JP2010265086A - マンコンベア用手摺 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返し湾曲されても内部のワイヤロープがずれたりすることがなく、また、ワイヤロープの一部が断線した場合であってもその断線部分が表面に飛び出てしまうことを確実に防止できるマンコンベア用手摺を提供する。
【解決手段】無端状に形成された樹脂からなる手摺本体13と、手摺本体13の内部に設けられ、手摺本体13の長手に沿って配置されたワイヤロープ15とを備える。そして、ワイヤロープ15は、中心に心綱を用いることなく複数本のストランドが縒られることによって構成され、各ストランドが、ワイヤロープ15の外表面の一部を常に形成するように配置される。また、ストランドは、中心に心線を用いることなく複数本の素線が縒られることによって構成され、各素線が、ストランドの外表面の一部を常に形成するように配置される。
【選択図】図2

Description

この発明は、エスカレータや動く歩道等において使用されるマンコンベア用手摺に関するものである。
エスカレータや動く歩道といったマンコンベアでは、一般に、断面C字状を呈する移動手摺が使用され、乗客が移動する際に乗る踏段と同期するように、この移動手摺が駆動されている。この移動手摺は、一般に、要部が樹脂によって構成されるとともに、その内部に、移動手摺に対して所定の引張強度を付与するための抗張体が設けられている。
下記特許文献1には、上記抗張体としてワイヤロープを内蔵した移動手摺が開示されている。特許文献1に記載のものでは、例えば、心線の周囲に6本の素線を縒り合わせることによって各ストランドを構成し、更に、心綱(鋼心等)の周囲に6本のストランドを縒り合わせることによって各ワイヤロープを構成している。
特開2007−246176号公報
マンコンベアの移動手摺は、手摺駆動装置の駆動ローラや加圧ローラ等から押圧力を受け、また、各乗降口において繰り返し湾曲される。このため、移動手摺の抗張体としてワイヤロープを採用すると、ワイヤロープの鋼心や心線、素線が内部で断線してしまうことがある。
特許文献1に記載のものでは、鋼心はストランドによって、また、心線は素線によってその周囲が覆われており、鋼心や心線は、移動手摺の本体樹脂と一体化されていない。このため、上記押圧力や繰り返しの曲げが移動手摺に作用することにより、その内部のワイヤロープ(例えば、鋼心や心線等)にずれが生じることがあった。また、上記押圧力や繰り返しの曲げによって心線や素線等が断線すると、その断線部分が移動手摺の外側に飛び出してしまう恐れもあった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、繰り返し湾曲されても内部のワイヤロープがずれたりすることがなく、また、ワイヤロープの一部が断線した場合であってもその断線部分が表面に飛び出てしまうことを確実に防止できるマンコンベア用手摺を提供することである。
この発明に係るマンコンベア用手摺は、無端状に形成された樹脂からなる手摺本体と、手摺本体の内部に設けられ、手摺本体の長手に沿って配置されたワイヤロープと、を備え、ワイヤロープは、中心に心綱を用いることなく複数本のストランドが縒られることによって構成され、各ストランドが、ワイヤロープの外表面の一部を常に形成するように配置され、ストランドは、中心に心線を用いることなく複数本の素線が縒られることによって構成され、各素線が、ストランドの外表面の一部を常に形成するように配置されたものである。
また、この発明に係るマンコンベア用手摺は、長尺に形成された樹脂からなる手摺本体と、手摺本体の内部に設けられ、手摺本体の長手に沿って配置されたワイヤロープと、を備え、ワイヤロープは、中心に心綱を用いることなく複数本のストランドが縒られることによって構成され、各ストランドが、ワイヤロープの外表面の一部を常に形成するように配置され、ストランドは、中心に心線を用いることなく複数本の素線が縒られることによって構成され、各素線が、ストランドの外表面の一部を常に形成するように配置されたものである。
この発明に係るマンコンベア用手摺によれば、繰り返し湾曲されても内部のワイヤロープがずれたりすることがなく、また、ワイヤロープの一部が断線した場合であってもその断線部分が表面に飛び出てしまうことを確実に防止できる。
マンコンベアの全体構成を示す側面図である。 この発明の実施の形態1におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図である。 図2に示すマンコンベア用手摺に内蔵されたワイヤロープの構成を説明するための図である。 この発明の実施の形態2におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図である。 図4に示すマンコンベア用手摺に内蔵された抗張体の構成を説明するための図である。 この発明の実施の形態3におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図である。 図6に示すマンコンベア用手摺に内蔵されたワイヤロープのストランドの構成を説明するための図である。
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1はマンコンベアの全体構成を示す側面図である。以下においては、マンコンベアの一例として、上下階床間の移動の際に利用されるエスカレータについて具体的な構成を説明し、動く歩道等の他の例については、その説明を省略する。
図1において、1は上下階床間に架け渡されたエスカレータのトラスである。エスカレータの自重及び積載荷重は、このトラス1によって支持される。2は乗客が上下階床間を移動する際に乗る踏段、3は踏段2が連結された無端状の踏段チェーン、4は踏段チェーン3が巻き掛けられた踏段駆動用スプロケット、5は踏段駆動用スプロケット4等を駆動するための駆動電動機、6は駆動電動機5の出力を減速し、チェーンを介して踏段駆動用スプロケット4を回転させる減速機、7は駆動電動機5の制御等、エスカレータの運転制御を司る制御盤である。
8は上記踏段2と同期するように駆動される移動手摺である。この移動手摺8は無端状を呈しており、その上部側が、踏段2の両側に立設された欄干9の上端部に沿って移動する。また、移動手摺8はエスカレータの上下乗降口において上下に反転され、下端側が、踏段2の両側に設けられたスカートガード内等に配置される。
なお、移動手摺8の具体的な構成については後述する。
10は移動手摺8を駆動するための手摺駆動装置である。手摺駆動装置10は、例えば、摩擦駆動方式によって移動手摺8を駆動する。具体的に、摩擦駆動方式の手摺駆動装置10では、駆動ローラと加圧ローラとによって移動手摺8を上下から挟み込むとともに、その状態で駆動ローラを回転させることにより、移動手摺8との間の摩擦力を利用して移動手摺8を駆動する。なお、手摺駆動装置10には、移動手摺8が欄干9の上端部(の案内レール)上を摺動するため、その摺動抵抗以上の駆動力が必要とされる。このため、駆動ローラや加圧ローラの各表面は、駆動力の増加や移動手摺8の摩擦面の保護を目的として、ポリウレタン樹脂等の弾性体で被覆されている。
また、11は踏段駆動用スプロケット4と同軸に設けられた手摺駆動用スプロケット、12は手摺駆動用スプロケット11の回転力を手摺駆動装置10に伝達するための手摺チェーンである。即ち、駆動電動機5の駆動力によって手摺駆動用スプロケット11が踏段駆動用スプロケット4とともに回転することにより、手摺チェーン12を介してその駆動力が手摺駆動装置10に伝達される。そして、移動手摺8は、手摺駆動装置10によって駆動され、踏段2に同期して上下乗降口間を循環移動する。
次に、図2及び図3を参照し、上記移動手摺8について具体的に説明する。図2はこの発明の実施の形態1におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図、図3は図2に示すマンコンベア用手摺に内蔵されたワイヤロープの構成を説明するための図である。なお、図2は図1のA−A矢視に相当する図であり、図3はワイヤロープの横断面を示している。
移動手摺8は、横(短手方向)断面が略C字状を呈しており、その要部が、例えば、手摺本体13、帆布14、ワイヤロープ15により構成される。
手摺本体13は、ゴムやポリウレタン等の樹脂からなり、移動手摺8の要部を構成する。この手摺本体13は、横断面がC字状を呈し、無端状に形成されている。なお、図2は、手摺本体13が一種類の樹脂からなる場合を示しているが、手摺本体13はこのような構成に限られるものではなく、例えば、移動手摺8に付与する機能等に合わせて複数種類の樹脂の層によって構成しても良い。
帆布14は、移動手摺8が案内レール上を摺動する際の摺動抵抗を低減させるために備えられたものである。具体的に、帆布14は、ポリエステルやナイロン製の繊維からなる織編物等で構成され、移動手摺8の内側面を形成する。即ち、帆布14は、横断面C字状を呈する手摺本体13の内側面に、手摺本体13の長手に渡って設けられている。
なお、移動手摺8の移動を案内する上記案内レールは、移動手摺8の上端側と各反転部との移動を案内するため、例えば、欄干9の上縁部と上下乗降口付近の両湾曲部とに設けられている。
ワイヤロープ15は、移動手摺8に所定の引張強度を付与し、その伸びを防止するためのものである。このワイヤロープ15は、手摺本体13の内部に設けられており、手摺本体13の長手に沿って複数本が並んで配置されている。なお、図2に示す16は複数本のワイヤロープ15を一体化し、ワイヤロープ15を手摺本体13に強固に固定させるための固定用樹脂である。この固定用樹脂16は、手摺本体13を構成する樹脂(以下、「本体樹脂」ともいう)との溶着性に優れた(融点温度が近い)所定の樹脂から構成される。なお、固定用樹脂16は、本体樹脂と同じものであっても良い。
手摺本体13に内蔵された各ワイヤロープ15は、図3に詳細が示されているように、その中心に心綱(繊維心、鋼心等)が用いられていない。そして、ワイヤロープ15は、形状が最も安定する3本のストランド17が縒り合わされることによって構成されている。なお、ワイヤロープ15を構成するストランド17は単層に縒られているため、各ストランド17は、その一部が常に外側の固定用樹脂16に面している。即ち、各ストランド17は、ワイヤロープ15の外表面の一部を常に形成するように配置されている。
また、ワイヤロープ15を構成する各ストランド17は、図3に詳細が示されているように、その中心に心線が用いられていない。そして、ストランド17は、形状が最も安定する3本の素線18が縒り合わされることによって構成されている。なお、ストランド17を構成する素線18は単層に縒られているため、各素線18は、その一部が常にストランド17の最外部に位置する。即ち、各素線18は、ストランド17の外表面の一部を常に形成するように配置されている。
なお、上記心線とは、ストランドの中心をなす素線であって、その軸がストランドの軸と一致するもののことである。
上記構成を有するワイヤロープ15は、手摺本体13の内部に埋め込まれる前に、固定用樹脂16によって手摺本体13内に配置される複数本が一体化される。具体的には、固定用樹脂16がゴム材の場合は加硫処理により、また、ポリウレタン等の樹脂の場合は接着剤の塗布により一体化され、複数本のワイヤロープ15と固定用樹脂16とからなる抗張体が製作される。そして、上記処理が施された後、本体樹脂を成形する際に上記抗張体がその内部に埋め込まれ、上記移動手摺8と同じ構成を有する長尺のもの(即ち、この長尺物を所定の長さに切断してその両端部を接続することにより、環状の移動手摺8が得られる)が製造される。なお、抗張体は、その周囲の固定用樹脂16が、上記成形時に、溶融した本体樹脂と溶着される。このため、抗張体(即ち、各ワイヤロープ15)は、上記溶着後に手摺本体13と一体化されて強固に固定される。
この発明の実施の形態1によれば、移動手摺8に内蔵されたワイヤロープ15は、全ての素線18が固定用樹脂16に固定され、手摺本体13と一体化される。このため、移動手摺8が踏段2と同期するように駆動されることによって繰り返し湾曲されても、ワイヤロープ15の全体やその一部が、手摺本体13に対して移動するようなことはない。また、全ての素線18が固定用樹脂16と一体化されているため、素線18に断線が生じても、その断線した素線18がずれたり、或いは、移動手摺8の表面から飛び出たりすることも確実に防止できる。
なお、実施の形態1では、ワイヤロープ15を固定用樹脂16によって予め一体化させる場合について説明した。しかし、固定用樹脂16は必ずしも用いる必要はなく、可能であれば、本体樹脂を成形する際にワイヤロープ15を同時に樹脂内に埋め込んでも良い。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図、図5は図4に示すマンコンベア用手摺に内蔵された抗張体の構成を説明するための図である。
実施の形態1では、手摺本体13の内部に配置する全てのワイヤロープ15を、固定用樹脂16によって予め被覆する場合について説明した。一方、図4及び図5に示すものでは、手摺本体13に内蔵するワイヤロープ15を1本ずつ固定用樹脂19で被覆し、抗張体を構成している。
なお、ワイヤロープ15自体の構成、即ち、ストランド17や素線18の構成は、実施の形態1のものと同様である。また、固定用樹脂19も、その組成自体は、上記固定用樹脂16と同じであって構わない。
本実施の形態においては、ワイヤロープ15は、手摺本体13の内部に埋め込まれる前に、固定用樹脂19によって1本毎に被覆される。具体的には、固定用樹脂19がゴム材の場合は加硫処理により、また、ポリウレタン等の樹脂の場合は接着剤20の塗布により、各ワイヤロープ15を固定用樹脂19で被覆して抗張体を製作する。そして、上記処理を施した後、本体樹脂を成形する時に上記抗張体をその内部に埋め込み、上記移動手摺8と同じ構成を有する長尺のものを製造する。なお、抗張体は、その周囲の固定用樹脂19が、上記成形時に、溶融した本体樹脂と溶着される。このため、抗張体(即ち、各ワイヤロープ15)は、上記溶着後に手摺本体13と一体化されて強固に固定される。
かかる構成によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、その他の構成及び移動手摺8の製造方法等は、実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3におけるマンコンベア用手摺の横断面を示す図、図7は図6に示すマンコンベア用手摺に内蔵されたワイヤロープのストランドの構成を説明するための図である。
手摺本体13に内蔵された各ワイヤロープ21は、図6に詳細が示されているように、その中心に心綱(繊維心、鋼心等)が用いられていない。そして、ワイヤロープ21は、4本のストランド22が縒り合わされることによって構成されている。なお、ワイヤロープ21を構成するストランド22は単層に縒られているため、各ストランド22は、その一部が常に外側の固定用樹脂19に面している。即ち、各ストランド22は、ワイヤロープ21の外表面の一部を常に形成するように配置されている。
また、ワイヤロープ21を構成する各ストランド22は、図7に詳細が示されているように、その中心に心線が用いられていない。そして、ストランド22は、4本の素線23が縒り合わされることによって構成されている。なお、ストランド22を構成する素線23は単層に縒られているため、各素線23は、その一部が常にストランド22の最外部に位置する。即ち、各素線23は、ストランド22の外表面の一部を常に形成するように配置されている。
その他の構成及び移動手摺8の製造方法等は、実施の形態1或いは2と同様である。
移動手摺8が上記構成を有する場合であっても、実施の形態1或いは2と同様の上記効果を奏することが可能である。
なお、ワイヤロープの形状を安定させ、且つ、全ての素線を樹脂と接触させるためには、ワイヤロープを構成するストランドや素線をそれぞれ単層に構成し、各本数を4本以下にする必要がある。上記形状の安定性と樹脂との接触とを考慮した場合は、実施の形態1に示したワイヤロープ15の構成(ストランド及び素線の各本数が3本)が最も望ましい。しかし、移動手摺8に更なる引張強度を付与する必要がある場合は、例えば、実施の形態3に示したワイヤロープ21の構成のように、ストランド及び/又は素線の本数を4本にまで増やしても良い。かかる構成であっても、本願の目的を達成することが可能である。
1 トラス
2 踏段
3 踏段チェーン
4 踏段駆動用スプロケット
5 駆動電動機
6 減速機
7 制御盤
8 移動手摺
9 欄干
10 手摺駆動装置
11 手摺駆動用スプロケット
12 手摺チェーン
13 手摺本体
14 帆布
15、21 ワイヤロープ
16、19 固定用樹脂
17、22 ストランド
18、23 素線
20 接着材

Claims (6)

  1. 無端状に形成された樹脂からなる手摺本体と、
    前記手摺本体の内部に設けられ、前記手摺本体の長手に沿って配置されたワイヤロープと、
    を備え、
    前記ワイヤロープは、中心に心綱を用いることなく複数本のストランドが縒られることによって構成され、前記各ストランドが、前記ワイヤロープの外表面の一部を常に形成するように配置され、
    前記ストランドは、中心に心線を用いることなく複数本の素線が縒られることによって構成され、前記各素線が、前記ストランドの外表面の一部を常に形成するように配置されたことを特徴とするマンコンベア用手摺。
  2. 長尺に形成された樹脂からなる手摺本体と、
    前記手摺本体の内部に設けられ、前記手摺本体の長手に沿って配置されたワイヤロープと、
    を備え、
    前記ワイヤロープは、中心に心綱を用いることなく複数本のストランドが縒られることによって構成され、前記各ストランドが、前記ワイヤロープの外表面の一部を常に形成するように配置され、
    前記ストランドは、中心に心線を用いることなく複数本の素線が縒られることによって構成され、前記各素線が、前記ストランドの外表面の一部を常に形成するように配置されたことを特徴とするマンコンベア用手摺。
  3. 前記ワイヤロープは、前記手摺本体を構成する前記樹脂との溶着性に優れた所定の樹脂によって被覆されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマンコンベア用手摺。
  4. 前記ワイヤロープは、4本以下のストランドが縒られることによって構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のマンコンベア用手摺。
  5. 前記ワイヤロープを構成する前記各ストランドは、4本以下の素線が縒られることによって構成されたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のマンコンベア用手摺。
  6. 前記ストランドは、3本の素線が縒られることによって構成され、
    前記ワイヤロープは、3本の前記ストランドが縒られることによって構成された
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のマンコンベア用手摺。
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