JP2010264482A - 圧延設備の制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備投資を抑制しながら、極めて低い速度での圧延を可能とする圧延設備の制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】払い出しリールと、少なくとも1個の圧延機と、巻き取りリールと、払い出しリール、圧延機、及び巻き取りリールをそれぞれ駆動する複数の電動機とを有する圧延設備が、制御装置を具備する。この圧延設備の制御装置は、電動機のおのおのと接続され、前記電動機のおのおのの電圧及び/又は周波数を操作することにより前記電動機のおのおのの回転数及び/又はトルクを制御するインバーターと、インバーターの1次周波数を検出する1次周波数検出手段と、検出された前記インバーターの1次周波数に基づいて、インバーターを制御して、インバーターの1次周波数がゼロとならないように、電動機のおのおのの回転数及び/又はトルクを制御する制御手段と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷間圧延設備の制御装置及び制御方法に関する。
冷間圧延設備において、圧延ラインの停止又は圧延ラインの極低速での運転の際に、電動機のトルク電流を増加させると、電動機の一部の回路又はインバーターの一部のスイッチング素子に電流が集中する。このため、電動機の一部の回路及び/又はインバーターの一部のスイッチング素子が、破損することがある。これを防止するため、圧延ラインの停止時にはトルク電流を低減または制限したり、圧延ラインを極めて低い速度では運転しない等の対策がとられている。
特許文献1に記載の圧延設備に於いては、溶接部において、入側の被圧延材の溶接が完了するまで0mpm(m/分)以上50mpm以下の低速にて圧延ラインの運転を継続する。そのため、十分に大きな電流容量を有する電動機及びインバーターを設置する必要がある。実際には、圧延ラインの通常のライン速度での操業に加えて、圧延ラインの通常のライン速度での操業と同じ圧延状態で、圧延ラインを極めて低い速度まで操業可能とするためには、従来の通常の圧延設備に比較して、達成される圧延性能に対して過剰といえる大きな設備投資が必要となる。
国際公開第2008/062506号パンフレット
冷間圧延設備において、圧延機および、巻き取りリール、払出しリールなどの駆動には交流電動機と交流電動機を駆動するインバーターを用いるのが一般的となっている。交流電動機は、回転子又は固定子に交流電流を流すことにより、トルクが発生し回転する。交流電流の周波数は、電動機の回転周波数からトルクが発生する方向にスベリ周波数分だけシフトする。低い速度または極めて低い速度で操業する際に、交流電動機の回転数も低くなり、インバーター1次側(電動機側)の周波数も低下する。
電動機が回転方向にトルクを発生する場合には、インバーターの1次周波数は、電動機の回転周波数より、スベリ周波数だけ大きくなるが、電動機の回転方向とは逆方向(回生方向)にトルクを発生する場合には、電動機の回転周波数よりスベリ周波数だけ1次周波数が小さくなる。
このため、電動機を低速で、回生方向に運転した場合には、インバーターの1次周波数がゼロ(直流)に近くなる。インバーターは一般にスイッチング素子で構成されるが、電動機はインダクタンス負荷のため、直流抵抗は低く、低い周波数では印加電圧が下がるため、一般的にスイッチング素子での消費電力が増加する。
更に、インバーターの1次周波数が低い場合には、各相の電流が一定の状態で保持されることになり、一部のスイッチング素子に電流が集中する時間も長くなる。スイッチング素子が破損するのを防止する為、電流を制限する保護回路を設けたり、このような低い速度で電動機及び/又はインバーターを運転しないことが一般的な原則となっている。
しかしながら、特許文献1(国際公開第2008/062506号パンフレット)に記載されるような圧延機では、圧延機入側の被圧延材同士を、溶接する間も極めて低い速度で圧延を継続する。
入側の払出しリールから被圧延材を払出し、1本目のコイルの払出しが終わると、2本目のコイルを払出し、1本目のコイルの尾端と2本目のコイルの先端を溶接機にて溶接し、1本のコイルにして圧延する。溶接機の出側にはストリップを貯蔵するストリップ蓄積設備が設けられている。そして、溶接中はストリップ蓄積設備から、被圧延材を供給して圧延を継続する。ストリップ蓄積設備の被圧延材を貯蔵できる最大長さを大きくすれば、比較的高速で圧延を継続することが可能である。
このストリップ蓄積設備においては、設備投資を最小限に抑えるために、ストリップ貯蔵長さの最大値を100メートル以下に制限している。ストリップの貯蔵長さが短ければ短いほど、設備投資を抑制することにつながり、ストリップ蓄積設備の装置の構成を簡略化できる。ストリップ貯蔵長さの最大値を数メートルにすれば、縦型1段のルーパーによりストリップ蓄積設備を構成することができる。
ストリップ貯蔵長さを制限して短くする場合、入側で溶接している時間だけ圧延機を停止することなく圧延を継続しなければならない。このため、圧延速度を極めて低い速度にする必要がある。
このような圧延機においては、極めて低い圧延速度で操業する場合においても、圧延に必要な張力、圧延トルクを発生することが必要となる。このため、極めて低い運転速度においても十分な性能を発揮する電動機とインバーターが必要となる。このため、せっかく、通常の圧延機の運転速度に対応して圧延設備をコンパクトで低コストに設計しても、極めて低い運転速度で運転できる電動機とインバーターを実現するために、高額な設備投資が必要となるという問題が生じる。
本発明の目的は、設備投資を抑制しながら、極めて低い速度での圧延を可能とする圧延設備の制御装置及び制御方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の圧延設備の制御装置は、入側に被圧延材を送り出す払い出しリールと、ロール位置を上下方向に操作することが可能な少なくとも1個の圧延機と、前記圧延機の出側に被圧延材を巻き取る巻き取りリールと、前記払い出しリール、前記圧延機、及び前記巻き取りリールをそれぞれ駆動する複数の電動機とを有する圧延設備に具備する制御装置であって、前記各電動機と接続され、前記電動機に加えられる電圧及び/又は周波数を操作することにより前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するインバーターと、前記インバーターの1次周波数を検出する1次周波数検出手段と、検出された前記インバーターの1次周波数に基づいて、前記インバーターを制御して、前記インバーターの1次周波数がゼロとならないように、前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明の圧延設備の制御方法は、入側に被圧延材を送り出す払い出しリールと、ロール位置を上下方向に操作することが可能な少なくとも1個の圧延機と、前記圧延機の出側に被圧延材を巻き取る巻き取りリールと、前記払い出しリール、前記圧延機、及び前記巻き取りリールをそれぞれ駆動する複数の電動機と、前記各電動機と接続され、前記各電動機に加えられる電圧及び/又は周波数を操作することにより前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するインバーターとを有する圧延設備を制御する制御方法であって、前記インバーターの1次周波数を検出するステップと、検出された前記インバーターの1次周波数に基づいて、前記インバーターを制御して、前記インバーターの1次周波数がゼロとならないように、前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するステップと、を含むことを特徴とする。
インバーターの1次周波数がゼロ近傍になることを、回避することで、設備投資を抑制しながら、装置に損傷を生じることなく、極めて低い速度で圧延機を運転することが可能で、かつ、これにより被圧延製品の品質を維持することが可能な圧延設備の制御方法及び制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る圧延設備及びその制御装置の構成を示す図である。 電動機回転数とインバーターの1次周波数との関係を示す図である。 電動機の回転速度を変更することにより、インバーターの1次周波数がゼロになることを回避する方法を説明する図である。 電動機のトルクを変更することにより、インバーター1次周波数がゼロになることを回避する方法を説明する図である。 1次周波数検出装置の構成の1例を示す図である。 1次周波数検出装置の構成の1例のフローチャートを示す図である。 1次周波数検出装置の構成の他の1例を示す図である。 1次周波数検出装置の構成の他の1例のフローチャートを示す図である。 圧延機の操業設定変更のフローチャートを示す図である。 ペイオフリールの操業設定変更のフローチャートを示す図である。
本発明の実施形態に係る圧延装置の制御装置及び制御方法を、2スタンドの圧延機を備える圧延設備の制御装置及び制御方法を例として説明する。もちろん、本発明は、1スタンド及び3スタンド以上の圧延機を備える圧延装置の制御装置及び制御方法にも適用可能である。
1は、本発明の実施形態に係る2スタント連続圧延設備の制御装置の概要を示す。本実施形態に係る圧延設備の制御装置は、インバーター1次周波数監視装置71及び操業設定変更装置72を備える。
本実施形態においては、ペイオフリール(払出しリール)10に、被圧延材が巻かれた被圧延コイルを挿入する。そして、ペイオフリール(払出しリール)10から被圧延材を払出す。次に、ストリップ蓄積設備(ルーパ)13によって、溶接時に圧延継続することが可能な量の被圧延材を蓄積する。それらの状態で、圧延機スタンド14、15によって所望の板厚になるように被圧延材を圧延し、圧延機出側のテンションリール(巻き取りリール)19に所望の張力で巻き取る。
1本目の被圧延材(コイル)の払出しが終わると、2本目の被圧延材(コイル)をペイオフリール10に挿入し、1本目の被圧延材の尾端と2本目の被圧延材の先端を溶接機12にて溶接して接続する。溶接をする間は溶接機では被圧延材を停止させておく必要があるため、この間は、ストリップ蓄積設備13から被圧延材を供給して極めて低い速度で圧延を継続する。
主幹制御装置61は、圧延機の速度指令、設定張力に基づいて、第1圧延機スタンド14および第2圧延機スタンド15のそれぞれの電動機41、42を駆動するインバーター51、52に、それぞれ電動機の回転速度指令611、612を出力する。インバーター51,52は、電動機の回転速度指令611,612に基づいて電動機に流れる電流およびその周波数を操作して、電動機の回転を制御する。
また、主幹制御装置61は、圧延機入側の張力設定に基づき、ペイオフリール10の電動機40に必要なトルクを計算し、インバーター50にペイオフリール電流指令610を出力する。ペイオフリールインバーター50は、ペイオフリール電流指令に基づき、ペイオフリール電動機40に流れる電流が指令と同じになるように、電圧および周波数を操作する。
圧延機出側も同様に、主幹制御装置61が圧延機出側の張力設定に基づき、テンションリール19の電動機43に必要なトルクと電流値を求め、電流指令613をテンションリールインバーター53へ出力する。テンションリールインバーター53は、テンションリール電動機に流れる電流が指令と同じになるように、電圧および周波数を操作する。
板厚制御装置62は、圧延機入側板厚計20により、圧延機入側の被圧延材の板厚を測定し、圧延機入側板速度計30により、被圧延材の速度を検出し、被圧延材の速度から、第1圧延機スタンド直下の入側板厚をトラッキングして求める。
また、板厚制御装置62は、第1圧延機スタンド出側板速度計31により、第1圧延機出側の板速度を検出して、第1圧延機スタンドの入側と出側の速度比を求め、第1圧延機スタンド直下の入側板厚に速度比を掛けることによって、第1圧延機スタンド直下の第1圧延機出側板厚を求める。この板圧は、マスフロー板厚と呼ばれている。マスフロー板厚が、設定値となるように第1圧延機スタンドの荷重またはロールの高さ方向の位置を操作することで、板厚を制御する。
第2圧延機スタンドについても、上記と同様に、第1圧延機スタンド出側板厚計21により第2圧延機スタンド入側の板厚を測定し、第1圧延機スタンド出側板速度計31にて検出した速度の実績に基づき、第2圧延機スタンド直下の入側板厚を求め、圧延機出側板速度計32により圧延機出側の板速度を検出し、第1圧延機スタンド出側の板速度と第2圧延機スタンド出側の板速度の速度比を求め、第2圧延機スタンド直下の入側板厚に速度比を掛けることで、マスフロー板厚を求める。
このマスフロー板厚をさらに、第2圧延機スタンド出側板速度計の速度実績に基づき、第2圧延機スタンド出側板厚計22までトラッキングして、第2圧延機スタンド出側の板厚計の在る位置で第2圧延機スタンドマスフロー板厚を求め、第2圧延機スタンド出側板厚計にて測定した第2圧延機スタンド出側板厚実績と比較することで、第2圧延機スタンドマスフロー板厚の誤差を求め、第2圧延機スタンドマスフロー板厚を補正して、正確なマスフロー板厚を求める。
そして、この正確なマスフロー板厚が、所望の板厚目標値になるように、主幹制御装置61へ、第1圧延機スタンドの速度変更量を出力すると伴に、第2圧延機スタンドのロールの高さ方向の位置を操作して、第2圧延機スタンド出側の板厚を制御する。これらの方法は一般にマスフロー板厚制御と呼ばれている。
本発明の実施形態では、通常の操業のために必要十分な容量を有する電動機およびインバーターを使用して、50mpm以下、特に、30mpm以下の極めて低い速度においても圧延可能な圧延制御装置及び制御方法を提供する。
本発明の実施形態では、上記のような構成の圧延機において、各電動機を駆動するインバーター50〜53にインバーター1次周波数を検出する1次周波数検出装置71を設ける。そして、1次周波数検出装置71によって各電動機の1次周波数を検出し、操業設定変更装置72によって圧延速度、張力、荷重、板厚設定値を変更することにより1次周波数がゼロ近傍にならないように制御する。本発明の1次周波数がゼロ近傍になることを回避する制御装置及び制御方法について以下に説明する。
図2は、電動機の回転数(周波数)とインバーターの1次周波数の関係を表す。図3は、電動機の回転速度を変更することにより、インバーターの1次周波数がゼロになるのを回避することを説明する。図4は、電動機の回転速度を一定にし電動機のトルクを変更することにより、インバーターの1次周波数がゼロになるのを回避することを説明する。
極めて低い速度での圧延機の操業においては、主に圧延機入側の払出しリールの電動機または圧延機の電動機が回生運転を行う。電動機の回生運転では、電動機の回転方向と反対側にトルクを発生し、これにより、スベリ周波数が回転方向と逆に発生する。そのため、低速回転時にインバーターの1次周波数が、電動機回転数より小さくなり、インバーターの1次周波数がゼロに極めて近い状態で運転することになる。このため、一部のスイッチング素子に電流が集中し、装置が破壊することがある。
インバーターの1次周波数を制御するためにはインバーターの1次周波数を求めることが必要である。そして、インバーターの1次周波数を制御して、1次周波数がゼロになることを回避するには、スベリ周波数と電動機の回転数がほぼ同じとなる速度において、インバーターの1次周波数を求めることが必要となる。インバーターの1次周波数は、電動機のトルクおよび回転数から計算によって求めても良いし、インバーターの電流指令から直に計測しても良い。
インバーターの1次周波数を制御してインバーターの1次周波数がゼロになることを回避するには、大きく2種類の方法が考えられる。1つの方法は、図3に示されるように、電動機の回転速度を変更する方法である。電動機の回転速度を変更するためには、圧延機ラインの運転速度を変更する。
また、もう1つの方法には、図4に示されるように、電動機のトルクを変更し、スベリ周波数を変化させる方法がある。電動機のトルクを変更し、スベリ周波数を変化させるためには、圧延機の張力を変更するか、又は圧延機の荷重を変えて、板厚目標値を変更する。
圧延機ラインの運転速度を変更する場合には、圧延機ライン全体の速度指令を変更すれば良いが、溶接時間の制限、圧延機入側のストリップ蓄積設備のストリップ残長により、加速できない場合がある。ストリップ残長がある一定値以下の場合には、圧延機ラインを減速する。
圧延機入側のペイオフリールについては、張力を変更することで、電動機のトルクを変更することが可能である。圧延機の電動機のトルクを変更する場合には、該当圧延機入側または出側の張力を変更するか、或いは、板厚目標値を変更して、圧延荷重を変更することで圧延トルクを変更する。
本発明により、インバーターの1次周波数を監視しながら、1次周波数がゼロ近傍にならないように制御する。すなわち、その時点での操業目的に応じて、圧延速度、張力、板厚設定または、圧延荷重設定を適時変更することで、極低速領域に於いて、操業を継続することが可能となる。
本発明の実施形態に係る制御装置及び制御方法について更に説明する。図5は、電動機1次電流の周波数(1次周波数)を検出する1次周波数検出装置の構成の一例を示している。
図5において、電動機速度制御装置51、52および電動機電流制御装置50,53より、回転数実績、トルク電流実績、電動機1次周波数実績が、1次周波数検出装置71へ送られる。そして、これにより、電動機の1次周波数が、直接的に検出される。制御パラメータとしては、1次周波数がゼロとなり装置に損傷を生じることを防止する回避周波数帯域Yrpm、1次周波数ゼロの検出を開始するトルク電流X%が予め設定される。
図6は、1次周波数検出装置の構成の1例の動作を示すフローチャートである。各電動機のトルク電流の定格電流に対する割合が予め設定された割合(X%)より大きいか否かを判定する(S61)。各電動機のトルク電流の定格電流に対する割合が予め設定された割合(X%)より大きい場合に、1次周波数の検出を開始する。
電動機速度制御装置または電動機電流制御装置により1次周波数を検出する(S62)。検出された1次周波数の絶対値がYrpmより小さいか否か判定する(S63)。検出された1次周波数の絶対値がYrpmより小さい場合に、操業設定変更要求を発行する(S64)。
図7は、電動機1次電流の周波数(1次周波数)を検出する1次周波数検出装置の構成の他の一例を示している。電動機速度制御装置51、52および電動機電流制御装置50,53より回転数実績、トルク電流実績を1次周波数検出装置71へ送る。1次周波数検出装置71において、電動機の1次周波数を予測して、1次周波数の検出を行う。この場合、制御パラメータとして、トルク電流に応じた各電動機のスベリ周波数が必要となるが、各電動機のスベリ周波数は、電動機の特性として既知の値である。この為、電動機の1次周波数を予測することが可能となる。
図8は、1次周波数検出装置の構成の1例の動作を示すフローチャートである。各電動機のトルク電流の定格電流に対する割合が予め設定された割合(X%)より大きいか否かを判定する(S81)。各電動機のトルク電流の定格電流に対する割合が予め設定された割合(X%)より大きい場合に、1次周波数の検出を開始する。
トルク電流実績およびスベリ周波数設定値、回転数実績から、1次周波数の予測値を計算する(S82)。計算した1次周波数の絶対値がYrpmより小さいか否かを判定する(S83)。計算した1次周波数の絶対値がYrpmより小さい場合には、操業設定変更要求を発行する(S84)。
本発明の実施形態において、1次周波数がゼロとなりうる電動機としては、第1圧延機電動機、ペイオフリール電動機が考えられる。そこで、第1圧延機およびペイオフリールの速度、張力等の設定変更を実施する。
図9は圧延機の操業設定変更のフローチャートを示す。圧延機電動機について1次周波数検出装置より操業設定変更要求が有る場合に操業設定を変更する(S91)。最初に、ストリップ蓄積設備の被圧延材残り長さを計算する(S92a)。ストリップ蓄積設備13より入側に設置されている溶接機12の溶接工程を検出し、必要な停止時間を計算する(S92b)。入側の停止時間とストリップ蓄積設備の被圧延材残り長さから、圧延機の出し得る最高速度を計算する(S92c)。最高速度へ加速した場合に1次周波数の絶対値がYrpm以上になることが予想される場合(S93)には、加速可能と判断し、圧延機を加速する(S94)。
最高速度へ加速しても1次周波数の絶対値がYrpm以上にならない場合(S93)には加速不可と判断し、圧延機全体を減速する(S94)。減速すると圧延機ロールと被圧延材の摩擦が増加することから、荷重が増加する。圧延機の荷重が所定の値以下か否か判定する(S96)。
圧延機の荷重が所定の値より大きい場合には、荷重の上昇を抑えるため、電動機のトルク、機械的、操業的な張力の上下限値を設定しておき、張力が増加可能な場合には圧延機入側及び出側の張力目標値を増加させる(S98)。
張力設定が上限値に到達し、張力目標値を増加できない場合には、減速したまま張力値を保持し、圧延機荷重を制限する(S99)。この場合、第1圧延機出側の板厚に偏差が発生するが、第2圧延機にて所望の板厚になるよう調整する。
図10は、ペイオフリールの操業設定変更フローを表している。ペイオフリール電動機について1次周波数ゼロを検出する。そして、操業設定変更要求が有る場合(S101)には、ストリップ蓄積設備の被圧延材蓄積可能長さを計算し(S102a)、圧延機の低速運転時間を計算し(S102b)、ペイオフリールを停止させずに出し得る最高速度を計算する(S102c)。
計算したペイオフリール最高速度へ加速した場合に1次周波数の絶対値がYrpm以上になることが予想される場合には、加速可能と判断し(S103)、ペイオフリールを加速する(S104)。最高速度へ加速しても1次周波数の絶対値がYrpm以上にならない場合には加速不可と判断し(S103)、ペイオフリールを減速する(S105)。
張力を増加させることで、1次周波数をシフトさせ、1次周波数の絶対値がYrpm以上になる場合(S106)には、張力を増加させる(S107)。張力を増加させても1次周波数の絶対値がYrpmに達しない場合(S106)には、張力を減少させてトルク電流を減少させるとともに、1次周波数を電動機回転と逆方向にシフトさせる。またこのとき、圧延機の荷重をチェックし、圧延機荷重がZトン以上になる場合(S109)には、荷重制限を設ける(S110)。
本発明は、冷間圧延設備の制御に利用される。
1…被圧延材、10…ペイオフリール、11…溶接機入側ピンチロール、12…溶接機、13…ストリップ蓄積設備(ルーパ)、14…第1圧延機、15…第2圧延機、16…シャー入側ピンチロール、17…圧延機出側シャー、18…シャー出側ピンチロール、19…テンションリール、20…第1圧延機入側板厚検出器、21…第1圧延機出側板厚検出器、22…第2圧延機出側板厚検出器、30…圧延機入側板速度検出器、31…第1圧延機出側板速度検出器、32…第2圧延機出側板速度検出器、40…ペイオフリール駆動電動機、41…第1圧延機駆動電動機、42…第2圧延機駆動電動機、43…テンションリール駆動電動機、50…ペイオフリール電動機電流制御装置、51…第1圧延機駆動電動機速度制御装置、52…第2圧延機駆動電動機速度制御装置、53…テンションリール駆動電動機電流制御装置、61…圧延設備主幹制御装置、62…板厚制御装置、71…1次周波数検出装置、72…操業設定変更装置、73…速度・張力変更指令、74…板厚・荷重変更指令、131…ストリップ蓄積設備ストリップ残長、500…ペイオフリール駆動電動機実績データ、510…第1圧延機駆動電動機実績データ、520…第2圧延機駆動電動機実績データ、530…テンションリール駆動電動機実績データ、610…ペイオフリール駆動電動機電流指令、611…第1圧延機駆動電動機速度指令、612…第2圧延機駆動電動機速度指令、613…テンションリール駆動電動機電流指令、700…電力変換器1次周波数

Claims (10)

  1. 入側に被圧延材を送り出す払い出しリールと、
    ロール位置を上下方向に操作することが可能な少なくとも1個の圧延機と、
    前記圧延機の出側に被圧延材を巻き取る巻き取りリールと、
    前記払い出しリール、前記圧延機、及び前記巻き取りリールをそれぞれ駆動する複数の電動機とを有する圧延設備に具備する制御装置であって、
    前記各電動機と接続され、前記電動機に加えられる電圧及び/又は周波数を操作することにより前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するインバーターと、
    前記インバーターの1次周波数を検出する1次周波数検出手段と、
    検出された前記インバーターの1次周波数に基づいて、前記インバーターを制御して、前記インバーターの1次周波数がゼロとならないように、前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする圧延設備の制御装置。
  2. 前記圧延設備が圧延機の入側にストリップ蓄積設備を具備し、前記ストリップ蓄積設備のストリップ残長により、前記圧延設備を加速又は減速することを特徴とする請求項1記載の圧延設備の制御装置。
  3. 前記被圧延材に加えられる張力を変更することにより、前記電動機のトルクを変化させ、前記インバータの1次周波数がゼロとなることを回避することを特徴とする請求項1又は2記載の圧延設備の制御装置。
  4. 前記被圧延材の板厚目標値、又は前記圧延機の荷重目標値を変化させ、前記圧延機を駆動する電動機のトルクを変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の圧延設備の制御装置。
  5. 前記被圧延材の運転状態に応じて、前記被圧延材の運転速度の変更、前記被圧延材に加えられる張力変更、及び/又は、前記被圧延材に加えられる荷重変更の操作を選択して行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の圧延設備の制御装置。
  6. 入側に被圧延材を送り出す払い出しリールと、
    ロール位置を上下方向に操作することが可能な少なくとも1個の圧延機と、
    前記圧延機の出側に被圧延材を巻き取る巻き取りリールと、
    前記払い出しリール、前記圧延機、及び前記巻き取りリールをそれぞれ駆動する複数の電動機と、
    前記各電動機と接続され、前記各電動機に加えられる電圧及び/又は周波数を操作することにより前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するインバーターとを有する圧延設備を制御する制御方法であって、
    前記インバーターの1次周波数を検出するステップと、
    検出された前記インバーターの1次周波数に基づいて、前記インバーターを制御して、前記インバーターの1次周波数がゼロとならないように、前記各電動機の回転数及び/又はトルクを制御するステップと、
    を含むことを特徴とする圧延設備の制御方法。
  7. 前記圧延設備が圧延機の入側にストリップ蓄積設備を具備し、前記ストリップ蓄積設備のストリップ残長により、前記圧延設備を加速又は減速することを特徴とする請求項6記載の圧延設備の制御方法。
  8. 前記被圧延材に加えられる張力を変更することにより、前記電動機のトルクを変化させ、前記インバータの1次周波数がゼロとなることを回避することを特徴とする請求項6又は7記載の圧延設備の制御装置。
  9. 前記被圧延材の板厚目標値、又は前記圧延機の荷重目標値を変化させ、前記圧延機を駆動する電動機のトルクを変化させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載の圧延設備の制御装置。
  10. 前記被圧延材の運転状態に応じて、前記被圧延材の運転速度の変更、前記被圧延材に加えられる張力変更、及び/又は、前記被圧延材に加えられる荷重変更の操作を選択して行わせることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載の圧延設備の制御装置。
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