JP2010280967A - 機械構造用鋼、および、その製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法 - Google Patents

機械構造用鋼、および、その製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成分の制限等の調整が難しくなく、また、セメンタイトの析出を抑制して、冷間加工性に優れた機械構造用鋼、その製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る組成を有し、N固溶量は0.008〜0.012質量%であり、組織中のセメンタイト相分率が2%以下で、残部がフェライト相であり、前記フェライト相の平均結晶粒径が5〜20μmで、且つ、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が2以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷間加工性に優れた機械構造用鋼、および、その機械構造用鋼の製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法に関する。
一般に、ボルト、ナット、ピニオンギヤ、ステアリングシャフト、バルブリフター、コモンレール等の機械構造物に用いられる鋼材である機械構造用鋼(鋼材)としては、機械構造物に加工するときに冷間加工性に優れるように構成したものが知られている。例えば、優れた冷間加工性を得るためにセメンタイトフリー組織を活用する技術(特許文献1参照)、あるいは、固溶Cと結晶粒径を制御することによって、常温時効を抑制し、冷間鍛造後に時効硬化させる技術(特許文献2参照)が開示されている。
すなわち、特許文献1では、平均粒径が500nm以下で、セメンタイトフリーのフェライト組織を有する変形能に優れた高強度鋼線または棒鋼に関する技術が開示されている。この特許文献1では、C量を所定範囲に制限した鋼材に、350〜800℃の範囲内で温間加工を施した後、冷間加工を施すことによって平均結晶粒径を500nm以下のフェライト主相組織とし、強度と変形能を両立させている。
また、特許文献2では、常温時効の進行を抑制し、冷間鍛造後の時効処理によって部品強度を向上させることができる技術が開示されている。この特許文献2では、C量をできるだけ低減すると共に、20μm以上のフェライトを90面積%以上とする鋼材の構成としている。そして、この鋼材では、フェライト粒径をできるだけ大きくし、固溶C、固溶Nが常温で転位に固着する距離を稼ぐことによって、常温時効を抑制している。つまり、この鋼材では、フェライト粒径が大きいほど常温時効が発生しにくくなるように構成されている。
なお、機械構造物に用いられる鋼材である機械構造用鋼は、ボルト等の加工部品に製造されるときに冷間加工が行われている。ここで行われる冷間加工(冷間鍛造)とは、200℃以下の雰囲気における加工方法のことである。この冷間加工は、熱間加工と比較して生産性が高く、しかも寸法精度および鋼材の歩留まりが共に良好な利点があることが知られている。
特開2005−320630号公報 特開平10−306345号公報
しかし、従来の機械構造用鋼では、以下に示すような問題点が存在していた。
特許文献1では、セメンタイトフリーとするため、C含有量がAe1点におけるフェライト相の炭素の固溶限以下とする必要がある。その理由として、固溶限以上のCが存在すると300〜800℃の温間加工時に固溶Cがセメンタイトとして析出し、加工性を劣化させるからである。つまり、特許文献1の鋼材では、過飽和の固溶Cを得ることができず、また、Nは有害不純物として扱うことになり、不可避的混入含有量制限をしなければならなかった。
特許文献2では、冷間鍛造した後、時効処理することによって部品強度を向上させることができるが、温間で鍛造すると、粒界三重点等に固溶Cが容易に集まりやすく、セメンタイトを形成してしまう。つまり、連続操業中の雰囲気温度の上昇時には冷間加工時のように部品強度を向上させることができない。また、所望の部品強度を得るためには、300℃×60分の時効処理を施さなければならない。
本発明は、前記した問題点に鑑み創案したものであり、成分の制限等の調整が難しくなく、また、セメンタイトの析出を抑制して、冷間加工性に優れた機械構造用鋼、その製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、加工中は良好な変形能を示し、加工後は所定の硬度、強度を示す機械構造用鋼および冷間加工部品を提供すべく種々の検討を行ってきた。これらの鋼材は、冷間加工を行うこと、すなわち、加工温度が100℃以下の条件下における加工において、優れた冷間加工性と強度を示すことができる。ただし、連続操業中に金型の温度が上昇し、鋼材の温度が100℃を超えるようになると、固溶Nによる静的ひずみ時効の効果が薄れて部品硬さが低下すること、また、動的ひずみ時効の影響が大きくなることによって変形抵抗の増加、変形能の劣化を招くという問題があった。
本問題を解決する方法として、Siを増量し、SiとNの相互作用を利用することによって、連続操業中の雰囲気温度の上昇により、部品硬さの低下を抑制することが挙げられる。ただし、Siを増量することによる変形抵抗の増加は避けられず、結果として、冷間加工時は、Siを増量していないものと比較して特性の劣る鋼材となってしまう問題があった。
そこで、冷間加工時の特性を落とさず、且つ、連続操業中の雰囲気温度の上昇時にも良好な加工性と部品硬さが得られる方法についての検討を行った。その結果、以下のような知見を得た。
SiとNの相互作用では、Siが置換型、Nが侵入型の固溶体を形成するため、点在するSiで固溶Nをトラップしなければならなかった。そこで、同じ侵入型の固溶体であれば、より多くの固溶Nをトラップできると考えた。その侵入型固溶体にはCが考えられる。
これまでの発明では、Cはパーライトを形成し、変形抵抗を増加させ、フェライト−パーライト界面で割れが生じやすくなるため、なるべく低減してきた。しかし、熱処理によってパーライトの生成を抑制し、Cを過飽和に固溶させることができる。このようにCを過飽和に固溶させた結果、固溶Nと相互作用させることができ、100℃を超える温度域での加工においても固溶Nによる動的ひずみ時効の影響を抑制することができた。また、加工後の部品硬さも室温加工時以上とすることができた。
つまり、本発明の機械構造用鋼は、C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る組成を有し、N固溶量は0.008〜0.012質量%であり、組織中のセメンタイト相分率が2%以下で、残部がフェライト相であり、前記フェライト相の平均結晶粒径が5〜20μmで、且つ、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が2以上である構成とした。
かかる構成により機械構造用鋼は、C、Si、Mn、P、S、Al、Nの添加量を所定の範囲とし、固溶限以上のCを添加しつつ、固溶Nを所定量含有させる構成としている。そのため、機械構造用鋼では、析出すべきセメンタイトの大部分あるいは全てを固溶させることによって組織を均一化し、また、Cを過飽和に固溶させることで、固溶Nの活量を低下させることができる。さらに、機械構造用鋼では、フェライト相の形と大きさを適正化することで、セメンタイトの析出を抑制し、連続操業時に雰囲気温度が100℃を超えた場合にも鋼材の変形能を向上させることができる。そして、機械構造用鋼では、動的ひずみ時効によって転位を増殖させ、その後の、固溶Nで転位を固着することによる静的ひずみ時効を発生させ、所定の部品強度を得ることができる。
また、前記した構成の機械構造用鋼に、さらに、任意成分として、Cr:2質量%以下、およびMo:2質量%以下のうち1種以上を含有する構成(請求項2)とすることや、任意成分として、Ti:0.2質量%以下、Nb:0.2質量%以下、およびV:0.2質量%以下のうち1種以上を含有する構成(請求項3)とすることや、任意成分として、B:0.005質量%以下を含有する構成(請求項4)とすることや、任意成分として、Cu:5質量%以下、Ni:5質量%以下、およびCo:5質量%以下のうち1種以上を含有する構成(請求項5)としてもよい。
また、前記した構成の機械構造用鋼に、任意成分として、Ca:0.05質量%以下、REM:0.05質量%以下、Mg:0.02質量%以下、Li:0.02質量%以下、Pb:0.5質量%以下、Bi:0.5質量%以下のうち1種以上を含有する構成(請求項6)としてもよい。
任意成分を添加する構成により、機械構造用鋼は、Cr、Moが変形能と加工後の硬さを向上させ、Ti、Nb、VがN化合物を形成して結晶粒を整粒化し、変形能を向上させる。また、BがPのフェライト粒界偏析による粒界強度の低下を抑制し、Cu、Ni、Coが鋼材をひずみ時効させ、加工後の部品強度を向上させる。また、Ca、REM、Mg、Liが鋼材の変形能を高めると共に、被削性能を向上させ、Pb、Biが被削性を向上させる。
さらに、本発明の機械構造用鋼の製造方法は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の機械構造用鋼の製造方法であって、C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る組成の鋼または前記鋼と任意成分を含む鋼を、1100〜1250℃に加熱した後、800〜950℃の温度範囲まで冷却し、その温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却する手順とした。
かかる手順により、機械構造用鋼の製造方法では、所定成分の鋼を、所定の温度範囲で加熱して、AlNとセメンタイトを分解させ、所定の温度範囲まで冷却することで、フェライト相を細かくなりすぎないようにして固溶Cおよび固溶Nを確保する。さらに、機械構造用鋼の製造方法では、所定の冷却速度で200℃以下まで冷却することで、フェライト結晶粒径と、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比を所定値以上にさせる。
また、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法としては、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法であって、C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る組成の鋼または前記鋼と任意成分を含む鋼を、1100〜1250℃に加熱した後、800〜950℃の温度範囲まで冷却し、その温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却した機械構造用鋼とし、前記機械構造用鋼を、室温〜250℃で加工する手順とした。
かかる手順により、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法では、所定成分の鋼を、所定の温度範囲で加熱して、AlNとセメンタイトを分解させ、所定の温度範囲まで冷却することで、フェライト相を細かくなりすぎないようにして固溶Cおよび固溶Nを確保する。さらに、当該加工部品製造方法では、所定の冷却速度で200℃以下まで冷却することで、フェライト結晶粒径と、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比を所定値以上にしている。そのため、当該加工部品製造方法では、所定特性を備える機械構造用鋼を室温〜250℃で加工すると、当該機械構造用鋼がCを過飽和に固溶させたことにより、固溶Nによる動的ひずみ時効の影響を抑制した状態となり、また、加工後の加工部品硬さも室温加工以上とすることができる。
本発明の機械構造用鋼、機械構造用鋼の製造方法、および、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法では、以下に示す優れた効果を奏するものである。
機械構造用鋼は、冷間加工によってボルト・ナット、ピニオンギヤ、ステアリングシャフト、バルブリフター、コモンレール等を連続操業で製造する時、加工後の加工部品硬さも維持できるので、軽量化、高強度化することができる。
機械構造用鋼の製造方法は、これまで熱間加工によって加工されていたクランクシャフト、コンロッド、トランスミッションギヤ等の部品を冷間加工によって製造することができ、部品製造工程におけるCOの排出量を削減することができる。
機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法では、連続操業時に雰囲気温度が上昇しても安定して部品を製造することができ、また、加工後の加工部品硬さも室温加工以上とすることができる。
以下、本発明に係る機械構造用鋼およびその製造方法について説明する。
機械構造用鋼は、C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下(0%を含まない)、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を必須成分とし、残部はFeおよび不可避的不純物から成る組成、あるいは、その組成に所定の任意成分を加えた組成を有している。そして、機械構造用鋼は、組織中のN固溶量(固溶状態としてのN)が0.008〜0.012質量%であり、組織中のセメンタイト相分率が2%以下(0%を含む)で、残部がフェライト相であり、そのフェライト相の平均結晶粒径が5〜20μmで、且つ、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が2以上となる構成を備えている。
以下、機械構造用鋼の構成における成分と組織について説明する。
はじめに機械構造用鋼の必須成分について説明する。
(C:0.025〜0.065質量%)
機械構造用鋼に含有されるCは、フェライト中に過飽和固溶させるため、所定量添加する必要がある。過飽和に固溶したCは、侵入型固溶体として固溶Nと近接した位置に存在し、特に連続操業時の動的ひずみ時効による変形抵抗の顕著な増加を抑制することができる。Cの含有量が0.025質量%未満になると、連続操業時の動的ひずみ時効抑制効果が失われ、変形抵抗の顕著な増加と加工性の劣化を招いてしまう。
一方、Cの含有量が0.065質量%を超えると、セメンタイトが残存しやすくなり、また、マルテンサイト変態といった組織的な変化が生じ始める。セメンタイトが残存すると、セメンタイトは固溶Cを吸収しやすく、固溶Cが低下すると、固溶Nによって生じる動的ひずみ時効が抑制できなくなる。一方、マルテンサイト変態すると過飽和にCを固溶させることができるが、組織が細かくなりすぎるため、変形抵抗が増加してしまう。また、変形能が劣化するため、割れが生じやすくなる。
なお、Cの好ましい下限量は、0.028質量%であり、また、より好ましくは0.03質量%である。そして、Cの好ましい上限量は、0.06質量%であり、より好ましくは0.05質量%である。
(Si:0.005〜0.03質量%)
Siは、機械構造用鋼の溶製中の脱酸に有効な元素であり、また、セメンタイトの成長を抑制する働きもあるため、0.005質量%以上添加する必要がある。ただし、Siはフェライト相を固溶強化させるため、添加量の増加に伴い、変形抵抗の増大、変形能の劣化を生じさせる。Siの含有量が0.03質量%を超えると、変形抵抗の増大、変形能の劣化の傾向が顕著に見られはじめ、割れが生じやすくなる。一方、Siの含有量が0.005質量%未満になると、脱酸の効果が発揮されず、溶製時にガス欠陥が発生しやすくなり、そこを起点に割れが生じやすくなる。なお、Siの好ましい下限量は、0.007質量%であり、また、より好ましくは0.01質量%である。そして、Siの好ましい上限量は、0.027質量%であり、また、より好ましくは0.025質量%である。
(Mn:0.4〜1質量%)
Mnは、機械構造用鋼の溶製中の脱酸、脱硫に有効な元素であり、また、連続操業時の動的ひずみ時効による変形能の劣化を抑制する働きがある。さらに、Sと結合することで鋼材の変形能を向上させることにも有効であるため、0.4質量%以上添加する必要がある。ただし、Mnの含有量が1質量%を超えると、固溶強化による変形抵抗が顕著に増大するため、逆に変形能を劣化させ、割れが生じやすくなる。一方、Mnの含有量が0.4質量%未満になると、変形能が劣化し、割れが生じやすくなる。なお、Mnの好ましい下限量は、0.42質量%であり、また、より好ましくは0.45質量%である。そして、Mnの好ましい上限量は、0.98質量%であり、また、より好ましくは0.95質量%である。
(P:0.05質量%以下(0%を含まない))
Pは不可避的に不純物として含有する元素であるが、含有量が0.05質量%を超えると、Pはフェライト粒界に偏析し、変形能を劣化させ、割れを生じやすくさせる。また、Pはフェライトを固溶強化させ、変形抵抗を増大させる。従って、変形能の観点からは極力低減することが望ましいが、極端な低減は製鋼コストの増加を招く。したがって、Pの下限量は、特に定めないが、低いほど良い。ただし、0質量%とすることは製造上困難である。そして、Pの好ましい上限量は、0.04質量%であり、また、より好ましくは0.03質量%である。
(S:0.005〜0.05質量%)
Sは、不可避的に不純物として含有する元素であるが、Feと結合すると、FeSとして粒界上に膜状に析出し、変形能を劣化させる。従って、全量をMnと結合させ、MnSとして析出させる必要がある。ただし、Sの含有量が0.05質量%を超えると、MnSの析出量が増え、MnSの析出量が増えると、変形能が劣化し、割れが生じやすくなる。一方、Sの極端な低減は被削性を劣化させるので、0.005質量%以上が推奨される。変形能と被削性のバランスを考慮した好ましい上下限量は以下のとおりである。すなわち、Sの好ましい下限量は、0.007質量%であり、また、より好ましくは0.01質量%である。そして、Sの好ましい上限量は、0.04質量%であり、また、より好ましくは0.03%である。
(Al:0.005〜0.06質量%)
Alは、機械構造用鋼の溶製中の脱酸に有効な元素であり、0.005質量%以上添加する必要がある。また、熱間圧延(鍛造)および冷却時に、固溶Nと結合し、AlNとして析出することで、フェライト粒の整粒化にも有効である。ただし、Alの含有量が0.06質量%を超えると、熱間圧延(鍛造)中あるいは、その後の冷却中に固溶Nと結合しやすくなり固溶N量を減少させるので、加工後に所望の部品強度を得ることができなくなる。また、AlNによる結晶粒微細化効果および整粒化効果が顕著に現れることによって、フェライト相の平均結晶粒径、アスペクト比が小さくなる。一方、Alの含有量が0.005質量%未満になると、溶製中の脱酸が不十分となり、ガス欠陥が生じやすくなり、そこを起点に割れが生じやすくなる。なお、Alの好ましい下限量は、0.007質量%であり、また、より好ましくは0.01質量%である。そして、Alの好ましい上限量は、0.05質量%であり、また、より好ましくは0.04質量%である。
(N:0.009〜0.013質量%、N固溶量:0.008〜0.012質量%)
本発明に係る機械構造用鋼において、N(窒素)は鋼中に固溶して、後記するように機械構造用鋼を室温〜250℃における雰囲気温度で加工を行った後の部品強度を向上させる効果を有する。ただし、Nの含有量が0.009質量%未満になると、このN固溶量を十分に得られない。一方、Nの含有量が0.013質量%を超えると、N固溶量(固溶N量)が過剰になって、変形能を劣化させる。なお、Nの好ましい下限量は、0.0095質量%であり、また、より好ましくは0.01質量%である。そして、Nの好ましい上限量は、0.0125質量%であり、また、より好ましくは0.012質量%である。
N(固溶N)は、室温〜250℃における雰囲気温度で加工を行った後の所定の部品強度を得るために必要である。250℃を上限とした雰囲気温度下においても、変形抵抗をあまり増加させずに部品強度を得るための固溶N量は0.012質量%以下であり、所望の部品硬さを得るためには、0.008質量%以上の固溶Nが必要である。固溶N量が0.012質量%を超えると、特に100℃を超える雰囲気温度において、静的ひずみ時効よりも動的ひずみ時効の効果が顕著になり、変形抵抗が増大し、変形能が劣化して、割れが生じやすくなる。一方、固溶N量が0.008質量%未満になると、十分な部品硬さを得ることができない。なお、固溶Nの好ましい下限量は、0.0085質量%であり、また、より好ましくは0.009質量%である。そして、固溶Nの好ましい上限量は、0.0115%質量であり、また、より好ましくは0.011質量%である。
固溶N量の値は、JIS G 1228に準拠し、鋼中の全N量から全N化合物における窒素量(すなわち、化合物N量)を差し引くことで算出する。
鋼中の全N量の算出は、不活性ガス融解法−熱伝導度法を用いる。すなわち、供試鋼素材からサンプルを切り出し、サンプルをるつぼに入れ、不活性ガス気流中で融解してNを抽出し、熱伝導度セルに搬送して熱伝導度の変化を測定する。
鋼中の全N化合物における窒素量の算出は、アンモニア蒸留分離インドフェノール青吸光光度法を用いる。すなわち、供試鋼素材からサンプルを切り出し、10%AA系電解液(鋼表面に不働態皮膜を生成させない非水溶媒系の電解液であり、具体的には10%アセチルアセトン、10%塩化テトラメチルアンモニウム、残部:メタノール)中で、定電流電解を行なう。次に、約0.5gサンプルを溶解させ、不溶解残渣(N化合物)を穴サイズが0.1μmのポリカーボネート製のフィルタでろ過する。不溶解残渣を硫酸、硫酸カリウムおよび純Cuチップ中で加熱して分解し、ろ液に合わせる。この溶液を水酸化ナトリウムでアルカリ性にした後、水蒸気蒸留を行い、留出したアンモニアを希硫酸に吸収させる。そして、フェノール、次亜塩素酸ナトリウムおよびペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウムを加えて青色錯体を生成させ、光度計を用いて、その吸光度を測定する。
上記の方法によって求めた鋼中の全N量から全N化合物における窒素量を差し引くことで鋼中の固溶N量を算出する。
つぎに、機械構造用鋼の任意成分について説明する。
(Cr:2質量%以下、およびMo:2質量%以下(共に0質量%を含まない)のうち1種以上)
Cr、Moは、ともに加工後硬さと変形能を向上させる効果を有するので、所定量に限って選択的に添加することが可能である。Cr、Moの含有量が2質量%を超えると、変形抵抗が増大し、かえって変形能が劣化する。Cr、Moの添加の効果を得るための下限量は、Crが0.1質量%、Moが0.04質量%である。なお、Cr好ましい下限量は、0.2質量%であり、また、より好ましくは0.3質量%である。そして、Crの好ましい上限量は、1.5質量%であり、また、より好ましくは1質量%である。さらに、Moの好ましい下限量は、0.04質量%であり、また、より好ましくは0.12質量%である。そして、Moの好ましい上限量は、1.5質量%であり、また、より好ましくは1質量%である。
(Ti:0.2質量%以下、Nb:0.2質量%以下、およびV:0.2質量%以下(共に0質量%を含まない)のうち1種以上)
Ti、Nb、Vは、Nと結合することでN化合物を形成して結晶粒を整粒化し、変形能を向上させるのに有効な元素である。そこで、必要に応じて、Tiを0.001質量%以上、Nbを0.001質量%以上、Vを0.001質量%以上添加することが推奨される。一方、これらの元素は、Nとの親和力が強いため、Ti、Nb、Vを、それぞれ0.2質量%を超えて添加すると、N化合物が過剰に形成され、固溶N量が低減してしまう。なお、Tiの好ましい下限量は、0.002質量%であり、また、より好ましくは0.003質量%である。そして、Tiの好ましい上限量は、0.15質量%であり、また、より好ましくは0.1質量%である。さらに、Nbの好ましい下限量は、0.002質量%であり、また、より好ましくは0.003質量%である。そして、Nbの好ましい上限量は、0.15質量%であり、また、より好ましくは0.1質量%である。さらに、Vの好ましい下限量は、0.002質量%であり、また、より好ましくは0.003質量%である。そして、Vの好ましい上限量は、0.15質量%であり、また、より好ましくは0.1質量%である。
(B:0.005質量%以下(0質量%を含まない))
Bは、フェライト粒界に集まる傾向があり、Pのフェライト粒界偏析による粒界強度の低下を抑制するのに有効な元素である。Bは、必要に応じて、0.0002質量%以上添加することが推奨される。一方、Bは、Nとの親和力が強いため、添加量が0.005質量%を超えると、BNを形成し、固溶N量が低減すると共に、フェライト粒界に過剰に偏析したBNは粒界強度を低減させるので、変形能が劣化する。なお、Bの好ましい下限量は、0.0004質量%であり、また、より好ましくは0.0006質量%である。そして、Bの好ましい上限量は、0.0035質量%であり、また、より好ましくは0.002質量%である。
(Cu:5質量%以下、Ni:5質量%以下、およびCo:5質量%以下(共に0質量%を含まない)のうち1種以上)
Cu、Ni、Coは、いずれも鋼材をひずみ時効させ、加工後の部品強度を向上させるのに有効な元素である。必要に応じて、Cuを0.1質量%以上、Niを0.1質量%以上、Coを0.1質量%以上添加することが推奨される。一方、Cu、Ni、Coの添加量がそれぞれ5質量%を超えると、効果が飽和し、また割れも促進される。なお、Cu、Ni、Coにおいて、前記した範囲よりさらに好ましい上限量および下限量は以下の通りである。
Cuは、その下限量が好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。そして、Cuは、その上限量が好ましくは4質量%であり、より好ましくは3質量%である。
Niは、その下限量が好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。そして、Niは、その上限量が好ましくは4質量%であり、より好ましくは3質量%である。
Coは、その下限量が好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。そして、Coは、その上限量が好ましくは4質量%であり、より好ましくは3質量%である。
(Ca:0.05質量%以下、REM:0.05質量%以下、Mg:0.02質量%以下、Li:0.02質量%以下、Pb:0.5質量%以下、Bi:0.5質量%以下(全て0質量%を含まない)のうち1種以上)
Ca、REM、Mg、Liは、MnS等の硫化化合物系介在物を球状化させ、鋼材の変形能を高めると共に、被削性向上に寄与する元素である。Ca、REMは、0.0005質量%以上、Mg、Liは、0.0001質量%以上添加することが推奨される。しかしながら、過剰に添加してもその効果が飽和し、添加量に見合う効果が期待できず経済的に不利である。そのため、Ca、REMの上限量は、0.05質量%、Mg、Liの上限量は、0.02質量%とした。
また、Pb、Biは被削性向上元素であり、0.01質量%以上添加することが推奨される。しかしながら、Pb、Biの含有量が0.5質量%を超えると、圧延疵等の製造上の問題を生じる。そのため、Pb、Biの上限は0.5質量%とした。なお、Ca、REM、Mg、Li、Pb、Biにおいて、前記した範囲よりさらに好ましい範囲は、以下の通りである。
Caは、その下限量が好ましくは0.001質量%であり、より好ましくは0.0015質量%である。そして、Caは、その上限量が好ましくは0.03質量%であり、より好ましくは0.01質量%である。
REMは、その下限量が好ましくは0.001質量%であり、より好ましくは0.0015質量%である。そして、REMは、その上限量が好ましくは0.03質量%であり、より好ましくは0.01質量%である。
Mgは、その下限量が好ましくは0.0003質量%であり、より好ましくは0.0005質量%である。そして、Mgは、その上限量が好しくは0.01質量%であり、より好ましくは0.005質量%である。
Liは、その下限量が好ましくは0.0003質量%であり、より好ましくは0.0005質量%である。そして、Liは、その上限量が好ましくは0.01質量%であり、より好ましくは0.005質量%である。
Pbは、その下限量が好ましくは0.03質量%であり、より好ましくは0.05質量%である。そして、Pbは、その上限量が好ましくは0.4質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。
Biは、その下限量が好ましくは0.03質量%であり、より好ましくは0.05質量%である。そして、Biは、その上限量が好ましくは0.4質量%であり、より好ましくは0.3質量%である。
つぎに機械構造用鋼の組織の構成について説明する。
(セメンタイト相分率が2%以下(0%を含む)で、残部がフェライト相)
機械構造用鋼は、連続操業中の雰囲気温度の上昇によって顕著になる動的ひずみ時効による変形抵抗の増加と加工性の劣化を抑制するためには、Cを過飽和固溶させる必要がある。固溶Cの測定方法としては、例えば、内部摩擦法が挙げられるが、セメンタイトの析出量からも、Cの固溶の有無が判断できる。通常、Cを0.025〜0.065質量%含有すると、セメンタイトが2〜6%程度生成するが、それよりもセメンタイトの相分率が低いと、その分のCが固溶していることになる。そこで、ここでは、セメンタイトの相分率によって、固溶Cの有無を判断することとした。
セメンタイト相分率を2%以下とすることで、過飽和にCを固溶させることができるようになり、固溶Cと固溶Nの相互作用によって、連続操業時の動的ひずみ時効による変形抵抗の増加と変形能の劣化を抑制することができる。ただし、粒界等にセメンタイト相分率が合計で2%を超えて存在すると、固溶Cが不足していること以外にも、セメンタイトが周りの固溶Cを吸収してしまう弊害がある。固溶Cが不足すると、連続操業にともなう雰囲気温度上昇時の動的ひずみ時効抑制効果を得ることができない。なお、残部のフェライト相は、ポリゴナルフェライト、ベイニティックフェライト、その混在組織等の形態があげられる。機械構造用鋼におけるフェライトの相分率は、好ましくは98.5%以上であり、また、より好ましくは99%以上である。
組織を判別する方法としては、光学顕微鏡での観察が一例として挙げられる。また、組織を観察する位置としては、機械構造用鋼の表面から加工部品(機械構造用部品)を製造する際の冷間加工方向(圧縮方向)の長さ(縮径して円柱形状に加工した場合は当該円柱の直径)の1/4の深さの位置が好ましく、その近傍の複数視野(例えば5視野)を観察して、得られた面積率の平均で判定することができる。具体的には、機械構造用鋼を、前記観察位置を切断面に含むように切り出して、切断面を鏡面に研磨した後、ナイタール液(3%硝酸エタノール溶液)で腐食させ、腐食面を光学顕微鏡にて400倍程度で観察し、白く見える領域がフェライト相、黒く見える領域がセメンタイト相である。組織分率を求めるには、例えば、光学顕微鏡写真上からランダムに複数点(例えば100点)を選び、各点の組織を判別して、セメンタイト相の点数の全点数に対する百分率を算出すればよい。あるいは、光学顕微鏡写真を市販の画像解析ソフトで処理して白い領域および黒い領域の面積率を求め、複数視野の平均値をセメンタイト相の面積率とし、100%からセメンタイト相の面積率を引くことによってフェライト相の面積率を算出してもよい。
なお、このようなセメンタイト相分率は、Cの含有量により制御する。
(フェライト相の平均結晶粒径が5〜20μm)
機械構造用鋼では、セメンタイトの生成を抑制し、固溶Cを確保するため、フェライト相の結晶粒径を規定する必要がある。固溶Cは、結晶粒界に集まりやすい傾向がある。そのため、フェライト相の結晶粒径が20μmを超えると、数少ない粒界三重点に固溶Cが凝集し、セメンタイトを形成しやすくなる。一方、5μm未満になると、加工時の変形抵抗が増加し、変形能が劣化しはじめる。なお、フェライト相の結晶粒径の好ましい上限値は、18μm以下であり、また、より好ましくは16μm以下である。そして、フェライト相の結晶粒径の好ましい下限値は、8μmであり、また、より好ましくは10μmである。
フェライトの結晶粒は、前記の組織の判別と同じ位置の複数視野を観察位置として、組織の判別と同様にナイタール液で腐食させた切断面を光学顕微鏡にて400倍程度で観察することによって検出することができる。結晶粒径を求めるには、例えば、光学顕微鏡写真に直線を引き、この直線と交差する結晶粒界の数をカウントし、この結晶粒界の数で直線の長さを割れば、当該光学顕微鏡写真上の結晶粒の平均粒径を算出できる。
(フェライト結晶粒の長軸と短軸の比(長軸/短軸)≧2)
機械構造用鋼は、連続操業にともなう雰囲気温度の上昇時において加工性を向上させるためには、フェライト結晶粒を細長く成長させ、方向性を持たせることが有効であり、長軸/短軸≧2(アスペクト比≧2)とする必要がある。細長いフェライトとは、主に粒内フェライトである。機械構造用鋼においてフェライトが細長く層状に存在することで、層間でひずみが緩和されるので、加工性が向上する。長軸と短軸の比(アスペクト比)が2未満になると、層間でひずみが緩和されず、加工性が向上する効果が得られない。一方、長軸と短軸の比(アスペクト比)があまりにも高すぎると、結晶粒微細化と同様の効果が働き、変形抵抗が増加するので、10以下とすることが推奨される。なお、アスペクト比の好ましい下限値は、2.3であり、また、より好ましくは2.5である。そして、アスペクト比の好ましい上限値は、10であり、より好ましくは5である。
アスペクト比についての測定は、例えば、以下のように行うことができる。
前記結晶粒測定に用いたサンプルを使用し、前記の組織の判別と同じ位置の複数視野を観察位置として、組織の判別と同様にナイタール液で腐食させた切断面を光学顕微鏡にて400倍程度で観察することにより行う。次に、撮影した写真に対して、水平線、垂直線を引き、線と交差した結晶粒の最大直径(長軸)とそれに垂直な直径(短軸)を求め、長軸/短軸の比を算出し、複数視野の平均値をこのサンプルのアスペクト比(平均アスペクト比)とする。
なお、前記したような平均結晶粒径、アスペクト比は、成分組成(Al、N等)、加熱温度、熱間圧延(鍛造)温度、冷却速度等により制御する。
つぎに、本発明の機械構造用鋼の製造方法について説明する。
機械構造用鋼の製造方法は、前記した組成の鋼を、1100〜1250℃に加熱する工程と、前記加熱した後に800〜950℃の温度範囲まで冷却する工程と、前記冷却した温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却する工程と、を含む手順で行っている。
(1100〜1250℃に加熱)
機械構造用鋼では、熱間圧延(鍛造)前に所定の温度域まで加熱することによって、AlNとセメンタイトを分解させる必要がある。未溶解AlNとセメンタイトが残存する場合、次工程で、そのAlNとセメンタイトが核となり、AlNやセメンタイトが析出しやすく、固溶Nと固溶Cが低減してしまう。セメンタイトの分解はA1点温度以上、AlNの分解は、温度が高いほど進行しやすいが、1250℃を超えると、それらの分解に対する効果が飽和するだけでなく、ビレットの端部が変形してしまう問題が生じる。また、1100℃未満になると、AlNを十分に分解することができない。なお、加熱温度は、1100〜1250℃の範囲としているが、好ましい範囲の加熱温度の下限値は、1125℃であり、また、より好ましくは1150℃である。そして、好ましい加熱温度の上限値は、1225℃であり、また、より好ましくは1200℃である。
加熱時間に関して、セメンタイトはA1点温度以上で相変態と共に分解し、AlNはさらに高温で分解が完了するが、その分解速度は速いので、所定の温度まで加熱した後の保持時間はそれ程厳格に管理する必要はない。保持時間は製造条件に合わせて適宜決定すればよいが、300sec以上の保持が推奨される。
加熱・保持後は、速やかに次工程の温度まで冷却した後、次工程を実施する。その際の冷却速度は、再びAlNが析出しないようにする必要があり、1℃/s以上の冷却速度が推奨される。冷却方法は、放冷、空冷、風冷、障壁風冷、水冷等一般的な冷却方法が用いられる。冷却速度の上限は特に規定しないが、製造条件に合わせて適宜決定すればよい。
(800〜950℃で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却)
製造工程において、1100〜1250℃の加熱から直接5℃/s以上で冷却すると、固溶Cおよび固溶Nは確保できるものの、フェライト相が細かくなりすぎてしまうので、800〜950℃まで一旦冷却してから、5℃/s以上の冷却速度で冷却する必要がある。その際、圧延(鍛造)工程で、AlNの生成による固溶Nの減少を防止するため、熱間圧延(鍛造)を実施する必要があり、800〜950℃の熱間圧延(鍛造)で、AlNの生成を防止し、結晶粒を適したサイズに制御することができる。熱間圧延(鍛造)温度が950℃を超えると、その後の冷却過程で組織が細かくなりすぎてしまうので、部品加工時の変形抵抗が増加してしまう。一方、800℃未満になると、フェライト変態が進行しすぎてしまい、結晶粒が粗大化してしまうため、セメンタイトが成長しやすく、固溶Cを確保することが困難になる。そのため、加工発熱によって100℃を超える雰囲気温度下では、動的ひずみ時効による変形抵抗の増大と変形能の劣化を抑制することができない。また、フェライト結晶粒のアスペクト比が小さくなる。なお、熱間圧延(鍛造)温度は、800〜950℃の範囲としているが、好ましい範囲の温度の下限値は、825℃であり、また、より好ましくは850℃である。そして、好ましい加熱温度の上限値は、925℃であり、また、より好ましくは900℃である。
冷却速度は、フェライト結晶粒径と、長軸と短軸の比を所定範囲に制御するために重要である。冷却速度を5℃/s以上とすることで、オーステナイト粒内からもフェライト変態させることができ、フェライト相の長軸と短軸の比を2以上とすることができる。冷却方法には、放冷、空冷、風冷、障壁風冷、水冷等一般的な冷却方法があげられ、5℃/s以上の冷却速度が確保できるのであれば、操業に合わせて自由に選択してよい。一方、冷却速度が5℃/s未満になると、十分な粒内フェライト変態を生じさせることができず、長軸と短軸の比が規定を満たさなくなる。また、フェライト相分率、平均結晶粒径が大きくなる。なお、冷却速度は、5℃/s以上としているが、好ましい冷却速度の下限値は、6℃/sであり、また、より好ましくは8℃/sである。
この冷却速度で、200℃以下まで冷却する。200℃以下まで冷却しないと、固溶Cがセメンタイトとして析出・成長しやすくなり、100℃を超える雰囲気温度下において、動的ひずみ時効抑制効果が得られなくなるため、変形抵抗の増加と変形能の劣化を招く。
本発明に係る機械構造用鋼の製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、加熱する工程の前に行う鍛造工程や、鋳塊や熱間加工材等を切断する切断工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程等、他の工程を含めてもよい。
つぎに、本発明の機械構造用鋼を用いた加工部品(機械構造用部品)製造方法について説明する。
加工部品製造方法は、前記した組成の鋼を、1100〜1250℃に加熱する工程と、前記加熱した後に800〜950℃の温度範囲まで冷却する工程と、前記冷却した温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却する工程と、前記冷却して形成した機械構造用鋼を、室温〜250℃で加工する工程と、を含む手順で行っている。
前記製造方法においては、製造された加工部品が、室温〜250℃で加工する工程において、室温加工および連続操業中の金型の発熱による雰囲気温度の上昇を考慮に入れた250℃を上限とする雰囲気温度で行う加工により、前記機械構造用鋼の加工時の変形抵抗と加工後の部品硬さの関係が、以下の(1)〜(3)式を満たすように行う。
RT≧(DRRT+200)/2.5 ・・・(1)
hot≧(DRhot+200)/2.5 ・・・(2)
hot≧HRT ・・・(3)
RT:室温加工開始時の部品硬さ(Hv)
hot:室温での連続操業時の部品硬さ(Hv)
DRRT:室温加工開始時の最大変形抵抗(MPa)
DRhot:室温での連続操業時の最大変形抵抗(MPa)
上記の成分、初期組織を満足する鋼材は、冷間加工、すなわち、室温での加工開始から連続操業中においても、優れた変形抵抗と部品硬さのバランスを示す。(1)、(2)式を満たさない場合というのは、変形抵抗に対して、部品硬さが低すぎる、あるいは、所望の部品硬さを得るために必要な鋼材の変形抵抗が高すぎる、連続操業中の金型の発熱による雰囲気温度の上昇によって部品硬さが低下することを表している。
所定特性を備える機械構造用鋼を室温〜250℃で加工すると、当該機械構造用鋼がCを過飽和に固溶させたことにより、固溶Nによる動的ひずみ時効の影響を抑制した状態となり、また、加工後の加工部品硬さも室温加工以上とすることができる。
以上のように機械構造用鋼は、室温〜250℃の範囲で行われる冷間加工(加工開始から連続操業まで)によって加工部品に製造される場合に、部品硬さを維持すると共に、低い変形抵抗と優れた変形能が維持されるので、製造時に金型等の加工機械側の加工負荷を緩和すると共に、加工された加工部品の硬さを維持することが可能になる。
このような本発明の機械構造用鋼は、そのメカニズムにおいて、以下のとおりであると推定している。つまり、通常、固溶Nが多く存在する鋼材を連続で加工すると、金型の温度上昇によって動的ひずみ時効の影響が際立ち、変形抵抗が顕著に増大し、且つ、加工性も著しく劣化する。また、加工後は、雰囲気温度に鋼材自体の発熱も加わり、鋼材が高温となる。そのため、静的ひずみ時効によって固着した固溶Nと転位が、再び離れやすく、転位が回復するため、部品強度が低下しやすい。
そこで、本発明の機械構造用鋼では、固溶Nと過飽和固溶Cを相互作用させることで固溶Nの活量を低下させていることに着目して構成している。すなわち、機械構造用鋼において固溶Cおよび固溶Nは、共に侵入型固溶体の形をとるため、鋼材中の同一位置に存在する。同一位置にいる固溶C、固溶Nは、相互作用を及ぼす関係にあり、お互いの活量を下げる。固溶C、固溶Nが、相互作用を及ぼす関係にあると、拡散速度が下がるため、動的ひずみ時効が顕著に発生する温度領域においても固溶C、Nは、十分に動的ひずみ時効に寄与することができない。
一方で、加工後は雰囲気温度と鋼材自体の発熱のため、相互作用関係にある固溶C、Nは、共に転位に移動しやすくなり、静的ひずみ時効が発生する。しかし、静的ひずみ時効によって転位に固着された固C、Nが転位と離れるためには更にエネルギーが必要となる。結果として、固溶C、固溶Nを共に高めることによって、動的ひずみ時効による変形抵抗のピーク温度と、静的ひずみ時効後の転位が固着から離れやすい温度を共に高温側にシフトさせることができる。冷間加工よりも温度が高い領域(連続操業時)においても優れた加工性と部品硬さを達成することができる。
したがって、このようなメカニズムを用いるためには、所定の鋼材成分と、所定の鋼材組織の状態をすでに説明したように構成する機械構造用鋼とすることで、従来の技術ではなし得なかった固溶Cと固溶Nの相互作用によって優れた冷間加工性を備えると共に、加工部品の部品硬さを達成することができる。
以下、本発明の実施例について、比較例と比較して具体的に説明する。
表1、2に記載の成分組成からなる供試材No.1〜61の供試鋼を調製し、この供試鋼150kgを真空誘導炉で溶解して、上面:φ245mm、下面:φ210mm×長さ480mmのインゴットに鋳造した。このインゴットを、1200℃で3hrのソーキングをした後、155mm角の四角材に熱間鍛造して、長さ600mm程度に切断し、155mm角×600mm長さのビレットとした。
次に、表1、2に示す供試材No.1〜36、44〜61については、このビレットを、ダミービレット(155mm角×9〜10m長さ)に溶接し、ダミービレットごと、表1、2に示す温度域まで加熱した後、表1、2に示す圧延温度(熱間加工温度)に冷却し、φ80mmの丸棒に熱間圧延した。その後、表1、2に示す冷却速度で所定温度(冷却停止温度)まで冷却し、熱間圧延材を作製した。
また、表2に示す供試材No.37〜43については、このビレットを、表2に示す温度域まで加熱した後、表2に示す鍛造温度(熱間加工温度)に冷却し、φ80mmの丸棒に熱間鍛造した。その後、表2に示す冷却速度で所定温度(冷却停止温度)まで冷却し、熱間鍛造材を作製した。
さらに、N固溶量、セメンタイト相分率、フェライト相の平均結晶粒径、アスペクト比等について、以下の方法により測定した。これらの結果を表1、2に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
<N固溶量>
供試材から切り出したサンプルで、前記JIS G 1228に準拠する不活性ガス融解法−熱伝導度法で算出した全N量から、アンモニア蒸留分離インドフェノール青吸光光度法で算出した全N化合物における窒素量を差し引いてN固溶量を測定した。
<セメンタイト相分率、および、フェライト結晶粒径>
前記それぞれの丸棒材(熱間圧延材、熱間鍛造材)の表面から円柱の直径の1/4の深さの位置かつ軸方向中央近傍を観察できるように、供試材を円柱の軸に沿って(半円柱形状に)切断して樹脂に埋め込み、切断面をエメリー紙およびダイヤモンドバフで鏡面に研磨し、ナイタール液(3%硝酸エタノール溶液)で腐食させた。腐食面を光学顕微鏡で観察して構成組織および結晶粒を判別した。組織解析は、400倍で5箇所(5視野)の写真を撮影し、これらの写真に対して、画像解析ソフト(Image Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用いて画像を2値化して、白色の領域をフェライト相、黒色の領域をセメンタイト相とし、5視野の平均値をセメンタイト相の面積率とした。そして、100%からセメンタイト相の面積率を引くことによってフェライト相の面積率を算出した。フェライト相の結晶粒径の測定は、400倍で5箇所(5視野)の写真を撮影し、写真に直線を引き、この直線と交差する結晶粒界の数をカウントして結晶粒径の平均値を算出し、さらに5視野の平均値を平均粒径とした。
<アスペクト比>
前記結晶粒測定に用いた丸棒材を使用し、前記の組織の判別と同じ位置の5視野を観察位置として、組織の判別と同様にナイタール液で腐食させた切断面を光学顕微鏡にて400倍程度で観察した。次に、撮影した写真に対して、水平線、垂直線を引き、線と交差した結晶粒の最大直径(長軸)とそれに垂直な直径(短軸)を求め、長軸/短軸の比を算出した。5視野の平均値を平均アスペクト比とし、ここでのアスペクト比とした。
Figure 2010280967
Figure 2010280967
これらの冷間鍛造材(供試材)について、最大変形抵抗(MPa)、部品硬さとしてビッカース硬さ(Hv)を測定すると共に、冷間加工性について評価を行った。
<冷間加工性の評価、および、最大変形抵抗>
表1、2に示す供試材No.1〜61の中心部から、φ10mm×15mmの試験片を切り出した。この試験片を、1600tプレスを用い、端面を拘束した状態で、表3、4に示す室温加工開始時の温度または連続操業時の雰囲気温度を想定した加工温度で、ひずみ速度10/secの冷間鍛造により試験片の軸方向に80%まで圧縮して、機械構造用部品の加工試験品(冷間鍛造材)を作製した。なお、加工ひずみ速度は、加工中(塑性変形中)のひずみ速度の平均値とした。なお、圧縮率は、機械構造用鋼の圧縮方向長をH0、圧縮後(機械構造用部品)の圧縮方向長をHとして表したとき、(H0−H)/H0×100で算出される。そして、冷間鍛造時に、1600tプレスに付属のロードセルと変位計を用いて、変位抵抗−変位曲線を記録し、この曲線における変形抵抗の最大値を最大変形抵抗とした。また、冷間鍛造により割れの発生した冷間鍛造材を「×」、割れのない冷間鍛造材を「○」として、評価した。
<部品硬さ>
得られた各加工試験品について、冷間加工後の強度(部品硬さ)として、冷間鍛造材のビッカース硬さを測定した。冷間鍛造材の円柱形の軸(冷間鍛造試験片の軸)に沿って切断して樹脂に埋め込んで試料として調整し、荷重を1000gとして、冷間鍛造材の円柱形の軸方向中央における直径の1/4位置の左右3点ずつ計6点のビッカース硬さ(Hv)を測定した。
これらの試験結果において、得られた加工試験品(供試材)について割れがないものを、冷間加工性に優れたものと判定し、かつ前記式(1)、(2)、(3)に示す条件を満足するものを、総合判定を「○」と表示した。一方、割れが生じた場合、前記式(1)に示す条件を満足しない場合、前記式(2)に示す条件を満足しない場合、前記式(3)に示す条件を満足しない場合のいずれか一つ以上に該当する場合は、総合判定を「×」と表示した。これらの結果を表3、4に示す。
Figure 2010280967
Figure 2010280967
表3、4に示すように、供試材No.1〜43は、本発明の範囲を満たすため、総合判定が「○」であった。一方、供試材No.44〜61は、本発明の範囲を満たさないため、総合判定が「×」であった。具体的には、以下のとおりである。
No.44は、加熱温度が下限値未満のため、N固溶量が下限値未満となり、式(1)、(2)の条件を逸脱した。
No.45は、熱間加工温度が下限値未満のため、セメンタイト相分率、フェライト相の平均結晶粒径が上限値を超え、アスペクト比が下限値未満となり、連続操業を想定した温度域での加工によって、割れが発生し、また、式(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.46は、熱間加工温度が上限値を超えるため、フェライト相の平均結晶粒径が下限値未満となり、変形抵抗が増大し、式(1)、(2)の条件を逸脱した。また、割れが発生した。
No.47、48は、冷却速度が下限値未満のため、セメンタイト相分率、フェライト相の平均結晶粒径が上限値を超え、アスペクト比が下限値未満となり、割れが発生し、また、式(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.49は、冷却停止温度が上限値を超えるため、セメンタイト相分率が上限値を超え、割れが発生し、また、式(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.50は、C含有量が上限値を超えるため、セメンタイト相分率が上限値を超え、フェライト相の平均結晶粒径が下限値未満となり、割れが発生し、また、式(1)、(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.51は、C含有量が下限値未満のため、割れが発生し、また、式(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.52は、Si含有量が下限値未満のため、割れが発生した。
No.53は、Si含有量が上限値を超えるため、割れが発生し、また、式(1)、(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.54は、Mn含有量が下限値未満のため、割れが発生した。
No.55は、Mn含有量が上限値を超えるため、割れが発生し、また、式(1)、(2)の条件を逸脱した。
No.56は、P含有量が上限値を超えるため、割れが発生した。また、式(1)、(2)の条件を逸脱した。
No.57は、S含有量が上限値を超えるため、割れが発生した。
No.58は、Al含有量が下限値未満のため、割れが発生した。
No.59は、Al含有量が上限値を超えるため、N固溶量、フェライト相の平均結晶粒径、アスペクト比が下限値未満となり、割れが発生し、また、式(1)、(2)、(3)の条件を逸脱した。
No.60は、N含有量が下限値未満のため、N固溶量が下限値未満となり、式(1)、(2)の条件を逸脱した。
No.61は、N含有量が上限値を超えるため、N固溶量が上限値を超え、割れが発生し、また、式(2)、(3)の条件を逸脱した。
以上、本発明に係る機械構造用鋼、および、その製造方法、並びに、機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。

Claims (8)

  1. C:0.025〜0.065質量%、Si:0.005〜0.03質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.06質量%、N:0.009〜0.013質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から成る組成を有し、
    N固溶量は0.008〜0.012質量%であり、
    組織中のセメンタイト相分率が2%以下で、残部がフェライト相であり、
    前記フェライト相の平均結晶粒径が5〜20μmで、且つ、フェライト結晶粒の長軸と短軸の比(長軸/短軸)が2以上であることを特徴とする機械構造用鋼。
  2. 前記組成がさらに、Cr:2質量%以下、およびMo:2質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の機械構造用鋼。
  3. 前記組成がさらに、Ti:0.2質量%以下、Nb:0.2質量%以下、およびV:0.2質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機械構造用鋼。
  4. 前記組成がさらに、B:0.005質量%以下を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の機械構造用鋼。
  5. 前記組成がさらに、Cu:5質量%以下、Ni:5質量%以下、およびCo:5質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の機械構造用鋼。
  6. 前記組成がさらに、Ca:0.05質量%以下、REM:0.05質量%以下、Mg:0.02質量%以下、Li:0.02質量%以下、Pb:0.5質量%以下、Bi:0.5質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の機械構造用鋼。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機械構造用鋼の製造方法であって、
    前記組成の鋼を、1100〜1250℃に加熱する工程と、前記加熱した後に800〜950℃の温度範囲まで冷却する工程と、前記冷却した温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却する工程と、を含むことを特徴とする機械構造用鋼の製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法であって、
    前記組成の鋼を、1100〜1250℃に加熱する工程と、前記加熱した後に800〜950℃の温度範囲まで冷却する工程と、前記冷却した温度で熱間圧延または熱間鍛造した後、5℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで冷却する工程と、前記冷却して形成した機械構造用鋼を、室温〜250℃で加工する工程と、を含むことを特徴とする機械構造用鋼を用いた加工部品製造方法。
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