JP2010271270A - ヒト心筋組織由来の脂肪酸結合蛋白の測定試薬 - Google Patents

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宗弘 藤澤
Keiichi Kanbara
敬一 神原
Takeyoshi Kusayanagi
竹義 草柳
Naoki Higashide
直樹 東出
Yoko Desaki
容子 出崎
Miwa Osako
美和 大迫
Tomoe Inai
智栄 稲井
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宗駿 藤澤
Shunsuke Morita
俊介 盛田
Yuko Okuda
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Abstract

【課題】 少量の試料を使用してヒト心筋組織由来の脂肪酸結合蛋白(以下、H-FABP)を迅速的且つ高感度に精度よく定量することが出来る測定試薬を提供する。ラテックス粒子に感作させた抗体と、試料中に存在する抗原(H-FABP)を抗原抗体反応させることで、ラテックス粒子が凝集反応を起こすことを利用した方法(以下、LA法)で測定する試薬。本測定試薬は、試料が少量で済むことや、独自の非特異反応抑制剤を使用すること等によりLA法でよく見受けられる非特異反応を回避でき、精度よく定量できる。また、自動分析機を用いることで迅速的に精度よく定量できるため、従来のH-FABP測定法より優れ、急性心筋梗塞(以下AMI)の判定に貢献できる。
【解決手段】 生体中のH-FABPを迅速的且つ高感度に精度よく定量しAMIを診断する、少なくとも抗体を感作または担持させた不溶性担体と緩衝液から成る試薬。
【選択図】 なし

Description

本発明は、H-FABPの測定に係り、さらに詳しくは、被測定物質を迅速的且つ高感度に精度よく定量できる凝集反応または抗原抗体反応の測定試薬に関する。
市販されている定性試薬は陰性か陽性かを判定するもので、その判定には判定ラインを目視により確認するため測定者の技量が問われるものである。
一方、定量試薬として酵素免疫測定法(ELISA法)が市販されているが、結果が得られるまでに数時間を要し、急性心筋梗塞の疑いがある患者を診断するには時間がかかり過ぎていた。しかも、前者の定性試薬は試料を150μLも必要とし、後者の定量試薬は試料を70μLも必要とする。従って、従来の技術ではH-FABPを少量の試料で、迅速的且つ高感度に精度よく定量できる試薬は存在していない。
本発明の目的は、血清または血漿検体などの生体試料中に含まれるH-FABPを少量の試料(1〜10μL、汎用自動分析機では概して2〜5μL)で迅速的且つ高感度に測定者の技量を問わず精度よく定量できる試薬を提供することにある。その結果、AMIの診断に貢献できる。
前記目的はH-FABPに特異的に反応する抗体価の高い抗体を用いた不溶性担体に固定した当該抗体感作試薬によってH-FABPを高感度に測定することが達成される。本試薬とそれを測り込む自動分析機によって、迅速的に精度よく定量できる。
本発明は、生体中のH-FABPを迅速的且つ高感度に精度よく定量しAMIを診断する、少なくとも抗体を感作または担持させた不溶性担体と緩衝液から成る試薬を要旨とするものであり、本発明に使用している抗体は細胞融合法により作製されたハイブリドーマの産するモノクロ−ナル抗体である。本発明の好ましい抗体はヒトH-FABPと特異的に反応するモノクローナル抗体である。本発明のモノクロ−ナル抗体を用いたH-FABPの測定方法は、抗原と抗体との凝集反応、抗原抗体反応、本発明のモノクロ−ナル抗体に不溶性担体を感作又は担持させて被測定物質との凝集反応、抗原抗体反応の測定を実施するものである。そして、前記凝集反応、抗原抗体反応の測定を、その測定が終了するまで攪拌又は揺動下のもとで実施してもよい。本発明の凝集反応、抗原抗体反応の測定方法によって行われる測定・検出方法としては、特に限定されず、凝集反応又は抗原抗体反応を利用して測定する様々な方法が可能であり、免疫比濁法(TIA)、化学発光法(CLA)、放射免疫測定法(RIA)、LA法等が利用される。特に、汎用自動分析機で測定できるLA法が好適に用いられる。
以上詳述した如く、本発明によると次のような効果を奏する。本発明の試薬によりAMIの疑いのある血清あるいは血漿検体などの生体試料中のH-FABPを迅速的且つ高感度に精度よく測定することによってAMIを早期に診断する試薬を提供することができる。AMIの診断において、診断されるまでの時間が短いほど、その後の治療において予後がよいことが知られており、その要因の主となる測定時間が短縮されることが有用であることは勿論のことであるが、抗原抗体反応においてよく見受けられる非特異反応が本試薬は回避されているため精度よく測れる点も非常に有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1ハイブリドーマの作製:ヒト由来精製H-FABPを等量のフロイド完全アジュバンドと乳化するまで混合し、その混合液100μLをBALB/c系マウス腹腔内に投与することにより免疫を行った。約30日経過後、ヒトH-FABPを等量の生理食塩液で希釈して調製したヒトH-FABP液100μLを、前記のマウスに投与し、3日後、脾臓を無菌的にマウスから取り出し、次の細胞融合工程に用いた。細胞融合:15%ウシ胎児血清を含むDulbecco´s Modified Eagle(DME)培地5mLを入れたペトリ皿に前記の脾臓を入れた。次に無血清DME培地12mLで前記脾臓より還流法で脾細胞を流出し50mLの遠心管に集める。遠心後、上清を捨て、無血清DMEに懸濁し、脾細胞数を数えた。一方、予め培養しておいたマウスミエロ−マ細胞SP2/Oの約2×107個に前記脾細胞1×108個を加え、遠心分離した。その上清を捨て、ペレットに50%ポリエチレングリコ−ル1500溶液(37℃に保温)1.0mLを加え良く混合する。次に、37℃に保温しておいたDME培地を10mL加え、遠心分離する。上清を除去後、ペレットを10%ウシ胎児血清を含むHAT培地(DME培地にアミノプテリン4×10-7M,チミジン1.6×10-5M,ヒボキサンチン1×10-4Mになるように添加したもの)で懸濁した。HAT培地20mLに懸濁した細胞懸濁液を96穴細胞培養プレ−トの各ウェルに200μLずつ分注し、5%CO2A含むCO2培養器で培養し、10日後に後述のELISA法により、抗H-FABP抗体産生ハイブリド−マをスクリ−ニングした。スクリーニングされたハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマとした。
ハイブリド−マの確立:ハイブリド−マ培養液の上清中の抗体の有無は、ELISA法により測定した。96穴ELISA用プレ−ト(住友化学)の各ウェルに前記のヒトH-FABP溶液(A280nm=0.3)100μLずつ分注し、4℃で16時間放置した。次に、0.01%ウシ血清アルブミン(BSA)−生理食塩液で3回洗浄した後、各ウェルに培養上清100μLを加え、25℃で1時間反応させた。次に、Tween80−生理食塩液で1000倍に希釈したペルオキシダ−ゼ結合抗マウス抗体(DAKO社、デンマ−ク)100μLを各ウェルに加えた。反応終了後、0.01%BSA−生理食塩液で各ウェルを3回洗浄し、ペルオキシダ−ゼの基質を加え発色を確認し、抗体価の高いハイブリドーマを数種類確立した。その中でも、Clone#2B8(以下HF2B8)とClone#4D1(以下HF4D1)の2種を使用した。
実施例2モノクローナル抗体の製造:プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)0.5mLをBALB/c系雄マウスの腹腔内に投与し、それからマウスの腹腔内にハイブリド−マをマウス一匹当たり細胞数、2×106個になるように接種した。一匹のマウスから約5〜12mLの腹水が得られた。その抗体濃度は5〜10mg/mLであった。腹水中モノクロ−ナル抗体の精製は、プロテインAセファロ−ス4Bカラム(Pharmacia,スウェ−デン)により行なった。最終的にはIgGまたはF(ab’)2
凍結乾燥品として精製し、後述の試薬製造に使用する。
実施例3モノクローナル抗体のIsotype及び特異性の同定は、それぞれイムノブロッティング法及びELISA法により行った。IsotypeはHF2B8とHF4D1は両者ともIgG1(κ)であった。また、HF2B8およびHF4D1の特異性および抗体価は表1に示すとおりであった。
Figure 2010271270
*抗体価は一定のH-FABP 抗原に対して吸光度を読み与える最低の希釈度とする
実施例4ラテックス試薬安定化液(以下R1)の製造:0.2Mトリス-塩酸緩衝液(pH8.0)に独自に開発した非特異反応抑制剤を0.4mg/mL添加し、R1を得た。
実施例5不溶性担体に固定した当該抗体感作試薬(以下R2)の製造:モノクローナル抗体F(ab’)2 分画(1mg/mL)を含む溶液5mLと、ラテックス溶液(2%、日本合成ゴム社:212nm)5mLとを混合し約1時間強く攪拌した。遠心後、ペレットをBSA溶液(2mg/mL)に懸濁して、約1時間強く攪拌し、R2を得た。
実施例6分光学的の方法によるH-FABPの定量:実施例4および5で調製したR1とR2を用いて、H-FABPとの凝集反応を自動分析機で測定した。その場合、波長は400〜900nmまで選択可能である。例えば波長700nmにおける測定結果は表2の如く、H-FABP濃度0〜160ng/mLまで測定可能であった。
Figure 2010271270
実施例7健常者における測定値:本試薬を用いて健常者の血清を測定した結果、表3に示すような結果となった。本試薬における参考正常値は0〜5.0ng/mL
であった。
Figure 2010271270
実施例8心筋梗塞を発症していないリウマトイド因子(以下RF)含有血清を倍々希釈し、測定値に各々希釈倍率を乗じた換算値が一致するか否かによりRFによる非特異反応の有無を確認したところRF濃度が6000IU/mLでも干渉を回避できる結果であった。表4に本試薬と、一般に市販されているH-FABP抗体で一般的なラテックス試薬作製法から得た試薬とを比較した。
Figure 2010271270

Claims (5)

  1. 生体中のH-FABPを迅速的且つ高感度に精度よく定量しAMIを診断する、少なくとも抗体を感作または担持させた不溶性担体と緩衝液から成る試薬。
  2. 測定方法が免疫学的凝集反応である請求項1記載の試薬。
  3. 免疫学的凝集反応が、ラテックス凝集反応である請求項2記載の試薬。
  4. 免疫学的凝集反応がモノクローナル抗体を用いる請求項2記載の試薬。
  5. 分光学的に測定する、請求項3記載の試薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102788880A (zh) * 2012-08-16 2012-11-21 北京恩济和生物科技有限公司 一种心型脂肪酸结合蛋白检测试剂盒及其制备方法

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