JP2010266587A - 電子写真用トナー及び金属含有化合物 - Google Patents

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一成 中原
Keiko Ishidai
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Abstract

【課題】良好な色相を有し、耐光性、帯電性の湿度依存性(耐水性、帯電安定性)が良好で、画像形成した際の画像の中抜けが無い電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】特定化学構造のアセチルアセトン系有機金属化合物で2価の金属イオンが配位した金属含有化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属含有化合物を用いた電子写真用トナーに関する。
電子写真法を利用したカラーコピア(登録商標)、カラープリンターにおいて使用される電子写真用トナーに要求される性能としては、色再現性、画像の透過性、耐光性などが挙げられるが、現在一般に用いられている顔料を着色材として粒子中に分散させた電子写真用トナーは、顔料を用いているため耐光性には優れるが、着色剤が不溶性であるため凝集し易く、透明性の低下や透過色の色相変化が問題となっている。
そこで、着色剤を顔料から染料に変更したトナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)が、これらのトナーは逆に透明性、色相変化に優れるものの耐光性に問題があり、更には、ごく一般的な染料は比較的低分子量であるため熱定着の際に昇華してしまい、定着ローラー表面やプリンタ機内の汚染、画像濃度の低下、滲み等を引き起こすという欠点を有していた。
これらの欠点を解決する為に、近年では、金属錯体色素を着色剤として使用したトナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)が、上記記載の金属錯体色素を含有するトナーは耐光性には優れるが、溶解性が低く、凝集などが原因で、プリント後の反射スペクトルが異なる等、更なる改良が望まれていた。
これらの点を改良する技術として、染料と共に金属含有化合物を含有する電子写真用トナーが開示されている(例えば、特許文献3参照)。上記記載のトナーでは再拡散、滲み、昇華等の問題は改善され、耐光性も向上したものの、高湿下で保存したトナーで画像の中抜けが発生するなど画像が劣化し、帯電安定性の改良が望まれた。
特開平3−276161号公報 特開平10−20559号公報 特開2007−34264号公報
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、その目的は良好な色相を示し、耐光性、耐湿性、帯電安定性の良好な電子写真用トナーを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明の特定の金属含有化合物を電子写真用トナー中に安定な分散状態で存在させることで、良好な色相を有し、耐光性、耐湿性、帯電安定性が良好で、画像形成した際の画像の中抜けが無いトナーが得られることを確認し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の上記目的は以下の構成により達成できる。
1.下記一般式(1)で表される化合物に2価の金属イオンが配位した金属含有化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真用トナー。
Figure 2010266587
(式中、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アミノ基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Lは−NH−、−OSO−、−O−又は−S−から選ばれる2価の連結基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは0〜10の整数を表し、Lは2〜4価の連結基を表し、mは2〜4の整数を表す。)
2.前記金属含有化合物の金属イオンがCu2+であることを特徴とする前記1に記載の電子写真用トナー。
3.下記一般式(1−A)で表される化合物にCu2+イオンが配位した金属含有化合物であることを特徴とする金属含有化合物。
Figure 2010266587
(R11はアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アミノ基を表し、R21はアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、L21は2価の連結基を表し、pは0〜10の整数を表し、qは2〜4を表し、Lはシクロアルキル基、アリール基及び芳香族複素環基を表す。)
本発明によれば、良好な色相を有し、耐光性、帯電性の湿度依存性(耐水性、帯電安定性)が良好で、画像形成した際の画像の中抜けが無い電子写真用トナーを提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、前記一般式(1)で表される化合物に2価の金属イオンが配位した金属含有化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする電子写真用トナーである。
《一般式(1)で表される化合物》
本発明の一般式(1)で表される化合物は、2価の金属イオンに配位するためにアニオンとなることができ、下記一般式(1a)および一般式(1b)の極限構造式を用いて表すこともできる。一般式(1a)と一般式(1b)は本質的に同一であり、区別されない。また本発明における金属含有化合物中には、中性の構造である一般式(1)とアニオン構造である一般式(1a)及び一般式(1b)で表される構造が混在していても良い。一般式(1−A)についても同様である。
Figure 2010266587
本発明における金属含有化合物は、前記一般式(1)で表される化合物を合成した後に2価の金属化合物と反応させて得られるものであることが好ましい。これらの金属含有化合物の合成方法は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」などに記載の方法に準じて合成することが出来る。使用される2価の金属化合物としては、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化チタン(II)、塩化鉄(II)、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化マンガン(II)、塩化鉛、酢酸鉛、塩化水銀、酢酸水銀、過塩素酸銅等が挙げられるが、前述のとおり、金属含有化合物自身の色およびキレート化した色素の色調、耐光性の点から、好ましくは塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、塩化コバルト、過塩素酸コバルト、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、塩化銅、酢酸銅、過塩素酸銅であり、最も好ましいのは塩化銅、酢酸銅、過塩素酸銅である。
本発明に用いられる金属含有化合物は中心金属に応じて中性の配位子や電荷を中和するためのカウンターアニオンを有してもよく、代表的な中性の配位子としては、HO或はNHが挙げられ、カウンターアニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸イオン(酢酸イオン、プロピオン酸イオン等)、芳香族カルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸、トシル酸イオン等)、ハロゲンイオン(塩化物イオン、臭化物イオン等)、リン酸イオン、リン酸エステルイオン(リン酸モノエチルエステルイオン、リン酸ジエチルエステルイオン等)、水酸イオン、炭酸イオン、ポリオキシメタレート、PF 、BF 、SbF 等が挙げられる。これらのカウンターアニオンは金属含有化合物の合成時に金属イオンの対イオン(対塩)として用いられることが多いが、金属含有化合物の合成後に塩交換してもよい。
本発明における金属含有化合物の金属イオンとしては、2価の遷移金属イオンであり、具体的には、Ni、Cu、Co、Zn、Fe、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、更に好ましくはCu、Co、Niの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはCuの2価の金属イオンである。
一般式(1)において、Rはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基)を表す。
これらの基はさらに置換基を有していても良く、該置換基としてはアルキル基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基)、アシルアミノ基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、ヘキシルスルホニルアミノ基、デシルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基)、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲン化アルキル(例えば、フッ化メチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、パーフルオロプロピル基)等が挙げられる。
として好ましくはアルキル基、アリール基、複素環基である。
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、例としては前述したRの該当する基と同義である。これらはさらに置換基を有していても良く、該置換基としては前述のRに置換可能な基と同様の基が挙げられる。
耐光性や色相の点から、Rとして好ましくは複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、さらに好ましくはアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、特に好ましくはシアノ基である。
は−NH−、−OSO−、−O−又は−S−から選ばれる2価の連結基を表し、好ましくは−NH−、−OSO−、−O−であり、もっとも好ましくは−O−である。
で表される二価の連結基としては、特に限定されないが好ましくはアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、ネオペンチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基)、フェニレン基、−NH−、−SO−、−CO−、−O−、又は−S−である。
nは0〜10までの整数を表し、0〜7が好ましく、1〜5がさらに好ましい。nが大きいほうが染料との相互作用が大きくなり、色相、耐光性などに有利であるが、添加量の観点からはnを小さくして分子量を小さくするほうが有利である。
Lは2〜4価の連結基をあらわし、さらに置換基を有していても良い。該置換基としては、前述のRで挙げた基と同様の基が挙げられる。
Lで表される2価の連結基としてはLで挙げた連結基と同様の基を挙げることができ、好ましい基も同様である。
Lで表される3価の連結基として、具体的には下記の構造等が挙げられる。
Figure 2010266587
前記構造の(L3−1)〜(L3−4)は*で前記一般式(1)における(L)nと結合する。トナー性能や合成の簡便さの点で、(L3−1)、(L3−2)が好ましい。
Lで表される4価の連結基として、具体的には下記の構造等が挙げられる。
Figure 2010266587
前記構造の(L4−1)〜(L4−5)は*で前記一般式(1)における(L)nと結合する。トナー性能や合成の簡便さの点で、前記構造の(L4−1)〜(L4−5)のうち、(L4−1)〜(L4−3)が好ましい。
本発明における金属含有化合物は2価の金属イオンを介して配位高分子となっていても良い。
本発明において、配位高分子(coordination polymer)とは、多官能性配位子(架橋配位子)が異なる金属イオンに配位した架橋構造を形成し、金属イオンと配位子が交互に長く配列することで生成する高分子化合物である。つまり、・・・−(金属イオン)−(配位子)−(金属イオン)−(配位子)−(金属イオン)−・・・の形態をとる高分子を意味する。
本発明において、配位高分子中の金属イオンは、同一の金属イオンで構成されていても、異種の金属イオンで構成されていてもよい。
一般式(1)で表される化合物が配位高分子を形成する場合、一般式(1)で表される化合物の構造の中に複数ある下記一般式(2)で表される構造の一部が中性の構造まま高分子末端となることができる。また一般式(1)で表される化合物中に複数ある下記一般式(2)で表される構造がすべてアニオン化していても、2価の金属イオンに電荷を中和するためのカウンターアニオンや中性の配位子が配位することで高分子末端となることができる。
Figure 2010266587
一般式(2)において、*は、一般式(1)のLと結合する。
一般式(1−A)についても上記と同様である。
配位高分子の合成時に用いられる原料の金属塩としては特に制限がないが、コスト及び入手容易性を鑑み、金属の過塩素酸塩、酢酸塩または金属の塩化物塩が好ましい。
本発明の配位高分子の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲であり、好ましくは2,000〜50,000の範囲である。本発明の配位高分子の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜500,000の範囲であり、好ましくは2,000〜100,000である。
一般式(1−A)において、R11はアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アミノ基を表し、R21はアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、例としては前述したRの該当する基と同義である。これらはさらに置換基を有していても良く、該置換基としては前述のRに置換可能な基と同様の基が挙げられる。
11として好ましくはアルキル基、アリール基、複素環基である。
21として好ましくは複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、さらに好ましくはアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、特に好ましくはシアノ基である。
21は2価の連結基を表し、pは0〜10の整数を表し、Lはシクロアルキル基、アリール基及び芳香族複素環基を表す。
pは0〜10までの整数を表し、0〜7が好ましく、1〜5がさらに好ましい。nが大きいほうが染料との相互作用が大きくなり、色相、耐光性などに有利であるが、添加量の観点からはnを小さくして分子量を小さくするほうが有利である。
次に、前記一般式(1)及び一般式(1−A)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。また、互変異性体や位置異性体が複数存在することが可能な構造である場合は、記載された1種類の互変異性体、位置異性体のみに限定されることはない。
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
前記一般式(1)で表される化合物の具体的な合成例を以下に示すが、これらに限定されることはない。
[合成例1]L−5の合成
Figure 2010266587
化合物1の合成
1,4−ジヒドロキシベンゼン10.0g、シアノ酢酸エチル19.8g、キシレン100mlを丸底フラスコに加えて加熱還流した。2時間還流後、エステル管を用いて副生するメタノールを除去しながら4時間加熱した。
反応終了後に水100mlを加えて2回分液後に溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、化合物1を18.7g得た。H−NMR、CDCl δ=2.23−2.45(6H)、δ=7.10−7.36(4H)、δ=13.41−13.66(2H)
[L−5の合成]
化合物1を10.0g、トリエチルアミン24.8g、塩化カルシウム18.2g、トルエン100mlを加えて80℃に加熱した。80℃で無水酢酸10.0gを滴下した。80℃で3時間書撹拌後に冷却し、1N塩酸を200ml加えて分液した。その後に純水100mlで5回分液してpHを中性にした後に溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、L−5を10.8g得た。
[L−23の合成]
Figure 2010266587
化合物2の合成
1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン 10.0g、シアノ酢酸9.6g、p−トルエンスルホン酸85mg、トルエン50mlを丸底フラスコに加えて加熱、還流した。エステル管を用いて4時間脱水後に冷却して純水100mlで中性になるまで分液を繰り返した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、化合物2を12.8g得た。H−NMR、CDCl δ=4.23−5.68(8H)、δ=6.88(4H)、δ=7.33−7.99(6H)、δ=13.98−14.22(2H)
L−23の合成
化合物2を10.0g、トリエチルアミン18.2g、塩化カルシウム13.3g、トルエン50mlを丸底フラスコに加え、80℃に加熱した。80℃で2,4−ジクロロベンゾイルクロライド13.8gを30分かけて滴下した。滴下終了後、1時間加熱、撹拌した後に冷却し、1N塩酸200ml加えて分液した。その後中性になるまで純水で分液を繰り返した後に溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、L−23を12.2g得た。
[L−49の合成]
Figure 2010266587
化合物3の合成
ペンタエリスリトール10.0g、シアノ酢酸27.8g、p−トルエンスルホン酸200mg、トルエン100mlを丸底フラスコに加えて加熱、還流した。エステル管を用いて3時間脱水後に冷却して純水100mlで中性になるまで分液を繰り返した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、化合物3を23.5g得た。H−NMR、CDCl δ=2.06−2.38(12H)、δ=3.88−4.12(8H)、δ=13.95−14.21(s、4H)
L−49の合成
化合物3を10.0g、トリエチルアミン30.0g、塩化カルシウム22.0g、トルエン100mlを丸底フラスコに加え、80℃に加熱した。80℃で無水酢酸12.2gを30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間加熱、撹拌した後に冷却し、1N塩酸200ml加えて2回分液した。その後中性になるまで純水で分液を繰り返した後に溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(トルエン/酢酸エチル)、L−49を8.4g得た。
その他の化合物も同様の方法で合成することができる。化合物の同定はすべてNMR、Massにより行った。
[合成例2]金属含有化合物の合成
合成例1で合成したL−5 10gをアセトン200mlに溶解しフラスコ中でリフラックスさせた。その反応液にメタノール:水=1:1の混合溶媒100mlに酢酸銅1水和物を6.7g溶解した溶液を30分かけて滴下した。析出している固体をろ過することで金属含有化合物(MS−3)を9.6g得た。
同様の方法で表1に示した金属含有化合物であるMS−1〜MS−2及びMS−4〜MS−23を合成した。
Figure 2010266587
本発明に用いられる染料
本発明の金属含有化合物を電子写真用トナー中に添加して使用する場合には、画像形成の為に少なくとも1種の染料が用いられる。より好ましくは、本発明の金属含有化合物の金属イオンと相互作用することが可能な染料であり、この様な染料として、例えば特開平3−114892号、同4−62092号、同4−62094号、同4−82896号、同5−16545号、同5−177958号、同5−301470号に記載の染料が挙げられる。
これらのうち、本発明においては下記一般式(D−1)〜(D−3)で表される染料を用いることが望ましい。
Figure 2010266587
一般式(D−1)において、R12は−NR1415又は−OR16を表し、A11〜A13はそれぞれ独立に−CR17=又は−N=を表し、R14〜R17はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
11は5又は6員の芳香族環又は複素環を形成するために必要な原子団を表し、Zは窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよい。
13は下記一般式(X−1)、(X−2)を表す。
Figure 2010266587
14は炭素原子又は窒素原子を表し、Yは含窒素芳香族複素環を形成する原子群を表す。Wは芳香族炭素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表し、R11はアルキル基を表す。
で表される複素環として、好ましくは下記一般式(Z−1)〜(Z−6)である。
Figure 2010266587
一般式(Z−1)〜(Z−6)は各々一般式(D−1)のA11と*の部位で結合する。
21〜R35は各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、一般式(Z−1)におけるR21、R22のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)であり、好ましくはR22である。
一般式(Z−2)におけるR23、R24のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)であり、好ましくはR24である。
一般式(Z−3)におけるR25、R26、R27のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)である。
一般式(Z−4)におけるR28、R29のうち少なくとも一つ少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)である。
一般式(Z−5)におけるR30、R31、R32のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)であり、好ましくはR32である。
一般式(Z−6)におけるR33、R34、R35のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)であり、好ましくはR33、R35である。
一般式(D−1)で表される染料は、特開2006−350330号公報等を参考に合成することができる。
次に一般式(D−2)について説明する。
Figure 2010266587
は窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよく、Zは2個の炭素原子と共に5〜6員の芳香族環を構成するに必要な原子群を表し、置換基を有していても良く、R36は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基を表す。
で表される複素環として、好ましくは下記一般式(Z−7)である。
Figure 2010266587
(式中、R37、R38のうち少なくとも一つは前記一般式(X−1)または(X−2)であり、また、R37、R38は水素原子または置換基を表し、一般式(D−2)のアゾ基と*の部位で結合する。)
一般式(D−2)で表される染料は、例えば下記一般式(C)で表される化合物をChemical Reviews,Vol.75,241(1975)に記載の方法に準じてジアゾ化し、下記一般式(D)で表される化合物との公知のカップリング反応に従って製造することができる。
Figure 2010266587
(式中、R36、Zは前記一般式(D−2)におけるR36、Zと同義であり、R37、R38は前記一般式(Z−7)におけるR37、R38と同義である。)
次に下記一般式(D−3)について説明する。
Figure 2010266587
式中、R41、R42、R43、R44は各々独立に水素原子または置換基を表し、Z、Zは窒素原子を少なくとも1つ含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していても良く、該置換基により縮環を形成しても良い。R13は前記一般式(X−1)または(X−2)を表し、pは0または1を表す。
として好ましくは前述の一般式(Z−1)〜(Z−6)であり、より好ましくは一般式(Z−1)である。
として好ましくは窒素原子を少なくとも1つ含む5員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していても良く、該置換基により縮環を形成しても良い。
一般式(D−3)で表される染料は、特開2007−328312号公報等を参考に容易に合成することができる。
本発明の電子写真用トナーに好ましく用いられるイエロー染料は、一般式(D−4)で表される。
Figure 2010266587
式中、R36、Zは前記一般式(D−2)におけるR36、Zと同義であり、R37、R38は前記一般式(Z−7)におけるR37、R38と同義である。
以下に本発明において好ましく用いられるイエロー染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
本発明において好ましく用いられるマゼンタ染料としては、下記一般式(D−5)が挙げられる。
Figure 2010266587
式中、R21、R22は前記一般式(Z−1)におけるR21、R22と同義であり、R53は、それぞれ置換されてもよい芳香族炭素環基又は芳香族複素環基を表す。Xはメチン基又は窒素原子を表す。
以下に本発明において好ましく用いられるマゼンタ染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
本発明において好ましく用いられるシアン染料としては、下記一般式(D−6)、(D−7)、(D−8)である。
Figure 2010266587
式中、A11、A12、A13、R12、X11は前記一般式(D−1)におけるA12、A13、R12、X11と同義であり、R25、R26、R27は前記一般式(Z−3)におけるR25、R26、R27と同義であり、R28、R29は前記一般式(Z−5)におけるR28、R29と同義であり、R30、R31、R32は前記一般式(Z−5)におけるR30、R31、R32と同義である。A16、A17、A18は各々独立に−CR17=又は−N=を表し、R17は水素原子又は置換基を表す。好ましくは−N=である。
以下に本発明において好ましく用いられるシアン染料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
Figure 2010266587
(染料)
本発明においては、本発明の金属含有化合物の金属イオンと相互作用することが可能な染料に加えて、一般に知られている油溶性染料を併用することが出来る。油溶性染料は通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料であるが、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。
以下に限定されるものではないが、例えば、オリエント化学工業株式会社製のValifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製のKayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta 312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製のFS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.I.Solvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet 3、C.I.SolventGreen 3及び7、Plast Yellow DY352、Plast Red 8375、三井化学社製MS Yellw HD−180、MS Red G、MS Magenta HM−1450H、MS Blue HM−1384、住友化学社製ES Red 3001、ES Red 3002、ES Red 3003、TS Red 305、ES Yellow 1001、ES Yellow 1002、TS Yellow 118、ES Orange 2001、ES Blue 6001、TS Turq Blue 618、Bayer社製MACROLEX Yellow 6G、Ceres Blue GNNEOPAN Yellow O75、Ceres Blue GN、MACROLEX Red Violet R等が挙げられる。
油溶性染料として分散染料を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
その他、油溶性染料として特に好ましいものとしては、フェノール、ナフトール類、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾールなどの環状メチレン化合物、開鎖メチレン化合物などのカプラーから誘導されるアゾメチン色素、インドアニリン色素なども好ましく用いられる。
そのような色素として好ましくは、例えば特開平3−114892号、同4−62092号、同4−62094号、同4−82896号、同5−16545号、同5−177958号、同5−301470号に記載の色素が挙げられる。
さらに、本発明の金属含有化合物の金属イオンと相互作用することが可能な染料に加え、一般に知られている顔料を併用することができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:2、同48:3、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同139、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
以下に、本発明の電子写真用トナーについて説明する。
(染料分散方法)
本発明の電子写真用トナーは染料分散液を結着樹脂中に直接分散、或いは着色微粒子分散液を混合し、更に後述する所望の添加剤を使用し、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化分散造粒法、カプセル化法等その他の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法の中で、画像の高画質化に伴うトナーの小粒径化を考慮すると、製造コスト及び製造安定性の観点から乳化重合の方が好ましい。乳化重合方は、乳化重合によって製造された熱可塑性樹脂エマルジョンを、他の染料固体分散物等、トナー粒子成分の分散液と混合し、pH調整により生成した粒子表面の反発力と電解質添加による凝集力のバランスを取りながら緩慢凝集させ、粒径・粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に加熱撹拌することで微粒子間の融着・形状制御を行うことによりトナー粒子を製造する。
染料分散液を直接分散する場合は通常用いられるロール練肉分散機、ビーズ分散機、高速攪拌分散機、媒体型攪拌機などを用いて分散することも可能であるが、以下の着色微粒子分散物と同様の方法により作製することができる。即ち、染料を有機溶剤中に溶解(あるいは分散)し、水中で乳化分散後、有機溶剤を除去することにより得ることもできる。
(着色微粒子)
本発明の電子写真用トナーの1つの形態として、熱可塑性樹脂中に少なくとも着色微粒子を分散することができる。該着色微粒子は少なくとも一般式(1)で表される金属錯体化合物を含有することを特徴としており、後述の液中乾燥法などの分散方法を使用することで着色微粒子の分散粒径を制御可能である。また、該熱可塑性樹脂とは異なる組成の樹脂又は高沸点溶剤を更に含有してなることも好ましく、上述の染料を用いたトナーとして一般に知られているトナー結着樹脂中に染料を直接分散、もしくは、溶解させる代わりに、着色微粒子(染料を単に分散させただけのものも含む)を熱可塑性樹脂中に分散させることができる。着色微粒子中の染料は樹脂中に分子レベルで溶解するため、トナー中において光を遮断する隠蔽性粒子などの成分を無くすことが可能となり、それぞれのトナーの単色における透明性が向上し、更には重ね合わせ色における透明性も向上すると考えられる。
(着色微粒子の作製方法)
次いで、本発明に係る好ましい形態の1つである着色微粒子の作製方法の1例について説明する。
本発明に係る着色微粒子は、例えば、染料(又は染料及び樹脂、高沸点有機溶媒、添加剤など)を有機溶剤中に溶解(あるいは分散)し、水中で乳化分散後、有機溶剤を除去すること(液中乾燥法と言う)により得ることができる。
この他にも染料および一般式(1)で表される金属含有化合物を、界面活性剤などを用いて水中でビーズ分散機、高速攪拌分散機、媒体型攪拌機などを用いて分散させて形成してもよい。
(通常の界面活性剤)
本発明に係る好ましい形態の1つである着色微粒子調製時の乳化に際しては、必要に応じて通常のアニオン系乳化剤(界面活性剤)、及び/またはノニオン系乳化剤(界面活性剤)を用いることができる。
上記通常のノニオン系乳化剤として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
また上記通常のアニオン系乳化剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル類、ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、及びその誘導体類などを挙げることができる。
(粒径)
本発明における好ましい形態の1つである着色微粒子は体積平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であることが好ましく、体積平均粒子径が10nm以下になると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、染料を着色微粒子のポリマー中に封入する効果が小さくなり、更に着色微粒子の安定性が悪くなり易く、保存安定性が劣化し易い。一方、1μmを越えるほど大きな粒子では、微粒子作製時に沈降が起き易く、停滞安定性が劣化する。また、トナーとした場合、光沢感の劣化、著しい透明感の劣化が起こる。従って着色微粒子の平均粒子径は10〜1μmであることが好ましく、10〜500nmがより好ましく、更に好ましくは10〜100nmである。
体積平均粒子径は動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF法、電気的検知体法などを用いて求めることが可能であるが、本発明では、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて動的光散乱法で求めるのが好ましい。
(染料含有量)
本発明に係る着色微粒子は染料の含有量が10〜70質量%の範囲が好ましく、染料が10〜70質量%含有されることで、十分な濃度が得られ、樹脂による色材の保護能が発現し、また微粒子分散体としての保存安定性にも優れるため、凝集等による粒径増大を防止することができる。
(金属含有化合物含有量)
本発明の金属含有化合物は単独で用いても2種を併用しても良いが、着色剤と併用することが好ましい。着色剤と併用する場合は、着色剤に対して本発明の金属含有化合物中に含まれる銅イオンが0.8〜3倍モルである事が好ましく、更に好ましくは1〜2倍モルであり、併用する着色剤にもよるが、0.8倍モルより多いと耐光性が著しく向上し、また、3倍モルより少なくすることにより着色微粒子の分散安定性が向上し、トナー化の際に有利となる。金属含有化合物中の銅イオンの含有量は、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて測定することができる。
(トナー)
本発明の電子写真用トナーにおいては上記の熱可塑性樹脂及び着色微粒子の他、公知の荷電制御剤、オフセット防止剤等を使用することができる。荷電制御剤としては特に限定されるものではない。カラートナーに用いる負荷電制御剤としては、カラートナーの色調、透光性に悪影響を及ぼさない無色、白色あるいは淡色の荷電制御剤が使用可能であり、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やクロムの金属錯体、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等が好適に用いられる。上記サリチル酸金属錯体としては、例えば、特開昭53−127726号公報、特開昭62−145255号公報等に記載のものが、カリックスアレーン系化合物としては、例えば、特開平2−201378号公報等に記載のものが、有機ホウ素化合物としては、例えば、特開平2−221967号公報に記載のものが、有機ホウ素化合物としては、例えば、特開平3−1162号公報に記載のものが使用可能である。このような荷電制御剤を用いる場合、熱可塑性樹脂(結着樹脂)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部使用することが望ましい。
オフセット防止剤としても特に制限されることはなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜ろうワックス等が使用可能である。このようなワックスの添加量は、熱可塑性樹脂(結着樹脂)100質量部に対して0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部が望ましい。これは添加量が0.5質量部より少ないと添加による効果が不十分となり、5質量部より多くなると透光性や色再現性が低下するためである。
また、染料の保存性を向上させるために画像安定化剤として例えば特開平8−29934公報の10〜13頁に記載及び引用されている化合物を添加してもよく、市販されているフェノール系、アミン系、硫黄系、リン系の化合物なども挙げられる。同様の目的で紫外線吸収剤として例えば有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤を添加してもよい。有機系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等を挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等を挙げることが出来るが、有機系紫外線吸収剤の方が好ましく、紫外線吸収剤としては、50%透過率での波長が350〜420nmであることが好ましく、より好ましくは360nm〜400nmであり、350nmより低波長では、紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり好ましくない。添加量については特に制限はないが、染料に対して10〜200質量%の範囲が好ましく、50〜150質量%がより好ましい。
(熱可塑性樹脂)結着樹脂
本発明の電子写真用トナーに含有される熱可塑性樹脂としては、好ましい形態の1つである着色微粒子又は銅錯体化合物微粒子との密着性が高くなる熱可塑性樹脂が好ましく、特に溶剤可溶性のものが好ましい。更に、ポリマーの前駆体が溶剤可溶性であれば3次元構造を形成する硬化性樹脂も使用可能である。熱可塑性樹脂としては、一般にトナーの結着樹脂として用いられているものが特に制限なく用いられるが、例えば、スチレン系の樹脂やアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂あるいはエポキシ系樹脂などが好適に用いられるが、透明性や重ね合わせ画像の色再現性を高めるため、透明性が高く、溶融特性が低粘度でシャープメルト性の高い樹脂が要求される。このような特性を有する結着樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が適している。
また、結着樹脂としては数平均分子量(Mn)が3000〜6000、好ましくは3500〜5500、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜6、好ましくは2.5〜5.5、ガラス転移点が50〜70℃、好ましくは55〜70℃及び軟化温度が90〜110℃、好ましくは90〜105℃である樹脂を使用することが望ましい。
結着樹脂の数平均分子量が3000より小さいとフルカラーのベタ画像を折り曲げた際に画像部が剥離して画像欠損が発生し(折り曲げ定着性が悪化し)、6000より大きいと定着時の熱溶融性が低下して定着強度が低下する。また、Mw/Mnが2より小さいと高温オフセットが発生しやすくなり、6より大きいと定着時のシャープメルト特性が低下して、トナーの透光性ならびにフルカラー画像形成時の混色性が低下してしまう。また、ガラス転移点が50℃より低いとトナーの耐熱性が不十分となって、保管時にトナーの凝集が発生しやすくなり、70℃より高いと溶融しにくくなって定着性が低下するとともにフルカラー画像形成時の混色性が低下する。また、軟化温度が90℃より低いと高温オフセットが生じやすくなり、110℃より高いと定着強度、透光性、混色性及びフルカラー画像の光沢性が低下する。
本発明の電子写真用トナーは上記した熱可塑性樹脂(結着樹脂)、着色微粒子及びその他の所望の添加剤を使用し(微粒子については数種混合でも、一種類毎の微粒子を混合しても良く)、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化分散造粒法、カプセル化法等その他の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法の中で、画像の高画質化に伴うトナーの小粒径化を考慮すると、製造コスト及び製造安定性の観点から乳化重合方が好ましい。
乳化重合方は、乳化重合によって製造された熱可塑性樹脂エマルジョンを他の着色微粒子等、トナー粒子成分の分散液と混合し、pH調整により生成した粒子表面の反発力と電解質添加による凝集力のバランスを取りながら緩慢凝集させ、粒径・粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に加熱撹拌することで微粒子間の融着・形状制御を行うことによりトナー粒子を製造する。本発明の電子写真用トナー粒子は、体積平均粒径を4〜10μm、好ましくは6〜9μmに調整することが画像の高精細再現性の観点から好ましい。
本発明の電子写真用トナーにおいては、トナーの流動性付与やクリーニング性向上等の観点から後処理剤を添加・混合して使用することができ、特に限定されるものではない。このような後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子やアルミナ微粒子、チタニア微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、またチタン酸ストロンチウムやチタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等を使用することができ、単独あるいは異種の添加剤を併用して使用することが可能である。これらの微粒子は、耐環境安定性や耐熱保管性の観点からシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で表面処理して用いることが望ましく、添加量はトナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部用いることが望ましい。
本発明の電子写真用トナーは、キャリアと混合して用いる2成分現像用トナーとして、また、キャリアを使用しない1成分現像用トナーとして使用可能である。
本発明の電子写真用トナーと組み合わせて使用するキャリアとしては、従来より、2成分現像用のキャリアとして公知のものを使用することができ、例えば、鉄やフェライト等の磁性体粒子からなるキャリア、このような磁性体粒子を樹脂で被覆してなる樹脂コートキャリア、あるいは磁性体微粉末を結着樹脂中に分散してなるバインダー型キャリア等を使用することができる。これらのキャリアの中でも、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル系樹脂を用いた樹脂コートキャリアを使用することがトナースペント等の観点から好ましく、特にオルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂にイソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したキャリアが、耐久性、耐環境安定性及び耐スペント性の観点から好ましい。上記ビニル系単量体としては、イソシアネートと反応性を有する水酸基等の置換基を有する単量体を使用する必要がある。また、キャリアの体積平均粒径は20〜100μm、好ましくは20〜60μmのものを使用することが高画質の確保とキャリアかぶり防止の観点から好ましい。
(画像形成方法)
次に、本発明の電子写真用トナーを用いる画像形成方法について説明する。
本発明において、画像形成の方式については特に限定されるものではない。例えば、感光体上に複数の画像を形成し、一括で転写する方式、感光体に形成された画像を転写ベルトなどに逐次転写する方式など、特に限定されないが、より好ましくは感光体上の複数の画像を形成し、一括で転写する方式である。
この方式は感光体に対して均一帯電させ第一の画像に応じた露光を与え、その後第一回目の現像を行い、感光体上に第一のトナー像を形成させる。次いで、その第一の画像が形成された感光体を均一帯電し第二の画像に応じた露光を与え、第二回目の現像を行い、感光体上に第二のトナー像を形成させる。更に第一及び第二の画像が形成された感光体を均一帯電し、第三の画像に応じた露光を与え、第三回目の現像を行い、感光体上に第三のトナー像を形成させる。更に第一、第二及び第三の画像が形成された感光体を均一帯電し、第四の画像に応じた露光を与え、第四回目の現像を行い、感光体上に第四のトナー像を形成させる。
例えば、第一回目をイエロー、第二回目をマゼンタ、第三回目をシアン、第四回目を黒トナーで現像することで、フルカラートナー画像を感光体上に形成するものである。その後、感光体上に形成された画像を紙等の画像支持体に一括して転写を行い、更に画像支持体に定着し、画像を形成する。
本方式では感光体上に形成された画像を一括して紙等に転写し、画像を形成する方式であるため、いわゆる中間転写方式とは異なり、画像を乱す要因となる転写の回数が1回ですみ、画像品質を高くすることができる。
感光体に現像する方式としては複数の現像が必要であることから、非接触現像が好ましい。また、現像に際しては交番電界を印加する方式も好ましい方式である。
また前記した如く、現像方式としては像形成体上に重ね合わせカラー画像を形成し、一括転写する方式については非接触現像方式が好ましい。
二成分現像剤として使用することのできるキャリアの体積平均粒径は15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式の代表的なものとして、熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
(画像)
本発明の電子写真用トナーを使用して現像・転写・定着を行う画像形成において、その転写から定着の状態は、転写材の上に転写された本発明の電子写真用トナーが、定着後においてもその着色微粒子が崩壊せず、トナー粒子中に分散された状態で紙の表面に付着した状態である。
本発明においては、上記のように着色微粒子をトナー粒子中に分散させることにより、トナー粒子が高濃度の染料を含むにもかかわらず、染料がトナー粒子の表面に遊離しない(移行しない)ため、従来のように染料をそのまま熱可塑性樹脂(トナー結着樹脂)中に分散、もしくは、溶解して得られた染料がトナー粒子表面に露出しているトナーの問題点である、1)帯電量が低い、2)高温高湿下及び低温低湿下での帯電量の差が大きい(環境依存性)、3)着色剤の種類例えばフルカラー画像記録のようにシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各顔料を用いる場合の各色トナーについて帯電量がばらつく、などを払拭することができる。また、転写材への熱定着の際、着色剤である染料の着色微粒子外への移行(着色微粒子表面への露出)が起こらないため、一般的な染料を使用したトナーにおいて問題となる熱定着時の染料の昇華やオイル汚染が生じることはない。
以下に本発明を実施例にて説明するが、これらの態様に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」又は「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
以下に示す粉砕法トナーの製造方法、重合法トナーの製造方法(2種)を用いて、粉砕法トナー及び重合法トナーを作製した。
〈粉砕法カラートナーの作製方法〉
ポリエステル樹脂98部、表2に示す着色剤及び本発明の金属含有化合物の混合物(1/1.03モル比)を、下記の添加部数、ポリプロピレン樹脂(ビスコール550P:三洋化成社製)2.2部とを、混合、練肉、粉砕、分級し、平均粒径8.3μmの粉末を得た。更にこの粉末100部と、シリカ微粒子R805(日本エアロジル社製、粒子径12nm、疎水化度60)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合し、粉砕法でのカラートナー4を得た。
〈重合法カラートナーの作製〉
〈着色剤分散液の調製〉
表2に示す着色剤及び本発明の金属含有化合物の混合物(1/1.01モル比)20gを、ドデシル硫酸ナトリウム5gを純水200ml中に溶解した溶液中に添加し、撹拌及び超音波を付与することにより着色剤の水分散液を調製した。また、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量3500)を熱を加えながら界面活性剤により固形分濃度が33%となるように水中に乳化させた乳化分散液を調製した。
〈カラートナーの作製〉
上記着色剤分散液に低分子量ポリプロピレン乳化分散液65gを混合し、更にスチレン220g、ブチルアクリレート37g、メタクリル酸11g、及び連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン5.5g、脱気済み純水2,000mlを追加した後、窒素気流下にて撹拌を行いながら70℃にて3時間保持し乳化重合を行った。
得られた着色剤含有樹脂微粒子の分散液1,000mlに水酸化ナトリウムを加えてpH=7.0に調整後、2.7mol/L塩化カリウム水溶液を270ml添加し、更にi−プロピルアルコール160ml及びエチレンオキシド平均重合度が10であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル9.1gを純水67mlに溶解して添加し、75℃に保持して6時間撹拌、反応を行った。得られた反応液を濾過・水洗し、更に乾燥・解砕して着色粒子を得た。
この着色粒子とシリカ微粒子R805(前出)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合し、重合法カラートナー1〜3、5〜30を得た。
〈キャリアの製造〉
スチレン/メチルメタクリレート(4/6)の共重合体微粒子(平均粒径80nm)40g、Cu−Znフェライト粒子(比重5.0,質量平均粒径45μm,1,000エルステッドの外部磁場を印加した時の飽和磁化62emu/g)1,960gを高速撹拌型混合機に投入し、30℃で15分間混合した後、105℃に設定し、機械的衝撃力を30分間繰り返し付与し、冷却してキャリアを得た。
〈実写テスト用現像剤の作製〉
上記キャリア214gと各トナー16gとを、V型混合機を用いて20分間混合し、実写テスト用の現像剤1〜30を作製した。得られた現像剤組成は表1に表した。
〈画像形成〉
画像形成装置としてカラー複写機(KL−2010:コニカミノルタ社製)を用いて実写評価を行った。
定着器としては、通常使用される熱ロール定着方式のものを用いた。具体的には、中央部にヒーターを内蔵するアルミ合金から成る円筒状(内径=40mm、肉厚=1.0mm、全幅=310mm)の芯金表面を、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の厚み120μmのチューブで被覆することにより加熱ローラーを構成し、鉄から成る円筒状(内径=40mm、肉厚=2.0mm)の芯金表面を、スポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度48、厚み2mm)で被覆することにより加圧ローラーを構成し、該加熱ローラーと該加圧ローラーとを150Nの荷重により当接させて5.8mm幅のニップを形成させた。
この定着装置を使用して、印字の線速を420mm/secに設定した。尚、定着装置のクリーニング機構として、ポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。定着温度は加熱ローラーの表面温度で制御した(設定温度176℃)。尚、シリコーンオイルの塗布量は0.1mg/A4とした。
〈評価〉
本発明の表2に示すカラートナーを用いたトナーセットによって、上記の画像形成装置を用いて、紙に、それぞれ反射画像(紙上の画像)を作製し、以下に示す方法で評価した。尚、トナー付着量は0.6±0.05(mg/cm)の範囲で評価した。
(色相評価)
色相については、10人の被験者により目視にて行い、10点満点で評価をおこなった。10人の平均点が10〜9点をA、10人の平均点が9〜8点をB、10人の平均点が8〜7点をC、7点未満をDとした。
<耐光性>
記録直後の画像濃度Dを測定した後、スガ試験機社製「キセノンロングライフウェザーメーター」(キセノンアークランプ、70,000ルクス、24.0℃)による7日間の暴露試験を行った。再び画像濃度Dを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から染料残存率を算出し、評価した。
A:染料残存率 80%以上
B:染料残存率 70%〜80%
C:染料残存率 60%〜70%
D:染料残存率 60%以下
A、Bが実用上問題ないレベルである。
(帯電性の湿度依存性)
帯電性の湿度依存性については、市販のデジタルカラー複写機(複合機)bizhub C352(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)のマゼンタ現像器を駆動する単体駆動機にマゼンタ現像器をセットし、本発明のトナーをキャリアと混合したトナー濃度6%となるように現像剤をセットした。
72時間、25℃50%に放置した現像器2台を、1)30℃80%RH環境に移送し、3時間放置した。更に、2)10℃15%RHの環境に移送し、2時間放置した。
1)に2)の現像器を30秒、1200秒駆動し、それぞれ現像剤を5gサンプリングして、トナーの帯電量を公知のブローオフ法で測定した。
A:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が3マイクロC/g未満
B:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が3マイクロC/g以上、5マイクロ未満
C:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が7マイクロC/g以上。
(帯電速度)
画素率75%とし、トナー消費量、補給量が著しく多いプリントモードで1000枚プリントを行い、機内のトナーこぼれとプリント画像の画像かすれを目視で評価した。
A:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ全くなし
B:帯電不良によるトナーこぼれはないが、プリントの後端に軽微なかすれ発生したが、実用上問題なし
C:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ発生し実用上問題。
(中抜け評価)
フルカラー複写機(CF−3102:2成分現像方式)に表1に記載の現像剤をそれぞれセットし、CW比各色5%(レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のTotal35%)の画像を1000枚印字した。その後、実験室環境(25℃、50%)および過酷な条件となる高温高湿(HH)環境(30℃、85%)でマシンを24時間保管した後で得られた画像サンプルについて中抜け性能(転写性)を評価した。評価環境が高温高湿下においては、トナー間の凝集力が強くなり、また、帯電量が低下する為、中抜け性能は悪化する。
A:画像上中抜けが発生しなかった。
B:画像上中抜けが若干発生しているが、画像欠損のレベルまでには到らず、実用上問題がなかった。
C:画像上中抜けが多数発生しており、一部画像欠損も発生している為、実用上問題があった。
評価結果を表2に示す。
Figure 2010266587
Figure 2010266587
その結果、比較例の現像剤を用いて画像を印字した際にはヒートロールに中抜けによる汚れが確認されたが、本発明の現像剤を用いて画像を印字したものはすべてヒートロールに汚れは確認されなかった。
表2から明らかなように、本発明のカラートナーを用いることにより耐光性が良好なので長期に亘って良好な保存性を示す画像を提供することができ、更にトナーの耐水性が向上することにより帯電性が安定し、画像の中抜けも改善することが出来た。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物に2価の金属イオンが配位した金属含有化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真用トナー。
    Figure 2010266587
    (式中、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アミノ基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Lは−NH−、−OSO−、−O−又は−S−から選ばれる2価の連結基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは0〜10の整数を表し、Lは2〜4価の連結基を表し、mは2〜4の整数を表す。)
  2. 前記金属含有化合物の金属イオンがCu2+であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 下記一般式(1−A)で表される化合物にCu2+イオンが配位した金属含有化合物であることを特徴とする金属含有化合物。
    Figure 2010266587
    (R11はアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アミノ基を表し、R21はアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、L21は2価の連結基を表し、pは0〜10の整数を表し、qは2〜4を表し、Lはシクロアルキル基、アリール基及び芳香族複素環基を表す。)
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