本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で下記の実施形態及び図面に変更を加えることが出来るのはもちろんである。
なお、下記の実施形態では、第1の放送をワンセグ放送とし、第1の放送よりも処理するデータ量の多い第2の放送をハイビジョン放送(又はフルセグ放送)として説明する。また、本発明ではスタンダード放送もハイビジョン放送と同様に扱うことができる。このため、本発明では12セグメントを使った(ワンセグ放送のセグメントに含まれるデータも使用する場合がある)放送(第1の放送より扱うデータ量が大きい第2の放送)を総称してハイビジョン放送と呼ぶことにする。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係るチューナ制御装置を説明する。本実施形態のチューナ制御装置1は、コンテンツ受信機能を備える携帯電話であるが、本発明に係るチューナ制御装置は、モバイル映像表示端末や、携帯型のテレビ受信機などであっても良い。チューナ制御装置1は、任意のコンテンツを受信可能であるが、以下ではワンセグ放送およびハイビジョン放送におけるコンテンツ(番組)を受信する場合について説明する。
チューナ制御装置1は、コンテンツ再生機能を備える携帯電話で、例えば、図1に示すような折り畳み型のものである。チューナ制御装置1は、キーボード2、表示パネル5、通話用マイク6、通話用スピーカ7、及び、スピーカ8等を備えている。
キーボード2は、カーソルキー3と切替ボタン4とその他各種のボタンとを備え、ユーザに操作されて、様々なデータや指示の入力に使用される。カーソルキー3とその他各種のボタンとは、例えば、チャンネルの選択等の指示の入力に使用される。また、切替ボタン4は、例えば、再生する放送の切り替えの入力に使用される。表示パネル5は、ドットマトリクスタイプのLCD(液晶表示)パネル等から構成され、任意の情報(例えば、映像、字幕、データ放送等)を表示する。通話用マイク6には、通話音声が入力される。通話用スピーカ7は、受話音声を出力する。スピーカ8は、コンテンツ再生時(ワンセグ又はハイビジョン放送の再生時)の音声等を出力する。
次に、チューナ制御装置1の回路構成について説明する。チューナ制御装置1は、図2に示すように、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、ワンセグ復調・デコード部15、フルセグ復調・デコード部16、音声出力部17、音声入力部18、通信部19、バス20、タイマー24、及び、アンテナ31を備える。
制御部11は、マイクロプロセッサユニット等から構成され、チューナ制御装置1全体の動作(各部の動作)を制御する。例えば、制御部11は、後述の復調した放送データ(例えば、後述のTS)に基づくデータ(映像データ等で、放送データそのものであってもよい)の放送の再生(各チューナ部が出力するTSをデコード等して加工したデータを用いた再生をも含む表現である)、及び、チャンネルの変更を制御する。また、制御部11は、各種のデータ(映像、字幕文、データ放送等)を、表示部14を介して、表示パネル5に表示させる。また、制御部11は、例えば、後述のワンセグチューナ部150と後述のフルセグチューナ部160とへの電力の供給(電源のオン・オフ)を制御し、後述のワンセグチューナ部150の動作と後述のフルセグチューナ部160の動作とを制御する。
記憶部12は、RAM、補助記憶装置等の適宜の記憶装置によって構成され、各種データ及び各種プログラムを記憶する。また、記憶部12は、制御部11の作業領域も有する。例えば、記憶部12は、チューナ制御プログラム30、ワンセグCN−フルセグCN対応表25、フルセグCN−フルセグBER対応表26を記憶する。記憶部12は、チューナ制御装置1に内蔵されるメモリ又は取り外し可能な外部メモリからの少なくとも一方から構成されてもよい。また、記憶部12は、制御部11がアクセス可能であればその機能の一部をチューナ制御装置1の外部に設けたものであってもよい。なお、制御部11は、例えば、チューナ制御プログラム30(OS(Operating System)との協働でもよい)に従って下記で説明する処理を行う。チューナ制御プログラム30は、持ち運び可能な記憶媒体に記録されても良い。
操作部13は、前述のキーボード2(カーソルキー3、切替ボタン4等)を備え、ユーザからの操作に対応した操作信号を制御部11に入力する。
表示部14は、表示パネル5及びドライバ回路等から構成され、制御部11の制御下にて画像を表示パネル5に表示する。
ワンセグ復調・デコード部15は、図3(a)のように、ワンセグチューナ部(第1のチューナ部の一例)150と、ワンセグデコード部159と、を備える。ワンセグチューナ部150は、アンテナ31を介して受信した電波を用いてワンセグ放送のTransport Stream、すなわち、TSを復調し、復調信号のTSをワンセグデコード部159に出力する。ワンセグデコード部159は、復調信号のTSを分離・復号処理し、映像データ、音声データ、字幕データなどを出力する。
ワンセグチューナ部150は、具体的には例えば、図3(a)のように、受信機151、CN(Carrior to Noise Ratio)測定器152、復調器153、BER(Bit Error Rate)測定器154を備え、CN出力線155、BER出力線156、TS(Transport Stream)出力線157などと接続されている。
受信機151は、アンテナ31から入力された電波から制御部11で指定された信号(例えばユーザが指定するチャンネルのワンセグ放送に対応する所定幅の周波数帯域の信号)を、RF(Radio Frequency)信号として取り出し、取り出した信号をCN測定器151を介して復調器153に出力する。CN測定器152は、前記RF信号を用いてCN値を求め、求めたCN値をCN出力線155を介して制御部11に出力する(記憶部12を介して制御部11に出力する場合も含む、以下、制御部11に出力するといった場合は、同じ)。以下、CN測定器151(つまり、ワンセグチューナ部150)が出力するCN値をワンセグCNと呼ぶことがある。復調器153には、受信機151が出力したRF信号がCN測定器152を介して入力される。復調器153は、入力されたRF信号をTSに復調してワンセグ放送のTSを出力する。さらに、後段のBER測定器154によってBER値が測定された後、TS出力線157からTSが出力される。また、測定されたBER値は、BER出力線156を介して制御部11に出力される。以下、BER測定器154が出力するBER値をワンセグBERと呼ぶことがある。
フルセグ復調・デコード部16は、図3(b)のように、フルセグチューナ部(第2のチューナ部の一例)160と、デスクランブル部168と、フルセグデコード部169と、を備える。フルセグチューナ部160は、アンテナ31を介して受信した電波を用いてフルセグ放送のTSを復調し、復調信号をデスクランブル部168に出力する。デスクランブル部168では、フルセグチューナ部160が出力したスクランブルのかかったTSの暗号を解き、データを平文にしてフルセグデコード部169に出力する。フルセグデコード部169は、デスクランブル部168が出力した平文TSを分離・復号処理し、映像データ、音声データ、字幕データなどを出力する。
フルセグチューナ部160は、図3(b)のように、受信機161、CN測定器162、復調器163、BER測定器164を備え、CN出力線165、BER出力線166、TS出力線167などと接続されている。受信機161は、アンテナ31から入力された電波から制御部11で指定された信号(例えばユーザが指定するチャンネルのフルセグ放送に対応する所定幅の周波数帯域の信号)を、RF信号として取り出す。フルセグチューナ部160は、ワンセグチューナ部150と同様の構成であるので、他の詳細な説明は省略する。なお、以下、CN測定器162が出力するCN値をフルセグCNと呼び、BER測定器164が出力するBER値をフルセグBERと呼ぶことがある。
なお、ワンセグチューナ部150とフルセグチューナ部160とは、一つのLSI(Large Scale Intergration)として構成してもよいし、それぞれ、別個のチューナによって構成されてもよい。ワンセグチューナ部150とフルセグチューナ部160とを一つのLSI(チューナ)として構成する場合、このチューナは、ワンセグ放送のTSを復調・出力するワンセグモード(第1のチューナモードの一例)と、ハイビジョン放送のTSを復調・出力するフルセグモード(第2のチューナモードの一例)とを有する。このとき、ワンセグチューナ部150の動作は、前記ワンセグモードの動作であり、フルセグチューナ部160の動作は、フルセグモードの動作となる。モードの切り替えは、制御部11によって制御され、例えば、モードを示すレジスタの値を書き換えることで実現できる。
また、ワンセグチューナ部150とフルセグチューナ部160と制御部11とは、ワンセグチューナ部150とフルセグチューナ部160との切り替えによってワンセグ放送のTS又はハイビジョン放送のTSのどちらか一方を用いてワンセグ放送(第1の放送)又はハイビジョン放送(第2の放送)を再生する再生部を構成する。
音声出力部17は、前述の通話用スピーカ7とスピーカ8、DAC(Digital Analog Converter)等を備え、例えば、制御部11が再生したコンテンツの音声信号にDA変換を施し、スピーカ8により放音する。
音声入力部18は、通話時等に、音声信号を収集し、通信部19に供給する。
通信部19は、基地局を介して、通話音声、各種のデータ等を送受信する。
バス20は、各部間で相互にデータを伝送する。
タイマー24は、制御部11を構成するマイクロプロセッサユニットなどに付属した機構であり、一定の時間間隔で割り込みを発生させる。タイマー24により、制御部11が割り込みを発生させる時間間隔を設定できる。
アンテナ31はデジタル放送が受信可能な、例えばUHF帯の電波やVHF帯の電波を受信するために必要な形状をしている。
(切り替え処理の概要)
例えば、図4のように、領域A2内から領域A2の外かつ領域A1内にチューナ制御装置1が移動した場合等、ユーザがハイビジョン放送を受信して視聴している際にハイビジョン放送の受信状況が悪化すると、映像にブロックノイズが発生し、それ以上視聴を続けられなくなる場合がある。そのような場合に、チューナ制御装置1が同じチャンネルのワンセグ放送に切り替えて表示することにより、ユーザは番組を途切れることなく視聴でき、使い勝手が向上する。このように制御するには、チューナ制御装置1(つまり、制御部11)は、ハイビジョン放送の受信中に、例えばCN測定器162で測定した、このハイビジョン放送のCN値(又は電界強度)を取得し、予め定められた第1の閾値よりも大きいか否かを判定する(なお、電界強度を取得する場合には、適宜の場所(例えば、CN測定器152及びCN測定器162の場所)に電界強度測定器を設ける。)。そして、もしCN値(又は電界強度)が第1の閾値未満(電界強度の場合には、基本的に他の閾値になる。)の場合、チューナ制御装置1(つまり、制御部11)は、ワンセグ放送に切り替えて表示する。または、チューナ制御装置1(つまり、制御部11)は、フルセグチューナ部160が出力するBER値(BER測定器164で測定されたもの)を取得し、予め定められた第2の閾値未満であるかを判定する。そして、もし閾値以上になった場合は、ワンセグ放送に切り替えて表示する。
なお、図4のAは、放送波を発振する基地局であり、領域A2はハイビジョン放送の受信状況が良好な領域、領域A1はワンセグ放送の受信状況が良好な領域である。当然、領域A1は、領域A2を含んだ領域である。
また、例えば、図4のように領域A2内にチューナ制御装置1がある場合、チューナ制御装置1がハイビジョン放送を良好に受信して視聴できる可能性が高い。この場合、視聴する放送をハイビジョン放送に切り替えることによって、より高品質な放送を視聴できる可能性がある。しかし、ワンセグ放送とハイビジョン放送とでは、電波を受信してから表示するまでの処理量が違うなどの理由により、同じシーンでも表示されるタイミングは1秒から2秒程度ずれてしまう。そのため、視聴する放送を切り替えると画面も音声も途切れてしまい、煩わしいと感じるユーザもいる。このようなずれを補正するには、先にデコードが完了して表示可能となった放送(通常はハイビジョン放送)の画像データ等をメモリに蓄積し、後からデコードが完了して表示可能となった放送(通常はワンセグ放送)のシーンとタイミングを合わせて再生する方法が考えられる。しかし、大容量のメモリが必要となりコストがかかってしまうため、好ましくない。
そこで、頻繁に切り替えを発生させないために、ワンセグ放送からハイビジョン放送へはチューナ制御装置1が自動で切り替えずに、ユーザの所望のタイミングで手動にて切り替えることができると、ユーザにとっては使い勝手が向上する。そのためには、ハイビジョン放送が安定して受信できるエリア内(図4の領域A2内)に端末が移動した、ということを検出し、ユーザに通知する必要がある。
上記の処理のうちBER値を用いた処理内容を、図5を用いて簡単に説明する。なお、CN値(又は電界強度)を用いた処理もこの処理と同様にできる。但し、この場合、値の扱いは逆になり、値が或る閾値(例えば前記の第1の閾値)未満になった場合は、ワンセグ放送に切り替える。図5は、フルセグBERの時間変化をプロットした図を示している。ここで、閾値140(例えば、第2の閾値)は、フルセグBERがこれ以上の値の場合にハイビジョン放送からワンセグ放送に切り替える値である。チューナ制御装置1(つまり、制御部11)は、時刻t1(又はt3)で、取得したBER値が閾値140を超えているので、ワンセグ放送への切り替え処理を行う。なお、各チューナ部の切り替えにBER値を用いることで、より正確に各放送の受信状況が把握出来る。
ワンセグ放送への切り替え処理を説明すると、例えば、制御部11は、ワンセグチューナ部150の電源をオンにして起動し、ワンセグチューナ部150を動作させる。ワンセグチューナ部150は、アンテナが受信した放送波からTSを復調し出力する。出力されたTSはワンセグデコード部159に入力される。入力されたTSはワンセグデコード部159で復号されYUVデータ等に変換される。そして、制御部11は、フルセグデコード部169が復号したYUVデータの画像の表示等を停止し、ワンセグデコード部159が出力するYUVデータの画像を表示部14を介して表示等する。その後、制御部11は、フルセグチューナ部160の電源をOFFにし、フルセグチューナ部160の動作を停止させる。
このようにして、チューナ制御装置1(制御部11)は、フルセグチューナ部160を動作させているときにフルセグチューナ部160が出力するハイビジョン放送の受信状況(ここでは、BER値であるが、CN値又は電解強度であってもよい)を取得し、取得したフルセグ放送の受信状況が所定の基準(第1の所定の基準の一例)を満たさない場合(例えば、上記の閾値以上(又は閾値未満)の場合等)にワンセグチューナ部150を動作させるとともにフルセグチューナ部160の動作を停止させる。そして、チューナ制御装置1(制御部11)は、ワンセグ放送のTSに基づくワンセグ放送の再生を行う。
なお、詳しくは後述するが、制御部11は、時刻t2(又はt4)でフルセグBERが閾値140を下回ると予想できると、ハイビジョン放送への切り替えが可能と判断できるので、制御部11は、ユーザにフルセグ受信可能通知の処理を行う。通知の具体例については後述する。そして、ユーザによってハイビジョン放送への切り替えが指示された場合は、制御部11は、ハイビジョン放送に切り替える。まず、制御部11は、フルセグチューナ部160の電源をオンにして起動し、フルセグチューナ部160を動作させる。フルセグチューナ部160は、アンテナが受信した放送波からTSを復調し出力する。出力されたTSはデスクランブル部168に入力され、スクランブルのかかったTSの暗号を解き、データを平文にしてフルセグデコード部169に出力する。出力されたTSはフルセグデコード部169に入力される。入力されたTSはフルセグデコード部169で復号されYUVデータ等に変換される。そして、制御部11は、ワンセグデコード部159が復号したYUVデータの画像の表示等を停止し、フルセグデコード部169が出力するYUVデータの画像を表示部14を介して表示等する。このようにして、チューナ制御装置1(制御部11)は、ハイビジョン放送のTSに基づくハイビジョン放送の再生を行う。その後、制御部11は、ワンセグチューナ部150の電源をOFFにし、ワンセグチューナ部150の動作を停止させる。
フルセグBERを用いて、ハイビジョン放送からワンセグ放送への自動切り替えができ、ワンセグ放送視聴中にはフルセグBERを把握(例えば予測)してハイビジョン放送受信可能通知処理を行うことができる。
ここで、フルセグBERやフルセグCNを用いて切り替えの判定処理を行う場合、常にフルセグチューナ部160の電源を入れてフルセグチューナ部160を動作させておくと大きな消費電力を使用してしまう。一般的に、フルセグチューナ部160はワンセグチューナ部150に比べても大きな消費電力を使用する。これは、図6に示されるように、ハイビジョン放送はワンセグ放送の約12倍の周波数帯域を使用していることや、TSのビットレートが高く、処理するデータ量が多いことなどが理由として挙げられる。なお、図6では、フルセグ放送のセグメントとワンセグ放送のセグメントとは、別個に表現されているが、フルセグ放送では、ワンセグ放送に使用されるセグメントに含まれるデータの一部を使用することもある。
本実施形態のように、ワンセグチューナ部150を動作させる場合に、フルセグチューナ部160の動作を停止させることによって、消費電力を抑えることができる。
また、本実施形態のように、ワンセグチューナ部150も常時起動(動作)させずに、ワンセグ放送を表示する場合だけ動作するように制御する。ワンセグチューナ部150についてもフルセグチューナ部160ほど大きな消費電力は使用しないが、本実施形態ではできるだけ消費電力を抑えられ、システム全体の消費電力を抑えることができる。
(フルセグ映像出力処理)
ここで、ハイビジョン放送の映像を出力するためのフルセグ映像出力処理について図7を用いて詳細に説明する。まず、フルセグチューナ部160に電波がアンテナ31を介して入力される。そして、制御部11の制御の下、フルセグチューナ部160にて復調処理を行い、ハイビジョン放送のTSを出力する。(ステップS701)。次に、このTSにはコンテンツ保護のためにスクランブルがかかっているので、デスクランブル部168は復号化処理を行い平文のTSを出力する(ステップS702)。そして、この平文のTSをフルセグデコード部169はデコード処理する(ステップS703)。デコード処理では、まずTSを映像、音声、字幕、データ放送、PSI/SI情報などのデータに分離した後、分離したこれらからそれぞれのエレメンタリストリーム(ES)を復号する。これにより、例えば、映像ESはYUVデータ(映像データ)に変換され、音声ESはPCM(Pulse Code Modulation)データ(音声データ)に変換される。そして、制御部11は、変換した各ESを用いて、表示部14への表示、スピーカ8からの出力等を行い、ハイビジョン放送の再生を行う(ステップS704)。このようにして、制御部11は、フルセグチューナ部160が出力するハイビジョン放送のTSに基づくハイビジョン放送の再生を行う。
(ユーザ通知フロー)
次に、本実施形態に係るチューナ制御装置1が行う、ワンセグ放送を受信中にハイビジョン放送の受信可否を判別し、受信可能と判断できた場合はユーザにフルセグ受信可能通知を通知する受信可否判定処理のフローについて詳細に説明する(図8)。
まず、ワンセグ放送を視聴中に制御部11はワンセグチューナ部150からワンセグCNを取得する(ステップS801)。次に、制御部11は取得したワンセグCNを用いてフルセグBERを予測する(ステップS802)。フルセグBERの予測処理の詳細については、図9で説明するので、ここでは説明を省略する。その後、制御部11は予測したフルセグBERを用いてハイビジョン放送の受信状態の判定を行う(ステップS803)。この受信状態判定方法の詳細については、図10で説明する。
そして、制御部11はハイビジョン放送の受信状態判定が終了したと判断し(ステップS804;YES)、ハイビジョン放送の受信状態が良好と判定した場合(ステップS805;YES)、ユーザ通知を開始する(ステップS806)。ここで、ハイビジョン放送の受信状態は、ハイビジョン放送の受信状態を示す記憶部12に記憶されたプログラム上の変数であり、ハイビジョン放送の受信状態判定処理(ステップS803)において値が格納される。この変数の値によって「判定中」「良好」「悪化」などというようにハイビジョン放送の受信状態を判断できる。ハイビジョン放送の受信状態が「判定中」でなかった場合、すなわち「良好」や「悪化」であった場合、ハイビジョン放送の受信状態の判定が終了したと判断できる。そして、「良好」であった場合、ハイビジョン放送の受信状態の判定が良好であると判断できる。
もし、フルセグ受信状態が悪化と判定された場合は(ステップS805;NO)、制御部11はユーザ通知を停止する(ステップS807)。その後、制御部11はタイマー24の計時を開始する(ステップS808)。そして、或る時間が経過してタイマーが満了したら(ステップS809;YES及びNO)、制御部11は再びステップS801に戻ってワンセグCNを取得する。なお、ステップS804にてフルセグ受信状態の判定が終了していなかった場合は(ステップS804;NO)、制御部11はステップS808に進んでタイマーを開始する。
このようにして、制御部11は、フルセグチューナ部160の動作を停止させてワンセグチューナ部150を動作させているときにワンセグチューナ部150が出力するワンセグ放送の受信状況(ここでは、ワンセグCNであるが、ワンセグ放送の電界強度又はワンセグBER等であってもよい。)を取得する。これによって、取得したワンセグの受信状況からフルセグの受信状況を予測できることなり、予測した受信状況を用いて、フルセグチューナ部160の動作を制御できる。また、制御部11は、取得したワンセグ放送の上記受信状況が所定の基準(第2の所定の基準の一例)を満たす場合に、ハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報を出力することによって、ユーザに、ハイビジョン放送の受信が可能であることを通知することができる。このようにして、本実施形態においては、ハイビジョン放送へユーザの所望のタイミングで手動にて切り替えができることになるため、ユーザにとっては使い勝手が向上する。なお、ワンセグ放送の受信状況(例えば、ワンセグCN)が前記の所定の基準を満たす場合とは、この受信状況が直接或る所定の基準を満たす場合の他、この受信状況から把握(予測を含む)できる他の情報(フルセグBER等のハイビジョン放送の受信状況等)が或る所定の基準を満たす場合も含む。前記他の情報を用いることによって、フルセグ放送及びワンセグ放送の受信状況の判断がし易くなる場合がある。
(フルセグBER予測処理フロー)
次に、フルセグBERの予測処理のフローについて詳細に説明する(図9)。
ワンセグ放送とハイビジョン放送は同じチャンネルであれば、図6に示したように、或る一定範囲の周波数帯を利用してワンセグ放送とハイビジョン放送についての電波を伝送している。よって、ワンセグ放送の電界強度が強ければ、同じ場所で受信したハイビジョン放送の電界強度も強い、というような相関があることが分かる。ここでは、この相関を利用して、フルセグチューナ部160を起動せずに、ワンセグチューナ部150から得られるCN値等の情報を用いてフルセグの電波状況を予測する。なお、上記のように、CN値は、ワンセグ放送の電界強度又はワンセグBER等に変更可能である。
まず、制御部11は、ワンセグCNを取得したら、ワンセグCN−フルセグCN対応表25を参照する(ステップS901)。ワンセグCN−フルセグCN対応表25とは、図14に示すように、ワンセグCN1401とフルセグCN1402との対応関係が示された表である。これは、同じ受信条件にて、ワンセグチューナ部150で取得したワンセグ周波数帯のCN値とフルセグチューナ部160で取得したフルセグ周波数帯のCN値との対応関係を示したものである。この対応表を使えば、例えば、ワンセグチューナ部150から取得したCN値が1.0dBだった場合、仮にフルセグチューナ部160でCN値を取得すると、CN値は1.5dBとなると予測できる。
制御部11は、この対応表25を参照して、取得したワンセグCNに対応するフルセグCNを取得する。具体的には、取得したワンセグCN(以後、CN_in)に一番近い値(以後、CN_out1)と、二番目に近い値(以後、CN_out2)を検索して取得し(ステップS902、ステップS903)、これらの値を用いて、フルセグCNの予測値(以後CN_f)を計算する(ステップS904)。例えば、CN_in=1.25だった場合、CN_out1=1.0、CN_out2=2.0となる。これらに対応するフルセグCN値1402を、対応表25を参照して、1.5と2.5を得る。そして、これらの値に係数をかけて足合わせる。係数は、線形近似となるように、それぞれ1−(CN_in−CN_out1)/(CN_out2−CN_out1)と、1−(CN_in−CN_out2)/(CN_out1−CN_out2)とする。その結果、CN_f=1.125+0.625=1.75を得ることができる。ここで、係数の算出方法はこれに限らず、計算処理を省略するためにどちらも0.5に固定するなどでもよい。
制御部11は、CN_fが計算できたら、次はフルセグCN−フルセグBER対応表26を参照する(ステップS905)。フルセグCN−フルセグBER対応表26とは、図15に示すように、フルセグCN1501とフルセグBER1502との対応関係が示された表である。これは、同じ電波条件にて、フルセグチューナ部160で取得したフルセグ周波数帯のCN値と、フルセグチューナ部160で取得したフルセグ周波数帯のBER値との対応関係を示したものである。この対応表を使えば、例えば、フルセグのCN値が14.0dBだった場合、フルセグのBER値は、6.0×10−4となると予測できる。
そして、制御部11は、ステップS902〜ステップS904と同様の計算処理を行い、フルセグBERの予測値を計算する。まず、制御部11は、フルセグCN値CN_fに一番近い値CN_f1と二番目に近い値CN_f2を検索して取得する(ステップS906、ステップS907)。そして、制御部11は、CN_f1とCN_f2に対応するフルセグBER1502を取得して、ステップS904と同様に係数を計算し、フルセグBER(以後、BER_f)を計算する(ステップS908)。得られたフルセグBERが、予測したフルセグの受信状況である。このようにして、対応表を用いて、フルセグBERを予測できる。なお、フルセグ放送の受信状況をフルセグCN又はフルセグ放送の電界強度に適宜変更してもよく、この場合には、ステップS905〜ステップS908を省き(電界強度の場合には、さらにフルセグCN値を電界強度に置き換える。)、フルセグ放送の受信状況をフルセグCN又はフルセグ放送の電界強度にする(これ以降に行われる処理でも同じ)。
(フルセグの受信状態判定処理フロー)
次に、フルセグの受信状態判定処理のフローについて詳細に説明する(図10)。
まず、処理を開始すると、制御部11は、フルセグの受信状態として「判定中」をセットする(ステップS1001)。これは、具体的には、制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラム上のフルセグ受信状態を示す変数に、「判定中」を示す所定の値、例えば1を格納する。
次に、制御部11は、図9のステップS908で計算したフルセグBERの予測値BER_fを取得し(ステップS1002)、閾値BER_th(例えば第2の閾値)未満であるかを判定し(ステップS1003)、未満である場合は(ステップS1003;YES)、カウンタiをインクリメントする(ステップS1004)。ここで、カウンタiとは、フルセグBER値が何回連続で閾値BER_th未満であったかを数えるための、プログラム上の変数である。
そして制御部11は、カウンタiが閾値Cnt_th1を超えたかどうかを判定し(ステップS1005)、超えた場合は(ステップS1005;YES)、ハイビジョン放送の受信状態が良好といえるので、フルセグ受信状態に「良好」を示す値、例えば2、をセットする(ステップS1006)。そして、制御部11は、カウンタiをリセットして0に戻す(ステップS1007)。また、制御部11は、後述するカウンタjもリセットして0に戻す(ステップS1008)。
フルセグBER値が閾値BER_th以上であった場合は(ステップS1003;NO)、カウンタjをインクリメントする(ステップS1009)。ここで、カウンタjとは、フルセグBER値が何回連続で閾値BER_th以上であったかを数えるための、プログラム上の変数である。
そしてカウンタjが閾値Cnt_th2を超えたかどうかを判定し(ステップS1010)、超えた場合は(ステップS1010;YES)、ハイビジョン放送の受信状態は悪いといえるので、フルセグ受信状態に「悪化」を示す値、例えば3、をセットする(ステップS1011)。そして、カウンタjをリセットして0に戻す(ステップS1012)。また、カウンタiもリセットして0に戻す(ステップS1013)。なお、カウンタiが閾値Cnt_th1よりも小さい場合(ステップS1005;NO)、および、カウンタjが閾値Cnt_th2よりも小さい場合(ステップS1010;NO)は、フルセグ受信状態は「判定中」を示す値がセットされたままであり、制御部11はステップS1013又はステップS1008に進む。
このようにして、フルセグ受信状態を示す変数には、「判定中」「良好」「悪化」を示す値がセットされる。
このように、フルセグチューナを停止させた状態でハイビジョン放送が受信可能かどうかを判定することで、端末の消費電力を低く抑えることが可能である。その結果、テレビの視聴時間が延び、ユーザの使い勝手が向上する。
(フルセグ受信可能通知の具体例)
ここで、フルセグ受信可能通知の具体例を示す。制御部11は、ハイビジョン放送の受信状態が良好である場合に、ハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報を出力する。
制御部11は、ハイビジョン放送の受信状態が良好(つまり受信状況が或る基準を満たす場合)である場合に、ハイビジョン放送の受信状況(つまり受信状態)が良好である旨の画面(図16(a))を表示部14に表示する。図16(a)はワンセグ放送を視聴中の画面例であり、ワンセグ受信中マーク1601が表示されている。ここで、ハイビジョン放送の受信が可能になると、図16(b)の画面に遷移し、ハイビジョン放送受信可能マーク1602が表示される。ユーザはこのマーク1602を見て、ハイビジョン放送が受信可能になったことを知ることができ、例えば、切替ボタン4を押下するなどの所定の操作を行い、所望のタイミングでハイビジョン放送へ切替ることができる。なお、表示方法はこれに限らず、例えば、図16(c)のように、受信状況をバロメータ1603のように表示してもよい。これは、予めワンセグCNの値とバロメータの高さとの関係を定めておき、ワンセグCNの値を取得した際にバロメータの高さに変換することで、表示が可能である。
また、図16(d)のように、ハイビジョン放送(フルセグ放送)の受信が可能となった場合に、ポップアップ1604のような通知を行い、ポップアップ1604の「はい」を選択することでハイビジョン放送に切り替えられるようにしても良い。このように、ポップアップ1604で切替指示を受け付けることによって、ユーザはこのポップアップの「はい」を選択すればすぐにハイビジョン放送への切替ができるため、使い勝手が向上する。このように、表示部14は、制御部11が出力するハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報に基づいてハイビジョン放送の受信状況が良好であることを示すポップアップ1604を含む画像を表示する。
ここで、ハイビジョン放送が受信可能になった表示をしている状態で、再び受信不可となった場合は、前記表示を消して、ハイビジョン放送が受信不可となったことをユーザに知らせる。
なお、ユーザ通知の方法は、表示だけでなく、バイブレーションや音で通知をしても良い。具体的には、振動を発生させる振動発生部を形成し、振動発生部は、制御部11が出力するハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報に基づいてハイビジョン放送の受信状況が良好であることを示す振動を発生させる。または、音を発生させる音出力部をさらに備え(スピーカ8であってもよい。)、音出力部は、制御部11が出力するハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報に基づいてハイビジョン放送の受信状況が良好であることを示す音を発生させる。この場合、画面を見ていないで音声だけでワンセグ放送を視聴しているユーザでも、ハイビジョン放送の受信が可能になったことを知ることができ、使い勝手が向上する。例えば、ワンセグ放送では音声だけ聞いており、ハイビジョン放送が受信可能な場合は映像も視聴したいというユーザにとっては使い勝手が向上する。また、ハイビジョン放送では5.1ch音声に対応している番組もあり、音声だけ聞いているユーザにとってもハイビジョン放送に切り替えて高音質で音声を楽しむことができる。
本実施形態において、チューナ制御装置1は、ワンセグ放送を視聴中に電界強度の強いエリアA2にユーザが移動した場合、ハイビジョン放送が受信可能な旨(すなわちハイビジョン放送の受信状況が良好である旨)をユーザに通知する。なお、ハイビジョン放送の受信状況をワンセグチューナ部150のみ動作させた状態で推測できるため、フルセグチューナ部160を動作させる場合と比べて消費電力を抑えることができ、長い視聴時間を確保することができるので、ユーザの使い勝手を向上するデジタル信号処理装置を提供出来る。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。固定テレビで受信することを目的として規格化されたハイビジョン放送では、必要なC/N比は約20dB以上であることが推奨されており、その値より少し悪い、例えばC/N比が17〜18dB程度の電波状況では、ハイビジョン放送の映像にブロックノイズが発生してしまう場合もある。そのため、このような状況下では、ワンセグCNから予測したフルセグBERを用いて、フルセグの電波状況を予測するのは困難である。
そこで、実施形態2では、上述したようなフルセグ電波状況が予測困難な状況において正確にフルセグの電波状況を推測するために、制御部11は、フルセグチューナ部160をいったん起動して動作させ、フルセグBER値を取得する。制御部11は、フルセグBER値を取得したら、フルセグチューナ部160の動作を停止させる。実施形態2におけるこれ以外の事項については基本的に実施形態1と同様である。
ワンセグCNを取得し、ワンセグCNが或る所定の範囲内であった場合に、フルセグチューナを起動させて、フルセグのBER値を取得するフルセグチューナ部一時起動処理のフローについて説明する(図11)。図11は、フルセグBERを取得するまでの処理フローであり、図9の処理フローの代替となる。
まず、制御部11は、ワンセグCNを取得したら、ステップS901〜ステップS904までと同様の処理を行い、フルセグCN値CN_fを取得する。次に、制御部11は、取得したフルセグCN値CN_fが、閾値CN_th1(第3の閾値)以上で、かつ、閾値CN_th2(第4の閾値)以下であるかどうかを判定する(ステップS1101)。そして、その範囲内に入っていた場合(ステップS1101;YES)、制御部11は、フルセグチューナ部160を起動させ、動作させる(ステップS1102)。起動時、制御部11は、フルセグチューナがBERを出力するのに必要な、レジスタの初期化などの初期化処理を行う。次に、制御部11は、フルセグチューナ部160のBER測定器164から出力されるフルセグのBER値を取得し、記憶部12のプログラム上の変数に格納しておく(ステップS1103)。そして、制御部11は、BER値の取得処理が終了したら、フルセグチューナ部160を停止する(ステップS1104)。なお、ステップS904で取得したフルセグCN値CN_fが、閾値CN_th1から閾値CN_th2の範囲外であった場合(ステップS1101;NO)、制御部11は、ステップS905からステップS908までと同様の処理を行って、フルセグCN−フルセグBER対応表26を用いてBER_fを取得する。
そして、制御部11は、図8ステップS803からステップS809までと同様の処理を行い、フルセグの電波状況が良いと判定されればユーザ通知を開始し、そうでなければユーザ通知を停止する。
このようにして、制御部11は、ワンセグチューナ部150を動作させているときに停止中のフルセグチューナ部160を所定のタイミングで動作させ、動作させたフルセグチューナ部160が出力するハイビジョン放送の受信状況を取得する。これによって、ハイビジョン放送の受信状況から受信状態が分かり、効率的にフルセグチューナ部160の動作を制御できる。
特に制御部11は、ワンセグチューナ部150が出力するワンセグ放送の受信状況を取得し、取得したワンセグ放送の受信状況が所定の基準(第3の所定の基準の一例)を満たす場合に、フルセグチューナ部160を動作させる。なお、ワンセグ放送の受信状況が前記の所定の基準を満たす場合とは、この受信状況が直接或る所定の基準を満たす場合の他、この受信状況から把握(予測を含む)できる他の情報(フルセグBER等のハイビジョン放送の受信状況等)が或る所定の基準を満たす場合も含む。前記他の情報を用いることによって、フルセグ放送及びワンセグ放送の受信状況の判断がし易くなる場合がある。フルセグの電波状況が良好条件か悪条件か判断つきにくい状況では、ワンセグCNから予測するのではなく、フルセグチューナ部160をいったん動作させてフルセグBERを取得することで、正確にフルセグ放送の受信状況を特定することができ、ユーザの使い勝手も向上する。さらに、制御部11は、上記のように、取得したハイビジョン放送の受信状況が所定の基準(第4の所定の基準の一例)を満たす場合に、ハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報を出力する。これによって、ユーザにハイビジョン放送が受信可能である旨を通知できる。
(実施形態3)
(フルセグBER取得モード切替)
しかしながら、フルセグチューナ部160を動作させると、ワンセグチューナ部150だけを起動した場合と比較して、消費電力が多くなってしまう。よって、消費電力をできるだけ低く抑えるために、頻繁にフルセグチューナ部160を動作させることはなるべく避けたい。
また、フルセグ受信が可能な通知をしたにもかかわらず、ユーザがハイビジョン放送に切り替えずに、ワンセグ放送を視聴し続けている場合、放送の画質よりも番組内容に熱中している可能性が高い。この場合には、ハイビジョン放送の受信状況の把握の精度は必ずしも問われない可能性が高く、この場合には、ワンセグCNの値を用いてフルセグBERを予測すれば充分の可能性が高い。
そこで、フルセグチューナの起動に伴う消費電力の増加を抑えるために、制御部11のフルセグBERを把握するモードを変更する。具体的には、図9に示した、ワンセグCNの値を用いてフルセグBERを予測するモード(以後、モード1)と、図11に示した、ワンセグCNの値が或る範囲内だった場合はフルセグチューナ部160を起動させてフルセグBERを取得するモード(以後、モード2)とを切り替える。なお、実施形態3におけるこれ以外に事項については基本的に実施形態1及び2と同様である。
ハイビジョン放送が視聴可能になりユーザにその旨を通知しても、ユーザがワンセグを視聴し続けていた場合は、モード2からモード1に切り替える第1のモード切替処理フローについて説明する(図12)。
まず、制御部11は、ワンセグ視聴中にワンセグCNを取得するとともに(ステップS801)、フルセグのBER値を把握する(ステップS1204)。把握の方法は、設定されたモードによって変更する。すなわち、モード1であれば、図9に示す処理が行われ、モード2であれば、図11に示す処理が行われる。ここでは、最初モード2の処理が行われることとする。そして、制御部11は、ステップS803からステップS806までと同様の処理を行い、ユーザ通知を開始する。その後、制御部11は、ユーザが或る一定期間の間にハイビジョン放送への切り替えを指示するかどうかを判定するためのタイマーの計時を開始する。(ステップS1201)、そして一定時間が経過して、タイマーが満了すると(ステップS1202;YES)、制御部11は、ハイビジョン放送への切り替え指示があったかどうかを検出する(ステップS1205)。まだハイビジョン放送への切り替え指示がなかった場合(ステップS1205;YES)、ユーザがハイビジョン放送に切り替えずに、ワンセグ放送を視聴し続けている可能性が高く、制御部11は、フルセグBERの取得モードをモード1に切り替える(ステップS1206)。すなわち、フルセグBERをワンセグCNの値を用いて予測するように切り替える。
また、フルセグ電波状況が悪化した場合(ステップS805;NO)、ユーザ通知を停止し(ステップS807)、フルセグBERの取得モードを、モード2に戻す(ステップS1203)。
また、フルセグBER把握モードを切り替えるタイミングとして、フルセグ受信可能の通知をした回数が或る所定の回数を超えてもユーザがハイビジョン放送に切り替えなかった場合は、モード1に切り替えるようにしても良い。その場合の第2のモード切替処理フローについて説明する(図13)。なお、下記では実施形態3における実施形態1及び2と異なる部分について説明し、重複する部分の説明は省略する。
まず、制御部11は、図12のステップS801からステップS806までと同様の処理を行い、フルセグ受信可能なユーザ通知を開始する。次に、制御部11は、カウンタkをインクリメントする(ステップS1301)。このカウンタkは、ユーザ通知した回数を数えるための、プログラム上の変数である。そして、制御部11は、カウンタkが閾値Nより大きいかどうかを判定し(ステップS1302)、大きかった場合は(ステップS1302;YES)、ハイビジョン放送への切り替え指示があったかどうかを検出する(ステップS1205)。まだハイビジョン放送への切り替え指示がなかった場合(ステップS1205;YES)、ユーザがハイビジョン放送に切り替えずに、ワンセグ放送を視聴し続けている可能性が高く、制御部11は、フルセグBERの取得モードをモード1に切り替える(ステップS1206)。すなわち、制御部11は、フルセグBERをワンセグCNの値を用いて予測するように切り替える。また、フルセグ電波状況が悪化した場合は、カウンタkはリセットし(ステップS1303)、フルセグBERの取得モードを、モード2に戻す(ステップS1203)。
本実施形態では、制御部11は、ワンセグチューナ部150を動作させているときにワンセグチューナ部150が出力するワンセグ放送の受信状況を取得し、取得したワンセグ放送の受信状況が或る所定の基準(第5の所定の基準の一例)を満たすか否かを判別する第1の判別モードと、ワンセグチューナ部150を動作させているときに停止中のフルセグチューナ部160を所定のタイミング(例えば、上記図11のステップS1101のYES)で動作させ、動作させたフルセグチューナ部160が出力するハイビジョン放送の受信状況を取得し、取得したハイビジョン放送の受信状況が或る所定の基準(第6の所定の基準の一例)を満たすか否かを判別する第2の判別モードと、を有する。また、制御部11は、第1の判別モード又は第2の判別モードでそれぞれの前記の或る所定の基準を満たすと判断した場合に、前記第2の放送データの受信状況が良好である旨の情報を出力する。さらに、制御部11は、第2の判別モードによってハイビジョン放送の受信状況が前記の所定の基準を満たすと判別すると、ハイビジョン放送の受信状況が良好である旨の情報を出力し、この情報の出力後所定の間(期間又は出力回数)にユーザの所定の操作(ハイビジョン放送に切り替える旨の操作)がない場合に、判別モードを前記第1の判別モードに切り替える。なお、ワンセグ放送の受信状況が或る所定の基準を満たす場合とは、この受信状況が直接或る所定の基準を満たす場合の他、この受信状況から把握(予測を含む)できる他の情報(フルセグBER等のハイビジョン放送の受信状況等)が或る所定の基準を満たす場合も含む。前記他の情報を用いることによって、フルセグ放送及びワンセグ放送の受信状況の判断がし易くなる場合がある。
本実施形態では、判別モードを所定のタイミングで切り替えることが出来、フルセグチューナ部160の不要な動作を軽減でき、消費電力を抑えることができ、ユーザの使い勝手は向上する。
(実施形態4)
(間欠的にモード2にする)
また、モード1でフルセグBERをワンセグCN値から予測すると、予測がはずれてしまう場合もある。より精度高くフルセグ受信状況を予測するには、モード2でフルセグチューナ部160が出力するフルセグBERを取得する。しかし、フルセグチューナの起動に伴う消費電力の増加は抑えたい。
ここで、図18(a)のように、区間1801でモード1とし、区間1802でモード2とし、時刻t1以降においてユーザからのハイビジョン放送切替指示がない等によって、ずっとモード2のままであると、消費電力が大きくなってしまう。そこで、間欠的にモード2に切り替えることで、精度を高くフルセグ放送の受信状況を予測し、また消費電力も抑える。このように制御した場合の、モードの時間変化を説明する(図18)。
まず、制御部11は、時刻t0にてフルセグ受信可能通知をする。以後、制御部11は、区間1811ではモード2でフルセグBERを取得する。そして、一定時間経過してもユーザからのハイビジョン放送切替指示がない場合は、制御部11は、モード1に切り替える(時刻t1)。その後、制御部11は、区間1812の間はモード1でフルセグBERを予測する。一定時間が経過すると、再びモード2に切り替える(区間1813)。その後は、制御部11は、区間1812、区間1813のようにモードの切り替えを繰り返していく(図18の(b)を参照)。
以下、このように制御する処理フローについて説明する(図19)。
まず、制御部11は、ステップS1206でフルセグBER取得モードをモード1に切り替えた後、モード切替の時間測定用のタイマー(以後、モード切替タイマー)を開始する。次に、制御部11は、図12のステップS801と同様の処理を行ってワンセグのCN値を取得する。そして、制御部11は、モード切替タイマーが満了しているかどうかチェックし(ステップS1901)、タイマーが満了していたら(ステップS1901;YES)、モードを切り替える(ステップS1902)。
モード切替では、制御部11は、まず現状のモードを取得し、その次のモードに切り替える。もし現状がモード1だったらモード2へ、現状がモード2だったらモード1へ切り替える。その後、制御部11は、モード切替タイマーを開始する(ステップS1903)。その後、切り替えたモードに従って、制御部11は、実施形態3と同様にフルセグのBERを把握する(ステップS1904)。それ以降の処理については、図12のステップS803と同様の処理を行う。
このように、制御部11は、第1の判別モードと、第2の判別モードと、を所定のタイミングで交互に切り替える。また、所定のタイミングは、第1の判別モードの期間と第2の判別モードの期間とが略同じ(同じも含む)となるようなタイミングが望ましい。間欠的にモード1とモード2を切り替えてフルセグBERを取得することで、消費電力を抑えつつ、精度高くフルセグの受信状況を予測することができる。
(モード2の割合を低くする)
さらに、モード2の割合を低くして消費電力を抑えることを考える。フルセグ受信可能通知してからユーザがハイビジョン放送に切り替えない時間が長くなればなるほど、フルセグ受信状況の精度は必要なくなってくる。そこで、制御部11は、時間の経過につれてモード2に切り替えるタイミングを遅らせる。図18(c)のように、制御部11は、時刻t1でモード1に切り替えた後、モード1の区間1822、区間1824、区間1826と徐々に長くしていく。これにより、モード2の割合を少なくできる。
このように制御するための処理フローを説明する(図20)。
まず、制御部11は、図19のステップS801からステップS1902と同様の処理を行って、ワンセグCNの取得と、モード切替タイマー満了時はモードの切り替えを行う。
次に、制御部11は、現在のモードがどのモードになっているかを判定する(ステップS2001)。そこで、モード1だった場合(ステップS2001;モード1)、制御部11は、モード1用のタイマーをセットする(ステップS2002)。またモード2だった場合(ステップS2002;モード2)、制御部11は、モード2用のタイマーをセットする。そして、モード切替タイマーの計時を開始する(ステップS1903)。ここで、モード1用のタイマーの時間を長くセットしておけば、次にモード2に切り替わるまでの時間が長くなり、結果としてモード2の割合を少なくできる。
その後、制御部11は、切り替えたモードに従って、フルセグのBERを把握する(ステップS1904)。それ以降の処理については、図12のステップS803と同様の処理を行う。
このように、モードを切り替える毎に第2の判別モードの期間の方が第1の判別モードの期間よりも短くなっていく。
第2の判別モードの割合を少なくすることで、より消費電力が低減でき、ユーザの使い勝手が向上する。
(チャンネル変更でモード2に戻す)
なお、チャンネル変更をユーザが指示した場合、モード2に戻すように制御しても良い。この場合、チャンネルが変わることで番組も変わるため、ユーザがワンセグからフルセグに切り替えて視聴する可能性があるためである。そのためには、フルセグ受信状況を精度よく予測して通知する必要があるので、モード2に切り替える。
このように制御するための処理について説明する。まず、ユーザによってチャンネルの変更指示がされると、チャンネル変更要求を制御部11が検出し、制御部11は、フルセグBER取得モードをモード2に切り替える。次に、モード切替タイマーを停止する。そして、図20ステップS801以降の処理を進めていくことで実現できる。
このように、チャンネルが切り替わったら、フルセグ受信状況を再び精度よく予測できるため、ユーザの使い勝手が向上する。
なお、フルセグBER取得モードをモード2に戻すきっかけは、チャンネル変更に限らない。例えば、音量変更や、データ放送画面のスクロール、サブメニュー画面の開閉、視聴スタイルの変更などでも良い。
このように、ユーザの操作を契機としてモードを切り替えても良い。
(その他)
(切り替え操作画面)
ハイビジョン放送、ワンセグ放送を切り替えるユーザインタフェースについては、切替ボタン4を押下することにより、ハイビジョン放送→ワンセグ放送→ハイビジョン放送、というようにトグル式に放送を切り替えるようにしてもよい。また、画面操作によって切り替えを行えるようにしてもよく、その場合の操作画面について説明する(図17)。
まず、ワンセグ視聴中またはフルセグ視聴中に(図17(a))、ソフトキー「サブメニュー」1701に対応するキーボード上のボタン(以後、サブメニューキー)を押下すると、サブメニューの表示画面に遷移する(図17(b))。ここで、「切り替え設定」を選択すると、切り替え設定画面に遷移する(図17(c))。この画面で、「フルセグ」を選択して「決定」を押下すると、フルセグへの切り替え処理が開始される。そして、ハイビジョン放送に切り替わったことを示すポップアップ(1704)を表示する(図17(d))。さらに、ハイビジョン放送視聴中は、アイコン1703のようなハイビジョン放送を視聴中であることを示すアイコンを、画面に表示してもよい(図17(e))。これにより、ユーザは、ハイビジョン放送かワンセグ放送かどちらを視聴中であるかが一目で分かり、使い勝手が向上する。
(各実施形態等について共通する説明)
上記各実施形態で説明したように、チューナ制御装置1は、第1の放送データを復調する第1のチューナ部と、前記第1の放送データよりデータ量の多い第2の放送データを復調する第2のチューナ部と、前記第1のチューナ部の動作と前記第2のチューナ部の動作とを制御し、前記第1のチューナ部を動作させているときに前記第2のチューナ部の動作を停止させる制御手段と、を備えるので、常にデータ量の多い第2の放送データを復調する第2のチューナ部(消費電力が大きい)の電源を入れておくのではなく、必要に応じて第2のチューナ部を動作させることで、消費電力を抑えることができる。