JP2010262788A - 絶縁電線及びコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】導体、絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなる絶縁電線であって、部分放電を効果的に防止できるとともに、交流(高周波)通電時の半導電層の発熱の問題も防止され、半導電層の機械的強度の低下の問題もない絶縁電線、及びこの絶縁電線を用いてなるコイルを提供する。
【解決手段】導体、その外周を被覆する絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなり、前記半導電層が、樹脂とカーボンナノファイバー、好ましくは10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有するカーボンナノファイバーとの混合物で構成され、部分放電開始電圧が1000V以上であり、かつ表面抵抗率が1MΩ/□以上であることを特徴とする絶縁電線、及びこの絶縁電線巻回してなるコイル。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モータのコイル等に用いられる絶縁電線、及び当該絶縁電線を巻回してなるコイルに関する。
中心導体の外周を樹脂等の絶縁材で被覆した絶縁電線を巻回してなるコイルに高電圧が印加されると、絶縁電線表面等で部分放電(コロナ放電)が発生しやすくなる。部分放電が発生すると、局部的な温度上昇やオゾンの発生により、絶縁被覆(絶縁層)は加速度的に劣化し、機器の寿命を短くする。そこで、部分放電の抑制が望まれ、部分放電が発生しにくい絶縁電線の開発が望まれている。特に近年では、小型かつ高出力のモータを得るため、コイルに印加される電圧の上昇が計られているので、部分放電が発生しやすくなる場合が増えており、その抑制がより強く望まれている。
部分放電が発生しにくい絶縁電線としては、例えば特許文献1に、導体、当該導体上のポリアミドイミドからなる絶縁層、及び当該絶縁層上に形成され、カーボンブラックを混合した油性エナメルからなり表面抵抗(表面抵抗率)が1kΩ〜1MΩに設定されている導電層からなる絶縁電線が開示されている。そして、この絶縁電線によれば、コイル中の隣接する絶縁皮膜間の電位差が緩和されて、部分放電の発生が防止できると記載されている。
しかし、前記特許文献1に記載の絶縁電線では、導電層の表面抵抗率が1kΩ〜1MΩに設定されているため、交流通電時に導電層に、誘導電流や静電容量の増大による漏れ電流が発生しやすく導電層が発熱(ジュール熱の発生)のため劣化する問題があった。この問題を解決する絶縁電線として、特許文献2では、導体と、導体上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される半導電層とを有し、半導電層は、樹脂とカーボンブラックとの混合物で構成されるとともに、半導電層の表面抵抗(表面抵抗率)が10Ω以上1012Ω未満であることを特徴とする絶縁電線が開示されている。この絶縁電線によれば、コイルを形成する絶縁電線の半導電層間が等電位状態を保持して部分放電の発生が防止できるとともに、交流通電時における半導電層の発熱も抑制することができる。
特開2004−254457号公報 特開2007−294312号公報
特許文献2に記載の絶縁電線では、半導電層は、樹脂とカーボンブラックとの混合物で構成されている。しかし、半導電層の表面抵抗率を好ましい範囲とするためには、樹脂中に大量のカーボンブラックを添加する必要がある。その結果、絶縁電線(半導電層)の表面の耐摩耗性や耐傷性等の機械的強度が低下する問題が生じ、又大量のカーボンブラックを必要とするためコスト的にも不利となる。
さらに、従来の通常使用されているカーボンブラックを用いた場合、表面抵抗率を好ましい範囲とするために必要なカーボンの添加量の範囲が狭く、表面抵抗率の制御が困難であるとの問題もあった。
本発明は、導体、絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなる絶縁電線であって、部分放電を効果的に防止できるとともに、交流(高周波)通電時の半導電層の発熱の問題も防止され、半導電層の機械的強度の低下の問題もない絶縁電線、及びこの絶縁電線を用いてなるコイルを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、半導電層を、カーボンナノファイバーと樹脂との混合物で構成することにより、前記課題が達成されることを見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、導体、その外周を被覆する絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなり、前記半導電層が、樹脂とカーボンナノファイバーとの混合物で構成され、部分放電開始電圧が1000V以上であり、かつ表面抵抗率が1MΩ/□以上であることを特徴とする絶縁電線である。
この絶縁電線は、部分放電開始電圧が1000V以上であることを特徴とする。上述のごとく、近年小型かつ高出力のモータを得るためにコイルに印加される電圧の上昇が望まれているが、コイルを形成する絶縁電線の部分放電開始電圧を1000V以上に設定することにより、コイルに印加される電圧を高く設定した場合であっても、部分放電の発生を効果的に防止できる。
部分放電開始電圧の調整は、絶縁電線(半導電層)の表面抵抗率の調整により行われる。従って、半導電層の表面抵抗率を調整することにより、部分放電開始電圧を1000V以上とすることができる。具体的には、表面抵抗率を、約3GΩ/□程度以下とすることにより、部分放電開始電圧を1000V以上とすることができる。表面抵抗率は、樹脂中のカーボンナノファイバー添加量を調整することにより調整することができる。
ここで、絶縁電線の部分放電開始電圧とは、測定対象の絶縁電線を用いて、JIS C3003−1999に規定された2個撚り法に準拠して、2個撚り線を作製し、当該2個撚り線の部分放電が開始する電圧を、放電量開始閾値を100pCとして測定した値である。
この絶縁電線は、又、表面抵抗率が1MΩ/□以上であることを特徴とする。表面抵抗率が1MΩ/□以上であることにより、交流(高周波)通電時の半導電層の発熱を効果的に抑制することができる。前記のように、表面抵抗率は、樹脂中のカーボンナノファイバー添加量を調整することにより調整することができる。
表面抵抗率とは、絶縁層上に半導電層を設けた絶縁電線の当該半導電層表面上に、幅10mmの電極を2個、互い10mm離して設け、当該2個の電極間の抵抗値を測定し、次の式により求められる値である。なお、次式において、Rは当該2個の電極間の抵抗値、rは絶縁電線の直径である。
表面抵抗率(Ω/□)=(R(Ω)×r(mm)×π)/10(mm)
この絶縁電線は、又、半導電層を、カーボンナノファイバーと樹脂との混合物で構成することを特徴とする。樹脂中への前記カーボンナノファイバーの添加量は、絶縁電線の部分放電開始電圧を1000V以上とし、かつ表面抵抗率を1MΩ/□以上とする量である。絶縁電線の部分放電開始電圧を1000V以上とし、かつ表面抵抗率を1MΩ/□以上とするために必要なカーボンナノファイバーの添加量は、従来技術(特許文献記載の技術等)で使用されていたカーボンブラックの添加量に比べて非常に小さい。
従来技術では、カーボンブラックを多量に添加する必要があることにより、半導電層の機械的強度の低下が問題となったが、本発明により、カーボンナノファイバーを使用すれば、少量の添加で半導電層の表面抵抗率を下げることができるので、半導電層の機械的強度の低下の問題は防止される。又、カーボンナノファイバーを用いることにより、半導電層の表面抵抗率の制御が容易になる。
ここで、カーボンナノファイバーとは、繊維状の形状を持つ炭素で、繊維の直径が200nm以下、アスペクト比(=繊維の長さ/繊維の直径)が10〜500の範囲内のものを言う。なお、市販のカーボンナノファイバー中には、前記の範囲から外れる成分を含む場合もあるが、主成分が前記の範囲内にあれば、本発明においてカーボンナノファイバーとして使用できる。
請求項2に記載の発明は、前記カーボンナノファイバーが、10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線である。
本発明で使用されるカーボンナノファイバーとしては、10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有するものが好ましい。前記のように、絶縁電線の部分放電開始電圧を1000V以上とし、かつ表面抵抗率を1MΩ/□以上とするために必要なカーボンナノファイバーの添加量は、代りにカーボンブラックを用いた場合に必要な添加量に比べて非常に小さいが、この効果は、10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有するカーボンナノファイバーを用いた場合、特に顕著である。
ここで体積抵抗値とは、物質の単位体積あたりの電気絶縁抵抗の大きさを表すものであり、体積抵抗率とも呼ばれ、電極間距離、電極面積によらない物質固有の値である。体積抵抗値は、物質の電気抵抗を、電極間距離で割り電極面積を乗じて求められる。本発明においては、カーボンナノファイバーを圧縮して柱状の固まり(圧密体)を作り、当該柱状の両底面部に電極を設けて電極間の電気抵抗(Ω)を測定し、その電気抵抗(Ω)を、柱状の長さ(cm、電極間距離)で割り、底面の面積(cm、電極面積)を乗じて求めた値であり、圧密体の体積抵抗値である。
カーボンブラックは、小さくても10−2Ω・cm以上(かつ、通常10Ω・cm以下)の体積抵抗値を有する。従って、10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有するカーボンナノファイバーは、前記の形状の点とともに、この体積抵抗値に関してもカーボンブラックとは明確に異なるものである。
請求項3に記載の発明は、半導電層中に含まれるカーボンナノファイバーの量が、半導電層を構成する樹脂100重量部に対し、1.2〜2.5重量部の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の絶縁電線である。10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有するカーボンナノファイバーの量を、半導電層を構成する樹脂100重量部に対し、1.2重量部以上とすることにより、部分放電開始電圧を1000V以上とすることができ、かつ2.5重量部以下とすることにより、表面抵抗率を1MΩ/□以上とすることができる。
カーボンナノファイバーの代わりにカーボンブラックを用いた場合は、部分放電開始電圧を1000V以上としかつ表面抵抗率を1MΩ/□以上とするためには、樹脂100重量部に対し、20重量部程度のカーボンブラックを添加する必要がある。又、添加量が16重量部程度や21重量部程度とわずかに変動した場合でも、部分放電開始電圧が1000V未満となる場合や表面抵抗率が1MΩ/□未満となる場合があり、その制御が困難である。
請求項4に記載の発明は、半導電層を構成する樹脂が、長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線である。半導電層を構成する樹脂として、長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂を用いることにより、高温での長期使用に耐えることができる絶縁電線を得ることが可能になるので好ましい。長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリフェニルスフフィド(PPS)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂を挙げることができる。
ここで長期絶縁耐熱温度とは、JIS C3003−1999の耐熱指標により示される耐熱温度であり、所定の温度で20000時間熱処理した後の絶縁破壊電圧が、所定の試験電圧(皮膜の厚みが、0.071〜0.090mmの場合は、1000V)であるときの当該所定の温度を言う。
本発明の絶縁電線は、それを巻回してコイル(電気コイル)とし、モータ等に使用される。本発明は、前記絶縁電線を巻回してなるコイルも提供するものである(請求項5)。本発明のコイルは、部分放電の発生や半導電層の発熱が抑制されており、これらの問題により機器寿命が短くなるとの問題が防がれており、特に小型かつ高出力のモータに好適に用いられる。
本発明の絶縁電線は、導体、絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなる絶縁電線であって、少量のカーボンナノファイバーの使用で、部分放電や、交流(高周波)通電時の半導電層の発熱が防止されている。本発明のコイルは、部分放電の発生や半導電層の発熱が抑制されており、これらによる機器寿命の低下も防がれている。
本実施形態に係る絶縁電線の構造を示す断面図である。
次に、本発明を実施するための形態につき説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で変更されたものも本発明に含まれる。
図1は、本実施形態に係る電気コイルを形成する絶縁電線の構造を示す断面図である。
図1に示すように、絶縁電線1は、導体2と、当該導体2上に形成された絶縁層3と、当該絶縁層3上に形成され、樹脂とカーボンナノファイバーとの混合物で構成される半導電層4とを有している。当該絶縁電線1を巻回することにより、例えば、モータ等の回転電機用のコイル(電気コイル=本発明のコイル)が形成される。
ここで、導体2の材質としては、導体であれば特に限定されないが、例えば、銅線、錫めっき銅線、アルミ線、アルミ合金線、鋼心アルミ線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、銅覆アルミ線などが挙げられる。なお、導体2の直径は、高電圧を負荷するモータや電気コイル等の幅広い用途に適用するとの観点から、0.1mm〜3.0mmであることが好ましい。
絶縁層3に用いる樹脂としては、絶縁性が高く、耐熱性が高い樹脂が好ましく用いられる。中でも、長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂が好ましく、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、およびH種ポリエステル樹脂等が特に好適に使用できる。絶縁層3の長期絶縁耐熱温度を150℃以上とすることにより、高温での長期使用に耐えることができる絶縁電線を得ることが可能になる。なお、これらの樹脂は、単独で使用しても構わないし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
絶縁層3の形成方法としては、樹脂を有機溶媒に溶解した溶液(ワニス)を導体2上の塗布し焼付する方法等、従来の絶縁電線の製造において行われている方法を採用することができる。絶縁層3の厚みの好ましい範囲は、その用途や材質により変動し特に限定されないが、通常10μm〜100μmの範囲内である。
半導電層4を構成する樹脂としては、長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂が好ましが、前記の例示された樹脂以外にも、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、熱可塑性ポリイミド、およびH種ポリエステル等も使用することができる。なお、これらの樹脂は、単独で使用しても構わないし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
半導電層4の形成方法としては、樹脂を有機溶媒に溶解した溶液に、カーボンナノファイバーを混練したワニスを塗布し、焼付する方法や、樹脂にカーボンナノファイバーを溶融混練した混合物を溶融押出する方法等が挙げられる。また、形成される半導電層4の厚みは、1μm〜10μmが好ましい。
なお、絶縁層3および半導電層4の各々について、異なる材料からなる層を多層積層して構成しても良い。例えば、絶縁層3を2層以上にするとともに、当該絶縁層3の最外層上に半導電層4を形成する構成としても良い。
また、絶縁層3および半導電層4は、その特性を損なわない範囲で、樹脂に他の成分を加えてもよいし、樹脂をポリマーアロイ化しても良い。例えば、潤滑剤等の各種添加剤や少量の無機フィラー等を含んでいても良い。さらに、融着処理後のコロナ抑制効果を低下させない範囲内において、半導電層4の上に絶縁性の潤滑層を形成しても良い。絶縁性の潤滑層を形成することにより、絶縁電線1を巻回して、電気コイルを形成する際の、作業性が向上するとともに、絶縁層3に傷が生じにくくなるので好ましい。
本発明の絶縁電線の製造に用いられるカーボンナノファイバーとしては、市販品を用いることができる。このような市販品としては、ハイペリオンキャタリシスインターナショナル社製のFIBRIL、昭和電工社製のVGCF、日機装社製のSWCNT、MWCNT、GSIクレオス社製のカルベール等を挙げることができる。又、カーボンナノファイバーとしては、単層のもの及び複層のもののいずれをも用いることができる。
実施例1、比較例1〜4
直径約1.0mmφの銅導体(丸線)上に、ポリイミドを塗布焼付して厚み30μmの絶縁層を形成した後、その絶縁層の上に、カーボンナノファイバー(昭和電工社製、商品名VGCF−X)とポリアミドイミド及びN−メチル−2−ピロリドンを混練してなり、ポリアミドイミド100重量部に対するカーボンナノファイバーの量が表1に示す量(表中では、重量部で添加量/phrとして表す。)であるワニスを塗布焼付して厚み5μmの半導電層を形成し、図1に示す様な断面構造を有する絶縁電線を作製した。なお、比較例1では、カーボンナノファイバーを添加しないワニスを用いた。
この半導電層を有する絶縁電線を用い、JIS C3003−1999の2個撚り法に従って2個撚り線を作製し、下記のコロナ開始電圧測定方法で部分放電開始電圧(コロナ開始電圧、表中ではPDIVとして、Vpで表す。)、及び表面抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
[コロナ開始電圧測定方法]
三菱電線工業社製部分放電試験機QM−50を用い、2個撚り線のコロナ開始電圧測定を行った。コロナ開始電圧の放電量開始閾値は100pCとした。
[表面抵抗率の測定方法]
作製した絶縁電線の表面に、幅1cmの銀ペースト(藤倉化成社製、商品名ドータイトD550)を塗布して、1cm間隔で2個電極を形成した。そして、絶縁抵抗計(横河ヒューレットパッカード社製、商品名4329A)を用いて、電極間の抵抗値を測定し、前記の式に基づき半導電層の表面抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
比較例5〜12
カーボンナノファイバーとポリアミドイミド及び溶剤を混練してなるワニスの代わりに、カーボンブラック(昭和電工社製、商品名CB#3030)とポリアミドイミド及びN−メチル−2−ピロリドンを混練してなり、ポリアミドイミド100重量部に対するカーボンブラックの量が表2、表3に示す量であるワニスを用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す様な断面構造を有する絶縁電線を作製した。得られた絶縁電線について実施例1と同様にして部分放電開始電圧、及び表面抵抗率を測定した。その結果を表2、表3に示す。
Figure 2010262788
Figure 2010262788
Figure 2010262788
表1に示すように、半導電層にカーボンナノファイバーを添加しなかった比較例1、添加しても樹脂100重量部に対して1重量部であった比較例2では、1000V以上の部分放電開始電圧は得られていない。従って、十分な部分放電防止効果は得られていない。
一方、カーボンナノファイバーの添加量が、樹脂100重量部に対して3重量部であった比較例3や5重量部であった比較例4では、表面抵抗率は1MΩ/□未満であり、交流通電時の漏れ電流による半導電層の発熱を防ぐためには十分ではない。これらの比較例に対し、カーボンナノファイバーの添加量が、樹脂100重量部に対して2重量部であった実施例1では、1000V以上の部分放電開始電圧が得られ又表面抵抗率は1MΩ/□以上であり、部分放電防止効果及び交流通電時の半導電層の発熱防止効果がともに十分な絶縁電線が得られると考えられる。
又、比較例2、実施例1及び比較例3の結果より、1000V以上の部分放電開始電圧を得るためには、カーボンナノファイバーの添加量は、樹脂100重量部に対して1.2重量部以上であり、又表面抵抗率を1MΩ/□以上とするためには樹脂100重量部に対して2.5重量部以下であることが判る。
表2、表3は、カーボンナノファイバーの代わりにカーボンブラックを用いた例である。比較例8、9、10では、1000V以上の部分放電開始電圧及び表面抵抗率が1MΩ/□以上をともに満たす絶縁電線が得られている。しかし、この場合のカーボンブラックの添加量は、樹脂100重量部に対して17〜21重量部であり、カーボンナノファイバーを用いた場合に比べてはるかに多量のカーボンブラックが必要であることが示されている。その結果、機械的強度の低下等の問題が生じると考えられる。
さらに、カーボンブラックの添加量が、樹脂100重量部に対して15重量部である比較例7では部分放電開始電圧が1000V未満となり、22.5重量部である比較例11では表面抵抗率が1MΩ/□未満となり、カーボンブラックを用いた場合は、部分放電開始電圧等の制御が困難であることも示されている。
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁層
4 半導電層

Claims (5)

  1. 導体、その外周を被覆する絶縁層、および絶縁層の外周を被覆する半導電層からなり、前記半導電層が、樹脂とカーボンナノファイバーとの混合物で構成され、部分放電開始電圧が1000V以上であり、かつ表面抵抗率が1MΩ/□以上であることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記カーボンナノファイバーが、10−4Ω・cm以上で10−2Ω・cm未満の範囲内にある体積抵抗値を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 半導電層中に含まれるカーボンナノファイバーの量が、半導電層を構成する樹脂100重量部に対し、1.2〜2.5重量部の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 半導電層を構成する樹脂が、長期絶縁耐熱温度が150℃以上の樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線を巻回してなるコイル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019033202A (ja) * 2017-08-09 2019-02-28 富士電機株式会社 巻線構造、コイル、変圧器及び回転機

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