低下が大きくなり、施工性が低下する。尚、本発明において水/高炉スラグ組成物の質量比は、(用いた水の質量/用いた高炉スラグ組成物の質量)×100で求められるものである。
なお、再生コンクリート微粉末、粗骨材、細骨材、混和材等については、第1の弱アルカリコンクリートと同様のものを使用することができる。
以下、第3の弱アルカリコンクリートの構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、当該該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(実施例)
試験区分1(水溶性ビニル共重合体の合成)
・水溶性ビニル共重合体(p−1)〜(p−4)及び(pr−1)〜(pr−4)は、第1の弱アルカリコンクリートの実施例で示したものと同様の方法で合成を合成した。合成した各水溶性ビニル共重合体の内容は表1と同様である。
試験区分2(高炉スラグ組成物の調製)
表8に記載の調合条件で、高炉スラグ微粉末、無水石膏及びアルカリ刺激材を混合して高炉スラグ組成物を調製し、高炉スラグ組成物(S−1)〜(S−10)及び(R−1)〜(R−10)を得た。
Figure 2010285763
表8において、
sg−1:粉末度が4100cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−2:粉末度が5900cm/gの高炉スラグ微粉末
sg−3:粉末度が1020cm/gの高炉スラグ微粉末
gp−1:粉末度が4150cm/gの無水石膏
gp−2:粉末度が5800cm/gの無水石膏
rc−1:普通ポルトランドセメント
rc−2:早強ポルトランドセメント
試験区分3(コンクリート組成物の調製)
実施例1〜36
表9に記載の配合条件で、50リットルのパン型強制練りミキサーに、練り混ぜ水(水道水)、高炉スラグ組成物、細骨材(大井川水系産川砂、密度=2.58g/cm)の各所定量を投入し、またセメント分散剤、乾燥収縮低減剤、膨張材等の混和材の各所定量を投入して、更に空気量調節剤(竹本油脂社製のAE剤、商品名AE−300)を投入し、45秒間練り混ぜた。最後に、粗骨材(岡崎産砕石、密度=2.68g/cm)の所定量を投入し、60秒間練り混ぜて、目標スランプが18±1cm、目標空気量が4.5±1%とした水/高炉スラグ組成物の質量比が45%又は40%のコンクリート組成物を調製した。
比較例1〜27
表10に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、水/高炉スラグ組成物の質量比が45%のコンクリート組成物を調製した。
比較例28及び29
表10に記載の配合条件で、実施例と同様な練り混ぜ方法により、高炉セメントB種を用いた水/高炉セメントの質量比が45%又は50%のコンクリート組成物を調製した。
Figure 2010285763
Figure 2010285763
表9、表10において、
二酸化炭素排出量:コンクリート組成物1mを製造する場合の二酸化炭素の排出量(kg/コンクリート1m)。但し、石膏及び再生コンクリート微粉末の製造に必要なエネルギーに由来する二酸化炭素の排出量を除いて計算した値
セメント分散剤の種類:表1に記載した水溶性ビニル共重合体又は下記のP−5
P−5:ポリカルボン酸系の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤として、竹本油脂社製の商品名チューポールHP−11W(マレイン酸とα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンとの共重合体塩)
使用量:高炉スラグ組成物(比較例28及び29は高炉セメントB種)100質量部当たりの、セメント分散剤、乾燥収縮低減剤又は膨張材の固形分としての質量部
高炉スラグ組成物の種類:表8に記載したもの
*1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
*2:ジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテル
*3:太平洋マテリアル社製の商品名が太平洋ハイパーエクスパン(石灰系膨張材)
*4:高炉セメントB種(密度=3.04g/cm、ブレーン値3850cm/g)
試験区分4(調製したコンクリート組成物の評価)
調製した各例のコンクリート組成物について、空気量、スランプ、スランプ残存率を下記のように求めた。また各コンクリート組成物から得た硬化体について、乾燥収縮率及び圧縮強度を下記のように求めた。
・空気量(容量%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物及び更に60分間静置後のコンクリート組成物について、JIS−A1128に準拠して測定した。
・スランプ(cm):空気量の測定と同時に、JIS−A1101に準拠して測定した。
・スランプ残存率(%):(60分間静置後のスランプ/練り混ぜ直後のスランプ)×100で求めた。
・乾燥収縮率:JIS−A1129に準拠し、各例のコンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体についてコンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、乾燥収縮率を求めた。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
・圧縮強度(N/mm):各例のコンクリート組成物について、JIS−A1108に準拠し、材齢7日及び材齢28日で測定した。
結果を表11及び表12にまとめて示した。各実施例で調製したコンクリート組成物は、高炉セメントB種を用いた場合に比べて、コンクリート組成物1mを製造するための二酸化炭素の排出量が少なく、またコンクリート組成物の経時的な流動性に優れ、得られる硬化体の乾燥収縮率が800×10−6よりも小さく、必要とされる充分な圧縮強度が得られている。
Figure 2010285763
Figure 2010285763
表12において、
比較例1、2、6、7、21〜23及び25〜27:目標とする流動性(スランプ値)が得られなかったので測定しなかった。
<第4の弱アルカリコンクリート>
次に、第4の弱アルカリコンクリートについて説明する。なお、ここでは、弱アルカリコンクリートをコンクリート組成物といい、水硬性セメントを高炉セメントという場合がある。また、第1〜第3の弱アルカリコンクリートと同じものは適宜省略して説明する。
第4の弱アルカリコンクリートは、少なくとも、セメント、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、セメントとして下記の高炉セメント(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉セメント比を20〜60%に調製し、また該高炉セメント100質量部当たり、混和材の少なくとも一部として下記のA成分を0.1〜1.5質量部含有して成る。
高炉セメント:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントとからなり、且つ該高炉スラグ微粉末を60〜80質量%及びポルトランドセメントを20〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有する高炉セメント。
A成分:下記の水溶性ビニル共重合体P及び下記の水溶性ビニル共重合体Qから選ばれる一つ又は二つ以上の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤。
水溶性ビニル共重合体P:分子中に下記の構成単位Xを45〜85モル%、下記の構成単位Yを15〜55モル%及び下記の構成単位Zを0〜10モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜80000の水溶性ビニル共重合体。
構成単位X:メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位Y:分子中に5〜150個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位
構成単位Z:(メタ)アリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びメチルアクリレートから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
水溶性ビニル共重合体Q:分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%及び下記の構成単位Mを60〜40モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜50000の水溶性ビニル共重合体。
構成単位L:マレイン酸から形成された構成単位及びマレイン酸塩からから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位M:分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位及び分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
第4の弱アルカリコンクリートには、混和材の少なくとも一部として、適宜、下記のB成分を0.2〜4.0質量部、下記のC成分を0.1〜5.0質量部の割合で加えて含有してもよい。この場合、混和材の少なくとも一部として、下記B成分又は下記C成分を加えても良いし、下記B成分及び下記C成分を加えても良い。
B成分:乾燥収縮低減剤
C成分:凝結促進剤
即ち、第4の弱アルカリコンクリートは、少なくとも結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を用い、結合材として特定の高炉セメントを含有し、また特定の混和剤を所定割合で含有して成るものである。かかる高炉セメントは、粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を60〜80質量%及びポルトランドセメントを20〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有するものである。
結合材として用いる高炉セメント(水硬性セメント)は、前記の高炉スラグ微粉末を60〜80質量%及びポルトランドセメントを20〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有するものであるが、前記の高炉スラグ微粉末を64〜76質量%及びポルトランドセメントを24〜36質量%(合計100質量%)の割合で含有するものが好ましい。したがって、このコンクリート組成物において結合材として用いる高炉セメントには、JIS−R5211の規格に適合する高炉セメントC種が含まれる。
このコンクリート組成物は、水/高炉セメントの質量比を20〜60%に調製したものであるが、好ましくは25〜50%に調製したものとする。かかる質量比が60%より大きいと、得られる硬化体の乾燥収縮が大きくなり過ぎたり、強度の低下が著しくなる。逆にかかる質量比が20%より小さいと、調製したコンクリート組成物の流動性や空気量の経時的な低下が大きくなり、施工性が低下する。尚、水/高炉セメントの質量比は、(用いた水の質量/用いた高炉セメントの質量)×100で求められるものである。
また、コンクリート組成物は、混和材として、A成分のセメント分散剤を含有している。この混和材には、B成分の乾燥収縮低減剤、C成分の凝結促進剤を適宜、加えて含有しても良い。この場合、混和材の少なくとも一部として、下記B成分又は下記C成分を加えても良いし、下記B成分及び下記C成分を加えても良い。
A成分のセメント分散剤は、水溶性ビニル共重合体P及び水溶性ビニル共重合体Qから選ばれる一つ又は二つ以上の水溶性ビニル共重合体からなるものである。ここで水溶性ビニル共重合体Pは、分子中に下記の構成単位Xを45〜85モル%、下記の構成単位Yを15〜55モル%及び下記の構成単位Zを0〜10モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜80000(GPC法、プルラン換算、以下同じ)の水溶性ビニル共重合体である。
構成単位X:メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位Y:分子中に5〜150個、好ましくは7〜90個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位
構成単位Z:(メタ)アリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びメチルアクリレートから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
A成分のセメント分散剤として用いる前記の水溶性ビニル共重合体Pそれ自体は公知の方法で合成できる。例えば特開昭58−74552号公報、特開平1−226757号公報等に記載されている方法で合成できる。かかる水溶性ビニル共重合体Pからなるセメント分散剤の使用量は、高炉セメント100質量部当たり、0.1〜1.5質量部、好ましくは0.2〜1.0質量部の割合とする。
また水溶性ビニル共重合体Qは、分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%及び下記の構成単位Mを40〜60モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜50000の水溶性ビニル共重合体である。
構成単位L:マレイン酸から形成された構成単位及びマレイン酸塩からから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位M:分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位及び分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
A成分のセメント分散剤として用いる前記の水溶性ビニル共重合体Qそれ自体は公知の方法で合成できる。例えば特開昭57−118058号公報、特開2005−132955号公報、特開2008−273766号公報等に記載されている方法で合成できる。かかる水溶性ビニル共重合体Qからなるセメント分散剤の使用量は、高炉セメント100質量部当たり、0.1〜1.5質量部、好ましくは0.2〜1.0質量部の割合とする。
B成分の乾燥収縮低減剤としては、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなるものが好ましく、なかでもジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる一つ又は二つ以上がより好ましい。かかる乾燥収縮低減剤の使用量は、高炉セメント100質量部当たり、0.2〜4.0質量部、好ましくは0.6〜3.5質量部の割合とする。
C成分の凝結促進剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩の他に、塩化カルシウム、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩等が挙げられるが、なかでも、初期強度の増進効果において炭酸塩及び塩化カルシウムが好ましく、炭酸ナトリウムがより好ましい。かかる凝結促進剤の使用量は、高炉セメント100質量部当たり、0.1〜5.0質量部、好ましくは0.3〜3.0質量部の割合とする。
なお、粗骨材、細骨材等については、第1の弱アルカリコンクリートと同様のものを使用することができる。
以下、第4の弱アルカリコンクリートの構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、当該実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(実施例)
試験区分1(A成分のセメント分散剤としての水溶性ビニル共重合体の合成)
・水溶性ビニル共重合体(ap−1)の合成
メタクリル酸60g、メトキシポリ(オキシエチレン単位数が23個、以下n=23とする)エチレングリコールメタクリレート300g、メタリルスルホン酸ナトリウム5g、3−メルカプトプロピオン酸6g及び水490gを反応容器に仕込んだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液58gを加え、攪拌しながら部分中和して均一に溶解した。反応容器内の雰囲気を窒素置換した後、反応系の温度を温水浴にて60℃に保ち、過硫酸ナトリウムの20%水溶液25gを加えてラジカル重合反応を開始し、5時間反応を継続して反応を終了した。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液24gを加えて反応物を完全中和し、水溶性ビニル共重合体(ap−1)の40%水溶液を得た。水溶性ビニル共重合体(ap−1)を分析したところ、メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位/メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位=70/27/3(モル%)の割合で有する質量平均分子量が31700の水溶性ビニル共重合体であった。
・水溶性ビニル共重合体(ap−2)〜(ap−4)及び(apr−1)〜(apr−4)の合成
水溶性ビニル共重合体(ap−1)の合成と同様にして、水溶性ビニル共重合体(ap−2)〜(ap−4)及び(apr−1)〜(apr−4)を合成した。以上で合成した各水溶性ビニル共重合体の内容を表13にまとめて示した。
Figure 2010285763
表13において、
構成単位X〜Z:各構成単位を形成することとなる単量体で表示した。
X−1:メタクリル酸ナトリウム
X−2:メタクリル酸
Y−1:メトキシポリ(n=23)エチレングリコールメタクリレート
Y−2:メトキシポリ(n=68)エチレングリコールメタクリレート
Y−3:メトキシポリ(n=9)エチレングリコールメタアクリレート
Z−1:メタリルスルホン酸ナトリウム
Z−2:アリルスルホン酸ナトリウム
Z−3:メチルアクリレート
・水溶性ビニル共重合体(aq−1)の合成
無水マレイン酸98g及びα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=33)512gを反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、反応容器内の雰囲気を窒素置換した。反応系の温度を温水中にて80℃に保ち、アゾビスイソブチロニトリル3gを投入してラジカル重合反応を開始した。更にアゾビスイソブチロニトリル5gを分割投入し、ラジカル重合反応を4時間継続して反応を完結した。得られた共重合体に水を加えて加水分解して水溶性ビニル共重合体(aq−1)の40%水溶液を得た。水溶性ビニル共重合体(aq−1)を分析したところ、マレイン酸から形成された構成単位/α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=33)から形成された構成単位=50/50(モル比)の割合で有する質量平均分子量23000の水溶性ビニル共重合体であった。
・水溶性ビニル共重合体(aq−2)〜(aq−4)及び(aqr−1)〜(aqr−4)の合成
水溶性ビニル共重合体(aq−1)の合成と同様にして、水溶性ビニル共重合体(aq−2)〜(aq−4)及び(aqr−1)〜(aqr−4)を合成した。以上で合成した各水溶性ビニル共重合体の内容を表14にまとめて示した。
Figure 2010285763
表14において、
構成単位L及びM:各構成単位を形成することとなる単量体で表示した。
L−1:マレイン酸
L−2:マレイン酸ナトリウム
M−1:α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=33)
M−2:α−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレン(n=68)
M−3:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=33)
M−4:α−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン(n=23)
試験区分2(コンクリート組成物の調製)
実施例1〜23
表15に記載の配合番号の条件で、50リットルのパン型強制練りミキサーに、練混ぜ水(水道水)、高炉スラグ微粉末を65%及び普通ポルトランドセメントを35%(合計100%)の割合で含有する高炉セメント(密度=2.99g/cm、粉末度4020cm/g)、細骨材(大井川水系産川砂、密度=2.58g/cm)、A成分のセメント分散剤として水溶性ビニル共重合体(ap−1)、B成分の乾燥収縮低減剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(b−1)、C成分の凝結促進剤として炭酸ナトリウム(c−1)の各所定量を順次投入し、更に空気量調節剤(竹本油脂社製のAE剤で、商品名AE−300)を投入して、次に粗骨材(岡崎産砕石、密度=2.68g/cm)を投入して60秒間練り混ぜ、目標スランプが18±1cm、目標空気量が4.5±1%とした実施例1の水/高炉セメントの質量比が50%のコンクリート組成物を調製した。同様の方法で、実施例2〜23の水/高炉セメントの質量比が30〜50%のコンクリート組成物を調製した。
比較例1〜23
実施例1と同様の方法で比較例1〜23の水/高炉セメントの質量比が45〜50%のコンクリート組成物を調製した。実施例も含め、以上の各例で調製したコンクリート組成物の内容を表16にまとめて示した。
Figure 2010285763
表15において、
s−1:高炉スラグ微粉末を65%及び普通ポルトランドセメントを35%(合計100%)の割合で含有する高炉セメント(密度=2.99g/cm、粉末度4020cm/g)
s−2:高炉スラグ微粉末を70%及び普通ポルトランドセメントを30%(合計100%)の割合で含有する高炉セメント(密度=2.98g/cm、粉末度4040cm/g)
s−3:高炉スラグ微粉末を75質量%及び普通ポルトランドセメントを25質量%(合計100%)の割合で含有する高炉セメント(密度=2.96g/cm、粉末度4050cm/g)
sr−1:高炉セメントB種(密度=3.04g/cm、粉末度3850cm/g)
Figure 2010285763
表16において、
添加量:高炉セメント100質量部当たりの固形分質量部
*1:リグニンスルホン酸塩を主成分とするセメント分散剤(竹本油脂社製の商品名チューポールEX20)
*2:ナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩を主成分とするセメント分散剤(竹本油脂社製の商品名ポールファイン510AN)
*3:メラミンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩を主成分とするセメント分散剤(竹本油脂社製の商品名ポールファインMF)
ap−1〜ap−4及びapr−1〜apr−4:表13に記載したセメント分散剤としての水溶性ビニル共重合体
aq−1〜aq−4及びaqr−1〜aqr−4:表14に示したセメント分散剤としての水溶性ビニル共重合体
b−1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
b−2:ジプロピレングリコールジエチレングリコールモノブチルエーテル
c−1:炭酸ナトリウム
c−2:炭酸カリウム
c−3:塩化カルシウム
試験区分3(調製したコンクリート組成物の評価)
調製した各例のコンクリート組成物について、空気量、スランプ、スランプ残存率を下記のように求めた。また各例のコンクリート組成物から得た硬化体について、乾燥収縮率及び圧縮強度を下記のように求めた。
・空気量(容量%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物及び更に60分間静置後のAEコンクリートについて、JIS−A1128に準拠して測定した。
・スランプ(cm):空気量の測定と同時に、JIS−A1101に準拠して測定した。
・スランプ残存率(%):(60分間静置後のスランプ/練り混ぜ直後のスランプ)×100で求めた。
・乾燥収縮率:JIS−A1129に準拠し、各例のコンクリート組成物を20℃×60%RHの条件下で保存した材齢26週の供試体についてコンパレータ法により乾燥収縮ひずみを測定し、乾燥収縮率を求めた。この数値は小さいほど、乾燥収縮が小さいことを示す。
・圧縮強度(N/mm):各例のコンクリート組成物について、JIS−A1108に準拠し、材齢7日及び材齢28日で測定した。
・二酸化炭素排出量:コンクリート組成物1mを製造する場合の二酸化炭素の排出量(kg/コンクリート1m)。但し、石膏及び再生コンクリート微粉末の製造に必要なエネルギーに由来する二酸化炭素の排出量を除いて計算した値
結果を表17及び表18にまとめて示した。各実施例のコンクリート組成物は、結合材として高炉セメントB種を用いた比較例23に比べて、高炉スラグ微粉末の使用量が多い分だけコンクリート組成物1mを製造するための二酸化炭素の排出量が少なく、また調整したコンクリート組成物の経時的な流動性に優れ、更に得られる硬化体の乾燥収縮率が800×10−6よりも小さく、必要とされる充分な圧縮強度が得られている。
Figure 2010285763
Figure 2010285763
表18において、
比較例4、14〜16及び18〜20:目標とする流動性(スランプ値)が得られなかったので測定しなかった。
なお、以上説明した本実施形態に係る第二硬化体をまとめると以下のようになる。即ち、第1に、第二硬化体は、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉スラグ組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製して成るコンクリート組成物が硬化してなる。
高炉スラグ組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を3〜15質量部の割合で添加した高炉スラグ組成物。
第2に、第二硬化体は、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉セメント組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉セメント組成物の質量比を30〜60%に調製して成るコンクリート組成物が硬化してなる。
高炉セメント組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を60〜90質量%、石膏を5〜20質量%及びポルトランドセメントを5〜35質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、解体コンクリートから分離した水酸化カルシウム含有率が3〜15質量%の再生コンクリート微粉末を10〜30質量部の割合で添加した高炉セメント組成物。
第3に、第二硬化体は、少なくとも、結合材、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、結合材として下記の高炉スラグ組成物(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉スラグ組成物の質量比を30〜60%に調製して成るコンクリート組成物が硬化してなる。
高炉スラグ組成物:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末を80〜95質量%及び石膏を5〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有する混合物100質量部当たり、アルカリ刺激材を0.5〜1.5質量部又は5〜45質量部の割合で添加した高炉スラグ組成物。
第4に、第二硬化体は、少なくとも、セメント、水、細骨材、粗骨材及び混和材を含有して成るコンクリート組成物であって、セメントとして下記の高炉セメント(水硬性セメント)を用い、且つ水/該高炉セメントの質量比を20〜60%に調製し、また該高炉セメント100質量部当たり、混和材の少なくとも一部として下記のA成分を0.1〜1.5質量部含有して成るコンクリート組成物が硬化してなる。
高炉セメント:粉末度が3000〜13000cm/gの高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントとから成り、且つ該高炉スラグ微粉末を60〜80質量%及びポルトランドセメントを20〜40質量%(合計100質量%)の割合で含有する高炉セメント。
A成分:下記の水溶性ビニル共重合体P及び下記の水溶性ビニル共重合体Qから選ばれる一つ又は二つ以上の水溶性ビニル共重合体からなるセメント分散剤。
水溶性ビニル共重合体P:分子中に下記の構成単位Xを45〜85モル%、下記の構成単位Yを15〜55モル%及び下記の構成単位Zを0〜10モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜80000の水溶性ビニル共重合体。
構成単位X:メタクリル酸から形成された構成単位及びメタクリル酸塩から形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位Y:分子中に5〜150個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するメトキシポリエチレングリコールメタクリレートから形成された構成単位
構成単位Z:(メタ)アリルスルホン酸塩から形成された構成単位及びメチルアクリレートから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
水溶性ビニル共重合体Q:分子中に下記の構成単位Lを40〜60モル%及び下記の構成単位Mを60〜40モル%(合計100モル%)の割合で有する質量平均分子量2000〜50000の水溶性ビニル共重合体。
構成単位L:マレイン酸から形成された構成単位及びマレイン酸塩からから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
構成単位M:分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−メチル−ポリオキシエチレンから形成された構成単位及び分子中に5〜100個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレンから形成された構成単位から選ばれる一つ又は二つ以上
なお、混和材の一部として、下記のB成分を0.2〜4.0質量部、下記のC成分を0.1〜5.0質量部の割合で含有しても良い。この場合、混和材の一部として、下記B成分又は下記C成分を加えても良いし、下記B成分及び下記C成分を加えても良い。
B成分:乾燥収縮低減剤
C成分:凝結促進剤
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
12 構造物
16 柱(構造部材)
18 梁(構造部材)
20 角形鋼管(鋼材、中空部材)
22 硬化体
23 角形鋼管(鋼材、中空部材)
24 柱(構造部材)
26 鉄骨(鋼材)
28 硬化体
32 エポキシ樹脂塗料(防錆処理)
34 梁(構造部材)
36 H形鋼(鋼材)
38 硬化体
40 エポキシ樹脂塗料(防錆処理)
44 床(構造部材)
46 表面材(鋼材)
48 硬化体
180 床(構造部材)
182 硬化体
184 硬化体
186 表面材(鋼材)
220 床(構造部材)

Claims (7)

  1. 高炉スラグ微粉末を60質量%以上含有する水硬性セメントが水和反応して硬化した硬化体と、
    前記硬化体と一体化されると共に、該硬化体の外形の一部又は全部を構成する鋼材と、
    を備える構造部材。
  2. 前記鋼材が中空部材であり、該中空部材内に前記硬化体が配置されている請求項1に記載の構造部材。
  3. 前記鋼材がH形鋼であり、該H形鋼のフランジ部の間に前記硬化体が配置されている請求項1に記載の構造部材。
  4. 前記鋼材が、前記硬化体の表面に設けられた鋼板である請求項1に記載の構造部材。
  5. 前記鋼材の前記硬化体との接触面に、防錆処理が施されている請求項1〜4の何れか1項に記載の構造部材。
  6. 前記硬化体が、該硬化体に含まれる繊維補強材によって補強されている請求項1〜5の何れか1項に記載の構造部材。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の構造部材を有する構造物。
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