JP2010263110A - 電線保護具 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の形状の貫通孔の周縁部に安定して取り付けられることに加え、貫通孔の周縁部への取付けスペースの小形化が図られる、新規な構造の電線保護具を提供する。
【解決手段】本体枠28の側壁部分22には、貫通孔14の周縁部16に対して弾性変形しつつ係止される弾性係止片34が形成され、更に本体枠28には、この弾性係止片34と側壁部分22の長手方向で離隔配置されて、基板12の一方の面と軸方向で対向配置される第一爪部38と、本体枠28の弾性係止片34の周囲において、基板12の他方の面と軸方向で対向配置される第二爪部40とが形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】本体枠28の側壁部分22には、貫通孔14の周縁部16に対して弾性変形しつつ係止される弾性係止片34が形成され、更に本体枠28には、この弾性係止片34と側壁部分22の長手方向で離隔配置されて、基板12の一方の面と軸方向で対向配置される第一爪部38と、本体枠28の弾性係止片34の周囲において、基板12の他方の面と軸方向で対向配置される第二爪部40とが形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、機器の基板に形成された貫通孔に対して電線を挿通させる際に、貫通孔の周縁部に装着されて、電線における貫通孔の周縁部への当接を防止する電線保護具に関するものである。
従来、産業機器やOA機器、医療機器等の各種機器の基板においては、電線を挿通する目的で、貫通孔が形成されることがある。この貫通孔の周縁部は、基板が比較的に薄いことに起因して鋭利な形状とされる場合が多く、そのため、電線が貫通孔の周縁部に接触すると、電線の耐久性が著しく損なわれる問題があった。
上記問題に対処するために、特許文献1や特許文献2には、貫通孔の周縁部に装着されることで、電線と周縁部との接触を阻止して、電線を保護する電線保護具が提案されている。
特許文献1に記載の電線保護具では、全体として切欠き状の貫通孔の周縁部に対応した略コ字状を有しており、底辺部に突起が突設されると共に、一対の側辺部において軸直角方向外方に開口する溝がそれぞれ形成されている。かかる電線保護具は、突起が切欠き状の貫通孔の周縁部の底部分に設けられた穴に対して係合されると共に、貫通孔の周縁部における一対の側壁部分がそれぞれ側辺部の溝に差し込まれることによって、貫通孔の周縁部に装着されるようになっている。
また、特許文献2に記載の電線保護具では、略矩形状の本体枠を備え、本体枠の軸方向一方の端部にフランジ状部が形成され、更にフランジ状部における軸直角方向の一対の部分からそれぞれ軸方向他方に向かって弾性係止片が突設されている。この本体枠が略矩形状の貫通孔に挿入され、フランジ状部が貫通孔の周縁部の一方の面に重ね合わされると共に、一対の弾性係止片が貫通孔の周縁部に係止されることによって、電線保護具が貫通孔の周縁部に装着されることとなる。
しかしながら、特許文献1の電線保護具においては、各側辺部の溝の軸直角方向一端から他端に向かって貫通孔の周縁部の各側縁部分が差し込まれることから、例示の如き周縁部の一部分が基板の外周縁部に開口してなる切欠き状の貫通孔にしか適用出来ない。つまり、かかる電線保護具は、特許文献2に示される如き周縁部が連続する貫通孔に対して軸直角方向から嵌め込むことが出来ない構成であるが故に、各種貫通孔への適用範囲が狭い問題があった。
一方、特許文献2の電線保護具では、一対の弾性係止片が貫通孔の軸方向に嵌め込まれることにより、周縁部が連続する貫通孔は勿論のこと、切欠き状の貫通孔に対しても装着可能である。
ところが、特許文献2の電線保護具において、貫通孔の周縁部への確実な固定には、一対の弾性係止片がそれぞれ周縁部に確実に係止されることが要件となる。仮に、弾性係止片の経年変化に起因して、弾性係止片の少なくとも一方の弾性作用(弾性変形力)が弱くなったり、一方の弾性係止片の弾性変形力と他方の弾性係止片の弾性変形力との差が大きくなったりすると、フランジ状部が基板から離隔して本体枠が貫通孔の周縁部から飛び出し易くなり、電線が安定して保護され難い問題があった。
また、特許文献1や特許文献2を含む従来構造の電線保護具では、貫通孔の周縁部への取り付けに際して、電線保護具を貫通孔の軸直角方向外方や軸方向外方等から差し込むための取付けスペースを要する。
しかしながら、上述の如き従来の電線保護具においては、近年、機器のコンパクト化に伴い取付けスペースの小形化が要求される点に関して、十分な対応が図られていなかったのである。
本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、種々の形状の貫通孔の周縁部に安定して取り付けられることに加え、貫通孔の周縁部への取付けスペースの小形化が図られる、新規な構造の電線保護具を提供することにある。
かかる課題を解決するために為された請求項1に記載の発明は、機器の基板に形成された貫通孔の周縁部に装着されて、内側に電線を挿通することによって、該電線を該周縁部から保護する電線保護具において、前記貫通孔の前記周縁部に嵌め込まれるように該周縁部に対応した形状の本体枠を備え、該本体枠は、前記電線の挿通方向となる軸方向に対して直交する軸直角方向で離隔配置された一対の長尺状の側壁部分と、それら一対の側壁部分の長手方向一方の端部を懸架する懸架部分とを含んで構成されており、更に該側壁部分において軸方向一方から他方に延びるように形成されて、前記貫通孔の周縁部に対して弾性変形しつつ係止される弾性係止片と、該本体枠における該側壁部分の長手方向で該弾性係止片と離隔配置されて、軸方向他方の端部から軸直角方向外方に広がるように形成されて、該基板の一方の面と軸方向で対向配置される第一爪部と、該本体枠における該弾性係止片の周囲において軸方向一方の端部から軸直角方向外方に広がるように形成されて、該基板の他方の面と軸方向で対向配置される第二爪部と、を備えていることを特徴とする。
このような本発明の電線保護具においては、貫通孔の周縁部への装着作業に際して、先ず、本体枠を基板上で側壁部分の長手方向と平行に移動させて、第一爪部を貫通孔の他方の面から挿入し、貫通孔の一方の面の周縁部に係止する。そして、これら第一爪部と貫通孔の周縁部との係止部分を支点として、本体枠を支点回りに回動させて、弾性係止片を貫通孔の周縁部に弾性変形させつつ係止させると共に、第二爪部を基板の他方の面に重ね合わせるように軸方向で対向配置させる。これにより、電線保護具を貫通孔の周縁部に装着することが出来る。
つまり、本発明の電線保護具によれば、貫通孔の周縁部への装着作業に際して、本体枠を基板に対して寝かせつつ移動させて、第一爪部を支点とする梃子の原理を利用して一対の弾性係止片を貫通孔の周縁部に係止させることが出来る。それ故、特許文献1に示されるような電線保護具を貫通孔の軸直角方向外方から差し入れるために、電線保護具又はそれ以上の大きさの取付けスペースを貫通孔の軸直角方向外方に特別に用意する必要がなくなって、取付けスペースの小形化が図られる。
しかも、特許文献2に示される電線保護具では、一対の弾性係止片が貫通孔の周縁部に確実に装着されるかを目視等で確認するためのスペースを要するが、本発明の電線保護具においては、側壁部分の少なくとも一部が貫通孔に挿入されて、第一爪部が貫通孔の周縁部に係止されることで、電線保護具の貫通孔に対する位置決め効果が得られる。その結果、装着作業のための大きな視認スペースを必ずしも確保する必要がなくなって、視認が制限されるような比較的に狭い取付けスペースに対しても、電線保護具を容易に装着することが出来る。
加えて、本発明の電線保護具においては、貫通孔の周縁部に対応した形状を有する本体枠の軸方向一方に第二爪部が、軸方向他方に第一爪部が形成されて、これら第一爪部と第二爪部とが本体枠の側壁部分の長手方向に離隔配置された構成とされている。それ故、電線保護具の貫通孔の周縁部への装着状態下、電線保護具が周縁部に対して軸方向の何れか一方に変位する際に、第一爪部又は第二爪部が基板に引っ掛かって、電線保護具の貫通孔に対する軸方向の抜け防止作用が効果的に得られることから、電線保護具の装着安定性が向上される。
前記電線保護具に関する請求項2に記載の発明は、前記第一爪部は、前記懸架部分の軸方向他方の端部に形成され、前記第二爪部と前記弾性係止片は、前記側壁部分の長手方向他方の側に形成されることを特徴とする。
これにより、第一爪部の幅寸法が懸架部分の長手寸法を利用して有利に確保される。また、第一爪部が側壁部分に形成される場合に比して、第一爪部と第二爪部との離隔距離が大きくされる結果、本体枠が第一及び第二爪部を介して貫通孔の周縁部における周上の複数の箇所においてバランス良く支持される。従って、電線保護具の装着安定性の更なる向上が図られる。
なお、懸架部分に形成される第一爪部の数や形状、配置等は、特に限定されるものでなく、例えば、第一爪部が懸架部分に一つ形成されても良いし、懸架部分の長手方向に離隔して等間隔に又は不等間隔に複数形成されても良い。
前記電線保護具に関する請求項3に記載の発明は、前記第一爪部は、前記側壁部分の長手方向他方の側に形成され、前記第二爪部は、前記懸架部分の長手方向両端部における各軸方向他方の端部に形成されて、前記弾性係止片は、該側壁部分の長手方向一方の側に形成されることを特徴とする。
このような電線保護具においては、第二爪部が懸架部分に形成されていることにより、側壁部分に形成される場合に比して、第一爪部と第二爪部との離隔距離が大きくされることから、本体枠が第一及び第二爪部を介して貫通孔の周縁部における周上の複数の箇所においてバランス良く支持されて、電線保護具の装着安定性が一層向上される。
また、弾性係止片に近設される第二爪部が弾性係止片と同一の側壁部分に形成されないことにより、例えば、電線保護具を型成形する場合に、脱型構造が簡単になる。
前記電線保護具に関する請求項4に記載の発明は、前記弾性係止片は、前記側壁部分において軸方向他方から一方に開口するU字状断面で該側壁部分の長手方向に直交する方向に延びる折り返し板状を呈していることを特徴とする。
前記電線保護具に関する請求項4に記載の発明は、前記弾性係止片は、前記側壁部分において軸方向他方から一方に開口するU字状断面で該側壁部分の長手方向に直交する方向に延びる折り返し板状を呈していることを特徴とする。
このような電線保護具によれば、第一爪部を貫通孔の周縁部に係止させて、弾性係止片を係止部分回りに回動させる際に、弾性係止片を周縁部に当接させてスライドさせつつ安定して弾性変形させることが可能となり、それによって、装着作業の簡単化や弾性係止片の耐久性確保が図られる。
また、弾性係止片が本体枠と貫通孔の周縁部との間で軸直角方向に圧縮変形し、本体枠がかかる弾性係止片を介して貫通孔の周縁部に弾性的に支持されることにより、本体枠と周縁部との寸法誤差による軸直角方向のガタツキが、弾性係止片の弾性作用を利用して効果的に吸収される。
前記電線保護具に関する請求項5に記載の発明は、前記弾性係止片の外周面には、軸直角方向に延びる溝部が軸方向に複数形成されていることを特徴とする。これにより、貫通孔の周縁部の角部分等が溝部に嵌り込むようにして、弾性係止片を周縁部に係止させることが可能となる。その結果、弾性係止片の周縁部に対する係止力が大きくされて、電線保護具の装着安定性が一層向上される。
前記電線保護具に関する請求項6に記載の発明は、前記本体枠は、前記一対の側壁部分の長手方向他方の端部に開閉式の蓋部を備えていることを特徴とする。これにより、蓋部が閉じた形態で電線保護具が貫通孔の周縁部に装着されることによって、電線において貫通孔に挿通される部分が電線保護具で全周に亘って保護されることとなり、電線における周縁部からの保護がより確実となる。
また、蓋部が開閉式とされていることから、例えば、蓋部が開いた電線保護具を電線の軸直角方向外方から嵌め込んで、蓋部を閉じることによって、電線を電線保護具に挿通させたり、電線に挿通された電線保護具の蓋部を開いて、蓋部の開口を通じて電線保護具を電線から軸直角方向外方に取り外したりすることが出来る。これにより、電線の電線保護具に対する着脱作業が容易になる。
前記電線保護具に関する請求項7に記載の発明は、前記側壁部分の軸方向一方の端部にはフランジ状部が設けられ、該フランジ状部は前記第二爪部と一体形成されていることを特徴とする。これにより、第二爪部における貫通孔の周縁部への当接に伴う応力集中が低減されて、第二爪部の耐久性が向上されることによって、電線保護具の貫通孔の周縁部への取付け状態が一層安定する。
前記電線保護具に関する請求項8に記載の発明は、前記本体枠と前記第一爪部と前記第二爪部と前記フランジ状部との少なくとも一つには、前記電線を支持するための電線支持部が形成されていることを特徴とする。これにより、電線が電線保護具を介して基板に支持されることとなり、電線が基板に対して不必要に変位することが抑えられて、延いては電線の電線保護具への頻繁な打ち当たりが抑えられることに基づき、電線が一層安定して保護される。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1には、本発明の電線保護具に関する第一の実施形態としてのエッジ保護部材10を、基板12の貫通孔14の周縁部(エッジ部)16に装着した状態が示されている。エッジ保護部材10は、全体として略矩形枠状を呈しており、内側に電線18を挿通させると共に(図13〜16参照。)、貫通孔14の周縁部16に嵌合されることによって、電線18の貫通孔14の周縁部16への当接を阻止して、電線18を周縁部16から保護するようになっている。
なお、貫通孔14を備えた基板12には、公知の構成が採用されることから、その詳細な説明を省略するが、基板12は、金属材や合成樹脂材等からなる硬質の板状部材とされて、その厚さ寸法は比較的に薄くされている。この基板12に対して所定の形状の貫通孔14が厚さ方向に貫通形成されている。貫通孔14は、例えば、基板12にプレス加工等の後加工を施すことで形成されても良いし、或いは基板12を型成形する場合に予め設けられても良い。
本実施形態の貫通孔14は、基板12の外周縁部よりも平面方向内側に貫通形成されていることによって、貫通孔14の周縁部16が周方向の全長に連続しており、具体的には、基板12の平面方向一方向となる軸直角方向一方向(図1中、左右)に長い略矩形状を有している。
また、貫通孔14の周縁部16の長手方向(図1中、左右)で対向する一対の端縁部分において、該長手方向に直交する軸直角方向一方向(図1中、上下であり、以下、短手方向ともいう。)の中間部分には、該長手方向と平行に延びる段差部20が形成されている。
一方、エッジ保護部材10は、図4〜6にも示されるように、一対の側壁部分22a,22bと懸架部分24と蓋部26からなる本体枠28を含んで構成されている。また、エッジ保護部材10は、貫通孔14の周縁部16への装着安定性が十分に図られる耐久性を備え、且つ公知の電線18の絶縁被覆材などと接触しても、絶縁被覆材の耐久性を著しく損なわない材料を用いて形成されており、例えば、ポリアミドやポリプロピレン等の合成樹脂材料が好適に採用される。
一対の側壁部分22a,22bは、長板形状とされて、側壁部分22の長手方向に直交する本体枠28の軸直角方向一方向(図4(a),(b),(c)中、左右)に所定距離を隔てて対向配置されている。
懸架部分24は、側壁部分22よりも長尺の長板形状とされて、その長手方向両端部分が各側壁部分22の長手方向一方(図4(a),(d),(e)中、下)の端部と一体形成されていることにより、一対の側壁部分22a,22bの対向方向と平行に延びるようにして、両側壁部分22a,22bの長手方向一方の端部を懸架している。
蓋部26は、懸架部分24と略同じ長さの長板形状とされており、その長手方向他方の端部が、他方の側壁部分22bの長手方向他方の端部と一体形成されている。特に、かかる一体形成部位は、薄肉化されていることにより、曲げ変形を容易としている。
また、蓋部26の長手方向一方の端部には、折り返し板状の開閉爪部30が一体形成されていると共に、一方の側壁部分22aの長手方向他方の端部には、嵌合凹所32が形成されており、開閉爪部30が嵌合凹所32に嵌め込まれて係合される。それによって、蓋部26は、一対の側壁部分22a,22bの対向方向、換言すれば懸架部分24の長手方向と平行に延びるようにして、両側壁部分22a,22bの長手方向他方の端部を懸架するようになっている。
これら一対の側壁部分22a,22bや懸架部分24、蓋部26を備えてなる本体枠28は、開閉爪部30が嵌合凹所32に係合されて、一対の側壁部分22a,22bの長手方向他方の端部間の開口を蓋部26で閉じた状態で、貫通孔14の周縁部16よりも一回り小さな矩形枠状を呈している。即ち、本体枠28は、貫通孔14の周縁部16に嵌め込まれるように周縁部16に対応した形状とされている。
また、各側壁部分22の長手方向他方の側に偏倚した長手方向中間部分には、弾性係止片34が一体形成されている。弾性係止片34は、側壁部分22の軸方向一方(図4(d)中、右又は図4(e)中、左)の端部から軸方向他方に延びる略U字状断面をもって、側壁部分22の長手方向に直交する方向(図4(a)又は図5中、左右)に延びる折り返し板状を呈している。
さらに、弾性係止片34において側壁部分22の長手方向他方に位置する外周面には、上記側壁部分22の長手方向に直交する方向となる軸直角方向一方向に延びる溝部36が軸方向に複数形成されている。
更にまた、懸架部分24の長手方向中間部分における軸方向他方(図4(d)中、左又は図4(e)中、右)の端部には、懸架部分24の長手方向に直交する軸直角方向外方(図4(a)中、下)に広がるようにして、一対の第一爪部38,38が一体形成されている。これら第一爪部38,38は、略矩形板状を有しており、懸架部分24の長手方向に離隔配置されている。また、第一爪部38は、懸架部分24に形成されていることに基づき、弾性係止片34に対して側壁部分22の長手方向で離隔配置されている。
また、各側壁部分22の長手方向他方の端部における軸方向一方の端部には、側壁部分22の長手方向に直交する軸直角方向外方(側壁部22aでは図4(a)中、左、側壁部22bでは図4(a)中、右)に広がるようにして、略矩形板状の第二爪部40が一体形成されている。側壁部分22の長手方向において、第二爪部40の軸直角方向の端部が、弾性係止片34の溝部36が形成された外周面と僅かな距離を隔てて配置されていることによって、第二爪部40は、弾性係止片34の周囲に形成されている。
特に本実施形態では、本体枠28の軸方向一方の端部側に位置する側壁部分22の略全体と懸架部分24の長手方向両端部にかけて、軸直角方向外方に広がるフランジ状部42が一体形成されており、弾性係止片34の基端部分や第二爪部40の軸直角方向端部とも一体形成されている。即ち、弾性係止片34と第二爪部40は、フランジ状部42を介して連結されている。
なお、本体枠28において弾性係止片34の先端部分と軸方向で投影する位置には、フランジ状部42が設けられていないことにより、かかる投影位置が、見た目上、切欠き状を呈している。
このような構成とされたエッジ保護部材10は、例えば、図7〜8に示されるような基板12の貫通孔14周りの作業スペースが比較的に狭い貫通孔14の周縁部16への装着に対しても好適に採用される。
具体的には、図7に示されるように、本体枠28の閉じられた蓋部26等を把持して、基板12上において本体枠28を基板12の平面方向と略平行に配する。
また、図8に示されるように、本体枠28をその懸架部分24から貫通孔14に差し入れて、貫通孔14の周縁部16において本体枠28の挿入方向奥側に位置する長尺状端縁部分(図1〜3中、下側の端縁部)を、懸架部分24における一対の第一爪部38,38とフランジ状部42との軸方向間に配置すると共に、各第一爪部38を長尺状端縁部分の基板12の一方の面側(図7,8中、基板12の裏面側)の角部に係止する。これにより、本体枠28の懸架部分24が貫通孔14内に配置される一方、本体枠28の蓋部26が貫通孔14の外方に配置された状態となって、本体枠28が基板12に対して傾斜した状態とされる。
また、図8に示されるように、本体枠28をその懸架部分24から貫通孔14に差し入れて、貫通孔14の周縁部16において本体枠28の挿入方向奥側に位置する長尺状端縁部分(図1〜3中、下側の端縁部)を、懸架部分24における一対の第一爪部38,38とフランジ状部42との軸方向間に配置すると共に、各第一爪部38を長尺状端縁部分の基板12の一方の面側(図7,8中、基板12の裏面側)の角部に係止する。これにより、本体枠28の懸架部分24が貫通孔14内に配置される一方、本体枠28の蓋部26が貫通孔14の外方に配置された状態となって、本体枠28が基板12に対して傾斜した状態とされる。
そして、各第一爪部38と貫通孔14の周縁部16との係止部分を支点として、本体枠28を支点回りに回動させて、本体枠28の蓋部26を貫通孔14内に嵌め入れることに伴い、弾性係止片34の溝部36が形成された外周面を、貫通孔14の周縁部16の段差部(面)20に当接させつつ、基板12における貫通孔14の貫通方向となる本体枠28の軸方向に滑らせる。それによって、弾性係止片34を側壁部分22の長手方向と平行な軸直角方向に圧縮変形させる。
また、エッジ保護部材10のフランジ状部42や各第二爪部40を、基板12の貫通孔14の周縁部16周りにおける他方の面(図7,8中、基板12の表面)に重ね合わせることによって、弾性係止片34を圧縮変形させた状態で本体枠28と貫通孔14の周縁部16(段差部20)との軸直角方向間に介装し、弾性係止片34の溝部36を貫通孔14の周縁部16に係止する。
これにより、蓋部26を含む本体枠28の全体が貫通孔14内に嵌め入れられて、フランジ状部42と第二爪部40が基板12の一方の面に重ね合わされると共に、弾性係止片34の弾性作用に基づき、懸架部分16の外周面が貫通孔14の周縁部(長尺状端縁部分)の内周面に押し付けられることとなって、エッジ保護部材10が貫通孔14の周縁部16に対して弾性的に支持された形態で装着される。
特に、第一爪部38を貫通孔14の周縁部16に係止して、本体枠28を係止部分回りに回動させる際に貫通孔14の周縁部16を差し入れることとなる、懸架部分24の第一爪部38とフランジ状部42との軸方向間の寸法は、周縁部16の厚さ寸法(貫通孔14の軸方向長さ)よりも大きくされている。それによって、フランジ状部42と第二爪部40が基板12の一方の面に重ね合わされて対向配置されると、図2,3にも示されているように、第一爪部38は、基板12の他方の面から離隔した状態で基板12と対向配置される。
このように貫通孔14の周縁部16に装着されたエッジ保護部材10に対して、電線18を挿通することにより、電線18と周縁部16との直接的な当接が阻止される。
なお、エッジ保護部材10の貫通孔14の周縁部16への装着作業に関する上述の説明においては、エッジ保護部材10を周縁部16に装着した後に、電線18をエッジ保護部材10を介して貫通孔14に挿通するようになっていたが、例えば、予め電線18を貫通孔14に挿通させた状態で、蓋部26が開いた本体枠28を電線18の軸直角方向外方から嵌め入れて、蓋部26を閉じた後に、エッジ保護部材10を周縁部16に装着することも可能である。特に後者の装着作業によれば、エッジ保護部材10を周縁部16に装着する前に既に貫通孔14に電線18が挿通されている既存の機器に対して有利に適用される。
なお、エッジ保護部材10の貫通孔14の周縁部16への装着作業に関する上述の説明においては、エッジ保護部材10を周縁部16に装着した後に、電線18をエッジ保護部材10を介して貫通孔14に挿通するようになっていたが、例えば、予め電線18を貫通孔14に挿通させた状態で、蓋部26が開いた本体枠28を電線18の軸直角方向外方から嵌め入れて、蓋部26を閉じた後に、エッジ保護部材10を周縁部16に装着することも可能である。特に後者の装着作業によれば、エッジ保護部材10を周縁部16に装着する前に既に貫通孔14に電線18が挿通されている既存の機器に対して有利に適用される。
従って、本実施形態のエッジ保護部材10では、図7,8に示されるように、基板12に対して寝かせるような状態で貫通孔14の周縁部16に装着することが出来ることから、例示の如き装着作業のスペースが比較的に狭い機器においても有利に適用される。
しかも、フランジ状部42や一対の第二爪部40,40が重ね合わされる基板12の一方の面と反対側の他方の面に、一対の第一爪部38,38が配置されていることによって、エッジ保護部材10の貫通孔14に対する軸方向の脱落防止が効果的に図られ、エッジ保護部材10の装着安定効果が極めて有利に得られるのである。
次に、図9,10には、本発明の電線保護具に関する第二の実施形態としてのエッジ保護部材50が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材及び部位については、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
本実施形態の第一爪部38は、側壁部分22の長手方向他方の端部側に偏倚した長手方向中間部分において、軸方向一方から他方に延び出す鉤状部分の突出先端部分により構成されている。
また、本実施形態の第二爪部40は、懸架部分24の各長手方向端部に形成されている。
さらに、本実施形態の弾性係止片34は、側壁部分22の長手方向一方の端部に形成されて、本体枠28の長手方向(図9(a)、(f)中、左右)で第二爪部40と僅かな距離を隔てて配されている。
さらに、本実施形態の弾性係止片34は、側壁部分22の長手方向一方の端部に形成されて、本体枠28の長手方向(図9(a)、(f)中、左右)で第二爪部40と僅かな距離を隔てて配されている。
すなわち、本実施形態のエッジ保護部材50においては、第一の実施形態のエッジ保護部材10と比較して、第一爪部38と第二爪部40及び弾性係止片34との形成位置が側壁部分22の長手方向で逆向きとされている。
それ故、本実施形態のエッジ保護部材50では、貫通孔14の周縁部16への装着作業に際して、第一爪部38と近設される蓋部26側から貫通孔14に嵌め込まれることとなり、エッジ保護部材50を把持する部分として懸架部分24などが好適に採用されることから、側壁部分22と両端で連結される懸架部分24の強度を利用して、装着作業の安定性向上などが図られる。
次に、図11,12には、本発明の電線保護具に関する第三の実施形態としてのエッジ保護部材60が示されている。このエッジ保護部材60は、第一の実施形態のエッジ保護部材10から電線支持部62を追加した構成とされている。
電線支持部62は、側壁部分22の長手方向と平行に延びる内孔64を備えた略矩形筒状を呈しており、側壁部分22およびフランジ状部42の長手方向中間部分上に突出した形態でそれらと一体形成されている。
このような電線支持部62を備えたエッジ保護部材60においては、図13〜16に示されるように、貫通孔14の周縁部16に装着されて、内側に電線18を挿通した状態下、合成樹脂材等を用いて形成された帯状のバンド部材66を電線18に巻回して、バンド部材66の一端を電線支持部62の内孔64に挿通させた後に、バンド部材66の他端側に固定している。
なお、本実施形態では、一つのバンド部材66を用いて一方の電線支持部62に支持させているが、一方の電線支持部62に代えて他方の電線支持部62に支持させたり、バンド部材66を二つ用いて、それぞれ電線支持部62に支持させたりすることも可能である。
従って、本実施形態のエッジ保護部材60によれば、電線18がバンド部材66、延いては電線支持部62を介して基板12に支持されることとなり、貫通孔14内において電線18の軸直角方向の変位が制限されることから、エッジ保護部材60への積極的な打ち当たりが防止されて、電線18の保護が一層有利に図られる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について詳述してきたが、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、本体枠28や第一及び第二爪部38,40、弾性係止片34などのエッジ保護部材10,50,60の各構成部品が、互いに一体形成されていたが、それら構成部品のうちのいくつか又は全てを、別体形成した後に固定することによって、エッジ保護部材を構成するようにしても良い。
また、前記実施形態の弾性係止片34においては、外周面に溝部36が形成されて、貫通孔14の周縁部16の角部分が溝部36に嵌まり込むことによって、周縁部16への取り付け安定性が向上されていたが、例えば、弾性係止片の外周面に粘度の高い部材を貼着したり、ローレット加工を施したりして、弾性係止片と周縁部との接触面の摩擦力を上げることによって、当該取り付け安定性を向上させても良い。
また、前記実施形態では、本発明の電線保護具としてのエッジ保護部材を、周縁部16が周方向に連続する貫通孔14に対して適用する具体例が示されていたが、例えば、図13,14,16に示される如き切欠き状の貫通孔14’に対して適用することも可能である。その場合に、エッジ保護部材の蓋部は、貫通孔14’の周縁部16’に沿って配置されないことから、必須の構成要件でない。
また、前記第三の実施形態においては、電線支持部62として略矩形筒状のものを用い、電線18に巻着されるバンド部材66を電線支持部62の内孔64に挿通支持させるようになっていたが、例えば、電線支持部としてエッジ保護部材の本体枠から突設される突起などを採用し、電線に巻着されるバンド部材又は針金などを突起に巻き付けるなどして、電線を支持することも勿論可能である。
10…エッジ保護部材、12…基板、14…貫通孔、16…周縁部、18…電線、22…側壁部分、24…懸架部分、28…本体枠、34…弾性係止片、38…第一爪部、40…第二爪部
Claims (8)
- 機器の基板に形成された貫通孔の周縁部に装着されて、内側に電線を挿通することによって、該電線を該周縁部から保護する電線保護具において、
前記貫通孔の前記周縁部に嵌め込まれるように該周縁部に対応した形状の本体枠を備え、
該本体枠は、前記電線の挿通方向となる軸方向に対して直交する軸直角方向で離隔配置された一対の長尺状の側壁部分と、それら一対の側壁部分の長手方向一方の端部を懸架する懸架部分とを含んで構成されており、
更に該側壁部分において軸方向一方から他方に延びるように形成されて、前記貫通孔の周縁部に対して弾性変形しつつ係止される弾性係止片と、
該本体枠における該側壁部分の長手方向で該弾性係止片と離隔配置されて、軸方向他方の端部から軸直角方向外方に広がるように形成されて、該基板の一方の面と軸方向で対向配置される第一爪部と、
該本体枠における該弾性係止片の周囲において軸方向一方の端部から軸直角方向外方に広がるように形成されて、該基板の他方の面と軸方向で対向配置される第二爪部と、
を備えていることを特徴とする電線保護具。 - 前記第一爪部は、前記懸架部分の軸方向他方の端部に形成され、
前記第二爪部と前記弾性係止片は、前記側壁部分の長手方向他方の側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電線保護具。 - 前記第一爪部は、前記側壁部分の長手方向他方の側に形成され、
前記第二爪部は、該懸架部分の長手方向両端部における各軸方向他方の端部に形成されて、
前記弾性係止片は、該側壁部分の長手方向一方の側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電線保護具。 - 前記弾性係止片は、前記側壁部分において軸方向他方から一方に開口するU字状断面で該側壁部分の長手方向に直交する方向に延びる折り返し板状を呈していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電線保護具。
- 前記弾性係止片の外周面には、軸直角方向に延びる溝部が軸方向に複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電線保護具。
- 前記本体枠は、前記一対の側壁部分の長手方向他方の端部に開閉式の蓋部を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電線保護具。
- 前記側壁部分の軸方向一方の端部にはフランジ状部が設けられ、該フランジ状部は前記第二爪部と一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電線保護具。
- 前記本体枠と前記第一爪部と前記第二爪部と前記フランジ状部との少なくとも一つには、前記電線を支持するための電線支持部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電線保護具。
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JPH0573381U (ja) * | 1992-03-11 | 1993-10-08 | 竹内工業株式会社 | エッジングサドル |
JPH0714520U (ja) * | 1993-05-31 | 1995-03-10 | 矢崎総業株式会社 | グロメット |
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