JP2010275380A - エマルション燃料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エマルション状態を長期間に亘って維持でき、しかも熱収支に優れたエマルション燃料を提供する。
【解決手段】 A重油などの燃料と水(pH11.9以上のアルカリ水)とを三方弁V1を介してスタティックミキサーSに送り込む。このスタティックミキサSには流量制御モータMを介して添加剤タンクTからひまし油が供給され、ミキサーSにて混合されて生成されたエマルション燃料は三方弁V2を操作することで、攪拌機を備えた槽AまたはBのいずれか一方に送り込まれ、この槽AまたはBで分離しないように攪拌され、槽AまたはBに貯留されたエマルション燃料は三方弁V3を操作することで貯蔵タンク若しくは噴出ノズルへ送り込まれる。
【選択図】 図1
【解決手段】 A重油などの燃料と水(pH11.9以上のアルカリ水)とを三方弁V1を介してスタティックミキサーSに送り込む。このスタティックミキサSには流量制御モータMを介して添加剤タンクTからひまし油が供給され、ミキサーSにて混合されて生成されたエマルション燃料は三方弁V2を操作することで、攪拌機を備えた槽AまたはBのいずれか一方に送り込まれ、この槽AまたはBで分離しないように攪拌され、槽AまたはBに貯留されたエマルション燃料は三方弁V3を操作することで貯蔵タンク若しくは噴出ノズルへ送り込まれる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、重油、軽油などの燃料中に水滴が分散した油中水滴型エマルション燃料に関する。
油中水滴型(W/O型)エマルション燃料が特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には、体積比で10%〜35%の水と90%〜65%の燃料の混合物に、HLB値が8.9〜8.3の範囲で1%水溶液のPH値が2.8〜2.2となる脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤を0.1%〜1%混合したW/O型エマルション燃料が開示されている。
特許文献1には、体積比で10%〜35%の水と90%〜65%の燃料の混合物に、HLB値が8.9〜8.3の範囲で1%水溶液のPH値が2.8〜2.2となる脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤を0.1%〜1%混合したW/O型エマルション燃料が開示されている。
特許文献2には、油性燃料と水とを混合し、この混合物が流れる流路の近傍に磁石を設置し、流路内部に円弧状に突出する磁場を複数形成して前記油性燃料と水との混合物を磁場に曝すことで、時間が経っても油性燃料と水とが分離しない燃料の製法が提案され、原料となる水としては特に限定されないが、pHが10以上のアルカリ電解水を用いることが好ましいことが開示されている。
特許文献3には、多数のエレメントが筒状体に内蔵され且つ各エレメント毎に回転方向が替わる筒状混合機タイプのスタティックミキサーを用いてエマルション燃料を製造することが開示されている。
W/O型のエマルション燃料は、燃焼室内において水滴が急激に加熱されて微爆発(水蒸気爆発)を起こし、水滴の周囲にあった重油などの燃料を微細化して拡散させ、微細化した燃料と空気との接触面積を大きくし、完全燃焼させることで、発生熱量を高めつつ燃費を抑制する。そして、例えば水を30%含有するエマルション燃料であれば、溶存しているものを除いて水にCO2は含まれていないので、CO2が約30%削減されたことになる。
しかしながら、従来のエマルション燃料は、乳化が不十分、着火し難い、燃焼が不安定、発熱量の不足など満足のゆく結果が得られていない。
この原因として、本発明者はエマルションを構成する水粒子の周囲を燃料が完全に包み込んでいないからとの結論を得た。そして、それを改善するファクターは添加剤と添加する水の特性との知見を得て本発明をなすに至った。
この原因として、本発明者はエマルションを構成する水粒子の周囲を燃料が完全に包み込んでいないからとの結論を得た。そして、それを改善するファクターは添加剤と添加する水の特性との知見を得て本発明をなすに至った。
上記課題を解決するため、本発明に係る油中水滴型エマルション燃料は、重油、軽油などの燃料を連続相とし水を分散相としたものであって、燃料全体に対する前記水の割合は20重量%以上38.5重量%以下とされ、添加剤として植物から抽出された油脂に含まれるトリグリセリドが0.1重量%以上2重量%以下添加され、更に前記水はpH値が11.9以上のアルカリ水とした。
前記添加剤としては、例えばトウゴマの種子から抽出されたひまし油(グリセリド)又はジャトロファの種子から抽出されたトリグリセリド(TG)が好ましい。これらグリセリドは粘性が高すぎて燃料として用いることはできないが、添加剤としては有効である。
添加剤としてのひまし油は不飽和脂肪酸として、リシノール酸87%、オレイン酸7%、リノール酸3%、飽和脂肪酸として、パルミチン酸やステアリン酸3%のグリセリドであり、粘性の高い不乾性油である。このひまし油を0.1重量%以上2重量%の割合で添加することで、微細な水滴の周囲を燃料が満遍なく包み込む。したがって、水蒸気爆発で燃料を微細な粒子とすることができる。
燃料に添加する水の割合は20重量%以上38.5重量%以下とする。20重量未満では経済的な効果が期待できず、38.5重量%を超えると、発熱量の低下が大きくなりまた、ミス着火が発生する。
本発明のエマルション燃料には、更に0.1重量%以下のポリオキシエチレンと1.0重量%以下の炭素粉末を添加してもよい。ポリオキシエチレンを添加することで、エマルションの状態を長期に亘って維持でき、また炭素粉末を添加することで、発熱量の低下を抑制できる。
また、pH値が11.9以上のアルカリ水とすることで、エマルション状態を長期間維持でき且つエンジンやボイラーに錆が発生することが防止される。このようなアルカリ水を得るには、貝殻由来のCaO(酸化カルシウム)の飽和水溶液とすることが考えられる。
本発明によれば微視的に見ると水滴の周囲が燃料によって完全に覆われているため、水蒸気爆発によって燃料が微細な粒子に分散され、完全燃焼に近い効率での燃焼が可能となる。
また、使用する水がpH値の高いアルカリ水とすることで、ひまし油との親和性に富み、W/O型エマルションを長期間に亘って維持することができる。更に経時的に本発明に係るエマルション燃料を使用するボイラーやエンジンに錆が発生することも防げる。
以下に本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように本発明に係るエマルション燃料の製造装置は、三方弁V1を介して、A重油などの燃料と水(pH11.9以上のアルカリ水)とをオリフィスOを介してミキサーSに送り込む。ミキサーSとしては、例えばスタティックミキサーを用いる。
またミキサーSには流量制御モータMを介して添加剤タンクTからひまし油が供給される。そして、ミキサーSにて混合されて生成されたエマルション燃料は超音波発振器Fを経て、三方弁V2を操作することで攪拌機を備えた槽AまたはBのいずれか一方に送り込まれ、この槽AまたはBで分離しないように攪拌される。
攪拌機を備えた槽AまたはBに貯留されたエマルション燃料は三方弁V3を操作することで貯蔵タンク若しくは噴出ノズルへ送り込まれる。
また、三方弁V3を閉じ且つ三方弁V4の所定のポートを開とすることで、ポンプPによって槽AまたはB内のエマルション燃料を再度ミキサーSに送り込み乳化を完全にすることも可能である。
上記において、水の添加量は20%以上で38.5%以上とするのは、前記した通りである。
また、添加する水のpHは11.9以上のアルカリ水とする。これは、以下の理由による。
例えばひまし油を用いる場合、ひまし油の主成分はリシノール酸C16H34O3(298.461g/mol)のトリグリセリド(R-COOCH2(OOC-R)CH2COO−R)である。これは一般には有機溶媒によく溶けるが、水には溶けにくい。しかし、これをアルカリ中(例えば水酸化カリウム水溶液)で鹸化すると以下の式に従って加水分解される。
例えばひまし油を用いる場合、ひまし油の主成分はリシノール酸C16H34O3(298.461g/mol)のトリグリセリド(R-COOCH2(OOC-R)CH2COO−R)である。これは一般には有機溶媒によく溶けるが、水には溶けにくい。しかし、これをアルカリ中(例えば水酸化カリウム水溶液)で鹸化すると以下の式に従って加水分解される。
(化)
R-COOCH2(OOC-R)CH2COO−R+3KOH
→C3H5(OH)3+3R-COO-K
R-COOCH2(OOC-R)CH2COO−R+3KOH
→C3H5(OH)3+3R-COO-K
生成物としてリセリンと高級脂肪酸塩(カルボン酸塩)が得られる。グリセリンは本来水に可溶であり、カルボン酸塩は界面活性剤として機能し、HLB値も大きな値(10以上)となることが推定される。そのため、油中の水滴はより微細なミセルとなり、水に安定に分散して乳濁液となり湿潤剤や油中水滴型(W/O型)エマルションの乳化剤として有効である。
上記の鹸化価(S)を算出すると、S=(168/M)×1000 ここで、Mは油脂(トリグリセリド)の分子量で933.38、またKOHのモル質量は56なので56×3で168、従って、Sは179mgとなる。
この値はKOHの0.0032molに相当し、これをpHに換算すれば約11である。
したがって、添加するトリグリセリド(0.1〜2wt%)は、pH11.9以上であれば、完全に鹸化され乳化剤として有効に機能する。
尚、添加するトリグリセリドの量は0.1未満では乳化を維持できず、2wt%を超えて添加してもそれ以上の効果は得られなかった。
上記の鹸化価(S)を算出すると、S=(168/M)×1000 ここで、Mは油脂(トリグリセリド)の分子量で933.38、またKOHのモル質量は56なので56×3で168、従って、Sは179mgとなる。
この値はKOHの0.0032molに相当し、これをpHに換算すれば約11である。
したがって、添加するトリグリセリド(0.1〜2wt%)は、pH11.9以上であれば、完全に鹸化され乳化剤として有効に機能する。
尚、添加するトリグリセリドの量は0.1未満では乳化を維持できず、2wt%を超えて添加してもそれ以上の効果は得られなかった。
V1〜V4…三方弁、O…オリフィス、F…超音波発振器、S…ミキサー、M…流量制御モータ、T…添加剤タンク、A,B…攪拌機を備えた槽。
Claims (4)
- 重油、軽油などの燃料を連続相とし水を分散相とした油中水滴型エマルション燃料であって、燃料全体に対する前記水の割合は20重量%以上38.5重量%以下とされ、添加剤として植物から抽出された油脂に含まれるトリグリセリドが0.1重量%以上2重量%以下添加され、更に前記水はpH値が11.9以上のアルカリ水としたことを特徴とするエマルション燃料。
- 請求項1に記載のエマルション燃料において、前記添加剤はトウゴマの種子から抽出されたひまし油又はジャトロファの種子から抽出されたトリグリセリド(TG)であることを特徴とするエマルション燃料。
- 請求項1または請求項2に記載のエマルション燃料において、更に0.1重量%以下のポリオキシエチレンと1.0重量%以下の炭素粉末が添加されていることを特徴とするエマルション燃料。
- 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のエマルション燃料において、前記アルカリ水はCaO(酸化カルシウム)の飽和水溶液とすることを特徴とするエマルション燃料。
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JP2009127414A JP2010275380A (ja) | 2009-05-27 | 2009-05-27 | エマルション燃料 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5852285B1 (ja) * | 2015-08-24 | 2016-02-03 | 株式会社ワールドビジネス | 水油混合新燃料製造用添加剤組成物 |
KR20160047464A (ko) | 2013-08-29 | 2016-05-02 | 도꾸리쯔 교세이 호진 스이산 다이각꼬 | 물 혼합 연료 생성 장치 |
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2009
- 2009-05-27 JP JP2009127414A patent/JP2010275380A/ja active Pending
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WO2017033470A1 (ja) * | 2015-08-24 | 2017-03-02 | 株式会社ワールドビジネス | 水油混合新燃料製造用添加剤組成物 |
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