JP2010285358A - 血圧上昇抑制剤 - Google Patents

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Takahiko Fujikawa
隆彦 藤川
Katsuhisa Sakano
克久 坂野
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Abstract

【課題】心拍数の低下を抑制しつつ、好適な血圧上昇抑制作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することにある。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する血圧上昇抑制剤。
【化1】
Figure 2010285358

(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)
【選択図】図4

Description

本発明は、血圧上昇抑制剤に関する。
この種の血圧上昇抑制作用を奏する薬剤として、各種の作用機序を有する薬剤が知られている(図5を参照)。これら公知の薬剤は、例えば降圧剤(通常よりも高くなった血圧を下げる薬剤)や、抗高血圧剤(血圧の上昇を抑える薬剤)として使用される。
さらに特許文献1には、血管拡張作用を有するフタリド二量体が開示されており、降圧剤としての用途が期待される(特許文献1の明細書の段落[0045]を参照)。
特開2006−94747号
ところで上述の薬剤には、徐脈(脈の数が異常に少なくなること)などの副作用があることが知られている(図5を参照)。
この徐脈が発生する明確な原因は不明であるが、いずれの薬剤もその服用に際して心拍数が低下することがあるため、この心拍数の低下が徐脈の一因と考えられている。そして公知のフタリド二量体においても、心拍数の低下については何ら言及されておらず、同様に徐脈を引き起こすおそれがある。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、心拍数の低下を抑制しつつ、好適な血圧上昇抑制作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ある種のフタリド誘導体が、心拍数の低下を防止又は抑制しつつ好適な血圧上昇抑制作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち上記課題を解決するための手段として、第1発明は、下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する血圧上昇抑制剤である。
Figure 2010285358

(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)
第2発明の血圧上昇抑制剤は、第1発明に記載の血圧上昇抑制剤であって、下記一般式(2)で表される第一のフタリド誘導体と、下記一般式(3)で表される第二のフタリド誘導体の少なくとも一つを有効成分として含有する。
本発明の血圧上昇抑制剤は、心拍数の低下を抑制しつつ、より実用的な抗高血圧作用(血圧の上昇を抑える作用)を奏する。
Figure 2010285358

(一般式(2)中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
Figure 2010285358

(一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
第3発明の血圧上昇抑制剤は、第2発明に記載の血圧上昇抑制剤であって、上記第一のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(2)中、Rがメトキシ基である。本発明の血圧上昇抑制剤は、心拍数の低下をより確実に抑制又は防止しつつ、実用的な抗高血圧作用(血圧の上昇を抑える作用)を奏する。
第4発明の血圧上昇抑制剤は、第2発明に記載の血圧上昇抑制剤であって、上記第二のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(3)中、R及びRが共にメトキシ基である。本発明の血圧上昇抑制剤は、心拍数の低下を抑制しつつ、さらに実用的な抗高血圧作用(血圧の上昇を抑える作用)を奏する。
本発明の第1発明によれば、心拍数の低下を抑制しつつ、好適な血圧上昇抑制作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することができる。また第2発明によれば、より実用的な抗高血圧作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することができる。
そして第3発明によれば、心拍数の低下をより確実に抑制又は防止しつつ、実用的な抗高血圧作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することができる。また第4発明によれば、心拍数の低下を抑制しつつ、さらに実用的な抗高血圧作用を奏する血圧上昇抑制剤を提供することができる。
第一のフタリド誘導体の製造工程図である。 第二のフタリド誘導体の製造工程図である。 (a)は、収縮期血圧を示すグラフであり、(b)は、拡張期血圧を示すグラフである。 (a)は、平均血圧を示すグラフであり、(b)は、心拍数を示すグラフである。 従来の薬剤とその副作用を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施形態の血圧上昇抑制剤は、上記一般式(1)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)を有効成分として含有する。ここで一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子(H)と水酸基(OH)とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。
そしてアルコキシ基(OC2n+1:nは正の整数)の種類は、上記フタリド誘導体が所望の効果を奏する限り特に限定しないが、比較的低分子のアルコキシ基であることが好ましい。比較的低分子のアルコキシ基として、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基又はイソプロポキシ基)を例示できる。
そして血圧上昇抑制剤は、第一のフタリド誘導体と第二のフタリド誘導体(いずれも後述)の少なくとも一つを有効成分として含有することが好ましい。これらフタリド誘導体を含有する血圧上昇抑制剤は、徐脈の発生を抑制しつつ、実用的な抗高血圧作用(血圧の上昇を抑える作用)を奏する。
ここで血圧上昇抑制剤中、第一のフタリド誘導体又は第二のフタリド誘導体が単独で含有されていてもよく、両者が共に含有されていてもよい。第一のフタリド誘導体と第二のフタリド誘導体の含有比率は、所望の効果を奏する限り特に限定しないが、典型的に、重量比で第一のフタリド誘導体:第二のフタリド誘導体=1:1である。
(第一のフタリド誘導体)
第一のフタリド誘導体は、上記一般式(2)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。そして一般式(1)中、Rが、比較的低分子の炭素数1〜3のアルコキシ基である。
好ましい血圧上昇抑制剤は、第一のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(2)中、Rがメトキシ基(OCH)である。すなわち第一のフタリド誘導体が、下記化学式(4)で表わされるフタリド誘導体(4−hydroxy−6−methoxyphthalide、IUPAC名:4−hydroxy−6−methoxy−1(3H)−isobenzofuranone)である。
化学式(4)で表される第二のフタリド誘導体を単独で含有する血圧上昇抑制剤は、心拍数の低下をより確実に抑制又は防止することができる。
Figure 2010285358
(第二のフタリド誘導体)
また第二のフタリド誘導体は、一般式(3)で表されるフタリド誘導体(その医薬的に許容し得る塩又は溶媒和物を含む)である。一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、比較的低分子の炭素数1〜3のアルコキシ基である。これらR及びRは、同種のアルコキシ基であってもよく、また各々異なるアルコキシ基であってもよいが、好ましくはR及びRの少なくとも一の置換基がメトキシ基(OCH)である。
好ましい血圧上昇抑制剤は、第二のフタリド誘導体を有効成分として含有するとともに、一般式(3)中、R及びRがメトキシ基である。すなわち第二のフタリド誘導体が、下記化学式(5)で表わされるフタリド誘導体(6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide、IUPAC名:5,7−dimethoxy−6−hydroxy−1(3H)−isobenzofuranone)である。
化学式(5)で表される第二のフタリド誘導体を単独で含有する血圧上昇抑制剤は、徐脈と頻脈(脈の数が異常に多くなること)の発生を好適に防止又は低減できる。
Figure 2010285358
(飲食物又は特定保健用食品)
そして本実施形態に係るフタリド誘導体は、単体又は複数組み合わせて、血圧上昇抑制剤(抗高血圧剤又は降圧剤)として各種の飲食物に添加又は混合して使用する(飲食物又は特定保健用食品として使用する)ことができる。
飲食物は、食用又は飲用に供されるものであればよくその種類は特に限定しない。例えば飲食物として、獣鳥肉類,乳類,卵類などの畜産食品、穀類,豆類,蔬菜類,果実類などの農産食品、魚介類,鯨類,海藻類などの水産食品、キノコ類,山菜類などの林産食品、調味料、香辛料、油脂類、菓子類、醸造食品、水,清涼飲料,酒類などの飲料類又は調味液類を例示することができる。なお上述の飲食物は、その製造段階の適当な工程において本実施形態のフタリド誘導体(有効成分)を所定量添加する以外は常法に準じて調製することができる。
また本実施形態に係るフタリド誘導体(特に一般式(2)及び(3)、化学式(4)及び(5)のフタリド誘導体)は、脂肪成分を比較的多量に含有する飲食物においても実用的な血圧上昇抑制作用を奏する。
脂肪成分の種類は特に限定しないが、例えば、ラード,牛脂,魚油,ミルク脂肪,バター,チーズ,ショートニング,マーガリン,細菌類油,菌類油などの動物性脂肪(脂質)、植物油及び微小藻類油などの植物性脂肪(脂質)を例示することができる。
なお脂肪成分は、飲食物全重量に対して3重量%〜50重量%の範囲で含有されておればよく、好ましくは5%重量%〜40重量%である。
そして本実施形態に係るフタリド誘導体の少なくとも一つを、飲食物全重量に対して0.05重量%〜50重量%の範囲で添加又は混合することで好適な血圧上昇抑制作用を奏する。フタリド誘導体の全含有量が0.05重量%未満であると所望の血圧上昇抑制作用が得られない傾向にある。またフタリド誘導体の全含有量が50重量%より多くてもよいが、血圧上昇抑制作用の極端な上昇は見込めず、含有量の増加に比例してコスト高となる。
そして本実施形態に係るフタリド誘導体の少なくとも一つを、飲食物全重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲で添加する(比較的少量添加する)ことで、好適な血圧上昇抑制作用を奏することができる。特に化学式(4)又は(5)のフタリド誘導体を含有する血圧上昇抑制剤を、飲食物全重量に対して0.1〜1.0重量%の範囲で添加することで、より実用的な抗高血圧作用を奏する([表1]を参照)。
そして本実施形態の血圧上昇抑制剤の食摂又は投与期間は特に限定しないが、典型的には3週間〜5週間の比較的長期にわたる食摂又は投与においても、徐脈などの副作用を極力起こさせることなく、好適な血圧上昇抑制作用を奏する。
特に化学式(4)又は(5)のフタリド誘導体を含有する血圧上昇抑制剤は、1ヵ月におよぶ摂取又は投与においても、ほとんど副作用を起こさせることなく、好適な抗高血圧作用を奏する([表1]を参照)。
(医薬又は医薬部外品)
そして本実施形態に係る複数のフタリド誘導体は、単体又は複数組み合わせて、血圧上昇抑制剤としての医薬又は医薬部外品として使用することができる。
例えば医薬として使用する場合、本実施形態に係る複数のフタリド誘導体の全配合量は、医薬の種類、製品形態などに応じて適宜選択される。典型的には、一回の摂取(投与)で1mg〜1000mg摂取(投与)すればよく、好ましくは一回の摂取で10mg〜100mg摂取(投与)する。
そして本実施形態の医薬(薬剤)は、経口摂取や注射投与などの各種投与形態を適用することができ、その投与経路や投与部位は特に限定されない。
また本実施形態の医薬の製剤形態は、その使用目的に応じて適宜決定されるものであり、例えば、錠剤,顆粒剤,粉末剤,丸剤又はカプセル錠剤などの固剤や、液剤,懸濁剤又は乳剤などの液剤を例示することができる。なお製剤化に際しては、医薬の使用形態や製剤形態に応じて、充填剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、表面活性剤、不湿剤、賦形剤及び希釈剤を担体として使用することができる。
ここで第一のフタリド誘導体及び第二のフタリド誘導体は、いずれも比較的低分子の化合物(MW210〜280程度)であることから、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて容易に定量することが可能である(図1及び図2を参照)。さらに本実施形態のフタリド誘導体は低分子であることから、生体内に素早く吸収される。
[試験例]
以下、本実施の形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されるものではない。
(1)第一のフタリド誘導体の製造方法(図1を参照)
実施例1のフタリド誘導体として、上記化学式(4)で表わされるフタリド誘導体(Compound1:4−hydroxy−6−methoxyphthalide)を下記(a)〜(d)の手順により製造した。
出発物質として、IUPAC名:Methyl3,5−Dimethoxybenzoate(WAKO社製又はALD社製)を用いた。
(a)ホルミル化反応{中間体1(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3,5−dimethoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにDMF37.25g(509.68mmol)を秤量したのち−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl)46.88g(305.81mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。
そして滴下終了後、出発物質50g(254.81mmol)を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、POCl23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色を呈する中間体1を50.42g得た(収率87.9%)。
(b)位置選択的脱メチル化反応{中間体2(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3−hydroxy−5−methoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、2L3口フラスコに、50.42g(224.88mmol)の中間体1を秤量しジクロロメタン500mlに溶解した。活性の高いAlCl89.96g(674.64mmol)を空気に触れさせることなく反応系内に−5℃で投入した。室温まで自然昇温させ、24時間後に出発物質がなくなったので反応溶液を氷水中に投入し反応を終了させた。2時間撹拌して、得られた固体を吸引ろ過で濾取したのち、40℃の真空乾燥機で2日間乾燥した。ジクロロメタン:酢酸エチル:ヘキサンの混合溶媒で再結晶を行ったところ、クリーム色の固体を3.76g(収率8%)で得た。ろ液の再精製を、ジクロロメタン:メタノール:酢酸エチル:ヘキサン=100:5:5:10〜100:0:5:0の展開溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで行った。目的物のフラクションを集め、黄土色固体状の中間体2を13.64g得た(収率28.9%)。
(c)保護基導入反応{中間体3(IUPAC名:Methyl 2−formyl−3−methoxymethyloxy−5−methoxybenzoate)の合成}
窒素雰囲気下、21.95g(104.43mmol)の中間体2を、2L3口フラスコに秤量し、ピリジン100mlに溶解した。0℃に冷却して、12.61g(156.65mmol)のメトキシメチルクロライド(MOM−Cl)をゆっくり滴下した。室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)で反応チェックを行い出発物質が残っていない事を確認し、リン酸バッファー(pH7.3)500ml中に投入した。2時間撹拌して、得られたスラリーを吸引ろ過し、メタノールに溶解した後、5%硫酸銅水溶液200ml中にゆっくり投入した。2時間撹拌後、スラリーを吸引ろ過し、2Lのイオン交換水で洗浄し、30℃の真空乾燥機で2日間乾燥し中間体3を26.78gquantで得た。
(d)還元的縮合反応(第一のフタリド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、26.55g(104.43mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、メタノール200mlに溶解した。0℃に冷却して水素原子化ホウ素ナトリウム11.85g(313.29mmol)を投入した。室温まで自然昇温して終夜で撹拌した。反応終了後、50mlの6M−HClを加え80℃で3時間加熱した。室温まで冷却してイオン交換水を加えスラリー化したのち、吸引ろ過して第一のフタリド誘導体(Compound1)を15.05g得た(収率80.0%)。
(2)第二のフタリド誘導体の製造方法(図2を参照)
実施例1のフタリド誘導体として、上記化学式(5)で表わされるフタリド誘導体(Compound2:6−hydroxy−5,7−dimethoxyphthalide)を、下記(a)〜(d)の手順により製造した。出発物質として、シリンガアルデヒド(Syringaldehyde、WAKO社製)を用いた。
(a)還元反応{中間体1(IUPAC名:3,5−Dimethoxy−4−hydroxy benzylalcohol)の合成}
窒素雰囲気下、50.00g(274.47mmol)の出発物質を2L3口フラスコに秤量し、メタノール1Lに溶解した。0℃で水素原子化ホウ素ナトリウム31.15g(823.41mmol)を投入し、室温まで自然昇温させて終夜で撹拌した。反応は100ml2M−HClで停止させ、水素原子の発生がなくなるまで撹拌した。その後、イオン交換水を2L加えスラリーを吸引ろ過で濾取、洗浄、乾燥を経て、中間体1を44.55g得た(収率88%)。
(b)保護基導入反応{中間体2(IUPAC名:4−Acetoxy−3,5−dimethoxy benzylacetate)の合成}
窒素雰囲気下、44.55g(241.87mmol)の中間体1を2L3口フラスコに秤量し、ピリジン200gに溶解した。0℃に冷却し、滴下ロートから無水酢酸61.73g(604.67mmol)を滴下して、自然昇温しながら終夜で撹拌した。反応溶液は、0℃で1L2M−HClに投入し2時間撹拌した。得られた固体を吸引ろ過して濾取したのち、洗浄、乾燥して中間体2を58.02g得た(収率81.0%)。
(c)ホルミル化反応{中間体3(IUPAC名:4−Acetoxy−3,5−dimethoxy−6−formylbenzylacetate)の合成}
窒素雰囲気下、1L3口フラスコにジメチルホルムアミド(DMF)49.66gを秤量し、−20℃まで冷却した。滴下ロートからゆっくりと塩化ホスホリル(POCl)63.81g(416.16mmol)を反応温度が5℃を決して超えないように加えた。滴下終了後、250g(254.81mmol)の中間体2を投入し室温まで自然昇温させた。スラリー状のまま室温で1時間撹拌しつつ、80℃まで加熱して終夜撹拌した。DMF20.0g、塩化ホスホリル(POCl)23.45gより調製した溶液を反応系内に投入した。
5L3角フラスコ内で調製した飽和NaOAc水溶液500mlを−10℃に冷却して、30℃から40℃の反応溶液をゆっくりと投入した。2時間激しく撹拌した後、吸引ろ過で固体を濾取したのち2Lのイオン交換水で洗浄した。得られた固体を40℃の真空乾燥機で3日間乾燥し、淡緑色の中間体3を76.13g得た(収率80.8%)。
(d)還元的縮合反応(第二のフタリド誘導体の合成)
窒素雰囲気下、76.13g(256.96mmol)の中間体3を2L3口フラスコに秤量し、1,4−ジオキサン500mlに溶解した。70℃に加熱して滴下ロートからKMnO52.88g(334.05mmol)の水溶液1.5Lを加え終夜で撹拌した。反応温度を下げることなく反応溶液中に2M−NaOH水溶液を加えアルカリ性にした後、50℃以上で吸引ろ過をし、80℃のイオン交換水で洗浄、70℃のジオキサンで洗浄した。ろ液は再び加熱して、80℃に保ち、濃硫酸を加えて酸性にして3時間撹拌した。得られた赤褐色固体を吸引ろ過で濾取して、イオン交換水で洗浄した。
ケーキ状の固体をメタノールに溶解し、ゆっくりイオン交換水を加えて細かく分散したスラリー溶液を調製し、吸引ろ過で濾取したのち、洗浄、乾燥を経て第二のフタリド誘導体(Compound2)を30.25g得た(収率56.0%)。
(4)摂食試験
(実施例1)
市販のMS粉末(含5%ラード、オリエンタル酵母株式会社)にラード30%を追加したものを基礎飼料として用いた。そして基礎飼料中に、実施例1のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例1の飼料とした。
そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例1の飼料を付与しつつ、23±2℃条件下で1ヶ月飼育した。1ヶ月間の飼育後、ラット・マウス非観血自動血圧測定装置BP−98A(株式会社ソフトロン社製)にて、ラットの拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)及び心拍数(HR)を測定した。
そして拡張期血圧(DBP)と収縮期血圧(SBP)を平均することで、ラットの平均血圧(MBP)を算出した。
(実施例2)
上述のMS粉末にラード30%を追加したものを基礎飼料として用いた。そして基礎飼料中に、実施例2のフタリド誘導体を0.1重量%の濃度で混入して実施例2の飼料とした。
そして4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、実施例2の飼料を付与しつつ、23±2℃条件下で1ヶ月飼育した。1ヶ月間の飼育後、ラット・マウス非観血自動血圧測定装置BP−98Aにて、DBP、SB及びHRを測定した。そしてDBPとSBPを平均することでMBPを算出した。
(比較例1)
4週令SD系雄性ラット(6匹)を1週間予備飼育したのち、上述の基礎飼料を付与しつつ、23±2℃条件下で1ヶ月飼育した。1ヶ月間の飼育後、ラット・マウス非観血自動血圧測定装置BP−98Aにて、DBP、SB及びHRを測定した。そしてDBPとSBPを平均することでMBPを算出した。
(4)試験結果及び考察
各種試験の結果を[表1]に示す。なお図中の*印は比較例1に対して有意差があったことを示す。
Figure 2010285358
(a)血圧上昇抑制作用
実施例1及び実施例2のラットの血圧上昇(収縮期血圧及び拡張期血圧)は、比較例1のラットと比較して有意に抑制された(表1及び図4、図5を参照)。このことから実施例1及び実施例2のフタリド誘導体によれば、好適な血圧上昇抑制作用(抗高血圧作用)を奏することがわかった。
また実施例1及び実施例2の血圧上昇抑制剤によれば、比較的少量の摂取で、実用的な抗高血圧作用を奏することがわかった。
(b)心拍数低下の抑制作用
実施例1のラットの心拍数は、比較例1のラットと比較して有意に高かった(表1及び図4(b)を参照)。このことから実施例1のフタリド誘導体によれば、心拍数の低下をより確実に防止できることがわかった。
また実施例2のラットの心拍数は、比較例1のラットと比較して高い傾向にあった。このことから実施例2のフタリド誘導体によれば、心拍数の低下を抑制できることがわかった。
(総合評価)
実施例1のフタリド誘導体は、上記(a)及び(b)の結果より、心拍数の低下を確実に防止しつつ、実用的な血圧上昇抑制作用(抗高血圧作用)を奏することがわかった(表1及び図4を参照)。
また実施例1のラットには、1ヵ月の間、徐脈などの副作用がみられなかった。これは実施例1の血圧上昇抑制剤が、その服用に際して心拍数の低下を防止したことにより、徐脈などの副作用をラットに発生させなかったためと推測される。
また本試験では、ラットを用いて直接血圧を下げる作用を確認した。このため実施例1の血圧上昇抑制剤によれば、神経系や内分泌の影響を多大に受ける生物内において、実用的な血圧上昇抑制作用を奏することがわかった。
また実施例2のフタリド誘導体は、上記(a)及び(b)の結果より、心拍数の低下を抑制しつつ、より実用的な血圧上昇抑制作用(抗高血圧作用)を奏することがわかった(図4を参照)。
また実施例2のラットには、1ヵ月の間、徐脈や頻脈などの副作用がみられなかった(さらに実用的な血圧上昇抑制作用を有することがわかった)。これは実施例2の血圧上昇抑制剤が、その服用に際して心拍数の低下を適度に抑制したことにより、徐脈や頻脈などの副作用をラットに発生させなかったためと推測される。
また本試験では、ラットを用いて直接血圧を下げる作用を確認した。このため実施例2の血圧上昇抑制剤によれば、神経系や内分泌の影響を多大に受ける生物内において、実用的な血圧上昇抑制作用を奏することがわかった。
そして実施例1のフタリド誘導体(化学式(4)のフタリド誘導体)が上記作用を奏することを確認できた。このことから一般式(2)のフタリド誘導体(Rが、比較的低分子のアルコキシ基であるフタリド誘導体)であれば、同様の効果を奏することが容易に推測される。
また実施例2のフタリド誘導体(化学式(5)のフタリド誘導体)が上記作用を奏することを確認できた。このことから、一般式(3)のフタリド誘導体(R及びRが、それぞれ独立に、比較的低分子のアルコキシ基であるフタリド誘導体)であれば、同様の効果を奏することが容易に推測される。
さらに上記結果を総合すると、一般式(1)のフタリド誘導体によれば、心拍数の低下を抑制しつつ、好適な血圧上昇抑制作用を奏することが推測される。
本実施形態の血圧上昇抑制剤は、上述した実施例に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(a)実施例1では、専ら化学式(4)で示されるフタリド誘導体の合成方法を例示したが、一般式(2)に含まれる各種の化合物も、その出発物質を適宜選択することで、化学式(4)で示されるフタリド誘導体と同様の経路により合成することができる。
(b)また実施例2では、専ら化学式(5)で示されるフタリド誘導体の合成方法を例示したが、一般式(3)に含まれる各種の化合物も、その出発物質を適宜選択することで、化学式(5)で示されるフタリド誘導体と同様の経路により合成することができる。
(c)また化学式(1)で示されるフタリド誘導体も、上記経路を考慮することで合成することができる。
(d)また本実施例の血圧上昇抑制剤には、ビタミン類、ミネラル類、ホルモン類、酸化防止剤、生理活性物質、甘み料、酸味料、香料、塩分又は糖類を、必要に応じて添加することができる。
(e)また本実施形態の血圧上昇抑制剤は、牛、豚及び鶏などの家畜の飼料に混合して使用することができる。
(f)また本実施形態では、化学的に合成したフタリド誘導体を使用したが、定法に従い植物から単離したフタリド誘導体を使用してもよい。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるフタリド誘導体を有効成分として含有する血圧上昇抑制剤。
    Figure 2010285358

    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子と水酸基とアルコキシ基からなる群より選ばれる一つの基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で表される第一のフタリド誘導体と、下記一般式(3)で表される第二のフタリド誘導体の少なくとも一つを有効成分として含有する請求項1に記載の血圧上昇抑制剤。
    Figure 2010285358

    (一般式(2)中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
    Figure 2010285358

    (一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。)
  3. 前記第一のフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項2に記載の血圧上昇抑制剤であって、一般式(2)中、Rがメトキシ基である血圧上昇抑制剤。
  4. 前記第二のフタリド誘導体を有効成分として含有する請求項2に記載の血圧上昇抑制剤であって、一般式(3)中、R及びRが共にメトキシ基である血圧上昇抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107188875A (zh) * 2016-03-15 2017-09-22 联化科技股份有限公司 一种取代苯酞类化合物的制备方法及其中间体

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