JP2010275453A - 中空粒子およびそれを含む接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した粘着処理微粒子とから構成される。
接着剤組成物は、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、および、アクリル接着成分等の接着成分と、上記中空粒子とを含む組成物である。
【選択図】 図1
Description
たとえば、特許文献1には、無機微粒子で表面被覆され、比重の軽い中空粒子(プラスチックマイクロバルーン)を配合した接着剤組成物が記載されており、軽量化することができる。
しかし、中空粒子の配合によって、軽量化は達成できるものの、中空粒子を配合した体積に相当する接着成分が減少することや、接着成分と中空粒子間の接着性が弱いことから、接着剤組成物が硬化した際に、伸び等の物性が必然的に低下するという問題がある。この問題が原因で、中空粒子の添加量を上げることができず、接着剤組成物のさらなる軽量化が妨げられている。
一方、接着成分に機能性をもたらすために、添加剤の研究がなされている。たとえば、特許文献2では表面処理炭酸カルシウムを接着成分に添加することで浸水接着性および硬化性を改善している。また、特許文献3では粘着付与剤を接着成分に添加することで引張応力を向上させている。
しかし、様々な添加剤が検討されているが、物性のうちでも伸び物性を満足に改善させる添加剤は見つかっていないのが現状である。
伸び物性は、換言すれば、硬化後の接着剤組成物の柔軟性を意味する。すなわち、施工後、接着した対象物(たとえば、建物やガラス)が変位に耐えられるか否かの尺度となる物性である。伸び物性が低いと、接着成分が破断し接着成分としての機能を失うことや、対象物を破壊する可能性がある。したがって、高い伸び物性が必要である。
すなわち、本発明の中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した粘着処理微粒子とから構成される。
前記粘着成分が、樹脂酸、テルペン樹脂および石油樹脂から選ばれる少なくとも1種の成分であると好ましい。
前記接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、および、アクリル接着成分から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
また、本発明の中空粒子は軽量であるので、接着剤組成物の成分として配合した場合に軽量化に寄与する。
本発明の接着剤組成物は、本発明の中空粒子を含んでいるので、軽量でしかも高い伸びが得られる。
本発明の中空粒子(1)は、たとえば図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻部(2)およびそれに囲まれた中空部(3)から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した粘着処理微粒子(4および5)とから構成される。
中空粒子の真比重は、0.01〜0.65であり、好ましくは0.02〜0.55、さらに好ましくは0.03〜0.45、特に好ましくは0.04〜0.40、最も好ましくは0.05〜0.35である。真比重が0.01より小さい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、均一分散性が低くなる場合があり好ましくない。一方、真比重が0.65より大きい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、低比重化効果が低くなるため、中空粒子の添加量が大きくなり、非経済的である。
中空粒子の水分量については、通常5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。中空粒子の水分量が5重量%を超えると、下記に示す接着成分の硬化に影響を与える可能性がある。
以下、本発明の中空粒子を構成する中空体本体および粘着処理微粒子を詳しく説明する。
本発明の中空粒子を構成する中空体本体は、図1に示すように、外殻部およびそれに囲まれた中空部からなる。中空体本体は、(ほぼ)球状で、内部に大きな空洞に相当する中空部を有している。中空体本体の形状を身近な物品で例示するならば、軟式テニスボールを挙げることができる。中空体本体は、一般にはその硬度および真比重が小さいが、本発明の中空粒子では、粘着処理微粒子が外殻部の外表面に付着しているので、硬度が十分で、真比重も大きくなっている。
中空体本体の真比重については、特に限定はないが、通常、0.005〜0.30であり、好ましくは0.010〜0.25、さらに好ましくは0.015〜0.20である。中空体本体の真比重が0.005より小さい場合は、耐久性が低くなることがある。一方、中空体本体の真比重が0.30より大きい場合は、低比重化効果が低くなるため、中空粒子の添加量が大きくなり、非経済的であることがある。
外殻部を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ニトリル系単量体;カルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン系単量体;アクリルアミド系単量体;マレイミド系単量体等のラジカル重合性単量体を(共)重合して得られる樹脂である。外殻部を構成する熱可塑性樹脂が、以下で詳しく説明する熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂であると好ましい。ラジカル重合性単量体の具体例についても、以下で詳しく説明する。
中空体本体の平均粒子径に対する外殻部の平均厚みの割合(外殻部の平均厚み/中空体本体の平均粒子径)については、特に限定はないが、好ましくは0.0005〜0.1、さらに好ましくは0.0010〜0.7、特に好ましくは0.0015〜0.5である。外殻部の平均厚み/中空体本体の平均粒子径が、0.0005〜0.1の範囲外では中空体が弾性を示さないおそれがある。
粘着処理微粒子は、外殻部の外表面に付着している。ここでいう付着とは、単に中空体本体の外表面に粘着処理微粒子が吸着された状態であってもよく、中空体本体の外表面近傍の熱可塑性樹脂が加熱によって融解し、中空体本体の外表面に粘着処理微粒子がめり込み、固定された状態であってもよいという意味である。
粘着処理微粒子の粒子形状は不定形であっても球状であってもよい。
粘着処理微粒子の平均粒子径と中空体本体の平均粒子径との比率(粘着処理微粒子の平均粒子径/中空体本体の平均粒子径)は、中空体本体表面への付着性の観点から好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下である。
粘着処理微粒子は、粘着成分で微粒子本体の表面が処理されてなる微粒子である。
微粒子本体の平均粒子径は、0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。この範囲内であると、後述するように、中空粒子を製造する際に熱膨張性微小球との混合性が良好となる。ここで言う微粒子本体の平均粒子径とは、レーザー回折法により測定された微粒子の粒子径である。微粒子の粒子径がミクロンオーダーであれば一次粒子を指すが、ナノオーダーの微粒子等は凝集している場合が多く、実質ミクロンオーダーの集合体として作用するため、凝集した二次粒子を1単位として平均粒子径を算出した。
微粒子本体を構成する無機物は、また、合成炭酸カルシウム、フェライト、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、ジルコニア、ミョウバン、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ繊維、セメント、ゾノトライト、酸化珪素(シリカ、シリケート、ガラス、ガラス繊維を含む)、窒化珪素、炭化珪素、硫化珪素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、竹炭、木炭、フラーレン等であってもよい。
微粒子本体を構成する有機物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素系樹脂等であってもよい。
粘着処理微粒子において微粒子本体の表面の処理に用いられる粘着成分は、後述の接着成分と粘着処理微粒子との接着性、微粒子本体と中空体本体との接着性、接着成分と中空体本体との接着性を高め、接着剤組成物において、伸びを大きくする作用効果を発揮する成分である。
ロジン酸類としては、たとえば、ロジン酸、ロジン酸塩類、ロジン酸エステル類、ロジン酸アミド類が挙げられる。
ロジン酸塩類としては、たとえば、上記ロジン酸のアルカリ金属塩類やロジン酸アルカリ土類金属類が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ロジン酸のアルカリ金属塩類の具体例としては、ピマル酸ナトリウムやピマル酸カリウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられ、ロジン酸のアルカリ土類金属塩類の具体例としては、ジピマル酸マグネシウム、ジピマル酸カルシウム等が挙げられる。また、上記に示した天然由来のロジン酸をアルカリ処理したロジン酸塩類の場合、複数種のロジン酸からなるため、複数のロジン酸塩の混合物になる。
ロジン酸アミド類としては、たとえば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、アニリン、アミノ安息香酸等のアミン化合物とロジン酸の縮合反応により作られたものが挙げられる。また、上記に示した天然由来のロジン酸をアミンと縮合反応させたロジン酸アミド類の場合、複数種のロジン酸からなるため、複数のロジン酸アミドの混合物になる。
石油樹脂としては、たとえば、エスコレット(トーネックス株式会社製)、ハイレッツ(三井石油化学工業株式会社製)等の商品名で市販されている脂肪酸系石油樹脂や、ペトロジン(三井石油化学工業株式会社製)、ネオポリマー(日本石油樹脂株式会社製)等の商品名で市販されている芳香族系石油樹脂等が挙げられる。
粘着処理微粒子は、微粒子本体の表面を粘着成分で表面処理することによって製造できる。表面処理方法としては、たとえば、リボン型混合機等の粉体混合機を用いて、微粒子本体に溶融した粘着成分を配合する粉体混合機を利用した処理方法や、粘着成分を溶解した溶液中に微粒子本体を分散させ、得られた分散液をスプレードライにて噴霧乾燥させる方法等が挙げられる。
微粒子本体が炭酸カルシウムである粘着処理微粒子の市販品として、白艶華O(ロジン酸1〜5重量%処理)、白艶華TDD(ロジン酸1〜5%重量処理)、ホモカルD(ロジン酸1〜5%重量処理)等が入手可能である。
本発明の中空粒子の製造方法は、熱膨張性微小球と粘着処理微粒子とを混合する工程(混合工程)と、前記混合工程で得られた混合物を前記軟化点超の温度に加熱して、前記熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空体本体の外表面に前記粘着処理微粒子を付着させる工程(付着工程)を含む製造方法である。
混合工程は、熱膨張性微小球と粘着処理微粒子とを混合する工程である。
混合工程で使用する粘着処理微粒子は、上記で説明したとおりである。また、熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻に内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成される。熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂の軟化点超の温度で加熱することによって膨張し、上記中空体本体が得られる。
熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する発泡剤とから構成されており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。以下の説明において、内包物質と発泡剤とを同義に用いることがある。
炭素数1〜12の炭化水素としては、たとえば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
ラジカル重合性単量体としては、特に限定はないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体については、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。
単量体混合物は、上記ラジカル重合性単量体以外に、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合させることにより、本製造方法で得られた熱膨張した微小球に含まれる凝集微小球の含有率が小さくなり、熱膨張後の内包された発泡剤の保持率(内包保持率)の低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。
重合開始剤については、特に限定はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、ラジカル重合性単量体に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
すなわち、ラジカル重合性単量体を必須とし任意に架橋剤を含む単量体混合物と、重合開始剤と、発泡剤とを混合し、得られた混合物を適当な分散安定剤等を含む水系懸濁液中で懸濁重合させる方法等である。
熱膨張性微小球の平均粒子径については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されず、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは2〜80μm、特に好ましくは5〜60μmである。
付着工程は、前記混合工程で得られた、熱膨張性微小球と粘着処理微粒子とを含む混合物を、熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂の軟化点超の温度に加熱する工程である。付着工程では、熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空体本体の外表面に粘着処理微粒子を付着させる。ここでいう付着とは、単に中空体本体の外表面に粘着処理微粒子が吸着にされた状態であってもよく、中空体本体の外表面近傍の熱可塑性樹脂が加熱によって軟化し、中空体本体の外表面に粘着処理微粒子がめり込み、固定された状態であってもよい。
加熱は、一般的な接触伝熱型または直接加熱型の混合式乾燥装置を用いて行えばよい。混合式乾燥装置の機能については、特に限定はないが、温度調節可能で原料を分散混合する能力や、場合により乾燥を早めるための減圧装置や冷却装置を備えたものが好ましい。加熱に使用する装置としては、特に限定はないが、たとえば、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製)、ソリッドエアー(株式会社ホソカワミクロン)等を挙げることができる。
加熱の温度条件については、熱膨張性微小球の種類にもよるが最適膨張温度とするのが良く、好ましくは60〜250℃、より好ましくは70〜230℃、さらに好ましくは80〜220℃である。
本発明の中空粒子は種々応用することができる。その一例として、本発明の接着剤組成物は、接着成分と、上記中空粒子とを含む組成物である。
接着成分は、物体と物体間を接着させることができる成分であれば、特に限定はないが、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、アクリル接着成分等が挙げられる。接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、および、2液タイプの変性シリコーン接着成分から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
1液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ペンギンシール999(サンスター技研製)等が商業的に入手可能である。
2液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ペンギンシールPU9000typeNB(サンスター技研製)、ハマタイトUH−30(横浜ゴム製)、ボンドPUシール(コニシ製)等が商業的に入手可能である。
次に、2液タイプの変性シリコーン接着成分は、シロキサンポリマー(以下、B1ということがある。)と、アミノキシシロキサンやポリオール等の硬化剤(以下、B2ということがある。)とを混合・反応させることで接着性を発現するものである。2液タイプの変性シリコーン接着成分としては、たとえば、2成分形シーラント74(信越化学工業製)、SE792シーラント(東レ・ダウコーニング製)、ペンギンシールSR2520(サンスター技研製)、ハマタイトシリコーン70(横浜ゴム製)、ボンドMSシール(コニシ製)等が商業的に入手可能である。
2液タイプのポリサルファイド接着成分は、サルファイドポリマーからなる基剤(以下、C1ということがある。)と、PdO2等の金属過酸化物を含む硬化剤(以下、C2ということがある。)とを混合することで接着性を発生するものである。2液タイプのポリサルファイド接着成分は、たとえば、ペンギンシールPS169N(サンスター技研製)、ハマタイトSC−M500(横浜ゴム製)等が商業的に入手可能である。
接着剤組成物において配合される接着成分と中空粒子との重量比率(接着成分/中空粒子)については、特に限定はないが、好ましくは99.995/0.005〜70/30、さらに好ましくは99.99/0.01〜80/20、特に好ましくは99.95/0.05〜90/10である。接着成分/中空粒子(重量比率)が、99.995/0.005より大きい場合、中空粒子の添加量が少なく軽量化の効果が薄れてしまう可能性がある。一方、接着成分/中空粒子(重量比率)が、70/30より小さい場合、接着成分量が少なく接着剤組成物としての機能が著しく低下する。ここで、接着成分は、2液タイプのポリウレタン接着成分の場合はA1とA2との合計量を意味し、2液タイプの変性シリコーン接着成分の場合はB1とB2との合計量を意味し、2液タイプのポリサルファイド接着成分の場合はC1とC2との合計量を意味する。
実施例および比較例で得られたものについて、次に示す要領で、試験体の作製、物性の測定、性能の評価を行った。
接着剤組成物を用いてJIS A 1439に従い、接着剤組成物の硬化物がアルミ板でサンドイッチされたH型引張試験体を作製した。
〔接着剤組成物の硬化物の引張試験〕
接着剤組成物の硬化物の引張試験はJIS A 1439に従い行った。23℃の室内中で引張速度50mm/min、ロードセル100kgfの条件下でテンシロン試験機(UTM−III−100、TOYO BALDWIN株式会社製:東洋ボールドウィン)にて実施し、最大荷重および最大荷重時の伸びを測定した。
100mlメスフラスコの重量を量り(a)、次に接着剤組成物の硬化物を1gメスフラスコに加え重量を量る(b)。これにイソプロピルアルコールを100mlの標線まで正確に加え全重量を量る(c)。これとは別に、メスフラスコの空重量を量り(x)、これにイソプロピルアルコールを標線まで正確に加え全重量を量る(y)。これらの値を以下の数式(1)に当てはめ比重を算出する。
比重=(b−a)×(y−x)/{100(y−a)−(c−b)} (1)
また、中空粒子、粘着処理微粒子等の真比重に関しても上記と同様に測定、算出した。
〔接着剤組成物の粘度測定〕
接着剤組成物を23℃で1日放置したものについて、B型粘度計を用いて、23℃、50%RH条件下で粘度を測定した。
22重量部の熱膨張性微小球(松本油脂製薬株式会社製のF−100MD、外殻部はニトリル系ポリマー;平均粒子径19μm、最大膨張温度160℃)と、78重量部のロジン酸処理炭酸カルシウム(白石工業株式会社製の白艶華O、合成炭酸カルシウム;ロジン酸処理炭酸カルシウムに占めるロジン酸の重量割合1〜5重量%、レーザー回折法による平均二次粒子径約16μm)とをセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら5分かけて130℃まで加熱した後、冷却し60メッシュの篩にかけ中空粒子A(平均粒子径60μm、真比重0.16、水分0.4重量%)を得た。ここで、中空粒子Aの外殻部の外表面に付着した粘着処理微粒子が攪拌によって壊砕されて、平均二次粒子径が小さくなったことを観察した。以下の実施例および比較例においても同様のことが観察された。
100重量部の1液タイプのポリウレタン接着成分(三星産業株式会社製、三星シールU−1、プライマーNo50)に対して、3.0重量部(19.1ml)の中空粒子Aと、2.8重量部のカラー(グレー)とを加えて予備混合した後、コンディショニングミキサー(株式会社シンキー製のAR−360)を用いて、自転500rpm、公転2000rpmで、150秒間攪拌、脱泡して、接着剤組成物Aを得た。
接着剤組成物Aを用いてH型引張試験体を上記方法で作製し、これを23℃、50%RHの条件下で14日間、さらに30℃、50%RHの条件下で14日間養生し、上記方法で接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1で、ロジン酸処理炭酸カルシウムの代わりに重質炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製のホワイトンSBアカ;レーザー回折法による平均二次粒子径約10μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして比較中空粒子A(平均粒子径60μm、真比重0.13、水分0.3重量%)を得た。
次いで、実施例1で、3.0重量部(19.1ml)の中空粒子Aの代わりに2.5重量部(19.1ml)の比較中空粒子Aを用いる以外は、実施例1と同様にして比較接着剤組成物A1を得て、実施例1と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1で、中空粒子Aの代わりに、F−100MDE(松本油脂製薬製株式会社製、F−100MDの熱膨張品、粘着処理微粒子の付着がない中空体本体に相当;平均粒子径60μm、真比重0.03、水分0.6重量%)0.55重量部および白艶華O(真比重2.5)1.8重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして比較接着剤組成物A1を得て、実施例1と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1で、中空粒子Aを用いずに実施例1と同様にして比較接着剤組成物A2を得て、実施例1と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1で、ロジン酸処理炭酸カルシウム(白石工業株式会社製の白艶華O)の代わりに、ロジン酸処理炭酸カルシウム(白石工業株式会社製の白艶華TDD、合成炭酸カルシウム;ロジン酸処理炭酸カルシウムに占めるロジン酸の重量割合1〜5重量%、レーザー回折法による平均二次粒子径約13μm)用いる以外は、実施例1と同様にして中空粒子B(平均粒子径60μm、真比重0.13)を得た。
100重量部の2液タイプの変性シリコーン接着成分(コニシ株式会社製、ボンドMSシール、シールプライマー#9)に対して、2.56重量部(19.7ml)の中空粒子Bと、8重量部の硬化剤、3.6重量部のカラー(グレー)とを加えて予備混合した後、コンディショニングミキサー(株式会社シンキー製のAR−360)を用いて、自転500rpm、公転2000rpmで、150秒間攪拌、脱泡して、接着剤組成物Bを得た。
接着剤組成物Bを用いてH型引張試験体を上記方法で作製し、これを23℃、50%RHの条件下で7日間、さらに50℃の条件下で7日間養生し、上記方法で接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2で、中空粒子Bの代わりに、比較例1で得られた比較中空粒子Aを用いる以外は、実施例2と同様にして比較接着剤組成物B1を得て、実施例2と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2で、中空粒子Bの代わりに、F−100MDE0.55重量部および白艶華TDD(真比重2.5)1.8重量部を用いる以外は、実施例2と同様にして比較接着剤組成物B1を得て、実施例2と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2で、中空粒子Bを用いずに実施例2と同様にして比較接着剤組成物B2を得て、実施例2と同様にして接着剤組成物の硬化物の引張試験を行った。結果を表1に示す。
いずれの場合も、本発明の中空粒子を用いた場合の伸びは、比較中空粒子を用いた場合の伸びの1.5倍以上である。また、比較例3および比較例5のように中空体本体に粘着処理微粒子を付着させず別々に添加した場合は、伸び率の上昇はほとんど見られないことから、接着成分と中空体本体の界面にて粘着処理微粒子の粘着性が機能することで伸び率が上昇していると考えられる。
2 外殻部
3 中空部
4 粘着処理微粒子(吸着された状態)
5 粘着処理微粒子(めり込み、固定された状態)
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した粘着処理微粒子とから構成される、中空粒子。
- 前記粘着処理微粒子は、粘着成分で微粒子本体の表面が処理されてなり、前記粘着処理微粒子に占める粘着成分の重量割合が0.01〜10重量%である、請求項1に記載の中空粒子。
- 前記粘着成分が、樹脂酸、テルペン樹脂および石油樹脂から選ばれる少なくとも1種の成分である、請求項2に記載の中空粒子。
- 接着成分と、請求項1〜3のいずれかに記載の中空粒子とを含む、接着剤組成物。
- 前記接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、および、アクリル接着成分から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の接着剤組成物。
Priority Applications (1)
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