図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤面で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構などを含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14に支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、図柄表示装置60、第1種始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68および一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置74と、始動口を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本明細書において「落入」「入球」「入賞」は「通過」を含むものとする。
特別図柄表示部82には、第1種特別図柄と呼ばれる図柄(以下、「特別図柄」という)92が表示される。遊技盤50の略中央に設けられた図柄表示装置60は、特別図柄に連動する装飾図柄200を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄92は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に応じた図柄であり、大当たりを発生させるか否かを示す役割をもつ。装飾図柄200は、抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。図柄表示装置60は、この実施形態では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示装置であってもよい。図柄表示装置60は、装飾図柄200としてスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。なお、特別図柄は、図柄表示装置60の画面内に表示されてもよい。
特別図柄表示部82の周囲には、保留ランプ20が設けられている。保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって保留球数を表示する。保留球数は、図柄変動中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。また、遊技効果ランプ90が遊技領域52に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。
始動口62は普通電動役物により形成され、その入口が拡開可能となっている。普通電動役物が拡開状態にあるときには、非拡開状態よりも始動口62に遊技球が落入しやすくなる。始動口62は、遊技領域52における所定位置に設けられる。以下、始動口62に関し、普通電動役物が拡開して遊技球が始動口62に落入しやすい状態を開放状態と呼ぶ。大入賞口66は、特別図柄92が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の特定領域の通過を検出するセンサと、一般領域の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示部82の特別図柄92および図柄表示装置60の装飾図柄200が変動表示される。特別図柄92および装飾図柄200の変動表示は、原則として表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄92が大当たりを示す図柄である場合、大入賞口66の開閉動作が開始され、通常遊技よりも遊技者に有利な状態である特別遊技に移行する。
特別遊技においては、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。大入賞口66の開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入することを条件に、大入賞口66は再度開放される。この大入賞口66の開閉は、所定回数、例えば最高で15回繰り返される。
停止時の特別図柄92が、確率変動付き大当たりを示す図柄である場合、特別遊技の終了後に確率変動遊技が開始される。確率変動遊技においては、通常時より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図柄表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。
遊技球が作動口68を通過すると、所定時間、普通図柄94と呼ばれる図柄が変動表示される。普通図柄94は、遊技領域52の右下に位置する普通図柄表示部84において変動表示される。所定時間の経過後に普通図柄94の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板41およびサブ基板49は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施形態におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、図柄表示装置60、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄の変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板41と、図柄の演出等を制御するサブ基板49とに機能を分担させた形態で構成されてもよい。
遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。本実施形態の遊技制御装置100は、各入賞口への入球を判定する入球判定手段110、特別遊技への移行条件として抽選の結果が当たりであるか否かを判定する当たり判定手段120、抽選結果を示す図柄変動の表示パターンを保持するパターン記憶手段124、図柄変動の停止図柄および変動表示の表示パターンを決定する図柄決定手段130、図柄や電飾等の表示を制御する表示制御手段160、保留球の計数および表示を制御する保留制御手段170、大当たり中の特別遊技を制御する特別遊技制御手段180、確率変動状態における遊技を実行する特定遊技実行手段190、始動口62などの普通電動役物の開閉を制御する普通電動役物開閉制御手段192、および大入賞口66の開閉を制御する大入賞口開閉制御手段194を備える。
入賞検出装置74は始動口62に設けられたセンサであり、始動口62への遊技球の落入を検出し、落入を示す始動入賞情報を生成する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断する。
当たり判定手段120は、始動口62への入賞があったとき、その入賞タイミングにおける所定のカウンタの値を抽選乱数として取得する。ただし、図柄変動中に始動口62へ入賞した遊技球である保留球の数が上限に達している状態で始動口62へ入賞があった場合は抽選乱数を取得しない。抽選乱数が取得されたときにその抽選の結果に応じた図柄変動表示の開始が許可されない場合、抽選結果は保留制御手段170へ送られ、保留球として記憶される。判定結果は抽選結果とともに保留球として保留制御手段170に記憶されてもよい。
パターン記憶手段124は、特別図柄や装飾図柄を変動表示させるときの表示パターンとして複数種のパターンを保持する。表示パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンと、を含む通常表示パターンと、特殊なリーチ形態として、図柄表示装置60の画面上の有効ラインにおいて変動表示される第1の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄が、有効ライン上では外れ図柄を構成し、それ以降に変動表示される第2の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄との間でリーチが構成されるよう表示させるパターンであって、そのパターンを経て外れとなるパターンと、当たりとなるパターンと、を含む特殊表示パターンと、を少なくとも記憶している。また、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な表示時間をもつパターンが含まれる。各表示パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに表示時間が定められており、その表示時間の経過時に図柄変動が停止される。
図柄決定手段130は、図柄表示装置60に表示させる図柄の内容とその表示パターンを決定する。図柄決定手段130は、装飾図柄を決定する装飾図柄決定手段132と、特別図柄を決定する特別図柄決定手段150と、普通図柄を決定する普通図柄決定手段158を含む。
特別図柄決定手段150は、当たり判定手段120による抽選結果に応じてパターン記憶手段124からいずれかのパターンを選択するパターン選択手段152と、抽選の結果に応じた特別図柄の停止図柄を決定する図柄選択手段154とを含む。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄であり、図柄決定乱数に基づいて決定される。抽選乱数が当たりであった場合、図柄決定乱数に基づいて確率変動付きの当たりであるか否かが決定される。
装飾図柄決定手段132は、特別図柄決定手段150による決定に応じてパターン記憶手段124からいずれかのパターンを選択するパターン選択手段136と、抽選の結果に応じた装飾図柄の停止図柄組み合わせを決定する図柄選択手段140とを含む。図柄選択手段140は、特別図柄が当たり図柄であった場合、確率変動付きの当たりとなる図柄か否かに基づいて装飾図柄組み合わせを決定する。
装飾図柄配列格納手段144は、図柄表示装置60の画面内の設けられる左図柄表示領域、中図柄表示領域、右図柄表示領域(図9参照)の各図柄表示領域において表示するための、左装飾図柄配列、中装飾図柄配列および右装飾図柄配列を格納する。表示制御手段160は、パターン選択手段136によって選択された表示パターンにしたがって、これらの図柄配列を対応する図柄表示領域に連続表示した後、図柄選択手段140の選択した装飾図柄の停止図柄組み合わせを有効ライン上に停止表示する。ここで、「有効ライン」とは、図柄の組み合わせが表示される並びのことであり、遊技者に抽選結果を示すためのものである。
図柄表示領域には、当たり判定の結果に応じた図柄の組み合わせが停止表示される。抽選結果が当たりであれば、大当たりの図柄組み合わせとして、3つの図柄表示領域における有効ライン上に全て同一の装飾図柄を揃える(例えば「777」)ことによって、大当たりとなったことを表示する。抽選結果が外れであれば、それ以外の図柄組み合わせを表示する。3つの装飾図柄表示領域のうち2つの図柄領に同一の装飾図柄が停止表示され、かつ残りの1つの図柄表示領域で図柄の変動表示が行われている状態を、一般に「リーチ」と呼ぶ。
パターン選択手段136は、チャンス目決定手段138を含む。このチャンス目決定手段138は、「チャンス目」を所定の有効ライン上に停止表示するか否かを決定する。ここで、「チャンス目」とは、外れ状態を形成する図柄組み合わせを一旦停止表示し、その後、図柄の変動表示を再開する遊技演出である。このようなチャンス目が停止表示され、図柄の再変動がなされた場合には、大当たりの図柄組み合わせやリーチ状態となる図柄組み合わせが停止表示される可能性がある。また、パターン選択手段136は、特殊表示決定手段139を含む。特殊表示決定手段139は、特殊表示パターンとして、図柄表示装置60の画面上の有効ラインにおいて変動表示される第1の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄が有効ライン上では外れ図柄を構成し、それ以降に変動表示される第2の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄との間でリーチが構成されるよう表示させるパターンを実行するか否かの決定を行う。ここで、有効ラインにおいて変動表示される第1の図柄組合せと第2の図柄組合せとは、一つの画面上に存在する2本の有効ラインで表示されることが好ましい。この特殊表示パターンは、一度外れが確定した停止図柄を用い、新たにリーチを発生させる遊技演出である。このような特殊表示パターンが実行され新たなリーチが発生した場合、大当たりの図柄組み合わせとなる図柄組み合わせが停止表示される可能性が新たに発生する。なお、チャンス目を停止表示するか否か、また、特殊表示パターンを実行するか否かは、パターン選択手段136により選択された表示パターンによって決定される。
普通図柄決定手段158は、入球判定手段110が作動口68への遊技球の通過を判定した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に基づいて普通図柄を決定する。決定された普通図柄が特定の図柄であった場合、普通電動役物開閉制御手段192が始動口62を所定時間拡開する。
表示制御手段160は、当たり判定手段120により取得された抽選結果を、図柄決定手段130により選択された表示パターンにしたがって図柄変動の形で図柄表示装置60に表示させる。表示制御手段160は、図柄表示領域に複数種類の装飾図柄を変動させて表示する。遊技者は、最終的に停止表示された図柄組み合わせから、大当たり、リーチ、外れなどの各種状態を認識することができる。全ての図柄表示領域に同一の図柄からなる組み合わせが表示された場合には大当たりとなり、多数の遊技球を獲得できる特別遊技が遊技者に付与される。また、表示制御手段160は、普通図柄と特別図柄の表示も制御する。
保留制御手段170は、保留球の計数および表示を制御し、図柄変動の表示中に当たり判定手段120によって取得された抽選乱数を保留球として一時的に記憶する保留記憶手段172を含む。保留球数の上限は、例えば4つである。保留制御手段は、保留ランプ20の点灯と消灯も制御する。
特別遊技制御手段180は、当たり判定手段120による判定結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技移行判定手段182は、当たりであった抽選結果に対応する図柄変動が停止されたか否かに応じて特別遊技開始のタイミングを判定する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。単位遊技実行手段184は、大入賞口開閉制御手段194を制御して、大入賞口66を開閉させることにより単位遊技を実行する。大入賞口開閉制御手段194は、単位遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。特別遊技終了手段186は、単位遊技の継続回数、大入賞口66の特定領域への通過検出の有無に基づいて、単位遊技を継続させるか否か、すなわち次回の単位遊技を開始するか否かを判定する。次回の単位遊技を開始するための継続条件が満足されない場合、または単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技終了手段186が特別遊技を終了させる。
普通電動役物開閉制御手段192は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。これにより、始動口62は、遊技者にとって有利な状態に変化する。特定遊技実行手段190は、当たり判定手段120による抽選結果が確率変動付き大当たりであった場合、確率変動遊技を実行する。
図4は、通常遊技および特別遊技の基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、始動口62に遊技球が入賞したときに抽選乱数の取得や当たり判定を処理し(S10)、当たりであった場合は図柄変動表示の終了後に開始される特別遊技の実行を制御し(S12)、入賞に応じた賞球払出を処理する(S14)。
図5は、図4におけるS10を詳細に示すフローチャートである。S10の当たり判定処理においては、まず始動口62への入賞に応じた抽選の乱数を取得し(S20)、抽選の結果に応じた図柄変動を処理し(S22)、抽選結果が当たりであった場合は図柄変動表示が終了したか否かに基づいて特別遊技への移行タイミングを判定する(S24)。
図6は、図5におけるS20を詳細に示すフローチャートである。S20の乱数取得処理においては、始動口62への入賞がなければ(S30のN)、S20のフローを終了する。始動口62への入賞があった場合(S30のY)、賞球カウンタに賞球数である4を加算し(S32)、保留球がすでに上限数である4であれば(S34のN)、これ以上保留球として記憶できないのでS20のフローを終了する。保留球が4未満であれば(S34のY)、抽選乱数としてカウンタ値を取得し(S36)、当たり判定をする(S38)。
当たり判定の結果に応じて図柄を決定し(S46)、図柄変動中であれば(S48のY)、抽選結果と図柄の番号を保留球として記憶し(S50)、図柄変動中でなければ(S48のN)、図柄変動の開始許可を示す変動フラグをオンする(S52)。
図7は、図6におけるS46を詳細に示すフローチャートである。S46の図柄決定処理においては、図柄決定乱数を取得し(S60)、抽選乱数が当たりであった場合(S62のY)、図柄決定乱数に基づいて大当たり用の図柄組み合わせを決定し(S64)、この図柄組み合わせに応じた表示パターンを選択する(S66)。S62において、抽選乱数が外れであった場合(S62のN)、図柄決定乱数に基づいて外れ用の図柄組み合わせを決定し(S70)、この図柄組み合わせに応じた表示パターンを選択する(S72)。なお、表示パターンには、チャンス目を表示するパターンと、表示しない通常のパターンおよび特殊形態のリーチパターンを含まない通常表示パターンと、特殊形態のリーチパターンを含む特殊表示パターンとが準備されているため、後述するように図柄組み合わせにしたがって、所定の確率でチャンス目や特殊表示パターンが表示されるようになる。なお、図柄決定乱数のうち所定の割合で、チャンス図柄を停止図柄として表示するように割り当てておいてもよし、特殊表示パターンに移行するように割り当ててもよい。
図8は、図5におけるS22を詳細に示すフローチャートである。S22の図柄変動処理においては、変動フラグがオンになっている場合(S80のY)、変動フラグをオフにする(S84)。変動フラグがオンになっていない場合であって(S80のN)、保留球が記憶されていない場合はS22のフローを終了する(S82のN)。保留球が記憶されている場合(S82のY)、S66またはS72において選択された表示パターンに基づいて、図柄変動表示を開始する(S86)。そして、選択された表示パターンに基づいて、図柄表示を特殊表示パターンで表示するか否かを判定する(S88)。なお、本実施形態の場合、特殊表示パターンを表示する場合、一例として、図柄表示装置60上の複数の有効ライン上で2つ以上のリーチ、いわゆるダブルリーチ以上のリーチが伴うこととする。そして、S88で特殊表示パターンを実行する表示パターンであると判断された場合(S88のY)、表示パターンにしたがって、第1の有効ラインにおいて変動表示される第1の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄として外れ図柄を表示し、それ以降に第2の有効ラインにおいて変動表示される第2の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄を第1の有効ラインの最終図柄と同じ外れ図柄で停止表示させる(S90)。その後、第1、第2の有効ライン上の最終図柄同士で新たなリーチを構成しリーチ表示を行う(S92)。特殊表示パターンを実行しない表示パターンである場合は(S88のN)、S90およびS92をスキップする。その後、各表示パターンに応じて決まっている表示時間が経過するまで待機し(S94のN)、表示時間が経過すると(S94のY)、図柄変動表示を終了し(S96)、S64またはS70で決定された図柄組み合わせを図柄表示領域に停止表示する(S98)。
なお、上述の説明では、特殊表示パターンを実行する場合、ダブルリーチ以上が発生している場合を例にとって説明した。この場合、ダブルリーチの発生から各リーチの外れを経て、再度リーチが発生するので、遊技者の期待度や興趣を大いに増大することができる。一方、例えば、独立した有効ラインが複数存在する、いわゆるマルチラインで表示するような場合には、変動表示される図柄組合せは、リーチを構成しない全く異なる停止図柄で、第1、第2の有効ラインにおける最終図柄同士でリーチを構成することができる。この場合、リーチが発生しない、外れゲームにおいて突然リーチが発生するという演出をすることが可能になり、遊技者のうれしさ感を増大させ遊技に対する興趣の向上に寄与することができる。
次に、本実施形態における図柄表示の具体的な例について説明する。
図9は、図柄表示装置60の画面における装飾図柄の表示態様の一例を示す図である。装飾図柄は、3列のスロットマシンを模した装飾図柄表示領域に表示される。左装飾図柄表示領域202、右装飾図柄表示領域206は、縦長の表示領域であり、この中を上から下、または下から上の向きに回転するように、所定の図柄配列が変動表示される。中装飾図柄表示領域204のみは、略正方形の表示領域であり、この中を上から下、または下から上の向きに回転するように、所定の図柄配列が変動表示される。図示するように、左装飾図柄表示領域202および右装飾図柄表示領域206には、2または3つの装飾図柄が停止表示され、中装飾図柄表示領域204には、1つの装飾図柄が停止表示されるように制御される。この実施形態では、左装飾図柄表示領域202、中装飾図柄表示領域204、右装飾図柄表示領域206は、図柄表示装置60の画面上の表示部分を示しているが、図柄表示領域202〜206がそれぞれ別個の図柄表示装置を構成しており、これらを統合的に制御するようにしてもよい。または、図柄配列が縦方向に回転するのでなく、横長の表示領域において図柄配列が横方向に回転するようにしてもよい。
図10は、各図柄表示領域202〜206に表示される図柄配列を示す。各図柄表示領域202〜206に表示される図柄配列は、予め決められている。すなわち、左装飾図柄表示領域202には、左装飾図柄配列212が変動表示され、中装飾図柄表示領域204には、中装飾図柄配列214が変動表示され、右装飾図柄表示領域206には、右装飾図柄配列216が変動表示される。
装飾図柄配列212〜216には、装飾図柄として3種類の図柄が含まれる。通常図柄220は、一定の規則に従って並び方が予め決められている図柄であり、ここでは数列1〜7を使用している。これ以外でも、例えばアルファベットのA〜Gを用いてもよい。この通常図柄220は、抽選の結果が当たりであるとき、大当たりの図柄組み合わせを表示する際にも使用される。大当たりは、図柄表示領域202〜206に表示され、所定の有効ライン上に並ぶ図柄が全て同一である図柄組み合わせによって遊技者に通知される。つまり、「111」から「777」のように通常図柄が3つ有効ライン上に揃うか、またはチャンス図柄が3つ有効ライン上に揃うと、大当たり図柄組み合わせとなり、特別遊技に移行する。
装飾図柄配列212,216には、ブランク図柄222が含まれる。このブランク図柄222は、有効ライン上に全て同一の図柄が揃っても、大当たりの図柄組み合わせを構成しない図柄である。図9では、単なる白丸でブランク図柄222を表しているが、ブランク図柄は通常図柄やチャンス図柄と区別がつけば他の形状をしていてもよく、例えば花や星の形状をなしていてもよい。ブランク図柄は、通常図柄と同様に有効ライン上に停止表示されるように表示制御手段によって制御される。したがって、有効ライン上にブランク図柄が停止表示されたときは、当該ライン上で大当たり図柄組み合わせが成立することはない。この実施形態では、チャンス図柄224は少年の顔を模した容相をしているが、通常図柄およびブランク図柄と容易に区別でき、遊技者に対して図柄の再変動を期待させるように意図したものであれば、他の容相をしていてもよい。
チャンス目が有効ライン上に成立すると、3列の図柄が図柄表示領域に一旦停止表示された後、所定の演出表示を経て、再び図柄の変動表示が開始される。これによって、遊技者に対して、大当たり図柄組み合わせが成立して特別遊技に移行するチャンスが増したような印象を与え、興趣を増すことができる。
図10において、ブランク図柄は、通常図柄と通常図柄の間、または通常図柄とチャンス図柄の間に配置される。これによって、後述するように、縦長の左装飾図柄表示領域202および右装飾図柄表示領域206において、通常図柄またはチャンス図柄を1つだけ表示するか、または2つ表示することができる。換言すれば、ブランク図柄を中央に停止表示すると、通常図柄またはチャンス図柄が斜めライン上に停止表示されることになり、ブランク図柄を斜めライン上に停止表示したときは、通常図柄またはチャンス図柄が中央ライン上に停止表示されることになる。これによって、チャンス目として多様な組み合わせを設定することができる。
次に、図11、図12を参照して、本実施形態におけるチャンス目出現時の表示例を説明する。本実施形態では、左装飾図柄表示領域202と右装飾図柄表示領域206に停止表示された通常図柄が連続する関係となり、かつ中装飾図柄表示領域204にチャンス図柄を停止表示したものをチャンス目としている。以下、順に説明する。
図11は、中央ラインにおいて、左装飾図柄と右装飾図柄における通常図柄が連続する数の組み合わせであり、かつ中装飾図柄がチャンス図柄であるときのチャンス目の一例を示す。図示するような、右装飾図柄が「6」であり、左装飾図柄が「7」であるような組み合わせの他にも、「1、2」「2、3」「3、4」「4、5」「5、6」の組み合わせがある。ここで、カギ括弧内の数字は、順に、左装飾図柄表示領域202と右装飾図柄表示領域206に停止表示される通常図柄を表している。なお、通常図柄の組み合わせは、上述の組み合わせと左右逆であってもよい。表示制御手段160は、このチャンス目を停止表示した場合には、「ダブルリーチ」演出による図柄変動を表示する。すなわち、画面上に2つの図柄変動を表示し、それぞれの図柄変動においてリーチ演出に基づいた表示をすることで、大当たり図柄組み合わせが成立するという遊技者の期待感を高めるような演出がなされる。
図12は、左装飾図柄表示領域202に2つの通常図柄が停止表示され、右装飾図柄表示領域206に1つの通常図柄が停止表示されるときに、それら通常図柄が連続する数の組み合わせとなるときのチャンス目の一例を示す。左装飾図柄表示領域202に2つの通常図柄が停止表示されるときは、必ず連続する数となるから、右装飾図柄表示領域206の通常図柄が、その連続する数より1つ大きいかまたは小さい数であるときに、このチャンス目が成立する。例えば、「1−2、3」「2−3、4」...「5−6、7」や、「1、2−3」...「5、6−7」の組み合わせがある。ここで、カギ括弧内の数字は、左装飾図柄表示領域202と右装飾図柄表示領域206に停止表示される通常図柄を表しており、「−」は、1つの表示領域に2つの数字が表示されていることを表している。なお、通常図柄の組み合わせは、上述の組み合わせと左右逆であってもよい。表示制御手段160は、このチャンス目を停止表示した場合には、画面上に3つの図柄変動を表示させる「トリプルリーチ」演出に基づく図柄変動を表示する。
この他、左装飾図柄表示領域202と右装飾図柄表示領域206の両方に、2つの通常図柄が停止表示され、それら通常図柄が連続する数の組み合わせとなるときのチャンス目も存在する。この場合、例えば、「1−2、3−4」「2−3、4−5」「3−4、5−6」「4−5、6−7」の組み合わせがある。表示制御手段160は、このチャンス目を停止表示した場合には、画面上の4つの図柄変動を表示させる「フォースリーチ」演出に基づく図柄変動を表示する。
上述したようなダブルリーチやトリプルリーチは、大当りの期待感を高める上で有効な演出手段である。また、ダブルリーチやトリプルリーチの発生過程を上述のように工夫することで遊技者の興趣の向上を行うことが可能であり有効な手段である。本実施形態では、特殊表示パターンを用いて、リーチに関する演出をさらに効果的に行う例を示している。 図13(a)〜図13(h)は、ダブルリーチからさらに新たなリーチを発生させる特殊表示パターンを説明する説明図である。
ダブルリーチは、図11で説明したチャンス目による発生する場合や、図13(a)に示すように、左装飾図柄表示領域202と右装飾図柄表示領域206の両方に共通の普通図柄、例えば[7],[6]の組合せが揃った場合に発生する。図13(a)に示すようなダブルリーチが発生し、図柄決定手段130において、通常表示パターンが選択されている場合、中装飾図柄表示領域204がそのまま図柄変動を行い、当たり判定手段120の結果が当たりの場合、「7」か「6」で図柄が停止し、当たりの図柄表示が行われる。また、当たり判定手段120の結果が外れの場合、「7」、「6」以外の図柄が停止し、始動口の入球に基づく次の図柄変動が開始される。
一方、図柄決定手段130において、特殊表示パターンが選択されている場合、停止図柄「7」および「6」が、図13(b)に示すように、それぞれ独立した第1有効ライン226、第2有効ライン228を形成するように、停止図柄の入れ替えを行うと共に、それぞれの最終図柄の表示位置を例えば、「煙」230a,230bとして表示し、最終図柄が順次表示されることを暗示する。なお、図13(b)においては、説明のため有効ライン226,228を矢印で表現しているが、実際の図柄表示装置60の画面上には表示されない。
続いて、表示制御手段160は、例えば第1有効ライン226に関して、図柄決定手段130の選択した最終図柄を煙230aの位置に表示する。このとき、図13(c)に示すように、当たり図柄を完成させるための図柄候補、図13(c)の場合、「7」を強調表示させ、当たりへの期待感を増加させることが好ましい。この強調表示は、例えば、図柄の拡大表示や、点滅表示、表示色の反転表示、スロー表示、振動表示などで行うことができる。
表示制御手段160は、今回の図柄表示について、第1有効ライン226で当たり表示を行わない場合、「7」以外の普通図柄で第1有効ライン226の最終図柄を停止させる。本実施形態の場合、図13(d)に示すように、例えば「3」を第1有効ライン226の外れ組合せとなる最終図柄として表示している。従来の場合、遊技者は、残り1回のリーチの結果に期待することになり、表示制御手段160は、第2有効ライン228の最終図柄の表示位置、すなわち煙230bの位置に、第2有効ライン228の最終図柄を停止させる。この場合、通常、待ち図柄は「6」のみであるが、本実施形態のように、特殊表示パターンが選択されている場合、「3」が第2有効ライン228の最終図柄として表示されることにより、第1有効ライン226の最終図柄「3」と共に、新たなリーチを構成することができる。したがって、本実施形態の場合、第2有効ライン228の最終図柄を停止させる場合、第2有効ライン228でリーチを構成している「6」と、第1有効ライン226の最終図柄「3」と共に新たにリーチを構成する「3」とが、最終図柄の図柄候補として、遊技者に期待を持たせる停止図柄となる。そこで、図13(d)、図13(e)に示すように、第2有効ライン228における第2の図柄組合せの最終図柄が当たり図柄を構成するための図柄候補、すなわち「6」と、第2の図柄組合せの最終図柄が第1の図柄組合せの最終図柄との間で別の新たなリーチを構成するための図柄候補、すなわち「3」を強調する演出を行う。この演出により、遊技者は、残り1つのリーチへの期待感に加え、新たなリーチの発生への期待感を得ることができる。その結果、遊技へ対する興趣を増大させることができる。もちろん、当たり判定手段120において、当たりである旨の判定が行われ、さらに図柄決定手段130によって、第2有効ライン228で当たり表示を行うパターンが選択されている場合は、この時点で当たり図柄として「5」が揃い、大当り確定表示を行い特別遊技へ移行していく。
また、図柄決定手段130によって特殊表示パターンが選択されている場合には、図13(f)に示すように、第2有効ライン228における第2の図柄組合せの最終図柄を「3」で停止表示する。この場合、第1の図柄組合せおよび第2の図柄組合せのそれぞれの最終図柄同士の組合せにより第3の図柄組合せを表示し得る第3有効ライン232が形成されると共に、新たなリーチが構成されたことになる。この場合、新たなリーチ発生の演出と共に、第3の図柄組合せの最終図柄の表示位置に例えば、煙230cが表示される。もちろん、図柄決定手段130によって、第2有効ライン228で当たり表示を行うパターンが選択されず、さらに特殊表示パターンが選択されていない場合、第2有効ライン228における第2の図柄組合せの最終図柄は「3」、「6」以外の停止図柄が表示され、始動口62の入球に基づく次の図柄変動が開始される。
表示制御手段160は、新たに形成された第3有効ライン232に関して、図柄決定手段130の選択した最終図柄を煙230cの位置に表示する。このとき、図13(g)に示すように、当たり図柄を完成させるための図柄候補、この場合、「3」を強調表示させ、当たりへの期待感を増加させることが好ましい。この強調表示は、例えば、図柄の拡大表示や、点滅表示、表示色の反転表示、スロー表示、振動表示などで行うことができる。表示制御手段160は、当たり判定手段120が当たり判定を行っている場合、図13(h)に示すように、停止図柄を「3」として、当たり図柄の表示を行い、特別遊技への移行確定を遊技者に示す。一方、当たり判定手段120が外れ判定を行っている場合、停止図柄を「3」以外の図柄として、始動口62の入球に基づく次の図柄変動へと引き継ぐ。
このように、有効ライン上で最終図柄が停止し、外れが確定した場合でも、時間差を伴い、その外れを確定させた最終図柄を用いて、新たなリーチを構成する演出を行うことが可能になり、最終図柄の表示後も遊技者の興趣を持続させるようなリーチ表示を行うことができる。また、リーチ後の連続した外れの後に再度リーチを発生させるというように、リーチ演出に抑揚をつけることが可能になり、リーチバリエーションを増加することができると共に、遊技内容に新たな興趣を発生させることができる。また、従来多用されるようになっているキャラクタを用いたストーリー仕立ての再リーチなどでは、表現内容が複雑になりがちであり、また、長いストーリー展開が繰り返されると、遊技者にしつこさや煩わしさを与えてしまい、遊技者に理解され難くなる傾向がある。しかし、本実施形態のように、シンプルに図柄の組合せのみを用いて、一度外れが確定した状態から再度、当たりの可能性のあるリーチへ発展させることにより、しつこさのないリーチ表現を可能にし、遊技者に理解しやすい従来にない新たなリーチの演出を提供することができる。
また、従来の場合、第1の図柄組合せ及び第2の図柄組合せで、それぞれリーチを構成してダブルリーチとする場合、いずれか一方、多くの場合、最初に確定する方のリーチはダミーであると認識され、遊技者の期待感はある程度抑制されてしまうと共に、一方はダミーであるというある種の慣れを招きやすいが、本実施形態のように、リーチ表示後に、そのリーチの外れが確定した後、最終図柄同士で新たなリーチを構成することにより新規な期待感をリーチ演出の中盤から起こさせることが可能となり、前述のような慣れを招き難い新たな演出効果を提供することができる。
図14は、トリプルリーチからさらに新たなリーチを発生させる特殊表示パターンを説明する説明図である。
図14(a)は、図12で説明したチャンス目によるトリプルリーチの発生条件が揃った表示状態を示すものである。この場合、普通図柄[7],[6],[5]によりそれぞれリーチが構成される。図14(b)は普通図柄[7],[6],[5]によりトリプルリーチが表示された状態を示すものであり、普通図柄「7」が第1有効ライン234に、普通図柄「5」が第2有効ライン236に、普通図柄「6」が第3有効ライン238に配置されている。なお、図14(b)においては、有効ライン234〜238を矢印で表現しているが、実際の図柄表示装置60の画面上には表示されない。この時点で、各有効ライン234〜238において変動表示される第1〜第3の図柄組合せのうち最後に停止される最終図柄は、表示待ち状態を示す「煙240a〜240c」で表現されている。
続いて、表示制御手段160は、例えば第1有効ライン234に関して、図柄決定手段130の選択した最終図柄を煙240aの位置に表示する。このとき、図14(c)に示すように、当たり図柄を完成させるための図柄候補、図14(c)の場合、「7」を強調表示させ、当たりへの期待感を増加させることが好ましい。この強調表示は、例えば、図柄の拡大表示や、点滅表示、表示色の反転表示、スロー表示、振動表示などで行うことができる。
表示制御手段160は、今回の図柄表示について、トリプルリーチ後の第1有効ライン234で当たり表示を行わない場合、「7」以外の普通図柄で第1有効ライン234の最終図柄を停止させる。本実施形態の場合、図14(d)に示すように、例えば「3」を第1有効ライン234の第1の図柄組合せにおける外れ組合せとなる最終図柄として表示している。この場合、遊技者は、通常残り2回のリーチの結果に期待することになる。
続いて、表示制御手段160は、第2有効ライン236の最終図柄の表示位置、すなわち煙240bの位置に、第2有効ライン236の最終図柄を停止させる。この場合、通常、待ち図柄は「5」のみであるが、本実施形態のように、特殊表示パターンが選択されている場合、「3」が最終図柄として表示されることにより、第1有効ライン234の最終図柄「3」と共に、新たなリーチを構成することができる。したがって、本実施形態の場合、第2有効ライン236の最終図柄を停止させる場合、第2有効ライン236でリーチを構成している「5」と、第1有効ライン234の最終図柄「3」と共に新たにリーチを構成する「3」とが、図柄候補として、遊技者に期待を持たせる停止図柄となる。そこで、図14(e)、図14(f)に示すように、第2有効ライン236における第2の図柄組合せの最終図柄が当たり図柄を構成するための図柄候補、すなわち「5」と、第2の図柄組合せの最終図柄が第1の図柄組合せの最終図柄との間で別のリーチを構成するための図柄候補、すなわち「3」を強調する演出を行う。この演出により、遊技者は、残り2つのリーチへの期待感に加え、新たなリーチの発生への期待感を得ることができる。その結果、遊技へ対する興趣を増大させることができる。もちろん、当たり判定手段120において、当たりである旨の判定が行われ、さらに図柄決定手段130によって、第2有効ライン236で当たり表示を行うパターンが選択されている場合は、この時点で当たり図柄として「5」が揃い、大当り確定表示を行い特別遊技へ移行していく。
また、図柄決定手段130によって特殊表示パターンが選択されている場合には、図14(g)に示すように、第2有効ライン236における第2の図柄組合せの最終図柄を「3」で停止表示する。この場合、第1の図柄組合せおよび第2の図柄組合せのそれぞれの最終図柄同士の組合せによりリーチが構成されたことになる。もちろん、図柄決定手段130によって、第2有効ライン236で当たり表示を行うパターンが選択されず、さらに特殊表示パターンが選択されていない場合、第2有効ライン236における第2の図柄組合せの最終図柄は「3」、「5」以外の停止図柄が表示されることになる。
本実施形態の場合、最終図柄同士で構成される新たなリーチは、図14(g)に示すように、停止図柄「3」が直線上に存在しないので、遊技者はリーチであることを認識しにくい。そこで、本実施形態の場合、図14(h)に示すように、図柄の配置を入れ替える演出を表示させるパターンをパターン記憶手段124に記憶させておき、第4有効ライン242を形成し、遊技者の認識度を向上するように配慮している。また、このような図柄の配置を入れ替える演出を行うことにより、新たなリーチ発生の演出効果の向上に寄与することができる。
このように、新たなリーチが構成されたら表示制御手段160は、第2有効ライン236の場合と同様に、第3有効ライン238でリーチを構成している「6」と、第1、第2有効ライン234,236の最終図柄「3」と共に当たり図柄を構成する「3」とが、図柄候補として、遊技者に期待を持たせる停止図柄となるので、図14(i)、図14(j)に示すように、第3有効ライン238における第3の図柄組合せの最終図柄が当たり図柄を構成するための図柄候補、すなわち「6」と、新たに構成したリーチの最終図柄が当たり図柄を構成するための図柄候補、すなわち「3」を強調する演出を行う。この演出により、遊技者に、4回のリーチを経験させることとなり、大当りへの期待感を増大させることができる。その結果、遊技へ対する興趣を増大させることができる。もちろん、当たり判定手段120において、当たりである旨の判定が行われ、さらに図柄決定手段130によって、第3有効ライン238で当たり表示を行うパターンが選択されている場合は、この時点で最終図柄として「6」が揃い、大当り確定表示を行い特別遊技へ移行していく。また、図柄決定手段130によって、新たにリーチを構成した第4有効ライン242で当たり表示を行うパターンが選択されている場合は、図14(k)に示すように最終図柄として「3」が揃い、大当り確定表示を行い特別遊技へ移行していく。
このように、トリプルリーチの場合も、前述したダブルリーチの場合と同様に、有効ライン上で最終図柄が停止し、外れが確定しても、その外れを確定させた最終図柄を用いて、新たなリーチを構成する演出を行うことが可能になり、最終図柄の表示後も遊技者の興趣を持続させるような従来にない新たな形態のリーチ表示をシンプルな図柄の組合せ表現により行うことができる。また、リーチ演出のバリエーションを増加することができると共に、前述したようなトリプルリーチ時のダミー演出に対する慣れを招きにくい、リーチ外れ後の別リーチ発生により、遊技内容に新たな興趣を発生させることができる。特に、トリプルリーチの場合で、第4有効ライン242を用いて大当りを示す場合、長時間の当否演出を行うことが可能になり、遊技性や演出性を向上することができると共に、遊技者の興趣性を大きく向上させることができる。また、このような長時間の当否演出を行う場合でも、本実施形態のようにシンプルな図柄組合せで演出を展開していくので、遊技者に煩わしさ感やしつこさ感を与えにくく、効果的に演出性を向上できる。
なお、上述の説明では、ダブルリーチとトリプルリーチに関して、特殊表示パターンを適用する例を説明したが、フォースリーチ以上でも同様に、最終図柄の組合せにより新たなリーチを発生させることが可能であり、上述と同様な効果を得ることができる。
ところで、第1種ぱちんこ遊技機において、最も多く発生するリーチはシングルリーチである。そこで、シングルリーチに対しても上述と同様に最終図柄の組合せで、新たなリーチを発生させる演出を行うことが考えられる。
シングルリーチの場合、リーチ後の最終図柄が外れ図柄を示す停止図柄である場合、始動口の入球に基づく次の図柄変動がすぐに開始されるため、最終図柄の表示保持ができない。そこで、本実施形態の場合、図柄表示装置60の画面上の有効ラインにおいて変動表示される図柄組合せとしてリーチを構成した後、最後に停止される最終図柄が有効ライン上で外れ図柄となった場合、例えば、図15に示すように、図柄選択手段140に含まれる図柄記憶手段146にその最終図柄を一時的に記憶し、遊技領域52上の任意の位置、例えば図16(a)に示すように、図柄表示装置60の下部の記憶図柄表示画面244に表示している。なお、図柄選択手段140以外の構成は、図3に示す構成と同じであり説明は省略する。記憶図柄表示画面244は、図16(a)のように、例えば、図柄表示装置60の液晶画面の一部にウインドウ246を形成し、そこで表示してもよいし、別途専用の液晶表示装置などの表示装置を配置して表示するようにしてもよい。専用の表示装置を用いる場合、ぱちんこ遊技機の任意の位置、例えば、遊技盤50上以外の位置にも配置可能となり、レイアウトの自由度を向上することができる。
図16(a)〜図16(f)を用いて、シングルリーチ時の特殊表示パターンの適用例を説明する。まず、図柄表示装置60の画面上の有効ラインにおいて変動表示される図柄組合せとしてリーチを構成した後、最後に停止される最終図柄が有効ライン上で外れ図柄となった場合、この最終図柄「3」を最終図柄として図柄記憶手段146に記憶保持すると共に、記憶図柄表示画面244に表示する。
ところで、始動口の入球に基づく図柄変動において、リーチが連続するとは限らない。したがって、図16(b)や図16(c)のように、停止図柄が全く揃わない場合には、図柄記憶手段146の記憶動作は行われず、前回リーチで保持した最終図柄「3」のみを保持する。また、図16(d)のように、リーチが発生した後、最後に停止される最終図柄が有効ライン上で外れ図柄「6」となった場合、図柄記憶手段146には、リーチ後の外れの最終図柄として「6」を記憶保持すると共に、記憶図柄表示画面244に表示する。この場合、記憶図柄表示画面244には、「6」、「3」が表示されるが、リーチを構成しないので、引き続き始動口の入球に基づく図柄変動を継続する。この場合、後から記憶された最終図柄「6」が次に記憶される最終図柄とリーチを構成可能な有効な最終図柄として認識されることになる。
そして、図16(e)に示すように、次に発生したリーチの発生後の最終図柄が有効ライン上で外れ図柄「6」となった場合、図柄記憶手段146は、リーチ後の外れ最終図柄として「6」を更新保持すると共に、記憶図柄表示画面244に表示する。この場合、記憶図柄表示画面244には、「6」、「6」が表示され記憶図柄表示画面244においてリーチが構成される。この記憶図柄表示画面244におけるリーチは、図柄決定手段130のパターン選択手段において、リーチパターンが選択されると共に、特殊表示パターンが選択された場合に、図柄選択手段140において最終図柄同士でリーチを構成するような最終図柄の選択が行われることにより表示される。また、最終図柄同士のリーチ表示演出として、図16(f)に示すように、表示制御手段160は記憶図柄表示画面244におけるリーチを図柄表示装置60のメイン部分に拡大表示する。
このように、有効ラインにおいて変動表示される図柄組合せとしてリーチを構成した後、最後に停止される最終図柄が有効ライン上で外れ図柄を構成した場合、その最終図柄を記憶し、さらに、後続する外れの組合せとなる図柄組合せの最終図柄との間でリーチを構成するようにすることにより、このリーチが始動口の入球に基づく図柄変動とは無関係にボーナス的に発生したリーチであるように演出することが可能になり、演出バリエーションの向上や遊技性の向上、遊技者の興趣の向上に大きく寄与することが可能となる。
なお、図16(f)の演出による当否結果の表示は、例えば図16(e)の図柄変動を開始する時に決定されている当否結果に基づき行うことができる。
また、図16(a)〜(f)の説明では、リーチを構成した後、最終図柄を記憶図柄表示画面244に表示する例を説明したが、記憶図柄表示画面244による表示を行わなくてもよい。この表示を行わない場合、シングルリーチにおいて最終図柄同士で発生する新たなリーチは、完全なボーナス的リーチであるという演出が可能になり、遊技者の遊技中におけるうれしさ感をされに増大させることができる。
以上、本発明をいくつかの実施形態をもとに説明した。この実施形態はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、そのような変形例について述べる。
上述した各実施形態においては、最初の図柄変動表示形態として、左装飾図柄配列212および右装飾図柄表示領域206が3つの図柄を表示可能な長方形で、中装飾図柄表示領域204が1つの図柄を表示する略正方形である場合を示したが、この表示形態は一例であり、例えば、3行3列の表示形態を有する図柄表示装置を有するぱちんこ遊技機においても同様に、最終図柄同士により新たなリーチを構成する演出を行い、本実施形態と同様な効果を行うことができる。また、リーチ構成時の停止図柄の配列形態もリーチが認識できる形態であれば任意であり、同様な最終図柄同士での新たなリーチ演出による効果を得ることができる。