JP2010272616A - 超伝導回路保護装置および超伝導磁石装置 - Google Patents

超伝導回路保護装置および超伝導磁石装置 Download PDF

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Abstract

【課題】停電時の温度上昇で超伝導磁石がクエンチに至るような状況下でも、最低限の強制クエンチヒータで超伝導コイルを焼損から受動的に保護し得る超伝導回路保護装置およびこれを用いた超伝導磁石装置を提供すること。
【解決手段】小規模な強制クエンチヒータ13と、クエンチ時に磁気誘導により磁気エネルギを回収する誘導コイル7と、停電検出器10とを備え、停電検出器10が停電を検出したら、温度上昇に伴う抵抗増大により誘導コイル7がエネルギ回収効果を失うより以前に小規模な強制クエンチヒータ13により超伝導コイルを強制的にクエンチさせ、誘導コイル7に磁気エネルギを回収させる。これにより停電時のクエンチから超伝導回路を保護する。
【選択図】図2

Description

本発明は、超伝導磁石装置と、超伝導磁石装置をクエンチ現象から保護する超伝導回路保護装置とに関する。
超伝導磁石装置(超電導磁石と称する場合もある)は、低温で電気抵抗が0となる超伝導線材(超電導線、超電導材などと称する場合もある)を用いた超伝導コイルに大電流を通電することで、常伝導コイルによる磁石装置よりも強くかつ安定な磁場を生成する電磁石である。このような磁石は、強磁場が必要とされる分野の装置、たとえばNMR(Nuclear Magnetic Resonance)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などに応用され、不可欠なものとなっている。
超伝導磁石を設計する上で重要な項目の一つが、いわゆるクエンチ現象からの回路系の保護である。超伝導コイルに用いられる超伝導線が、通電中に何らかの原因で温度上昇するなどして常伝導転移を起こした場合、その位置でジュール発熱を起こす。このジュール発熱が冷却能力を上回ると、超伝導線の温度が上昇し、この結果、熱伝導により隣接する超伝導線の温度も上昇し、常伝導転移を起こす。この過程が連鎖的に生ずることで、ついには超伝導コイルの大部分で常伝導転移が生じ、超伝導磁石に蓄積された磁気エネルギがジュール熱となって放出される。これがクエンチ現象である。超伝導磁石装置には、液体ヘリウムなどの液体冷媒により冷却されるものがあるが、この場合、液体冷媒はジュール熱により沸騰、気化して、一般的には大気中に開放される。
超伝導磁石の蓄積エネルギ(磁気エネルギ)が大きい場合、超伝導コイルの常伝導転移部のジュール発熱による温度上昇に超伝導線が耐えられず、焼損する恐れが生ずる。特に高温超伝導線による超伝導コイルを含む超伝導回路では、従来の低温超伝導線と比較して、上述した常伝導転移の伝播の速度が極めて遅く、局所的なジュール発熱となる可能性が高まり、焼損の恐れは深刻な問題となる。
超伝導回路をこのような焼損から保護する方式としては、例えば、特許文献1には、超伝導コイルを強制的にクエンチさせる強制クエンチヒータをコイルに内蔵し、超伝導回路に設けられたクエンチ検出器がクエンチを検出した時点でこの強制クエンチヒータに通電してコイル全体を昇温させてコイル全体を速やかに常伝導転移させることにより局所発熱を避けて焼損を防止する方法が開示されている。
あるいは、特許文献2には、超伝導コイルをなす超伝導線と、この超伝導線とは電気的に絶縁された導体とを合わせてコイル状に巻線することで、クエンチ時には超伝導線から絶縁された導体へ転流させることで超伝導コイルから磁気エネルギを回収させてコイル焼損を防止する方法が開示されている。
特開平7−235412号公報 特開平8−330124号公報
超伝導磁石の運転中に停電が発生するような場合、超伝導回路を極低温に冷却する冷凍機が停止し、超伝導回路の温度が上昇して臨界温度に近づき、クエンチにいたる。超伝導磁石装置はこのような場合においても焼損しないように設計されなければならない。
上述したコイル保護方式のうち、特許文献1に開示される方法は、コイル全体を速やかに昇温して常伝導転移させるのに十分な(クエンチ検出器がクエンチとして検出できる程度の)発熱量を生む強制クエンチヒータをコイルに内蔵する必要がある。特に高温超伝導コイルのような臨界温度の高い超伝導回路を保護するには非常に大掛かりな保護装置となるのに加え、特許文献1に示すような、クエンチ検出器によりクエンチを検出してから強制クエンチヒータを駆動する能動方式の場合、回路焼損からの保護のためには強制クエンチに至るまでの時間を短くする必要があり、保護装置はさらに大規模となる。このような事情は、停電時にも当てはまる。
また、特許文献2に開示される方法では、コイル保護原理は受動的(クエンチを検出しなくとも磁気エネルギを回収するように作動することを意味する)であり動作の遅延の問題はない。しかし、温度上昇からクエンチにいたるような場合、転流させる導体の温度も上昇してしまい、この結果、導体自体の抵抗値が上がり、コイルを焼損から保護するのに十分な転流、すなわちエネルギ回収効果が見込まれない可能性がある。このような事情は、停電時にも当てはまる。
本発明の課題は、このような、停電時の温度上昇で超伝導磁石がクエンチに至るような状況下でも、最低限の強制クエンチヒータで超伝導コイルを焼損から保護することにある。
前記課題を解決するために、本発明の超伝導回路保護装置は小規模な強制クエンチヒータと、クエンチ時に磁気誘導により磁気エネルギを回収する誘導コイルと、停電検出器とを備え、停電検出器が停電を検出したら、温度上昇に伴う抵抗増大により誘導コイルがエネルギ回収効果を失う以前に小規模な強制クエンチヒータにより超伝導コイルを強制的にクエンチさせ、誘導コイルに磁気エネルギを回収させる。これにより停電時のクエンチから超伝導回路を保護する。
たとえば超伝導回路が極低温かつ無冷媒で運転される伝導冷却装置である場合、停電直後から温度上昇が始まるから、強制クエンチヒータは停電検出後速やかに駆動される必要がある。また、冷媒などにより冷却されている装置である場合、温度上昇は停電から一定時間経過後に始まるから、あらかじめ設定された時間後に強制クエンチヒータを駆動してもよいし、あるいは、コイルに直接温度センサを設け、温度があらかじめ設定された温度を上回ってから強制クエンチヒータを駆動してもよい。この間に受電が回復すれば、超伝導磁石をクエンチさせることなく運転を継続することができる。
詳細は、後記する。
本発明によれば、停電時の温度上昇で超伝導磁石がクエンチに至るような状況下でも、最低限の強制クエンチヒータで超伝導コイルを焼損から保護することができる。
本発明の第一および第三、第四の実施形態における、伝導冷却方式の超伝導磁石装置の概略を示す図である。 本発明の第一および第二の実施形態における超伝導回路、および超伝導回路保護装置の概略の構成、結線を示す図である。 本発明の第二の実施形態における、液体冷媒による浸漬冷却方式の超伝導磁石の概略を例示する図である。 本発明の第三の実施形態における超伝導回路、および超伝導回路保護装置の概略の構成、結線を示す図である。 本発明の第四の実施形態における超伝導回路、および超伝導回路保護装置の概略の構成、結線を示す図である。 本発明における誘導コイルの配置法の一例を示す図である。
≪第一の実施形態≫
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第一の実施形態における超伝導磁石装置の概略を示す図であり、図2は、図1のうち、超伝導回路および本発明の超伝導回路保護装置に関する部分のみを抽出して回路図としたものである。
図1に示すように、本発明の第一の実施形態の超伝導磁石装置は、コイルボビン5に巻かれて主たる磁場を発生するメインコイル3、メインコイル3が生ずる磁場が外部空間に漏洩するのを防ぐためのシールドコイル4、および、コイルボビン5に熱的に接続された伝熱板9上に熱的に接続した状態で配置された永久電流スイッチ8が、それぞれ直列に超伝導的に接続されて超伝導回路をなす。メインコイル3およびシールドコイル4のそれぞれの外周側には、良導体からなる誘導コイル7が配置されている。
この超伝導回路は、熱輻射をシールドする輻射シールド板2、その外側に配され内部を真空に保持するための真空容器1で囲まれる内側に配置され、超伝導回路全体は、熱的に接続され、外部電源から受電して駆動する冷凍機6により冷却されて超伝導状態に保たれる。なお、図1が示す断面図では、メインコイル3で囲まれる円筒状の常温領域16は真空容器1の外側、すなわち常温の領域として図示されている。これは、超伝導磁石が発生する強磁場を外部から利用しやすくするためである。真空容器1の外部には無停電電源装置11が置かれ、無停電電源装置11は、停電検出器10と、図2に図示する(図1には陽には図示しない)強制クエンチヒータ13とに接続され、停電検出器10は、タイマ12に接続されている。ここで強制クエンチヒータ13は、メインコイル3またはシールドコイル4の少なくともいずれか一つに設置されたヒータで、通電することで超伝導コイル(メインコイル3またはシールドコイル4)を加温してクエンチに到らせる機能を持つ。
この超伝導回路に通電するには、図1には図示しない、常温側の領域に配置された励磁電源14を用いる。図2に示すように、通電に際し、励磁電源14は、低温側の領域に配置された超伝導回路に接続し、まず、永久電流スイッチ8をOFFとする。ここで永久電流スイッチ8とは、超伝導電流を断続できるように設計された超伝導素子である。この状態から励磁電源14によってメインコイル3およびシールドコイル4に通電する。メインコイル3とシールドコイル4を定格電流まで通電したのち、永久電流スイッチ8をONとし、励磁電源14の電流をゼロにすると、メインコイル3、シールドコイル4に流れる電流は永久電流スイッチ8に流れ、閉ループとなる。これで超伝導回路に流れる電流(永久電流)は、図1に示す真空容器1、輻射シールド2の内側だけで閉じたことになるから、以降、励磁電源14の接続は取り外して構わない。
このようにして励磁された超伝導磁石をなす超伝導線の一部で常伝導転移が生じてこれが伝播し、クエンチが起こると、その箇所には電気抵抗があるから、その箇所を流れる電流の量が減じ、それに伴い近傍の磁場が変化するため、メインコイル3、シールドコイル4に磁気的に結合するように配置されている誘導コイル7に誘導電流が流れる。この誘導電流に由来する磁気誘導により、メインコイル3、シールドコイル4、永久電流スイッチ8が直列に接続されてなる超伝導回路に蓄積された磁気エネルギの一部が誘導コイル7によって回収され、誘導コイル7自身の電気抵抗により熱となって放出される。このことにより、クエンチによってメインコイル3やシールドコイル4の温度が過度に上昇して焼損することを防ぐことができる。
ここで、誘導コイル7は良導体であるが、通常の運転状態では、誘導コイル7は超伝導回路や伝熱板9、コイルボビン5とともに冷凍機6により冷やされ、極低温状態に保持されているから、電気抵抗はきわめて低い状態にある。このことは、誘導コイル7が磁気誘導によって超伝導回路から磁気エネルギを回収するのに極めて重要な役割を果たしている。
ところで、上述したように、本実施形態の超伝導磁石装置は、冷凍機6により直接冷却されて(無冷媒で)低温を維持している伝導冷却コイルである。このため、停電によって冷凍機6の電源(外部電源)を失った場合、冷凍機6自身が入熱源となって、超伝導回路やコイルボビン5、伝熱板9、および誘導コイル7の温度はただちに上昇を始める。
本発明によらない場合、この温度上昇により、超伝導回路の温度が臨界温度を超えれば超伝導回路は常伝導転移を起こし、クエンチに至る。しかしこの場合、誘導コイル7も同様に温度上昇しているから、その抵抗値は通常運転時よりも高く、結果として磁気誘導によるエネルギ回収効果の大部分が失われてしまう。このような条件では、誘導コイル7はメインコイル3やシールドコイル4の焼損を防ぐことが出来ない。特に、超伝導回路を構成するメインコイル3、シールドコイル4、永久電流スイッチ8に高温超伝導材を用いているときは、臨界温度が高いので、前記抵抗値は、低温超伝導材を用いているときと比べてさらに高くなるのでなおさらである。
そこで本発明では、まず、停電により冷凍機6の電源(外部電源(図示せず))を失った場合、これを停電検出器10が検知する。停電検出器10にはタイマ12が接続されており、停電検出器10が停電を検知してからタイマ12にあらかじめ設定された一定時間内に停電が復旧しない場合、停電検出器10は、停電時でも電源を供給する無停電電源装置11に対し、強制クエンチヒータ13を駆動するよう指令を出す。ここで、タイマ12に設定する時間は、誘導コイル7の磁気エネルギ回収機能が維持される温度上限に到達するよりも短い時間であり、物理的には、超伝導回路や誘導コイル7、コイルボビン5や伝熱板9などの熱容量と、冷凍機6が停止したときの熱侵入量とで決まる。また、タイマ12に設定された時間内に停電が復旧した場合は、停電検出器10は無停電電源装置11への指令を出さず、タイマ12をリセットする。
このような構成で、誘導コイル7が機能を失う前に強制クエンチヒータ13を駆動することで、高々一つの超伝導コイル(メインコイル3またはシールドコイル4)に強制クエンチヒータ13を備えるだけで、停電時のクエンチからの保護を効果的に行うことが可能となる。
強制クエンチヒータ13は最小限の規模で済み、誘導コイル7による磁気エネルギの回収は、強制クエンチヒータ13を駆動して加温して生じる常伝導転移に伴う電流減衰により誘導コイル7に誘起される誘導電流に由来する磁気誘導により行われる。よって、誘導コイル7を用いたクエンチ保護方式による超伝導回路の保護は、常伝導転移したときの抵抗やジュール熱の発生などからクエンチを検出せずとも行われるという意味で受動的になされる。また、クエンチ検出器は不要であるため、保護回路の設計が容易で安価となる。
超伝導回路を高温超伝導材で構成する場合、動作条件によっては極低温冷媒を用いる必要は基本的には無いので、本実施形態のような無冷媒の伝導冷却方式を採用する方が合理的である。本実施形態のクエンチ保護方式は冷媒を用いずに使用する、高温超伝導材から構成される超伝導回路の保護に対して特に有効である。
≪第二の実施形態≫
第一の実施形態では、伝導冷却コイルを例にしたが、本発明の適用先は伝導冷却コイルのみに限らない。図3は、本発明の第二の実施形態を示した図である。本実施形態では、真空容器1、輻射シールド2の内側にさらに冷媒容器15を備え、その内部に液体冷媒が満たされている(浸漬冷却方式)。冷媒としては液体ヘリウムが代表的だが、超伝導回路の臨界温度が十分に高ければ、液体窒素のようなものでもよく、また、液体に限らず、固体窒素のような固体冷媒であっても構わない。本実施形態のその他の部分は第一の実施形態と同一であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。なお、冷媒を用いているので、伝熱板9(図1参照)は不要である。
このように冷媒によって冷却される超伝導磁石では、冷媒の熱容量や蒸発潜熱(液体冷媒の場合)などによって相応の冷却能力があるので、冷凍機6が停電によって停止した場合でも、伝導冷却磁石に比べて長時間、超伝導回路や誘導コイル7を低温下に保持することができる。タイマ12にあらかじめ設定される時間は、第一の実施形態で示した伝導冷却磁石の場合よりも長くできる。すなわち停電時に、より長時間、磁石の運転を維持することが可能となる。
≪第三の実施形態≫
図4は、本発明の第三の実施形態の構成を示す図である。本実施形態では、停電検出器10はタイマ12を備えず、停電を検出したら即座に無停電電源装置11に対し、強制クエンチヒータ13の駆動を指令する。その他の構成は第一の実施形態と同一であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
たとえば、絶対温度4.2度(4.2K)といったような極低温で運転される伝導冷却磁石の場合、極低温下におかれる物質の比熱は極めて小さく、すなわち熱容量が極めて小さい。この結果、停電で冷凍機6が停止すると直ちに大きな温度上昇が生じて超伝導回路がクエンチに至るから、このような回路を保護するには停電を検知したら直ちに強制クエンチヒータ13を駆動しなければならない。本実施形態はこのような場合に適用されるべきである。
≪第四の実施形態≫
図5は、本発明の第四の実施形態の構成を示す図である。本実施形態では、停電検出器10は温度センサ17を備える。温度センサ17は誘導コイル7の少なくともいずれか一つに取り付けられ、誘導コイル7の温度を計測する。停電検出器10が停電を検出し、かつ、温度センサ17の出力があらかじめ設定された温度を上回った場合、停電検出器10は無停電電源装置11に対し、強制クエンチヒータ13を駆動するよう指令を出す。その他の構成は第一の実施形態と同一であるので、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
このように、誘導コイル7の機能が温度上昇により失われるより前に強制クエンチヒータ13を駆動する手段として、第一の実施形態や第二の実施形態のようにタイマ12によらず、誘導コイル7の温度を直接監視することもできる。
≪その他≫
なお、以上の第一の実施形態〜第四の実施形態では、誘導コイル7として図1や図3に示す如く、メインコイル3やシールドコイル4の外側にまかれた良導体を例示したが、誘導コイル7は磁気誘導によりメインコイル3、シールドコイル4の磁気エネルギを回収できる構成であればどのような構成であってもよい。たとえば、特許文献2に開示されるように、超伝導線と電気的に絶縁された良導体線を一体として巻線してもよく、あるいは、アルミニウムの円筒のようなものでもよい。さらにあるいは、図6に一部を示すように、メインコイル3やシールドコイル4に対し、誘導コイル7’が共巻きされるような構成であっても、図2、図4、図5に示す誘導コイル7の機能を果たすのは明らかである。
また、第四の実施形態では、温度センサ17を誘導コイル7に取り付け、誘導コイル7の温度を計測した。しかし、温度センサ17を超伝導コイル(メインコイル3またはシールドコイル4)に取り付け、超伝導コイルの温度を計測してもよい。
また、超伝導磁石装置に用いられる、超伝導コイル(メインコイル3またはシールドコイル4)、誘導コイル7、永久電流スイッチ8、強制クエンチヒータ13などの部材の配置、大きさ、形状、個数などは適宜設計変更することができる。特に、強制クエンチヒータ13を配置して、加温させる箇所としては、超伝導コイルの配置や個数などにもよるが、超伝導回路の磁場強度が相対的に高い箇所であることが好ましい。このような位置は他の位置に比べ相対的に少ない加温で速やかにクエンチを起こすことが可能であり、結果として、誘導コイル7による磁気エネルギの回収が最も効率よく行われるからである。ちなみに、超伝導コイルが1つである場合、そのコイルの中央部分が最も磁場強度が高いので、中央部分に強制クエンチヒータ13配置するのがよい。
本発明は簡便な構造で停電によるクエンチから超伝導磁石を保護するものであり、NMRやMRIに代表されるような、超伝導磁石を利用する装置へ直接応用され得る。
1 真空容器
2 輻射シールド板
3 メインコイル
4 シールドコイル
5 コイルボビン
6 冷凍機
7 誘導コイル
7’ 誘導コイル(の別の例)
8 永久電流スイッチ
9 伝熱板
10 停電検出器
11 無停電電源装置
12 タイマ
13 強制クエンチヒータ
14 励磁電源
15 冷媒容器
16 常温領域
17 温度センサ

Claims (7)

  1. 外部電源から受電して駆動する冷凍機により極低温にある超伝導回路をクエンチによる焼損から保護する超伝導回路保護装置において、
    前記超伝導回路を構成し、超伝導材からなる少なくとも一つの超伝導コイルと、
    前記冷凍機により極低温にあり、前記超伝導コイルと磁気的に結合し、前記超伝導コイルにおいてクエンチが発生したとき、前記超伝導コイルに蓄積された磁気エネルギを回収する誘導コイルと、
    前記超伝導コイルを加温する強制クエンチヒータと、
    前記外部電源が停電していても前記強制クエンチヒータを駆動する無停電電源装置と、
    前記外部電源の停電を検出し、前記無停電電源装置を制御する停電検出器と、を備え、
    前記停電検出器が前記外部電源の停電を検出すると、前記無停電電源装置を制御して前記強制クエンチヒータを駆動し、前記超伝導コイルを加温することで、前記誘導コイルが前記磁気エネルギを回収する
    ことを特徴とする超伝導回路保護装置。
  2. 前記停電検出器が前記外部電源の停電を検出してから、前記無停電電源装置により強制クエンチヒータを駆動するまでの時間を設定するタイマを備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の超伝導回路保護装置。
  3. 前記超伝導コイルまたは前記誘導コイルの少なくとも一つの温度を検出する温度センサを備え、
    前記停電検出器が前記外部電源の停電を検出してから、前記温度センサが所定の温度を上回る温度を検出すると、前記無停電電源装置を制御して前記強制クエンチヒータを駆動する
    ことを特徴とする請求項1に記載の超伝導回路保護装置。
  4. 前記冷凍機は、前記超伝導回路を、無冷媒で極低温にする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の超伝導回路保護装置。
  5. 前記冷凍機は、前記超伝導回路を、冷媒を介して極低温にする
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の超伝導回路保護装置。
  6. 前記超伝導コイルの前記超伝導材は、高温超伝導材である
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の超伝導回路保護装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超伝導回路保護装置を備えた超伝導磁石装置。
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