JP2010280313A - 車両用操舵伝達比可変式操舵装置 - Google Patents

車両用操舵伝達比可変式操舵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵伝達比可変式操舵装置により操舵伝達比が変更された後に操舵装置に残存するオフセットに起因して運転者が操舵操作時に覚える違和感を低減する。
【解決手段】操舵伝達比可変装置14によって操舵伝達比を変更する特定の制御によりオフセットが生じたときには(S180〜200)、特定の制御が終了する際のステアリングホイール20の操舵位置を基準操舵位置とし、基準操舵位置の両側の二つの操舵領域のうちステアリングホイール20の車両直進位置に対しオフセットの側と同一の側の操舵領域を第一の操舵領域とし、オフセットが0であるときの操舵伝達比を標準の操舵伝達比とする。特定の制御の終了後に運転者が第一の操舵領域に於いて操舵操作する場合には(S160)、目標ステアリングギヤ比Rstを標準よりも小さくすることにより(S210)操舵伝達比を標準の操舵伝達比よりも大きくする。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両の操舵装置に係り、更に詳細には操舵伝達比可変式の操舵装置に係る。
ステアリングホイールへの操舵入力量に対する操舵輪の転舵量の比である操舵伝達比を変更可能な操舵伝達比可変装置を備え、必要に応じて操舵伝達比を変更する操舵伝達比可変式の操舵装置は従来よく知られている。操舵伝達比可変式操舵装置により操舵伝達比が変更されると、ステアリングホイールの操舵操作位置と操舵輪の舵角との関係が操舵伝達比変更前の関係よりずれるので、所謂オフセットが発生する。そのため操舵伝達比可変式操舵装置に於いては、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、操舵伝達比が変更された後に運転者によりステアリングホイールが切り増し操作される際又は切り戻し操作される際に操舵伝達比が元の値に戻され、これによりオフセットが解消されるようになっている。
特開2005−8033号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
操舵伝達比可変式操舵装置を備えた車両に於いて、操舵伝達比が変更された後に操舵伝達比が急激に元の値に戻されると、運転者の操舵操作に対する車両挙動の関係が急激に変化するため、操舵伝達比を元の値に戻す速度には自ずと限度がある。そのため例えば緊急回避操舵の如き非常に急激な操舵操作が行われたり、車両の走行時の安全確保の目的で操舵伝達比可変装置によって操舵輪が急激にアクティブ操舵されたりすると、操舵伝達比が元の値に戻されてもオフセットが解消せずに残存する場合がある。
かくしてオフセットが残存すると、ステアリングホイールの操舵操作位置と操舵輪の舵角との関係が本来あるべき関係よりずれるので、運転者が操舵操作に違和感を覚えることが避けられない。例えば運転者が車両を直進させようとすると、オフセットをキャンセルするようステアリングホイールを操舵して保持しなければならず、運転者が車両を旋回させようとすると、ステアリングホイールを本来の回転位置とは異なる回転位置へ回転操作しなければならない。また運転者がステアリングホイールを更に回転操作して車両の旋回半径を小さくしようとすると、オフセットの方向によっては比較的早期にステアリングホイールを持ち替えなければステアリングホイールを回転操作することができない。
本発明は、従来の操舵伝達比可変式操舵装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、操舵伝達比が変更された後に残存するオフセットに起因して運転者が操舵操作時に覚える違和感を低減することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち操舵入力手段への操舵操作量に対する操舵輪の転舵量の比である操舵伝達比を変更可能な操舵伝達比可変装置と、前記操舵伝達比可変装置を制御する制御手段とを有する車両用操舵伝達比可変式操舵装置にして、前記制御手段は、前記操舵伝達比可変装置によって操舵伝達比を変更する特定の制御により前記操舵輪の舵角に対する前記操舵入力手段の操舵位置の関係にオフセットが生じたときには、前記特定の制御が終了する際の前記操舵入力手段の操舵位置を基準操舵位置とし、前記基準操舵位置の両側の二つの操舵領域のうち前記操舵入力手段の車両直進位置に対し前記オフセットの側と同一の側の操舵領域を第一の操舵領域とし、前記オフセットが0であるときの操舵伝達比を標準の操舵伝達比として、前記特定の制御の終了後に運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも大きくすることを特徴とする車両用操舵伝達比可変式操舵装置によって達成される。
上記請求項1の構成によれば、所定の制御の終了後に運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には、操舵伝達比が標準の前記操舵伝達比よりも大きくされる。従って運転者が操舵入力手段を操舵操作し難い第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に於ける操舵入力手段の必要操舵量を小さくすることができ、運転者は操舵入力手段の小さい操舵操作量にて操舵輪を所望量転舵することができる。よって運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する状況に於いて操舵伝達比が標準の操舵伝達比よりも大きくされない場合に比して、運転者は第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する際に車両を容易に旋回させることができ、これにより違和感を低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制御手段は、前記基準操舵位置に対し前記第一の操舵領域とは反対の側の操舵領域を第二の操舵領域として、運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも小さくするよう構成される(請求項2の構成)。
上記請求項2の構成によれば、運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には、操舵伝達比が標準の操舵伝達比よりも小さくされる。従って運転者が操舵入力手段を操舵操作し易い第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に於ける操舵入力手段の必要操舵量を大きくすることができる。よって運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する状況に於いて操舵伝達比が標準の操舵伝達比よりも小さくされない場合に比して、運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作することによる車両の旋回をさせ難くすることができ、これにより操舵入力手段を容易に操舵操作できることに起因する違和感を低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも小さくする量は、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも大きくする量よりも小さいよう構成される(請求項3の構成)。
上記請求項3の構成によれば、操舵伝達比を標準の操舵伝達比よりも小さくする量は、操舵伝達比を標準の操舵伝達比よりも大きくする量よりも小さい。従って第一の操舵領域に於ける操舵入力手段の操舵操作を効果的に容易にしつつ、第二の操舵領域に於ける操舵入力手段の操舵操作が過剰に困難になることを効果的に防止することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は前記オフセットの大きさに応じて前記操舵伝達比の変更量を可変設定するよう構成される(請求項4の構成)。
上記請求項4の構成によれば、オフセットの大きさに応じて操舵伝達比の変更量が可変設定される。従ってオフセットの大きさに関係なく操舵伝達比の変更量が一定である場合に比して、第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作し難い度合に応じて操舵輪を転舵し易くする度合を可変設定することができる。
また本発明によれば、上記請求項1乃至4の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は前記操舵伝達比の変更開始後に於ける前記オフセットの大きさが基準値以下になったときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すよう構成される(請求項5の構成)。
上記請求項5の構成によれば、操舵伝達比の変更開始後に於けるオフセットの大きさが基準値以下になったときには、操舵伝達比の変更が終了され、操舵伝達比が標準の操舵伝達比に戻される。従って前記操舵伝達比の変更開始後にオフセットの大きさが小さくなり、第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作し難い度合が低下すると、操舵伝達比を標準の操舵伝達比に戻すことができ、操舵伝達比の変更が不必要に継続されることを防止することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至5の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は運転者が前記操舵入力手段を持ち替えたと推定したときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項6の構成によれば、運転者が操舵入力手段を持ち替えたと推定されたときには、操舵伝達比の変更が終了され、操舵伝達比が標準の操舵伝達比に戻される。従って運転者が操舵入力手段を持ち替えることにより操舵輪を転舵操作し易くなった状況に於いて、操舵伝達比を標準の操舵伝達比に戻し、操舵伝達比の変更が不必要に継続されることを防止することができる。
また本発明によれば、上記請求項6の構成に於いて、前記制御手段は、運転者が前記第一の操舵領域にて前記基準操舵位置より離れる方向へ前記操舵入力手段を操舵操作している過程に於いて、前記操舵入力手段の操舵操作速度が操舵操作速度判定基準値以上になったときに、運転者が前記操舵入力手段を持ち替えたと推定するよう構成される(請求項7の構成)。
上記請求項7の構成によれば、運転者が第一の操舵領域にて基準操舵位置より離れる方向へ操舵入力手段を操舵操作している過程に於いて、操舵入力手段の操舵操作速度が操舵操作速度判定基準値以上になったときに、運転者が操舵入力手段を持ち替えたと推定される。また操舵入力手段の操舵操作速度は操舵入力手段の操舵位置の変化速度として判定可能である。従って操舵入力手段の持ち替えを検出するための特別の手段を要することなく操舵入力手段の持ち替えを推定することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至7の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は前記第一の操舵領域に於いて前記基準操舵位置より離れる方向への前記操舵入力手段の操舵操作量が操舵操作量判定基準値以上になったときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すよう構成される(請求項8の構成)。
上記請求項8の構成によれば、第一の操舵領域に於いて基準操舵位置より離れる方向への操舵入力手段の操舵操作量が操舵操作量判定基準値以上になったときに、操舵伝達比の変更が終了され、操舵伝達比が標準の操舵伝達比に戻される。一般に、第一の操舵領域に於いて基準操舵位置より離れる方向への操舵入力手段の操舵操作量が大きくなると、運転者は操舵入力手段を持ち替える。従って操舵操作量判定基準値を適宜に設定することにより、操舵入力手段の持ち替えを検出したり判定したりすることなく運転者が操舵入力手段を持ち替える前後に於いて操舵伝達比の変更を終了し、操舵伝達比を標準の操舵伝達比に戻すことができる。
尚第一の操舵領域に於いては操舵伝達比が標準の操舵伝達比よりも大きくされるので、操舵伝達比が標準の操舵伝達比である場合に比して操舵入力手段の操舵位置に対する操舵輪の舵角の関係のオフセットが小さくなる。従って運転者が操舵入力手段を持ち替える前に操舵伝達比の変更が終了され、操舵伝達比が標準の操舵伝達比に戻されても、その際の操舵伝達比の変化は第一の操舵領域に於いて操舵伝達比が標準の操舵伝達比よりも大きくされない場合に比して小さい。
また本発明によれば、上記請求項1乃至8の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は車速が高いときには車速が低いときに比して前記操舵伝達比を大きくする量が大きくなるよう、車速に応じて前記操舵伝達比を大きくする量を可変設定するよう構成される(請求項9の構成)。
一般に、低車速域に於いては、操舵入力手段の操舵操作量の大きさが大きいので、運転者により操舵入力手段の持ち替えが行われる可能性が高く、第一の操舵領域に於ける操舵操作のし難さを操舵伝達比の増大によって補填する必要性が低い。これに対し高車速域に於いては、操舵入力手段の操舵操作量の大きさが小さいので、運転者により操舵入力手段の持ち替えが行われる可能性が低く、第一の操舵領域に於ける操舵操作のし難さを操舵伝達比の増大によって補填する必要性が高い。
上記請求項9の構成によれば、車速が高いときには車速が低いときに比して操舵伝達比を大きくする量が大きくなるよう、車速に応じて操舵伝達比を大きくする量が可変設定される。従って車速に関係なく操舵伝達比を大きくする量が一定である場合に比して、第一の操舵領域に於ける操舵入力手段の操舵操作のし難さを操舵伝達比の増大によって補填する必要性に応じて操舵伝達比の変更による操舵輪の転舵し易さを適正に変更することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至9の何れか一つの構成に於いて、前記制御手段は運転者による前記操舵入力手段の操舵操作速度が高いときには前記操舵操作速度が低いときに比して前記操舵伝達比の変更量が大きくなるよう、前記操舵操作速度に応じて前記操舵伝達比の変更量を可変設定するよう構成される(請求項10の構成)。
上記請求項10の構成によれば、運転者による操舵入力手段の操舵操作速度が高いときには操舵操作速度が低いときに比して操舵伝達比の変更量が大きくなるよう、操舵操作速度に応じて操舵伝達比の変更量が可変設定される。従って操舵入力手段の操舵操作速度が高く、運転者が速やかに操舵輪を転舵させたいときには、操舵入力手段の操舵操作速度が低く、運転者がゆっくりと操舵輪を転舵させたいときに比して、第一の操舵領域に於ける操舵入力手段の操舵操作のし難さを効果的に低減することができる。
また本発明によれば、上記請求項1乃至10の何れか一つの構成に於いて、車両は操舵補助力を発生する操舵補助力発生手段を有し、前記制御手段は運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、操舵補助力を大きくするよう構成される(請求項11の構成)。
上記請求項11の構成によれば、運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、操舵補助力が大きくされる。従って運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に、操舵補助力によって確実に操舵入力手段を操舵操作し易くすることができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至11の何れか一つの構成に於いて、前記操舵輪は前輪であり、車両は後輪を操舵する後輪操舵装置を有し、前記制御手段は運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化するよう後輪の舵角を修正するよう構成される(請求項12の構成)。
上記請求項12の構成によれば、運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化するよう後輪の舵角が修正される。従って運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合に、操舵入力手段の操舵操作量が小さくても後輪の舵角の修正によって確実に車両を旋回させ易くすることができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、操舵伝達比を標準の操舵伝達比よりも大きくする量は第一の操舵領域全体に亘り一定であるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、制御手段は、基準操舵位置に対し第一の操舵領域とは反対の側の操舵領域を第二の操舵領域として、運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には、操舵伝達比を標準の操舵伝達比に設定するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、操舵伝達比を標準の操舵伝達比よりも小さくする量は第二の操舵領域全体に亘り一定であるよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4乃至12又は上記好ましい態様1乃至3の何れか一つの構成に於いて、制御手段はオフセットの大きさが大きいほど操舵伝達比の変更量を大きくするよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至12又は上記好ましい態様1乃至4の何れか一つの構成に於いて、制御手段は現在の操舵角と基準操舵角との偏差の大きさが基準値以下になったときには、操舵伝達比の変更を終了し、操舵伝達比を標準の操舵伝達比に戻すよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項9乃至12又は上記好ましい態様1乃至5の何れか一つの構成に於いて、制御手段は車速が高いほど操舵伝達比を大きくする量を大きくするようよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項10乃至12又は上記好ましい態様1乃至6の何れか一つの構成に於いて、制御手段は運転者による操舵入力手段の操舵操作速度が高いほど操舵伝達比の変更量を大きくするよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項11又は12又は上記好ましい態様1乃至7の何れか一つの構成に於いて、オフセットが0であるときの操舵補助力を標準の操舵補助力として、制御手段は運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には操舵補助力を標準の操舵補助力よりも大きくするよう構成される(好ましい態様8)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項11又は12又は上記好ましい態様1乃至8の何れか一つの構成に於いて、オフセットが0であるときの操舵補助力を標準の操舵補助力として、制御手段は運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には操舵補助力を標準の操舵補助力よりも小さくするよう構成される(好ましい態様9)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項12又は上記好ましい態様1乃至9の何れか一つの構成に於いて、オフセットが0であるときの後輪の舵角を標準の後輪の舵角として、運転者が第一の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には、後輪の舵角が標準の後輪の舵角に対し前輪に対する逆相の側へ変化するよう後輪の舵角を修正するよう構成される(好ましい態様10)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項12又は上記好ましい態様1乃至9の何れか一つの構成に於いて、オフセットが0であるときの後輪の舵角を標準の後輪の舵角として、運転者が第二の操舵領域に於いて操舵入力手段を操舵操作する場合には、後輪の舵角が標準の後輪の舵角に対し前輪に対する同相の側へ変化するよう後輪の舵角を修正するよう構成される(好ましい態様11)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項11又は上記好ましい態様1乃至11の何れか一つの構成に於いて、制御手段はオフセットの大きさに応じて操舵補助力の変更量を可変設定するよう構成される(好ましい態様12)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項11又は上記好ましい態様1乃至12の何れか一つの構成に於いて、制御手段は車速が高いときには車速が低いときに比して操舵補助力を大きくする量が大きくなるよう、車速に応じて操舵補助力を大きくする量を可変設定するよう構成される(好ましい態様13)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項11又は上記好ましい態様1乃至13の何れか一つの構成に於いて、制御手段は運転者による操舵入力手段の操舵操作速度が高いときには操舵操作速度が低いときに比して操舵補助力の変更量が大きくなるよう、操舵操作速度に応じて操舵補助力の変更量を可変設定するよう構成される(好ましい態様14)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項12又は上記好ましい態様1乃至14の何れか一つの構成に於いて、制御手段はオフセットの大きさに応じて後輪の舵角の修正量を可変設定するよう構成される(好ましい態様15)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項12又は上記好ましい態様1乃至15の何れか一つの構成に於いて、制御手段は車速が高いときには車速が低いときに比して後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化する量が大きくなるよう、車速に応じて後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化する量を可変設定するよう構成される(好ましい態様16)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項12又は上記好ましい態様1乃至16の何れか一つの構成に於いて、制御手段は運転者による操舵入力手段の操舵操作速度が高いときには操舵操作速度が低いときに比して後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化する量が大きくなるよう、操舵操作速度に応じて後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化する量を可変設定するよう構成される(好ましい態様17)。
電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両用操舵伝達比可変式操舵装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。 ステアリングギヤ比制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図2に示されたフローチャートのステップ190に於けるオフセット演算ルーチンを示すフローチャートである。 図2に示されたフローチャートのステップ160に於けるステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件成立判定ルーチンを示すフローチャートである。 図2に示されたフローチャートのステップ210に於けるステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比演算ルーチンを示すフローチャートである。 操舵アシストトルク制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図6に示されたフローチャートのステップ350に於ける補正係数Kp演算ルーチンを示すフローチャートである。 後輪操舵装置が搭載された車両に適用された本発明による車両用操舵伝達比可変式操舵装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。 後輪操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図9に示されたフローチャートのステップ440に於ける補正係数Kr演算ルーチンを示すフローチャートである。 操舵速度及び車速Vと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの間の関係を示すマップである。 ピニオン角度のオフセットφoの絶対値とオフセット補正係数Kco、Ksoとの間の関係を示すマップである。 車速Vと車速補正係数Kcvvとの間の関係を示すマップである。 操舵角速度θdの絶対値と操舵角速度補正係数Kcsv、Kssvとの間の関係を示すマップである。 操舵トルクTsと基本アシストトルクTabとの間の関係を示すマップである。 車速Vと車速係数Kvとの間の関係を示すマップである。 ピニオン角度のオフセットφoの絶対値とオフセット補正係数Kpco、Kpsoとの間の関係を示すマップである。 車速Vと車速補正係数Kpcvとの間の関係を示すマップである。 操舵角速度θdの絶対値と操舵角速度補正係数Kpcsv、Kpssvとの間の関係を示すマップである。 車速Vと前後輪舵角比Rsとの間の関係を示すマップである。 ピニオン角度のオフセットφoの絶対値とオフセット補正係数Krco、Krsoとの間の関係を示すマップである。 車速Vと車速補正係数Krcvとの間の関係を示すマップである。 操舵角速度θdの絶対値と操舵角速度補正係数Krcsv、Krssvとの間の関係を示すマップである。 右旋回のオフセットの場合について、左右差制御が行われる場合に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係(実線)を、左右差制御が行われない場合に於ける関係(破線)と共に示すグラフである。 左旋回のオフセットの場合について、左右差制御が行われる場合に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係(実線)を、左右差制御が行われない場合に於ける関係(破線)と共に示すグラフである。 オフセットが生じていない場合(実線)及びオフセットが生じた場合(破線)について、操舵角θとピニオン角度φとの関係を示すグラフである。 オフセットが生じていない場合(A)及び右旋回方向へのオフセットが生じた場合(B)について、車両の直進時に於ける運転者によるステアリングホイール20の保持状況を示す説明図である。 左右差制御が行われる場合に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係がオフセットφoの大きさによって変化することを示す説明図である。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による車両用操舵伝達比可変式操舵装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、本発明による操舵装置10は車両12に搭載され、転舵角可変装置14及びこれを制御する電子制御装置16を含んでいる。また図1に於いて、18FL及び18FRはそれぞれ車両12の操舵輪としての左右の前輪を示し、18RL及び18RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪18FL及び18FRは運転者によるステアリングホイール20の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置22によりラックバー24及びタイロッド26L及び26Rを介して転舵される。
ステアリングホイール20はアッパステアリングシャフト28、転舵角可変装置14、ロアステアリングシャフト30、ユニバーサルジョイント32を介してパワーステアリング装置22のピニオンシャフト34に駆動接続されている。図示の実施形態に於いては、転舵角可変装置14はハウジング14Aの側にてアッパステアリングシャフト28の下端に連結され、回転子14Bの側にてロアステアリングシャフト30の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機36を含んでいる。
かくして転舵角可変装置14はアッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30を回転駆動することにより、左右の前輪18FL及び18FRをステアリングホイール20に対し相対的に補助転舵駆動する。よって転舵角可変装置14はステアリングギヤ比(操舵伝達比の逆数)を増減変化させるステアリングギヤ比可変手段、従って操舵伝達比可変装置として機能し、電子制御装置16の舵角制御部により制御される。
尚アッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30を回転駆動することができない異常が転舵角可変装置14に発生すると、図1には示されていないロック装置が作動し、アッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト30の相対回転角度が変化しないよう、ハウジング14A及び回転子14Bの相対回転が機械的に阻止される。
図示の実施形態に於いては、電動式パワーステアリング装置22はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、電動機38と、電動機38の回転トルクをラックバー24の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構42とを有する。電動式パワーステアリング装置22は電子制御装置16の電動式パワーステアリング装置(EPS)制御部によって制御され、ハウジング44に対し相対的にラックバー24を駆動する補助操舵力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する補助操舵アシスト力発生装置として機能する。尚補助操舵アシスト力発生装置は当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよい。
図示の実施形態に於いては、アッパステアリングシャフト28には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角θとして検出する操舵角センサ50及び操舵トルクTsを検出する操舵トルクセンサ52が設けられている。ロアステアリングシャフト30にはその回転角度をピニオン角度(ピニオンシャフト34の回転角度)φとして検出する回転角度センサ54が設けられている。操舵角θを示す信号、操舵トルクTsを示す信号、ピニオン角度φを示す信号は、車速センサ56により検出された車速Vを示す信号と共に電子制御装置16の舵角制御部及びEPS制御部へ入力される。
尚回転角度センサ54は転舵角可変装置14の相対回転角度θre、即ちアッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト30の相対回転角度を検出する回転角度センサに置き換えられてもよい。
また車両12には車両の前方を撮影するCCDカメラ58及び車両の前方の障害物までの距離を検出するレーダセンサ60が設けられている。CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報及びレーダセンサ60により検出された両の前方の障害物までの距離を示す信号は電子制御装置16の衝突防止制御部へ入力される。
尚電子制御装置16の各制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ50、操舵トルクセンサ52、回転角度センサ54はそれぞれ車両の右旋回方向への操舵又は転舵の場合を正として操舵角θ、操舵トルクTs、ピニオン角度φを検出する。
後に詳細に説明する如く、電子制御装置16は、車速Vが高いほど大きくなるよう、また操舵速度(操舵角速度θdの絶対値)が高いほど大きくなるよう、車速Vに基づき所定の操舵特性を達成するための基本目標ステアリングギヤ比Rsbtを演算する。
また電子制御装置16は、CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報に基づき車両の前方に障害物があるか否かを判定し、障害物があるときにはレーダセンサ60により検出された車両前方の障害物までの距離、その変化率、自車の車速等に基づき障害物と自車との間の距離が安全な距離になるよう、図には示されていない制動装置を制御することにより車両を減速させる。
また電子制御装置16は、車両を減速させても障害物と自車との間の距離を安全な距離にできないときには、CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報に基づき自車が障害物に衝突しないよう、転舵角可変装置14により左右の前輪18FL及び18FRを転舵する(衝突防止操舵)。
尚、緊急回避操舵時の如く運転者による操舵速度が高いこと又は衝突防止操舵により左右の前輪18FL及び18FRが転舵角可変装置14によって基準値以上の転舵速度にて転舵されることがある制御を「特定の制御」と呼ぶこととする。
電子制御装置16は、特定の制御の終了条件が成立し特定の制御が終了すると、その時点の操舵角θを基準操舵角θsとして図1には示されていない記憶装置に記憶する。また電子制御装置16は、特定の制御が終了すると、転舵角可変装置14に基準値以上のオフセットθoが生じているか否かを判定する。
尚、「オフセットθo」は、操舵輪である左右の前輪18FL及び18FRの舵角φに対する操舵入力手段としてのステアリングホイール20の操舵位置の関係のずれであり、具体的には左右の前輪18FL及び18FRが車両の直進位置にあるとき、即ちピニオン角度φが0であるときに於ける操舵角θの値である。
そして電子制御装置16は、転舵角可変装置14に基準値以上のオフセットθoが生じているときには、操舵角θが基準操舵角θsに対しオフセットθoの側の第一の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される場合には、操舵角θが基準操舵角θsに対しオフセットθoとは反対の側の第二の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される場合に比して、ステアリングギヤ比Rstが小さくなって操舵伝達比が大きくなるよう、転舵角可変装置14を制御する(ステアリングギヤ比の左右差制御)。
更に電子制御装置16は、操舵トルクTs及び車速Vに基づいて操舵アシスト力を発生するための目標アシストトルクTaを演算し、アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう電動式パワーステアリング装置22を制御することにより運転者の操舵負担を軽減する。
そして電子制御装置16は、転舵角可変装置14に基準値以上のオフセットが生じているときには、第一の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される場合には、第二の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される場合に比して、運転者がステアリングホイール20を回転操作し易くなるよう、転舵角可変装置14のオフセットに応じて目標アシストトルクTaを修正する。
尚、上述の基本目標ステアリングギヤ比Rsbtの演算要領や、転舵角可変装置14のオフセットに応じた目標アシストトルクTaの修正を除く操舵アシスト力の制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、操舵アシスト力の基本的な制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
次に図2乃至図5に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於けるステアリングギヤ比制御について説明する。尚図2はステアリングギヤ比制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、図3は図2に示されたフローチャートのステップ190に於けるオフセット演算ルーチンを示すフローチャートであり、図4は図2に示されたフローチャートのステップ160に於けるステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件成立判定ルーチンを示すフローチャートであり、図5は図2に示されたフローチャートのステップ210に於けるステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比演算ルーチンを示すフローチャートである。また図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
図2に示されたステアリングギヤ比制御のメインルーチンのステップ110に於いては、操舵角θの時間微分値として操舵角速度θdが演算されると共に、操舵角速度θdの絶対値、即ち操舵速度及び車速Vに基づき図11に示されたマップより基本目標ステアリングギヤ比Rsbtが演算される。
ステップ120に於いては特定の制御中であるか否かの判別、即ち左右の前輪18FL及び18FRが転舵角可変装置14によって基準値以上の転舵速度にて転舵されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときはステップ180へ進み、否定判別が行われたときにはステップ130へ進む。
ステップ130に於いては、例えば運転者による操舵速度が基準値以上であるか又は衝突防止操舵が必要であるか否かの判別により、特定の制御の開始条件が成立しているか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときはステップ140に於いて特定の制御が実行され、しかる後ステップ110へ戻り、否定判別が行われたときにはステップ150へ進む。
ステップ150に於いてはステアリングギヤ比の左右差制御中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ175へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ160へ進む。
ステップ160に於いては図4に示された判定ルーチンに従ってステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ210へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ175に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに設定され、しかる後ステップ240へ進む。
ステップ180に於いては特定の制御の終了条件が成立しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ140へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ190に於いて図3に示された演算ルーチンに従って基準操舵角θs、オフセットθo、ピニオン角度のオフセットφoが演算される。
ステップ200に於いてはオフセットθoの大きさであるピオフセットθoの絶対値が基準値θa(正の定数)以上であるか否かの判別、即ちステアリングギヤ比の左右差制御を開始する必要があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ175へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ210へ進む。
ステップ210に於いては図5に示された演算ルーチンに従ってステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比Rstが演算され、ステップ210が完了するとステップ240に於いてステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Rstになるよう転舵角可変装置14が制御される。
図3に示されたオフセット演算ルーチンのステップ192に於いては、ステップ180に於いて肯定判別が行われた時点、即ち特定の制御の終了条件が成立していると判定された時点に於ける操舵角θが「操舵入力手段の基準操舵位置」に対応する基準操舵角θsに決定される。また上記時点に於けるピニオン角度φが基準操舵角θsに対応する基準ピニオン角度φsに決定される。
ステップ194に於いては操舵速度及び車速Vに基づき図11に示されたマップより基本目標ステアリングギヤ比Rsbtが演算される。
ステップ196に於いては操舵角θと目標ステアリングギヤ比Rsbtとの関係を示す下記の式1の操舵角θに基準操舵角θsを代入し、ピニオン角度φに基準ピニオン角度φsを代入することにより、操舵角θが0であるときのピニオン角度φであるピニオン角度のオフセットφoが演算される。
φ=θ/Rsbt+φo ……(1)
ステップ198に於いては上記式1のピニオン角度φに0を代入し、φoにステップ196に於いて演算された値を代入することにより、ピニオン角度φが0であるときの操舵角θとしてオフセットθoが演算される。
図4に示されたステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件成立判定ルーチンのステップ162に於いては、本来の操舵角θbt、即ち左右差制御が行われない場合に於ける現在のピニオン角度φに対応する操舵角θが、上記式1のφoを0とすることによりピニオン角度φと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積として演算される。
ステップ164に於いては現在のオフセットの大きさ、即ち現在の操舵角θと本来の操舵角θbtとの偏差Δθ(=θ−θbt)の絶対値が左右差制御の終了判定の基準値θb(正の定数)以下であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときはステップ174へ進み、否定判別が行われたときにはステップ166へ進む。
ステップ166に於いては操舵角θより基準操舵角θsが減算された補正後の操舵角(実効操舵角)θ−θsの絶対値が左右差制御の終了判定の基準値θc(正の定数)以上であるか否かの判別、即ちステアリングホイール20が基準操舵角θsの位置に対し基準角度値以上回転操作されたか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときはステップ174へ進み、否定判別が行われたときにはステップ168へ進む。
ステップ168に於いては運転者によりステアリングホイール20の持ち替えが行われたか否かの判別が推定によって行われ、肯定判別が行われたときはステップ174へ進み、否定判別が行われたときにはステップ170へ進む。尚ステアリングホイール20の持ち替えは、例えばステアリングホイール20が把持されているか否かを検出する把持スイッチがステアリングホイールに組み込まれることにより判定されてもよい。またステアリングホイール20の持ち替えは、例えば操舵角θが増加又は減少する過程に於いて操舵速度が一旦減少した後車速Vに応じて可変設定される基準値以上になったか否かの判別により行われてもよい。
ステップ170に於いてはオフセットθoの符号signθoと操舵角θとの積signθo・θが左右差制御の終了判定の基準値θd(正の定数であり、例えば統計的にステアリングホイールの持ち替えが行われる操舵角として決定される)以上であるか否かの判別が行われる。即ちステアリングホイール20がそのニュートラル位置に対しオフセットθoの方向へ基準値以上回転操作されたか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときにはステップ172に於いてステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件が成立していないと判定され、肯定判別が行われたときはステップ174に於いてステアリングギヤ比の左右差制御の終了条件が成立していると判定される。
図5に示されたステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比演算ルーチンのステップ212に於いては、ピニオン角度のオフセットφoの絶対値に基づき図12に示されたマップよりクイック側のオフセット補正係数Kco及びスロー側のオフセット補正係数Ksoが演算される。
ステップ214に於いては車速Vに基づき図13に示されたマップよりクイック側の車速補正係数Kcvvが演算され、ステップ216に於いては操舵角速度θdの絶対値に基づき図14に示されたマップよりクイック側の操舵角速度補正係数Kcsv及びスロー側の操舵角速度補正係数Kssvが演算される。
ステップ218に於いてはクイック側の基本補正係数Kcb(1よりも小さい正の定数)とクイック側のオフセット補正係数Kcoと車速補正係数Kcvvと操舵角速度補正係数Kcsvとの積として、基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するクイック側の補正係数Kcが演算される。
ステップ220に於いてはスロー側の基本補正係数Ksb(1よりも大きい正の定数であり、Ksbと1との差は1とKcbとの差よりも小さい)とスロー側のオフセット補正係数Ksoと操舵角速度補正係数Kssvとの積として、基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するスロー側の補正係数Ksが演算される。
ステップ222に於いてはオフセットθoが正の値であるか否かの判別、即ち転舵角可変装置14のオフセットが右旋回方向であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ226へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ224へ進む。
ステップ224に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別、即ち左右の前輪18FL及び18FRの舵角が基準操舵角θsに対し右旋回側の舵角であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ228へ進み、否定判別が行われたときはステップ230へ進む。
同様にステップ226に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときにはステップ228に於いてステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比Rstがクイック側の補正係数Kcと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。肯定判別が行われたときはステップ230に於いてステアリングギヤ比の左右差制御の目標ステアリングギヤ比Rstがスロー側の補正係数Ksと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。
次に図6及び図7に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける操舵アシストトルク制御について説明する。尚図6は操舵アシストトルク制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、図7は図6に示されたフローチャートのステップ350に於ける補正係数Kp演算ルーチンを示すフローチャートである。また図6に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
図6に示された操舵アシストトルク制御ルーチンのステップ310に於いては、操舵トルクTsに基づき図15に示されたマップより基本アシストトルクTabが演算され、ステップ320に於いては車速Vに基づき図16に示されたマップより車速係数Kvが演算される。
ステップ330に於いてはステアリングギヤ比の左右差制御中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ340に於いて補正係数Kpが1に設定された後ステップ380へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ350に於いて補正係数Kpが図7に示されたルーチンに従って演算された後ステップ380へ進む。
ステップ380に於いては補正係数Kpと車速係数Kvと基本アシストトルクTabとの積として目標アシストトルクTaが演算され、ステップ390に於いては目標アシストトルクTaに対応する制御信号がモータ38へ出力され、これによりアシストトルクが目標アシストトルクTaになるようアシストトルクの制御が実行される。
図7に示された補正係数Kp演算ルーチンのステップ352に於いては、ピニオン角度のオフセットφoの絶対値に基づき図17に示されたマップよりクイック側のオフセット補正係数Kpco及びスロー側のオフセット補正係数Kpsoが演算される。
ステップ354に於いては車速Vに基づき図18に示されたマップよりクイック側の車速補正係数Kpcvが演算され、ステップ356に於いては操舵角速度θdの絶対値に基づき図19に示されたマップよりクイック側の操舵角速度補正係数Kpcsv及びスロー側の操舵角速度補正係数Kpssvが演算される。
ステップ358に於いてはクイック側の基本補正係数Kpcb(1よりも大きい正の定数)とクイック側のオフセット補正係数Kpcoと車速補正係数Kpcvと操舵角速度補正係数Kpcsvとの積として、基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するクイック側の補正係数Kpcが演算される。
ステップ360に於いてはスロー側の基本補正係数Kpsb(1よりも小さい正の定数)とスロー側のオフセット補正係数Kpsoと操舵角速度補正係数Kpssvとの積として、基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するスロー側の補正係数Kpsが演算される。
ステップ362に於いてはオフセットθoが正の値であるか否かの判別、即ち転舵角可変装置14のオフセットが右旋回方向であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ366へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ364へ進む。
ステップ364に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別、即ち左右の前輪18FL及び18FRの舵角が基準操舵角θsに対し右旋回側の舵角であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ368へ進み、否定判別が行われたときはステップ370へ進む。
同様にステップ366に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときにはステップ368に於いて補正係数Kpがクイック側の基本補正係数Kpcに設定され、肯定判別が行われたときはステップ370に於いて補正係数Kpがスロー側の補正係数Kpsに設定される。
[第二の実施形態]
図8は後輪操舵装置が搭載された車両に適用された本発明による車両用操舵伝達比可変式操舵装置の第二の実施形態を示す概略構成図である。尚図8に於いて、図1に示された部材に対応する部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この第二の実施形態に於いては、左右の後輪18RL及び18RRは、運転者による左右の前輪18FL及び18FRの操舵とは無関係に、後輪操舵装置64の油圧式又は電動式のパワーステアリング装置66によりタイロッド68L及び68Rを介して操舵可能である。後輪操舵装置64は後に詳細に説明する如く電子制御装置16の後輪操舵制御部により制御される。電子制御装置16の後輪操舵制御部には舵角センサ70により検出された後輪の舵角δrを示す信号が入力される。
またこの第二の実施形態に於いては、電子制御装置16は、上述の第一の実施形態の場合と同様に転舵角可変装置14を制御する。また電子制御装置16は、それぞれ操舵トルクTs及び車速Vに基づいて図15及び図16に示されたマップより基本アシストトルクTab及び車速係数Kvを演算する。そして電子制御装置16は、転舵角可変装置14にオフセットが生じているか否かに関係なく、基本アシストトルクTab及び車速係数Kvの積として目標アシストトルクTaを演算し、アシストトルクが目標アシストトルクTaになるよう後輪操舵装置64を制御する。
更に電子制御装置16は、車速V、操舵角θ、基準操舵角θoに基づいて目標後輪舵角δrtを演算し、後輪の舵角δrが目標後輪舵角δrtになるよう後輪操舵装置64を制御する。特に転舵角可変装置14にオフセットが生じており、後輪が前輪に対し逆相であるときには、運転者がステアリングホイール20をオフセットの方向へ操舵操作する場合にはステアリングホイール20をオフセットの方向とは逆方向へ操舵操作する場合に比して、車両10が回頭し易くなるよう、電子制御装置16は転舵角可変装置14のオフセットに応じて目標後輪舵角δrtの大きさを増大修正する。
逆に転舵角可変装置14にオフセットが生じており、後輪が前輪と同相であるときには、運転者がステアリングホイール20をオフセットの方向へ操舵操作する場合にはステアリングホイール20をオフセットの方向とは逆方向へ操操作舵する場合に比して、車両10が回頭し易くなるよう、電子制御装置16は転舵角可変装置14のオフセットに応じて目標後輪舵角δrtの大きさを低減修正する。
次に図9及び図10に示されたフローチャートを参照して第二の実施形態に於ける後輪操舵制御について説明する。尚図9は後輪操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、図10は図9に示されたフローチャートのステップ450に於ける補正係数Kr演算ルーチンを示すフローチャートである。また図9に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
図9に示された後輪操舵制御ルーチンのステップ410に於いては、車速Vに基づき図20に示されたマップより前後輪舵角比Rsが演算される。
ステップ420に於いてはステアリングギヤ比の左右差制御中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ430に於いて補正係数Krが1に設定された後ステップ470へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ440に於いて補正係数Krが図10に示されたルーチンに従って演算された後ステップ470へ進む。
ステップ470に於いては実効操舵角θ−θs、即ち操舵角θより基準操舵角θsが減算された補正後の操舵角と、補正係数Krと、前後輪舵角比Rsとの積として目標後輪舵角δrtが演算される。
ステップ480に於いては目標後輪舵角δrtに対応する制御信号が後輪操舵装置64へ出力され、これにより後輪の舵角δrが目標後輪舵角δrtになるよう後輪の舵角の制御が実行される。
図10に示された補正係数Kr演算ルーチンのステップ442に於いては、ピニオン角度のオフセットφoの絶対値に基づき図21に示されたマップより増大側のオフセット補正係数Krco及び低減側のオフセット補正係数Krsoが演算される。
ステップ444に於いては車速Vに基づき図22に示されたマップより増大側の車速補正係数Krcvが演算され、ステップ446に於いては操舵角速度θdの絶対値に基づき図23に示されたマップより増大側の操舵角速度補正係数Krcsv及び低減側の操舵角速度補正係数Krssvが演算される。
ステップ448に於いては増大側の基本補正係数Krcb(1よりも大きい正の定数)と増大側のオフセット補正係数Krcoと操舵角速度補正係数Krcsvとの積として、前後輪舵角比Rsに対する増大側の補正係数Krcが演算される。
ステップ450に於いては低減側の基本補正係数Krsb(1よりも小さい正の定数)と低減側のオフセット補正係数Krsoと操舵角速度補正係数Krssvとの積として、前後輪舵角比Rsに対する低減側の補正係数Krsが演算される。
ステップ452に於いてはオフセットθoが正の値であるか否かの判別、即ち転舵角可変装置14のオフセットが右旋回方向であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときはステップ458へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ454へ進む。
ステップ454に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別、即ち左右の前輪18FL及び18FRの舵角が基準操舵角θsに対し右旋回側の舵角であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ460へ進み、肯定判別が行われたときはステップ456へ進む。
ステップ456に於いては後輪が前輪に対し逆相であるか否かの判別、即ち左右の後輪18RL及び18RRが左右の前輪18FL及び18FRとは反対の方向へ転舵されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ464へ進み、肯定判別が行われたときはステップ462へ進む。
同様にステップ458に於いては操舵角θが基準操舵角θsよりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ456へ進み、肯定判別が行われたときはステップ460へ進む。
ステップ460に於いてはステップ456と同様に後輪が前輪に対し逆相であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ462に於いて補正係数Krが増大側の補正係数Krcと車速補正係数Krcvとの積に設定され、肯定判別が行われたときはステップ464に於いて補正係数Krが低減側の補正係数Krsに設定される。
次に車両の種々の走行状況について、上述の第一及び第二の実施形態による操舵装置に共通の作動及び効果を説明する。
(1)特定の制御も左右差制御も行われない場合
ステップ120、130、150に於いて否定判別が行われ、ステップ175に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに設定され、ステップ240に於いてステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Rstになるよう転舵角可変装置14が制御される。
(2)特定の制御が行われ左右差制御が行われない場合
まずステップ120に於いて否定判別が行われ、ステップ130に於いて肯定判別が行われ、ステップ140に於いて特定の制御が開始される。その後はステップ120に於いて肯定判別が行われ、ステップ180に於いて否定判別が行われることにより、ステップ140に於いて特定の制御が実行される。
(3)特定の制御が終了する場合
特定の制御の終了条件が成立し特定の制御が終了する場合には、ステップ120及び180に於いて肯定判別が行われ、ステップ190に於いて基準操舵角θs、オフセットθo、ピニオン角度のオフセットφoが演算される。
(4)特定の制御が終了した後通常の制御に復帰する場合
特定の制御が終了する時点に於けるオフセットθoの大きさが小さい場合には、左右差制御が行われることなくステアリングギヤ比の制御が通常の制御に復帰する。即ちステップ200に於いて否定判別が行われ、ステップ175に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに設定され、ステップ240に於いてステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Rstになるよう転舵角可変装置14が制御される。
(5)特定の制御が終了した後左右差制御が行われる場合
特定の制御が終了する時点に於けるオフセットθoの大きさが大きい場合には、ステアリングギヤ比の制御が通常の制御に復帰することなく左右差制御が実行される。即ちステップ200に於いて肯定判別が行われ、ステップ210に於いて左右差制御の目標ステアリングギヤ比Rstが演算され、ステップ240に於いてステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Rstになるよう転舵角可変装置14が制御される。
(5−1)右旋回のオフセットにて左右差制御が行われる場合
オフセットθoが右旋回のオフセットである場合には、ステアリングギヤ比が基本目標ステアリングギヤ比Rsbtであるときの操舵角θとピニオン角度φとの関係は例えば図24に於いて破線Lにて示された関係になり、オフセットθoは正の値になる。従って図5のフローチャートのステップ222に於いて肯定判別が行われる。尚実線L0はオフセットθoが0の場合の関係を示している。
操舵角θが基準操舵角θsよりも大きい状況は、基準操舵角θsの操舵位置の両側の操舵領域のうち操舵角θが0の位置に対するオフセットθoの側と同一の側の操舵領域、即ち第一の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される状況である。この状況に於いては、ステップ224に於いて肯定判別が行われ、ステップ228に於いて目標ステアリングギヤ比Rstがクイック側の基本補正係数Kcと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。よって第一の操舵領域に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係は図24に於いて実線L1にて示された関係になる。
従って目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtである場合に比して、第一の操舵領域に於ける目標ステアリングギヤ比Rstを小さくすることができ、これにより操舵伝達比を高くすることができる。
逆に操舵角θが基準操舵角θs以下である状況は、ステアリングホイール20が基準操舵角θsの操舵位置に対し第一の操舵領域とは反対の側の第二の操舵領域に於いて操舵操作される状況である。この状況に於いては、ステップ224に於いて否定判別が行われ、ステップ230に於いて目標ステアリングギヤ比Rstがスロー側の基本補正係数Ksと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。よって第二の操舵領域に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係も図24に於いて実線L2にて示された関係になる。
従って目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtである場合に比して、第二の操舵領域に於ける目標ステアリングギヤ比Rstを大きくすることができ、これにより操舵伝達比を低くすることができる。
(5−2)左旋回のオフセットにて左右差制御が行われる場合
オフセットθoが左旋回のオフセットである場合には、ステアリングギヤ比が基本目標ステアリングギヤ比Rsbtであるときの操舵角θとピニオン角度φとの関係は例えば図25に於いて破線にて示された関係になり、オフセットθoは負の値になる。従って図5のフローチャートのステップ222に於いて否定判別が行われる。
操舵角θが基準操舵角θs以下である状況は、基準操舵角θsの操舵位置の両側の操舵領域のうち操舵角θが0の位置に対するオフセットθoの側と同一の側の操舵領域、即ち第一の操舵領域に於いてステアリングホイール20が操舵操作される状況である。この状況に於いては、ステップ226に於いて否定判別が行われ、ステップ228に於いて目標ステアリングギヤ比Rstがクイック側の基本補正係数Kcと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。よって第一の操舵領域に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係は図25に於いて実線L1にて示された関係になる。
従って目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtである場合に比して、第一の操舵領域に於ける目標ステアリングギヤ比Rstを小さくすることができ、これにより操舵伝達比を高くすることができる。
逆に操舵角θが基準操舵角θsよりも大きい状況は、ステアリングホイール20が基準操舵角θsの操舵位置に対し第一の操舵領域とは反対の側の第二の操舵領域に於いて操舵操作される状況である。この状況に於いては、ステップ226に於いて肯定判別が行われ、ステップ230に於いて目標ステアリングギヤ比Rstがスロー側の基本補正係数Ksと基本目標ステアリングギヤ比Rsbtとの積に設定される。よって第二の操舵領域に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係も図25に於いて実線L2にて示された関係になる。
従って目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtである場合に比して、第二の操舵領域に於ける目標ステアリングギヤ比Rstを大きくすることができ、これにより操舵伝達比を低くすることができる。
(6)左右差制御が終了する場合
左右差制御が行われている過程に於いて例えばオフセットθoの大きさが小さくなることにより左右差制御の終了条件が成立すると、左右差制御が終了し、ステアリングギヤ比の制御が通常の制御に復帰する。即ちステップ120及び130に於いて否定判別が行われ、ステップ150及び160に於いて肯定判別が行われ、ステップ175に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに設定され、ステップ240に於いてステアリングギヤ比が目標ステアリングギヤ比Rstになるよう転舵角可変装置14が制御される。
上述の「(3)特定の制御が終了する場合」に於いて、例えば右旋回方向へのオフセットθoが発生しても本発明の左右差制御が実行されない場合に於ける操舵角θとピニオン角度φとの関係は、図26に於いて実線L0にて示されたオフセットθoが0の関係ではなく、実線に対し右旋回方向へシフトされた波線Lにて示された関係になる。
そのため車両を直進走行させる場合にも、運転者は図27(A)に示されている如く左右の手72L、72Rによりステアリングホイール20を把持しステアリングホイール20を本来の車両直進位置に保持するのではなく、図27(B)に示されている如く車両の右旋回位置に保持しなければならない。尚図27に於いて、矢印74はステアリングホイール20の車両直進方向を示している。
また図27(B)に示された保持位置よりオフセットの方向である右旋回方向へステアリングホイール20を回転操作することは、図27(A)に示された保持位置より右旋回方向へステアリングホイール20を回転操作する場合に比して容易ではない。逆に図27(B)に示された保持位置よりオフセットの方向とは逆方向の左旋回方向へステアリングホイール20を回転操作することは、図27(A)に示された保持位置より左旋回方向へステアリングホイール20を回転操作する場合に比して容易である。運転者はこのオフセットに起因する回転操作のし易さの変化を違和感として感じる。
これに対し第一及び第二の実施形態によれば、以上の説明より解る如く、特定の制御が終了する時点に於いてオフセットθoが発生しても、オフセットθoが右旋回のオフセットである場合及び左旋回のオフセットである場合の何れの場合にも、第一の操舵領域に於いては左右差制御が行われない場合に比して操舵伝達比を高くすることができる。従って第一の操舵領域に於いてオフセットに起因してステアリングホイール20を回転操作し難いことにより感じる違和感を低減することができる。また第二の操舵領域に於いては左右差制御が行われない場合に比して操舵伝達比を低くすることができ、これにより第二の操舵領域に於いてオフセットに起因してステアリングホイール20を回転操作し易いことにより感じる違和感を低減することができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、第一の操舵領域に於いては左右差制御が行われない場合に比して目標ステアリングギヤ比Rstが小さくされることにより操舵伝達比が高くされ、第二の操舵領域に於いては左右差制御が行われない場合に比して目標ステアリングギヤ比Rstが大きくされることにより操舵伝達比が低くされる。従って第一の操舵領域に於いてのみ目標ステアリングギヤ比Rstが小さくされる場合や、第二の操舵領域に於いてのみ目標ステアリングギヤ比Rstが大きくされる場合に比して、第一及び第二の操舵領域に於いて操舵操作が行われる際の違和感を効果的に低減することができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、スロー側の基本補正係数Ksbと1との差は1とクイック側の操舵角速度補正係数Kcbとの差よりも小さく、第二の操舵領域に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが大きくされる量は第一の操舵領域に於いて目標ステアリングギヤ比Rstが小さくされる量よりも小さい。換言すれば第二の操舵領域に於いて操舵伝達比が低くされる量は第一の操舵領域に於いて操舵伝達比が高くされる量よりも小さい。従って第一の操舵領域に於ける操舵操作を効果的に容易にしつつ、第二の操舵領域に於ける操舵操作が過剰に困難になることを効果的に防止することができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、ステップ212に於いてクイック側のオフセット補正係数Kcoは1以下の範囲にてピニオン角度のオフセットφoの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算される。またスロー側のオフセット補正係数Ksoは1以上の範囲にてピニオン角度のオフセットφoの絶対値が大きいほど大きくなるよう演算される。そして基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するクイック側の補正係数Kcはクイック側のオフセット補正係数Kcoを含む値に演算され、基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するスロー側の補正係数Ksはスロー側のオフセット補正係数Ksoを含む値に演算される。
従って図28に示されている如く、オフセットの大きさに関係なくクイック側の補正係数Kcが一定である場合に比して、第一の操舵領域に於いてステアリングホイール20を操舵操作し難い度合に応じて左右の前輪18FL及び18FRを転舵し易くすることができる。またオフセットの大きさに関係なくスロー側の補正係数Ksが一定である場合に比して、第二の操舵領域に於いてステアリングホイール20を操舵操作し易い度合に応じて左右の前輪18FL及び18FRを転舵し難くすることができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、ステップ164、166、168、170の何れかに於いて肯定判別が行われると、ステップ172に於いて左右差制御の終了条件が成立していると判定される。即ち(A)現在のオフセットΔθの大きさが左右差制御の終了判定の基準値θb以下である、(B)ステアリングホイール20が基準操舵角θsの位置に対し基準角度値以上回転操作された、(C)運転者によりステアリングホイール20の持ち替えが行われた、(D)ステアリングホイール20がニュートラル位置に対しオフセットθoの方向へ基準値以上回転操作された、の何れかが成立すると左右差制御が終了される。
従ってステップ164〜170の何れかのみにより左右差制御の終了条件が成立しているか否かが判定される場合に比して、左右差制御が不必要に継続される虞れを効果的に低減することができる。特に操舵速度に変化がないように運転者によりステアリングホイール20の持ち替えが行われた場合には、ステップ168に於いて肯定判別が行われない場合があるが、操舵角が大きくなればステップ170に於いて肯定判別が行われるので、左右差制御を確実に終了させることができる。
また例えば図28より解る如く、実線L0及び波線Lに対する実線L1及びL2の傾斜角は、オフセットθoの大きさが大きくなるにつれて大きくなり、これにより実線L0と波線Lとの間隔が大きくなるにつれて大きくなる。よって実線L0及び波線Lに対する実線L1及びL2の傾斜角がオフセットθoの大きさが大きくなるにつれて大きくならない場合に比して、オフセットθoの大きさの変動に伴う実線L1及びL2と実線L0との交点の位置の変動は小さい。従ってオフセットθoの大きさの大小に関係なく、ステップ166の判別により左右差制御が不要になったか否かを判定することができる。
またステップ168に於いて、例えば操舵角θが増加又は減少する過程に於いて操舵速度が一旦減少した後車速Vに応じて可変設定される基準値以上になったか否かの判別によりステアリングホイール20が持ち替えられたか否かの判別が行われる場合には、ステアリングホイール20が把持されているか否かを検出する把持スイッチ等を要することなく、ステアリングホイール20が持ち替えられたか否かを推定することができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、ステップ214に於いてクイック側の車速補正係数Kcvvは車速Vが高いほど小さくなるよう演算され、ステップ218に於いて基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するクイック側の補正係数Kcは車速補正係数Kcvvを含む値として演算される。従ってステアリングホイール20が持ち替えが行なわれ易く、従って左右差制御の必要性が低い低車速域に於いては、目標ステアリングギヤ比Rstを大きくして操舵伝達比を低くすると共に、ステアリングホイール20が持ち替えが行われ難く、従って左右差制御の必要性が高い高車速域に於いては、目標ステアリングギヤ比Rstを小さくして操舵伝達比を高くすることができる。
また第一及び第二の実施形態によれば、ステップ216に於いてクイック側の操舵角速度補正係数Kcsvは操舵角速度θdの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算され、スロー側の操舵角速度補正係数Kssvは操舵角速度θdの絶対値が大きいほど大きくなるよう演算される。従って運転者の操舵操作速度が高く左右の前輪を速やかに転舵させようとする度合が高いほど目標ステアリングギヤ比Rstを小さくして操舵伝達比を高くすることができる。
次に第一及び第二の実施形態の各々に固有の作動及び効果について説明する。
上述の如く第一の実施形態に於いては、左右差制御中であるときには、ステップ330に於いて肯定判別が行われ、ステップ350に於いて補正係数Kpが演算されることにより、ステップ380に於いて目標アシストトルクTaが増減補正される。特に操舵操作し難い第一の操舵領域に於いては目標アシストトルクTaが基本アシストトルクTabよりも増大補正され、操舵操作し易い第二の操舵領域に於いては目標アシストトルクTaが基本アシストトルクTabよりも低減補正される。
従って左右差制御中であるときにも目標アシストトルクTaが増減補正されない場合に比して、第一の操舵領域に於いては操舵操作し易くなり、第二の操舵領域に於いては操舵操作し難くなるよう操舵アシストトルクを制御することができる。よってかくして操舵アシストトルクが制御されない場合に比して、転舵角可変装置14のオフセットに起因する違和感を効果的に低減することができる。
特に第一の実施形態によれば、ステップ352〜360に於いて目標ステアリングギヤ比Rstの増減に関するステップ212〜220と同様の処理が目標アシストトルクTaの増減について行われる。従ってステップ352〜360の処理が行われない場合に比して、オフセットθoの大きさ、車速V、操舵角速度θdの絶対値に応じて目標アシストトルクTaを適切に増減させることができる。
また上述の如く第二の実施形態に於いては、左右差制御中であるときには、ステップ420に於いて肯定判別が行われ、ステップ440に於いて補正係数Krが演算されることにより、ステップ470に於いて目標後輪舵角δrtが補正される。特に操舵操作し難い第一の操舵領域に於いては目標後輪舵角δrtが通常時よりも車両の旋回ヨーモーメントを増大するよう補正され、操舵操作し易い第二の操舵領域に於いては目標後輪舵角δrtが車両の旋回ヨーモーメントを低減するよう補正される。
従って左右差制御中であるときにも目標後輪舵角δrtが増減補正されない場合に比して、第一の操舵領域に於いては車両が回頭し易くなり、第二の操舵領域に於いては車両が回頭し難くなるよう後輪舵角δrを制御することができる。よってかくして後輪舵角が制御されない場合に比して、転舵角可変装置14のオフセットに起因する違和感を効果的に低減することができる。
特に第二の実施形態によれば、ステップ442〜450に於いて目標ステアリングギヤ比Rstの増減に関するステップ212〜220と同様の処理が目標後輪舵角δrtの増減について行われる。従ってステップ442〜450の処理が行われない場合に比して、オフセットθoの大きさ、車速V、操舵角速度θdの絶対値に応じて目標後輪舵角δrtを適切に増減させることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の第一及び第二の実施形態に於いては、ステップ212に於いてクイック側のオフセット補正係数Kcoは1以下の範囲にてピニオン角度のオフセットφoの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算され、スロー側のオフセット補正係数Ksoは1以上の範囲にてピニオン角度のオフセットφoの絶対値が大きいほど大きくなるよう演算されるが、これらの補正係数が省略されてもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、ステップ214に於いてクイック側の車速補正係数Kcvvは車速Vが高いほど小さくなるよう演算され、ステップ218に於いて基本目標ステアリングギヤ比Rsbtに対するクイック側の補正係数Kcは車速補正係数Kcvvを含む値として演算されるが、車速補正係数Kcvvが省略されてもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、ステップ216に於いてクイック側の操舵角速度補正係数Kcsvは操舵角速度θdの絶対値が大きいほど小さくなるよう演算され、スロー側の操舵角速度補正係数Kssvは操舵角速度θdの絶対値が大きいほど大きくなるよう演算されるようになっているが、これらの補正係数が省略されてもよい。
また上記補正係数の省略に対応して、上述の第一の実施形態に於けるステップ352〜356の何れかに於いて演算される補正係数が省略されてもよく、上述の第二の実施形態に於けるステップ442〜446の何れかに於いて演算される補正係数が省略されてもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、スロー側の基本補正係数Ksbと1との差は1とクイック側の操舵角速度補正係数Kcbとの差よりも小さい値に設定されているが、これらの差が互いに同一の値に設定されてもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、ステップ164〜170の四つのステップにより左右差制御の終了条件が成立しているか否かが判定されるようになっているが、ステップ164〜170の少なくとも何れか一つのステップが省略されてもよい。
また上述の第一の実施形態に於いては、第一の操舵領域に於いて操舵操作し易くなり、第二の操舵領域に於いて操舵操作し難くなるよう操舵アシストトルクが制御され、上述の第二の実施形態に於いては、第一の操舵領域に於いて車両が回頭し易くなり、第二の操舵領域に於いて車両が回頭し難くなるよう後輪舵角δrが制御されるようになっているが、第一の実施形態の操舵アシストトルクの制御及び第二の実施形態の後輪舵角δrの制御の両方が行われるよう修正されてもよい。
逆に上述の第一の実施形態に於いて、左右差制御に対応する操舵アシストトルクの制御が省略されてもよく、また上述の第二の実施形態に於いて、左右差制御に対応する後輪舵角δrの制御が省略されてもよい。
10…操舵装置、14…転舵角可変装置、16…電子制御装置、20…ステアリングホイール、22…電動式パワーステアリング装置、50…操舵角センサ、52…操舵トルクセンサ、54…回転角度センサ、56…車速センサ、58…CCDカメラ、60…レーダセンサ、64…後輪操舵装置、70…舵角センサ

Claims (12)

  1. 操舵入力手段への操舵操作量に対する操舵輪の転舵量の比である操舵伝達比を変更可能な操舵伝達比可変装置と、前記操舵伝達比可変装置を制御する制御手段とを有する車両用操舵伝達比可変式操舵装置にして、前記制御手段は、前記操舵伝達比可変装置によって操舵伝達比を変更する特定の制御により前記操舵輪の舵角に対する前記操舵入力手段の操舵位置の関係にオフセットが生じたときには、前記特定の制御が終了する際の前記操舵入力手段の操舵位置を基準操舵位置とし、前記基準操舵位置の両側の二つの操舵領域のうち前記操舵入力手段の車両直進位置に対し前記オフセットの側と同一の側の操舵領域を第一の操舵領域とし、前記オフセットが0であるときの操舵伝達比を標準の操舵伝達比として、前記特定の制御の終了後に運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも大きくすることを特徴とする車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  2. 前記制御手段は、前記基準操舵位置に対し前記第一の操舵領域とは反対の側の操舵領域を第二の操舵領域として、運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  3. 前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも小さくする量は、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比よりも大きくする量よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  4. 前記制御手段は前記オフセットの大きさに応じて前記操舵伝達比の変更量を可変設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  5. 前記制御手段は前記操舵伝達比の変更開始後に於ける前記オフセットの大きさが基準値以下になったときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  6. 前記制御手段は運転者が前記操舵入力手段を持ち替えたと推定したときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  7. 前記制御手段は、運転者が前記第一の操舵領域にて前記基準操舵位置より離れる方向へ前記操舵入力手段を操舵操作している過程に於いて、前記操舵入力手段の操舵操作速度が操舵操作速度判定基準値以上になったときに、運転者が前記操舵入力手段を持ち替えたと推定することを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  8. 前記制御手段は前記第一の操舵領域に於いて前記基準操舵位置より離れる方向への前記操舵入力手段の操舵操作量が操舵操作量判定基準値以上になったときには、前記操舵伝達比の変更を終了し、前記操舵伝達比を前記標準の操舵伝達比に戻すことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  9. 前記制御手段は車速が高いときには車速が低いときに比して前記操舵伝達比を大きくする量が大きくなるよう、車速に応じて前記操舵伝達比を大きくする量を可変設定することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  10. 前記制御手段は運転者による前記操舵入力手段の操舵操作速度が高いときには前記操舵操作速度が低いときに比して前記操舵伝達比の変更量が大きくなるよう、前記操舵操作速度に応じて前記操舵伝達比の変更量を可変設定することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  11. 車両は操舵補助力を発生する操舵補助力発生手段を有し、前記制御手段は運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、操舵補助力を大きくすることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
  12. 前記操舵輪は前輪であり、車両は後輪を操舵する後輪操舵装置を有し、前記制御手段は運転者が前記第一の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合には運転者が前記第二の操舵領域に於いて前記操舵入力手段を操舵操作する場合に比して、後輪の舵角が前輪に対し逆相の方向へ変化するよう後輪の舵角を修正することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一つに記載の車両用操舵伝達比可変式操舵装置。
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