JP2010265135A - ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置 - Google Patents

ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010265135A
JP2010265135A JP2009116973A JP2009116973A JP2010265135A JP 2010265135 A JP2010265135 A JP 2010265135A JP 2009116973 A JP2009116973 A JP 2009116973A JP 2009116973 A JP2009116973 A JP 2009116973A JP 2010265135 A JP2010265135 A JP 2010265135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
mol
emitting device
light emitting
cao
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009116973A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuji Matsumoto
修治 松本
Nobuhiro Nakamura
伸宏 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2009116973A priority Critical patent/JP2010265135A/ja
Publication of JP2010265135A publication Critical patent/JP2010265135A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】400℃以下の被覆処理温度での被覆が可能であるとともに、良好な耐候性を有するガラスを提供する。
【解決手段】酸化物基準のmol%表示で、29%〜31.5%のP、55%〜60%のSnO、2%〜6.5%のZnO、0.5%〜5%のGa、ならびに0.5%〜5%のCaO、を含み、酸化物基準のmol%表示で、Ga、B、InおよびLaの総和Pが1%〜7%の範囲であり、酸化物基準のmol%表示で、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和Qが1%〜5%の範囲である、ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスに関し、特に、発光ダイオード(LED)装置等の発光装置用の被覆材として使用されるガラスに関する。
従来より発光ダイオード(LED)装置において、LED素子と該LED素子を担持する基板とを封止、被覆する被覆材として、樹脂等の有機材料が使用されている。しかしながら、樹脂製の被覆材は、装置稼働時に生じる熱、光および/または環境中の水分による劣化を受け易く、寿命が短いという問題が指摘されている。
そこで、樹脂に比べてより安定な、ガラス製の被覆材を使用することが検討されている。しかしながら、従来の一般的なケイ酸塩系のガラスを被覆材として使用した場合、ガラスの軟化点上の制約から、500℃程度またはそれ以上の被覆処理温度が必要となる。LED装置を構成する各種部品にとって、このような高温による被覆処理は、信頼性の観点からは好ましくない。ガラスを被覆材として適用するためには、500℃未満、特に400℃以下の被覆処理温度で、被覆処理を行うことが可能なガラスが必要となる。
この点に関し、一般に、リン酸(P)塩系のガラスは、ケイ酸塩系のガラスとは異なり、被覆処理温度が比較的低い(約450℃以下である)ことが知られている。また、陰極線管(CRT)の分野においては、リン酸塩系のガラスを被覆材として使用することが提案されている(特許文献1)。
特開平7−69672号公報
ガラス工学ハンドブック、(朝倉書店)、編集委員:山根他、第626頁、1999年
しかしながら、一般にリン酸(P)塩系のガラスは、主要成分であるリン酸(P)自身が化学的にあまり安定ではないという問題がある。例えば、このガラスには、環境中に含まれる水分等により、容易に変質、劣化する傾向がある(例えば非特許文献1)。従って、リン酸(P)塩系のガラスを装置の被覆材として使用した場合も、依然として、被覆材の耐候性など、長時間安定性の点で問題が残る。特に、前述の特許文献1のリン酸(P)塩系のガラスは、さらに、化学的に不安定な酸化亜鉛(ZnO)を含んでおり、このガラスを被覆材として使用した場合、耐候性の問題がより顕著になるおそれがある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、透明性が高く、かつ400℃以下の被覆処理温度での被覆が可能であるとともに、良好な耐候性を有するガラスを提供することを目的とする。また、そのようなガラスで構成された発光装置用の被覆材、さらにはそのような被覆材を有する発光装置を提供することを目的とする。
本発明では、
酸化物基準のmol%表示で、
29%〜31.5%のP
55%〜60%のSnO、
2%〜6.5%のZnO、
0.5%〜5%のGa、ならびに
0.5%〜5%のCaO、
を含み、
酸化物基準のmol%表示で、Ga、B、InおよびLaの総和Pが1%〜7%の範囲であり、
酸化物基準のmol%表示で、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和Qが1%〜5%の範囲である、ガラスが提供される。
ここで、本発明によるガラスは、
酸化物基準のmol%表示で、
30%〜31%のP
58%〜60%のSnO、
2%〜6%のZnO、
2%〜5%のGa、ならびに
1%〜3%のCaO、
を含み、
前記Pは、2%〜5%の範囲であり、
前記Qは、2%〜4%の範囲であってもよい。
また本発明では、前述の特徴を有するガラスで構成された発光装置用のガラス被覆材が提供される。
ここで、前記発光装置は、LED素子を用いた発光装置であってもよい。
さらに、本発明では、ベース基板上に配置された光学素子と、該光学素子を被覆する被覆材とを有する発光装置であって、
前記被覆材は、前述の特徴を有するガラスで構成されていることを特徴とする発光装置が提供される。
ここで、前記光学素子は、発光ダイオード(LED)であってもよい。
本発明では、着色や白濁等を生じにくく透明性が高く、400℃以下の被覆処理温度での被覆が可能であるとともに、良好な耐候性を有するガラスを提供することが可能となる。また、そのようなガラスで構成された発光装置用の被覆材、さらにはそのような被覆材を有する発光装置を提供することが可能となる。
本発明による発光装置の断面の一例を模式的に示した図である。 DTAデータからガラス転移温度(Tg)を求める際の操作を模式的に示した図である。横軸はT(温度、℃)であり、縦軸は、Te(熱起電力、μV)である。 本発明によるガラスの示差熱分析測定結果の一例を示したグラフである。横軸はT(温度、℃)であり、縦軸は、Te(熱起電力、μV)である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、一例として示されたもので、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、種々の変形をして実施することが可能である。
本発明では、酸化物基準のmol%表示で、
酸化物基準のmol%表示で、
29%〜31.5%のP
55%〜60%のSnO、
2%〜6.5%のZnO、
0.5%〜5%のGa、ならびに
0.5%〜5%のCaO、
を含み、
酸化物基準のmol%表示で、Ga、B、InおよびLaの総和Pが1%〜7%の範囲であり、
酸化物基準のmol%表示で、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和Qが1%〜5%の範囲である、ガラスが提供される。
このような本発明によるガラスでは、軟化点が400℃未満に抑制され、400℃以下での被覆処理が可能となる。また、本発明によるガラスは、良好な耐候性を有するという特徴を有する。
一般に、ケイ酸塩系のガラスをLED装置のような発光装置の被覆材として使用する場合、ガラスの軟化点上の制約から、500℃程度またはそれ以上の被覆処理温度が必要となる。しかしながら、このような高温の被覆処理では、発光装置を構成する各部品が熱により損傷し、装置の信頼性が損なわれる恐れがある。
このため、400℃〜450℃程度で被覆処理が可能なリン酸(P)塩系のガラスを、被覆材として使用することが考えられる。
しかしながら、一般に、リン酸(P)塩系のガラスは、主要成分であるリン酸(P)自身が化学的にあまり安定ではないという問題がある。例えば、リン酸(P)塩系のガラスを被覆材として使用した場合、環境中に含まれる水分等により、ガラスは、比較的容易に変質、劣化してしまう。従って、リン酸(P)塩系のガラスを装置の被覆材として使用した場合、被覆材の耐候性など、長時間安定性の点で問題が残る。
特に、リン酸(P)塩系のガラスは、ガラスの流動性を増加させるため、さらに酸化亜鉛(ZnO)を含む場合が多い。しかしながら、酸化亜鉛(ZnO)もまた、化学的にはあまり安定ではなく、そのようなガラスを被覆材として使用した場合、耐候性の問題は、より顕著に現れるおそれがある。
これに対して、本発明によるガラスでは、環境安定性を損なう可能性のあるPおよびZnOの組成物中の含有量が、酸化物基準のmol%表示で、それぞれ、29%〜31.5%および2%〜6.5%と、有意に抑制されている。また、本発明によるガラスは、耐候性の向上に寄与する化合物として、酸化物基準のmol%表示で、0.5%〜5%のGa、および0.5%〜5%のCaOを含んでいる。
従って、本発明によるガラスは、これまでのリン酸塩系のガラスに比べて、良好な耐候性を有するという特徴を有する。また、本発明によるガラスは、400℃以下での被覆処理が可能である。このため、本発明によるガラスは、発光装置の被覆材として使用することができる。さらに、本発明によるガラスを発光装置の被覆材として使用した場合、長期にわたって安定な特性を示す発光装置を提供することができる。
(本発明によるガラスに含まれる成分について)
以下、本発明によるガラスに含まれる各種成分の概略的な特徴、および適当な含有量について説明する。ここで、以降に示す各成分の含有量は、特に記載のない限り、全て酸化物基準のmol%で表されていることに留意する必要がある。なお、以下に示す各成分の特徴は、一例を示したものであり、その成分が有する他の特性および効果を否定するものではない。
は、ガラスを安定化させる成分であり、本発明によるガラスには、29%〜31.5%の範囲で含まれている。Pの含有量が29%を下回ると、ガラス転移温度(Tg)が高くなり、ガラスの流動性が低下するおそれがある。また、Pの含有量が31.5%を超えると、耐候性が低下しやすくなる。特に、耐候性の観点からは、Pの含有量は、30%〜31%の範囲であることが好ましい。
SnOは、ガラスの流動性を増す成分であり、本発明によるガラスには、55%〜60%の範囲で含まれている。SnOの含有量が55%を下回ると、軟化点が高くなりすぎ、流動性が悪くなりやすい。また、SnOの含有量が60%を超えると、ガラス化が困難になる。特に、耐候性の観点からは、SnOの含有量は、58%〜60%の範囲であることが好ましい。
ZnOは、ガラスの流動性を増す成分であり、本発明によるガラスには、2%〜6.5%の範囲で含まれている。ZnOの含有量が2%を下回ると、ガラスの流動性が悪くなりやすい。またZnOの含有量が6.5%を超えると、ガラスの耐候性が低下しやすくなる。特に、耐候性の観点からは、ZnOの含有量は、2%〜6%の範囲であることが好ましい。
Gaは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、本発明によるガラスには、0.5%〜5%の範囲で含まれている。Gaの含有量が0.5%未満では、ガラスの耐候性が十分に向上しないおそれがある。また、Gaの含有量が5%を超えると、ガラスが不安定になりやすい。特に、耐候性の観点からは、Gaの含有量は、2%〜5%の範囲であることが好ましい。
なお、Gaと同様の役割を果たす成分として、B、InおよびLaのうちの少なくとも一つをさらに添加してもよい。この場合、Ga、B、InおよびLaの総和Pは、1%〜7%の範囲であり、特に2%〜5%の範囲であることが好ましい。ただし、この場合であっても、ガラス中に、Gaは、少なくとも0.5%含まれている必要がある。
CaOは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、本発明によるガラスには、0.5%〜5%の範囲で含まれている。CaOの含有量が0.5%未満では、ガラスの耐候性が十分に向上しないおそれがある。また、CaOの含有量が5%を超えると、ガラスが不安定になりやすい。特に、耐候性の観点からは、CaOの含有量は、1%〜3%の範囲であることが好ましい。
なお、CaOと同様の役割を果たす成分として、MgO、SrOおよびBaOのうちの少なくとも一つをさらに添加してもよい。この場合、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和Qは、1%〜5%の範囲であり、特に2%〜4%の範囲であることが好ましい。ただし、この場合であっても、ガラス中に、CaOは、少なくとも0.5%含まれている必要がある。
また、前述のPとQの総和は、3%〜10%の範囲であることが好ましく、5%〜7%の範囲であることがより好ましい。PとQの総和が3%〜10%の範囲である場合、ガラスの特性に悪影響を及ぼすことなく、前述のPおよびQに含まれる成分の有する効果を有効に発現させることが可能となる。
本発明のガラスは、実質的に上記成分で構成されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の成分、例えば、Bi、Y、Gd、Ce、CeO、TiO、GeO、TeO、Ta等を添加してもよい。
なお、本発明のガラスは、PbOを実質的に含有しないことが好ましい。また、本発明のガラスは、LiO、NaO、およびKO等を実質的に含有しないことが好ましい。これらの化合物は、ガラス中に有意な含有量で存在すると、半導体素子へのイオン拡散による劣化が生じるおそれがあるからである。また、本発明のガラスは、MnO、Fe、Co、WO等を実質的に含有しないことが好ましい。これらの化合物は、ガラス中に有意な含有量で存在すると、着色により、ガラスの透明性が損なわれるおそれがあるからである。
本発明のガラスのガラス転移温度(Tg)は、約290℃〜約310℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)は、310℃より高い場合、封止温度が400℃以上になるおそれがあり、290℃より低い場合、ガラスが不安定になるとともに、耐候性が悪くなるおそれがある。
本発明のガラスの熱膨張係数(α)の上限は、好ましくは130×10−7/℃であり、より好ましくは128×10−7/℃である。また熱膨張係数(α)の下限は、好ましくは110×10−7/℃であり、より好ましくは115×10−7/℃である。熱膨張係数(α)が110×10−7/℃未満では、ガラス転移温度(Tg)が上昇しやすいからである。また、熱膨張係数(α)が130×10−7/℃を超えると、ガラスで発光素子を被覆した後、この素子を室温まで冷却する過程においてまたはその後の工程において、ガラスの発光素子に接する部分を起点として割れが発生するおそれがあるからである。
なお、本発明のガラスは、安定性が高く、溶融状態を急冷してガラス化する際に、結晶化または分相等により、不透明になるリスクが小さいという特徴がある。また、封止時の軟化流動時に、結晶化によってガラスが不透明になるリスクが小さいという特徴もある。参考文献に開示されているリン酸塩ガラスの多くは、封止のための熱処理で結晶化しやすく、不透明になることがある。
(本発明によるガラスの適用例)
上記組成を有する本発明によるガラスは、ガラス被覆部を有する発光装置の被覆材として使用することができる。そこで以下、LED装置を例に、本発明のガラスが被覆材として適用された、発光装置の構成を説明する。なお、本発明によるガラスは、他の発光装置の被覆材としても適用し得ることは、明らかである。
図1には、本発明によるLED装置1の断面図の一例を模式的に示す。LED装置1は、ベース基板120と、該ベース基板120上に置載された発光部100と、該発光部100を被覆する被覆部110と、を有する。
ベース基板120の発光部100が置載される側の表面には、複数の配線130(130a、および130b)が形成されている。
ベース基板120は、例えば、純度98.0%〜99.5%、厚さ0.2mm〜1.2mmの矩形状のアルミナ等の無機材料からなる基板で構成される。ベース基板120の表面に形成された配線130a、および130bは、例えば金ペーストで形成された金配線であってもよい。
発光部100は、素子用基板101の上にLED素子102を設置することにより構成される。LED素子102は、素子用基板101とは反対の側に、正極103および負極104を有する。発光部100は、これらの電極103、および104が前述のベース基板120の配線130a、および130bのそれぞれと接するようにして、ベース基板120上に配置される。
LED素子102は、例えば、波長が360〜480nmの紫外光または青色光を放出するLEDで構成され、GaNにInを添加したInGaNを発光層とする量子井戸構造のLED(InGaN系LED)が代表的なものとして例示される。ただし、これ以外の仕様のLEDを使用してもよいことは、当然である。素子用基板101の熱膨張係数は、例えば、70×10−7〜90×10−7/℃である。通常の場合、素子用基板101の材料には、熱膨張係数が約80×10−7/℃であるサファイアが使用される。
被覆部110は、被覆材115で構成され、この被覆材115は、前述の組成のガラスで構成される。
このような発光装置1では、発光部100を覆う被覆材115を400℃以下の被覆処理温度で設置することができる。従って、発光装置1を構成する各部品の熱損傷を有意に抑制することができる。また、この被覆材は、良好な耐候性を有する。従って、従来のガラスにおいて問題となり得る、長時間使用後の劣化が有意に抑制される。これにより、長期にわたって安定な光出力を示す発光装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定して解釈されるものではない。
(例1)
以下の方法で、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、58%のSnO、5%のZnO、3%のGa、3%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例1に係るガラス)を調製した。
まず、露点が−50℃以下の窒素雰囲気を保ったグローブボックス炉内で、ピロリン酸スズ(Sn:日本化学工業製)、酸化スズ(SnO:日本化学産業製)、メタリン酸亜鉛(Zn(PO:日本化学工業製)、メタリン酸カルシウム(Ca(PO:日本化学工業製)、酸化ガリウム(GaO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)を所定量秤量後、ビニール袋に密封して手で約1分間振り、粉が均質に混ざるように攪拌した。
次に、得られた固形物を、露点が−70℃以下の部屋に移し、石英製るつぼに入れ、るつぼの上部に石英製蓋を配置後、このるつぼを900℃で30分間保持し、固形物を溶解した。溶融処理が完了した後、このるつぼを炉から取り出した。さらに、溶融物を板状のガラスに成形するため、るつぼ内の溶融ガラスをカーボン型に注入した。その後、このカーボン型から取り出したガラスを315℃に保持された別の電気炉に入れ、この電気炉内で1時間保持した後、12時間かけて室温まで冷却した。以上の操作は、全て窒素雰囲気のグローブボックス内で行った。
このような工程を経て、例1に係るガラスを得た。
なお、上記工程では、全ての粉末原料に無水和物を使用し、露点が低く十分に乾燥された雰囲気中で操作を行うことにより、ガラス中への水分の含有を少なくすることができた。ガラス中の水分含有が多くてもよい場合、または後に水分を除去する工程を含む場合、液体の正リン酸原料等を使用することも可能である。
また、上記工程では、価数が+2である原料中のスズが、溶解中に+4の価数に変化すること(酸化反応)を抑制するため、窒素雰囲気で溶解を行った。ただし、原料にサッカロース等を加えて過剰な酸素を燃焼させ、ガラス溶融物中での酸化反応を抑制することにより、大気中で溶解する方法もある。
(例2)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、59%のSnO、6%のZnO、2%のGa、および3%のCaOを含むガラス(例2に係るガラス)を調製した。なお、この例では、例1とは異なり、SrCOは添加していない。
(例3)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、59%のSnO、6%のZnO、3%のGa、および2%のCaOを含むガラス(例3に係るガラス)を調製した。なお、この例では、例1とは異なり、SrCOは添加していない。
(例4)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、59%のSnO、6%のZnO、3%のGa、1%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例4に係るガラス)を調製した。
(例5)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、31%のP、60%のSnO、3%のZnO、4%のGa、1%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例5に係るガラス)を調製した。
(例6)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、31%のP、60%のSnO、2%のZnO、5%のGa、1%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例6に係るガラス)を調製した。
(例7)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、57%のSnO、6%のZnO、3%のGa、3%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例7に係るガラス)を調製した。
(例8)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、30%のP、60%のSnO、6%のZnO、1%のGa、および3%のCaOを含むガラス(例8に係るガラス)を調製した。なお、この例では、SrCOは、添加していない。
(例9)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、31%のP、56%のSnO、6%のZnO、3%のGa、3%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例9に係るガラス)を調製した。
(例10)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、31%のP、57%のSnO、5%のZnO、3%のGa、3%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例10に係るガラス)を調製した。
(例11)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、31%のP、58%のSnO、4%のZnO、3%のGa、3%のCaO、および1%のSrOを含むガラス(例11に係るガラス)を調製した。
(例12)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、32%のP、58%のSnO、8%のZnO、および2%のCaOを含むガラス(例12に係るガラス)を調製した。なお、この例では、GaおよびSrCOは、添加していない。
(例13)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、32%のP、59.5%のSnO、8%のZnO、および0.5%のGaを含むガラス(例13に係るガラス)を調製した。なお、この例では、CaOおよびSrCOは、添加していない。
(例14)
例1と同様の方法により、酸化物基準のmol%で計算して、32%のP、59.5%のSnO、8%のZnO、および0.5%のCaOを含むガラス(例14に係るガラス)を調製した。なお、この例では、GaおよびSrCOは、添加していない。
以下の表1には、各例に係るサンプルの組成をまとめて示す。表1において、例1〜例11は、実施例であり、例12〜例14は比較例である。
Figure 2010265135
表1において、Pは、Ga、B、InおよびLaの総和(酸化物基準のmol%表示)である。また、Qは、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和(酸化物基準のmol%表示)である。
なお、例1〜例11に係るガラスには、いずれも着色や失透に伴う白濁は生じておらず、これらのガラスは、透明であった。
(耐候性試験)
以下の方法により、前述の各例に係るガラスのサンプルの耐候性を評価した。
まず、各サンプルを、厚さが2mmの平板に加工し、表面および裏面を、鏡面になるまで研磨した。研磨したサンプルを用いて、波長460nmにおける分光透過率を測定した。測定には、分光透過率測定装置(Perkin Elmer社製、LAMBDA950)を使用した。得られた透過率をVとする。
次に、各サンプルの耐候性を評価するため、80℃で80%の相対湿度環境とした恒温恒湿槽内に、各サンプルを入れ、所定の時間(例えば、時間tだけ)保持した。その後、各サンプルを取り出し、前述の方法により、分光透過率を測定した。得られた透過率をVとする。その後、各サンプルを再度、恒温恒湿槽内に戻した。
この操作を300時間まで繰り返した。300時間後に得られた各サンプルの分光透過率をV300とする。ここで、サンプルを恒温恒湿槽内に設置する前の透過率Vに対する、300時間後の分光透過率V300の比(すなわちV300/V)が、0.6未満になっていた場合、そのサンプルの耐候性は、悪いと評価し、試験を完了した。
一方、比V300/Vが0.6以上のサンプルについては、さらに耐候性の評価を1000時間まで継続した。
1000時間の保持が完了後、各サンプルを取り出し、前述の方法により、分光透過率を測定した。得られたサンプルの透過率をV1000とする。この値を用いて、サンプルを恒温恒湿槽内に設置する前の透過率Vに対する、1000時間後の分光透過率V1000の比(すなわちV1000/V)を求めた。
比V1000/Vが0.6以上のサンプルを耐候性が良好なサンプルであると判定した。
前述の表1には、各サンプルについて得られた結果をまとめて示す。表1において、×マークは、V300/Vが0.6未満のサンプルを表す。また、表1において、○マークは、V1000/Vが0.6以上のサンプルを表している。なお、◎マークは、V1000/Vが0.9以上の、極めて良好な耐候性を示したサンプルを表している。
この表から、例12〜例14に係るサンプルでは、耐候性が比較的劣るのに対して、例1〜例11に係るサンプルでは、比較的良好な耐候性が得られることがわかる。特に、例1〜例6に係るサンプルでは、極めて良好な耐候性が得られた。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
次に、各サンプルを用いて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。転移温度の測定には、示差熱分析装置(セイコーインスツル社製示差熱分析装置EXSTAR6000TG/DTA)を用いた。前述の各ガラスを粉末状に加工したサンプル110mgを白金パンに充填し、これを室温から500℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温した。
ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析の測定結果から、図2に示すような操作により算定した。まず、低温側の吸熱ピークAに着目し、この吸熱ピークAの近傍の、吸熱ピークAの温度以下の平坦部分と一致するように、直線L1を引く。次に、吸熱ピークAの変曲点Bと接するように、直線L2を引く。このようにして得られた2本の直線の交点Cを、ガラス転移温度(Tg)とした。
図3には、例2に係るガラスのサンプルにおいて得られた示差熱分析の測定結果を示す。図3において、縦軸は熱起電力Te(μV)、横軸は温度T(℃)を示す。この結果から、図2の方法により、ガラス転移温度(Tg)を算出したところ、ガラス転移温度(Tg)は、約293.0℃となった。
前述の表1には、各サンプルのガラス転移温度(Tg)をまとめて示す。なお、表において、「−」の表記は、そのサンプルについては、ガラス転移温度(Tg)の測定を実施しなかったことを示している。この結果から、例12〜例13に係るサンプルでは、ガラス転移温度(Tg)は、277℃〜285℃の範囲にあるのに対して、例1〜例11に係るサンプルでは、ガラス転移温度(Tg)が293℃〜310℃の範囲にあることがわかる。
(被覆材としての特性評価)
次に、実際に本発明によるガラスを用いて、LED素子の被覆処理を行い、本発明によるガラスの被覆材としての適性を評価した。
例1の組成を有するガラスを、厚みが約3mmになるように加工した後、両表面を鏡面研磨した。その後、このガラスを寸法が約3mm×約3mmとなるように切断して、被覆材サンプルを調製した。
金の配線パターンを形成したアルミナ製ベース基板(寸法:縦14mm×横14mm×厚さ1mm)、およびLED素子(豊田合成社製:E1C60−0B011−03)に接続バンプが形成された部品を用意した。このLED素子を、フリップチップ形式でベース基板に実装した。実装後、600℃で2〜30分間、熱処理を行った。
このフリップチップ実装したLED素子の上に、被覆材サンプルを載置した状態で、LED素子を電気炉に入れ、毎分100℃の速度で、室温から380℃まで昇温した。温度が400℃に到達後、同温度でLED素子を10秒〜30秒間保持し、ガラスを軟化流動させた。これにより、LED素子がガラスで被覆され、LED装置が形成された。その後、このLED装置を、毎分100℃の速度で室温まで冷却した。室温に達してから、LED装置を炉から取り出し、被覆材の状態を目視観察したところ、ガラスに着色や白濁は、認められず、ガラスは、透明であった。また、ガラスの表面および内部に、気泡は認められなかった。
次にこのようにして得られたLED装置の特性を評価するため、LED装置の両電極間に、直流電圧を印加し、青色の発光が生じる発光開始電圧を測定した。得られた発光開始電圧は、2.2〜2.4Vの範囲であり、ベアチップとほぼ同じ値であった。以上のことから、本発明によるガラスを被覆材として使用したLED装置において、各部品に損傷等の異常は生じていないことがわかった。
このように本発明によるガラスを用いて、400℃以下の温度での被覆処理を行うことが可能であることが示された。
本発明のガラスは、液晶パネル用バックライト光源、一般照明ならびに自動車用ヘッドライドなどに用いられるLED素子の被覆および/または封止に利用することができる。
1 LED装置
100 発光部
101 素子用基板
102 LED素子
103 正極
104 負極
110 被覆部
115 被覆材
120 ベース基板
130a、130b 配線。

Claims (6)

  1. 酸化物基準のmol%表示で、
    29%〜31.5%のP
    55%〜60%のSnO、
    2%〜6.5%のZnO、
    0.5%〜5%のGa、ならびに
    0.5%〜5%のCaO、
    を含み、
    酸化物基準のmol%表示で、Ga、B、InおよびLaの総和Pが1%〜7%の範囲であり、
    酸化物基準のmol%表示で、CaO、MgO、SrOおよびBaOの総和Qが1%〜5%の範囲である、ガラス。
  2. 酸化物基準のmol%表示で、
    30%〜31%のP
    58%〜60%のSnO、
    2%〜6%のZnO、
    2%〜5%のGa、ならびに
    1%〜3%のCaO、
    を含み、
    前記Pは、2%〜5%の範囲であり、
    前記Qは、2%〜4%の範囲であることを特等とする請求項1に記載のガラス。
  3. 請求項1または2に記載のガラスで構成された発光装置用のガラス被覆材。
  4. 発光装置がLED素子を用いた発光装置であることを特徴とする、請求項3に記載の発光装置用のガラス被覆材。
  5. ベース基板上に配置された光学素子と、該光学素子を被覆する被覆材とを有する発光装置であって、
    前記被覆材は、請求項1または2に記載のガラスで構成されていることを特徴とする発光装置。
  6. 前記光学素子が、LEDであることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
JP2009116973A 2009-05-13 2009-05-13 ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置 Pending JP2010265135A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009116973A JP2010265135A (ja) 2009-05-13 2009-05-13 ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009116973A JP2010265135A (ja) 2009-05-13 2009-05-13 ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010265135A true JP2010265135A (ja) 2010-11-25

Family

ID=43362485

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009116973A Pending JP2010265135A (ja) 2009-05-13 2009-05-13 ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010265135A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012193065A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Nippon Electric Glass Co Ltd 光学ガラス

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012193065A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Nippon Electric Glass Co Ltd 光学ガラス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5458893B2 (ja) ガラス、発光装置用の被覆材および発光装置
US8461069B2 (en) Light emitting diode element
JP4894186B2 (ja) 蛍光体及び発光ダイオード
US8174045B2 (en) Glass for covering optical element, glass-covered light-emitting element and glass-covered light-emitting device
JP2005011933A (ja) 発光ダイオード素子
JP5354444B2 (ja) 封着材料
KR20090110316A (ko) 광학 소자 피복용 유리 및 유리 피복 발광 장치
KR20130025362A (ko) 유기 el 봉착용 무연 유리재와 이것을 사용한 유기 el 디스플레이
JP5842269B2 (ja) 白色発光ガラス、ガラス被覆発光素子及び発光装置
JP2009067632A (ja) 光部品用封着ガラスおよび光部品の封着方法
JP2012158494A (ja) ガラス組成物
JP2013139343A (ja) 封止用組成物、蛍光体複合材料、発光装置及びそれらの製造方法
JP5585467B2 (ja) ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置
JP5689243B2 (ja) 半導体発光素子封止材料およびそれを用いた半導体発光素子デバイスの製造方法
JP2008300536A (ja) ガラス被覆発光素子及びガラス被覆発光装置
JP5369408B2 (ja) 光学素子被覆用ガラス、ガラス被覆発光素子及びガラス被覆発光装置
JP2007123410A (ja) ガラス被覆発光ダイオード素子
JP2010265135A (ja) ガラス、発光装置用のガラス被覆材および発光装置
WO2012060337A1 (ja) 半導体封入用無鉛ガラス及び半導体封入用外套管
JP2012031001A (ja) 封着用ガラス
JPH08157234A (ja) 封着用組成物
JP2009224790A (ja) 発光ダイオード素子
Liao et al. Development of Low Temperature Aluminophosphate Glass Systems for High Efficiency Lighting Devices
TW201815712A (zh) 鉍系玻璃、鉍系玻璃的製造方法及密封材料
JPWO2012029930A1 (ja) ホウ酸スズ系ガラス及び封着部品