JPWO2014199793A1 - 磁気共鳴イメージング装置、および、その運転方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置、および、その運転方法 Download PDF

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Abstract

液体ヘリウムを用いず、かつ、ドリブンモードで運転する超電導磁石を安定させて運転できる磁気共鳴イメージング装置を提供する為に、本発明は、超電導コイルに電流を供給する電源部に当該電源部への外部からの電力供給状態、冷凍機の動作状態、前記超電導コイルの温度、静磁場強度、前記超電導コイルに流れる電流値、および、検出部の検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、前記超電導コイルに供給する電流を制御する制御部を備える。

Description

本発明は、超電導磁石を用いた磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging、以下MRIと称する)装置とその運転方法に係わり、特に、超電導コイルに電流を印加する電源を常時接続して運転するドリブンモードの超電導磁石を用いたMRI装置とMRI装置の運転方法に関する。
MRI装置に用いられる超電導磁石は安定に磁場を発生するために、超電導コイルの線材が超電導状態を維持する線材固有の臨界温度以下に超電導コイルの温度を保持しなければならない。現在、商用で用いられている超電導コイルの線材は、NbTiやNb3Snであり、超電導状態で安定に電流を通すには10ケルビン(−263℃)以下に超電導コイルを冷却する必要がある。
そのため、特許文献1に記載されているように、液体ヘリウムや、臨界温度以下に保つ冷凍機を組み合わせた低温槽に超電導コイルを配設している。そして、超電導コイルに永久電流スイッチ(以下、PCSと称する)を接続して、超電導コイルの閉ループ回路を構成し、永久電流モードで運転する。液体ヘリウムの供給が不十分、あるいは停電などで冷凍機が停止時には、超電導コイルの温度を検知する。超電導コイルの温度が所定の上限温度に達した場合には、PCSを開にし、超電導コイルに流れる電流を保護抵抗に流して消費させることにより、超電導コイルに流れる電流をゼロにする。このように構成することで、超電導コイルの温度が所定の温度以上に上昇しないため、再運転時の再冷却処理が不要となり、迅速な再運転が可能な超電導磁気共鳴イメージング装置を提供している。
一方、特許文献2には、従来の低温超電導体で構成された超電導磁石より強い磁場強度を得るため、高温超電導線材を用いた超電導磁石を提案している。高温超電導線には僅かな残留抵抗が存在するため、特許文献2では電源を常時接続し、通電し続けるドリブンモードで超電導磁石を稼働し、微小な残留抵抗による電流減衰を補償している。なお、特許文献2では、高温超電導線材の超電導コイルは、液体ヘリウム槽内に配置されている。
また、非特許文献1には、MgB2の高温超電導線を12個のパンケーキ形状のコイルに巻いて、U字形状の鉄ヨークと組み合わせて構成したMRI用の超電導磁石が開示されている。この超電導磁石は、液体ヘリウムを使わず、2台の冷凍機にて、20ケルビンの温度にコイルを冷却している。そして、電源より90アンペアを通電するドリブンモード運転にて、U字形状の60センチメートルの開口部に0.5テスラの磁場を発生する。開口部の空間に人体の頭部や腰椎を配設して、それらのMRI画像を得ている。
特開2005-124721号公報 特開2008-020266号公報
IEEE Transaction on Applied Superconductivity、2008年6月、Vol.18、No.2、p.882-886
上述の特許文献2および非特許文献1の超電導磁石では、ドリブンモード運転時の停電やシステム障害によって冷凍機が停止した場合については、全く考慮されていない。従来の超電導磁石では、液体ヘリウムの補充が間に合わなかったり、冷凍機の停止が継続したりすると、超電導コイルは、臨界温度を超え、超電導から常伝導に転移する。超電導コイルが、常伝導に転移すると、超電導コイルの蓄積エネルギー分が熱になり、超電導コイルの温度が上昇する。液体ヘリウムを用いる特許文献1,2のような超電導磁石では、液体ヘリウムが残存している限りは、液体ヘリウムの大量気化によって超電導コイルの熱を奪うことができるため、超電導コイルの温度上昇を防止できる。
しかし、非特許文献1の超電導磁石のように液体ヘリウムを用いず、冷凍機で超電導コイルを冷却し、ドリブンモードで稼働する超電導磁石では、冷凍機が停止すると超電導コイルを冷却することができず、しかも電源からは電流が印加され続けるので超電導コイルは熱損傷する。また、熱損傷に至らない場合でも、超電導コイルの温度が上昇するため、冷凍機が再稼働しても、温度上昇している超電導コイルを臨界温度以下まで再冷却するのに長時間を必要とする。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、液体ヘリウムを用いず、かつ、ドリブンモードで運転する超電導磁石を、冷凍機が停止した場合であっても再稼働までの時間を短縮して運転することのできるMRI装置を提供することにある。
本発明は、超電導コイルに電流を供給する電源部への外部からの電力供給状態、冷凍機の動作状態、超電導コイルの温度、静磁場強度、超電導コイルに流れる電流値、および、検出部の検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、超電導コイルに供給する電流を制御する。
本発明によれば、停電やシステム障害が生じても、ドリブンモードで運転する超電導磁石が高温になることを防止できるため、再冷却に要する時間を短縮でき早期に運転を再開できる。これにより、MRI検査の中断時間を可能な限り短縮することができる。
実施形態のMRI装置の全体構成を示す説明図。 図1の超電導磁石103の断面図。 図1のMRI装置の超電導磁石103と磁石電源106の回路図。 図1のMRI装置で超電導磁石の起動時の超電導磁石103の運転方法を示すフロー図。 図1のMRI装置でMRI検査を施行中の超電導磁石103の運転方法を示すフロー図。 図1のMRI装置において冷凍機108が停止した場合の超電導磁石103の運転方法を示すフロー図。 図1のMRI装置において冷凍機108が停止した場合の超電導磁石103の運転方法を別の例を示すフロー図。 (a)保護抵抗で超電導コイルに流れる電流を低減する比較例の経過時間と消費エネルギーとの関係を示すグラフ、(b)本実施形態の一定の低減率で超電導コイル105の電流を低減した場合の、経過時間と消費エネルギーとの関係を示すグラフ。 図1のMRI装置において、冷凍機の運転再開時の超電導磁石103の運転方法を示すフロー図。
本発明のMRI装置は、図1乃至図3のように静磁場を発生する超電導磁石103と、超電導磁石103が発生する静磁場空間に配設された被検体101から核磁気共鳴信号を検出する検出部(109〜114)と、核磁気共鳴信号より被検体101の画像を構成する画像構成部(115)とを備えている。超電導磁石103は、超電導コイル105と、冷凍機108と、冷凍機108の冷却された部位206と超電導コイル105とを接続して超電導コイル105を冷却する熱伝導部材208と、少なくとも検出部(109〜114)が核磁気共鳴信号を検出している間、超電導コイル105に電流を供給して超電導コイル105に流れる電流を維持する電源部(106)とを備える。
電源部(106)は、電源部(106)への外部からの電力供給状態、冷凍機108の動作状態、超電導コイル105の温度、超電導磁石103の静磁場強度、超電導コイル105に流れる電流値、および、検出部(109〜114)の検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、超電導コイル105に供給する電流を制御する制御部(115、304〜307)を備える。
例えば制御部(115、304〜307)は、電源部106への外部からの電力供給の停止、冷凍機108の動作の停止、および、超電導コイル105の温度が予め定めた温度よりも上昇した状態、のうち少なくとも一つが生じた場合、超電導コイル105への電流の供給を停止する。これにより、ドリブンモードで運転する超電導磁石103の超電導コイル105の温度上昇を防止し、常伝導状態への転移を防ぐ。また、運転再開時に超電導コイル105の冷却に費やす時間を短縮できる。
また、制御部(115、304〜307)は、上述のように超電導コイル105への電流を停止する際に、予め定めた値以下の低減率で電流を低減させることが好ましい。制御部(115、304〜307)が電流を低減させる際には、何らかの手段(例えば電気抵抗)で電流を消費する。電流の消費に伴って電流低減手段が発熱するため、電流低減手段には、冷却構造(例えば放熱フィンや放熱ファン)を配置する必要がある。制御部が電流の低減率を予め定めた値以下に制御することにより、冷却構造を必要最小限に小型化することができる。
一例としては、冷凍機108の動作が停止した場合、制御部(115、304〜307)は、超電導コイル105の温度が予め定めた温度より上昇する時間を予測し、予測した時間に達するまでの間に、超電導コイルへの供給電流がゼロになる低減率で電流を低減させることができる。別の例としては、制御部(115、304〜307)は、冷凍機108の動作が停止した場合、予め定めた時間が経過するまで待機した後、超電導コイルへの供給電流を所定の低減率で低減させる。
また、制御部(115、304〜307)は、電源部106への外部からの電力供給の開始、および、冷凍機108の動作の開始がなされた場合であって、超電導コイル105の温度が予め定めた温度以下に達した場合には、超電導コイル105への電流の供給を開始するように制御する。
また、電流の供給を開始する場合、制御部(115、304〜307)は、超電導コイル105の電流値を予め定めた割合で上昇させることが望ましい。また、制御部は、超電導コイル105への電流供給の開始後、予め定めた時間間隔で超電導コイルの温度が予め設定された値以下であるかどうかを判定することが望ましい。
また、制御部(115、304〜307)は、全ての被検体101の核磁気共鳴信号の検出が終了した場合、超電導コイル105への電流の供給を停止することもできる。これにより、医療施設のMRI装置の安全管理をより容易に行うことが可能になる。例えば、夜間など検査を行っていない時間は超電導磁石103が静磁場を発生しないため、静磁場によって清掃用具等の磁性体が吸引され、超電導磁石103に強く張り付いてしまうという事故等を防止できる。
また、全ての被検体101の核磁気共鳴信号の検出が終了した場合、超電導コイル105への電流の供給を停止する場合において、制御部(115、304〜307)は、上述のように超電導コイル105への電流を停止する際に、予め定めた値以下の低減率で電流を低減させることが好ましい。制御部(115、304〜307)電流の低減率を予め定めた値以下に制御することにより、冷却構造を必要最小限に小型化することができる。
また、全ての被検体101の核磁気共鳴信号の検出が終了した場合、超電導コイル105への電流の供給を停止する場合において、制御部(115、304〜307)は、操作者から指示があった場合、または、予め定めた時刻になった場合、超電導コイル105の温度が予め定めた温度以下ならば、超電導コイル105への電流の供給を開始する。
超電導コイル105は、開ループであり、両端に電源部106が接続されている構成のものを用いることができる。電源部106は、一例としては、超電導コイル105に流れる電流値を変化させる電流値制御ユニット(304〜307)を含むものを用いる。電流値制御ユニット(304〜307)は、超電導コイルに供給する電流を所定の割合での増加または低減させることが望ましい。
制御部(115、304〜307)は、超電導磁石103の静磁場強度、超電導コイル105に流れる電流値、および、検出部(109〜114)が検出した核磁気共鳴信号のうちの少なくとも一つが、予め定めた範囲から外れている場合、超電導コイル105に供給する電流値を調節する。
また、電源部106は、内部に抵抗素子を含み、抵抗素子で電流を消費することにより、超電導コイル105に供給する電流を低減させる構成であってもよい。
超電導コイル105は、高温超電導材料の超電導コイル105を用いることにより、Heの沸点よりも高い温度であっても超電導状態にすることができる。これにより、液体ヘリウムを用いず、ドリブンモードの超電導磁石103を構成できる。
超電導磁石103は、超電導コイル105の温度を検出する温度センサー212を備えていることが望ましい。温度センサー212は、複数である場合、超電導コイルの複数部位の温度を計測できるため、さらに望ましい。制御部(115)は、超電導コイル105の温度を温度センサー212の出力から取得する。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(実施形態1)
<実施形態1のMRI装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態のMRI装置の全体構成を示す説明図であり、MRI装置を医療施設に設置し、被検体である患者の医学診断画像を撮影している状態を示している。
図1のように、本実施形態のMRI装置は、超電導磁石103と、被検体101から核磁気共鳴信号を検出する検出部(109〜114)と、核磁気共鳴信号より被検体101の画像を構成する画像構成部(115)等を備えている。
超電導磁石103は、対向配置された一対の超電導コイル105を、液体ヘリウムを用いず、冷凍機108により伝導冷却で冷却する構造である。対向配置された一対の超電導コイル105は、側面形状がC字型の鉄ヨーク104で支持されている。鉄ヨーク104は磁気回路を構成し、一対の超電導コイル105との接続部付近が磁極となっている。
また、超電導コイル105には、磁石電源106が常時接続されて、静磁場発生時には常に電流が供給され、いわゆるドリブンモードで運転される。
これにより、超電導磁石103は、一対の超電導コイル105の間の撮像空間102に、z軸方向の均一な静磁場を発生する。被検体101の検査部位は、撮像空間102の中心に配設される。
鉄ヨーク104は側面形状がC字型であるため、撮像空間102の前方(y軸方向)と左右の両側(x軸方向)には被検体101の視界を遮るものが無く開放的な検査環境を提供することが可能となっている。また、鉄ヨーク104による磁気回路により、超電導磁石103の外部に広がる漏洩磁束を極小に抑えている。
超電導磁石103の構造については、後で詳しく説明する。
被検体101から核磁気共鳴信号を検出する検出部(109〜114)は、傾斜磁場コイル組立体109、傾斜磁場電源110、高周波トランスミッターコイル111、高周波電源112、高周波レシーバーコイル113、および、信号処理ユニット114を備えている。
一対の傾斜磁場コイル組立体109は平板状であり、一対の超電導コイル105の撮像空間102側に配置され、傾斜磁場電源110から電流の供給を受けることにより、撮像空間102内に互いに直交した3軸方向(x、y、z方向)に強度に勾配を有する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル組立体109は、鉄ヨーク104に支持されている。
図1では区別されていないが、傾斜磁場コイル組立体109には、x、y、zの三種類のコイルが積層されている。例えば、z傾斜磁場コイルに、プラスの電流が供給されると、鉄ヨーク104の上磁極に取り付けられたz傾斜磁場コイルは、超電導コイル105が発生する磁束と同じ+z軸方向に磁束を発生し、超電導コイル105が発生する磁束に重畳されることによりその密度を増す。一方、鉄ヨーク104の下磁極に取付けられたz傾斜磁場コイルは、超電導コイル105の発生する磁束と反対方向の−z軸に沿った磁束を発生し、超電導コイル105が発生する磁束の密度を減ずる。この結果、撮像空間102のz軸に沿って下から上に向かって磁束密度が増加する傾斜磁場を作ることができる。
x傾斜磁場コイルは、撮像空間102のx軸に沿って、y傾斜磁場コイルは撮像空間102のy軸に沿って、超電導コイル105の発生する磁束密度をそれぞれ変化させる。傾斜磁場電源110は、x、y、zの傾斜磁場コイルには、それぞれ独立して電流を供給する。例えば、500アンペアの電流を供給することで、1メートルで25ミリテスラの磁場強度が変化する25mT/mの傾斜磁場を発生することができる。
一対の高周波トランスミッターコイル111は、開放的な検査環境を阻害しないように平板状であり、一対の傾斜磁場コイル組立体109の撮像空間102側に配置されている。高周波電源112は、一対の高周波トランスミッターコイル111に電流を供給する。
高周波トランスミッターコイル111は、撮像空間102のx‐y平面に平行な磁束が発生するようにコイル導体がプリント配線されている。そして、複数の容量素子が組込まれ(図1では記載してない)、例えば21メガヘルツのLC共振回路となっている。高周波電源112より、例えば21メガヘルツの高周波電流を流すことによって、撮像空間102に高周波磁界を発生する。
静磁場中に配置された被検体101に、高周波磁界を照射して被検体101の特定部位の水素核スピンに核磁気共鳴(以下、NMRと称す)現象を起こし、傾斜磁場を印加することにより水素核スピンの歳差運動にx、y、zの空間情報を付与することができる。
高周波レシーバーコイル113は、空間情報が付与され水素核スピンの歳差運動をNMRの電気信号として検出する。高周波レシーバーコイル113は、被検体101の検査部位に装着される。高周波レシーバーコイル113は、高周波トランスミッターコイル111同様、容量素子が組込まれ(図1では記載してない)、例えば21メガヘルツの共振回路となっている。高周波トランスミッターコイル111と異なる点は、高効率でスピンの歳差運動を電磁誘導にて電気信号として検出するように、検査部位の体形にフィットするようになっていることである。図1では、被検体101の頸椎部位を検出するコイルが記載されている。
高周波レシーバーコイル113で検出されたNMR信号は、信号処理ユニット114に入力され、増幅処理、検波処理、アナログ・デジタル変換処理等が行われた後、コンピュータ115に受け渡される。
コンピュータ115は、内蔵するメモリに格納されている画像再構成のためのプラグラムを読み込んで実行することにより、画像再構成部115aとして動作する。画像再構成部115aは、NMR信号に対しフーリェ変換等の演算処理を施し、医学診断に有効な断層画像やスペクトル分布図を生成する。これらのデータはコンピュータ115の記憶装置(図では記載していない)に保存されるとともに、ディスプレイ116に表示される。
他方で、コンピュータ115は、パルスシーケンス実行のためのプログラムを読み込んで撮像制御部115bとしても動作する。撮像制御部115bは、被検体101の検査部位から目的のNMR信号が得られるように、傾斜磁場電源110と高周波電源112をパルスシーケンスと呼ばれるタイミングチャートに従って動作させる。このため、コンピュータ115と高周波電源112や傾斜磁場電源110等との間には、図1のようにシーケンサー120が配置されている。また、MRI装置のオペレータが、パルスシーケンスの種類の選択等を撮像制御部115bに対して入力するための入力装置117が、コンピュータ115に接続されている。
さらに、コンピュータ115は、超電導磁石103の運転のための制御プログラムを読み込んで実行することにより、超電導磁石制御部115cとしても動作する。超電導磁石制御部115cは、磁石電源106内の制御回路(304〜307)とともに、電源部(106)への外部からの電力供給状態、冷凍機108の動作状態、超電導コイル105の温度、超電導磁石103の静磁場強度、超電導コイル105に流れる電流値、および、検出部(109〜114)の検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、超電導コイル105に供給する電流を制御する。これにより、停電やシステム障害等が生じても、超電導コイル105が高温になることを防止し、再冷却に要する時間を短縮でき早期に運転を再開できるようにする。この動作については、後で詳しく説明する。
また、超電導磁石103の前方には、被検体101の検査部位を撮像空間102の中心に搬入搬出するための患者テーブル118が取り付けられている。また、超電導磁石103、患者テーブル108、傾斜磁場コイル組立体109、高周波トランスミッターコイル111および高周波レシーバーコイル113は、電磁波遮蔽を施された検査室119に設置される。また、超電導磁石103、傾斜磁場コイル組立体109、高周波トランスミッターコイル111および高周波レシーバーコイル113と、磁石電源106、傾斜磁場電源110、高周波電源112および信号処理ユニット114とをそれぞれ接続する信号線は、検査室119の壁面に備えられたノイズフィルタ121を介して検査室119内に引き込まれている。これにより、コンピュータ115やその他の機器が発する電磁波が、高周波レシーバーコイル113にノイズとして混入するのを防いでいる。
<伝導冷却超電導磁石103の構造>
超電導磁石103の構造を詳しく説明する。図2は、超電導磁石103の断面図である。
超電導磁石103は、撮像空間102を挟んで対向配置された一対の超電導コイル105を、側面形状がC字型の鉄ヨーク104によって支持した構造である。C字型の鉄ヨーク104の開口部分には、一対の超電導コイル105の内側に突出するように二つ(N極S極)の磁極201が固定されている。鉄ヨーク104には、背面からC字型の開口に向かって貫通孔が設けられ、貫通孔には背面側から冷凍機108が挿入されている。
一対の超電導コイル105は、例えば高温超電導材料MgB2の線材を、蓄冷と伝熱を兼ねたコイルボビン202にドーナツ状に巻いた構造である。上下の超電導コイル105は、図3に回路構成を示すように直列に接続され、両端が開いた開ループ構造である。超電導コイル105の両端は、リード線209a,209bを介して磁石電源106と常時接続されており、静磁場発生時には常に超電導電流が磁石電源106から供給されている。
超電導コイル105は、リング状の真空容器107にそれぞれ納められている。一対の真空容器107は一部が連結しており、連結部220には、冷凍機108の先端の部位206が挿入されている。冷凍機108の先端の部位206は冷却されており、熱伝導部材208およびコイルボビン202によって超電導コイル105と熱的に接続されている。
冷凍機108は、熱伝導部材208の熱伝導により超電導コイル105を20ケルビンの温度に冷却する。熱伝導部材208は、例えば銅網線を用いる。
超電導コイル105を構成する高温超電導材料MgB2は、20ケルビン(−253℃)で安定な超電導特性を示す。超電導コイル105の周囲は、真空容器107の内壁面からの輻射熱を防ぐインシュレータ203(図では一部のみ記載し、その他は省略)が幾重にも巻かれている。インシュレータ203としては、例えばアルミニウムを蒸着した鏡面のポリエチレンシートを用いる。コイルボビン202は、熱良導体で、熱容量が大きく、かつ電気不導体となる相反特性を持ち合わせるように複合材で構成されている。さらに、コイルボビン202は、超電導コイル105に加わる電磁力に対して十分耐えうる剛性を有している。
また、コイルボビン202の4箇所には、真空容器107との相対位置を固定する支持材204が取り付けられている。支持材204は、伝導熱を抑えるための繊維強化プラスチック(FRP)で構成されている。このような構造により、冷凍機108の定常運転時に超電導コイル105に伝わる輻射熱と伝導熱は5ワット以下になっている。
また、コイルボビン202の複数箇所(図2では1箇所を示す)には、温度センサー212が取り付けされている。温度センサー212は、熱伝導を最少にするため燐青銅線のリード線により真空容器107表面に配されたセンサー端子213(図3参照)に接続されている。
具体的な例としては、冷凍機108は、20ケルビンに冷却される部位206と、77ケルビンに冷却される部位207とを有し、それぞれ6ワットと65ワットの冷却能力を有するものを用いることができる。一例としては、住友重機械工業株式会社製の型式CH−208Rを用いることができる。20ケルビン冷却部位206は、上述したように上下のコイルボビン202と熱伝導部材208により熱接触している。77ケルビン冷却部位207は、超電導コイル105のリード線209a,209bと熱接触している。
そして、リード線209a,209bは熱伝導部材208に沿ってコイルボビン202まで導かれる。これにより、リード線209a,209bを介して超電導コイル105に伝わる熱量が5ワット程度に最少化されて、磁石電源106を常時接続しても超電導コイルを臨界温度以下に保つことが可能となっている。リード線209a,209bは、先述の77ケルビン冷却部位207との熱接触を経て、真空容器107の外部の端子210a、210bに導かれる。端子210からは、ケーブル211a、211bにより磁石電源106の電流端子301a,301bに接続される。
磁石電源106は、静磁場発生時に例えば160アンペアの電流を、リード線209a,209bを介して超電導コイル105に供給する。これにより、超電導コイル105は、撮像空間102で0.5テスラ強度となる磁束をz軸方向に発生する。
また、鉄ヨーク104は、具体的には例えば重量14トンで、開口部の高さは55センチとする。鉄ヨーク104の形状は、撮像空間102に0.5テスラの磁場強度を発生する磁束密度を確保し、かつ、鉄ヨーク104の外に漏れる磁束をできるだけ少なくするように設計されている。
また、鉄ヨーク104の開口部に備えられて磁極201は、均一な磁場を発生するため、図2のように撮像空間102側の面が凹面に加工されている。
<磁石電源106の回路構成>
次に、磁石電源106の回路構成を、図3を用いて説明する。磁石電源106は、直流電源ユニット302と、無停電電源ユニット303と、低電流制御ユニット304と、電流検出ユニット305と、基準電流設定ユニット306と、誤差増幅回路ユニット307と、冷凍機動作検出ユニット308と、温度検出ユニット309と、インタフェース回路310とを備えて構成される。
直流電源ユニット302は、端子302aを介して外部から電力の供給を受け、各回路ユニット303〜307が必要とする直流電力を発生する。直流電源ユニット302から無停電電源ユニット303に供給された電力は、超電導コイル105に流す電流源となる。無停電電源ユニット303は、リチウム電池や鉛蓄電池を主構成として、超電導磁石103を2時間以上運転するために必要な電力160AHを常時蓄えている。無停電電源ユニット303の陽極303aは、定電流制御ユニット304を介して、電流端子301aに接続され、陰極303bは、電流検出ユニット305を介して電流端子301bに接続される。
定電流制御ユニット304は、超電導コイル105に供給する電流を制御する。低電流制御ユニット304は例えば、大電流を流すことが可能なトランジスター素子で構成され、そのベース端子に誤差増幅回路ユニット307から入力される電流値によって、コレクター―エミッター間に流れる電流を制御することにより、超電導コイル105に供給する電流値を制御する。
誤差増幅回路ユニット307には、基準電流設定ユニット306の出力する基準電圧と、電流検出ユニット305の検出した超電導コイル105の電流値に対応する電圧が入力される。基準電流設定ユニット306は、その差分を所定の増幅率で増幅して定電流制御ユニット304を構成するトランジスター素子のベース端子に入力する。これにより、定電流制御ユニット304は、超電導コイル105への供給電流を基準電流設定ユニット306の基準電圧に対応した電流値(160A)に一致させるように制御する。
電流検出ユニット305は、超電導コイル105に供給されている電流を検出するユニットであり、例えば、温度特性が極めて良好で、正確な抵抗値を有する抵抗素子(例えば0.1オーム)で構成されている。その両端の電圧信号は、抵抗素子に流れる電流値に対応している。一例として、160アンペアより多い161アンペアの電流が、電流端子301aと電流端子301b間に流れている場合、電流検出ユニット305は16.1ボルトの電圧をその両端に発生するため、基準電流設定ユニット306の出力する基準電圧(例えば16V)よりも0.1V大きくなり、誤差増幅回路ユニット307は、定電流制御ユニット304を流れる電流を低減させる方向の信号を出力する。
基準電流設定ユニット306は、冷凍機動作検出ユニット308と、温度計の出力電圧を処理する温度検出ユニット309の出力が入力される。基準電流設定ユニット306は、これらの両検出ユニットの出力信号に基づいて出力する基準電圧の値を切り替える。
また、磁石電源106の各ユニットはインタフェース回路310を介して、コンピュータ115と接続されている。
このように、磁石電源106は、常時超電導コイル105に常時接続され、超電導コイルに供給する電流を制御するドリブンモードで超電導磁石103を運転する。これにより、静磁場発生時には、超電導コイル105に供給する電流値を一定に制御して、静磁場を安定させることができるとともに、停電やシステム障害等が生じた場合には、超電導コイルへの電流を停止する等が可能になり、超電導コイル105の温度上昇を防ぎ、早期に運転を再開することができる。
以下、磁石電源106およびコンピュータ115による超電導磁石103の運転方法について詳しく説明する。
<超電導磁石の励磁>
超電導磁石103の起動時の運転方法を図4のフローにしたがって説明する。
最初に、操作者が、コンピュータ115の入力装置117より超電導磁石103の起動を指示する操作する(ステップ401)。これを受けて、コンピュータ115は、超電導磁石103の起動運転のための制御プログラムを読み込んで実行することにより、超電導磁石制御部115cとして以下のように動作する。
コンピュータ115は、温度検出ユニット309に超電導磁石103に組込まれた複数の温度センサー212の出力信号より超電導コイル105の各部の温度を計測させ、計測結果を受け取る(ステップ402)。計測結果から、各部位の温度が予め定めた値の範囲に入っているかを判定する(ステップ403)。判定が正常(予め定めた範囲内)の場合は、磁石電源106を構成する各ユニットに動作開始を指示し、ステップ406に進む(ステップ404)。一方、判定が異常の場合は、その内容をディスプレイ116に表示して終了する(ステップ405)。
温度が予め定めた範囲内であった場合は、コンピュータ115は、超電導コイル105への供給電流を5アンペア/分の増加率で、定格の160アンペアに達するまで増加させる(ステップ406〜414)。具体的には、コンピュータ115は、基準電流設定ユニット306の出力する基準電圧を、超電導コイル105に供給する電流が5アンペア/分の増加率で増加するように徐々に増加させる(ステップ406)。この間は、磁石電源106から超電導コイル105に電流が供給され、超電導コイル105に電流が流れるので、コンピュータ115は、温度検出ユニット309に超電導コイル105の温度を5分間隔で計測させる(ステップ407、408)。
コンピュータ115は、計測した温度が予め定めた値の範囲に入っているか判定する(ステップ409)。この温度計測と判定により、超電導磁石103の起動中に、冷凍機109による冷却が正常に機能しているかの確認と、超電導コイル105自身での電力損失による発熱が所定の範囲内かどうかの確認とを行うことができる。この電力損失はACロス(交流損失)と呼ばれ、インダクタンスを有する超電導コイル105の電流が5アンペア/分で変化することに起因する。
ステップ409における温度判定が正常(予め定めた範囲内)の場合は、コンピュータ115は、電流検出ユニット305から、超電導コイル105に供給している電流値を受け取り、これが定格160アンペアに達しているかどうかを判定する(ステップ414)。160アンペアに達していない場合には、ステップ406に戻り、磁石電源106の出力電流増加の動作を継続する。これにより、超電導コイル105に供給される電流が160アンペアに達するまで、5アンペア/分の増加率で増加する。ステップ414で160アンペアに達した場合には、160Aの電流値を維持するように基準電流設定ユニット306の基準電圧を保持する(ステップ415)。これにより、超電導磁石103の起動開始からおおよそ32分後に、超電導コイル105への供給電流を160アンペアまで到達させ、保持することができる。これにより、超電導磁石の励磁が終了し、撮像空間102に0.5テスラの安定した静磁場を発生させることができる。
一方、ステップ409において温度判定が異常(予め定めた範囲外)の場合は、直ちにコンピュータ115は基準電流設定ユニット306の基準電流の増加を停止させ、磁石電源106の出力電流増加を止め(ステップ411)、ディスプレイ116に温度が予め定めた範囲外であることを報知するメッセージを表示する(ステップ412)。そして、超電導コイル105に出力する電流をゼロにする動作を行い、運転を終了する(ステップ413)。
このように、本実施形態では、超電導磁石103の起動時に超電導コイル105に流れる電流を一定の割合で増加させながら温度を監視することにより、超電導コイル105自身での電力損失による発熱により超電導コイル105の温度上昇を防ぐことができる。
<MRI検査の実行>
上述のように超電導磁石103の励磁が完了し、MRI検査を施行する際の運転方法を図5のフローを用いて説明する。操作者が、コンピュータ115の入力装置117よりMRI検査の実施を指示する操作を行い、操作者が超電導磁石103の撮像空間102にファントムと称するテスト用の被検体101を配設すると、コンピュータ115は、超電導磁石103のMRI検査のための制御プログラムを読み込んで実行することにより、超電導磁石制御部115cとして以下のように動作する。
まず、コンピュータ115は、ファントムのNMR信号を計測する(ステップ501)。具体的には、コンピュータ115は、ファントム計測用の予め定められたパルスシーケンスをシーケンサー120、傾斜磁場電源110、高周波電源112および信号処理ユニット114に実行させ、ファントムのNMR信号を計測させる。コンピュータ115は、計測したNMR信号を演算処理して、撮像空間102の磁場強度Boと磁場均一度δBoを求める(ステップ502)。
コンピュータ115は、求めたBoとδBoの値が予め定めた範囲の値であるかを判定する(ステップ503)。判定が正常(磁場強度Boおよび磁場均一度δBoが予め定めた範囲内)の場合は、被検体101のMRI検査を施行する(ステップ504)。一方、ステップ503で判定が異常(磁場強度Boおよび磁場均一度δBoのうち少なくとも一方が予め定めた範囲外)の場合は、磁石電源106の出力電流と、傾斜磁場電源110の出力電流の双方、場合によっては一方を調整する(ステップ505)。調整後、再びファントムのNMR信号を計測する(501)の工程に戻る。これにより、磁場強度Boおよび磁場均一度δが予め定めた範囲内に入ったならば、ステップ504に進んで被検体のMRI検査を開始する。
ステップ504では、コンピュータ115は、パルスシーケンス実行のためのプログラムを読み込んで撮像制御部115bとして動作し、被検体101の検査部位から目的のNMR信号が得られるように、傾斜磁場電源110と高周波電源112をパルスシーケンスに従って動作させる。得られたNMR信号を信号処理ユニット114およびコンピュータ115で処理して画像を再構成する。
パルスシーケンスを施行している間も、コンピュータ115は、超電導コイル105の温度計測を5分間隔で実施し(ステップ508)、計測温度が予め定めた値の範囲に入っているか判定する(ステップ509)。判定が正常(計測温度が予め定めた範囲内)の場合は、一連のパルスシーケンスが終了するまで、MRI検査を継続する(ステップ510,504)。一方、温度判定が異常(計測温度が予め定めた範囲外)の場合は、温度異常を報知するメッセージをディスプレイ116に表示し(ステップ511)、ステップ507に進んで、磁石電源106の出力電流をゼロにする動作を行い、終了する。ステップ507の具体的な動作については、後述する図7のステップ703の動作と同様であるので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、被検体101のMRI検査(パルスシーケンス)が終了すると、コンピュータ115は、次の被検体に対してMRI検査を行うかどうか判定する(ステップ506)。例えば、操作者が入力装置117に次の被検体101の情報を入力済みであるかどうかや、操作者に次の被検体のMRI検査の有無を尋ねる表示をディスプレイ116に表示して入力を促すことにより確認する。次の被検体のMRI検査が有る場合は、ステップ504に戻って検査を行う。次の被検体の検査がない場合、すなわち一日の全MRI検査が終了した場合は、ステップ507に進む。
ステップ507では、コンピュータ115は、磁石電源106の出力電流を毎分5アンペアの減少率で降下させ、ゼロにして終了する。具体的には、コンピュータ115は、基準電流設定ユニット306の基準電圧を所定の減少率で低下させることにより、定電流制御ユニット304の出力電流を毎分5アンペアの減少率で降下させる。
このように、全ての被検体101のMRI検査が終了したとき、磁石電源106の出力電流をゼロにすることは、超電導磁石103の発生する静磁場がゼロになるため、医療施設の安全管理上大きなメリットがある。例えば、医療施設では夜間に清掃作業を実施する場合が多いが、超電導磁石103の発生する静磁場は目に見えないため、清掃作業員の強磁場ポテンシャルへの危険性の認識が十分でない場合には、検査室119に持込んだ清掃用具(鉄などの磁性体製のもの)が超電導磁石103に強く吸引されて張り付き、引き離すことができなくなるという吸引事故が発生することがある。
本発明では、被検体101のMRI検査が全て終了した場合には、磁石電源106の出力電流をゼロにして、超電導コイル105に流れる電流をゼロにするため、夜間や休日などには静磁場を発生しておらず、吸引事故が発生しない。よって、常時静磁場を発生しているMRI装置と比較して、本実施形態のMRI装置は、安全管理を容易に行うことができる。
<冷凍機が停止した場合>
次に、システム障害や停電で冷凍機108が停止した異常時の超電導磁石103の運転方法を図6および図7を用いて説明する。本MRI装置では、システム障害や停電で冷凍機108の冷却能力が低下した場合、超電導コイル105の温度が臨界温度に達する前に超電導コイル105に流れている電流を超電導磁石103の外で消費させ、超電導コイル105の蓄積電気エネルギーを放出させる。これにより超電導コイル105の温度上昇や焼損ダメージを回避する。
このため、超電導コイル105が臨界温度に達するまでの時間を把握し、その時間内に超電導コイル105に流れている電流を消費する必要があるが、本実施形態では、(1)コイルボビン202に組込んだ温度センサー211の出力をモニターし、温度変化率から臨界温度到達時間を推定する方法(図6)、または、(2)超電導コイル105を組み込んだ真空容器107の熱容量と熱侵入量で決まる熱時定数から、冷凍機108の停止から臨界温度に達する時間を予め求めておく方法(図7)のいずれかの方法を用いる。
図6のフローに示した運転方法では、具体的にはコンピュータ115は、冷凍機108の停止を検知すると(ステップ601)、温度センサー212の信号より、超電導コイル105の温度を連続して測定する(ステップ602)。超電導コイル105の温度上昇割合から、超電導コイル105の臨界温度に達するまでの時間T1を計算により求める(ステップ603)。求めた時間T1内で、磁石電源の出力電流をゼロにするための電流の一定の低減率を計算により求め、この電流低減率に対応する基準電圧の低減率で基準電流設定ユニット306の出力する基準電圧を低減する(ステップ604)。これにより、定電流制御ユニット304は、超電導コイル105に流す電流を上記電流低減率で低減する。
定電流制御ユニット304は、一定の電流低減率となるように電流を消費するため発熱するが、定電流制御ユニット304に備えられている冷却装置(例えば、空冷ファンとフィンや水冷ジャケット)が冷却する。電流低減率が一定であるため、所定時間当たりの発熱量も一定であり、冷却装置はこの発熱量に対応する規模のものを予め設置しておけば足りる。よって、突発的な大きな発熱量に備えて大型の冷却装置を設置しておく必要がなく、冷却装置を小型化することができる。
なお、停電により冷凍機108が停止した場合は、磁石電源106に組み込まれた無停電電源ユニット303を用いて、コンピュータ115および磁石電源106内の各ユニットを動作させることにより上記各ステップを行う。
また、ステップ604では、時間T1内で、磁石電源の出力電流をゼロにするための電流の一定の低減率を計算により求めたが、この計算方法に限られるものではなく、予め定めた一定の低減率で低減させてもよい。この場合、予め定めた低減率で低減させた場合に電流がゼロになるまでに要する時間T2を、臨界に達するまでの時間T1から差し引いた時間(T1−T2)が経過するまで、電流低減操作を行わない構成にすることも可能である。この場合、臨界温度に達する時刻までの残り時間が、電流をゼロにするのに要する時間T2に達するまで超電導コイル105の電流が大きく低減しない。よってこの間に停電が解消する等して冷凍機108の運転が再開した場合には、短時間で運転を再開できるとういメリットがある。
次に、図7に示した運転方法で、超電導コイル105が臨界温度に達するまでの時間で、超電導コイル105に流れる電流を低減するフローを説明する。
まず、コンピュータ115は、冷凍機108の停止を検知すると(ステップ601)、停止からの経過時間(停止継続時間)のカウントを開始する(ステップ701)。停止継続時間が、予め定めた許容時間(例えば2時間)に達したか判定し(ステップ702)、達していない場合にはステップ701に戻り、カウントを継続する。予め定めた許容時間(例えば2時間)に達した場合には、磁石電源106の出力電流を予め定めた一定の低減率で低減し、超電導コイル105の電流をゼロにする(ステップ703)。具体的には、一定の電流低減率に対応する基準電圧の低減率で基準電流設定ユニット306の出力する基準電圧を低減する。
上述の停止継続時間の許容時間(例えば2時間)は、冷凍機108が停止してから超電導コイル105の温度が超電導コイル105の臨界温度を超えるまでに要する時間T3から、ステップ703の動作により超電導コイル105の電流をゼロにするまでに要する時間T2を差し引いた時間(T3−T2)である。時間T3は、超電導コイル105を組込んだ真空容器107の熱容量と、冷凍機108が停止している状態での熱侵入量で決まる熱時定数から予め求めておく。
図7の運転方法では、許容時間に達するまで超電導コイル105の電流が大きく低減しないため、この間に停電が解消する等して冷凍機108の運転が再開した場合には、短時間で運転を再開できるというメリットがある。
また、図7の運転方法は、低減率の計算が不要であるため、基準電流設定ユニット306にタイマー機能と所定の低減率で基準電流を低減させる機能を付与することで、コンピュータ115を動作させなくても、基準電流設定ユニット306の動作により実現することができる。この場合、停電時に無停電原電ユニット303でコンピュータ115を動作させる必要がなくなるため、無停電電源ユニット303の容量を小型化できるというメリットもある。
また、図6および図7のフローでは、超電導コイル105の電流をゼロに低下させる方法としては、基準電流設定ユニット306の基準電流を低減することにより定電流制御ユニット304で消費させる方法を用いているが、本発明はこの方法に限定されない。例えば、磁石電源106に別途組込んだ抵抗素子により電流を消費させる方法を用いることも可能である。
ここで、冷凍機108が停止してから超電導コイル105の温度が超電導コイル105の臨界温度を超えるまでに要する時間T3を予め求める計算方法について説明する。この時間T3は、真空容器107の熱容量と、冷凍機108の停止時の温度から臨界温度までの温度差との積を、冷凍機108が停止している状態での単位時間当たりの熱侵入量で除することにより求めることができる。
時間T3を長くするため、コイルボビン202を銅や鉛を主成分にすることで蓄熱効果を付加し、真空容器107の熱容量を大きくすることが好ましい。更に、DyやErのような重稀土類元素の化合物を使った蓄熱材を真空容器107に付加することも可能である。この場合は、この種の蓄熱材は磁性体であるため、蓄熱材を本実施形態の超電導磁石103にメリットとなるように配置する。具体例としては、磁場均一度を改善する磁極201の機能の一部として働くように、磁性体の蓄熱体をコイルボビン202内側に配置することが可能である。
あるいは、上下の真空容器107の連結部220に組み込むことで、鉄ヨーク104の一部として機能させることもできる。これにより、鉄ヨーク104の重量低減や形状最適化が可能となるというメリットがある。このように低温(20ケルビン)で蓄熱効果を持たせた超電導磁石103の場合、冷凍機108の運転が停止しても、超電導コイル105の温度を臨界温度以下に一定時間保つことができる。
例えば、真空容器107の連結部220にDyNi2の蓄冷材(20ケルビンでの比熱は800kJ/m3・K)を0.1m3組み込んだ場合、その熱容量は80kジュールとなる。一方、冷凍機108が停止した場合、真空容器107の表面からの輻射熱と、超電導コイル105の支持材204や超電導コイルのリード線209a、209bからの伝導熱により、超電導コイル105に侵入する熱量は平均して毎秒30ジュール(30ワット)となる。
30ワットとなる理由は、冷凍機108の停止直後の熱侵入は5ワットであるが、冷凍機108の20ケルビンの冷却部位206における6ワットの冷却停止と、超電導コイルのリード線209a,209bの冷却停止などで、伝導熱は徐々に増加すし、平均すると30ワット程度となるためである。この熱バランス状態で、80kジュールの熱容量を有する蓄冷材を備えた真空容器107に支持された超電導コイル105の温度を1ケルビン上昇させるには2,667秒(=80kジュール÷30ジュール)の時間を必要とする。超電導コイル105の臨界温度の上限値を23ケルビンとすれば、冷凍機108の停止開始の超電導コイル105の初期温度20ケルビンから23ケルビンに上昇するまでの時間T3は、2,667秒×3ケルビン=8,000秒(約2.2時間)となる。実際には、コイルボビン202や超電導コイル105自身の熱容量が加味されるため、この時間T3はさらに長くなる。
この時間T3(約2.2時間)からステップ703において超電導コイル105の電流をゼロにするのに要する時間T2を差し引くことにより、許容時間(約2時間)を求めることができる。
上述のように図6のステップ604および図7のステップ703では、一定の電流低減率で電流を低減することにより、低電流制御ユニット304に備えられている冷却装置を小型化できることについてすでに述べたが、これについてさらに詳しく説明する。
比較例として、上述の特許文献1のように冷凍機の運転停止時にPCSを開として、保護抵抗に電流を流すことで、超電導コイルに流れている電流を減ずる場合の経過時間と消費エネルギーとの関係を図8(a)のグラフに示す。図8(a)のように、保護抵抗の消費エネルギーは指数関数的に減衰するため、PCSを開にした直後に超電導コイル105の電流減衰率が大きくなる。このため、超電導コイル105は、大きな電磁力ストレスを受け、超電導コイルを再励磁する時に蓄積されたストレスが解放され、ストレス開放時の発熱でクエンチを起す可能性がある。また、PCSを開にした直後の大きな消費エネルギーに耐えられる保護抵抗素子と、大きなエネルギー消費に伴う発熱を冷却するシステムが必要となり、装置が大型化する。また、指数関数的に電流が減衰するため、完全に電流をゼロにするまで長時間を要する。
これに対して、本実施形態では、超電導コイル105に流す電流を磁石電源106で常に制御するドリブンモード運転であることを利用し、上述のステップ604,703において一定の電流低減率で電流を低減している。このため、図8(b)に示すように、定電流制御ユニット304で消費されるエネルギーは一定の割合で低減するため、超電導コイル105に生じる電磁力ストレスも少なく、再励磁の際にクエンチを生じにくい。また、低電流制御ユニット304のトランジスターとして小型のものを用いることができ、冷却システムも小型のものでよいため、装置を小型できる。さらに、一定時間内に完全に電流をゼロにすることができるというメリットもある。
<冷凍機の運転再開時の超電導磁石の再励磁>
図9は、冷凍機108の運転再開時の超電導磁石の運転方法を説明するフローである。
停電やシステム障害で冷凍機が停止した場合、これらの停止原因が取り除かれたときは、冷凍機108は自動的に運転を再開するように構成されている。また、停電やシステム障害でMRI検査は中断しているため、可能な限り短時間でMRI検査を再開することが望まれる。本実施形態のMRI装置は、冷凍機108が停止している間に、超電導コイル105の電流を図6または図7の運転方法により超電導磁石103の外で消費してゼロにしているため、超電導コイル105は発熱しておらず、温度は大きく上昇していない。よって、冷凍機の運転が再開されると、図9のフローにより、自動的に最短時間で超電導磁石103を冷凍機108の停止前の状態に戻し、MRI検査可能な状態にすることができる。
具体的には、コンピュータ115は、図6や図7のフローで説明したように磁石電源106の出力電流をゼロにした後、冷凍機108の運転再開のステータス信号を待つ待機モードに入る(ステップ801)。冷凍機108の運転再開の信号を受け取ると、コンピュータ115は、超電導磁石103内の複数の温度センサー212の出力信号より、超電導コイル105の各部の温度を計測する(ステップ802)。そして、各部位の温度が予め定めた値の範囲に入っているかを判定し(ステップ803)、1以上の部位の温度が予め定めた温度範囲から外れている場合には、冷凍機108による冷却が十分ではないため、ステップ802に戻り、超電導コイル105の温度を再度計測する。
各部位の温度がすべて予め定めた温度範囲内に入った場合には、ステップ406に進み、磁石電源106の出力電流を、5アンペア/分の増分で増加させながら、超電導コイル105の温度計測と温度判定を継続して実施し(ステップ406〜409)、超電導コイル105の電流値が冷凍機108の停止前の値になるまで電流値を増加させる(ステップ807)。そして、磁石電源106の電流値を保持する(ステップ415)。これにより、超電導コイル105の電流値を冷凍機108の停止前の状態に戻すことができる。
なお、これらのステップ406〜409は、図4で説明した超電導磁石の起動時のオペレーションのステップ406〜409と同様である。また、ステップ409において超電導コイル105の温度が予め定めた範囲外である場合には、図4で説明したステップ411〜413を実行し、電流をゼロまで低減するとともにディスプレイ412に温度以上を報知するメッセージを表示して報知して終了する。
このように、本実施形態のMRI装置は、コンピュータ115が冷凍機の運転が再開される電流を一定の割合で増加させながら温度を監視するため、超電導コイル105における電力損失による発熱により超電導コイル105の温度上昇を防ぎながら、最短時間で超電導磁石103を冷凍機108の停止前の状態に戻すことができる。よって、MRI検査の中断時間を可能な限り短縮できる。
103 超電導磁石、104 鉄ヨーク、105 超電導コイル、106 磁石電源、107 真空容器、108 冷凍機、115 コンピュータ、116 ディスプレイ、202 コイルボビン、211 温度センサー、302 定電流回路ユニット、303 制御回路、304 抵抗素子
また、超電導磁石103の前方には、被検体101の検査部位を撮像空間102の中心に搬入搬出するための患者テーブル118が取り付けられている。また、超電導磁石103、患者テーブル118、傾斜磁場コイル組立体109、高周波トランスミッターコイル111および高周波レシーバーコイル113は、電磁波遮蔽を施された検査室119に設置される。また、超電導磁石103、傾斜磁場コイル組立体109、高周波トランスミッターコイル111および高周波レシーバーコイル113と、磁石電源106、傾斜磁場電源110、高周波電源112および信号処理ユニット114とをそれぞれ接続する信号線は、検査室119の壁面に備えられたノイズフィルタ121を介して検査室119内に引き込まれている。これにより、コンピュータ115やその他の機器が発する電磁波が、高周波レシーバーコイル113にノイズとして混入するのを防いでいる。
具体的な例としては、冷凍機108は、20ケルビンに冷却される先端の部位206と、77ケルビンに冷却される部位207とを有し、それぞれ6ワットと65ワットの冷却能力を有するものを用いることができる。一例としては、住友重機械工業株式会社製の型式CH−208Rを用いることができる。20ケルビンに冷却される先端の部位206は、上述したように上下のコイルボビン202と熱伝導部材208により熱接触している。77ケルビンに冷却される部位207は、超電導コイル105のリード線209a,209bと熱接触している。
そして、リード線209a,209bは熱伝導部材208に沿ってコイルボビン202まで導かれる。これにより、リード線209a,209bを介して超電導コイル105に伝わる熱量が5ワット程度に最少化されて、磁石電源106を常時接続しても超電導コイルを臨界温度以下に保つことが可能となっている。リード線209a,209bは、先述の77ケルビンに冷却される部位207との熱接触を経て、真空容器107の外部の端子210a、210bに導かれる。端子210からは、ケーブル211a、211bにより磁石電源106の電流端子301a,301bに接続される。
<磁石電源106の回路構成>
次に、磁石電源106の回路構成を、図3を用いて説明する。磁石電源106は、直流電源ユニット302と、無停電電源ユニット303と、定電流制御ユニット304と、電流検出ユニット305と、基準電流設定ユニット306と、誤差増幅回路ユニット307と、冷凍機動作検出ユニット308と、温度検出ユニット309と、インタフェース回路310とを備えて構成される。
定電流制御ユニット304は、超電導コイル105に供給する電流を制御する。定電流制御ユニット304は例えば、大電流を流すことが可能なトランジスター素子で構成され、そのベース端子に誤差増幅回路ユニット307から入力される電流値によって、コレクター―エミッター間に流れる電流を制御することにより、超電導コイル105に供給する電流値を制御する。
このように、磁石電源106は、超電導コイル105に常時接続され、超電導コイルに供給する電流を制御するドリブンモードで超電導磁石103を運転する。これにより、静磁場発生時には、超電導コイル105に供給する電流値を一定に制御して、静磁場を安定させることができるとともに、停電やシステム障害等が生じた場合には、超電導コイルへの電流を停止する等が可能になり、超電導コイル105の温度上昇を防ぎ、早期に運転を再開することができる。
コンピュータ115は、温度検出ユニット309に超電導磁石103に組込まれた複数の温度センサー212の出力信号より超電導コイル105の各部の温度を計測させ、計測結果を受け取る(ステップ402)。計測結果から、各部位の温度が予め定めた値の範囲に入っているかを判定する(ステップ403)。判定が正常(予め定めた範囲内)の場合は、磁石電源106を構成する各ユニットに動作開始を指示し、ステップ404に進む。一方、判定が異常の場合は、その内容をディスプレイ116に表示して終了する(ステップ405)。
ステップ409における温度判定が正常(予め定めた範囲内)の場合は、コンピュータ115は、電流検出ユニット305から、超電導コイル105に供給している電流値を受け取り、これが定格160アンペアに達しているかどうかを判定する(ステップ414)。160アンペアに達していない場合には、ステップ406に戻り、磁石電源106の出力電流増加の動作を継続する。これにより、超電導コイル105に供給される電流が160アンペアに達するまで、5アンペア/分の増加率で増加する。ステップ414で160アンペアに達した場合には、160Aの電流値を維持するように基準電流設定ユニット306の基準電圧を保持する(ステップ415)。これにより、超電導磁石103の起動開始からおおよそ32分後に、超電導コイル105への供給電流を160アンペアまで到達させ、保持することができる。超電導磁石の励磁が終了し、撮像空間102に0.5テスラの安定した静磁場を発生させることができる。
このため、超電導コイル105が臨界温度に達するまでの時間を把握し、その時間内に超電導コイル105に流れている電流を消費する必要があるが、本実施形態では、(1)コイルボビン202に組込んだ温度センサー212の出力をモニターし、温度変化率から臨界温度到達時間を推定する方法(図6)、または、(2)超電導コイル105を組み込んだ真空容器107の熱容量と熱侵入量で決まる熱時定数から、冷凍機108の停止から臨界温度に達する時間を予め求めておく方法(図7)のいずれかの方法を用いる。
上述のように図6のステップ604および図7のステップ703では、一定の電流低減率で電流を低減することにより、定電流制御ユニット304に備えられている冷却装置を小型化できることについてすでに述べたが、これについてさらに詳しく説明する。
これに対して、本実施形態では、超電導コイル105に流す電流を磁石電源106で常に制御するドリブンモード運転であることを利用し、上述のステップ604,703において一定の電流低減率で電流を低減している。このため、図8(b)に示すように、定電流制御ユニット304で消費されるエネルギーは一定の割合で低減するため、超電導コイル105に生じる電磁力ストレスも少なく、再励磁の際にクエンチを生じにくい。また、定電流制御ユニット304のトランジスターとして小型のものを用いることができ、冷却システムも小型のものでよいため、装置を小型できる。さらに、一定時間内に完全に電流をゼロにすることができるというメリットもある。
103 超電導磁石、104 鉄ヨーク、105 超電導コイル、106 磁石電源、107 真空容器、108 冷凍機、115 コンピュータ、116 ディスプレイ、202 コイルボビン、212 温度センサー、302 定電流回路ユニット、303 制御回路、304 抵抗素子

Claims (19)

  1. 静磁場を発生する超電導磁石と、前記超電導磁石が発生する静磁場空間に配設された被検体から核磁気共鳴信号を検出する検出部と、前記核磁気共鳴信号より前記被検体の画像を構成する画像構成部とを有し、
    前記超電導磁石は、超電導コイルと、冷凍機と、当該冷凍機の冷却された部位を前記超電導コイルに接続して前記超電導コイルを冷却する熱伝導部材と、少なくとも前記検出部が前記核磁気共鳴信号を検出している間、前記超電導コイルに電流を供給して前記超電導コイルに流れる電流を維持する電源部とを備え、
    前記電源部は、当該電源部への外部からの電力供給状態、前記冷凍機の動作状態、前記超電導コイルの温度、前記静磁場強度、前記超電導コイルに流れる電流値、および、前記検出部の検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、前記超電導コイルに供給する電流を制御する制御部を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記電源部への外部からの電力供給の停止、前記冷凍機の動作の停止、および、前記超電導コイルの温度が予め定めた温度よりも上昇した状態、のうち少なくとも一つが生じた場合、前記超電導コイルへの電流の供給を停止することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記超電導コイルへの電流を停止する際に、予め定めた値以下の低減率で電流を低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記冷凍機の動作が停止した場合、前記超電導コイルの温度が予め定めた温度より上昇する時間を予測し、前記予測した時間に達するまでの間に、前記超電導コイルへの供給電流がゼロになる低減率で前記電流を低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記冷凍機の動作が停止した場合、予め定めた時間が経過するまで待機した後、前記超電導コイルへの供給電流を所定の低減率で低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記電源部への外部からの電力供給の開始、および、前記冷凍機の動作の開始がなされた場合であって、前記超電導コイルの温度が予め定めた温度以下に達したならば、前記超電導コイルへの電流の供給を開始することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、全ての被検体の核磁気共鳴信号の検出が終了した場合、前記超電導コイルへの電流の供給を停止することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記超電導コイルへの電流を停止する際に、予め定めた値以下の低減率で電流を低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  9. 請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、操作者から指示があった場合、または、予め定めた時刻になった場合、前記超電導コイルの温度が予め定めた温度以下ならば、前記超電導コイルへの電流の供給を開始することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  10. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記電源部への外部からの電力供給の開始、および、前記冷凍機の動作の開始がなされた場合であって、前記超電導コイルの温度が予め定めた温度以下に達したならば、前記超電導コイルへの電流の供給を開始することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  11. 請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記超電導コイルの電流値を予め定めた割合で上昇させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  12. 請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記超電導コイルへの電流供給の開始後、予め定めた時間間隔で前記超電導コイルの温度が予め設定された値以下であることを判定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  13. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導コイルは、開ループであり、両端に前記電源部が接続され、
    前記電源部は、前記超電導コイルに流れる電流値を変化させる電流値制御ユニットを含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  14. 請求項13に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記電源部は、前記電流値制御ユニットによって、所定の割合で前記超電導コイルに供給する電流の増加または低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  15. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御部は、前記静磁場強度、前記超電導コイルに流れる電流値、および、前記検出部が検出した核磁気共鳴信号のうちの少なくとも一つが、予め定めた範囲から外れている場合、前記超電導コイルに供給する電流値を調節することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  16. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導コイルは、開ループであり、両端に前記電源部が接続され、
    前記電源部は、抵抗素子を含み、当該抵抗素子で電流を消費することにより、前記超電導コイルに供給する電流を低減させることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  17. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記冷凍機により冷却された前記超電導コイルの温度は、Heの沸点よりも高いことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  18. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記超電導磁石は、前記超電導コイルの温度を検出する温度センサーを含み、前記制御部は、前記超電導コイルの温度を前記温度センサーの出力から取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  19. 静磁場を発生する超電導磁石と、前記超電導磁石が発生する静磁場空間に配設された被検体から核磁気共鳴信号を検出する検出部と、前記核磁気共鳴信号より前記被検体の画像を構成する画像構成部とを有し、前記超電導磁石は、超電導コイルと、冷凍機と、当該冷凍機の冷却されたコールドヘッドを前記超電導コイルに熱的に接続する熱伝導部材と、前記検出部が前記核磁気共鳴信号を検出している間に前記超電導コイルに電流を供給し、前記超電導コイルに流れる電流を維持する電源部とを備える磁気共鳴イメージング装置の運転方法であって、
    前記電源部への外部からの電力供給状態、前記冷凍機の動作状態、前記超電導コイルの温度、前記静磁場強度、前記超電導コイルに流れる電流値、および、前記検出部が検出した核磁気共鳴信号のうち、少なくとも一つの情報に基づいて、前記電源から前記超電導コイルに供給する電流を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の運転方法。
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