JP2010269489A - サーマルヘッド、サーマルヘッドの製造方法、及び熱転写プリンタ - Google Patents

サーマルヘッド、サーマルヘッドの製造方法、及び熱転写プリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】放熱性に優れ、尾引き現象の発生を効果的に防止することができるとともに、熱容量が小さく省電力化をも図ることが可能なサーマルヘッドを提供する。
【解決手段】絶縁性のセラミック層61と、発熱部623を有する発熱層62と、セラミック層61と発熱層62との間に形成した蓄熱層63とを積層状に備えたサーマルヘッド6において、蓄熱層63を、発熱層62側に形成された第一蓄熱層631と、セラミック層61側に形成され第一蓄熱層631よりも熱容量が大きく且つ熱伝導率が高い第二蓄熱層632とによって構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、主としてサーマルヘッドに関するものである。
従来より、サーマルヘッドでインクリボンに熱を加えて昇華させたり或いは溶融させてインクを印刷対象物(用紙)に熱転写させる熱転写プリンタが知られている。このような熱転写プリンタに適用されるサーマルヘッドは、通常、セラミック基板(セラミック層)の上にガラスペーストを主材料とする蓄熱層(グレーズ層、保温層、或いはガラス層とも称される)を形成し、この蓄熱層の表面(上面)に発熱部を有する発熱層を形成した積層状をなすものである(特許文献1及び2参照)。
特開2007−185830号公報 特許3616809号公報
このような構造をなすサーマルヘッドを適用した熱転写プリンタで高速印刷を行った際に、蓄熱層が所定温度まで冷却されない間にインクリボンや印刷対象物(用紙)がサーマルヘッドの発熱層に接した状態で搬送されると、インクリボンの不要なインクが印刷対象物に熱転写されて印刷した画像(文字や線、図形も含む)の一部が滲むいわゆる「尾引き現象」や印字潰れ等の印刷不良が発生する可能性がある。
そこで、放熱性に優れた蓄熱層を形成するために、蓄熱層の材料であるガラスペーストの量を少なくする態様が考えられる。しかしながら、このような態様では、ガラスペーストを高温で熱焼成する際に、ガラスペーストが溶解して、蓄熱層の高さ寸法が小さく(薄く)なる。その結果、蓄熱層による熱エネルギーの蓄熱量が低下し、発熱部から発生した熱エネルギーがこの蓄熱層からセラミック層を介して放熱されることから、発熱部の温度が下がり易く、また、蓄熱層に円弧状の突出部を形成する態様においては、熱焼成時に蓄熱層の円弧状の突出部が低くなることから、プラテンローラとサーマルヘッドとの接触圧が低下し、発熱部から発生した熱エネルギーがインクリボンに効率良く伝達されず、転写され難くなることより、熱転写プリントを成立させるために必要な所定温度まで発熱部の温度を上げる際の消費電力が増大したり、必要電源の容量アップによりコストが高くなるという問題が生じる。また、放熱性を向上させるために蓄熱層を薄く設定した場合には、セラミック層の表面(上面)における微少な凹凸を蓄熱層全体で吸収することができず、蓄熱層の表面(上面)にも微少な凹凸が生じ、その結果、発熱層を構成する薄膜状の電極膜が断線し、熱転写プリント時に適切に印刷されない部分が発生するいわゆる白抜け等の問題が生じる。
また、特開2007−245665号公報には、セラミック層を用いず、蓄熱層の高さ寸法を十分大きく取り、蓄熱層のうち発熱部の直下に蓄熱層よりも熱伝導率が低い空気層を形成すべく空隙部(溝部)を設けた態様が開示されている。しかしながら、同文献に開示されている態様は、蓄熱層の高さ寸法を大きく設定しているため、空隙部(溝部)を形成した発熱部の直下付近については熱容量が小さくなるものの、空隙部が形成されていない部分は蓄熱層の高さ寸法は大きい(分厚い)ため、放熱性が悪く、尾引き現象が生じるおそれがある。
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、尾引き現象の発生を効果的に防止することができるサーマルヘッドを提供することにある。
すなわち本発明のサーマルヘッドは、絶縁性のセラミック層と、発熱部を有する発熱層と、セラミック層と発熱層との間に形成した蓄熱層とを積層状に備えたものであり、蓄熱層を、発熱層側に形成された第一蓄熱層と、セラミック層側に形成され第一蓄熱層よりも熱容量が大きく且つ熱伝導率が高い第二蓄熱層とによって構成していることを特徴とする。
このように、本発明に係るサーマルヘッドは、蓄熱層を発熱層側に形成した第一蓄熱層と、セラミック層側に形成した第二蓄熱層とに二層化し、第二蓄熱層を、第一蓄熱層よりも熱伝導率を高く設定しているため、蓄熱層を薄く形成した場合とほぼ同様の利点、すなわち、放熱性が良く、熱応答性が高い(定常状態(温度の時間による変化はあるがその変化速度が略一定であるような状態)へ至るまでの速さが速い)が得られるという利点を得ることができる。そして、放熱性が向上することにより、尾引き現象の発生を防止することができる。さらに、本発明に係るサーマルヘッドは、蓄熱層を二層化することにより放熱性の向上を実現できることから、放熱性を向上させるために蓄熱層を薄く形成する必要がないため、蓄熱層を薄く形成した場合に生じる問題、すなわち、セラミック層の表面(上面)における微少な凹凸を蓄熱層の厚みで吸収することができず蓄熱層の表面(上面)にも微少な凹凸が生じ、発熱層を構成する薄膜状の電極膜が断線し、熱転写プリント時に適切に印刷されない部分が発生するいわゆる白抜け等の問題を解消することができる。さらに、第一蓄熱層を第二蓄熱層よりも熱容量を小さく且つ熱伝導率を低く設定しているため、この第一蓄熱層が蓄熱層本来の機能、すなわち、適切な蓄熱性を発揮し、この第一蓄熱層に蓄熱された熱により、発熱部の温度が急激に下がることを防止して、省電力で発熱部を熱転写プリントを成立させるための所定の温度まで発熱させることができる。
特に、本発明のサーマルヘッドでは、第一蓄熱層及び第二蓄熱層を共通の基材から形成すれば、製造コストの削減を有効に図ることができる。
さらに、第一蓄熱層及び第二蓄熱層の基材を共通とする態様として、第一蓄熱層をガラスから形成するとともに、前記第二蓄熱層をガラスを基材として導電性金属を含有させて形成すれば、熱容量及び熱伝導率の異なる第一蓄熱層及び第二蓄熱層を簡単に形成することができる。特に、比較的融点の高いガラスが好適である。
また、プラテンローラに対する接触圧を高くし、発熱部から発生した熱エネルギーがインクリボンに適切に印加できるようにするために、プラテンローラ側に突出させた断面略半円弧状をなす蓄熱層を形成し、この蓄熱層の頂部近傍に発熱部を形成したサーマルヘッドが知られている。このようなサーマルヘッドを製造する方法として、前掲の特許文献1には、例えばセラミック層(セラミック基板)上に蓄熱層を形成する際のベースとなり得る概略台形状の突部を切削加工等により積極的に設け、この台形状の突部の上面に、所定の高さ寸法(厚み)、幅寸法(裾野寸法)及び曲率半径を有する蓄熱層を形成する態様が開示されている。このような態様であれば、蓄熱層を形成する際に、ガラスペーストを熱焼成しても溶解したガラスペーストの表面張力により、形成される蓄熱層の幅寸法が蓄熱層形成部の幅寸法以上に広がることを防止し、蓄熱層の幅寸法(裾野寸法)及び高さ寸法を所望の寸法に形成することができる。しかしながら、このような態様は、セラミック層(セラミック基板)の上面に概略台形状の突部を切削加工等により積極的に設ける必要があり、さらに、各突部の上面に個別に蓄熱層を形成しなければならず、生産性が悪く、製造コストの低廉化を図ることができないという問題があった。
そこで、本発明のサーマルヘッドの製造方法は、セラミック層を構成するセラミック基板における平滑ないし略平滑な上面全体に第二蓄熱層を構成するペースト状の材料を塗布乾燥させて第二蓄熱層を形成する第二蓄熱層形成工程と、第二蓄熱層の上面に第一蓄熱層を構成するペースト状の材料を塗布乾燥させて第一蓄熱層を形成する第一蓄熱層形成工程と、第一蓄熱層及び第二蓄熱層が一体化され且つ均一ないし略均一な厚みを有する蓄熱層の一部を除去してセラミック層とは反対側に断面略部分円弧状をなして突出する突出部を形成する突出部形成工程と、突出部の頂部に発熱部が位置付けられるように蓄熱層の上面に発熱層を形成する発熱層形成工程とを経ることを特徴としている。
このような製造方法によって得られるサーマルヘッドは、蓄熱層を二層化したことによる上述した各種作用効果を奏するものになるとともに、このようなサーマルヘッドの製造方法であれば、セラミック層(セラミック基板)上に蓄熱層を形成する際のベースとなり得る概略台形状の突部を切削加工等により積極的に設ける必要がなく、さらに、概略台形状をなす突部の上面に個別に蓄熱層を形成する手間を省くことができ、生産性の向上及び製作コストの削減を図ることができる。
また、本発明に係る熱転写プリンタは、上述した作用効果を発揮し得るサーマルヘッドによってインクリボンを用紙に押し当てて加熱することにより印刷対象物にプリント処理を行うプリント部を備えていることを特徴とするものであり、上記したような本発明のサーマルヘッドを適用することによる作用効果を得ることができるものである。
本発明によれば、蓄熱層を二層化するという斬新な技術的思想を採用することにより、尾引き現象の発生を効果的に防止することができるサーマルヘッドを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る熱転写プリンタの概略構成図。 同実施形態に係るサーマルヘッドの断面模式図。 同実施形態において製造過程中のサーマルヘッドの断面模式図。 同実施形態において製造過程中のサーマルヘッドの断面模式図。 同実施形態において製造過程中のサーマルヘッドの断面模式図。 同実施形態において製造過程中のサーマルヘッドの断面模式図。 同実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法の工程図。 同実施形態に係るサーマルヘッドの一変形例を図2に対応して示す図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、図1に示すように、印刷対象物たる用紙Sに対してプリント処理を行うものである。この熱転写プリンタ1は、給紙部2と、用紙搬送機構3と、用紙Sに対して熱転写プリント処理を施すプリント部4と、排紙部(具体的には図示しない排紙口)とを備えたものである。
給紙部2は、ロール状に巻回した用紙Sを収容し得るものである。本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、この給紙部2にロール状に収容された用紙Sを、給紙部2と排紙口との間に形成される搬送経路に沿って搬送する用紙搬送機構3を備えている。
用紙搬送機構3は、給紙部2側から排紙口側に向かって順に配置された第1フィードローラ31と第1ピンチローラ32との組、第2フィードローラ33と第2ピンチローラ34との組を用いて構成したものである。また、本実施形態の熱転写プリンタ1は、第2フィードローラ33と第2ピンチローラ34との組と排紙部との間に用紙Sを切断するカッター部5を設けている。
プリント部4は、サーマルヘッド6と、このサーマルヘッド6と対向する位置に配置されたプラテンローラ7と、インクリボン8と、インクリボン8をサーマルヘッド6とプラテンローラ7との間に搬送するインクリボン搬送機構9と、サーマルヘッド6の作動等を制御するプリント制御部(図示省略)とを備えたものである。本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、このサーマルヘッド6の構造に特徴を有するものである。サーマルヘッド6の詳細については後述する。
プラテンローラ7は、サーマルヘッド6との間で用紙Sを挟み得るものであり、正逆方向に回転可能なものであり、回転しながら用紙Sを下流側又は上流側へ適宜搬送する機能を有する。したがって、このプラテンローラ7は前述した用紙搬送機構3の機能の一部を担っている。
インクリボン8は、長尺なベースフィルムに例えばイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクを塗布したものである。ベースフィルムに塗布されるイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクは、熱によって昇華する染料を用いて形成されたものである。
インクリボン搬送機構9は、未使用のインクリボン8(ベースフィルムにインクが塗布されたもの)を巻回している供給側リボンコア91と、使用済みのインクリボン8(ベースフィルムからインクの一部又は全部が剥離されたもの)を巻き取る巻取側リボンコア92と、供給側リボンコア91から巻き出したインクリボン8をサーマルヘッド6側に案内する供給側リボンガイド93と、サーマルヘッド6を通過した後に用紙Sから剥離したインクリボン8を巻取側リボンコア92側に案内する巻取側リボンガイド94とを備えたものである。供給側リボンコア91及び供給側リボンガイド93はサーマルヘッド6よりも下流側(排紙部側)に配置され、巻取側リボンコア92及び巻取側リボンガイド94はサーマルヘッド6よりも上流側(給紙部2側)に配置される。したがって、供給側リボンコア91に巻回したインクリボン8は、供給側リボンガイド93及び巻取側リボンガイド94により、サーマルヘッド6側に巻き出されて昇華プリント処理に供された後、巻取側リボンコア92に順次巻き取られる。本実施形態では、インクリボン8及びインクリボン搬送機構9をユニット化し、サーマルヘッド6やプラテンローラ7に対して着脱可能に構成している。
次に、サーマルヘッド6について詳述する。本実施形態の熱転写プリンタ1におけるサーマルヘッド6は、図2に示すように、絶縁性のセラミック基板を主体としてなるセラミック層61と、頂部に発熱部623を有する発熱層62と、セラミック層61と発熱層62との間に形成した蓄熱層63とを備えた積層状をなすものである。
セラミック層61は、例えばアルミナ(Al)から形成した基板(セラミック基板)を主体として構成され、ヒートシンク層67の上面に接着剤層66を介して設けられるものである。
発熱層62は、発熱抵抗体621と、発熱抵抗体621を発熱させる一対の電極膜622とを備え、発熱抵抗体621のうち一対の電極膜622同士の間において露出する部分を発熱部623として機能させるものである。なお、発熱層62は、発熱抵抗体621及び電極膜622を保護する保護膜624を有する。
蓄熱層63は、発熱層62側に形成される第一蓄熱層631と、セラミック層61側に形成される第二蓄熱層632とを一体に形成した二層状をなすものである。第一蓄熱層631は、ガラスから形成されたいわばガラス層である。第二蓄熱層632は、ガラスを基材として導電性金属を含有させて形成された層である。したがって、第二蓄熱層632は、第一蓄熱層631よりも高い熱導電性を有し、熱容量も大きい層となる。なお、導電性金属としては、銅、銀、銅銀合金、又はその他の導電性を有する金属類、若しくはアルミナフィラー等の金属酸化物等が挙げられ、粉末又は砕片の態様で用いることができる。
本実施形態では、プラテンローラ7に対するサーマルヘッド6の接触圧を高くして、発熱部623から発生した熱エネルギーがインクリボン8に適切に印加されるようにするために、蓄熱層63に、断面略部分円弧状をなしてセラミック層61とは反対側(プラテンローラ7側)に突出させた突出部63Tを設け、この突出部63Tの頂部に発熱部623を配置したサーマルヘッド6を適用している。
次に、本実施形態に係るサーマルヘッド6の製造方法について説明する。
先ず、図3に示すように、セラミック層61を構成するセラミック基板の上面に第二蓄熱層632を構成するペースト状の材料632P(本実施形態ではガラスペーストに導電性金属を含有させたもの)をスクリーン印刷により塗布して乾燥させる作業を複数回繰り返して所定の高さ寸法(厚み)を有する第二蓄熱層632を形成する(第二蓄熱層形成工程;S1(図7参照))。次いで、図4に示すように、第二蓄熱層632の上面に第一蓄熱層631を構成するペースト状の材料631P(本実施形態ではガラスペースト)をスクリーン印刷により塗布して乾燥させる作業を複数回繰り返して所定の高さ寸法(厚み)を有する第一蓄熱層631を形成する(第一蓄熱層形成工程;S2(図7参照))。なお、第二蓄熱層632を構成するペースト状の材料632P、第一蓄熱層631を構成するペースト状の材料631Pをスクリーン印刷により塗布して乾燥させる作業はそれぞれ一回ずつであっても構わない。そして、図5に示すように、焼成処理により第一蓄熱層631及び第二蓄熱層632を一体化し均一ないし略均一な厚み(高さ寸法)を有する蓄熱層63Aを形成する(等厚蓄熱層形成工程;S3(図7参照))。この時点で、セラミック基板(セラミック層61)の上面全体に、下層と上層とでそれぞれ熱容量及び熱伝導率が異なる二層状をなし且つ全体として均一ないし略均一な厚みを有する蓄熱層63A(全面グレーズ層とも称される)が形成される。なお、第二蓄熱層632を構成するペースト状の材料632Pとして、第一蓄熱層631を構成するペースト状の材料631Pよりも融点が高いものを採用した場合には、セラミック基板の上面に第二蓄熱層632を構成するペースト状の材料632Pをスクリーン印刷により塗布して乾燥させた後に焼成処理を施すことによって第二蓄熱層632を形成し、引き続いて第二蓄熱層632の上面に第一蓄熱層631を構成するペースト状の材料631Pをスクリーン印刷により塗布して乾燥させた後に焼成処理を施すことによって第一蓄熱層631を形成するようにしてもよい。この場合、焼成処理を施して第一蓄熱層631を第二蓄熱層632の上面に形成することにより、第一蓄熱層631及び第二蓄熱層632が一体化され且つ均一ないし略均一な厚み(高さ寸法)を有する蓄熱層63Aを形成することができる。
本実施形態では、前述した通りプラテンローラ7側に突出させた断面略部分円弧状をなす突出部63Tを有する蓄熱層63を採用している。したがって、焼成工程の後に、均一な厚みの蓄熱層63A(全面グレーズ層)の一部を研削処理或いはエッチング処理により除去して断面略部分円弧状の突出部63T(図6参照)を形成する(突出部形成工程;S4(図7参照))。引き続いて、再び焼成処理を行い、図6に示すように、セラミック層61の上面に所望の高さ寸法(厚み)及び曲率半径を有する突出部63Tを一体的に設けた蓄熱層63を形成する(蓄熱層形成工程;S5(図7参照))。このように、本実施形態では、フラットなセラミック層61(セラミック基板)の上面に均一な厚みを有する蓄熱層63Aを一旦形成した後に、この等厚ないし略等厚形状をなす蓄熱層63Aの上面側からセラミック層61(セラミック基板)に到達しない深さまで(図示例では第二蓄熱層632に到達する深さまで)部分的にエッチング処理或いは研削処理することにより当該等厚ないし略等厚形状をなす蓄熱層63Aの一部を削除し、これを再焼成することによって、セラミック層61の上面に所望の高さ寸法(厚み)、幅(裾野寸法)及び曲率半径を有する断面略部分円弧状をなす突出部63Tを一体に有する蓄熱層63を形成している。
次いで、断面略部分円弧状をなす突出部63Tの頂部に発熱部623が位置付けられるように蓄熱層63の上面に発熱層62を一体的に形成する(発熱層形成工程;S6(図7参照))。引き続き、セラミック層61のうち蓄熱層63を形成した面とは反対側の面(図2における下面)に導電性の接着剤層64を介してヒートシンク層65を形成する(ヒートシンク層形成工程;S8(図7参照))。以上の手順により、二層状をなす一体の蓄熱層63及び蓄熱層63における突出部63Tの頂部近傍に発熱部623を配置したサーマルヘッド6を製造することができる。
本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、このような構成をなすサーマルヘッド6を、発熱部623を下方に向けた姿勢で当該熱転写プリンタ1内に設けている(図1参照)。そして、給紙部2に巻回されている用紙Sを第1フィードローラ31と第1ピンチローラ32との間に挟んだ状態で第1フィードローラ31の回転動作に基づいてサーマルヘッド6とプラテンローラ7との間に搬送する。そして、サーマルヘッド6とプラテンローラ7とによって、用紙Sをその厚さ方向に挟み込むようにして用紙S及びインクリボン8を所定の圧力で挟持した状態で、プラテンローラ7の回転動作に基づいてインクリボン8及び用紙Sを搬送方向に送り出す。この際、熱転写プリンタ1は、サーマルヘッド6における発熱部623の発熱作用により、昇華させたインクリボン8のインクを用紙Sに付着させ、用紙Sに画像を印刷する。
本実施形態に係るサーマルヘッド6は、蓄熱層63のうちプラテンローラ7側に突出させた断面略半円弧状をなす突出部63Tの頂部近傍に発熱部623を配置しているため、プラテンローラ7に対する接触圧を高くすることができ、発熱部623から発生した熱エネルギーをインクリボン8に適切に印加することができる。特に、本実施形態に係るサーマルヘッド6は、蓄熱層63を二層化することにより、本来の蓄熱効果を奏する第一蓄熱層631自体を薄く設定しても第二蓄熱層632により所望の蓄熱層高さを実現することができ、プラテンローラ7に対する良好な接触圧が得られる円弧状の突出部63Tを形成することができ、省電力化を図ることができる。さらに、本実施形態に係るサーマルヘッド6は、セラミック層61側に形成した第二蓄熱層632を、第一蓄熱層631よりも熱伝導率を高く設定しているため、蓄熱層全体を全て第一蓄熱層に相当する層のみから形成した態様と比較して、適切な放熱性を得られることができ、尾引き現象や印字潰れ等の印刷不良が発生することを防止できる。
なお、熱転写プリンタ1は、発熱部623による加熱と共に、巻取側リボンコア92を回転させてインクリボン8の巻き取りを行うが、この際、用紙Sに重ね合わされたインクリボン8は図示しない剥離プレートによって用紙Sから剥離されながら巻取側リボンコア92に巻き取られる。そして、プリント部4による各色インクのプリント処理が完了した用紙Sを、第2フィードローラ33及び第2ピンチローラ34によって搬送経路に沿って排出口から筐体外へ排出する。なお、プリント処理された用紙Sはカッター部5によって所定の寸法に裁断されたカット状態で排紙口から筐体外へ排出される。
このように、本実実施形態に係るサーマルヘッド6は、蓄熱層63を発熱層62側に形成した第一蓄熱層631と、セラミック層61側に形成した第二蓄熱層632とに二層化し、第二蓄熱層632を、第一蓄熱層631よりも熱伝導率を高く設定しているため、蓄熱層63を薄く形成した場合とほぼ同様の利点、すなわち、放熱性が良いという利点を享受することができる。そして、放熱性が向上することにより、尾引き現象の発生を防止することができる。また、本実施形態に係るサーマルヘッド6は、蓄熱層63を二層化することにより放熱性の向上を実現できることから、放熱性を向上させるために蓄熱層63全体を薄く形成する必要がないため、セラミック層61の表面(上面)における微少な凹凸を蓄熱層63全体の厚みで吸収することができ、蓄熱層63の表面(上面)に微少な凹凸が生じず、発熱層62を構成する電極膜622の断線を防止することができる。これにより、熱転写プリント時に適切に印刷されない部分が発生するいわゆる白抜け等の問題を解消することができる。
さらに、本実施形態に係るサーマルヘッド6は、フラットなセラミック層61(セラミック基板)の上面全体に、上層と下層とで種類の異なるペースト状(第一蓄熱層用ペースト631P、第二蓄熱層用ペースト632P)を塗布乾燥して、熱焼成することにより二層状の蓄熱層63を形成した後に、エッチング処理や切削処理を施すことにより、所定の高さ寸法(厚み)、曲率半径及び裾野寸法を有する突出部63Tを備えた蓄熱層63を形成する製造方法を採用しているため、例えばセラミック層61(セラミック基板)上に蓄熱層63を形成する際のベースとなり得る概略台形状の突部を切削加工等により積極的に設ける必要がなく、生産性の向上及び製作コストの削減を図ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、前述した実施形態では、昇華式の熱転写プリンタにサーマルヘッドを適用した態様を例示したが、溶融式など他の熱転写プリンタに上述した構造及び作用効果を奏するサーマルヘッドを適用してもよい。
また、本発明のサーマルヘッドは、図8に示すように、蓄熱層63のうち発熱部623の下方(直下)に溝部66を設け、この溝部66内を蓄熱層63よりも熱伝導率が低い空気層67として機能させることにより、発熱部623の温度が急激に下がることを防止して、省電力化を図ることができる。すなわち、発熱部623の下方(直下)に設けた溝部66内を空気層67とすることにより、この空気層67が、蓄熱層63よりも熱容量が小さく且つ熱伝導率も低いため、良好な蓄熱性を発揮し、発熱部623から発生した熱エネルギーが放熱されにくくなり、蓄熱層63(特に第一蓄熱層631)に蓄熱された熱により、省電力で発熱部623を熱転写プリントを成立させるための所定の温度(昇華式の熱転写プリンタであればインクの昇華温度)まで発熱させることができる。溝部66は、切削加工等によりセラミック層61側から形成すればよい。なお、図8は図2に対応する図であり、図2における各部と対応する部分にはそれぞれ同じ符号を付している。
上述した実施形態及び図8では、断面略部分円弧状をなす突出部を有する蓄熱層を備え、突出部の頂部近傍に発熱部を配置したサーマルヘッドを例示したが、平滑ないし略平滑な蓄熱層の表面(上面)に発熱層を形成したサーマルヘッドであってもよい。
また、蓄熱層は、相対的に第一蓄熱層が第二蓄熱層よりも熱容量が小さく且つ熱伝導率が低ければよく、各蓄熱層(第一蓄熱層、第二蓄熱層)内において熱容量及び熱伝導率を段階的に異ならせても構わない。一例としては、第二蓄熱層を導電性金属又はアルミナフィラーを含有させたガラスペーストで形成する場合に、ガラスペーストに対する導電性金属又はアルミナフィラーの含有比率(密度)を段階的に異ならせる(密度勾配を付与する)ようにすればよい。具体的には、第二蓄熱層のうち相対的に発熱層側の領域をセラミック層側の領域よりもガラスペーストに対する導電性金属又はアルミナフィラーの含有比率(密度)を高くした態様が挙げられる。特に、蓄熱層が断面略部分円弧状をなす突出部を有するものである場合、第二蓄熱層のうち相対的に発熱部の直下領域を他の領域よりもガラスペーストに対する導電性金属又はアルミナフィラーの含有比率(密度)を低く設定してもよい。
また、第一蓄熱層と、第二蓄熱層とを異なる基材から形成しても構わない。
さらには、印刷対象物(用紙)の搬送経路に沿ってプリント部を適宜の間隔で複数配置する構成としてもよい。ここで、複数のプリンタ機構でそれぞれ異なる色のインクを印刷対象物に転写するように構成してもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…熱転写プリンタ
6…サーマルヘッド
61…セラミック層
62…発熱層
623…発熱部
63…蓄熱層
631…第一蓄熱層
632…第二蓄熱層
63T…突出部
66…溝部
S…印刷対象物(用紙)

Claims (5)

  1. 絶縁性のセラミック層と、発熱部を有する発熱層と、前記セラミック層と前記発熱層との間に形成した蓄熱層とを積層状に備えたサーマルヘッドであって、
    前記蓄熱層を、前記発熱層側に形成された第一蓄熱層と、前記セラミック層側に形成され前記第一蓄熱層よりも熱容量が大きく且つ熱伝導率が高い第二蓄熱層とによって構成していることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記第一蓄熱層及び前記第二蓄熱層の基材が共通である請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記第一蓄熱層をガラスから形成するとともに、前記第二蓄熱層をガラスを基材として導電性金属を含有させて形成している請求項2に記載のサーマルヘッド。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のサーマルヘッドを製造する方法であって、
    セラミック層を構成するセラミック基板における平滑ないし略平滑な上面全体に前記第二蓄熱層を構成するペースト状の材料を塗布乾燥させて第二蓄熱層を形成する第二蓄熱層形成工程と、
    前記第二蓄熱層の上面に前記第一蓄熱層を構成するペースト状の材料を塗布乾燥させて第一蓄熱層を形成する第一蓄熱層形成工程と、
    前記第一蓄熱層及び前記第二蓄熱層が一体化され且つ均一ないし略均一な厚みを有する前記蓄熱層の一部を除去して前記セラミック層とは反対側に断面略部分円弧状をなして突出する突出部を形成する突出部形成工程と、
    前記突出部の頂部に発熱部が位置付けられるように前記蓄熱層の上面に発熱層を形成する発熱層形成工程とを経ることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載のサーマルヘッドによってインクリボンを印刷対象物に押し当てて加熱することにより当該印刷対象物にプリント処理を行うプリント部を備えていることを特徴とする熱転写プリンタ。

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