以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示している。この実施形態の撮像装置は、例えば、デジタルカメラであり、固体撮像素子10、光学系20、制御部30、タイミングジェネレータ40、メモリ50、記憶媒体60、モニタ70、および操作部80を有している。固体撮像素子10は、例えば、CMOS型の固体撮像素子であり、撮影レンズ22を介して入射される被写体の像を電気信号(以下、画像信号とも称する)に変換する。
光学系20は、被写体の像を固体撮像素子10の受光面に結像する撮影レンズ22を有している。なお、光学系20は、撮影レンズ22の他に、ズームレンズやフォーカスレンズ等を有してもよい。制御部30は、例えば、マイクロプロセッサであり、図示しないプログラムに基づいて、撮像装置の動作を制御する。例えば、制御部30は、オートフォーカス制御、絞り制御、固体撮像素子10への露光制御および画像データの記録等を実施する。
タイミングジェネレータ40は、制御部30により制御され、固体撮像素子10に駆動クロックを供給する。例えば、タイミングジェネレータ40は、後述する図2に示す垂直走査回路130および水平走査回路190の駆動クロック、制御信号TN、TS、LSWを、固体撮像素子10に供給する。なお、タイミングジェネレータ40は、制御部30内に設けられてもよい。また、制御部30やタイミングジェネレータ40は、例えば、後述する図3に示す光電変換素子PD(フォトダイオードPD)が形成される基板上に一体に形成されてもよい。
メモリ50は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)等で形成された内蔵メモリであり、撮影された画像の画像データ等を記憶する。記憶媒体60は、撮影された画像の画像データ等を記憶する。モニタ70は、例えば、液晶ディスプレイであり、撮影された画像、メモリ50に記憶された画像、記憶媒体60に記憶された画像およびメニュー画面等を表示する。操作部80は、レリーズボタンおよびその他の各種スイッチを有し、撮像装置を動作させるために、ユーザにより操作される。
図2は、図1に示した固体撮像素子10の一例を示している。固体撮像素子10は、例えば、画素アレイ120、垂直走査回路130、行選択スイッチ部140、増幅器(以下、カラムアンプとも称する)150、蓄積信号選択部160、信号蓄積部170、水平選択スイッチ部180、水平走査回路190、垂直信号線200および定電流源IS有している。
画素アレイ120は、第1方向D1および第2方向D2にマトリクス状に配置された複数の画素122を有している。以下、第1方向D1および第2方向D2を、行方向D1および列方向D2ともそれぞれ称する。各画素122は、例えば、カラーフィルタ(図示せず)を有し、入射光の光量に応じた電気信号を生成する。行方向D1に着目した場合、例えば、画素アレイ120のn行目では、緑(Gb)のフィルタを有する画素122と、青(B)のフィルタを有する画素122とが交互に配置されている。また、例えば、画素アレイ120のn+1行目では、赤(R)のフィルタを有する画素122と、緑(Gr)のフィルタを有する画素122とが交互に配置されている。
列方向D2に着目した場合、例えば、画素アレイ120のm列目では、緑(Gb)のフィルタを有する画素122と、赤(R)のフィルタを有する画素122とが交互に配置されている。また、例えば、画素アレイ120のm+1列目では、青(B)のフィルタを有する画素122と、緑(Gr)のフィルタを有する画素122とが交互に配置されている。
なお、列方向D2に配置された複数の画素122は、列毎に設けられた垂直信号線200により、互いに接続されている。すなわち、画素アレイ120は、同じ列に配置された複数の画素122からの信号を共通の垂直信号線200を介して出力する。例えば、各垂直信号線200には、定電流源ISが接続されている。すなわち、定電流源ISは、各画素122からの信号を読み出すために、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられている。
垂直走査回路130は、制御信号SEL、RST、TXを用いて、画素アレイ120の画素122を行毎に制御する。例えば、垂直走査回路130は、制御信号SEL(n)、RST(n)、TX(n)を制御し、n行目の各画素122の信号を各垂直信号線200に出力する。また、例えば、垂直走査回路130は、制御信号SEL(n+1)、RST(n+1)、TX(n+1)を制御し、n+1行目の各画素122の信号を各垂直信号線200に出力する。以下、制御信号SEL、RST、TXを選択信号SEL、リセット信号RST、転送信号TXともそれぞれ称する。
行選択スイッチ部140は、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられた行選択スイッチMLSを有している。例えば、行選択スイッチMLSは、nMOSトランジスタであり、ソースがカラムアンプ150の入力に接続され、ドレインが垂直信号線200に接続され、ゲートで制御信号LSWを受けている。この場合、垂直信号線200とカラムアンプ150との間に設けられた行選択スイッチMLSは、制御信号LSWが高レベルの期間にオンし、垂直信号線200に転送された信号をカラムアンプ150の入力端子に出力する。また、制御信号LSWが低レベルの期間では、行選択スイッチMLSがオフするため、垂直信号線200に転送された信号は、カラムアンプ150に出力されない。このように、行選択スイッチMLSは、垂直信号線200とカラムアンプ150との間の導通/非導通を切り換える。以下、行選択スイッチMLSを行選択トランジスタMLSとも称する。
カラムアンプ150は、例えば、演算増幅器を用いて構成された反転増幅器であり、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられている。各カラムアンプ150は、各画素122から各垂直信号線200を介して読み出された信号を反転増幅する。
蓄積信号選択部160は、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられた画像信号選択スイッチMS1およびノイズ信号選択スイッチMN1を有している。例えば、画像信号選択スイッチMS1は、nMOSトランジスタであり、ソースが信号蓄積部170の画像信号蓄積部CSに接続され、ドレインがカラムアンプ150の出力に接続され、ゲートで制御信号TSを受けている。この場合、画像信号選択スイッチMS1は、制御信号TSが高レベルの期間にオンし、カラムアンプ150から入力された信号を信号蓄積部170に出力する。
また、例えば、ノイズ信号選択スイッチMN1は、nMOSトランジスタであり、ソースが信号蓄積部170のノイズ信号蓄積部CNに接続され、ドレインがカラムアンプ150の出力に接続され、ゲートで制御信号TNを受けている。この場合、ノイズ信号選択スイッチMN1は、制御信号TNが高レベルの期間にオンし、カラムアンプ150から入力された信号を信号蓄積部170に出力する。以下、画像信号選択スイッチMS1、ノイズ信号選択スイッチMN1をトランジスタMS1、MN1ともそれぞれ称する。
信号蓄積部170は、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられた画像信号蓄積部CSおよびノイズ信号蓄積部CNを有している。例えば、画像信号蓄積部CSは、容量であり、一方の端子がトランジスタMS1のソースに接続され、他方の端子が接地されている。また、例えば、ノイズ信号蓄積部CNは、容量であり、一方の端子がトランジスタMN1のソースに接続され、他方の端子が接地されている。以下、画像信号蓄積部CS、ノイズ信号蓄積部CNを容量CS、CNともそれぞれ称する。
水平選択スイッチ部180は、画素アレイ120の画素122の列毎に設けられた画像信号出力スイッチMS2およびノイズ信号出力スイッチMN2を有している。例えば、画像信号出力スイッチMS2およびノイズ信号出力スイッチMN2は、nMOSトランジスタである。以下、画像信号出力スイッチMS2、ノイズ信号出力スイッチMN2をトランジスタMS2、MN2ともそれぞれ称する。
例えば、トランジスタMS2は、ソースから画像信号OUTSを出力し、ドレインがトランジスタMS1のソースおよび容量CSの一方の端子に接続され、ゲートで制御信号GHを受けている。また、例えば、トランジスタMN2は、ソースからノイズ信号OUTNを出力し、ドレインがトランジスタMN1のソースおよび容量CNの一方の端子に接続され、ゲートで制御信号GHを受けている。なお、トランジスタMS2、MN2のゲートは、互いに接続されている。
すなわち、画像信号出力スイッチMS2は、制御信号GHが高レベルの期間にオンし、容量CSに保持された電圧を画像信号OUTSとして出力する。また、ノイズ信号出力スイッチMN2は、制御信号GHが高レベルの期間にオンし、容量CNに保持された電圧をノイズ信号OUTNとして出力する。ここで、ノイズ信号OUTNは、例えば、画素122のリセットノイズ成分等を含む固定ノイズ成分を示す信号である。したがって、例えば、画像信号OUTSに含まれる画素122のリセットノイズ成分等の固定ノイズ成分は、画像信号OUTSからノイズ信号OUTNを減算することにより、除去される。
水平走査回路190は、制御信号GHを用いて、トランジスタMS2、MN2を順次オンし、信号蓄積部170の容量CS、CNにそれぞれ保持された信号OUTS、OUTNを順次出力する。例えば、m列目の画素122から読み出された信号に対応する画像信号OUTS、ノイズ信号OUTNをそれぞれ出力するとき、水平走査回路190は、制御信号GH(m)を高レベルに制御し、他の制御信号GHを低レベルに制御する。また、例えば、m+1列目の画素122から読み出された信号に対応する画像信号OUTS、ノイズ信号OUTNをそれぞれ出力するとき、水平走査回路190は、制御信号GH(m+1)を高レベルに制御し、他の制御信号GHを低レベルに制御する。
図3は、図2に示した固体撮像素子10の画素122の一例を示している。画素122は、光信号を信号電荷に変換する光電変換素子PD、転送トランジスタMTR、増幅トランジスタMAM、画素選択トランジスタMSE、リセットトランジスタMRSおよびフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョン領域)を有している。なお、フローティングディフュージョンFDは、光電変換素子PDから転送される電荷を蓄積する寄生容量CFDが形成される領域(トランジスタMTRのドレイン領域、トランジスタMTR、MAM間の配線領域、トランジスタMAMのゲート領域等)である。
光電変換素子PDは、例えば、フォトダイオードPDであり、アノードが接地され、カソードが転送トランジスタMTRのソースに接続されている。以下、光電変換素子PDをフォトダイオードPDとも称する。例えば、フォトダイオードPDは、入射光の光量に応じて信号電荷を生成する。フォトダイオードPDにより生成された信号電荷は、転送トランジスタMTRを介して、フローティングディフュージョンFDに転送される。
転送トランジスタMTRは、例えば、nMOSトランジスタであり、ドレインが増幅トランジスタMAMのゲートに接続され、ソースがフォトダイオードPDのカソードに接続され、ゲートで転送信号TXを受ける。この場合、転送トランジスタMTRは、転送信号TXが高レベルの期間にオンし、フォトダイオードPDにより生成された信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。なお、フローティングディフュージョンFDに転送された信号電荷は、容量CFDに蓄積される。
増幅トランジスタMAMは、例えば、nMOSトランジスタであり、ソースが画素選択トランジスタMSEのドレインに接続され、ドレインが電源VDDに接続され、ゲートが転送トランジスタMTRのドレインに接続されている。すなわち、フローティングディフュージョンFDの電圧(容量CFDの電圧)は、増幅トランジスタMAMのゲートに入力される。そして、増幅トランジスタMAMは、例えば、ゲートの電圧から増幅トランジスタMAMの閾値電圧分降下した電圧を、ソースから出力する。このように、増幅トランジスタMAMは、フローティングディフュージョンFDに転送された信号電荷に基づく画像信号を生成する。
画素選択トランジスタMSEは、例えば、nMOSトランジスタであり、ソースが垂直信号線200に接続され、ドレインが増幅トランジスタMAMのソースに接続され、ゲートで選択信号SELを受ける。この場合、画素選択トランジスタMSEは、選択信号SELが高レベルの期間にオンし、増幅トランジスタMAMのソースと垂直信号線200との間を導通させる。したがって、画素選択トランジスタMSEがオンの期間では、増幅トランジスタMAMと、画素選択トランジスタMSEと、垂直信号線200に接続された定電流源ISとにより、ソースフォロア回路が構成される。これにより、画素選択トランジスタMSEにより選択された画素122の信号が、垂直信号線200に出力される。
リセットトランジスタMRSは、例えば、nMOSトランジスタであり、ソースが増幅トランジスタMAMのゲートに接続され、ドレインが電源VDDに接続され、ゲートでリセット信号RSTを受ける。この場合、リセットトランジスタMRSは、リセット信号RSTが高レベルの期間にオンし、フローティングディフュージョンFDの電荷(容量CFDに蓄積されている電荷)を初期状態にリセットする。すなわち、リセットトランジスタMRSは、リセット信号RSTが高レベルの期間に、フローティングディフュージョンFDの電圧を初期状態にリセットする。
このように、転送トランジスタMTR、画素選択トランジスタMSEおよびリセットトランジスタMRSは、制御信号TX、SEL、RSTにより制御されるスイッチとして機能する。
図4は、図2に示した固体撮像素子10の動作の一例を示している。なお、図4は、上述した図2に示した画素アレイ120のn行目の各画素122から画像信号OUTSおよびノイズ信号OUTNをそれぞれ読み出すときの固体撮像素子10の動作を示している。例えば、図2に示した垂直走査回路130は、制御信号RST、SEL、TXを図4に示すように制御し、上述した図3に示したリセットトランジスタMRS、画素選択トランジスタMSE、転送トランジスタMTRを制御する。また、例えば、上述した図1に示したタイミングジェネレータ40は、制御信号TN、TS、LSWを図4に示すように制御し、図2に示したトランジスタMS1、MN1、MLSを制御する。
なお、アクセス期間APは、各画素122の画像信号OUTSおよびノイズ信号OUTNを、図2に示した信号蓄積部170の容量CS、CNにそれぞれ蓄積するための期間である。また、水平走査期間HSNは、信号蓄積部170の容量CS、CNにそれぞれ蓄積された画像信号OUTSおよびノイズ信号OUTNを順次出力するための期間である。例えば、アクセス期間AP(n)および水平走査期間HSN(n)は、n行目の画素122の信号を読み出すためのアクセス期間APおよび水平走査期間HSNをそれぞれ示している。以下、n行目の各画素122の図3に示した要素を、符号の末尾にnを追加して称する場合もある。例えば、n行目の各画素122の増幅トランジスタMAMを、増幅トランジスタMAMnとも称する。
n行目の画素122のアクセス期間AP(n)に移る前では、リセット信号RST(n)が高レベルに維持され(図4(a))、リセットトランジスタMRSnがオンしている。すなわち、フローティングディフュージョンFDnの電圧は、アクセス期間AP(n)に移る前に、初期状態(以下、リセット状態とも称する)にリセットされる。
アクセス期間AP(n)では、先ず、リセット信号RST(n)が高レベルから低レベルに変化し(図4(b))、リセットトランジスタMRSnがオフする。これにより、フローティングディフュージョンFDnは、転送トランジスタMTRnがオンしたときに、フォトダイオードPDnからの信号電荷を蓄積できる。なお、フローティングディフュージョンFDnの電圧は、フォトダイオードPDnから信号電荷が転送されるまで、リセット状態に維持される。
次に、選択信号SEL(n)が低レベルから高レベルに変化し(図4(c))、画素選択トランジスタMSEnがオンする。画素選択トランジスタMSEnがオンすることにより、上述した図3で説明したように、増幅トランジスタMAMnのソースから信号を出力するソースフォロア回路が構成される。これにより、増幅トランジスタMAMnは、フローティングディフュージョンFDnの電圧(リセット状態の電圧)に応じた電圧を、画素選択トランジスタMSEnを介して垂直信号線200に出力する。なお、垂直信号線200に出力された電圧は、図2に示したカラムアンプ150により反転増幅される。
そして、制御信号TNが低レベルから高レベルに変化し(図4(d))、図2に示したトランジスタMN1がオンする。これにより、n行目の画素122のリセット状態に対応する信号(図2に示したノイズ信号OUTN)は、信号蓄積部170の容量CNに蓄積される。その後、制御信号TNが高レベルから低レベルに変化し(図4(e))、トランジスタMN1がオフする。これにより、n行目の画素122のノイズ信号OUTNは、容量CNに保持される。なお、制御信号TNが高レベルである期間、制御信号LSWは、高レベルに維持されている。
制御信号TNが高レベルから低レベルに変化した後に、転送信号TX(n)が低レベルから高レベルに変化する(図4(f))。そして、一定期間経過後に、転送信号TX(n)が高レベルから低レベルに変化する(図4(g))。これにより、転送トランジスタMTRnが一定期間オンし、フォトダイオードPDnにより生成された信号電荷が、転送トランジスタMTRnを介して、フローティングディフュージョンFDnに転送される。そして、フローティングディフュージョンFDnの電圧(信号電荷が蓄積された容量CFDの電圧)に応じた電圧が、増幅トランジスタMAMnから画素選択トランジスタMSEnを介して垂直信号線200に出力される。
ここで、転送信号TX(n)が高レベルの期間では、フローティングディフュージョンFDnの電圧は、転送トランジスタMTRnのゲートとフローティングディフュージョンFDnとのカップリングにより、上昇する。そして、転送信号TX(n)が低レベルに戻ったとき、フローティングディフュージョンFDnの電圧は、フォトダイオードPDnにより生成された信号電荷に基づく所望の電圧に戻る。すなわち、転送信号TX(n)が高レベルの期間では、所望の電圧に比べて高い電圧が垂直信号線200に出力される。
なお、この実施形態では、転送信号TX(n)が高レベルである期間では、制御信号LSWは、低レベルに維持される(図4(h、i))。例えば、転送信号TX(n)が低レベルから高レベルに変化したとき、制御信号LSWが高レベルから低レベルに変化し(図4(h))、行選択トランジスタMLSがオフする。そして、例えば、転送信号TX(n)が高レベルから低レベルに変化したとき、制御信号LSWが低レベルから高レベルに変化し(図4(i))、行選択トランジスタMLSがオンする。このように、転送信号TXが高レベルの期間中、行選択トランジスタMLSはオフする。
すなわち、転送信号TX(n)が高レベルの期間では、垂直信号線200とカラムアンプ150との間は非導通である。したがって、この実施形態では、高レベルの転送信号TX(n)によるフローティングディフュージョンFDnの電圧上昇がカラムアンプ150に伝達されることを防止できる。また、転送信号TX(n)が低レベルに戻った後では、行選択トランジスタMLSがオンするため、垂直信号線200とカラムアンプ150との間は導通する。これにより、所望の電圧がカラムアンプ150に入力される。このように、垂直信号線200に転送された所望の電圧は、行選択トランジスタMLSを介してカラムアンプ150に入力され、カラムアンプ150により反転増幅される。
制御信号LSWが低レベルから高レベルに変化した後に、制御信号TSが低レベルから高レベルに変化し(図4(j))、図2に示したトランジスタMS1がオンする。これにより、n行目の画素122のフォトダイオードPDにより生成された信号電荷に対応する信号(図2に示した画像信号OUTS)は、信号蓄積部170の容量CSに蓄積される。その後、制御信号TSが高レベルから低レベルに変化し(図4(k))、トランジスタMS1がオフする。これにより、n行目の画素122の画像信号OUTSは、容量CSに保持される。
水平走査期間HSN(n)では、図2に示した制御信号GHが高レベルに順次変化する。例えば、水平走査回路190は、出力対象の列に対応する制御信号GHを高レベルに変化させたとき、他の制御信号GHを低レベルに変化させる。これにより、トランジスタMS2、MN2が順次オンし、信号蓄積部170の容量CS、CNにそれぞれ保持された信号OUTS、OUTNが順次出力される。
なお、アクセス期間AP(n)および水平走査期間HSN(n)では、制御信号RST(n)、SEL(n)、TX(n)以外の制御信号RST、SEL、TXは、高レベル、低レベルおよび低レベルにそれぞれ維持されている。また、アクセス期間AP(n+1)では、制御信号RST(n+1)、SEL(n+1)、TX(n+1)、TN、TS、LSWは、アクセス期間AP(n)の制御信号RST(n)、SEL(n)、TX(n)、TN、TS、LSWと同様に制御される。
図5は、図2に示したカラムアンプ150の入出力電圧の一例を示している。なお、図5は、上述した図3に示したフォトダイオードPDにより生成された信号電荷が多いとき(例えば、明るい所で撮影されたとき)のカラムアンプ150の入出力電圧の一例を示している。図中の符号FD、AIN、AOUTは、フローティングディフュージョンFDの電圧、カラムアンプ150の入力電圧、カラムアンプ150の出力電圧をそれぞれ示している。以下、フローティングディフュージョンFDの電圧を、電圧FDとも称する。
転送信号TXが低レベルから高レベルに変化する前では、上述した図4で説明したように、フローティングディフュージョンFDの電圧(電圧FD)は、リセット状態の電圧V1に維持されている(図5(a))。そして、転送信号TXが低レベルから高レベルに変化したときに、電圧FDは、転送トランジスタMTRのゲートとフローティングディフュージョンFDとのカップリングにより、電圧V1から電圧VDFだけ上昇する(図5(b))。その後、電圧FDは、フォトダイオードPDにより生成された信号電荷に応じた電圧VSIG0だけ低下する(図5(c))。そして、転送信号TXが低レベルに戻ったときに、電圧FDは、電圧VDFだけ低下し、フォトダイオードPDにより生成された信号電荷に基づく電圧(電圧V1から電圧VSIG0低下した電圧)に戻る(図5(d))。
また、カラムアンプ150の入力電圧AINは、行選択トランジスタMLSが転送信号TXの高レベル期間中オフしているため、行選択トランジスタMLSが再度オンするまで、リセット状態時の電圧V2に維持される(図5(e))。このため、カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、行選択トランジスタMLSが再度オンするまで、リセット状態時の電圧VREFに維持される(図5(f))。制御信号LSWが低レベルから高レベルに変化したとき、行選択トランジスタMLSがオンするため、カラムアンプ150の入力電圧AINは、例えば、電圧V2から電圧VSIG(VSIG=VSIG0×[増幅トランジスタMAMのゲイン])だけ低下する(図5(g))。そして、カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、カラムアンプ150の増幅率Gと電圧VSIGとの積だけ電圧VREFから上昇する(図5(h))。
図6は、図2に示したカラムアンプ150の入出力電圧の別の例を示している。なお、図6は、説明を分かり易くするために、上述した図3に示したフォトダイオードPDにより信号電荷が生成されないとき(例えば、暗い状態で撮影されたとき)のカラムアンプ150の入出力電圧の一例を示している。また、図6の“LSW制御有り”の波形は、上述した図4に示した動作が実施されたときのカラムアンプ150の入出力電圧等を示し、図6の比較例の波形は、“LSW制御有り”の比較例を示している。例えば、比較例の動作では、選択信号SELは、転送信号TXが高レベルの期間に、低レベルにされない。あるいは、比較例の個体撮像素子では、図2に示した個体撮像素子10から行選択トランジスタMLSが省かれて構成される。なお、図中の符号の意味は、上述した図5と同じである。
図6の“SEL制御有り”(図4に示した動作が実施されたとき)では、転送信号TXが低レベルから高レベルに変化する前の期間中、フローティングディフュージョンFDの電圧(電圧FD)は、リセット状態の電圧V1に維持されている(図6(a))。そして、転送信号TXが低レベルから高レベルに変化したときに、電圧FDは、転送トランジスタMTRのゲートとフローティングディフュージョンFDとのカップリングにより、電圧V1から電圧VDFだけ上昇する(図6(b))。その後、転送信号TXが低レベルに戻ったときに、電圧FDは、電圧VDFだけ低下し、リセット状態の電圧V1に戻る(図6(c))。
また、カラムアンプ150の入力電圧AINは、行選択トランジスタMLSが転送信号TXの高レベル期間中オフしているため、行選択トランジスタMLSが再度オンするまで、リセット状態時の電圧V2に維持される(図6(d))。このため、カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、行選択トランジスタMLSが再度オンするまで、リセット状態時の電圧VREFに維持される(図6(e))。なお、フォトダイオードPDにより信号電荷が生成されないため、制御信号LSWが低レベルから高レベルに変化したとき、カラムアンプ150の入力電圧AINは、電圧V2に維持される(図6(f))。このため、カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、転送信号TXが高レベルから低レベルに変化した後でも、電圧VREFに維持される(図6(g))。
一方、比較例では、垂直信号線200およびカラムアンプ150間が転送信号TXの高レベル期間に導通しているため、カラムアンプ150の入力電圧AINは、電圧V2から電圧VDFだけ上昇する(図6(h))。このため、カラムアンプ150は、出力電圧AOUTを、増幅率Gと電圧VDFとの積だけ電圧VREFから低下させるように動作する(図の破線の矢印)。出力電圧AOUTは、接地電圧GND以下に下がらないため、接地電圧GND付近の電圧になる(図6(i)))。この場合、カラムアンプ150は、正常動作の範囲から外れる。例えば、カラムアンプ150が演算増幅器により構成されている場合、イマジナリーショートが成立しなくなり、正常動作の範囲から外れる。
その後、転送信号TXが低レベルに戻ったときに、電圧FDは、電圧VDFだけ低下し、リセット状態の電圧V1に戻る(図6(j))。これにより、カラムアンプ150の入力電圧AINは、電圧VDFだけ低下し、リセット状態の電圧V2に戻る(図6(k))。なお、カラムアンプ150の入力電圧AINが電圧V2に戻った場合でも、カラムアンプ150が一時的に正常動作の範囲から外れた影響により、カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、所望の出力電圧VREFに戻らない(図6(l))。カラムアンプ150の出力電圧AOUTは、所望の出力電圧VREFより高くなる場合も、所望の出力電圧VREFより低くなる場合もある。カラムアンプ150の出力電圧AOUTの誤差VERは、カラムアンプ150毎に異なるため、画像に縦筋の固定パターンノイズが発生する。
これに対し、この実施形態では、転送信号TXが高レベルの期間中、行選択トランジスタMLSがオフしているため、カラムアンプ150が正常動作の範囲から外れることを防止できる。これにより、この実施形態では、転送信号TXが高レベルから低レベルに変化した後に、カラムアンプ150の出力電圧AOUTが所望の出力電圧VREFと異なる電圧になることを防止できる。この結果、画像の縦筋ノイズを低減できる。なお、この実施形態では、上述した図4で説明したように、制御信号TNが低レベルに変化した後に、制御信号LSWが低レベルに変化するため、行選択トランジスタMLSの動作は、容量CNに保持されるノイズ信号OUTNに影響を与えない。これにより、画像の精度を維持した状態で、画像の縦筋ノイズを低減できる。
図7は、縦筋ノイズとカラムアンプ150の増幅率との関係の一例を示している。なお、図7の“LSW制御有り”(実線および円形)は、上述した図4に示した動作が実施されたときの測定結果を示し、図7の比較例(破線および三角形)は、“SEL制御有り”の比較例を示している。図7の比較例は、上述した図6に示した比較例に対応する。例えば、比較例の測定時の動作では、制御信号LSWは、転送信号TXが高レベルの期間に、低レベルにされない。図の横軸は、カラムアンプ150の増幅率を示し、縦軸は、暗時の縦筋ノイズを基準値に対する相対値で示している。なお、縦筋ノイズの基準値は、上述した図4に示した動作において、カラムアンプ150の増幅率を2.5倍にしたときの縦筋ノイズの測定値(電圧値)である。
図7の“SEL制御有り”(図4に示した動作が実施されたとき)では、カラムアンプ150の増幅率が10倍より小さい場合、暗時の縦筋ノイズは、増幅率が増加しても、ほとんど変化しない。増幅率が10倍より大きい場合、暗時の縦筋ノイズは、増幅率の増加に伴い、増加する。一方、比較例では、カラムアンプ150の増幅率が10倍より小さい場合、暗時の縦筋ノイズは、増幅率の増加に伴い、緩やかに増加する。そして、増幅率が10倍より大きい場合、暗時の縦筋ノイズは、増幅率の増加に伴い急激に増加する。例えば、増幅率が5倍以上では、暗時の縦筋ノイズは、図4に示した動作が実施されたとき(“SEL制御有り”)に比べて大きくなる。
したがって、この実施形態では、カラムアンプ150の増幅率を8倍以上にすることにより、画像の縦筋ノイズの増加を抑えつつ、固体撮像素子10を高感度化できる。なお、好ましくは、カラムアンプ150の増幅率を10倍以上、より好ましくは、カラムアンプ150の増幅率を20倍以上にしてもよい。また、カラムアンプ150の増幅率を大きくした場合に発生する縦筋ノイズを低減するために、以下に示す補正処理が実施されてもよい。
例えば、補正処理では、画素122が露光される前に、転送トランジスタMTRをオフにした状態での全画素122の出力を補正用信号として読み出す。そして、同じ列に配置された複数の画素122(列方向D2に配置された複数の画素122)から読み出された補正用信号を積算して平均することにより、各列の縦筋固定パターンノイズ成分を算出する。さらに、撮影画像のデータから縦筋固定パターンノイズ成分を減算する。これにより、画像の暗部に発生する縦筋ノイズを低減できる。なお、補正用信号は、固体撮像素子10の全画素122(全画面)から読み出されなくてもよい。例えば、補正処理を高速化するために、補正用信号は、固体撮像素子10の一部の画素122(例えば、500行程度)から読み出されてもよい。
ここで、転送トランジスタMTRをオフにして補正用信号を読み出すのは、フォトダイオードPDの暗電流や白点傷欠陥画素の影響を除去するためである。上述した図4に示した動作に、上述の補正処理を組み合わせることにより、縦筋固定パターンノイズを更に低減できる。例えば、補正処理は、上述した図1に示す撮像装置の制御部30により実施される。あるいは、補正処理を実施する補正部を固体撮像素子10内に設けてもよい。
以上、この実施形態では、タイミングジェネレータ40は、少なくとも転送信号TXが高レベルの期間中、制御信号LSWを低レベルに維持する。このように、この実施形態では、タイミングジェネレータ40は、転送トランジスタMTRがオンの期間中、行選択トランジスタMLSをオフするスイッチ制御部として機能する。すなわち、この実施形態では、少なくとも転送トランジスタMTRがオンしている期間中、行選択トランジスタMLSをオフさせ、垂直信号線200とカラムアンプ150との間を非導通にする。これにより、この実施形態では、所望の入力電圧(例えば、図6に示した電圧V2)に比べて高い電圧がカラムアンプ150に入力されることを防止できる。この結果、この実施形態では、カラムアンプ150が正常動作の範囲から外れることを防止でき、画像の縦筋ノイズを低減できる。
図8は、別の実施形態における固体撮像素子12の概要を示している。なお、図8は、信号蓄積部170、水平選択スイッチ部180および水平走査回路190の詳細な記載を省略している。この実施形態の固体撮像素子12は、図2に示した行選択スイッチ部140の代わりに、行選択スイッチ部142が設けられている。また、この固体撮像素子12のカラムアンプ150、蓄積信号選択部160、信号蓄積部170、水平選択スイッチ部180、水平走査回路190および定電流源ISの配置は、図2に示した固体撮像素子10と相違する。固体撮像素子12のその他の構成は、図1−図7で説明した実施形態と同じである。図1−図7で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
画素アレイ120は、上述した図2で説明したように、フィルタの色がそれぞれ赤(R)、緑(Gr、Gb)、青(B)の画素122を有している。以下、赤(R)、緑(Gr、Gb)、青(B)のフィルタをそれぞれ有する画素122を、赤画素122(R)、青画素122(B)、緑画素122(Gr、Gb)とも称する。さらに、緑画素122(Gr、Gb)のうち、赤画素122(R)を有する行に配置された画素122を緑画素(Gr)とも称し、青画素122(B)を有する行に配置された画素122を緑画素(Gr)とも称する。
行選択スイッチ部142は、画素アレイ120における列方向D2の一方側(図では、下側)および他方側(図では、上側)にそれぞれ配置された行選択スイッチ部142a、142bを有している。例えば、垂直信号線200とカラムアンプ150との間に設けられた各行選択スイッチ部142a、142bは、画素アレイ120の画素122の2列毎に設けられた行選択スイッチMLS1、MLS2を有している。例えば、行選択スイッチMLS1、MSL2は、nMOSトランジスタであり、ゲートで制御信号LSW1、LSW2をそれぞれ受けている。以下、行選択スイッチMLS1、MLS2を行選択トランジスタMLS1、MLS2とも称する。
例えば、行選択スイッチ部142aでは、2列毎に設けられた行選択トランジスタMLS1、MLS2のソースは、共通のカラムアンプ150の入力に接続されている。そして、例えば、行選択スイッチ部142aの行選択トランジスタMLS1、MSL2のドレインは、赤画素122(R)、青画素122(B)の信号が転送される垂直信号線200にそれぞれ接続されている。
また、例えば、行選択スイッチ部142bでは、2列毎に設けられた行選択トランジスタMLS1、MLS2のソースは、共通のカラムアンプ150の入力に接続されている。そして、例えば、行選択スイッチ部142bの行選択トランジスタMLS1、MSL2のドレインは、青画素122(B)、赤画素122(R)の信号が転送される垂直信号線200にそれぞれ接続されている。
すなわち、行選択スイッチ部142aの行選択トランジスタMLS1および行選択スイッチ部142bの行選択トランジスタMLS2は、赤画素122(R)の信号が転送される垂直信号線200に接続される。また、例えば、行選択スイッチ部142aの行選択トランジスタMLS2および行選択スイッチ部142bの行選択トランジスタMLS1は、青画素122(B)の信号が転送される垂直信号線200に接続される。この場合、行選択トランジスタMLS1、MLS2は、後述する図9に示す動作により、垂直信号線200とカラムアンプ150との間の導通/非導通を切り換えるスイッチとして機能する。
カラムアンプ150は、画素アレイ120の列方向D2の両側(図の上側および下側)に配置されている。なお、画素アレイ120の下側に配置されたカラムアンプ150は、行選択スイッチ部142aから信号を受け、画素アレイ120の上側に配置されたカラムアンプ150は、行選択スイッチ部142bから信号を受ける。すなわち、片側に配置されるカラムアンプ150は、画素アレイ120の画素122の2列毎に設けられる。画素122の2列分の幅に1つのカラムアンプ150が配置されるため、多画素化により画素ピッチが縮小した場合でも、カラムアンプ150のレイアウトスペースを確保できる。
また、この実施形態では、蓄積信号選択部160、信号蓄積部170、水平選択スイッチ部180、水平走査回路190および定電流源ISは、画素アレイ120の上側および下側に分けてそれぞれ配置されている。例えば、蓄積信号選択部160a、信号蓄積部170a、水平選択スイッチ部180aおよび水平走査回路190aは、画素アレイ120の下側に配置されている。そして、蓄積信号選択部160b、信号蓄積部170b、水平選択スイッチ部180bおよび水平走査回路190bは、画素アレイ120の上側に配置されている。この実施形態では、定電流源ISが画素アレイ120の上下にそれぞれ配置されているため、画像の上下対称性を維持できる。なお、定電流源ISおよび水平走査回路190は、画素アレイ120の上下に分けて配置されなくてもよい。
信号蓄積部170(170a、170b)、水平選択スイッチ部180(180a、180b)および水平走査回路190(190a、190b)の各カラムアンプ150に対応する構成は、上述した図2と同じである。なお、画像信号OUTSaおよびノイズ信号OUTNaは、画素アレイ120の下側に配置されたカラムアンプ150から水平選択スイッチ部180aを介して出力された信号に対応している。また、画像信号OUTSbおよびノイズ信号OUTNbは、画素アレイ120の上側に配置されたカラムアンプ150から水平選択スイッチ部180bを介して出力された信号に対応している。
図9は、図8に示した固体撮像素子12の動作の一例を示している。なお、図9は、上述した図8に示した画素アレイ120のn行目の各画素122から画像信号OUTSおよびノイズ信号OUTNをそれぞれ読み出すときの固体撮像素子12の動作を示している。図9に示した動作は、制御信号LSW(LSW1、LSW2)の動作を除いて、上述した図4に示した動作と同じである。すなわち、固体撮像素子12を用いて構成された撮像装置は、タイミングジェネレータ40の動作を除いて、上述した図1−図7で説明した実施形態と同じである。例えば、この実施形態では、図1に示したタイミングジェネレータ40は、制御信号TN、TS、LSW1、LSW2を図9に示すように制御し、図8に示したトランジスタMS1、MN1、MLS1、MLS2を制御する。図4で説明した動作については、詳細な説明を省略する。
n行目の画素122のアクセス期間AP(n)に移る前では、リセット信号RST(n)が高レベルに維持され(図9(a))、制御信号LSW1が低レベルに維持される。また、アクセス期間AP(n)に移る前に、制御信号LSW2が高レベルから低レベルに変化し(図9(a1))、図8に示した行選択トランジスタMLS2がオフする。
アクセス期間AP(n)では、制御信号LSW1が低レベルから高レベルに変化し(図9(b1))、制御信号TNが低レベルから高レベルに変化する(図9(d))。すなわち、図8に示した行選択トランジスタMLS1およびトランジスタMN1がオンする。これにより、n行目の緑画素122(Gb)、青画素122(B)のノイズ信号OUTNは、図8に示した信号蓄積部170a、170bにそれぞれ蓄積される。すなわち、n行目の緑画素122(Gb)のノイズ信号OUTNaは、画素アレイ120の下側に配置された信号蓄積部170の容量CNに蓄積される。また、n行目の青画素122(B)のノイズ信号OUTNbは、画素アレイ120の上側に配置された信号蓄積部170の容量CNに蓄積される。
そして、転送信号TX(n)が低レベルから高レベルに変化したとき(図9(f))、制御信号LSW1が高レベルから低レベルに変化し(図9(h))、行選択トランジスタMLS1がオフする。また、例えば、転送信号TX(n)が高レベルから低レベルに変化したとき(図9(g))、制御信号LSW1が低レベルから高レベルに変化し(図9(i))、行選択トランジスタMLS1がオンする。なお、アクセス期間AP(n)および水平走査期間HSN(n)では、制御信号LSW2は、低レベルに維持される。すなわち、転送信号TX(n)が高レベルの期間中、制御信号LSW1、LSW2は、低レベルに維持され、行選択トランジスタMLS1、MLS2の両方がオフする。
このように、この実施形態でも、転送信号TX(n)が高レベルの期間では、垂直信号線200とカラムアンプ150との間は非導通である。したがって、この実施形態では、高レベルの転送信号TX(n)によるフローティングディフュージョンFDnの電圧上昇がカラムアンプ150に伝達されることを防止できる。また、転送信号TX(n)が低レベルに戻った後では、行選択トランジスタMLS1がオンするため、垂直信号線200とカラムアンプ150との間は導通する。これにより、所望の電圧がカラムアンプ150に入力される。
例えば、n行目の緑画素122(Gb)のフォトダイオードPDにより生成された信号電荷に対応する信号は、画素アレイ120の下側に配置されたカラムアンプ150に行選択トランジスタMLS1を介して入力され、カラムアンプ150により反転増幅される。また、例えば、n行目の青画素122(B)のフォトダイオードPDにより生成された信号電荷に対応する信号は、画素アレイ120の上側に配置されたカラムアンプ150に行選択トランジスタMLS1を介して入力され、カラムアンプ150により反転増幅される。
制御信号LSW1が低レベルから高レベルに変化した後に、制御信号TSが低レベルから高レベルに変化し(図9(j))、図8に示したトランジスタMS1がオンする。これにより、n行目の緑画素122(Gb)、青画素122(B)の画像信号OUTSは、図8に示した信号蓄積部170a、170bにそれぞれ蓄積される。すなわち、n行目の緑画素122(Gb)の画像信号OUTSaは、画素アレイ120の下側に配置された信号蓄積部170の容量CSに蓄積される。また、n行目の青画素122(B)の画像信号OUTSbは、画素アレイ120の上側に配置された信号蓄積部170の容量CSに蓄積される。
水平走査期間HSN(n)では、n行目の緑画素122(Gb)の信号OUTSa、OUTNaが、画素アレイ120の下側に配置された信号蓄積部170aから水平選択スイッチ部180aを介して順次出力される。また、n行目の青画素122(B)の信号OUTSb、OUTNbが、画素アレイ120の上側に配置された信号蓄積部170bから水平選択スイッチ部180bを介して順次出力される。なお、制御信号LSW1は、n+1行目の画素122のアクセス期間AP(n+1)に移る前に、高レベルから低レベルに変化する(図9(a2))。
また、アクセス期間AP(n+1)では、制御信号RST(n+1)、SEL(n+1)、TX(n+1)、TN、TS、LSW1、LSW2は、アクセス期間AP(n)の制御信号RST(n)、SEL(n)、TX(n)、TN、TS、LSW2、LSW1と同様に制御される。例えば、アクセス期間AP(n+1)および水平走査期間HSN(n+1)では、制御信号LSW1は、低レベルに維持される。また、転送信号TX(n+1)が高レベルの期間中、制御信号LSW2は、低レベルに維持される。したがって、高レベルの転送信号TX(n+1)によるフローティングディフュージョンFDの電圧上昇は、カラムアンプ150に伝達されない。
なお、アクセス期間AP(n+1)では、制御信号LSW2がアクセス期間AP(n)の制御信号LSW1と同様に制御されるため、n+1行目の緑画素122(Gr)、赤画素122(R)からの信号は、信号蓄積部170a、170bにそれぞれ蓄積される。したがって、水平走査期間HSN(n+1)では、n+1行目の緑画素122(Gr)の信号OUTSa、OUTNaが、画素アレイ120の下側に配置された信号蓄積部170aから水平選択スイッチ部180aを介して順次出力される。また、n+1行目の赤画素122(R)の信号OUTSb、OUTNbが、画素アレイ120の上側に配置された信号蓄積部170bから水平選択スイッチ部180bを介して順次出力される。
以上、この実施形態では、タイミングジェネレータ40は、少なくとも転送信号TXが高レベルの期間中、制御信号LSW1、LSW2の両方を低レベルに維持する。これにより、転送信号TX(n)が高レベルの期間では、行選択トランジスタMLS1、MLS2の両方がオフする。すなわち、共通の垂直信号線200に接続された行選択トランジスタMLS1、MLS2により構成された行選択スイッチは、垂直信号線200とカラムアンプ150との間の導通/非導通を切り換える。したがって、この実施形態においても、上述した図1−図7で説明した実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、この実施形態では、各カラムアンプ150に着目した場合、行選択トランジスタMLS1、MLS2の制御により、信号が読み出される画素122の列を、1行毎に切り換えることができる。これにより、例えば、緑画素122(Gr、Gb)からの信号は、常に、画素アレイ120の下側に配置されたカラムアンプ150を介して読み出される。また、例えば、赤画素122(R)および青画素122(B)からの信号は、常に、画素アレイ120の上側に配置されたカラムアンプ150を介して読み出される。このため、この実施形態では、緑画素122(Gr)からの信号と、緑画素122(Gb)からの信号とのレベル差を小さくできる。
なお、上述した実施形態では、制御信号LSWを制御するタイミングジェネレータ40が固体撮像素子10、12の外部に設けられる例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、タイミングジェネレータ40は、固体撮像素子10、12内に設けられてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。あるいは、図10に示すように、制御信号LSWを生成するスイッチ制御部132が、固体撮像素子14内に設けられてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図10は、図2に示した固体撮像素子10の変形例を示している。図10に示した固体撮像素子14は、上述した図2に示した固体撮像素子10にスイッチ制御部132が追加されて構成されている。その他の構成は、図2に示した固体撮像素子10と同じである。図1−図7で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
スイッチ制御部132は、例えば、上述した図1に示したタイミングジェネレータ40から駆動クロックを受け、上述した図4に示した動作をする制御信号LSWを生成する。なお、スイッチ制御部132は、垂直走査回路130内に設けられてもよいし、水平走査回路190内に設けられてもよい。また、上述した図8に示した固体撮像素子12内にスイッチ制御部132が設けられる場合、垂直走査回路130は、上述した図9に示した動作をする制御信号LSW(LSW1、LSW2)を生成する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、カラムアンプ150が反転増幅器である場合の例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、カラムアンプ150は、非反転増幅器でもよい。この場合、例えば、リセット状態時のカラムアンプ150の出力電圧(上述した図6に示した電圧VREF)が電源電圧VDD側に設定され、カラムアンプ150の出力電圧は、フォトダイオードPDで生成される信号電荷の増加(入射光の光量の増加)に伴い、低下する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、カラムアンプ150は、演算増幅器を用いずに構成されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、増幅トランジスタMAMが画素122毎に設けられる例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、画素122は、増幅トランジスタMAMが設けられないパッシブ型でもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。あるいは、例えば、図11や図12に示すように、1つの増幅トランジスタMAMは、複数の画素122に共用されてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図11は、図3に示した画素122の変形例を示している。図11に示した画素の構成は、1つの画素共用部128(増幅トランジスタMAM、画素選択トランジスタMSE、リセットトランジスタMRSおよびフローティングディフュージョンFD)が2つの画素で共用されている点を除いて、上述した図3と同じである。図1−図7で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
画素群124は、列方向D2に隣接する2つの画素により構成され、画素主要部126a、126bおよび画素共用部128を有している。画素主要部126(126a、126b)は、画素群124を構成する画素毎に設けられ、画素共用部128は、画素群124を構成する2つの画素で共用されている。各画素主要部126(126a、126b)は、フォトダイオードPD(PDa、PDb)および転送トランジスタMTR(MTRa、MTRb)を有している。また、画素共用部128は、増幅トランジスタMAM、画素選択トランジスタMSE、リセットトランジスタMRSおよびフローティングディフュージョンFDを有している。なお、転送トランジスタMTRa、MTRbのドレインは、増幅トランジスタMAMのゲートに共通に接続されている。
すなわち、画素主要部126aおよび画素共用部128により構成される画素(画素群124のうちの1つの画素)は、図3に示した画素122と同じ構成である。また、画素主要部126bおよび画素共用部128により構成される画素(画素群124のうちの別の1つの画素)は、図3に示した画素122と同じ構成である。したがって、画素群124を有する固体撮像素子10の構成および動作は、1つの画素共用部128が2つの画素で共用されている点を除いて、上述した図2および図4とそれぞれ同じである。例えば、画素主要部126aおよび画素共用部128により構成される画素から信号を読み出す場合、上述した図1に示したタイミングジェネレータ40は、少なくとも転送信号TXaが高レベルの期間中、図2に示した制御信号LSWを低レベルに維持する。また、画素主要部126bおよび画素共用部128により構成される画素から信号を読み出す場合、図1に示したタイミングジェネレータ40は、少なくとも転送信号TXbが高レベルの期間中、図2に示した制御信号LSWを低レベルに維持する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図12は、図3に示した画素122の別の変形例を示している。図12に示した画素の構成は、1つの画素共用部128(増幅トランジスタMAM、画素選択トランジスタMSE、リセットトランジスタMRSおよびフローティングディフュージョンFD)が4つの画素で共用されている点を除いて、上述した図3と同じである。図1−図7で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
画素群125は、列方向D2に隣接する4つの画素により構成され、画素主要部126a、126b、126c、126dおよび画素共用部128を有している。画素主要部126(126a、126b、126c、126d)は、画素群125を構成する画素毎に設けられ、画素共用部128は、画素群125を構成する4つの画素で共用されている。各画素主要部126(126a、126b、126c、126d)は、フォトダイオードPD(PDa、PDb、PDc、PDd)および転送トランジスタMTR(MTRa、MTRb、MTRc、MTRd)を有している。また、画素共用部128は、増幅トランジスタMAM、画素選択トランジスタMSE、リセットトランジスタMRSおよびフローティングディフュージョンFDを有している。なお、転送トランジスタMTRa、MTRb、MTRc、MTRdのドレインは、増幅トランジスタMAMのゲートに共通に接続されている。
すなわち、1つの画素主要部126(例えば、画素主要部126a)および画素共用部128により構成される画素(画素群125のうちの1つの画素)は、図3に示した画素122と同じ構成である。したがって、画素群125を有する固体撮像素子10の構成および動作は、1つの画素共用部128が4つの画素で共用されている点を除いて、上述した図2および図4とそれぞれ同じである。例えば、画素主要部126aおよび画素共用部128により構成される画素から信号を読み出す場合、上述した図1に示したタイミングジェネレータ40は、少なくとも転送信号TXaが高レベルの期間中、図2に示した制御信号LSWを低レベルに維持する。また、その他の画素主要部126b、126c、126dから信号をそれぞれ読み出す場合においても、画素主要部126aと同様に、図1に示したタイミングジェネレータ40は、少なくとも各転送信号TXb、TXc、TXdが高レベルの期間中、図2に示した制御信号LSWを低レベルに維持する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。