JP5379651B2 - 冷間加工用鋼材およびその製造方法ならびに冷間加工部品 - Google Patents
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Description
特許文献1では、強加工による動的再結晶によってフェライト相の結晶粒径を微細化させているため、使用雰囲気温度が上昇すると、再結晶が容易に生じてしまい、目標とする強度特性を維持することができない。また、特許文献2では、時効強化は固溶Cによるものであり、使用雰囲気温度が上昇すると、固溶Cは炭化物を形成し始めるので、強度が低下しやすい。
前記成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上の温度に加熱して熱間圧延または熱間鍛造する工程と、前記熱間圧延または熱間鍛造した後に、700〜750℃まで1〜3℃/sの冷却速度で冷却し、引き続き5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却する工程とを含むことを特徴とする。
(H2/H1)×100≧90・・・(1)
H1:冷間加工直後の部品硬さ(Hv)
H2:時効処理後の部品硬さ(Hv)
冷間加工用鋼材は、C:0.03〜0.06質量%、Si:0.01〜0.06質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.03質量%、N:0.008〜0.015質量%、残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、固溶C量が0.01〜0.02質量%、かつ、固溶N量が0.008〜0.015質量%であり、組織中のセメンタイト相分率が2%以下(0%を含む)で残部がフェライト相であり、前記フェライト相の平均結晶粒径が20〜100μmである構成とする。
はじめに、冷間加工用鋼材(以下、鋼材と称す)の必須成分について説明する。
(C:0.03〜0.06質量%)
Cは、冷間加工時の変形抵抗および変形能に大きな影響を及ぼす元素である。また、時効軟化を抑制するのに有効な固溶Cを確保するために重要な元素でもある。C量が0.03質量%未満である場合、固溶Cが十分に確保されず、雰囲気温度が上昇した時、部品強度が低下しやすくなる。一方、C量が0.06質量%を超える場合、パーライトを形成しやすくなり、変形抵抗の増加および変形能の劣化を招くと共に、固溶Cがパーライト中のセメンタイトに集まりやすくなる。なお、C量の下限値は、好ましくは0.033質量%、より好ましくは0.035質量%である。また、C量の上限値は、好ましくは0.055質量%、より好ましくは0.050質量%である。
溶製中の脱酸元素として有効であり、また、セメンタイトの成長を抑制し、固溶Cを確保するのに有効であるため、0.01質量%以上添加する必要がある。ただし、Siはフェライト相を固溶強化させるため、添加量の増加に伴い、変形抵抗の増大、変形能の低下を生じさせる。Si量が0.06質量%を超えると、Siによる固溶強化の影響が顕著に現れ始め、冷間加工時に割れが発生する。一方、Si量が0.01質量%未満であると、脱酸の効果が十分に発揮されず、溶製時にガス欠陥が発生しやすくなる。なお、Si量の下限値は、好ましくは0.012質量%、より好ましくは0.015質量%である。また、Si量の上限値は、好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.04質量%である。
溶製中の脱酸、脱硫元素として有効であり、また、Sと結合することで鋼材の変形能を向上させるためには、0.4質量%以上添加する必要がある。ただし、Mnは1質量%を超えると、固溶強化の影響が顕著に増大するため、変形抵抗の増大、変形能の劣化を招く。一方、Mn量が0.4質量%未満であると、Sの影響が顕在化してくるため、変形能が低下し、割れが生じる。なお、Mn量の下限値は、好ましくは0.42質量%、より好ましくはで0.45質量%ある。また、Mn量の上限値は、好ましくは0.9質量%、より好ましくは0.8質量%である。
Pは不可避的に不純物として含有する元素であるが、Pはフェライト粒界に偏析し、変形能を劣化させる。また、Pはフェライトを固溶強化させ、変形抵抗を増大させる。従って、変形能の観点からは極力低減することが望ましいが、極端な低減は製鋼コストの増加を招くため、0.05質量%以下とする。そして、P量の下限は特に定めないが、低いほどよい。ただし、0質量%とすることは製造上困難である。なお、0.04質量%以下が好ましく、0.03質量%以下がさらに好ましい。
Sは不可避的に不純物として含有する元素であるが、Feと結合すると、FeSとして粒界上に膜状に析出するため、変形能を劣化させる。従って、全量をMnと結合させ、MnSとして析出させる必要がある。ただし、S量が0.05質量%を超えると、MnSの析出量が増え、変形能が劣化する。一方、S量の極端な低減は被削性を劣化させるので、0.005質量%以上とする。なお、変形能と被削性のバランスを考慮し、S量の下限値は、好ましくは0.007質量%、より好ましくは0.01質量%である。また、S量の上限値は、好ましくは0.04質量%、より好ましくは0.03質量%である。
溶製中の脱酸元素として有効であり、0.005質量%以上添加する必要がある。ただし、Al量が0.03質量%を超えると、熱間加工中に固溶Nと結合しやすくなり固溶N量を減少させるため、冷間加工後に所望の部品強度が得られなくなる。また、AlNによるγ粒の整粒効果によって結晶粒が微細化されるため、十分な耐時効軟化性を得ることができなくなる。一方、Al量が0.005質量%未満であると、溶製中の脱酸が不十分となり、ガス欠陥が生じやすくなるので、割れが生じやすくなる。なお、Al量の下限値は、好ましくは0.008質量%、より好ましくは0.01質量%である。また、Al量の上限値は、好ましくは0.025質量%、より好ましくは0.02質量%である。
Nは、冷間加工後に所望の部品強度を得るために必要な固溶Nを確保するため、所定量添加する必要がある。冷間加工時に変形抵抗をあまり増加させずに部品強度を大きく増加させ、所望の部品強度を得るための固溶N量は後記するように0.008質量%以上である。N量が0.008質量%未満となると、必要とされる部品強度を得るための固溶N量を確保することができない。一方、N量が0.015質量%を超えると、変形能が劣化し始めるため、冷間加工後に割れが生じる。なお、N量の下限値は、好ましくは0.0085質量%、より好ましくは0.009質量%である。また、N量の上限値は、好ましくは0.013質量%、より好ましくは0.012質量%である。
固溶Nは冷間加工後の部品強度を確保するために重要な元素である。一方、固溶Cは、固溶Nの静的時効によって強化した鋼材の使用雰囲気温度の上昇による部品強度の低下を抑制する作用を有する。なお、固溶C量および固溶N量は、鋼材に含有されるC量およびN量と、後記する鋼材の製造方法における加熱温度および冷却速度によって制御される。
固溶N量が所定範囲、固溶C量が所定範囲外の場合には、使用雰囲気温度の上昇に伴う部品強度の低下を招く、なお、固溶C量が上限値を超える場合には、セメンタイトの形成の促進によって使用雰囲気温度の上昇に伴う部品強度の低下を招く。
固溶C量が所定範囲、固溶N量が下限値未満である場合には、所望の部品強度が得られない、固溶N量が上限値を超える場合には割れが生じる。
(Cr:2質量%以下およびMo:1質量%以下(共に0質量%を含まない)のうちの1種以上)
Cr、Moは、加工後硬さと変形能を向上させる効果を有するので、所定量に限って選択的に添加することが可能である。Cr量は2質量%、Mo量は1質量%を超えると、変形抵抗が増大し、かえって変形能が低下する。Cr、Mo添加の効果を得るための下限値は、Cr量が0.1質量%以上、Mo量が0.05質量%以上好ましい。なお、Cr量の下限値は、より好ましくは0.2質量%、最適には0.3質量%である。Cr量の上限値は、より好ましくは1.5質量%、最適には1質量%である。また、Mo量の下限値は、より好ましくは0.1質量%、最適には0.15質量%である。Mo量の上限値は、より好ましくは0.8質量%、最適には0.5質量%である。
Cu、Niはいずれも鋼材をひずみ時効させ、加工後の部品強度を向上させるのに有効である。必要に応じて、Cu:0.1質量%以上、Ni:0.1質量%以上添加することが好ましい。一方、Cu量、Ni量の添加量がそれぞれ5質量%を超えると効果が飽和し、また冷間加工時の割れも促進される。Cu量の下限値は、より好ましくは0.2質量%、最適には0.3質量%である。Cu量の上限値は、より好ましくは4質量%、最適には2質量%である。Ni量の下限値は、より好ましくは0.2質量%、最適には0.3質量%である。Ni量の上限値は、より好ましくは4質量%、最適には2質量%である。
Ca、REM、Mg、Liは、MnS等の硫化化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を高めると共に、被削性向上に寄与する元素である。Ca量、REM量を0.0005質量%以上、Mg量、Li量を0.0001質量%以上含有させることが好ましい。しかしながら、過剰に添加してもその効果が飽和し、添加量に見合う効果が期待できず経済的に不利である。そのため、Ca量、REM量の上限は0.02質量%、Mg量、Li量の上限は0.01質量%が好ましい。
なお、Ca量の下限値は、より好ましくは0.001質量%、最適には0.0015質量%である。Ca量の上限値は、より好ましくは0.01質量%、最適にはで0.008質量%ある。REM量の下限値は、より好ましくは0.001質量%、最適には0.0015質量%である。REM量の上限値は、より好ましくは0.01質量%、最適には0.008質量%である。Mg量の下限値は、より好ましくは0.0003質量%、最適には0.0005質量%である。Mg量の上限値は、より好ましくは0.005質量%、最適には0.003質量%である。Li量の下限値は、より好ましくは0.0003質量%、最適には0.0005質量%である。Li量の上限値は、より好ましくは0.005質量%、最適には0.003質量%である。
(セメンタイト相分率:2%以下(0%を含む))
セメンタイト相分率とは、光学顕微鏡等で観察した鋼材表面の組織におけるセメンタイトの面積率をいう。本発明の鋼材は、パーライト相(フェライト相+セメンタイト)組織またはフェライト単相組織(セメンタイト相分率0%に相当する)からなる。そして、セメンタイト相分率は、固溶C量と、後記する鋼材の製造方法における加熱温度および冷却速度によって制御される。
セメンタイト(パーライト)は、冷間加工中の変形抵抗を増加させやすく、また、フェライト相とセメンタイトの界面において、割れを生じさせる。また、セメンタイトが多く生成することによって、使用雰囲気温度が上昇すると固溶Cが引き寄せられやすくなるため、固溶Nとの相互作用力が低下する。これらのことにより、セメンタイトは極力低減することが有効で、2%以下(0%を含む)とする。なお、1.5%以下が好ましく、1%以下がさらに好ましい。
フェライト相の平均結晶粒径(結晶粒径)は、変形抵抗と固溶Cの存在位置に影響を及ぼす。そして、フェライト相の結晶粒径は、後記する鋼材の製造方法における加熱温度および冷却速度によって制御される。
フェライト結晶粒径を20μm以上とすることで変形能を劣化させずに初期変形抵抗を低減することができる。その効果は、フェライト結晶粒径が100μmまで有効である。一方、フェライト結晶粒径が100μmを超えると、固溶Cがフェライト粒界に多く存在するため、変形能が低下し、割れが生じやすくなる。また、フェライト結晶粒径が20μm未満の場合は、転位と固溶Cの距離が近くなるため、固溶Cも動的ひずみ時効に寄与するようになり、変形抵抗が増加しやすい。なお、フェライト相の平均結晶粒径の下限値は、好ましくは25μm、より好ましくは35μmであり、上限値は、好ましくは90μm、より好ましくは80μmである。
固溶Cはセメンタイトを形成しやすい性質があることから、主にフェライト相の粒界付近に存在する。一方、固溶Nは粒内に存在することが多い。固溶Nは塑性変形に伴って移動する転位を固着し、転位は固溶Nを引きずりながら移動することになる(動的ひずみ時効)。そして、冷間加工後、固溶Nは可動転位を固着することによって部品強度を増加させる(静的ひずみ時効)。その際、固溶C量が0.01〜0.02質量%の場合には、このドラッグ効果にはあまり寄与せず、部品強度の向上にもほとんど影響がない結果が得られた。このことは、転位を固着しているのが固溶Nであり、固溶Cは、転位に引き寄せられるが、転位あるいは固溶Nの近傍に存在するだけであると考えられる。
鋼材の製造方法は、前記した成分組成を有する鋼を、1100℃以上の温度に加熱して熱間圧延または熱間鍛造する工程と、前記熱間圧延または熱間鍛造した後に、700〜750℃まで1〜3℃/sの冷却速度で冷却し、引き続き5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却する工程とを含むことを特徴とする。ここで、加熱温度および冷却速度は、前記した鋼材において、所定範囲の固溶C量、固溶N量および平均結晶粒径(フェライト相)を得るために設定されたものである。
1100℃以上の温度に加熱することで、AlNを分解して固溶N量を確保させる。加熱温度が1100℃未満の場合には、AlNを十分分解することができず、その後の熱処理工程によっても固溶Nを確保することができない。温度が高ければ高いほど、AlNの分解が促進されるが、高すぎると(例えば1250℃以上)、AlNの分解に対する効果が飽和するだけでなく、ビレットの端部が熱変形してしまう問題が生じることがある。
AlNとセメンタイトが析出せず、フェライトが十分成長でき、固溶Nが所定量確保できるよう700〜750℃まで1〜3℃/sの冷却速度で冷却する。
700〜750℃までの冷却速度が1℃/s未満の場合は、AlNが再び析出し始め、固溶N量を所定範囲とすることが困難になる。また、冷却速度が3℃/sを超えると、フェライトが微細化するため、変形抵抗が増加する。
700℃未満の温度まで前記冷却速度での冷却を行った(冷却速度変化点温度が700℃未満)場合は、セメンタイトが析出し、所定量の固溶Cを確保しにくくなる。
300℃以下までの冷却速度が5℃/s未満の場合、または、300℃を超える温度で冷却を停止した(冷却停止温度が300℃を超える)場合は、セメンタイトが析出し、所定量の固溶Cを確保しにくくなる。なお、冷却速度は、速いほど固溶C量の確保が容易となるが、操業条件に合わせて決定することができる。
本発明において、冷間加工部品とは、自動車用の各種部品、例えば、ボルト・ナット、ピニオンギヤ、ステアリングシャフト、バルブリフター、コモンレール、トーションバー、歯車、プーリー、クランクシャフト、等速ジョイント、コンロッド、トランスミッションギヤ等である。
表1、2に記載の成分組成からなる供試材No.1A〜2Zの供試鋼を調製し、この供試鋼150kgを真空誘導炉で溶解して、上面:φ245mm、下面:φ210mm×長さ480mmのインゴットに鋳造した。このインゴットを、1200℃で3hrのソーキングをした後、155mm角の四角材に熱間鍛造して、長さ600mm程度に切断し、155mm角×600mm長さのビレットとした。
供試材から切り出したサンプルで、JIS G 1228に準拠する鋼中の全N量から、全N化合物量を差し引いて固溶N量を算出する。
(a)鋼中の全N量は、不活性ガス融解法−熱伝導度法を用いる。供試鋼素材からサンプルを切り出し、サンプルをるつぼに入れ、不活性ガス気流中で融解してNを抽出し、熱伝導度セルに搬送して熱伝導度の変化を測定する。
(b)鋼中の全N化合物量は、アンモニア蒸留分離インドフェノール青吸光光度法を用いる。供試鋼素材からサンプルを切り出し、10%AA系電解液(鋼表面に不働態皮膜を生成させない非水溶媒系の電解液であり、具体的には10%アセチルアセトン、10%塩化テトラメチルアンモニウム、残部:メタノール)中で、定電流電解を行なう。約0.5gサンプルを溶解させ、不溶解残渣(N化合物)を穴サイズが0.1μmのポリカーボネート製のフィルタでろ過する。不溶解残渣を硫酸、硫酸カリウム及び純Cuチップ中で加熱して分解し、ろ液に合わせる。この溶液を水酸化ナトリウムでアルカリ性にした後、水蒸気蒸留を行い、留出したアンモニアを希硫酸に吸収させる。フェノール、次亜塩素酸ナトリウム及びペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウムを加えて青色錯体を生成させ、光度計を用いて、その吸光度を測定する。
上記の方法によって求めた鋼中の全N量から全N化合物量を差し引くことで鋼中の固溶N量を算出する。
固溶C量の測定には、高温弾性率等同時測定装置(日本テクノプラス株式会社製,EG−HT)を用いた。試験方法は下記のとおりである。そして、図1に示すように内部摩擦のピーク値を固溶C量とした。図1は、供試材1Bの内部摩擦の測定結果を示すものである。
方法:片持ち共振法
温度:室温〜200℃(2℃ピッチ)
雰囲気:アルゴン雰囲気
試料形状:2mm(厚さ)×10mm(幅)×60mm(長さ)
前記それぞれの丸棒材(熱間圧延材、熱間鍛造材)の表面から円柱の直径の1/4の深さの位置かつ横断面が観察できるように、丸棒材の長手方向に対して垂直に切断して樹脂に埋め込み、切断面をエメリー紙およびダイヤモンドバフで鏡面に研磨し、ナイタール液(3%硝酸エタノール溶液)で腐食させた。腐食面を光学顕微鏡で観察して構成組織および結晶粒を判別した。組織解析は、100倍で5箇所(5視野)の写真を撮影し、これらの写真に対して、画像解析ソフト(Image Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用いて画像を2値化して、白色の領域をフェライト相、黒色の領域をセメンタイトとし、それぞれの面積率を求め、5視野の平均値をセメンタイトの面積率(相分率)とした。
表1、2に示す供試材(φ80mmの丸棒材)No.1A〜2Zの中心部(直径の1/4位置)から、φ10mm×15mmの試験片を切り出した。この試験片を、1600トンプレスを用い、端面を拘束した状態で、表3、4に示す室温加工温度で、ひずみ速度10/sの冷間鍛造により試験片の軸方向に80%まで圧縮して、冷間鍛造材を作製した。なお、加工ひずみ速度は、加工中(塑性変形中)のひずみ速度の平均値とした。なお、圧縮率は、試験片の圧縮方向長をH0、圧縮後(冷間鍛造材)の圧縮方向長をHとして表したとき、(H0−H)/H0×100で算出される。そして、冷間鍛造時に、1600トンプレスに付属のロードセルと変位計を用いて、変位抵抗−変位曲線を記録し、この曲線における変形抵抗の最大値を最大変形抵抗とした。また、冷間鍛造により割れの発生した冷間鍛造材を「×」、割れのない冷間鍛造材を「○」として、評価した。
前記で得られた各冷間鍛造材を400℃×120分で時効処理し、前記と同様にして部品硬さH2(ビッカース硬さ(Hv))を測定した。そして、耐時効軟化性の指標として、下式(1)を用い、式(1)を満足する冷間鍛造材を「○」、満足しない冷間鍛造材を「×」として評価した。
(H2/H1)×100≧90・・・(1)
H1:冷間加工直後の部品硬さ(Hv)
H2:時効処理後の部品硬さ(Hv)
Claims (6)
- C:0.03〜0.06質量%、Si:0.01〜0.06質量%、Mn:0.4〜1質量%、P:0.05質量%以下(0質量%を含まない)、S:0.005〜0.05質量%、Al:0.005〜0.03質量%、N:0.008〜0.015質量%、残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
固溶C量が0.01〜0.02質量%、かつ、固溶N量が0.008〜0.015質量%であり、
組織中のセメンタイト相分率が2%以下(0%を含む)で残部がフェライト相であり、
前記フェライト相の平均結晶粒径が20〜100μmであることを特徴とする冷間加工用鋼材。 - 前記成分組成がさらに、Cr:2質量%以下(0質量%を含まない)およびMo:1質量%以下(0質量%を含まない)のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間加工用鋼材。
- 前記成分組成がさらに、Cu:5質量%以下(0質量%を含まない)およびNi:5質量%以下(0質量%を含まない)のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷間加工用鋼材。
- 前記成分組成がさらに、Ca:0.02質量%以下(0質量%を含まない)、REM:0.02質量%以下(0質量%を含まない)、Mg:0.01質量%以下(0質量%を含まない)、Li:0.01質量%以下(0質量%を含まない)より成る群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷間加工用鋼材。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の冷間加工用鋼材を製造する方法であって、
前記成分組成を有する鋼素材を、1100℃以上の温度に加熱して熱間圧延または熱間鍛造する工程と、
前記熱間圧延または熱間鍛造した後に、700〜750℃まで1〜3℃/sの冷却速度で冷却し、引き続き5℃/s以上の冷却速度で300℃以下まで冷却する工程とを含むことを特徴とする冷間加工用鋼材の製造方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の冷間加工用鋼材に冷間加工を施して製造された冷間加工部品であって、
前記冷間加工部品に400℃×120分の時効処理を施した後の部品硬さが、下式(1)を満足することを特徴とする冷間加工部品。
(H2/H1)×100≧90・・・(1)
H1:冷間加工直後の部品硬さ(Hv)
H2:時効処理後の部品硬さ(Hv)
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