JP2010276110A - 作業車の負荷制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行駆動系とは別系の外部動力取出軸を介してエンジン動力が伝達されるPTO系作業装置の作動の有無を判別する作業状態検出手段74を備え、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける変速操作手段による減速操作量が、PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作量よりも大きくなるように制御する。
【選択図】図6
Description
[1]走行駆動系に動力を伝達する変速装置としての静油圧式無段変速装置を備えた作業車において、エンジン回転数の設定回転数からの低下量をエンジン負荷として検出し、その検出負荷に応じて静油圧式無段変速装置の斜板位置を負荷軽減側へ制御操作するようにしたもの(特許文献1参照)。
すなわち、エンジン負荷が走行駆動系のみならずPTO系作業装置との双方の負荷によって生じた場合、走行駆動系の静油圧式無段変速装置の斜板位置を減速側へ制御操作しても、PTO系作業装置の負荷が減少する訳ではないので、エンジン負荷が十分に軽減されない場合がある。この場合には、PTO系作業装置の負荷が大きいものであるほどエンジン回転数がかなり低下してしまうことになる。したがって、比較的高速回転での駆動を使用条件とする作業装置を装備した場合には、その作業装置の駆動を良好に行い難くなる虞があった。
本発明における作業車の負荷検出装置は、エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、走行駆動系に動力を伝達する変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出手段と、前記変速装置の変速操作を行う変速操作手段とを備え、前記負荷検出手段、及び前記変速位置検出手段の検出信号に基づいて、エンジン負荷が大きいほど前記変速装置が減速操作されるように前記変速操作手段の作動を制御する制御信号を出力する制御手段を備えた作業車の負荷制御装置であって、前記走行駆動系とは別系の外部動力取出軸を介してエンジン動力が伝達されるPTO系作業装置の作動の有無を判別する作業状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける前記変速操作手段による減速操作量が、PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作量よりも大きくなるように、前記作業状態検出手段の検出信号に基づく前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されていることを特徴とする。
すなわち、この解決手段1によれば、PTO系作業装置の作動の有無を判別して、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける変速操作手段による減速操作量が、PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作量よりも大きくなるように、前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更する。したがって、エンジン負荷が走行駆動系とPTO系作業装置との双方の負荷によって生じたものである場合には、同じ値のエンジン負荷であっても、走行駆動系の負荷のみによって生じた負荷と判断した場合における減速操作量よりも大きな減速操作量で変速操作手段を操作することになるので、エンジンストール防止に必要な量以上の走行減速が行われて、エンジン回転数の低下が極力抑制される。
その結果、エンジンの回転数低下が抑制されたことでPTO系作業装置は良好な駆動状態を維持することができ、また、エンジン回転数の変動が少ないことで燃費の向上にも貢献することになる点でも有利である。
そして、エンジン負荷が走行駆動系の負荷のみによって生じたものである場合には、同じ値のエンジン負荷であっても、エンジンストール防止に必要な量程度の走行減速が行われることになるが、このとき、PTO系作業装置は非作動状態であるから差し支えない。したがって、走行減速が必要以上に行われて走行性能が低下する不具合もない。
解決手段2にかかる発明は、解決手段1で示した作業車の負荷検出装置において、走行駆動系に動力を伝達する変速装置が静油圧式無段変速装置であり、可変容量ポンプの斜板角度を無段階に変更操作するポンプ斜板角操作手段によって変速操作手段が構成され、可変容量ポンプの斜板の操作位置を検出する斜板位置検出手段によって変速位置検出手段が構成され、制御手段は、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける前記ポンプ斜板角操作手段による斜板の減速操作量が、前記PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける斜板の減速操作量よりも大きくなるように、作業状態検出手段の検出信号に基づく前記ポンプ斜板角操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている点に特徴がある。
すなわち、この解決手段2によれば、走行駆動系に動力を伝達する変速装置として静油圧式無段変速装置を用いたものにおいて、斜板の減速操作量を制御することによって、上記解決手段1で述べた点と同様な、エンジンの回転数低下が抑制されたことでPTO系作業装置は良好な駆動状態を維持することができ、また、エンジン回転数の変動が少ないことで燃費の向上にも貢献することの利点、及び、走行減速が必要以上に行われて走行性能が低下する不具合を避けられる利点がある。
解決手段3にかかる発明は、解決手段1又は2で示した作業車の負荷検出装置において、制御手段は、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける変速操作手段による減速操作速度が、前記PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作速度よりも大きくなるように、作業状態検出手段の検出信号に基づく前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている点に特徴がある。
すなわち、この解決手段3によれば、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける変速操作手段による減速操作速度を、PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作速度よりも大きくするので、PTO系作業装置の作動状態で減速操作量が大きくなるにともなって長くなる傾向の操作時間を、減速操作速度の増大によって短縮することができ、その操作中におけるエンジン回転数の低下を極力抑制することができる。
したがって、より一層エンジンの回転数の低下を抑制し、PTO系作業装置の良好な駆動状態を維持することができる利点がある。
解決手段4にかかる発明は、解決手段1、2、又は3で示した作業車の負荷検出装置において、制御手段は、負荷検出手段と変速位置検出手段との検出信号に基づいて検出されるエンジン負荷が大きいほど、変速操作手段による減速操作速度を大きくするように、前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている点に特徴がある。
すなわち、この解決手段4によれば、エンジン負荷が大きいほど、変速操作手段による減速操作速度を大きくするので、エンジンの回転数低下傾向が強まるエンジン負荷の大きいときに、より速く変速操作手段による減速操作を行なって、その操作中におけるエンジン回転数の低下を極力抑制することができる。
したがって、PTO系作業装置の作動状態で減速操作量が大きくなるにともなって長くなる傾向の減速操作時間を、エンジン負荷の大きさに伴う減速操作速度の増大によって短縮し、この点でもエンジンの回転数の低下を抑制することができる利点がある。
〔作業車の全体構成〕
図1は、本発明の負荷制御装置を適用した作業車の一例であるトラクタの全体側面を示している。
このトラクタは、エンジン1を防振支持する前部フレーム2の左右に前輪3が配備され、エンジン1に連結されるフレーム兼用のミッションケース4の左右に後輪5が配備され、ミッションケース4の上方にステアリングホイール6や運転座席7などを配備して搭乗運転部8が形成されている。
また、静油圧式無段変速装置10から取り出された作業用動力が、油圧式の作業クラッチ14などを介して動力取出軸15に伝達される。
図2乃至図5に示すように、静油圧式無段変速装置10は、第2ケーシング部4Bに内装したアキシャルプランジャー型の可変容量ポンプ16やアキシャルプランジャー型の可変容量モータ17などを備え、可変容量ポンプ16からの非変速動力を作業用動力として出力し、可変容量モータ17からの変速動力を走行用動力として出力するように構成されている。そして、可変容量ポンプ16と可変容量モータ17とを第1油路18及び第2油路19で接続して形成された閉回路20に、エンジン動力で駆動されるチャージポンプ21からのチャージ油が、チャージ油路22やチェックバルブ23などを介して供給されている。
そして、このサーボコントロール機構25は、変速ペダル24の操作位置を検出するポテンショメータからなるペダルセンサ29、ポンプ用シリンダ26の操作量からポンプ斜板16Aの操作位置を検出するポテンショメータからなる斜板センサ30(斜板位置検出手段、及び変速位置検出手段の一例)、及び、ペダルセンサ29や斜板センサ30などの検出信号が入力されるマイクロコンピュータからなる制御装置31(制御手段の一例)によって制御されるように構成してある。
レギュレータバルブ28は、パワーステアリング用の供給ポンプ38から圧送される作動油を、作業クラッチ14と油圧式のパワーステアリング装置39とに、それぞれの作動に適した設定圧で分配するように構成され、作業クラッチ14に対する供給油路40が接続されるレギュレータバルブ28の圧力ポート28Aに、前記サーボバルブ27に対する供給油路41が接続されている。
前記作業クラッチ14へ圧油を供給する供給油路40には、電磁式のクラッチ操作弁75を設けてあり、後述する制御装置31からの指令に基づいてクラッチ操作弁75で油路開閉操作を行うことにより、作業クラッチ14を入り切り操作可能に構成してある。
<ポンプ制御関係>
図6に示すように、制御装置31には、変速ペダル24の操作位置とポンプ斜板16Aの操作位置との相関関係を示すマップデータ(相関関係データの一例)と、ポンプ斜板16Aを操作する制御プログラムとを記憶装備したポンプ斜板制御手段31Aが備えられている。
このポンプ斜板制御手段31Aによる前記ポンプ斜板16Aを操作する制御プログラムは、前記記憶されたマップデータやペダルセンサ29の検出値、及び斜板センサ30の検出値などに基づいて、前進用比例バルブ36又は後進用比例バルブ37の作動を制御し、ポンプ斜板16Aを操作するように構成されている。
これによって、静油圧式無段変速装置10の閉回路20での圧力変動やエンジン回転数の変動で圧力が変動するチャージ油路22からの出力圧力でポンプ用シリンダ26を駆動する場合に比較して、安定したサーボパイロット圧を得ることができ、ポンプ用シリンダ26の作動制御を精度良く行えるようになる。その結果、サーボコントロール機構25を安価な直動型に構成しながら、ペダルセンサ29の検出及び斜板センサ30の検出に基づいて、変速ペダル24の操作位置に応じた速度で車体を前進又は後進させる車速制御を精度良く行える。
又、この操作速度設定手段31Bの各マップデータは、後進時でのポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が、前進時でのポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度よりも遅くなるように設定して、ポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたものでもある(図8参照)。
又、後進時でのポンプ斜板16Aの操作速度が、前進時でのポンプ斜板16Aの操作速度よりも遅くなって、後進時での静油圧式無段変速装置10の変速操作が、前進時での静油圧式無段変速装置10の変速操作に比較して緩やかに行われ、前進時に比較して速度感覚をつかみ難い後進時での静油圧式無段変速装置10の変速操作が行い易くなる。
すなわち、調節ダイヤル42の操作位置が基準位置からクイック側に大きく変更されるほど、ポンプ斜板16Aの操作が速やかに行われるように、使用するマップデータを、ポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が速くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
又、調節ダイヤル42の操作位置が基準位置からスムーズ側に大きく変更されるほど、ポンプ斜板16Aの操作が緩やかに行われるように、使用するマップデータを、ポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が遅くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
すなわち、前記副変速レバー44の操作位置をポテンショメータからなる副変速センサ45によって検出し、この検出結果に基づいて、ギヤ式変速装置11の変速段が高速側であるほど、ポンプ斜板16Aの操作が速やかに行われるように、使用するマップデータを、ギヤ式変速装置11の変速段の上昇に応じてポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が速くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
これによって、制動装置が制動作動している場合には、使用するマップデータを、制動装置の制動作動による車速の低下を考慮してポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が速くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
すなわち、斜板センサ30の検出と、ポンプ斜板制御手段31Aで設定されたポンプ斜板16Aの目標操作位置とに基づいて、ポンプ斜板16Aの目標操作位置が実際の操作位置よりも増速側に設定された場合には、ポンプ斜板16Aの操作が緩やかに行われるように、ポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。又、ポンプ斜板16Aの目標操作位置が実際の操作位置よりも減速側に設定された場合には、ポンプ斜板16Aの操作が速やかに行われるように、ポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
更に、ポンプ斜板16Aの目標操作位置と実際の操作位置とが中立位置を挟む場合には、ポンプ斜板16Aの操作がより一層速やかに行われるように、使用するマップデータを、ポンプ斜板16Aの目標操作位置と実際の操作位置との位置関係に応じてポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
すなわち、斜板センサ30の検出と、ポンプ斜板制御手段31Aで設定されたポンプ斜板16Aの目標操作位置とに基づいて、ポンプ斜板16Aが中立位置から増速操作される走行開始時には、起動時に応じてポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が遅くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
又、ポンプ斜板16Aが増速位置から中立位置に減速操作される走行停止時には、ポンプ斜板16Aの操作が速やかに行われるように、使用するマップデータを、停止時に応じてポンプ斜板16Aの偏差に対するポンプ斜板16Aの操作速度が速くなるようにポンプ斜板16Aの偏差とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させたマップデータに変更する。
そして、ポンプ斜板16Aの実際の操作位置を検出する斜板センサ30の検出値と前記演算プログラムで設定された制御目標位置とを検出して、ポンプ斜板16Aの制御目標位置と実際の操作位置とを一致させるように、前進用比例バルブ36又は後進用比例バルブ37の作動を制御するように構成されている。
縦軸のエンジン回転比率とは、操縦部に備えたアクセルレバー51等のアクセル操作具によって設定されるエンジン1の設定回転数と、回転センサ47で検出されるエンジン1の実際の回転数との比である。縦軸の100%は、エンジン1の設定回転数と、エンジン1の実際の回転数とが同じ値であることを示す。多くの場合、この種の作業クラッチ14を備えるトラクタなどの作業車では、作業車としての能力を最大限に利用するため、設定回転数として最大回転数、又はそれに近い位置に設定して用いることが多い。
図9に示すラインL1は、エンジン回転比率とポンプ斜板16Aの変速操作位置との相関関係を示すラインのうち、PTOクラッチレバー73の操作位置を検出するポテンショメータからなるPTOクラッチセンサ74が、作業クラッチ14の切り状態を検出している状態での相関関係を示す走行用マップデータで表されるラインである。
また、同図のラインL2は、エンジン回転比率とポンプ斜板16Aの変速操作位置との相関関係を示すラインのうち、PTOクラッチレバー73の操作位置を検出するポテンショメータからなるPTOクラッチセンサ74が、作業クラッチ14の入り状態を検出している状態での相関関係を示す作業用マップデータで表されるラインである。
第1領域h1よりもエンジン回転比率の小さい第2領域h2では、エンジン回転数の変化率に対してポンプ斜板16Aの変化率が前記第1領域h1での変化よりも小さくなるように、エンジン回転比率とポンプ斜板16Aの操作位置とを対応させてある。
第2領域h2よりもエンジン回転比率の小さい第3領域h3では、エンジン回転数の変化率に対してポンプ斜板16Aの変化率が前記第2領域h2での変化よりも大きくなるように、エンジン回転数とポンプ斜板16Aの操作位置とを対応させてある。
すなわち、図9に示すように、エンジン回転比率が図中のラインxのレベルまで低下した場合、作業クラッチ14の切り状態を検出している状態では、ポンプ斜板16Aの制御目標位置は、前記ラインL1の走行用マップデータに基づいて、ラインL1上の点a1に対応する位置y1に設定される。
ところが、同じくエンジン回転比率が図中のラインxのレベルまで低下した場合でも、作業クラッチ14の入り状態を検出している状態では、ポンプ斜板16Aの制御目標位置は、前記ラインL2の作業用マップデータに基づいて、ラインL2上の点a2に対応する位置y2に設定される。
このように、ポンプ斜板16Aの操作位置を、エンジンストールの回避に必要な程度の位置y1よりも大きく走行負荷が軽減された位置y2にまでポンプ斜板16Aの斜板角を変更している。
ここでいうPTO系作業装置とは、走行系とは別に前記動力取出軸15から取り出された駆動力で駆動される作業装置であり、例えば、草刈用のモーアや、除雪装置など、比較的高速で回転駆動される作業装置である。
このポンプ斜板16Aの操作速度が偏差の大きさに対応して速くなるときの速度は、作業クラッチ14の切りが検出されている場合よりも、前記作業クラッチ14の入り状態が検出されている場合の方が速くなるように設定されている。
そして、これに加えて、ポンプ斜板16Aの操作移動方向が斜板センサ30で検出され、図中に二点鎖線で示すようにポンプ斜板16Aを倒す側(増速側)への操作を行なう場合よりも、図中に実線で示すように、ポンプ斜板16Aを戻す側(減速側)へのポンプ斜板16Aの操作速度が速くなるように、ポンプ斜板16Aの操作方向とポンプ斜板16Aの操作速度とを対応させて構成してある。
このトラクタには、可変容量モータ17の斜板17A(以下、モータ斜板と称する)を高低2段に切り換え操作する切換機構54が装備されている。
上記の実施形態では、制御装置31に装備される自動ポンプ斜板制御手段31Dとして、エンジン回転数の設定回転数からの低下率に伴ってポンプ斜板16Aを自動的に操作するように構成したものを示したが、これに限らず、自動ポンプ斜板制御手段31Dとしては、図12に示すように、エンジン回転数の設定回転数として、最高速またはそれに近い速度を設定し、その設定回転数からの低下量に伴ってポンプ斜板16Aを自動的に操作するように構成したものであってもよい。
そして、ポンプ斜板16Aの実際の操作位置を検出する斜板センサ30の検出値と前記演算プログラムで設定された制御目標位置とを検出して、ポンプ斜板16Aの制御目標位置と実際の操作位置とを一致させるように、前進用比例バルブ36又は後進用比例バルブ37の作動を制御するように構成されている。
図12に示すラインL0は、ポンプ斜板16Aの操作位置の制御には直接関わるものではないが、走行負荷によって静油圧式無段変速装置10の高圧リリーフが噴くようになる静油圧式無段変速装置10の最大負荷時にエンジン回転数とポンプ斜板16Aの変速操作位置とがバランスすることを示すエンジンストール性能ラインである。このエンジンストール性能は、エンジン1の出力トルク、静油圧式無段変速装置10の圧力、ポンプ斜板16Aの操作位置(斜板角)によって決まるものである。
また、同図のラインL2は、エンジン回転数とポンプ斜板16Aの変速操作位置との相関関係を示すラインのうち、PTOクラッチレバー73の操作位置を検出するポテンショメータからなるPTOクラッチセンサ74が、作業クラッチ14の入り状態を検出している状態での相関関係を示す作業用マップデータで表されるラインである。
第1領域h1よりもエンジンドロップ量の大きい第2領域h2では、エンジン回転数の変化量に対してポンプ斜板16Aの変化量が前記第1領域h1での変化よりも小さくなるように、エンジン回転数とポンプ斜板16Aの操作位置とを対応させてある。
第2領域h2よりもエンジンドロップ量の大きい第3領域h3では、エンジン回転数の変化量に対してポンプ斜板16Aの変化量が前記第2領域h2での変化よりも大きくなるように、エンジン回転数とポンプ斜板16Aの操作位置とを対応させてある。
つまり、PTOクラッチレバー73の操作位置を検出するポテンショメータからなるPTOクラッチセンサ74が、作業クラッチ14の入り状態を検出している状態では、前記ラインL2の作業用マップデータに基づいて、演算プログラムが算出したエンジン回転数に対応するポンプ斜板16Aの操作位置をポンプ斜板16Aの制御目標位置に設定し、その設定した制御目標位置と斜板センサ30の検出とに基づいて、ポンプ斜板16Aの制御目標位置と実際の操作位置とが一致するように、前進用比例バルブ36又は後進用比例バルブ37の作動を制御するように構成されている。
その結果、エンジン1に作用する負荷のうち、静油圧式無段変速装置10を経て駆動される走行系からの負荷が大きく低減されることで、エンジン1自体の過負荷による回転数低下を効果的に抑制することができる。これに伴い、エンジン1側の回転数が高速に保たれて、動力取出軸15から駆動力を伝達されるPTO系作業装置(図外)の駆動回転数の低下が抑制されることになる。
ここでいうPTO系作業装置とは、走行系とは別に前記動力取出軸15から取り出された駆動力で駆動される作業装置であり、例えば、草刈用のモーアや、除雪装置など、比較的高速で回転駆動される作業装置である。
一方、作業クラッチ14の入り状態を検出している状態では、ポンプ斜板16Aの変速操作位置は、前記ラインL2の走行用マップデータに基づいて、ラインL2上の点a1に対応する位置y2に設定される。
走行駆動系の変速装置を、静油圧式無段変速装置10に限らず、ギヤ変速型式のトランスミッションや、CVTなどの変速機構を用いて構成してもよい。この場合、変速操作を行うための変速操作手段も、ポンプ斜板角操作手段26やモータ用操作手段55に代えて、適宜シフト操作具を用いて操作するように構成してもよい。そのシフト操作具を作動させるための動力源として、電動シリンダや電動モータ又は油圧モータなどを採用してもよい。
前述の実施形態では、作業クラッチ14の入り状態が検出されているときにおけるポンプ斜板16Aの減速操作量及び減速操作速度が共に、作業クラッチ14の切り状態が検出されているとよりも大きくなるように制御する例を示したが、これに限らず、例えば、作業クラッチ14の入り状態が検出されているときにおけるポンプ斜板16Aの減速操作量が、作業クラッチ14の切り状態が検出されているときよりも大きくなるとともに、ポンプ斜板16Aの減速操作速度は、作業クラッチ14の切り状態が検出されているときと同程度であるように構成してもよい。
10 静油圧式無段変速装置(変速装置)
14 作業クラッチ
15 動力取出軸
16 可変容量ポンプ
16A 斜板
17 可変容量モータ
24 変速ペダル
25 サーボコントロール機構(変速操作手段)
26 ポンプ用シリンダ(ポンプ斜板角操作手段)
30 斜板位置検出手段(変速位置検出手段)
31 制御装置(制御手段)
31A ポンプ斜板制御手段
31B 操作速度設定手段
31C データ変更手段
31D 自動ポンプ斜板制御手段
47 回転センサ(負荷検出手段)
55 モータ用操作手段
74 PTOクラッチセンサ(作業状態検出手段)
Claims (4)
- エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、走行駆動系に動力を伝達する変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出手段と、前記変速装置の変速操作を行う変速操作手段とを備え、
前記負荷検出手段、及び前記変速位置検出手段の検出信号に基づいて、エンジン負荷が大きいほど前記変速装置が減速操作されるように前記変速操作手段の作動を制御する制御信号を出力する制御手段を備えた作業車の負荷制御装置であって、
前記走行駆動系とは別系の外部動力取出軸を介してエンジン動力が伝達されるPTO系作業装置の作動の有無を判別する作業状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける前記変速操作手段による減速操作量が、PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作量よりも大きくなるように、前記作業状態検出手段の検出信号に基づく前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されていることを特徴とする作業車の負荷制御装置。 - 走行駆動系に動力を伝達する変速装置が静油圧式無段変速装置であり、可変容量ポンプの斜板角度を無段階に変更操作するポンプ斜板角操作手段によって変速操作手段が構成され、可変容量ポンプの斜板の操作位置を検出する斜板位置検出手段によって変速位置検出手段が構成され、
制御手段は、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける前記ポンプ斜板角操作手段による斜板の減速操作量が、前記PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける斜板の減速操作量よりも大きくなるように、作業状態検出手段の検出信号に基づく前記ポンプ斜板角操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている請求項1記載の作業車の負荷制御装置。 - 制御手段は、PTO系作業装置の作動状態が検出されているときにおける変速操作手段による減速操作速度が、前記PTO系作業装置の非作動状態が検出されているときにおける減速操作速度よりも大きくなるように、作業状態検出手段の検出信号に基づく前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の負荷制御装置。
- 制御手段は、負荷検出手段と変速位置検出手段との検出信号に基づいて検出されるエンジン負荷が大きいほど、変速操作手段による減速操作速度を大きくするように、前記変速操作手段への制御信号の出力状態を変更するように構成されている請求項1、2、又は3記載の作業車の負荷制御装置。
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