JP2010281250A - 燃料噴射量制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 パイロット噴射量の制御をより精度よく行う。
【解決手段】 本発明の燃料噴射量制御装置は、熱発生率算出手段と、最大ピーク取得手段と、パイロット噴射量補正手段と、を備えている。最大ピーク取得手段は、熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて、1サイクル中の熱発生率の最大ピーク値と、当該最大ピーク値に対応するクランク角である最大ピーク位置と、を取得する。パイロット噴射量補正手段は、前記最大ピーク取得手段による取得結果に基づいて、パイロット噴射量を補正する。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の燃料噴射量制御装置は、熱発生率算出手段と、最大ピーク取得手段と、パイロット噴射量補正手段と、を備えている。最大ピーク取得手段は、熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて、1サイクル中の熱発生率の最大ピーク値と、当該最大ピーク値に対応するクランク角である最大ピーク位置と、を取得する。パイロット噴射量補正手段は、前記最大ピーク取得手段による取得結果に基づいて、パイロット噴射量を補正する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、燃料噴射量制御装置に関する。特に、本発明は、ディーゼル機関の多段燃料噴射装置を制御する燃料噴射量制御装置に対して好適に適用される。
特開2005−61239号公報には、パイロット噴射燃料燃焼終了時期(パイロット噴射による噴射燃料がほとんど燃焼している一方でメイン燃料噴射による噴射燃料が未だほとんど燃焼していない時期)における筒内発熱量を、筒内圧センサによる筒内圧力測定値に基づいて算出し、この算出値に基づいてパイロット噴射量を制御する技術が開示されている。
その他、筒内圧センサによる筒内圧力測定値に基づいて算出される、パイロット噴射に係る燃料による熱発生率に基づいて、パイロット噴射量を制御する技術として、特開平11−148410号公報や特開2007−309309号公報に開示されたものが知られている。
パイロット噴射量は、極めて微少量である。このため、パイロット噴射に係る熱発生率を精度よく算出することは困難である。よって、上述した従来のこの種の装置においては、パイロット噴射量の制御をより精度よく行う点について改善の余地がある。
<構成>
本発明の燃料噴射量制御装置は、熱発生率算出手段と、最大ピーク取得手段と、パイロット噴射量補正手段と、を備えている。
本発明の燃料噴射量制御装置は、熱発生率算出手段と、最大ピーク取得手段と、パイロット噴射量補正手段と、を備えている。
前記熱発生率算出手段は、クランク角毎の熱発生率を算出するようになっている。例えば、前記熱発生率算出手段は、筒内圧検出手段によって検出された筒内圧に基づいて、クランク角毎の熱発生率を算出するようになっている。
前記最大ピーク取得手段は、前記熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて、1サイクル中の熱発生率の最大ピーク位置(最大ピーク値に対応するクランク角)を取得するようになっている。なお、この最大ピーク取得手段は、前記最大ピーク位置とともに前記最大ピーク値をも取得するように構成され得る。
ここで、前記最大ピーク値とは、1サイクル中の熱発生率における最大値をいうものとする。すなわち、前記最大ピーク値は、1サイクル中の熱発生率における最大ピーク(複数のピークのうちのメイン噴射に対応する最も高いもの)の高さに相当するものである。
前記パイロット噴射量補正手段は、前記最大ピーク取得手段による取得結果(取得された前記最大ピーク位置、あるいは当該最大ピーク位置及び前記最大ピーク値)に基づいて、パイロット噴射量を補正するようになっている。
前記燃料噴射量制御装置は、燃料噴射量変更手段をさらに備えていてもよい。この燃料噴射量変更手段は、補正値算出サイクル(所定の運転条件である補正値算出条件が成立している間の、複数サイクル中の特定の1サイクル)にて、パイロット噴射量を不変としつつメイン噴射量のみ変更するようになっている。この場合、前記パイロット噴射量補正手段は、前記補正値算出サイクル中の前記最大ピーク値及び前記最大ピーク位置に基づいて、パイロット噴射量を補正するようになっている。
前記燃料噴射量制御装置は、最大ピーク記憶手段をさらに備えていてもよい。この最大ピーク記憶手段は、前記最大ピーク取得手段によって取得された前記最大ピーク値及び前記最大ピーク位置を記憶するようになっている。
<作用>
ところで、本発明の発明者による研究により、以下の事実が判明した:パイロット噴射量が増加すると、前記最大ピーク値が小さくなるとともに、前記最大ピーク位置が進角する。
ところで、本発明の発明者による研究により、以下の事実が判明した:パイロット噴射量が増加すると、前記最大ピーク値が小さくなるとともに、前記最大ピーク位置が進角する。
そこで、かかる構成を備えた本発明の燃料噴射量制御装置においては、前記最大ピーク位置、あるいは、当該最大ピーク位置及び前記最大ピーク値が、前記熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて取得される。そして、かかる取得結果に基づいて、パイロット噴射量が補正される。すなわち、本発明の燃料噴射量制御装置は、前記最大ピークの変化を取得することでパイロット噴射量の変化を検出し、検出されたパイロット噴射量の変化に基づいてパイロット噴射量を補正する。
ここで、前記最大ピーク値や前記最大ピーク位置は、1サイクル中の熱発生率の(メイン噴射に対応する)前記最大ピークの値及び位置(クランク角)である。かかる最大ピークは、パイロット噴射に係る熱発生率の極めて小さなピークよりも大きい。このため、この最大ピークの変化(前記最大ピーク値や前記最大ピーク位置の変化)は、パイロット噴射に係る熱発生率のピークの変化よりも、より高い精度で取得され得る。
なお、前記補正値算出条件が成立している間の、複数サイクル中の特定の1サイクルである前記補正値算出サイクルにて、パイロット噴射量を不変としつつメイン噴射量のみ変更し、この補正値算出サイクルにおける前記最大ピークの取得結果に基づいてパイロット噴射量を補正することで、パイロット噴射量の補正のための熱発生率ピークの取得が、より精度よく行われ得る。これにより、より精度の高いパイロット噴射量の制御が行われ得る。
このように、本発明によれば、前記最大ピークの(変化の)取得結果に基づいてパイロット噴射量を補正することで、パイロット噴射量の制御をより精度よく行うことが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された内燃機関システムS(以下、単に「システムS」と略称する。)の全体構成を示す概略図である。図1を参照すると、このシステムSは、内燃機関1と、この内燃機関1に装着された筒内噴射弁であるインジェクタ2と、このインジェクタ2に燃料を供給するための燃料供給装置3と、これらの動作を制御する制御装置4と、を備えている。
図1は、本発明の一実施形態が適用された内燃機関システムS(以下、単に「システムS」と略称する。)の全体構成を示す概略図である。図1を参照すると、このシステムSは、内燃機関1と、この内燃機関1に装着された筒内噴射弁であるインジェクタ2と、このインジェクタ2に燃料を供給するための燃料供給装置3と、これらの動作を制御する制御装置4と、を備えている。
<<内燃機関>>
本実施形態においては、内燃機関1は、いわゆるディーゼル機関である。この内燃機関1の本体部を構成するシリンダブロック11内には、シリンダ11aが形成されている(なお、本実施形態においては、4つのシリンダ11aが直列に配列形成されているものとする。)。
本実施形態においては、内燃機関1は、いわゆるディーゼル機関である。この内燃機関1の本体部を構成するシリンダブロック11内には、シリンダ11aが形成されている(なお、本実施形態においては、4つのシリンダ11aが直列に配列形成されているものとする。)。
シリンダ11aの周囲には、冷却水の通路であるウォータージャケット11bが設けられている。シリンダ11aの内側には、ピストン12が、当該シリンダ11aの軸線方向(図中上下方向)に沿って往復移動可能に収容されている。ピストン12は、その下方に配置されたクランクシャフト13と、コンロッド14を介して連結されている。
シリンダブロック11の上端部には、当該シリンダブロック11とともに内燃機関1の本体部を構成するシリンダヘッド15が接合されている。シリンダヘッド15の下端面には、凹部が、シリンダ11aの上端部に対応する位置に設けられている。そして、シリンダヘッド15がシリンダブロック11に接合されて固定された状態における、ピストン12の頂面よりも上側(シリンダヘッド15側)のシリンダ11aの内側の空間と、上述の凹部の内側の空間と、によって、燃焼室CCが形成されている。
シリンダヘッド15には、吸気ポート15a及び排気ポート15bが、燃焼室CCに連通するように形成されている。吸気ポート15aには、インテークマニホールドやサージタンク等を含む吸気通路16が接続されている。この吸気通路16には、スロットル17等の補機類が介装されている。
<<燃料供給装置>>
燃料供給装置3は、燃料タンク31内に貯留された燃料をインジェクタ2に供給するとともに、燃焼室CC内に噴射されなかった燃料をインジェクタ2から回収して燃料タンク31内に戻すように、以下の通りの構成を備えている。
燃料供給装置3は、燃料タンク31内に貯留された燃料をインジェクタ2に供給するとともに、燃焼室CC内に噴射されなかった燃料をインジェクタ2から回収して燃料タンク31内に戻すように、以下の通りの構成を備えている。
コモンレール32は、燃料を高圧の状態で貯留するように構成されている。このコモンレール32には、燃料の流入口である流入ポート32aと、インジェクタ2に向けての燃料の流出口である供給ポート32bと、が設けられている。流入ポート32aには、燃料の逆流を防止するためのチェック弁が設けられている。本実施形態においては、複数のシリンダ11aのそれぞれに対応して設けられた複数のインジェクタ2と同数の、複数の供給ポート32bが設けられている。
燃料ポンプ33は、燃料タンク31とコモンレール32との間に介装されている。この燃料ポンプ33は、燃料タンク31から燃料を吸入するとともに、この吸入した燃料を高圧状態でコモンレール32に向けて送出するように構成されている。
具体的には、燃料ポンプ33は、送出圧及び送出量を調整可能な電動ポンプからなり、燃料タンク31から燃料を吸入するための吸入ポート33aと、吸入した燃料をコモンレール32に向けて送出するために吐出する送出ポート33bと、吸入した燃料のうちのコモンレール32に向けて送出されなかったものを燃料タンク31に戻すために吐出するリターンポート33cと、を備えている。
コモンレール32には、調整弁34が装着されている。調整弁34は、コモンレール32内の圧力が所定の上限圧を超えないように圧力を調整するための、調圧弁(リリーフ弁)である。
インジェクタ2、燃料タンク31、コモンレール32、及び燃料ポンプ33は、燃料循環路35によって互いに接続されている。具体的には、燃料循環路35は、ポンプ吸入路35aと、コモンレール供給路35bと、インジェクタ供給路35cと、低圧燃料リターン路35dと、ポンプリターン路35eと、コモンレールリターン路35fと、を備えている。
燃料タンク31と、燃料ポンプ33における吸入ポート33aとは、ポンプ吸入路35aによって接続されている。ポンプ吸入路35aの、燃料タンク31側の端部は、当該燃料タンク31の内側の空間における底部に配置されている。燃料ポンプ33における送出ポート33bと、コモンレール32における流入ポート32aとは、コモンレール供給路35bによって接続されている。
コモンレール32における供給ポート32bと、インジェクタ2とは、インジェクタ供給路35cによって接続されている。また、インジェクタ2と、燃料タンク31とは、低圧燃料リターン路35dによって接続されている。この低圧燃料リターン路35dは、その途中で、燃料ポンプ33におけるリターンポート33cと接続されたポンプリターン路35e、及び、調整弁34と接続されたコモンレールリターン路35fと合流するようになっている。
<<制御装置>>
本発明の燃料噴射制御装置の一実施形態としての制御装置4は、本発明の各手段を構成する電子コントロールユニット(ECU)40を備えている。
本発明の燃料噴射制御装置の一実施形態としての制御装置4は、本発明の各手段を構成する電子コントロールユニット(ECU)40を備えている。
ECU40は、CPU40aと、ROM40bと、RAM40cと、バックアップRAM40dと、インターフェース40eと、双方向バス40fと、を備えている。CPU40a、ROM40b、RAM40c、バックアップRAM40d、及びインターフェース40eは、双方向バス40fによって互いに接続されている。
CPU40aは、システムSにおける各部の動作を制御するためのルーチン(プログラム)を実行するように構成されている。ROM40bには、CPU40aが実行するルーチン、このルーチン実行の際に参照されるマップ等(マップの他、テーブルや関係式等を含む。以下同様。)やパラメータその他のデータが予め格納されている。RAM40cは、CPU40aがルーチンを実行する際に、必要に応じてデータを一時的に格納し得るように構成されている。バックアップRAM40dは、電源が投入された状態でCPU40aがルーチンを実行する際にデータが適宜格納されるとともに、この格納されたデータが電源遮断後も保持され得るように構成されている。
インターフェース40eは、後述する各種のセンサと電気的に接続されていて、これらのセンサからの検出信号をCPU40aに伝達し得るように構成されている。また、インターフェース40eは、インジェクタ2や燃料ポンプ33等の動作部と電気的に接続されていて、これらの動作部を動作させるための動作信号をCPU40aからこれらの動作部に伝達し得るように構成されている。すなわち、ECU40は、後述する各種のセンサの出力信号に基づいて内燃機関1の運転状態を取得し、この運転状態に基づいて、インジェクタ2における燃料の噴射量や噴射時期等を制御するように構成されている。
エアフローメータ41及び吸気温センサ42は、吸気通路16に装着されていて、スロットル17よりも吸気通流方向における上流側に設けられている。エアフローメータ41は、吸入空気の単位時間あたりの質量流量(吸入空気流量Ga)に応じた出力電圧を発生するように構成されている。吸気温センサ42は、吸入空気の温度に対応する信号を出力するように構成されている。
吸気通路16のスロットル17よりも吸気通流方向における下流側には、吸気圧センサ43が設けられている。吸気圧センサ43は、スロットル17を通過した吸入空気の圧力に応じた信号を出力するように構成されている。スロットルポジションセンサ44は、スロットル17に対応する位置に設けられていて、スロットル17の開度に対応する信号を出力するように構成されている。
冷却水温センサ45は、シリンダヘッド15に装着されている。この冷却水温センサ45は、ウォータージャケット11b内の冷却水の温度(冷却水温Tw)に対応する信号を出力するように構成されている。
クランクポジションセンサ46は、クランクシャフト13の回転角度に応じたパルスを有する波形の信号を出力するように構成されている。具体的には、クランクポジションセンサ46は、クランクシャフト13が一定角度回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに、クランクシャフト13が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するように構成されている。
筒内圧センサ47は、シリンダヘッド15に装着されている。この筒内圧センサ47は、筒内圧(燃焼室CC内の圧力)に対応する信号を出力するように、構成及び配置されている。
レール圧センサ48は、コモンレール32に装着されている。レール圧センサ48は、レール圧(燃圧すなわちコモンレール32内の燃料の圧力)に対応する信号を出力するように構成されている。
<実施形態の動作の概要>
次に、上述の構成を備えた本実施形態の制御装置4の動作(パイロット噴射量補正動作)の概要について説明する。
次に、上述の構成を備えた本実施形態の制御装置4の動作(パイロット噴射量補正動作)の概要について説明する。
本実施形態の制御装置4は、順に(1)パイロット噴射、(2)プレ噴射、(3)メイン噴射、(4)アフター噴射、(5)ポスト噴射、の5回の噴射を、1回の燃焼行程にて行うように、インジェクタ2等の動作を制御する。
パイロット噴射は、着火前に燃料と空気との混合を促すための、少量の燃料噴射である。プレ噴射は、メイン噴射前に燃焼室CC内にて種火を作ることでメイン噴射に係る燃料の着火遅れを短くしてNOxやNV(振動・騒音)の発生を抑制するために、パイロット噴射の後、メイン噴射前に行われる、ごく少量(パイロット噴射よりも少量)の燃料噴射である。
アフター噴射は、メイン噴射直後に燃え残った燃料やPM(パティキュレートマター)を再燃焼させるための、ごく少量の燃料噴射である。ポスト噴射は、排気ガス処理装置(図示せず)における排気ガス処理性能を確保する目的で排気ガスの温度を制御するための、ごく少量の燃料噴射である。
図2は、パイロット噴射量の変化による熱発生率ピークの変化の様子を示すグラフである。図2には、メイン噴射量を一定にしつつパイロット噴射量を変更した場合の、熱発生率ピークが示されている(メイン噴射に係る熱発生率ピークである最大ピークに対応する位置に、それぞれのパイロット噴射量が示されている。)。
図2から明らかなように、パイロット噴射量が増加すると、最大ピーク値が小さくなるとともに、最大ピーク位置が進角する。
この点、図2をみると、当然のごとく、パイロット噴射量の減少に伴って、パイロット噴射に係る噴射燃料による熱発生率ピークが減少している。しかしながら、かかる変化量は、最大ピーク値の変化量よりも小さく、精度よく算出することが比較的困難となる。
また、パイロット噴射量が変化しても、パイロット噴射に係る噴射燃料による熱発生率ピークの位置は変化しない。これに対し、上述の通り、パイロット噴射量の変化に伴って、最大ピーク位置が変化する。
このように、最大ピーク値や最大ピーク位置の変化によって、パイロット噴射量の変化が精度よく検知される。このような、パイロット噴射量と最大ピーク値及び最大ピーク位置との相関関係をまとめたものを、図3に示す。(以下、最大ピーク値を単に「ピーク値」と略称し、最大ピーク位置を単に「ピーク位置」と略称する。図3及び図4においても同様である。)
<実施形態の動作の具体例>
続いて、上述の構成を備えた本実施形態の制御装置4の動作の具体例について、フローチャートを用いて説明する。なお、フローチャートを示す図面においては、「ステップ」は“S”と略称されているものとする。
<実施形態の動作の具体例>
続いて、上述の構成を備えた本実施形態の制御装置4の動作の具体例について、フローチャートを用いて説明する。なお、フローチャートを示す図面においては、「ステップ」は“S”と略称されているものとする。
図4は、図1に示されている本実施形態の制御装置4(ECU40)によって実行される、パイロット噴射量補正値算出処理の一具体例を示すフローチャートである。CPU40aは、図4に示されているパイロット噴射量補正値算出ルーチン400を、所定タイミングにて実行する。
ルーチン400の処理が開始されると、まず、ステップ410にて、所定の運転条件である補正値算出条件が成立しているか否かが判定される。本実施形態においては、補正値算出条件は、アイドリングではない定常運転中、且つ、比較的低回転数・低負荷領域に属する回転数・負荷領域中の、最も使用頻度の多い所定の回転数・負荷であって、メイン噴射量が後述するステップ430にて減少調整可能な程度まで確保され得る条件(例えば2000rpm・負荷率25%)である。
補正値算出条件が成立している場合(ステップ410=Yes)、処理がステップ415に進行する。一方、補正値算出条件が成立していない場合(ステップ410=No)、それ以降のステップの処理がスキップされ、本ルーチンが一旦終了する。よって、以下の説明においては、補正値算出条件が成立しているものとする(ステップ410=Yes)。
ステップ415においては、パイロット噴射量補正値算出処理に関するRAM40c等のワークエリアが一旦初期化される。その後、処理がステップ420に進行する。
ステップ420においては、今回のサイクルが補正値算出サイクルであるか否かが判定される。ここで、補正値算出サイクルとは、上述の補正値算出条件が成立している間の複数サイクル中の、パイロット噴射量の変化を検出するための特定のサイクルである。例えば、上述の補正値算出条件が50サイクル継続した場合の50サイクル目が、補正値算出サイクルとなる。
今回のサイクルが補正値算出サイクルでない場合(ステップ420=No)、処理が再度ステップ420に戻る。すなわち、今回のサイクルが補正値算出サイクルである場合に(ステップ420=Yes)、処理がステップ430以降に進行する。
ステップ430においては、熱発生率及びそのピークの算出のために、補正値算出サイクルにおける燃料噴射量が変更される。具体的には、ステップ430においては、上述の補正値算出条件におけるメイン噴射量を、図2に示されている如くパイロット噴射量の変化に対するピーク値及びピーク位置の変化の感度が最も高くなるように変更する(減少させる)。
その後、上述のステップ430にて変更(調整)された燃料噴射量に基づく燃料噴射が行われ、ステップ435にて、クランクポジションセンサ46及び筒内圧センサ47の出力に基づいて、筒内圧がクランク角に対応して取得される。この筒内圧及びクランク角のデータは、RAM40c等のワークエリアに格納される。
続いて、処理がステップ440に進行し、筒内圧及びクランク角のデータの計測回数が所定値r(必要平均回数)を超えたか否かが判定される。計測回数が所定値rを超えるまでは(ステップ440=No)、処理がステップ420に戻り、補正値算出サイクルの到来毎に筒内圧及びクランク角のデータの計測・格納が繰り返される。計測回数が所定値rを超えた場合(ステップ440=Yes)、処理がステップ450以降に進行する。
ステップ450においては、クランク角に対応して取得された筒内圧(燃焼圧)の平均値と、クランク角に応じて定まる筒内容積(燃焼室CCの容積)と、に基づいて、クランク角毎の熱発生率が計算される(熱発生率の計算方法は周知であって、具体的内容は上記各公報に記載されている。よって、本明細書においては、熱発生率の計算の詳細については記載を省略する。)。
次に、ステップ455にて、ピーク値qmax及びピーク位置θmax(上述の通り本発明の最大ピーク値及び最大ピーク位置に対応する)が算出される。算出(取得)されたピーク値qmax及びピーク位置θmaxは、バックアップRAM40dに格納される。その後、処理がステップ460に進行する。ステップ460においては、取得されたピーク値qmaxが所定の比較対象値qrよりも大きいか否かが判定される。
この比較対象値qrは、本ルーチンの実行が内燃機関1の生産あるいは分解メンテナンス後の初回である場合は、パイロット噴射量の指令値と図3に示されているマップとに基づいて読み取られる値である。これにより、個体差に基づくパイロット噴射量の誤差が補正されることとなる。
一方、本ルーチンの実行が内燃機関1の生産あるいは分解メンテナンス後の初回ではない場合は、この比較対象値qrは、バックアップRAM40dの格納値である。これにより、経時変化に基づくパイロット噴射量の誤差が補正されることとなる。
取得されたピーク値qmaxが所定の比較対象値qrよりも大きい場合(ステップ460=Yes)、処理がステップ470に進行し、取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも遅角しているか否かが判定される。この比較対象値θrも、上述の比較対象値qrと同様である。
取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも遅角している場合(ステップ470=Yes)、すなわち、今回取得された最大ピークが所定の比較対象に対して大きく且つ遅角している場合、実際に噴射されたパイロット噴射量は上述の比較対象に対応する標準値よりも少なかったこととなる(図2参照)。よって、この場合、処理がステップ475に進行して、パイロット噴射量補正値Qc_pilotが増加させられた後、本ルーチンの処理が終了する。一方、取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも遅角していない場合(ステップ470=No)、ステップ475の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が終了する。ここで、パイロット噴射量補正値Qc_pilotは、パイロット噴射量指令値の算出のために基本パイロット噴射量(アクセル開度や吸気量等に基づいて算出される)に対して乗算される補正値である。
取得されたピーク値qmaxが所定の比較対象値qr以下である場合(ステップ460=No)、処理がステップ480に進行し、取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも進角しているか否かが判定される。
取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも進角している場合(ステップ480=Yes)、すなわち、今回取得された最大ピークが所定の比較対象に対して小さく且つ進角している場合、実際に噴射されたパイロット噴射量は上述の比較対象に対応する標準値よりも多かったこととなる(図2参照)。よって、この場合、処理がステップ485に進行して、パイロット噴射量補正値Qc_pilotが減少させられた後、本ルーチンの処理が終了する。一方、取得されたピーク位置θmaxが比較対象値θrよりも進角していない場合(ステップ480=No)、ステップ485の処理がスキップされ、本ルーチンの処理が終了する。
なお、本実施形態(具体例)においては、ECU40によるステップ450の処理によって、本発明の熱発生率算出手段が実現されている。同様に、ECU40によるステップ455の処理によって、本発明の最大ピーク取得手段及び最大ピーク記憶手段が実現されている。また、ECU40によるステップ435の処理によって、本発明の筒内圧検出手段が実現されている。また、ECU40によるステップ430の処理によって、本発明の燃料噴射量変更手段が実現されている。また、ECU40によるステップ475及び485の処理によって、本発明のパイロット噴射量補正手段が実現されている。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、互いに複合的に適用され得る。本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
(A)本発明は、上述の実施形態で示された具体的な装置構成に限定されない。
例えば、本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、メタノールエンジン、バイオエタノールエンジン、その他任意のタイプの内燃機関に適用可能である。気筒数や気筒配列方式(直列、V型、水平対向)も、特に限定はない。
(B)また、本発明は、上述の実施形態で示された具体的な機能や動作に限定されない。
例えば、ステップ430の処理は、省略され得る。すなわち、パイロット噴射量補正を行うための特定サイクルである補正値算出サイクルにて、それ以前のサイクルから燃料噴射量(メイン噴射量)を変更させなくても、パイロット噴射量補正は可能である。
具体的には、定常運転中にて所定の回転数・負荷条件が或る程度継続していれば、燃焼状態が安定する。よって、かかる安定した燃焼状態の実現中の任意のサイクルにて取得されたピーク値qmax及びピーク位置θmaxを用いることによっても、パイロット噴射量補正を良好に行うことが可能である。この場合、アイドリング中であっても、、パイロット噴射量補正を行うことが可能である。
筒内圧は、筒内圧センサ47がなくても、他のエンジンパラメータに基づいてオンボード推定され得る。
パイロット噴射量補正を行うための補正値算出条件及び補正値算出サイクルは、上述の具体例に開示された具体的な数値条件に何ら限定されない。計測回数も、精度向上のためには可能な限り多いことが好適である一方、より迅速な補正処理完了のためには可能な限り少ない(極端には1回である)ことが好適である。
上述の具体例においては、取得されたピーク値qmaxと所定の比較対象qrとの比較と、取得されたピーク位置θmaxと所定の比較対象値θrとの比較と、に基づいて、パイロット噴射量補正が行われた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、ピーク位置θmaxの進角・遅角のみによっても、パイロット噴射量補正を良好に行うことが可能である。
ステップ460等の処理において、比較対象値qr及びθrは、常に、ROM40bあるいはバックアップRAM40dに格納されたマップ等から読み込まれた値であってもよい。あるいは、比較対象値qr及びθrは、常に、バックアップRAM40dに格納された前回値であってもよい。
パイロット噴射量の補正態様も、上述の具体例に何ら限定されない。例えば、複数の運転条件領域のそれぞれに対応して、複数の補正値が設定され得る。この場合、各運転条件領域のそれぞれにて、最大ピークの取得が行われる。
さらに、本発明は、順にパイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射、ポスト噴射、の5回の噴射を、1回の燃焼行程にて行う態様に限定されない。具体的には、例えば、プレ噴射は省略され得る。また、アフター噴射を省略してポスト噴射のみがメイン噴射の後に行われ得る。
(C)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や公報の開示内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
S…内燃機関システム 1…内燃機関 11a…シリンダ
2…インジェクタ 3…燃料供給装置 32…コモンレール
4…制御装置 40…ECU 40a…CPU
46…クランクポジションセンサ 47…筒内圧センサ
2…インジェクタ 3…燃料供給装置 32…コモンレール
4…制御装置 40…ECU 40a…CPU
46…クランクポジションセンサ 47…筒内圧センサ
Claims (7)
- クランク角毎の熱発生率を算出する、熱発生率算出手段と、
前記熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて、1サイクル中の熱発生率の最大ピーク値と、当該最大ピーク値に対応するクランク角である最大ピーク位置と、を取得する、最大ピーク取得手段と、
前記最大ピーク取得手段によって取得された前記最大ピーク値及び前記最大ピーク位置に基づいて、パイロット噴射量を補正する、パイロット噴射量補正手段と、
を備えたことを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - 請求項1に記載の、燃料噴射量制御装置において、
所定の運転条件である補正値算出条件が成立している間の、複数サイクル中の特定の1サイクルである、補正値算出サイクルにて、パイロット噴射量を不変としつつメイン噴射量のみ変更する、燃料噴射量変更手段をさらに備え、
前記パイロット噴射量補正手段は、前記補正値算出サイクル中の前記最大ピーク値及び前記最大ピーク位置に基づいて、パイロット噴射量を補正することを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の、燃料噴射量制御装置において、
前記最大ピーク取得手段によって取得された前記最大ピーク値及び前記最大ピーク位置を記憶する、最大ピーク記憶手段をさらに備えたことを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - クランク角毎の熱発生率を算出する、熱発生率算出手段と、
前記熱発生率算出手段によって算出されたクランク角毎の熱発生率に基づいて、1サイクル中の熱発生率の最大ピーク値に対応するクランク角である最大ピーク位置を取得する、最大ピーク取得手段と、
前記最大ピーク取得手段によって取得された前記最大ピーク位置に基づいて、パイロット噴射量を補正する、パイロット噴射量補正手段と、
を備えたことを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - 請求項4に記載の、燃料噴射量制御装置において、
所定の運転条件である補正値算出条件が成立している間の、複数サイクル中の特定の1サイクルである、補正値算出サイクルにて、パイロット噴射量を不変としつつメイン噴射量のみ変更する、燃料噴射量変更手段をさらに備え、
前記パイロット噴射量補正手段は、前記補正値算出サイクル中の前記最大ピーク位置に基づいて、パイロット噴射量を補正することを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の、燃料噴射量制御装置において、
前記最大ピーク取得手段によって取得された前記最大ピーク位置を記憶する、最大ピーク記憶手段をさらに備えたことを特徴とする、燃料噴射量制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の、燃料噴射量制御装置において、
筒内圧を検出する、筒内圧検出手段をさらに備え、
前記熱発生率算出手段は、前記筒内圧検出手段によって検出された筒内圧に基づいて、クランク角毎の熱発生率を算出することを特徴とする、燃料噴射量制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009134739A JP2010281250A (ja) | 2009-06-04 | 2009-06-04 | 燃料噴射量制御装置 |
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JP2009134739A JP2010281250A (ja) | 2009-06-04 | 2009-06-04 | 燃料噴射量制御装置 |
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JP2010281250A true JP2010281250A (ja) | 2010-12-16 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009134739A Withdrawn JP2010281250A (ja) | 2009-06-04 | 2009-06-04 | 燃料噴射量制御装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010281250A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013160088A (ja) * | 2012-02-02 | 2013-08-19 | Mazda Motor Corp | 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置 |
-
2009
- 2009-06-04 JP JP2009134739A patent/JP2010281250A/ja not_active Withdrawn
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